JP2000078989A - ヒト成長ホルモンの分泌生産方法 - Google Patents

ヒト成長ホルモンの分泌生産方法

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JP2000078989A
JP2000078989A JP11194510A JP19451099A JP2000078989A JP 2000078989 A JP2000078989 A JP 2000078989A JP 11194510 A JP11194510 A JP 11194510A JP 19451099 A JP19451099 A JP 19451099A JP 2000078989 A JP2000078989 A JP 2000078989A
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escherichia coli
signal
coli
secretion
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Masaru Honjo
勝 本城
Naokazu Naito
直和 内藤
Hiroshi Uchida
博司 内田
Hiroshi Mochizuki
大資 望月
Kazuya Matsumoto
和也 松本
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微生物を用いた20KhGHのより効果的な
分泌生産方法を提供し、ペリプラズム抽出溶液中に夾雑
する不純物蛋白質がより少ない、微生物を用いた20K
hGHの分泌生産方法を提供する。 【解決手段】 大腸菌OppA蛋白質の分泌シグナルま
たはその改変体をコードする遺伝子の直後に20KhG
HをコードするDNAを結合したDNA配列及びシグナ
ルペプチダーゼ1をコードするDNAを含む組換えプラ
スミドを構築し、該プラスミドで大腸菌を形質転換し、
該大腸菌形質転換体を培養して20KhGHを大腸菌の
ペリプラズム中に分泌生産させる。 【効果】 20KhGHが大腸菌のペリプラズムに従来
の方法に比べ効率よく分泌できる。また、得られるペリ
プラズム抽出溶液は夾雑蛋白質が少ないため20KhG
Hの精製が容易である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大腸菌を用いた分
子量約20000のヒト成長ホルモンの分泌生産法に関
するものである。詳しくは、本発明は大腸菌またはサル
モネラ菌のOppAの分泌シグナルまたは大腸菌Opp
A分泌シグナルのアミノ酸改変体をコードするDNA断
片の3’末端に分子量約20000のヒト成長ホルモン
をコードするDNA断片の5’末端が直列に結合したD
NA断片を有する組換えプラスミドで形質転換した大腸
菌形質転換体を培養して得られる培養液、菌体、または
それらの処理物を用いて、分子量約20000のヒト成
長ホルモンを生産する方法に関する。
【0002】また、本発明は分子量約20000のヒト
成長ホルモンをコードするDNA断片と大腸菌シグナル
ペプチダーゼ1をコードするDNAとを有する組換えプ
ラスミドで形質転換した大腸菌形質転換体を培養して得
られる培養液、菌体、またはそれらの処理物を用いて、
分子量約20000のヒト成長ホルモンを生産する方法
に関する。更に、本発明は上記の構成の組換えプラスミ
ドで形質転換した形質転換体を培養して分子量約200
00のヒト成長ホルモンを生産する際の培地組成の変更
によりその生産量を増大させる方法にも関する。
【0003】
【従来の技術】下垂体由来のヒト成長ホルモン(hG
H)には、分子量約22000のもの(以下、22Kh
GH)と分子量約20000のもの(以下、20KhG
H)の存在が知られている。
【0004】22KhGHは、遺伝子組換え技術により
製造された医薬品が、下垂体不全性低身長症や小児慢性
腎不全などの治療に用いられている。hGHは、成長促
進活性のほか、免疫賦活作用や体脂肪分解促進作用など
優れた作用を有することが近年明らかになり、今後、適
応対象の拡大が大いに期待されている。
【0005】その一方で、22KhGHの臨床使用にお
いて副作用発症のリスクが近年多く報告され、臨床にお
けるGHの安全性の保証や、今後の適応拡大を進める上
での大きな課題になっている。これまでの22KhGH
のリスクに関する報告には、例えば、白血病誘発性や、
糖尿病原性などがある。GHの適応拡大への期待がある
中で、副作用リスクの低いGHが臨床の現場において希
求されている。
【0006】20KhGHは、22KhGHを構成する
191個のアミノ酸のうち、アミノ酸配列のN末端から
数えて32番目〜46番目の15個のアミノ酸が欠落し
た配列を有している。この20KhGHは22KhGH
に比べ、白血病細胞の増殖促進活性能が低いことや、糖
尿病原性の指標である耐糖能異常誘発性が低いことが報
告され、22KhGHで指摘されている副作用発症のリ
スクが低いことが判明している。また、in vitr
oの実験結果からGH受容体に対する結合様式において
も、20KhGHは22KhGHと異なることが近年明
らかになった。即ち、M.Wadaらは、22KhGH
が生理濃度域で血清中に存在するGH結合蛋白(GH受
容体膜外領域蛋白)と結合することにより細胞表面上の
GH受容体との結合活性が減弱してしまうのに対し、2
0KhGHは生理濃度においてGH結合蛋白と結合し難
いため、GH結合蛋白によるGH受容体に対する結合能
の減弱がないこと、さらに、GHがGH受容体を介して
作用する際に必要な1:2会合体(GH1分子とGH受
容体2分子の会合体)の形成についても、薬理濃度(高
濃度域)において22KhGHが1:1会合体(不活性
型)を形成するのに対して、20KhGHはGH受容体
と1:2会合体(活性型)を形成する点で性質が異なる
ことを明らかにしている(Mol.Endo.12,1,p146-156(199
7))。これらの結果から、20KhGHは、22KhG
Hよりも強い活性を有する可能性が期待される。また、
これまで不明であった脂肪分解促進作用についても、2
2KhGH同様に20KhGHが有していることも明ら
かになっている(特開平9−216832号公報、又は
欧州特許公開第0753307号明細書)。
【0007】以上のように、20KhGHは22KhG
Hよりもリスクが低く、かつ、同等以上の活性を有する
成長ホルモンであることなどが明らかになり新規成長ホ
ルモンとして医薬品としての有用性に期待が集まってい
る。
【0008】近年、組換えDNA技術の進歩により、微
生物を宿主として異種蛋白質を生産することが可能にな
った。微生物による蛋白質の生産には菌体内発現法と分
泌生産法がある。菌体内発現法はN末端にメチオニンが
付加した蛋白質が細胞質内に蓄積する。蛋白質のN末端
のメチオニン残基のない蛋白質を得るため、例えばペプ
チダーゼを用いてN末のメチオニン残基を含むアミノ酸
配列を酵素的に切断することが必要である。さらに菌体
内発現法で得られた蛋白質は立体構造が活性型でなく、
リフォールディリングの操作が必要である。菌体内発現
法は以上の点で効率よい蛋白質生産方法とは言えない場
合が多い。
【0009】一方、大腸菌を用いた分泌生産法は、目的
蛋白質がペリプラズムに分泌蓄積される。このペリプラ
ズム抽出液からの精製は夾雑蛋白質量が菌体内発現法に
比較して少ないため精製が容易であるばかりでなく、分
泌された蛋白質はN末端にメチオニンを含まず、立体構
造も天然型の活性体である点で優れた方法である。
【0010】とはいえ、微生物を用いた蛋白質の分泌生
産法は高度な技術が必要なため工業的に実用化された例
は少ない。その理由は、細胞質内で合成された前駆体蛋
白質が細胞質膜を透過し、かつプロセッシングにより正
しく分泌シグナルが切断除去されることが必要なためで
ある。
【0011】微生物における蛋白質の分泌については、
そのメカニズム、関与する因子やその働きなどが明らか
になり、それらの知見に基づいて、蛋白質の効率的な分
泌方法に関する様々な試みがなされてきた。
【0012】第1番目に挙げられるものに分泌シグナル
の検討がある。分泌シグナルは目的蛋白質を細胞質膜ま
で導くという蛋白質の分泌において極めて重要な働きを
果たす。分泌シグナルが作用するためには、そのN末端
の正電荷領域のポジティブチャ−ジと中央部疎水領域の
疎水性が必須であることが明らかになっている(J.Bio
l. Chem.,267,pp.4882-4888,1992)。鵜高らはこの分
泌シグナルの構造上の特徴に関する知見に基づき、バチ
ルス・ブレビス(Bacillus brevis)を宿主として用い
た分泌生産において、バチルス・ブレビス由来のMWP
(Middle WallProtein)の分泌シグナルのN末端正電荷
領域に塩基性アミノ酸(Arg)を付加し、かつ中央部
疎水性領域に疎水性アミノ酸(Leu)を付加する改変
を行い、ヒラメ成長ホルモンの分泌効率を60mg/L
まで向上させたことを報告している(Nippon Nogeikaga
ku kaishi, 67(3), p.372, (1993))。
【0013】とはいえ、分泌シグナルのアミノ酸配列の
改変方針については、普遍的な指導原理はなく、試行錯
誤により好ましい配列を見い出さなければならないのが
現状である。また、分泌生産させる蛋白質に対してどの
ような分泌蛋白質由来の分泌シグナルを選択すべきかに
ついて今日まで明確な指針はなく、分泌生産させる蛋白
質毎に適する分泌シグナルを見い出さなくてはならな
い。
【0014】以上のことは、例えば特開平6−2964
91号公報から理解される。該公報には、22KhGH
の分泌生産に有効であったアルカリフォスファタ−ゼま
たはエンテロトキシン由来の分泌シグナルが、数種の真
核性蛋白質の分泌生産には必ずしも有効でないことが記
載されている。即ち、分泌シグナルと分泌蛋白質の組み
合わせ次第で、蛋白質が合成されなかった例、細胞質内
で蛋白質が発現するが分泌されず、前駆体蛋白質が細胞
質内に留まったままであった例が報告されている。
【0015】このように、分泌蛋白質の各々について適
切な分泌シグナルを選択する必要があるが、今日まで、
いかなる蛋白質の分泌にも使用可能な分泌シグナルは見
い出されてはいない。
【0016】第2番目に挙げられる試みとしては、蛋白
の共発現による分泌生産性向上の検討がある。これまで
にGH以外の蛋白質の分泌生産については、インターロ
イキン−6の分泌生産がSecE及びprlA4(Se
cYの変異蛋白質)の共発現により向上したこと(BIO/
TECHNOLOGY, 12, pp.178-180 (1994))、Human Granulo
cyte-colony Stimulating factor(G-CSF)の分泌
生産性がシャペロン蛋白を共発現させることにより向上
すること(Biochem. Biophys. Res. Commun.,210(2), p
p.524-529 (1995))などが報告されている。
【0017】20KhGHの分泌生産に関しては、グル
タチオンレダクターゼを20KhGHと共発現させる方
法(特開平8−322586、又は欧州特許公開第07
35140号明細書)、大腸菌のSec蛋白質を20K
hGHと共発現させる方法(特開平9−313191、
又は欧州特許公開第0798380号明細書)が報告さ
れている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】上述の特開平8−32
2586(又は欧州特許公開第0735140号明細
書)のグルタチオンレダクターゼの共発現による20K
hGHの生産方法によれば、1L培養液あたり約70m
gの生産が可能になったが、さらに高い生産性が望まれ
る。
【0019】また、このようにグルタチオンレダクター
ゼの共発現により分泌生産性は向上したが、本発明者ら
の検討によれば、この方法においては、これらの菌体か
ら浸透圧ショック法により得られるペリプラズム抽出溶
液中には目的蛋白質である20KhGH以外の夾雑蛋白
質が相当量含まれることが判明した。そのためペリプラ
ズム抽出溶液からの20hGHの精製を煩雑なものに
し、20KhGHを医薬品グレード程度に高純度に精製
するために多大なコストを要する。
【0020】本発明の課題は、微生物を用いた20Kh
GHのより効率的な分泌生産方法を提供することにあ
り、本発明の他の課題は、ペリプラズム抽出溶液中に夾
雑する不純蛋白質がより少ない、微生物を用いた20K
hGHの分泌生産方法を提供することにある。
【0021】本発明の目的は、大腸菌のOppAの分泌
シグナルを改変した分泌シグナルをコードするDNAの
3’末端に20KhGHをコードするDNAの5’末端
が結合しているDNA断片を含むプラスミドを提供する
こと、該プラスミドで形質転換された大腸菌形質転換
体、該大腸菌形質転換体を使用した20KhGHの分泌
生産方法を提供することにある。
【0022】本発明の他の目的は、20KhGHをコー
ドするDNAと大腸菌シグナルペプチダーゼ1をコード
するDNAとを有する組換えプラスミド、該プラスミド
で形質転換された大腸菌形質転換体、該大腸菌形質転換
体を使用した20KhGHの分泌生産方法を提供するこ
とにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、特開平8−322586(又は欧州
特許公開第0735140号明細書)に記載の公知菌株
であり、分泌シグナルとしてバチルス・アミロリキファ
シエンスの中性プロテアーゼ由来の分泌シグナルを改変
した分泌シグナルを用い、更に共発現蛋白質として大腸
菌由来のグルタチオンレダクターゼを用いている20K
hGHを分泌生産可能な大腸菌形質転換株MT−107
65(FERM BP−5020)の改良を試みた。
【0024】先ずはじめに、20KhGHをより効率よ
く分泌生産し得る新しい分泌シグナルの検討を行った。
【0025】新しい分泌シグナルの有効性を確認するに
は、各分泌シグナルの20KhGHの分泌生産量に対す
る効果を確認することが必要である。その方法は、20
KhGHをコードするDNAの5’末端に種々の分泌シ
グナルをコードするDNAの3’末端を結合させたDN
A断片を含むプラスミドを構築し、該プラスミドで形質
転換された大腸菌を分離し、さらに得られた大腸菌形質
転換体を培養して、20KhGHの分泌生産量を測定す
るという一連の行程よりなる。
【0026】本発明者らは、微生物で多量に分泌される
蛋白質の分泌シグナルを利用することにより20KhG
Hの生産性向上を試みた。しかし、この方法では20K
hGHの分泌生産において従来知られている方法以上に
20KhGHの生産性を向上させる分泌シグナルを見出
すには至らなかった。
【0027】蛋白質の分泌は、蛋白質がエネルギー依存
的に細胞膜を通過するという物理化学的な現象である。
そこで、本発明者らは20KhGHと構造上の類似性が
高い蛋白質の分泌シグナルが好ましいのではないかとい
う仮説を立て、これを検証した。20KhGHと構造上
の類似性が高い蛋白質として、アミノ酸配列の相同性の
高い蛋白質及び精製カラム内での挙動が20KhGHと
類似している蛋白質を選択した。アミノ酸配列の相同性
の高い蛋白質としては、アミノ酸配列のホモロジ−検索
により、TRBC(Meneewannakul, S. ら、J. Bacteri
ol. 173, 3872-3878 (1991))及びDPPA(Periplasm
ic Dipeptide Transport Protein Precursor (Dipeptid
e-Binding Protein))(Olson, E. R. ら、J. Bacterio
l., 173,234-244 (1991))を選択した。また、精製カラ
ムにおける挙動が20KhGHと類似している蛋白質と
しては、本発明者らの検討によりイオン交換カラム、親
和クロマトカラムにおける挙動が20KhGHと類似し
ていることが判明していた大腸菌OppA(Periplasmi
c Oligopeptide Binding Protein)(K. Kashiwagiら、
J. Biol. Chem., 265, 8387-8391 (1990))を選択し
た。
【0028】以上3種類の蛋白質の分泌シグナルについ
て20KhGHの分泌生産性に与える効果に検討したと
ころ、TRBC、DPPA由来の分泌シグナルでは20
KhGHの分泌生産量が1mg/L以下で、20KhG
Hの分泌生産性の向上効果はなかった。しかし、驚いた
ことに大腸菌OppA分泌シグナルを用いた場合には、
特開平8−322586(又は欧州特許公開第0735
140号明細書)に記載のMT−10765(FERM
BP−5020)を上回る20KhGHの分泌生産量
が得られることがわかった。
【0029】さらに、本発明者らはOppA由来の分泌
シグナルの改変による更なる20KhGHの分泌生産性
の向上を試みた。その結果、N末配列部分の正電荷領域
に塩基性アミノ酸であるリジンを、中央部疎水領域に疎
水性アミノ酸であるLeuを適当なアミノ酸数を挿入し
た分泌シグナルは、天然型のOppA由来の分泌シグナ
ルに比べてさらに高い20KhGHの分泌生産性を示
し、1L培養液あたり110mg以上の分泌生産性が達
成された。
【0030】大腸菌における分泌生産において、大腸菌
のOppA分泌シグナルが蛋白質の分泌に有効な機能を
果すことはすでに公知で本出願の請求の範囲外である
が、このような20KhGHの分泌生産にOppA分泌
シグナルの改変分泌シグナルが極めて有効であること
は、既知の情報からは類推不可能である。
【0031】本発明の課題を解決するための第2の試み
として、本発明者らは蛋白質の共発現に関する改良を検
討した。
【0032】その結果、大腸菌由来のシグナルペプチダ
ーゼ1が特開平8−322586号公報(又は欧州特許
公開第0735140号明細書)に記載のグルタチオン
レダクターゼとほぼ同等の20KhGHの分泌生産量を
与えることを見出した。
【0033】しかも、驚くべきことに、シグナルペプチ
ダーゼ1を共発現させた際には、グルタチオンレダクタ
ーゼを共発現させた場合と比較して、その培養菌体から
浸透圧ショック法により抽出されるペリプラズム溶液中
に存在する20KhGH以外の夾雑蛋白質の割合が非常
に低いことを発見した。この原因は不明ではあるが、グ
ルタチオンレダクターゼよりもシグナルペプチダーゼ1
の方が、20KhGH発現による菌体の受けるストレス
を低減させる働きが強く、その結果、培養菌体の溶菌傾
向が少なくなり、細胞質内蛋白質のペリプラズム抽出溶
液中への混入量が減少したものと推測された。このペリ
プラズム溶液中の夾雑蛋白質の減少はペリプラズム画分
抽出溶液からの20KhGHの精製を容易にする効果が
あり、精製効率の向上など20KhGHの製造コスト削
減などに大きく寄与する。
【0034】シグナルペプチダーゼ1は、細胞質内に生
成した前駆体蛋白質が膜を透過する際に分泌シグナルを
切断する酵素である。Jan Maarten van Dijlらは、様々
な分泌シグナルを接続したβ−ラクタマーゼの分泌生産
について、シグナルペプチダーゼ1を過剰に共発現させ
た際の効果を検討している(Jan Maarten van Dijl eta
l, Mol. Gen. Genet, 227, p40-48 (1991))。その中
で、シグナルペプチダーゼ1の共発現によるプロッセッ
シング(シグナルを切断すること)の効率を向上させる
効果は、前駆体における分泌シグナル配列と分泌される
目的蛋白質の組み合わせにより様々であることを報告し
ている。
【0035】しかし、当該文献からは20KhGHの分
泌効率向上にシグナルペプチダーゼ1の共発現が効果を
有するかは全く不明であり、まして、共発現した場合に
細胞の溶菌傾向が少なくその培養菌体から抽出されるペ
リプラズム溶液中の夾雑蛋白質の含量が少なくなること
は、全く未知である。
【0036】さらに、本発明者らは培養条件を変更し、
更なる20KhGHの分泌生産量の向上を試みた。その
結果、従来知られている特開平8−322586号公報
(又は、欧州特許公開第0735140号明細書)記載
の公知菌株であるMT−10765(FERM BP−
5020)では培養液中の炭素源濃度を増加させること
により82mg/Lまで20KhGHの生産量を向上さ
せることに成功した。そこでさらに、本方法を本発明の
MT−10852(FERM BP−6290)、及び
MT−10853(FERM BP−6291)に適応
した。すると例えばグリセロール3.6%、コハク酸
1.5%のとき、MT−10852(FERM BP−
6290)では360mg/l、MT−10853(F
ERMBP−6291)では350mg/lと従来の4
〜5倍に生産量を増加させることに成功した。更にこの
時の各ペリプラズム抽出液中の総蛋白質に対する20K
hGHの割合を特開平8−322586号公報(又は、
欧州特許公開第0735140号明細書)記載の公知菌
株であるMT−10765(FERM BP−502
0)から該明細書記載の方法で抽出したペリプラズム抽
出液を1として比較した。するとグルタチオンリダクタ
ーゼを共発現したMT−10853(FERM BP−
6291)で3.4であり、シグナルペプチダーゼ1を
共発現したMT-10852(FERM BP−629
0)では8.3となった。これより本発明のMT−10
852(FERM BP−6290)、及びMT−10
853(FERMBP−6291)より抽出される20
KhGHの生産量及び精製の容易さは公知の方法と比較
して大幅に向上し、20KhGHの製造コスト削減等を
可能にする。かくして、本発明者らは本発明を成すに至
った。
【0037】即ち、本発明は、(1) 大腸菌のOpp
A分泌シグナルと60%以上の相同性を有する分泌シグ
ナル(但し、大腸菌のOppA分泌シグナルとサルモネ
ラ菌のOppA分泌シグナルは除く)、(2) 上記
(1)の分泌シグナルをコードするDNA、(3) 大
腸菌のOppA分泌シグナルと60%以上の相同性を有
する分泌シグナルをコードするDNAと分子量約200
00のヒト成長ホルモンをコードするDNAを含む組換
えプラスミドであって、該分子量約20000のヒト成
長ホルモンをコードするDNAが該分泌シグナルをコー
ドするDNAの直後に結合していることを特徴とする組
換えプラスミド、(4) 上記(3)の組換えプラスミ
ドで形質転換された大腸菌形質転換体、(5) 上記
(4)の大腸菌形質転換体を培養し、得られた菌体から
ペリプラズム画分を抽出して得られたペリプラズム画分
溶液を精製して分子量約20000のヒト成長ホルモン
を得ることを特徴とする分子量約20000のヒト成長
ホルモンの製造方法、(6) 分泌シグナルをコードす
るDNA、分子量約20000のヒト成長ホルモンをコ
ードするDNA、及び大腸菌のシグナルペプチダーゼ1
をコードするDNAを含む組換えプラスミドであって、
該分子量約20000のヒト成長ホルモンをコードする
DNAの5’末端が該分泌シグナルをコードするDNA
の3’末端に結合していることを特徴とする組換えプラ
スミド、(7)上記(6)の該組換えプラスミドで形質
転換された大腸菌形質転換体、(8)上記(7)の大腸
菌形質転換体を培養し、得られた菌体からペリプラズム
画分を抽出して得られた夾雑蛋白質の少ないペリプラズ
ム画分溶液を精製して分子量約20000のヒト成長ホ
ルモンを得ることを特徴とする分子量約20000のヒ
ト成長ホルモンの製造方法、である。更に、本発明は、
上記の構成の組換えプラスミドで形質転換した形質転換
体を培養して分子量約20000のヒト成長ホルモンを
生産する際の培地組成の変更、すなわちグリセロール
0.01〜10%及びコハク酸0.01〜5%の少なく
とも一方を含む培地を使用することによりその生産量を
増大させる方法も含む。
【0038】
【発明の実施の形態】本発明において用いられる分泌シ
グナルとしては、大腸菌(Escherichia coli)またはサ
ルモネラ菌(Salumonella typhimurium)のOppA蛋
白質の分泌シグナル(大腸菌OppA分泌シグナルまた
はサルモネラ菌OppA分泌シグナル)、及び大腸菌分
泌OppAシグナルのアミノ酸配列を、相同性60%以
上で、分泌シグナルとしての機能を維持している状態で
改変した分泌シグナル(改変OppA分泌シグナル)を
挙げることができる。
【0039】大腸菌OppA分泌シグナルは配列表の配
列番号:1に記載のアミノ酸配列を有しており、そのO
ppAシグナルとしては、以下の改変: (1)配列番号:1の2〜7番の部分への1〜3個の塩
基性アミノ酸の挿入、 (2)配列番号:1の2〜7番の部分の酸性アミノ酸及
び中性アミノ酸のうちの1〜3個のアミノ酸の塩基性ア
ミノ酸への置換、 (3)配列番号:1の9〜23番の部分への1〜9個の
疎水性アミノ酸の挿入、 (4)配列番号:1の9〜23番の部分の非疎水性塩基
性アミノ酸の1〜9個のアミノ酸の疎水性アミノ酸への
置換、の少なくとも1つを有するものを挙げることがで
きる。
【0040】(1)及び(2)の改変における塩基性ア
ミノ酸としては、Lys及びArgを挙げることがで
き、これらのうちの少なくとも1つを用いることができ
る。また、(3)及び(4)の改変における疎水性アミ
ノ酸としては、Leu、Ile、Val及びAlaより
成る群から選ばれた少なくとも1つのアミノ酸を用いる
ことができる。
【0041】改変OppAシグナルの具体例としては、
配列番号:2〜27に記載のアミノ酸配列を有する改変
OppAシグナルを挙げることができる。これらの配列
表の配列番号:2〜27に記載の好ましい改変OppA
分泌シグナルの中では、配列番号:23に記載の改変O
ppA分泌シグナルが最も高い分泌生産性を示す更に好
ましいものとして例示できる。
【0042】なお、サルモネラ菌のOppAの分泌シグ
ナルは大腸菌のOppA分泌シグナルと非常に高い相同
性を有している。サルモネラ菌のOppA分泌シグナル
は公知であり、本出願の請求の範囲外であるが、サルモ
ネラ菌のOppA改変分泌シグナル(例えば、サルモネ
ラ菌OppA分泌シグナルとアミノ酸配列において60
%以上の相同性を有する改変分泌シグナル)は、大腸菌
のOppA分泌シグナルあるいはその改変分泌シグナル
と同等の効果があり、サルモネラ菌のOppA改変分泌
シグナルも本発明の範囲内である。
【0043】本発明の組換えDNAは、大腸菌またはサ
ルモネラ菌OppA分泌シグナル、あるいはその改変体
をコードするDNAの3’末端に、20KhGHをコー
ドするDNAの5’末端を直接結合させた構造を有し、
これを宿主中で発現させることで、20KhGHのN末
端側に大腸菌またはサルモネラ菌OppA分泌シグナ
ル、あるいはその改変体が結合した前駆体を得ることが
できる。
【0044】20KhGHをコードするDNAとして
は、化学合成により構築されたもの、また20KhGH
のmRNA配列に基づくcDNA等の如何なるものでも
よく、公知のものが使用可能である。更に、20KhG
Hのアミノ酸配列のN末端から第14番目のアミノ酸に
ついては、セリンとメチオニンの2種類の報告されてい
る。即ち、Masuda, N. et al, Biophyisica Acta, Vol.
949, p.125, (1988)では、cDNA塩基配列がAGT
(セリンをコード)であり、Martia1, J. A, eta1 Scie
nce, Vol, 205, p.602, (1979)では、mRNAのN末端
から第14番目のアミノ酸をコードするRNA配列はA
UG(メチオニンをコードする)である。それらのいず
れをコードするDNAも本発明で使用可能である。ま
た、本発明における20KhGHとしてはそのアミノ酸
配列のうち1〜5個のアミノ酸が、20KhGHの特性
や機能を損なわない範囲で、置換、欠失、挿入、削除さ
れたものも本発明の範疇である。
【0045】この組換えDNAを、その宿主中での発現
を可能とするプロモーターと組み合わせて、宿主中での
複製が可能な複製オリジンを有する、例えば、大腸菌用
としてのpBR322、pUC19等のプラスミドに組
み込むことで、本発明の20KhGH分泌用の組換えプ
ラスミドを得ることができる。プロモーターとしては、
組換えDNAの宿主中での発現を可能とするものであれ
ばよく、用いる宿主の種類等に応じて選択して使用する
ことができる。
【0046】宿主としては、使用経験豊富で安全性が高
い大腸菌株が好ましく、そのようなものとして、JM1
09株、HB101株、W3110株(ATCC 27
325)が挙げられる。ATCCはアメリカン・タイプ
カルチャー・コレクションの番号である。
【0047】組換えプラスミドの一例としては、プロモ
ーター、リボゾーム結合部位、分泌シグナルをコードす
るDNA及び20KhGHをコードするDNAが、5’
から3’方向にこの順に結合された部分を有するものを
挙げることができる。
【0048】一方、共発現系による20KhGHの分泌
生産に用いるシグナルペプチダーゼ1は大腸菌由来のも
のを示す。また、大腸菌由来のシグナルペプチダーゼ1
のアミノ酸配列を、本発明で目的とする共発現による2
0KhGHの分泌量の向上効果が得られる範囲内で1〜
2個置換、挿入、欠損体も本発明の範疇である。
【0049】シグナルペプチダーゼ1の遺伝子は、本来
大腸菌の染色体内に予め存在するものであり、大腸菌由
来のシグナルペプチダーゼ1をコードするDNAを用い
ることができる。従って、本発明において大腸菌を宿主
として使用する場合は、宿主本来のものとは別に、人為
操作によって追加的に導入されたものが発現すること
で、共発現による効果を得るものである。
【0050】シグナルペプチダーゼ1を発現させるプロ
モ−タ−としては、宿主で機能するプロモーターであれ
ばいかなるプロモーターも使用可能である。シグナルペ
プチダ−ゼ1の共発現量は20KhGHの分泌量に影響
を与えるため、あまり過剰に発現させないことが望まし
い。そのため、例えば、実施例に記載のようにtacプ
ロモーターによるシグナルペプチダーゼ1の発現量をl
acIqにより抑制するなどの方法を用いることが望ま
しい。また、シグナルペプチダーゼ1の共発現は、20
KhGHをコードするDNAと同一プラスミド内にシグ
ナルペプチダーゼ1をコードするDNAを組み込む方
法、20KhGHをコードするDNAとシグナルペプチ
ダーゼ1をコードするDNAを別々のプラスミドに組み
込む方法、あるいは大腸菌が本来有しているシグナルペ
プチダーゼ1の遺伝子とは別に、シグナルペプチダーゼ
1をコードするDNAを大腸菌の染色体に追加的に組み
込む方法などによって行うことができる。
【0051】同一プラスミド中に20KhGHをコード
するDNAとシグナルペプチダーゼ1をコードするDN
Aを組み込んだ構成の共発現系の組換えプラスミドとし
ては、例えば、プロモーター、リボゾーム結合部位、分
泌シグナルをコードするDNA、20KhGHをコード
するDNA、プロモーター及びシグナルペプチダーゼ1
をコードするDNAが5’から3’方向にこの順に結合
している構成を有するものを挙げることができる。
【0052】共発現系用の組換えプラスミドに組み込む
分泌シグナルとしては、20KhGHの分泌を可能とす
るものであればよく、先に説明した、大腸菌またはサル
モネラ菌OppA分泌シグナル、あるいはその改変体を
好ましいものとして挙げることができる。更に、20K
hGHをコードするDNA及びそれを発現させるための
プロモーター、複製オリジン等は、先に説明したものが
利用できる。
【0053】本発明の形質転換体は、上記の組換えプラ
スミドを宿主にそれ自体公知の方法で形質転換により導
入すればよい。組換えプラスミドによる宿主の形質転換
は、例えば塩化ルビジューム法によりコンピテントセル
を調製し、プラスミドを加え、42℃、1分間のヒート
ショックを与えることによりプラスミドを宿主菌体内に
形質導入する方法など、常法により容易に実施可能であ
る。
【0054】得られた形質転換体においては、プロモー
ターおよびリボゾーム結合部位配列からの指令により分
泌シグナルと20KhGHとが結合した前駆体が細胞質
内に発現し、この前駆体が内膜を通過する際に分泌シグ
ナルがシグナルペプチダーゼ1により切断され、天然型
の20KhGHが分泌される。大腸菌を宿主とした場合
には、大腸菌のペリブラズムヘ天然型の20KhGHが
分泌・蓄積される。
【0055】20KhGHを分泌生産する本発明の大腸
菌形質転換体としてはMT−10853(FERM B
P−6291)もしくはMT−10852(FERM
BP−6290)を挙げることが出来る。これらの菌株
は、平成10年(1998年)3月11日付けにて、茨
城県つくば市東一丁目1番3号にある通商産業省工業技
術院生命工学工業技術研究所に、特許手続上の微生物の
寄託の国際的承認に関するブダペスト条約に基づいて、
上記寄託番号にて寄託されている。
【0056】大腸菌を宿主として用いた場合における2
0KhGHを分泌生産するための、大腸菌形質転換体の
培養方法としては、フラスコによる培養方法や培養槽で
の培養方法などを好適に選択できる。培養温度は、好ま
しくは25〜37℃、さらに好ましくは28〜30℃で
ある。培地組成は、通常大腸菌の培養に使用されるもの
を用いることができるが、2倍濃度のLB培地(ポリペ
プトン20g/L、酵母エキス10g/L)、グリセロ
ール0.01〜10%、好ましくは0.1〜5%、コハ
ク酸0.01〜5%、好ましくは0.1〜4%、より好
ましくは0.1〜3%含む培地が好ましい。グリセロー
ル及びコハク酸のこのような作用はグリセロール及びコ
ハク酸を同時に添加した場合に顕著であるが、グリセロ
ール或いはコハク酸を単独で培地へ添加した場合にも見
られる。
【0057】大腸菌形質転換体からの20KhGHの調
製は、通常のペリプラズムからの蛋白質の抽出・精製方
法により容易に行うことが可能であり、例えば、浸透圧
ショック法(Nossal G. N; J. Biol. Chem., 241(13),
pp.3055-3062, 1966)などが挙げられる。抽出されたペ
リプラズム画分は、蛋白質に対する通常の精製方法、例
えばカラムクロマトグラフィー法により精製すればよ
い。この際、イオン交換カラムクロマトグラフィー法で
は、蛋白質を一度担体に担持させる必要があり、本発明
のように20KhGH以外の不純蛋白質の少ないペリプ
ラズム画分溶液が得られることから、カラムの容量を小
さくできる利点がある。
【0058】
【実施例】以下本発明を実施例により更に詳しく説明す
るがこれらの実施例は本発明の内容を何ら限定するもの
ではない。
【0059】[実施例1]OppA分泌シグナルの有用
性検討
【0060】[1]OppA分泌シグナルを含む20K
hGH分泌プラスミドの作製 配列表の配列番号:28及び配列番号:29に記載のオ
リゴヌクレオチドをPCR法(Polymerase Chain React
ion法)により2本鎖化し、制限酵素SacI、Pst
Iで切断してバチルス アミロリキファシエンス(Baci
llus amyloliquefaciens)の中性プロテアーゼ由来のプ
ロモーター及びOppA分泌シグナルの前半部をコード
するDNAフラグメント(1)を得た。また、特開平8
−322586号公報に記載のMT−10765株(F
ERM BP−5020)の有する分泌プラスミドpG
HR10をテンプレートとして、配列番号:30及び配
列番号:31に示すプライマーを使用し、PCR法によ
りOppA分泌シグナルの後半部及び20KhGHをコ
ードするDNAフラグメント増幅した。このPCR産物
を制限酵素PstI、XbaIで切断することによりフ
ラグメント(2)を得た。更に、分泌プラスミドpGH
R10を制限酵素SacI、XbaIで切断し、ベクタ
ー側フラグメント(3)を得た。以上のDNAフラグメ
ント(1)、(2)、(3)をライゲーションすること
により、分泌プラスミドpGHR52を構築した。これ
らの行程を図1に示した。
【0061】[2]改変型OppA分泌シグナルを含む
20KhGH分泌プラスミドの作製 [1]で作製したpGHR52をテンプレートにして、
配列番号:32に示すオリゴヌクレオチドと配列番号:
33〜39に示した種々のオリゴヌクレオチドを選択使
用してPCRを行いバチルス アミロリキファシエンス
の中性プロテアーゼ由来のプロモーター及びOppA分
泌シグナルの改変部をコードするDNAフラグメントを
増幅した。それぞれのPCR産物を制限酵素SacI、
PstIで切断し、フラグメント(4)、(5)、
(6)、(7)、(8)、(9)、(10)を得た。そ
の後、前述のフラグメント(2)、(3)とフラグメン
ト(4)を混合し、ライゲーション後、大腸菌に形質転
換する(即ち図1に示すフラグメント(1)の代わりに
フラグメント(4)を使用する)ことにより分泌プラス
ミドpGHR521を得た。同様にフラグメント(4)
に代えてフラグメント(5)を使用することにより分泌
プラスミドpGHR523を、フラグメント(1)に代
えてフラグメント(6)を使用することにより分泌プラ
スミドpGHR525を、フラグメント(1)に代えて
フラグメント(7)を使用することにより分泌プラスミ
ドpGHR527を、フラグメント(1)に代えてフラ
グメント(8)を使用することにより分泌プラスミドp
GHR529を、フラグメント(1)に代えてフラグメ
ント(9)を使用することにより分泌プラスミドpGH
R524を、フラグメント(1)に代えてフラグメント
(10)を使用することにより分泌プラスミドpGHR
526をそれぞれ得た(図2)。
【0062】[3]OppA分泌シグナルを含む20K
hGH分泌プラスミドで形質転換した大腸菌形質転換体
の評価 [1]で構築した分泌プラスミドpGHR52により大
腸菌W3110株(ATCC 27325)を形質転換
し、大腸菌形質転換株W3110/pGHR52を得
た。この形質転換体をテトラサイクリン10μg/ml
を含むLB寒天培地で30℃、18時間培養した。この
培養菌体を液体培地(ポリペプトン20g/L、酵母エ
キス10g/L、コハク酸10g/L、グリセロール1
0g/L、テトラサイクリン30mg/L)中で、30
℃、24時間培養した。培養後の菌体から、浸透圧ショ
ック法により分泌蓄積した20KhGHを含むペリプラ
ズム画分を回収し、該ペリプラズム画分抽出溶液中の2
0KhGHの濃度を、hGHに対する抗体を用いた酵素
免疫測定法により測定した。その測定値から培養液1L
あたりの20KhGHの分泌生産量を換算した。分泌生
産量比較のため、MT−10765(FERM BP−
5020)も同様に培養した。結果を表1に示す。
【0063】
【表1】 表1の結果よりOppA分泌シグナルを使用したプラス
ミドで形質転換した大腸菌形質転換体は、従来のバチル
ス・アミロリキファシエンス中性プロテアーゼ由来改変
分泌シグナルを使用したプラスミドで形質転換した大腸
菌形質転換体よりも優れた20KhGHの分泌生産能を
有することが判明した。
【0064】[4] 改変型OppA分泌シグナルを使
用したプラスミドで形質転換した大腸菌形質転換体の評
価 [2]で構築した各分泌プラスミドにより大腸菌W31
10株(ATCC 27325)を形質転換した大腸菌
形質転換株を得た。これらの形質転換体を[3]に記載
方法と同様に培養し、同様に分泌量を測定した。結果を
表2に示す。
【0065】
【表2】 表2の結果から、改変OppA分泌シグナルを使用した
組換えプラスミドで形質転換した大腸菌形質転換体は、
従来のバチルス・アミロリキファシエンス中性プロテア
ーゼ由来改変分泌シグナルを使用したプラスミドで形質
転換した大腸菌形質転換体よりも優れた20KhGH分
泌生産能を示した。特に配列番号:3に示す配列の改変
OppA分泌シグナルを含むpGHR525により形質
転換された大腸菌形質転換体MT−10853(FER
M BP−6291)が最も優れた分泌生産能を有して
いた。
【0066】[実施例2] シグナルペプチダーゼ1の
有用性検討
【0067】[1]OppA改変型分泌シグナルを使用
し、シグナルペプチダーゼ1を共発現させる20KhG
H分泌プラスミドの作成 シグナルペプチダーゼ1をコードするDNA断片を配列
番号:40及び配列番号:41に示すオリゴヌクレオチ
ドを用いて大腸菌W3110の染色体遺伝子よりPCR
法により増幅し、このPCR産物を制限酵素MunI、
PstIで切断し、シグナルペプチダーゼ1をコードす
るDNAフラグメント(11)を得た。このフラグメン
ト(11)と特開平8−322586記載のpGHR1
0を制限酵素EcoRI、PstIで切断したベクター
側のフラグメント(12)を混合し、常法によりライゲ
ーションした後、大腸菌W3110(ATCC 273
25)に形質転換することにより分泌プラスミドpGH
S15(図3)を得た。得られたpGHS15を制限酵
素SacI、XbaIで切断し、ベクター側フラグメン
ト(13)を得た。また、実施例1で得られた組換えプ
ラスミドpGHR525を制限酵素SacI、XbaI
で切断し、20KhGH発現カセット側フラグメント
(14)を得た。その後、フラグメント(13)とフラ
グメント(14)を混合し、ライゲーションすることに
より分泌プラスミドpGHS525を得た(図3)。こ
のプラスミドを用いて大腸菌W3110を形質転換する
ことにより形質転換体W3110/pGHS525(M
T−10852(FERM BP−6290))を得
た。
【0068】[2]シグナルペプチダーゼ1を使用した
プラスミドで形質転換した大腸菌形質転換体の評価 [1]で構築した形質転換体W3110/pGHS52
5を実施例1[3]に記載の方法により培養し、20K
hGHの分泌量を測定した。さらに実施例1[3]に記
載の方法で回収したW3110/pGHR10、 W3
110/pGHR525、 W3110/pGHS52
5のペリプラズム画分中の総蛋白量をGrovesらの
方法(Groves,W.E.ら、Anal.Bioc
hem.,22,195−210,1968)により測
定し、ペリプラズム画分における総蛋白質中の20Kh
GHの割合をW3110/pGHR10を1として比較
した。結果を表3に示す。
【0069】
【表3】 表3の結果よりシグナルペプチダーゼ1を共発現する組
換えプラスミドで形質転換して得られた大腸菌形質転換
体では、20KhGHの分泌生産量が従来のグルタチオ
ンレダクターゼを共発現するプラスミドで形質転換して
得られた大腸菌形質転換体と同等以上であり、かつ、ペ
リプラズム抽出溶液の総蛋白質に占める20KhGHの
割合が著しく向上していることが判明した。
【0070】[実施例3] 培養条件変更による20K
hGH生産性の評価 実施例1の[4]で作製した大腸菌形質転換体w311
0/pGHR525(MT−10853(FERM B
P−6291))、w3110/pGHS525(MT
−10852(FERM BP−6290))、及び比
較のため特開平8−322586号公報(又は、欧州特
許公開第0735140号明細書)記載の公知菌株であ
るw3110/pGHR10(MT−10765(FE
RM BP−5020)を培養方法を変更し,以下の評
価を行った。各形質転換体をテトラサイクリン10μg
/mlを含むLB寒天培地で30℃、18時間培養し
た。この培養菌体を液体培地(20g/Lポリペプト
ン、10g/L酵母エキス、15g/Lコハク酸、36
g/Lグリセロール、30mg/Lテトラサイクリン)
中で、30℃,42時間培養した。培養後の菌体から、
浸透圧ショック法によりペリプラズムに分泌蓄積した2
0KhGHを回収し、該ペリプラズム画分溶液中の濃度
を、hGHに対する抗体を用いた酵素免疫測定法により
測定した。その測定値から培養液1LあたりのhGHの
分泌量を換算した。また、各ペリプラズム画分中の総蛋
白量はGrovesらの方法(Groves,W.E.
ら、Anal.Biochem.,22,195−21
0,1968)により測定した。ペリプラズム画分にお
ける総蛋白質中の20KhGHの割合は、[実施例1]
の[3]に記載の方法で培養、ペリプラズム画分を抽出
したW3110/pGHR10を1として表記した。結
果を、表4に示す。
【0071】
【表4】
【0072】
【発明の効果】本発明により従来の方法に比べてより大
量に20KhGHを分泌生産させることが出来る大腸菌
を用いた20KhGHを分泌生産方法が提供される。
【0073】また、本発明の方法では得られるペリプラ
ズム抽出溶液中の夾雑蛋白質が少ないため、該抽出溶液
を用いた精製が容易であり、純度の高い20KhGを安
価に大量に生産することが可能となる。更に、グリセロ
ール0.01〜10%及びコハク酸0.01〜5%の少
なくとも一方を含む培地を使用することで、20KhG
の生産量をさらに増大させることができる。
【0074】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110>Mitsui Chemicals, Incorporated <120>Method of Secretory Production of Human Growth Hormone <130>31990032 <150>JP 193003/1998 <151>1998-07-08 <160>41 <210>1 <211>26 <212>PRT <213>E. coli <220> <221>SIGNAL <222>(1)...(26) <223>OppA secretion signal <400>1 Met Thr Asn lle Thr Lys Arg Ser Leu Val Ala Ala Gly Val 1 5 10 Leu Ala Ala Leu Met Ala Gly Asn Val Ala Leu Ala 15 20 25 <210>2 <211>27 <212>PRT <213>Artificial Sequence <220> <221>SIGNAL <222>(1)...(27) <223>Modified OppA secretion signal <400>2 Met Thr Asn lle Thr Lys Arg Ser Leu Leu Val Ala Ala Gly Val Leu 1 5 10 15 Ala Ala Leu Met Ala Gly Asn Val Ala Leu Ala 20 25 <210>3 <211>28 <212>PRT <213>Artificial Sequence <220> <221>SIGNAL <220> <221>(1)...(28) <223>Modified OppA secretion signal <400>3 Met Thr Asn lle Thr Lys Arg Ser Leu Leu Leu Val Ala Ala Gly Val 1 5 10 15 Leu Ala Ala Leu Met Ala Gly Asn Val Ala Leu Ala 20 25 <210>4 <211>29 <212>PRT <213>Artificial Sequence <220> <221>SIGNAL <222>(1)...(29) <223>Modified OppA secretion signal <400>4 Met Thr Asn lle Thr Lys Arg Ser Leu Leu Leu Leu Val Ala Ala Gly 1 5 10 15 Val Leu Ala Ala Leu Met Ala Gly Asn Val Ala Leu Ala 20 25 <210>5 <211>30 <212>PRT <213>Artificial Sequence <220> <221>SIGNAL <222>(1)...(30) <223>Modified OppA secretion signal <400>5 Met Thr Asn lle Thr Lys Arg Ser Leu Leu Leu Leu Leu Val Ala Ala 1 5 10 15 Gly Val Leu Ala Ala Leu Met Ala Gly Asn Val Ala Leu Ala 20 25 30 <210>6 <211>31 <212>PRT <213>Artificial Sequence <220> <221>SIGNAL <222>(1)...(31) <223>Modified OppA secretion signal <400>6 Met Thr Asn lle Thr Lys Arg Ser Leu Leu Leu Leu Leu Leu Val Ala 1 5 10 15 Ala Gly Val Leu Ala Ala Leu Met Ala Gly Asn Val Ala Leu Ala 20 25 30 <210>7 <211>32 <212>PRT <213>Artificial Sequence <220> <221>SIGNAL <222>(1)...(32) <223>Modified OppA secretion signal <400>7 Met Thr Asn lle Thr Lys Arg Ser Leu Leu Leu Leu Leu Leu Leu Val 1 5 10 15 Ala Ala Gly Val Leu Ala Ala Leu Met Ala Gly Asn Val Ala Leu Ala 20 25 30 <210>8 <211>33 <212>PRT <213>Artificial Sequence <220> <221>SIGNAL <222>(1)...(33) <223>Modified OppA secretion signal <400>8 Met Thr Asn lle Thr Lys Arg Ser Leu Leu Leu Leu Leu Leu Leu Leu 1 5 10 15 Val Ala Ala Gly Val Leu Ala Ala Leu Met Ala Gly Asn Val Ala Leu 20 25 30 Ala <210>9 <211>34 <212>PRT <213>Artificial Sequence <220> <221>SIGNAL <222>(1)...(34) <223>Modified OppA secretion signal <400>9 Met Thr Asn lle Thr Lys Arg Ser Leu Leu Leu Leu Leu Leu Leu Leu 1 5 10 15 Leu Val Ala Ala Gly Val Leu Ala Ala Leu Met Ala Gly Asn Val Ala 20 25 30 Leu Ala <210>10 <211>27 <212>PRT <213>Artificial Sequence <220> <221>SIGNAL <222>(1)...(27) <223>Modified OppA secretion signal <400>10 Met Thr Asn lle Thr Lys Lys Arg Ser Leu Val Ala Ala Gly Val Leu 1 5 10 15 Ala Ala Leu Met Ala Gly Asn Val Ala Leu Ala 20 25 <210>11 <211>28 <212>PRT <213>Artificial Sequence <220> <221>SIGNAL <222>(1)...(28) <223>Modified OppA secretion signal <400>11 Met Thr Asn lle Thr Lys Lys Arg Ser Leu Leu Val Ala Ala Gly Val 1 5 10 15 Leu Ala Ala Leu Met Ala Gly Asn Val Ala Leu Ala 20 25 <210>12 <211>29 <212>PRT <213>Artificial Sequence <220> <221>SIGNAL <222>(1)...(29) <223>Modified OppA secretion signal <400>12 Met Thr Asn lle Thr Lys Lys Arg Ser Leu Leu Leu Val Ala Ala Gly 1 5 10 15 Val Leu Ala Ala Leu Met Ala Gly Asn Val Ala Leu Ala 20 25 <210>13 <211>30 <212>PRT <213>Artificial Sequence <220> <221>SIGNAL <222>(1)...(30) <223>Modified OppA secretion signal <400>13 Met Thr Asn lle Thr Lys Lys Arg Ser Leu Leu Leu Leu Val Ala Ala 1 5 10 15 Gly Val Leu Ala Ala Leu Met Ala Gly Asn Val Ala Leu Ala 20 25 30 <210>14 <211>31 <212>PRT <213>Artificial Sequence <220> <221>SIGNAL <222>(1)...(31) <223>Modified OppA secretion signal <400>14 Met Thr Asn lle Thr Lys Lys Arg Ser Leu Leu Leu Leu Leu Val Ala 1 5 10 15 Ala Gly Val Leu Ala Ala Leu Met Ala Gly Asn Val Ala Leu Ala 20 25 30 <210>15 <211>32 <212>PRT <213>Artificial Sequence <220> <221>SIGNAL <222>(1)...(32) <223>Modified OppA secretion signal <400>15 Met Thr Asn lle Thr Lys Lys Arg Ser Leu Leu Leu Leu Leu Leu Val 1 5 10 15 Ala Ala Gly Val Leu Ala Ala Leu Met Ala Gly Asn Val Ala Leu Ala 20 25 30 <210>16 <211>33 <212>PRT <213>Artificial Sequence <220> <221>SIGNAL <222>(1)...(33) <223>Modified OppA secretion signal <400>16 Met Thr Asn lle Thr Lys Lys Arg Ser Leu Leu Leu Leu Leu Leu Leu 1 5 10 15 Val Ala Ala Gly Val Leu Ala Ala Leu Met Ala Gly Asn Val Ala Leu 20 25 30 Ala <210>17 <211>34 <212>PRT <213>Artificial Sequence <220> <221>SIGNAL <222>(1)...(34) <223>Modified OppA secretion signal <400>17 Met Thr Asn lle Thr Lys Lys Arg Ser Leu Leu Leu Leu Leu Leu Leu 1 5 10 15 Leu Val Ala Ala Gly Val Leu Ala Ala Leu Met Ala Gly Asn Val Ala 20 25 30 Leu Ala <210>18 <211>35 <212>PRT <213>Artificial Sequence <220> <221>SIGNAL <222>(1)...(35) <223>Modified OppA secretion signal <400>18 Met Thr Asn lle Thr Lys Lys Arg Ser Leu Leu Leu Leu Leu Leu Leu 1 5 10 15 Leu Leu Val Ala Ala Gly Val Leu Ala Ala Leu Met Ala Gly Asn Val 20 25 30 Ala Leu Ala <210>19 <211>28 <212>PRT <213>Artificial Sequence <220> <221>SIGNAL <222>(1)...(28) <223>Modified OppA secretion signal <400>19 Met Thr Asn lle Thr Lys Lys Lys Arg Ser Leu Val Ala Ala Gly Val 1 5 10 15 Leu Ala Ala Leu Met Ala Gly Asn Val Ala Leu Ala 20 25 <210>20 <211>29 <212>PRT <213>Artificial Sequence <220> <221>SIGNAL <222>(1)...(29) <223>Modified OppA secretion signal <400>20 Met Thr Asn lle Thr Lys Lys Lys Arg Ser Leu Leu Val Ala Ala Gly 1 5 10 15 Val Leu Ala Ala Leu Met Ala Gly Asn Val Ala Leu Ala 20 25 <210>21 <211>30 <212>PRT <213>Artificial Sequence <220> <221>SIGNAL <222>(1)...(30) <223>Modified OppA secretion signal <400>21 Met Thr Asn lle Thr Lys Lys Lys Arg Ser Leu Leu Leu Val Ala Ala 1 5 10 15 Gly Val Leu Ala Ala Leu Met Ala Gly Asn Val Ala Leu Ala 20 25 30 <210>22 <211>31 <212>PRT <213>Artificial Sequence <220> <221>SIGNAL <222>(1)...(31) <223>Modified OppA secretion signal <400>22 Met Thr Asn lle Thr Lys Lys Lys Arg Ser Leu Leu Leu Leu Val Ala 1 5 10 15 Ala Gly Val Leu Ala Ala Leu Met Ala Gly Asn Val Ala Leu Ala 20 25 30 <210>23 <211>32 <212>PRT <213>Artificial Sequence <220> <221>SIGNAL <222>(1)...(32) <223>Modified OppA secretion signal <400>23 Met Thr Asn lle Thr Lys Lys Lys Arg Ser Leu Leu Leu Leu Leu Val 1 5 10 15 Ala Ala Gly Val Leu Ala Ala Leu Met Ala Gly Asn Val Ala Leu Ala 20 25 30 <210>24 <211>33 <212>PRT <213>Artificial Sequence <220> <221>SIGNAL <222>(1)...(33) <223>Modified OppA secretion signal <400>24 Met Thr Asn lle Thr Lys Lys Lys Arg Ser Leu Leu Leu Leu Leu Leu 1 5 10 15 Val Ala Ala Gly Val Leu Ala Ala Leu Met Ala Gly Asn Val Ala Leu 20 25 30 Ala <210>25 <211>34 <212>PRT <213>Artificial Sequence <220> <221>SIGNAL <222>(1)...(34) <223>Modified OppA secretion signal <400>25 Met Thr Asn lle Thr Lys Lys Lys Arg Ser Leu Leu Leu Leu Leu Leu 1 5 10 15 Leu Val Ala Ala Gly Val Leu Ala Ala Leu Met Ala Gly Asn Val Ala 20 25 30 Leu Ala <210>26 <211>35 <212>PRT <213>Artificial Sequence <220> <221>SIGNAL <222>(1)...(35) <223>Modified OppA secretion signal <400>26 Met Thr Asn lle Thr Lys Lys Lys Arg Ser Leu Leu Leu Leu Leu Leu 1 5 10 15 Leu Leu Val Ala Ala Gly Val Leu Ala Ala Leu Met Ala Gly Asn Val 20 25 30 Ala Leu Ala 35 <210>27 <211>36 <212>PRT <213>Artificial Sequence <220> <221>SIGNAL <222>(1)...(36) <223>Modified OppA secretion signal <400>27 Met Thr Asn lle Thr Lys Lys Lys Arg Ser Leu Leu Leu Leu Leu Leu 1 5 10 15 Leu Leu Leu Val Ala Ala Gly Val Leu Ala Ala Leu Met Ala Gly Asn 20 25 30 Val Ala Leu Ala 35 <210>28 <211>80 <212>DNA <213>Artificial <220> <222>(1)...(80) <223>DNA sequence for PCR to produce a DNA fragment having a promoter of B. amyloliquefaciens and the first half part of OppA secretion signal. <400>28 ttcgagctcg gtacccggag tctagtttta tattgcagaa tgcgagattg ctggtttatt 60 atacaatata agttttcatt 80 <210>29 <211>83 <212>DNA <213>Artificial <220> <222>(1)...(83) <223>DNA sequence for PCR to produce a DNA fragment having a promoter of B. amyloliquefaciens and the first half part of OppA secretion signal. <400>29 cgcctgcagc tactaaactt ctcttggtga tgttggtcat atgaaatccc cctttttgaa 60 aataatgaaa acttatattg tat 83 <210>30 <211>14 <212>DNA <213>Artificial Sequence <220> <222>(1)...(14) <223>Dsigned DNA sequence to act as a primer for PCR to produce the latt er half of a OppA secretion signal. <400>30 aatttaactg tgat 14 <210>31 <211>76 <212>DNA <213>Artificial Sequence <220> <222>(1)...(76) <223>Dsigned DNA sequence to act as a primer for PCR to produce the latt er half of a OppA secretion signal. <400>31 gtagctgcag gcgttctggc tgcgctaatg gcagggaatg tcgcgctggc attcccaact 60 ataccacttt cgcgcc 76 <210>32 <211>15 <212>DNA <213>Artificial Sequence <220> <222>(1)...(15) <223>Designed DNA sequence to act as a primer for PCR to produce a DNA f ragment having a promoter of B. amyloliquefaciens and a modified first h alf part of OppA secretion signal. <400>32 tgcaacttta tccgc 15 <210>33 <211>45 <212>DNA <213>Artificial Sequence <220> <222>(1)...(45) <223>Designed DNA sequence to act as a primer for PCR to produce a DNA f ragment having a promoter of B. amyloliquefaciens and a modified first h alf part of OppA secretion signal. <400>33 gcctgcagct accagacttc ttttcttttt ggtgatgttg gtcat 45 <210>34 <211>51 <212>DNA <213>Artificial Sequence <220> <222>(1)...(51) <223>Designed DNA sequence to act as a primer for PCR to produce a DNA f ragment having a promoter of B. amyloliquefaciens and a modified first h alf part of OppA secretion signal. <400>34 gcctgcagct accaataaca gacttctttt ctttttggtg atgttggtca t 51 <210>35 <211>57 <212>DNA <213>Artificial Sequence <220> <222>(1)...(57) <223>Designed DNA sequence to act as a primer for PCR to produce a DNA f ragment having a promoter of B. amyloliquefaciens and a modified first h alf part of OppA secretion signal. <400>35 gcctgcagct accaggagca ataacagact tcttttcttt ttggtgatgt tggtcat 57 <210>36 <211>63 <212>DNA <213>Artificial Sequence <220> <222>(1)...(63) <223>Designed DNA sequence to act as a primer for PCR to produce a DNA f ragment having a promoter of B. amyloliquefaciens and a modified first h alf part of OppA secretion signal. <400>36 gcctgcagct acgagcagca ggagcaataa cagacttctt ttctttttgg tgatgttggt 60 cat 63 <210>37 <211>69 <212>DNA <213>Artificial Sequence <220> <222>(1)...(69) <223>Designed DNA sequence to act as a primer for PCR to produce a DNA f ragment having a promoter of B. amyloliquefaciens and a modified first h alf part of OppA secretion signal. <400>37 gcctgcagct accagcagga gcagcaggag caataacaga cttcttttct ttttggtgat 60 gttggtcat 69 <210>38 <211>54 <212>DNA <213>Artificial Sequence <220> <222>(1)...(54) <223>Designed DNA sequence to act as a primer for PCR to produce a DNA f ragment having a promoter of B. amyloliquefaciens and a modified first h alf part of OppA secretion signal. <400>38 gcctgcagct acgagcaata acagacttct tttctttttg gtgatgttgg tcat 54 <210>39 <211>60 <212>DNA <213>Artificial Sequence <220> <222>(1)...(60) <223>Designed DNA sequence to act as a primer for PCR to produce a DNA f ragment having a promoter of B. amyloliquefaciens and a modified first h alf part of OppA secretion signal. <400>39 gcctgcagct accagcagga gcaataacag acttcttttc tttttggtga tgttggtcat 60 <210>40 <211>30 <212>DNA <213>Artificial Sequence <220> <222>(1)...(30) <223>Dsigned DNA sequence to act as a primer for PCR to produce a DNA fr agment encoding signal peptidase 1 <400>40 ttccaattga tggcgaatat gtttgccctg 30 <210>41 <211>30 <212>DNA <213>Artificial Sequence <220> <222>(1)...(30) <223>Dsigned DNA sequence to act as a primer for PCR to produce a DNA fr agment encoding signal peptidase 1 <400>41 tttctgcagt taatggatgc cgccaatgcg 30
【図面の簡単な説明】
【図1】20KhGH分泌プラスミドpGHR52の構
築方法を示す図である。
【図2】20KhGH分泌プラスミドpGHR521〜
529の構築方法を示す図である。
【図3】20KhGH分泌プラスミドpGHS525の
構築方法を示す図である。
【符号の説明】
NP promoter バチルス アミロリキファシエンスの
中性プロテアーゼ遺伝子のプロモーター領域 20KhGH 分子量約20000のヒト成長ホルモン GR 大腸菌由来グルタチオンレダクターゼ遺伝子 tac tacプロモーター領域 lacIq lacIq遺伝子 tetr テトラサイクリン耐性遺伝子 oppA signal 大腸菌oppA蛋白質の分泌シグナル m-oppA signal 大腸菌oppA蛋白質の改変型分泌
シグナル SPI シグナルペプチダーゼ1 rop pBR322由来rop遺伝子 ori pBR322由来複製開始点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:19) (72)発明者 内田 博司 千葉県茂原市東郷1144番地 三井化学株式 会社内 (72)発明者 望月 大資 千葉県茂原市東郷1144番地 三井化学株式 会社内 (72)発明者 松本 和也 千葉県茂原市東郷1144番地 三井化学株式 会社内

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大腸菌またはサルモネラ菌のOppA分
    泌シグナルと異なるが、該大腸菌OppA分泌シグナル
    とアミノ酸配列において60%以上の相同性を有する分
    泌シグナルであって、該分泌シグナルをコードするDN
    Aの3’末端と分子量約20000のヒト成長ホルモン
    をコードするDNAの5’末端とが直接結合している組
    換えDNAを含む微生物を用いて分子量約20000の
    ヒト成長ホルモンを分泌生産し得ることを特徴とする分
    泌シグナル。
  2. 【請求項2】 配列表の配列番号:1のアミノ酸配列に
    おける以下の改変:(1)配列番号:1の2〜7番の部
    分への1〜3個の塩基性アミノ酸の挿入、 (2)配列番号:1の2〜7番の部分の酸性アミノ酸及
    び中性アミノ酸のうちの1〜3個のアミノ酸の塩基性ア
    ミノ酸への置換、 (3)配列番号:1の9〜23番の部分への1〜9個の
    疎水性アミノ酸の挿入、 (4)配列番号:1の9〜23番の部分の非疎水性アミ
    ノ酸の1〜9個のアミノ酸の疎水性アミノ酸への置換、 の少なくとも1つを有する請求項1に記載の分泌シグナ
    ル。
  3. 【請求項3】 配列表の配列番号:1の2〜7番の部分
    に挿入または置換される塩基性アミノ酸がLys及びA
    rgから選ばれたアミノ酸であり、配列表の配列番号:
    1の9〜23番の部分に挿入または置換される疎水性ア
    ミノ酸がLeu、Ile、Val及びAlaより成る群
    から選ばれたアミノ酸である請求項2に記載の分泌シグ
    ナル。
  4. 【請求項4】 配列表の配列番号:2〜27に記載のア
    ミノ酸配列を有する請求項3に記載の分泌シグナル。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の分泌シ
    グナルをコードするDNA。
  6. 【請求項6】 大腸菌のOppA分泌シグナルとアミノ
    酸配列において60%以上の相同性を有する分泌シグナ
    ルをコードするDNAと、分子量約20000のヒト成
    長ホルモンをコードするDNAとを含む組換えDNAで
    あって、該分子量約20000のヒト成長ホルモンをコ
    ードするDNAの5’末端と該分泌シグナルをコードす
    るDNAの3’末端とが直接結合している、ことを特徴
    とする組換えDNA。
  7. 【請求項7】 大腸菌のOppA分泌シグナルとアミノ
    酸配列において60%以上の相同性を有する分泌シグナ
    ルが、大腸菌またはサルモネラ菌のOppA分泌シグナ
    ルの改変分泌シグナルである請求項6に記載の組換えD
    NA。
  8. 【請求項8】 大腸菌のOppA分泌シグナルとアミノ
    酸配列において60%以上の相同性を有する分泌シグナ
    ルが請求項2〜4に記載の分泌シグナルである請求項6
    に記載の組換えDNA。
  9. 【請求項9】 プロモーターと、請求項6〜8のいずれ
    かに記載の組換えDNAとを含み、該組換えDNAが該
    プロモーターにより発現可能な位置に組み込まれている
    ことを特徴とする組換えプラスミド。
  10. 【請求項10】 前記プロモーターが大腸菌での前記組
    換えDNAの発現を可能とするものであり、大腸菌にお
    ける複製オリジンを更に有する請求項9に記載の組換え
    プラスミド。
  11. 【請求項11】 請求項9又は10に記載の組換えプラ
    スミドで形質転換された大腸菌形質転換体。
  12. 【請求項12】 大腸菌形質転換体が、FERM BP
    −6291である請求項11に記載の大腸菌形質転換
    体。
  13. 【請求項13】 請求項11又は12に記載の大腸菌形
    質転換体を培養し、得られた菌体からペリプラズム画分
    を抽出して得られたペリプラズム画分溶液を精製して分
    子量約20000のヒト成長ホルモンを得ることを特徴
    とする分子量約20000のヒト成長ホルモンの製造方
    法。
  14. 【請求項14】 大腸菌形質転換体を培養するに際し
    て、グリセロール0.01〜10%及びコハク酸0.0
    1〜5%の少なくとも一方を含む培地を使用することを
    特徴とする請求項13に記載の製造方法。
  15. 【請求項15】 分泌シグナルをコードするDNAの
    3’末端に分子量約20000のヒト成長ホルモンをコ
    ードするDNAの5’末端を直接結合した組換えDNA
    と、大腸菌のシグナルペプチダーゼ1をコードするDN
    Aとを含むことを特徴とする組換えプラスミド。
  16. 【請求項16】 分泌シグナルをコードするDNAが、
    大腸菌またはサルモネラ菌のOppA分泌シグナルをコ
    ードするDNAであるか、または請求項5に記載のDN
    Aである請求項15に記載の組換えプラスミド。
  17. 【請求項17】 前記組換えDNAの大腸菌での発現を
    可能とするプロモーターと、前記大腸菌のシグナルペプ
    チダーゼ1をコードするDNAの大腸菌での発現を可能
    とするプロモーターと、大腸菌での複製オリジンとを更
    に有する請求項15または16に記載の組換えプラスミ
    ド。
  18. 【請求項18】 請求項16又は17に記載の組換えプ
    ラスミドで形質転換された大腸菌形質転換体。
  19. 【請求項19】 大腸菌形質転換体が、FERM BP
    −6290である請求項18に記載の大腸菌形質転換
    体。
  20. 【請求項20】 請求項18又は19に記載の大腸菌形
    質転換体を培養し、得られた菌体からペリプラズム画分
    を抽出して得られた夾雑蛋白質の少ないペリプラズム画
    分溶液を精製して分子量約20000のヒト成長ホルモ
    ンを得ることを特徴とする分子量約20000のヒト成
    長ホルモンの製造方法。
  21. 【請求項21】 大腸菌形質転換体を培養するに際し
    て、グリセロール0.01〜10%及びコハク酸0.0
    1〜5%の少なくとも一方を含む培地を使用することを
    特徴とする請求項20に記載の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007501622A (ja) * 2003-08-13 2007-02-01 サンド・アクチエンゲゼルシヤフト 組換えポリペプチドを精製するための方法
WO2022191223A1 (ja) * 2021-03-10 2022-09-15 株式会社カネカ 原核生物細胞から標的タンパク質を抽出する方法

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