WO2023157399A1

WO2023157399A1 - 通信システム、統合コントローラ、制御装置及び切替方法

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Publication number: WO2023157399A1
Application number: PCT/JP2022/041853
Authority: WO
Inventors: 寛王; 達也島田; 智也秦野; 掣黄; 崇史山田; 裕隆氏川; 優士小屋迫
Original assignee: 日本電信電話株式会社
Priority date: 2022-02-17
Filing date: 2022-11-10
Publication date: 2023-08-24
Also published as: WO2023157168A1

Abstract

複数のクラウドリソースと、複数のクラウドリソースのいずれかを利用するための経路上に備えられる複数の通信装置とを備える通信システムであって、複数のクラウドリソースに関するクラウド情報を複数のクラウドリソースそれぞれから収集し、複数のクラウドリソースの設定変更を行うクラウドコントローラと、複数の通信装置及び複数の通信装置が形成するネットワークに関するＮＷ情報を複数の通信装置それぞれから収集し、複数の通信装置における経路切り替えの指示を行うネットワークコントローラと、クラウドコントローラからクラウド情報を収集し、ネットワークコントローラからＮＷ情報を収集し、収集したクラウド情報とＮＷ情報とに基づいて、クラウドコントローラに対するクラウドリソースの設定変更の指示又はネットワークコントローラに対する経路切り替えの指示の少なくともいずれかを行う統合コントローラと、を備える通信システム。

Description

通信システム、統合コントローラ、制御装置及び切替方法

　本発明は、通信システム、統合コントローラ、制御装置及び切替方法に関する。
　本願は、２０２２年２月１７日に、日本に出願されたＰＣＴ／ＪＰ２０２２／００６３５１号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

　図１０は、従来の通信システム１の構成例を示す図である。通信システム１は、終端装置２と、複数の通信装置３－１～３－４と、複数のクラウドリソース４－１～４－２とを備える。終端装置２は、ユーザが利用するユーザ端末である。複数の通信装置３－１～３－４は、終端装置２とクラウドリソース４－１～４－２との間で信号の転送を行う中継装置である。クラウドリソース４－１は、クラウドサービスを提供するためのリソースである。例えば、クラウドリソース４－１は、サーバであってもよいし、データベースやストレージであってもよい。クラウドリソース４－２は、クラウドリソース４－１が故障等により利用できない場合に利用される予備のリソースである。

　図１０に示す通信システム１において、ユーザがクラウドリソース４－１を利用する場合、クラウドリソース４－１の確保とは別に、利用拠点（例えば、終端装置２）からクラウドリソース４－１までのネットワークを確保する必要がある。点線５で示す経路（終端装置２⇔通信装置３－１⇔通信装置３－２⇔クラウドリソース４－１）を介してユーザがクラウドリソースを利用している状況下において、通信装置３－１と通信装置３－２との間の区間で故障が発生したとする。これはネットワークの故障であるため、この場合には、迂回経路を探索し、新たな通信経路として、終端装置２⇔通信装置３－１⇔通信装置３－４⇔通信装置３－３⇔通信装置３－２⇔クラウドリソース４－１の経路を確保して通信を復旧させることが考えられる。しかしながら、場合によっては経路遅延が大きくなるリスクがある。

　通信装置３－２が故障した場合には、クラウドリソース４－１へ向かう経路を確保することができず、ユーザはクラウドリソース４－１を利用することができない。さらに、クラウドリソース４－１に大規模故障が発生してその拠点での他のリソースが使えない場合、他の拠点に設けられたクラウドリソース４－２に切替えることになる。しかしその場合クラウドリソースの切替とは別に経路の再設定が必要となる。

特開２０１０－６８１３９号公報

　従来の技術では、クラウドリソースの冗長機能と、ネットワークの冗長構成が独立しているために、クラウドリソースもしくはネットワーク単体での最適化が図られる。そのため、故障の発生や、設備又はユーザの利用状況の変化に応じて構成の変更が必要となる場合、クラウドリソースの設定変更を行うクラウドコントローラと、ネットワークの設定変更を行うネットワークコントローラとが連動して、クラウドリソースおよびネットワークを切り替える必要がある。しかしながら、従来の方式では、コントローラが連動していないことにより、遅延の増加や、サービスの継続的な提供が困難になってしまう場合があった。

　上記事情に鑑み、本発明は、遅延を抑制しつつ、サービスの継続的な提供を実現することができる技術の提供を目的としている。

　本発明の一態様は、複数のクラウドリソースと、前記複数のクラウドリソースのいずれかを利用するための経路上に備えられる複数の通信装置とを備える通信システムであって、前記複数のクラウドリソースに関するクラウド情報を前記複数のクラウドリソースそれぞれから収集し、前記複数のクラウドリソースの設定変更を行うクラウドコントローラと、前記複数の通信装置及び前記複数の通信装置が形成するネットワークに関するＮＷ情報を前記複数の通信装置それぞれから収集し、前記複数の通信装置における経路切り替えの指示を行うネットワークコントローラと、前記クラウドコントローラから前記クラウド情報を収集し、前記ネットワークコントローラから前記ＮＷ情報を収集し、収集した前記クラウド情報と前記ＮＷ情報とに基づいて、前記クラウドコントローラに対するクラウドリソースの設定変更の指示又は前記ネットワークコントローラに対する経路切り替えの指示の少なくともいずれかを行う統合コントローラと、を備える通信システムである。

　本発明の一態様は、複数のクラウドリソースに関するクラウド情報を前記複数のクラウドリソースそれぞれから収集し、前記複数のクラウドリソースの設定変更を行うクラウドコントローラから前記クラウド情報を収集する第１情報収集部と、前記複数のクラウドリソースのいずれかを利用するための経路上に備えられる複数の通信装置及び前記複数の通信装置が形成するネットワークに関するＮＷ情報を前記複数の通信装置それぞれから収集し、前記複数の通信装置における経路切り替えの指示を行うネットワークコントローラから前記ＮＷ情報を収集する第２情報収集部と、前記第１情報収集部によって収集された前記クラウド情報と、前記第２情報収集部によって収集された前記ＮＷ情報とに基づいて、前記クラウドコントローラに対するクラウドリソースの設定変更の指示又は前記ネットワークコントローラに対する経路切り替えの指示の少なくともいずれかを行う切替指示部と、を備える統合コントローラである。

　本発明の一態様は、複数のクラウドリソースに関するクラウド情報と、前記複数のクラウドリソースのいずれかを利用するための経路上に備えられる複数の通信装置及び前記複数の通信装置が形成するネットワークに関するＮＷ情報の両方に基づいて、クラウドリソース又は通信経路の少なくともいずれかの切替要否を判定する切替判定部と、前記切替判定部による判定結果と、前記クラウド情報と、前記ＮＷ情報とに基づいて、最適な切替先を決定する切替先決定部と、前記切替先決定部により決定された最適な切替先に切り替えるようにクラウドリソースの設定変更の指示又は前記通信経路の切り替えの指示の少なくともいずれかを行う切替指示部と、を備える制御装置である。

　本発明の一態様は、複数のクラウドリソースと、前記複数のクラウドリソースのいずれかを利用するための経路上に備えられる複数の通信装置とを備える通信システムにおける切替方法であって、前記複数のクラウドリソースに関するクラウド情報を前記複数のクラウドリソースそれぞれから収集し、前記複数のクラウドリソースの設定変更を行い、前記複数の通信装置及び前記複数の通信装置が形成するネットワークに関するＮＷ情報を前記複数の通信装置それぞれから収集し、前記複数の通信装置における経路切り替えの指示を行い、前記クラウド情報と、前記ＮＷ情報を収集し、収集した前記クラウド情報と前記ＮＷ情報とに基づいて、前記クラウドリソースの設定変更の指示又は経路切り替えの指示の少なくともいずれかを行う、切替方法である。

　本発明により、遅延を抑制しつつ、サービスの継続的な提供を実現することが可能となる。

第１の実施形態における通信システムの構成例を示す図である。第１の実施形態におけるクラウドコントローラ、ネットワークコントローラ及び統合コントローラの機能構成の一例を示す図である。第１の実施形態における通信システムの処理の流れを示すシーケンス図である。変形例における通信システムの構成例を示す図である。第２の実施形態におけるクラウドコントローラ、ネットワークコントローラ及び統合コントローラの機能構成の一例を示す図である。第２の実施形態における通信システムの処理の流れを示すシーケンス図である。第２の実施形態における統合コントローラが行う切替先決定処理の流れを示すフローチャートである。第３の実施形態におけるクラウドコントローラ及びネットワークコントローラの機能構成の一例を示す図である。第４の実施形態におけるクラウドコントローラ及びネットワークコントローラの機能構成の一例を示す図である。従来の通信システムの構成例を示す図である。

　以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
（第１の実施形態）
　図１は、第１の実施形態における通信システム１００の構成例を示す図である。通信システム１００は、終端装置１０と、複数の通信装置２０－１～２０－４と、複数のクラウドリソース３０－１～３０－２と、クラウドコントローラ４０と、ネットワークコントローラ５０と、統合コントローラ６０とを備える。なお、以下の説明において、通信装置２０－１～２０－４を特に区別しない場合には通信装置２０と記載し、クラウドリソース３０－１～３０－２を特に区別しない場合にはクラウドリソース３０と記載する。通信システム１００が備える終端装置１０、通信装置２０及びクラウドリソース３０の台数は、図１に示す台数に限定されない。

　図１に示す通信システム１００では、通信装置２０－１～２０－４がリング型ネットワークを形成し、通信装置２０－１に終端装置１０が接続され、通信装置２０－２にクラウドリソース３０－１が接続され、通信装置２０－４にクラウドリソース３０－２が接続されている例を示している。さらに、通信システム１００では、各クラウドリソース３０とクラウドコントローラ４０とが接続され、ネットワークコントローラ５０と各通信装置２０とが接続され、クラウドコントローラ４０及びネットワークコントローラ５０に統合コントローラ６０が接続されている。

　終端装置１０は、ユーザが利用するユーザ端末であり、例えばクラウドリソース３０－１又は３０－２によるサービスの提供を受ける装置である。

　通信装置２０は、終端装置１０とクラウドリソース３０との間で信号の転送を行う中継装置である。通信装置２０は、ネットワークコントローラ５０からの指示に応じて、信号の転送経路等の設定を変更する。信号の転送経路の設定を変更とは、例えば、信号の転送経路の切替を意味する。

　クラウドリソース３０－１は、クラウドサービスを提供するためのリソースである。クラウドリソース３０－１は、例えば、ＣＰＵ（Central Processing Unit），ＧＰＵ（Graphics Processing Unit），ＦＰＧＡ（Field Programmable Gate Array）等のうち少なくとも１つから構成されるサーバであってもよいし、メモリを有するデータベースやストレージであってもよい。クラウドリソース３０－１は、ユーザの通信データに対して何かしらの処理を行うリソースであればよい。クラウドリソース３０－１は、クラウドコントローラ４０からの指示に応じて、終端装置１０に割り当てるリソースの設定を変更する。リソースの割り当ての設定を変更とは、例えばリソースの割り当て量の変更を意味する。

　クラウドリソース３０－２は、クラウドリソース３０－１の代わりに利用される予備のリソースである。クラウドリソース３０－１の代わりに利用される場合とは、例えばクラウドリソース３０－１が故障した場合や、クラウドリソース３０－１を利用するための経路に故障（図１では、例えば通信装置２０－２の故障や、通信装置２０－２に至る経路の断線等）が発生した場合や、クラウドリソース３０－２を利用したほうがクラウドリソース３０－１を利用するよりも遅延が少ない場合や、ＣＰＵ使用率が閾値以上となった場合等のクラウドリソース３０の設定変更条件が満たされた場合である。クラウドリソース３０の設定変更条件とは、終端装置１０が利用しているクラウドリソース３０を他のクラウドリソース３０に切り替える、又は、リソースの割り当ての量を変更するための条件である。クラウドリソース３０－２は、例えば、サーバであってもよいし、データベースやストレージであってもよい。クラウドリソース３０－２は、クラウドコントローラ４０からの指示に応じて、終端装置１０に割り当てるリソースの設定を変更する。

　クラウドコントローラ４０は、クラウドリソース３０の設定及び監視を行う制御装置である。クラウドコントローラ４０は、クラウドリソース３０に関する情報を収集し、収集した情報を統合コントローラ６０に通知する。クラウドコントローラ４０がクラウドリソース３０に関する情報を統合コントローラ６０に伝える契機は、周期的でも良いし、予め定められた条件を満たした場合にのみでも良い。クラウドコントローラ４０は、統合コントローラ６０からクラウドリソース３０の変更の指示が得られた場合には、クラウドリソース３０に対して設定変更を指示する。例えば、終端装置１０に利用させるクラウドリソース３０を変更する指示が得られた場合、クラウドコントローラ４０は終端装置１０に利用させるクラウドリソース３０に対して、終端装置１０に割り当てるリソースの設定を行う。

　ネットワークコントローラ５０は、通信装置２０の設定及び監視や、ネットワークの監視を行う。通信装置２０の設定は、信号の転送経路の設定である。通信装置２０の監視は、通信装置２０に故障が生じているか否かや、通信装置２０の利用状況の監視である。ネットワークの監視は、ネットワークに故障（例えば、断線等）や輻輳が生じているか否かの監視や、帯域使用率や転送遅延等の監視である。ネットワークコントローラ５０は、通信装置２０やネットワークに関する情報を収集し、収集した情報を統合コントローラ６０に通知する。ネットワークコントローラ５０がネットワークに関する情報を統合コントローラ６０に伝える契機は、周期的でも良いし、予め定められた条件を満たした場合にのみでも良い。ネットワークコントローラ５０は、統合コントローラ６０から経路切り替えの指示が得られた場合には、経路の切り替えが必要となる通信装置２０に対して経路の切替を指示する。

　統合コントローラ６０は、クラウドコントローラ４０及びネットワークコントローラ５０から得られた情報に応じて、クラウドリソース３０の利用状況とネットワークの利用状況とを加味して、最適なクラウドリソース配置及びネットワーク経路を決定する。統合コントローラ６０は、決定したクラウドリソース配置及びネットワーク経路に応じて、クラウドコントローラ４０又はネットワークコントローラ５０の少なくとも一方に切り替えを指示する。

　第１の実施形態における通信システム１００は、ユーザがクラウドリソースを、ネットワークを介して利用する場合のトータルでの遅延保証を行うためのシステムである。具体的には、通信システム１００では、クラウドリソースとネットワークを連動して利用する状況において、故障発生や、設備又はユーザの利用状況の変化に応じて構成変更が必要な際に、クラウドコントローラ４０とネットワークコントローラ５０とが連動して、クラウドリソース３０及びネットワークを切り替える。

　ここで、構成変更が必要となる状況として、例えば以下の３つのパターンが想定される。第１のパターンは、クラウドリソースを別拠点に変える必要が生じた場合である。第２のパターンは、ネットワーク経路を切り替える必要が生じた場合である。第３のパターンは、ユーザ端末（例えば、終端装置１０）が無線環境で接続されている等といった、利用する通信装置が変更となった場合である。第３のパターンは、言い換えると、ユーザ端末が無線環境で接続されている等の環境において、ユーザ端末が利用（接続）する通信装置が変更となった場合である。

　第１の実施形態における通信システム１００では、第１のパターン（クラウドリソース起因）の場合、クラウドコントローラ４０から統合コントローラ６０に事象を通知し、統合コントローラ６０がクラウドコントローラ４０にクラウドリソースの変更指示と、ネットワークコントローラ５０に経路切り替え指示とを行うことで連動した切替を実施する。ここで、第１のパターン（クラウドリソース起因）は、クラウドリソース３０－１のＣＰＵ使用率が閾値以上になった等、クラウドリソース３０－１に起因する事象が生じた場合である。

　第１の実施形態における通信システム１００では、第２のパターン（ネットワーク起因）の場合、ネットワークコントローラ５０から統合コントローラ６０に事象を通知し、統合コントローラ６０がクラウドコントローラ４０にクラウドリソースの変更指示と、ネットワークコントローラ５０に経路切り替え指示とを行うことで連動した切替を実施する。ここで、第２のパターン（ネットワーク起因）は、通信装置２０の故障（例えば、通信装置２０－２の故障）、ネットワークの輻輳による経路内の遅延増大、又は、経路の断線（例えば、通信装置２０－２に至る経路の故障）等、ネットワーク経路に起因する事象が生じた場合である。

　第１の実施形態における通信システム１００では、第３のパターン（ユーザ起因）の場合、ネットワークコントローラ５０から統合コントローラ６０に事象を通知し、統合コントローラ６０がクラウドコントローラ４０にクラウドリソースの変更指示と、ネットワークコントローラ５０に経路切り替え指示とを行うことで連動した切替を実施する。ここで、第３のパターン（ユーザ起因）は、終端装置１０が無線通信により、接続する通信装置が通信装置２０－１から通信装置２０－４に変更になった場合等、ユーザに起因する事象が生じた場合である。

　上記のように、統合コントローラ６０が、クラウドコントローラ４０とネットワークコントローラ５０とに対して切り替えの指示を行うことで、クラウドコントローラ４０とネットワークコントローラ５０とが連動して動作することができる。その結果、遅延を最小限に抑えることができる。なお、統合コントローラ６０は、クラウドコントローラ４０又はネットワークコントローラ５０のいずれか一方の切替が必要ない場合には、切替の必要があるコントローラに対してのみ切替の指示を行えばよい。
　以下、上記の動作を実現するための通信システム１００の具体的な構成について説明する。

　図２は、第１の実施形態におけるクラウドコントローラ４０、ネットワークコントローラ５０及び統合コントローラ６０の機能構成の一例を示す図である。まずクラウドコントローラ４０の機能構成について説明する。

　クラウドコントローラ４０は、クラウド情報収集部４１及び切替指示部４２を備える。クラウド情報収集部４１は、各クラウドリソース３０から、クラウドの利用状況（利用されているか否か）、ＣＰＵ使用率、空きリソース量、処理遅延時間などのクラウド情報を収集する。

　切替指示部４２は、統合コントローラ６０から送信された指示に応じて、クラウドリソース３０に設定の変更を指示する。

　次にネットワークコントローラ５０の機能構成について説明する。
　ネットワークコントローラ５０は、ＮＷ情報収集部５１及び切替指示部５２を備える。ＮＷ情報収集部５１は、各通信装置２０からＮＷ情報を収集する。ＮＷ情報は、各通信装置２０及び通信装置２０－１～２０－４が形成するネットワークに関する情報であり、例えば、装置の利用状況、帯域使用率、転送遅延等の情報を含む。なお、ＮＷ情報収集部５１は、終端装置１０で測定したネットワーク遅延とクラウド遅延とを含むエンドツーエンド遅延時間を通信装置２０経由で収集してもよい。

　切替指示部５２は、統合コントローラ６０から送信された指示に応じて、通信装置２０に設定の変更を指示する。

　次に統合コントローラ６０の機能構成について説明する。
　統合コントローラ６０は、情報収集部６１、切替判定部６２、情報収集部６３、切替判定部６４、切替先決定部６５及び切替指示部６６を備える。

　情報収集部６１は、クラウドコントローラ４０からクラウド情報を収集する。情報収集部６１は、収集したクラウド情報のうち、切替の判断に必要となる判断情報（例えば、クラウドリソース３０の故障情報、クラウドリソース３０における遅延情報、クラウドリソース３０のＣＰＵ使用率）を切替判定部６２に出力し、それ以外の情報（例えば、クラウドリソース３０の設定情報や冗長設備（クラウドリソース３０－２）のリソース情報）を切替先決定部６５に出力する。

　切替判定部６２は、情報収集部６１から出力された判断情報に基づいて、切替の要否を判定する。切替判定部６２は、切り替えが必要であると判断した場合、クラウドリソース３０の切替が必要である旨を切替先決定部６５に通知する。切替判定部６２は、クラウド切替判定部の一態様である。

　情報収集部６３は、ネットワークコントローラ５０からＮＷ情報を収集する。情報収集部６３は、収集したＮＷ情報のうち、切替の判断に必要となる判断情報（例えば、通信装置２０又はネットワークの故障情報、ネットワークの遅延情報、通信装置２０のＣＰＵ使用率）を切替判定部６４に出力し、それ以外の情報（例えば、通信装置２０の設定情報）を切替先決定部６５に出力する。

　切替判定部６４は、情報収集部６３から出力された判断情報に基づいて、切替の要否を判定する。切替判定部６４は、切り替えが必要であると判断した場合、通信装置２０設定及び経路の切替が必要である旨を切替先決定部６５に通知する。切替判定部６４は、経路切替判定部の一態様である。

　切替先決定部６５は、情報収集部６１、切替判定部６２、情報収集部６３及び切替判定部６４から得られる情報に基づいて、最適な切替先を決定する。切替先決定部６５は、最適な切替先を決定するにあたり、クラウドリソース及び通信装置２０の利用状況を把握し、クラウドリソース３０又は通信経路の少なくとも一方の切替を行う。切替先決定部６５は、全体の遅延時間で測定する方法や、クラウド及び通信設備のリソースをコスト化してそのコスト値が最小になる方法を利用して、最適な切替先を決定すればよい。

　切替指示部６６は、切替先決定部６５が決定した最適な切替先に関する情報（以下「切替先情報」という。）に基づいて、新たなクラウドリソース情報をクラウドコントローラ４０に通知し、新たな経路情報をネットワークコントローラ５０に通知する。

　図３は、第１の実施形態における通信システム１００の処理の流れを示すシーケンス図である。
　クラウドコントローラ４０のクラウド情報収集部４１は、クラウド情報を収集する（ステップＳ１０１）。クラウド情報収集部４１は、収集したクラウド情報を統合コントローラ６０に通知する（ステップＳ１０２）。ネットワークコントローラ５０のＮＷ情報収集部５１は、ＮＷ情報を収集する（ステップＳ１０３）。ＮＷ情報収集部５１は、収集したＮＷ情報を統合コントローラ６０に通知する（ステップＳ１０４）。

　統合コントローラ６０は、クラウドコントローラ４０又はネットワークコントローラ５０それぞれから通知された情報を収集する（ステップＳ１０５）。具体的には、情報収集部６１は、クラウドコントローラ４０から通知されたクラウド情報を収集する。情報収集部６３は、ネットワークコントローラ５０から通知されたＮＷ情報を収集する。情報収集部６１は、収集したクラウド情報のうち判断情報を切替判定部６２に出力し、それ以外の情報を切替先決定部６５に出力する。情報収集部６３は、収集したＮＷ情報のうち判断情報を切替判定部６４に出力し、それ以外の情報を切替先決定部６５に出力する。

　切替判定部６２及び切替判定部６４は、判断情報に基づいて切替の要否を判定する
（ステップＳ１０６）。具体的には、切替判定部６２は、情報収集部６１から得られたクラウド情報に含まれる判断情報に基づいて、クラウドリソース３０の切替要否を判定し、切替判定部６４は、情報収集部６３から得られたＮＷ情報に含まれる判断情報に基づいて、転送経路の切替要否を判定する。ここで、統合コントローラ６０が、クラウドリソース３０及び経路の両方の切替が必要であると判定したとする。

　この場合、切替先決定部６５は、情報収集部６１から出力された情報と、情報収集部６３から出力された情報とに基づいて最適な切替先を決定する（ステップＳ１０７）。具体的には、切替先決定部６５は、最適なクラウドリソースの配置と、そのリソースを利用させるための最適なネットワーク経路とを最適な切替先として決定する。切替先決定部６５は、切替先情報を切替指示部６６に出力する。

　切替指示部６６は、切替先決定部６５から出力された切替先情報に基づいて切替指示を生成する（ステップＳ１０８）。具体的には、切替指示部６６は、切替先情報に含まれる情報を用いて、クラウドリソース３０に関する情報を含むクラウド切替指示と、ネットワーク経路に関する情報を含むＮＷ切替指示とを生成する。切替指示部６６は、ＮＷ切替指示をネットワークコントローラ５０に通知し（ステップＳ１０９）、クラウド切替指示をクラウドコントローラ４０に通知する（ステップＳ１１０）。

　ネットワークコントローラ５０の切替指示部５２は、統合コントローラ６０から通知されたＮＷ切替指示に応じて、対応する通信装置２０に対して、ネットワークの経路の切替を指示する（ステップＳ１１１）。クラウドコントローラ４０の切替指示部４２は、統合コントローラ６０から通知されたクラウド切替指示に応じて、クラウドリソース３０に対して、リソースの割り当て量の切替を指示する（ステップＳ１１２）。

　なお、ステップＳ１０６の処理では、統合コントローラ６０が、クラウドリソース３０及び経路の両方の切替が必要であると判定した場合を例に説明したが、統合コントローラ６０はクラウドリソース３０又は経路のいずれか一方の切り替えが必要であると判定する場合もある。統合コントローラ６０は、クラウドリソース３０又は経路のいずれか一方の切り替えが必要であると判定した場合であっても、最適な切替先によっては結果としてクラウドリソース３０及び経路の両方を切り替える場合もある。その一例については後述する。

　統合コントローラ６０は、クラウドリソース３０及び経路の両方の切り替えが必要ないと判定した場合には、図３の処理を終了する。

　図３に示したシーケンス図の処理の一例として、上述した第１のパターンから第３のパターンそれぞれの場合における処理について説明する。ここでは、前提として、終端装置１０が、通信装置２０－１及び通信装置２０－２を経由する経路でクラウドリソース３０－１を利用しているものとする。

（第１のパターンの例：クラウドリソースを別拠点に変える必要が生じた場合）
　クラウドリソース３０－１のＣＰＵ使用率が閾値以上になった等、クラウドリソース３０－１に起因する事象が生じた場合、統合コントローラ６０の切替判定部６２は、情報収集部６１により収集されたクラウド情報に基づいてクラウドリソース３０－１に起因する事象を特定できるため、クラウドリソース３０の切替が必要であると判定する。一方、統合コントローラ６０の切替判定部６４は、情報収集部６３により収集されたＮＷ情報ではクラウドリソース３０－１に起因する事象を特定できないため、通信装置２０の設定及び経路の切替が必要ないと判定する。

　この場合、切替先決定部６５は、情報収集部６１、切替判定部６２、情報収集部６３及び切替判定部６４から得られる情報に基づいて最適な切替先として次のような切替先を決定することになる。例えば、切替先決定部６５は、終端装置１０に利用させるクラウドリソース３０の最適な切替先としてクラウドリソース３０－２を決定する。この場合、切替先決定部６５は、終端装置１０がクラウドリソース３０－２を利用するための経路として、通信装置２０－１及び２０－４を介した経路が最適な経路であると決定する。そして、切替先決定部６５は、切替先のクラウドリソース３０としてクラウドリソース３０－２の情報を、切替先の経路として通信装置２０－１及び２０－４の情報を含む切替先情報を切替指示部６６に出力する。

　切替指示部６６は、切替先決定部６５から出力された切替先情報に基づいて、新たなクラウドリソース情報をクラウドコントローラ４０に通知し、新たな経路情報をネットワークコントローラ５０に通知する。クラウドコントローラ４０の切替指示部４２は、通知されたクラウドリソース情報に応じて、クラウドリソース３０－２に対して設定の変更を行う。ネットワークコントローラ５０の切替指示部５２は、通知された経路情報に応じて、通信装置２０－１及び２０－４に対して設定の変更を行う。
　このように、統合コントローラ６０において、クラウドコントローラ４０及びネットワークコントローラ５０から得られる情報を加味することで、一方で切替が必要ないと判定された場合であっても、連動してクラウドリソース及び経路の切替を行うことができる。これにより、終端装置１０が、遅延を低減しつつ、クラウドリソース３０－２のサービス提供を受けることが可能になる。

（第２のパターンの例：ネットワーク経路を切り替える必要が生じた場合）
　通信装置２０の故障（例えば、通信装置２０－２の故障）、ネットワークの輻輳による経路内の遅延増大、又は、経路の断線（例えば、通信装置２０－２に至る経路の故障）等、ネットワーク経路に起因する事象が生じた場合、統合コントローラ６０の切替判定部６２は、情報収集部６１により収集されたクラウド情報では、ネットワーク経路に起因する事象を特定できないため、クラウドリソース３０の切替がないと判定する。一方、統合コントローラ６０の切替判定部６４は、情報収集部６３により収集されたＮＷ情報に基づいてネットワーク経路に起因する事象を特定できるため、通信装置２０の設定及び経路の切替が必要であると判定する。

（第３のパターンの例：利用する通信装置が変更となった場合）
　終端装置１０が無線通信により、接続する通信装置が通信装置２０－１から通信装置２０－４に変更になった場合等、ユーザに起因する事象が生じた場合、統合コントローラ６０の切替判定部６２は、情報収集部６１により収集されたクラウド情報では、ネットワーク経路に起因する事象を特定できないため、クラウドリソース３０の切替がないと判定する。一方、統合コントローラ６０の切替判定部６４は、情報収集部６３により収集されたＮＷ情報に基づいてユーザに起因する事象を特定できるため、通信装置２０の設定及び経路の切替が必要であると判定する。

　この場合、切替先決定部６５は、情報収集部６１、切替判定部６２、情報収集部６３及び切替判定部６４から得られる情報に基づいて最適な切替先として次のような切替先を決定することになる。例えば、切替先決定部６５は、終端装置１０に利用させるクラウドリソース３０の最適な切替先として、通信装置２０－４に最も近いクラウドリソース３０－２を決定する。この場合、切替先決定部６５は、終端装置１０がクラウドリソース３０－２を利用するための経路として、通信装置２０－４を介した経路が最適な経路であると決定する。そして、切替先決定部６５は、切替先のクラウドリソース３０としてクラウドリソース３０－２の情報を、切替先の経路として通信装置２０－４の情報を含む切替先情報を切替指示部６６に出力する。

　切替指示部６６は、切替先決定部６５から出力された切替先情報に基づいて、新たなクラウドリソース情報をクラウドコントローラ４０に通知し、新たな経路情報をネットワークコントローラ５０に通知する。クラウドコントローラ４０の切替指示部４２は、通知されたクラウドリソース情報に応じて、クラウドリソース３０－２に対して設定の変更を行う。ネットワークコントローラ５０の切替指示部５２は、通知された経路情報に応じて、通信装置２０－４に対して設定の変更を行う。
　このように、統合コントローラ６０において、クラウドコントローラ４０及びネットワークコントローラ５０から得られる情報を加味することで、一方で切替が必要ないと判定された場合であっても、連動してクラウドリソース及び経路の切替を行うことができる。これにより、終端装置１０が、遅延を低減しつつ、クラウドリソース３０－２のサービス提供を受けることが可能になる。

　以上のように構成された通信システム１００によれば、従来では別々に管理してクラウドリソースと、ネットワークの経路の切替とを統合コントローラ６０において、最適な切替先となるように決定する。これにより、クラウドリソース、ネットワーク、ユーザの利用状況又は設備状況に変更があった場合、最適なリソース配置と経路選択が可能になる。そのため、遅延の最小化や通信の継続化が実現され、サービスの継続的な提供を実現することが可能になる。

　以下、通信システム１００の変形例について説明する。
（変形例１）
　上述した実施形態では、一つの拠点（例えば、終端装置１０）においてクラウドリソース３０を利用する構成を示した。一方で、第１の実施形態におけるクラウドコントローラ４０、ネットワークコントローラ５０及び統合コントローラ６０は、図４に示すように、ある拠点（例えば、終端装置１０）から別の拠点（例えば、終端装置７０）に情報を渡す途中でクラウドリソース３０を利用する状況下においても同様の処理を行ってもよい。図４は、変形例における通信システム１００ａの構成例を示す図である。通信システム１００ａは、終端装置１０と、複数の通信装置２０－１～２０－４と、複数のクラウドリソース３０－１～３０－２と、クラウドコントローラ４０と、ネットワークコントローラ５０と、統合コントローラ６０と、終端装置７０とを備える。通信システム１００ａは、終端装置７０が追加された点を除けばシステム構成としては通信システム１００と同様である。以下、相違点について説明する。終端装置７０は、終端装置１０の通信相手となる装置である。

（第２の実施形態）
　第１の実施形態では、統合コントローラは、クラウドリソースから得られたクラウド情報に基づいてクラウドリソースの切替要否を判定し、ネットワークコントローラから得られたＮＷ情報に基づいてネットワークの切替要否を判定していた。第２の実施形態では、統合コントローラが、上記の構成に加えて、クラウド情報とＮＷ情報の両方を加味して切替要否を判定する構成について説明する。

　図５は、第２の実施形態におけるクラウドコントローラ４０、ネットワークコントローラ５０及び統合コントローラ６０ｂの機能構成の一例を示す図である。なお、クラウドコントローラ４０及びネットワークコントローラ５０の構成は、第１の実施形態と同様であるため説明を省略する。

　統合コントローラ６０ｂは、クラウドコントローラ４０から得られたクラウド情報又はネットワークコントローラ５０から得られたＮＷ情報の少なくとも１つあるいは両方に応じて、クラウドリソース３０の利用状況とネットワークの利用状況とを加味して、最適なクラウドリソース配置及びネットワーク経路を決定する。統合コントローラ６０ｂは、決定したクラウドリソース配置及びネットワーク経路に応じて、クラウドコントローラ４０又はネットワークコントローラ５０の少なくとも一方に切り替えを指示する。統合コントローラ６０ｂは、制御装置の一態様である。

　第２の実施形態における通信システム１００は、ユーザがクラウドリソースを、ネットワークを介して利用する場合のトータルでの遅延保証を行うためのシステムである。具体的には、第２の実施形態における通信システム１００では、クラウドリソースとネットワークを連動して利用する状況において、故障発生や、設備又はユーザの利用状況の変化に応じて構成変更が必要な際に、クラウドコントローラ４０とネットワークコントローラ５０とが連動して、クラウドリソース３０及びネットワークを切り替える。

　第２の実施形態における通信システム１００では、上述した第１のパターン（クラウドリソース起因）又は第２のパターン（ネットワーク起因）の場合、統合コントローラ６０ｂは、クラウドコントローラ４０とネットワークコントローラ５０経由でクラウドリソースとネットワークの状態を監視し、切り替える必要が生じた場合に、クラウドコントローラ４０にクラウドリソースの変更指示と、ネットワークコントローラ５０に経路切り替え指示とを行うことで連動した切替を実施する。

　第２の実施形態における通信システム１００では、上述した第３のパターン（ユーザ起因）の場合、ネットワークコントローラ５０から統合コントローラ６０ｂに事象を通知し、統合コントローラ６０ｂがクラウドコントローラ４０にクラウドリソースの変更指示と、ネットワークコントローラ５０に経路切り替え指示とを行うことで連動した切替を実施する。

　上記のように、統合コントローラ６０ｂが、クラウドコントローラ４０とネットワークコントローラ５０とに対して切り替えの指示を行うことで、クラウドコントローラ４０とネットワークコントローラ５０とが連動して動作することができる。さらに、統合コントローラ６０ｂでは、収集したクラウド情報及びＮＷ情報の両方を用いて、クラウドリソース３０及び信号の転送経路に対して発生した各事象を把握した上で、切替の要否を統合的に判断し、切り替えが必要と判断した場合に切り替えの指示を行う。ここで、統合的に判断とは、例えば、クラウドリソース３０における処理遅延量と、ネットワークにおける転送遅延との合算値を、予め定められた条件と比較判定する等、クラウドリソース３０とネットワークを跨いだ判断である。その結果、遅延を最小限に抑えることができる。なお、統合コントローラ６０ｂは、クラウドコントローラ４０又はネットワークコントローラ５０のいずれか一方の切替が必要ない場合には、切替の必要があるコントローラに対してのみ切替の指示を行えばよい。
　以下、上記の動作を実現するための統合コントローラ６０ｂの具体的な構成について説明する。

　統合コントローラ６０ｂは、情報収集部６１ｂ、切替判定部６２、情報収集部６３ｂ、切替判定部６４、切替先決定部６５ｂ、切替指示部６６及び切替判定部６７を備える。統合コントローラ６０ｂは、情報収集部６１、情報収集部６３及び切替先決定部６５に代えて情報収集部６１ｂ、情報収集部６３ｂ及び切替先決定部６５ｂを備える点と、切替判定部６７ｂを新たに備える点で統合コントローラ６０と構成が異なる。統合コントローラ６０ｂは、その他の構成については、統合コントローラ６０と同様である。以下、統合コントローラ６０との相違点を中心に説明する。

　情報収集部６１ｂは、クラウドコントローラ４０からクラウド情報を収集する。情報収集部６１ｂは、収集したクラウド情報のうち、切替の判断に必要となる判断情報（例えば、クラウドリソース３０の故障情報、クラウドリソース３０における遅延情報、クラウドリソース３０のＣＰＵ使用率）を切替判定部６２及び切替判定部６７ｂに出力し、それ以外の情報（例えば、クラウドリソース３０の設定情報や冗長設備（クラウドリソース３０－２）のリソース情報）を切替先決定部６５ｂに出力する。

　情報収集部６３ｂは、ネットワークコントローラ５０からＮＷ情報を収集する。情報収集部６３ｂは、収集したＮＷ情報のうち、切替の判断に必要となる判断情報（例えば、通信装置２０又はネットワークの故障情報、ネットワークの遅延情報、通信装置２０のＣＰＵ使用率）を切替判定部６４及び切替判定部６７ｂに出力し、それ以外の情報（例えば、通信装置２０の設定情報）を切替先決定部６５ｂに出力する。

　切替判定部６７ｂは、情報収集部６１ｂから出力された判断情報と、情報収集部６３ｂから出力された判断情報とに基づいて、切替の要否を統合的に判断する。切替判定部６７ｂは、切り替えが必要であると判断した場合に、切替が必要である旨を切替先決定部６５ｂに通知する。このように、切替判定部６７ｂは、切替判定部６２及び６４と比較して、１つの判断材料ではなく、複数の判断材料（例えば、クラウド情報のうち切替の判断に必要となる判断情報と、ＮＷ情報のうち切替の判断に必要となる判断情報）に基づいて切替の要否を判断する。

　切替先決定部６５ｂは、情報収集部６１ｂ、切替判定部６２、情報収集部６３ｂ、切替判定部６４及び切替判定部６７ｂから得られる情報に基づいて、最適な切替先を決定する。切替先決定部６５は、最適な切替先を決定するにあたり、クラウドリソース及び通信装置２０の利用状況を把握し、クラウドリソース３０又は通信経路の少なくとも一方の切替を行う。

　切替先決定部６５ｂは、後述する切替先決定処理により、切替による影響範囲を最小にする切替先を選択する。切替先決定処理では、ネットワーク切替探索、クラウドリソース切替探索、ネットワーク及びクラウドリソース切替探索の３ステップにより最適な切替先が決定される。なお、切替先候補を探索する３ステップの順番は、いずれの順番であってもよい。切替に伴う影響を最小にすることを目的とする場合において、ネットワークの経路の切替がクラウドリソース３０の切替よりも高速に行われる場合には、ネットワーク切替探索、クラウドリソース切替探索、ネットワーク及びクラウドリソース切替探索の順番で行われてもよい。クラウドリソース３０の切替がネットワークの経路の切替よりも高速に行われる場合には、クラウドリソース切替探索、ネットワーク切替探索、ネットワーク及びクラウドリソース切替探索の順番で行われてもよい。

　ネットワーク切替探索とは、クラウドリソース３０を切り替えることなく、ネットワークの経路のみを切り替えることで、サービスの継続的な提供に適した切替先候補があるか否かを探索する処理である。例えば、切替先決定部６５ｂは、ネットワーク切替探索において切替先候補がある場合、当該切替先候補を最適な切替先として決定する。なお、切替先候補が複数ある場合には、切替先決定部６５ｂは終端装置１０が利用するクラウドリソース３０までの転送距離が最小となる切替先候補を最適な切替先として決定する。終端装置１０が利用するクラウドリソース３０までの転送距離が最小となる切替先候補が複数ある場合には、切替先決定部６５ｂはいずれの切替先候補を選択してもよい。

　クラウドリソース切替探索とは、ネットワークの経路を切り替えることなく、クラウドリソース３０のみを切り替えることで、サービスの継続的な提供に適した切替先候補があるか否かを探索する処理である。ここで、クラウドリソース３０のみを切り替えるとは、例えば同一データセンタ内に構築される複数のクラウドリソース３０間で切替を行うケースである。例えば、切替先決定部６５ｂは、クラウドリソース切替探索において切替先候補がある場合、当該切替先候補を最適な切替先として決定する。なお、切替先候補が複数ある場合には、切替先決定部６５ｂはＣＰＵ使用率が最小となる切替先候補を最適な切替先として決定してもよいし、遅延が最小となる切替先候補を最適な切替先として決定する。

　ネットワーク及びクラウドリソース切替探索とは、ネットワークの経路及びクラウドリソース３０の両方を切り替え対象として、サービスの継続的な提供に適した切替先候補があるか否かを探索する処理である。例えば、切替先決定部６５ｂは、ネットワーク及びクラウドリソース切替探索において切替先候補がある場合、当該切替先候補を最適な切替先として決定する。なお、切替先候補が複数ある場合には、切替先決定部６５ｂは終端装置１０が利用するクラウドリソース３０までの転送距離が最小となる切替先候補、ＣＰＵ使用率が最小となる切替先候補、遅延が最小となる切替先候補を最適な切替先として決定する。

　切替先決定部６５ｂは、クラウドリソース切替探索、ネットワーク切替探索、ネットワーク及びクラウドリソース切替探索の各ステップにおいて切替先候補を探索する指標として、全体の遅延時間で評価する方法や、クラウドリソース３０及び通信設備のリソースをコスト化してそのコスト値が最小になる方法を使用する。なお、全てのステップを実施しても切替先候補が見つからない場合、切替先決定部６５ｂは切り替えを行わずに切替先決定処理を終了する。この際、切替先決定部６５ｂは、上位コントローラに対して切替要と判断したにもかかわらず切替先が見つからなかったことを通知しても良い。

　図６は、第２の実施形態における通信システム１００の処理の流れを示すシーケンス図である。図６において、図３に示す処理と同様の処理においては図３に示す符号と同様の符号を付して説明を省略する。

　統合コントローラ６０ｂは、クラウドコントローラ４０又はネットワークコントローラ５０それぞれから通知された情報を収集する（ステップＳ２０１）。具体的には、情報収集部６１ｂは、クラウドコントローラ４０から通知されたクラウド情報を収集する。情報収集部６３ｂは、ネットワークコントローラ５０から通知されたＮＷ情報を収集する。情報収集部６１ｂは、収集したクラウド情報のうち判断情報を切替判定部６２及び切替判定部６７ｂに出力し、それ以外の情報を切替先決定部６５ｂに出力する。情報収集部６３ｂは、収集したＮＷ情報のうち判断情報を切替判定部６４及び切替判定部６７ｂに出力し、それ以外の情報を切替先決定部６５ｂに出力する。

　切替判定部６２、切替判定部６４及び切替判定部６７ｂは、判断情報に基づいて切替の要否を判定する（ステップＳ２０２）。具体的には、切替判定部６２は、情報収集部６１から得られたクラウド情報に含まれる判断情報に基づいて、クラウドリソース３０の切替要否を判定する。切替判定部６４は、情報収集部６３から得られたＮＷ情報に含まれる判断情報に基づいて、転送経路の切替要否を判定する。切替判定部６７ｂは、情報収集部６１から得られたクラウド情報に含まれる判断情報及び情報収集部６３から得られたＮＷ情報に含まれる判断情報に基づいて、クラウドリソース３０又は転送経路の少なくともいずれかの切替要否を判定する。ここで、統合コントローラ６０ｂが、クラウドリソース３０及び経路の両方の切替が必要であると判定したとする。

　この場合、切替先決定部６５ｂは、情報収集部６１から出力された情報と、情報収集部６３から出力された情報とに基づいて切替先決定処理を行う（ステップＳ２０４）。これにより、切替先決定部６５ｂは、最適な切替先を決定する。切替先決定部６５ｂは、切替先情報を切替指示部６６に出力する。

　切替指示部６６は、切替先決定部６５ｂから出力された切替先情報に基づいて切替指示を生成する（ステップＳ２０４）。具体的には、切替指示部６６は、切替先情報に含まれる情報を用いて、クラウドリソース３０に関する情報を含むクラウド切替指示と、ネットワーク経路に関する情報を含むＮＷ切替指示とを生成する。その後、ステップＳ１０９以降の処理が実行される。

　図７は、第２の実施形態における統合コントローラ６０ｂが行う切替先決定処理の流れを示すフローチャートである。図７の説明では、ネットワークの経路の切替が、クラウドリソース３０の切替よりも高速に行われることを想定している。
　切替先決定部６５ｂは、情報収集部６３ｂ、切替判定部６４及び切替判定部６７ｂから得られる情報に基づいてネットワーク切替探索を行う（ステップＳ３０１）。切替先決定部６５ｂは、ネットワーク切替探索の結果、切替先候補があるか否かを判定する（ステップＳ３０２）。切替先決定部６５ｂは、切替先候補があると判定した場合（ステップＳ３０２－ＹＥＳ）、切替先候補を最適な切替先として決定する（ステップＳ３０３）。

　一方、切替先決定部６５ｂは、切替先候補がないと判定した場合（ステップＳ３０２－ＮＯ）、情報収集部６１ｂ、切替判定部６２及び切替判定部６７ｂから得られる情報に基づいてクラウドリソース切替探索を行う（ステップＳ３０４）。切替先決定部６５ｂは、クラウドリソース切替探索の結果、切替先候補があるか否かを判定する（ステップＳ３０５）。切替先決定部６５ｂは、切替先候補があると判定した場合（ステップＳ３０５－ＹＥＳ）、切替先候補を最適な切替先として決定する（ステップＳ３０３）。

　一方、切替先決定部６５ｂは、切替先候補がないと判定した場合（ステップＳ３０５－ＮＯ）、情報収集部６１ｂ、切替判定部６２、情報収集部６３ｂ、切替判定部６４及び切替判定部６７ｂから得られる情報に基づいてネットワーク及びクラウドリソース切替探索を行う（ステップＳ３０６）。切替先決定部６５ｂは、ネットワーク及びクラウドリソース切替探索の結果、切替先候補があるか否かを判定する（ステップＳ３０７）。切替先決定部６５ｂは、切替先候補があると判定した場合（ステップＳ３０７－ＹＥＳ）、切替先候補を最適な切替先として決定する（ステップＳ３０３）。

　一方、切替先決定部６５ｂは、切替先候補がないと判定した場合（ステップＳ３０７－ＮＯ）、切替先候補が無いとして切替先決定処理を終了する。

　以上のように構成された第２の実施形態における通信システム１００によれば、第１の実施形態と同様の効果を得ることができる。

　さらに第２の実施形態における通信システム１００では、複数の判断材料（例えば、クラウド情報のうち切替の判断に必要となる判断情報と、ＮＷ情報のうち切替の判断に必要となる判断情報）に基づいて切替の要否を判断する。これにより、Ｅｎｄ－ｔｏ－Ｅｎｄの品質を用いた制御ができる。そのため、より精度の高い切替判定が可能になる。

（変形例１）
　上述した実施形態では、切替判定部６２，６４，６７ｂが独立した機能部として設けられているが、切替判定部６２，６４，６７ｂの機能を１つ又は２つの機能部として構成してもよい。切替判定部６２，６４，６７ｂの機能を２つの機能部として構成する場合、ある切替判定部は、切替判定部６２，６４，６７ｂのいずれか２つの機能を備え、他の切替判定部は、切替判定部６２，６４，６７ｂの機能のうち残り機能を備える。

（第３の実施形態）
　第１の実施形態及び第２の実施形態では、統合コントローラが、クラウドコントローラ及びネットワークコントローラから収集した情報に基づいて切替要否を判定していた。第３の実施形態では、通信システムが統合コントローラを備えず、ネットワークコントローラが切替要否の判定、切替先の決定及び切替指示を行う構成について説明する。

　第３の実施形態における通信システム１００は、終端装置１０と、複数の通信装置２０－１～２０－４と、複数のクラウドリソース３０－１～３０－２と、クラウドコントローラ４０ｃと、ネットワークコントローラ５０ｃとを備える。第３の実施形態における通信システム１００は、統合コントローラ６０を備えない点、クラウドコントローラ４０及びネットワークコントローラ５０に代えてクラウドコントローラ４０ｃ及びネットワークコントローラ５０ｃを備える点で第１の実施形態における通信システム１００と構成が異なる。以下、相違点を中心に説明する。

　クラウドコントローラ４０ｃは、クラウドリソース３０の設定及び監視を行う制御装置である。クラウドコントローラ４０ｃは、クラウドリソース３０に関する情報を収集し、収集した情報をネットワークコントローラ５０ｃに通知する。クラウドコントローラ４０ｃがクラウドリソース３０に関する情報をネットワークコントローラ５０ｃに伝える契機は、周期的でも良いし、予め定められた条件を満たした場合にのみでも良い。クラウドコントローラ４０ｃは、ネットワークコントローラ５０ｃからクラウドリソース３０の変更の指示が得られた場合には、クラウドリソース３０に対して設定変更を指示する。例えば、終端装置１０に利用させるクラウドリソース３０を変更する指示が得られた場合、クラウドコントローラ４０ｃは終端装置１０に利用させるクラウドリソース３０に対して、終端装置１０に割り当てるリソースの設定を行う。

　さらにクラウドコントローラ４０ｃは、収集したクラウド情報に基づいてクラウドリソース３０の切替の要否を判定する。クラウドコントローラ４０ｃは、切り替えが必要であると判断した場合、クラウドリソース３０の切替が必要である旨をネットワークコントローラ５０ｃに通知する。

　ネットワークコントローラ５０ｃは、通信装置２０の設定及び監視や、ネットワークの監視を行う。ネットワークコントローラ５０ｃは、通信装置２０やネットワークに関する情報を収集する。ネットワークコントローラ５０は、経路切り替えが必要であると判定した場合には、経路の切り替えが必要となる通信装置２０に対して経路の切替を指示する。

　さらにネットワークコントローラ５０ｃは、クラウドコントローラ４０ｃから得られたクラウド情報、又は、収集したＮＷ情報の少なくとも１つあるいは両方に応じて、クラウドリソース３０の利用状況とネットワークの利用状況とを加味して、最適なクラウドリソース配置及びネットワーク経路を決定する。ネットワークコントローラ５０ｃは、決定したクラウドリソース配置及びネットワーク経路に応じて、クラウドコントローラ４０ｃに切り替えを指示する。ネットワークコントローラ５０ｃは、制御装置の一態様である。

　図８は、第３の実施形態におけるクラウドコントローラ４０ｃ及びネットワークコントローラ５０ｃの機能構成の一例を示す図である。まずクラウドコントローラ４０ｃの機能構成について説明する。

　クラウドコントローラ４０ｃは、クラウド情報収集部４１ｃ、切替指示部４２、切替判定部４３及び切替先決定部４４を備える。クラウドコントローラ４０ｃは、クラウド情報収集部４１に代えてクラウド情報収集部４１ｃを備え、切替判定部４３及び切替先決定部４４を新たに備える点でクラウドコントローラ４０と構成が異なる。以下、相違点を中心に説明する。

　クラウド情報収集部４１ｃは、各クラウドリソース３０からクラウド情報を収集する。クラウド情報収集部４１ｃは、収集したクラウド情報のうち、切替の判断に必要となる判断情報（例えば、クラウドリソース３０の故障情報、クラウドリソース３０における遅延情報、クラウドリソース３０のＣＰＵ使用率）をネットワークコントローラ５０ｃ及び切替判定部４３に出力し、それ以外の情報（例えば、クラウドリソース３０の設定情報や冗長設備（クラウドリソース３０－２）のリソース情報）を切替先決定部４４に出力する。

　切替判定部４３は、クラウド情報収集部４１ｃから出力された判断情報に基づいて、クラウドリソース３０の切替の要否を判定する。切替判定部４３は、切り替えが必要であると判断した場合、クラウドリソース３０の切替が必要である旨を含む切替通知を切替先決定部４４に通知する。

　切替先決定部４４は、クラウド情報収集部４１ｃ及び切替判定部４３から得られる情報に基づいて、最適な切替先を決定する。切替先決定部４４は、最適な切替先を決定するにあたり、クラウドリソース３０の利用状況を把握し、クラウドリソース３０の切替先を決定する。切替先決定部６５は、全体の遅延時間で測定する方法や、クラウドリソース３０をコスト化してそのコスト値が最小になる方法を利用して、最適な切替先を決定すればよい。切替先決定部４４は、決定した最適な切替先候補の情報をネットワークコントローラ５０ｃに通知する。

　なお、切替先決定部４４は、クラウドリソース３０のみの切替でサービスの継続的な提供に適した切替先候補が見つかる場合、ネットワークコントローラ５０ｃの切替先決定部５６と連携せずに処理を完結しても良い。

　次にネットワークコントローラ５０ｃの機能構成について説明する。
　ネットワークコントローラ５０ｃは、ＮＷ情報収集部５１ｃ、切替指示部５２、情報収集部５３、切替判定部５４、切替判定部５５、切替先決定部５６及び切替指示部５７を備える。ネットワークコントローラ５０ｃは、ＮＷ情報収集部５１に代えてＮＷ情報収集部５１ｃを備え、情報収集部５３、切替判定部５４、切替判定部５５、切替先決定部５６及び切替指示部５７を新たに備える点でネットワークコントローラ５０と構成が異なる。以下、相違点を中心に説明する。

　ＮＷ情報収集部５１ｃは、各通信装置２０からＮＷ情報を収集する。なお、ＮＷ情報収集部５１ｃは、終端装置１０で測定したネットワーク遅延とクラウド遅延とを含むエンドツーエンド遅延時間を通信装置２０経由で収集してもよい。ＮＷ情報収集部５１ｃは、収集したＮＷ情報のうち、切替の判断に必要となる判断情報（例えば、通信装置２０又はネットワークの故障情報、ネットワークの遅延情報、通信装置２０のＣＰＵ使用率）を切替判定部５４及び切替判定部５５に出力し、それ以外の情報（例えば、通信装置２０の設定情報）を切替先決定部５６に出力する。

　情報収集部５３は、クラウドコントローラ４０ｃから出力された判断情報を収集する。情報収集部５３は、収集した判断情報を切替判定部５４に出力する。

　切替判定部５４は、ＮＷ情報収集部５１ｃから出力された判断情報と、情報収集部５３から出力された判断情報とに基づいて、切替の要否を統合的に判断する。切替判定部５４は、切り替えが必要であると判断した場合に、切替が必要である旨を含む切替通知を切替先決定部５６に通知する。このように、切替判定部５４は、切替判定部５５と比較して、１つの判断材料ではなく、複数の判断材料（例えば、クラウド情報のうち切替の判断に必要となる判断情報と、ＮＷ情報のうち切替の判断に必要となる判断情報）に基づいて切替の要否を判断する。すなわち、切替判定部５４は、図５に示す切替判定部６７ｂに相当する機能を有する。

　切替判定部５５は、ＮＷ情報収集部５１ｃから出力された判断情報に基づいて、ネットワークの経路の切替の要否を判定する。切替判定部５５は、切り替えが必要であると判断した場合、通信装置２０設定及び経路の切替が必要である旨を含む切替通知を切替先決定部５６に通知する。

　切替先決定部５６は、クラウドコントローラ４０ｃが備える切替先決定部４４から出力された情報と、切替判定部５４から出力された切替通知と、切替判定部５５から出力された切替通知とに基づいて、最適な切替先を決定する。切替先決定部５６は、クラウドリソース３０の切替を要する場合、クラウドコントローラ４０ｃが備える切替先決定部４４と連携することにより最終的な切替先を決定する。第３の実施形態では、切替先決定部５６が決定した切替先が最適な切替先となる。切替先決定部５６は、決定した切替先の情報を切替指示部５７に通知する。

　切替指示部５７は、切替先決定部５６が決定した切替先情報に基づいて、新たなクラウドリソース情報をクラウドコントローラ４０ｃの切替指示部４２に通知し、新たな経路情報を切替指示部５２に通知する。なお、切替指示部５７は、切替先決定部５６が決定した切替先情報にネットワークの経路の切り替えに関する情報のみが含まれる場合には、新たな経路情報を切替指示部５２に通知する。なお、切替指示部５７は、切替先決定部５６が決定した切替先情報にクラウドリソース３０の切り替えに関する情報のみが含まれる場合には、新たなクラウドリソース情報をクラウドコントローラ４０ｃに通知する。

　以上のように構成された第３の実施形態における通信システム１００では、ネットワークコントローラ５０ｃがマスターとなり、クラウドコントローラ４０ｃがスレーブとなる。そして、ネットワークコントローラ５０ｃが最終的に決定した切替先を最適な切替先として決定する。これにより、第１の実施形態及び第２の実施形態のように、統合コントローラ６０，６０ｂを備えなくても第１の実施形態及び第２の実施形態と同様の効果を得ることができる。

（変形例１）
　クラウドコントローラ４０ｃが備える切替判定部４３を、ネットワークコントローラ５０ｃに備えるように構成されてもよい。このように構成される場合、切替判定部４３は、ネットワークコントローラ５０ｃが備える情報収集部５３から出力された判断情報に基づいて、クラウドリソース３０の切替の要否を判定する。切替判定部４３は、切り替えが必要であると判断した場合、クラウドリソース３０の切替が必要である旨を含む切替通知を、クラウドコントローラ４０ｃに通知する。

（変形例２）
　クラウドコントローラ４０ｃが備える切替先決定部４４を、ネットワークコントローラ５０ｃに備えるように構成されてもよい。このように構成される場合、クラウドコントローラ４０ｃは、切替通知に加えて、設定情報や冗長設備のリソース情報もネットワークコントローラ５０ｃに通知する。

（第４の実施形態）
　第４の実施形態では、通信システムが統合コントローラを備えず、クラウドコントローラが切替要否の判定、切替先の決定及び切替指示を行う構成について説明する。すなわち、第４の実施形態は、第３の実施形態とマスターとスレーブの関係を入れ替えた構成である。

　第４の実施形態における通信システム１００は、終端装置１０と、複数の通信装置２０－１～２０－４と、複数のクラウドリソース３０－１～３０－２と、クラウドコントローラ４０ｄと、ネットワークコントローラ５０ｄとを備える。第４の実施形態における通信システム１００は、統合コントローラ６０を備えない点、クラウドコントローラ４０及びネットワークコントローラ５０に代えてクラウドコントローラ４０ｄ及びネットワークコントローラ５０ｄを備える点で第１の実施形態における通信システム１００と構成が異なる。以下、相違点を中心に説明する。

　クラウドコントローラ４０ｄは、クラウドリソース３０の設定及び監視を行う制御装置である。クラウドコントローラ４０ｄは、クラウドリソース３０に関する情報を収集する。ネットワークコントローラ５０は、クラウドリソース３０の切り替えが必要であると判定した場合には、終端装置１０に利用させるクラウドリソース３０に対して、終端装置１０に割り当てるリソースの設定を行う。

　さらにクラウドコントローラ４０ｄは、ネットワークコントローラ５０ｄから得られたクラウド情報、又は、収集したクラウド情報の少なくとも１つあるいは両方に応じて、クラウドリソース３０の利用状況とネットワークの利用状況とを加味して、最適なクラウドリソース配置及びネットワーク経路を決定する。クラウドコントローラ４０ｄは、決定したクラウドリソース配置及びネットワーク経路に応じて、ネットワークコントローラ５０ｄに切り替えを指示する。

　ネットワークコントローラ５０ｄは、通信装置２０の設定及び監視や、ネットワークの監視を行う。ネットワークコントローラ５０ｄは、通信装置２０やネットワークに関する情報を収集し、収集した情報をクラウドコントローラ４０ｄに通知する。ネットワークコントローラ５０ｄがネットワークに関する情報をクラウドコントローラ４０ｄに伝える契機は、周期的でも良いし、予め定められた条件を満たした場合にのみでも良い。ネットワークコントローラ５０ｄは、クラウドコントローラ４０ｄから経路切り替えの指示が得られた場合には、経路の切り替えが必要となる通信装置２０に対して経路の切替を指示する。

　さらにネットワークコントローラ５０ｄは、収集したＮＷ情報に基づいてネットワークの経路の切替の要否を判定する。ネットワークコントローラ５０ｄは、切り替えが必要であると判断した場合、通信装置２０設定及び経路の切替が必要である旨をクラウドコントローラ４０ｄに通知する。

　図９は、第４の実施形態におけるクラウドコントローラ４０ｄ及びネットワークコントローラ５０ｄの機能構成の一例を示す図である。まずクラウドコントローラ４０ｄの機能構成について説明する。

　クラウドコントローラ４０ｄは、クラウド情報収集部４１ｄ、切替指示部４２、切替判定部４３、情報収集部４５、切替判定部４６、切替先決定部４７及び切替指示部４８を備える。クラウドコントローラ４０ｄは、クラウド情報収集部４１に代えてクラウド情報収集部４１ｄを備え、切替判定部４３、情報収集部４５、切替判定部４６、切替先決定部４７及び切替指示部４８を新たに備える点でクラウドコントローラ４０と構成が異なる。以下、相違点を中心に説明する。

　クラウド情報収集部４１ｄは、各クラウドリソース３０からクラウド情報を収集する。クラウド情報収集部４１ｄは、収集したクラウド情報のうち、切替の判断に必要となる判断情報（例えば、クラウドリソース３０の故障情報、クラウドリソース３０における遅延情報、クラウドリソース３０のＣＰＵ使用率）を切替判定部４３及び切替判定部４６に出力し、それ以外の情報（例えば、クラウドリソース３０の設定情報や冗長設備（クラウドリソース３０－２）のリソース情報）を切替先決定部４７に出力する。

　切替判定部４３は、クラウド情報収集部４１ｄから出力された判断情報に基づいて、クラウドリソース３０の切替の要否を判定する。切替判定部４３は、切り替えが必要であると判断した場合、クラウドリソース３０の切替が必要である旨を含む切替通知を切替先決定部４７に通知する。

　情報収集部４５は、ネットワークコントローラ５０ｄから出力された判断情報を収集する。情報収集部４５は、収集した判断情報を切替判定部４６に出力する。

　切替判定部４６は、クラウド情報収集部４１ｄから出力された判断情報と、情報収集部４５から出力された判断情報とに基づいて、切替の要否を統合的に判断する。切替判定部４６は、切り替えが必要であると判断した場合に、切替が必要である旨を含む切替通知を切替先決定部４７に通知する。このように、切替判定部４６は、切替判定部４３と比較して、１つの判断材料ではなく、複数の判断材料（例えば、クラウド情報のうち切替の判断に必要となる判断情報と、ＮＷ情報のうち切替の判断に必要となる判断情報）に基づいて切替の要否を判断する。すなわち、切替判定部４６は、図５に示す切替判定部６７ｂに相当する機能を有する。

　切替先決定部４７は、ネットワークコントローラ５０ｄが備える切替先決定部５８から出力された情報と、切替判定部４３から出力された切替通知と、切替判定部４６から出力された切替通知とに基づいて、最適な切替先を決定する。切替先決定部４７は、クラウドリソース３０の切替を要する場合、ネットワークコントローラ５０ｄが備える切替先決定部５８と連携することにより最終的な切替先を決定する。第４の実施形態では、切替先決定部４７が決定した切替先が最適な切替先となる。切替先決定部４７は、決定した切替先の情報を切替指示部４８に通知する。

　切替指示部４８は、切替先決定部４７が決定した切替先情報に基づいて、新たなクラウドリソース情報を切替指示部４２に通知し、新たな経路情報をネットワークコントローラ５０ｄの切替指示部５２に通知する。なお、切替指示部４８は、切替先決定部４７が決定した切替先情報にネットワークの経路の切り替えに関する情報のみが含まれる場合には、新たな経路情報をネットワークコントローラ５０ｄの切替指示部５２に通知する。なお、切替指示部４８は、切替先決定部４７が決定した切替先情報にクラウドリソース３０の切り替えに関する情報のみが含まれる場合には、新たなクラウドリソース情報を切替指示部４２に通知する。

　次にネットワークコントローラ５０ｄの機能構成について説明する。
　ネットワークコントローラ５０ｄは、ＮＷ情報収集部５１ｄ、切替指示部５２、切替判定部５５及び切替先決定部５８を備える。ネットワークコントローラ５０ｄは、ＮＷ情報収集部５１に代えてＮＷ情報収集部５１ｄを備え、切替判定部５５及び切替先決定部５８を新たに備える点でネットワークコントローラ５０と構成が異なる。以下、相違点を中心に説明する。

　ＮＷ情報収集部５１ｄは、各通信装置２０からＮＷ情報を収集する。なお、ＮＷ情報収集部５１ｄは、終端装置１０で測定したネットワーク遅延とクラウド遅延とを含むエンドツーエンド遅延時間を通信装置２０経由で収集してもよい。ＮＷ情報収集部５１ｄは、収集したＮＷ情報のうち、切替の判断に必要となる判断情報（例えば、通信装置２０又はネットワークの故障情報、ネットワークの遅延情報、通信装置２０のＣＰＵ使用率）を切替判定部５５及びクラウドコントローラ４０ｄに出力し、それ以外の情報（例えば、通信装置２０の設定情報）を切替先決定部５８に出力する。

　切替判定部５５は、ＮＷ情報収集部５１ｄから出力された判断情報に基づいて、ネットワークの経路の切替の要否を判定する。切替判定部５５は、切り替えが必要であると判断した場合、ネットワークの経路の切替が必要である旨を含む切替通知を切替先決定部５８に通知する。

　切替先決定部５８は、ＮＷ情報収集部５１ｄ及び切替判定部５５から得られる情報に基づいて、最適な切替先を決定する。切替先決定部５８は、最適な切替先を決定するにあたり、通信装置２０の利用状況を把握し、通信経路の切替先を決定する。切替先決定部５８は、全体の遅延時間で測定する方法や、クラウドリソース３０をコスト化してそのコスト値が最小になる方法を利用して、最適な切替先を決定すればよい。切替先決定部５８は、決定した最適な切替先候補の情報をクラウドコントローラ４０ｄに通知する。

　なお、切替先決定部５８は、ネットワークの経路のみの切替でサービスの継続的な提供に適した切替先候補が見つかる場合、クラウドコントローラ４０ｄの切替先決定部４７と連携せずに処理を完結しても良い。

　以上のように構成された第４の実施形態における通信システム１００では、クラウドコントローラ４０ｄがマスターとなり、ネットワークコントローラ５０ｄがスレーブとなる。そして、クラウドコントローラ４０ｄが最終的に決定した切替先を最適な切替先として決定する。これにより、第１の実施形態及び第２の実施形態のように、統合コントローラ６０，６０ｂを備えなくても第１の実施形態及び第２の実施形態と同様の効果を得ることができる。

（変形例１）
　ネットワークコントローラ５０ｄが備える切替判定部５５を、クラウドコントローラ４０ｄに備えるように構成されてもよい。このように構成される場合、切替判定部５５は、クラウドコントローラ４０ｄが備える情報収集部４５から出力された判断情報に基づいて、ネットワークの経路の切替の要否を判定する。切替判定部５５は、切り替えが必要であると判断した場合、ネットワークの経路の切替が必要である旨を含む切替通知を、ネットワークコントローラ５０ｄに通知する。

（変形例２）
　ネットワークコントローラ５０ｄが備える切替先決定部５８を、クラウドコントローラ４０ｄに備えるように構成されてもよい。このように構成される場合、ネットワークコントローラ５０ｄは、切替通知に加えて、設定情報や冗長設備のリソース情報もクラウドコントローラ４０ｄに通知する。

（各実施形態に共通する変形例１）
　上記の各実施形態では、クラウドコントローラ４０，４０ｃ，４０ｄ、ネットワークコントローラ５０，５０ｃ，５０ｄ及び統合コントローラ６０，６０ｂが異なる装置として構成されている場合を例に示しているが、クラウドコントローラ４０，４０ｃ，４０ｄ、ネットワークコントローラ５０，５０ｃ，５０ｄ及び統合コントローラ６０，６０ｂは仮想化技術を用いて同一の装置に実装されてもよい。このように構成される場合、第１の実施形態では、クラウドコントローラ４０、ネットワークコントローラ５０及び統合コントローラ６０が同一の装置に実装される。第２の実施形態では、クラウドコントローラ４０、ネットワークコントローラ５０及び統合コントローラ６０ｂが同一の装置に実装される。第３の実施形態では、クラウドコントローラ４０ｃ及びネットワークコントローラ５０ｃが同一の装置に実装される。第４の実施形態では、クラウドコントローラ４０ｄ及びネットワークコントローラ５０ｄが同一の装置に実装される。

　上述した実施形態におけるクラウドコントローラ４０，４０ｃ，４０ｄ、ネットワークコントローラ５０，５０ｃ，５０ｄ及び統合コントローラ６０，６０ｂの一部の機能部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、ＯＳや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。

　また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ＲＯＭ（Read Only Memory）、ＣＤ－ＲＯＭ等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、ＦＰＧＡ（Field-Programmable Gate Array）等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。

　以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。

　本発明は、クラウドリソースを、ネットワークを介して利用する通信システムに適用できる。

１０…終端装置，　２０、２０－１～２０－４…通信装置，　３０…クラウドリソース，　４０、４０ｃ、４０ｄ…クラウドコントローラ，　５０、５０ｃ、５０ｄ…ネットワークコントローラ，　６０、６０ｂ…統合コントローラ，　４５、５３、６１、６１ｂ、６３、６３ｂ…情報収集部，　４３、４６、５４、５５、６２、６４、６７ｂ…切替判定部，　４４、４７、５６、５８、６５、６５ｂ…切替先決定部，　６６…切替指示部，　４８、５７…切替指示部，　４１、４１ｃ、４１ｄ…クラウド情報収集部，　４２…切替指示部，　５１、５１ｃ、５１ｄ…ＮＷ情報収集部，　５２…切替指示部

Claims

　複数のクラウドリソースと、前記複数のクラウドリソースのいずれかを利用するための経路上に備えられる複数の通信装置とを備える通信システムであって、
　前記複数のクラウドリソースに関するクラウド情報を前記複数のクラウドリソースそれぞれから収集し、前記複数のクラウドリソースの設定変更を行うクラウドコントローラと、
　前記複数の通信装置及び前記複数の通信装置が形成するネットワークに関するＮＷ情報を前記複数の通信装置それぞれから収集し、前記複数の通信装置における経路切り替えの指示を行うネットワークコントローラと、
　前記クラウドコントローラから前記クラウド情報を収集し、前記ネットワークコントローラから前記ＮＷ情報を収集し、収集した前記クラウド情報と前記ＮＷ情報とに基づいて、前記クラウドコントローラに対するクラウドリソースの設定変更の指示又は前記ネットワークコントローラに対する経路切り替えの指示の少なくともいずれかを行う統合コントローラと、
　を備える通信システム。
　前記統合コントローラは、前記クラウド情報と前記ＮＷ情報に基づいて、ユーザがクラウドリソースを利用する場合の最適な切替先として、前記複数のクラウドリソースのうちのいずれかと、そのクラウドリソースを利用するための経路とを決定する、
　請求項１に記載の通信システム。
　前記統合コントローラは、収集した前記クラウド情報に基づいて前記クラウドリソースの切り替えの要否を判定し、収集した前記ＮＷ情報に基づいて経路切り替えの要否を判定し、いずれかの判定結果において切り替えが必要と判定された場合に前記最適な切替先を決定する、
　請求項２に記載の通信システム。
　複数のクラウドリソースに関するクラウド情報を前記複数のクラウドリソースそれぞれから収集し、前記複数のクラウドリソースの設定変更を行うクラウドコントローラから前記クラウド情報を収集する第１情報収集部と、
　前記複数のクラウドリソースのいずれかを利用するための経路上に備えられる複数の通信装置及び前記複数の通信装置が形成するネットワークに関するＮＷ情報を前記複数の通信装置それぞれから収集し、前記複数の通信装置における経路切り替えの指示を行うネットワークコントローラから前記ＮＷ情報を収集する第２情報収集部と、
　前記第１情報収集部によって収集された前記クラウド情報と、前記第２情報収集部によって収集された前記ＮＷ情報とに基づいて、前記クラウドコントローラに対するクラウドリソースの設定変更の指示又は前記ネットワークコントローラに対する経路切り替えの指示の少なくともいずれかを行う切替指示部と、
　を備える統合コントローラ。
　複数のクラウドリソースに関するクラウド情報と、前記複数のクラウドリソースのいずれかを利用するための経路上に備えられる複数の通信装置及び前記複数の通信装置が形成するネットワークに関するＮＷ情報の両方に基づいて、クラウドリソース又は通信経路の少なくともいずれかの切替要否を判定する切替判定部と、
　前記切替判定部による判定結果と、前記クラウド情報と、前記ＮＷ情報とに基づいて、最適な切替先を決定する切替先決定部と、
　前記切替先決定部により決定された最適な切替先に切り替えるようにクラウドリソースの設定変更の指示又は前記通信経路の切り替えの指示の少なくともいずれかを行う切替指示部と、
　を備える制御装置。
　前記クラウド情報に基づいて、前記クラウドリソースの切替要否を判定するクラウド切替判定部と、
　前記ＮＷ情報に基づいて、前記通信経路の切替要否を判定する経路切替判定部と、
　をさらに備え、
　前記切替先決定部は、前記クラウド切替判定部による判定結果及び前記経路切替判定部による判定結果をさらに踏まえて前記最適な切替先を決定する、
　請求項５に記載の制御装置。
　前記切替先決定部は、前記通信経路のみを切り替えることで、サービスの継続的な提供に適した切替先候補があるか否かを探索する第１処理、前記クラウドリソースのみを切り替えることで、サービスの継続的な提供に適した切替先候補があるか否かを探索する第２処理、及び、前記通信経路及び前記クラウドリソースの両方を切り替え対象として、サービスの継続的な提供に適した切替先候補があるか否かを探索する第３処理を、所定の条件に基づく順番で行うことで前記最適な切替先を決定する、
　請求項５又は６に記載の制御装置。
　複数のクラウドリソースと、前記複数のクラウドリソースのいずれかを利用するための経路上に備えられる複数の通信装置とを備える通信システムにおける切替方法であって、
　前記複数のクラウドリソースに関するクラウド情報を前記複数のクラウドリソースそれぞれから収集し、前記複数のクラウドリソースの設定変更を行い、
　前記複数の通信装置及び前記複数の通信装置が形成するネットワークに関するＮＷ情報を前記複数の通信装置それぞれから収集し、前記複数の通信装置における経路切り替えの指示を行い、
　前記クラウド情報と、前記ＮＷ情報を収集し、収集した前記クラウド情報と前記ＮＷ情報とに基づいて、前記クラウドリソースの設定変更の指示又は経路切り替えの指示の少なくともいずれかを行う、
　切替方法。