JP2000064363A - 建設機械の盗難防止装置 - Google Patents

建設機械の盗難防止装置

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直行 守屋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エンジン、油圧制御装置、機体コントローラ
を備える建設機械において、エンジンの始動回路を改造
しても、確実にエンジンの始動さらには油圧制御装置の
作動ができないようにする、建設機械の盗難防止装置を
提供する。 【解決手段】 機体コントローラの初期状態を、エンジ
ンの燃料噴射装置による燃料噴射を停止状態に、また油
圧制御装置の制御機器の作動を停止状態にそれぞれ設定
し、盗難防止制御装置を設けて、盗難防止制御装置から
の解除信号により機体コントローラの初期状態を解除す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、建設機械の盗難防
止装置、さらに詳しくは、エンジンおよび油圧制御装置
を備える建設機械の車体の盗難を防止する盗難防止装置
に関する。
【０００２】
【従来の技術】油圧ショベル、ブルドーザなどの建設機
械の盗難防止装置として、エンジン始動回路のスタータ
モータとバッテリとを結ぶ回線に、キースイッチが備え
られている。このキースイッチは、例えば機械毎にパタ
ーンの異なるエンジンキーを備え、このエンジンキーに
よりにより回線を通電状態とすることができるようにな
っている。したがって、予め決められたエンジンキーに
よってのみキースイッチの操作できスタータモータを作
動させてエンジンを始動することができるので、真正の
エンジンキーを持たない建設機械を盗もうとする者によ
る機体の盗難が防止される。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】上述したとおりの形態
の従来の建設機械の盗難防止装置には、次のとおりの解
決すべき問題がある。すなわち、建設機械を盗もうとす
る者は、エンジン始動回路のキースイッチの部分を改造
して回線を機能するように接続し、バッテリの電力をス
タータモータに供給し、エンジンを始動させる。そし
て、回線が接続されることによりエンジン、作業装置な
どの作動を制御する機体コントローラも起動するので、
機体の移動が可能になり、機体の盗難を防ぐことができ
なくなる。
【０００４】本発明は上記事実に鑑みてなされたもの
で、その技術的課題は、建設機械のエンジンの始動回路
を改造しても、確実に、エンジンの始動さらには油圧制
御装置の作動ができないようにする、建設機械の盗難防
止装置を提供することである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】本発明においては、上記
技術的課題を解決する建設機械の盗難防止装置として、
エンジンと、油圧制御装置と、該エンジンおよび油圧制
御装置を制御する機体コントローラとを備える建設機械
において、該機体コントローラの初期状態を、該エンジ
ンの燃料噴射装置による燃料噴射を停止状態に、また該
油圧制御装置の制御機器の作動を停止状態にそれぞれ設
定し、盗難防止制御装置を設けて、該盗難防止制御装置
からの解除信号により該機体コントローラの初期状態を
解除する、ことを特徴とする建設機械の盗難防止装置が
提供される。
【０００６】そして、盗難防止制御装置により機体コン
トローラに解除信号を入力しないとエンジンの始動、油
圧制御機器の作動操作ができないようにする。
【０００７】好適実施形態においては、該盗難防止制御
装置と該機体コントローラとは通信回線によってつなが
っている。また、該盗難防止制御装置は入力部を備え、
該入力部によって該解除信号としての暗証番号を入力す
る。
【０００８】そして、通信回線によって盗難防止制御装
置と機体コントローラとが接続され、また暗証番号によ
って機体コントローラの初期状態（エンジン燃料噴射停
止、油圧制御機器の作動停止）が解除されるから、建設
機械を盗もうとするものから確実に機体の盗難を防止す
ることができる。
【０００９】なお、本発明における油圧制御装置とは、
建設機械の作業装置の油圧アクチュエータの作動を制御
するもので、制御機器は、そのための方向制御弁、圧力
制御弁などの油圧機器である。
【００１０】
【発明の実施の形態】以下、本発明に従って構成された
建設機械の盗難防止装置の好適実施形態を図１を参照し
て、さらに詳細に説明する。
【００１１】建設機械は、エンジン２と、油圧制御装置
４と、エンジン２および油圧制御装置４の作動を制御す
る機体コントローラ６とを備えている。機体コントロー
ラ６には盗難防止制御装置８が通信回線１０によってつ
ながっている。また、盗難防止制御装置８は入力部１２
を備えている。
【００１２】エンジン２は、エンジン本体２ａに燃料を
噴射するインジェクタを有する燃料噴射装置２ｂを備え
ている。燃料噴射装置２ｂは、機体コントローラ６から
の制御信号により燃料噴射の開始、停止、燃料の噴射量
などが制御される。エンジン本体２ａにはまた、スター
タモータ２ｃが設けられている。このスタータモータ２
ｃはキースイッチ１４により、その始動および停止が操
作される。そして、キースイッチ１４とスタータモータ
２ｃの間には、機体コントローラ６からの信号により制
御されるリレー７が設けられている。エンジン２はその
出力軸に結合した油圧ポンプ３を駆動して、吐出油を油
圧制御装置４に供給する。
【００１３】油圧制御装置４は、建設機械の作業装置の
油圧シリンダ、油圧モータなどの油圧アクチュエータ５
に供給する作動油の流れ方向、流量、圧力などを制御す
る。油圧制御装置４は方向制御弁４ａなどの制御機器を
備えている。図示の方向制御弁４ａは油圧アクチュエー
タ５の数に応じた制御スプールを備え、制御スプールの
各々には電油変換弁４ｂが接続されている。電油変換弁
４ｂは、機体コントローラ６からの制御信号に基づい
て、制御信号に応じた油圧を発生させ、その油圧力によ
り方向制御弁４ａの制御スプールを切換操作する。
【００１４】機体コントローラ６には操作手段１６が回
線により接続されている。操作手段１６は、建設機械の
運転者が操作するレバー、ペダル、スイッチなどにより
構成され、その操作に応じた操作信号が機体コントロー
ラ６に入力される。
【００１５】機体コントローラ６は、マイクロプロセッ
サを有する電子制御手段である。予め設定されたプログ
ラムと操作手段１６から入力される操作信号に基づいて
エンジン２の燃料噴射量（エンジン出力）や油圧制御装
置４の作動油の流れ（油圧アクチュエータの作動）など
を一元的に制御する。本発明による機体コントローラ６
は、初期状態として、エンジン２の燃料噴射装置２ｂの
燃料噴射を停止状態に、また油圧制御装置４の方向制御
弁４ａの電油変換弁４ｂの作動を停止状態に設定してい
る。この初期設定された状態は、解除信号を入力しない
限りその状態が維持され解除されない。この初期設定を
解除すると、機体コントローラ６による燃料噴射および
油圧機器の制御が可能になる。そして、エンジン２を始
動すると燃料噴射が適切に行われエンジン２の回転が維
持され、作業装置の油圧アクチュエータは正常に作動す
る。なお、この機体コントローラ６は、エンジン２用と
油圧制御装置４用に分かれていても、合体していても良
い。
【００１６】盗難防止制御装置８は、機体制御コントロ
ーラ６の初期状態を解除して機体コントローラ６が予め
設定されたプログラムに基づいて作動するようにするた
めの解除信号を出力する手段である。盗難防止制御装置
８には、数値入力が可能な入力部であるキーボード１２
が接続されている。建設機械を動かそうとする運転者
は、キーボード１２を用いて、解除信号としての所定の
長さの暗証番号を入力する。盗難防止制御装置８は、暗
証番号の判定部を有しており予め登録されている暗証番
号と入力された暗証番号とを比較して入力された暗証番
号が正しいと承認すれば、機体コントローラ６に初期設
定を解除する解除信号を送信回線１０を介して送信す
る。
【００１７】この盗難防止制御装置８および機体コント
ローラ６は、エンジン２のスタータモータ２ｃのキース
イッチ１４を操作することにより、機体の電源が各々に
供給され、通信回線１０を介して相互に通信を開始す
る。
【００１８】図１を参照して上述したとおりの建設機械
の盗難防止装置の作用を説明する。
【００１９】（１）運転者がキーボード１２を用いて解
除信号としての真正の所定の長さの暗証番号を入力する
と、盗難防止制御装置８は予め登録されている暗証番号
と比較してこの暗証番号を承認し機体コントローラ６に
初期設定を解除する解除信号を通信回線１０を介して送
信する。
【００２０】（２）キーボード１２に暗証番号を入れな
い場合、また間違った暗証番号を入力した場合は、解除
信号は出力されないから、操作手段１６、キースイッチ
１４などを操作してもエンジン２を始動することはでき
ない。例えスタータモータ２ｃをバッテリにつないで電
力を供給し回転させても、燃料噴射装置２ｂは燃料噴射
停止状態になっているから、エンジン２は始動しない。
【００２１】（３）さらに、油圧制御装置４の方向制御
弁４ａなどの制御機器の制御も停止状態になっているの
で、何らかの方法でエンジン２を始動させたとしても、
油圧制御装置４は作動しないから、油圧アクチュエータ
５は作動しない。したがって、建設機械の作業装置の姿
勢、例えば、油圧ショベルのブーム、アームなどの姿勢
を機体の移動が可能になる状態にすることができないか
ら、機体を移動することはできない。
【００２２】（４）逆に、何らかの方法で油圧制御装置
４を作動可能の状態にしても、エンジン２の燃料噴射を
停止状態にしているので、エンジン２は始動せず、エン
ジン２で駆動される油圧ポンプ３からは作動油が吐出さ
れないから、作業装置の油圧アクチュエータ５を動かす
ことができず、やはり機体の移動はできない。
【００２３】（５）燃料噴射の停止、油圧機器の停止
は、機体コントローラ６のソフトウエアによって設定さ
れているので、建設機械の電気回路の改造を行っても設
定を解除することはできず、機体を移動できる状態には
できない。
【００２４】（６）また、盗難防止制御装置８からの解
除信号は、通信回線１０により送信されており、解除信
号を偽造するのは実質的に不可能である。
【００２５】（７）さらに、盗難防止制御装置８を除去
しても、機体コントローラ６の初期値は燃料噴射停止、
油圧機器作動停止の状態になっているから、機体の移動
はできない。
【００２６】（８）なお、建設機械にこの盗難防止装置
がついていることを知らないでキースイッチ１４により
繰り返しエンジン２の始動を試みた場合、ついにはバッ
テリを完全に消費してしまう可能性がある。そのために
は、機体コントローラ６によりエンジン２の始動回路に
設けたリレー７などによりスタータモータ２ｃが回転し
ないように停止状態にしておくとよい。
【００２７】
【発明の効果】本発明に従って構成された建設機械の盗
難防止装置によれば、建設機械のエンジンの始動回路を
改造しても、確実に、エンジンの始動さらには油圧制御
装置の作動ができないようにする、建設機械の盗難防止
装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に従って構成された建設機械の盗難防止
装置を備えた制御システムの構成を示す図。
【符号の説明】 ２：エンジン ２ｂ：燃料噴射装置 ２ｃ：スタータモータ ４：油圧制御装置 ４ａ：制御機器 ６：機体コントローラ ８：盗難防止制御装置 １０：通信回線 １２：キーボード（入力部） １４：キースイッチ １６：操作手段

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 エンジンと、油圧制御装置と、該エンジ
    ンおよび油圧制御装置を制御する機体コントローラとを
    備える建設機械において、 該機体コントローラの初期状態を、該エンジンの燃料噴
    射装置による燃料噴射を停止状態に、また該油圧制御装
    置の制御機器の作動を停止状態にそれぞれ設定し、盗難
    防止制御装置を設けて、該盗難防止制御装置からの解除
    信号により該機体コントローラの初期状態を解除する、
    ことを特徴とする建設機械の盗難防止装置。
  2. 【請求項２】 該盗難防止制御装置と該機体コントロー
    ラとは通信回線によってつながっている、請求項１記載
    の建設機械の盗難防止装置。
  3. 【請求項３】 該盗難防止制御装置は入力部を備え、該
    入力部によって該解除信号としての暗証番号を入力す
    る、請求項１または２記載の建設機械の盗難防止装置。
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