JP2000050794A - 食品用油脂組成物及びこれを用いた食肉加工用ピックル液 - Google Patents

食品用油脂組成物及びこれを用いた食肉加工用ピックル液

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JP2000050794A
JP2000050794A JP10221458A JP22145898A JP2000050794A JP 2000050794 A JP2000050794 A JP 2000050794A JP 10221458 A JP10221458 A JP 10221458A JP 22145898 A JP22145898 A JP 22145898A JP 2000050794 A JP2000050794 A JP 2000050794A
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Ichiro Nakamura
一郎 中村
Shigeru Ashida
茂 芦田
Masahisa Ibuki
昌久 伊吹
Toshimasa Kawamata
俊正 川俣
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 食肉、特に脂肪分の少ない食肉を、肉らしい
食感と十分なジューシー感が両立するように改質するた
めの熱凝固性蛋白含有高油分O/W型エマルジョンピッ
クル液、この高油分O/W型エマルジョンピックル液調
製に特に適した食品用油脂組成物、及び上記高油分O/
W型エマルジョンピックル液を用いた食肉製品の製造方
法を提供すること。 【解決手段】 トリグリセリド組成においてSOS
(1,3位飽和、2位オレイルグリセリド)を1.0〜
10重量%含有する食用油脂と不飽和ジグリセリン脂肪
酸エステルと有機酸モノグリセリドとからなる食品用油
脂組成物を40〜65%含む、熱凝固性蛋白含有高油分
O/W型ピックル液を食肉中に含ませた後、解乳化させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品用油脂組成
物、この油脂組成物を用いた食肉加工用ピックル液及び
この食肉加工用ピックル液を用いた食肉製品の製造法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、食肉の色調改善、食味改善、
保存性向上等の目的で、食塩、硝酸塩、亜硝酸塩、リン
酸塩、調味料、ゲル化剤、熱凝固性蛋白、油脂等を含む
ピックル液を、食肉中に含浸させるか、あるいは強制注
入(インジェクション)する方法が行われている。特に
脂肪分の少ない食肉に対して、粉末油脂、液状油、固形
脂等を多めに配合し、食肉にある程度のジューシー感を
与えることが知られていた。
【0003】食肉に最もよくジューシー感を発現させる
ためには、ピックル液と油脂とを乳化させることなく分
散液のまま食肉中へインジェクションする方法がよいこ
とも知見として得られている。しかしながら、この方法
によって得られる食肉製品は、肉らしい歯ごたえに乏し
い欠点がある他、冷凍や加熱によって、インジェクショ
ンした油脂や水分がドリップとして肉外に流出しやす
く、歩留の低下が生じたり、肉原料によっては却ってボ
ソボソしたものとなるなど、食感の低下が起こるという
問題があることも知られていた。
【0004】これに対して、肉らしい歯ごたえとジュー
シー感の両立を課題として種々の検討が行われている。
例えば、熱凝固性蛋白を用い、O/W型(水中油型)エ
マルジョンを調製し食肉中に含浸させた後、該食肉に低
温処理を施すことにより、解乳化を誘発させ、肉らしい
歯ごたえとジューシー感を両立できることが知られてい
る(特開平9−266769号公報)。ここで、解乳化
とはO/W型エマルジョンとして乳化している油滴中の
油脂が結晶化し、凝集し水と油脂が分離した状態とな
り、乳化状態が壊れる、または壊す現象である。
【0005】他方、O/W型エマルジョンを作成する方
法として、不飽和ジグリセリン脂肪酸エステルを0.2
重量%以上含有する油脂を水中に添加し、自然乳化させ
る方法が知られている(特開平8−149950号公
報)。この方法はホモジナイザーやコロイドミル等の高
性能の乳化機を用いる必要がなく、容易にO/W型エマ
ルジョンを作製できる方法である。
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】最近、特に脂肪分の
少ない食肉に対して、ジューシー感の程度を一層高める
ことが期待されてきており、食肉中に油脂をより多く含
浸させるための手法の開発が望まれている。その手法と
しては、食肉に対して含浸させるO/W型エマルジョン
ピックル液の総量を増加させる方法と、食肉に対して含
浸させるO/W型エマルジョンピックル液の油分を増加
させる方法の2つの方法が考えられる。しかし、油分が
20〜40重量%の従来から用いられているO/W型エ
マルジョンピックル液を使用して、食肉への油脂の含浸
量を増大させるという前者の方法では、含浸される水分
量も増大し、製品の食感が柔らかくなりすぎたり、水っ
ぽくなってしまう問題があり、この点から後者の方法が
有効といえる。しかし、従来方法により作製された油脂
組成物を用いて調製した高油分O/W型エマルジョンピ
ックル液では十分な乳化安定性が得られず、食肉に該ピ
ックル液を含浸させる工程で乳化が壊れてしまい、却っ
て食肉中への油脂の含浸量が低下するという問題があ
る。
【0007】例えば、上記特開平8−149950号公
報記載の方法は、加温した条件下で乳化させる従来の方
法と比較して、低温条件下でO/W型エマルジョンを作
製することができることから、低温での作業が必要とさ
れる食肉加工の分野においては有効な方法といえるが、
この方法のように、不飽和ジグリセリン脂肪酸エステル
単独を含有する油脂からなる油脂組成物を用いて調製し
た、油脂含量が40%を超える高油分のO/W型エマル
ジョンピックル液では、十分な乳化安定性が得られない
という問題がある。さらに、油脂中の不飽和ジグリセリ
ン脂肪酸エステルの含量が高い場合には、熱凝固性蛋白
を用いた高油分エマルジョンピックル液の調製に際し
て、熱凝固性蛋白と不飽和ジグリセリン脂肪酸エステル
とが相互作用し、乳化が壊れてしまうという問題があ
る。
【0008】本発明の課題は、食肉、特に脂肪分の少な
い食肉を、肉らしい食感と十分なジューシー感が両立す
るように改質するための熱凝固性蛋白含有高油分O/W
型エマルジョンピックル液、この高油分O/W型エマル
ジョンピックル液調製に特に適した食品用油脂組成物、
及び上記高油分O/W型エマルジョンピックル液を用い
た食肉製品の製造方法を提供することにある。
【0009】
【発明を解決する手段】本発明者らは、上記のように、
肉らしい歯ごたえとジューシー感を両立させることがで
きる、熱凝固性蛋白を用いる高油分のO/W型エマルジ
ョンピックル液について種々の検討を行う中で、食肉中
に効率良く高含量の油脂を含浸させ、十分なジューシー
感を発現させるためには、使用する油脂組成物における
食用油脂の選択、乳化剤の選択及びその組み合わせ等が
重要であり、特に不飽和ジグリセリン脂肪酸エステルの
自己乳化性能、乳化力を維持しつつ、その油脂中の含量
を、熱凝固性蛋白と相互作用しないレベルまで低減させ
る必要があるとの知見を得て、この発明を完成するに至
った。
【0010】すなわち本発明は、食用油脂と不飽和ジグ
リセリン脂肪酸エステルと有機酸モノグリセリドとを含
有することを特徴とする食品用油脂組成物や、有機酸モ
ノグリセリドとしてその構成有機酸がコハク酸又はクエ
ン酸である有機酸モノグリセリドを用いることを特徴と
する上記食品用油脂組成物や、食用油脂がトリグリセリ
ド組成においてSOS(1,3位飽和、2位オレイルグ
リセリド)を1.0〜10重量%含有する食用油脂であ
ることを特徴とする上記食品用油脂組成物に関する。
【0011】また本発明は、上記のいずれか記載の食品
用油脂組成物と熱凝固性蛋白とを含有することを特徴と
する食肉加工用ピックル液、好ましくは食品用油脂組成
物を40〜65重量%含有することを特徴とする食肉加
工用ピックル液や、この食肉加工用ピックル液を食肉中
に含ませた後、解乳化させることを特徴とする食肉製品
の製造法に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明における食用油脂として
は、O/W型エマルジョンとして用いた後、解乳化によ
り、食肉にジューシー感を付与できるものであればどの
ようなものでもよく、例えば、菜種油、大豆油、サフラ
ワー油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油等の天然
物の単独油脂、これら単独油脂のエステル交換や分別等
による加工油脂、またはそれらを混合した調合油脂を挙
げることができる。また本発明において、解乳化とは、
O/W型エマルジョンとして乳化している油滴中の油脂
が結晶化し、凝集し水と油脂が分離した状態となり、乳
化状態が壊れる、または壊す現象をいう。
【0013】上記食用油脂の中でも、トリグリセライド
組成において1,3位飽和2位オレイルグリセリド(以
下「SOS」という)を1.0〜10重量%含有するも
のが好ましい。熱凝固性蛋白を用いた油分20〜40重
量%のピックル液にあっては、食肉中に含浸したエマル
ジョンが温度処理によって粗大な結晶を生成し、蛋白の
解乳化防止作用に抗して解乳化するためにはSOSが5
重量%以上含まれていることが必要であるが、油分が4
0〜65重量%である高油分エマルジョンピックル液に
おいては、高油分であるために解乳化が容易に誘発され
る結果、食用油脂のSOS含量は比較的少量でよい。し
かし、SOSが1.0重量%未満であると、エマルジョ
ンを食肉中に含浸後冷凍温度域のような低温に保持して
も、蛋白の解乳化防止作用に抗して解乳化が困難な場合
があり、ジューシー感の発現の効果が低くなることがあ
る。他方、SOSが10重量%を超えると、衛生上の観
点からエマルジョンを食肉中に含浸させる工程を低温
(15℃以下)で行う場合に、エマルジョンの乳化安定
性が低下し、あるいはエマルジョンの粘度が高くなり、
食肉への浸透が困難になることがある。
【0014】本発明における不飽和ジグリセリン脂肪酸
エステルとは、ジグリセリンと脂肪酸がエステル結合し
たものをいい、この不飽和ジグリセリン脂肪酸エステル
における構成脂肪酸としては、炭素数8〜22、好まし
くは炭素数16〜22の不飽和脂肪酸の単独又は混合物
を挙げることができる。この不飽和ジグリセリン脂肪酸
エステルを含有する食用油脂は水に滴下するだけで自然
乳化する自己乳化能を有するため、非常に容易にO/W
型エマルジョンを形成できる。
【0015】本発明における有機酸モノグリセリドと
は、モノグリセリドと有機酸がエステル結合したものを
いい、この有機酸モノグリセリドにおける構成脂肪酸と
しては、炭素数8〜22の飽和又は不飽和脂肪酸、好ま
しくは炭素数16〜22の飽和脂肪酸の単独又は混合物
を挙げることができる。また、この有機酸モノグリセリ
ドにおける構成有機酸としては、コハク酸、クエン酸、
酢酸、乳酸等を例示することができるが、O/W型エマ
ルジョンの高乳化能力の点からコハク酸やクエン酸が好
ましい。
【0016】本発明の食品用油脂組成物、特に高油分O
/W型エマルジョンピックル液用として適した食品用油
脂組成物は、食用油脂と不飽和ジグリセリン脂肪酸エス
テルと有機酸モノグリセリドとを含有することが必要で
ある。かかる本発明の食品用油脂組成物においては、不
飽和ジグリセリン脂肪酸エステル及び有機酸モノグリセ
リドを、食用油脂に対してそれぞれ0.2〜4.0重量
%併用して含有させることが望ましい。食用油脂に対し
て少なくともいずれかが0.2重量%未満の油脂組成物
を用いた高油分O/W型エマルジョンはその乳化安定性
が低くなり、エマルジョンを食肉中に効率良く含浸させ
ることが困難となる場合がある。また、いずれも食用油
脂に対して4.0重量%を超える食用油脂組成物を用い
た高油分O/W型エマルジョンは、それを食肉に含浸さ
せた場合、0.2〜4.0重量%併用した場合に比べ
て、製品の風味が低下する傾向にある。特に、4.0重
量%を超える不飽和ジグリセリン脂肪酸エステルを含有
する食用油脂組成物と熱凝固性蛋白とを用いて高油分O
/W型エマルジョンピックル液を調製する際、不飽和ジ
グリセリン脂肪酸エステルと熱凝固性蛋白が相互作用
し、固形分の凝集が起こり、O/W型エマルジョンが壊
れてしまうことがある。
【0017】本発明の食肉加工用ピックル液、特に高油
分O/W型エマルジョンピックル液は、上記食品用油脂
組成物と熱凝固性蛋白とを含有することが必要である。
また、本発明の食肉加工用ピックル液には、所望により
公知の添加剤、例えばグリセリン脂肪酸エステル、蔗糖
脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレ
ングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エ
ステル、レシチン等の乳化剤、公知のピックル液成分、
例えば食塩、砂糖、硝酸塩、亜硝酸塩、その他の調味
料、香辛料などを添加することができる。
【0018】本発明の食肉加工用ピックル液に用いられ
る熱凝固性蛋白としては、加熱により凝固する性質を有
する蛋白であればどのようなものでもよいが、大豆蛋白
や卵白が特に好ましい。この熱凝固性蛋白の配合量は適
宜選択することができるが、ふつうピックル液の1〜5
重量%程度配合される。この熱凝固性蛋白を欠くピック
ル液を含浸させた食肉は、肉らしい歯ごたえに乏しく、
加熱や凍結でドリップが生じ、歩留が悪く、結果的に満
足できるジューシー感を付与することができない。
【0019】本発明の食肉加工用ピックル液に用いられ
る食品用油脂組成物の配合量は、食肉の脂肪分の多寡に
よって適宜選択することができるが、食肉の中でも脂肪
分の少ない食肉に優れたジューシー感を付与するには、
油脂組成物(油分)を40〜65重量%含有させ、高油
分O/W型エマルジョンピックル液として用いることが
望ましい。油分40重量%未満のピックル液を用いて、
脂肪分の少ない食肉にジューシー感を発現させようとす
ると、十分な量の油脂を含浸させる必要から、用いるピ
ックル液の量が多くなり、含浸される水分量も増大し、
食肉製品の食感が柔らかくなりすぎたり、水っぽくなっ
てしまう。他方、油分65重量%を超えるピックル液を
用いた場合、O/W型エマルジョンが転層してW/O型
エマルジョンになってしまうことがある。W/O型エマ
ルジョンは、例えば漬け込み法(長時間浸漬槽などに静
置する方法、混合による方法、マッサージ法、タンブリ
ング法)による食肉中への含浸効率が低下するばかりで
なく、強制注入(インジェクション)法による場合で
も、O/W型エマルジョンに比べてジューシー感がかな
り低下してしまう。
【0020】本発明の食肉加工用ピックル液の調製は公
知の方法で行うことができる。例えば、5〜20℃の水
に熱凝固性蛋白を溶解させた後、所定量の、食用油脂と
不飽和ジグリセリン脂肪酸エステルと有機酸モノグリセ
リドとを含有する油脂組成物を混合し、攪拌することで
調製することができる。ここで用いられる攪拌機として
は、プロペラ式攪拌機やホモミキサーなどが挙げられる
が、均一なエマルジョンを調製するためには高速回転
(3000rpm以上)の乳化機を使用することが望ま
しい。また、必要に応じてリン酸塩、調味料、香辛料な
どをO/W型エマルジョン組成物を調製した後に添加す
ることも可能である。
【0021】
【実施例】以下に実施例等によって本発明をさらに詳細
に説明するが、これら実施例等は何ら本発明の技術的範
囲を限定するものではない。 〔実験例1〕菜種白絞油85重量部とパームスーパーオ
レイン「パームエース」(不二製油株式会社製)15重
量部を混合した食用油脂100重量部に対し、表1に示
された配合量(重量部)の不飽和ジグリセリン脂肪酸エ
ステルと有機酸モノグリセリドとを添加し溶解して油脂
組成物〜を作製した。不飽和ジグリセリン脂肪酸エ
ステルとして、ジグリセリンモノオレート(理研ビタミ
ン株式会社製:ポエムDO−100)とジグリセリンモ
ノステアレート(理研ビタミン株式会社製:ポエムDS
−100)を用い、有機酸モノグリセリドとして、コハ
ク酸モノステアリン酸グリセリン(花王株式会社製:ス
テップSS)とクエン酸モノステアリン酸グリセリン
(太陽化学株式会社製:サンソフト621B)とジアセ
チル酒石酸モノステアリン酸グリセリン(太陽化学株式
会社製:サンソフト641D)を用いた。
【0022】
【表1】
【0023】これらの油脂組成物〜を用い、以下の
手順で高油分O/W型エマルジョンピックル液〜を
調製した。5℃の冷水50重量部を、プロペラで250
rpmで攪拌しながら、熱凝固性蛋白「サンラバー5
0」(不二製油株式会社製)2重量部を溶解し、続いて
油脂組成物46重量部を加え、3分間攪拌した。次にト
リポリリン酸ナトリウム(第一化成株式会社製)0.6
重量部、ピロリン酸四ナトリウム(第一化成株式会社
製)0.6重量部、食塩0.6重量部、グルタミン酸ナ
トリウム0.2重量部を添加して10分間攪拌しピック
ル液とした。次に、一片の重量を20〜30gにカッテ
ィングしたブロイラーの胸肉1000gに対して調製し
たピックル液300gを加えて、タンブラー(ヒガシモ
トキカイ株式会社製)で浸漬を行った。このときの条件
は5℃で、12rpm、3時間であった。浸漬後の胸肉
表面のピックル液の様子を観察し、エマルジョンの安定
性、作業効率から評価判定を行った。
【0024】ピックル液の場合、乳化状態は良好で、
肉中への含浸程度も非常に優れていた。ピックル液の
場合、乳化状態が壊れて、肉中への含浸程度が低かっ
た。ピックル液の場合、乳化安定性が低く、肉中への
含浸程度がやや低かった。ピックル液の場合も、乳化
安定性が低く、肉中への含浸程度がやや低かった。ピッ
クル液の場合、ピックル液の場合と同様に、乳化状
態は良好で、肉中への含浸程度も非常に優れていた。ピ
ックル液の場合、乳化状態はピックル液との場合
よりは劣っていたが、ピックル液〜の場合より優れ
ていた。ピックル液の場合、ピックル液調製直後に凝
集が生じ、乳化破壊が生じた。ピックル液の場合、乳
化状態は良好であったが、高粘度のため肉中への含浸程
度は低かった。
【0025】上記評価結果から、この実験においては、
不飽和ジグリセリン脂肪酸エステルとしてはジグリセリ
ンモノオレートが好ましく、有機酸モノグリセリドとし
てはその構成有機酸がコハク酸又はクエン酸である有機
酸モノグリセリドが好ましく、また、これらを組み合わ
せたものが特に好ましいことがわかった。さらに、不飽
和ジグリセリン脂肪酸エステル及び有機酸モノグリセリ
ドを、食用油脂に対してそれぞれ0.2〜4.0重量%
併用して含有させることが望ましいことがわかった。
【0026】〔実施例1〕菜種白絞油50重量部とパー
ムスーパーオレイン「パームエース」(不二製油株式会
社製)50重量部を混合して得られるSOS含有量5.
8重量%の食用油脂100重量部に対して、ジグリセリ
ンモノオレート(理研ビタミン株式会社製:ポエムDO
−100)2重量部及びコハク酸モノステアリン酸グリ
セリン(株式会社花王製:ステップSS)1重量部を溶
解し油脂組成物を作製した。この油脂組成物を用い、実
験例1と同様にして高油分O/W型エマルジョンピック
ル液を調製した。ただし、攪拌はホモミキサー(トクシ
ュキカコウギョウ株式会社製)を用い、8000rpm
にて行った。調製したピックル液を用い、実験例1と同
様にしてブロイラーの胸肉の浸漬を行った。浸漬後、得
られた食肉加工品に、市販されている唐揚げ粉(理研ビ
タミン株式会社製)をまぶし、170℃で3分間フライ
した。これらをショックフリーザーで−25℃に急速凍
結し、一晩凍結保存し、オーブン(250℃、8分間)
で再加熱したものについて、官能評価を行ったところ、
優れたジューシー感を呈していた。また、浸漬後の食肉
について乳化状態を調べたところ、解乳化が生じてい
た。
【0027】〔実施例2〕実施例1で使用した食用油脂
の代わりに、SOS含有量0.3重量%の菜種白絞油1
00重量部を使用した他は実施例1と同様にして高油分
O/W型エマルジョンピックル液を調製した。また、同
様に、ブロイラーの胸肉を浸漬して得た食肉加工品につ
いて官能評価を行ったところ、ジューシー感を呈してい
た。また、浸漬後の食肉について解乳化の程度を調べた
ところ、実施例1のものに比べて多少その程度が低かっ
たものの、解乳化が進んでいた。
【0028】〔実施例3〜6〕菜種白絞油85重量部と
パームスーパーオレイン「パームエース」(不二製油株
式会社製)15重量部を混合した食用油脂100重量部
に対して、ジグリセリンモノオレート(理研ビタミン株
式会社製:ポエムDO−100)2重量部及びコハク酸
モノステアリン酸グリセリン(株式会社花王製:ステッ
プSS)1重量部を溶解し油脂組成物を作製した。この
油脂組成物を用い、表2の配合にて油分46重量%(実
施例3)、61重量%(実施例4)、26重量%(実施
例5)及び71重量%(実施例6)の各O/W型エマル
ジョンピックル液を調製した。
【0029】
【表2】
【0030】これらO/W型エマルジョンピックル液の
調製は次のように行った。5℃の冷水に、油脂組成物に
対して0.3重量%の酵素処理レシチン(太陽化学株式
会社製:サンレシチンA)を溶解し、次いで熱凝固性蛋
白「サンラバー50」(不二製油株式会社製)を溶解
し、続いて油脂組成物を加え、ホモミキサー(トクシュ
キカコウギョウ株式会社製)を使用して8000rp
m、3分間攪拌した。次にトリポリリン酸ナトリウム
(第一化成株式会社製)、ピロリン酸四ナトリウム(第
一化成株式会社製)、食塩、グルタミン酸ナトリウムを
添加し10分間同様に攪拌しピックル液とした。
【0031】次に、一片の重量を20〜30gにカッテ
ィングしたブロイラーの胸肉1000gに対してそれぞ
れ調製したピックル液300gを加えて、タンブラー
(ヒガシモトキカイ株式会社製)で浸漬を行った。この
時の条件は5℃で、12rpm、3時間であった。浸漬
後、得られた食肉加工品に、市販されている唐揚げ粉
(理研ビタミン社製)をまぶし、170℃で3分間フラ
イした。これらをショックフリーザーで−25℃に急速
凍結し、一晩凍結保存し、オーブン(250℃、8分
間)で再加熱し官能評価を行った。
【0032】その結果、油分46重量%(実施例3)の
O/W型エマルジョンピックル液の場合は優れたジュー
シー感を呈し、油分61重量%(実施例4)のO/W型
エマルジョンピックル液の場合は非常に優れたジューシ
ー感を呈した。また、油分26重量%(実施例5)及び
71重量%(実施例6)のO/W型エマルジョンピック
ル液の場合、ジューシーさは感じられるものの、実施例
3及び4の場合と比べると劣っていた。これらのことか
ら、O/W型エマルジョンピックル液の油分は40〜6
5重量部が好ましいことがわかる。また、実施例5にお
いては、O/W型エマルジョンピックル液の油分が低
く、熱凝固性蛋白の解乳化防止作用に抗して食肉中のO
/W型エマルジョンの解乳化が困難であったため、食肉
製品は水っぽくなっていた。そしてまた、実施例6にお
いては、O/W型エマルジョンピックル液が浸漬の工程
中に転層してしまい、W/O型となってしまったため、
食肉中に油脂が十分に含浸することができていなかっ
た。
【0033】
【発明の効果】本発明によると、食用油脂及び不飽和ジ
グリセリン脂肪酸エステル及び有機酸モノグリセリドを
含有するエマルジョンピックル液用油脂組成物を用いる
ことにより、熱凝固性蛋白を用いた高油分O/W型エマ
ルジョンピックル液が調製でき、該エマルジョンピック
ル液を用いることで、食肉、特に脂肪分の少ない食肉
に、肉らしい食感と十分なジューシー感を付与すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊吹 昌久 大阪府泉佐野市住吉町1番地 不二製油株 式会社阪南事業所内 (72)発明者 川俣 俊正 茨城県筑波郡谷和原村絹の台四丁目3番地 不二製油株式会社つくば開発センター内 Fターム(参考) 4B026 DC06 DG01 DK01 DL04 DX04 4B042 AC05 AE03 AG01 AH01 AK05 AK06 AK10 AP07 AP13 AP14

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 食用油脂と不飽和ジグリセリン脂肪酸エ
    ステルと有機酸モノグリセリドとを含有することを特徴
    とする食品用油脂組成物。
  2. 【請求項2】 有機酸モノグリセリドとして、その構成
    有機酸がコハク酸又はクエン酸である有機酸モノグリセ
    リドを用いることを特徴とする請求項1記載の食品用油
    脂組成物。
  3. 【請求項3】 食用油脂が、トリグリセリド組成におい
    てSOS(1,3位飽和、2位オレイルグリセリド)を
    1.0〜10重量%含有する食用油脂であることを特徴
    とする請求項1又は2記載の食品用油脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか記載の食品用油
    脂組成物と熱凝固性蛋白とを含有することを特徴とする
    食肉加工用ピックル液。
  5. 【請求項5】 食品用油脂組成物が、40〜65重量%
    含有されていることを特徴とする請求項4記載の食肉加
    工用ピックル液。
  6. 【請求項6】 食肉中に請求項4又は5記載のピックル
    液を含ませた後、解乳化させることを特徴とする食肉製
    品の製造法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001258511A (ja) * 2000-03-16 2001-09-25 Japan Organo Co Ltd インジェクション用ピックル液組成物および食肉加工品の製造方法
EP2314173A1 (en) 2009-10-21 2011-04-27 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Meat Additive, Pickling Liquid and Processed Meat Product
JP2018148845A (ja) * 2017-03-13 2018-09-27 日油株式会社 フライ食品用改質剤、フライ食品用バッター液、フライ食品用麺皮及びフライ食品

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