JP2000030622A - カラー陰極線管 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 外部垂直磁界によって生じるラスタの水平台
形歪を、磁気遮蔽体によって補正できるカラー陰極線管
を得る。 【解決手段】 磁気遮蔽体８の形状を、偏向磁界の偏向
中心点１０から磁気遮蔽体８の電子銃側開口部８ｂのコ
ーナ部ｒ１，ｒ４までの距離ｐ１，ｐ４と、コーナ部ｒ
２，ｒ３までの距離ｐ２，ｐ３を、外部垂直磁界の向き
に合わせて異なる長さとなる管軸（Ｚ軸）とラスタ１１
の縦軸（Ｙ軸）を含む平面に対して左右非対称形に形成
した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、カラー陰極線管
に関し、特にその磁気遮蔽体の形状に関する。

【０００２】

【従来の技術】図５はシャドウマスク型カラー陰極線管
を示す図で、ガラスで形成されたフェース部１、漏斗状
のファンネル部２およびネック部３からなる真空外囲器
と、フェース部１の内面に形成された赤、緑、青の蛍光
体スクリーン４と、ネック部３内に配設されて電子ビー
ム５を射出する電子銃６と、蛍光体スクリーン４に近接
対向した位置に配置された色選択電極７と、色選択電極
７の電子銃６側に配設されてファンネル部２の内面に沿
って延在し、電子ビーム５の軌道を取り囲んで外部磁界
を遮蔽する磁気遮蔽体８とを備えている。９は電子ビー
ム５を水平および垂直方向に偏向する偏向ヨークで、電
子ビーム５は偏向ヨーク９の偏向磁界によって偏向され
て色選択電極７に入射し、色選別されて所定の蛍光体に
ランディングし、蛍光体スクリーン４を走査してカラー
映像を再現させるように構成されている。１０は偏向磁
界の偏向中心点である。

【０００３】ところで、電子ビーム５は地磁気等の外部
磁界の影響を受けて、所定の蛍光体に正確にランディン
グしない場合がある。磁気遮蔽体８は外部磁界を遮蔽す
るために設けられたもので、通常、厚さが０．１〜０．
３ｍｍの鉄を主成分とする強磁性金属板で両側が開口し
た四角錐台形に形成され、大きい開口側が色選択電極７
の支持フレームに直接または間接的に係止されている。

【０００４】図６は、従来の磁気遮蔽体を示す図であ
る。図６（ａ）はその斜視図で、Ｘ軸はフェース面の横
軸（水平軸）方向、Ｙ軸はフェース面の縦軸（垂直軸）
方向、Ｚ軸は管軸方向であり、８ａは色選択電極７側の
大きい開口部（以下、「大開口部」という）、８ｂは電
子銃６側の小さい開口部（以下、「小開口部」という）
である。また、図６（ｂ）は小開口部側からみた磁気遮
蔽体の平面図、図６（ｃ）はＹ軸方向からみた側面図
で、小開口部８ｂの平面形状は、左辺ｄ１と右辺ｄ２の
Ｙ軸方向の幅（以下、「縦幅」という）が等しく、上辺
ｄ３と下辺ｄ４のＸ軸方向の幅（以下、「横幅」とい
う）が等しい横長の矩形であって、左辺ｄ１のＺ軸方向
の高さｈ１と右辺ｄ２のＺ軸方向の高さｈ２も同じに形
成されており、磁気遮蔽体８全体の形状は、Ｘ−Ｚ軸を
含む平面に対して上下対称形、Ｙ−Ｚ軸を含む平面に対
して左右対称形であって、偏向中心点１０から小開口部
８ｂの４つのコーナ部ｒ１〜ｒ４までの距離ｐ１〜ｐ４
は、同じ長さに形成されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記のように構成され
た従来の磁気遮蔽体８を有するカラー陰極線管に北半球
の垂直磁界Ｂｙが加わると、図７に示すように磁気遮蔽
体８の影響によって偏向磁界の分布Ｇは樽形状になり、
ラスタ１１の周辺部が矢印Ｒ１、Ｒ２、Ｒ３、Ｒ４の方
向に変位する。このため、図８中に実線で示したよう
に、電子銃側から見て左側の縦幅Ｈ２が広がり、右側の
縦幅Ｈ１が縮んだ水平台形歪のラスタ１１ａとなる。

【０００６】ここで、北半球における地磁気の方向を正
方向とすると、垂直磁界Ｂｙと図７中に示した画面右上
隅における変位量Ｒ１の垂直成分Ｒ１ｙの関係は図９の
ようになり、例えば、３６インチ１０６°偏向管では、
垂直磁界Ｂｙが３５μＴのときのＲ１ｙは０．５ｍｍ程
度となる。また、画面左下隅における変位量Ｒ３の垂直
成分Ｒ３ｙは上記Ｒ１ｙと同量で同符号であり、画面左
上隅の垂直成分Ｒ２ｙと画面右下隅の垂直成分Ｒ４ｙは
上記Ｒ１ｙと同量で逆符号となる。

【０００７】この発明は上記のような外部垂直磁界によ
る水平台形歪の解消を目的としてなされたもので、上記
水平台形歪を補正できる磁気遮蔽体を備えたカラー陰極
線管を得ることを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この発明に係るシャドウ
マスク型カラー陰極線管は、電子銃から発射された電子
ビームが偏向磁界で偏向されて両端が開口している四角
錐台形に形成された磁気遮蔽体の中を進み、色選択電極
を通って蛍光体スクリーンに入射してラスタを形成する
カラー陰極線管において、上記磁気遮蔽体は、当該カラ
ー陰極線管の管軸と上記ラスタの縦軸を含む平面に対し
て左右非対称形であって、垂直方向の外部磁界が印加さ
れたときに生じるラスタの水平台形歪の縦幅の小さい辺
に対向する上記磁気遮蔽体の電子銃側開口部の辺の上下
のコーナ部から上記偏向磁界の偏向中心点までの距離
が、上記ラスタの水平台形歪の縦幅の大きい辺に対向す
る上記電子銃側開口部の辺の上下のコーナ部から上記偏
向中心点までの距離よりも長く、かつ上記４つのコーナ
部の間は直線で結ばれた形状に形成されているものであ
る。

【０００９】また、磁気遮蔽体は、電子銃側開口部の形
状が横向きの台形であって、その短辺と長辺の管軸方向
の高さが同じに形成されているものである。

【００１０】また、磁気遮蔽体は、電子銃側開口部の形
状が横長の矩形であって、その左右の短辺の管軸方向の
高さが異なるように形成されているものである。

【００１１】また、磁気遮蔽体は、電子銃側開口部の形
状が横向きの台形であって、その短辺と長辺の管軸方向
の高さが異なるように形成されているものである。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、この発明をその実施の形態
を示す図面に基づいて具体的に説明する。 実施の形態１．図１はこの発明の実施の形態１に係る北
半球向けのカラー陰極線管の磁気遮蔽体を示す図で、図
１（ａ）は斜視図、図１（ｂ）は電子銃側からみた平面
図、図１（ｃ）はＹ軸方向からみた側面図である。図に
おいて、８は磁気遮蔽体で、厚さ０．１〜０．３ｍｍの
鉄を主成分とする強磁性金属板で両側が開口した四角錐
台形に形成され、８ａは色選択電極側の大開口部、８ｂ
は電子銃側の小開口部で、大開口部８ａ側が色選択電極
の支持フレームに係止される。図中のＸ軸はフェース面
の横軸（水平軸）方向、Ｙ軸はフェース面の縦軸（垂直
軸）方向、Ｚ軸は管軸方向である。

【００１３】この実施の形態１の磁気遮蔽体８は、大開
口部８ａの平面形状は色選択電極の形状に対応した大き
さの横長の矩形、小開口部８ｂの電子銃側から見た平面
形状は、図８に示したラスタ１１ａの水平台形歪とは逆
の横向きの台形に形成されており、水平台形歪の縦幅の
大きい辺に対向する短辺ｄ１と水平台形歪の縦幅の小さ
い辺に対向する長辺ｄ２はｄ１＜ｄ２に、上辺ｄ３と下
辺ｄ４はｄ３＝ｄ４に、短辺ｄ１のＺ軸方向の高さｈ１
と長辺ｄ２のＺ軸方向の高さｈ２は同じ高さｈ１＝ｈ２
に形成され、Ｘ軸とＺ軸を含む平面に対しては上下対称
形、Ｙ軸とＺ軸を含む平面に対しては左右非対称形に形
成されている。

【００１４】このように構成された磁気遮蔽体８は、図
５に示した偏向磁界の偏向中心点１０から磁気遮蔽体８
の小開口部８ｂの４つのコーナ部ｒ１〜ｒ４までの距離
ｐ１〜ｐ４が左右で異なり、左側のコーナ部ｒ２，ｒ３
までの距離ｐ２，ｐ３より右側のコーナ部ｒ１，ｒ４ま
での距離ｐ１，ｐ４の方が長いｐ１＝ｐ４＞ｐ２＝ｐ３
であって、４つのコーナ部ｒ１〜ｒ４の間は直線で結ば
れて、偏向中心点１０からの距離は、各コーナ部の間で
直線的に変化するように形成されている。

【００１５】図２は偏向中心点１０から磁気遮蔽体８の
小開口部８ｂの端部までの距離とラスタサイズ（縦幅）
の大きさとの関係を示す図で、偏向磁界の偏向中心点１
０から磁気遮蔽体８の小開口部８ｂの端部までの距離が
長いほど、偏向ヨークの発生する偏向磁界が遮蔽されに
くくなってラスタサイズの縦幅が大きくなることを示し
ている。例えば、３６インチ１０６°偏向のカラー陰極
線管では、偏向ヨーク９のフェース側から磁気遮蔽体８
の小開口部８ｂの端部までの距離が、６０ｍｍから７０
ｍｍに１０ｍｍ長くなると、ラスタの縦幅は１ｍｍ程度
大きくなる。

【００１６】この実施の形態１は、この作用を利用して
ラスタの水平台形歪を補正するもので、例えば、３６イ
ンチ１０６°偏向のカラー陰極線管では、北半球の地磁
気の垂直磁界Ｂｙが３５μＴのときのラスタの水平台形
歪は、図８に示したように、ラスタ１１ａの左辺の縦幅
Ｈ２はラスタの右辺の縦幅Ｈ１より２ｍｍ程度大きくな
るが、この実施の形態１においては、短辺ｄ１と長辺ｄ
２の長さの差を２０ｍｍにすると、左辺の縦幅Ｈ２と右
辺の縦幅Ｈ１をほぼ同じ大きさにすることができ、北半
球の地磁気によるラスタの水平台形歪を補正することが
できる。

【００１７】実施の形態２．図３はこの発明の実施の形
態２を示す図で、図１と同一符号はそれぞれ同一または
相当部分を示しており、図３（ａ）は斜視図、図３
（ｂ）は電子銃側からみた平面図、図３（ｃ）はＹ軸方
向からみた側面図である。

【００１８】この実施の形態２は、小開口部８ｂの平面
形状を、ｄ１＝ｄ２、ｄ３＝ｄ４の横長の矩形に形成す
るとともに、短辺ｄ１の管軸方向の高さｈ１を、短辺ｄ
２の管軸方向の高さｈ２より高いｈ１＞ｈ２の形状に形
成したもので、Ｙ軸とＺ軸を含む平面に対して左右非対
称形、Ｘ軸とＺ軸を含む平面に対して上下対称形であ
る。

【００１９】この実施の形態２においても、偏向磁界の
偏向中心点１０から磁気遮蔽体８の小開口部８ｂの４つ
のコーナ部ｒ１，ｒ２，ｒ３．ｒ４までの距離が左右で
異なり、左側のコーナ部ｒ２，ｒ３までの距離ｐ２，ｐ
３より右側のコーナ部ｒ１，ｒ４までの距離ｐ１，ｐ４
の方が長く、かつ４つのコーナ部ｒ１〜ｒ４の間は、直
線で結ばれた形状に形成されており、ｈ１とｈ２の差を
２０ｍｍに形成すると、実施の形態１と同様の条件下に
おいてラスタの水平台形歪を補正することができる。

【００２０】実施の形態３．図４はこの発明の実施の形
態３を示す図で、図１と同一符号はそれぞれ同一または
相当部分を示しており、図４（ａ）は斜視図、図４
（ｂ）は電子銃側からみた平面図、図４（ｃ）はＹ軸方
向からみた側面図である。

【００２１】この実施の形態３は、実施の形態１と実施
の形態２を組み合わせて施したもので、磁気遮蔽体８の
小開口部８ｂの平面形状をｄ１＜ｄ２、ｄ３＝ｄ４の横
向きの台形に、短辺ｄ１の高さｈ１を長辺ｄ２の高さｈ
２より高いｈ１＞ｈ２の形状に形成したもので、Ｙ軸と
Ｚ軸を含む平面に対して左右非対称形、Ｘ軸とＺ軸を含
む平面に対して上下対称形である。

【００２２】この実施の形態３においても、偏向磁界の
偏向中心点１０から磁気遮蔽体８の小開口部８ｂの４つ
のコーナ部ｒ１，ｒ２，ｒ３．ｒ４までの距離が左右で
異なり、左側のコーナ部ｒ２，ｒ３までの距離ｐ２，ｐ
３より右側のコーナ部ｒ１，ｒ４までの距離ｐ１，ｐ４
の方が長く、かつ４つのコーナ部ｒ１〜ｒ４の間は、直
線で結ばれた形状に形成されており、長辺ｄ２と短辺ｄ
１の差、および短辺ｄ１の高さｈ１と長辺ｄ２の高さｈ
２の差を、それぞれ第１，第２の実施の形態より小さく
して水平台形歪を補正することができる。

【００２３】なお、実施の形態１〜３では北半球におけ
る地磁気によるラスタの水平台形歪を補正する場合につ
いて述べたが、南半球では地磁気の向きが逆方向となる
ので、磁気遮蔽体の形状を上記各実施の形態とは左右逆
向きの非対称形に形成することで、同様の効果が得られ
る。

【００２４】

【発明の効果】この発明は、以上説明したように、磁気
遮蔽体を、カラー陰極線管の管軸とラスタの縦軸を含む
平面に対して左右非対称形であって、垂直方向の外部磁
界が印加されたときに生じるラスタの水平台形歪の縦幅
の小さい辺に対向する上記磁気遮蔽体の電子銃側開口部
の辺の上下のコーナ部から上記偏向磁界の偏向中心点ま
での距離が、上記ラスタの水平台形歪の縦幅の大きい辺
に対向する上記電子銃側開口部の辺の上下のコーナ部か
ら上記偏向中心点までの距離よりも長く、かつ上記４つ
のコーナ部の間は直線で結ばれた形状に形成し、偏向磁
界の影響がラスタの左右で異なるようにしてラスタサイ
ズが同じとなるようにしたものであるから、外部垂直磁
界によって生じる水平台形歪を補正できるカラー陰極線
管が得られる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明の実施の形態１に係る磁気遮蔽体を
示す図である。

【図２】 偏向磁界の偏向中心点から磁気遮蔽体の電子
銃側の開口端部までの距離とラスタサイズの関係を示す
図である。

【図３】 この発明の実施の形態２に係る磁気遮蔽体を
示す図である。

【図４】 この発明の実施の形態３に係る磁気遮蔽体を
示す図である。

【図５】 カラー陰極線管の縦断面図である。

【図６】 従来の磁気遮蔽体を示す図である。

【図７】 外部垂直磁界の電子ビームに及ぼす影響を説
明するための図である。

【図８】 外部垂直磁界によって生じるラスタの水平台
形歪を示す図である。

【図９】 外部垂直磁界の強さと電子ビームの偏向歪の
関係を示す図である。

【符号の説明】

４ 蛍光体スクリーン、５ 電子ビーム、６ 電子銃、
７ 色選択電極、８ 磁気遮蔽体、８ａ 色選択電極側
開口部（大開口部）、８ｂ 電子銃側開口部（小開口
部）、９ 偏向ヨーク、１０ 偏向磁界の偏向中心点、
１１ ラスタ、ｄ１ 小開口部の左辺の幅、ｄ２ 小開
口部の右辺の幅、ｄ３ 小開口部の上辺の幅、ｄ４ 小
開口部の下辺の幅、Ｈ１ ラスタの右辺の幅、Ｈ２ ラ
スタの左辺の幅、ｈ１ 小開口部の左辺の高さ、ｈ２
小開口部の右辺の高さ、ｒ１〜ｒ４ 小開口部のコーナ
部、ｐ１〜ｐ４ 偏向中心点からコーナ部ｒ１〜ｒ４ま
での距離。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電子銃から発射された電子ビームが偏向
   磁界で偏向されて両端が開口している四角錐台形に形成
   された磁気遮蔽体の中を進み、色選択電極を通って蛍光
   体スクリーンに入射してラスタを形成するカラー陰極線
   管において、 上記磁気遮蔽体は、当該カラー陰極線管の管軸と上記ラ
   スタの縦軸を含む平面に対して左右非対称形であって、
   垂直方向の外部磁界が印加されたときに生じるラスタの
   水平台形歪の縦幅の小さい辺に対向する上記磁気遮蔽体
   の電子銃側開口部の辺の上下のコーナ部から上記偏向磁
   界の偏向中心点までの距離が、上記ラスタの水平台形歪
   の縦幅の大きい辺に対向する上記電子銃側開口部の辺の
   上下のコーナ部から上記偏向中心点までの距離よりも長
   く、かつ上記４つのコーナ部の間は直線で結ばれた形状
   に形成されていることを特徴とするカラー陰極線管。
2. 【請求項２】 磁気遮蔽体は、電子銃側開口部の形状が
   横向きの台形であって、その短辺と長辺の管軸方向の高
   さが同じに形成されていることを特徴とする請求項１記
   載のカラー陰極線管。
3. 【請求項３】 磁気遮蔽体は、電子銃側開口部の形状が
   横長の矩形であって、その左右の短辺の管軸方向の高さ
   が異なるように形成されていることを特徴とする請求項
   １記載のカラー陰極線管。
4. 【請求項４】 磁気遮蔽体は、電子銃側開口部の形状が
   横向きの台形であって、その短辺と長辺の管軸方向の高
   さが異なるように形成されていることを特徴とする請求
   項１記載のカラー陰極線管。