WO2024095971A1 - 粘着剤組成物、及び、粘着テープ - Google Patents

Abstract

（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と末端に重合性不飽和二重結合を有するオレフィン系重合体に由来する構成単位とを有するアクリル系共重合体を含有し、下記第１の構成、及び／又は第２の構成を満たす粘着剤組成物である。　第１の構成：テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノール樹脂、及び、キシレン樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の粘着付与樹脂Ｔ１を含有し、Ｔ１の含有量が５質量部以上５０質量部以下であり、Ｔ１とは異なる粘着付与樹脂Ｔ２を含有しない、又は、Ｔ２を含有する場合、前記アクリル系共重合体１００質量部に対して１０質量部以下である。　第２の構成：前記アクリル系共重合体は、極性官能基含有モノマーに由来する構成単位を有し、エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上４以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を有し、その含有量が３０質量％以上９０質量％以下であり、粘着付与樹脂を含有しない、又は、前記アクリル系共重合体１００質量部に対して、前記粘着付与樹脂の含有量が５質量部以下である。

Description

粘着剤組成物、及び、粘着テープ

本発明は、粘着剤組成物に関する。また、本発明は、該粘着剤組成物を含有する粘着剤層を有する粘着テープに関する。

携帯電話、携帯情報端末（Ｐｅｒｓｏｎａｌ　Ｄｉｇｉｔａｌ　Ａｓｓｉｓｔａｎｔｓ、ＰＤＡ）等の携帯電子機器においては、組み立てのために粘着テープが用いられている（例えば、特許文献１、２）。また、光学部材を貼り合わせる用途にも粘着テープが用いられている（例えば、特許文献３）。

特開２００９－２４２５４１号公報 特開２００９－２５８２７４号公報 特開２０１２－２１４５４４号公報

光学部材を固定する用途に用いられる粘着剤組成物や粘着テープには、粘着力と光学透明性との両立が求められており、特に近年、電子機器やデバイスの小型化や薄型化に伴い、粘着剤組成物を塗布する厚みや粘着テープの厚みを薄くすることが求められている。しかし、従来の粘着剤組成物を塗布する厚みや粘着テープの厚みが、薄くなると充分な粘着力を発揮できなかった。

また、従来では、粘着剤組成物や粘着テープは粘着付与樹脂を含有することにより、粘着力を向上させていたが、粘着剤組成物や粘着テープが粘着付与樹脂を含有すると濁りや黄変が発生し、光学透明性が得られない場合があった。

本発明は、塗布した厚みが薄い場合でも、優れた粘着力と優れた光学透明性とを両立することができる粘着剤組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、該粘着剤組成物を含有する粘着剤層を有する粘着テープを提供することを目的とする。

本開示１は、（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と末端に重合性不飽和二重結合を有するオレフィン系重合体に由来する構成単位とを有するアクリル系共重合体を含有し、下記第１の構成、及び、下記第２の構成からなる群より選択される少なくとも一種の構成を満たす粘着剤組成物である。
第１の構成：テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノール樹脂、及び、キシレン樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の粘着付与樹脂Ｔ１を含有し、上記アクリル系共重合体１００質量部に対して、上記粘着付与樹脂Ｔ１の含有量が５質量部以上５０質量部以下であり、テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノール樹脂、及び、キシレン樹脂とは異なる粘着付与樹脂Ｔ２を含有しない、又は、上記粘着付与樹脂Ｔ２を含有し、上記粘着付与樹脂Ｔ２を含有する場合、上記アクリル系共重合体１００質量部に対して、上記粘着付与樹脂Ｔ２の含有量が１０質量部以下である
第２の構成：上記アクリル系共重合体は、極性官能基含有モノマーに由来する構成単位を有し、上記アクリル系共重合体は、（メタ）アクリル酸アルキルエステル中におけるエステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上４以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を有し、上記アクリル系共重合体中、上記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上４以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量が３０質量％以上９０質量％以下であり、粘着付与樹脂を含有しない、又は、粘着付与樹脂を含有し、粘着付与樹脂を含有する場合、上記アクリル系共重合体１００質量部に対して、上記粘着付与樹脂の含有量が５質量部以下である
本開示２は、上記第１の構成において、上記アクリル系共重合体は、極性官能基含有モノマーに由来する構成単位を有する本開示１の粘着剤組成物である。
本開示３は、上記極性官能基含有モノマーに由来する構成単位は、カルボキシ基含有モノマーに由来する構成単位、及び、水酸基含有モノマーに由来する構成単位からなる群より選択される少なくとも一種の構成単位を含む本開示１又は２の粘着剤組成物である。
本開示４は、上記極性官能基含有モノマーに由来する構成単位は、上記カルボキシ基含有モノマーに由来する構成単位を含む本開示３の粘着剤組成物である。
本開示５は、上記第２の構成において、上記アクリル系共重合体中、上記カルボキシ基含有モノマーに由来する構成単位の含有量が１０質量％以下である本開示４の粘着剤組成物である。
本開示６は、上記アクリル系共重合体中、上記カルボキシ基含有モノマーに由来する構成単位の含有量が１質量％以下である本開示４又は５の粘着剤組成物である。
本開示７は、上記極性官能基含有モノマーに由来する構成単位は、上記水酸基含有モノマーに由来する構成単位を含む本開示３、４、５又は６の粘着剤組成物である。
本開示８は、上記第１の構成において、上記粘着付与樹脂Ｔ１は、上記水添テルペンフェノール樹脂を含む本開示１、２、３、４、５、６又は７の粘着剤組成物である。
本開示９は、上記第２の構成において、上記アクリル系共重合体は、エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上２以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を有し、
上記アクリル系共重合体中、上記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上２以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量が１０質量％以上６０質量％以下である本開示１、２、３、４、５、６、７又は８の粘着剤組成物。
本開示１０は、上記第２の構成において、上記アクリル系共重合体は、エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が３以上４以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を有し、
上記アクリル系共重合体中、上記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が３以上４以下の（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量が６０質量％以上である本開示１、２、３、４、５、６、７、８又は９の粘着剤組成物。
本開示１１は、本開示１、２、３、４、５、６、７、８、９又は１０の粘着剤組成物を含有する粘着剤層を有する粘着テープである。
本開示１２は、上記粘着剤層のゲル分率が、１０質量％以上８０質量％以下である本開示１１の粘着テープである。
本開示１３は、上記粘着剤層の厚みが、１５μｍ以下である本開示１１又は１２の粘着テープである。
本開示１４は、貼付後、２３℃で２４時間静置した後における２３℃でのガラスに対する１８０°剥離力が９Ｎ／ｉｎｃｈ以上である本開示１３の粘着テープである。
本開示１５は、２３℃におけるヘイズが、１．０％以下である本開示１１、１２、１３又は１４の粘着テープである。
本開示１６は、基材を有さない本開示１１、１２、１３、１４又は１５の粘着テープである。
以下、本発明を詳述する。
なお、上記第１の構成と上記第２の構成とに共通する事項については、特に指定しないものとして記載する。

本発明者らは、粘着剤組成物の組成を検討し、特定の構造を有するアクリル系共重合体を含有させ、粘着剤組成物に含有させる粘着付与樹脂の含有量及び種類を検討した結果、塗布した厚みが薄い場合でも、優れた粘着力と優れた光学透明性とを両立することができる粘着剤組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。

本発明の粘着剤組成物は、（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と末端に重合性不飽和二重結合を有するオレフィン系重合体に由来する構成単位とを有するアクリル系共重合体を含有する。
なお、本明細書中において、「（メタ）アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味する。
上記アクリル系共重合体は、末端に重合性不飽和二重結合を有するオレフィン重合体に由来する構成単位が相互作用によって凝集し、擬似的な架橋点を形成した構造となっている。上記アクリル系共重合体がこのような構造を取ることで、上記粘着剤組成物は、ひずみが小さいときは架橋された粘着剤組成物のように硬い性質を示し、保持力が向上する。一方、剥離応力がかかってひずみが大きくなったときは、上記擬似的な架橋が切れて、上記アクリル系共重合体の分子が伸びることから、上記粘着剤組成物は、柔軟性が高い性質を示し、粘着力が向上する。つまり、上記粘着剤組成物が上記アクリル系共重合体を含有することで、上記粘着剤組成物の粘着力と保持力とが向上する。

上記（メタ）アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、（メタ）アクリル酸と直鎖状又は分岐鎖状の炭素数が１以上２４以下のアルキル基を有するアルコールとを脱水縮合した（メタ）アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。具体的には、（メタ）アクリル酸メチル、（メタ）アクリル酸エチル、（メタ）アクリル酸ｎ－ブチル、（メタ）アクリル酸ｓ－ブチル、（メタ）アクリル酸ｔ－ブチル、（メタ）アクリル酸イソブチル、（メタ）アクリル酸ｎ－ペンチル、（メタ）アクリル酸イソペンチル、（メタ）アクリル酸ｎ－ヘキシル、（メタ）アクリル酸イソヘキシル、（メタ）アクリル酸ｎ－ヘプチル、（メタ）アクリル酸イソヘプチル、（メタ）アクリル酸２－エチルヘキシル、（メタ）アクリル酸ｎ－オクチル、（メタ）アクリル酸イソオクチル、（メタ）アクリル酸ｎ－ノニル、（メタ）アクリル酸イソノニル、（メタ）アクリル酸ｎ－デシル、（メタ）アクリル酸イソデシル、（メタ）アクリル酸ｎ－ドデシル、（メタ）アクリル酸ｎ－トリデシル、（メタ）アクリル酸ｎ－テトラデシル、（メタ）アクリル酸ペンタデシル、（メタ）アクリル酸ヘキサデシル、（メタ）アクリル酸ヘプタデシル、（メタ）アクリル酸ステアリル、（メタ）アクリル酸イソステアリル等が挙げられる。なお、これらの（メタ）アクリル酸アルキルエステルは単独で用いてもよく、２種以上を併用してもよい。

上記アクリル系共重合体中、上記（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量の好ましい下限は５０質量％であり、好ましい上限は９５質量％である。上記（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量が上記範囲内にあることにより、上記粘着剤組成物の粘着力と保持力とがより向上する。上記（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量のより好ましい下限は６０質量％、更に好ましい下限は７０質量％であり、より好ましい上限は９０質量％、更に好ましい上限は８５質量％である。

上記末端に重合性不飽和二重結合を有するオレフィン重合体は、片末端に重合性不飽和二重結合を有していてもよく、両末端に重合性不飽和二重結合を有していてもよい。なかでも、適度な数の擬似的な架橋が形成されやすい観点から、片末端に重合性不飽和二重結合を有するオレフィン重合体が好ましい。

上記末端に重合性不飽和二重結合を有するオレフィン重合体としては、例えば、片末端又は両末端に重合性不飽和二重結合を有する基を有する、エチレン－ブチレン共重合体、エチレン－プロピレン共重合体、エチレン重合体、プロピレン重合体、ブチレン重合体等が挙げられる。
なお、これらの末端に重合性不飽和二重結合を有するオレフィン重合体は単独で用いてもよく、２種以上を併用してもよい。

上記重合性不飽和二重結合を有する基としては、例えば、（メタ）アクリロイル基、ビニルエーテル基、スチリル基等が挙げられる。なかでも、上記（メタ）アクリル酸アルキルエステルとの共重合性に優れることから、（メタ）アクリロイル基が好ましい。

末端に（メタ）アクリロイル基を有するオレフィン重合体としては、例えば、片末端に（メタ）アクリロイル基を有するエチレンマクロモノマー、片末端に（メタ）アクリロイル基を有するプロピレンマクロモノマー、片末端に（メタ）アクリロイル基を有するエチレン－ブチレンマクロモノマー、片末端に（メタ）アクリロイル基を有するエチレン－プロピレンマクロモノマー等が挙げられる。なかでも、後述するガラス転移温度を適切な範囲内に調節しやすくなり、上記粘着剤組成物の粘着力がより向上する観点から、片末端に（メタ）アクリロイル基を有するエチレン－ブチレンマクロモノマー、片末端に（メタ）アクリロイル基を有するエチレン－プロピレンマクロモノマーが好ましい。
なお、本明細書中において、「マクロモノマー」とは、重合可能な官能基を有する重量平均分子量１０００以上１０万以下程度のモノマーを意味する。

上記アクリル系共重合体中、上記末端に重合性不飽和二重結合を有するオレフィン重合体に由来する構成単位の含有量の好ましい下限は５質量％であり、好ましい上限は３０質量％である。上記末端に重合性不飽和二重結合を有するオレフィン重合体に由来する構成単位の含有量が５質量％以上であることにより、上記アクリル系共重合体は適度な数の擬似的な架橋が形成され、上記粘着剤組成物の粘着力と保持力とがより向上する。上記末端に重合性不飽和二重結合を有するオレフィン重合体に由来する構成単位の含有量が３０質量％以下であることにより、上記粘着剤組成物の凝集破壊をより抑えることができる。上記末端に重合性不飽和二重結合を有するオレフィン重合体に由来する構成単位の含有量のより好ましい下限は８質量％、更に好ましい下限は１０質量％であり、より好ましい上限は２７質量％、更に好ましい上限は２５質量％である。

本発明の粘着剤組成物は、下記第１の構成、及び、下記第２の構成からなる群より選択される少なくとも一種の構成を満たす。
第１の構成：テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノール樹脂、及び、キシレン樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の粘着付与樹脂Ｔ１を含有し、上記アクリル系共重合体１００質量部に対して、上記粘着付与樹脂Ｔ１の含有量が５質量部以上５０質量部以下であり、テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノール樹脂、及び、キシレン樹脂とは異なる粘着付与樹脂Ｔ２を含有しない、又は、上記粘着付与樹脂Ｔ２を含有し、上記粘着付与樹脂Ｔ２を含有する場合、上記アクリル系共重合体１００質量部に対して、上記粘着付与樹脂Ｔ２の含有量が１０質量部以下である
第２の構成：上記アクリル系共重合体は、極性官能基含有モノマーに由来する構成単位を有し、上記アクリル系共重合体は、エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上４以下である構成単位を有し、上記アクリル系共重合体中、上記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上４以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量が３０質量％以上９０質量％以下であり、粘着付与樹脂を含有しない、又は、粘着付与樹脂を含有し、粘着付与樹脂を含有する場合、上記アクリル系共重合体１００質量部に対して、上記粘着付与樹脂の含有量が５質量部以下である
本発明の粘着剤組成物が下記第１の構成、及び、下記第２の構成からなる群より選択される少なくとも一種の構成を満たすことにより、厚みが薄い場合でも、優れた粘着力と優れた光学透明性とを両立することができるようになる。

上記第１の構成において、上記アクリル系共重合体は、エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上８以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を有することが好ましい。エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上４以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を有する場合は、上記アクリル系共重合体の極性がより大きくなり、被着体との相互作用がより高まることで、上記粘着剤組成物の粘着力がより向上する。また、エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が４以上８以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を有する場合は、後述するガラス転移温度が適切な範囲内に調節しやすくなり、上記粘着剤組成物の粘着力がより向上する。
なお、上記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上８以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位は単独で用いてもよく、２種以上を併用してもよい。

上記第２の構成において、上記アクリル系共重合体は、エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上４以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を有する。上記アクリル系共重合体が、上記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上４以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を有することにより、上記アクリル系共重合体の極性が大きくなり、被着体との相互作用が高まることで、上記粘着剤組成物の粘着力が向上する。

上記第２の構成において、上記アクリル系共重合体中、上記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上４以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量の下限が３０質量％であり、上限が９０質量％である。上記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上４以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量が３０質量％以上であることにより、上記アクリル系共重合体の極性が大きくなり、被着体との相互作用が高まることで、上記粘着剤組成物の粘着力が向上する。上記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上４以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量が９０質量％以下であることにより、上記アクリル系共重合体中の末端に重合性不飽和二重結合を有するオレフィン重合体に由来する構成単位が高凝集力となる擬似的な架橋点を形成することができる。その結果、上記粘着剤組成物の粘着力と保持力とが向上する。上記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上４以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量の好ましい下限は４０質量％、より好ましい下限は５０質量％であり、好ましい上限は８５質量％、より好ましい上限は８０質量％である。

上記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上４以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、（メタ）アクリル酸と直鎖状又は分岐鎖状の炭素数１以上４以下のアルキル基を有するアルコールとを脱水縮合した（メタ）アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。具体的には、（メタ）アクリル酸メチル、（メタ）アクリル酸エチル、（メタ）アクリル酸ｎ－ブチル、（メタ）アクリル酸ｓ－ブチル、（メタ）アクリル酸ｔ－ブチル、（メタ）アクリル酸イソブチル等が挙げられる。

上記第２の構成において、上記粘着剤組成物の粘着力の観点からは、上記アクリル共重合体は、エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上２以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を有することが好ましい。上記アクリル系共重合体中、上記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上２以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量の好ましい下限は１０質量％であり、好ましい上限は６０質量％である。上記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上２以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量が１０質量％以上であることにより、上記アクリル系共重合体の極性がより大きくなり、被着体との相互作用がより高まることで、上記粘着剤組成物の粘着力がより向上する。上記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上２以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量が６０質量％以下であることにより、上記アクリル系共重合体の後述するガラス転移温度を適切な範囲内に調節しやすくなり、上記粘着剤組成物の粘着力がより向上する。上記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上２以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量のより好ましい下限は１５質量％、更に好ましい下限は３０質量％である。

上記第２の構成において、上記粘着剤組成物の光学透明性の観点からは、上記アクリル共重合体は、エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が３以上４以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を有することが好ましい。上記アクリル系共重合体中、上記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が３以上４以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量の好ましい下限は６０質量％である。上記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が３以上４以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量が６０質量％以上であることにより、末端に重合性不飽和二重結合を有するオレフィン重合体に由来する構成単位が凝集して形成した擬似的な架橋点がより小さくなり、上記粘着剤組成物の光学透明性がより向上する。上記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が３以上４以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量のより好ましい下限は７０質量％、更に好ましい下限は７５質量％である。
また、上記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が３以上４以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量の好ましい上限は９０質量％である。上記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が３以上４以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量が９０質量％以下であることにより、粘着力がより向上する。上記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が３以上４以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量のより好ましい上限８５質量％、更に好ましい上限は８０質量％である。

上記第２の構成において、上記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上４以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位は単独で用いてもよく、２種以上を併用してもよい。なかでも、上記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が３以上４以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と、上記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上２以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位とを併用することが好ましい。上記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基が３以上４以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を用いることにより、上記アクリル系共重合体の後述するガラス転移温度を後述する範囲内に調節しやすくなり、上記粘着剤組成物の粘着力がより向上する。また、上記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上２以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を用いることにより、上記アクリル系共重合体の極性がより大きくなり、被着体との相互作用がより高まることで、上記粘着剤組成物の粘着力がより向上する。つまり、上記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が３以上４以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と、上記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上２以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位とを併用することにより、上記粘着剤組成物の粘着力がより向上する。

上記第２の構成において、上記アクリル系共重合体は、極性官能基含有モノマーに由来する構成単位を有する。上記アクリル系共重合体が上記極性官能基含有モノマーに由来する構成単位を有することにより、被着体との相互作用が高まるため、上記粘着剤組成物の粘着力と保持力とが向上する。また、上記粘着剤組成物が後述する架橋剤を含有する場合には、上記アクリル系共重合体が架橋剤を介して架橋されることにより、粘着剤組成物の粘着力と保持力とが向上する。このときの架橋度を調整することにより、後述する粘着剤層のゲル分率を適切な範囲に調整することができる。
また、上記第１の構成において、上記アクリル系共重合体は、極性官能基含有モノマーに由来する構成単位を有することが好ましい。上記アクリル系共重合体が上記極性官能基含有モノマーに由来する構成単位を有することにより、被着体との相互作用がより高まるため、上記粘着剤組成物の粘着力と保持力とがより向上する。また、上記粘着剤組成物が後述する架橋剤を含有する場合には、上記アクリル系共重合体が架橋剤を介して架橋されることにより、粘着剤組成物の粘着力と保持力とがより向上する。このときの架橋度を調整することにより、後述する粘着剤層のゲル分率を適切な範囲に調整することができる。

上記極性官能基含有モノマーとしては、例えば、カルボキシ基含有モノマー、水酸基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー等が挙げられる。なかでも、上記粘着剤組成物の粘着力と保持力とが更に向上する観点から、上記極性官能基含有モノマーはカルボキシ基含有モノマー、及び、水酸基含有モノマーからなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。即ち、上記極性官能基含有モノマーに由来する構成単位は、カルボキシ基含有モノマーに由来する構成単位、及び、水酸基含有モノマーに由来する構成単位からなる群より選択される少なくとも一種の構成単位を含むことが好ましい。
なお、これらの極性官能基含有モノマーは単独で用いてもよく、２種以上を併用してもよい。

上記アクリル系共重合体が上記カルボキシ基含有モノマーに由来する構成単位を有することにより、被着体との相互作用がより高まるため、上記粘着剤組成物の粘着力と保持力とがより向上する。
上記カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、（メタ）アクリル酸、（メタ）アクリロイル酢酸、（メタ）アクリロイルプロピオン酸、（メタ）アクリロイル酪酸、（メタ）アクリロイルペンタン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸等が挙げられる。

上記第１の構成において、上記アクリル系共重合体中、上記カルボキシ基含有モノマーに由来する構成単位の含有量の好ましい上限は１質量％である。上記カルボキシ基含有モノマーに由来する構成単位の含有量が１質量％以下であることにより、上記粘着剤組成物の金属腐食性がより低下する。上記カルボキシ基含有モノマーに由来する構成単位の含有量のより好ましい上限は０．５質量％である。
なお、金属腐食性の観点からは、上記アクリル系共重合体は上記カルボキシ基含有モノマーに由来する構成単位を有さないことが好ましい。

上記第２の構成において、上記アクリル系共重合体中、上記カルボキシ基含有モノマーに由来する構成単位の含有量の好ましい上限は１０質量％である。上記カルボキシ基含有モノマーに由来する構成単位の含有量が１０質量％以下であることにより、上記粘着剤組成物の金属腐食性がより低下する。上記カルボキシ基含有モノマーに由来する構成単位の含有量のより好ましい上限は１質量％である。
なお、金属腐食性の観点からは、上記アクリル系共重合体は上記カルボキシ基含有モノマーに由来する構成単位を有さないことが好ましい。

上記アクリル系共重合体が上記水酸基含有モノマーに由来する構成単位を有することにより、上記アクリル系共重合体と被着体分子との架橋剤を介する架橋がより起こりやすくなり、上記粘着剤組成物の粘着力と保持力とがより向上する。
上記水酸基含有モノマーとしては、例えば、（メタ）アクリル酸４－ヒドロキシブチル、（メタ）アクリル酸２－ヒドロキシエチル等が挙げられる。

上記アクリル系共重合体中、上記水酸基含有モノマーに由来する構成単位の含有量の好ましい下限は０．０１質量％であり、好ましい上限は２質量％である。上記水酸基含有モノマーに由来する構成単位の含有量が０．０１質量％以上であることにより、上記アクリル系共重合体の架橋剤を介する架橋がより起こりやすくなり、上記粘着剤組成物の粘着力と保持力とがより向上する。上記水酸基含有モノマーに由来する構成単位の含有量が２質量％以下であることにより、上記アクリル系共重合体が硬くなりすぎず、上記粘着剤組成物の粘着力がより向上する。上記水酸基含有モノマーに由来する構成単位の含有量のより好ましい下限は０．０５質量％であり、より好ましい上限は１質量％である。

上記アミド基含有モノマーとしては、例えば、Ｎ－ビニル－２－ピロリドン、（メタ）アクリルアミド、Ｎ，Ｎ－ジメチル（メタ）アクリルアミド、Ｎ－イソプロピル（メタ）アクリルアミド等が挙げられる。

上記アミノ基含有モノマーとしては、例えば、（メタ）アクリロイルモルフォリン、（メタ）アクリル酸２－ジメチルアミノエチル、（メタ）アクリル酸２－ジエチルアミノエチル等が挙げられる。

上記アクリル系共重合体中、上記極性官能基含有モノマーに由来する構成単位の合計含有量の好ましい下限は０．１質量％であり、好ましい上限は１０質量％である。上記極性官能基含有モノマーに由来する構成単位の合計含有量が０．１質量％以上であることにより、上記アクリル系共重合体と被着体との相互作用がより高まるため、上記粘着剤組成物の粘着力と保持力とがより向上する。また、上記粘着剤組成物が後述する架橋剤を含有する場合には、上記アクリル系共重合体の架橋剤を介する架橋がより起こりやすくなり、上記粘着剤組成物の粘着力と保持力とがより向上する。上記極性官能基含有モノマーに由来する構成単位の合計含有量が１０質量％以下であることにより、上記アクリル系共重合体が硬くなりすぎず、上記粘着剤組成物の粘着力がより向上する。上記極性官能基含有モノマーに由来する構成単位の合計含有量のより好ましい下限は１質量％、更に好ましい下限は３質量％であり、より好ましい上限は８質量％、更に好ましい上限は６質量％である。

上記アクリル系共重合体のガラス転移温度（Ｔｇ）は－１００℃以上２００℃以下の範囲内であることが好ましく、より好ましい上限は－２０℃である。上記アクリル系共重合体のガラス転移温度が－２０℃以下であることにより、上記アクリル系共重合体の分子がより伸びやすくなるため、上記粘着剤組成物の粘着力がより向上する。上記アクリル系共重合体のガラス転移温度の更に好ましい上限は－３０℃、特に好ましい上限は－３５℃である。また、上記粘着剤組成物が上記アクリル系共重合体を複数含有する場合には、上記粘着剤組成物に含有されるすべての上記アクリル系共重合体のガラス転移温度が－２０℃以下であることが好ましい。
なお、上記アクリル系共重合体のガラス転移温度は、示差走査熱量測定により測定することできる。より具体的には、窒素雰囲気下（窒素フロー、流量５０ｍＬ／ｍｉｎ）、示差走査熱量計（セイコーインスツルメンツ社製、「２２０Ｃ」等）を用いて、ＪＩＳ　Ｋ６２４０：２０１１に準拠した方法で、測定温度－１００℃～２００℃、昇温速度１０℃／ｍｉｎの条件下で測定を行うこと等により、上記アクリル系共重合体のガラス転移温度を測定することができる。

上記アクリル系共重合体のガラス転移温度は、上記アクリル系共重合体の材料となるモノマーの種類や量によって調節することができる。

上記アクリル系共重合体の重量平均分子量（Ｍｗ）の好ましい下限は５０万であり、好ましい上限は２００万である。上記アクリル系共重合体の重量平均分子量が５０万以上であることにより、上記粘着剤組成物のバルクの凝集力が大きくなり、上記粘着剤組成物の粘着力と耐熱性とがより向上する。上記アクリル系共重合体の重量平均分子量が２００万以下であることにより、上記粘着剤組成物が硬くなりすぎず、粘着力がより向上する。上記アクリル系共重合体の重量平均分子量のより好ましい下限は６５万であり、より好ましい上限は１５０万である。

上記アクリル系共重合体の多分散度の好ましい下限は１．０であり、好ましい上限は６．０である。上記アクリル系共重合体の多分散度が上記範囲内にあることにより、上記粘着剤組成物の粘着力と保持力とがより向上する。上記アクリル系共重合体の多分散度のより好ましい下限は１．５であり、より好ましい上限は４．５である。
なお、上記多分散度は、重量平均分子量（Ｍｗ）と数平均分子量（Ｍｎ）との比（Ｍｗ／Ｍｎ）を意味する。

本明細書中において、上記重量平均分子量、上記数平均分子量、及び、上記多分散度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー（ＧＰＣ）を用いて、測定したポリスチレン換算の分子量分布から求めることができる。具体的には、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー（Ｗａｔｅｒｓ社製、「２６９０　Ｓｅｐａｒａｔｉｏｎｓ　Ｍｏｄｕｌｅ」等）を用いて、以下の条件で測定すること等により、求めることができる。
　溶媒：テトラヒドロフラン
　サンプル流量：１ｍＬ／ｍｉｎ
　検出器：示差屈折系ＲＩ
　カラム：ＧＰＣ　ＫＦ－８０６Ｌ（昭和電工社製）
　カラム温度（測定温度）：４０℃
　注入量：２０μＬ

上記粘着剤組成物中、上記アクリル系共重合体の含有量は特に限定されないが、上記粘着剤組成物中で５０質量％より大きいこと（すなわち、粘着剤組成物中の主成分であること）が好ましい。上記アクリル系共重合体の含有量が５０質量％より大きいことにより、上記粘着剤組成物がより透明なものとなり、上記粘着剤組成物の光学透明性がより向上する。

上記第１の構成において、本発明の粘着剤組成物は、粘着付与樹脂Ｔ１を含有する。
上記粘着付与樹脂Ｔ１は、テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノール樹脂、及び、キシレン樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の粘着付与樹脂である。
上記粘着付与樹脂Ｔ１は比較的極性が高く、上記アクリル系共重合体との相溶性が良いため、上記アクリル系共重合体の内部に取り込まれやすい。その結果、極性の低い上記末端に重合性不飽和二重結合を有するオレフィン重合体に由来する構成単位の相互作用による擬似的な架橋点の形成を、粘着付与樹脂が阻害することを抑えることができるため、上記アクリル系共重合体の優れた粘着力を維持したまま、上記粘着剤組成物の粘着力を向上することができる。また、上述の通り、上記粘着付与樹脂Ｔ１は上記アクリル系共重合体の内部に取り込まれやすいため、上記粘着剤組成物は濁りを抑えることができ、光学透明性に優れるものとなる。更に、上記粘着付与樹脂Ｔ１は、分子構造に重合性不飽和二重結合を有さず、酸化されにくい性質を有するため、上記粘着剤組成物は黄変を抑えることができ、長時間使用しても光学透明性が失われにくいものとなる。
なお、上記粘着付与樹脂Ｔ１は単独で用いてもよく、２種以上を併用してもよい。

上記粘着付与樹脂Ｔ１は、上記テルペンフェノール樹脂、及び、上記水添テルペンフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。上記粘着付与樹脂Ｔ１が上記テルペンフェノール樹脂、及び、上記水添テルペンフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を含むことにより、上記粘着付与樹脂Ｔ１が水酸基を有し、被着体との相互作用がより高まることで、上記粘着剤組成物の粘着力がより向上する。
なかでも、樹脂の色が淡く光学透明性に優れる観点から、上記水添テルペンフェノール樹脂がより好ましい。

上記テルペンフェノール樹脂は、フェノール化合物の存在下においてテルペン化合物を重合させて得られた樹脂である。
上記フェノール化合物としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、プロピルフェノール、ノリルフェノール、メトキシフェノール、ブロモフェノール、ビスフェノールＡ、ビスフェノールＦ、ビスフェノールＳ、ジヒドロキシナフタレン、レゾルシノール、ピロカテコール、ハイドロキノン、ピロガロール、１，２，４－トリヒドロキシベンゼン、フロログルシノール等が挙げられる。
上記テルペン化合物としては、例えば、α－ピネン、β－ピネン、リモネン、ジペンテン、δ－３－カレン、ジメチルオクタトリエン、アロオシメン、ミルセン、オシメン、リナロール、コスメン等が挙げられる。
また、上記テルペンフェノール樹脂内に、更に他の化合物が重合されていてもよい。
なお、上記フェノール化合物、上記テルペン化合物、及び、上記他の化合物はそれぞれ単独で用いてもよく、２種以上を併用してもよい。

上記テルペンフェノール樹脂は市販品を用いてもよく、市販品としては、例えば、ＹＳポリスターＧ１５０（ヤスハラケミカル社製）等が挙げられる。

上記水添テルペンフェノール樹脂は、上記テルペンフェノール樹脂中の不飽和結合が水素添加により飽和結合へと還元された樹脂である。例えば、上記テルペンフェノール樹脂中のベンゼン環は水素添加により、シクロヘキサン環へと変換される。
上記テルペンフェノール樹脂の水素添加の方法としては、例えば、以下に示す方法等が挙げられる。
即ち、上記テルペンフェノール樹脂を重合体濃度５質量％になるように精製乾燥したシクロヘキサンに溶解した後、撹拌下で水素ガス供給圧０．７ＭＰａ－Ｇａｕｇｅ、反応温度８０℃で水素添加反応を開始し、水素の吸収が終了した時点で、反応溶液を常温、常圧に戻し、反応器から抜き出すことで、上記水添テルペンフェノール樹脂を得る方法等が挙げられる。

上記水添テルペンフェノール樹脂は市販品を用いてもよく、市販品としては、例えば、ＹＳポリスターＵＨ１１５（ヤスハラケミカル社製）等が挙げられる。

上記キシレン樹脂は、酸触媒下でｍ－キシレンとホルムアルデヒドとを反応して重合させることにより得られた樹脂である。
また、上記キシレン樹脂内に、更に他の化合物が重合されていてもよく、なかでも、フェノール化合物を重合されていることが好ましい。上記キシレン樹脂内に、フェノール化合物が重合されていることにより、上記粘着付与樹脂Ｔ１の極性がより大きくなり、上記アクリル系共重合体との相溶性がより良くなるため、上記粘着剤組成物の粘着力がより向上する。
上記キシレン樹脂内に重合されるフェノール化合物としては、上記テルペンフェノール樹脂内に重合されるフェノール化合物と同様のものを用いることができる。
なお、上記他の化合物は、単独で用いてもよく、２種以上を併用してもよい。

上記キシレン樹脂は市販品を用いてもよく、市販品としては、例えば、ＧＨＰ－１５０（フドー社製）等が挙げられる。

上記アクリル系共重合体１００質量部に対して、上記粘着付与樹脂Ｔ１の含有量の下限は５質量部であり、上限は５０質量部である。上記粘着付与樹脂Ｔ１の含有量が５質量部以上であることにより、上記粘着剤組成物は粘着力が向上する。上記粘着付与樹脂Ｔ１の含有量が５０質量部以下であることにより、上記粘着剤組成物が硬くなりすぎず、上記粘着剤組成物の粘着力が向上する。上記粘着付与樹脂Ｔ１の含有量の好ましい下限は１０質量部、より好ましい下限は１５質量部であり、好ましい上限は４５質量部、より好ましい上限は４０質量部である。

上記第１の構成において、本発明の粘着剤組成物は、テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノール樹脂、及び、キシレン樹脂とは異なる粘着付与樹脂Ｔ２を含有しない、又は、上記粘着付与樹脂Ｔ２を含有し、上記粘着付与樹脂Ｔ２を含有する場合、上記アクリル系共重合体１００質量部に対して、上記粘着付与樹脂Ｔ２の含有量の上限が１０質量部である。本発明の粘着剤組成物が上記粘着付与樹脂Ｔ２を含有しない、又は、上記粘着付与樹脂Ｔ２を含有し、上記粘着付与樹脂Ｔ２を含有する場合、上記粘着付与樹脂Ｔ２の含有量が１０質量部以下であることにより、上記粘着剤組成物は濁りや黄変を抑えることができ、光学透明性に優れるものとなる。上記粘着剤組成物が上記粘着付与樹脂Ｔ２を含有する場合、上記粘着付与樹脂Ｔ２の含有量の好ましい上限は５質量部である。

上記粘着剤組成物中、上記粘着付与樹脂Ｔ１の含有量は、上記粘着付与樹脂Ｔ２の含有量より多いことが好ましい。上記粘着付与樹脂Ｔ１の含有量が上記粘着付与樹脂Ｔ２の含有量より多いことにより、上記粘着剤組成物が光学透明性により優れるものとなる。

上記第２の構成において、本発明の粘着剤組成物は、粘着付与樹脂を含有しない、又は、粘着付与樹脂を含有し、粘着付与樹脂を含有する場合、上記アクリル系共重合体１００質量部に対して、粘着付与樹脂の含有量の上限が５質量部である。本発明の粘着剤組成物が粘着付与樹脂を含有しない、又は、粘着付与樹脂を含有し、粘着付与樹脂を含有する場合、粘着付与樹脂の含有量が５質量部以下であることにより、上記粘着剤組成物は濁りや黄変をより抑えることができ、光学透明性に優れるものとなる。上記粘着剤組成物が粘着付与樹脂を含有する場合、上記粘着付与樹脂の含有量の好ましい上限は４質量部である。

上記第２の構成において、上記粘着剤組成物が粘着付与樹脂を含有する場合、上記粘着付与樹脂としては、例えば、テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノール樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。なかでも、樹脂の色が淡く光学透明性に優れる観点から、水添テルペンフェノール樹脂が好ましい。

上記粘着剤組成物は、架橋剤を含有することが好ましい。上記粘着剤層が架橋剤を含有することにより、上記アクリル系共重合体が架橋剤を介して架橋される。このときの架橋度を調整することにより、後述する粘着剤層のゲル分率を適切な範囲内に調整することができる。なお、上記アクリル系共重合体が上記架橋剤を介して架橋されるためには、上記アクリル系共重合体が上記極性官能基含有モノマーに由来する構成単位を有することが好ましい。

上記架橋剤としては、例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤等が挙げられる。なかでも、後述する粘着剤層のゲル分率を適切な範囲内に調整しやすくなり、該粘着剤層を有する粘着テープの粘着力と保持力とがより向上することから、イソシアネート系架橋剤が好ましい。

上記アクリル系共重合体１００質量部に対して、上記架橋剤の含有量の好ましい下限は０．０５質量部であり、好ましい上限は５質量部である。上記架橋剤の含有量が上記範囲内にあることにより、後述する粘着剤層のゲル分率を適切な範囲内に調整しやすくなり、該粘着剤層を有する粘着テープの粘着力と保持力とがより向上する。上記架橋剤の含有量のより好ましい下限は０．１質量部であり、より好ましい上限は３質量部である。

上記粘着剤組成物は、必要に応じて、無機微粒子、導電微粒子、酸化防止剤、発泡剤、有機充填剤、無機充填剤等の従来公知の微粒子及び添加剤を含有してもよい。

本発明の粘着剤組成物を含有する粘着剤層を有する粘着テープも、本発明の１つである。
本発明の粘着テープは、上記粘着剤組成物を含有する粘着剤層を有することにより、厚みが薄い場合でも、優れた粘着力と優れた光学透明性とを両立することができる。

上記粘着剤層のゲル分率の好ましい下限は１０質量％であり、好ましい上限は８０質量％である。上記粘着剤層のゲル分率が１０質量％以上であることにより、上記粘着剤層が硬くなり、上記粘着テープの保持力がより向上する。また、上記粘着剤層のバルクの凝集力がより大きくなり、上記粘着テープの耐熱性がより向上する。上記粘着剤層のゲル分率が８０質量％以下であることにより、上記粘着剤層がより伸びやすくなり、上記粘着テープの粘着力がより向上する。上記粘着剤層のゲル分率のより好ましい下限は１５質量％であり、より好ましい上限は７５質量％である。
なお、上記粘着剤層のゲル分率は、以下の方法で測定することができる。
即ち、上記粘着剤層Ｗ_０（ｇ）を採取し、採取した上記粘着剤層をテトラヒドロフラン５０ｍＬ中に浸漬し、振とう機で温度２３℃、２００ｒｐｍの条件で２４時間振とうする。振とう後、金属メッシュ（目開き＃２００メッシュ、質量：Ｗ_１（ｇ））を用いて、テトラヒドロフランを吸収し膨潤した粘着剤層を濾過する。分離後の粘着剤層を１１０℃の条件下で１時間乾燥させた後、金属メッシュを含む粘着剤層の質量Ｗ_２（ｇ）を測定する。そして、得られたＷ_０、Ｗ_１、及び、Ｗ_２を用いて、下記式（１）からゲル分率を算出する方法等により、測定することができる。
　ゲル分率（質量％）＝１００×（Ｗ_２－Ｗ_１）／Ｗ_０　　（１）
（Ｗ_０：初期粘着剤層の質量、Ｗ_１：金属メッシュの初期質量、Ｗ_２：乾燥後の金属メッシュを含む粘着剤層の質量）

上記粘着剤層の厚みの好ましい上限は１５μｍである。上記粘着剤層の厚みが１５μｍ以下であることにより、上記粘着テープは小型や薄型の電子機器等の固定により好適に用いることができる。上記粘着剤層の厚みのより好ましい上限は１０μｍ、更に好ましい上限は５μｍである。
また、上記粘着剤層の厚みの好ましい下限は特にないが、上記粘着テープの取り扱い性の観点から、２μｍ程度が下限である。

上記粘着テープは、基材を有さないノンサポートタイプであってもよいし、基材上に上記粘着剤層が形成されたサポートタイプであってもよい。なかでも、上記粘着テープは基材を有さないノンサポートタイプが好ましい。上記粘着テープが基材を有さないことにより、上記粘着テープの厚みがより薄くなり、また、上記粘着テープが光学透明性により優れるものとなるため、上記粘着テープは小型や薄型の電子機器やデバイス等の固定により好適に用いることができる。

上記粘着テープが基材を有する場合、基材の片面に上記粘着剤層を有する片面粘着テープでもよく、両面に上記粘着剤層を有する両面粘着テープであってもよい。

上記基材としては、例えば、アクリル、オレフィン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ＡＢＳ、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ナイロン、ウレタン、ポリイミド等の樹脂からなるシート、網目状の構造を有するシート、孔が開けられたシート等が挙げられる。

上記基材の厚みの好ましい下限は５μｍであり、好ましい上限は１０μｍである。上記基材の厚みが５μｍ以上であることにより、上記粘着テープは適度なコシがあって、取り扱い性に優れるものとなる。上記基材の厚みが１０μｍ以下であることにより、上記粘着テープは小型や薄型の電子機器やデバイス等の固定により好適に用いることができる。

上記基材の２３℃におけるヘイズの好ましい上限は０．５％である。上記基材の２３℃におけるヘイズが０．５％以下であることにより、上記粘着テープはより光学透明性に優れるものとなる。上記基材の２３℃におけるヘイズのより好ましい上限は０．３％である。
また、上記基材の２３℃におけるヘイズの好ましい下限は特にないが、上記粘着テープの光学透明性の観点から、０％に近いほど好ましい。
なお、上記基材のヘイズは、例えば、ヘイズメーター（日本電色工業社製、「ＮＤＨ４０００」等）を用いて測定することができる。

上記粘着テープは、本発明の効果を損なわない範囲で、更に他の層を有していてもよい。

上記粘着テープを製造する方法は特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、まず、上記（メタ）アクリル酸アルキルエステル、上記末端に重合性不飽和二重結合を有するオレフィン重合体、及び、必要に応じて極性官能基モノマー等を常法で共重合させて上記アクリル系共重合体を得る。次いで、得られた上記アクリル系共重合体と、必要に応じて、上記粘着付与樹脂Ｔ１や上記粘着付与樹脂Ｔ２等の粘着付与樹脂と、その他添加剤とを配合した粘着剤組成物を含有する溶液を、離型処理を施したフィルム上に塗工、乾燥させることで製造することができる。また、上述した方法で製造した粘着テープを粘着剤層として、基材と貼り合わせることでサポートタイプの粘着テープとすることもできる。

上記粘着剤層の厚みが１５μｍ以下である場合、上記粘着テープの貼付後、２３℃で２４時間静置した後における２３℃でのガラスに対する１８０°剥離力の好ましい下限が９Ｎ／ｉｎｃｈである。上記粘着剤層の貼付後、２３℃で２４時間静置した後における２３℃でのガラスに対する１８０°剥離力が９Ｎ／ｉｎｃｈ以上であることにより、上記粘着テープは小型や薄型の電子機器等の固定により好適に用いることができる。上記粘着テープの貼付後、２３℃で２４時間静置した後における２３℃でのガラスに対する１８０°剥離力のより好ましい下限は１０Ｎ／ｉｎｃｈである。
また、上記粘着テープの貼付後、２３℃で２４時間静置した後における２３℃でのガラスに対する１８０°剥離力の好ましい上限は特にない。
なお、上記粘着テープの貼付後、２３℃で２４時間静置した後における２３℃でのガラスに対する１８０°剥離力は以下の方法等により測定することができる。
即ち、上記粘着剤層を有する上記粘着テープを幅２５ｍｍ×長さ６０ｍｍの平面長方形状に裁断し試験片を作製した後、得られた試験片をガラス（松浪ガラス工業社製、「大型スライドガラス白縁磨　Ｎｏ．２」）板に、２ｋｇのハンドローラーを用いて貼り合わせる。そして、２３℃で２４時間静置した後、得られた測定サンプルについて引張試験機（エー・アンド・デイ社製、「ＲＴＩ－１３１０」等）を用いて、ＪＩＳ　Ｚ０２３７：２００９に準拠し、２３℃、引張速度３００ｍｍ／ｍｉｎの条件で１８０°剥離試験を行い、貼付後、２３℃で２４時間静置した後における２３℃でのガラスに対する１８０°剥離力を測定する方法等により、測定することができる。

上記粘着テープの２３℃におけるヘイズの好ましい上限は１．０％である。上記粘着テープの２３℃におけるヘイズが１．０％以下であれば、上記粘着テープは光学透明性により優れるものとなる。上記粘着テープの２３℃におけるヘイズのより好ましい上限は０．５％、更に好ましい上限は０．３％である。
また、上記粘着テープの２３℃におけるヘイズの好ましい下限は特にないが、上記粘着テープの光学透明性の観点から、０％に近いほど好ましい。
なお、上記粘着テープの２３℃におけるヘイズは以下の方法等により測定することができる。
即ち、上記粘着テープ（粘着剤層の厚み：５μｍ）を４０ｍｍ×４０ｍｍの平面長方形状に裁断した後、裁断した粘着テープについて、一方の面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離しソーダガラス（０．７ｍｍ×５６ｍｍ×８６．６ｍｍ）上に、２ｋｇのハンドローラーを用いて貼り合わせる。その後、貼り合わせた粘着テープの他方のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、常温（２３℃）にて分光色測計（コニカミノルタ社製、「ＣＭ－３７００」等）を用いて、単層シート面からソーダガラス面へ透過させた光をＳＣＩ方式にて評価する方法等により、測定することができる。

上記粘着テープの２３℃における黄変度ｂ^＊の好ましい上限は０．４である。上記粘着剤層の２３℃における黄変度ｂ^＊が０．４以下であることにより、上記粘着テープは光学透明性により優れるものとなる。上記粘着テープの２３℃における黄変度ｂ^＊のより好ましい上限は０．２である。
なお、上記粘着テープの２３℃における黄変度ｂ^＊は以下の方法により測定することができる。
即ち、上記粘着テープ（粘着剤層の厚み：１５μｍ）を４０ｍｍ×４０ｍｍの平面長方形状に裁断した後、裁断した粘着テープについて、一方の面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離しソーダガラス（０．７ｍｍ×５６ｍｍ×８６．６ｍｍ）上に、２ｋｇのハンドローラーを用いて貼り合わせる。その後、貼り合わせた粘着テープの他方のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、常温（２３℃）にて分光色測計（コニカミノルタ社製、「ＣＭ－３７００」等）を用いて、単層シート面からソーダガラス面へ透過させた光をＳＣＩ方式にて評価する方法等により、測定することができる。

上記粘着テープの８５℃、５００時間加熱後における黄変度ｂ^＊の好ましい上限は０．４である。上記粘着テープの８５℃、５００時間加熱後における黄変度ｂ^＊が０．４以下であることにより、上記粘着テープは光学透明性により優れるものとなる。また、上記粘着テープは長時間使用しても光学透明性がより失われにくいものとなる。上記粘着テープの８５℃、５００時間加熱後における黄変度ｂ^＊のより好ましい上限は０．２である。
なお、上記粘着テープの８５℃、５００時間加熱後における黄変度ｂ^＊は以下の方法により測定することができる。
即ち、上記粘着テープ（粘着剤層の厚み：１５μｍ）を４０ｍｍ×４０ｍｍの平面長方形状に裁断した後、裁断した粘着テープについて、オーブンを用いて８５℃で５００時間加熱する。その後、加熱した粘着テープを自然冷却により常温（２３℃）にまで冷ました後、一方の面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離しソーダガラス（０．７ｍｍ×５６ｍｍ×８６．６ｍｍ）上にハンドローラーにて貼り合わせる。そして、貼り合わせた粘着テープの他方の面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、常温（２３℃）にて分光色測計（コニカミノルタ社製、「ＣＭ－３７００」等）を用いて、単層シート面からソーダガラス面へ透過させた光をＳＣＩ方式にて評価する方法等により、測定することができる。

本発明の粘着テープの用途は特に限定されないが、優れた粘着力と優れた光学透明性とを有していることから、電子機器やデバイス等の光学部材を貼り合わせる用途に好適に用いられる。なかでも、本発明の粘着テープは、粘着剤層の厚みが薄い場合でも、優れた粘着力と優れた光学透明性とを発揮できることにより、小型や薄型の電子機器やデバイス等の固定により好適に用いることができる。

本発明によれば、塗布した厚みが薄い場合でも、優れた粘着力と優れた光学透明性とを両立することができる粘着剤組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該粘着剤組成物を含有する粘着剤層を有する粘着テープを提供することができる。

以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。

（アクリル系共重合体Ａ～Ｓの合成）
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器内に、酢酸エチル３００ｍＬと表１～２に示す構成単位モノマーとを加えた後、反応器を加熱して還流を開始した。続いて、上記反応器内に、重合開始剤として、１，１－ビス（ｔ－ヘキシルパーオキシ）－３，３，５－トリメチルシクロヘキサン０．０１質量部を添加し、還流下で重合を開始させた。その後、重合開始から１時間後及び２時間後にも、１，１－ビス（ｔ－ヘキシルパーオキシ）－３，３，５－トリメチルシクロヘキサンを０．０１質量部ずつ添加し、更に、重合開始から４時間後にｔ－ヘキシルパーオキシピバレートを０．０５質量部添加して重合反応を継続させた。そして、重合開始から合計８時間重合反応を行い、アクリル系共重合体Ａ～Ｓを含有する酢酸エチル溶液を得た。なお、表１～２に示すエチレン－ブチレンマクロモノマーは、Ｌ－１２５３（クラレ社製）を用いた。
また、得られたアクリル系共重合体について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー（ＧＰＣ）（Ｗａｔｅｒｓ社製、「２６９０　Ｓｅｐａｒａｔｉｏｎｓ　Ｍｏｄｕｌｅ」）を用いて、以下の条件でポリスチレン換算の分子量分布を測定した。得られた分子量分布曲線からアクリル系共重合体の重量平均分子量（Ｍｗ）、数平均分子量（Ｍｎ）、及び、多分散度（Ｍｗ／Ｍｎ）を求めた。
　＜ＧＰＣの測定条件＞
　溶媒：テトラヒドロフラン
　サンプル流量：１ｍＬ／ｍｉｎ
　検出器：示差屈折系ＲＩ
　カラム：ＧＰＣ　ＫＦ－８０６Ｌ（昭和電工社製）
　カラム温度（測定温度）：４０℃
　注入量：２０μＬ

（実施例１－１～１－２８、２－１～２－１９、比較例１～９）
（１）粘着剤組成物の調製
得られたアクリル系共重合体Ａ～Ｓを含有する酢酸エチル溶液に、表３～８に示す組成にて各材料を添加し、撹拌して、粘着剤組成物を得た。

（２）粘着テープの作製
一面が離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを用意した。このポリエチレンテレフタレートフィルムの離型処理面に上記「（１）粘着剤組成物の調製」で得られた粘着剤組成物を乾燥皮膜が所望の厚みになるように塗布し、１１０℃で５分間乾燥させて、ポリエチレンテレフタレートフィルムの離型処理面上に所望の厚みの粘着剤層を有する積層シートを作製した。次いで、得られた積層シートの粘着剤層面上に一面が離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを重ねて、所望の厚みの粘着剤層を有する粘着テープを得た。

（３）粘着剤層のゲル分率
得られた粘着テープから粘着剤層Ｗ_０（ｇ）を採取し、採取した粘着剤層をテトラヒドロフラン５０ｍＬ中に浸漬し、振とう機で温度２３℃、２００ｒｐｍの条件で２４時間振とうした。振とう後、金属メッシュ（目開き＃２００メッシュ、質量：Ｗ_１（ｇ））を用いて、テトラヒドロフランを吸収し膨潤した粘着剤層を濾過した。分離後の粘着剤層を１１０℃の条件下で１時間乾燥させた後、金属メッシュを含む粘着剤層の質量Ｗ_２（ｇ）を測定した。そして、得られたＷ_０、Ｗ_１、及び、Ｗ_２を用いて、下記式（１）から粘着剤層のゲル分率を算出した。結果を表３～８に示した。
　ゲル分率（質量％）＝１００×（Ｗ_２－Ｗ_１）／Ｗ_０　　　（１）
（Ｗ_０：初期粘着剤層の質量、Ｗ_１：金属メッシュの初期質量、Ｗ_２：乾燥後の金属メッシュを含む粘着剤層の質量）

＜評価＞
実施例、比較例で得られた粘着テープについて以下の評価を行った。結果を表３～８に示した。

（粘着力）
上記「（２）粘着テープの作製」の方法で、粘着剤層の厚みが１５μｍの粘着テープを作製した後、得られた粘着テープを幅２５ｍｍ×長さ６０ｍｍの平面長方形状に裁断し試験片を作製した。次いで、得られた試験片をガラス（松浪ガラス工業社製、「大型スライドガラス白縁磨　Ｎｏ．２」）板に、２ｋｇのハンドローラーを３００ｍｍ／ｍｉｎの速度で一往復することにより貼り合わせた。そして、２３℃で２４時間静置した後、得られた測定サンプルについて引張試験機（エー・アンド・デイ社製、「ＲＴＩ－１３１０」）を用いて、ＪＩＳ　Ｚ０２３７：２００９に準拠し、２３℃、引張速度３００ｍｍ／ｍｉｎの条件で１８０°剥離試験を行い、粘着テープの貼付後、２３℃で２４時間静置した後における２３℃でのガラスに対する１８０°剥離力を測定した。
得られた貼付後、２３℃で２４時間静置した後における２３℃でのガラスに対する１８０°剥離力が１０Ｎ／ｉｎｃｈ以上であった場合は「◎」、９Ｎ／ｉｎｃｈ以上１０Ｎ／ｉｎｃｈ未満であった場合は「○」、８Ｎ／ｉｎｃｈ以上９Ｎ／ｉｎｃｈ未満であった場合は「△」、８Ｎ／ｉｎｃｈ未満であった場合は「×」として、粘着テープの粘着力を評価した。
また、粘着剤層の厚みが５μｍの粘着テープについても同様の方法で、粘着テープの貼付後、２３℃で２４時間静置した後における２３℃でのガラスに対する１８０°剥離力を測定し、粘着テープの粘着力を評価した。

（光学透明性）
（１）２３℃におけるヘイズ
上記「（２）粘着テープの作製」の方法で、粘着剤層の厚みが５μｍの粘着テープを作製した後、得られた粘着テープを４０ｍｍ×４０ｍｍの平面長方形状に裁断した。裁断した粘着テープについて、一方の面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離しソーダガラス（０．７×５６×８６．６ｍｍ）上に２ｋｇのハンドローラーを用いて３００ｍｍ／ｍｉｎの速度で一往復することにより貼り合わせた。その後、貼り合わせた粘着テープの他方のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、常温（２３℃）にて分光色測計（コニカミノルタ社製、「ＣＭ－３７００」）を用いて、単層シート面からソーダガラス面へ透過させた光をＳＣＩ方式にて評価することにより、粘着テープの２３℃におけるヘイズを測定した。
得られた２３℃におけるヘイズが０．５％以下であった場合は「◎」、０．５％より大きく１．０％以下であった場合は「○」、１．０％より大きく１．５％以下であった場合は「△」、１．５％より大きかった場合は「×」として、粘着テープの光学透明性を評価した。

（２）２３℃における黄変度ｂ^＊
上記「（２）粘着テープの作製」の方法で、粘着剤層の厚みが１５μｍの粘着テープを作製した後、得られた粘着テープを４０ｍｍ×４０ｍｍの平面長方形状に裁断した。裁断した粘着テープについて、一方の面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離しソーダガラス（０．７×５６×８６．６ｍｍ）上に、２ｋｇのハンドローラーを用いて３００ｍｍ／ｍｉｎの速度で一往復することにより貼り合わせた。その後、貼り合わせた粘着テープの他方のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、常温（２３℃）にて分光色測計（コニカミノルタ社製、「ＣＭ－３７００」）を用いて、単層シート面からソーダガラス面へ透過させた光をＳＣＩ方式にて評価することにより、粘着剤層の２３℃における黄変度ｂ^＊を測定した。
得られた２３℃における黄変度ｂ^＊が０．２以下であった場合は「◎」、０．２より大きく０．４以下であった場合は「○」、０．４より大きく０．５以下であった場合は「△」、０．５より大きかった場合は「×」として、粘着テープの光学透明性を評価した。

（３）８５℃、５００時間加熱後における黄変度ｂ^＊
上記「（２）粘着テープの作製」の方法で、粘着剤層の厚みが１５μｍの粘着テープを作製した後、得られた粘着テープを４０ｍｍ×４０ｍｍの平面長方形状に裁断し、裁断した粘着テープについて、オーブンを用いて８５℃で５００時間加熱した。その後、加熱した粘着テープを自然冷却により常温（２３℃）にまで冷ました後、一方の面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離しソーダガラス（０．７×５６×８６．６ｍｍ）上に、２ｋｇのハンドローラーを用いて３００ｍｍ／ｍｉｎの速度で一往復することにより貼り合わせた。そして、貼り合わせた粘着テープの他方のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、常温（２３℃）にて分光色測計（コニカミノルタ社製、「ＣＭ－３７００」）を用いて、単層シート面からソーダガラス面へ透過させた光をＳＣＩ方式にて評価することにより８５℃、５００時間加熱後における黄変度ｂ^＊を測定した。
得られた８５℃、５００時間加熱後における黄変度ｂ^＊が０．２以下であった場合は「◎」、０．２より大きく０．４以下であった場合は「○」、０．４より大きく０．５以下であった場合は「△」、０．５より大きかった場合は「×」として、粘着テープの光学透明性を評価した。

（金属腐食性）
上記「（粘着力）」の評価にて行った粘着剤層の厚みが１５μｍの粘着テープの１８０°剥離試験後における、粘着テープを剥離したＳＵＳ板の表面を目視にて観察した。
ＳＵＳ板の表面に腐食の発生が認められなかった場合は「○」、ＳＵＳ板の表面に腐食の発生が認められた場合は「×」として、粘着剤組成物の金属腐食性を評価した。
なお、当該評価が「×」である場合においても、本発明の粘着剤組成物は、厚みが薄い場合でも優れた粘着力と優れた光学透明性とを両立することができるため、使用する用途によっては問題なく使用することができる。

本発明によれば、塗布した厚みが薄い場合でも、優れた粘着力と優れた光学透明性とを両立することができる粘着剤組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該粘着剤組成物を含有する粘着剤層を有する粘着テープを提供することができる。

 

Claims (16)

1. （メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と末端に重合性不飽和二重結合を有するオレフィン系重合体に由来する構成単位とを有するアクリル系共重合体を含有し、
   下記第１の構成、及び、下記第２の構成からなる群より選択される少なくとも一種の構成を満たす
   ことを特徴とする粘着剤組成物。
   第１の構成：テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノール樹脂、及び、キシレン樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の粘着付与樹脂Ｔ１を含有し、
   前記アクリル系共重合体１００質量部に対して、前記粘着付与樹脂Ｔ１の含有量が５質量部以上５０質量部以下であり、
   テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノール樹脂、及び、キシレン樹脂とは異なる粘着付与樹脂Ｔ２を含有しない、又は、前記粘着付与樹脂Ｔ２を含有し、前記粘着付与樹脂Ｔ２を含有する場合、前記アクリル系共重合体１００質量部に対して、前記粘着付与樹脂Ｔ２の含有量が１０質量部以下である
   第２の構成：前記アクリル系共重合体は、極性官能基含有モノマーに由来する構成単位を有し、
   前記アクリル系共重合体は、エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上４以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を有し、
   前記アクリル系共重合体中、前記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上４以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量が３０質量％以上９０質量％以下であり、
   粘着付与樹脂を含有しない、又は、粘着付与樹脂を含有し、粘着付与樹脂を含有する場合、前記アクリル系共重合体１００質量部に対して、前記粘着付与樹脂の含有量が５質量部以下である
2. 前記第１の構成において、前記アクリル系共重合体は、極性官能基含有モノマーに由来する構成単位を有する請求項１記載の粘着剤組成物。
3. 前記極性官能基含有モノマーに由来する構成単位は、カルボキシ基含有モノマーに由来する構成単位、及び、水酸基含有モノマーに由来する構成単位からなる群より選択される少なくとも一種の構成単位を含む請求項１又は２記載の粘着剤組成物。
4. 前記極性官能基含有モノマーに由来する構成単位は、前記カルボキシ基含有モノマーに由来する構成単位を含む請求項３記載の粘着剤組成物。
5. 前記第２の構成において、前記アクリル系共重合体中、前記カルボキシ基含有モノマーに由来する構成単位の含有量が１０質量％以下である請求項４記載の粘着剤組成物。
6. 前記アクリル系共重合体中、前記カルボキシ基含有モノマーに由来する構成単位の含有量が１質量％以下である請求項４又は５記載の粘着剤組成物。
7. 前記極性官能基含有モノマーに由来する構成単位は、前記水酸基含有モノマーに由来する構成単位を含む請求項３、４、５又は６記載の粘着剤組成物。
8. 前記第１の構成において、前記粘着付与樹脂Ｔ１は、前記水添テルペンフェノール樹脂を含む請求項１、２、３、４、５、６又は７記載の粘着剤組成物。
9. 前記第２の構成において、前記アクリル系共重合体は、エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上２以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を有し、
   前記アクリル系共重合体中、前記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が１以上２以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量が１０質量％以上６０質量％以下である請求項１、２、３、４、５、６、７又は８記載の粘着剤組成物。
10. 前記第２の構成において、前記アクリル系共重合体は、エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が３以上４以下である（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を有し、
    前記アクリル系共重合体中、前記エステル結合の酸素原子に結合しているアルキル基の炭素数が３以上４以下の（メタ）アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量が６０質量％以上である請求項１、２、３、４、５、６、７、８又は９記載の粘着剤組成物。
11. 請求項１、２、３、４、５、６、７、８、９又は１０記載の粘着剤組成物を含有する粘着剤層を有する粘着テープ。
12. 前記粘着剤層のゲル分率が、１０質量％以上８０質量％以下である請求項１１記載の粘着テープ。
13. 前記粘着剤層の厚みが、１５μｍ以下である請求項１１又は１２記載の粘着テープ。
14. 貼付後、２３℃で２４時間静置した後における２３℃でのガラスに対する１８０°剥離力が９Ｎ／ｉｎｃｈ以上である請求項１３記載の粘着テープ。
15. ２３℃におけるヘイズが、１．０％以下である請求項１１、１２、１３又は１４記載の粘着テープ。
16. 基材を有さない請求項１１、１２、１３、１４又は１５記載の粘着テープ。