JP2000045363A - 人体洗浄装置 - Google Patents

人体洗浄装置

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JP2000045363A
JP2000045363A JP11150641A JP15064199A JP2000045363A JP 2000045363 A JP2000045363 A JP 2000045363A JP 11150641 A JP11150641 A JP 11150641A JP 15064199 A JP15064199 A JP 15064199A JP 2000045363 A JP2000045363 A JP 2000045363A
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water
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bubble
washing water
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JP11150641A
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Noboru Niihara
登 新原
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Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 空気混入を図った洗浄水を安定した空気混入
率で噴出させる。 【解決手段】 お尻噴出口からの洗浄水噴出に先立っ
て、洗浄水に空気を混入させると共に、流路切替器69
により洗浄水供給先を捨て水流路に切り替える。そし
て、お尻洗浄位置までのノズル進出の間において、気泡
混入済みの洗浄水を、気泡流の流動様相を呈した状態の
まま、捨て水噴出口41aから継続して噴出させる。次
いで、ノズルがお尻洗浄位置に達すると、流路切替器6
9により洗浄水供給先をお尻流路に切り替え、お尻洗浄
のための洗浄水噴出を開始する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、洗浄水を噴出して
人体を洗浄する人体洗浄装置、特に人体局部を噴出洗浄
水で洗浄する人体洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年では、人体局部の洗浄を行なうに当
たり、単なる洗浄水ではなく、空気を混入させた洗浄水
が用いられつつある。例えば、特開昭56−70338
号では、洗浄水の噴出ノズルと当該ノズルに洗浄水を供
給する配管系と、この配管流路を流れる洗浄水に気泡を
混入させる気泡混入装置とを備え、気泡を含む洗浄水を
噴出する技術が提案されている。こうすることで、噴出
洗浄水の洗浄力を高めたり、ソフトな洗浄感を与えてい
る。
【0003】また、特開平10−18390号や特開平
10−18391号では、空気混入に空気ポンプ等を用
い、このポンプから送られた空気を管路に連結した分岐
管から当該管路内に導き入れ、洗浄水に大量の空気を混
入させる技術が提案されている。こうすることで、洗浄
水のみで噴出させた場合に比べ、噴出洗浄水の流速の増
大化をもたらしてその運動量を増大させ、少量の洗浄水
で心地よい体感と高い洗浄力を得るようにしている。ま
た、洗浄水を少量とすることで、節水をも可能としてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、洗浄水への
空気混入により洗浄水の運動量を増大させ上記の利点を
得るには、混入空気の持つ運動量を確実に洗浄水に伝達
する必要がある。しかしながら、上記のように分岐管か
ら管路内に単純に空気を混入させただけの従来の手法で
は、以下に説明するように洗浄水への空気の運動量の伝
達が充分ではなく、種々の問題があった。
【0005】分岐管からの空気は、分岐管末端の開口に
て管路内に膨らんだ状態で洗浄水の流れから受ける剪断
力により断ち切られて気泡となり、洗浄水に混入する。
このような空気混入の手法でもってして混入空気量を増
やして洗浄水に大量に空気を混入させると、この気泡は
空気量増大により大きくなった状態で断ち切られること
になり、気泡塊が生成しやすくなる。そして、このよう
な気泡塊は容易に合一する。よって、分岐管下流の洗浄
水管路では、洗浄水に空気が混合した洗浄水流であると
いっても、その流動様相は、気相がある程度連続した状
態のスラグ流や環状流となる。
【0006】上記の空気混入の手法を採って混入空気量
をより増大させた場合には、空気流に水滴が混在した流
動様相に近づき、以下に記すように噴霧流となりやす
い。つまり、混入空気量の増大に伴い気泡密度が高まる
ため、気泡の合一の機会が増えて気泡合一の発生頻度が
高まる。よって、気泡径は大きくなり気相の連続化が進
んで連続気相となる。この状態では、洗浄水と空気との
接触面積も小さく抵抗も低いので、空気から洗浄水への
運動量伝達が進まない。このため、洗浄水は低速で管路
壁面に沿って流れ、空気は高速で管路の中央部を流れ
る。このようにして洗浄水と空気が管路を流れると、空
気が高速で流れるときに発生する気液界面の振動と乱流
による剪断力で管路壁面側の洗浄水が破砕され、気泡流
とは逆相の噴霧流となる。
【0007】この噴霧流を始め上記のスラグ流や環状流
の流動様相(以下、この流動様相を非所望の流動様相と
総称する)では気相が連続しているので、上記したよう
に洗浄水と空気の接触面積は低下する。しかも、洗浄水
と空気との接触抵抗が低いことから、空気混入による洗
浄水の速度の向上効果は低く、洗浄水の速度即ち運動量
を増加させる効果は低下する。このため、スラグ流等の
非所望の流動様相では、空気混入により洗浄水を少量と
できるものの、少量が故に洗浄水自身の運動量が低いと
共に空気からの運動量の伝達程度も低いことから洗浄力
の低下をきたす。従って、上記の空気混入手法では、混
入空気量の増大を図ってもスラグ流等の非所望の流動様
相を呈してしまうので、洗浄力確保の観点から混入空気
量に制限を受け、その分だけ洗浄水の少量化が阻害され
る。このような事情から、節水の実効性が必ずしも充分
とはいえなかった。
【0008】この場合、上記したような気泡流と噴霧流
とが転相する境界における空気混入率η、即ち、洗浄水
流量Qwと空気流量Qaの比の値Qa/Qwは、局部へ
の噴出口近傍で空気を混入させることを想定すると、ほ
ぼ1.3であることが判明した。つまり、上記した空気
混入手法では、この空気混入率ηを1.3より高めて
も、噴霧流で洗浄水を噴出できるに過ぎないばかりか、
洗浄水速度が上昇せずこれに伴う節水率も飽和する。よ
って、上記の従来の空気混入手法では、空気混入率ηの
臨界点はほぼ1.3であるといえる。
【0009】ところで、上記の非所望の流動様相を呈し
た上で洗浄力を確保するには、高い運動量をもって、即
ち高い水勢で洗浄水を供給する必要があると共に、この
ような洗浄水に空気混入を図る必要がある。よって、洗
浄水供給を水道水圧力のみで行なうことはできず、洗浄
水供給に消費電力が大きい高能力の圧送ポンプを必要と
する。しかも、空気混入にも消費電力が大きい高能力の
圧送ポンプを必要とする。このため、節水化が困難とな
ると共に、洗浄水供給と空気混入に余分なエネルギを必
要とする。また、このようなポンプは大型であることか
ら、当該ポンプを内蔵する都合上、局部洗浄装置の小型
化も阻害される。
【0010】また、噴霧流の非所望の流動様相では、連
続気相に小さな水滴が数多く含まれるため、噴出後に大
気との干渉により容易に拡散する。そして、この拡散の
過程で速度が低下する。このため、洗浄水の運動量増加
効果が薄れ節水効果も低下する。よって、洗浄力確保の
ため、噴出口を洗浄対象たる人体局部に従来以上に近づ
けなければならないといった不利益がある。また、拡散
噴霧により、局部周辺、具体的には臀部まで不用意に濡
らしてしまい、不快感を与えることもあった。更には、
細かい水滴が局部に達するので水量感に乏しく、好適な
洗浄感が得られない場合もあった。
【0011】更に、空気混入を行った初期のうちには、
空気と洗浄水の混合が過渡的な状態にあるため、空気と
洗浄水の混合の様子が不安定なまま空気混入後の洗浄水
が噴出されてしまう。この状態では、使用者の望むよう
空気が混入されていないため、使用者に違和感を与える
ことがあった。
【0012】本発明は、上記問題点を解決するためにな
され、洗浄水への空気混入による節水の実効性を高める
と共に、高い洗浄力を発揮することを目的とする。ま
た、好適な洗浄感を付与することを目的とする。更に
は、洗浄水供給や空気混入に伴うエネルギ効率を高めて
節電を図ることや洗浄水噴出時の違和感解消を図ること
をも目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】か
かる課題の少なくとも一部を解決するため、本発明は以
下の構成を採った。即ち、本発明の人体洗浄装置は、洗
浄水を噴出して人体を洗浄する人体洗浄装置であって、
洗浄水を噴出する噴出口を有するノズルと、前記噴出口
に至る管路に設けられた空気混入部から該管路の洗浄水
に空気を混入し、前記空気混入部からの空気混入を経た
洗浄水の流れを洗浄水に空気が分散混合した気泡流とす
る空気混入手段と、前記気泡流における洗浄水流量Qw
と空気流量Qaの比の値Qa/Qwが所定範囲の目標値
となるように、前記気泡流における洗浄水と空気の混合
比を調整する混合比調整手段と、前記混合比が前記目標
値に略一致した状態で前記ノズルからの前記気泡流の洗
浄水噴出を実行する噴出実行手段とを備える。
【0014】上記構成を有する本発明の人体洗浄装置で
は、空気混入を経た洗浄水の流れを洗浄水に空気が分散
混合した気泡流とするので、混入空気は、互いに分断さ
れた状態で洗浄水に存在する。よって、混入空気の持つ
運動量を分散混合したそれぞれの空気で洗浄水に伝達で
きるので、洗浄水の流速を増大させその運動量をも増大
させる。そして、このようにして空気混入を経て洗浄水
の運動量を増大させると共に、ノズルからの気泡流の洗
浄水噴出は、混合比の比の値Qa/Qwが所定範囲の目
標値に略一致した状態でしか実行されない。よって、空
気混入が不十分或いは過剰な過渡的な状態の時には、こ
のような過渡的な洗浄水を人体洗浄のために噴出口から
噴出することがなく、人体には、比の値Qa/Qwが所
定範囲の目標値に略一致した以降の洗浄水を噴出でき
る。このため、洗浄水の噴出を受ける使用者に違和感を
与えることがない。なお、空気混入を伴う洗浄水噴出開
始時のみならず、洗浄水噴出停止時にあっても同様であ
る。
【0015】この場合、混合比が所定範囲の目標値に略
一致したことは、空気混入を開始してからの経過時間に
よって判断できる。また、空気混入量(即ち、上記比の
値)の空気混入により増加した洗浄水運動量は所定の関
係を持っているので、洗浄水運動量を例えば荷重センサ
等にて検出し、その検出結果と上記の関係から、比の値
が所定範囲の目標値に略一致したことを判断できる。
【0016】上記の構成を有する本発明の人体洗浄装置
は、以下の態様を採ることもできる。即ち、前記噴出実
行手段を、前記洗浄水の給水時又は給水停止時におい
て、前記空気混入手段による空気混入時期を調整する手
段を有するものとすることができる。洗浄水管路への洗
浄水給水と空気管路への空気供給を同時に行った場合、
洗浄水と空気はその圧縮性が相違すると共に、空気供給
のための加圧に若干の時間を要することから、管路への
洗浄水到達と空気到達にはタイムラグがあり、空気到達
に遅れが生じる。また、空気到達は、管路内残存の大気
圧空気の押出のため、その立上がりが緩やかとなる。洗
浄水給水と空気供給を同時に停止した場合には、同様の
理由で、空気停止に遅れが生じ、空気停止の際の立下が
りも緩やかとなる。しかし、上記のように空気混入時期
を調整するので、洗浄水の給水時又は給水停止時におい
ても、比の値Qa/Qwが所定範囲の目標値に略一致し
た状態で洗浄水を確実に噴出でき、使用者に違和感を与
えることがない。
【0017】また、前記噴出実行手段を、前記混合比が
前記目標値となる以前は、前記管路を前記気泡流として
流れる洗浄水を前記噴出口以外に導出する手段を有する
ものとすることができる。こうすれば、混合比の比の値
Qa/Qwが所定範囲の目標値に略一致する以前におい
て、洗浄水を噴出口以外に確実に導出して、このような
空気混入が過渡的な状態の洗浄水を人体洗浄のための噴
出口から確実に噴出しないようにできる。このため、人
体には、混合比が所定範囲の目標値に略一致した以降に
おいて始めて洗浄水を噴出することができるので、やは
り、使用者に違和感を与えることがない。
【0018】更に、前記ノズルを、前記噴出口を人体局
部に向けて洗浄水を噴出するものとすることができる。
こうすれば、人体局部という繊細な箇所に洗浄水を受け
る使用者に違和感を与えることがない。
【0019】また、前記混合比調整手段を、前記比の値
Qa/Qwが約1.3〜4.0の範囲となるように、前
記気泡流における洗浄水と空気の混合比を調整する手段
を有するものとすることができる。この場合、上記のよ
うな空気分散を通して水と空気とが完全に独立した状態
を得るために空気塊を微細化するのであるが、その微細
化の程度は、気泡径が100〜1000μmであること
が好ましい。気泡径を100μm以上ですれば、気泡の
微細化に必要なエネルギを少なくできる。また、気泡径
を1000μm以下とすれば、隣り合う気泡同士の結合
を発生し難くでき、体積比で1.3倍以上の大量の空気
を含む気泡流として安定させることができる。
【0020】上記のように比の値を規定したので、混入
空気の持つ運動量を分散混合したそれぞれの空気で洗浄
水に確実に伝達できるので、洗浄水の流速を増大させそ
の運動量をも増大させる。しかも、上記の比の値として
規定される空気混入率η(=Qa/Qw)を従来ではそ
の上限であった値1.3以上として、従来以上の洗浄水
の少量化を図ることができる。更には、上記の気泡流と
して混入空気を分断状態にするので、従来の上限値1.
3以上という高い空気混入率ηであっても、気泡の合一
の機会を低減させ、気泡径の拡大並びに気相の連続相化
を起こさない。よって、噴霧流等の非所望の流動様相を
招くことがない。従って、高い空気混入率ηでの空気混
入により、節水の実効性を確実に高めることができる。
また、気相の連続のない上記の気泡流として上記のよう
に運動量が増大した洗浄水で局部洗浄を行なえるので、
噴霧流等の非所望の流動様相での局部洗浄とは異なり、
高い洗浄力を確実に発揮できると共に、好適な洗浄感を
付与できる。更に、混入空気の運動量を確実に洗浄水に
伝達できることから、エネルギ損失を抑制でき、洗浄水
自体を高い運動量で供給する必要がない。よって、洗浄
水供給に消費電力が大きい高能力のポンプ機器を必要と
しないばかりか、空気混入にも高能力のポンプ機器を必
要としない。この結果、節電効果を高めることができ
る。
【0021】また、前記混合比調整手段を、前記空気混
入手段を制御して空気の混入量を制御し、前記空気流量
Qaを調整する第1調整手段と、前記空気混入部を通過
する洗浄水の通過量を制御し、前記洗浄水流量Qwを調
整する第2調整手段の前記第1、第2調整手段の少なく
とも一方を有するものとすることができる。
【0022】こうすれば、空気流量Qaと洗浄水流量Q
wのいずれか若しくは両者の調整を通して、空気混入率
ηを確実に1.3以上とできる。この場合、空気混入部
を通過する洗浄水の通過量は、この空気混入部、延いて
は管路に供給される洗浄水供給量に依存するといえるの
で、この洗浄水供給量を制御することもできる。また、
空気混入部に至るまでの管路において管路の開度を調整
し、管路内で洗浄水通過量を制御することもできる。
【0023】また、前記混合比調整手段を、前記空気混
入部を通過する洗浄水の通過状況に基づいて前記空気混
入手段を制御して空気の混入量を制御し、前記空気流量
Qaを調整する手段を有するものとすることができる。
【0024】こうすれば、何らかの原因、例えば水道管
等の洗浄水供給源側の圧力低下等により洗浄水の通過状
況、具体的にはその供給量が変動しても、空気混入率η
を確実に1.3以上とできる。この場合、空気混入部で
の洗浄水の通過状況は、実際の供給圧力や供給量で把握
できることから、洗浄水圧力や供給量の検出値に基づい
て空気混入量を制御することができる。また、この通過
状況は、空気混入部に至るまでの管路における管路開度
の調整状況でも把握できることから、この管路開度の調
整値に基づいて空気混入量を制御することができる。後
者の場合には、洗浄水圧力や供給量の検出デバイスが不
要である点で、構成が簡略となり好ましい。
【0025】また、前記空気混入部を、微細な気泡を洗
浄水に混入する微細気泡混入手段を有するものとするこ
とができる。
【0026】こうすれば、空気は微細な気泡となって洗
浄水に混入し、混入した各気泡は、微細であることから
独立気泡の状態を保つので、周囲の気泡との合一機会を
より低減できる。よって、空気の分散混合をより確実な
ものとして上記の気泡流を得ることができ、スラグ流等
の非所望の流動様相としないので、高い節水効果を容易
に得ることができる。
【0027】この場合、前記微細気泡供給手段を、平均
直径が約100μm〜1000μmの微細な気泡を洗浄
水に混入するものとすることができる。こうすれば、気
泡は、その規定された粒径によって高い剛性を有するこ
とになり、気泡形状の変形を起きにくくできる。よっ
て、気泡の合一機会の低減に加え、気泡合一自体をも起
きにくくできるので、空気が安定して分散混合した気泡
流とできる。また、洗浄水中で気泡の不要な運動を起こ
さないので、空気の運動量を洗浄水に伝達する際のエネ
ルギ損失も少なくなる。よって、上記したように、節水
の実効性と節電効果とをより高めることができる。
【0028】また、前記微細気泡供給手段を、洗浄水に
接する面に多数分割された独立開孔を有するものとする
ことができる。こうすれば、空気は、それぞれの独立開
孔を経て洗浄水に個々の気泡として別々に混入し、各気
泡は、形成当初から独立気泡の状態を保つ。この各気泡
は、独立開孔にある程度依存した小さな径の略球形形状
となるので、剛性が高く変形もしにくい。よって、気泡
の合一機会の低減に加え、気泡合一自体をも起きにくく
できるので、空気が安定して分散混合した気泡流とでき
る。しかも、各気泡は、それぞれの独立開孔から個別に
形成されて独立気泡の状態で洗浄水に混入するので、高
い分散効率で気泡が洗浄水に当初から混合する。そし
て、このように混合した気泡は、洗浄水の流れの乱れに
より拡散し、洗浄水においてより均一に分散する。よっ
て、上記のように気泡合一が起きにくいことと相俟っ
て、気泡(混入空気)の運動量はより効率よく洗浄水に
伝達される。この結果、上記したように、節水の実効性
と節電効果とをより高めることができる。
【0029】また、前記微細気泡供給手段の独立開孔
を、その開孔配置が規則的なものとすることができる。
こうすれば、単位面積当たりの開孔数を増やすことがで
きると共に、気泡間の距離を均一に保つことができる。
よって、気泡生成時に連続気泡となりにくくスラグ流等
の非所望の流動様相を起こしにくいので、混入空気の運
動量を確実に洗浄水に伝達できる。また、開孔密度を増
やすことにより小型化も可能であり、この微細気泡供給
手段を有する空気混入部が装着される管路の大径化を要
しない。
【0030】更に、前記空気混入部を、前記管路の一部
を構成するものとすることができる。こうすれば、空気
混入部において、洗浄水の流れを乱したり流れのよどみ
を発生させない。ところで、気泡が混入した洗浄水にそ
の流れの乱れやよどみが発生すると、気泡同士の接触機
会が増加したり滞留時間が増えるので、気泡合一が発生
しやすく気泡の大径化を起こしやすい。しかし、上記し
たように洗浄水の流れの乱れやよどみを発生させないの
で、気泡を好適に分散混合でき、これを通して、節水の
実効性と節電効果とをより高めることができる。
【0031】この場合、前記空気混入部を、多孔質材料
で形成されたものとしたり、前記管路の洗浄水に接する
領域に亘って略網目状構造を有するものとすることがで
きる。こうすれば、上記の各微細気泡混入手段を容易に
管路に設けることができる。また、網目状構造は、繊維
等を重ね合せたり織り込むことで容易に形成可能であ
り、繊維等の太さ、間隔や配向を制御することで、網目
の開孔形状や開孔面積並びに開孔間距離などを容易に調
整できる。よって、これらの調整を経て、気泡をより確
実に分散混合できる。
【0032】また、前記空気混入手段を、前記空気混入
部の下流側の管路に、前記洗浄水の流れに含まれる気泡
塊を破砕し、前記洗浄水の流れを破砕気泡が洗浄水に分
散混合した気泡流に変遷する気泡破砕手段を有するもの
とすることができる。こうすれば、空気混入を経た洗浄
水の流れが連続気相を含むスラグ流等の非所望の流動様
相であっても、この洗浄水の流れに含まれる気泡塊を破
砕して気泡流に変遷できる。よって、この気泡流に変遷
後の洗浄水流で局部洗浄を行なうことができるので、上
記と同様、節水の実効性と節電効果とを高めつつ、高い
洗浄力を確実に発揮して好適な洗浄感を付与できる。
【0033】この気泡破砕手段による気泡塊の破砕は、
その破砕した結果の気泡径が100〜1000μmであ
ることが好ましい。即ち、気泡径を100μm以下とす
るまでに気泡を破砕するには相当のエネルギーが必要と
なり、かつ、その気泡破砕手段が洗浄水に対して大きな
流路抵抗となるからである。また、気泡径が1000μ
m以上となると隣り合う気泡同士の結合が発生し易くな
り、体積比で1.3倍以上の大量の空気を含む気泡流と
しては不安定となるからである。
【0034】また、異なる人体局部に洗浄水を噴出する
ための複数の噴出口と、それぞれの噴出口に至る複数の
噴出口側管路とを有し、前記空気混入手段からの前記気
泡流の流入先を、複数の前記噴出口側管路の一つに切り
替える切替手段を有するものとすることができる。
【0035】こうすれば、複数の人体局部を気泡流の状
態の洗浄水でそれぞれ洗浄することができる。そして、
各人体局部の洗浄に際して、上記と同様、節水の実効性
と節電効果とを高めつつ、高い洗浄力を確実に発揮して
好適な洗浄感を付与できる。この場合、噴出口とこれに
対応する噴出口側管路とを有するノズルを人体局部ごと
に複数本有するものとすることは勿論、複数の噴出口と
対応する複数の噴出口側管路を単一のノズルに有するも
のとすることもできる。
【0036】
【発明の他の態様】本発明は、以下のような他の態様を
採ることも可能である。即ち、前記噴出実行手段を、洗
浄水流量の変更時において、前記空気混入手段による空
気混入時期を調整する手段を有するものとすることもで
きる。こうすれば、洗浄水流量の変更時にあっても、混
合比の比の値Qa/Qwが所定範囲の目標値に略一致し
た状態で洗浄水を確実に噴出でき、使用者に違和感を与
えることがない。
【0037】
【発明の実施の形態】次に、本発明の人体洗浄装置の実
施の形態を人体局部を洗浄する局部洗浄装置に適用した
実施例に基づき説明する。図1は、実施例の局部洗浄装
置10の概略構成を表わしたブロック図、図2は、この
局部洗浄装置10の制御系を電子制御装置24を中心に
表わしたブロック図である。図示するように、この局部
洗浄装置10は、洗浄水を一旦貯留して予め温水化し、
この温水化した洗浄水を人体局部に噴出するいわゆる貯
湯式のものである。
【0038】局部洗浄装置10は、洗浄水タンクとして
機能する熱交換器12を備え、圧力調整機能を有する電
磁止水弁14を経由して、図示しない水道管から洗浄水
の供給を受ける。熱交換器12は、図示するように貯湯
式であることから、洗浄水の温度変化や温調むらを低減
できる利点がある。そして、この熱交換器12は、貯留
した洗浄水を適温に温水化するためのヒーター16と、
貯留洗浄水の水位を検知するための満水水位センサ18
および下限水位センサ20と、洗浄水温度を検出する温
度センサ22とを有する。このヒーター16は、電子制
御装置24からの制御信号を受けてオン/オフし、各セ
ンサは、電子制御装置24に検出信号を出力する。電子
制御装置24は、CPU、ROM、RAM等を有する論
理演算回路として構成され、局部洗浄装置10における
種々の制御を実行する。その一例として、電子制御装置
24は、温度センサ22の検出した洗浄水温度に基づい
てヒーター16をオン/オフ制御し、貯留洗浄水を適温
に維持する。また、電子制御装置24は、満水水位セン
サ18および下限水位センサ20からの水位信号の入力
状態に応じてヒーター16や電磁止水弁14を制御し、
空炊き防止や水位維持を図る。
【0039】局部洗浄装置10は、熱交換器12からノ
ズル装置26に至るまでの洗浄水供給系に、熱交換器1
2の側から、バキュームブレーカ28と流量調整弁30
とを有する。バキュームブレーカ28は、管路を大気開
放することで、ノズル装置26の側からの洗浄水の逆流
を防止する。流量調整弁30は、電子制御装置24から
の制御信号に基づいてノズル水路26aの管路開放と開
度調整(流量調整)を行ない、その下流のノズル装置2
6に洗浄水を流し込む。つまり、ノズル装置26への洗
浄水の供給・停止は、最上流の電磁止水弁14により実
行され、この流量調整弁30により供給洗浄水の流量が
調整される。
【0040】また、局部洗浄装置10は、ノズル装置2
6から噴出される洗浄水を気泡混入の洗浄水とするた
め、空気供給系として空気ポンプ32と流量調整弁34
とを有する。空気ポンプ32は、電子制御装置24から
の制御信号に基づいて駆動し、流量調整弁34に空気を
圧送する。この空気ポンプ32としては、約50000
〜10000Pa(約0.5〜1.0kgf/cm2
程度の圧送能力で定常運転できるものであれば良く、ロ
ーリングポンプ、ベーンポンプ、ロータリーポンプ、リ
ニアポンプ等の種々のタイプのものを採用できる。流量
調整弁34は、電子制御装置24からの制御信号に基づ
いてノズルエアー流路34aの管路開放と開度調整(流
量調整)を行ない、その下流のノズル装置26に空気ポ
ンプ32からの空気を送り込む。本実施例では、ノズル
装置26に送り込む空気量(流量)の調整は、流量調整
弁34の開度調整と空気ポンプ32の回転制御とを併用
して行なうようにした。この流量調整弁34と流量調整
弁30は、ステッピングモータを駆動源として有し、回
転位置を電源オフ後にも保持するいわゆる自己保持型の
弁構成を有する。そして、この両流量調整弁は、上記し
たそれぞれの管路の管路開放並びに流量調整を電子制御
装置24からの制御信号に基づいて実施する。なお、両
流量調整弁並びに空気ポンプ32の駆動の様子について
は後述する。
【0041】局部洗浄装置10は、ノズル装置26を進
退駆動させるため、ノズル駆動モータ33を有する。ノ
ズル駆動モータ33は、図示しないプーリ、ベルト等を
有する駆動伝達機構を介してノズル装置26と係合され
ている。このノズル駆動モータ33は、電子制御装置2
4からの制御信号により正逆回転駆動して、ノズル装置
26を図示しない本体ケーシング内の待機位置からお尻
洗浄位置或いはその前方のビデ洗浄位置に進出させた
り、両洗浄位置から待機位置に退避させる。
【0042】この他、局部洗浄装置10は、使用者に操
作されその使用意図を電気信号に変換して電子制御装置
24に出力する操作部72並びにリモートコントローラ
35と、図示しない便座に使用者が着座したことを検出
する着座センサ36と、主電源の操作部である電源投入
部38と、洗浄後の人体局部を乾燥させる図示しない乾
燥装置等(図2参照)を有する。操作部72とリモート
コントローラ35は、局部洗浄に付随する種々の指令を
使用者のボタン操作に伴い電子制御装置24に出力すべ
く、各種の操作ボタンを備える。この場合、操作部72
は本体ケーシングに設置され、電子制御装置24と有線
にてデータを送受信する。リモートコントローラ35
は、赤外線等の光信号を介して電子制御装置24とデー
タを送受信する。
【0043】本実施例では、本体ケーシング側の操作部
72で総ての操作ができるよう、この操作部72に、以
下のボタンを設けた。即ち、局部の洗浄を開始するため
のお尻洗浄ボタン72aやビデ洗浄ボタン72b、停止
ボタン72c、温風の吹き出しを開始するための乾燥ボ
タン72d、水勢に強弱の変化をつけて洗浄水を噴出し
つつ局部洗浄を行なうマッサージボタン72e、ノズル
装置26を前後動させながら洗浄水を噴出して局部洗浄
を行なうムーブボタン72f等の動作指令ボタンと、水
勢の強弱を設定する水勢設定ボタン72g、洗浄水の温
度を調節する吐水温設定ボタン72h、ノズル装置26
の位置を前後方向へ移動するノズル位置調節ボタン72
i、便座温度を調節する便座温度設定ボタン72j、空
気と洗浄水との割合を設定する混合比設定ボタン72
l、気泡量のレベルを設定する気泡量設定ボタン72m
等の動作設定ボタンと、温水洗浄便座全体の運転状態を
設定する運転入/切ボタン72n等を設けている。な
お、この操作部72は、上記した局部洗浄以外の機能に
関して、脱臭状態を設定する図示しない脱臭ボタンと、
室内暖房のオン,オフを設定する図示しない室内暖房ボ
タンと、便座ヒータや室内暖房ヒータへの通電時期を設
定する図示しないタイマ予約ボタンとをも備えている。
【0044】その一方、リモートコントローラ35は、
上記のボタンのうちその使用頻度が高いボタン、即ちお
尻洗浄ボタン72a、ビデ洗浄ボタン72b、停止ボタ
ン72c、乾燥ボタン72d、マッサージボタン72
e、ムーブボタン72fの動作指令ボタンと、水勢設定
ボタン72g、ノズル位置調節ボタン72i、混合比設
定ボタン72l、気泡量設定ボタン72mの動作設定ボ
タンを備えている(図示省略)。また、操作部72とこ
のリモートコントローラ35は、出力装置として、これ
らの各種操作ボタンによる操作の結果をランプや液晶に
よって表示する表示部73を、上記各ボタンと共に備え
る。なお、リモートコントローラ35と電子制御装置2
4は、光信号の送受信部(図示省略)を有する。
【0045】ここで、上記のリモートコントローラ35
が操作されて局部洗浄装置10が動作する様子を、ノズ
ル装置26の構成並びに空気混入の様子の説明に先立
ち、お尻洗浄を例として簡単に説明する。なお、操作部
72のボタンが操作された場合も同様である。
【0046】リモートコントローラ35のお尻洗浄ボタ
ン72aが操作されると、リモートコントローラ35
は、お尻洗浄開始信号を光信号送受信部から電子制御装
置24に送信する。電子制御装置24は、この信号を受
けて、種々の制御対象機器に制御信号を送る。つまり、
電磁止水弁14には管路を開く旨の制御信号を、空気ポ
ンプ32には空気圧送並びに圧送空気量(ポンプ回転
数)を行なう旨の制御信号を、流量調整弁30と流量調
整弁34とには管路開放並びに流量調整量(管路開放
量)に関する制御信号を、ノズル駆動モータ33にはノ
ズル装置26をお尻洗浄位置まで進出させる旨の制御信
号をそれぞれ送信する。電磁止水弁14等の上記の各制
御対象機器は対応する制御信号に基づいて駆動する。よ
って、ノズル装置26は、待機位置からお尻洗浄位置ま
で進出する。洗浄水供給系では、熱交換器12に洗浄水
が流れ込み、その分の熱交換器内洗浄水(温水洗浄水)
が、この熱交換器12からバキュームブレーカ28と流
量調整弁30を経てノズル装置26に流れ込む。また、
空気供給系では、空気ポンプ32の圧送した空気が流量
調整弁34を経てノズル装置26に流れ込む。そして、
後述するように洗浄水に空気が気泡状で分散混合した気
泡流の洗浄水(図7参照)がノズル装置26から噴出さ
れ、この洗浄水によりお尻洗浄が行なわれる。これら各
機器の駆動の様子については、後述のタイミングチャー
トにて詳述する。なお、空気ポンプ32を圧送空気量が
可変するよう構成並びに制御し、流量調整弁34を管路
の開閉を行なう開閉弁とすることもできる。また、空気
ポンプ32を定常運転とし、流量調整弁34にて空気量
調整を行なうようにすることもできる。
【0047】このようにしてお尻洗浄を行なう際、電子
制御装置24は、リモートコントローラ35の上記動作
設定ボタンにて設定済みの洗浄水水勢の強弱等のお尻洗
浄機能に関する現在の設定状態を検出する。そして、電
子制御装置24は、洗浄水水勢に関する設定情報を流量
調整量(管路開放量)として流量調整弁30に送信し、
当該情報を受け取った流量調整弁30は、設定水勢とな
るように管路開度を調節する。この場合、本実施例で
は、後述するように空気混入を行なっていることから、
この空気混入率ηを考慮した管路開度とされる。また、
電子制御装置24は、設定水勢、即ち流量調整弁30に
よる流量調整に基づいた空気の流量調整量(管路開放
量)の制御信号を空気ポンプ32および流量調整弁34
に送信するので、空気ポンプ32と流量調整弁34は、
後述の空気混入率ηとなるよう、圧送空気量を調整す
る。なお、上記したように空気ポンプ32の可変制御を
通して空気混入率ηを調整する場合は、設定水勢に基づ
いた空気の流量調整量(混入空気量)の制御信号を空気
ポンプ32に送信し、当該ポンプを駆動制御する。ま
た、空気ポンプ32を定常運転とし流量調整弁34によ
る空気量調整を通して空気混入率ηを調整する場合は、
設定水勢に基づいた空気の流量調整量(混入空気量)の
制御信号を流量調整弁34に送信し、当該調整弁を駆動
制御する。
【0048】そして、リモートコントローラ35の停止
ボタン72cが操作されると、リモートコントローラ3
5は、停止信号を電子制御装置24に送信するので、電
子制御装置24は、上記各機器を元の状態に復帰させお
尻洗浄を終了する。これにより、洗浄水並びに空気の供
給は停止してノズル装置26は待機位置に退避し、局部
洗浄装置10は、次回以降の局部洗浄に備える。
【0049】次に、この実施例(第1実施例)の局部洗
浄装置10が有するノズル装置26について説明する。
図3は、ノズル装置26の概略構成を示す概略断面図、
図4は、ノズル装置26の移動の様子を説明するための
説明図である。
【0050】図示するように、ノズル装置26は、内部
に洗浄水流路を有するノズル本体40と、その先端に着
脱可能なノズルヘッド42と、ノズル本体基部側に位置
して気泡混合並びに洗浄水切替を行なうための気泡混合
・切替機構部44とを有する。ノズル本体40は、その
軸線方向に沿った3系統の洗浄水流路として、捨て水流
路41と、お尻洗浄のためのお尻流路43と、ビデ洗浄
のためのビデ流路45とを有する。この場合、お尻流路
43は、その径が約1.9mmとされ、ビデ流路45は
約2.5mmとされている。また、この両流路は、長短
とされているが、この流路を通過する洗浄水速度を考慮
するとほぼ同一流路長と仮定でき、本実施例では約95
mmである。ノズルヘッド42は、シールリング46を
介してノズル本体40先端に水密に取り付けられ、お尻
流路43と同径でこれに連続したお尻噴出流路47とそ
の先端のお尻噴出口49と、ビデ流路45と同径でこれ
に連続したビデ噴出流路51とその先端のビデ噴出口5
3とを有する。ビデ噴出口53は、大小二つの噴出口か
らなり、ビデ噴出流路51を通過した洗浄水を両噴出口
から同時に噴出する。捨て水流路41は、空気混入初期
の洗浄水を図示しない便器ボール部に排出するためのも
のであり、その先端の捨て水排出口42aは、上記の両
噴出口と異なり、下向き、即ち便器ボール部側に向いて
空けられている。
【0051】気泡混合・切替機構部44は、ノズル本体
40に水密に固定されるケーシング55と、図示しない
支持腕でこのケーシングに固定された流路切替器69と
を備える。このケーシング55は、その底部のモータ連
結体56でノズル駆動モータ33の動力を受け、ノズル
本体40を上記した待機位置、お尻洗浄位置およびビデ
洗浄位置に進退させる。ケーシング55の内部には、そ
の周壁に沿って図中上下に摺動する空気室形成体58が
水密に組み込まれている。空気室形成体58は、その内
部に空気混入体60を備える。この空気混入体60は、
ノズル本体40の側の支持体61とその反対側の支持体
62とで、空気室形成体58の内壁から隙間を隔てて保
持されている。また、空気室形成体58は、図示する上
端側に空気室切替部63を備え、その下端側のケーシン
グとの間の間隙に、スプリング64を備える。そして、
支持体62は、上記の流量調整弁30と接続され、その
内部の洗浄水導入路65から、空気混入体60中央を貫
通する貫通孔66に洗浄水を導き入れる。その一方、空
気室切替部63は、上記の流量調整弁34と接続され、
その内部に形成された空気導入路67から、空気室形成
体58と空気混入体60との間の間隙に空気を導き入れ
る。このように洗浄水並びに空気が導かれる空気混入体
60は、独立した開孔を形成する多孔質であることか
ら、上記のように導かれた空気を貫通孔66に通過さ
せ、この貫通孔66において、洗浄水に空気を気泡状に
混入させる。そして、気泡混入済みの洗浄水は、支持体
61中央の貫通孔68を経て、上記の捨て水流路41、
お尻流路43又はビデ流路45のいずれかに流れ込み、
便器ボール部に捨て水されたり、お尻洗浄或いはビデ洗
浄に供せられる。なお、気泡混入の様子並びに空気混入
体60の製造手法については、後述する。
【0052】流路切替器69は、空気室切替部63を押
圧して、空気室形成体58を空気混入体60ごとケーシ
ング55内で移動させることで、気泡混入済みの洗浄水
の供給先を、上記の捨て水流路41、お尻流路43又は
ビデ流路45のいずれかに切り替える。
【0053】次に、上記の気泡混入済み洗浄水の供給先
の切替の様子を、ノズル装置26の移動の様子と関連付
けて説明する。
【0054】図4に示すように、お尻洗浄ボタン72a
が操作される以前にあっては、ノズル装置26は、図中
左側の待機位置にあり、この場合には、空気室形成体5
8は、スプリング64の付勢力を受けて上方の初期位置
にある。この状態では、支持体61の貫通孔68とケー
シング55の捨て水側貫通孔73とが対向するので、気
泡混入済み洗浄水は、ノズル本体40における捨て水流
路41を通過し、捨て水噴出口41aから便器ボール部
に噴出される。
【0055】この状態からお尻洗浄ボタン72aが操作
されると、ノズル装置26は、待機位置から図中中央に
示すお尻洗浄位置まで前進する。このノズル前進の間に
おいても流路切替器69は作動しないので、支持体61
の貫通孔68は、ケーシング55の捨て水側貫通孔73
と対向したままである。よって、このノズル移動の間に
あっても、気泡混入済み洗浄水は、捨て水流路41を通
過し、捨て水噴出口41aから便器ボール部に噴出され
る。
【0056】しかし、ノズル装置26がお尻洗浄位置に
達すると、流路切替器69が作動して空気室切替部63
は押圧される。よって、ノズル装置26がお尻洗浄位置
を採ると、空気室形成体58は、スプリング64の付勢
力に抗して上記の初期位置から流路切替位置(図の中
央)に移動する。この状態では、支持体61の貫通孔6
8とケーシング55のお尻側貫通孔70とが対向するの
で、気泡混入済み洗浄水は、ノズル本体40におけるお
尻流路43を通過し、お尻噴出口49から噴出される。
つまり、ノズル装置26がお尻洗浄位置に達するまで
は、洗浄水は捨て水され、ノズル装置26がお尻洗浄位
置に達した時点で、お尻噴出口49からの洗浄水(気泡
混入済み洗浄水)の噴出が始まる。
【0057】また、ビデ洗浄ボタン72bが操作された
場合もお尻洗浄時と同様であり、ノズル装置26が待機
位置から図中右側のビデ洗浄位置まで前進する間におい
て、気泡混入済み洗浄水は、便器ボール部に噴出され
る。そして、ノズル装置26がビデ洗浄位置に達する
と、流路切替器69が作動して支持体61の貫通孔68
をケーシング55のビデ側貫通孔71と対向させる。よ
って、ノズル装置26がビデ洗浄位置に達するまでは、
洗浄水は捨て水され、ノズル装置26がビデ洗浄位置に
達した時点で、ビデ噴出口53からの洗浄水(気泡混入
済み洗浄水)の噴出が始まる。なお、ノズル装置26の
上記の両洗浄位置から待機位置への復帰の際には、流路
切替器69は元の状態に復帰すると共に、空気室形成体
58はスプリング64の付勢力を受けて初期位置に復帰
し、次回のお尻洗浄・ビデ洗浄に備える。
【0058】次に、気泡混合・切替機構部44での洗浄
水への空気混合の様子について説明する。この気泡混合
・切替機構部44は、気泡ポンプとして機能することか
ら、当該ポンプの概念を模式的に表わした図5の模式図
として示すことができる。この図5に示すように、この
気泡ポンプ80は、気泡混合・切替機構部44における
空気室形成体58に相当する空気混入混合筐体81と、
その内部に空気室82を隔てて支持された気泡分散体8
3を有する。この気泡分散体83が、気泡混合・切替機
構部44における空気混入体60である。この場合、洗
浄水管路84の管路径や気泡分散体83の中央貫通孔径
等は、気泡混合・切替機構部44における支持体62の
洗浄水導入路65の管路径、空気混入体60の貫通孔6
6の径等と同じであり、約1.5〜3.0mmである。
【0059】気泡分散体83は、洗浄水管路84に連続
した管路を形成し、当該管路を流れる洗浄水に接する
面、即ち管路壁面全周に、多数の独立開孔を備える。よ
って、空気導入管85から空気室82に圧送された空気
は、気泡分散体83の上記の各独立開孔から管路内に送
られ、各開孔箇所にて膨らむ。この場合、空気室82
は、圧送された空気の圧力変動や圧力分布を吸収する緩
衝領域として機能するので、空気は、著しい速度差を生
じることなく気泡分散体83を通過する。そして、上記
した空気の膨らみは、それぞれの開孔で洗浄水の流れか
ら受ける剪断力により断ち切られて気泡となり、それぞ
れ個別に洗浄水に混入する。
【0060】本実施例では、気泡分散体83(空気混入
体60)における上記の独立開孔を後述する形成材料の
選定並びに工程設定を経て形成し、各独立開孔からの形
成気泡の径が約100〜1000μmとなるようにし
た。よって、洗浄水には、このような微細な径の気泡が
独立して混入・混合する。しかも、各気泡は、形成当初
から独立気泡の状態を保ち、独立開孔にある程度依存し
た小さな径の略球形形状となるので、剛性が高く変形も
しにくい。このため、混入した気泡の合一機会は低減す
ると共に、気泡合一自体をも起きにくくできるので、気
泡分散体83により、洗浄水の流れを、空気が気泡状態
で安定して分散混合した気泡流とできる。この際、各気
泡は、上記したようにそれぞれの独立開孔から個別に形
成されて独立気泡の状態で洗浄水に混入するので、高い
分散効率で気泡が洗浄水に当初から混合する。つまり、
気泡分散体83において空気の混入、微細化、分散混合
が同時に行われることになる。
【0061】この気泡分散体83は、洗浄水管路84に
連続した管路を形成しているので、洗浄水の流れに乱れ
やよどみを発生させることがなく、この乱れやよどみに
よる気泡合一の機会を低減できる。また、洗浄水管路8
4における洗浄水流れ方向に沿って独立開孔を多数有す
るので、この洗浄水流れ方向における多数箇所から気泡
混入を図り気泡発生密度を低くできる。よって、大量の
空気をこの気泡分散体83から混入させても、気泡生成
時の気泡合一が発生しにくく微細な独立気泡を生成でき
る。
【0062】このように、上記の気泡ポンプ80として
模式的に表わされた気泡混合・切替機構部44は、上記
したように洗浄水に気泡を確実に分散混合させ気泡合一
を起きにくくしている。よって、気泡混合・切替機構部
44より下流の洗浄水の流れは、図6に示すような気泡
流の洗浄水流(図6(a))となり、洗浄水に混入した
気相が連続相として存在するスラグ流(図6(b))や
環状流(図6(c))或いは噴霧流(図6(d))の非
所望の流動様相となることはない。従って、本実施例で
は、圧送空気の有する運動量(エネルギ)を、確実に、
効率よく、迅速に洗浄水に伝達することができる。ま
た、微細な気泡は剛性が高く変形しにくく、不要な運動
をしないのでエネルギ損失は少ない。上記の気泡ポンプ
80から噴出される洗浄水の流れの様子を写真撮影した
ところ、図7の写真の読取画像に示すように、この噴出
洗浄水流は、噴出口から広がることなく真っ直ぐに噴出
することが判明した。また、この噴出洗浄水流は、上記
のように気泡が分散混合した気泡流であることから、乳
白色であった。そして、本実施例では、ノズル装置26
がお尻・ビデの洗浄位置にある状態において、上記の気
泡流の洗浄水をノズル本体40におけるお尻流路43或
いはビデ流路45に送り込み、既述したお尻洗浄或いは
ビデ洗浄に供せられる。その一方、空気混入初期のた
め、気泡の分散混合が過渡状態にある間にあっては、既
述したとおり、その洗浄水は便器ボール部に捨て水され
る。なお、エネルギ効率については後述する。
【0063】本実施例では、リモートコントローラ35
の停止ボタン72cが操作され局部洗浄を停止する際に
は、上記したノズル装置26の退避制御等の他、以下の
空気混入制御を行なう。即ち、停止ボタン72cが操作
されると、空気供給系に関しては、洗浄水停止後にも空
気ポンプ32を所定時間連続して駆動し、空気混入体6
0に継続して空気を送り込む。これにより、空気混入体
60における貫通孔66の表面からは、洗浄水がない状
態で、引き続き空気が吹き出される。よって、空気混入
体60の独立開孔内部には、水の浸透圧等により洗浄水
が進入することがないようにできる。延いては、流量調
整弁34や空気ポンプ32に洗浄水が達することがない
ようにできるので、これら機器の水による損傷を回避で
きる。また、空気混入体60の独立開孔表面およびその
周辺に付着した水滴やゴミなどを除去することが可能で
あり望ましい。
【0064】ここで、上記の空気混入体60、即ち図5
の気泡ポンプの気泡分散体83により分散混合される気
泡について説明する。気泡分散体83により生成された
直後の気泡径を測定し、この気泡径と気泡ポンプ80に
流れ込む洗浄水流速との関係を調べた。気泡径の測定
は、洗浄水流をマクロレンズを装着した高速度ビデオカ
メラで撮影し、その画像を拡大して寸法測定し、その後
に平均化したものを気泡径とした。その結果を図8に示
す。なお、図8における縦軸は、生成気泡径の対数軸で
ある。
【0065】この図8に示すように、気泡生成直後の気
泡径は、流れ込む洗浄水流速に依存して変化し、洗浄水
流速が大きければ気泡径は小さくなり、洗浄水流速が小
さければ気泡径は大きくなる関係があることが判った。
これは次のように説明できる。つまり、洗浄水流速が増
大するほど気泡断ち切りに関与する剪断力は大きくなる
ので、洗浄水流速が増大するほど気泡は速やかに生成さ
れる。このことから、気泡生成時の洗浄水流速を変化さ
せることにより、生成気泡径の制御は可能である。この
場合、空気混入体60(気泡分散体83)に流れ込む洗
浄水の流量が略一定であれば、空気混入体60(気泡分
散体83)における洗浄水通過断面積を変えることで洗
浄水流速を変化させて、気泡径を制御できる。また、本
実施例のように空気混入体60(気泡分散体83)にお
ける洗浄水通過断面積が不変であれば、洗浄水流量を制
御して気泡径を制御できる。また、剪断力の効果が同一
であれば、生成気泡径は空気混入体60(気泡分散体8
3)の洗浄水に接した面の開孔面積に概略比例するの
で、これを利用して気泡径を制御してもよい。なお、本
実施例では、洗浄水流速を約2〜4m/sとして、生成
気泡径が約100〜約1000μmの範囲内に確実に入
るようにした。
【0066】また、空気混入体60(気泡分散体83)
にて得られた上記の気泡流について、管路内滞留時間と
気泡合一による気泡成長の関係を調べた。気泡径は、気
泡ポンプ80の噴出口から異なる距離だけ離れた2点の
測定個所にて、上記の測定手法で測定し、管路内滞留時
間は、この噴出口から2点の測定個所までのそれぞれの
距離と洗浄水流速とから算出した。その結果を図9に示
す。なお、図9における縦軸は、成長した気泡径Dを生
成時の気泡径Dbで除算した気泡径成長比を表わした対
数軸である。
【0067】この図9に示すように、約12msに亘っ
て気泡流が管路を滞留してもほぼ2.5倍程度しか気泡
は成長せず、約17msの管路滞留であっても約4倍程
度しか気泡は成長しなかった。
【0068】また、洗浄水管路84が種々の管路径とさ
れた気泡ポンプ80を用意し、この気泡ポンプ80の噴
出口に管路長が約95mmの洗浄水通過管を連結し、管
路径と当該通過管の洗浄水滞留時間の関係を調べた。そ
の結果を図10に示す。なお、気泡ポンプ80には0.
7リットル/分の水量で洗浄水を流し込み、気泡分散体
83には空気導入管85を経て1.4リットル/分の空
気量で空気を圧送・混入した。この場合の空気混入率η
(空気混入量/洗浄水量)は、200%である。
【0069】管路長約95mmのお尻流路43(管路径
1.9mm)とビデ流路45(管路径2.5mm)にお
ける洗浄水(気泡流)の滞留時間は、この図10から、
それぞれ約3ms、約6msである。従って、上記両流
路を有するノズル装置26に図9の結果を当てはめる
と、お尻流路43の場合にあっては、空気混入体60で
生成した約100〜1000μmの径の気泡を約1.4
倍の約140〜1400μmにしか成長させない。ま
た、ビデ流路45にあっても、約1.8倍の約180〜
1800μmにしか成長させない。このため、お尻噴出
口49およびビデ噴出口53からは、気泡が依然として
微細な状態で確実に分散混合したままの気泡流で洗浄水
を噴出して、このような洗浄水で局部洗浄を行なうこと
ができる。しかも、上記のようにお尻流路43とビデ流
路45を管路径が異なるものとしたので、以下の利点が
ある。
【0070】本実施例では、気泡混合・切替機構部44
での気泡混入をお尻洗浄とビデ洗浄で共通とした。よっ
て、気泡混合・切替機構部44での空気混入時の洗浄水
通過速度や管路断面積(空気混入体60の貫通孔断面
積)は同一であり、生成される気泡径は同一となる。ま
た、設定水勢が同一であればこの両局部洗浄時の洗浄水
供給量(水量)は同じとなり、上記したようにほぼ同一
管路長のお尻流路43かビデ流路45を気泡流の洗浄水
が通過する。この場合、お尻流路43は管路径が小さく
ビデ流路45は大きいことから、気泡流の洗浄水がお尻
流路43を通過する場合とビデ流路45を通過する場合
とでは、洗浄水通過速度が異なり、上記のように洗浄水
(気泡流)の滞留時間も異なる。つまり、図9からも判
るように、お尻流路43では、洗浄水滞留時間が短く気
泡径も小さい。その一方、ビデ流路45では、洗浄水滞
留時間が長く気泡径はお尻流路43の場合よりも大き
い。このため、お尻流路43を経てお尻噴出口49から
噴出される洗浄水は気泡径の小さい気泡流となるので、
ハードな洗浄感を与えることができる。また、ビデ流路
45を経てビデ噴出口53から噴出される洗浄水は気泡
径の大きい気泡流となるので、ソフトな洗浄感を与える
ことができる。この結果、使用感に優れたお尻洗浄とビ
デ洗浄を図ることができる。
【0071】また、図9から、滞留時間が増すとともに
気泡合一の機会が増して気泡は成長するので、滞留時間
を制御することにより気泡径の制御が可能であるといえ
る。そして、流量を変更すれば上記したように気泡生成
時の気泡径を制御できることから、流量変更で成長後の
気泡径も制御できる。この場合、流量を小さくすれば、
生成気泡径が大きくなり上記の両噴出口からは比較的大
きな径の気泡が分散混入した気泡流となる。よって、ソ
フトな感触の洗浄感を与えることができる。一方、流量
を大きくすれば、生成気泡径が小さくなり上記の両噴出
口からは比較的小さな径の気泡が分散混入した気泡流と
なる。よって、この場合には、ハードな感触の洗浄感を
与えることができる。つまり、このように流量制御を通
して変化に富んだ洗浄感を得ることができる。
【0072】次に、上記の気泡混合・切替機構部44で
得られる効果について、その模式的な構成を有する図5
の気泡ポンプ80を用いて説明する。まず、空気混入に
よる洗浄水の運動量増加効果について説明する。洗浄水
の運動量は、気泡ポンプ80の噴出口から洗浄水を噴出
させた場合、この噴出洗浄水がもたらす荷重で把握でき
る。よって、気泡ポンプ80の噴出口に対向して荷重側
定器を配置し、この噴出洗浄水の荷重を、種々の空気混
入率ηの気泡流の洗浄水について測定した。その結果を
図11に示す。なお、この図11における縦軸は、空気
未混入の洗浄水(空気混入率η=0)を気泡ポンプ80
から噴出した場合に得られる荷重で除算した荷重比であ
る。また、図において本実施例とされているものは、気
泡混合・切替機構部44と寸法等の点で同等の気泡ポン
プ80を意味する。従来技術とされているものは、周壁
に単一の空気混入孔を空けただけの管体を気泡分散体8
3に替わって組み込んだ気泡ポンプを意味し、分岐管か
ら管路内に単純に空気を混入させただけの従来の手法で
ある。また、図中の理論値と示した直線は、以下のよう
にして導いたものである。
【0073】管路を通過する流体の運動量Euは、管路
面積をS、流体密度をρ、流体速度をVとすると、次の
式(1)と表わすことができる。
【0074】Eu=ρ・S・V2 …(1)
【0075】空気の密度ρaは水の密度ρwに比べて無
視できるほど小さいので、洗浄水に空気を混入した混合
洗浄水の密度は、空気混入率η(空気流量/洗浄水流
量)と洗浄水の密度ρwから、ρw/(1+η)とな
る。また、この混合洗浄水の速度は、空気混入率ηと洗
浄水の速度Vから、V・(1+η)となる。よって、空
気混入率ηの混合洗浄水の運動量Euは、次の式(2)
と表わすことができる。
【0076】 Eu=(ρw/(1+η))・S・V2 ・(1+η)2 =ρw・S・V2 ・(1+η) …(2)
【0077】そして、この式(2)の運動量を空気未混
入の洗浄水(空気混入率η=0)の運動量(ρw・S・
2 )で除算した運動量比(1+η)は、上記の荷重比
に相当し、この運動量比が理論値として図に示されてい
る。この理論値における混合洗浄水は、洗浄水に空気が
理想的に分散混合した気泡流の洗浄水に他ならず、連続
気相が存在するようなスラグ流等の非所望の流動様相の
洗浄水ではない。よって、上記の荷重比がこの理論値に
近似すればするほど、その洗浄水は空気が理想的に分散
混合した気泡流であるといえる。
【0078】図11から、従来技術での荷重比は、1よ
りも低い空気混入率ηの時点から上記の理論値と相違
し、空気混入率ηが約1.3となると、約1.5程度の
荷重比しか得られない。よって、従来技術では、空気混
入率ηを洗浄水流量に対して1以上に高めても、洗浄水
に空気が理想的に分散混合した気泡流を得ることはでき
ず、スラグ流等の非所望の流動様相となるに過ぎない。
このため、洗浄水への空気混入を通して節水化を図ろう
としても、この非所望の流動様相であるが故に、上記し
たように洗浄力が低下するので、空気混入を受ける洗浄
水自体の流量増を必要とする。なお、この従来技術で
は、空気混入率ηを約1.3以上としても荷重比に増大
変化が見られないのは、従来技術の手法で空気混入率η
を高めても、既述したようにこの空気混入率ηでは噴霧
流に相転してしまい、それ以上の運動量増大を得ること
ができないからだと考えられる。
【0079】これに対し、本実施例では、空気混入率η
がほぼ4に近くなるまで、上記の理論値と合致し、最高
で約4.5という高い荷重比を得ることができた。よっ
て、本実施例によれば、従来技術にあっては噴霧流に相
転してしまう1.3以上という高い空気混入率ηとして
も、洗浄水に空気が理想的に分散混合した気泡流を確実
に得ることができる。よって、この気泡流の洗浄水とす
ることを通して、洗浄水の運動量を空気混入により確実
に増大できる。このため、少量の洗浄水で高い洗浄力を
発揮でき、節水の実効性を高めることができる。これ
は、上記した独立開孔を有する空気混入体60(気泡分
散体83)により、上記したように、空気の微細気泡で
の混入並びに分散混合を行なうからである。
【0080】また、上記の理論値と合致するので、特に
約3までの空気混入率ηの範囲ではきわめて良く合致す
るので、空気の運動量をロスなく洗浄水に伝達できる。
よって、空気混入を行なう際に投入したエネルギ(空気
圧送エネルギ等)を低減できる。これは、微細気泡での
混入並びに分散混合を同時に行なうことによると考えら
れる。
【0081】本実施例でも、空気混入率ηが4に近くな
ると荷重比の増大程度が小さくなっている。これは、独
立開孔を介して微細気泡での混入並びに分散混合を行な
ったとしても、気泡合一の機会が空気混入率ηの増大に
より増えて気泡合一がある程度起きるからだと考えられ
る。よって、独立開孔を介した微細気泡の混入並びに分
散混合であっても、空気混入率ηが4を越えると噴霧流
への相転が起き得るので、本実施例での空気混入率ηは
4以下とすることが好ましい。
【0082】このように、図11から、空気混入率ηと
洗浄水荷重比の関係を規定できるので、ノズルの上記各
流路に洗浄水荷重を検出する荷重センサ等を設置すれ
ば、空気混入開始当初から、空気混入率ηを把握でき
る。よって、その結果に基づいて流路切替器69の作動
を行うタイミングを規定することができる。既述したよ
うにノズル装置26がお尻・ビデの洗浄位置に達すると
流路切替器69を作動してお尻洗浄・ビデ洗浄のための
洗浄水(気泡混入済み洗浄水)を噴出するが、不足の事
態により、ノズル装置が洗浄位置に達しても空気混入率
ηが設定の値となっていないこともある。このような場
合には、上記のセンサで空気混入率ηが設定値となるま
では流路切替器69の作動を行わず、空気混入率ηが設
定値となった時点で流路切替器69を作動するようにす
ることもできる。こうすれば、設定空気混入率で気泡混
入済み洗浄水を確実にお尻・ビデ洗浄時に噴出できるの
で、使用者に違和感を与えることがない。
【0083】次に、上記の気泡混合・切替機構部44で
空気混入を行なう際のエネルギ効率について、図5の気
泡ポンプを用いて説明する。なお、図5において、Pは
流体の圧力を、Vはその速度を、Qはその流量を、ρは
その密度を表わしている。そして、これら記号に付した
添え字wは水についてのものであることを、添え字aは
空気のものであることを状態を、添え字tは気泡流のも
のであることを表わしている。ただし、Paにあって
は、気泡分散体通過時の空気圧力損失は除外し、空気の
密度ρaは水の密度ρwに比べて無視できるほど小さい
ので、空気自体の運動エネルギは無視することとする。
【0084】図5に示す気泡ポンプ80において、洗浄
水のエネルギは、図11を用いて説明したように気泡混
入により増加する。流れ込む洗浄水のエネルギをEwと
し、流れ出る洗浄水、即ち気泡流の洗浄水のエネルギを
Etとすると、気泡混入によるエネルギ増幅効果はEt
/Ewで表わされる。また、圧送空気のエネルギをEa
とすると、この気泡ポンプ80におけるエネルギ効率
は、出力エネルギーをすべての入力エネルギーで除算し
たEt/(Ew+Ea)で表わされ、ポンプとしての総
合効率である。このエネルギ増幅効果Et/Ew並びに
総合効率Et/(Ew+Ea)と空気混入率η(Qa/
Qw)との関係を図12に示す。この場合、上記各エネ
ルギは以下の数式で表わすことができる。
【0085】 流れ込む洗浄水のエネルギEw=PwQw+(ρw/2)QwVw2 … 流れ出る洗浄水(気泡流)のエネルギEt=PtQt+(ρt/2)QtVt2 … 圧送空気のエネルギEa=PaQa …
【0086】この図12から、本実施例で上記した気泡
流の洗浄水(図6(a)、図7参照)とし、その際の空
気混入率ηを1.3から4.0にすれば、エネルギ増幅
効果Et/Ew並びに総合効率Et/(Ew+Ea)の
点から好ましい。
【0087】つまり、既述したように、気泡ポンプたる
気泡混合・切替機構部44にて、空気の混入時に微細な
単独気泡を独立に生成し洗浄水中に大量に分散、混合さ
せると、空気の運動量を洗浄水に伝達し、洗浄水の運動
量を確実に増大させることができる。そして、気泡生
成、分散、混合を同時に行なうと、気泡混入後直ちに気
泡速度は洗浄水速度と略同一となる。よって、非常に効
率よく空気の圧力運動量を洗浄水に伝達することができ
る気泡ポンプとして機能する、また、気泡径が小さいと
剛性が高いので洗浄水中で不要な変形や振動を起こさな
いので、気泡が洗浄水中にあることによるエネルギー損
失も少ない。なお、空気混入率ηが概略4を超えると、
気泡流から環状流もしくは噴霧流に遷移するため、気泡
ポンプとしての機能は低下するので、運転条件は空気混
入率ηを4以下とした方が望ましい。
【0088】次に、局部洗浄装置10による洗浄動作に
ついて、図13のタイミングチャートに従って説明す
る。いま、使用者が便座に着座すると、着座センサ36
がオンし(時刻t1)、その旨の信号が電子制御装置2
4に入力される。電子制御装置24は、まず、ノズル装
置26内に残っている洗浄水を除去する残水除去前処理
を実行する。残水除去前処理は、空気ポンプ32を所定
時間T1だけその最高回転数で駆動すると共に、流量調
整弁34をこの時間T1だけ全開制御することにより行
なわれる。この場合、流量調整弁30は全開制御される
が電磁止水弁14は全閉状態のままであるので、ノズル
装置26に洗浄水が供給されることはない。これによ
り、ノズル装置26には、その内部の捨て水流路41に
空気だけが送られる。そして、時間T1経過後の流量調
整弁34の閉弁により、流量調整弁34では、ステッピ
ングモータの原点復帰がなされ、それ以降の開度調整が
好適となる。なお、上記の時刻t1で流量調整弁30を
全開とするのは、その後のお尻洗浄ボタン72a等の操
作に備えてノズル水路26aを開放しておくためであ
る。
【0089】図14は、ノズル装置26へのノズル水路
26aに残っている水が除去される様子を説明する説明
図である。上記したように、空気ポンプ32の駆動並び
に流量調整弁34の管路全開を経て、ノズル装置26内
の流路(捨て水流路41)に空気が吹き込まれると、図
14に示すように、この空気流通により捨て水流路41
内の気圧が低くなる。よって、捨て水流路41とその上
流側で繋がったノズル水路26aには、その内部の洗浄
水を吸引するサイホン作用が働く。このため、ノズル装
置26の頂部より低い位置にあるノズル水路26aの洗
浄水は、このサイホン作用を受けてノズル水路26aの
下流側へ吸引され、捨て水噴出口41aを通じて便器ボ
ール部に排出される。この残水除去前処理により、後述
するノズル前洗浄の時間を短くしたり省略したりする場
合に、冷水が人体局部に向けて噴出されてしまうことを
防止できる。なお、流量調整弁30の上流では、バキュ
ームブレーカ28により管路の大気開放がなされている
ので、上記の残水除去前処理により、熱交換器12内の
水がノズル装置26に吸引されることはない。また、こ
の残水除去前処理の際に、便座には使用者が着座してい
るが、空気は便器ボール部に吹き出されるので、使用者
にこの空気が当たることはなく、使用者に違和感や不快
感を与えない。
【0090】続いて、使用者が操作部72或いはリモー
トコントローラ35のお尻洗浄ボタン72aをオンする
と、ノズル前洗浄処理が、このオン信号(時刻t2)を
受けて実行される。即ち、空気供給系にあっては、図示
するように、空気ポンプ32をこの時刻t2から所定時
間T2だけその最高回転数で駆動すると共に、流量調整
弁34をこの時間T2だけ全開制御する。その一方、洗
浄水供給系にあっては、時刻t2にて、流路切替器69
を作動して洗浄水供給先をお尻流路43とすると共に、
流量調整弁30を全開とする。また、この時刻t2から
時間Tb経過した時刻t3にて電磁止水弁14を開弁す
る。これにより、ノズル装置26には、その内部のお尻
流路43に、熱交換器12からの洗浄水と空気ポンプ3
2からの空気が送られる。そして、空気ポンプ32から
の空気が空気混入体60(図3参照)にて洗浄水に混入
されるので、洗浄水は、既述したように気泡流の流動様
相を呈し、この状態でお尻噴出口49から噴出される。
このようにお尻噴出口49から噴出した気泡流の洗浄水
は、ノズル本体40先端に対向する図示しないチャンバ
により跳ね返り、お尻噴出口49並びにビデ噴出口53
周辺を洗浄する。こうして、両噴出口周辺を局部洗浄に
先立って洗浄するノズル前洗浄が、電磁弁開弁後の所定
のノズル洗浄時間T3の間に亘って行なわれる。
【0091】このとき、ノズル洗浄時間T3は、便座に
着座してからお尻洗浄ボタン72aを押すまでの洗浄待
機時間Tp1によって決められる。即ち、この洗浄待機
時間Tp1は、着座センサ36から着座した旨の信号を
受けてからお尻洗浄ボタン72aが押されるまでの用便
をしていた時間であり、この洗浄待機時間Tp1が長い
ほどお尻噴出口49の周辺が汚れる可能性が高い。従っ
て、洗浄待機時間Tp1が長い場合には、ノズル洗浄時
間T3を長くすることで、お尻噴出口49の周辺を充分
に洗浄することができる。一方、洗浄待機時間Tp1が
短い場合には、ノズル洗浄時間T2,T3が短くなり、
短時間のノズル前洗浄の後に、人体局部の洗浄が速やか
に開始され使い勝手がよい。
【0092】なお、ノズル前洗浄の際には、ノズル洗浄
時間T2,T3を変更するほか、空気混入率ηの変更を
合わせて行なうか、または空気混入率ηの変更を単独で
行なうようにすることもできる。具体的には、空気ポン
プ32の回転制御や流量調整弁34の開弁制御を併用し
て噴出洗浄水の洗浄力を調整し、適切な洗浄力でノズル
前洗浄を行なうようにしてもよい。このようなノズル前
洗浄処理において、空気ポンプ32を駆動して空気を混
入した気泡流により行なうので、少ない洗浄水水量であ
っても、強い水勢によりお尻噴出口49の周辺を好適に
洗浄することができる。よって、優れたノズル洗浄効果
を得ることができる。しかも、洗浄水に混入される気泡
は、100〜1000μmの微少なものであり、この混
入によって超音波振動を生じて、一層、洗浄効果を高め
ることができる。
【0093】上記したノズル前洗浄に引き続いては、局
部洗浄に推移する。即ち、まず、ノズル洗浄時間T3が
経過した時刻t4のときに、流量調整弁30を洗浄初期
流量に設定すると共に、空気ポンプ32と流量調整弁3
4を、この洗浄初期流量に適合させて駆動する。つま
り、この洗浄初期流量に対して設定空気混入率ηの空気
が混入するよう、空気ポンプ32と流量調整弁34を駆
動制御する。この際、空気ポンプ32と流量調整弁34
は、上記の時刻t4から時間Tcだけ経過した後に、即
ち、流量調整弁30の洗浄初期流量調整に時間Tcだけ
遅れて制御される。また、流路切替器69にあっては、
上記のノズル洗浄時間T3の経過後に作動されて、洗浄
水供給先を捨て水流路41に切り替える。これにより、
ノズル前洗浄に引き続いて、洗浄水は、気泡流の流動様
相を呈した状態のまま、捨て水噴出口41aから継続し
て噴出される。この時の洗浄水噴出先は、既述したとお
り、便器ボール部である。本実施例では、お尻洗浄ボタ
ン72aがオンされてから約5秒以内にこのノズル前洗
浄が完了するよう、上記の時間T2,T3を制限してい
る。
【0094】本実施例では、電磁止水弁14の開弁前の
時間Tbと、ノズル前洗浄終了の際の時間Tcにおい
て、空気ポンプ32を駆動状態に置く。これにより、空
気ポンプ32下流のノズルエアー流路34aを空気圧送
状態として、当該流路を洗浄水流路(ノズル水路26a
並びにお尻流路43、捨て水流路41)より高圧に維持
する。よって、ノズルエアー流路34aへの洗浄水流入
(逆流)を防止でき、空気ポンプ32の故障の原因を招
かない。また、ノズルエアー流路34aに洗浄水が入り
込むと、空気混入体60が洗浄水に濡らされ、細菌を増
殖させる要因になるが、このようなことも回避できる。
更に、上記した洗浄水流入(逆流)防止により、ノズル
エアー流路34aに逆止弁などを別途設ける必要がな
く、構成も簡単にできる。この場合、ノズルエアー流路
34aをノズル装置26の最頂部よりも高くなるよう上
方にループさせて配管することも、洗浄水流入防止の上
から好ましい。
【0095】上記したノズル洗浄時間T3に亘るノズル
前洗浄の終了に続いては、その時刻t4からノズル駆動
モータ33を駆動制御する。この際、ノズル駆動モータ
33には、ノズル装置26を待機位置からお尻洗浄位置
に進出させるための制御信号が出力される。これによ
り、ノズル装置26は、待機位置から定速で進出しお尻
洗浄位置に到達する。ビデ洗浄ボタン72bがオンされ
た場合は、ビデ洗浄位置に進出させるための制御信号が
ノズル駆動モータ33に出力され、ノズル装置26はビ
デ洗浄位置に進出する。こうしてノズル装置26が待機
位置から洗浄位置に進出している間にあっても、洗浄水
は、気泡流の流動様相を呈した状態で捨て水噴出口41
aから継続して噴出されている。
【0096】こうしてノズル装置26がお尻洗浄位置に
到達した時刻t5からは、以下のようにして局部洗浄を
実行する。なお、この時刻t5は、待機位置からお尻洗
浄位置までの距離をノズル装置26の進出速度で除算し
た時間だけ時刻t4から経過した時刻である。
【0097】まず、洗浄水供給系では、流路切替器69
を作動して洗浄水供給先をお尻流路43に切り替える
(図4参照)と共に、流量調整弁34を設定水量に対応
した管路開度となるまで上記の洗浄初期流量から階段状
に開弁制御する。空気供給系では、空気ポンプ32を設
定空気量に対応した回転数で駆動制御したまま、流量調
整弁34を設定空気量に対応した管路開度となるまで階
段状に開弁制御する。これにより、お尻洗浄位置にある
ノズル装置26には、そのお尻流路43に、時刻t5か
ら洗浄水と空気が共に送られる。よって、洗浄水は、空
気混入体60(図3参照)にて空気混入が図られた気泡
流の流動様相でお尻噴出口49から噴出され、人体局部
(お尻)を洗浄する。ビデ洗浄ボタン72bがオンされ
た場合は、ビデ洗浄位置にあるノズル装置26のビデ噴
出口53から噴出された気泡流の洗浄水により、ビデ洗
浄が実施される。
【0098】本実施例では、お尻洗浄を開始するまでの
期間、詳しくは、ノズル前洗浄終了時点からノズル装置
26がお尻洗浄位置に達するまでの期間に亘って、洗浄
水を気泡流の流動様相で継続して捨て水噴出口41aか
ら噴出させている。従って、洗浄水への空気混入を経て
その運動量の増大を図る際に、空気混入当初であるため
に空気混入率ηが設定値に達していない過渡状態の洗浄
水を、目的とするお尻洗浄のためのお尻噴出口49から
噴出させない。そして、お尻には、空気混入率ηが設定
値となった以降の洗浄水を気泡流の流動様相で噴出でき
る。このため、洗浄水の噴出をお尻に受ける使用者に違
和感を与えることがない。しかも、この捨て水噴出口4
1aからの洗浄水噴出に先立ち、ノズル前洗浄において
も洗浄水を気泡流の流動様相で噴出している。よって、
空気混入率ηが設定値に達していない過渡状態の洗浄水
の噴出期間を長くできるので、お尻洗浄時には、より確
実に空気混入率ηを設定値とした状態で、洗浄水を噴出
でき好ましい。
【0099】また、本実施例では、上記の局部洗浄の開
始初期の間(時間Td)にあっては、洗浄水流量と空気
流量を共に階段状に増加させ、その後は、洗浄水流量と
空気流量を共にその設定流量に維持する。よって、局部
洗浄開始当初から、空気流量Qaと洗浄水流量Qwとの
比である空気混入率ηが一定の気泡流で洗浄水を噴出で
きる。しかも、この空気混入率η並びに洗浄水水勢は上
記の設定ボタンにより設定可能であることから、使用者
の好みに応じた空気混入率η並びに洗浄水水勢で、好適
に局部洗浄を行なうことができる。なお、空気混入率η
の設定並びにこの空気混入率ηに応じた空気流量Qaと
洗浄水流量Qwの算出の様子については、後述する。
【0100】そして、使用者が停止ボタン72cを押す
とそのオン信号(時刻t6)を受けて、止水処理が行な
われる。即ち、止水処理では、まず、この時刻t6にお
いて、電磁止水弁14および流量調整弁30を閉弁制御
して、洗浄水の供給を停止する。そして、空気ポンプ3
2と流量調整弁34を、時刻t6から時間Tcだけ遅延
して停止制御・閉弁制御を行ない、空気の供給を停止す
る。この場合も、電磁止水弁14の閉弁に遅れて空気ポ
ンプ32を停止させているので、ノズルエアー流路34
a側が高圧に維持され、当該流路への洗浄水流入を防止
できる。その後、空気ポンプ32の停止並びに流量調整
弁34の全閉を待って、ノズル駆動モータ33に駆動信
号(逆転信号)を出力することにより、ノズル装置26
を洗浄位置から待機位置に後退させる。このノズルの退
避移動時に空気ポンプ32は停止し電磁止水弁14も全
閉とされているので、ノズル装置26は、この退避移動
の間に、お尻噴出口49などから空気や洗浄水を噴出し
ない。よって、ノズル退避時において尻なでは起きず、
使用者に不快感を与えることがない。
【0101】続いて、ノズル装置26の待機位置への復
帰を待って、ノズル後洗浄処理が実行される。ノズル後
洗浄処理は、ノズル前洗浄処理とほぼ同様な処理であ
り、待機位置へのノズル装置26の復帰後に、所定時間
T2だけ空気ポンプ32を駆動すると共に流量調整弁3
4を全開制御する。そして、時間Tbだけおくれて電磁
止水弁14と流量調整弁30を所定時間T4に亘って全
開制御する。その後は、電磁止水弁14を全閉制御し、
時間Tcだけおくれて空気ポンプ32の停止制御と流量
調整弁34の全閉制御を行なう。これにより、ノズル装
置26のお尻噴出口49の周辺部が局部洗浄実施後にも
洗浄される。このとき、ノズル後洗浄を行なう時間T4
は、お尻洗浄ボタン72aがオンされてから、停止ボタ
ン72cが押されるまでの時間Tp2により定める。こ
の時間Tp2は、洗浄動作開始から洗浄動作終了までの
時間であり、この時間Tp2が長いほど使用者が局部洗
浄の念入りな洗浄を所望しているので、その分だけ長く
局部洗浄が実行されお尻噴出口49の周辺が汚れている
可能性が高い。従って、洗浄の時間Tp2が長い場合に
は、ノズル後洗浄の時間T2,T4を長くして、お尻噴
出口49の周辺を充分に洗浄する。なお、このノズル後
洗浄の際にあっても、時間T2,T4を変更するほか、
ノズル前洗浄と同様に、空気混入率ηの変更制御を合わ
せて行なったり、空気混入率ηを単独で変更制御したり
して、適切な洗浄力でノズル後洗浄を行なってもよい。
【0102】続いて、使用者が便座から離れると(時刻
t7)、着座センサ36から離座信号が出力され、残水
除去後処理が実行される。この残水除去後処理は、残水
除去前処理と同様に、所定時間T5に亘る空気ポンプ3
2の駆動制御と流量調整弁34の全開制御により行なわ
れる。即ち、ノズル後洗浄実施後に電磁止水弁14を閉
じて止水している状態にて、空気ポンプ32から空気を
ノズル装置26に空気を送り込み、ノズル装置26の流
路内の残水を捨て水噴出口41aから排出する。これに
より、ノズル装置26内に洗浄水が残らず、つまり空気
混入体60を洗浄水で濡らした状態としないので、雑菌
の繁殖を防止する。この際、流路切替器69により、洗
浄水供給先をお尻流路43にしておき、このお尻流路に
ついても残水除去処理を行ってもよい。このお尻流路に
ついての残水除去後処理は、使用者は既に便座から離れ
ノズル装置26は待機位置に既に復帰した後のものなの
で、お尻噴出口49から空気が吹き出されても使用者に
違和感や不快感を与えない。
【0103】使用者は、停止ボタン72cを操作して局
部洗浄を一旦終了した後に、再度の局部洗浄を所望する
ことがある。このような場合に備え、使用者が着座して
いる間はノズル水路26aを開放しておくことが望まし
い。よって、流量調整弁30は、ノズル後洗浄実施後に
も全開のままとされ、使用者が便座から離れた時点で全
閉制御される。これにより、再度の局部洗浄を所望して
お尻洗浄ボタン72aが再度操作されても、電磁止水弁
14は全閉で流量調整弁30は全開であるので、既述し
たノズル前洗浄を速やかに実行でき、その後の局部洗浄
に移行できる。
【0104】次に、局部洗浄装置10による局部洗浄の
際に、使用者の好みに合わせて、空気混入率ηを変更す
る洗浄動作について説明する。電子制御装置24は、洗
浄動作の前または本洗浄動作中に、所定時間毎の割込処
理にて、気泡量設定ボタン72mおよび水勢設定ボタン
72gにて設定された設定値を読み込み、これらの設定
値に基づいて、流量調整弁30の開度および、空気ポン
プ32の出力(回転数)と流量調整弁34の開度をそれ
ぞれ制御して、洗浄水流量Qwおよび空気流量Qaを定
める。これにより、広範囲に空気混入率ηを設定するこ
とができる。
【0105】図15は水勢設定ボタン72gにより設定
された水量設定値Qwsと洗浄水流量Qwとの関係を示
すグラフであり、図16は気泡量設定ボタン72mによ
り設定された気泡量設定値Qasと空気流量Qaとの関
係を示すグラフである。図15において、水勢設定ボタ
ン72gにより設定された水量設定値Qwsに基づいて
洗浄水流量Qwが設定される。また、図16において、
気泡量設定ボタン72mにより設定された気泡量設定値
Qasに基づいて、水量設定値Qws毎に空気流量Qa
が設定される。即ち、水勢設定ボタン72gおよび気泡
量設定ボタン72mのそれぞれの設定値であるレベル1
〜5の5段階に対応した洗浄水流量Qwおよび空気流量
Qaが図15および図16のマップにより定められてい
る。
【0106】いま、使用者が、水量設定値Qwsおよび
気泡量設定値Qasを水勢設定ボタン72gと気泡量設
定ボタン72mとによってそれぞれレベル3に設定した
とする。すると、図15に基づいて、洗浄水流量Qw
は、400ccにセットされる。一方、空気流量Qa
は、図16における水量設定値Qws=3の直線と気泡
量設定値Qasのレベル3とから、750ccにセット
される。これにより、空気混入率ηが約1.9(=75
0/400)とされる。そして、この洗浄水流量Qwに
基づいて流量調整弁30の開度、および空気流量Qaに
基づいて空気ポンプ32および流量調整弁34の開度が
制御され、空気流量Qaおよび洗浄水流量Qwの比で定
義される空気混入率ηが任意に設定される。
【0107】この場合、水量設定値Qwsと気泡量設定
値Qasの設定を介して設定される空気混入率ηは、既
述したように1.3以上の値となるよう、水量設定値Q
wsと気泡量設定値Qasの設定下限値が定められてい
る。つまり、設定可能な水量設定値Qwsの各値に対し
て空気混入率ηが1.3となる下限の空気流量Qaがそ
れぞれ予め定められており、その下限値が気泡量設定値
Qasの設定下限とされている。そして、使用者により
空気混入率ηが1.3を下回るような水量設定・気泡量
設定がなされた場合には、空気混入率ηが1.3となる
ように空気流量Qaを高く決定したり洗浄水流量Qwを
低く決定する。例を挙げて説明すると、水量設定値Qw
sをレベル3とし気泡量設定値Qasをレベル1と設定
した場合は、上記した手法により、洗浄水流量Qwは4
00ccとされ、空気流量Qaは図16に示す点Xで規
定され約400ccとなる。ところが、この時の空気混
入率ηは1(<1.3)であるので、空気流量Qaは、
水量設定値Qws=3の直線に沿って上昇した点X0で
規定される流量(520cc)とされる。上限について
も同様であり、本実施例では、空気混入率ηが4以下と
なるようにされている。
【0108】このように水勢設定ボタン72gにより水
量設定値Qwsおよび気泡量設定ボタン72mにより気
泡量設定値Qasをそれぞれ調節して空気混入率ηを変
更することにより、洗浄強度Wfを調節することができ
る。例えば、使用者が同じ水量設定値Qwsであって
も、気泡量設定ボタン72mにより気泡量設定値Qas
の値を上げることにより、空気流量Qaを増大させて洗
浄強度Wfを増大させることができる。即ち、上述した
ように、気泡流の流動態様での洗浄水(以下、これを気
泡水という)の洗浄力は、洗浄水のエネルギーに、つま
り洗浄水流量Qwとその速度に依存する。空気が混入さ
れると、その空気混入率ηによって、洗浄水のエネルギ
ーが異なる。ある洗浄水流量Qwの洗浄水に対して、空
気を多く混入すると、流路面積が一定であるから、洗浄
水の速度が増大して、洗浄水(気泡水)のエネルギーが
増大する。よって、同じ水量であっても、空気流量Qa
を増大することにより水勢を増大させることができる。
一方、空気流量Qaを減少することにより、洗浄強度W
fが弱くなり、柔らかな洗浄感を得ることができる。こ
のように、使用者が水勢設定ボタン72gや気泡量設定
ボタン72mを調節することにより、好みに合わせた空
気混入率η並びに洗浄強度Wfの気泡水により局部を洗
浄することができる。
【0109】図17および図18は他の実施の形態を示
し、図17は混合比設定ボタン72lにより設定される
空気混入率ηを示すグラフ、図18は水勢設定ボタン7
2gにより設定される水量設定値Qwsと気泡水の噴出
量Qawとの関係を示すグラフである。ここで、気泡水
の噴出量Qawは、空気流量Qaと洗浄水流量Qwとの
合計を表わしている。この実施の形態において、混合比
設定ボタン72lにより混入率設定値λsをレベル1〜
5のいずれかに設定すると、空気混入率ηが設定され
る。この場合、レベル1の設定時に空気混入率ηが1.
3となり、レベル5の設定時に空気混入率ηが4となる
ようにされており、空気混入率ηが1.3〜4となる範
囲で混入率設定値λsを設定可能である。そして、水勢
設定ボタン72gの洗浄水の水量設定値Qwsに基づい
て、混入率設定値λsのレベル毎に、気泡水の噴出量Q
aw、さらに空気流量Qaが求められる。これらの値に
基づいて、流量調整弁30の開度および、空気ポンプ3
2の駆動力と流量調整弁34の開度がそれぞれ制御さ
れ、好みに合わせた空気混入率ηにて気泡水が噴出され
る。
【0110】ある空気混入率ηの気泡水を噴出する上で
必要となる空気流量Qaと洗浄水流量Qwは、上記の図
15〜図18を用いて説明したように、水量設定値Qw
sと気泡量設定値Qasとから、或いは混入率設定値λ
sと水量設定値Qwsとから定まる。そして、いずれの
場合でも水量設定値Qwsを必要とする。よって、本実
施例では、水量設定値Qwsについては水勢設定ボタン
72gによる設定値を常時使用し、気泡量設定値Qas
と混入率設定値λsについては次のようにした。この気
泡量設定値Qasと混入率設定値λsのいずれかを、気
泡量設定ボタン72m或いは混合比設定ボタン72lの
操作に応じて適宜選択することにした。つまり、気泡量
設定ボタン72mが操作されれば、気泡量設定値Qas
を採択し、この気泡量設定値Qasと水量設定値Qws
とから空気流量Qaと洗浄水流量Qwを決定する。一
方、混合比設定ボタン72lが操作されれば、気泡量設
定値Qasに替わり混入率設定値λsを採択するように
した。なお、気泡量設定ボタン72mと混合比設定ボタ
ン72lのいずれかを省略し、水量設定値Qws・気泡
量設定値Qasと混入率設定値λs・水量設定値Qws
のいずれかから空気流量Qaと洗浄水流量Qwを決定す
るように構成することもできる。
【0111】次に、上記のように使用者が定めた空気混
入率ηでの気泡水噴出を継続するために電子制御装置2
4が実施する空気混入率調整について説明する。図19
は、この空気混入率調整ルーチンを示すフローチャート
であり、当該フローチャートは、使用者が便座に着座し
ている間において所定時間ごとに割込実行される。この
空気混入率調整制御が開始されると、まず、空気流量Q
aと洗浄水流量Qwの設定に関与する上記の設定ボタン
(水勢設定ボタン72g・気泡量設定ボタン72m・混
合比設定ボタン72l)の操作状況をスキャンする(ス
テップS100)。次いで、そのスキャン結果と図15
〜図18に示すグラフに基づいて上記のようにして空気
流量Qaと洗浄水流量Qwとを演算し、その演算結果を
RAMの所定アドレスに更新記憶する(ステップS11
0)。こうして記憶された空気流量Qaと洗浄水流量Q
wは、後述の空気補正流量ΔQaと共に流量調整弁30
等の制御に用いられる。
【0112】即ち、電子制御装置24は、使用者が便座
に着座している間において図示しない局部洗浄ルーチン
を繰り返し実行する。この局部制御ルーチンは、洗浄水
や空気の供給制御に加え、ノズル装置26の進退駆動制
御等を行なう。よって、この局部制御ルーチンにより、
図13で示したタイミングチャートのように局部洗浄が
行なわれる。電子制御装置24は、この局部洗浄ルーチ
ンにおいて、上記の空気流量Qa、洗浄水流量Qw、空
気補正流量ΔQaを読み込む。そして、お尻洗浄ボタン
72aが操作されると、電子制御装置24は、これら読
み込み済み流量に基づいて、流量調整弁30の開度およ
び、空気ポンプ32の駆動力と流量調整弁34の開度を
それぞれ制御する。これにより、(空気流量Qa+空気
補正流量ΔQa)/洗浄水流量Qwで定まる空気混入率
ηでの気泡水噴出が実施される。なお、この空気補正流
量ΔQaは、図19の空気混入率調整ルーチンの最初の
実行時において初期値「0」とされている。
【0113】ステップS110に続いては、給水源の給
水圧Pwを検出するよう管路に設けられた水圧センサ7
5(図2省略)から給水圧Pwを読み込む(ステップS
120)。この給水圧Pwは、熱交換器12に供給され
る給水圧である。一般に、この給水圧Pwは、所定圧P
waで一定であるが、不用意に低下することもあり、そ
のような事態に至ると局部洗浄装置10に供給される洗
浄水供給量(洗浄水流量Qw)、より詳しくは空気混入
体60を通過する洗浄水供給量(洗浄水流量Qw)も低
減する。よって、空気流量Qaがそのままで洗浄水流量
Qwが減少することから、空気混入率ηは大きくなり、
洗浄水供給量の低減程度が大きいと、使用者が定めた空
気混入率ηから大きく逸脱してしまう。このような事態
を回避すべく、以下のようにして空気流量Qaを補正す
る。なお、給水圧Pwの低下の要因としては次のような
ものがある。家庭における種々の水栓、例えば浴室水栓
での使用量が急増したために、局部洗浄装置10への給
水圧が低下することがある。また、給水用の水圧ポンプ
モータを用いているような場合には、水圧ポンプモータ
の経年変化によりポンプ出力の変動などを生じることが
ある。こうなると、給水圧Pwの低下を来たすことがあ
る。
【0114】ステップS120でのセンサ入力に続いて
は、入力した給水圧Pwと所定圧Pwaとを比較し、圧
力変動程度が許容範囲内であるか否かを判定する(ステ
ップS130)。この許容範囲は、例えば、約70cc
の洗浄水供給量低減を来たすような給水圧変動幅として
規定されている。このステップS130で否定判定した
場合は、圧力変動程度が許容範囲内であるために洗浄水
供給量の変動も小さいことになる。よって、ステップS
130での否定判定に続いては、空気混入率ηの調整は
必要ないとして、空気補正流量ΔQaに値「0」をセッ
トし(ステップS140)、一旦本ルーチンを終了す
る。その一方、ステップS130で肯定判定した場合
は、圧力変動程度が許容範囲外であるために洗浄水供給
量が大きく変動しているので、上記したように空気混入
率ηがその設定値から不用意に変わってしまう。よっ
て、ステップS130での肯定判定に続いては、洗浄水
供給量(洗浄水流量Qw)が変動しても空気混入率ηが
設定値から変化しないよう、洗浄水供給量(洗浄水流量
Qw)の変動程度に応じて空気流量Qaの空気補正流量
ΔQaを演算してその演算結果をRAMの所定アドレス
に更新記憶し(ステップS150)、一旦本ルーチンを
終了する。この空気補正流量ΔQaは、空気流量Qaと
洗浄水流量Qwともに上記の局部洗浄ルーチンにおいて
流量調整弁30等の制御に用いられる。
【0115】以上説明したように、本実施例では、空気
の混入時に微細な単独気泡を生成し洗浄水中に分散、混
合させるので、大量の気泡を安定して洗浄水と混合させ
ることができる。よって、既述したようにスラグ流、環
状流や噴霧流の非所望の流動様相となることがなく、少
ない投入エネルギーで確実に洗浄水の運動量を増大させ
ることができ、節水効果は高い。なお、気泡生成後の滞
留時間により気泡径は異なるが、このように確実に空気
の持つ運動量を洗浄水に伝えて気泡の速度と洗浄水の速
度が略同一となった後は、空気はほとんどエネルギーを
持たないために気泡径等の空気の挙動は節水率に影響を
与えない。
【0116】また、本実施例では、洗浄水と空気との間
の剪断力、即ち洗浄水速度と、空気混入体60での開孔
面積、気泡生成後の滞留時間を制御することにより気泡
径の制御が可能である。このように気泡径を制御するこ
とにより、洗浄力の制御も可能である。被洗浄部におい
ては気泡を含む洗浄水は、密度が小さく運動エネルギー
の小さな気泡と、密度が大きく運動エネルギーの大きな
気泡間の水とが、短周期で交互に被洗浄部に衝突する。
この結果、被洗浄部に圧力変動、即ち振動が発生する。
この振動の周波数は単位時間当たりに衝突する気泡数を
変えることにより制御できるため、特に洗浄力の高い超
音波振動をも発生可能である。超音波振動は波長が短い
ため、例えば人体表面のしわや凹凸の中に入り込んだ汚
れにまで到達し洗浄することが可能なので、洗浄力は格
段に高い。
【0117】また、洗浄力に与える振動周波数の影響
は、振動周波数が高いほど波長が短いので、細かい凹凸
の中まで洗浄できるものの振動の減衰が速く洗浄面積は
小さくなり、振動周波数が低いほど波長が長いので、局
所的な洗浄力は低下するが振動の減衰が遅く洗浄面積は
広くなる。このように振動周波数を変えることにより洗
浄力の制御が可能であるが、同一の空気量のもとで気泡
径を制御すると単位時間当たりの気泡数が異なり、被洗
浄部において衝突する際に発生する振動の周波数を変え
ることができる。即ち、上記したように気泡径を制御す
ることで洗浄力の及ぶ範囲や強さを制御することが可能
である。気泡径が大きいときには振動周波数が小さいの
で、広い範囲をまんべんなく洗浄することができ、気泡
径が小さいときには振動周波数が大きいので、局所的な
強い汚れを落とすことが可能である。また振動周波数が
高いと減衰が速いので、人体表面で振動が減衰し、皮膚
の表面での刺激を強く感じ、振動周波数が低いと皮膚表
面での刺激を弱めることができる。また振動周波数を低
くした場合には、振動振動数が5ヘルツから30ヘルツ
程度の領域においてはこの周波数が人体の皮膚表面近傍
における共振モードと概略一致するためにマッサージ効
果が高く、より少ない洗浄水量で高い水量感を感じるこ
とができるので非常に好適である。
【0118】更に、本実施例では、水勢設定ボタン72
gや混合比設定ボタン72l、気泡量設定ボタン72m
等のボタン操作を経て、噴出洗浄水の空気混入率ηを約
1.3〜4の範囲で使用者の好みに応じて設定できるよ
うにした。よって、使用者の好みに合わせた洗浄感・洗
浄強度で局部洗浄を行なうことができ、使用感に優れた
局部洗浄を図ることができる。
【0119】しかも、何らかの原因で洗浄水流量Qwが
不用意な変動に変動しても、この変動に応じて空気流量
Qaを空気補正流量ΔQaで補正する。よって、一旦設
定した空気混入率ηを好適に維持できるので、洗浄感や
洗浄強度をも維持でき、空気混入率ηの不用意な変化に
起因する不快感を与えることがない。なお、洗浄水流量
Qwの変動を圧力センサの検出結果である給水圧Pw変
動として捕らえたが、流量センサにより洗浄水流量Qw
変動を直接検出し、その結果に応じて空気補正流量ΔQ
aを演算するようにしてもよい。また、空気流量Qaの
変動を直接的に或いは間接的に検出し、その結果に応じ
て洗浄水流量Qwの補正量を求め、空気混入率ηをその
設定値に維持するように構成することもできる。
【0120】加えて、お尻洗浄を開始するまでの期間に
おいて、空気混入を図りつつ洗浄水を捨て水噴出口41
aから継続して噴出し、お尻洗浄時には、空気混入率η
が設定値となった洗浄水を気泡流の流動様相で噴出す
る。このため、洗浄水の噴出をお尻に受ける使用者に違
和感を与えることがない。また、この捨て水噴出口41
aからの洗浄水噴出に先立ち、ノズル前洗浄においても
洗浄水を気泡流の流動様相で噴出している。よって、空
気混入率ηが設定値に達していない過渡状態の洗浄水の
噴出期間を長くできるので、お尻洗浄時には、より確実
に空気混入率ηを設定値とした状態で、洗浄水を噴出で
き好ましい。
【0121】次に、上記したように微細気泡の分散混合
を行なう多孔質の空気混入体60について説明する。上
記の実施例では、この空気混入体60は、超高分子量ポ
リエチレンの略球形粒子を加熱成型して、形成されてい
る。即ち、この略球形粒子を空気混入体60を形成する
ための型に充填して加熱成型すると、この形成された空
気混入体60の表面は、図20に示すように、粒子によ
り互いの空隙が分割された独立開孔となっており、独立
気泡を生成するのに好適である。また、略均一な粒子を
充填することで、開孔は略格子状に規則的な配置とな
り、また等間隔に近い状態の配置となり、生成時に気泡
同士が合一することが少ない。なお超高分子量ポリエチ
レンは一般的にメルトインデックス(MI)が低くかつ
溶融時の性状がゴムに近いため溶融状態でも流れにく
く、粒子と粒子が形状を変えずに接点のみが接着される
構造となる。ここで用いている超高分子量ポリエチレン
のMIは0.2から1.0であり通常の射出成形用の樹
脂材料に比較して1/10程度であることから、加熱温
度を十分制御して樹脂の融点をわずかに上回る温度で溶
融させることにより球形粒子同士がほぼ点接触に近い形
で成形される。このように接触点のみが融合する構造と
なることから、表面形状は原材料粒子の形状、粒度分布
および充填率でほぼ決定されるので、製造上も非常に表
面性状を制御しやすい物性を有している。さらに化学的
に安定であることから塩素、酸塩基、有機溶媒等を含有
する洗浄液体に適しており、吸水性がほとんど無いこと
から水への適用にも適している。
【0122】また、空気混入体60は、アクリル樹脂の
略球形粒子から形成することもできる。図21は、アク
リル樹脂の略球形粒子を加熱して形成した空気混入体6
0の表面状態を示し、その表面は、若干流動性が高いも
のの粒子間が結合し網目構造に近い構造を有する独立開
孔となっており、これも好適である。略均一な粒子を充
填することで、開孔は略格子状に規則的な配置となり、
また等間隔に近い状態の配置となり、生成時に気泡同士
が合一することが少ない。なおアクリル樹脂は表面張力
が低く水との親和性も高い。また、粒度分布が均一であ
ると気孔径も均一となりやすく気孔形状も制御しやすい
ので、加熱成形前に粒度分布をそろえるため篩にかける
ことも望ましい。
【0123】これらのように空気混入体60の製造に加
熱溶融性材料を加熱成形したものを用いると、粒子同士
が融合することにより水圧や空気圧に対しても強度的に
も優れたものを提供できる。粒子の平均粒径は50μm
〜300μmのものを用いているが、材料の粒子径を制
御すると気孔を制御できるので発生気泡の気泡径は材料
の平均粒径により定まる。平均粒径が50μmから30
0μmのものを用いると、100μmから1000μm
の気泡径を得る気孔が形成される。気泡径を大きくした
ければ、材料の粒子径を大きくすればよいし、気泡径を
小さくしたければ材料の粒子径を小さくすればよい。
【0124】また、ナイロン等の繊維材料を略格子状に
編んだ構造であっても、図20や図21と同様に気孔間
が互いに分割された独立開孔となり、使用する繊維径や
間隔を略均一とすれば略格子状に規則的で等間隔に近い
状態の開孔配置を得ることができる。更に、繊維径およ
び間隔が任意に設定できるために、気孔間距離、気孔径
や開孔率等表面形状の制御には好適である。なお、繊維
材料を使用した場合は、通常それ自身に十分な強度が無
いために支持体に設置することにより安定した動作を確
保でき、繊維表面が流れによりわずかに振動するため気
泡生成や局所的な空気混入量が変化し水中のゴミやスケ
ール等の付着を抑止する効果もある。また、繊維材料等
は十分な厚みがないために洗浄水の圧力変動が空気室に
伝達されやすく空気混入時に不安定な挙動を示し振動を
起こすことがあるので、振動を避ける場合は何枚かを重
ねるようにすると好適であり、振動を積極的に洗浄マッ
サージ効果に利用する場合は厚みをあまり持たせない方
が好適である。
【0125】空気混入体60に用いる材料としてはこれ
以外にも、ブロンズ、ステンレス等の金属やガラス等を
用いてもよいし、製造方法としては、これら加熱溶融性
粉体を用いる以外にも転相ガラスを用いて連続気孔を構
成させたものやセラミック材料等を用いてもよい。
【0126】図22は、上記の加熱溶融性粉体を加熱成
形して得られる空気混入体60の一例を示している。ま
た、図23は、ナイロンメッシュにより空気混入体60
を構成した場合の一例を示している。この空気混入体6
0では、独立開孔を有するナイロン製のメッシュ90が
支持体91に加熱溶着されて構成されており、十分な強
度を有するとともに、メッシュ90の開孔形状は使用す
る繊維の太さや間隔により任意に調整可能である。
【0127】次に、他の実施例について説明する。この
実施例では、洗浄水に空気を混入した後に気泡塊を粉砕
して、上記の実施例と同様な気泡流の洗浄水を得る点に
特徴がある。図24は、この他の実施例における空気混
入部を説明する説明図、図25と図26は、この空気混
入部における空気混入箇所の拡大図、図27ないし図3
1は、空気混入部の下流管路に設けられ気泡塊を粉砕し
て気泡流の洗浄水とする狭窄部を説明する説明図であ
る。
【0128】図24に示す他の実施例の空気混入部16
0は、ノズル装置における洗浄水流入部に設けられ、洗
浄水管路161の外壁に空気導入口162を有する。よ
って、空気導入口162から供給された空気は、従来の
手法と同様に、この導入口開孔163から洗浄水に混入
される。この導入口開孔163は、流れに乱れを与えず
気泡へせん断力が伝達しやすいように流れ方向に沿った
開孔とされている。この際、空気は、供給される洗浄水
の体積に対して1.3倍以上の体積で導入口開孔163
から混入され、単なる開孔からの混入であることから、
気泡塊の状態で洗浄水に混合する。
【0129】導入口開孔163は、図25と図26に示
すように、単純な開孔でも良く分割された開孔でもよ
い。この場合、図26のように分割開孔であれば、図2
5の開孔に比較してより小さな径を有する気泡を生成す
ることができ好ましい。なお、導入口開孔163付近の
通路断面積を縮小させると、洗浄水通過速度が増大し洗
浄水の静圧が減少するので、少ない投入エネルギーでよ
り多くの空気を混入させることができ、この静圧を大気
圧以下となるように定めれば自然吸気による空気混入も
可能である。
【0130】図27ないし図30に示す狭窄部170
は、空気混入部160の洗浄水管路161の一部に管路
面積を減ずる狭窄箇所171を有する。そして、この狭
窄箇所171で、管路を通過する洗浄水の流れを乱すと
共にこの洗浄水に剪断力を及ぼし、洗浄水に混入してい
る気泡塊を粉砕する。これにより、狭窄部170は、そ
れより下流に流れる洗浄水を、空気が微細の気泡状態で
分散混合しこの空気と洗浄水とが同一速度で流れる上記
実施例と同様の気泡流とする。
【0131】この場合、図27の狭窄部170は、図2
8のものと比較して狭窄箇所の開孔面積が小さくなって
いる。よって、図27の狭窄部170では、洗浄水通過
速度が増大することにより剪断力による気泡破砕効果が
大きく、より小さな気泡径を含んだ気泡流の洗浄水が得
られる。
【0132】図29と図30の狭窄部170は、狭窄箇
所171を管路面積を分割するよう複数有する。図29
の狭窄部170と図30の狭窄部170とは、その開孔
面積の和が略同一となっているので、洗浄水通過速度は
ほぼ等しい。しかし、図30の狭窄部170は、図28
のものと比較して開孔ひとつあたりの開孔面積が小さく
なっている。よって、図30の狭窄部170では、壁面
による剪断の影響が大きく、より小さな気泡径を含んだ
洗浄水が得られる。なお、狭窄部形状は円形としている
が、多角形であってもよいし、図31に示すような、円
筒体を組み合わせた構成を採ることもできる。
【0133】この図31に示す狭窄部170は、外側管
路体172の内部中央に内側管路体173を配置し、外
側管路体172の閉塞端部と内側管路体173の開孔端
部との間を狭窄箇所171とする。つまり、この狭窄部
170では、内側管路体173内を図中の黒塗り矢印部
のように通過してきた洗浄水、この場合は気泡塊が混入
した洗浄水は、狭窄箇所171に衝突してその向きを変
え、外側管路体172と内側管路体173との管路に沿
った間隙を通過する。この狭窄箇所171での衝突によ
り、洗浄水の気泡塊は粉砕され、この図31に示す狭窄
部170にあっても、それより下流に流れる洗浄水を、
空気が微細の気泡状態で分散混合しこの空気と洗浄水と
が同一速度で流れる上記実施例と同様の気泡流とする。
【0134】外側管路体172と内側管路体173は、
狭窄箇所171の間隔が変化するよう相対移動可能とさ
れている。よって、狭窄箇所171における通路面積を
変更することで気泡塊の粉砕程度を調整でき、気泡流に
おける気泡径を調整できる。よって、上記したようにソ
フト感のある洗浄やハード感のある洗浄を使い分けるこ
とができる。なお、外側管路体172と内側管路体17
3は、いずれか一方が移動可能であればよく、アクチュ
エータにて管路体の移動を図ることも、手動で移動する
ようにしてもよい。また、洗浄水管路内における水圧に
より移動するように構成することもできる。そして、両
管路体の位置保持のために、ばね等の弾性体でいずれか
の管路体を付勢するように構成することもできる。
【0135】また、図24に示す空気混入部160を、
図32、図33に示す空気混入部160とすることもで
きる。図32に示す空気混入部160は、管路の周方向
に複数の導入口開孔163を有する。図33に示す空気
混入部160は、スリット状の導入口開孔163を有す
る。これらは、大量の空気混入に都合がよい。また、図
33に示すような細長い連続したスリットの場合や周方
向に分割してアスペクト比(縦横比)が大きいものは、
水空気間の剪断力に影響を与える空気吐出口の開孔面積
は長さLにより定められ、周方向長さはあまり影響を受
けない。
【0136】空気混入率ηを高めると刺激感が強く、ま
た本来洗浄水量の少ない洗浄モードにおいては節水率を
高める効果は少ないので、洗浄水量が少なくまた刺激を
弱めた方が望ましい洗浄モードにおいては空気混入率η
を低く設定した方が好ましい。以下に空気混入率ηにつ
いて考察する。
【0137】図34は空気混入率ηと洗浄水量の設定の
一例を示す。空気混入率ηを1.0以下とすると刺激感
を弱めることができるので、ここではもっとも弱い水勢
において空気混入率ηを1.0以下としている。また、
この水勢位置においてはもともと洗浄水量が少量である
ので、空気混入率ηを低下させても節水効果や省エネ効
果には悪影響を与えない。また、他の水勢位置において
は空気混入率ηを2.0の一定としているが、これは空
気混入の安定性を高めるとともに節水率を高めることが
できる設定である。洗浄水量の多い水勢設定位置におい
ては、このように空気混入率ηを高めることにより、高
い節水効果と省エネ効果を期待できるとともに、水勢が
強い時に刺激をも高めることが可能なので洗浄の快適性
や排便促進作用をも向上させることができる。
【0138】局部洗浄装置にあっては、使用中に水圧変
動や電源電圧変動が起きたりする。また、ストレイナー
や管路中にごみやスケールが経時的に付着堆積すること
がある。このような事態に至ると、洗浄水量が低下する
ことがある。そして、このように洗浄水量が低下する
と、空気混入量が一定であっても空気混入率ηが増大
し、あるいは混合後の管路抵抗が洗浄水量の減少により
低下するために空気混入量自体も増大することがある。
よって、当初の設計値と比較して大幅に空気混入率ηが
増大する可能性があり、気泡流の安定性を損なう可能性
がある。このような事態があらかじめ予測される場合に
は、この変動幅をも考慮した設計を行なわなければなら
ないが、いたずらに安定性だけを求めて空気混入率ηを
低下させておくと、節水効果も低下するので好ましくな
い。節水および省エネ効果を十分に高め、かつこのよう
な変動幅をも考慮した設計を行なうためには安定性が高
く節水率も高くなるように空気混入率ηを設定すること
が好ましい。図34に示したように節水率曲線は、空気
混入率ηの増大につれて傾きが緩やかになり、空気混入
率ηが高いほど安定性が低下することから、節水率およ
び安定性を同時に満たす設計値としては必要以上に空気
混入率ηを高めないことが肝要である。そこでこれらを
同時に満たす設計値としては、空気混入率ηが1.6か
ら2.3程度であることが望ましい。特に洗浄水量が多
いときには洗浄水速度が大きく流れの乱れが強まるの
で、気泡同士の合一機会が増大し気泡が合一することに
より安定性を損ないやすい。このように気泡流の安定性
は洗浄水量が高まるほど低下するので、特に洗浄水量が
大きい領域においては空気混入率ηを1.6から2.3
程度に設定することが望ましい。
【0139】気泡流における気泡混入率の理論限界は、
結晶構造の最密充填格子の考え方から容易に求めること
ができる。気泡が同一径で剛体であると仮定した場合
の、最大気泡混入率はおよそ2.85程度である。理論
的にはこの値を超えると、気泡同士が互いに接触するの
で気泡合一が発生しやすくなる。気泡流の安定性のみを
考慮した場合の気泡混入率の上限値は2.85程度とな
る。
【0140】ところが気泡は現実には剛体ではなく、接
触した場合にあってもある程度変形を起こすので直ちに
気泡合一し気泡流からスラグ流、環状流や噴霧流に転相
することはない。また、気泡径についても現実にはある
程度の分布があり、大気泡の空隙に小気泡が挟みこまれ
るような構造となっているので、気泡流を維持した状態
での最大気泡混入率は現実的には4.0程度まで可能で
ある。
【0141】図35は空気混入率ηを変えた場合の節水
率をあらわす。ここでは洗浄水に空気を混入し、洗浄水
の速度が上昇することで洗浄水の運動量が上昇し節水が
行われる効果を示したものである。ここでは運動量同一
の条件で、洗浄水量および空気混入率ηを変化させ節水
率として表わしている。節水率とは空気混入率ηが0の
ときの洗浄水量に対して、空気混入を行ない空気混入率
ηが0のときと同じ運動量を発生させるために必要な洗
浄水量との比をとったものである。
【0142】次に、また別の実施例について説明する。
図36は、第5実施例の局部洗浄装置10Bの概略構成
を表わしたブロック図である。この局部洗浄装置10B
は、貯湯式の熱交換器12に替わり、瞬間式の熱交換器
12Bを備える。図示するように、熱交換器12Bは、
瞬間式のヒータを備え、通過する洗浄水を瞬間加熱しそ
の下流に送り出す。これにより、給水源から供給される
洗浄水は、熱交換器12Bにて加熱して所定温度に昇温
された後に、ノズル装置26に供給される。この際、熱
交換器12Bでは、給水される洗浄水の温度がその入水
温度Twから吐水温度設定値Tawsに向かうように、
電子制御装置24によりヒータへの通電量がフィードバ
ック制御される。
【0143】電子制御装置24は、熱交換器12Bへの
洗浄水の入水温度Twに応じて、最大水量Qwmaxお
よび最小空気混入率ηminを設定する。図37は、こ
の洗浄水の入水温度Twと、流量調整弁30からノズル
装置26に供給される洗浄水の最大水量Qwmaxおよ
び最小空気混入率ηminとの関係を示すグラフであ
る。この図37に示すように、最大水量Qwmaxは、
入水温度Twによって規定され、入水温度Twの洗浄水
を、熱交換器12Bにより吐水温度設定値Tawsまで
加熱することができる洗浄水の流量で定まる。したがっ
て、最大水量Qwmaxは、入水温度Twが低いほど、
少ない流量となる。一方、最小空気混入率ηminは、
入水温度Twが低いときに大きく、入水温度Twが高い
ときに小さい値となるようにされている。よって、入水
温度Twが低いときには、最小空気混入率ηminから
最大空気混入率η(=4)までの範囲が狭くなり、使用
者により設定可能な空気混入率ηの幅が狭くなる。入水
温度Twが高いときには設定可能な空気混入率ηの幅が
広くなり、使用者の設定幅は広い。
【0144】即ち、入水温度Twが高いときには、1.
3から4までの広い範囲の空気混入率ηを設定できる
が、入水温度Twが低いときには、空気混入率ηが図示
する最小空気混入率ηmin以上の大きい範囲しか設定
できない。このように空気混入率ηの設定幅は狭くなる
ものの、次のような利点がある。寒冷地における冬季で
は、洗浄水の入水温度Twが低く、その洗浄水の流量が
熱交換器12Bによる最大沸かし上げ能力を上回るよう
な場合がある。このような場合でも、上記狭小の空気混
入率範囲の空気混入率ηとすることで、適切な洗浄強度
Wfおよび吐水温度設定値Tawsを確保して気泡水に
よる局部洗浄を実施できる。この結果、給水源からの洗
浄水の入水温度Twが低くても、洗浄強度Wfを低下さ
せることがなく、熱交換器12Bによって沸かすための
洗浄水流量Qwが少なくてよく、所望の吐水温度設定値
Tawsで気泡水を噴出して局部洗浄を実施することが
できる。この場合、電子制御装置24は、熱交換器12
Bの上流に設けた入水オンセンサにより所定時間ごとに
洗浄水の入水温度Twを入力し、その結果に基づいて図
37のグラフからその時の最大水量Qwmaxと最小空
気混入率ηminを求める。そして、図15〜図18で
示したように使用者が任意に設定した空気混入率ηや洗
浄水流量Qwが最小空気混入率ηminや最大水量Qw
maxに対して適切か否かを判定する。次いで、不適切
であれば、例えば、設定された空気混入率ηが最小空気
混入率ηminを下回ったり洗浄水流量Qwが最大水量
Qwmaxを越えたような場合には、電子制御装置24
にて、空気混入率ηを最小空気混入率ηmin以上に洗
浄水流量Qwを最大水量Qwmax以下とする。
【0145】なお、入水温度Twの検出に入水温センサ
を用いたが、熱交換器12Bに供給した通電量に基づい
て、例えば、熱交換器12Bへ供給される通電量の微分
値に基づいて入水温度Twを算出してもよい。これによ
り、入水温センサが不要となり、構成を簡単にできる。
【0146】次に、他の実施例について説明する。図3
8は、この他の実施例のノズル装置226の概略構成を
示す断面図、図39は、当該ノズル装置226の移動の
様子を説明するための説明図である。また、図40は、
このノズル装置におけるお尻洗浄動作を示すタイミング
チャートである。なお、上記の実施例と同一或いは類似
の部材については、上記実施例で用いた部材名と符号を
そのまま用いることとする。
【0147】この他の実施例では、既述した実施例のノ
ズル装置26に替えて図示するノズル装置226を有
し、洗浄水給水および空気混入のための構成は上記の実
施例とほぼ同様の構成を有する。このノズル装置226
にあっても、洗浄水流路を有するノズル本体40と、そ
の先端に着脱可能なノズルヘッド42と、ノズル本体基
部側の気泡混合・切替機構部44とを有する。そして、
このノズル装置226は、ノズル本体40の小径のお尻
流路43或いは大径のビデ流路45にそれぞれ設けられ
たお尻噴出口49とビデ噴出口53から洗浄水を噴出す
る。
【0148】このノズル装置226は気泡混合・切替機
構部244を有し、この気泡混合・切替機構部244
は、上記実施例の気泡混合・切替機構部44と流路切替
の構成が異なる。即ち、気泡混合・切替機構部244
は、ケーシング55の底部のモータ連結体56でノズル
駆動モータ33の動力を受け、ノズル本体40を上記し
た待機位置、お尻洗浄位置およびビデ洗浄位置に進退さ
せる。そして、ケーシング55の内部の空気室形成体5
8は、図示する上端側に空気室切替部263を備え、そ
の下端側のケーシングとの間の間隙に、スプリング64
を備える。支持体62は、その内部の洗浄水導入路65
から、空気混入体60に洗浄水を導き入れる。その一
方、空気室切替部263は、空気混入のための流量調整
弁34と接続され、その内部の空気導入路67から、空
気室形成体58と空気混入体60との間の間隙に空気を
導き入れる。よって、空気混入体60は既述したように
洗浄水に空気を気泡状に混入させ、この気泡混入済みの
洗浄水は、支持体61中央の貫通孔68を経て、上記の
お尻流路43又はビデ流路45のいずれかに流れ込み、
お尻洗浄あるいはビデ洗浄に供せられる。
【0149】次に、上記の気泡混入済み洗浄水の供給先
の切替の様子を、ノズル装置226の移動の様子と関連
付けて説明する。図39に示すように、気泡混合・切替
機構部44は、支持体62を空気室切替部263を介し
て下方に押し下げるための遮蔽ブロック269を有す
る。この遮蔽ブロック269は、ノズル装置226が上
記した待機位置およびお尻洗浄位置に位置する場合に
は、図の左方側に示すように、空気室切替部263と干
渉しない位置に設置されている。よって、お尻洗浄ボタ
ン71aが操作されてノズル装置226がお尻洗浄位置
を採る場合には、空気室形成体58は、スプリング64
の付勢力を受けて上方の初期位置(図の左方側)にあ
る。この状態では、支持体61の貫通孔68とケーシン
グ55のお尻側貫通孔70とが対向するので、気泡混入
済み洗浄水は、ノズル本体40におけるお尻流路43を
通過し、お尻噴出口49から噴出される。
【0150】その一方、ビデ洗浄ボタン71bが操作さ
れてノズル装置226がお尻洗浄位置より前方のビデ洗
浄位置まで前進すると、空気室切替部263は、このノ
ズル前進の間に遮蔽ブロック269と接触し、図の右方
側に示すように、遮蔽ブロック269により下方に押し
下げられる。よって、ノズル装置226がビデ洗浄位置
を採る場合には、空気室形成体58は、スプリング64
の付勢力に抗して上記の初期位置から流路切替位置(図
の右方側)に移動する。この状態では、支持体61の貫
通孔68とケーシング55のビデ側貫通孔71とが対向
するので、気泡混入済み洗浄水は、ノズル本体40にお
けるビデ流路45を通過し、ビデ噴出口53から噴出さ
れる。なお、ノズル装置226がビデ洗浄位置から待機
位置に復帰すると、空気室形成体58はスプリング64
の付勢力を受けて初期位置に復帰し、次回のお尻洗浄・
ビデ洗浄に備える。また、気泡混合・切替機構部44に
おける洗浄水への空気混合の様子は上記の通りである。
【0151】次に、このノズル装置226を有する局部
洗浄装置における洗浄動作について、図40のタイミン
グチャートにしたがって説明する。いま、使用者が便座
上に着座すると、着座センサ36がオンし(時点t
1)、その旨の信号が電子制御装置24に入力される。
電子制御装置24は、まず、空気ポンプ32を所定時間
T1だけ駆動して既述した残水除去前処理を実行し、ノ
ズル装置226への流路26aに残っている水を除去す
る(図14参照)。なお、この際の残水は、既述したサ
イホン作用によって流路26aの下流側へ吸引されて、
お尻噴出口49を通じて排出される。
【0152】続いて、使用者が操作部35のお尻洗浄ボ
タン71aをオンすると(時点t2)、上記の実施例と
同様に、ノズル前洗浄処理を実行する。そして、ノズル
前洗浄を終えるために電磁止水弁14を閉じると、時間
Tbだけ経過した後に空気ポンプ32を停止する。この
ように電磁止水弁14が開かれる前と閉じられた後の時
間Tbにおいて、空気ポンプ32が駆動されており、こ
れにより空気ポンプ32側の空気流路29側を洗浄水側
の流路より高圧に維持する。このように空気流路29側
を高圧に維持することにより、空気流路29に洗浄水が
入り込まず、空気ポンプ32の故障の原因を招かない。
また、空気流路29に洗浄水が入り込むと、空気混入体
60が洗浄水に濡らされ、細菌を増殖させる要因になる
が、このようなこともない。さらに、空気ポンプ32を
駆動することにより空気流路29への逆流を防止してい
るので、空気流路29などに逆止弁などを設ける必要が
なく、構成も簡単にできる。
【0153】続いて、電磁止水弁14を一旦閉弁すると
ともに空気ポンプ32を停止した状態にて、流量調整弁
30のステッピングモータを原点に調節し、さらに水量
設定ボタン71jの設定にしたがって流量調整弁30の
開度を調節する。これと同時に、ノズル駆動モータ33
を駆動することにより、ノズル装置226を待機位置か
ら洗浄位置へ進出させる。
【0154】このノズル装置226の進出動作時に空気
ポンプ32を停止させており、これにより、ノズル装置
226のお尻噴出口49などから空気が吹き出されるこ
とがなく、使用者に不快感を与えることを回避してい
る。なお、ノズル装置226の進出動作時に空気ポンプ
32を停止させる制御を実行する態様のほかに、使用者
に空気の噴出を感じない程度に、空気ポンプ32の出力
を低減する制御を採ったり、噴出される空気を人体局部
に向かわない方向へ逃がしたりする構成をとってもよ
い。
【0155】そして、ノズル装置226が洗浄位置まで
進出した状態にて、時点t4にて、空気ポンプ32を駆
動し、さらに所定時間Tb後に、電磁止水弁14を全開
にする。これにより、ノズル装置226のお尻噴出口4
9から、洗浄水に空気が混入された気泡水が人体局部に
向けて噴出されて該局部の洗浄が行なわれる。このと
き、空気流量Qaと洗浄水流量Qwとの比である空気混
入率λの値については、後述する。なお、この場合に
も、電磁止水弁14が開かれる前の時間Tbだけ、空気
ポンプ32が駆動されて、空気流路29側が高圧にな
り、空気流路29側に洗浄水が入り込むのを防止してい
る。
【0156】そして、使用者が操作部35の停止ボタン
71cを押すと(時点t5)、止水処理が行なわれる。
すなわち、止水処理は、電磁止水弁14及び流量調整弁
30を閉じて洗浄水の供給を停止すると共に、空気ポン
プ32を停止して空気の供給を停止することにより行な
われる。この場合も、電磁止水弁14等を閉じて、時間
Tb経過した後に、空気ポンプ32を停止させているの
で、空気流路29側が高圧に維持され、空気流路29に
洗浄水が入り込まない。その後、ノズル駆動モータ33
に駆動信号を出力することにより、ノズル装置226を
洗浄位置から待機位置に後退させる。ノズル装置226
は、待避移動時にも、進出時と同様に空気ポンプ32が
停止しているので、お尻噴出口49などから空気が吹き
出されることなく、使用者に不快感を与えない。続い
て、上記の実施例と同様にノズル後洗浄処理が実行さ
れ、使用者が便座から離れると(時点t6)、着座セン
サ36から離座信号が出力され、既述した残水除去後処
理が実行される。なお、洗浄動作中の空気混入率η、洗
浄水流量等の変更は上記の実施例に既述した通りであ
る。
【0157】このように、ノズル装置226を有する局
部洗浄装置では、洗浄水噴出に際して(時刻t4)、ノ
ズル装置に洗浄水を給水して管路に洗浄水を流す前に空
気ポンプ32を時間Tbだけ先に駆動する。これによ
り、空気流路を経た空気混入体60への空気到達に、洗
浄水流路を経た空気混入体60への洗浄水到達に対して
遅れが出ないようにして、洗浄水噴出当初から所定の設
定空気混入率ηでの気泡水噴出を行うことができる。よ
って、気泡水噴出開始当初から設定空気混入率ηのまま
で気泡水を噴出でき、使用者に不安定な空気混入率ηに
基づく違和感を与えることがない。また、洗浄水噴出停
止に際しても(時刻t5)、洗浄水の給水停止後に空気
ポンプ32を時間Tbだけ遅れて停止するので、設定空
気混入率ηのままで気泡水の噴出を停止できる。よっ
て、洗浄終了時にあっても使用者に不安定な空気混入率
ηに基づく違和感を与えることがない。
【0158】ここで、上記のように空気到達に遅れが出
ないようにするための空気混入のタイミング時間Tbに
ついて説明する。なお、空気到達に遅れが出るのは、水
に対して空気の圧縮性が高い等の理由による。
【0159】空気が水(洗浄水)に分散混入して管路を
流れている場合、その流量Q、流速V、密度ρは、次の
ようになる。なお、添え字wは水を、aは空気を、tは
空気・水混合流のものを示し、空気混入率ηはQw/Q
aである。また、説明の便宜上、管路の圧力損失は無視
し、水の密度に対して空気の密度は実用上無視できるほ
ど小さいことから、ゼロに近似できるとする。
【0160】 Qt=Qa+Qw =Qw(1 + η) Vt=Vw(1+η) ρt=(ρw+ρa・η)/(1+η) =ρw/(1+η) (∵ρw>>ρaη≒0)
【0161】洗浄水への空気混合の前後では、洗浄水の
もつ運動量と空気の持つ運動量は保存されるといえるの
で、運動量に関しては次のようになる。なお、Pは圧
力、Sは管路面積を表し、Piは空気混合部での空気圧
力を表す。
【0162】 Pt・S+ρt・Qt2 /S =Pw・S+ρw・Qw2 /S+Pi・S+ρa・Qa2 /S =Pw・S+ρw・Qw2 /S+Pi・S (∵ρa≒0) これに、ρt=ρw/(1+η)を代入すると、次のよう
になる。
【0163】 Pt・S+(1+η)・ρw・Qt2 /S =(Pw+Pi)S+ρw・Qw2 /S …(1) Pw+Pi=η・ρw(Qw/S) 2 −Pt …(1’)
【0164】さて、空気・水の混合流(気泡流)が噴出
口から大気中に噴出される際には、Pt=0であること
から、式(1’)は、次のようになる。 Pw+Pi=η・ρw(Qw/S) 2
【0165】また、気体印可圧力に関して、気泡分散機
構(多孔体)の通過圧損を無視すると次のようになる。 Pw+Pa=η・ρw(Qw/S) 2
【0166】混合室60においては、空気・水の圧力バ
ランスが保たれてPw≒Paとなるるので、次のように
なる。 Pa=(η・ρw(Qw/S) 2 )/2
【0167】こうして求めたPaで混合室に空気が水と
同一時期に流入すればその流入時点から空気混入率ηの
気泡流となるが、空気圧送前の管路残存空気の圧縮によ
り、このPaの空気の混合室流入は遅れるので、その遅
れ時間Tbだけ空気を速く入入させる。この場合、噴出
口までの距離が大きく管路での圧力損失を考慮する場合
には、上記のPaは、圧力損失分(ΔP)を考慮して、
次のようになる。 Pa=(η・ρw(Qw/S) 2 )/2+ΔP
【0168】そして、上記の圧力Paでの空気圧送を、
空気管路の管路容積・長さ等の基づいて遅れ時間Tbを
調整する。例えば、空気管路が長ければ、その分だけ圧
力Paの空気が混合室に流入することが遅れるので、よ
り早いタイミングで圧力Paでの空気混入を早める。
【0169】より詳しく説明すると、空気管路の形状や
長さにより定まる圧力損失係数をCとして空気圧力と空
気流量の関係を表すと次のようになる。 Pa=CQa2 …(1) Qa=(Pa/C)0.5 …(1′)
【0170】気体の状態方程式を以下の式(2)で表し
てこれを微分すると式(3)が得られる。この場合、通
常は管路などの熱容量が大きく、気体の温度変化はほと
んど無視できる。 PV=nRT …(2) ΔPV=RTΔn …(3)
【0171】この微小時間Δtのあいだに排出される気
体の体積ΔVは、大気圧をP0 とすると、次のようにな
る。 ΔV=QaΔt …(4) Δn=P0 QaΔt/(RT) …(5) ΔPV=P0 QaΔt …(6) ΔPV=P0 (Pa/C)0.5Δt …(7)
【0172】この式(7)をtについて整理して積分す
ると(9)式が得られる。ただし、PE は時間t経過後
の圧力である。 Δt=(VC0.5/P0 )(Pa)-0.5ΔP …(8) t=(VC0.5/P0 )ln(Pa/PE ) …(9)
【0173】通常PE はPaの10%程度に設定すれば
よいので、式(9)は式(10)となり、この式(1
0)から遅れ時間t(遅れ時間Tb)が求まる。 t= (VC0.5/P0 )ln(10) …(10)
【0174】この式(10)から、遅れ時間Tbは、既
述したように空気管路の管路容積・長さ等に応じて設定
できるといえ、圧力PE の設定を経て定まる。この場
合、P E を必要以上に低く見積もりすぎると、遅延時間
が長くなり好ましくない。また、この場合は、空気圧力
を十分低くできるものの、空気量が減少し混入率が低下
する点からも好ましくない。よって、本実施例では、空
気混入に遅延を与えた場合の混入状況を測定により種々
確認して、上記の遅れ時間Tbを設定している。
【0175】次に、別の実施の形態について説明する。
図41は局部洗浄装置のまた別の形態の洗浄動作を示す
タイミングチャートである。図40の洗浄動作では、局
部洗浄のための気泡水噴出開始或いは停止時において、
空気ポンプ32の駆動タイミングを洗浄水給水タイミン
グに対して調整する制御を実行することにより、洗浄水
に対して空気の応答遅れを回避しているが、図41の洗
浄動作では、これを洗浄水流量Qwの変更の場合にも適
用している。図41において、お尻洗浄ボタン71aを
押した後に、時点tc4にて、吐水量設定ボタンにより
噴出量設定値Qawsを高めている。このとき、まず、
空気ポンプ32及び流量調整弁34への流量制御により
空気流量Qaを増大させ、遅延時間Tb後に、流量調整
弁30への制御により流量を調節している。また、時点
tc5にて噴出量設定値Qawsを低めた場合には、空
気流量Qaを減少させた後に、遅延時間Tb後に洗浄水
流量Qwを減少させている。このように、洗浄水流量Q
w延いては噴出量設定値Qawsを変更した場合にも空
気の応答遅れを回避している。これにより、洗浄水流量
Qwや噴出量設定値Qawsを変更しても、設定空気混
入率λのままで気泡水を噴出でき、流量変更時の過渡的
な状況下において、不安定な空気混入率ηに基づく不快
感を使用者に与えないようにできる。
【0176】なお、図42に示すように、遅延時間Tb
は、一定に設定するほか、空気流量Qaの偏差ΔQaに
基づいて、その長さを変更してもよく、これにより一
層、空気混入率λの急激な変動を抑制することができ
る。
【0177】また、図43に示すように、空気の応答遅
れを回避する制御として、洗浄水流量Qwをフィードバ
ック制御している場合において、洗浄水流量Qwを制御
するフィードバックゲインを、空気流量Qaを制御する
フィードバックゲインに対して小さくすることにより、
意図的に緩やかな応答遅れを生じるように構成してもよ
い。
【0178】以上本発明の実施例について説明したが、
本発明は上記の実施例や実施形態になんら限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種
々なる態様で実施し得ることは勿論である。例えば、上
記の実施例では、局部洗浄装置10を貯湯式或いは瞬間
式の熱交換器12、12Bを有する構成としたが、湯と
水とを混合して所定の温度とする熱交換器を有する構
成、或いは、貯湯式と瞬間式の長所を兼ね備えたいわゆ
るセミ貯湯式の熱交換器を有する構成を採ることもでき
る。セミ貯湯式とすれば、貯湯部分を従来の貯湯式熱交
換器に比べて小さくして、ヒーター容量を大きくできる
ため、瞬間式同様に温度上昇能力は高くかつ温度むらを
低減できる。また、セミ貯湯式では、熱交換器の下流側
に設置された小型の貯湯部分が、温度むらを低減して一
定の洗浄水滞留時間を有する温度緩衝体として機能する
ので、省エネ効果に優れるとともに使用性の向上も図れ
好適である。
【0179】また、ノズル装置26、126を、お尻流
路43とビデ流路45を有するものとしたが、お尻洗浄
用ノズルとビデ洗浄ノズルとを別体で有するノズル装置
とし、各ノズルに空気混入体60を設けるようにするこ
とができる。
【0180】更に、本発明は、局部洗浄装置に限らず、
シャワーヘッド、水栓等の人体洗浄装置に適用できるこ
とは勿論である。特に、空気混入タイミングを調整する
構成のものにあっては、捨て水のためのバイパスを要し
ないので、シャワーヘッド、水栓等の人体洗浄装置によ
り好適に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の局部洗浄装置10の概略構成を表
わしたブロック図である。
【図2】この局部洗浄装置10の制御系をリモートコン
トローラを中心に表わしたブロック図である。
【図3】ノズル装置26の概略構成を示す概略断面図で
ある。
【図4】このノズル装置26の移動の様子を説明するた
めの説明図である。
【図5】ノズル装置26の有する気泡混合・切替機構部
44と等価な気泡ポンプの概念を模式的に表わした模式
図である。
【図6】気泡混合・切替機構部44より得られる気泡流
の洗浄水を、従来の空気混入手法で得られる流動様相と
を比較して説明する説明図であり、(a)は本実施例で
の気泡流の洗浄水流を示し、(b)、(c)、(d)は
洗浄水に混入した気相が連続相として存在する洗浄水流
を示し、(b)はスラグ流の洗浄水流を、(c)は環状
流の洗浄水流を、(d)は噴霧流の洗浄水流を示す。
【図7】気泡ポンプ80から噴出される洗浄水の流れの
様子を撮影した写真の読取画像である。
【図8】ノズル装置26の空気混入体60、即ち図5の
気泡ポンプの気泡分散体83により分散混合される気泡
について、生成直後の気泡径と洗浄水流速との関係を示
すグラフである。
【図9】空気混入体60(気泡分散体83)にて得られ
た気泡流の洗浄水について、管路内滞留時間と気泡成長
の関係を示すグラフである。
【図10】気泡ポンプ80の噴出口に管路長が約95m
mの洗浄水通過管を連結した場合の、管路径と当該通過
管の洗浄水滞留時間の関係を示すグラフである。
【図11】気泡ポンプ80からの噴出洗浄水荷重と空気
混入率ηの関係を示すグラフである。
【図12】この気泡ポンプ80における出力エネルギー
Etをすべての入力エネルギー(Ew+Ea)で除算し
たエネルギ総合効率Et/(Ew+Ea)並びにエネル
ギ増幅効果Et/Ewと空気混入率ηとの関係を示すグ
ラフである。
【図13】お尻洗浄動作を示すタイミングチャートであ
る。
【図14】ノズル装置26に接続されるノズル水路26
aに残っている水が除去される様子を説明する説明図で
ある。
【図15】水勢設定ボタン72gにより設定される水量
設定値Qwsと洗浄水流量Qwとの関係を示すグラフで
ある。
【図16】気泡量設定ボタン72mにより設定される気
泡量設定値Qasと空気流量Qaとの関係を示すグラフ
である。
【図17】混合比設定ボタン72lにより設定される混
入率設定値λsと空気混入率ηとを関係を示すグラフで
ある。
【図18】水勢設定ボタン72gにより設定される水量
設定値Qwsと噴出量Qawとの関係を示すグラフであ
る。
【図19】使用者が定めた空気混入率ηでの気泡水噴出
を継続するために実行される空気混入率調整ルーチンを
示すフローチャートである。
【図20】超高分子量ポリエチレン略球形粒子を加熱成
型して形成した空気混入体60の表面の電子顕微鏡写真
の読取画像である。
【図21】アクリル樹脂の略球形粒子から形成した空気
混入体60の表面の電子顕微鏡写真の読取画像である。
【図22】上記の加熱溶融性粉体を加熱成形して得られ
る空気混入体60の一例を示す模式図である。
【図23】ナイロンメッシュを支持して形成した空気混
入体60の一例を示す模式図である。
【図24】他の実施例における空気混入部を説明する説
明図である。
【図25】この空気混入部における空気混入箇所の拡大
図である。
【図26】他の空気混入部における空気混入箇所の拡大
図である。
【図27】空気混入部の下流管路に設けられ気泡塊を粉
砕して気泡流の洗浄水とする狭窄部を説明する説明図で
ある。
【図28】他の狭窄部を説明する説明図である。
【図29】また別の狭窄部を説明する説明図である。
【図30】更に他の狭窄部を説明する説明図である。
【図31】その他の狭窄部を説明する説明図である。
【図32】他の空気混入部160を説明する説明図であ
る。
【図33】また別の空気混入部160を説明する説明図
である。
【図34】空気混入率η並びに洗浄水量と洗浄水水勢と
の関係を示すグラフである。
【図35】空気混入率ηと節水率との関係を示すグラフ
である。
【図36】また別の実施例の局部洗浄装置10Bの概略
構成を表わしたブロック図である。
【図37】この局部洗浄装置10Bの有する熱交換器1
2Bに流れ込む洗浄水の入水温度Twと、最大水量Qw
maxおよび最小空気混入率ηminとの関係を示すグ
ラフである。
【図38】他の実施例のノズル装置226の概略構成を
示す断面図である。
【図39】このノズル装置226の移動の様子を説明す
るための説明図である。
【図40】この他の実施例のノズル装置におけるお尻洗
浄動作を示すタイミングチャートである。
【図41】洗浄水流量Qwを変更した場合における動作
を示すタイミングチャートである。
【図42】空気流量Qaの制御を遅らせる遅延時間Tb
を設定するためのグラフである。
【図43】他の実施の態様にかかる洗浄水流量Qwを変
更した場合における動作を示すタイミングチャートであ
る。
【符号の説明】
10,10A,10B…局部洗浄装置 12,12B…熱交換器 14…電磁止水弁 16…ヒーター 18…満水水位センサ 20…下限水位センサ 22…温度センサ 24…電子制御装置 26,226…ノズル装置 26a…ノズル水路 28…バキュームブレーカ 30…流量調整弁 32…空気ポンプ 33…ノズル駆動モータ 34…流量調整弁 34a,34b…ノズルエアー流路 35…リモートコントローラ 36…着座センサ 38…電源投入部 40…ノズル本体 41…捨て水流路 41a…捨て水噴出口 42…ノズルヘッド 43…お尻流路 44,244…切替機構部 45…ビデ流路 46…シールリング 47…お尻噴出流路 49…お尻噴出口 51…ビデ噴出流路 53…ビデ噴出口 55…ケーシング 56…モータ連結体 58…空気室形成体 60…空気混入体 61,62…支持体 63,263…空気室切替部 64…スプリング 65…洗浄水導入路 66…貫通孔 67…空気導入路 68…貫通孔 69…流路切替器 70…お尻側貫通孔 71…ビデ側貫通孔 72…操作部 72a…お尻洗浄ボタン 72b…ビデ洗浄ボタン 72c…停止ボタン 72d…乾燥ボタン 72e…マッサージボタン 72f…ムーブボタン 72g…水勢設定ボタン 72h…吐水温設定ボタン 72i…ノズル位置調節ボタン 72j…便座温度設定ボタン 72l…混合比設定ボタン 72m…気泡量設定ボタン 72n…運転入/切ボタン 73…表示部 75…水圧センサ 80…気泡ポンプ 81…空気混入混合筐体 82…空気室 83…気泡分散体 84…洗浄水管路 85…空気導入管 90…メッシュ 91…支持体 160…空気混入部 161…洗浄水管路 162…空気導入口 163…導入口開孔 170…狭窄部 171…狭窄箇所 172…外側管路体 173…内側管路体 269…遮蔽ブロック

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 洗浄水を噴出して人体を洗浄する人体洗
    浄装置であって、 洗浄水を噴出する噴出口を有するノズルと、 前記噴出口に至る管路に設けられた空気混入部から該管
    路の洗浄水に空気を混入し、前記空気混入部からの空気
    混入を経た洗浄水の流れを洗浄水に空気が分散混合した
    気泡流とする空気混入手段と、 前記気泡流における洗浄水流量Qwと空気流量Qaの比
    の値Qa/Qwが所定範囲の目標値となるように、前記
    気泡流における洗浄水と空気の混合比を調整する混合比
    調整手段と、 前記混合比が前記目標値に略一致した状態で前記ノズル
    からの前記気泡流の洗浄水噴出を実行する噴出実行手段
    とを備えることを特徴とする人体洗浄装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の人体洗浄装置であって、 前記噴出実行手段は、 前記洗浄水の給水時又は給水停止時において、前記空気
    混入手段による空気混入時期を調整する手段を有する、
    人体洗浄装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の人体洗浄装置であって、 前記噴出実行手段は、 前記混合比が前記目標値となる以前は、前記管路を前記
    気泡流として流れる洗浄水を前記噴出口以外に導出する
    手段を有する、人体洗浄装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3いずれか記載の
    人体洗浄装置であって、 前記ノズルは、前記噴出口を人体局部に向けて洗浄水を
    噴出する、人体洗浄装置。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4記載の人体洗浄
    装置であって、 前記混合比調整手段は、前記比の値Qa/Qwが約1.
    3〜4.0の範囲となるように、前記気泡流における洗
    浄水と空気の混合比を調整する手段を有する、人体洗浄
    装置。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5いずれか記載の
    人体洗浄装置であって、 前記混合比調整手段は、 前記空気混入手段を制御して空気の混入量を制御し、前
    記空気流量Qaを調整する第1調整手段と、前記空気混
    入部を通過する洗浄水の通過量を制御し、前記洗浄水流
    量Qwを調整する第2調整手段の前記第1、第2調整手
    段の少なくとも一方を有する、人体洗浄装置。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし請求項5いずれか記載の
    人体洗浄装置であって、 前記混合比調整手段は、 前記空気混入部を通過する洗浄水の通過状況に基づいて
    前記空気混入手段を制御して空気の混入量を制御し、前
    記空気流量Qaを調整する手段を有する、人体洗浄装
    置。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし請求項5いずれか記載の
    人体洗浄装置であって、 前記空気混入部は、微細な気泡を洗浄水に混入する微細
    気泡混入手段を有する、人体洗浄装置。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の人体洗浄装置であって、 前記微細気泡供給手段は、平均直径が約100μm〜1
    000μmの微細な気泡を洗浄水に混入する、人体洗浄
    装置。
  10. 【請求項10】 請求項8記載の人体洗浄装置であっ
    て、 前記微細気泡供給手段は、洗浄水に接する面に多数分割
    された独立開孔を有する、人体洗浄装置
  11. 【請求項11】 請求項10記載の人体洗浄装置であっ
    て、 前記微細気泡供給手段の独立開孔は、その開孔配置が規
    則的である、人体洗浄装置
  12. 【請求項12】 請求項8ないし請求項11いずれか記
    載の人体洗浄装置であって、 前記空気混入部は、前記管路の一部を構成する、人体洗
    浄装置
  13. 【請求項13】 請求項12記載の人体洗浄装置であっ
    て、 前記空気混入部は、多孔質材料で形成されている、人体
    洗浄装置。
  14. 【請求項14】 請求項12記載の人体洗浄装置であっ
    て、 前記空気混入部は、前記管路の洗浄水に接する領域に亘
    って略網目状構造を有する、人体洗浄装置。
  15. 【請求項15】 請求項1ないし請求項5いずれか記載
    の人体洗浄装置であって、 前記空気混入手段は、 前記空気混入部の下流側の管路に、前記洗浄水の流れに
    含まれる気泡塊を破砕し、前記洗浄水の流れを破砕気泡
    が洗浄水に分散混合した気泡流に変遷する気泡破砕手段
    を有する、人体洗浄装置。
  16. 【請求項16】 請求項4記載の人体洗浄装置であっ
    て、 異なる人体局部に洗浄水を噴出するための複数の噴出口
    と、それぞれの噴出口に至る複数の噴出口側管路とを有
    し、 前記空気混入手段からの前記気泡流の流入先を、複数の
    前記噴出口側管路の一つに切り替える切替手段を有す
    る、人体洗浄装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014073821A1 (ko) * 2012-11-06 2014-05-15 코웨이 주식회사 무전원 에어펌프 및 이를 구비한 수처리장치
WO2015143571A1 (de) * 2014-03-25 2015-10-01 Noventa Ag Entkalkungskapsel für dusch-wc

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