JP2000007907A - ポリカーボネート系樹脂組成物 - Google Patents

ポリカーボネート系樹脂組成物

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JP2000007907A
JP2000007907A JP19374198A JP19374198A JP2000007907A JP 2000007907 A JP2000007907 A JP 2000007907A JP 19374198 A JP19374198 A JP 19374198A JP 19374198 A JP19374198 A JP 19374198A JP 2000007907 A JP2000007907 A JP 2000007907A
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Tatsuya Sugano
龍也 菅野
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 難燃性及び/又は耐候性と、成形加工性、耐
衝撃性及び耐熱性とを兼ね備えたポリカーボネート系樹
脂組成物を得る。 【解決手段】 ポリカーボネート系樹脂組成物は、フェ
ノール性末端基濃度が5モル%以上のポリカーボネート
と、該ポリカーボネート100重量部に対して総計0.
005〜50重量部の難燃剤及び/又は耐候剤を含む。
難燃剤には、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、有機金
属塩系難燃剤、無機系難燃剤が含まれる。耐候剤には、
紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤、消光剤が含まれる。前
記ポリカーボネートの粘度平均分子量は18000〜4
0000程度であり、分子量分布は1.8〜3.5程度
である。このようなポリカーボネートは、芳香族ジヒド
ロキシ化合物と炭酸ジエステルとを、例えば含窒素塩基
性化合物などの塩基性エステル交換触媒の存在下で溶融
重縮合させることにより得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形加工性、熱安
定性、耐衝撃性及び難燃性などに優れたポリカーボネー
ト系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネートは、耐衝撃性などの機
械的特性、耐熱性、透明性などに優れているため、自動
車分野、電気・電子分野、オプティカル分野、精密機械
分野、保安・医療分野、建材分野、シート分野などの広
範な分野で用いられている。一方、近年になって、電気
火災などの火災防止のため、プラスチック材料の難燃化
が要求されるようになり、ポリカーボネートに難燃剤を
配合した難燃性のポリカーボネート樹脂組成物が開発さ
れている。ところが、ポリカーボネートは溶融粘度が高
く、流動性が小さいため、成形加工性に劣るという短所
を有する。そこで、この短所を補うため、難燃剤を配合
したポリカーボネート/ABS等のポリマーアロイが提
案され、OA機器などのハウジング用途等に広く用いら
れるようになった。しかし、ポリカーボネート/ABS
等のポリマーアロイでは、成形加工性は改善されるもの
の、耐衝撃性などの機械的特性及び耐熱性が低下する。
また、光に対する安定性も十分とはいえない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、難燃性及び/又は耐候性と、成形加工性、耐衝
撃性及び耐熱性を兼ね備えたポリカーボネート系樹脂組
成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意検討した結果、フェノール性末端基
濃度を特定範囲に設定したポリカーボネートに難燃剤又
は耐候剤を配合すると、耐衝撃性及び耐熱性を低下させ
ることなく、優れた成形加工性と難燃性又は耐候性が得
られることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本
発明は、フェノール性末端基濃度が5モル%以上のポリ
カーボネートと、該ポリカーボネート100重量部に対
して総計0.005〜50重量部の難燃剤及び/又は耐
候剤とを含むポリカーボネート系樹脂組成物を提供す
る。なお、本明細書において、「ppm」とは重量基準
の値を意味する。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明のポリカーボネート系樹脂
組成物の特徴は、全末端基に対するフェノール性末端基
濃度が5モル%以上(5〜100モル%)のポリカーボ
ネートと、特定量の難燃剤及び/又は耐候剤とを含む点
にある。
【0006】前記フェノール性末端基濃度は、好ましく
は8モル%以上(例えば8〜50モル%程度)、さらに
好ましくは10モル%以上(例えば10〜40モル%程
度)であり、5〜30モル%(特に8〜25モル%)程
度である場合が多い。フェノール性末端基濃度は、13
−NMRやFT−IRなどを用いることにより測定でき
る。ポリカーボネートのフェノール性末端基濃度が5%
未満の場合には、成形加工性が低く、しかも成形品が着
色しやすい。また、このような成形品は熱により劣化し
やすい。これに対し、フェノール性末端基濃度が5%以
上のポリカーボネートを含む樹脂組成物は、溶融時の流
動性が高く、成形加工性に優れるだけでなく、熱安定性
に優れた成形品が得られる。
【0007】本発明の樹脂組成物において、ポリカーボ
ネートは、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル
とを、エステル交換触媒の存在下で溶融重縮合させるこ
とにより製造できる。なお、いわゆるホスゲン法により
得られる一般的なポリカーボネートにおいては、フェノ
ール性末端基濃度は5モル%未満である。
【0008】[芳香族ジヒドロキシ化合物]芳香族ジヒ
ドロキシ化合物には下記式(1)で表される化合物が含
まれる。
【化1】 (式中、Aは、単結合、フェニル基で置換されていても
よく、また炭素原子間にフェニレン基を介していてもよ
い炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン
基、2価の環状炭化水素基、−O−、−S−、−CO
−、−SO−又は−SO2−を示し、X及びYは、ベン
ゼン環上の置換基であり、同一又は異なって、ハロゲン
原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、m及びn
は、同一又は異なって、0〜4の整数を示す) 上記式(1)で表される化合物の代表的な例としては、
4,4′−ジヒドロキシビフェニルなどのジヒドロキシ
ビフェニル類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1
−ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−2−フェニルエタン、2,2−ビ
ス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−
イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−
ヒドロキシ−3−s−ブチルフェニル)プロパン、2,
2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t
−ブチルフェニル)プロパンなどのビス(ヒドロキシア
リール)アルカン類;1,1′−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,1′−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピル
ベンゼンなどのビス(ヒドロキシアリール)ジアルキル
ベンゼン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリール)
シクロアルカン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)エ
ーテルなどのビス(ヒドロキシアリール)エーテル類;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィドなどのビス
(ヒドロキシアリール)スルフィド類;ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)ケトンなどのビス(ヒドロキシアリー
ル)ケトン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホ
キシドなどのビス(ヒドロキシアリール)スルホキシド
類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのビ
ス(ヒドロキシアリール)スルホン類などが挙げられ
る。
【0009】また、芳香族ジヒドロキシ化合物として、
前記式(1)で表される化合物のほか、ジヒドロキシベ
ンゼン、ジヒドロキシナフタレンなどを使用することも
できる。芳香族ジヒドロキシ化合物は、単独で用いても
よく、また、共重合体を得るため2種以上を併用しても
よい。
【0010】[炭酸ジエステル]炭酸ジエステルとして
は、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、
ビス(2−クロロフェニル)カーボネート、ビス(3−
クロロフェニル)カーボネート、ビス(4−クロロフェ
ニル)カーボネート、ビス(2,4,6−トリクロロフ
ェニル)カーボネート、ジ(m−クレジル)カーボネー
ト、ジナフチルカーボネートなどのジアリールカーボネ
ート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、
ジブチルカーボネートなどのジアルキルカーボネート;
ジシクロヘキシルカーボネートなどのジシクロアルキル
カーボネートなどが挙げられる。これらのなかでも、ジ
フェニルカーボネートなどのジアリールカーボネートが
好ましい。
【0011】なお、前記炭酸ジエステルと共に、ジカル
ボン酸又はジカルボン酸エステルを用いることもでき
る。ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタ
レンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸が挙げられ
る。ジカルボン酸エステルとしては、テレフタル酸ジフ
ェニル、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジフェニ
ルなどの前記芳香族カルボン酸のエステル(特に、芳香
族カルボン酸アリールエステル)などが挙げられる。ジ
カルボン酸及びジカルボン酸エステルは、単独で又は2
種以上を混合して用いることができる。ジカルボン酸又
はジカルボン酸エステルの使用量は、前記炭酸ジエステ
ルとジカルボン酸又はジカルボン酸エステルの総量に対
して、例えば0〜50モル%、好ましくは0〜30モル
%程度である。
【0012】ジカルボン酸又はジカルボン酸エステルを
炭酸ジエステルと併用した場合には、ポリエステルポリ
カーボネートが得られる。本発明のポリカーボネートに
は、このようなポリエステルポリカーボネートも含まれ
る。
【0013】成形品の着色を防止するため、反応に用い
る炭酸ジエステルに含まれる特定の不純物の含有量をで
きるだけ小さくするのが好ましい。例えば、炭酸ジエス
テル中の塩化物イオン濃度(加水分解により生成可能な
塩化物イオンを含む)は4ppm以下、ナトリウムイオ
ン濃度は1ppm以下、鉄イオン濃度は1ppm以下、
銅イオン濃度は1ppm以下、スズイオン濃度は5pp
m以下、リン濃度(リン原子として)は20ppm以
下、サリチル酸フェニル、o−フェノキシ安息香酸及び
o−フェノキシ安息香酸フェニルの合計濃度は50pp
m以下、メチルフェニルカーボネート濃度は50ppm
以下である。なお、加水分解により生成可能な塩化物イ
オンとは、例えばフェニルクロロフォーメートなどの含
塩素有機化合物を加水分解した際に生成し得る塩化物イ
オンを意味する。
【0014】上記の不純物は、例えば、(1)炭酸ジエ
ステルを熱水又は弱塩基性水溶液で洗浄したり、(2)
炭酸ジエステルに尿素を加えて加熱溶融処理したり、
(3)炭酸ジエステルに、アルカリ金属又はアルカリ土
類金属の塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリ
ウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウムな
ど)を加えて減圧蒸留することにより除去できる。
【0015】また、炭酸ジエステル中の水分は0.3重
量%以下であるのが好ましい。水分が多いと、ポリカー
ボネートの製造時に炭酸ジエステルが加水分解して、ポ
リマーの重合度が上がりにくくなる。
【0016】ポリカーボネートのフェノール性末端基濃
度の調節は、例えば、前記芳香族ジヒドロキシ化合物と
炭酸ジエステルとのモル比を変化させたり、反応系にお
ける揮発成分の還流条件を変化させることにより行うこ
とができる。例えば、炭酸ジエステルの芳香族ジヒドロ
キシ化合物に対するモル比を低くすればするほど、生成
するポリカーボネートのフェノール性末端基濃度は高く
なる。
【0017】炭酸ジエステルの使用量は、芳香族ジヒド
ロキシ化合物1モルに対して、例えば0.95〜1.2
モル、好ましくは0.97〜1.1モル、さらに好まし
くは0.98〜1.05モル程度の範囲から選択でき
る。
【0018】[エステル交換触媒]芳香族ジヒドロキシ
化合物と炭酸ジエステルとの反応は、エステル交換触媒
の存在下で進行する。
【0019】エステル交換触媒としては、公知のエステ
ル交換触媒の何れを用いることもできる。エステル交換
触媒は単独で又は2種以上混合して使用できる。好まし
いエステル交換触媒には、塩基性触媒が含まれる。塩基
性触媒として、例えば、含窒素塩基性化合物、アルカリ
金属化合物、アルカリ土類金属化合物などが挙げられ
る。塩基性触媒は単独で又は2種以上組み合わせて使用
できる。含窒素塩基性化合物には、電子供与性含窒素複
素環化合物又はその塩、鎖状アミン類又はその塩、アン
モニウムヒドロキシド類等が含まれる。
【0020】電子供与性含窒素複素環化合物の代表的な
例としては、2−アミノピリジン、4−アミノピリジ
ン、2−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジ
ン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、4
−ジメチルアミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジ
ン、4−ピロリジノピリジン、4−(4−メチルピロリ
ジニル)ピリジン、4−(4−メチル−1−ピペリジニ
ル)ピリジンなどのピリジン類;アミノキノリンなどの
キノリン類;イミダゾール、2−ジメチルアミノイミダ
ゾール、2−メトキシイミダゾール、2−メチルイミダ
ゾール、4−メチルイミダゾール、2−メルカプトイミ
ダゾールなどのイミダゾール類;ベンズイミダゾールな
どのベンズイミダゾール類;ジアザビシクロオクタン
(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.
0]−7−ウンデセン(DBU)などの環状アミン類
(特に、橋頭位に窒素原子を有する多環式アミン類)な
どが挙げられる。鎖状アミン類としては、トリメチルア
ミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリンな
どの第3級アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、
N−メチルアニリンなどの第2級アミン;メチルアミ
ン、エチルアミン、ベンジルアミン、アニリンなどの第
1級アミンなどが挙げられる。アンモニウムヒドロキシ
ド類としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシ
ド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げ
られる。電子供与性含窒素複素環化合物及び鎖状アミン
類の塩としては、ギ酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩などの有
機酸塩;炭酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、リン酸
塩、フッ化ホウ素酸塩、水素化ホウ素化物などの無機酸
塩などが例示できる。
【0021】含窒素塩基性化合物のなかでも、特に、電
子供与性含窒素複素環化合物及びその塩から選択された
1種又は2種以上の組み合わせが好ましい。
【0022】アルカリ金属化合物の代表例としては、水
酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水
酸化セシウムなどの水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナト
リウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどの炭酸塩;炭
酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウ
ムなどの炭酸水素塩;ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウ
ム、ホウ酸カリウムなどのホウ酸塩;水素化ホウ素リチ
ウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム
などの水素化ホウ素化物;リン酸水素二リチウム、リン
酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウムなどのリン
酸水素二塩;酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリ
ウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウ
ム、ステアリン酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香
酸ナトリウム、安息香酸カリウムなどの有機酸塩;リチ
ウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエ
トキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、
セシウムメトキシドなどのアルコキシド;ビスフェノー
ルAの二リチウム塩、ビスフェノールAの二ナトリウム
塩、ビスフェノールAの二カリウム塩、フェノールのリ
チウム塩、フェノールのナトリウム塩、フェノールのカ
リウム塩、フェノールのセシウム塩などのフェノール類
との塩などが挙げられる。これらのアルカリ金属化合物
のうち、水酸化リチウム、ホウ酸リチウムなどのリチウ
ム化合物などが好ましい。また、好ましいアルカリ金属
化合物には、ホウ酸アルカリ金属塩及び酢酸アルカリ金
属塩、特にホウ酸アルカリ金属塩が含まれる。
【0023】アルカリ土類金属化合物の代表例として
は、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ス
トロンチウム、水酸化バリウムなどの水酸化物;炭酸マ
グネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭
酸バリウムなどの炭酸塩;ホウ酸マグネシウム、ホウ酸
カルシウム、ホウ酸ストロンチウム、ホウ酸バリウムな
どのホウ酸塩;酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢
酸ストロンチウム、酢酸バリウム、ステアリン酸マグネ
シウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ストロ
ンチウム、ステアリン酸バリウムなどの有機酸塩などが
挙げられる。これらのアルカリ土類金属化合物のなかで
も、ホウ酸マグネシウムなどのホウ酸アルカリ土類金属
塩が好ましい。
【0024】エステル交換触媒としては、上記のほか、
例えば、ホウ酸アンモニウム;ホウ酸銅、ホウ酸マンガ
ンなどのホウ酸遷移金属塩;テトラブチルホスホニウム
ヒドロキシド、テトラフェニルホスホニウムヒドロキシ
ドなどのホスホニウムヒドロキシド類などを使用するこ
ともできる。
【0025】成形品の色相の点から、好ましいエステル
交換触媒には、含窒素塩基性化合物(特に、電子供与性
含窒素複素環化合物又はその塩)、又は前記含窒素塩基
性化合物とアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属
化合物とを組み合わせた触媒が含まれる。
【0026】エステル交換触媒の使用量は、芳香族ジヒ
ドロキシ化合物1モルに対して、例えば、10-9〜10
-1モル、好ましくは10-8〜10-2モル程度である。
【0027】エステル交換触媒として塩基性触媒を用い
る場合には、塩基性触媒の中和剤を併用するのが好まし
い。中和剤を使用することにより、ポリカーボネートを
含む樹脂組成物から得られる成形品の着色や、成形品の
経時的な色相の悪化を顕著に防止できる。
【0028】中和剤としては、酸、酸の酸性塩、エステ
ルなどの酸性物質又はその等価体を使用できる。特に、
中和剤として、弱酸、酸性を示す弱酸の塩又は弱酸の酸
性塩、弱酸のエステルなどの弱酸性物質又はその等価体
が好ましい。前記弱酸として、例えば、ホウ酸、亜リン
酸などの無機酸;酢酸などの有機酸などが挙げられる。
また、前記酸性を示す弱酸の塩又は弱酸の酸性塩として
は、亜リン酸水素アンモニウムなどの亜リン酸水素塩な
どが挙げられる。特に好ましい中和剤には、ホウ酸、亜
リン酸水素塩(特に、亜リン酸水素アンモニウム)など
が含まれる。中和剤は、単独で又は2種以上を組み合わ
せて使用できる。
【0029】中和剤の使用量は、前記エステル交換触媒
1モルに対して、例えば10-5〜103モル、好ましく
は10-3〜102モル程度である。中和剤は、エステル
交換反応工程又は反応後の任意の時点で添加できる。
【0030】また、エステル交換反応(重縮合反応)に
おいて、末端封止剤として、種々のフェノール類、炭酸
ジエステル類などを使用できる。フェノール類として
は、例えば、p−フェニルフェノール、p−クミルフェ
ノール、p−t−ブチルフェノールなどが挙げられる。
また、末端封止剤としての炭酸ジエステルには、2−メ
トキシカルボニル−5−t−ブチルフェニルフェニルカ
ーボネートなどが含まれる。末端封止剤の使用量は、芳
香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、例えば0〜
0.1モル、好ましくは0〜0.07モル程度である。
【0031】[エステル交換反応(重縮合反応)]芳香
族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交
換反応(重縮合反応)は、公知乃至慣用の方法により行
うことができる。
【0032】例えば、副生するヒドロキシ化合物を減圧
下に留去しつつ、反応温度100〜300℃(好ましく
は130〜280℃)の範囲で前記反応成分を反応させ
ることによりポリカーボネートを得ることができる。ポ
リカーボネートの製造工程は、粘度平均分子量4000
〜15000程度のプレポリマーを生成させる前重縮合
工程と、さらに重縮合反応を進行させて、粘度平均分子
量18000〜40000程度の高分子量ポリカーボネ
ートを生成させる後重縮合工程とで構成される場合が多
い。前記各工程は、連続式、回分式、及び半回分式の何
れの方法で行うこともできる。
【0033】反応装置は、反応の進行に伴う反応液の粘
度に応じて、竪型反応器及び横型反応器を適宜組み合わ
せて使用できる。なお、芳香族ジヒドロキシ化合物など
の酸性物質により鉄成分が溶出するのを防止するため、
製造装置、例えば反応器(特に、前重縮合工程に用いる
反応器)の少なくとも接液部を鉄成分(鉄として)20
重量%以下、好ましくは10重量%以下、さらに好まし
くは5重量%以下の材質とするのが好ましい。例えば、
製造装置(特に、反応器)の材質として、ハステロイ、
ニッケル、チタン、ジルコニウム、モリブデン、タンタ
ル、これらの合金、フッ素化樹脂、ポリオレフィン系樹
脂などの樹脂、ガラスなどを用いたり、製造装置の内部
を前記材料でライニングするのが望ましい。特に、ニッ
ケル製(ニッケルライニングを含む)又はハステロイ製
が好ましい。
【0034】上記エステル交換法により得られるポリカ
ーボネートは、一般に、分子量分布が広く、低分子量の
ポリマー(オリゴマーなど)の含有量が多い。そのため
か、溶融時の流動性が高く、成形加工性をより向上でき
る。また、成形温度を低くできることから、成形時の着
色を抑制できる。ポリカーボネートの分子量分布(重量
平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mn)
は、例えば1.8〜3.5、好ましくは2.3〜3.
5、さらに好ましくは2.7〜3.5程度である。な
お、ポリカーボネートの分子量分布は、例えば、重縮合
時の反応温度、反応時間、芳香族ジヒドロキシ化合物と
炭酸ジエステルの供給モル比、反応で副生するヒドロキ
シ化合物(フェノール類)の留出条件(留出時期、留出
速度など)、末端封止剤の使用量などにより調節でき
る。
【0035】[難燃剤、耐候剤]本発明のポリカーボネ
ート系樹脂組成物には、難燃剤及び耐候剤のうち少なく
とも一方が配合されている。
【0036】難燃剤には、慣用の難燃剤、例えば、ハロ
ゲン系難燃剤、リン系難燃剤、有機酸金属塩系難燃剤、
無機系難燃剤などが含まれる。ハロゲン系難燃剤として
は、例えば、テトラブロモビスフェノールA、デカブロ
モジフェニルオキサイド、ヘキサブロモシクロドデカ
ン、オクタブロモジフェニルオキサイド、ビストリブロ
モフェノキシエタン、トリブロモフェノール、エチレン
ビステトラブロモフタルイミド、テトラブロモビスフェ
ノールAポリカーボネートオリゴマー、臭素化ポリスチ
レン、テトラブロモビスフェノールAエポキシオリゴマ
ー・ポリマー、デカブロモジフェニルエタン、ポリジブ
ロモフェニルオキサイド、ヘキサブロモベンゼン、テト
ラデカブロモジフェノキシオキシベンゼン、臭素化エポ
キシオリゴマー、ビス(テトラブロモフタルイミド)エ
タン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、テトラブ
ロモ無水フタル酸、テトラブロモ−p−クレゾールなど
の臭素系難燃剤;塩素化パラフィン、パークロロシクロ
ペンタデカンなどの塩素系難燃剤などが挙げられる。
【0037】リン系難燃剤としては、例えば、レゾルシ
ニルジフェニルホスフェート、ハイドロキノニルジフェ
ニルホスフェート、フェニルノニルフェニルハイドロキ
ノニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、フェ
ニルジノニルフェニルホスフェート、テトラフェニルレ
ゾルシノールジホスフェート、テトラクレジルビスフェ
ノールAジホスフェート、トリス(ノニルフェニル)ホ
スフェートなどのリン酸エステル系難燃剤;ジフェニル
−4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラブロモベン
ジルホスフォネート、ジメチル−4−ヒドロキシ−3,
5−ジブロモベンジルホスフォネート、ジフェニル−4
−ヒドロキシ−3,5−ジブロモベンジルホスフォネー
トなどの含ハロゲンリン酸(又はホスホン酸)エステル
系難燃剤;ポリリン酸塩;赤リンなどが例示される。
【0038】有機金属塩系難燃剤としては、例えば、有
機スルホン酸金属塩、カルボン酸金属塩、芳香族スルホ
ンイミド金属塩などが挙げられる。
【0039】無機系難燃剤としては、例えば、三酸化ア
ンチモン、水酸化アルミニウム、窒素化グアニジン、五
酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、亜
鉛、酸化亜鉛、ジルコニウム化合物などが挙げられる。
【0040】上記難燃剤は単独で又は2種以上組み合わ
せて使用できる。難燃剤の使用量は、ポリカーボネート
100重量部に対して、例えば1〜50重量部、好まし
くは3〜40重量部、さらに好ましくは5〜30重量部
程度である。
【0041】前記耐候剤には、紫外線吸収剤、ラジカル
捕捉剤、消光剤(クエンチャー)などが含まれる。紫外
線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5
−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾト
リアゾール系化合物;2−ヒドロキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒ
ドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2,
2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなど
のベンゾフェノン系化合物;サリチル酸フェニルなどの
サリチル酸エステルなどが挙げられる。
【0042】ラジカル捕捉剤としては、ヒンダードアミ
ン類などが用いられる。また、消光剤としては、例え
ば、フェノール−ニッケル複合体(Niクエンチャー)
などが例示できる。
【0043】上記耐候剤は単独で又は2種以上組み合わ
せて使用できる。耐候剤の使用量は、ポリカーボネート
100重量部に対して、例えば0.005〜10重量
部、好ましくは0.01〜5重量部、さらに好ましくは
0.02〜2重量部程度である。
【0044】難燃剤と耐候剤の総使用量は、ポリカーボ
ネート100重量部に対して0.01〜50重量部(例
えば1〜50重量部)であり、好ましくは0.02〜3
0重量部(例えば5〜30重量部)程度である。難燃剤
と耐候剤の総使用量が、少なすぎると所望の効果が得ら
れず、逆に多すぎると、耐衝撃性、成形加工性などが低
下する。
【0045】[ポリカーボネート系樹脂組成物]本発明
のポリカーボネート系樹脂組成物は、前記ポリカーボネ
ート、難燃剤及び/又は耐候剤、並びに、必要に応じて
他の添加剤とを、慣用の混合機(混練機)、押出機など
を用いて溶融混練することにより得ることができる。
【0046】前記添加剤としては、慣用の添加剤、例え
ば、熱安定剤、加水分解防止剤、帯電防止剤、滑剤、酸
化防止剤、着色剤、充填材(強化剤)、可塑剤、赤外線
吸収剤、抗菌剤などが例示できる。これらの添加剤は、
1種又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0047】熱安定剤には、例えば、リン化合物、ヒン
ダードフェノール化合物、トリアゾール化合物、エポキ
シ化合物、金属塩などが含まれる。
【0048】前記リン化合物として、例えば、トリエチ
ルホスファイト、トリイソプロピルホスファイト、トリ
イソデシルホスファイト、トリドデシルホスファイト、
フェニルジイソデシルホスファイト、ジフェニルイソデ
シルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス
−トリルホスファイト、フェニル−ビス(4−ノニルフ
ェニル)ホスファイト、トリス(4−オクチルフェニ
ル)ホスファイト、トリス[4−(1−フェニルエチ
ル)フェニル]ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t
−ブチルフェニル)ホスファイト、ペンタエリスリトー
ル−ビス[(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェ
ニル)ホスファイト]、ペンタエリスリトール−ビス
[(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト]
などのホスファイト化合物;テトラキス(2,4−ジ−
t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホス
フォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェ
ニル)−4,4′−(2,2−ジフェニルプロパン)ホ
スフォナイトなどのホスフォナイト化合物;フェニルホ
スフォン酸ジメチルなどのフェニルホスフォン酸エステ
ル化合物などが挙げられる。
【0049】ヒンダードフェノール化合物としては、オ
クタデシルプロピオネート−3−(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)、N,N′−ヘキサメ
チレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
−ヒドロシンナミド)、トリエチレングリコール−ビス
[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール
−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリチル−
テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒド
ロキシベンジルホスフォネート−ジエチルエステル、イ
ソシアヌル酸(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニルメチル)、1,1,3−トリス(5−t−ブ
チル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、
1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−
メチルフェニル)ブタンなどが挙げられる。
【0050】熱安定剤は、単独で又は2種以上組み合わ
せて使用できる。熱安定剤の使用量は、例えば、ポリカ
ーボネート100重量部に対して、0〜1重量部、好ま
しくは0.001〜0.5重量部程度である。本発明の
樹脂組成物は、溶融粘度が低いので、成形加工性に優れ
る上、成形温度を低くできるという利点を有する。その
ため、安定剤の量が少なくても、押出成形時における着
色が著しく小さい。上記の添加剤は、エステル交換反応
工程又は反応後の任意の時点で添加することができる。
【0051】本発明のポリカーボネート系樹脂組成物の
好ましい態様では、鉄イオン濃度は5ppm以下、ナト
リウムイオン濃度は1ppm以下、塩化物イオン(加水
分解により生成可能な塩化物イオンを含む)濃度は10
ppm以下である。また、スズイオン濃度は5ppm以
下、銅イオン濃度含量は1ppm以下、クロムイオン濃
度は1ppm以下、ニッケルイオン濃度は1ppm以下
であるのが好ましい。
【0052】このように、鉄などの特定成分の含有量の
少ない樹脂組成物を用いると、成形により得られる成形
品の着色度が著しく軽減される。また、成形品を使用し
ても、熱による劣化が小さい。
【0053】なお、鉄含量の少ない樹脂組成物は、前記
のように、ポリカーボネートの製造に用いる製造装置の
少なくとも接液部を鉄成分(鉄として)20重量%以下
の材質とすることにより得ることができる。また、ナト
リウムイオン、塩化物イオンなどの含有量の少ない樹脂
組成物は、ポリカーボネートの製造に用いる反応原料
(特に炭酸ジエステル)として、前記成分の含有量の少
ないものを使用することにより得ることができる。
【0054】また、本発明のポリカーボネート系樹脂組
成物の他の好ましい態様では、エステル交換触媒である
塩基性物質と、中和剤であるホウ酸及び/又は亜リン酸
水素アンモニウムとを含んでいる。好ましい塩基性物質
には、前記の含窒素塩基性化合物、アルカリ金属化合
物、アルカリ土類金属化合物が含まれる。このような樹
脂組成物からも、熱安定性に優れた成形品を得ることが
できる。
【0055】上記の樹脂組成物において、塩基性物質が
含窒素塩基性化合物である場合には、ホウ酸(ホウ素原
子換算)及び/又は亜リン酸水素アンモニウム(リン原
子換算)の量は、含窒素塩基性化合物の塩基性基1モル
に対して、0.01〜500モル、好ましくは0.01
〜10モル程度である。塩基性物質がアルカリ金属化合
物又はアルカリ土類金属化合物(好ましくは、ホウ酸ア
ルカリ金属塩又はホウ酸アルカリ土類金属塩)である場
合には、ホウ酸(ホウ素原子換算)及び/又は亜リン酸
水素アンモニウム(リン原子換算)の量は、アルカリ金
属化合物又はアルカリ土類金属化合物のアルカリ金属又
はアルカリ土類金属1モルに対して、0.01〜500
モル、好ましくは5〜200モル程度である。また、塩
基性物質が含窒素塩基性化合物とアルカリ金属化合物又
はアルカリ土類金属化合物との組み合わせの場合には、
ホウ酸(ホウ素原子換算)及び/又は亜リン酸水素アン
モニウム(リン原子換算)の量は、アルカリ金属化合物
のアルカリ金属とアルカリ土類金属化合物のアルカリ土
類金属の総計1モルに対して、0.01〜500、好ま
しくは5〜200モル程度である。
【0056】本発明のポリカーボネート系樹脂組成物
を、慣用の成形法、例えば、射出成形、押出成形、ブロ
ー成形、圧縮成形などに付すことにより、各種成形品を
得ることができる。本発明のポリカーボネート系樹脂組
成物は、成形加工性及び熱安定性に優れるだけでなく、
成形加工により、高い耐衝撃性を有し、しかも難燃性及
び/又は耐候性に優れた成形品を得ることができる。そ
のため、特に、電気・電子部品、OA機器などに好適に
使用できる。
【0057】
【発明の効果】本発明のポリカーボネート系樹脂組成物
は、特定構造のポリカーボネートに難燃剤及び/又は耐
候剤が配合されているため、成形加工性、耐衝撃性及び
耐熱性と、難燃性及び/又は耐候性とを兼ね備えてい
る。
【0058】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。なお、各物性値の測定は下記の方法に
よった。 (粘度平均分子量(Mv))20℃における塩化メチレ
ン溶液の固有粘度[η]をウベローデ粘度計を用いて測
定し、次式に基づいて粘度平均分子量(Mv)を求め
た。 [η]=1.11×10-4(Mv)0.82 (分子量分布)ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー(GPC)により、重量平均分子量(Mw)と数平均
分子量(Mn)とを求め、次式により分子量分布を算出
した。 分子量分布=Mw/Mn (フェノール性末端基濃度)13C−NMR(日本電子
製、GX-270、測定モード:ゲーテッド・デカップリン
グ)を用い、114.80ppm及び129.50ppmのピークの積分値
比より算出した。 (不純物濃度)試料を、必要に応じて適当な溶媒に溶解
した後、次の測定法(測定装置)により求めた。 サリチル酸フェニル、o−フェノキシ安息香酸、o−フ
ェノキシ安息香酸フェニル、メチルフェニルカーボネー
ト:ガスクロマトグラフ装置(島津製作所製、GC-14A) 塩化物イオン:イオンクロマトグラフィー(Yokogawa E
lectric works 製、IC100) ナトリウムイオン、鉄イオン、クロムイオン:原子吸光
法(セイコー電子製、SAS-727) 銅イオン、リン:高周波プラズマ発光分析装置(ICP,
島津製作所製、ICPS-1000III) スズイオン:原子吸光法(島津製作所製、AA-670G
型)、グラファイトファーネストアナライザー(島津製
作所製、GFA-4A型) 水分:微量水分測定装置(三菱化成製、CA-05型) (熱劣化性)厚み0.5mm、50mm×50mmのシ
ートをホットプレス急冷法により作製し、160℃の温
度条件下に静置し、10日後、20日後及び30日後に
おける粘度平均分子量を測定し、下記式により切断数を
求めた。 Ct=(Mv0/Mvt)−1 Ct :t日後の切断数 Mv0:試験開始前の粘度平均分子量 Mvt:t日後の粘度平均分子量 (難燃性)5インチ×0.5インチ×0.5インチの試
験片を射出成形法により作製し、UL94に規定されて
いる燃焼性試験法(垂直燃焼性試験94V)に準じて難
燃性を評価した。 (耐候性)3.2mm×13mm×180mmの試験片
を射出成形法により作製し、促進耐候性試験機(キセノ
ンウエザオメータ)を用いて、63℃、300時間の促
進耐候性試験を行った。試験後の試験片の耐衝撃強度
(kgcm/cm)を下記の方法により求め、耐候性の
指標とした。 (耐衝撃性)1/8インチ×1/2インチ×2.5イン
チの試験片を射出成形法により作製し、ASTM D
256に規定されている試験法(アイゾット式衝撃試
験;3.2mmノッチ付)に準じて、耐衝撃強度(kg
cm/cm)を求めた。
【0059】実施例1 ビスフェノールA100重量部、ジフェニルカーボネー
ト102.5重量部、ホウ酸リチウム・2水和物(エス
テル交換触媒)0.00039重量部、ホウ酸(中和
剤)0.0046重量部の溶融混合物を、第1の竪型撹
拌反応装置(ニッケルライニング製)に連続的に供給
し、150mmHgの圧力下、副生するフェノールを留
出させながら、220℃の温度で撹拌混合し(滞留時間
30分)、次いで、反応混合液を第2の竪型撹拌反応装
置(ニッケルライニング製)に連続的に供給し、10m
mHgの圧力下、副生するフェノールを留出させなが
ら、260℃の温度で撹拌混合し(滞留時間120
分)、粘度平均分子量約10000のプレポリマーを得
た。なお、反応に用いたジフェニルカーボネート中の不
純物濃度は、塩化物イオン2ppm、鉄イオン0.5p
pm未満、ナトリウムイオン0.5ppm未満、銅イオ
ン0.05ppm未満、リン化合物(リンとして)15
ppm、スズイオン0.5ppm、クロムイオン0.1
ppm未満、サリチル酸フェニル、o−フェノキシ安息
香酸及びo−フェノキシ安息香酸フェニルの合計30p
pm、メチルフェニルカーボネート8ppm、水分0.
25重量%であった。得られたプレポリマーを、第1の
横型反応装置(ステンレス製)に連続的に供給し、5m
mHgの圧力下、副生するフェノールを留出させなが
ら、270℃の温度で撹拌混合し(滞留時間30分)、
次いで、第2の横型反応装置(ステンレス製)に連続的
に供給し、0.3mmHgの圧力下、副生するフェノー
ルを留出させながら、270℃の温度で撹拌混合し(滞
留時間40分)、無色透明のポリカーボネートを得た。
得られたポリカーボネートの粘度平均分子量は2800
0、フェノール性末端基濃度は17モル%、分子量分布
は2.7であった。また、ポリカーボネート中の不純物
濃度は、塩化物イオン1ppm、鉄イオン0.5ppm
未満、ナトリウムイオン0.5ppm未満、銅イオン
0.05ppm未満、リン化合物(リンとして)7pp
m、スズイオン0.3ppm、クロムイオン0.1pp
m未満であった。上記ポリカーボネート100重量部、
テトラフェニルレゾルシノールホスフェート(難燃剤)
10重量部、及び2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフ
ェニル)ベンゾトリアゾール(耐候剤)0.5重量部
を、スクリュー押出機を用いて混練押出し、ペレット状
のポリカーボネート系樹脂組成物を得た。得られた樹脂
組成物の熱劣化性、難燃性、耐候性及び耐衝撃性を調べ
た。結果を表1に示す。
【0060】実施例2 ホウ酸リチウム・2水和物に代えて、4−(N,N−ジ
メチルアミノ)ピリジン(エステル交換触媒)を0.0
1重量部用いると共に、ホウ酸に代えて、リン酸水素ア
ンモニウム(中和剤)を0.04重量部用いた点以外
は、実施例1と同様の操作を行い、無色透明のポリカー
ボネートを得た。得られたポリカーボネートの粘度平均
分子量は27000、フェノール性末端基濃度は22モ
ル%、分子量分布は2.8であった。また、ポリカーボ
ネート中の不純物濃度は、塩化物イオン1ppm、鉄イ
オン0.5ppm未満、ナトリウムイオン0.5ppm
未満、銅イオン0.05ppm未満、スズイオン0.3
ppm、クロムイオン0.1ppm未満であった。上記
ポリカーボネート100重量部、テトラクレジルビスフ
ェノールAジホスフェート(難燃剤)10重量部、及び
2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾト
リアゾール(耐候剤)0.5重量部を、スクリュー押出
機を用いて混練押出し、ペレット状のポリカーボネート
系樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の熱劣化性、
難燃性、耐候性及び耐衝撃性を調べた。その結果を表1
に示す。
【0061】比較例1 ビスフェノールAをホスゲン法により重縮合させ、フェ
ニル基で末端封止した市販のポリカーボネート(粘度平
均分子量25000;フェノール性末端基濃度1モル
%;分子量分布2.4)100重量部、テトラフェニル
レゾルシノールホスフェート(難燃剤)10重量部、及
び2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾ
トリアゾール(耐候剤)0.5重量部を、スクリュー押
出機を用いて混練押出し、ペレット状のポリカーボネー
ト系樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の熱劣化
性、難燃性、耐候性及び耐衝撃性を調べた。その結果を
表1に示す。
【0062】
【表1】
フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AE042 CG011 CG021 CG031 CG032 CG041 DA056 DE076 DE106 DE126 DE146 DH056 DK006 EB046 EB086 EB136 ED076 EG006 EJ056 EJ066 EL136 ER026 EU026 EU076 EU176 EV256 EW046 EW126 EZ006 FD046 FD056 FD060 FD132 FD136 FD206 GB00 GL00 GM00 GN00 GQ00

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノール性末端基濃度が5モル%以上
    のポリカーボネートと、該ポリカーボネート100重量
    部に対して総計0.005〜50重量部の難燃剤及び/
    又は耐候剤を含むポリカーボネート系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 難燃剤が、ハロゲン系難燃剤、リン系難
    燃剤、有機酸金属塩系難燃剤、無機系難燃剤から選択さ
    れた少なくとも1種である請求項1記載のポリカーボネ
    ート系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 耐候剤が、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉
    剤および消光剤から選択された少なくとも1種である請
    求項1記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 ポリカーボネートの粘度平均分子量が1
    8000〜40000であり、且つ分子量分布が1.8
    〜3.5である請求項1記載のポリカーボネート系樹脂
    組成物。
  5. 【請求項5】 ポリカーボネートが、芳香族ジヒドロキ
    シ化合物と炭酸ジエステルとをエステル交換触媒の存在
    下で溶融重縮合させて得られたポリカーボネートである
    請求項1記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 ポリカーボネートが、水分0.3重量%
    以下、塩化物イオン濃度(加水分解により生成可能な塩
    化物イオンを含む)4ppm以下、ナトリウムイオン濃
    度1ppm以下、鉄イオン濃度1ppm以下、銅イオン
    濃度1ppm以下、スズイオン濃度5ppm以下、リン
    濃度20ppm以下、サリチル酸フェニル、o−フェノ
    キシ安息香酸及びo−フェノキシ安息香酸フェニルの合
    計濃度50ppm以下、メチルフェニルカーボネート濃
    度50ppm以下の炭酸ジエステルを用いて得られたポ
    リカーボネートである請求項5記載のポリカーボネート
    系樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 ポリカーボネートが、エステル交換触媒
    として、含窒素塩基性化合物、アルカリ金属化合物及び
    アルカリ土類金属化合物からなる群から選択された少な
    くとも1種を用いて得られたポリカーボネートである請
    求項5記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 ポリカーボネートが、塩基性のエステル
    交換触媒と、この触媒を中和するための酸性物質の存在
    下でエステル交換反応させて得られたポリカーボネート
    である請求項5記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 酸性物質が、ホウ酸及び亜リン酸水素ア
    ンモニウムから選択された少なくとも1種である請求項
    8記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 ポリカーボネートが、少なくとも接液
    部が鉄分20重量%以下の材質からなる反応器を用いて
    反応して得られたポリカーボネートである請求項5記載
    のポリカーボネート系樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 鉄イオン濃度が5ppm以下である請
    求項1記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
  12. 【請求項12】 ナトリウムイオン濃度が1ppm以下
    であり、且つ塩化物イオン濃度(加水分解により生成可
    能な塩化物イオンを含む)が10ppm以下である請求
    項1記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
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