JP2000016911A - 歯科用接着剤システム - Google Patents

歯科用接着剤システム

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JP2000016911A JP10182149A JP18214998A JP2000016911A JP 2000016911 A JP2000016911 A JP 2000016911A JP 10182149 A JP10182149 A JP 10182149A JP 18214998 A JP18214998 A JP 18214998A JP 2000016911 A JP2000016911 A JP 2000016911A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボンディング組成物及びプライマー組成物を
同時に短時間で強固に光硬化させることができ、歯質へ
の接着性に極めて優れた歯科用接着剤システムを提供す
る。 【解決手段】 (a)酸性基を有する重合性単量体と、
(b)水酸基を有する重合性単量体と、(c)水とから
なるプライマー組成物と、(d)アシルホスフィンオキ
サイド化合物より選ばれる光重合開始剤と、(e)重合
性単量体とからなるボンディング組成物から構成される
歯科用接着剤システム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯科用の接着剤シ
ステムに関する。さらに詳しくは、歯科治療における充
填修復に際し、充填材料と歯質の間に高い接着力を与え
るために用いられるプライマー組成物とボンディング組
成物からなる歯科用接着剤システムに関する。
【0002】
【従来の技術】齲蝕等により損傷を受けた歯質の修復に
は、通常、充填用コンポジットレジン、充填用コンポマ
ー等と呼ばれる充填修復材料が用いられるが、これらの
充填修復材料自体には接着性がないため、従来、歯質表
面をリン酸などの強力な酸エッチング材によって処理を
施した後に、ボンディング材を塗布して歯質と充填材料
とを接着してきた。しかし、このような酸エッチング材
による処理方法では、処理後に酸を十分取り除くために
水洗操作が必要であり、さらに再び乾燥させるなど操作
が煩雑であることが欠点とされている。また、酸エッチ
ング材を用いた接着システムではエナメル質への接着力
は優れるが、象牙質に対しては高い接着力を得ることが
難しいとされている。
【0003】その対策として、特開昭62−22328
9号公報、特開平3−240712号公報では、酸エッ
チング材の代わりに、酸あるいは酸性モノマーと親水性
モノマーからなるプライマー組成物を歯質に処理した
後、水洗操作を行わずしてボンディング材を適用させる
接着システム、いわゆるセルフエッチング型プライマー
を使用した接着剤システムが提案されており、接着操作
の簡便化が図られている。しかし、このような水洗操作
を必要としないセルフエッチング型のプライマーは、塗
布後に歯科用エアーシリンジにて乾燥することにより水
等の溶剤の大部分は除かれるものの、プライマー成分中
の重合性のモノマー成分は、歯質の表層に一層残存す
る。残存したモノマーは、その後、その上に被覆される
ボンディング材と同時に光照射により重合硬化される
が、プライマー成分中には親水性モノマーや酸性モノマ
ーなどの重合性に乏しいモノマーが多く配合されている
ため、瞬時に重合を追い込むことができない。そこで、
さらに重合性を高めるために、プライマーにも光重合開
始剤を添加する等の改善が試みられてはきたものの、十
分な効果が得られていないのが現状である。その結果、
歯面に塗布したボンディング材(プライマーを含む)の
重合性単量体の重合が不十分になり、修復してから一定
期間の後に、不幸にして歯質と修復材料との間隙ができ
て辺縁漏洩を生じたり、修復物が脱落するなどの問題が
しばしば指摘されてきた。特にボンディング材を光照射
する際、光照射時間が短い場合に、このような不都合が
しばしば現れるといわれている。
【0004】なお、プライマー組成物およびボンディン
グ組成物の重合硬化性を向上させるには、各々の組成物
中の光重合開始剤の配合量を増量すればある程度の改善
は可能である。しかし、光重合開始剤を極端に増量させ
ると、開始剤自身に重合性基がないために、各組成物の
硬化物から残存する重合開始剤成分の漏洩する量が多く
なるばかりか、硬化物の機械的強度の低下や、硬化物が
経時的に変色をきたして、審美的な歯冠修復ができない
などの問題があり、実用的でない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、ボンディング組成物のみならずプライマー
組成物をも同時に短時間で強固に光硬化させることがで
き、歯質への接着性に極めて優れる新しい歯科用接着剤
システムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記技術
課題の解決するために鋭意検討した結果、酸性モノマー
と親水性モノマーが水に溶解してなるセルフエッチング
型のプライマー組成物と、これと組み合わせて使用する
ボンディング材組成物とからなる接着剤システムにおい
ては、ボンディング組成物中にアシルホスフィンオキサ
イド化合物を光重合開始剤として配合すると、光硬化性
を向上させ、それによって水中における接着耐久性を向
上し得ることを見出した。さらに驚くべきことに、該ア
シルホスフィンオキサイド化合物を光重合開始剤として
ボンディング組成物に配合した場合、先に処理されるプ
ライマー組成物に光重合開始剤が配合されない場合で
も、短時間で強固に硬化し、歯質に対して高い接着力が
得られるとともに、さらにその接着耐久性が向上するこ
とを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】即ち本発明は、(a)酸性基を有する重合
性単量体、(b)水酸基を有する重合性単量体、及び
(c)水とからなるプライマー組成物と、(d)アシル
ホスフィンオキサイド化合物、及び(e)重合性単量体
とからなるボンディング組成物から構成されることを特
徴とする歯科用接着剤システムである。
【0008】本発明においてプライマー組成物に使用さ
れる酸性基を有する重合性単量体は、歯質および修復物
に対する接着性を確保することを目的として配合され、
リン酸残基、ピロリン酸残基、チオリン酸残基、カルボ
ン酸残基またはスルホン酸残基等の酸性基、およびアク
リロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、スチレン基
等の重合可能な不飽和基を有する重合性単量体であっ
て、該化合物の具体例として、以下のものが挙げられ
る。なお、本発明においては(メタ)アクリルをもって
メタクリルとアクリルの両者を包括的に表現する。
【0009】リン酸残基を有する重合性単量体として
は、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジ
ハイドロジェンホスフェート、9−(メタ)アクリロイ
ルオキシノニルジハイドロジェンホスフェート、10−
(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホ
スフェート、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデ
シルジハイドロジェンホスフェート、20−(メタ)ア
クリロイルオキシエイコシルジハイドロジェンホスフェ
ート、1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロピル
−2−ジハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)ア
クリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフ
ェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル 2’
−ブロモエチルハイドロジェンホスフェート、(メタ)
アクリロイルオキシエチル フェニルホスホネート等、
およびこれらの酸塩化物。
【0010】ピロリン酸残基を有する重合性単量体とし
ては、例えば、ピロリン酸ジ(2−(メタ)アクリロイ
ルオキシエチル)等、およびこれらの酸塩化物。チオリ
ン酸残基を有する重合性単量体としては、例えば、2−
(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンジ
チオホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシ
デシルジハイドロジェンチオホスフェート等、およびこ
れらの酸塩化物。
【0011】カルボン酸残基を有する重合性単量体とし
ては、例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシエトキ
シカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキ
シエトキシカルボニルフタル酸無水物、5−(メタ)ア
クリロイルアミノペンチルカルボン酸、11−(メタ)
アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸
等およびこれらの酸塩化物。
【0012】スルホン酸残基を有する重合性単量体とし
ては、例えば、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチ
ルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−スル
ホエチル(メタ)アクリレート、などのスルホン酸基を
含有する化合物などを挙げることができる。これらの酸
性基を有する重合性単量体は1種または数種組み合わせ
て用いられる。これらの酸性モノマーの配合量は、プラ
イマー組成物全体に対し、通常0.1重量%〜80重量
%の範囲、好ましくは1重量%〜50重量の範囲で使用
される。
【0013】本発明においてプライマー組成物に使用す
る水酸基を含有する重合性単量体としては、水酸基およ
びアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、スチ
レン基等の重合可能な不飽和基を有する重合性のモノマ
ー、オリゴマーまたはポリマーであるが、モノマーが特
に好ましい。この種の化合物は、例えば、2−ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシ
ル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メ
タ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)
アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、
エリトリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリ
トリトールジ(メタ)アクリレート、1,2−ビス(3
−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)
エタン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−
ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N、N−
(ジヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドなどを
挙げることができる。これらの水酸基を有する重合性単
量体の配合量は、プライマー組成物全体に対し、通常
0.1重量%〜95重量%の範囲、好ましくは1重量%
〜70重量の範囲で使用される。
【0014】本発明においてプライマー組成物に用いら
れる水は、歯牙と修復材料との接着強度の発現に対して
悪影響を及ぼす不純物を実質的に含有していないものを
使用する必要があり、蒸留水またはイオン交換水が好適
である。水の配合量は、プライマー組成物全体に対し、
通常0.01重量%〜90重量%の範囲、好ましくは
0.1重量%〜70重量の範囲で使用される。
【0015】本発明において、プライマー組成物は、歯
面に塗布した後、歯科用エアーシリンジにて乾燥するこ
とにより極めて薄くなることから、プライマー中に重合
開始剤は必ずしも必要ではない。しかし、プライマー組
成物を乾燥する際、術者がプライマー組成物を極端に多
く残してしまった場合などは、光硬化性が低下し、接着
強度が低下する恐れがあるため、プライマー組成物に重
合開始剤を配合することがより望ましい。重合開始剤と
しては、公知の光重合開始剤および/または化学重合開
始剤を配合することができる。
【0016】光重合開始剤としては、例えば、α−ジケ
トン/還元剤、ケタール/還元剤、チオキサントン/還
元剤等があげられる。α−ジケトンの例としては、カン
ファーキノン、ベンジル、2,3−ペンタンジオンなど
が挙げられる。ケタールの例としては、ベンジルジメチ
ルケタール、ベンジルジエチルケタール等が挙げられ
る。チオキサントンの例としては、2−クロロチオキサ
ントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられ
る。
【0017】還元剤の例としては、2−ジメチルアミノ
エチルメタクリレート、N,N−ビス〔(メタ)アクリ
ロイルオキシエチル〕−N−メチルアミン、4−ジメチ
ルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸
ブチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブトキシエチル、
N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジ
ン、N−メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミ
ノベンゾフェノン、ジメチルアミノフェナントール等の
第3級アミン、ジメチルアミノベンズアルデヒド、テレ
フタルアルデヒド等のアルデヒド類、2−メルカプトベ
ンゾオキサゾール、デカンチオール、3−メルカプトプ
ロピルトリメトキシシラン、チオ安息香酸等のチオール
基を有する化合物等を挙げることが出来る。また、紫外
線照射による光重合を行う場合は、ベンゾインアルキル
エーテル、ベンジルジメチルケタール等が好適である。
さらに、本発明のボンディング材組成物に必須である各
種のアシルホスフィンオキサイド系の光重合開始剤も好
適に用いられる。
【0018】かかるアシルホスフィンオキサイドとして
は、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェ
ニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾ
イルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロ
ロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,
3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフ
ィンオキサイド、ベンゾイルジ−(2,6−ジメチルフ
ェニル)ホスホネート、2,4,6−トリメチルベンゾ
イルエトキシフェニルホスフィンオキサイドおよび特公
平3−57916号公報に開示されている水溶性のアシ
ルホスフィンオキサイド化合物などが挙げられる。これ
らアシルホスフィンオキサイド系の光重合開始剤は、単
独もしくは各種アミン類、アルデヒド類またはメルカプ
タン類、スルフィン酸塩等の還元剤と併用して用いても
よい。
【0019】化学重合開始剤としては、例えば、酸化剤
と還元剤よりなるレドックス系の重合開始剤が好適に用
いられる。レドックス系の重合開始剤を使用する場合、
本発明のプライマー組成物は各成分を含有するように2
分割以上の包装形態をとる必要がある。一方、本発明の
接着剤システムでは、プライマー組成物は必ずボンディ
ング組成物と組み合わせて使用するため、プライマー組
成物とボンディング組成物に酸化剤と還元剤を分割して
配合することも可能である。
【0020】酸化剤としては、例えば、ジアシルパーオ
キサイド類、パーオキシエステル類、ジアルキルパーオ
キサイド類、パーオキシケタール類、ケトンパーオキサ
イド類、ハイドロパーオキサイド類などの有機過酸化物
も配合することが可能であり、具体的には、ジアシルパ
ーオキサイド類としてはベンゾイルパーオキサイド、
2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トル
オイルパーオキサイド等が挙げられる。
【0021】パーオキシエステル類としては、例えば、
t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス−t−ブチル
パーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5
−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチル
パーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパ
ーオキシイソプロピルカーボネート等が挙げられる。ジ
アルキルパーオキサイド類としては、例えば、ジクミル
パーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウ
ロイルパーオキサイド等が挙げられる。
【0022】パーオキシケタール類としては、例えば、
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−ト
リメチルシクロヘキサン等が挙げられる。ケトンパーオ
キサイド類としては、例えば、メチルエチルケトンパー
オキサイド等が挙げられる。ハイドロパーオキサイド類
としては、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド
等が挙げられる。
【0023】還元剤としては、芳香族第3級アミン、脂
肪族第3級アミンおよびスルフィン酸またはその塩など
が好適な還元剤として使用される。芳香族第3級アミン
としては、例えば、N,N−ジメチルアニリン、N,N
−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−
トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,
N−ジメチル−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジ
メチル−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル
−4−エチルアニリン、N,N−ジメチル−4−i−プ
ロピルアニリン、N,N−ジメチル−4−t−ブチルア
ニリン、N,N−ジメチル−3,5−ジt−ブチルアニ
リン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5
−ジメチルアニリン、 N,N−ジ(2−ヒドロキシエ
チル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキ
シエチル)−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ビス
(2−ヒドロキシエチル)−4−エチルアニリン、N,
N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−i−プロピル
アニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4
−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシ
エチル)−3,5−ジi−プロピルアニリン、N,N−
ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジt−ブチル
アニリン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジ
メチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチル、4−ジメチ
ルアミノ安息香酸(2−メタクリロイルオキシ)エチル
等が挙げられる。
【0024】脂肪族第3級アミンとしては、例えば、ト
リメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタ
ノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n
−ブチルジエタノールアミン、N−ラウリルジエタノー
ルアミン、トリエタノールアミン、(2−ジメチルアミ
ノ)エチルメタクリレート、N−メチルジエタノールア
ミンジメタクリレート、N−エチルジエタノールアミン
ジメタクリレート、トリエタノールアミンモノメタクリ
レート、トリエタノールアミンジメタクリレート、トリ
エタノールアミントリメタクリレート等が挙げられる。
【0025】スルフィン酸またはその塩としては、例え
ば、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸ナト
リウム、ベンゼンスルフィン酸カリウム、ベンゼンスル
フィン酸カルシウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、
トルエンスルフィン酸、トルエンスルフィン酸ナトリウ
ム、トルエンスルフィン酸カリウム、トルエンスルフィ
ン酸カルシウム、トルエンスルフィン酸リチウム、2,
4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6
−トリメチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,
4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カリウム、
2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カルシウ
ム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸リチ
ウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸、
2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸ナトリウ
ム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カリ
ウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カ
ルシウム、2,4,6−i−プロピルベンゼンスルフィ
ン酸、2,4,6−i−プロピルベンゼンスルフィン酸
ナトリウム、2,4,6−i−プロピルベンゼンスルフ
ィン酸カリウム、2,4,6−i−プロピルベンゼンス
ルフィン酸カルシウム等が挙げられる。これらの重合開
始剤は、1種または数種組み合わせて用いられる。ま
た、これらの重合開始剤の配合量は、プライマー組成物
に対して通常0.01重量%〜20重量%の範囲、好ま
しくは0.1重量%〜10重量%の範囲で使用される。
【0026】本発明のプライマー組成物には、所望に応
じて、水酸基および酸性基を有さない(メタ)アクリレ
ート系重合性単量体、エタノール、アセトン等の揮発性
溶剤、重合禁止剤、着色剤、蛍光剤、紫外線吸収剤など
を添加してもよい。また、抗菌性を付与する目的で、
(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムブロ
マイド、(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルピリ
ジニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシデシ
ルアンモニウムクロライド等のカチオン性基を有する抗
菌性重合性単量体を配合してもよい。さらには、フィラ
ーをプライマー組成物の流動性を損わない範囲の量を配
合することができる。
【0027】かかるフィラーとしては、無機系あるいは
有機物及びこれらの複合体が用いられる。無機系フィラ
ーとしては、シリカあるいはカオリン、クレー、雲母、
マイカなどのシリカを基材とする鉱物、シリカを基材と
し、Al23、B23、TiO2、ZrO2、BaO、L
23、SrO2、CaO、P25等を含有するセラミ
ックスやガラスの類、特にランタンガラス、バリウムガ
ラス、ストロンチウムガラス、ソーダガラス、リチウム
ボロシリケートガラス、亜鉛ガラス、フルオロアルミナ
ムボロシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス、バイオガラ
ス等が挙げられる。さらには結晶石英、ヒドロキシアパ
タイト、アルミナ、酸化チタン、酸化イットリウム、ジ
ルコニア、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化ア
ルミニウム等も好適に用いられる。
【0028】有機物のフィラーとしては、ポリメチルメ
タクリレート、多官能メタクリレートの重合体、ポリア
ミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、クロロプレンゴ
ム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等の有機
樹脂が挙げられる。また、これらの有機樹脂中に無機フ
ィラーが分散したものや、無機フィラーを上記有機樹脂
でコーティングした複合物である無機/有機複合フィラ
ー等も挙げられる。
【0029】これらのフィラーは、プライマー組成物の
流動性の調整のため、必要に応じてシランカップリング
剤等の公知の表面処理剤で予め表面処理してから用いて
もよい。かかる表面処理剤としては、例えば、ビニルト
リメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル
トリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシエトキ
シ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ
る。これらのフィラーは、単独または数種類を組み合わ
せて配合され、プライマー組成物全体に対して、30重
量%以下、好ましくは10重量%以下の範囲で添加され
る。より好ましくは平均粒径0.1μmの以下のコロイ
ダルシリカが挙げられる。
【0030】本発明のボンディング剤組成物において光
重合開始剤として使用されるアシルホスフィンオキサイ
ド化合物は、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイ
ルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキ
シベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6
−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイ
ド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニ
ルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジ−(2,6−ジ
メチルフェニル)ホスホネート、2,4,6−トリメチ
ルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイドお
よび特公平3−57916号公報に開示されている水溶
性のアシルホスフィンオキサイド化合物などが挙げられ
る。これらアシルホスフィンオキサイド系の光重合開始
剤は、単独もしくは各種アミン類、アルデヒド類または
メルカプタン類、スルフィン酸塩等の還元剤と併用して
用いてもよい。これらのアシルフォスフィン系の光重合
開始剤の配合量は、ボンディング組成物全体に対し、通
常0.05重量%〜15重量%の範囲、好ましくは0.
1重量%〜5重量%の範囲で使用される。
【0031】また、これらのアシルホスフィンオキサイ
ド化合物に加え、必要に応じて公知の光重合開始剤およ
び/または化学重合開始剤を配合することができる。こ
の光重合開始剤および化学重合開始剤は、先に説明した
ものと同一のものである。これらの光重合開始剤は、ボ
ンディング組成物全体に対して、通常0.05重量%〜
15重量%の範囲、好ましくは0.1重量%〜5重量%
の範囲で使用される。
【0032】化学重合開始剤として、レドックス系の重
合開始剤を使用する場合、本発明のボンディング組成物
は2分割以上の包装形態をとる必要があるが、本発明の
接着剤システムでは、プライマー組成物は必ずボンディ
ング組成物と組み合わせて使用するため、プライマー組
成物とボンディング組成物に酸化剤と還元剤を分割して
配合することも可能である。ボンデイング組成物に配合
される公知の光重合開始剤および化学重合開始剤は、先
に説明したものと同一である。
【0033】酸化剤および還元剤はそれぞれ1種または
数種組み合わせて用いられる。また、これらの成分の配
合量は、ボンディング組成物に対して通常0.01重量
%〜20重量%の範囲、好ましくは0.1重量%〜10
重量%の範囲で使用される。
【0034】本発明のボンディング組成物に使用される
重合性単量体としては、通常、α−シアノアクリル酸、
(メタ)アクリル酸、α−ハロゲン化アクリル酸、クロ
トン酸、桂皮酸、ソルビン酸、マレイン酸、イタコン酸
等のエステル類、(メタ)アクリルアミド、および(メ
タ)アクリルアミド誘導体、ビニルエステル類、ビニル
エーテル類、モノ−N−ビニル誘導体、スチレン誘導体
等が挙げられ、中でも(メタ)アクリル酸エステルが好
適に用いられ、かかる重合性単量体を例を以下に示す。
【0035】本発明においては、一つの不飽和基を有す
る単量体を一官能単量体とする。 (イ)一官能性単量体 メチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)
アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリ
ル(メタ)アクリレート、2−(N,N−ジメチルアミ
ノ)エチル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプ
ロピル(メタ)アクリレート、3−メタクリロイルオキ
シプロピルトリメトキシシラン、11−メタクリロイル
オキシウンデシルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル
(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メ
タ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)
アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、
エリトリトールモノ(メタ)アクリレート、N−メチロ
ール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリルアミド、N、N−(ジヒドロキシエチ
ル)(メタ)アクリルアミド、γ−(メタ)アクリロイ
ルオキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリ
ロイルオキシドデシルピリジニウムブロマイド、(メ
タ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムクロライ
ド、(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウム
ブロマイド、(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシル
ピリジニウムクロライドなど。
【0036】(ロ)二官能性単量体 エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ
ールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオー
ルジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオール
ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジ
ル(メタ)アクリレート、2,2−ビス〔4−(メタ)
アクリロイルオキシエトキシフェニル〕プロパン、2,
2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキ
シフェニル〕プロパン、2,2−ビス[4−〔3−
((メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポ
キシ〕フェニル]プロパン、1,2−ビス〔3−(メ
タ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕
エタン、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレー
ト、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒ
ドロキシプロポキシ)エタン、[2,2,4−トリメチ
ルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチ
ル)]ジメタクリレートなど。
【0037】(ハ)多官能性基単量体 トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ト
リメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラ
メチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエ
リスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ウレタンテ
トラメタクリレート、1,7−ジアクリロイルオキシ−
2,2,6,6−テトラアクリロイルオキシメチル−4
−オキシヘプタンなど。これらの重合性単量体は1種ま
たは数種組み合わせて用いられる。
【0038】本発明においてボンディング材組成物に使
用される酸性基を有する重合性単量体は、歯質および修
復物に対する接着性を確保するのに必須成分ではない
が、より接着性を高める場合には、配合されることが望
ましい。かかる酸性基を有する重合性単量体は、本発明
のプライマー組成物に使用される酸性モノマーと同じも
のが該当する。 これらの酸性モノマーの配合量は、ボ
ンディング組成物全体に対し、通常0.1重量%〜80
重量%の範囲、好ましくは1重量%〜50重量%の範囲
で使用される。
【0039】本発明のボンディング剤組成物は、操作
性、塗布性、機械的強度の改善のために、フィラーを配
合しても構わない。かかるフィラーは、プライマー組成
物に配合されるフィラーと同一である。これらのフィラ
ーは、単独または数種類配合され、ボンディング剤組成
物全体に対して、40重量%以下、好ましくは20重量
%以下の範囲で添加される。より好ましくは平均粒径
0.1μmの以下のコロイダルシリカが挙げられる。
【0040】本発明のボンディング材組成物には以上に
述べた各成分の他、実用上必要に応じて、エタノール、
アセトン等の有機溶剤、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外
線吸収剤、顔料、染料等を添加することができる。ま
た、抗齲蝕効果を付与するため、フッ化ナトリウムなど
のフッ素化合物を配合することもできる。
【0041】本発明の接着システムは、歯質と充填用コ
ンポマー、充填用コンポジットレジン等の充填用修復材
料とを接着するための歯科用接着剤システムであるが、
レジンセメント、グラスアイオノマーセメント、リン酸
亜鉛セメント、ポリカルボキシレートセメント、シリケ
ートセメント、酸化亜鉛ユージノールセメントなどの合
着材と組み合わせて使用することもできる。さらには、
充填修復材料を使用せずに、そのまま小窩裂溝へ適用し
てフィッシャーシーラント、根面および隣接歯部分のコ
ーティング材としても使用できる。
【0042】また、口腔内にて修復材料が破折した際
は、金属、陶剤、コンポジット硬化物などの歯質以外の
材料に対しても使用することができ、さらに、市販の金
属接着用プライマー、陶剤接着材用プライマー、酸エッ
チング剤、次塩素酸塩等の歯面清掃剤と組み合わせて使
用してもよい。
【0043】
【実施例】次に実施例により本発明を更に詳細に説明す
るが、本発明はかかる実施例に限定されるものではな
い。なお、本発明中並びに実施例中に示した略称・略号
については次の通りである。
【0044】略称、略号 酸性基を有する重合性単量体 MNP:9−メタクリロイルオキシノニルジハイドロジ
ェンホスフェート MDP:10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロ
ジェンホスフェート MUP:11−メタクリロイルオキシウンデシルジハイ
ドロジェンホスフェート 水酸基を有する重合性単量体 HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
【0045】その他の重合性単量体 Bis−GMA:ビスフェノールAジグリシジルメタク
リレート UDMA:[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビ
ス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレー
ト 光重合開始剤 TMDPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェ
ニルホスフィンオキサイ ドDEDPO:2,6−ジエチルベンゾイルジフェニル
ホスフィンオキサイド DCDPO:2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホ
スフィンオキサイド CQ:カンファーキノン
【0046】酸化剤および還元剤 BPO:ベンゾイルパーオキサイド DMAB:4−ジメチルアミノベンゾフェノン DMAPH:ジメチルアミノフェナントール DMAEMA:2−ジメチルアミノエチルメタクリレー
ト DEPT: N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p
−トルイジン、 BSS:ベンゼンスルフィン酸ナトリウム
【0047】実施例1 MDP、HEMA、および蒸留水を表1に示す重量比で
混合したプライマー組成物を調製した。さらに、Bis
−GMA、HEMAおよびTMDPOを表1に示す重量
比で混合したボンディング組成物を調製した。このプラ
イマー組成物とボンディング組成物とを使用し、後述の
光硬化性試験方法に従って光硬化完了時間を測定し、表
1に測定結果を併記した。さらに、同じプライマー組成
物とボンディング組成物とを使用して、後述の接着力試
験方法に従って接着強度を測定し、表1に測定結果を併
記した。
【0048】(1)光硬化性試験方法 ウシの前歯を#1000シリコン・カーバイド紙(日本
研紙(株)製)で平滑に湿潤研磨した後、象牙質表面を
露出させた後、表面の水を歯科用エアーシリンジで吹き
飛ばした。露出した象牙質表面にプライマー組成物を筆
で塗布し、そのまま30秒間放置してからエアーシリン
ジで乾燥させた。その上に、厚さ0.8mm、直径4m
mの穴を開けたワッシャーを置き、穴の中にボンディン
グ組成物を満たした後、熱電対の先端をその中に入れ、
歯科用光照射器「ライテルII」(群馬牛尾電気(株)
製)で光照射した。熱電対により温度変化を記録し、照
射開始から発熱ピークの頂点に達するまでの時間を求
め、これを光重合の硬化完了時間とした。
【0049】(2)接着力試験方法 ウシの前歯を#1000シリコン・カーバイド紙(日本
研紙(株)製)で平滑に湿潤研磨した後、エナメル質表
面、または象牙質表面を露出させた後、表面の水を歯科
用エアーシリンジで吹き飛ばした。露出したエナメル質
表面または象牙質表面に3mmφの穴を開けた厚さ約15
0ミクロンの粘着テープを貼り、穴の部分にプライマー
組成物を筆で塗布し、そのまま30秒間放置してからエ
アーシリンジで乾燥させた。その上に、ボンディング組
成物を筆で約100ミクロンの厚さに塗布し、歯科用光
照射器「ライテルII」(群馬牛尾電気(株)製)にて1
0秒間光照射を行い、硬化させた。さらに、その上に市
販の光重合型歯科用コンポジットレジン「クリアフィル
AP−X」((株)クラレ製)をのせ、エバール(登録
商標、(株)クラレ製)からなるフィルムをかぶせた
後、スライドガラスを上から押しつけ、かかる状態で上
記光照射器にて40秒間光照射を行い、硬化させた。こ
の硬化面に対して、市販の歯科用レジンセメント「パナ
ビア21」((株)クラレ製)を用いてステンレス棒を
接着し、30分間後に全試験片16個を37℃の水中に
浸漬した。
【0050】そのうち8個の試験片については37℃水
中24時間浸漬後に接着強度を測定した。また、残りの
8個の試験片に対しては、37℃水中24時間浸漬後
に、さらに4℃の冷水中と60℃の温水中に各々1分間
ずつ浸漬する熱サイクルを8000回負荷させた後に接
着強度を測定した。接着強度の測定には、万能試験機
(インストロン製)を用い、クロス・ヘッドスピード2
mm/minの条件で引張接着強度を測定した。各々の
測定値を平均した。
【0051】実施例2〜6および比較例1〜4 表1に示す成分を用い、実施例1と同様にして、プライ
マー組成物とボンディング組成物を調製した。各プライ
マー組成物とボンディング組成物に関して、実施例1と
同様な光硬化性試験方法と接着力試験方法にて光硬化完
了時間と接着強度を測定し、それぞれ表1に測定結果を
示した。
【0052】表1から明らかなように、ボンディング組
成物に光重合開始剤としてアシルホスフィンオキサイド
化合物を配合した実施例1〜6の接着剤システムの場
合、10秒以内に光重合が完結し、光硬化性に優れるこ
とが判った。さらに、接着力試験において、熱サイクル
負荷後でも接着強度の低下は殆どなかった。これに対
し、ボンディング組成物にCQと還元剤からなる光重合
開始剤を配合した比較例1〜4の接着剤システムの場合
は、10秒間では光重合を完結できなかった。また、熱
サイクル負荷により接着強度が著しく低下した。
【0053】
【表1】
【0054】実施例7〜12および比較例5〜8 表2に示すように、実施例1または実施例4と同一のプ
ライマー組成物を調製し、さらに、UDMA、HEMA
およびTMDPOなどの成分を表2に示す重量比で混合
したボンディング組成物を調製した。各プライマー組成
物とボンディング組成物に関して、実施例1と同様な光
硬化性試験方法と接着力試験方法にて光硬化完了時間と
接着強度を測定し、それぞれ表2に測定結果を示した。
【0055】表2から明らかなように、ボンディング組
成物に光重合開始剤としてアシルホスフィンオキサイド
化合物を配合した実施例7〜12の接着剤システムの場
合、10秒以内に光重合が完結し、光硬化性に優れるこ
とが判った。さらに、接着力試験において、熱サイクル
負荷後でも接着強度の低下は殆どなかった。これに対
し、ボンディング組成物にCQと還元剤からなる光重合
開始剤を配合した比較例5〜8の接着剤システムの場合
は、10秒間では光重合を完結できなかった。また、熱
サイクル負荷により接着強度が著しく低下した。
【0056】
【表2】
【0057】実施例13〜18および比較例9〜10 MDP又はMUP、HEMA、蒸留水、CQおよびDM
AEMAを表3に示す重量比で混合したプライマー組成
物を調製した。さらに、Bis−GMA、HEMA、M
DP、TMDPOおよびDMABなどの成分を表3に示
す重量比で混合したボンディング組成物を調製した。各
プライマー組成物とボンディング組成物に関して、実施
例1と同様な光硬化性試験方法と接着力試験方法にて光
硬化完了時間と接着強度を測定し、それぞれ表3に測定
結果を示した。
【0058】表3から明らかなように、ボンディング組
成物に光重合開始剤としてアシルホスフィンオキサイド
化合物を配合した実施例13〜18の接着剤システムの
場合、10秒以内に光重合が完結し、光硬化性に優れる
ことが判った。さらに、接着力試験において、熱サイク
ル負荷後でも接着強度の低下は殆どなかった。これに対
し、ボンディング組成物にCQと還元剤からなる光重合
開始剤を配合した比較例9および10の接着剤システム
の場合は、10秒間では光重合を完結できなかった。ま
た、熱サイクル負荷により接着強度が著しく低下した。
【0059】
【表3】
【0060】実施例19〜24および比較例11〜12 表4に示すように、実施例13または実施例16と同一
のプライマー組成物を調製し、さらに、UDMA、HE
MA、MDP、TMDPOおよびDMABなどの成分を
表4に示す重量比で混合したボンディング組成物を調製
した。各プライマー組成物とボンディング組成物に関し
て、実施例1と同様な光硬化性試験方法と接着力試験方
法にて光硬化完了時間と接着強度を測定し、それぞれ表
4に測定結果を示した。
【0061】表4から明らかなように、ボンディング組
成物に光重合開始剤としてアシルホスフィンオキサイド
化合物を配合した実施例19〜24の接着剤システムの
場合、10秒以内に光重合が完結し、光硬化性に優れる
ことが判った。さらに、接着力試験において、熱サイク
ル負荷後でも接着強度の低下は殆どなかった。これに対
し、ボンディング組成物にCQと還元剤からなる光重合
開始剤を配合した比較例11および12の接着剤システ
ムの場合は、10秒間では光重合を完結できなかった。
また、熱サイクル負荷により接着強度が著しく低下し
た。
【0062】
【表4】
【0063】実施例25〜26および比較例13〜14 MDP、HEMA、蒸留水、CQ、DMAEMAおよび
DEPTなどの成分を表5に示す重量比で混合したプラ
イマー組成物を調製した。さらに、UDMA、HEM
A、MDP、TMDPOおよびBPOなどの成分を表5
に示す重量比で混合したボンディング組成物を調製し
た。各プライマー組成物とボンディング組成物に関し
て、実施例1と同様な光硬化性試験方法と接着力試験方
法にて光硬化完了時間と接着強度を測定し、それぞれ表
5に測定結果を示した。
【0064】
【表5】
【0065】表5から明らかなように、ボンディング組
成物に光重合開始剤としてアシルホスフィンオキサイド
化合物を配合した実施例25および26の接着剤システ
ムの場合、10秒以内に光重合が完結し、光硬化性に優
れることが判った。さらに、接着力試験において、熱サ
イクル負荷後でも接着強度の低下は殆どなかった。これ
に対し、ボンディング組成物にCQを配合し、かつプラ
イマー組成物に還元剤を配合した比較例13および14
の接着剤システムの場合は、10秒間では光重合を完結
できなかった。また、接着強度が著しく低い値を示し
た。
【0066】実施例27〜35および比較例15〜23 表6および表7に示す成分を用い、実施例1と同様にし
て、プライマー組成物とボンディング組成物を調製し
た。各プライマー組成物およびボンディング組成物が2
液の場合は、それぞれを等量ずつとり、混和した液を用
いて、実施例1の要領で実施例1と同様な光硬化性試験
方法と接着力試験方法にて光硬化完了時間と接着強度を
測定し、それぞれ表6および表7に測定結果を示した。
【0067】
【表6】
【0068】
【表7】
【0069】表6から明らかなように、ボンディング組
成物に光重合開始剤としてアシルホスフィンオキサイド
化合物を配合した実施例27〜35の接着剤システムの
場合、10秒以内に光重合が完結し、光硬化性に優れる
ことが判った。さらに、接着力試験において、熱サイク
ル負荷後でも接着強度の低下は殆どなかった。これに対
し、表7から明らかなようにボンディング組成物にCQ
と還元剤からなる光重合開始剤を配合した比較例15〜
23の接着剤システムの場合は、10秒間では光重合を
完結できなかった。また、熱サイクル負荷により接着強
度が著しく低下した。
【0070】
【発明の効果】プライマー組成物とボンディング組成物
から構成される歯科用接着剤システムにおいて、ボンデ
ィング組成物に光重合開始剤としてアシルホスフィンオ
キサイド化合物を配合することにより、ボンディング組
成物のみならずプライマー組成物をも同時に短時間で強
固に光硬化させることができ、さらに、歯質に対する接
着耐久性を大幅に向上させることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)酸性基を有する重合性単量体、
    (b)水酸基を有する重合性単量体、及び(c)水とか
    らなるプライマー組成物と、(d)アシルホスフィンオ
    キサイド化合物、及び(e)重合性単量体とからなるボ
    ンディング組成物から構成されることを特徴とする歯科
    用接着剤システム。
  2. 【請求項2】該プライマー組成物が、さらに(f)重合
    開始剤を含有する請求項1記載の歯科用接着剤システ
    ム。
  3. 【請求項3】該ボンディング組成物が、さらに(g)酸
    性基を有する重合性単量体を含有する請求項1または請
    求項2記載の歯科用接着剤システム。
  4. 【請求項4】該ボンディング組成物中に、さらに(h)
    酸化剤および/または(i)還元剤を含有する請求項1
    〜3記載の歯科用接着剤システム。
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