JP2000007788A - 架橋粒子有機溶剤分散体および該分散体を用いた樹脂組成物 - Google Patents

架橋粒子有機溶剤分散体および該分散体を用いた樹脂組成物

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JP2000007788A
JP2000007788A JP19375098A JP19375098A JP2000007788A JP 2000007788 A JP2000007788 A JP 2000007788A JP 19375098 A JP19375098 A JP 19375098A JP 19375098 A JP19375098 A JP 19375098A JP 2000007788 A JP2000007788 A JP 2000007788A
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Tomikazu Ueno
富和 植野
Takanobu Yamamoto
貴信 山本
Kenji Yasuda
健二 安田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂組成物への添加混合が容易であり分散性
および樹脂改質硬化に優れた架橋粒子を含有する架橋粒
子分散体、および、この分散体を用いた硬化性樹脂組成
物を提供する。 【解決手段】 本発明の分散体は、乾燥状態とした場合
における一次粒子の平均粒径(φn)が30〜500n
mであってTgが0℃以下である架橋粒子(A)が、S
P値7.5以上12.5以下の有機溶剤(B)中に分散
している架橋粒子有機溶剤分散体であって、該分散体中
における上記架橋粒子(A)の平均粒径(φd)は上記
平均粒径(φn)の150%以下である。また、本発明
の硬化性樹脂組成物は、本発明の分散体を用いて製造さ
れ、該組成物中に含まれる架橋粒子(A)の個数のうち
70%以上が一次粒子として分散した硬化物を形成す
る。本発明の樹脂組成物によると、架橋樹脂(A)によ
り強靱性および接着性が改善され、かつ耐熱性にも優れ
た硬化物が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は樹脂の強靱性、各種
材料との接着性などを改良する効果に優れ、樹脂改質用
として好適に用いられる架橋粒子有機溶剤分散体(以
下、「架橋粒子分散体」という。)、および、該分散体
を用いて製造され、この分散体中の架橋粒子により改質
された硬化物を与える硬化性樹脂組成物(以下、単に
「樹脂組成物」ともいう。)に関する。
【0002】
【従来の技術】エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬
化性樹脂は、寸法安定性、機械的強度、電気的絶縁特
性、耐熱性、耐水性、耐薬品性などの多くの点で優れて
おり、接着剤、塗料、電気絶縁材料、半導体封止材など
に好適に用いられている。特に、金属、磁器、コンクリ
ートなど各種材料に対する接着力に優れ、更に、せん断
強度、引張強度などの機械的強度が大きいという特徴を
有している。
【0003】しかしながら、熱硬化性樹脂は可撓性およ
び耐衝撃性が低いという欠点をもつものが多く、このた
め接着剤やコーティング剤などとして用いられる場合に
おいて被塗布面から剥離しやすく、また亀裂などが発生
しやすいという問題を有している。
【0004】これらの問題を解決するために、熱硬化性
樹脂中にゴム状物質を分散含有させることにより熱硬化
性樹脂を変性し、これにより可撓性や耐衝撃性を改良す
ることが行われている。
【0005】従来、熱硬化性樹脂を変性する方法とし
て、以下のような方法が提案されている。 (1)エポキシ樹脂に、これに対する反応性官能基を有
するアクリロ−ニトリル−ブタジエンゴムなどの液状ゴ
ムを混合する方法(例えば、Clayton A.May, Epoxy
Resins, Marcel Dekker Inc.(1988)を参照。) (2)エポキシ樹脂、ゴム成分、有機過酸化物を溶融混
練することにより混練中にゴム成分を動的架橋する方
法。(特開平8−143754号公報を参照。) (3)架橋粒子重合体ラテックスを凝固・乾燥して得ら
れる粉末を、プラネタリーミキサー等の混合機によりエ
ポキシ樹脂に分散させる方法。(特開平6−33001
3号公報を参照。)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
(1)の方法のように液状ゴムを改質剤として用いる場
合には、熱硬化性樹脂との混合は容易だが、エポキシ樹
脂とゴム成分が相溶することから耐熱性の低下が大きい
という問題を有している。また、改質効果発現には硬化
時のゴム成分の相分離による海島構造形成が必要である
が、硬化条件等によりモルフォロジーが変化することか
ら、物性のバラツキを生じるという問題点を有してい
る。また、上記(2)のようにエポキシ樹脂中にゴム成
分を溶融混練しゴム成分を動的架橋する方法では、動的
架橋のコントロールが困難なため、物性のバラツキが生
じやすいという問題がある。そして、上記(3)のよう
に架橋粒子の粉末をエポキシ樹脂中に分散させる方法で
は、架橋粒子の粉末を一次粒子状に均一に分散させるこ
とが困難であり、このため強靱性、接着性等の改質効果
が不十分となりやすい。なお、本明細書において「一次
粒子」とは、互いに凝集することなく独立して存在して
いる粒子をいう。
【0007】本発明の目的は、架橋粒子を含み樹脂組成
物への添加混合が容易な分散体であって、該架橋粒子の
樹脂組成物中および樹脂硬化物中における分散性に優れ
た架橋粒子分散体を提供することにある。本発明の他の
目的は、上記架橋粒子分散体を用いた組成物であって、
この架橋粒子の改質効果により強靱性、接着性などの諸
特性が改善され、かつ耐熱性にも優れた樹脂硬化物を与
える硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、特定範囲の
溶解度パラメータを有する有機溶媒中に、乾燥状態とし
た場合における平均粒径(φn)と該有機溶媒中にて観
測される平均粒径(φd)との比が所定の値以下となる
架橋粒子が分散された架橋粒子分散体は、樹脂への混合
および分散が容易であり、またこの架橋粒子は分散性が
非常に良好であることを見出した。さらに、この架橋粒
子分散体を用いた硬化性樹脂組成物によれば、強靱性、
接着性等の性能が飛躍的に向上し、かつ耐熱性にも優れ
た硬化物が容易に得られることを見出して本発明を完成
するに至った。
【0009】すなわち、請求項1記載の架橋粒子分散体
は、乾燥状態とした場合における一次粒子の平均粒径
(φn)が30〜500nmであってガラス転移温度が
0℃以下である架橋粒子(A)が、溶解度パラメータ
7.5以上12.5以下の有機溶剤(B)中に分散して
いる架橋粒子分散体であって、該分散体中における上記
架橋粒子(A)の平均粒径(φd)は、上記平均粒径
(φn)の150%以下であることを特徴とする。
【0010】また、請求項2記載の硬化性樹脂組成物
は、請求項1記載の架橋粒子有機溶剤分散体を用いて製
造された樹脂組成物であって、該組成物中に含まれる架
橋粒子(A)の個数のうち70%以上が一次粒子として
分散した硬化物を形成することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0012】(1)架橋粒子(A)について 本発明における架橋粒子(A)としては、ガラス転移温
度(以下、「Tg」という。)が0℃以下のものを用い
る。架橋粒子(A)のTgが0℃を超える場合には、こ
の架橋粒子(A)を硬化性樹脂の改質に用いた場合に十
分な改質効果を得ることができない。このTgの下限は
特に限定されないが、通常は−80℃以上である。ま
た、Tgが−80℃〜−0℃、さらに好ましくは−60
〜−10℃の架橋粒子(A)を用いることが好ましい。
【0013】架橋粒子(A)の組成は、架橋粒子(A)
のTgが0℃以下であれば特に限定されるものではな
い。好ましくは、不飽和重合性基を2個以上有する架橋
性モノマー(以下、「架橋性モノマー」という。)およ
び、架橋粒子(A)のTgが0℃以下となるように選択
される1種以上のその他モノマー(以下、「その他モノ
マー」という。)を共重合したものが用いられる。上記
その他モノマーは、重合性基以外の官能基、例えばカル
ボキシル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート
基、水酸基等の官能基を有するモノマーを含むように選
択されることがさらに好ましい。
【0014】上記「架橋性モノマー」の例としては、ジ
ビニルベンゼン、ジアリルフタレート、エチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン
トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ
アクリレートなどの重合性不飽和基を複数有する化合物
をあげることができる。
【0015】上記「その他モノマー」の例としては、ブ
タジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン、クロロプ
レン、1,3−ペンタジエン、(メタ)アクリロニトリ
ル、α−クロロアクリロニトリル、α−クロロメチルア
クリロニトリル、α−メトキシアクリロニトリル、α−
エトキシアクリロニトリル、クロトン酸ニトリル、ケイ
皮酸ニトリル、イタコン酸ジニトリル、マレイン酸ジニ
トリル、フマル酸ジニトリルなどの不飽和ニトリル化合
物類、(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロ
ニトリル、α−クロロメチルアクリロニトリル、α−メ
トキシアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリ
ル、クロトン酸ニトリル、ケイ皮酸ニトリル、イタコン
酸ジニトリル、マレイン酸ジニトリル、フマル酸ジニト
リルなどの不飽和ニトリル化合物類、(メタ)アクリル
アミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミ
ド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、
N,N’−ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミ
ド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N
−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、
N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリ
ルアミド、クロトン酸アミド、ケイ皮酸アミド等の不飽
和アミド類、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アク
リル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)
アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メ
タ)アクリル酸ラウリル、ポリエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)
アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類、ス
チレン、α−メチルスチレン、o−メトキシスチレンな
どの芳香族ビニル化合物、ビスフェノールAのジグリシ
ジルエーテル、グリコールのジグリシジルエーテルなど
と(メタ)アクリル酸、ヒドロキシアルキル(メタ)ア
クリレートなどとの反応によって得られるエポキシ(メ
タ)アクリレートおよび、ヒドロキシアルキル(メタ)
アクリレートとポリイソシアナートとの反応によって得
られるウレタン(メタ)アクリレート類、グリシジル
(メタ)アクリレート、(メタ)アリルグリシジルエー
テルなどのエポキシ基含有不飽和化合物、(メタ)アク
リル酸、イタコン酸、コハク酸β−(メタ)アクリロキ
シエチル、マレイン酸β−(メタ)アクリロキシエチ
ル、フタル酸β−(メタ)アクリロキシエチル、ヘキサ
ヒドロフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルなどの
不飽和酸化合物、ジメチルアミノ(メタ)アクリレー
ト、ジエチルアミノ(メタ)アクリレート等のアミノ基
含有不飽和化合物、(メタ)アクリルアミド、ジメチル
(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有不飽和化合
物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有不飽和
化合物などを例示することができる。
【0016】本発明における架橋粒子(A)を構成する
架橋モノマーは、共重合に用いる全モノマーに占める架
橋性モノマーの比率が1〜20重量%となる範囲で用い
ることが好ましく、より好ましくは1.5〜15重量
%、さらに好ましくは、2〜10重量%の範囲で用いら
れる。
【0017】本発明の分散体に含まれる架橋粒子(A)
は、乾燥状態とした場合における一次粒子の平均粒径
(φn)が30〜500nmであり、好ましくは40〜
200nm、さらに好ましくは50〜150nmであ
る。この平均粒径(φn)が30nm未満では、架橋粒
子同士が凝集しやすく、有機溶剤中に均一に分散させる
ことが困難である。一方、平均粒径(φn)が500n
mを超えると、樹脂の改質効果が低下する。なお、この
「一次粒子の平均粒径」の意味については後に詳述す
る。
【0018】(2)有機溶剤(B)について 本発明における有機溶剤(B)は、溶解度パラメータ
(以下、「SP値」ともいう。)が7.5以上、12.
5以下であり、この条件を満たす限りにおいて、架橋粒
子(A)の分散性およびこの架橋粒子(A)により改質
しようとする樹脂成分(以下、「被改質樹脂」ともい
う。)の溶解性などを考慮して適宜選択することができ
る。有機溶剤(B)のSP値が7.5未満であるかある
いは12.5を超える場合には、架橋粒子の分散性が低
下する、被改質樹脂の溶解性が低下するなどの不具合が
生じる。また、被改質樹脂との混合後などに有機溶剤
(B)の一部または全部を除去する際において脱溶剤が
容易であることから、沸点が60℃以上、200℃以下
の溶剤が有機溶剤(B)として好適に使用される。
【0019】上記のSP値を満たす有機溶剤としては、
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、シクロヘキサノン等のケトン類;エチレングリコー
ルモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチル
エーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、
ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレン
グリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール
モノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチ
ルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、およ
びこれら各エーテルのアセテート;酢酸エチル、酢酸プ
ロピル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、3−メ
チル−3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メト
キシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオ
ネート等のエーテルおよびエステル類;トルエン、キシ
レン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランなど
を例示することができる。
【0020】上記架橋粒子(A)を乾燥状態とした場合
における一次粒子の平均粒径(φn)(以下、「乾燥状
態における平均粒径(φn)」または単に「平均粒径
(φn)」という。)は30〜500nmである。一
方、本発明の架橋粒子分散体において上記有機溶剤
(B)中で観測される架橋粒子の平均粒径(φd)(以
下、「分散体中における平均粒径(φd)」または単に
「平均粒径(φd)」という。)は、上記平均粒径(φ
n)の150%以下である。
【0021】ここで、乾燥状態における「一次粒子の平
均粒径」とは、二個以上の粒子が凝集した凝集粒子が存
在する場合にはその凝集粒子を構成する各粒子毎の粒径
を求めることにより得られた平均粒径という意味であ
る。また、有機溶剤(B)中で「観測される」架橋粒子
の平均粒径とは、上記凝集粒子が存在する場合、上記
「一次粒子の平均粒径」とは異なり、この凝集粒子全体
を一つの粒子とみて粒径を求めることにより得られた平
均粒径という意味である。したがって、分散体中におけ
る平均粒径(φd)は、この分散体中における架橋粒子
の凝集割合が大きくなるに従い増加する。すなわち、乾
燥状態における平均粒径(φn)と分散体中における平
均粒径(φd)との比は、分散体中での架橋粒子の分散
程度と相関があり、この比が小さいほど一次粒子の割合
が大きくなることを示している。なお、この平均粒径
(φd)は、例えば光散乱法による分散粒径測定によっ
て求めることができる。
【0022】また、上記平均粒径の比(φd/φn)
は、分散体中における架橋粒子(A)の膨潤の程度によ
っても異なる。すなわち、有機溶剤(B)中に分散した
架橋粒子(A)は、有機溶剤(B)との親和性および粒
子の架橋密度などによってそれぞれ異なる程度に膨潤す
る。一般に、粒子と溶剤との親和性が高いほど、粒子の
膨潤度は大きくなり(非架橋の粒子であれば溶解し)、
分散性は良好となる傾向にある。この親和性の高さは、
例えば粒子と溶剤とのSP値の差によって判断すること
ができる。しかし、この膨潤度が大きすぎると分散体の
粘度が上昇して作業性が低下したり、粒子が凝集しやす
くなったりするなどの問題が生じやすい。そこで本発明
においては、粒子(A)と有機溶剤(B)とのSP値の
差を小さくする一方で、粒子(A)を適度に架橋させる
ことにより膨潤を抑えることが好ましい。具体的には、
有機溶剤(B)のSP値と架橋粒子(A)のSP値との
差が0〜4.5(より好ましくは0.5〜3.5)とな
る組成の架橋粒子(A)を用いることが好ましい。
【0023】本発明の分散体中における架橋粒子の平均
粒径(φd)は、乾燥状態における架橋粒子(A)の平
均粒径(φn)の150%以下であり、好ましくは12
0%以下、更に好ましくは110%以下である。平均粒
径の比(φd/φn)が150%以下である場合には、
分散体中において架橋粒子(A)の一次粒子の割合が多
く、かつ架橋粒子(A)が過剰に膨潤していることもな
いので、分散性および樹脂の改質効果に優れた架橋粒子
分散体となる。
【0024】また、本発明の分散体における架橋粒子
(A)と有機溶剤(B)との比率は、通常、架橋粒子
(A)が1〜40重量%、溶剤(B)が99〜60重量
%の範囲とすることがこの分散体を用いる上で好適であ
る。架橋粒子(A)の割合が1重量%より少ないと、こ
の分散体の添加量当たりの樹脂改質効果が小さく、樹脂
の改質効果発現のためには大量の架橋粒子分散体が必要
となることから好ましくない。また、架橋粒子(A)の
割合が40重量%より多いと、架橋粒子分散体の流動性
が低下し、このため均一な架橋粒子分散体の製造が困難
となるばかりでなく、分散体の取り扱いも困難になるこ
とから好ましくない。なお、本発明の分散体の好ましい
粘度は1000cps/25℃以下であり、500cp
s/25℃以下であることがより好ましい。
【0025】(3)分散体の製造方法 本発明の架橋粒子分散体は、例えば以下の方法によって
製造される。まず、架橋粒子(A)の製造方法について
詳述する。架橋粒子(A)の製造方法は、特に限定され
るものではないが、例えば、乳化重合法を挙げることが
できる。すなわち、界面活性剤を用いて水中に架橋性モ
ノマーを含むモノマーを乳化し、重合開始剤として過酸
化物触媒、レドックス系触媒などのラジカル重合開始剤
を用い、必要に応じメルカプタン系化合物、ハロゲン化
炭化水素などの分子量調節剤の存在下において、0〜5
0℃で乳化重合を行い、所定の重合添加率に達した後、
N,N−ジエチルヒドロキシルアミンなどの反応停止剤
を添加して重合反応を停止させ、次いで重合系の未反応
モノマーを水蒸気蒸留などで除去することによって架橋
粒子を合成することができる。また、架橋性モノマーを
用いずに架橋粒子を製造する方法として、過酸化物等の
架橋剤をラテックスに添加しラテックス粒子を架橋させ
る方法や、重合転化率を上げることによってラテックス
粒子中のゲル化を行う方法、さらには、カルボキシル基
等の官能基を利用し、金属塩等の架橋剤を添加すること
によって粒子内で架橋させる方法等を例示することがで
きる。
【0026】さらに、乳化重合により得られた架橋粒子
を含むラテックスを、塩析等の方法により凝固させ、水
洗、乾燥することで固体の架橋粒子(A)を得ることが
できる。
【0027】架橋粒子を凝固させる塩析以外の方法とし
て、乳化重合時の界面活性剤としてノニオン系界面活性
剤を用いた場合には、このノニオン系界面活性剤の曇点
以上に加熱して架橋粒子成分を凝固することもできる。
さらに、ノニオン系界面活性剤以外の界面活性剤を用い
て重合した場合にも、重合後にノニオン系界面活性剤を
添加してその曇点以上に加熱することにより、架橋粒子
成分を凝固させることができる。
【0028】架橋粒子(A)を乳化重合で製造する場合
に用いる界面活性剤としては、特に限定されるものでは
ないが、例えば、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ア
ルキルベンゼンスルホン酸塩等のアニオン系界面活性
剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジ
メチルアンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤、ポリ
オキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン
アルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エ
ステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステ
ル、脂肪酸モノグリセリド等のノニオン系界面活性剤お
よび両性の界面活性剤、さらには反応性乳化剤のいずれ
か、または複数の界面活性剤を混合して用いることがで
きる。
【0029】架橋粒子(A)の乾燥状態における平均粒
径(φn)をコントロールする方法としては、特に限定
されるものではないが、乳化重合により架橋粒子を合成
する場合には、使用する乳化剤の量により重合系中に形
成されるミセルの数を制御し、これにより粒径をコント
ロールする方法が例示できる。なお、この平均粒径(φ
n)を測定する方法としては、乳化重合により得られた
ラテックスまたは架橋粒子分散体などから溶媒を除去し
て架橋粒子(A)を乾燥状態とし、これを例えば透過型
電子顕微鏡(TEM)で観察する方法が挙げられる。
【0030】本発明の架橋粒子分散体の製造法として
は、例えば、上記方法などにより得られた固体の架橋粒
子(A)を、ロール等により素練りを行いシート状と
し、必要に応じ細断したのち有機溶剤(B)に投入し攪
拌することによって有機溶剤(B)中に分散させる方法
を挙げることができる。この方法によると、架橋粒子
(A)の工業的生産形態であるブロック状のものに比べ
て比表面積が増加するので、この架橋粒子(A)の有機
溶剤(B)中への分散時間を短縮することが可能であ
る。また、素練りにより架橋粒子同士の界面における分
子鎖の絡み合いが減少するので、架橋粒子(A)が有機
溶剤(B)中で一次粒子状に分散しやすいという利点が
ある。
【0031】(4)硬化性樹脂組成物について 本発明の架橋粒子分散体は、例えば硬化性樹脂の強靱
性、接着性などの諸特性を改善するための改質剤として
好適に用いられる。請求項2は、この分散体を用いた硬
化性樹脂組成物の好ましい例であって、この組成物中に
含まれる架橋粒子(A)の個数のうち70%以上、好ま
しくは85%以上、より好ましくは95%以上が一次粒
子として分散した硬化物を形成することを特徴とする。
一次粒子の割合が70%未満では、架橋粒子の分散性が
不足することから、接着性等の物性に対し十分な改質効
果を得ることは困難である。なお、このとき「組成物中
に含まれる架橋粒子(A)の個数」とは、凝集粒子に含
まれる粒子の数についても個別に数えた個数をいう。
【0032】ここで、樹脂中に分散している架橋粒子の
うち一次粒子の割合は、例えばTEMにより50000
倍で撮影した樹脂硬化物のTEM写真より、一次粒子の
数および凝集している粒子の数(すなわち、凝集粒子に
含まれる粒子の数)を計数することにより、一次粒子割
合=一次粒子数/(一次粒子数+凝集粒子数)×100
(%)として算出することができる。
【0033】本発明の樹脂組成物に好適な被改質樹脂と
しては、強靱性、接着性の点においてエラストマー成分
による改質が望まれるものであれば特に限定されるもの
ではないが、ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂や、
エピクロルヒドリンとフェノールノボラックまたはクレ
ゾールノボラックとの反応によって得られるノボラック
型エポキシ樹脂、さらには、グリシジルエステル型、グ
リシジルアミン型、脂環式エポキシ樹脂およびハロゲン
化エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂類、ノボラック型フ
ェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂等のフェノー
ル樹脂類等を例示することができる。
【0034】本発明の樹脂組成物において、架橋粒子分
散体は、被改質樹脂と架橋粒子(A)との合計重量に対
して架橋粒子(A)の割合が通常0.1〜60重量%の
範囲になるように配合される。架橋粒子(A)の割合が
0.1重量%未満では改質効果が不十分となり、一方6
0重量%超えると機械的強度の低下が大きくなるので好
ましくない。
【0035】上記平均粒径(φd)の定義と同様に、樹
脂組成物中で観測される架橋粒子の平均粒径を平均粒径
(φc)と定義するとき、この平均粒径(φc)は、乾
燥状態における平均粒径(φn)の200%以下である
ことが好ましく、好ましくは95%以上150%以下、
更に好ましくは95%以上120%以下である。平均粒
径の比(φc/φn)が200%以下である場合には、
樹脂組成物中において架橋粒子(A)の一次粒子の割合
が多く、かつ架橋粒子(A)が過剰に膨潤していること
もないので、該組成物中に含まれる架橋粒子(A)の個
数のうち70%以上が一次粒子として分散した硬化物を
容易に得ることができる。
【0036】本発明の架橋粒子分散体を用いて樹脂組成
物を得る方法としては、架橋粒子分散体に被改質樹脂を
直接投入して有機溶媒(B)に被改質樹脂を溶解させる
方法や、予め任意の有機溶剤に溶解した被改質樹脂と架
橋粒子分散体とを混合する方法を例示することができ
る。また、架橋粒子(A)が被改質樹脂の有する官能基
と反応する官能基を有する場合は、必要に応じ加熱等に
よりこれらの官能基を反応させることもできる。
【0037】以上のようにして得られた本発明の樹脂組
成物は、必要に応じて加熱、減圧等の方法で有機溶剤
(B)の一部または全部を除去して用いることもでき
る。
【0038】また、添加剤として、シリカ、クレー、炭
酸カルシウム、マイカ、タルクなどの充填剤、顔料、有
機シラン化合物、有機チタネート化合物などのカップリ
ング剤、キシレン樹脂、タール、ジブチルフタレート
(DBP)、リン酸系エステル、パイン油、ベンジルア
ルコール、トリメット酸エステル、ジアリルフタレート
モノマー、キシレン、トルエンなどの増量剤および老化
防止剤、さらに樹脂に応じた硬化剤などを配合すること
ができる。
【0039】
【実施例】以下、本発明の実施例について述べるが、本
発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下に
おいて「部」は重量部を表す。
【0040】(実施例1)表1のNo.1に示すモノマー
組成で下記の重合処方により10℃にて乳化重合を行
い、重合添加率90%で、モノマー100部に対し0.
2部のヒドロキシルアミン硫酸塩を添加して重合を停止
させた。得られたラテックスから水蒸気蒸留により残留
モノマーを除去した後、固形分100部当たり、老化防
止剤としてアルキル化フェノール1.5部を添加し、塩
化カルシウム水溶液で凝固し、水洗後、熱風乾燥機で9
0℃で2時間乾燥して重合体No.1(架橋粒子
(A))を得た。TEM観察によるこの重合体の平均粒
径(φn)は70nmであった。
【0041】 [重合処方] モノマー 100部 水 220部 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 3部 塩化カリウム 0.04部 エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩 0.09部 ハイドロサルファイト 0.05部 第三級ドデシルメルカプタン 0.2部 硫酸第一鉄 0.016部 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.05部 パラメンタンハイドロパーオキサイド 0.05部
【0042】次いで、重合体No.1を4インチロール
に巻き付け、1分間素練りすることにより2mm厚のシ
ート状に加工し、このシートを1cm角に細断後、メチ
ルエチルケトン中に表2に示す割合で混合した。この混
合物をフラスコ中に密閉し、1000rpmで2時間攪
拌することにより、メチルエチルケトン中に重合体N
o.1が分散された架橋粒子分散体(a)を得た。得ら
れた架橋粒子分散体について、光散乱法による架橋粒子
の分散粒径(平均粒径(φd))および粘度を測定し
た。これらの測定結果および分散体の外観を表2に併せ
て示す。
【0043】(実施例2、3)表2に示す溶剤および重
合体の配合割合とした点以外は実施例1と同様にして、
架橋粒子分散体(b)および(c)を得た。
【0044】(比較例1、2)表2に示すように、SP
値が本発明範囲外であるヘキサン(SP=7.3)およ
びメタノール(SP=14.5)を溶剤に用いた点以外
は実施例1と同様にして、架橋粒子分散体(d)、
(e)を作製しようとしたが、均一な分散体は得られな
かった。
【0045】(実施例4〜6)表1に示すモノマー組成
により、実施例1と同様の重合方法で、表1に示す性状
の重合体No.2〜4を得た。この重合体No.2〜4をそれ
ぞれ用い、表2に示す溶剤および重合体の配合割合とし
た点以外は実施例1と同様にして、架橋粒子分散体
(f)、(g)、(h)を得た。
【0046】(比較例3、4)表1に示すモノマー組成
により、実施例1と同様の重合方法で、表1に示す性状
の重合体No.5およびNo.6を得た。なお、この重合体N
o.5はTgが0℃を超える(56℃)重合体であり、重
合体No.6は架橋していない(線状の)重合体である。
これらの重合体を用い、表2に示す溶剤および重合体の
配合割合とした点以外は実施例1と同様にして、架橋粒
子分散体(i)および、線状ポリマー溶液(j)を得
た。
【0047】
【表1】
【0048】なお、Fedorsの方法(出典:R.
F.Fedors,Polym.Eng.Sci.,1
4,147,(1974))により求めた重合体No.1
のSP値は8.8、No.2は9.3、No.3は10.5、
No.4は10.0、No.5は11.4、No.6は9.6で
ある。
【0049】
【表2】
【0050】(実施例7)実施例1により得られた架橋
粒子分散体(a)を、表3に示す配合で、エポキシ樹脂
(エピコート828:油化シェルエポキシ製)に添加し
た。得られた混合物を10分間攪拌した後、減圧下で6
0℃2時間、次いで120℃で4時間脱溶剤することに
より、エポキシ樹脂中に架橋粒子No.1が粒子状に分
散した変性エポキシを得た。得られた変性エポキシにつ
いて、粘度測定および光散乱法による架橋粒子の分散粒
径測定を行った。また、この変性エポキシにトリエチレ
ンテトラミン10重量部を添加して120℃で1時間加
熱して得られる硬化物のTEM写真より、硬化物中にお
ける一次粒子の個数の割合を測定した。さらに、得られ
た変性エポキシに、表3に示す配合で、硬化剤としての
メチルテトラヒドロ無水フタル酸、および硬化促進剤と
しての三級アミン化合物(エーシーアイジャパンリミテ
ッド製、商品名「アンカミンK54」)を添加し、30
分攪拌することにより樹脂組成物を得た。得られた樹脂
組成物を、90℃2時間+120℃1時間加熱硬化して
樹脂硬化物を得た。この硬化物から所定の試験片を作製
し、下記の方法により破壊靱性値(KIC)および曲げ強
度を測定し、さらに示差熱量測定(DSC)によりTg
を求めた。その結果を表3に併せて示す。
【0051】(実施例8〜12)架橋粒子分散体(a)
に代えて、架橋粒子分散体(b)、(c)、(f)、
(g)、(h)をそれぞれ用いた点以外は実施例7と同
様にして樹脂組成物を得た。この組成物およびその硬化
物を実施例7と同様に評価した。
【0052】(比較例5)架橋粒子分散体(a)に代え
て、Tgが56℃の架橋粒子(A)からなる架橋粒子分
散体(i)を用いたこと以外は実施例7と同様にして樹
脂組成物を得た。この組成物およびその硬化物を実施例
7と同様に評価した。
【0053】(比較例6)架橋粒子分散体(a)に代え
て線状ポリマー溶液(j)を用いたこと以外は実施例7
と同様にして変性エポキシの作製を行ったが、加熱によ
りゲル化したため以後の評価を行うことはできなかっ
た。
【0054】(比較例7)架橋粒子に代えて、液状ゴム
(HycarCTBN1300×13、B.F.グッド
リッチ製)を用い、表3に示す配合で変性エポキシを作
製したのち、実施例7と同様に樹脂組成物を得、評価を
実施した。
【0055】(比較例8)架橋粒子を含まない未変性の
エポキシ樹脂について、実施例1と同様に評価を実施し
た。
【0056】(実施例13〜15)実施例1〜3で得ら
れた変性エポキシに、表4に示す配合で、硬化剤として
のジシアンジアミド、およびフィラーとしての炭酸カル
シウムを添加し、ロールにより混合し樹脂組成物を得
た。得られた樹脂組成物について、下記の方法により接
着性(せん断強度およびT時剥離強度)を評価した。
【0057】(比較例9)架橋粒子分散体(a)に代え
て、架橋粒子分散体(i)を用いた点以外は実施例13
〜15と同様にして樹脂組成物を得、この組成物の接着
性を評価した。
【0058】(比較例10)この比較例10は、架橋粒
子を「架橋粒子分散体」の状態ではなく、乾燥状態で添
加して樹脂組成物を製造した例である。すなわち、重合
体No.1(15重量部)をロールに巻き付け、エポキ
シ樹脂(エピコート828、油化シェルエポキシ製)1
5重量部を、5等分して徐々に添加し、均一になるまで
約2時間混練することにより、変性エポキシを得た。そ
の後、実施例13〜15と同様にして接着性を評価し
た。
【0059】(比較例11)架橋粒子を含まない未変性
のエポキシ樹脂について、実施例13〜15と同様に接
着性を評価した。
【0060】[評価方法] (1)破壊靱性値(KIC) ASTM E399に準じ、CT試験片を用い、引っ張
り速度2mm/minで引っ張り試験を行い、破壊靱性
値を測定した。 (2)曲げ強度 JIS K6911に準じ、変位速度2mm/minで
3点曲げ試験を行い、曲げ強度を測定した。 (3)引張せん断強度 JISK6850の方法に準じ、接着試験を実施した。
被着体として、アセトンで洗浄脱脂したSPCC鋼板
(1.2mmt)を用い、硬化条件170℃30分で試
験片を作製し、測定温度23℃、引張速度5mm/分で
引っ張り試験を行い、せん断強度を測定した。 (4)T型剥離強度 JISK6854の方法に準じ、接着試験を実施した。
被着体として、アセトンで洗浄脱脂したSPCC鋼板
(0.8mmt)を用い、硬化条件170℃30分で試
験片を作製し、測定温度23℃、引張速度100mm/
分で引っ張り試験を行い、剥離強度を測定した。
【0061】
【表3】
【0062】表3から判るように、未変性のエポキシ樹
脂組成物(比較例8)の硬化物に比べて、本発明の架橋
粒子分散体を用いた実施例7〜12の組成物から得られ
た硬化物は、破壊靱性値が大幅に向上しており、しかも
曲げ強度およびTgは未変性のエポキシ樹脂と同程度で
ある。すなわち、実施例の7〜12の組成物によると、
未変性のエポキシ樹脂と同等の強度および耐熱性を維持
しつつ、可撓性が改善された強靱な硬化物を得ることが
できた。一方、本発明範囲よりもTgの高い架橋粒子
(i)を用いた比較例5では破壊靱性値の向上効果が不
十分であった。また、本発明の架橋粒子分散体に代えて
液状ゴムを添加した比較例7では破壊靱性値の向上効果
が低い上に強度および耐熱性も低下した。また、架橋粒
子に代えて線状ポリマー(j)を用いた比較例6では、
樹脂組成物の調製時にゲル化してしまった。
【0063】
【表4】
【0064】表4から判るように、未変性のエポキシ樹
脂組成物(比較例11)の硬化物に比べて、本発明の架
橋粒子分散体を用いた実施例13〜15の組成物から得
られた硬化物は、T字剥離強度が6倍以上と飛躍的に向
上しており、また剪断強度も同等以上となっている。こ
れに対して、本発明範囲よりもTgの高い架橋粒子
(i)を用いた比較例9ではT字剥離強度の向上効果は
不十分であった。そして、架橋粒子を分散体としてでは
なくそのまま添加した比較例10では、一次粒子の割合
が45%と低いことからも判るように粒子の分散性が不
十分であるため、接着力向上効果が少なかった。
【0065】
【発明の効果】本発明の架橋粒子分散体は、特定範囲の
溶解度パラメータを有する有機溶媒(B)中に架橋粒子
(A)が分散されているので、樹脂への混合が容易であ
り、かつ架橋粒子の分散性が非常に良好である。この架
橋粒子(A)は、液状ゴムとは異なり適度に架橋されて
いるので、被改質樹脂に相溶せず海島構造を形成する。
このため、本発明の架橋粒子分散体を硬化性樹脂の改質
剤として用いると、耐熱性や強度などの他の特性値を維
持しつつ樹脂硬化物の強靱性および接着性を向上させる
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安田 健二 東京都中央区築地二丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 Fターム(参考) 4F070 AB10 AB11 AB23 AD04 AE01 AE08 AE28 CA02 CA18 CB04 CB12 DA25 DB06 DB09 DB10 DC07 DC12 DC13

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乾燥状態とした場合における一次粒子の
    平均粒径(φn)が30〜500nmであってガラス転
    移温度が0℃以下である架橋粒子(A)が、溶解度パラ
    メータ7.5以上12.5以下の有機溶剤(B)中に分
    散している架橋粒子有機溶剤分散体であって、 該分散体中における上記架橋粒子(A)の平均粒径(φ
    d)は、上記平均粒径(φn)の150%以下であるこ
    とを特徴とする架橋粒子有機溶剤分散体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の架橋粒子有機溶剤分散体
    を用いて製造された硬化性樹脂組成物であって、該組成
    物中に含まれる架橋粒子(A)の個数のうち70%以上
    が一次粒子として分散した硬化物を形成することを特徴
    とする硬化性樹脂組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007009026A (ja) * 2005-06-29 2007-01-18 Mitsubishi Rayon Co Ltd 樹脂用改質剤ならびにこれを用いた樹脂組成物、成形品
JP2007099803A (ja) * 2005-09-30 2007-04-19 Jsr Corp 樹脂組成物およびその硬化物
KR101128319B1 (ko) 2003-09-18 2012-03-23 카네카 코포레이션 고무상 중합체 입자의 제조방법 및 이것을 함유하는 수지조성물의 제조방법

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JP2007009026A (ja) * 2005-06-29 2007-01-18 Mitsubishi Rayon Co Ltd 樹脂用改質剤ならびにこれを用いた樹脂組成物、成形品
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