JP2000027297A - 鉄骨柱と鉄骨梁との接合方法 - Google Patents

鉄骨柱と鉄骨梁との接合方法

Info

Publication number
JP2000027297A
JP2000027297A JP10199321A JP19932198A JP2000027297A JP 2000027297 A JP2000027297 A JP 2000027297A JP 10199321 A JP10199321 A JP 10199321A JP 19932198 A JP19932198 A JP 19932198A JP 2000027297 A JP2000027297 A JP 2000027297A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel
column
steel column
steel beam
vibration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10199321A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuhiko Tsuji
靖彦 辻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Obayashi Corp
Original Assignee
Obayashi Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Obayashi Corp filed Critical Obayashi Corp
Priority to JP10199321A priority Critical patent/JP2000027297A/ja
Publication of JP2000027297A publication Critical patent/JP2000027297A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Joining Of Building Structures In Genera (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構造をもって梁端部の振動吸収能を高
め、かつ、過大振動の入力によっても梁接合部分の破壊
を防止し、また、梁による振動吸収能が低下されるのを
防止する。 【解決手段】 H型鋼で形成した鉄骨梁12の上方フラ
ンジ12aの接続端を、鋼管で形成した鉄骨柱10の外
周に突き合わせ溶接22する。鉄骨梁12のウェブ12
cの接続端を、鉄骨柱10の側面10aにすみ肉溶接2
4する。鉄骨梁12の下方フランジ12bの接続端を、
鉄骨柱10の側面10aに非固定状態で当接する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建物架構における
鉄骨柱と鉄骨梁との接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、鉄骨柱と鉄骨梁とを接合して構
築されるS造またはSRC造の建物架構では、鉄骨柱と
鉄骨梁との接続は溶接やボルト,ナット結合により行わ
れるのが一般的である。例えば、図10に鉄骨柱として
鋼管柱1を用い、鉄骨梁にH型鋼2を用いた接合部分を
示すが、この場合は鋼管柱1に溶接した上,下通しダイ
ヤフラム3,3aの外周に、H型鋼2の上,下フランジ
2a,2b端を突き合わせてそれぞれを溶接するととも
に、ウェブ2c端を鋼管柱1の側面1aに突き合わせて
溶接するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来の鉄骨柱と鉄骨梁との接合方法にあっては、地震に
よる過大振動が建物架構に入力された場合、建物架構は
柱・梁がたわみ変形して、この柱・梁接合部に大きな圧
縮力や引張力が加わることになる。このとき、図11に
示すように鋼管柱1が傾斜方向に変形するなどして、H
型鋼2の下フランジ2bに引張力が作用した時、鋼材が
備えたポアソン比の関係で同図に示したように下フラン
ジ2bの柱接合部に過大なはらみ出し等の変形が生じた
り、当該部分の溶接に割れが発生する恐れがある。ま
た、水平力が作用した場合にあっても梁端部が塑性化し
てエネルギー吸収するため、当該部分に残留変形が生じ
たり、塑性硬化したりして振動吸収能が低下してしま
う。このため、過大振動が入力された後は鉄骨梁を交換
する必要があり、著しく大掛かりな工事が必要になって
しまうという課題があった。
【0004】そこで、本発明はかかる従来の課題に鑑み
て成されたもので、簡単な構造をもって梁端部の振動吸
収能を高め、かつ、過大振動の入力によっても梁接合部
分の破壊を防止し、また、梁による振動吸収能が低下さ
れるのを防止するようにした鉄骨柱と鉄骨梁との接合方
法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに本発明の請求項1に示す鉄骨柱と鉄骨梁との接合方
法は、鉄骨柱と鉄骨梁とを接合して構築される建物架構
にあって、鉄骨梁の上端部を鉄骨柱に溶接するととも
に、該鉄骨梁の上下端間の中間部を鉄骨柱に溶接または
ボルト,ナット結合し、かつ、該鉄骨梁の下端部を鉄骨
柱に非溶接接触状態とする。
【0006】また、本発明の請求項2に示す鉄骨柱と鉄
骨梁との接合方法は、鉄骨柱と鉄骨梁とを接合して構築
される建物架構にあって、鉄骨梁の上端部を鉄骨柱に溶
接するとともに、該鉄骨梁の上下端間の中間部を鉄骨柱
に溶接またはボルト,ナット結合し、かつ、該鉄骨梁の
下端部を鉄骨柱に非溶接接触状態とするとともに、これ
ら下端部と鉄骨柱との間にエネルギー吸収部材を設け
る。
【0007】従って、本発明の鉄骨柱と鉄骨梁との接合
方法にあっては、請求項1では鉄骨梁の上端部は溶接に
より、また、中間部は溶接またはボルト,ナットにより
鉄骨柱に一体に固定される。そして、このように鉄骨柱
と鉄骨梁とが一体に接合された状態で、鉄骨梁の下端部
は鉄骨柱に当接させて非溶接接触状態としてあるので、
振動が入力されない通常の静荷重支持状態では、鉄骨梁
の下端部は鉄骨柱に当接された状態が維持され、柱,梁
接合部に所定の剛性が確保される。
【0008】このように鉄骨梁の下端部が鉄骨柱に当接
された状態で、地震などの振動が入力されて該鉄骨梁に
作用する応力が増大すると、当該下端部が鉄骨柱から離
間する。すると、柱梁接合部の剛性、延いては建物架構
の剛性が低下されて振動応答値が低減され、これによっ
て振動減衰して建物架構を制振することができる。この
とき、上記鉄骨梁自体は上端部と中間部とが鉄骨柱に結
合されるのみであるから、梁端部が変形される際に弾性
領域を維持した状態となり、地震が静まるなどして振動
の入力が停止されると、鉄骨梁自体は復帰して下端部が
鉄骨柱に当接して荷重を支持できる状態となり、柱梁接
合部の所定の剛性が確保される。
【0009】また、請求項2では上記請求項1の接合方
法に加えて、鉄骨柱に非溶接接触状態で当接した鉄骨梁
の下端部と該鉄骨柱との間にエネルギー吸収部材を設け
たので、過大な水平力が入力されて鉄骨梁の下端部が鉄
骨柱から離間すると、この離間される際の鉄骨柱と鉄骨
梁との間の変位量が上記エネルギー吸収部材に入力さ
れ、柱梁接合部の剛性の低下により振動応答値が低減さ
れることと相俟って、該エネルギー吸収部材によって振
動エネルギーが吸収されることにより振動減衰が増大さ
れ、建物架構の制振効果が更に増大される。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図
面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の鉄骨柱と
鉄骨梁との接合方法の第1実施形態を示す要部側面図
で、本発明の基本とするところは、鉄骨柱10と鉄骨梁
12とを接合して構築される建物架構にあって、鉄骨梁
12の上端部12aを鉄骨柱に溶接するとともに、該鉄
骨梁12の上下端間の中間部12cを鉄骨柱10に溶接
またはボルト,ナット結合し、かつ、該鉄骨梁12の下
端部12bを鉄骨柱10に当接させて非溶接接触状態と
することにある。
【0011】即ち、図1に示す本実施形態の鉄骨柱と鉄
骨梁との接合方法では、従来と同様に鉄骨柱10は断面
矩形状の鋼管で形成したものを用い、かつ、鉄骨梁12
は上,下フランジ12a,12bおよびウェブ12cに
よって断面H型となるH型鋼で形成したものを用いた場
合を示し、鉄骨柱10の側面10aに鉄骨梁12の端部
が垂直に接続される。
【0012】鋼管製の上記鉄骨柱10は、上記鉄骨梁1
2が接続される箇所、詳細にはH型鋼製の上記鉄骨梁1
2の上端部となる上方フランジ12aと、下端部となる
下方フランジ12bが突き合わされる位置に対応して、
上方に通しダイヤフラム14および下方に内ダイヤフラ
ム16が設けられる。通しダイヤフラム14は鉄骨柱1
0を上下に分断した間に、その周縁部を鉄骨柱10外周
から突出して配置される。そして、通しダイヤフラム1
4の上下面に、分断した鉄骨柱10を突き合わせ溶接1
8して、これら鉄骨柱10と通しダイヤフラム14は鉄
骨柱10に一体化される。一方、上記内ダイヤフラム1
6は鉄骨柱10の内側形状に沿って形成され、この内ダ
イヤフラム16の外周が鉄骨柱10の内周に溶接20さ
れることにより一体化される。
【0013】そして、鉄骨梁12を鉄骨柱10に接合す
るにあたって、該鉄骨梁12の上方フランジ12aの接
続端を、上記通しダイヤフラム14の外周の一辺に突き
合わせ溶接22するとともに、ウェブ12cの接続端を
鉄骨柱10の側面10aにすみ肉溶接24する。一方、
鉄骨梁12の下方フランジ12bの接続端は、上記上方
フランジ12aおよび上記ウェブ12cを溶接した状態
で、鉄骨柱10の上記内ダイヤフラム16に対応した位
置の側面10aに非溶接状態で接触させる。
【0014】ところで、上記鉄骨梁12を鉄骨柱10に
接合する際、上方フランジ12aを、ウェブ12cの先
端から通しダイヤフラム14の突出分だけ後退させると
ともに、ウェブ12cの上方フランジ12a側端部を切
欠いてスカラップ26を形成してある。また、該ウェブ
12cの下方フランジ12b側端部は、このウェブ12
cの略下半分を切欠いて隙間28を形成してある。
【0015】以上述べた本実施形態の鉄骨柱と鉄骨梁と
の接合方法にあっては、鉄骨梁12を鉄骨柱10に接合
するにあたって、該鉄骨梁12の上方フランジ12aは
溶接22により鉄骨柱10の通しダイヤフラム14に一
体に固定され、また、ウェブ12cは溶接24により鉄
骨柱10の側面10aに一体に固定される。そして、こ
のように鉄骨柱10と鉄骨柱12とが溶接22,24を
介して接合された状態で、鉄骨梁12の下方フランジ1
2bの接続端を鉄骨柱10の側面10aに非溶接接触状
態で当接させてある。
【0016】従って、振動が入力されない通常の静荷重
支持状態では、鉄骨梁12の下方フランジ12bの接続
端は鉄骨柱10に当接された状態が維持され、この当接
部分によって荷重を支持することができるため、鉄骨柱
10に溶接された上方フランジ12aおよびウェブ12
cとの共同で柱梁接合部の所定の剛性が確保される。そ
して、このように下方フランジ12bが鉄骨柱10に当
接された状態で地震などの振動が入力され、水平力が増
大して該柱梁接合部の下端部に過大な引張力が作用した
場合、下方フランジ12bの接続端が鉄骨柱10から離
間する。すると、鉄骨柱10と鉄骨梁12との固定部分
は上方フランジ12aとウェブ12cのみとなる。この
ため、柱梁接合部の剛性、延いては建物架構の剛性は低
下されて振動応答値が低減されることになり、この応答
値の低減によって振動減衰効果が向上して建物架構を制
振することができる。
【0017】このとき、上記鉄骨梁12自体は上方フラ
ンジ12aとウェブ12c、つまり、該鉄骨梁12の上
端部と中間部とが鉄骨柱10に結合されるのみであるか
ら、梁端部が変形される際に該鉄骨梁12の下端部、つ
まり、下方フランジ12bの塑性変形を伴わないため、
鉄骨梁12の接続端部は弾性領域を維持した状態とな
る。このため、地震が静まるなどして振動の入力が停止
されると、鉄骨梁12自体は復帰して下方フランジ12
bは鉄骨柱10の側面10aに当接する状態となり、鉄
骨梁12bの下端部によっても荷重を支持して柱梁接合
部の所定の剛性が確保される。また、下方フランジ12
bは局部的な変形で破断するのが防止される。
【0018】また、上記鉄骨梁12の下方フランジ12
bの溶接が省略されるため、溶接箇所が削減されること
は勿論のこと、特に、この下方フランジ12bは現場溶
接が困難な箇所であり、この溶接困難な箇所の溶接が省
略されることから施工能率が著しく向上される。そし
て、このように溶接箇所が削減されることにより溶接量
が減少し、溶接により発生するCO2 の量を低減して環
境にも良い結果をもたらすことができる。
【0019】更に、上記下方フランジ12bが当接する
鉄骨柱10は、この下方フランジ12bを溶接する必要
がないことから、該下方フランジ12bに対応する位置
に通しダイヤフラムを設けることなく、内ダイヤフラム
16で済ませることができる。この内ダイヤフラム16
は鉄骨柱10の内側に固定すればよいため、通しダイヤ
フラムに比較して溶接量が少なくて良く、この点からも
CO2 の発生量を抑制することができる。
【0020】ところで、本実施形態において上記ウェブ
12cを溶接24により鉄骨柱10に結合した場合を開
示したが、これに限ることなく図2に示すようにボル
ト,ナットによっても結合することができる。即ち、同
図では鉄骨柱10の側面10aの上記ウェブ12cに対
応する位置に、予めガセット30を溶接して垂直に突設
しておき、このガセット30にウェブ12cを重合し
て、これら両者を図外のボルト,ナットを介して締結す
るようになっている。
【0021】図3,図4は本発明の第2実施形態を示
し、上記実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重
複する説明を省略して述べる。尚、図3は鉄骨柱と鉄骨
梁との接合部分を示す要部側面図、図4は同接合部分の
要部平断面図で図3中のIII −III 部位の断面である。
【0022】この実施形態は上記図1または上記図2に
示した柱梁接合部分に付加して、鉄骨梁12の下端部と
鉄骨柱10との間にエネルギー吸収部材を設けたもので
ある。即ち、この実施形態ではエネルギー吸収部材とし
て低降伏鋼50を用いてあり、図3,図4に示すように
該低降伏鋼50を、鉄骨柱10を囲繞するように配置し
て、各鉄骨梁12を連結してある。
【0023】また、この実施形態では上記実施形態と同
様に断面矩形状の鋼管で形成された鉄骨柱10の各側面
10aに鉄骨梁12を接続した状態を示してあり、これ
ら鉄骨梁12の接合方法は上記図1または上記図2に示
したと同様とする。尚、図3では便宜上、右側に接合し
た鉄骨梁12は図1に示したと同様にウェブ12cを突
き合わせ溶接24したものを示す一方、左側に接合した
鉄骨梁12は図2に示したと同様にガセット30を介し
てボルト,ナット結合したものを示すが、これら両結合
構造が1つの鉄骨柱10に同時に適用されるものではな
く、いずれか一方の結合構造が採用される。そして、こ
の実施形態にあっても上方フランジ12aおよびウェブ
12cが鉄骨柱10に一体に固定されるとともに、下方
フランジ12bは非溶接接触状態で鉄骨柱10に当接さ
れている。
【0024】ここで、この実施形態ではそれぞれの下方
フランジ12bの端部下面にガセット52を溶接して両
側から突出しておき、隣設されるガセット52の突出部
分間に跨って上記低降伏鋼50を図外のボルト,ナット
を介して結合してある。該低降伏鋼50は、鉄骨柱10
の角部外方に沿ったく字状板として形成され、それぞれ
の低降伏鋼50を水平配置して、その両端部が上記ガセ
ット52に結合される。
【0025】従って、この実施形態では過大な水平力が
入力されて鉄骨梁12の下方フランジ12bが鉄骨柱1
0から離間すると、この離間される際の鉄骨柱10と鉄
骨梁12との間の変位量が、この鉄骨梁12の両側に設
けた低降伏鋼50に入力されてこれを塑性変形させ、こ
の塑性変形に振動エネルギーが費やされ、延いては、こ
のエネルギーが吸収されることになる。このため、上記
実施形態で述べたように下方フランジ12bを非溶接接
触状態として、柱梁接合部の剛性が低下して振動応答値
が低減されることと相俟って、この実施形態の低降伏鋼
50によって振動エネルギーが吸収されることにより振
動減衰が増大され、建物架構の制振効果を更に増大する
ことができる。
【0026】また、上記低降伏鋼50によって振動エネ
ルギーを吸収した後、振動入力が停止して建物架構、つ
まり鉄骨梁12が元の状態に復帰した後は、低降伏鋼5
0のみを交換すれば良い。このため、上記低降伏鋼50
によって大きな制振効果を発揮できるにもかかわらず、
事後は該低降伏鋼50のみの交換という簡単な工事で、
建物架構を元の状態に復元することができる。
【0027】ところで、この実施形態の接合方法では建
物架構の振幅の比較的少ない部位、例えば、建物コアの
周囲近傍などに適用することにより、低降伏鋼50によ
るエネルギー吸収機能をより効果的に行うことができ
る。また、上記低降伏鋼50は、板状に形成したものを
水平配置して各鉄骨梁12間に結合したが、これに限る
ことなく図5に示すように低降伏鋼50を略三角形状に
形成して、これを下方フランジ12bの下面と鉄骨柱1
0の側面10aとに跨って直角に取り付けても、鉄骨柱
10と鉄骨梁12との間の変位量を、この三角形状の低
降伏鋼50によって吸収することができる。
【0028】図6,図7は本発明の第3実施形態を示
し、上記実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重
複する説明を省略して述べる。尚、図6は鉄骨柱と鉄骨
梁との接合部分を示す要部側面図、図7は同接合部分の
要部平断面図で図6中のVII −VII 線部位の断面であ
る。
【0029】この実施形態はエネルギー吸収部材として
摩擦発生機構60を用いたもので、この摩擦発生機構6
0は、鉄骨梁12の下方フランジ12bの下面に対応す
る位置に、鉄骨柱10から水平に突設したガセット62
と、このガセット62の上面と下方フランジ12bの下
面とを摺接させて、両者間に圧接力を付加する付勢手段
64とを備えて構成される。付勢手段64は、下方フラ
ンジ12bとガセット62とにボルト66を貫通させる
とともに、皿ばねワッシャ68を通してナット66aで
締め付ける構成となっている。また、下方フランジ12
bおよびガセット62に形成されるボルト66の挿通穴
は、少なくとも一方が梁方向に長穴となっている。
【0030】従って、上記摩擦発生機構60は、鉄骨梁
12の下方フランジ12bが鉄骨柱から離間した際に、
この下方フランジ12bとガセット62とを付勢手段6
4による大きな圧接力をもって摺動させる。このとき大
きな摩擦力が発生し、この摩擦力を発生するために振動
エネルギーが費やされてエネルギー吸収される。また、
この実施形態では特に皿ばねワッシャ68を用いたこと
により、この皿ばねワッシャ68の非線形特性を有効利
用して、皿ばねワッシャ68のたわみ変化に対して常時
一定の弾発力を発生させることができ、延いては、上記
下方フランジ12bとガセット62との間に発生する摩
擦力を一定にすることができる。
【0031】また、この実施形態ではエネルギー吸収部
材として摩擦発生機構60をもちいたので、振動入力の
停止により建物架構が元の状態に復帰すると、下方フラ
ンジ12bとガセット62は破壊されることなく、これ
ら両者の相対位置も元の状態に復帰するので、振動入力
後の交換を必要としない。
【0032】ところで、この実施形態では上記ガセット
62を水平に突設して、下方フランジ12bに摺接させ
た場合を開示したが、これに限ることなく図8または図
9に示すように、鉄骨柱10から垂直に突設したガセッ
ト62a,62bを用いて摩擦力を発生させることもで
きる。
【0033】即ち、図8の実施形態では鉄骨柱10の側
面10aから下方フランジ12bの下側に位置してガセ
ット62aを垂直に突設する一方、この下方フランジ1
2bから摩擦プレート70をガセット62aと平行に垂
設して、これらガセット62aと摩擦プレート70とを
摺接させるとともに、これら両者間に上記摩擦発生機構
60を設けてある。また、図9の実施形態では鉄骨柱1
0の側面10aから下方フランジ12bの上側に位置し
てガセット62bを垂直に突設し、このガセット62b
をウェブ12cに摺接させ、かつ、これらガセット62
bとウェブ12cとの間に上記摩擦発生機構60を設け
てある。
【0034】因みに、上述した各実施形態では鉄骨柱1
0として断面矩形状の鋼管を用い、かつ、鉄骨梁12と
してH型鋼を用いた場合を開示したが、これに限ること
なく鉄骨柱10は断面円形状またはその他の多角形状の
鋼管若しくは型鋼を用いても良く、また、鉄骨梁12は
H型鋼以外の型鋼若しくはその他の断面形状を有する鋼
材を用いることができる。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項1に
示す鉄骨柱と鉄骨梁との接合方法にあっては、鉄骨梁の
上端部を溶接により、かつ、中間部を溶接またはボル
ト,ナットにより鉄骨柱に一体に固定する一方、鉄骨梁
の下端部を鉄骨柱に当接させて非溶接接触状態としたの
で、振動が入力されない通常の静荷重支持状態では、鉄
骨梁の下端部は鉄骨柱に当接された状態を維持して荷重
支持し、柱梁接合部に所定の剛性を確保することができ
る。
【0036】一方、地震などの振動が入力されて、該鉄
骨梁に作用する応力が増大すると、当該下端部が鉄骨柱
から離間して柱梁接合部の剛性、延いては建物架構の剛
性を低下して振動応答値を低減し、これによって振動減
衰して建物架構を効果的に制振することができる。この
とき、上記鉄骨梁自体は上端部と中間部とが鉄骨柱に結
合されるのみであるから、梁端部が変形される際に弾性
領域を維持した状態となり、地震が静まるなどして振動
の入力が停止されると、鉄骨梁自体は復帰して下端部が
鉄骨柱に当接して荷重を支持し、柱梁接合部に所定の剛
性を確保することができる。
【0037】また、鉄骨梁の下端部を溶接する必要がな
いことから、建物架構の施工性が向上するとともに、全
体の溶接量が減少してCO2 の発生を抑制して環境にも
良い結果をもたらすことができる。
【0038】請求項2では上記請求項1の接合方法に加
えて、鉄骨柱に非溶接接触状態で当接した鉄骨梁の下端
部と該鉄骨柱との間にエネルギー吸収部材を設けたの
で、過大な水平力が入力されて鉄骨梁の下端部が鉄骨柱
から離間すると、この離間される際の鉄骨柱と鉄骨梁と
の間の変位量が上記エネルギー吸収部材に入力されて、
振動エネルギーを吸収することができ、これによって振
動減衰が増大されて建物架構の制振効果を更に増大する
ことができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す要部側面図であ
る。
【図2】本発明の第1実施形態の他の実施形態を示す要
部側面図である。
【図3】本発明の第2実施形態を示す要部側面図であ
る。
【図4】本発明の第2実施形態を示す要部平断面図であ
る。
【図5】本発明の第2実施形態の他の実施形態を示す要
部側面図である。
【図6】本発明の第3実施形態を示す要部側面図であ
る。
【図7】本発明の第3実施形態を示す要部平断面図であ
る。
【図8】本発明の第3実施形態の他の実施形態を示す要
部側面図である。
【図9】本発明の第3実施形態の更に他の実施形態を示
す要部側面図である。
【図10】従来の鉄骨柱と鉄骨梁との接合方法を示す要
部側面図である。
【図11】従来の接合方法で接続された鉄骨柱と鉄骨梁
の振動入力状態を示す要部側面図である。
【符号の説明】
10 鉄骨柱 12 鉄骨梁 12a 上方フランジ(上端部) 12b 下方フランジ(下端部) 12c ウェブ(中間部) 50 低降伏鋼(エネルギー吸収部材) 60 摩擦発生機構(エネルギー吸収部材)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄骨柱と鉄骨梁とを接合して構築される
    建物架構にあって、鉄骨梁の上端部を鉄骨柱に溶接する
    とともに、該鉄骨梁の上下端間の中間部を鉄骨柱に溶接
    またはボルト,ナット結合し、かつ、該鉄骨梁の下端部
    を鉄骨柱に非溶接接触状態とすることを特徴とする鉄骨
    柱と鉄骨梁との接合方法。
  2. 【請求項2】 鉄骨柱と鉄骨梁とを接合して構築される
    建物架構にあって、鉄骨梁の上端部を鉄骨柱に溶接する
    とともに、該鉄骨梁の上下端間の中間部を鉄骨柱に溶接
    またはボルト,ナット結合し、かつ、該鉄骨梁の下端部
    を鉄骨柱に非溶接接触状態とするとともに、これら下端
    部と鉄骨柱との間にエネルギー吸収部材を設けたことを
    特徴とする鉄骨柱と鉄骨梁との接合方法。
JP10199321A 1998-07-14 1998-07-14 鉄骨柱と鉄骨梁との接合方法 Pending JP2000027297A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10199321A JP2000027297A (ja) 1998-07-14 1998-07-14 鉄骨柱と鉄骨梁との接合方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10199321A JP2000027297A (ja) 1998-07-14 1998-07-14 鉄骨柱と鉄骨梁との接合方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000027297A true JP2000027297A (ja) 2000-01-25

Family

ID=16405861

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10199321A Pending JP2000027297A (ja) 1998-07-14 1998-07-14 鉄骨柱と鉄骨梁との接合方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000027297A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003184177A (ja) * 2001-12-13 2003-07-03 Shimizu Corp 鉄骨建物における柱と梁の接合構造
CN103114733A (zh) * 2013-02-07 2013-05-22 天津大学 矩形钢管混凝土柱钢梁下栓上焊外肋环板节点施工方法
CN103161224A (zh) * 2013-03-07 2013-06-19 天津大学 一种矩形钢管混凝土柱-钢梁连接节点及其施工方法
CN103967133A (zh) * 2014-04-18 2014-08-06 天津大学 矩形钢管混凝土柱与h型钢梁栓焊混合连接节点
CN105464221A (zh) * 2015-12-28 2016-04-06 天津大学 用于矩形钢管混凝土柱与箱型钢梁连接的隔板贯通节点
JP2020023785A (ja) * 2018-08-06 2020-02-13 日本製鉄株式会社 スカラップ及びそのスカラップを用いた梁端現場接合部

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003184177A (ja) * 2001-12-13 2003-07-03 Shimizu Corp 鉄骨建物における柱と梁の接合構造
CN103114733A (zh) * 2013-02-07 2013-05-22 天津大学 矩形钢管混凝土柱钢梁下栓上焊外肋环板节点施工方法
CN103114733B (zh) * 2013-02-07 2015-03-04 天津大学 矩形钢管混凝土柱钢梁下栓上焊外肋环板节点施工方法
CN103161224A (zh) * 2013-03-07 2013-06-19 天津大学 一种矩形钢管混凝土柱-钢梁连接节点及其施工方法
CN103967133A (zh) * 2014-04-18 2014-08-06 天津大学 矩形钢管混凝土柱与h型钢梁栓焊混合连接节点
CN103967133B (zh) * 2014-04-18 2016-09-07 天津大学 矩形钢管混凝土柱与h型钢梁栓焊混合连接节点
CN105464221A (zh) * 2015-12-28 2016-04-06 天津大学 用于矩形钢管混凝土柱与箱型钢梁连接的隔板贯通节点
JP2020023785A (ja) * 2018-08-06 2020-02-13 日本製鉄株式会社 スカラップ及びそのスカラップを用いた梁端現場接合部
JP7195081B2 (ja) 2018-08-06 2022-12-23 日本製鉄株式会社 スカラップ及びそのスカラップを用いた梁端現場接合部

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3858480B2 (ja) スプライスプレート及び梁継ぎ手構造
JP2009052302A (ja) 鉄骨小梁の剛接構造
JP2000008639A (ja) 運動減衰装置
JP2000027297A (ja) 鉄骨柱と鉄骨梁との接合方法
KR20040106829A (ko) 댐퍼 접합부를 구비한 철골구조
JPH1144002A (ja) ブレース接合構造
JP2002146905A (ja) 耐震構造
JP3442303B2 (ja) 鉄骨構造物の接合構造
JP2602888Y2 (ja) 弾塑性ダンパー
KR102348650B1 (ko) H형강 기둥과 개량보가 접합된 철골구조물 및 그 시공방법
JP4181680B2 (ja) 制震ブレースダンパー及びそれに用いるエネルギー吸収体とこれの設計方法
KR102169828B1 (ko) 변위관리형 기둥 접합부
KR102348659B1 (ko) 원형강관 기둥과 개량보가 접합된 철골구조물 및 그 시공방법
JP3551095B2 (ja) ラーメン橋脚
JPH11324399A (ja) せん断降伏型鋼材ダンパー
JP2023005451A (ja) ブレースの柱への取付構造
JP2005121041A (ja) 摩擦ダンパー装置
JP2016153582A (ja) 建造物における無溶接補強構造
JP2000186368A (ja) 柱部材と梁部材との接合構造
JP2008095467A (ja) 制震間柱
JP4030689B2 (ja) 鋼管柱とブレース部材の接合構造
JPH10169095A (ja) 耐震ダンパーを内蔵した柱と耐震柱を備えたラーメン構造骨組
JP2006299584A (ja) 耐震補強接合構造
KR102348662B1 (ko) 강관-콘크리트 합성 기둥과 개량보가 접합된 철골구조물 및 그 시공방법
JP2753947B2 (ja) 鉄骨構造の柱とはりの接合方法および接合金物