JP2000049006A - 希土類磁石材料およびそれを用いた希土類ボンド磁石 - Google Patents

希土類磁石材料およびそれを用いた希土類ボンド磁石

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JP2000049006A JP11143148A JP14314899A JP2000049006A JP 2000049006 A JP2000049006 A JP 2000049006A JP 11143148 A JP11143148 A JP 11143148A JP 14314899 A JP14314899 A JP 14314899A JP 2000049006 A JP2000049006 A JP 2000049006A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 αFeが非常に少ないかあるいは全く含まな
い、2−17型構造の微細な硬質磁性相から実質的にな
る希土類窒化磁石材料およびそれを用いた高性能の等方
性希土類ボンド磁石を提供する。 【解決手段】 平均結晶粒径が0.01〜1μmの2−
17型構造の硬質磁性相から実質的になり、かつαFe
の面積比率の平均値が5%以下であることを特徴とする
希土類窒化磁石材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、R−T−M(−
B)−N系合金(RはYを含む希土類元素の1種または
2種以上でありSmを必ず含む、TはFeまたはFeと
Co、MはAl、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Ga、
Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Znの1種または
2種以上)であり、αFeが非常に少ないかあるいは全
く含まない、微細な2−17型構造の硬質磁性相から実
質的になる希土類磁石材料およびそれを用いた高性能の
等方性希土類ボンド磁石に関する。また本発明は、R−
T−M(−B)−N系合金であり、RがSmとLaとか
ら実質的になる希土類磁石材料およびそれを用いた着磁
性の良好な等方性の希土類ボンド磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、Nd-Fe-B系磁粉を配合し
た希土類ボンド磁石が多用されているが、キュリー温度
が300℃前後と低く、保磁力(iHc)の温度係数が
大きいため高温での使用が制限されてきた。最近、Sm
2Fe17化合物が窒素を吸蔵することによりNd2Fe14
B化合物よりも高いキュリー温度(470℃)および異
方性磁界(260kOe)を示すことから、ボンド磁石
用磁粉として工業化が進められつつある。しかし、Sm
2Fe17xは単磁区粉末粒径(数μm)まで微粒化しな
いと有用な高いiHcが得られない。この数μmの微粒
子状態では室温の大気中で容易に酸化し磁気特性が大き
く劣化する。同時にボンド磁石中への磁粉の充填性が悪
くなり等方性のボンド磁石の密度が顕著に低下して有用
な最大エネルギー積(BH)maxを実現困難であるという
問題を有する。
【0003】微粒化による上記問題を解決するために、
特開平4ー260302号公報では、水素雰囲気中で熱
処理後、続いて減圧雰囲気中で熱処理し、その後窒化す
ることにより、原子%でSmを5〜15%、M(MはZ
r,Hf,Nb,Ta,W,Mo,Ti,V,Cr,G
a,Al,Sb,Pb,Siからなる群から選択される
少なくとも1種の元素)を0〜10%およびNを0.5
〜25%含有し、残部がFeまたはFeおよびCo(F
eの含有率が20原子%以上)であり、Mを含む場合は
磁気異方性を示す平均結晶粒径が1μm以下、平均粉末
粒径が20μm以上の窒化磁石粉末を得られる記載があ
る。しかし、本発明者らの検討によれば、特開平4ー2
60302号公報に記載の製造条件に従い作製した窒化
磁石粉末は磁気等方性のものであり平均結晶粒径が1μ
m超になることがわかった。この原因は特開平4ー26
0302号公報の実施例に記載の水素吸蔵温度が650
℃であり、水素化分解温度未満になるためと判断され
る。
【0004】次に、本発明者らの検討によれば、希土類
窒化磁石材料用母合金の溶湯を急冷用ロールの周速を例
えば45m/秒以上にして急冷凝固した薄帯に、特開平
4ー260302号公報に記載の熱処理条件を適用し、
続いて窒化することにより、平均粉末粒径が10μm以
上でかつ平均結晶粒径が1μm以下のものを得ることが
できた。しかし、この製造条件によると急冷凝固した薄
帯が尖鋭形状を呈し、最終的に窒化して得られた磁石粉
末が前記薄帯の尖鋭形状を反映して圧縮性の悪いものに
なり、等方性ボンド磁石とした場合に6.1g/cm
超の高い密度を実現困難なことがわかった。したがっ
て、密度の向上による(BH)maxの向上をほとんど期待
できない。
【0005】次に、着磁性は等方性希土類ボンド磁石の
重要な特性であり、実用上室温における着磁磁界強度は
25kOe以下が望ましい。しかし、従来のR−T−M
−N系の等方性希土類ボンド磁石は前記条件により着磁
した場合に着磁性が悪いという問題を有する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の問題を踏ま
えて、本発明の課題は、R−T−M(−B)−N系合金
(RはYを含む希土類元素の1種または2種以上であり
Smを必ず含む、TはFeまたはFeとCo、MはA
l、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Ga、Zr、Nb、
Mo、Hf、Ta、W、Znの1種または2種以上)で
あり、αFeが非常に少ないかあるいは全く含まない、
2−17型構造の微細な硬質磁性相から実質的になる希
土類磁石材料およびそれを用いた高性能の等方性希土類
ボンド磁石を提供することである。また、(Sm,L
a)−T−M(−B)−N系合金であり、αFeが非常
に少ないかあるいは全く含まない、2−17型構造の微
細な硬質磁性相から実質的になる希土類磁石材料および
それを用いた着磁性の良好な等方性の希土類ボンド磁石
を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは希土類窒化
磁石粉末およびそれを用いた等方性の希土類ボンド磁石
に関し、下記の開発目標を設定し、鋭意検討した。(1)
面積比率の平均値で、希土類窒化磁石粒子が実質的に2
−17型構造の硬質磁性相からなり、面積率の平均値で
αFeが好ましくは5%以下、より好ましくは2%以
下、特に好ましくは0%であること、(2)実用性に富ん
だ成形圧力で等方性の希土類ボンド磁石を容易に成形で
きること、さらには6.1g/cm超の高い密度が得
られること、(3)実用に耐える耐熱性、(BH)maxを有
すること、(4)実用に耐える改善された着磁性を有する
こと。その結果、 R−T−M(−B)−N系窒化磁石
合金(RはYを含む希土類元素の1種または2種以上で
ありSmを必ず含む、TはFeまたはFeとCo、Mは
Al、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Ga、Zr、N
b、Mo、Hf、Ta、W、Znの1種または2種以
上)の主成分組成に対応する母合金を溶解法により作製
後、窒素を含まない不活性ガス雰囲気中で1010〜1
280℃×1〜40時間の均質化熱処理を行い、その後
後述の水素化・分解反応処理およびこれに続く脱水素・
再結合反応処理を施し、続いて窒化を行うことにより、
(1)、(2)、(3)を満足し得ることを知見した。あるい
は、R−T−M−B−N系窒化磁石合金(RはYを含む
希土類元素の1種または2種以上でありSmを必ず含
む、TはFeまたはFeとCo、MはAl、Ti、V、
Cr、Mn、Cu、Ga、Zr、Nb、Mo、Hf、T
a、W、Znの1種または2種以上でありTiを必ず含
む)の特定主成分組成に対応する母合金の溶湯急冷にお
ける冷却用ロールの周速を、好ましくは0.05〜10
m/秒、より好ましくは0.08〜9m/秒、特に好ま
しくは0.1〜8m/秒とした条件で急冷凝固する。次
に、後述の水素化・分解反応処理およびこれに続く脱水
素・再結合反応処理を施した後、窒化を行うことによ
り、(1)、(2)、(3)を満足し得ることを知見した。ま
た、着磁性の改善のために、RとしてSmとLaとの組
み合わせを選択することが有効であることを知見した。
【0008】すなわち本発明は、原子%でRα
100−(α+β+γ+δ)βγδ(RはYを含む希
土類元素の1種または2種以上でありSmを必ず含む、
TはFeまたはFeとCo、MはAl、Ti、V、C
r、Mn、Cu、Ga、Zr、Nb、Mo、Hf、T
a、W、Znの1種または2種以上、6≦α≦15,
0.5≦β≦10,0≦γ≦4,4≦δ≦30)で表さ
れる主成分組成を有し、平均結晶粒径が0.01〜1μ
mの2−17型構造の硬質磁性相から実質的になり、か
つαFeの面積比率の平均値が5%以下である希土類磁
石材料である。MがAl、Ti、V、Cr、Mn、C
u、Ga、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Znの
1種または2種以上でありTiを必ず含み、かつ 6≦
α≦15,0.5≦β≦10,0.1≦γ≦4,4≦δ
≦30で表される主成分組成を選択すると、均質化熱処
理を施さなくてもαFeの存在しない窒化磁石粉末が得
られる。次に、M元素の含有量が5原子%以上のときに
硬質磁性相がThZn17型構造の菱面体晶とTh
Ni17型構造の六方晶との混晶のものが得られる。ま
た、RがSm、Laおよび不可避不純物からなるととも
に、原子%でLaの含有量が0.05〜1%の場合に着
磁性が改善される。La含有量が0.05原子%未満で
は着磁性が改善されず、1%超では角形(Hk)が逆に
低下する。前記特定La含有量のときに異方性磁界(H
a)および飽和磁束密度(Bs)はやや低下するが、室
温の25kOe以下で着磁した等方性ボンド磁石の(B
H)maxおよびHkを高めることができる。 Hkは4π
I−H減磁曲線上において0.7Brの位置におけるH
の値であり、減磁曲線の矩形性の尺度である。Brは残
留磁束密度、Hは磁界の強さ、4πIは磁化の強さであ
る。
【0009】前記希土類磁石材料粉末は1山粒径分布を
有し、かつ平均粒径が10〜300μmのものが好まし
い。通常、粒径分布の異なる2種以上の粉末を混合しな
い限り、1山粒径分布となる。また、平均粒径が10μ
m未満では酸化劣化、成形性劣化が顕著になり、300
μm超では不均質な窒化組織となり磁気特性が低下す
る。
【0010】前記希土類磁石材料粉末を樹脂で結着する
ことにより等方性の希土類ボンド磁石が構成される。特
に、結着樹脂が熱硬化性樹脂であり、圧縮成形後、加熱
硬化処理を施せば、6.1g/cm超の密度が得られ
る。加熱硬化の条件は大気中または不活性ガス雰囲気中
で100〜200℃×0.5〜5時間が好ましい。10
0℃×0.5時間未満では加熱硬化の重合反応が不十分
であり、200℃×5時間超では熱処理の効果が飽和す
る。特に、Arガス雰囲気中で加熱硬化を行うと(B
H)maxを高められるので好ましい。
【0011】前記希土類磁石材料において、RにはSm
を必ず含み、Sm以外にY、La、Ce、Pr、Nd、
Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、L
uのうちの1種または2種以上を含むことが許容され
る。Smミッシュメタルやジジム等の2種以上の希土類
元素の混合物を用いてもよい。Rとして、好ましくはS
mとLa、Y、Ce、Pr、Nd、Gd、Dy、Erの
うちの1種または2種以上との組み合わせ、さらに好ま
しくはSmとLa、Y、Ce、Pr、Ndのうちの1種
または2種以上との組み合わせ、特に好ましくは実質的
にSmのみかあるいはSmとLaとからなる場合であ
る。Smの純度でいえば、有用なiHcを得るために、
Rに占めるSm比率を50原子%以上、さらには70原
子%以上とすることがよい。なお、Rには、製造上混入
が避けられないO、H、C、Al、Si、Na、Mg、
Ca等の不可避不純物の含有が許容される。
【0012】R含有量は6〜15原子%が好ましい。R
が6原子%未満ではiHcが低下し、15原子%超では
飽和磁化(σ)が低下する。さらに好ましいR含有量は
7〜12原子%である。
【0013】Tiを含むM元素とB元素とを特定量含有
する母合金の主成分組成とし、かつ前記溶湯急冷条件を
採用すれば、溶体化熱処理を施さなくてもαFeのない
母合金を得られる。この場合、原子%で、Tiを含むM
元素の含有量(β)を0.5〜10%、より好ましくは
1〜6%、特に好ましくは1〜4%にするとともに、T
iの含有量を0.5原子%以上にする必要がある。理想
的にはM元素をTiおよび不可避不純物で構成するとよ
い。溶体化熱処理を施す場合、BおよびTiは必須では
ない。この場合のM元素の含有量(β)は、前記と同様
に原子%で、好ましくは0.5〜10原子%、より好ま
しくは1〜6原子%、特に好ましくは1〜4%である。
M元素が10原子%超ではThMn12型のSm(Fe,
M)12相が生成して磁気特性が低下し、M元素
(Ti)が0.5原子%未満でも磁気特性が低下する。
B含有量(γ)は0.1〜4原子%が好ましい。前記溶
湯急冷条件を採用し、均質化熱処理を行わない場合、B
含有量が0.1原子%未満ではiHcが大きく低下し、
4原子%超ではiHc、σが低下する。窒素含有量は4
〜30原子%が好ましく、10〜20原子%がより好ま
しい。窒素含有量が4原子%未満および30原子%超で
はiHc、σが大きく低下する。また、 Coおよび/
またはNiにより、Feの0.5〜30原子%を置換す
ることが好ましく、1〜20原子%を置換することがよ
り好ましい。Coおよび/またはNiの導入によりキュ
リー温度およびiHcの温度係数(η)が向上するが、
置換量が30原子%超ではiHc、σが顕著に低下し、
0.5原子%未満では添加効果が認められない。前記希
土類磁石材料は平均粉末粒径が10〜300μmのもの
で高いiHcを実現できるので、酸素含有量を0.25
重量%以下に抑えることができる。また、αFe形成元
素である炭素の含有量を0.1重量%以下に抑えてあり
αFeの低減のために好ましい。
【0014】硬質磁性相の平均結晶粒径が0.01〜1
μmのときに高い磁気特性が得られる。工業生産上、
0.01μm未満のものを安定生産することは困難を伴
い、1μm超ではiHcが大きく低下する。硬質磁性
相、αFeの同定および面積比率の算出は、電子顕微鏡
および/または光学顕微鏡による観察結果ならびに必要
に応じてX線回折結果等を総合的に考慮して行う。例え
ば、対象とする窒化磁石粒子の断面を撮影した透過型電
子顕微鏡写真およびその断面組織の同定結果を符合させ
て求めることができる。
【0015】本発明の等方性ボンド磁石のバインダーと
して樹脂、ゴム材料または前記希土類磁石材料のキュリ
ー温度よりも低い融点の金属(合金)を用いることがで
きる。このうち、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂またはゴ
ム材料が実用的であり、圧縮成形法、射出成形法、押出
成形法または回転する圧延用ローラ間にコンパウンドを
通してシート状成形体を得る成形方法を採用できる。圧
縮成形法による場合は熱硬化性樹脂がよく、特に熱硬化
性液状樹脂が適している。具体例を挙げれば、エポキシ
樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール
樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂またはポリフェニレンサ
ルファイド樹脂(PPS)の液状樹脂が利用できる。液
状エポキシ樹脂は安価であり、取り扱いが容易で良好な
耐熱性を示すため最もよい。
【0016】本発明の希土類磁石材料の製造条件につい
て以下に説明する。まず溶湯急冷用ロールの周速を上記
特定範囲に設定して急冷凝固し、窒化磁石粉末の主成分
に対応したSm−Fe−Ti−B系母合金を得る。ある
いは非急冷凝固方式の溶解法(高周波溶解法、アトマイ
ズ法またはアーク溶解法等)により窒化磁石粉末の主成
分に対応したSm−Fe−M系母合金を得、その後均質
化熱処理を行う。均質化熱処理は窒素を含まない不活性
ガス雰囲気中で1010〜1280℃×1〜40時間加
熱する条件が好ましい。1010℃×1時間未満ではα
Feの固溶が進まず、1280℃×40時間超では均質
化熱処理の効果が飽和し、Sm等の蒸発による組成ずれ
が顕著になる。次に、0.1〜10atmの水素ガス中
または水素ガス分圧を有する不活性ガス(窒素ガスを除
く)中で675〜900℃×0.5〜8時間加熱する水
素化・分解反応処理と、続いて1×10−2Torr以
下の高真空中で700〜900℃×0.5〜10時間加
熱する脱水素・再結合反応処理とを行う。水素化・分解
反応により母合金を希土類元素Rの水素化物RHx、T
−M相などに分解する。次に、脱水素・再結合反応によ
り、母合金相に再結合させて平均結晶粒径が0.01〜
1μmの微細な再結晶粒からなる母合金が得られる。個
々の再結晶粒子は通常ランダムに配向するが、前記M元
素の組み合わせにより異方性が付与され得る。水素化・
分解反応の水素分圧が0.1atm未満では分解反応が
ほとんど起こらず、10atm超では処理設備の大型
化、コスト増を招く。よって水素分圧は0.1〜10a
tmが好ましく、0.5〜5atmがより好ましい。水
素化・分解反応の加熱条件が675℃(ほぼ水素化分解
温度相当)×0.5時間未満では母合金が水素を吸収す
るのみでRHx、T-M相などへの分解が起こらず、90
0℃×8時間超では脱水素後の母合金が粗大粒化し、窒
化磁石粉末のiHcが大きく低下する。よって、水素化
・分解反応の加熱条件は675〜900℃×0.5〜8
時間が好ましく、675〜800℃×0.5〜8時間が
より好ましい。脱水素・再結合反応の水素分圧が1×1
−2Torrよりも低真空では処理に長時間を要し、
1×10−6Torr超の高真空とすると真空排気装置
のコスト増を招く。脱水素・再結合反応の加熱条件が7
00℃×0.5時間未満ではRHx等の分解が進行せ
ず、900℃×10時間超では再結晶組織が粗大粒化し
てiHcが大きく低下する。よって、平均再結晶粒径を
0.01〜1μmとするために、脱水素・再結合反応の
加熱条件は700〜900℃×0.5〜10時間が好ま
しく、725〜875℃×0.5〜10時間がより好ま
しい。次に必要に応じて粉砕を行い、その後窒化処理を
行うことにより本発明の希土類磁石材料粉末を製造でき
る。窒化前に必要に応じて分級または篩分して粒径分布
を調整することが均一な窒化組織を実現し、かつボンド
磁石の成形容易性、密度を向上するために好ましい。窒
化は、0.2〜10atmの窒素ガス、水素が1〜95
モル%で残部が窒素からなる(水素+窒素)の混合ガ
ス、NHのモル%が1〜50%で残部水素からなる
(NH+水素)の混合ガスのいずれかの雰囲気中で3
00〜650℃×0.1〜30時間加熱するガス窒化が
実用性に富んでいる。ガス窒化の加熱条件は300〜6
50℃×0.1〜30時間が好ましく、400〜550
℃×0.5〜20時間がより好ましい。300℃×0.
1時間未満では窒化が進行せず、650℃×30時間超
では逆にRNとFe−M相を生成しiHcが低下する。
窒化における窒素単独ガスまたは窒素含有ガスの圧力は
0.2〜10atmが好ましく、0.5〜5atmがよ
り好ましい。0.2atm未満では窒化反応が非常に遅
くなり、10atm超では高圧ガス設備によるコスト増
を招く。窒化後に、真空中あるいは不活性ガス中(窒素
ガスを除く)で300〜600℃×0.5〜50時間の
熱処理を行うと、iHcをさらに高められる場合があ
る。前記希土類磁石材料粉末には0.01〜10原子%
の水素の含有が許容される。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を詳し
く説明するが、これら実施例により本発明が限定される
ものではない。 (実施例1)純度99.9%以上のSm、Fe、Tiお
よびBを用いて表1のNo.1〜7の希土類窒化磁石粉
末に対応する母合金組成に各々配合し、アルゴンガス雰
囲気の高周波溶解炉で溶解した。この母合金溶湯を用い
て、直径300mmの銅製の冷却ロール2本を設置した
双ロール式ストッリップキャスターにより急冷用ロール
の周速が1.0m/秒の条件で急冷凝固して母合金薄帯
を得た。この母合金薄帯の代表的な断面写真を図4に示
す。図4においてボイドおよび結晶粒界が観察される
が、αFeは生成していなかった。次に、母合金薄帯を
1atmの水素ガス中で680℃×1時間加熱する水素
化・分解反応処理を行った。続いて水素分圧(真空中)
5〜8×10−2Torrで800℃×1.5時間加熱
する脱水素・再結合反応処理を行った。次に、アルゴン
ガス雰囲気中で、ジョークラッシャーとディスクミルを
用いて平均粉末粒径(dp)10〜300μmに粉砕し
た。dpの測定はSympatec社製レーザー回折型粒径分布
測定装置(HELOS・RODOS)を用いた。次に、
粉砕した各dpの粉末を1atmの窒化ガス中で450
℃×10時間加熱する窒化を行い冷却した。その後、ア
ルゴンガス気流中で400℃×30分間熱処理して表1
のNo.1〜7の希土類窒化磁石粉末を得た。No.1
〜7の各希土類窒化磁石粉末の硬質磁性相の平均結晶粒
径(dc)、dp、25℃で測定した飽和磁化(σ)と
iHc、25〜100℃におけるiHcの温度係数
(η)を表1に示す。表1のNo.2の窒化磁石粉末の
HELOS・RODOSによる粒径分布(1山分布)を
図8に示す。図8において、横軸は粒径x(μm)、左
側の縦軸は体積累計分布の比率、右側の縦軸は(q3l
g)=d(q3)/d(lnx)で定義した微分値であ
る。(q3lg)により1山粒径分布かどうかを判定す
る。iHcとσの測定は、各希土類窒化磁石粉末とパラ
フィンワックスとを一定比率で混合後、振動試料型磁力
計(VSM)の銅容器に詰め込んで密封し、続いてこの
容器を加熱後冷却してパラフィンワックスを溶融固化す
ることにより窒化磁石粉末を固定した状態にし、VSM
にセットした。続いて、大気中の25℃で窒化磁石粉末
のみに補正したσ、iHcを測定した。続いて100℃
に加熱した状態でVSMによりσ、iHcを測定した。
これらの測定結果から、25〜100℃におけるiHc
の温度係数(η)を、η=[iHc(25℃)−iHc
(100℃)]÷iHc(25℃)×100(%)の定
義式から求めた。次に、No.1〜7の各窒化磁石粒子
を樹脂に埋め込み、研磨した断面の任意の5視野につい
て透過型電子顕微鏡により電子線回折した。その結果、
いずれの窒化磁石粒子でもThZn17型構造の菱面
体晶の硬質磁性相を主相とする2−17型構造の硬質磁
性相からなることがわかった。αFeは観察されなかっ
た。dcは、No.1〜7の各電子線回折結果に符合す
る視野の各窒化磁石粒子の断面写真から求めた。具体的
なdcの測定例は後述する。 (比較例1)dp=2、400μmとした以外は実施例
1と同様にして希土類窒化磁石粉末を作製し、評価し
た。結果を表1のNo.11、12に示す。 (比較例2)Tiを含有しないNo.21と22、Ti
含有量が少ないNo.23と過多のNo.24の各希土
類窒化磁石粉末の主成分組成とした以外は実施例1と同
様にして評価した結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】表1より、実施例1のNo.1〜7では硬
質磁性相のdcはいずれも0.4μm未満であり、σが
120(emu/g)以上、iHcが9kOe以上、iHcの
温度係数(η)が−0.40(%/℃)より改善されてお
り良好な耐熱性を有することがわかる。これらの良好な
磁気特性はTi含有量が0.5〜10原子%でかつdp
=10〜300μmで得られた。これに対し、比較例1
のNo.11では酸化劣化により、No12では実施例
1に比べて不均一な窒化組織であるために、いずれもσ
およびiHcが低く、ηが悪かった。Tiを含まない比
較例2のNo.21と22、Ti含有量の少ないNo.
23およびTi含有量が過多のNo.24ではいずれも
平均結晶粒径が1μm超の粗大なαFeが面積比率の平
均値で5%超生成しており、iHcが低く、ηが悪かっ
た。Tiを含まないNo.21の窒化磁石粉末の母合金
薄帯の代表的な断面写真を図5に示す。図5において平
均結晶粒径が1μm超の粗大なαFeが黒色の樹枝状に
観察され、その面積比率の平均値は5%超だった。αF
eは窒化後まで消滅することなく存在することが確認さ
れた。
【0020】(実施例2)B含有量と磁気特性との相関
を見るために、表2のNo.31〜34の希土類窒化磁
石粉末の主成分組成を選択し、かつdp=80μmとし
た以外は実施例1と同様にして窒化磁石粉末を作製し、
評価した。結果を表2のNo.31〜34に示す。 (比較例3)表2に示すように、B含有量が少ないN
o.41およびB含有量が過多のNo.42の主成分組
成とした以外は実施例1と同様にして窒化磁石粉末を作
製し評価した結果を表2のNo.41、42に示す。
【0021】
【表2】
【0022】表2のNo.31〜34より、B含有量が
0.1〜4原子%のときに、dc=0.01〜0.33
μmになり、良好なσ、iHc、ηが得られた。No.
31〜34の窒化磁石粒子の磁気特性発現相は実質的に
ThZn17型構造の菱面体晶からなり、αFeは生
成していなかった。これに対し、比較例3のNo.4
1、42の窒化磁石粒子にはいずれも平均結晶粒径が1
μm超の粗大なαFeが面積比率の平均値で5%超生成
しており、iHcが低く、ηが悪かった。B含有量が少
ないNo.41の窒化磁石粉末の母合金薄帯の代表的な
断面写真を図6に示す。図6において、黒色の樹枝状を
呈する平均結晶粒径が1μm超の粗大なαFeが面積比
率の平均値で5%超生成しており、αFeは窒化後まで
消滅することなく残存することが確認された。
【0023】R含有量、R成分の種類、窒素含有量、M
元素の種類と含有量を各々変化した場合、Feの一部を
Coおよび/またはNiで置換した場合の実施例につい
て以下に説明する。 (実施例3、比較例4)表3の希土類窒化磁石粉末の主
成分組成とした以外は実施例1と同様にして窒化磁石粉
末を作製し、評価した結果を表3に示す。
【0024】
【表3】
【0025】表3において、実施例3の各窒化磁石粒子
はいずれもαFeのない2―17型構造の微細な硬質磁
性相からなることが確認された。次に、No.51〜5
3および比較例4のNo.71〜73から、R成分中の
Sm比率が50原子%以上でかつR成分が6〜15原子
%のときに、良好なσ、iHc、ηが得られることがわ
かる。次に、実施例3のNo.54、55および比較例
4のNo.74、75より、窒素含有量が4〜30原子
%のときに良好なσ、iHc、ηが得られることがわか
る。次に、実施例3のNo.56〜59から、Feの
0.5〜30原子%をCoおよび/またはNiで置換す
ることによりηが改善されることがわかる。次に、実施
例3のNo.60、61から、Mに占めるTiの含有量
が0.5原子%以上であれば良好なσ、iHc、ηを得
られることがわかる。
【0026】次に、本発明の希土類磁石材料の硬質磁性
相のdcの測定例を説明する。表2(実施例2)のN
o.33の窒化磁石粒子を樹脂に埋め込み後研磨してd
c測定用の試料とした、次に、透過型電子顕微鏡により
その試料断面の任意の5視野について撮影したうちの代
表的な写真を図1に、図1のdcの測定要領の説明図を
図2に示す。図1に代表される5視野分の断面写真の各
々に対角線を引いて、各対角線上に存在する結晶粒の占
める線分長さをその結晶粒の数で除してdc1、dc2
を求めた。図1では、左上から右下の対角線評価のdc
1=0.16μm、右上から左下の対角線評価のdc2
=0.15μmを得た。同様にして5視野分の断面写真
について各々のdc1、dc2を求め、これらを平均し
たdc=0.16μmだった。次に、透過型電子顕微鏡
を用いて表1(実施例1)のNo.7の窒化磁石粒子の
断面を電子線回折した結果、図3(a)のThNi
17型構造の六方晶の存在を示す電子線回折パターン
と、図3(b)のThZn17型構造の菱面体晶の存
在を示す電子線回折パターンが得られた。図3(a)は
[001]方向から電子線を入射して撮影した電子線回
折パターンであり、図3(b)は[100]方向から電
子線を入射して撮影した電子線回折パターンである。さ
らに、併行して行ったX線回折および光学顕微鏡観察の
結果とを総合的に考慮した結果、表1のNo.7の窒化
磁石粒子はThZn17型構造の菱面体晶とTh
17型構造の六方晶との混晶の硬質磁性相からなるこ
とが同定された。αFeは観察されなかった。
【0027】(実施例4)純度99.9%のSm、F
e、Ti、Bを用いて下記の希土類窒化磁石粉末に対応
した母合金組成に配合後、アルゴンガス雰囲気で高周波
溶解した溶湯を、急冷用ロールの周速を9.5m/秒と
した溶湯急冷条件で凝固して母合金薄帯を得た。次に、
前記母合金薄帯片を雰囲気熱処理炉に仕込み、1atm
の水素ガスを供給しながら500℃まで加熱し水素を吸
収させた後真空にすることにより脱水素を行う工程を繰
り返し平均粉末粒径100μmまで粗粉砕した。次に、
水素化・分解反応の水素ガス圧を1atmにし、かつ表
4の加熱条件で水素化・分解反応処理を行った。続いて
水素分圧を5〜8×10−2Torrにし、かつ表4の
加熱条件で脱水素・再結合反応処理を行った。その後、
別の雰囲気熱処理炉において、1atmの窒化ガス気流
中で460℃×7時間加熱する窒化を行い、室温まで冷
却した。続いてアルゴンガス気流中で400℃×30分
間の熱処理を施し室温まで冷却した。作製した希土類窒
化磁石粉末は、原子%で Sm9.2Fe bal.
1.0Ti6.012.3 の主成分組成を有する、
実質的に2−17型構造の硬質磁性相のみからなりαF
eは観察されなかった。以降は実施例1と同様にして評
価したdc、σ、iHcを表4に示す。 (比較例5)表4の水素化・分解反応および脱水素・再
結合反応の加熱条件とした以外は実施例4と同様にして
窒化磁石粉末を作製し、評価した結果を表4に示す。
【0028】
【表4】
【0029】表4の実施例4から水素化・分解反応の加
熱条件を675〜900℃×0.5〜8時間とし、さら
に脱水素・再結合反応の加熱条件を700〜900℃×
0.5〜10時間とすることによりdcが1μm未満に
なり、高いσとiHcとが得られた。これに対し、水素
化・分解反応温度未満のNo.91、水素化・分解反応
温度が高すぎるNo.92、脱水素・再結合反応温度が
低すぎるNo.93、脱水素・再結合反応温度が高すぎ
るNo.94ではいずれもdcが1μm超になった。
【0030】(実施例5)ボンド磁石特性の評価のため
に、αFeが生成していない、dc=0.2〜0.3μ
mの2−17型硬質磁性相から実質的になる表5の各d
pの希土類窒化磁石粉末に対し、各々2wt%相当のエ
ポキシ樹脂を配合し混練してコンパウンドを作製した。
次に、プレス圧10ton/cmで圧縮成形し、さら
に大気中で140℃×1時間の加熱硬化熱処理を施して
等方性ボンド磁石を得た。25℃、着磁磁界強度25k
Oeで測定した各等方性ボンド磁石のiHc、(BH)
max、25〜100℃におけるボンド磁石のiHcの温
度係数(η’)、密度(ρ)を表5に示す。ボンド磁石
のiHcの温度係数(η’)は、25℃、着磁磁界強度
25kOeでiHcを測定後、100℃、着磁磁界強度
25kOeでiHcを測定して、η’=[ボンド磁石の
iHc(25℃)−ボンド磁石のiHc(100℃)]
÷[ボンド磁石のiHc(25℃)]×100(%)の
定義式から求めた。 (比較例6)溶湯急冷法における冷却ロールの周速を4
5m/秒にして、表5に示す比較例6の希土類窒化磁石
粉末の主成分組成に対応した母合金溶湯を急冷凝固して
薄片を得、以後は実施例1と同様にして表5の希土類窒
化磁石粉末を作製した。次に、実施例5と同様にして等
方性のボンド磁石を作製し、評価した結果を表5に示
す。
【0031】
【表5】
【0032】表5から実施例5の等方性ボンド磁石の密
度はいずれも6.1g/cm超であり、8.0MGO
e以上の高い(BH)maxが得られた。これは実施例5で
用いた窒化磁石粉末は0.05〜10m/秒という比較
的遅い溶湯急冷ロールの周速度で急冷凝固した母合金を
用いて窒化しているので、窒化磁石粉末が比較例6のも
のに比べて丸みを帯びた粒子形状を呈し、高い密度を実
現できたものといえる。
【0033】次に、着磁性を改善した実施例を説明す
る。 (実施例6、比較例7)純度99.9%以上のSm、L
a、Fe、TiおよびBを用いて表6に示す窒化磁石粉
末に対応する母合金組成に各々配合した。次に、アルゴ
ンガス雰囲気の高周波溶解炉で溶解した各母合金溶湯
を、直径300mmの銅製の冷却ロール2本を設置した
双ロール式ストッリップキャスターにより冷却ロールの
周速が0.5m/秒の条件で急冷凝固して母合金薄帯を
得た。各母合金にはαFeが生成していなかった。次
に、各母合金薄帯を1atmの水素ガス中で675℃×
1時間加熱する水素化・分解反応処理を行い、続いて水
素分圧(真空中)3〜6×10−2Torrで790℃
×1.5時間加熱する脱水素・再結合反応処理を行っ
た。次に、アルゴンガス雰囲気中で約80μmのdpに
粉砕した。次に、1atmの窒化ガス中で440℃×1
0時間加熱する窒化処理を行い冷却した。その後、アル
ゴンガス気流中で400℃×30分間熱処理して表6の
各希土類窒化磁石粉末を得た。表6の各窒化磁石粉末を
用いて、以降は実施例5と同様にして等方性ボンド磁石
を作製し、25℃、着磁磁界強度25kOeで評価した
(BH)max、Hkを表6に示す。また、表6のNo.12
2(実施例6)、表5のNo.101(実施例5)の等
方性ボンド磁石の、着磁磁界強度に対する(BH)max
を図7(a)に、着磁磁界強度に対するHkを図7
(b)に示す。
【0034】
【表6】
【0035】表5のNo.121と表6の結果から、L
a含有量が0.05〜1原子%のときに25kOeで着
磁した場合の(BH)max、Hkが向上することがわか
る。
【0036】次に、Sm(−La)−Fe−M−N系の
窒化磁石粉末の実施例について説明する。 (実施例7、比較例8)純度99.9%以上のSm、F
eおよびM元素を用いて表7の各窒化磁石粉末に対応す
る母合金組成に各々配合後、高周波溶解して母合金を得
た。次に、アルゴンガス雰囲気中で1100℃×10時
間の均質化熱処理を施した。次に、アルゴンガス雰囲気
中でdp=200〜210μmに粉砕した。次に、1a
tmの水素ガス中で680℃×1時間加熱する水素化・
分解反応処理を行い、続いて水素分圧(真空中)5〜8
×10−2Torrで800℃×1時間加熱する脱水素
・再結合反応処理を行った。次に、アルゴンガス雰囲気
中で、ジョークラッシャーとディスクミルを用いてdp
=80〜85μmに粉砕した。次に、各粉砕粉末を1a
tmの窒化ガス中で440℃×10時間加熱する窒化処
理を行い冷却した。その後、アルゴンガス気流中で40
0℃×30分間熱処理して表7の各窒化磁石粉末を得
た。表7の各窒化磁石粉末にはいずれもαFeが生成し
ておらず、dc=0.4〜0.5μmの2―17型構造
の硬質磁性相からなっていた。以降は、実施例5と同様
にして等方性ボンド磁石を作製し、評価した。結果を表
7に示す。
【0037】
【表7】
【0038】表7において、実施例7のNo.141〜
143および比較例6のNo.161、162から、T
i含有量が0.5〜10原子%のときに実用に耐える高
いiHc、(BH)maxおよびη’が得られることがわ
かる。また、表7のNo.144〜155から、Ti以
外の他のM元素を所定量含有する場合にも実用に耐える
高いiHc、(BH)maxおよびη’が得られることが
わかる。
【0039】(実施例8、比較例9)純度99.9%以
上のSm、La、Fe、Tiを用いて表8に示す窒化磁
石粉末に対応する母合金組成に各々配合した。次に、ア
ルゴンガス雰囲気の高周波溶解炉で溶解して母合金を得
た。以降は実施例7と同様にして窒化磁石粉末を作製
し、続いて等方性ボンド磁石を作製し、着磁性を評価し
た。結果を表8に示す。
【0040】
【表8】
【0041】表8より、Bを含有しない場合でもLaの
含有による着磁性の改善効果が確認された。
【0042】実施例7、8では、高周波溶解法により作
製した母合金を用いた。これに替えて、本発明の希土類
窒化磁石材料に対応した主成分組成に配合された希土類
酸化物を含む混合原料に対し、所定量の金属Caを添加
し、還元/拡散後、反応生成物を抽出してR−T−M
(−B)系母合金を得、以降は実施例7と同様の均質化
熱処理、水素化・分解反応処理、脱水素・再結合反応処
理、窒化を行うことにより本発明の希土類磁石材料粉末
を作製してもよい。その場合、(BH)maxを高めるた
めにCa含有量を0.1重量%以下、酸素含有量を0.
25重量%以下、炭素含有量を0.1重量%以下にする
ことが好ましい。また、アトマイズ法またはアーク溶解
法により作製したR−T−M(−B)系母合金に対し、
実施例7と同様の均質化熱処理、水素化・分解反応処
理、脱水素・再結合反応処理、窒化を行うことにより本
発明の希土類磁石材料粉末を作製してもよい。また、実
施例1の溶湯急冷法による母合金薄帯に対し、以降は実
施例7と同様の均質化熱処理、水素化・分解反応処理、
脱水素・再結合反応処理、窒化を行うことにより本発明
の希土類磁石材料粉末を作製してもよい。
【0043】上記実施例の各希土類磁石材料粉末はいず
れも酸素含有量が0.1重量%以下、炭素含有量が0.
1重量%未満のものである。このため、実用に耐える高
い磁気特性が得られており、かつαFeの低減に寄与し
ているものと判断する。また、上記実施例では圧縮成形
した等方性ボンド磁石の場合を記載したが、例えば前記
窒化磁石粉末と熱可塑性樹脂(ポリアミド樹脂等)とを
用いて射出成形用または押出成形用のコンパウンドを作
製し、所定の成形装置により射出または押出成形すれ
ば、等方性の射出成形品または押出成形品を得られる。
【0044】
【発明の効果】(1)R−T−M(−B)−N系合金で
あり、αFeが非常に少ないかあるいは全く含まない、
2−17型構造の微細な硬質磁性相から実質的になる希
土類磁石材料およびそれを用いた高性能の等方性希土類
ボンド磁石を提供することができる。 (2)R−T−M(−B)−N系合金であり、RがSm
とLaとから実質的になる希土類磁石材料およびそれを
用いた着磁性の良好な等方性の希土類ボンド磁石を提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の希土類磁石材料の断面組織の一例を示
す透過型電子顕微鏡写真である。
【図2】図1の平均結晶粒径の測定要領を説明する図で
ある。
【図3】本発明の希土類磁石材料の断面を透過型電子顕
微鏡により電子線回折した結果を示しており、Th
17型構造の六方晶の存在を示す電子線回折パターン
(a)、ThZn17型構造の菱面体晶の存在を示す
電子線回折パターン(b)である。
【図4】本発明の希土類磁石材料に用いる母合金の断面
組織の一例を示す写真である。
【図5】比較例の母合金の断面組織を示す写真である。
【図6】比較例の母合金の断面組織を示す写真である。
【図7】等方性ボンド磁石において、着磁磁界強度とB
rとの関係を示す図(a)、着磁磁界強度とHkとの関
係を示す図(b)である。
【図8】本発明の希土類磁石材料の1山粒径分布の一例
を示す図である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原子%でRα100−(α+β+γ+δ)
    βγδ(RはYを含む希土類元素の1種または2
    種以上でありSmを必ず含む、TはFeまたはFeとC
    o、MはAl、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Ga、Z
    r、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Znの1種または2
    種以上、6≦α≦15,0.5≦β≦10,0≦γ≦
    4,4≦δ≦30)で表される主成分組成を有し、平均
    結晶粒径が0.01〜1μmの2−17型構造の硬質磁
    性相から実質的になり、かつαFeの面積比率の平均値
    が5%以下であることを特徴とする希土類磁石材料。
  2. 【請求項2】 MはAl、Ti、V、Cr、Mn、C
    u、Ga、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Znの
    1種または2種以上でありTiを必ず含み、かつ6≦α
    ≦15,0.5≦β≦10,0.1≦γ≦4,4≦δ≦
    30で表される主成分組成を有する請求項1に記載の希
    土類磁石材料。
  3. 【請求項3】 RがSm、Laおよび不可避不純物から
    なるとともに、原子%でLa含有量が0.05〜1%で
    ある請求項1または2に記載の希土類磁石材料。
  4. 【請求項4】 硬質磁性相がThZn17型構造の菱
    面体晶とThNi 17型構造の六方晶との混晶からな
    る請求項1乃至3のいずれかに記載の希土類磁石材料。
  5. 【請求項5】 1山粒径分布を有し、平均粒径が10〜
    300μmの粉末である請求項1乃至4のいずれかに記
    載の希土類磁石材料。
  6. 【請求項6】 不可避不純物として重量%で0.25%
    以下の酸素、0.1%以下の炭素を含有する請求項1乃
    至5のいずれかに記載の希土類磁石材料。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれかに記載の希土
    類磁石材料の粉末を樹脂で結着したことを特徴とする希
    土類ボンド磁石。
  8. 【請求項8】 結着樹脂が熱硬化性樹脂であり、圧縮成
    形後に加熱硬化処理を施した、密度が6.1g/cm
    超のものである請求項7に記載の希土類ボンド磁石。
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