JP2000054238A - ストレッチエンブロイダリーレース用裏糸およびストレッチエンブロイダリーレースの製造法 - Google Patents

ストレッチエンブロイダリーレース用裏糸およびストレッチエンブロイダリーレースの製造法

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JP2000054238A
JP2000054238A JP10223300A JP22330098A JP2000054238A JP 2000054238 A JP2000054238 A JP 2000054238A JP 10223300 A JP10223300 A JP 10223300A JP 22330098 A JP22330098 A JP 22330098A JP 2000054238 A JP2000054238 A JP 2000054238A
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lace
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water
twists
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English (en)
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Fumio Tanaka
二三夫 田中
Takeshi Bessho
武 別所
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KYODO KUMIAI CHUETSU LACE
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
KYODO KUMIAI CHUETSU LACE
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】スパンデックスなどを用いることなく、ストレ
ッチ性レース基布に追随する伸縮性が得られるストレッ
チエンフロイダリーレース用裏糸、これを用いたストレ
ッチエンブロイダリーレースの製造法を提供する。 【解決手段】(1) 100d以下の水溶性高分子糸を芯糸と
し、これに30〜100dの仮撚加工したポリエステルマルチ
フィラメント糸をダブルカバリングしたストレッチエン
ブロイダリーレース用裏糸。(2) ダブルカバリング時の
下撚糸の撚数が1000〜1800T/m 、上撚糸の撚数が600 〜
1200T/m であり、かつ撚係数((上撚数/下撚数)x100)が
55〜100 である前記の裏糸。(3) ストレッチ性を有する
レース基布に、表糸と水溶性高分子糸を有する裏糸を用
いて刺しゅうを施した後、該水溶性高分子糸を溶解除去
するストレッチエンブロイダリーレースの製造法におい
て、前記裏糸を用いるストレッチエンブロイダリーレー
スの製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ストレッチエンブ
ロイダリーレース用裏糸およびストレッチエンブロイダ
リーレースの製造法に関し、さらに詳しくは伸縮性レー
ス基布の刺しゅう糸として好適な、低コストで糸切れや
刺しゅうほつれが少なく、優れた染色堅牢度を有する、
スパンデックスなどの伸縮弾性糸を使用しないストレッ
チエンブロイダリーレース用裏糸およびこの裏糸を用い
た水着、インナーレース、アウターレース等に好適なス
トレッチエンブロイダリーレースの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】婦人用下着等に用いられるエンブロイダ
リーレースには、人体とのフィット性向上のために伸縮
性が要求されている。このため、従来のエンブロイダリ
ーレースでは、基布として例えばパワーネットの如き組
織の伸縮性経編地を用い、刺しゅう糸としては刺しゅう
加工時には伸縮性が抑制され、その後の染色加工時の処
理によって伸縮性が発現する糸が用いられている。これ
は、エンブロイダリーレースでは、2本の刺しゅう糸を
表糸と裏糸として用いてレース基布に本縫いすることに
よって模様が形成されるものであるが、その際、刺しゅ
う糸が伸縮性を有すると、本縫い時にループを形成させ
ることができないからである。このような刺しゅう糸と
して、特開昭54−106672号公報には、ゴム弾性
を有する糸を芯糸とし、これに水溶性高分子よりなる糸
を、インナーカバー糸、非水溶性繊維糸をアウターカバ
ー糸とし、ドラフト2〜3、回転数約8000回/分で
カバーリングして伸縮性を殺した糸が提案されている。
この糸はエンブロイダリー機に用いられて伸縮性基布に
模様を形成した後、水溶液中に浸漬され、水溶性高分子
糸が溶解除去されて糸の弾性が復元される。しかし、こ
の方法で得られる刺しゅう糸は、カバリング時における
ゴム弾性を有する糸のドラフトが2〜3であり、伸長さ
れているため、水溶性高分子糸を除去した後は、原状に
復して大幅な収縮を起こし、経緯方向に約45%収縮し
た凹凸の激しい刺しゅう布を形成し、美観の点で不十分
なものであった。
【0003】この欠点を解決する方法として、特公平2
−23622号公報には、ドラフト1で実寸が保持され
た伸縮弾性糸に水溶性繊維糸を引き揃えた集合糸に、非
水溶性繊維糸をカバリングした刺しゅう用糸が提案され
ている。この刺しゅう糸は、刺しゅう形成後に水溶性繊
維糸が溶解除去されても実寸を維持できるため、レース
基布の伸縮に対して優れた追随性を有する利点を有して
いる。しかし、伸縮弾性糸をドラフトすることなく水溶
性繊維糸を引き揃えた場合でも、伸縮弾性糸を全く張力
のない状態で取り扱うことは不可能であり、現実には伸
縮弾性糸にも若干の張力が加えられ、その張力による伸
びとその伸びの回復に伴う収縮が発生し、得られる糸の
表面にはビリ(撚り戻りで生じるループ状の突起)が多
数発生し、エンブロイダリー加工時に糸切れが発生し易
く、また刺しゅう時に裏糸と柄糸の絡み不良が生じやす
く目飛びやほつれが発生し易いという欠点があった。こ
の糸切れの発生をなくすため、特開平7−300731
号公報には、芯糸として配置した伸縮性糸に、水溶性の
非伸縮性糸をくさり編みで包み込むように構成したエン
ブロイダリーレース用複合刺しゅう糸が提案されてい
る。
【0004】しかしながら、上記従来の技術では、芯糸
としてスパンデックスなどの伸縮弾性糸が使用されてい
るため、製品コストが高くなるという大きな欠点があっ
た。また伸縮弾性糸の繊維径が太く、これをコップ(糸
を管状に巻いたもの)状に巻き取ると、その糸全長が短
くなり、刺しゅうほつれが発生し易いという欠点があっ
た。さらに、従来において非水溶性繊維糸を用いる場
合、該糸としては、スパンデックスなどの伸縮弾性糸と
の染色相性がよく、またインナーウエア用途に適した風
合いが得られるなどの観点から、一般にはポリアミド糸
が用いられており、ポリエステル糸はほとんど使用され
ていないというのが現状であった。これはポリエステル
糸が疎水性繊維であり、肌に馴染みにくい特性を有する
のに加え、ポリエステル糸とスパンデックスとの集合糸
を分散染料で染色すると、スパンデックスが分散染料に
汚染されて堅牢度が低下するという大きな問題があった
ためである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
従来技術の問題点を解決し、刺しゅう糸としてスパンデ
ックスなどの伸縮弾性糸を用いることなく、ストレッチ
性のレース基布に追随する伸縮性が得られ、また糸切れ
や刺しゅうほつれが少なく、かつ非水溶性繊維糸として
ポリエステル系繊維糸を用いてインナーウエア等に適し
た風合いを付与し、しかも製品コストの低減が可能なス
トレッチエンフロイダリーレース用裏糸およびこの裏糸
を用いたストレッチエンブロイダリーレースの製造法を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑み、鋭意検討した結果、水溶性高分子糸に仮撚加工
したポリエステルマルチフィラメント糸を特定の方法で
ダブルカバリングした裏糸を用いることにより、糸切れ
等のトラブルを生じることなくストレッチ性を有するレ
ース基布に刺しゅうを形成でき、該裏糸はレース基布の
伸縮に追随する伸縮性を有し、かつ製品コストの大幅な
低減と商品価値の向上が図れることを見いだし、本発明
に到達したものである。すなわち、本願で特許請求され
る発明は以下の通りである。
【0007】(1)100デニール以下の水溶性高分子
糸を芯糸とし、これに30〜100デニールの仮撚加工
したポリエステルマルチフィラメント糸をダブルカバリ
ングしたことを特徴とするストレッチエンブロイダリー
レース用裏糸。 (2)前記ダブルカバリング時の下撚糸の撚数が100
0〜1800T/m、上撚糸の撚数が600〜1200
T/mであり、かつ撚係数((上撚数/下撚数)×10
0)が55〜100であることを特徴とする(1)記載
のストレッチエンブロイダリーレース用裏糸。 (3)前記ダブルカバリング時の下撚糸の撚数が120
0〜1600T/m、上撚糸の撚数が800〜1100
T/mであり、かつ撚係数((上撚数/下撚数)×10
0)が60〜95であることを特徴とする(1)記載の
ストレッチエンブロイダリーレース用裏糸。
【0008】(4)前記ポリエステルマルチフィラメン
ト糸は、30℃における初期モジュラスが55g/d以
上の実質的にポリエチレンテレフタレートからなる繊維
であって、測定周波数110Hzにおける力学的損失正
接(tanδ)のピーク温度(Tmax)(℃)および
tanδのピーク値((tanδ)max)が、(ta
nδ)max≧0.01(Tmax−105)の関係を
満足し、かつ(tanδ)maxが0.08以上である
ことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のス
トレッチエンブロイダリーレース用裏糸。 (5)ストレッチ性を有するレース基布に、表糸と水溶
性高分子糸を有する裏糸を用いて刺しゅうを施した後、
該水溶性高分子糸を溶解除去するストレッチエンブロイ
ダリーレースの製造法において、前記裏糸として、
(1)〜(4)のいずれかに記載の裏糸を用いることを
特徴とするストレッチエンブロイダリーレースの製造
法。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明におけるストレッチエンブ
ロイダリーレース用裏糸は、100デニール以下、好ま
しくは30〜75デニールの水溶性高分子糸に、30〜
100デニール、好ましくは50〜75デニールの仮撚
加工したポリエステルマルチフィラメント糸をダブルカ
バリングした糸である。このような裏糸は、水溶性高分
子糸の存在により、仮撚糸の伸縮性が抑制され、刺しゅ
う時における裏糸と柄糸(表糸)との絡みが良好とな
り、また水溶性高分子糸を溶解した後には仮撚糸の捲縮
特性が発現し、ストレッチ性のレース基布に対する追随
性が良好となる。水溶性高分子糸としては、ポリビニル
アルコール、ポリ−β−アラニン、アルギン酸塩などか
らなる糸を用いることができる。水溶性高分子糸の繊度
が100デニールを超えると、水溶性高分子糸を溶解除
去する前後の糸の嵩変化が大きくなり、捲縮弾性を発現
したポリエステル裏糸の芯部の空洞化で裏糸の締めつけ
が弛み、安定性が悪く、ほつれ易くなる。仮撚加工した
ポリエステルマルチフィラメント糸の繊度が30デニー
ル未満では糸強度が不足し、75デニールを超えるとコ
ップに巻き上げた際の糸全長が短くなり、コップ交換頻
度が多くなり、刺しゅう効率が悪くなる。
【0010】本発明において、仮撚加工したポリエステ
ルマルチフィラメント糸のダブルカバリングの撚方向に
は特に制限はないが、下撚糸の撚方向をポリエステルマ
ルチフィラメント糸の仮撚方向と逆方向とし、上撚糸の
撚方向を下撚糸の撚方向と逆方向にするのが好ましい。
このようなダブルカバリング条件とすることにより、水
溶性高分子糸の溶解前の裏糸において、下撚糸のトルク
および伸縮性が大、上撚糸のトルクおよび伸縮性が小と
なり、上撚糸が下撚糸のビリ発生を抑制するため、撚糸
チーズ、コップ解舒時の撚り戻りが小さくなり、工程性
が良好となる。また該糸のコップ巻工程での巻取りが容
易となり、さらに水溶性高分子糸を溶解除去した後に捲
縮弾性が発現し易くなる。
【0011】ポリエステルマルチフィラメント糸のダブ
ルカバリング時の下撚糸および上撚糸の撚数ならびに上
撚数と下撚数の撚係数((上撚数/下撚数)×100)
は、それぞれ1000〜1800T/m、600〜12
00T/m、55〜100の範囲が好ましい。このよう
な撚り条件とすることにより、ビリの発生やコップ巻工
程時の糸切れがなく、巻取り後のコップ形状が良好とな
り、さらに刺しゅう時の糸切れや糸詰まりをなくすこと
ができる。より好ましい下撚糸および上撚糸の撚数はそ
れぞれ1200〜1600T/m、800〜1200T
/mであり、より好ましい撚係数は60〜95である。
【0012】本発明において、仮撚加工したポリエステ
ルマルチフィラメント糸としては、ポリエステルとして
の高い力学的特性を得る点、および常温常圧での染色が
可能で、優れた染色堅牢度が得られる点から、30℃に
おける初期モジュラスが55g/d以上である実質的に
ポリエチレンテレフタレートからなる繊維であって、測
定周波数110Hzにおける力学的損失正接(tan
δ)のピーク温度(Tmax)(℃)とtanδのピー
ク値((tanδ)max)が、(tanδ)max≧
0.01(Tmax−105)の関係を満足し、かつ
(tanδ)maxが0.08以上である、非晶領域の
構造を有するポリエステル仮撚加工糸が好ましい。
【0013】このような常圧可染ポリエチレンテレフタ
レート仮撚加工糸は、特公昭61−36101号公報に
詳しく記載されているように、例えば、仮撚加工前のポ
リエチレンテレフタレートからなる原糸を4000m/
分以上で高速紡糸し、高温下で短時間乾熱処理すること
により得られる。このポリエステル仮撚加工糸の市販品
としては、旭化成工業社製、商品名テックウーリーエミ
ング等が挙げられる。
【0014】本発明において、ストレッチエンブロイダ
リーレースは、ストレッチ性を有するレース基布に、表
糸(柄糸)と、上述した水溶性高分子糸に2本のポリエ
ステル仮撚加工糸を特殊ダブルカバリングして得られた
裏糸とを用いて刺しゅうを施した後、水溶性高分子糸を
溶解除去することにより製造される。ストレッチ性を有
するレース基布としては、織物、編物のいずれであって
もよく、例えば、経緯方向に伸縮性をもつスパンデック
スコアヤーンを用いた織物や、ポリウレタン弾性糸を他
の繊維糸と組み合わせた経編地、丸編地などの編地が挙
げられる。またいわゆるジャージやトリコットのような
一方向のみにより大きな伸縮性を持つ編地も使用可能で
ある。
【0015】ストレッチ性を有するレース基布に刺しゅ
うを施す際には、該基布の伸縮性を一時的に固定するた
め、ポリビニルアルコール系などの水溶性繊維からなる
織物や編地を接着剤を使用してまたは使用せずに重ね合
わせて使用される。表糸としては特に制限はなく、レー
ヨン、ナイロン、テトロン、ウール、シルク等どの糸が
用いられるが、レース基布の伸縮に対する追随性を得る
点から、上述した常圧可染可能なポリエステル仮撚加工
糸を用いるのが好ましい。例えば、75〜200デニー
ルのポリエステル仮撚加工糸の追撚糸または光沢のある
低捲縮仮撚加工糸の追撚糸が用いられる。このときの追
撚数は400T/m以下とするのが好ましく、また必要
に応じてスチームセットで撚糸トルクを低下させてビリ
の発生を防いでもよい。
【0016】一時的に伸縮性が固定されたレース基布
に、刺しゅう糸として表糸および上記の伸縮性が一時的
に固定された裏糸を用いてエンブロイダリー機により刺
しゅうを施し、その後、これを水系溶剤に浸漬し、伸縮
性の固定に使用した水溶性繊維からなる布帛や水溶性高
分子糸を溶解除去することによって、レース基布の弾性
が復元され、またダブルカバリングしたポリエステル仮
撚加工糸の捲縮およびトルクが発現し、裏糸にレース基
布の弾性に追随した伸縮性が付与される。
【0017】このように、本発明における裏糸は、スパ
ンデックスなどの伸縮弾性糸を含んでいないにもかかわ
らず、2本のダブルカバリングされたポリエステル仮撚
加工糸が、ダブルカバリング時の撚方向、さらには撚数
および撚係数が適切な条件で選定されているため、芯糸
である水溶性高分子糸が溶解除去されると、捲縮および
トルクの発現により伸縮糸としての機能を発揮すること
ができる。また本発明における裏糸のポリエステル糸と
して、高速紡糸されたポリエステル仮撚加工糸を用いる
ことにより、常温常圧染めが可能となり、風合いおよび
染色堅牢度が向上し、商品価値の大幅な向上を図ること
ができる。
【0018】なお、本発明における裏糸と同様の構成
で、ポリエステル糸の代わりにポリアミド糸を使用した
場合には、刺しゅう製品の洗濯による寸法安定性が悪
く、また刺しゅう柄の大きいものや連続柄とした場合に
シワが発生するため、小さい柄の刺しゅう製品しか得る
ことができない。これは、ナイロン加工糸の捲縮性が強
すぎることやポリアミド糸の収縮特性が原因であると推
定される。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明する。なお、例中の各特性は下記の方法で測定した。 (1) 撚糸伸びA:水溶性ビニロン溶解前の裏糸の伸び
(実施例1〜8、比較例1、2)または特殊双糸撚糸の
伸び(比較例3〜6) カバリング糸を枠周100cmで10周の綛にして5g
荷重を掛けて綛長測定(a)を測定し、次に200g荷
重で綛長測定(b)して下記の式により伸び率を算出し
た。 伸長率(%)=[(b-a)/a] ×100 (2) 撚糸伸びB:水溶性ビニロン溶解後の裏糸の伸び
(実施例1〜8、比較例1、2)または上記溶解処理と
同様の処理した後の特殊双糸撚糸の伸び(比較例3〜
6) カバリング糸を枠周100cmで10周の綛にし、これ
を80℃の温水に10分間浸漬し、これを2回繰り返し
て水溶性ビニロンを溶解した後、ボイル30分リラック
ス処理した後、自然乾燥した。このカバリング糸に5g
荷重を掛けて綛長測定(a)を測定し、次に200g荷
重で綛長測定(b)した後、荷重を除いて30分放置し
てからさらに5g荷重を掛けて綛長測定(c)を測定
し、下記の式により伸長率と回復率を算出した。 伸長率(%):[(b-a)/a] ×100 回復率(%):[(b-c)/(b-a)] ×100
【0020】(3) 撚り戻り(ビリ発生):カバリング糸
を糸巻チーズから解舒したときの撚糸トルクによる糸の
捻じれ(ビリ)を肉眼判定し、下記の基準で評価した。 ×:ビリが強く容易にビリが消えない。 △:ビリは発生するが張力付与装置などで容易に取れ
る。 ○:ビリは発生するがチーズ解舒走行中はビリ発生はな
い。 ◎:ビリ発生がない。 (4) コップ巻工程性:裏糸をコップ状に巻き取る工程で
の糸切れおよびコップ形状を観察し、次の基準でそれぞ
れ評価した。 (糸切れ)×:コップ形成中に糸切れが多発する。 ○:糸切れが時々発生する。 ◎:糸切れ発生は非常に少ない。 (コップ形状)×:コップの形崩れで解舒不良が発生する。 ○:やや形状崩れがあるが、解舒不良は発生なし。 ◎:形状崩れ、解舒ともに問題なし。 (5) 刺しゅう性:エンブロイダリー機でレース地に刺し
ゅうした際の糸切れ、詰まりを観察し、下記のように評
価した。 ×:撚り戻りやコップ形状崩れによる糸詰まりが多発す
る。 ○:時々糸詰まりが発生する。 ◎:糸詰まりなし。 (6) レース伸び率(%):長さ20cm、幅5cmのサン
プルに2.25kgf荷重をかけたときのサンプルの伸
び率を算出した。
【0021】実施例1〜8および比較例1〜6 スパンデックス140dとポリエステル仮撚加工糸TE
C33d/12f(旭化成工業社製)をチュール地に経
編みしたパワーネットをレース基布とし、このレース基
布に水溶性ビニロン生地を重ね合わせて枠に固定し、下
記の柄糸および裏糸を用いてエンブロイダリー機により
とび柄(中越レースの柄番B33544)の刺しゅうを
形成した。なお、レース基布のスパンデックス混率は2
3%であり、仕上がり密度は、コース57/in、ウエ
ル50/inであった。
【0022】i)柄糸:ポリエステル仮撚加工糸TEC
150d/48f(旭化成工業社製、低捲縮仮撚糸)を
150T/mでz追撚りした。 ii) 裏糸(実施例1〜8、比較例1、2):巻付け糸に
ポリエステルz加撚仮撚糸TEC50d/24fを、芯
糸に水溶性ビニロン糸56dを用い、ダルブカバリング
条件を表1のように変化させてそれぞれカバリングし
た。撚後のスチームセットは無し。 iii)裏糸(比較例3〜6):ポリエステル仮撚加工糸T
EC150d/48fに下撚を施した後に上撚糸(同仮
撚加工糸)をカバリングした特殊双糸撚糸。得られたそ
れぞれの刺しゅう品を175℃で40秒間プレセットし
た後、80℃の温水に10分浸漬し、これを2回繰り返
し、水溶性ビニロンを溶解した後、120℃以下の温度
で染色し、80℃で還元洗浄し、さらに130〜140
℃で40秒ファイナルセットしてストレッチエンブロイ
ダリーレースを得た。各裏糸(撚糸)の水溶性ビニロン
溶解前後の伸び特性、ビリの発生、コップ巻工程性、刺
しゅう性および刺しゅう品の伸び率を評価または測定
し、その結果を表2に示した。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】表1および表2から、本発明の裏糸は、水
溶性ビニロン溶解前の伸長率が小さく、また撚り戻り
(ビリ発生)が少ないため、コップ巻工程における糸切
れが少なく、コップ形状性に優れ、かつ刺しゅう形成時
の糸切れや詰まりが少ないことが示される。また水溶性
ビニロンを溶解した後の裏糸には優れた伸縮性と回復率
が発現し、レース品の伸縮に追随した伸縮性が得られる
ことが確認できた。さらに得られたレース製品は、刺し
ゅう部分が軟らかく、肌に馴染みやすい風合いを保持し
ていた。これに対し、比較例1および2では、ダブルカ
バリング時の下撚数および上撚数の選定が不適切であ
り、ビリの発生や糸切れ等が発生し、製造トラブルが多
く発生した。また水溶性ビニロンを使用しない比較例3
〜6では、裏糸の伸縮性が大きく刺しゅう時の裏糸と柄
糸の絡みが形成できず、目飛びし、ほつれが多発した。
【0026】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、刺しゅう糸と
してスパンテックスなどの伸縮弾性糸を用いることな
く、ストレッチ性基布の伸縮に対して優れた追随性を有
する刺しゅうを形成することができるため、製品コスト
の大幅な低減が図れる。請求項2または請求項3の発明
によれば、ダブルカバリングの条件が適切に選定されて
いるため、上記効果に加え、ビリの発生やコップ巻工程
時の糸切れがなく、コップ形状が良好となり、また刺し
ゅう時の糸切れや糸詰まりも防止でき、ストレッチエン
ブロイダリーレースの製造が容易となる。請求項4の発
明によれば、上記効果に加え、常圧可染可能なポリエス
テル仮撚加工糸を用いているため、風合いおよび染色堅
牢度に優れた刺しゅう品が得られる。請求項5の発明に
よれば、刺しゅう糸としてスパンデックスなどの伸縮弾
性糸を用いる必要がなく、また製造トラブルを生じるこ
とがないため、低価格のストレッチエンブロイダリーレ
ースを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D06M 11/01 D06M 9/02 Z Fターム(参考) 4L031 AA16 AB04 AB36 BA09 CA15 DA01 4L036 MA04 MA05 MA33 MA39 PA21 PA46 UA01 UA06 UA16 UA21 4L044 BA08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 100デニール以下の水溶性高分子糸を
    芯糸とし、これに30〜100デニールの仮撚加工した
    ポリエステルマルチフィラメント糸をダブルカバリング
    したことを特徴とするストレッチエンブロイダリーレー
    ス用裏糸。
  2. 【請求項2】 前記ダブルカバリング時の下撚糸の撚数
    が1000〜1800T/m、上撚糸の撚数が600〜
    1200T/mであり、かつ撚係数((上撚数/下撚
    数)×100)が55〜100であることを特徴とする
    請求項1記載のストレッチエンブロイダリーレース用裏
    糸。
  3. 【請求項3】 前記ダブルカバリング時の下撚糸の撚数
    が1200〜1600T/m、上撚糸の撚数が800〜
    1100T/mであり、かつ撚係数((上撚数/下撚
    数)×100)が60〜95であることを特徴とする請
    求項1記載のストレッチエンブロイダリーレース用裏
    糸。
  4. 【請求項4】 前記ポリエステルマルチフィラメント糸
    は、30℃における初期モジュラスが55g/d以上の
    実質的にポリエチレンテレフタレートからなる繊維であ
    って、測定周波数110Hzにおける力学的損失正接
    (tanδ)のピーク温度(Tmax)(℃)およびt
    anδのピーク値((tanδ)max)が、(tan
    δ)max≧0.01(Tmax−105)の関係を満
    足し、かつ(tanδ)maxが0.08以上であるこ
    とを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のス
    トレッチエンブロイダリーレース用裏糸。
  5. 【請求項5】 ストレッチ性を有するレース基布に、表
    糸と水溶性高分子糸を有する裏糸を用いて刺しゅうを施
    した後、該水溶性高分子糸を溶解除去するストレッチエ
    ンブロイダリーレースの製造法において、前記裏糸とし
    て、請求項1ないし4のいずれかに記載の裏糸を用いる
    ことを特徴とするストレッチエンブロイダリーレースの
    製造法。
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JP2010095806A (ja) * 2008-10-14 2010-04-30 Mitsubishi Rayon Textile Co Ltd ストレッチレース基布用加工糸とその加工糸の製造方法
JP2022104847A (ja) * 2020-12-30 2022-07-12 武藤株式会社 複合糸、及びその糸を用いた織編物

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