JP2000043260A - 印字ヘッドの駆動方法 - Google Patents

印字ヘッドの駆動方法

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JP2000043260A
JP2000043260A JP21503798A JP21503798A JP2000043260A JP 2000043260 A JP2000043260 A JP 2000043260A JP 21503798 A JP21503798 A JP 21503798A JP 21503798 A JP21503798 A JP 21503798A JP 2000043260 A JP2000043260 A JP 2000043260A
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ink chamber
ink
print head
time
driving
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JP21503798A
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Kiyokore Ikeda
潔是 池田
Mitsuru Kishimoto
充 岸本
Hideyuki Kobayashi
秀幸 小林
Noboru Oishi
登 大石
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Oki Electric Industry Co Ltd
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Oki Data Corp
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 始めにインク室4を収縮させて、インク
室4の内容積を減らし、次にインク室4を膨張させてイ
ンク室の内容積を増やす。その後再び、インク室4を収
縮させて、インク室の内容積を減らし、このときオリフ
ィスからインク滴を吐出させる。 【効果】 従来通りの制御の直前に、一旦インク室4を
圧縮する工程を含めることによって、従来構造の印字ヘ
ッドを用いて従来より大きなインク滴を吐出できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット式
のプリンタに用いられる印字ヘッドの駆動方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】インクジェット式プリンタはインク滴を
吐出させて印字を行う。この印字ヘッドに圧電素子を用
いた多数のインク室を備えた構成のものがある。この印
字ヘッドは、圧電素子に電気パルスを与え、インク室を
取り囲む壁をピエゾ効果によって変形させる。こうし
て、各インク室の内容積を変化させ、インク室に連なる
インクタンクからインクを吸引し、インク室の一端に配
置したオリフィスからインク滴を吐出する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な従来の技術には次のような解決すべき課題があった。
上記のような印字ヘッドは、インク室の構成要素がアク
チュエータ部を兼ねているため、専用のアクチュエータ
部を持つものに比べて大きな駆動力を得られないという
欠点がある。このため、吐出できるインク滴のサイズに
制限がある。従って、例えば印字ドットの大きさを変化
させて多階調の画像を印字する場合に、滴サイズを増減
できる範囲が狭く、階調性の表現に限度があるという問
題もある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は以上の点を解決
するため次の構成を採用する。 〈構成1〉インク室を取り囲む壁を変形させて、インク
室の内容積を変化させ、インク室に連なるインクタンク
からインクを吸引し、インク室の一端に配置したオリフ
ィスからインク滴を吐出する構成の印字ヘッドを、始め
にインク室を収縮させてインク室の内容積を減らし、次
にインク室を膨張させてインク室の内容積を増やし、再
びインク室を収縮させてインク室の内容積を減らして、
上記オリフィスからインク滴を吐出させることを特徴と
する印字ヘッドの駆動方法。
【0005】〈構成2〉構成1に記載の印字ヘッドの駆
動方法において、インク室を膨張させてインク室の内容
積を増やす時間を、インク室内圧力振動の共振周波数の
半周期に相当する時間に選定することを特徴とする印字
ヘッドの駆動方法。
【0006】〈構成3〉構成1に記載の印字ヘッドの駆
動方法において、インク室を膨張させてインク室の内容
積を増やす時間を、メニスカス振動の共振周波数の半周
期に相当する時間に選定することを特徴とする印字ヘッ
ドの駆動方法。
【0007】〈構成4〉構成2または3に記載の印字ヘ
ッドの駆動方法において、始めにインク室を収縮させて
インク室の内容積を減らした後、インク室を膨張させて
インク室の内容積を増やす前に、インク室の内容積を初
期状態に保持する時間を設け、この保持時間を増減させ
て、吐出するインク量を調節することを特徴とする印字
ヘッドの駆動方法。
【0008】〈構成5〉構成3に記載の印字ヘッドの駆
動方法において、インク室内圧力振動の共振周波数とメ
ニスカス振動の共振周波数の差が30%以内であること
を特徴とする印字ヘッドの駆動方法。
【0009】〈構成6〉構成1に記載の印字ヘッド駆動
方法において、インク室を収縮させてインク室の内容積
を減らし、オリフィスからインク滴を吐出させた後に、
この状態を保持して、上記インク吐出後、インク室の圧
力振動によりインク室内の圧力が増大するとき、インク
室を膨張させてインク室の内容積を増やしてインク室内
の圧力変化を打ち消すように制御することを特徴とする
印字ヘッドの駆動方法。
【0010】〈構成7〉構成1に記載の印字ヘッド駆動
方法において、インク室を収縮させてインク室の内容積
を減らし、オリフィスからインク滴を吐出させた後に、
この状態を保持して、上記インク吐出後、インク室を所
定時間膨張させてインク室の内容積を増やしてインク室
内の圧力変化を打ち消すように制御することを特徴とす
る印字ヘッドの駆動方法。
【0011】〈構成8〉構成7に記載の印字ヘッド駆動
方法において、インク室内の圧力変化を打ち消すために
インク室を膨張させる所定時間を、共振周波数の半周期
以下の時間であって、インク室の圧力変動の振幅が小さ
い程短い時間に選定することを特徴とする印字ヘッドの
駆動方法。
【0012】〈構成9〉構成7に記載の印字ヘッド駆動
方法において、インク室を膨張させる所定時間を、共振
周波数の半周期以上の時間に選定することを特徴とする
印字ヘッドの駆動方法。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を具体
例を用いて説明する。 〈具体例1〉図1(a)は、具体例1の印字ヘッド駆動
タイミングチャートを示す。また、(b)は、比較例の
印字ヘッド駆動タイミングチャートを示す。印字ヘッド
駆動タイミングの説明をする前に、まず本発明が適用さ
れる印字ヘッドの構成と概略動作を説明する。
【0014】図2は、印字ヘッドの斜視図である。この
印字ヘッド1は、第1の圧電素子2−1と、第2の圧電
素子2−2と、第3の圧電素子2−3とを積み重ねて構
成される。第1の圧電素子2−1の上に第2の圧電素子
2−2を重ね、これらに多数の長手方向に平行な溝を形
成することによって、図に示すインク室4が設けられ
る。第1の圧電素子2−1と第2の圧電素子2−2と
は、それぞれ幅方向に分極処理されている。また、第3
の圧電素子2−3は分極処理をされていない。
【0015】全てのインク室の端面にはオリフィスプレ
ート5が貼り付けられる。このオリフィスプレート5に
は、各インク室の端に1個ずつ配置されるオリフィス6
が設けられる。インク室4の他端側には、共通インク室
8が連結され、図示しないインクタンクからインクが供
給されるように構成されている。なお、第3の圧電素子
2−3の上面と、第2の圧電素子2−2と第1の圧電素
子2−1の境界と、第1の圧電素子2−1の下面には、
それぞれ駆動用の電極が貼り付けられている。これらに
は、フラットケーブル7から駆動パルスが供給されるよ
う構成されている。
【0016】図3に、上記インク室の各状態での端面図
を示す。このインク室端面には、既に説明したオリフィ
スプレート5が貼り付けられる。図はそれを除去した状
態を示す。図3(a)は、駆動パルスが供給されない初
期状態のインク室4を示す。駆動パルスは、図の第1の
圧電素子2−1の下面と電極3との間に印加され、例え
ば図の矢印E1に示すような方向の電界が加えられる。
また、第3の圧電素子2−3の上面と電極3との間に図
の矢印E2に示すような方向の電界が加えられる。これ
によって、第1の圧電素子2−1と第2の圧電素子2−
2とは、共にシェアモードの変形を生じる。形成される
電界の向きと分極の向きとが直交しているからである。
これによって、図の矢印Fに示すように力が加わる。
【0017】駆動パルスの極性が逆向きの場合には、全
く逆方向の電界が加えられ、第1の圧電素子2−1と第
2の圧電素子2−2には、逆方向の力が加わる。ここ
で、例えば駆動パルスによって、図の2枚の壁に矢印F
F′の力が加わったとする。これにより、図の(b)に
示すように、インク室4を取り囲む壁が変形し、インク
室4が膨張してインク室の内容積が増える。これによっ
て、図2に示した共通インク室8を通じて、インク室4
の内部にインクが吸入される。
【0018】次のタイミングで、逆極性の駆動パルスが
加わると、インク室4を取り囲む壁は全く逆方向の力を
受け、今度は図3(c)に示すように、インク室4を収
縮させる。このようにインク室4の内容積が急激に減少
すると、既に説明したオリフィス6からインク室4の内
部に収容されたインクが吐出される。その後、駆動パル
スがなくなると、再び図3(a)に示すような状態に戻
る。
【0019】今説明した動作は、従来の印字ヘッドの動
作である。本発明では、図3(b)に示すようにインク
室を膨張させる前に、いったん図3(c)に示すように
インク室4を収縮させ、その後(b)に示すようにイン
ク室を膨張させ、再び図3(c)に示すようにインク室
4を収縮させてインクを吐出する。このように、最初に
インク室を収縮させる操作を加えることによって、イン
クの吐出量が増大する。
【0020】図1に戻って、具体例1の印字ヘッド駆動
タイミングを説明する。オリフィスから大きなインク滴
を吐出させるためには、インク室内のインクに大きな圧
力振動を励起し、オリフィスの部分に形成されるメニス
カスを大きく揺動する必要がある。メニスカスというの
は、オリフィスの部分でレンズ状になって保持されてい
るインク滴のことである。
【0021】図1のグラフは、横軸に時間をとり、縦軸
には駆動電圧を示す。図に示すように、駆動電圧がプラ
スの場合には、図の下側に断面図を示したようにインク
室4が膨張する。一方、駆動電圧を負にすると、インク
室4は収縮する。このパルスは、インク室4を膨張させ
るとき電圧+16ボルト、収縮させるとき−16ボルト
とした。
【0022】なお、この例は、例えばオリフィス径が3
6ミクロンメーター(μm)、インク室の有効長が8ミ
リメートルのものについて動作させた例を示す。このパ
ルスは、最初のT1時間、スタートから時刻t3までの
間、インク室4を収縮させ、次のT2時間、時刻t3か
らt4までの間、インク室4を膨張させる。そして、そ
の後時刻t4以降t5まで、T3時間、インク室4を収
縮させる。この段階で、インク滴が吐出され、その後、
インク室の振動が静まるまでこの状態が保持される。そ
して、時刻t5に初期状態に戻る。具体的には、T1が
4マイクロ秒(μS)、T2は8μS、T3は20μS
とした。
【0023】(b)の比較例は、従来の駆動方法を示
す。この比較例では、(a)のT1の部分のパルスが無
い制御になっている。即ち、駆動開始から時刻t1まで
T2時間、インク室4を膨張させ、時刻t1から時刻t
2までのT3時間、インク室4を収縮させている。図の
(a)と(b)とを比較した場合に、(a)の方がイン
ク室の駆動エネルギーが大きく、吐出されるインク滴の
量が増大する。なお、(a)に示すような駆動状態を
「−4,+8,−20」というように表し、(b)に示
すような駆動状態を「+8,−20」というように表
す。以下、この要領で各種の駆動状態を表す。
【0024】図4には、具体例1によるインク室中央付
近の圧力振動説明図を示す。図の横軸は時間をマイクロ
秒単位で示し、縦軸は圧力をライン/平方センチメート
ルで示した。ここでは平衡圧力を0気圧として表現して
いる。図の細い実線は従来法による駆動波形を示し、太
い実線は本発明の方法による駆動波形を示す。
【0025】始めに4マイクロ秒だけインク室を収縮さ
せることによって、図に示すように、インク室内に発生
する最大圧力が2.5気圧から4気圧に60%上昇して
いる。これは、本発明の場合、従来方法に比べてより高
い駆動エネルギーがインク室に加わったことを示す。こ
の結果、吐出されるインク滴の体積を、27.5pl
(ピコリットル)〜33.5plというように20%程
度増量することができた。
【0026】なお、図3を用いて説明したように、ある
インク室についてインク滴吐出動作を行うと、これに隣
接するインク室についても影響が及ぶ。即ち、隣接する
インク室内のインクにも圧力振動が励起される。しか
も、この具体例の駆動方法によれば、隣接するインク室
に対し、膨張、収縮、膨張という順番でエネルギーを与
える。この前半の膨張、収縮というシーケンスは、従来
インク室からインク滴を吐出させるために採用された駆
動シーケンスと同様になる。従って、隣接インク室から
もインク滴が吐出されてしまうことが懸念された。
【0027】ところが、実際には、隣接インク室は片側
の壁だけが駆動され、インク室の圧力変化は実際にイン
ク滴を吐出するための駆動制御を行っているインク室に
比べて半分以下になる。しかも、図3と反対の位相で振
動するから、圧力振幅の最大点が負圧側になる。このた
め、隣接するインク室からのインク吐出は生じないこと
が実験により確認された。
【0028】〈具体例1の効果〉以上の駆動方法によれ
ば、従来通りの構造の印字ヘッドを用いて、従来よりも
より大きなインク滴を吐出させることが可能になる。従
って、従来構造の印字ヘッドを用いて、より広範囲な印
字ドットの階調表現が可能になる。
【0029】〈具体例2〉上記の方法で、駆動タイミン
グを様々に変化させると次のような結果が得られる。こ
れにより、駆動タイミングの最適化を図れば、より大き
なインク滴を効率よく吐出させることができる。
【0030】ここでは、オリフィス径40ミクロンメー
ター、インク室の有効長8ミリメーターの印字ヘッドを
用いて実験をした。このサイズの印字ヘッドでは、圧力
振動の共振周波数が56kHz程度になる。なお、圧力
振動の共振周波数は、インク室の構造やインク室内部に
満たされたインクの吐出量、その他の構造的な条件から
定まり、この共振周波数でインク室を振動させると、最
も効率よく励振できる。共振周波数が56kHzの場合
には、半周期の長さは約9マイクロ秒となる。
【0031】図5には、このような共振周波数を考慮し
た具体例2の印字ヘッド駆動タイミングチャートを示
す。この図の表現方法は図1に示したものと全く同一で
ある。ここで、図の時間T1とT2とを、共に上記共振
周波数に対応する9マイクロ秒に設定している。これに
よって、最大効率でインク室を励振し、同じエネルギー
を加えて最も大きなインク滴が発射されることになる。
これを実証するため、次のような試験を行った。
【0032】図6には、具体例2によるインク室中央付
近の圧力振動説明図を示す。このグラフは、既に図4を
用いて説明したものと全く同一の形式で表現されてい
る。図の最も太い実線は、図5のタイミングで、始めに
9マイクロ秒間インク室を収縮させ、次に9マイクロ秒
間インク室を膨張させ、その後、インク室を収縮させた
まま保持したものである。
【0033】中太の実線は、上記9マイクロ秒を6マイ
クロ秒とし、最も細い実線は、上記9マイクロ秒を12
マイクロ秒としたものである。なお、マイナス無限大と
表示した部分は、インクを吐出させた後、インク室を収
縮させたまま保持することを意味する。これは、その後
のタイミングを無視したためである。
【0034】このグラフから分かるように、インク室内
圧力振動の共振周波数に対応した9マイクロ秒を区切り
としてインク室を励振した場合、同一エネルギーで最も
大きな圧力振幅が得られる。従って、吐出される液の体
積も、9マイクロ秒の場合、40.0pl、6マイクロ
秒の場合、27.7pl、12マイクロ秒の場合、3
0.2plとなった。従来方法で駆動した場合には、イ
ンク滴は28.1plであるから、吐出量が十分に増加
することも実証された。
【0035】〈具体例2の効果〉上記のように、インク
室内圧力振動の共振周波数の半周期に相当する時間で具
体例1の駆動を実施すると、最も効率よく大きなインク
滴を吐出できる。
【0036】〈具体例3〉上記の例によれば、最大効率
で最も大きなインク滴を吐出できることができる。一
方、インク滴の大きさを増減させて多階調の印字を行お
うとする場合には、最大効率で駆動できる状態でインク
滴の量を微調整できることが好ましい。この具体例3
は、上記の具体例に対して、インク滴の量を増減する方
法に関する。
【0037】図7には、具体例3の印字ヘッド駆動タイ
ミングチャートを示す。この図の表現形式は、図1
(a)に示したものと全く同様である。ここで、図の時
間T1+T4は9マイクロ秒であり、T2は9マイクロ
秒である。従って、これらの時間の関係は具体例2と全
く同様である。しかしながら、図に示すように、最初に
インク室4を収縮させる時間を6マイクロ秒とし、その
後、インク室を膨張させる前に、インク室の内容積を初
期状態に保持する時間を3マイクロ秒設定している。こ
の時間が、図の時間T4に相当する。インク室を膨張さ
せるT2時間は、体積振動の共振周波数の半周期に相当
する9マイクロ秒である。
【0038】その後は、体積振動の共振周波数の約1周
期に相当する19マイクロ秒の間、インク室を収縮させ
て保持し、初期状態に戻している。このような制御を行
うと、具体例2の場合に比較して、インク室内の最大圧
力は5%低下し、吐出されるインク滴の体積は40.0
plから39.5plに減少する。この変化量は全体に
比べて比較的小さいが、このようにインク室4を収縮さ
せてから増大させるまでの間に、所定時間、初期状態を
維持する時間を挟むと、インク滴の吐出量を微調整でき
ることが証明された。
【0039】従って、印字ヘッドの動作条件の最終調整
等にこの性質を利用すると良い。なお、この場合にも、
T1とT4とを加えた時間がインク室の圧力振動の半周
期に対応しており、更にインク室を膨張させる時間T2
も圧力振動の共振周波数の半周期に対応しているから最
大効率でインク滴を吐出できる。なお、時間T4が十分
に短いときは、時間T1とT2を共に圧力振動の共振周
波数の半周期に設定しても構わない。
【0040】〈具体例3の効果〉インク室を収縮させた
後、インク室を膨張させる前に、インク室の内容積を初
期状態に保持する時間を設け、この保持時間を増減させ
ると、吐出するインク量を微調整することが可能にな
る。
【0041】〈具体例4〉これまでの例では、インク室
の圧力振動の共振周波数に着目し、効率よくインク滴を
吐出させる例を示した。ところが、オリフィスには吐出
される直前のインクが表面張力によりレンズ状になって
保持される部分がある。この部分に強い振動が加わる
と、所定の大きさのインク滴がオリフィスから飛び出
す。この部分のことをメニスカスと呼ぶが、このメニス
カス振動の共振周波数もインク滴吐出量に影響する。従
って、図5や図7に示した時間T2をメニスカスの共振
周波数の半周期に相当する時間に選定した場合の動作を
説明する。
【0042】図8には、具体例4のインク室中央付近の
圧力振動説明図を示す。図中、最も太い実線は、図5に
示した時間T1が11マイクロ秒、T2が11マイクロ
秒の場合を示す。また、中位の太さの実線は、時間T1
が8マイクロ秒、時間T2も8マイクロ秒の場合を示
す。なお、最も細い実線は従来通りの駆動方法による結
果を示す。なお、印字ヘッドのオリフィス径は30ミク
ロンメーター、有効インク室長8ミリメートルとした。
【0043】この場合、圧力振動の共振周波数は63k
Hzで、その半周期は8マイクロ秒となる。また、メニ
スカスの共振周波数は約45.5kHzで、その半周期
は11マイクロ秒となる。従って、太い実線がメニスカ
スの共振周波数に合わせたもので、細い実線が圧力振動
の共振周波数に合わせた結果を示す。吐出された液体積
は、圧力振動の共振周波数に合わせたものが31.6p
l、メニスカスの共振周波数に合わせたものが34.1
pl、従来技術の場合、15.2plであった。図8の
グラフを見る限り、圧力振動の共振周波数に合わせたも
のの方が圧力振幅が大きくなっている。しかしながら、
吐出された液体積は、メニスカスの共振周波数に合わせ
た方が大きくなった。
【0044】ところで、これをオリフィス径40ミクロ
ンメーターの印字ヘッドに対して適用したが、同様の結
果を得られなかった。オリフィス径40ミクロンメータ
ーの印字ヘッドの場合、圧力振動の共振周波数は56k
Hz、半周期は9マイクロ秒となる。また、メニスカス
の共振周波数はオリフィス径に反比例するため、33k
Hzとなり、半周期は15マイクロ秒となる。また、オ
リフィス径が40ミクロンメーターの印字ヘッドを、イ
ンク室の収縮時間を15マイクロ秒、膨張時間を15マ
イクロ秒にして試験したところ、インク滴は吐出されな
かった。
【0045】以上の結果から、インク室を収縮させる時
間及びインク室を膨張させる時間を延ばしていくと、圧
力振動の共振周波数から外れるに従って励起される圧力
振動の振幅が小さくなる。インク滴の吐出とメニスカス
の振動とは密接に関係しているが、その振動を励起する
のは圧力振動である。従って、圧力振動の共振周波数と
メニスカス振動の共振周波数とがある程度近くなけれ
ば、上記のような良好な結果は得られない。
【0046】本発明者の実験によれば、メニスカスの共
振周波数と圧力振動の共振周波数との差が、30%以下
の場合には、メニスカスの共振周波数の半波長を基調と
したタイミングで駆動すると、最も大きなインク滴が吐
出される。
【0047】〈具体例4の効果〉以上説明した通り、メ
ニスカス振動の共振周波数と圧力振動の共振周波数が接
近していると、インク室内の発生圧力をそれほど高める
ことなく大きなインク滴を吐出することが可能になる。
従って駆動エネルギーを少なく効率よく駆動できる。ま
た、小さい振動エネルギーで駆動できるということは、
その後、残留圧力振動が次の印字ヘッド駆動に影響しに
くくなるという効果もある。また、後で説明するよう
に、残留振動エネルギーを打ち消す処理も容易になると
いう効果がある。
【0048】〈具体例5〉上記の具体例では、効率よく
インク室に大きな振動を与え、大きなインク滴を吐出す
る制御を行った。ところが、このような駆動を行うと、
インク室には大振幅の圧力振動が励起され、従来通りの
タイミングで連続駆動を行った場合、圧力振動が残留
し、次の駆動に影響を与えるという問題が発生する。そ
こで、上記のような方法を採用する場合に、次のような
方法により残留振動を打ち消すことにする。
【0049】図9には、具体例5の印字ヘッド駆動タイ
ミングチャートを示す。この図の形式は、図1(a)に
示したものと全く同様である。ここで、図の場合、時刻
t4でインク室4を収縮させた後、時間T5を経過した
後、時刻t5からt6までの間即ち時間T6の間、イン
ク室を膨張させるように駆動している。この時刻t5の
タイミングは、後で説明するように、インク室の圧力振
動によりインク室内の圧力がピークに増大するときであ
って、時間T6は、圧力振動のエネルギーに応じて選定
すると良い。
【0050】図10には、インク室の膨張状態保持時間
に対するインク室中央付近の圧力振動説明図を示す。こ
こでは、既に発生したインク室の圧力振動をキャンセル
するための振動の状態がどのような内容かを示す。この
図の実験は、時間0で、インク室を収縮させた状態から
膨張させた状態にし、一定時間その状態を保持して再び
初期状態に戻した場合の圧力振動を示す。丁度、図9に
示した時刻t5から時刻t6の操作のみを行った場合の
圧力振動を示したことになる。
【0051】この場合、インク室を膨張させた状態を持
続させる時間即ち図9に示した時間T6を変化させる
と、発生する振動波形が異なってくる。即ち、時間T6
が短いほど圧力振動が小さい。なお、この場合、オリフ
ィス径が40ミクロンメーター、インク室の有効長が8
ミリメートルのヘッドを用いて実験した。このグラフか
ら分かるように、圧力振動のピークの位置はほとんど変
わらないが、その振幅に差が生じる。これを印字ヘッド
駆動時の圧力振動と位相を逆にして作用させれば、残留
振動を効果的に減衰させることができる。残留振動の大
きさによって上記時間T6を調整すればよい。
【0052】図11には、オリフィス出口から4ミリメ
ートル地点の圧力変動と打ち消し用波形の説明図を示
す。この図のA点即ち駆動開始から9マイクロ秒まで
は、インク室を収縮させ、A点からB点即ちA点から9
マイクロ秒後まではインク室を膨張させている。その
後、インク室を収縮させ、インクを吐出させる。
【0053】ここで、インク吐出終了後のC点以降の残
留振動を上記の方法で打ち消したい。このとき、図の細
い実線で示すようなキャンセル波を発生させればよい。
従って、残留振動のピークであるCのタイミングに、図
9に示す時刻t5を合わせれば、この残留振動をキャン
セルする振動を励起できる。その振動の大きさは図7に
示す残留振動の大きさに合わせる。
【0054】上記の方法で、実際の制御をした結果を図
9に示す。図9は、具体例5のインク室中央付近の圧力
振動説明図である。この図に示すように、圧力振動の第
2ピーク即ちC点近傍で7マイクロ秒間、インク室を膨
張させた状態を保持し、その後初期状態に戻すことによ
って、急激に効果的に圧力振動を打ち消すことができ
る。なお、インク室内部の圧力振動を打ち消すには、イ
ンク室を膨張させる時間を共振周波数の半周期に合わせ
ると最も効果的である。ところが、これでは打ち消し作
用が強過ぎて、逆に反対(逆位相)の圧力振動を生じて
しまう場合もある。この場合には、インク室を膨張させ
る時間を共振周波数の半周期より長くするか短くすると
効果的である。上記の例では、インク室を膨張させる時
間を共振周波数の半周期より短くした。この時間は、イ
ンク室の圧力変動の振幅が小さい程短い時間に選定する
とよい。これにより、短時間で振動の打ち消しができ
る。また、時間的に余裕があれば共振周波数の半周期よ
り長くしてもよい。
【0055】〈具体例5の効果〉以上のように、インク
室を圧縮し、膨張させ、再び圧縮させることにより、効
率よく従来よりも大きなインク滴を吐出させることがで
きる。しかも、こうして発生した振幅の大きい圧力振動
が、続いて駆動されるインク室の駆動に悪影響を与えな
いように、所定時間インク室を膨張させる動作を加え
る。これによって効果的に残留した圧力振動打ち消すこ
とができる。これにより、従来構造の印字ヘッドを用い
て、より高階調の画像印刷が可能になる。
【0056】なお、上記の例では、圧電素子を用いてイ
ンク室を収縮させ、膨張させるよう制御する構成の印字
ヘッドを説明したが、インク室を拡大縮小させ、それを
振動させながらインク滴を吐出する構成の印字ヘッドで
あれば、広く本発明が適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は具体例1の印字ヘッド駆動タイミング
チャート、(b)は比較例の印字ヘッド駆動タイミング
チャートである。
【図2】印字ヘッドの斜視図である。
【図3】インク室の各状態での端面図である。
【図4】具体例1によるインク室中央付近の圧力振動説
明図である。
【図5】具体例2の印字ヘッド駆動タイミングチャート
である。
【図6】具体例2によるインク室中央付近の圧力振動説
明図である。
【図7】具体例3の印字ヘッド駆動タイミングチャート
である。
【図8】具体例4のインク室中央付近の圧力振動説明図
である。
【図9】具体例5の印字ヘッド駆動タイミングチャート
である。
【図10】膨張状態保持時間に対するインク室中央付近
の圧力振動説明図である。
【図11】オリフィス出口から4ミリメーター地点の圧
力変動と打ち消し用波形の説明図である。
【図12】具体例5のインク室中央付近の圧力振動説明
図である。
【符号の説明】
4 インク室 t1〜t5 時刻 T1〜T3 収縮または膨張時間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 秀幸 東京都港区芝浦四丁目11番地22号 株式会 社沖データ内 (72)発明者 大石 登 東京都港区芝浦四丁目11番地22号 株式会 社沖データ内 Fターム(参考) 2C057 AF39 AG12 AG45 AM03 AM15 AM18 AR16 BA03 BA14

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク室を取り囲む壁を変形させて、イ
    ンク室の内容積を変化させ、インク室に連なるインクタ
    ンクからインクを吸引し、インク室の一端に配置したオ
    リフィスからインク滴を吐出する構成の印字ヘッドを、 始めにインク室を収縮させてインク室の内容積を減ら
    し、次にインク室を膨張させてインク室の内容積を増や
    し、再びインク室を収縮させてインク室の内容積を減ら
    して、前記オリフィスからインク滴を吐出させることを
    特徴とする印字ヘッドの駆動方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の印字ヘッドの駆動方法
    において、 インク室を膨張させてインク室の内容積を増やす時間
    を、インク室内圧力振動の共振周波数の半周期に相当す
    る時間に選定することを特徴とする印字ヘッドの駆動方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の印字ヘッドの駆動方法
    において、 インク室を膨張させてインク室の内容積を増やす時間
    を、メニスカス振動の共振周波数の半周期に相当する時
    間に選定することを特徴とする印字ヘッドの駆動方法。
  4. 【請求項4】 請求項2または3に記載の印字ヘッドの
    駆動方法において、 始めにインク室を収縮させてインク室の内容積を減らし
    た後、インク室を膨張させてインク室の内容積を増やす
    前に、インク室の内容積を初期状態に保持する時間を設
    け、この保持時間を増減させて、吐出するインク量を調
    節することを特徴とする印字ヘッドの駆動方法。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載の印字ヘッドの駆動方法
    において、 インク室内圧力振動の共振周波数とメニスカス振動の共
    振周波数の差が30%以内であることを特徴とする印字
    ヘッドの駆動方法。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の印字ヘッド駆動方法に
    おいて、 インク室を収縮させてインク室の内容積を減らし、オリ
    フィスからインク滴を吐出させた後に、この状態を保持
    して、前記インク吐出後、インク室の圧力振動によりイ
    ンク室内の圧力が増大するとき、インク室を膨張させて
    インク室の内容積を増やしてインク室内の圧力変化を打
    ち消すように制御することを特徴とする印字ヘッドの駆
    動方法。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の印字ヘッド駆動方法に
    おいて、 インク室を収縮させてインク室の内容積を減らし、オリ
    フィスからインク滴を吐出させた後に、この状態を保持
    して、前記インク吐出後、インク室を所定時間膨張させ
    てインク室の内容積を増やしてインク室内の圧力変化を
    打ち消すように制御することを特徴とする印字ヘッドの
    駆動方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の印字ヘッド駆動方法に
    おいて、 インク室内の圧力変化を打ち消すためにインク室を膨張
    させる所定時間を、共振周波数の半周期以下の時間であ
    って、インク室の圧力変動の振幅が小さい程短い時間に
    選定することを特徴とする印字ヘッドの駆動方法。
  9. 【請求項9】 請求項7に記載の印字ヘッド駆動方法に
    おいて、 インク室を膨張させる所定時間を、共振周波数の半周期
    以上の時間に選定することを特徴とする印字ヘッドの駆
    動方法。
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