JP2000026205A - 抗菌防黴剤及びその製造方法 - Google Patents

抗菌防黴剤及びその製造方法

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JP2000026205A
JP2000026205A JP10194292A JP19429298A JP2000026205A JP 2000026205 A JP2000026205 A JP 2000026205A JP 10194292 A JP10194292 A JP 10194292A JP 19429298 A JP19429298 A JP 19429298A JP 2000026205 A JP2000026205 A JP 2000026205A
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antibacterial
antifungal
antifungal agent
compound
reaction product
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Tomohiko Iijima
智彦 飯島
Takao Hirokado
孝雄 広門
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Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗菌性、防黴性の両方に優れた効果を示す
とともに、変色防止性、抗菌防黴効果の長期持続性(抗
菌防黴成分の徐放性)、耐熱性等を高め、長期使用可能
な抗菌防黴剤及びその製造方法を提供することを課題と
する。 【解決手段】 抗菌防黴剤は抗菌性金属成分と防黴性
有機化合物との反応生成物が多孔質シリカ粒子の表面及
び/又は表面及び内部に固着しているものかあるいは多
孔質シリカにより内包されているものであり、その製造
方法は抗菌性金属成分と防黴性有機化合物との反応生成
物をシリカにより処理するように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌防黴剤及びそ
の製造方法に関し、特に、抗菌性、防黴性の両効果に優
れると共にその効果の持続性(抗菌防黴効果の徐放性)
に優れ、かつ抗菌防黴性の金属イオンに由来する変色を
抑制し、耐熱性にも優れた抗菌防黴剤及びその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から用いられている抗菌抗黴剤は、
大別すると無機系と有機系との2種類がある。前者に
は、銀、銅、亜鉛等の抗菌性金属イオンを、ゼオライ
ト、アパタイト、シリカゲル、モンモリロナイトなどの
層状化合物などに担持させた化合物がある。また、後者
にはチアゾリルベンツイミダゾールなどのイミダゾール
系、2−メチル−イソチアゾリン−3−オンなどのチア
ゾール系、塩化ベンザルコニウムなどの4級アンモニウ
ム系、エチルアルコールなどのアルコール系、OBPA
( 10 ,10−オキシビスフェノキシアルシン)のような
有機ヒ素化合物や8−オキシキノリン銅などの有機金属
化合物、その他天然系など数多くの化合物がある。
【0003】〔問題点〕しかしながら、従来の無機系抗
菌防黴剤ではイオン交換、インターカレーションなど比
較的強固ではない結合力を利用しているため、層間の金
属イオンが、共存するイオン種によっては容易に脱離し
たり還元することなどによって、変色を引き起こし、意
匠性を失ったりした。また、無機担持体にモンモリロナ
イトなどの層状化合物を用いた場合、イオン交換性の化
合物であるため、そのイオン交換容量が固有であるため
担持量が制限される。
【0004】一方、有機系抗菌防黴剤は有機化合物原体
であるため、耐熱性に劣り、揮発、溶出のため耐久性に
欠け、効果が持続しないなどの不具合があった。特に、
プラスチックや繊維などへの練り混み加工に使用した場
合、有機系抗菌防黴剤の耐熱温度が加工温度より高くて
も処理時間によってはより低温で揮発などが生じ、十分
な抗菌防黴効果が発揮されていなかった。また、親水性
に乏しく、水に対する分散性が良くなかった。
【0005】また、一般に、無機系抗菌防黴剤は菌に対
して、有機系抗菌防黴剤は黴に対して効果が高く、それ
ぞれ抗菌性、防黴性のどちらかの効果を主として発揮す
るため、抗菌防黴性を備えるためには両者を併用しなけ
ればならなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑みてなされたものであり、その解決のため具体的に
設定された課題は、抗菌性、防黴性の両方に優れた効果
を示すとともに、変色防止性、抗菌防黴効果の持続性
(抗菌防黴成分の徐放性)、耐熱性等を高め、長期使用
可能な抗菌防黴剤及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明における請求項1
に係る抗菌防黴剤は、抗菌性金属成分と防黴性有機化合
物との反応生成物が多孔質シリカ粒子の表面及び/又は
内部に固着していることを特徴とするものである。
【0008】請求項2に係る抗菌防黴剤は、抗菌性金属
成分と防黴性有機化合物との反応生成物が多孔質シリカ
により内包されていることを特徴とする。
【0009】請求項3に係る抗菌防黴剤は、請求項1に
係る抗菌防黴剤の粒子径が 0.01 〜1μmであることを
特徴とする。
【0010】請求項4に係る抗菌防黴剤は、請求項2に
係る抗菌防黴剤の粒子径が0.01〜5μmであることを特
徴とする。
【0011】請求項5に係る抗菌防黴剤は、前記防黴性
有機化合物がイミダゾール系化合物、チアゾール系化合
物、N−ハロアルキルチオ系化合物、ピリジン系化合
物、イソチアゾロン系化合物からなる群から選ばれた少
なくとも1種であることを特徴とする。
【0012】請求項6に係る抗菌防黴剤の製造方法は、
抗菌性金属成分と防黴性有機化合物との反応生成物をシ
リカにより処理することを特徴とするものである。
【0013】請求項7に係る抗菌防黴剤の製造方法は、
抗菌性金属成分と防黴性有機化合物との反応生成物が分
散したアルカリ金属の珪酸塩の水溶液と、アルカリ金属
の珪酸塩を不溶化する化合物の水溶液とを混合・攪拌す
ることを特徴とする。
【0014】請求項8に係る抗菌防黴剤の製造方法は、
抗菌性金属成分と防黴性有機化合物との反応生成物が分
散したアルカリ金属の珪酸塩を不溶化する化合物の水溶
液と、アルカリ金属の珪酸塩の水溶液とを混合・攪拌す
ることを特徴とする。
【0015】請求項9に係る抗菌防黴剤の製造方法は、
アルコキシシラン中に、抗菌性金属成分と防黴性有機化
合物との反応生成物を粉状または分散した状態で添加
し、加水分解触媒を加え、攪拌しながら前記アルコキシ
シランを加水分解することを特徴とする。
【0016】請求項10に係る抗菌防黴剤の製造方法
は、防黴性有機化合物が溶解したアルコキシシラン中
に、抗菌性金属成分塩の水溶液を添加し、加水分解触媒
を加え、攪拌しながら前記アルコキシシラン化合物を加
水分解することを特徴とする。
【0017】請求項11に係る抗菌防黴剤の製造方法
は、抗菌性金属成分と防黴性有機化合物との反応生成物
を、アルカリ金属の珪酸塩の水溶液に分散する工程A
と、この工程Aで得られた分散液に水不溶性又は難溶性
の有機溶媒を混合してW/O型エマルジョンとする工程
Bと、この工程Bで得られたW/O型エマルジョンに、
前記アルカリ金属の珪酸塩を不溶化する化合物の水溶液
を添加して攪拌し、微多孔質カプセル粒子を生成する工
程Cとからなることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を具体
的に説明する。ただし、この実施の形態は、本発明をよ
り良く理解させるため具体的に説明するものであり、特
に指定のない限り、発明内容を限定するものではない。
【0019】〔抗菌防黴剤〕この実施の形態における抗
菌防黴剤は、抗菌性金属成分と防黴性有機化合物との反
応生成物がシリカにより処理されて、次の形態となった
ものである。 (a)抗菌性金属成分と防黴性有機化合物との反応生成
物が、多孔質シリカ粒子の表面及び/又は内部に固着し
たもの。 (b)抗菌性金属成分と防黴性有機化合物との反応生成
物が、多孔質シリカにより内包されたもの。
【0020】上記のうち、抗菌防黴剤(a)は、抗菌性
金属成分と防黴性有機化合物との反応生成物が、シリカ
の網目構造中及び/又は構造端に固着しており、下記に
詳述する第1〜4の製造方法により、粒径が微細な、ま
た、抗菌性金属成分と防黴性有機化合物との反応生成物
の担持量の大きなものが、容易に得られ、また、顕著な
抗菌防黴効果を有する点で特に好ましい。
【0021】なお、抗菌性金属成分と防黴性有機化合物
との反応生成物の、シリカの網目構造中及び/又は構造
端に固着した状態は、必ずしも明確でないが、図1およ
び図2に示すように、シリカの網目構造中及び/又は構
造端に位置する珪酸基(Si−O- )を介して結合して
いるものと推定される。
【0022】また、抗菌防黴剤(b)は、不溶性のシリ
カを、抗菌性金属成分と防黴性有機化合物との反応生成
物の周囲に沈着させて、抗菌性金属成分と防黴性有機化
合物との反応生成物をシリカからなる多数の微小な孔を
有するカプセルで包み込んだ形態を採る。
【0023】前記抗菌防黴剤において、抗菌性金属成分
は特に限定されるものではないが、安全性、抗菌性等の
観点から、例えば銀、銅、亜鉛等が用いられ、特に銀が
好適に用いられる。
【0024】また防黴性有機化合物も、抗菌性金属成分
と反応して生成物を生成するものであれば特に限定され
るものではないが、安全性、防黴性、汎用性などの観点
から、例えばイミダゾール系、チアゾール系では2−
(4−チアゾリル)−ベンツイミダゾール(以下、TB
Zと略記する)、N−ハロアルキルチオ系ではN−(フ
ルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミド、ピリジン
系では2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルス
ルフォニル)−ピリジン、イソチアゾロン系では1,2
−ベンツイソチアゾロンなどが用いられ、特に、TBZ
のような、抗菌性金属成分に対して有機配位子になり得
るものが好適に用いられる。
【0025】抗菌性金属成分と防黴性有機化合物との反
応生成物は、反応生成物中に、抗菌性成分と防黴性成分
とを併せて有していることから、抗菌性、防黴性の双方
に優れた効果を有する。そして、この抗菌防黴剤は、耐
熱性、抗菌・防黴効果の持続性(即ち、抗菌・防黴作用
の徐放性)、耐紫外線性を向上させるという観点等か
ら、抗菌性金属成分と防黴性有機化合物との反応生成物
をシリカにより処理したものである。
【0026】この抗菌防黴剤中の、抗菌性金属成分と防
黴性有機化合物との反応生成物の含有量は、抗菌・防黴
効果の発現性、抗菌・防黴効果の持続性から 0.01 〜 2
0 重量%、好適には 1〜 10 重量%であることが望まし
い。含有量が 0.01 重量%より少ない場合には、抗菌・
防黴効果の発現が不確実となり、一方、 20 重量%を超
えた場合には、抗菌防黴成分の含有量としては過剰とな
り、必要以上の原料コストの増大を招く。
【0027】抗菌防黴剤の粒径は、抗菌防黴剤(a)に
あっては 0.01 〜1 μm、抗菌防黴剤(b)にあっては
0.01 〜5 μmであることが、抗菌防黴性を付与する対
象物への分散性が向上し、効果的に抗菌・防黴効果を発
現させる等の点から望ましく、プラスティック、繊維に
対する練り混み加工を考慮した場合、意匠性、強度等を
損なわないためにも、最大粒径は小さいほど望ましい。
【0028】この抗菌防黴剤(a),(b)を用いて抗
菌防黴性を付与する場合、抗菌防黴剤(a),(b)を
対象物に対して添加する。対象物としてはプラスティッ
ク、繊維、セメント、石膏、ゴム、紙、皮革、木材、塗
料、接着剤等が挙げられ、抗菌防黴性が付与される物品
には家電製品、住設機器、建材、雑貨、シーリング材、
アルミやステンレスなどの金属に対する表面コーティン
グフィルム、ガスケット等があり、その他、通常、細菌
や黴の繁殖が懸念される箇所や製品に適用される。
【0029】〔抗菌防黴剤の製造方法〕この実施の形態
における抗菌防黴剤は、例えば下記のいずれかの方法に
より製造することができる。そして、いずれの製造方法
を用いても、抗菌性金属成分と防黴性有機化合物との反
応生成物の含有量を、その担持形態がイオン交換、イン
ターカレーションによらないため、任意に調整すること
が可能である。
【0030】〔(a)の第1の製造方法〕抗菌防黴剤
(a)の第1の製造方法は、抗菌性金属成分と防黴性有
機化合物との反応生成物が分散したアルカリ金属の珪酸
塩水溶液と、このアルカリ金属の珪酸塩を不溶化する化
合物の水溶液とを混合・攪拌して製造する。抗菌防黴剤
の粒径は原料濃度、攪拌条件、熟成温度等を制御して調
節する。
【0031】また、抗菌性金属成分と防黴性有機化合物
との反応生成物の製法は下記,の方法によるものと
する。これらの実施において、反応生成物が沈殿生成し
ない場合があるが、その際には溶液のpHを調整するこ
とにより沈殿生成させることができる場合がある。
【0032】 抗菌性金属成分塩、例えば硝酸塩、硫
酸塩、酢酸塩の水溶液と防黴性有機化合物のアルコール
溶液とを混合して反応生成物を得る方法。 酸性または塩基性水溶液、各種有機溶剤に防黴性有
機化合物を溶解し、抗菌性金属成分塩、例えば硝酸塩、
硫酸塩、酢酸塩の水溶液を添加して反応生成物を得る方
法。
【0033】このようなシリカ処理において、前記反応
生成物は分散状態のものを用いる必要がある。これは抗
菌性金属成分塩の水溶液を直接アルカリ金属の珪酸塩水
溶液に加えた場合、金属コロイドが析出したり、酸化
物、水酸化物等が生成して安定化するため、反応生成物
を形成しない場合があるためである。前記反応生成物は
粉体状では比較的分散しにくいため、アルコール、セル
ロース類などを添加することにより分散性を高める。
【0034】シリカ処理された最終反応生成物を沈殿さ
せるには、アルカリ金属の珪酸塩を不溶化する化合物、
例えば硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素
アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カルシウム塩
等の水溶液を添加することが望ましく、好適には硫酸ア
ンモニウム水溶液を当量より過剰量、好ましくは3倍程
度添加する。
【0035】その得られた沈殿物を(例えば温度 35 ℃
にて2時間程度)熟成し、そして、濾過後、十分に蒸留
水で洗浄し、遊離した各種のイオンを洗浄除去し(例え
ば温度 130℃にて2時間程度)乾燥することにより、抗
菌防黴剤(a)を得る。
【0036】〔(a)の第2の製造方法〕抗菌防黴剤
(a)の第2の製造方法は、抗菌性金属成分と防黴性有
機化合物との反応生成物が分散した、アルカリ金属の珪
酸塩を不溶化する化合物の水溶液と、アルカリ金属の珪
酸塩水溶液とを混合・攪拌して製造する。その他の条件
については、第1の製造方法に準ずればよい。
【0037】〔(a)の第3の製造方法〕抗菌防黴剤
(a)の第3の製造方法は、アルコキシシラン中に、抗
菌性金属成分と防黴性有機化合物との反応生成物を粉状
または分散した状態で添加し、加水分解触媒を加え、攪
拌しながら前記アルコキシシランを加水分解して製造す
る。
【0038】アルコキシシランとしては、比較的安価で
あること、加水分解反応を触媒により制御しやすい等の
理由からテトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエ
トキシシラン(TEOS)が好適に用いられる。また、
加水分解触媒としては、各種の無機系、有機系の酸や、
アルカリ性物質等が用いられるが、アルカリ触媒下では
バルク状に加水分解が進み、粒子が大きくなるため、酸
性触媒下で加水分解させるのが望ましく、好適にはpH
2〜5 にて行う。抗菌防黴剤の粒径を望ましい値である
0.01 〜1μmとするには、原料濃度、触媒のpH、反
応温度等を適宜選定して制御すればよい。その他の条件
については、第1の製造方法に準ずればよい。
【0039】〔(a)の第4の製造方法〕抗菌防黴剤
(a)の第4の製造方法は、防黴性有機化合物が溶解し
たアルコキシシラン中に、銀、銅、亜鉛等の抗菌性金属
成分の水溶液を添加し、加水分解触媒を加えて前記アル
コキシシラン化合物を加水分解して抗菌防黴剤を製造す
る。その他の条件については、第3の製造方法に準ずれ
ばよい。
【0040】〔(b)の製造方法〕抗菌防黴剤(b)の
製造方法は、下記の3工程からなる。 (1) 抗菌性金属成分と防黴性有機化合物との反応生成物
を、アルカリ金属の珪酸塩、例えば珪酸ナトリウムの水
溶液に分散する分散工程A。 (2) 分散工程Aで得られた分散液に水不溶性又は難溶性
の有機溶媒を混合しW/O型エマルジョンとするエマル
ジョン化工程B。 (3) エマルジョン化工程Bで得られたW/O型エマルジ
ョンに、前記アルカリ金属の珪酸塩を不溶化し得る化合
物の水溶液を添加して攪拌し、微多孔質カプセル粒子を
生成するカプセル粒子生成工程C。
【0041】水不溶性または難溶性の有機溶媒として
は、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソ
ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、シク
ロヘキサン等の脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素類、プロピルエーテ
ル、イソプロピルエーテル等のエーテル類、酢酸エチ
ル、酢酸−n−プロピル等のエステル類等が好適に用い
られる。
【0042】有機溶媒の使用量は、得られるエマルジョ
ンがW/O型になる限り、特に限定されないが、通常エ
マルジョンの 50 重量%以上、好ましくは 70 〜 90 重
量%とするのがよい。エマルジョンとする方法は、攪拌
方法、振盪方法、ホモジナイザーの使用等の常法に従え
ばよい。エマルジョン化に際しては公知の乳化剤を添加
してもい。乳化剤としては、好ましくはHLBが 3.5〜
6.0 の範囲にある非イオン性界面活性剤を単独で用いる
か、複数の非イオン性界面活性剤を配合してHLBを
3.5〜6.0 に調整して使用できる。
【0043】また、アルカリ金属の珪酸塩を不溶化する
化合物としては、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウ
ム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、塩化
カルシウム等が使用できる。抗菌防黴剤の粒径を望まし
い値である 0.01 〜5 μmとするには、攪拌速度、攪拌
時間、乳化剤等適宜選定すればよい。なお、この製造方
法によれば、真球状の抗菌防黴剤が得られやすい。
【0044】
【実施例】以下に実施の例を詳説する。 「実施例1」 〔抗菌防黴剤Aの製造〕TBZ 2.5gをメチルアルコー
ル 320mlに完全に溶解し、この溶液に 10 重量%硝酸
銀水溶液 10 mlを加えて、銀とTBZとの反応生成物
(以下、銀−TBZと略記)の白色沈殿を得た。この白
色沈殿を濾別し、メチルアルコールと蒸留水にて充分洗
浄後、温度 130℃にて乾燥し、乳鉢にて微粉砕した。
【0045】JIS1号水ガラスを蒸留水を用い体積比
で1:1に希釈した珪酸ナトリウム水溶液 10 mlに、
前記銀―TBZ 0.25 g、カルボキシメチルセルロース
0.7g、変性エチルアルコール1〜2滴を加え、5分
間、超音波により分散処理し、引き続きマグネチックス
ターラにて完全に分散させた。
【0046】別に用意した 1.5mol/lの硫酸アンモ
ニウム水溶液 110mlをマグネチックスターラで攪拌し
つつ、この水溶液中に前記銀―TBZが分散した前記珪
酸ナトリウム水溶液を添加し、温度 30 ℃にて2時間攪
拌しながら熟成し、沈殿生成物を得た。この沈殿生成物
を濾別し、蒸留水にて充分洗浄後、温度 130℃にて乾燥
し、乳鉢にて解砕して抗菌防黴剤Aを得た。
【0047】この抗菌防黴剤Aは、銀―TBZがシリカ
の表面および内部に固着していることが赤外線吸収スペ
クトル法(IR)により確認された。また、シリカは多
孔質であること、および平均粒子径 0.2μmの微細粒子
であることが走査型電子顕微鏡観察により確認された。
この粒子性状を図3の写真に示した。また、この抗菌防
黴剤A中の、銀―TBZの含有量を、銀はプラズマ発光
分析法(ICP法)で、TBZ量は熱分析法(TG法)
による減量値から算出した。その結果を表1に示した。
【0048】〔耐熱性評価〕抗菌防黴剤Aの耐熱性を評
価した。評価方法として、熱分析手法を用い、加熱減量
の開始温度を測定する方法を採用した。その結果を表2
に示した。
【0049】〔徐放性評価〕抗菌防黴剤Aの徐放性を評
価した。評価方法として、pH3.5 とした硝酸水溶液に
抗菌防黴剤Aを分散して分散液とし、この分散液中の銀
イオン濃度を銀イオン電極を用いて測定する手法を採用
した。その結果を図4に示す。
【0050】〔抗菌性評価〕抗菌防黴剤Aの抗菌性を、
下記、の方法で評価した。 石膏に抗菌防黴剤Aを1重量%添加し、水と混練
し、硬化させた硬化体を得、この硬化体の抗菌性を条件
(a)〜(d)の下で評価し、その結果を表3に示し
た。 (a)温水負荷(温度 60 ℃の温水中に 24 時間浸漬) (b)塩水負荷(1重量%の塩水中に 24 時間浸漬) (c)UV負荷(中心波長 352nmのブラックライトを
7日間照射) (d)負荷なし
【0051】なお、この硬化体には金属イオンに由来す
る変色は認められなかった。また、この硬化体の抗菌性
の評価方法は、シェイクフラスコ法に準拠した。シェイ
クフラスコ法の概要は以下のとおりである。「三角フラ
スコにリン酸緩衝液を入れ、滅菌する。これに試験菌液
を加え順次希釈し、 10 倍希釈系列を作る。試験試料を
加え、温度 25 ℃にて1時間(330rpm)振盪(しんと
う)した後、生存菌数を寒天平板法にて測定する。」
【0052】 市販の水性アクリルエマルジョン塗料
に抗菌防黴剤Aを1重量%添加し、これをガラス基板上
に硬化後の膜厚が 1.0mmとなるよう塗布して抗菌性塗
膜を得、この抗菌性塗膜の抗菌性を、上記(a)〜
(d)の条件下で評価した。その結果を表4に示した。
【0053】なお、抗菌性塗膜には金属イオンに由来す
る変色は認められなかった。また、この塗膜の抗菌性の
評価方法は、銀等無機抗菌材研究会制定のフィルム密着
法に準拠した。フィルム密着法の概要は以下のとおりで
ある。
【0054】「試験体に、 1/500 に希釈した普通ブイ
ヨンを含み、菌濃度 105cfu/mlに調整した菌液を
25 cm2 当たり 0.5ml接種し、この菌液の上に試験
製品と同一形状のポリエチレン製フィルムを載せる。こ
れを温度 35 ℃にて 24 時間培養した後、生存菌数を寒
天平板法にて測定する。」
【0055】〔防黴性評価〕抗菌防黴剤Aの防黴性を、
上記,の方法で評価した。なお、上記条件(a)〜
(d)のほか、次の条件(e)をも加えた。 (e)加熱負荷(温度 320℃で 30 分間加熱) その結果を表5、表6に示した。なお、防黴性の評価方
法は、ポテトデキスロース寒天培地を用い、温度 27 ℃
にて14日培養した後、JIS Z−2911の表示方法
により評価する方法を用いた。
【0056】黴抵抗の表示基準は次のとおりである。 1:菌糸の発育部分の面積が1/3を超える。 2:菌糸の発育部分の面積が1/3を超えない。 3:菌糸の発育が認められない。
【0057】「実施例2」 〔抗菌防黴剤Bの製造〕TBZ 0.3gをテトラメトキシ
シラン 20 mlに溶解し、この溶液に 0.15 重量%の硝
酸銀水溶液 100mlを加え、マグネチックスターラで攪
拌しながら2時間熟成を行った。静置後、上澄みを除去
して沈殿生成物を回収し、得られた沈殿生成物を真空デ
シケータ内にて乾燥して抗菌防黴剤Bを得た。
【0058】この抗菌防黴剤Bは、銀―TBZがシリカ
の表面および内部に固着していることが赤外線吸収スペ
クトル法(IR)により確認された。また、シリカは多
孔質であること、および平均粒子径 0.2μmの微細粒子
であることが走査型電子顕微鏡観察により確認された。
この粒子性状を図5の写真に示した。また、この抗菌防
黴剤B中の、銀―TBZの含有量を、実施例1に準じて
算出した。その結果を表1に示した。
【0059】〔耐熱性評価〕抗菌防黴剤Bの耐熱性を実
施例1に準じて評価した。その結果を表2に示した。
【0060】〔徐放性評価〕抗菌防黴剤Bの徐放性を実
施例1に準じて評価した。その結果を図4に示した。
【0061】〔抗菌性評価〕抗菌防黴剤Bの抗菌性を実
施例1に準じて評価した。その結果を表3、表4に示し
た。なお、硬化体、塗膜とも金属イオンに由来する変色
は認められなかった。
【0062】〔防黴性評価〕抗菌防黴剤Bの防黴性を実
施例1に準じて評価した。その結果を表5、表6に示し
た。
【0063】「実施例3」 〔抗菌防黴剤Cの製造〕JIS1号水ガラスを蒸留水を
用い体積比で1:1に希釈した珪酸ナトリウム水溶液 1
0 mlに、前記銀―TBZ 0.25 g、カルボキシメチル
セルロース 0.7g、変性エチルアルコール1〜2滴を添
加し、分散した分散液を、非イオン系界面活性剤を加え
たベンゼンに添加し、エマルジョン化した。別に用意し
た 1.5mol/lの硫酸アンモニウム水溶液 110ml中
に前記エマルジョン液を添加し、温度 30 ℃にて2時間
攪拌しながら熟成し、沈殿生成物を得た。この沈殿生成
物を遠心分離して油相を除いた後、濾別し、蒸留水にて
充分に洗浄した後、温度 130℃にて乾燥し、乳鉢にて解
砕して抗菌防黴剤Cを得た。
【0064】この抗菌防黴剤Cは、銀―TBZがシリカ
により内包されていることが赤外線吸収スペクトル法
(IR)により確認された。また、平均粒子径4μmの
微細カプセル粒子であることが走査型電子顕微鏡観察に
より確認された。この粒子性状を図6の写真に示した。
また、この抗菌防黴剤C中の銀―TBZの含有量を、実
施例1に準じて算出した。その結果を表1に示した。
【0065】〔耐熱性評価〕抗菌防黴剤Cの耐熱性を実
施例1に準じて評価した。その結果を表1に示した。
【0066】〔徐放性評価〕抗菌防黴剤Cの徐放性を実
施例1に準じて評価した。その結果を図4に示した。
【0067】〔抗菌性評価〕抗菌防黴剤Cの抗菌性を実
施例1に準じて評価した。その結果を表3、表4に示し
た。なお、硬化体、塗膜とも金属イオンに由来する変色
は認められなかった。
【0068】〔防黴性評価〕抗菌防黴剤Cの防黴性を実
施例1に準じて評価した。その結果を表5、表6に示し
た。
【0069】「実施例4」 〔抗菌防黴剤Dの製造〕N−(フルオロジクロロメチル
チオ)−フタルイミド(以下、フタルイミドと略記)
2.5gをメチルアルコール 300mlに完全に溶解し、こ
の溶液に 10 重量%硝酸銀水溶液 10 mlを加えて、銀
とフタルイミドとの反応生成物(以下、銀−フタルイミ
ドと略記)を得た。この沈殿物を濾別し、メチルアルコ
ールと蒸留水にて充分洗浄後、温度 130℃にて乾燥し、
乳鉢にて微粉砕した。
【0070】JIS1号水ガラスを蒸留水を用い体積比
で1:1に希釈した珪酸ナトリウム水溶液 10 mlに、
前記銀−フタルイミド 0.25 g、変性エチルアルコール
1〜2滴を加え、5分間、超音波により分散処理し、引
き続きマグネチックスターラにて完全に分散させた。別
に用意した 1.5mol/lの硫酸アンモニウム水溶液 1
10mlをマグネチックスターラで攪拌しつつ、この水溶
液中に前記銀−フタルイミドが分散した前記珪酸ナトリ
ウム水溶液を添加し、温度 30 ℃にて2時間攪拌しなが
ら熟成し、沈殿生成物を得た。この沈殿生成物を濾別
し、蒸留水にて充分に洗浄後、温度 130℃にて乾燥し、
乳鉢にて解砕して抗菌防黴剤Dを得た。
【0071】この抗菌防黴剤Dは、平均粒子径 0.2μm
の微細粒子であった。また、この抗菌防黴剤D中の、
銀、フタルイミドの含有量を、実施例1に準じて算出し
た。その結果を表1に示した。
【0072】〔耐熱性評価〕抗菌防黴剤Dの耐熱性を実
施例1に準じて評価した。その結果を表2に示した。
【0073】〔徐放性評価〕抗菌防黴剤Dの徐放性を実
施例1に準じて評価した。その結果を図7に示した。
【0074】〔抗菌性評価〕抗菌防黴剤Dの抗菌性を実
施例1に準じて評価した。その結果を表3、表4に示し
た。なお、硬化体、塗膜とも金属イオンに由来する変色
は認められなかった。
【0075】〔防黴性評価〕抗菌防黴剤Dの防黴性を実
施例1に準じて評価した。その結果を表5、表6に示し
た。
【0076】「実施例5」 〔抗菌防黴剤Eの製造〕2,3,5,6−テトラクルロ
−4−メチルスルフォニル−ピリジン(以下、ピリジン
と略記) 1.2gをメチルアルコール 300mlに完全に溶
解し、この溶液に 10 重量%硝酸銀水溶液 10 mlを加
えて、銀とピリジンとの反応生成物(以下、銀−ピリジ
ンと略記)を得た。この沈殿を濾別し、メチルアルコー
ルと蒸留水にて充分に洗浄後、温度 130℃にて乾燥し、
乳鉢にて微粉砕した。
【0077】JIS1号水ガラスを蒸留水を用い体積比
で1:1に希釈した珪酸ナトリウム水溶液 10 mlに、
前記銀−ピリジンの化合物 0.25 g、変性エチルアルコ
ール1〜2滴を加え、5分間、超音波により分散処理
し、引き続きマグネチックスターラにて完全に分散させ
た。別に用意した 1.5mol/lの硫酸アンモニウム水
溶液 110mlをマグネチックスターラで攪拌しつつ、こ
の水溶液中に前記銀−ピリジンが分散した前記珪酸ナト
リウム水溶液を添加し、温度 30 ℃にて2時間攪拌しな
がら熟成し、沈殿生成物を得た。この沈殿生成物を濾別
し、蒸留水にて充分洗浄後、温度 130℃にて乾燥し、乳
鉢にて解砕して抗菌防黴剤Eを得た。
【0078】この抗菌防黴剤Eは、平均粒子径 0.2μm
の微細粒子であった。また、この抗菌防黴剤E中の、
銀、ピリジンの化合物の含有量を、実施例1に準じて算
出し、その結果を表1に示した。
【0079】〔耐熱性評価〕抗菌防黴剤Eの耐熱性を実
施例1に準じて評価した。その結果を表2に示した。
【0080】〔徐放性評価〕抗菌防黴剤Eの徐放性を実
施例1に準じて評価した。その結果を図7に示した。
【0081】〔抗菌性評価〕抗菌防黴剤Eの抗菌性を実
施例1に準じて評価した。その結果を表3、表4に示し
た。なお、硬化体、塗膜とも金属イオンに由来する変色
は認められなかった。
【0082】〔防黴性評価〕抗菌防黴剤Eの防黴性を実
施例1に準じて評価した。その結果を表5、表6に示し
た。
【0083】「実施例6」 〔抗菌防黴剤Fの製造〕1,2−ベンツイソチアゾロン
(以下、BITと略記) 1.2gを蒸留水 300mlに完全
に溶解し、この溶液に 10 重量%硝酸銀水溶液 10 ml
を加えて、銀とBITとの反応生成物(以下、銀−BI
Tと略記)を得た。この沈殿を濾別し、蒸留水にて充分
に洗浄後、温度 130℃にて乾燥し、乳鉢にて微粉砕し
た。
【0084】JIS1号水ガラスを蒸留水を用い体積比
で1:1に希釈した珪酸ナトリウム水溶液 10 mlに、
前記銀−BIT 0.25 g、変性エチルアルコール 1〜2
滴を加え、5分間、超音波により分散処理し、引き続き
マグネチックスターラにて完全に分散させた。別に用意
した 1.5mol/lの硫酸アンモニウム水溶液 110ml
をマグネチックスターラで攪拌しつつ、この水溶液中に
前記銀−BITが分散した前記珪酸ナトリウム水溶液を
添加し、温度 30 ℃にて2時間攪拌しながら熟成し、沈
殿生成物を得た。この沈殿生成物を濾別し、蒸留水にて
充分洗浄後、温度 130℃にて乾燥し、乳鉢にて解砕して
抗菌防黴剤Fを得た。
【0085】この抗菌防黴剤Fは、平均粒子径 0.2μm
の微細粒子であった。また、この抗菌防黴剤F中の、
銀、BITの含有量を実施例1に準じて算出した。その
結果を表1に示した。
【0086】〔耐熱性評価〕抗菌防黴剤Fの耐熱性を実
施例1に準じて評価した。その結果を表2に示した。
【0087】〔徐放性評価〕抗菌防黴剤Fの徐放性を実
施例1に準じて評価した。その結果を図7に示した。
【0088】〔抗菌性評価〕抗菌防黴剤Fの抗菌性を実
施例1に準じて評価した。その結果を表3、表4に示し
た。なお、硬化体、塗膜とも金属イオンに由来する変色
は認められなかった。
【0089】〔防黴性評価〕抗菌防黴剤Fの防黴性を実
施例1に準じて評価した。その結果を表5、表6に示し
た。
【0090】「比較例1」銀−TBZの耐熱性、抗菌
性、防黴性を実施例1に準じて評価した。その結果を表
2、表3、表4、表5、表6に示した。
【0091】「比較例2」TBZの耐熱性、抗菌性、防
黴性を実施例1に準じて評価した。その結果を表2、表
3、表4、表5、表6に示した。
【0092】「比較例3」フタルイミドの耐熱性、抗菌
性、防黴性を実施例1に準じて評価した。その結果を表
2、表3、表4、表5、表6に示した。
【0093】「比較例4」ピリジンの耐熱性、抗菌性、
防黴性を実施例1に準じて評価した。その結果を表2、
表3、表4、表5、表6に示した。
【0094】「比較例5」BITの耐熱性、抗菌性、防
黴性を実施例1に準じて評価した。その結果を表2、表
3、表4、表5、表6に示した。
【0095】「比較例6」銀−フタルイミド、銀−ピリ
ジン、銀−BITの徐放性を実施例1に準じて評価し
た。その結果を図7に示した。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
【表3】
【0099】
【表4】
【0100】
【表5】
【0101】
【表6】
【0102】表1、表3、表4、表5、表6の結果よ
り、実施例1〜6の抗菌防黴剤A〜Fは、充分な量の抗
菌防黴成分(銀と防黴性有機化合物)を担持し、抗菌効
果と防黴効果を併せて有していることが判る。なかで
も、抗菌防黴剤A,Bは、抗菌防黴剤Cよりも、多量の
抗菌性金属成分と防黴性有機化合物とを担持しており、
抗菌性金属成分と防黴性有機化合物の担持性に優れてい
る。
【0103】また、抗菌防黴剤A,B,D〜F(いずれ
も平均粒径 0.2μm)は、抗菌防黴剤C(平均粒径4μ
m)に比較して微細であることから、優れた抗菌防黴効
果が期待され、抗菌防黴性を付与する対象物への分散性
に優れたものとなる。更に、表2の結果より、抗菌防黴
剤A〜Fは優れた耐熱性を備えていることが、また、図
4,7の結果より抗菌防黴効果の持続性(徐放性)に優
れていることが判る。更にまた、抗菌防黴剤A〜Fは、
抗菌防黴性を付与する対象物を変色せしめることがな
い。
【0104】
【発明の効果】以上のように本発明では、請求項1に係
る抗菌防黴剤では、抗菌性金属成分と防黴性有機化合物
との反応生成物が、多孔質シリカ粒子の表面及び/又は
内部に固着していることにより、前記反応生成物の担持
量が大きなもの、粒径の微細なものが容易に得られ、抗
菌防黴性を付与する対象物への分散性が向上し、抗菌防
黴性を付与された物品の表面に変色を生じさせることが
なく、耐熱性が高くなり、抗菌防黴効果が持続し、長期
使用を可能にすることができる。
【0105】請求項2に係る抗菌防黴剤では、抗菌性金
属成分と防黴性有機化合物との反応生成物が、多孔質シ
リカにより内包されていることにより、抗菌防黴性を付
与する対象物への分散性が向上し、抗菌防黴性を付与さ
れた物品の表面に変色を生じさせることがなく、耐熱性
が高くなり、抗菌防黴効果が持続し、長期使用を可能に
することができる。
【0106】請求項3に係る抗菌防黴剤では、粒子径が
0.01〜1μmであることにより、抗菌防黴性を付与する
対象物への分散性が向上し、意匠性や強度等を向上させ
ることができる。
【0107】請求項4に係る抗菌防黴剤では、粒子径が
0.01〜5μmであることにより、担持量を増加させると
ともに抗菌防黴性を付与する対象物への分散性が向上
し、意匠性や強度等を向上させることができる。
【0108】請求項5に係る抗菌防黴剤では、前記防黴
性有機化合物がイミダゾール系化合物、チアゾール系化
合物、N−ハロアルキルチオ系化合物、ピリジン系化合
物、イソチアゾロン系化合物からなる群から選ばれた少
なくとも1種であることにより、抗菌性金属成分に対し
て有機配位子になり得て、抗菌防黴効果を向上させると
ともに安全性および汎用性を向上させることができる。
【0109】請求項6に係る抗菌防黴剤の製造方法で
は、抗菌性金属成分と防黴性有機化合物との反応生成物
がシリカにより処理されたことにより、抗菌性および防
黴性の両方に優れた効果を有し、持続性および耐熱性を
向上させるとともに物品表面の色調への影響がなく、長
期使用に耐える抗菌防黴剤を容易に得ることができる。
【0110】請求項7に係る抗菌防黴剤の製造方法で
は、抗菌性金属成分と防黴性有機化合物との反応生成物
が分散したアルカリ金属の珪酸塩の水溶液と、アルカリ
金属の珪酸塩を不溶化する化合物の水溶液とを混合・攪
拌することにより、請求項1記載の抗菌防黴剤を製造す
ることができ、水系での反応により粒子径が 0.01 〜1
μmの微細な抗菌防黴剤を容易に得ることができる。
【0111】請求項8に係る抗菌防黴剤の製造方法で
は、抗菌性金属成分と防黴性有機化合物との反応生成物
が分散した、アルカリ金属の珪酸塩を不溶化する化合物
の水溶液と、アルカリ金属の珪酸塩の水溶液とを混合・
攪拌することにより、請求項1記載の抗菌防黴剤を製造
することができ、水系での反応により粒子径が 0.01 〜
1 μmの微細な抗菌防黴剤を容易に得ることができる。
【0112】請求項9に係る抗菌防黴剤の製造方法で
は、アルコキシシラン中に、抗菌性金属成分と防黴性有
機化合物との反応生成物を粉状または分散した状態で添
加し、加水分解触媒を加え、攪拌しながら前記アルコキ
シシランを加水分解することにより、予め合成された前
記反応生成物をシリカ処理して請求項1記載の抗菌防黴
剤を製造することができ、有機系での反応により粒子径
が 0.01 〜1 μmの微細な抗菌防黴剤を容易に得ること
ができる。
【0113】請求項10に係る抗菌防黴剤の製造方法で
は、防黴性有機化合物が溶解したアルコキシシラン中
に、抗菌性金属成分塩の水溶液を添加し、加水分解触媒
を加え、攪拌しながら前記アルコキシシラン化合物を加
水分解することにより、前記反応生成物の合成とシリカ
処理とを略同時に行って請求項1記載の抗菌防黴剤を製
造することができ、有機系での反応により粒子径が 0.0
1 〜1 μmの微細な抗菌防黴剤を容易に得ることができ
る。
【0114】請求項11に係る抗菌防黴剤の製造方法で
は、抗菌性金属成分と防黴性有機化合物との反応生成物
を、アルカリ金属の珪酸塩の水溶液に分散する工程A
と、この工程Aで得られた分散液に水不溶性又は難溶性
の有機溶媒を混合してW/O型エマルジョンとする工程
Bと、この工程Bで得られたW/O型エマルジョンに、
前記アルカリ金属の珪酸塩を不溶化する化合物の水溶液
を添加して攪拌し、微多孔質カプセル粒子を生成する工
程Cとからなるから、前記反応生成物をアルカリ金属の
珪酸塩水溶液に分散したW/O型エマルジョンに、アル
カリ金属の珪酸塩を不溶化する化合物の水溶液を添加し
て、請求項2記載の抗菌防黴剤を製造することができ、
粒子径が 0.01 〜5 μmの微細な真球状の抗菌防黴剤を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における抗菌性金属成分と
防黴性有機化合物との反応生成物のシリカ網目構造への
固着モデルを示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態における抗菌性金属成分と
防黴性有機化合物との反応生成物のシリカ構造の珪酸基
への固着モデルを示す模式図である。
【図3】本発明の実施例1における抗菌防黴剤Aの粒子
性状を示す電子顕微鏡写真である。
【図4】本発明の実施例1〜3における抗菌防黴剤A,
B,Cの銀イオン濃度を時間経過を追って示すグラフで
ある。
【図5】本発明の実施例2における抗菌防黴剤Bの粒子
性状を示す電子顕微鏡写真である。
【図6】本発明の実施例3における抗菌防黴剤Cの粒子
性状を示す電子顕微鏡写真である。
【図7】本発明の実施例4〜6における抗菌防黴剤D,
E,Fの銀イオン濃度を比較例とともに時間経過を追っ
て示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A01N 43/80 102 A01N 43/80 102 59/16 59/16 A A61L 2/16 A61L 2/16 A Fターム(参考) 4C058 AA01 AA02 AA23 BB07 JJ02 JJ03 JJ04 JJ05 JJ08 4H011 AA02 AA03 BA01 BA06 BB09 BB10 BB11 BB18 BC18

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】抗菌性金属成分と防黴性有機化合物との反
    応生成物が、多孔質シリカ粒子の表面及び/又は内部に
    固着していることを特徴とする抗菌防黴剤。
  2. 【請求項2】抗菌性金属成分と防黴性有機化合物との反
    応生成物が、多孔質シリカにより内包されていることを
    特徴とする抗菌防黴剤。
  3. 【請求項3】粒子径が0.01〜1μmであることを特徴と
    する請求項1記載の抗菌防黴剤。
  4. 【請求項4】粒子径が0.01〜5μmであることを特徴と
    する請求項2記載の抗菌防黴剤。
  5. 【請求項5】前記防黴性有機化合物がイミダゾール系化
    合物、チアゾール系化合物、N−ハロアルキルチオ系化
    合物、ピリジン系化合物、イソチアゾロン系化合物から
    なる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴と
    する請求項1または2記載の抗菌防黴剤。
  6. 【請求項6】抗菌性金属成分と防黴性有機化合物との反
    応生成物をシリカにより処理することを特徴とする抗菌
    防黴剤の製造方法。
  7. 【請求項7】抗菌性金属成分と防黴性有機化合物との反
    応生成物が分散したアルカリ金属の珪酸塩の水溶液と、
    アルカリ金属の珪酸塩を不溶化する化合物の水溶液とを
    混合・攪拌することを特徴とする請求項6記載の抗菌防
    黴剤の製造方法。
  8. 【請求項8】抗菌性金属成分と防黴性有機化合物との反
    応生成物が分散したアルカリ金属の珪酸塩を不溶化する
    化合物の水溶液と、アルカリ金属の珪酸塩の水溶液とを
    混合・攪拌することを特徴とする請求項6記載の抗菌防
    黴剤の製造方法。
  9. 【請求項9】アルコキシシラン中に、抗菌性金属成分と
    防黴性有機化合物との反応生成物を粉状または分散した
    状態で添加し、加水分解触媒を加え、攪拌しながら前記
    アルコキシシランを加水分解することを特徴とする請求
    項6記載の抗菌防黴剤の製造方法。
  10. 【請求項10】防黴性有機化合物が溶解したアルコキシ
    シラン中に、抗菌性金属成分塩の水溶液を添加し、加水
    分解触媒を加え、攪拌しながら前記アルコキシシラン化
    合物を加水分解することを特徴とする請求項6記載の抗
    菌防黴剤の製造方法。
  11. 【請求項11】抗菌性金属成分と防黴性有機化合物との
    反応生成物を、アルカリ金属の珪酸塩の水溶液に分散す
    る工程Aと、この工程Aで得られた分散液に水不溶性又
    は難溶性の有機溶媒を混合してW/O型エマルジョンと
    する工程Bと、この工程Bで得られたW/O型エマルジ
    ョンに、前記アルカリ金属の珪酸塩を不溶化する化合物
    の水溶液を添加して攪拌し、微多孔質カプセル粒子を生
    成する工程Cとからなることを特徴とする請求項6記載
    の抗菌防黴剤の製造方法。
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