JP2000044852A - インクジェット記録用水系インク - Google Patents

インクジェット記録用水系インク

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JP2000044852A
JP2000044852A JP21402898A JP21402898A JP2000044852A JP 2000044852 A JP2000044852 A JP 2000044852A JP 21402898 A JP21402898 A JP 21402898A JP 21402898 A JP21402898 A JP 21402898A JP 2000044852 A JP2000044852 A JP 2000044852A
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Japan
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ink
urea
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weight
emulsion
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JP21402898A
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English (en)
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Shigeki Takahashi
茂樹 高橋
Tatsuma Mizushima
龍馬 水島
Kenji Aida
健二 會田
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Kao Corp
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Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一般のインク特性を満足し、且つ60℃以上
の高温で長期間保存後の安定性に優れたインクジェット
記録用インクを提供すること。 【解決手段】 色材により着色された有色ポリマー微粒
子のポリマーエマルジョンからなり、ベタイン系化合物
及び多価アルコールを含有すると共に尿素系化合物を6
重量%以下含有するインクジェット記録用水系インク。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般のインク特性
を満足し、且つ60℃以上の高温で長期間保存後の安定
性に優れたインクジェット記録用インクに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】本出願
人は、先に特開平9−183931号公報及び特開平9
−286939号公報において、記録紙での耐水性や定
着性の向上及びインクのプリンタヘッドへの焦げ付き防
止等を目的として、ポリマー微粒子に色材を含浸させた
ポリマーエマルジョンからなるインクジェット用インク
を提案した。斯かるインクによれば従来のインクジェッ
ト用インクが有していた低耐水性等の問題は解決され
る。しかし、インクジェット用インクに要求される種々
の性能は益々厳しいものになっており、更に高性能のイ
ンクが要求されている。特に、上記ポリマーエマルジョ
ンからなるインクは、60℃以上の高温状態で長期間保
存するとポリマー微粒子の安定性が低下する場合がある
ことから、その高温保存安定性の更なる向上が望まれて
いた。
【0003】従って、本発明は、一般のインク特性を満
足し、且つ60℃以上の高温で長期間保存後の安定性に
優れたインクジェット記録用インクを提供することを目
的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリマー
エマルジョンからなるインクに特定のベタイン系化合物
と多価アルコールとを含有させ、且つ尿素系化合物の含
有量を特定の量以下とすることによって上記目的が達成
されることを知見した。
【0005】本発明は、上記知見に基づきなされたもの
で、下記式(1)で表されるベタイン系化合物及び多価
アルコールを含有すると共に尿素系化合物を6重量%以
下含有するインクジェット記録用水系インクを提供する
ことにより上記目的を達成したものである。
【0006】
【化2】
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のインクジェット記録用水
系インク(以下、単に「インク」という)を、その好ま
しい実施形態について説明する。本発明のインクには、
上記式(1)で表されるベタイン系化合物が含有されて
いる。このベタイン系化合物を含有させることによっ
て、高温で長期間保存後の安定性が極めて高くなり、ま
たインクに保湿効果が付与されて液安定性が向上し、更
にインクの吐出性が高まる。
【0008】上記式(1)中、R1 、R2 及びR3 とし
ては、好ましくは同一の又は異なるメチル基、エチル
基、プロピル基及びイソプロピル基等が用いられる。R
4 としては、好ましくはメチレン基、エチレン基、プロ
ピレン基及びブチレン基が用いられ、特に好ましくはメ
チレン基が用いられる。上記ベタイン系化合物として
は、水に対する溶解性が高いものが特に好ましく用いら
れる。そのような化合物の例としては、N,N,N−ト
リメチルグリシン、α−プロピオベタイン及びγ−ブチ
ロベタイン等が挙げられる。特にN,N,N−トリメチ
ルグリシンがインクの保湿性が良いため、吐出性が向上
し、目詰まり防止性が良好となる。
【0009】上記ベタイン系化合物は、色材100重量
部に対して10〜500重量部、特に40〜300重量
部含有されていることが好ましい。含有量がこの範囲内
であれば十分な高温保存安定性が発現する。
【0010】本発明のインクには、尿素系化合物が6重
量%以下、好ましくは4重量%以下含有されている。本
発明者らの詳細な検討の結果、上記式(1)で表される
ベタイン系化合物と尿素系化合物とを併用すると、イン
クに一層の保湿性が付与されて液安定性が一層向上する
ためインクの吐出性が一層高まることが判明したが、反
面、上記ベタイン系化合物と尿素系化合物との併用によ
って60℃以上の高温でのインクの保存安定性が低下す
ることも判明した。更に詳細な検討の結果、この高温保
存安定性の低下は尿素系化合物の含有量が6重量%以下
であれば実用に耐え得る程度になることが判明した。そ
こで、本発明においては、尿素系化合物の含有量を6重
量%以下としたものである。上記併用の影響を全く受け
ないようにするために、尿素系化合物が含有されなくて
もよい。また、尿素系化合物が2種以上含有される場合
には、それらの合計の含有量が6重量%以下となるよう
にする。
【0011】尿素系化合物の例としては、脂肪族系尿素
及び芳香族系尿素が挙げられ、脂肪族系尿素としては尿
素、メチル尿素、ジメチル尿素、トリメチル尿素、テト
ラメチル尿素、エチル尿素、ジエチル尿素、アセチル尿
素、ビウレット、アラントイン等があり、芳香族系尿素
としてはフェニル尿素、ベンジル尿素、N−エチル−
N’−フェニル尿素、エトキシフェニル尿素、ジフェニ
ル尿素、テトラフェニル尿素、ベンゾイル尿素等があ
る。但し、エチレン尿素は除く。特に、尿素、メチル尿
素、ジメチル尿素又はエチル尿素を上記ベタイン系化合
物と、特定量以下でもって併用することが高温保存安定
性の確保の点から好ましい。
【0012】上記ポリマーエマルジョンとしては、色材
により着色された有色ポリマー微粒子のエマルジョンが
用いられ、特に、水不溶性又は水難溶性色材を含浸させ
たポリマー微粒子のエマルジョンが用いられることが好
ましい。本明細書において、「色材を含浸させた」と
は、ポリマー微粒子中に色材を封入した状態及びポリマ
ー微粒子の表面に色材を吸着させた状態の何れか又は双
方を意味する。この場合、本発明のインクに配合される
色材はすべてポリマー微粒子に封入又は吸着されている
必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲におい
て、該色材がエマルジョン中に分散していてもよい。本
発明の好ましい態様においては、上記インクは、水不溶
性又は水難溶性色材が含浸されたポリマー微粒子の水系
分散液(エマルジョン)からなり、且つ上記ベタイン系
化合物を含有すると共に上記尿素系化合物を6重量%以
下含有し、更に後述する多価アルコールを含有してい
る。
【0013】上記色材としては、水不溶性若しくは水難
溶性であって、上記ポリマーによって吸着され得る色材
であれば特に制限なく用いられる。本明細書において、
水不溶性若しくは水難溶性とは、20℃で水100重量
部に対して、色材が10重量部以上溶解しないことをい
い、溶解するとは、目視で水溶液表層または下層に色材
の分離や沈降が認められないことをいう。上記色材とし
ては、例えば、油溶性染料、分散染料等の染料や、顔料
等が挙げられる。特に、良好な吸着・封入性の観点から
油溶性染料及び分散染料が好ましい。
【0014】本発明に用いられる上記の各染料は、ポリ
マー微粒子に効率的に含浸される観点から、有機溶剤、
例えば、ケトン系溶剤に2g/リットル以上、特に20
〜600g/リットル溶解することが好ましい。
【0015】上記色材は、十分な印字濃度の確保及びポ
リマー微粒子の安定性の確保の点から、本発明のインク
中に1〜30重量%、特に1.5〜25重量%含有され
ることが好ましい。また、上記色材の含有量は、ポリマ
ーの含有量との関係において、該ポリマーの重量に対し
て約10〜200重量%、特に約25〜150重量%で
あること好ましい。
【0016】上記ポリマーエマルジョンを形成するポリ
マーとしては、例えば、ビニル系ポリマー、ポリエステ
ル系ポリマー及びポリウレタン系ポリマー等を用いるこ
とが出来る。特に好ましく用いられるポリマーはビニル
系ポリマー及びポリエステル系ポリマーである。以下、
これらのポリマーについてそれぞれ説明する。
【0017】上記ビニル系ポリマーとしては、下記式
(2)で表されるシリコーンマクロマー並びにアクリル
アミド及びメタクリルアミド系モノマー(但し、塩生成
基を有するものは除く)からなる群から選ばれる一種以
上の重合性モノマー(a) と、塩生成基を有する重合性不
飽和モノマー(b) と、これらモノマーと共重合可能なモ
ノマー(c) とをラジカル重合開始剤の存在下に共重合さ
せて得られるビニル系ポリマーを用いることが、耐焦げ
付き性が良好となる点で好ましい。
【0018】
【化3】
【0019】上記式(2)で表されるシリコーンマクロ
マーにおいて、Xは重合可能な不飽和基を示し、具体的
にはCH2 =CH−及びCH2 =C(CH3 )−等の基
が挙げられる。Yは二価の結合基を示し、具体的には−
COO−、−COOCb 2b−( ここでbは1〜5の数
を示す) 及びフェニレン基等が挙げられ、−COOC 3
6 −が好ましい。R5 は水素原子;メチル基やエチル
基等の低級アルキル基;フェニル基等のアリール基;メ
トキシ基等のアルコキシ基を示し、メチル基であること
が好ましい。Zは少なくとも約500の数平均分子量
〔ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GP
Cという)でポリエチレン換算する。以下同じ〕を有す
る一価シロキサンポリマー部分を示し、好ましくは数平
均分子量800〜5000の一価のジメチルシロキサン
ポリマーである。nは0又は1であり、好ましくは1で
ある。mは1〜3の整数であり、好ましくは1である。
【0020】好ましいシリコーンマクロマーとしては、
本出願人の出願に係る特開平9−286939号公報の
第5欄〜第6欄の段落番号〔0016〕記載のもの等が
挙げられ、特に好ましいものは同公報の第5欄〜第6欄
の段落番号〔0020〕記載のシリコーンマクロマー
〔チッソ(株)製のFM-0711 (商品名)〕である。
【0021】上記アクリルアミド又はメタクリルアミド
系モノマー〔以下「(メタ)アクリルアミド系モノマ
ー」という〕としては、特開平9−286939号公報
の第5欄40行〜第7欄22行記載のもの等が用いら
れ、特にアクリルアミド、N −(1,1 −ジメチル-3- オ
キソブチル)アクリルアミド(ダイアセトンアクリルア
ミド)、N,N −ジメチルアクリルアミド、N,N −ジエチ
ルアクリルアミド、N,N −ジイソプロピルアクリルアミ
ド、N,N −ジブチルアクリルアミド、N −t −ブチルア
クリルアミド、N −t −ヘキシルアクリルアミド、N −
t −オクチルアクリルアミド、N −ベンジルアクリルア
ミド、N −イソプロピルアクリルアミド、N−メチロー
ルアクリルアミド、N −シクロヘキシルアクリルアミド
等のアクリルアミドモノマー、並びにメタクリルアミ
ド、N,N −ジメチルメタクリルアミド、N,N −ジエチル
メタクリルアミド、N −t −ブチルメタクリルアミド、
N −t −オクチルメタクリルアミド、N −イソプロピル
メタクリルアミド、N −メチロールメタクリルアミド、
N −シクロヘキシルメタクリルアミド等のメタクリルア
ミドモノマーを用いることが好ましい。
【0022】上記重合性不飽和モノマー(b) としては、
特開平9−286939号公報の第7欄23行〜第8欄
29行記載のもの等が用いられ、特にカチオン性のモノ
マーとして、不飽和3級アミン含有モノマー、不飽和ア
ンモニウム塩含有モノマー等があり、具体的には、ビニ
ルピリジン、2 −メチル−5 −ビニルピリジン、2 −エ
チル−5 −ビニルピリジンの如きモノビニルピリジン
類;N,N −ジメチルアミノスチレン、N,N −ジメチルア
ミノメチルスチレンの如きジアルキルアミノ基を有する
スチレン類;N,N −ジメチルアミノエチルアクリレー
ト、N,N −ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N
−ジメチルアミノプロピルアクリレート、N,N −ジエチ
ルアミノプロピルメタクリレートの如きアクリル酸又は
メタクリル酸のジアルキルアミノ基を有するエステル
類;2 −ジメチルアミノエチルビニルエーテルの如きジ
アルキルアミノ基を有するビニルエーテル類;N −
(N',N' −ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N
−(N',N' −ジメチルアミノエチル)メタクリルアミ
ド、N −(N',N' −ジエチルアミノエチル)アクリルア
ミド、N−(N',N' −ジエチルアミノエチル)メタクリ
ルアミドの如きジアルキルアミノ基を有するアクリルア
ミド又はメタクリルアミド類、あるいはこれらをハロゲ
ン化アルキル(アルキル基の炭素数1から4)の如き公
知の4級化剤で4 級化したもの等が挙げられる。また、
アニオン性のモノマーとしては、不飽和カルボン酸モノ
マー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマ
ー等があり、具体的には、不飽和カルボン酸モノマーと
しては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレ
イン酸等、又はそれらの無水物及び塩があり、不飽和ス
ルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2 −
アクリルアミド−2 −メチルプロパンスルホン酸等及び
これらの塩、その他2 −ヒドロキシエチル(メタ)アク
リル酸の硫酸モノエステル及びそれらの塩があり、不飽
和リン酸モノマーとしては、ビニルホスフェート、ジフ
ェニル−2 −メタクリロイロキシエチルホスフェート等
を用いることが好ましい。
【0023】上記のモノマー(a) 及び(b) と共重合可能
なモノマー(c) としては、特開平9−286939号公
報の第8欄30行〜第9欄1行記載のもの等が用いら
れ、特にアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリ
ル酸n −ブチル、 アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2
−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル等のアクリル酸
エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸n −ブチル、メタクリル酸t −ブチ
ル、メタクリル酸2 −エチルヘキシル、メタクリル酸ド
デシル等のメタクリル酸エステル類;スチレン、2 −メ
チルスチレン等のスチレン系モノマー;2 −ヒドロキシ
エチルアクリレート、3 −ヒドロキシプロピルアクリレ
ート、2 −ヒドロキシエチルメタクリレート、3 −ヒド
ロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシル基含有
アクリレート及びメタクリレート;片末端に重合性官能
基を有するビニル系ポリマーからなるビニル系マクロマ
ー、片末端に重合性官能基を有するポリエステルからな
るポリエステル系マクロマー、片末端に重合性官能基を
有するポリウレタンからなるポリウレタンマクロマー、
片末端に重合性官能基を有するポリアルキルエーテルか
らなるポリアルキルエーテルマクロマー等を用いること
が好ましい。
【0024】上記モノマー(c) としては、上記のものに
限定されず、市販のラジカル共重合性モノマーを用いる
こともできる。特に、下記式(3-1) 〜(3-4) で表される
モノマーを一種以上使用することが、エマルジョンの保
存安定性の点から好ましい。
【0025】
【化4】
【0026】上記式(3-1) 〜(3-4) で表されるモノマー
としては市販品も使用することができる。例えば、片末
端にメタクリロイルオキシ基を有するスチレン及び/又
はアクリロニトリル共重合体マクロマー〔東亜合成
(株)製、AN-6、AS-6(商品名)〕、片末端にメタクリ
ロイルオキシ基を有するメタクリル酸メチル重合体マク
ロマー〔東亜合成(株)製、AA-6(商品名)〕、片末端
にメタクリロイルオキシ基を有するポリオキシエチレン
マクロマー〔新中村化学(株)製、NKエステルM-90Gne
w、同M-40Gnew、同M-20Gnew(商品名)〕、片末端にメ
タクリロイルオキシ基を有するポリエステルマクロマー
〔ダイセル化学工業(株)製、FM4DX (商品名)〕等が
挙げられる。
【0027】上記ビニル系ポリマーを合成する場合に
は、上記モノマー(a) をモノマー全量に対して1〜40
重量%、上記モノマー(b) をモノマー全量に対して1〜
25重量%、上記モノマー(c) をモノマー全量に対して
35〜96重量%の割合で用いて共重合させることが好
ましい。
【0028】上記ビニル系ポリマーは、特開平9−28
6939号公報の第9欄10〜23行に記載の重合方法
により得ることができ、特に溶液重合法により製造され
ることが好ましい。
【0029】共重合の際にはラジカル重合開始剤が用い
られ、その例としては特開平9−286939号公報の
第9欄24行〜36行に記載のもの等が挙げられ、特に
2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス
(2,4 −ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス
(4 −メトキシ−2,4 −ジメチルバレロニトリル)、ジ
メチル−2,2'−アゾビスブチレート、2,2'−アゾビス
(2 −メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(1 −
シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物を用い
ることが好ましい。これらのラジカル重合開始剤は、モ
ノマー全量に対して0.001 〜2.0 モル%、特に0.01〜1.
0 モル%用いられることが好ましい。
【0030】共重合の際には、更に重合連鎖移動剤を添
加しても良い。重合連鎖移動剤の具体例としては、特開
平9−286939号公報の第9欄37行〜第10欄1
0行に記載のもの等が挙げられ、特にメルカプトエタノ
ール、n −ドデシルメルカプタン、t −ドデシルメルカ
プタンなどのメルカプタン類;ジメチルキサントゲンジ
スルフィドなどのキサントゲンジスルフィド類;テトラ
メチルチウラムジスルフィドなどのチウラムジスルフィ
ド類;四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類;ペンタ
フェニルエタンなどの炭化水素類;及びアクロレイン、
メタクロレイン、アリルアルコール、α−メチルスチレ
ンダイマー(2,4 −ジフェニル−4 −メチル−1 −ペン
テンが50重量% 以上のものが好ましい)等の不飽和環状
炭化水素化合物;キサンテン、2,5 −ジヒドロフラン等
の不飽和ヘテロ環化合物等を用いることが好ましい。
【0031】このようにして得られるビニル系ポリマー
の重量平均分子量(GPCでポリエチレン換算する。以
下同じ)は、3,000〜50,000であることが好
ましい。
【0032】ポリエステル系ポリマーとしては、JIS
K 0070に基づく酸価が3〜100KOHmg/
gのものが好ましく用いられる。上記酸価が3KOHm
g/gに満たないと、色材を安定に含浸させたポリマー
エマルジョンが得られない場合があり、100KOHm
g/gを超えると、インクの耐水性が劣る場合があるの
で、上記範囲内とすることが好ましい。上記酸価は、よ
り好ましくは3〜90KOHmg/g、更に好ましくは
30〜80KOHmg/g、特に好ましくは50〜70
KOHmg/gであることが、エマルジョン形成性及び
安定性が向上する点で良好な結果をもたらす。
【0033】上記ポリエステル系ポリマーは、その数平
均分子量が好ましくは500〜100000、更に好ま
しくは1000〜50000、一層好ましくは1500
〜30000、更に一層好ましくは2000〜1500
0であることが、プリンタヘッドへの焦げ付きや印刷後
のインクの耐水性及び耐擦過性、並びにエマルジョン形
成性の点から好ましい。
【0034】上述の好ましい物性を有するポリエステル
系ポリマーとしては、例えば下記式(4) で表されるジオ
ール成分から誘導される単位をポリエステル鎖中に含む
ものが挙げられる。特に、下記式(4) で表されるジオー
ル成分〔以下、(a) 成分という〕と、多価カルボン酸及
び/又はその誘導体〔以下、(b) 成分という〕とを共縮
重合して得られたものが好ましい。
【0035】
【化5】
【0036】上記(a) 成分である上記式(4) で表される
ジオール成分は、ビスフェノールAのアルキレンオキシ
ド付加物、特にビスフェノールAのエチレンオキシド又
はプロピレンオキシド付加物が好ましい。
【0037】上記(b) 成分である多価カルボン酸及び/
又はその誘導体は、例えば多価カルボン酸、その酸無水
物及びその低級アルキルエステルからなる群から選ばれ
る一種以上が用いられる。
【0038】上記多価カルボン酸としては、二価以上の
カルボン酸が用いられる。また、これら多価カルボン酸
の低級アルキルエステルとしては、炭素数1〜4のアル
キルエステルが用いられる。就中、上記多価カルボン酸
として、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、フタル
酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、ダイマー
酸等の二価のカルボン酸、又は1,2,4−ベンゼント
リカルボン酸、無水トリメリット酸を用いることが好ま
しい。
【0039】上記ポリエステル系ポリマーは、上記ジオ
ール成分と、多価カルボン酸及び/又はその誘導体とを
共縮重合して得られる。この共縮重合方法に特に制限は
なく公知の方法が用いられる。上記(a) 成分と上記(b)
成分とのモル比は、上記(a)成分1モルに対して上記(b)
成分が0.01〜1.4モル、特に0.1〜1.2モ
ルが好ましい。
【0040】上記ポリエステル系ポリマーのうち、上記
式(4) で表されるジオール成分〔上記(a) 成分〕と、無
水トリメリット酸〔以下、(b)'成分ともいう〕と、無水
トリメリット酸以外の多価カルボン酸及び/又はその誘
導体〔以下、(b)"ともいう〕とを共縮重合して得られた
ポリエステル系ポリマー(以下、ポリエステルAとい
う)が好ましい。
【0041】上記(b)'成分を用いることにより、エマル
ジョンの形成性、安定性及び色材の吸着量が向上する。
上記ポリエステルA中での無水トリメリット酸の結合形
態は、無水トリメリット酸中の環状無水部位が開環し、
ポリエステル鎖中に組みこまれている状態である。トリ
メリット酸そのものではなく、その酸無水物を用いるこ
とにより、特にポリエステル合成時の高反応性及びエマ
ルジョンの高形成性という効果が奏されるために好まし
い。
【0042】上記ポリエステルAに用いられる上記(b)"
成分としては、上述した上記ポリエステルに用いられる
上記(b) 成分から、無水トリメリット酸を除いたものを
用いるのが好ましい。
【0043】上記ポリエステルAにおける共縮重合成分
である、上記(a) 成分と上記(b)'成分と上記(b)"成分と
のモル比は、(a) 成分1モルに対して、(b)'成分が0.
05〜0.7モル、特に0.1〜0.5モルが好まし
い。上記(b)"成分は0.3〜1.2モル、特に0.5〜
1.1モルが好ましい。
【0044】上記ポリエステルA成分に、更にダイマー
酸を加えて共縮重合して得られたポリエステル系ポリマ
ーも好ましい。上記ダイマー酸は、不飽和脂肪酸2分子
の重合反応により合成された物質であり、例えば、非環
式ダイマー酸、単環式ダイマー酸、二環式ダイマー酸が
あり、これら一種以上を適宜組合せて用いられる。市販
品ではユニダイム22(商品名、ユニオンキャップ社
製)、ハリダイマー(商品名、播磨化成社製)が使用で
きる。上記ダイマー酸を用いることにより、エマルジョ
ンの形成性、安定性が向上し、色材が含浸され易くな
る。エマルジョンの形成性、安定性の更なる向上の点か
ら非環式ダイマー酸が特に好ましい。
【0045】上記ダイマー酸は、上記(a) 成分1モルに
対して0.001〜0.7モル、特に0.01〜0.5
モルが好ましい。他の好ましい成分比率は上記した通り
である。
【0046】上記ポリエステル系ポリマーは、ガラス転
移点(以下、Tgという)が20℃以上が好ましく、特
に、50〜150℃が好ましい。また、圧電素子を用い
たインクジェット方式では20℃以上、熱エネルギーを
用いたインクジェット記録方式では30℃以上が好まし
い。これらの好ましい範囲を外れると、上記ポリエステ
ル系ポリマーがプリンタのノズルで固化し易く、ノズル
が詰まる場合がある。また、印字した紙を重ねるとイン
クの紙写りが起こる場合がある。なお、Tgは示差走査
熱量計(以下、DSCという)で測定される。
【0047】上述した各種ポリマーは、十分な印字濃度
の確保及び蒸発に伴うインクの増粘やポリマー微粒子の
凝集に起因するプリンタヘッドの目詰まり防止の点か
ら、本発明のインク中に固形分として1〜30重量%、
特に2〜20重量%含有されることが好ましい。
【0048】本発明のインクには多価アルコールが含有
されている。この多価アルコールは湿潤剤として用いら
れるものであり、その例としてはエチレングリコール、
プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエ
チレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエ
チレングリコール及びグリセリン並びにそのエーテル類
等が挙げられる。これらの多価アルコールは、保湿性及
び初期吐出安定性の向上の点から、色材100重量部に
対して50〜1000重量部、特に100〜500重量
部含有されることが好ましい。
【0049】本発明のインクは、水(望ましくはイオン
交換水)を媒体とし、その配合量は、好ましくは50〜
98重量%、更に好ましくは55〜95重量%、一層好
ましくは60〜90重量%である。
【0050】本発明のインクには、印字ヘッドのフェイ
ス面の汚れに起因するインク吐出不良の防止及びインク
液滴の着弾位置の精度向上を目的として、上述の成分の
他に、アルキルリン酸塩及びポリオキシエチレンアルキ
ルエーテルリン酸塩等のリン酸エステル塩を含有させる
ことが好ましい。これらのリン酸エステル塩は、モノエ
ステル塩又はジエステル塩であることが好ましく、特に
ジエステル塩であることが好ましい。上記アルキルリン
酸塩におけるアルキル基の炭素数は8〜18が好まし
い。また、上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルリ
ン酸塩におけるアルキル基の炭素数も同様に8〜18が
好ましく、オキシエチレン基の付加モル数は0〜20モ
ルが好ましい。リン酸エステル塩の含有量は、色材のヘ
ッドへの焦げ付きによるインク吐出不良の防止及びイン
ク液滴の着弾位置の精度向上の点から、色材100重量
部に対して0.01〜50重量部、特に0.1〜40重
量部であることが好ましい。
【0051】また、本発明のインクに、下記式(5)で
表されるアルコキシプロパンジオール若しくはそのオキ
シアルキレン誘導体又はグリセリルエーテルを含有させ
ることも好ましい。特に好ましいものはグリセリルエー
テル(アルキル基の炭素数1〜10のもの)である。ま
た、一価のアルコールを含有させることも好ましい。特
に、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコー
ル、n−ブチルアルコール、オクチルアルコール等が好
ましい。更に、これら一価アルコールと上述のアルコキ
シプロパンジオール又はそのオキシアルキレン誘導体と
を併用してもよい。これらの成分の含有量は、印字ヘッ
ドのフェイス面の汚れ防止及びインクの紙への浸透性促
進の点から、色材100重量部に対してそれぞれ0.0
1〜50重量部、特に0.1〜40重量部であることが
好ましい。
【0052】
【化6】
【0053】更に、本発明のインクに、従来公知の各種
添加剤、例えば、分散剤、シリコーン系等の消泡剤、表
面張力調整剤、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、
サリチル酸エステル及びシアノアクリレート等の紫外線
吸収剤、クロロメチルフェノール系等の防黴剤、EDT
A等のキレート剤、亜硫酸塩等の酸素吸収剤を配合させ
てもよい。
【0054】上記分散剤は、ポリマー微粒子の小粒径化
やエマルジョンの安定性等の点から、本発明のインク中
に、通常0.01〜10重量%含有されることが望まし
く、0.05〜5重量%配合されることが更に望まし
く、0.1〜1重量%配合されることが更に一層望まし
い。
【0055】上記消泡剤は、本発明のインク中に0〜2
重量%、特に0.001〜2重量%、とりわけ0.00
5〜0.5重量%配合されることが好ましい。消泡剤の
量が2重量%を超えると泡の発生は抑えられるものの、
印字の際にインク内ではじきが発生し、印字品質の低下
が起こる場合がある。
【0056】上記表面張力調整剤としては、上述のシリ
コーン系消泡剤や、カチオン、アニオン或いはノニオン
系の各種界面活性剤を使用することができる。特に、シ
リコーン系消泡剤や、アルキルフェノールのエチレンオ
キサイド化合物、アセチレングリコールのエチレンオキ
サイド付加物を用いることが泡の発生の抑制、インクの
表面張力の調整のしやすさ、及びインク吐出性、にじみ
が少ない、印字濃度ムラがない等の点で好ましい。これ
ら表面張力調整剤は、印字品質やインクの液安定性等の
点から、本発明のインク中に0.005〜15重量%含
有されることが望ましい。
【0057】本発明のインクは、インクの滲み及び印字
品質の低下の防止並びにプリントヘッドノズルからのイ
ンク漏れ防止の点から、その20℃における表面張力
が、25〜65mN/m、特に28〜50mN/mであ
ることが好ましい。上記表面張力は、協和界面科学
(株)製の自動表面張力計(CBVP−Z型)により測
定することができる。
【0058】本発明のインクは、インクジェットプリン
タで用いたときの吐出の安定性の点から、その20℃に
おける粘度が、0.5〜8mPa・sec、特に1〜5
mPa・secであることが好ましい。上記粘度は、
(株)東京計器製のE型粘度計(VISCONIC E
LD)又は、(株)ニッカトー東京支社製の回転振動式
粘度計(ビスコメイト VM−100)により測定する
ことができる。
【0059】次に、本発明のインクの好ましい製造方法
について説明する。先ず、有機溶媒中に上記ポリマーと
上記色材とを添加する。次いで、得られた溶液又は分散
液に、中和剤及び必要に応じて界面活性剤を加え、上記
ポリマー中の塩生成基をイオン化する。次いで、得られ
た混合物に水を加える際に、公知の乳化方法を用いて乳
化する。その乳化方法の例としては、マイクロフルイダ
イザー等の乳化機を用いる方法や転相乳化法等がある。
その後、系を減圧下に加熱することにより該乳化物から
上記有機溶媒を留去させる。これにより、上記色材を含
浸させたポリマーの微粒子のエマルジョンが得られる。
【0060】上記エマルジョン調製の際に、色材と共に
各種の疎水性の安定化剤を上記水不溶性有機溶媒に溶解
させておくことで、上記ポリマー中に該安定化剤を封入
させることも出来る。安定化剤としては、特に限定され
るものではないが、例えば、上述したベンゾトリアゾー
ル、ベンゾフェノン、サリチル酸エステル及びシアノア
クリレート等の紫外線吸収剤;ヒンダードフェノール
系、アミン系等の1次酸化防止剤;リン系、硫黄系等の
2次酸化防止剤;ヒンダードアミン系等の紫外線安定化
剤等を用いることが出来る。
【0061】このようにして色材を含浸させたポリマー
微粒子のエマルジョンに、上記ベタイン系化合物を含有
させ、更に上記尿素系化合物を6重量%以下含有させる
か又は該尿素系化合物を含有させず、更に必要に応じて
その他の成分を添加・分散させることによって、本発明
のインクが得られる。
【0062】本発明のインクの調製に際しては、粗大粒
子を除去することが好ましい。例えば、調製後のインク
をフィルターにより加圧濾過或いは遠心分離器で処理し
て、好ましくは2000nm以上、更に好ましくは10
00nm以上、一層好ましくは500nm以上の粒子を
除去することにより、目詰まりのないインクが得られ
る。
【0063】このようにして得られたポリマーエマルジ
ョン及び最終的なインクのpHは、エマルジョンの安定
性を確保する為に5〜12、好ましくは5.5〜10と
することが好ましい。
【0064】本発明のインクは、インクジェット記録用
のインクとして使用されるものであるが、その他のイン
クとして、例えば、一般の万年筆、ボールペン、サイン
ペン等の筆記具用のインクとしても使用可能である。
【0065】
【実施例】例中の「%」は特記しない限り重量基準であ
る。
【0066】〔製造例1〕撹拌機、還流冷却管、滴下ロ
ート、温度計、窒素導入管の付いた反応器に、重合溶媒
としてメチルエチルケトン20g、重合性不飽和モノマ
ーとして、表1の初期仕込みモノマーの欄に記載されて
いるモノマー及び重合連鎖移動剤を仕込み、窒素ガス置
換を充分行った。一方、滴下ロート中に、表1の滴下モ
ノマーの欄に記載されているモノマー及び重合連鎖移動
剤とメチルエチルケトン60gと、2,2’−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.2gとを充分
窒素置換を行った後に仕込んだ。窒素雰囲気下、反応容
器内の混合液を撹拌しながら65℃まで昇温させ、滴下
ロート中の混合液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下
が終了して2時間後、2,2’−アゾビス(2,4−ジ
メチルバレロニトリル)0.1gをメチルエチルケトン
5gに溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70
℃で2時間熟成させることによりビニル系ポリマー溶液
を得た。
【0067】得られたビニル系ポリマー溶液の一部を、
減圧下、105℃で2時間乾燥させ、完全に溶媒を除去
することによって単離した。このビニル系ポリマーの重
量平均分子量及びTgを、GPC(溶媒:テトラヒドロ
フラン)及びDSCを用いてそれぞれ測定したところ、
約10,000及び180℃であった。
【0068】上記で得られたビニル系ポリマー溶液を減
圧乾燥させて得られたビニル系ポリマー5gに、トルエ
ン25g及びVail Fast Blue 2606 〔オリエント化学
(株)製〕5gを加えて完全に溶解させ、水酸化ナトリ
ウム水溶液を2g加えてビニル系ポリマーの塩生成基を
一部中和した。次いで、イオン交換水300gを加え、
撹拌した後、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイ
ダイザー社製)を用いて、8500psiで30分間乳
化した。得られた乳化物を減圧下60℃でトルエンを完
全に除去し、更に一部の水を除去することにより濃縮
し、疎水性染料を含浸させたビニル系ポリマー微粒子の
エマルジョン(平均粒径;98nm、固形分濃度;10
%)を得た。
【0069】
【表1】
【0070】〔実施例1及び2並びに比較例1〕製造例
1で得られたビニル系ポリマー微粒子のエマルジョンを
下記配合で各成分を混合し、得られた分散液を0.2μ
mのフィルターによって濾過し、ゴミ及び粗大粒子を除
去して水系インクをそれぞれ得た。
【0071】 〔実施例1の配合〕 ・製造例1で得られたエマルジョン(固形分) 12g ・N,N,N−トリメチルグリシン 10g ・ジエチレングリコール 5g ・エレクトロストリッパーF〔商品名、花王(株)製〕 1g (ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸カリウム塩) ・イオン交換水 72g
【0072】 〔実施例2の配合〕 ・製造例1で得られたエマルジョン(固形分) 10g ・α−プロピオベタイン 10g ・尿素 4g ・ジエチレングリコール 5g ・ジアルキルリン酸ナトリウム塩(アルキル基の炭素数8) 1g ・イオン交換水 70g
【0073】 〔比較例1の配合〕 ・製造例1で得られたエマルジョン(固形分) 10g ・尿素 8g ・ジエチレングリコール 5g ・n−ブチルアルコール 2g ・アセチレノールEH 1g ・イオン交換水 74g
【0074】〔実施例3〕ポリオキシプロピレン(2.
2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン1050g、非環式ダイマー酸化合物30%及び単環
式ダイマー酸化合物10%を含有するダイマー酸混合物
90g、フマール酸270g、無水トリメリット酸12
0g、ハイドロキノン1.5gをガラス製2リットルの
4つ口フラスコに入れ、温度計、ステンレス製攪拌棒、
流下式コンデンサー及び窒素導入管をこれに取りつけ
た。マントルヒーター中で、窒素気流下にて210℃に
て攪拌しつつ反応せしめた。重合度はASTM E28
−67に準ずる軟化点より追跡を行い、軟化点が100
℃に達した時反応を終了した。得られたポリエステルは
淡黄色の固体であり、DSCによるTgは58℃であっ
た。また、JIS K0070に基づく該ポリエステル
の酸価は53KOHmg/gであり、数平均分子量(G
PCでポリスチレン換算)は5,500であった。次
に、上記ポリエステル150g、油溶性染料(オリエン
ト化学製、OIL BLACK 860)70g及びテトラヒドロフラ
ン500gをセパラブルフラスコに入れ、フラスコ内を
2 置換後、攪拌して上記ポリエステル及び油溶性染料
をテトラヒドロフランに完全溶解させた。引き続き、ジ
メチルエタノールアミン13.90g及び水酸化ナトリ
ウム1.13gを加えて上記ポリエステル中のカルボキ
シル基をイオン化した。更に、960gのイオン交換
水、3gのナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物塩
(HLB値8.51)及び50gのN,N,N−トリメ
チルグリシンからなる混合水溶液を滴下して撹拌した
後、減圧下で40℃に加熱してテトラヒドロフランを除
去して、N,N,N−トリメチルグリシン8%を含有し
且つ色材(油溶性染料)を含浸させたポリエステル微粒
子のエマルジョン(平均粒径;20nm、固形分濃度;
20%)を得た。このエマルジョンを用いて下記配合で
各成分を混合し、得られた分散液を0.2μmのフィル
ターによって濾過し、ゴミ及び粗大粒子を除去して水系
インクを得た。 ・上記エマルジョン(固形分) 20g (N,N,N−トリメチルグリシン8g含有) ・ジエチレングリコール 5g ・グリセリン 2g ・ジアルキルリン酸ナトリウム塩(アルキル基の炭素数8) 1g ・イオン交換水 72g
【0075】〔実施例4及び比較例2〕実施例3におい
て、50gのN,N,N−トリメチルグリシンに代え
て、50gのγ−プロピオベタイン及び4gの尿素を用
い(実施例4)、50gのN,N,N−トリメチルグリ
シン及び8gの尿素を用いる(比較例2)以外は実施例
1と同様にしてインクを得た。
【0076】〔性能評価〕実施例及び比較例で得られた
インクについて下記の方法で耐水性、印字濃度及び高温
保存安定性を評価した。その結果を表2に示す。
【0077】<耐水性>PPC用再生紙〔日本加工製紙
(株)社製〕にベタ印字し、1時間以上放置した後、静
水中に垂直に10秒間浸漬し、そのまま垂直に引き上げ
た。室内にて自然乾燥させた後、印字されていない白色
部の光字濃度をマクベス濃度計RD918(マクベス社
製)で測定し、耐水性を下記の基準で評価した。 ◎:白色部の光学濃度が浸漬前の96%以上 ○:白色部の光学濃度が浸漬前の90%以上96%未満 ×:白色部の光学濃度が浸漬前の90%未満
【0078】<印字濃度>PPC用再生紙〔日本加工製
紙(株)社製〕にベタ印字し、室内にて24時間自然乾
燥させた後、その光学濃度をマクベス濃度計RD918
(マクベス社製)で測定し、下記の基準で評価した。 ◎:反射濃度が1.2以上 ○:反射濃度が1.0以上1.2未満 ×:反射濃度が1.0未満
【0079】<高温保存安定性>インクを60℃の恒温
室に3ヶ月間入れ、その前後のポリマー粒子の粒径分布
をコールターカウンターで測定して、高温保存安定性を
評価した。 ◎:粒径分布の変化が全くなく、単分散系で平均粒径が
100nm以下 ○:粒径分布の変化が微妙にあるが、単分散系で平均粒
径が100nm以下 △:粒径分布が変化し、2ピーク以上の分布をもつ多分
散系で平均粒径が200nm以下 ×:液底に凝集沈澱物が発生
【0080】
【表2】
【0081】表2に示す結果から明らかなように、実施
例1〜4のインク(本発明品)は、耐水性及び印字濃度
が高く、しかも高温保存安定性に優れていることが判
る。特に、尿素が含有されていない実施例1及び3のイ
ンクは高温保存安定性に極めて優れていることが判る。
これに対して比較例1及び2のインクは高温保存安定性
に劣るものであることが判る。
【0082】
【発明の効果】本発明によれば、一般のインク特性を満
足し、且つ60℃以上の高温で長期間保存後の安定性に
優れたインクジェット記録用インクが提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 會田 健二 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内 Fターム(参考) 4J039 AD05 AD09 AD10 AD12 AD23 AE04 AE06 AE07 AE11 BC10 BC11 BC13 BC32 BC37 BE01 BE22 CA06 EA42 EA44 EA46 GA24

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 色材により着色された有色ポリマー微粒
    子のポリマーエマルジョンからなり、下記式(1)で表
    されるベタイン系化合物及び多価アルコールを含有する
    と共に尿素系化合物を6重量%以下含有するインクジェ
    ット記録用水系インク。 【化1】
  2. 【請求項2】 更にリン酸エステル塩を含有する請求項
    1記載のインクジェット記録用水系インク。
  3. 【請求項3】 更にグリセリルエーテル化合物又は一価
    アルコールの一種以上を含有する請求項1又は2記載の
    インクジェット記録用水系インク。
  4. 【請求項4】 上記尿素系化合物が尿素、メチル尿素、
    ジメチル尿素又はエチル尿素である請求項1〜3の何れ
    かに記載のインクジェット記録用水系インク。
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