JP2000015233A - 厨芥処理装置および厨芥処理装置の運転方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 臭気による環境汚染を回避しつつ、環境負荷
の増大を招くこともない、環境共生型の厨芥処理装置を
提供する。 【解決手段】 粉砕した厨芥を、水とともに配管移送し
た後、厨芥処理部で厨芥固形物を分解後、好気性微生物
で排水処理して効率的に排水中に溶出した厨芥の汚濁成
分を除去しつつ、かつ厨芥処理、排水処理部で発生する
臭気を、活性炭吸着、オゾン酸化、光触媒酸化、酸化触
媒処理、熱分解、プラズマ分解といった物理処理、微生
物を利用した微生物脱臭、マスキング処理で回避できる
ようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は家庭や、工場などで
発生する厨芥を処理する厨芥処理装置とその運転方法に
関する。

【０００２】

【従来の技術】各家庭で発生する厨芥を台所に設置した
粉砕機で粉砕した後、配管移送し、厨芥処理する方法と
して、特開平０３ー８９９５４号広報、特開平０４ー３
０５２８４号広報や、特開平０６ー５５１５８号広報に
開示される処理方法が知られている。

【０００３】また、粉砕機を用いない方法に特開平０５
ー２０８１８６号広報に開示される方法がある。これら
の発明はすべて、厨芥を衛生的に処理することを主眼と
している。

【０００４】特開平０３ー８９９５４号広報や特開平０
４ー３０５２８４号広報に開示される厨芥処理装置は、
厨芥を粉砕機で粉砕し、後処理部へ移送した後、固液分
離により厨芥固形物を回収後、処理する。固液分離で粉
砕厨芥を回収した時に発生する排水はそのまま環境中に
放流される。

【０００５】特開平０６ー５５１５８号広報に開示され
る処理方法は、集合住宅の各家庭の台所に設置した厨芥
粉砕機で厨芥を粉砕し、水で配管移送させ、１ヶ所でま
とめて厨芥処理するものである。厨芥処理は、厨芥を含
む排水から固液分離で厨芥を回収し、固相発酵で堆肥化
してリサイクルをめざすもので、厨芥固形物の処理のみ
が行われる。

【０００６】特開平０５ー２０８１８６号広報に開示さ
れる処理方法は、厨芥をピストンで圧搾して脱水、体積
減容化して廃棄時の取り扱い性を改善するとともに、圧
搾された排水をオゾンで酸化して、水中に抽出された臭
気成分、汚濁成分を酸化処理するものである。

【０００７】以上述べてきた通り、厨芥を粉砕して配管
移送し、その後体積減容化を図る厨芥処理方法は、厨芥
をその発生源で直接廃棄できることから、台所などの作
業場所の衛生性の向上が図れ、かつ、後処理による体積
減容で、最終的に廃棄される物量を削減して環境負荷を
軽減することができるため、環境調和型の厨芥処理方法
となり得る。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、厨芥は
粉砕すると、厨芥中の有機性成分が溶けだし、水質の汚
濁の指標であるＢＯＤ（生物化学的酸素要求量）値が上
昇する。特開平０３ー８９９５４号、特開平０４ー３０
５２８４号や特開平０６ー５５１５８号広報に開示され
る処理装置では、粉砕厨芥を回収して厨芥固形物の処理
だけがなされ、排水中に溶けだした汚濁成分は未処理で
放流されるため、環境への負荷を増大させるという問題
があった。

【０００９】また、厨芥の処理では厨芥中有機物の分解
による臭気物質が発生し、環境汚染を引き起こし易いと
いった問題点を抱えている。臭気物資として酪酸、プロ
ピオン酸などの有機酸、ホルムアルデヒド、メチルアル
デヒド、エチルアルデヒドなどのアルデヒド類、アンモ
ニア、トリメチルアミンといったアミン類、硫化水素な
どが発生する。

【００１０】さらに、厨芥処理に微生物処理を導入した
場合、厨芥が汚泥に変換され、大量の汚泥が発生してし
まうといった問題点を抱えている。大量の汚泥は、バキ
ュ−ムカ−等で車両搬送の後、メタン発酵、脱水、焼却
などの工程を経て埋め立て処分となるため、汚泥量が多
ければ多いほど、多くの後処理エネルギ−を要すことに
なる。

【００１１】本発明は、臭気による環境汚染を回避しつ
つ、環境負荷の増大を招くこともない、環境共生型の厨
芥処理装置を提供することを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
記課題を解決すべく、本発明に係わる厨芥処理装置で
は、粉砕機にて粉砕した厨芥は、水とともに配管移送し
た後、厨芥処理部で厨芥固形物を分解後、好気性微生物
で排水処理することで、効率的に排水中に溶出した厨芥
の汚濁成分を除去でき、かつ、厨芥処理、排水処理部で
発生する臭気は活性炭吸着、オゾン酸化、光触媒酸化、
酸化触媒処理、熱分解、プラズマ分解といった物理処
理、微生物を利用した微生物脱臭、マスキング処理を行
うことで、臭気による環境汚染を回避できるようにし
た。

【００１３】さらに、厨芥を微生物により分解処理する
場合に発生する処理残滓、汚泥は、処理に関わる生物相
を微生物だけでなく、Ｖｏｒｔｉｃｅｌｌａ，Ｃａｒｃ
ｈｅｓｉｕｍ，Ｅｐｉｓｔｙｔｉｓ，Ｏｘｙｔｒｉｃｈ
ａなどの原生動物、Ｐｈｉｌｏｄｉｎａ，Ａｅｒｏｓｏ
ｍａ，Ｄｅｒｏ，Ｍａｃｒｏｂｉｏｔｕｓなどの後生動
物を含む相とすることで、原生動物、後生動物に汚泥を
捕食せしめ、余剰汚泥発生量を削減して、維持管理が容
易で、処理残滓、汚泥の再処分に要するエネルギ−負
荷、環境負荷を軽減する環境調和型の厨芥処理装置を提
供する。本願の第６から第８発明である。

【００１４】厨芥は沈殿分離、遠心分離、膜、スクリ−
ン、ストレ−ナによる濾過等の固液分離で、濃縮回収
し、熱、送風、微生物処理等による乾燥法により軽量
化、減容化して容易に再処分できる形態とすることでも
後処理が容易で、再処分に要するエネルギ−負荷、環境
負荷を軽減する環境調和型の厨芥処理装置を提供する。
本願の第４発明である。

【００１５】厨芥などの有機性廃棄物が発生する住宅、
食堂、食品工場などにおいて、その発生場所近傍（台
所、調理場、食材、有機物処理ライン等）に設置された
厨芥の粉砕機にて厨芥を粉砕し、水で配管移送すること
で、厨芥の住宅、食品工場内への滞留を防止でき、厨芥
の腐敗に伴う、住環境、作業環境の悪化を防止できる。

【００１６】また、湿潤した廃棄物である厨芥と他の乾
燥した廃棄物が混合することなく、厨芥の発生場所で効
率的に分別できることから、他の廃棄物への厨芥付着に
よる取り扱い性の劣化、それに伴う分別再資源化効率の
低下を未然に防ぐことができ、これからのリサイクル社
会に貢献できる。

【００１７】また、本願発明の装置では、厨芥だけが選
択的に回収できることから、厨芥中の有用成分のリサイ
クルを図ることも可能となる。なお、粉砕機には、厨芥
だけでなく、その発生場所で合わせて生じる排水（台所
排水、調理排水、食材、有機物処理ライン排水等）を併
せて流すことで、これらの高汚濁成分を含む排水も本願
発明の厨芥処理装置で処理することも有効である。

【００１８】後処理工程に送られた厨芥も腐敗によっ
て、あるいは、生物分解、乾燥工程等で臭気を発生さ
せ、環境汚染を起こし易い。そこで、後処理工程には脱
臭のためのガス処理部を併設して環境への影響を起こさ
ない、環境調和型の厨芥処理装置を提供する。脱臭に
は、活性炭吸着、オゾン酸化、光触媒酸化、酸化触媒処
理、熱分解、プラズマ分解といった物理処理、微生物を
利用した微生物脱臭、マスキング処理を利用する。

【００１９】また、厨芥処理部に原生動物、後生動物の
担体となる多孔質樹脂片、高分子ゲルビ−ズなどの流動
担体、接触濾材等を付加し、原生動物、後生動物の生育
環境を整えることにより、あるいは、厨芥処理部からの
処理水出口部に精密濾過膜、限外濾過膜、濾布、微細目
スクリ−ンを設置して、原生動物、後生動物を処理部内
に封じ込めることにより、原生動物、後生動物を含む生
物相を厨芥処理部内に形成し、厨芥を微生物により分解
処理する場合に発生する処理残滓、余剰汚泥量を原生動
物、後生動物に捕食せしめ、余剰汚泥発生量を削減し
て、維持管理が容易で、処理残滓、汚泥の再処分に要す
るエネルギ−負荷、環境負荷を軽減する環境調和型の厨
芥処理装置とする。排水は好気性の生物処理で水中の汚
濁成分の除去を行なって、下水道、浄化槽、環境中へ処
理水を放流しても放流先の環境負荷を上昇させないよう
にする。

【００２０】

【発明の実施の形態】本発明の内容をより理解しやすく
する為、以下に図表を用いて詳説する。

【００２１】

【実施例】表１に粉砕厨芥排水のＢＯＤ，ＳＳ濃度（固
形物濃度）を示す。厨芥を粉砕して下水道などに流す
と、排水の負荷が極めて大きくなることが、台所排水と
比較しても明らかである。

【００２２】

【表１】

【００２３】図１は、本願発明に係わる厨芥処理装置図
である。粉砕機１には移送水を供給できる移送水供給口
を有し、台所調理厨芥を粉砕して水を用いて通常の自然
流下配管２で後処理部まで流す。粉砕厨芥は、圧送ポン
プを介して圧送配管で移送してもよい。移送水供給は、
移送部である配管に定期的に行い、配管洗浄することも
有効である。その場合は、水道水、井戸水などの上水だ
けでなく、中水、排水処理水なども利用可能である。移
送された厨芥排水は、厨芥分解槽４で微生物により可溶
化分解を行う。その後排水処理槽粉砕厨芥と排水に分離
され、排水は接触ばっ気槽５，沈殿分離槽６を経て放流
される。沈殿分離槽５にて排水中の汚濁成分を浄化の
後、沈殿分離槽６を経て放流される。各槽の排気、発生
ガスはまとめて脱臭装置７を介して系外に排出される。

【００２４】排水処理部とＨＲＴと処理水質との関係を
表２に示す。表中に組成を示す標準厨芥を微生物により
ＨＲＴ２日で可溶化の後、上澄みを種々のＨＲＴの担体
流動床で浄化処理した。処理性能はＢＯＤを指標として
評価し、ＨＲＴ２４時間以上で、目標性能が得られるこ
とを見いだした。

【００２５】

【表２】

【００２６】図２には、本願第４発明に係わる厨芥処理
装置図である。粉砕機１には移送水を供給できる移送水
供給口を有し、台所調理厨芥を粉砕して水を用いて通常
の自然流下配管２で後処理部まで流す。移送された厨芥
排水は、一旦調整槽８に貯留の後、固液分離・厨芥乾燥
機９に送り厨芥を乾燥して厨芥乾燥貯留部１０に貯留す
る。貯留部では、袋詰めすることも有効である。その場
合厨芥の水分率を１０％以下とすることで、貯留時の腐
敗を防げる。排水接触ばっ気槽５，沈殿分離槽６を経て
放流される。沈殿分離槽５にて排水中の汚濁成分を浄化
の後、沈殿分離槽６を経て放流される。各槽の排気、発
生ガスはまとめて脱臭装置７を介して系外に排出され
る。

【００２７】以上に説明したごとく、本願発明に係わる
厨芥処理装置では、厨芥発生場所から厨芥を選択的、衛
生的に除去し、後処理部で減容化して貯留することで、
半年から１年に１回の汚泥処分で厨芥処理ができる装置
を提供するものである。また、本願発明の装置は、放流
水も浄化して放流することから、環境負荷の増大を招く
こともない、環境共生型の装置である。

【図面の簡単な説明】

【図１】厨芥排水処理装置図（厨芥生物処理）

【図２】厨芥排水処理装置図（厨芥固液分離、乾燥処
理）

【符号の説明】

１…粉砕機、２…移送部、３…後処理部、４…厨芥処理
部、５…排水処理部、６…排水沈殿分離部、７…ガス処
理部、８…調整槽、９…固液分離・厨芥乾燥機、１０…
厨芥乾燥貯留部

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 厨芥を粉砕する粉砕部と、水を供給する
   水供給部と、粉砕厨芥、水よりなる厨芥排水を移送する
   移送部と、移送された厨芥排水中の厨芥を処理する厨芥
   処理部と、排水を浄化処理する排水処理部とを有する厨
   芥処理装置において、発生する臭気ガスを脱臭処理する
   ためのガス処理部を有することを特徴とする厨芥処理装
   置。
2. 【請求項２】 前記排水処理部は好気性生物処理とし、
   水力学的滞留時間（ＨＲＴ）を２４時間以上とすること
   を特徴とする請求項１に記載の厨芥処理装置の運転方
   法。
3. 【請求項３】 前記厨芥処理部を好気性あるいは嫌気性
   あるいは、好気性と嫌気性を組み合わせた微生物処理と
   することを特徴とする請求項１および２に記載の厨芥処
   理装置の運転方法。
4. 【請求項４】 前記厨芥処理部は固液分離部と厨芥乾燥
   処理部とから成ることを特徴とする請求項１から３に記
   載の厨芥処理装置。
5. 【請求項５】 前記ガス処理部は、吸着、酸化、分解と
   いった物理処理、微生物脱臭、土壌脱臭、マスキングを
   単独で、または組み合わせて利用することを特徴とする
   請求項１から４に記載の厨芥処理装置の運転方法。
6. 【請求項６】 前記厨芥処理部あるいは、排水処理部あ
   るいは両方に原生動物、後生動物を含む生物相を形成せ
   しめることを特徴とする請求項１から５に記載の厨芥処
   理装置の運転方法。
7. 【請求項７】 前記厨芥処理部あるいは、前記排水処理
   部あるいは両方に原生動物、後生動物の固定化担体を付
   加することにより原生動物、後生動物を含む生物相を形
   成せしめることを特徴とする請求項６に記載の厨芥処理
   装置の運転方法。
8. 【請求項８】 前記厨芥処理部、あるいは前記排水処理
   部、あるいは両方に濾過膜、スクリ−ン等の原生動物、
   後生動物の封じ込め機能部を付加せしめることにより原
   生動物、後生動物を含む生物相を形成せしめることを特
   徴とする請求項６に記載の厨芥処理装置の運転方法。