WO2023007592A1

WO2023007592A1 - 鞍乗り型車両、及び、乗員保護具

Info

Publication number: WO2023007592A1
Application number: PCT/JP2021/027786
Authority: WO
Inventors: 裕相京
Original assignee: 本田技研工業株式会社
Priority date: 2021-07-27
Filing date: 2021-07-27
Publication date: 2023-02-02
Also published as: JPWO2023007592A1

Abstract

鞍乗り型車両及び乗員保護具において、簡単な構造でエアバッグによって乗員を前方及び後方から保護できるようにする。　鞍乗り型車両は、乗員用のシート（１７）と、シート（１７）よりも後方またはシート（１７）の後部に設けられるエアバッグ（４２）とを備え、前記エアバッグ（４２）は、展開時に上方に展開する上方展開部（４５）と、前記上方展開部（４５）の一部分から分岐して延びる第２展開部（５０）とを備え、前記第２展開部（５０）は、前記上方展開部（４５）から車幅方向外側に延出した後に前方に延出する前方延出部（５１）、及び、前方延出部（５１）から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部（５２）を備える。

Description

鞍乗り型車両、及び、乗員保護具

　本発明は、鞍乗り型車両、及び、乗員保護具に関する。

　従来、乗員を後方から保護するエアバッグを備える鞍乗り型車両が知られている（例えば、特許文献１参照）。また、乗員を前方から保護するエアバッグを備える鞍乗り型車両が知られている（例えば、特許文献２参照）。

特開２０１１－１７３４６６号公報特開平１０－６９０１号公報

　エアバッグによって乗員を前方及び後方から保護することが望まれるが、上記従来技術のように、乗員の前方及び後方に個別にエアバッグを設けると、構造が複雑になる。
　本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、鞍乗り型車両、及び、乗員保護具において、簡単な構造でエアバッグによって乗員を前方及び後方から保護できるようにすることを目的とする。

　鞍乗り型車両は、乗員用のシートと、前記シートよりも後方または前記シートの後部に設けられるエアバッグとを備える鞍乗り型車両において、前記エアバッグは、展開時に上方に展開する上方展開部と、前記上方展開部の一部分から分岐して延びる第２展開部とを備え、前記第２展開部は、前記上方展開部から車幅方向外側に延出した後に前方に延出する前方延出部、及び、前記上方展開部から前方または前外側方に延出する第２前方延出部のいずれかを備え、前記第２展開部は、前記前方延出部または前記第２前方延出部から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部を備えることを特徴とする。
　乗員保護具は、車両に乗車する乗員が装着する乗員用装備具と、エアバッグとを備える乗員保護具において、前記エアバッグは、前記乗員用装備具に支持されて前記乗員の胴体の後面側に位置し、前記エアバッグは、展開時に上方に展開する上方展開部と、前記上方展開部の一部分から分岐して延びる第２展開部とを備え、前記第２展開部は、前記上方展開部から車幅方向外側に延出した後に前方に延出する前方延出部、及び、前記上方展開部から前方または前外側方に延出する第２前方延出部のいずれかを備え、前記第２展開部は、前記前方延出部または前記第２前方延出部から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部を備えることを特徴とする乗員保護具。

　簡単な構造でエアバッグによって乗員を前方及び後方から保護できる。

図１は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の側面図である。図２は、エアバッグが展開して運転者を保護している状態を示す左側面図である。図３は、エアバッグが展開して運転者を保護している状態を前方から見た正面図である。図４は、エアバッグが展開して運転者を保護している状態を後方から見た背面図である。図５は、展開したエアバッグを前方から見た正面図である。図６は、第２の実施の形態において、エアバッグが展開して運転者を保護している状態を後方から見た背面図である。図７は、第２の実施の形態の変形例において、エアバッグが展開して運転者を保護している状態を後方から見た背面図である。図８は、第３の実施の形態において、エアバッグが展開して運転者を保護している状態を示す左側面図である。図９は、エアバッグが展開して運転者を保護している状態を前方から見た正面図である。図１０は、第４の実施の形態において、エアバッグが展開して運転者を保護している状態を示す左側面図である。図１１は、エアバッグが展開して運転者を保護している状態を前方から見た正面図である。図１２は、第５の実施の形態において、エアバッグが展開して運転者を保護している状態を示す左側面図である。図１３は、エアバッグが展開して運転者を保護している状態を前方から見た正面図である。図１４は、第６の実施の形態において、エアバッグが展開して運転者を保護している状態を示す左側面図である。図１５は、エアバッグが展開して運転者を保護している状態を前方から見た正面図である。図１６は、第７の実施の形態において、エアバッグが展開して運転者を保護している状態を示す左側面図である。図１７は、エアバッグが展開して運転者を保護している状態を前方から見た正面図である。図１８は、図１６のＸＶＩＩＩ－ＸＶＩＩＩ断面図である。図１９は、第８の実施の形態において、エアバッグが展開して乗員を保護している状態を示す左側面図である。図２０は、エアバッグが展開して乗員を保護している状態を後方から見た背面図である。図２１は、第９の実施の形態において、エアバッグが展開して乗員を保護している状態を後方から見た背面図である。

　以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号ＦＲは車体前方を示し、符号ＵＰは車体上方を示し、符号ＬＨは車体左方を示す。

［実施の形態］
　図１は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両１０の側面図である。
　鞍乗り型車両１０は、車体フレーム１１と、車体フレーム１１に支持されるパワーユニット１２と、前輪１３を操舵自在に支持するフロントフォーク１４と、後輪１５を支持するスイングアーム１６と、乗員用のシート１７とを備える車両である。
　鞍乗り型車両１０は、乗員がシート１７に跨るようにして着座する車両である。シート１７は、車体フレーム１１の後部の上方に設けられる。

　車体フレーム１１は、車体フレーム１１の前端部に設けられるヘッドパイプ１８と、ヘッドパイプ１８の後方に位置するフロントフレーム１９と、フロントフレーム１９の後方に位置するリアフレーム２０とを備える。フロントフレーム１９の前端部は、ヘッドパイプ１８に接続される。
　シート１７は、リアフレーム２０に支持される。

　フロントフォーク１４は、ヘッドパイプ１８によって左右に操舵自在に支持される。前輪１３は、フロントフォーク１４の下端部に設けられる車軸１３ａに支持される。乗員が把持する操舵用のハンドル２１は、フロントフォーク１４の上端部に取り付けられる。

　スイングアーム１６は、車体フレーム１１に支持されるピボット軸２２に支持される。ピボット軸２２は、車幅方向に水平に延びる軸である。スイングアーム１６の前端部には、ピボット軸２２が挿通される。スイングアーム１６は、ピボット軸２２を中心に上下に揺動する。
　後輪１５は、スイングアーム１６の後端部に設けられる車軸１５ａに支持される。

　パワーユニット１２は、前輪１３と後輪１５との間に配置され、車体フレーム１１に支持される。
　パワーユニット１２は、内燃機関である。パワーユニット１２は、クランクケース２３と、往復運動するピストンを収容するシリンダー部２４とを備える。シリンダー部２４の排気ポートには、排気装置２５が接続される。
　パワーユニット１２の出力は、パワーユニット１２と後輪１５とを接続する駆動力伝達部材によって後輪１５に伝達される。

　また、鞍乗り型車両１０は、前輪１３を上方から覆うフロントフェンダー２６と、後輪１５を上方から覆うリアフェンダー２７と、乗員が足を載せるステップ２８と、パワーユニット１２が使用する燃料を蓄える燃料タンク２９とを備える。
　フロントフェンダー２６は、フロントフォーク１４に取り付けられる。リアフェンダー２７及びステップ２８は、シート１７よりも下方に設けられる。燃料タンク２９は、車体フレーム１１に支持される。

　鞍乗り型車両１０は、シート１７の前下方に床状のステップ２８を備えるスクーター型の自動二輪車である。パワーユニット１２は、上記内燃機関とスイングアーム１６とが一体に形成されたユニットスイングエンジンである。パワーユニット１２は、シート１７及びリアフレーム２０の真下に配置される。
　鞍乗り型車両１０は、車体フレーム１１及びパワーユニット１２等の車体を覆う車体カバー３０を備える。

　シート１７は、ハンドル２１の後方で、リアフレーム２０の上方に設けられる。シート１７は、運転者Ｒ（乗員）が着座する前側シート３１と、前側シート３１の後方に配置される後側シート３２とを備える。
　後側シート３２は、前側シート３１に対し段状に高く形成される。後側シート３２には、同乗者が着座したり、荷物を載せたりすることができる。

　鞍乗り型車両１０は、運転者Ｒを保護するエアバッグ装置４０を備える。
　エアバッグ装置４０は、シート１７の後部であって、前側シート３１よりも後方に配置される。
　詳細には、エアバッグ装置４０は、後側シート３２の前部の内部に設けられるエアバッグ収納部３３に収納される。エアバッグ装置４０は、シート１７における運転者Ｒの着座位置１７ａよりも後方に配置される。

　エアバッグ装置４０は、インフレーター４１と、インフレーター４１が放出するガスによって膨張するエアバッグ４２とを備える。エアバッグ４２は、折り畳まれた状態でエアバッグ収納部３３に収納されている。
　エアバッグ４２は、着座位置１７ａよりも後方に配置されるとともに、前輪１３及びシート１７と同様に車幅方向の中央に配置される。

　鞍乗り型車両１０は、鞍乗り型車両１０に作用する衝撃を検知する加速度センサ（不図示）を備える。この加速度センサは鞍乗り型車両１０の制御部（不図示）に電気的に接続され、制御部はインフレーター４１に電気的に接続される。制御部は、検知された加速度に基づいてエアバッグ装置４０の作動及び非作動を判断する。制御部は、エアバッグ装置４０を作動させる場合、インフレーター４１を作動させてエアバッグ４２内にガスを放出する。エアバッグ４２は、ガスの圧力で膨張し、展開する。
　エアバッグ４２は、膨張する際、エアバッグ収納部３３を上方から覆うカバー（不図示）を押し退けて上方に展開する。

　図２は、エアバッグ４２が展開して運転者Ｒを保護している状態を示す左側面図である。図３は、エアバッグ４２が展開して運転者Ｒを保護している状態を前方から見た正面図である。図４は、エアバッグ４２が展開して運転者Ｒを保護している状態を後方から見た背面図である。図５は、展開したエアバッグ４２を前方から見た正面図である。
　エアバッグ４２は、展開時において、エアバッグ収納部３３から上方に展開する上方展開部４５と、上方展開部４５の一部分から分岐して前方に延びる左右一対の第２展開部５０とを備える。
　また、エアバッグ４２は、インフレーター４１に接続されるインフレーター接続部４６（図５）を、上方展開部４５の下端部に備える。

　上方展開部４５は、後方側から見ると、エアバッグ収納部３３から上方に延びる矩形状であり、車幅方向（左右方向）よりも上下方向に長い。
　上方展開部４５は、車幅方向の中央に配置され、運転者Ｒの胴体Ｒ１の後面の略全体を後方から覆う。上方展開部４５は、運転者Ｒの頭部Ｒ２の近傍まで上方に延びる。

　インフレーター接続部４６は、エアバッグ４２を展開させるガスの流入口であり、インフレーター４１が放出するガスは、インフレーター接続部４６から上方展開部４５の下端部に流入する。このガスは、上方展開部４５内を上方に流れる。

　第２展開部５０は、上方展開部４５の車幅方向外側の両側部からそれぞれ前方側に延出する棒状である。第２展開部５０は、上方展開部４５よりも細い棒状である。
　第２展開部５０は、上方展開部４５の下部の側部から延出する。第２展開部５０の基端部は、上方展開部４５内に連通している。
　左右の第２展開部５０は、上方展開部４５の車幅方向の中央を基準に左右対称に設けられる。

　詳細には、第２展開部５０は、上方展開部４５の下端部から車幅方向外側に延出した後に前方に延出する前方延出部５１と、前方延出部５１から車幅方向内側に屈曲して車幅方向内側に延びる内側屈曲部５２とを備える。
　さらに、第２展開部５０は、内側屈曲部５２から屈曲して下方に延びる下方延出部５３と、下方延出部５３から前方延出部５１に向けて折り返す折り返し部５４とを備える。

　第２展開部５０の前方延出部５１は、上方展開部４５の下端部から車幅方向外側に延出する側方延出部５１ａと、側方延出部５１ａから前方に延出する前方延出部本体５１ｂとを備える。側方延出部５１ａは、胴体Ｒ１に対し車幅方向外側に延びる。
　側方延出部５１ａは、第２展開部５０の基端部である。インフレーター接続部４６から上方展開部４５に流入したガスの一部は、側方延出部５１ａから第２展開部５０に流入する。

　前方延出部本体５１ｂは、車両側面視で、側方延出部５１ａから前方の上方に向けて斜めに延びる棒状である。
　前方延出部本体５１ｂは、側方延出部５１ａから、シート１７に着座してハンドル２１を把持する運転者Ｒの腕Ｒ３の下方且つ胴体Ｒ１の外側方を通って前上方に延び、次に腕Ｒ３と胴体Ｒ１との間を通り、胴体Ｒ１の前方まで延出する。
　前方延出部本体５１ｂは、側方延出部５１ａから前方に向かうに従って車幅方向外側に位置するように延出する。

　内側屈曲部５２は、前方延出部５１の前端部から車幅方向内側に延びる。内側屈曲部５２は、ハンドル２１よりも上方に位置する。内側屈曲部５２は、胴体Ｒ１の前面側に回り込み、胴体Ｒ１の前面に接する。

　下方延出部５３は、内側屈曲部５２の車幅方向内側の端部５２ａから下方に延びる。下方延出部５３は、胴体Ｒ１の前面に沿うようにして下方に延びる。

　折り返し部５４は、下方延出部５３の下端部から後方に折り返す。折り返し部５４は、折り返し部５４の後方で前上がりに延びる前方延出部本体５１ｂに向けて延出し、前方延出部本体５１ｂに前方から当接する。

　エアバッグ４２が展開した状態では、エアバッグ４２は、運転者Ｒを周囲から囲み、運転者Ｒに付着する。
　詳細には、上方展開部４５は、胴体Ｒ１を後方から覆い、胴体Ｒ１を後方から保護する。
　左右の前方延出部５１は、腕Ｒ３の下方で胴体Ｒ１を外側方から覆い、胴体Ｒ１を外側方から保護する。

　内側屈曲部５２は、胴体Ｒ１の前面の上部を前方から覆い、胴体Ｒ１の前面の上部を前方から保護する。
　下方延出部５３は、胴体Ｒ１の前面を前方から覆い、胴体Ｒ１を前方から保護する。
　折り返し部５４は、前方延出部本体５１ｂの下方で胴体Ｒ１の下部を覆い、胴体Ｒ１を前方及び外側方から保護する。また、折り返し部５４は、前方延出部本体５１ｂに前方から当接することで、第２展開部５０の全体的な形状の変形を抑制し、第２展開部５０を適切な形状に維持する。また、折り返し部５４は、運転者Ｒに当接することによっても、第２展開部５０を適切な形状に維持することができる。

　エアバッグ４２では、胴体Ｒ１を後方から保護する上方展開部４５と胴体Ｒ１を前方から保護する内側屈曲部５２とが前方延出部５１によって接続されている。このため、一つのエアバッグ４２によって胴体Ｒ１を後方及び前方から保護できる。

　エアバッグ４２は、前方延出部５１が腕Ｒ３と胴体Ｒ１との間を通るため、腕Ｒ３及び胴体Ｒ１が前方延出部５１の展開の邪魔になることを抑制できるとともに、左右の前方延出部５１を介して運転者に良好に付着する。

　エアバッグ４２は、内側屈曲部５２及び下方延出部５３と上方展開部４５とによって、運転者Ｒを車両前後方向から挟む。このため、エアバッグ４２は、運転者Ｒに良好に付着する。
　図３及び図４を参照し、エアバッグ４２が運転者Ｒに対し展開した状態では、内側屈曲部５２の少なくとも一部は、車両前後方向で上方展開部４５に重なる。また、エアバッグ４２が運転者Ｒに対し展開した状態では、下方延出部５３の少なくとも一部は、車両前後方向で上方展開部４５に重なる。
　すなわち、図３に示す正面視では、内側屈曲部５２及び下方延出部５３は、上方展開部４５に前方から重なる。このため、内側屈曲部５２及び下方延出部５３と、上方展開部４５とで運転者Ｒを前後に挟むことができ、エアバッグ４２を運転者Ｒに効果的に付着させることができる。

　第２展開部５０は、棒状であり、容積が小さいため、迅速に展開する。
　図５を参照し、エアバッグ４２が展開した状態で、第２展開部５０の展開方向の長さＬ１は、上方展開部４５の展開方向の長さＬ２よりも長い。

　エアバッグ装置４０には、エアバッグ４２の展開後にエアバッグ４２をインフレーター４１から切り離す切り離し機構４３（図２）が設けられる。切り離し機構４３は、例えば、エアバッグ４２内のガスの圧力によって作動して、エアバッグ４２をインフレーター４１から切り離す。また、切り離し機構４３は、エアバッグ４２の一部を熱によって溶かしてエアバッグ４２をインフレーター４１から切り離しても良い。
　インフレーター４１が作動してエアバッグ４２が展開すると、エアバッグ４２は運転者Ｒに付着するとともに、インフレーター４１から切り離される。このため、エアバッグ４２の展開後に、エアバッグ４２がインフレーター４１に引っ張られて運転者Ｒからずれることが抑制される。
　切り離し機構４３は、切り離されたエアバッグ４２からのガスの流出を抑制する逆止弁（不図示）を備える。このため、エアバッグ４２は、切り離された後も膨張した状態を維持し、運転者Ｒに良好に付着する。

　以上説明したように、本発明を適用した実施の形態によれば、鞍乗り型車両１０は、乗員用のシート１７と、シート１７の後部に設けられるエアバッグ４２とを備え、エアバッグ４２は、展開時に上方に展開する上方展開部４５と、上方展開部４５の一部分である下端部から分岐して延びる第２展開部５０とを備え、第２展開部５０は、上方展開部４５から車幅方向外側に延出した後に前方に延出する前方延出部５１と、前方延出部５１から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部５２とを備える。
　この構成によれば、上方展開部４５によって運転者Ｒを後方から保護でき、上方展開部４５から前方に延びる前方延出部５１から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部５２によって運転者Ｒを前方から保護できる。このため、一つのエアバッグ４２を用いた簡単な構造で、エアバッグ４２によって運転者Ｒを前方及び後方から保護できる。

　また、内側屈曲部５２の少なくとも一部は、車両前後方向で上方展開部４５に重なる。
　この構成によれば、内側屈曲部５２と上方展開部４５とによって運転者Ｒを車両前後方向に挟むことができ、エアバッグ４２を運転者Ｒに良好に付着させて運転者Ｒを保護できる。

　また、前方延出部５１は、前方に向かうに従って車幅方向外側に位置するように延出する。
　この構成によれば、前方延出部５１を運転者Ｒに沿うように前方へ良好に展開できる。

　さらに、第２展開部５０は、内側屈曲部５２から屈曲して下方に延びる下方延出部５３を備える。
　この構成によれば、内側屈曲部５２から下方に延びる下方延出部５３によって、運転者Ｒを上下方向に広い範囲に亘って保護できる。

　また、前方延出部５１は、車両側面視で、前方の上方に向けて斜めに延びる。
　この構成によれば、下方延出部５３を高い位置から下方に延出させることができるため、運転者Ｒを上下方向に広い範囲に亘って保護できる。また、例えば、エアバッグ４２を低い位置に配置した場合であっても、前方延出部５１が前方の上方に向けて斜めに延びるため、運転者Ｒを上下方向に広い範囲に亘って保護できる。このため、エアバッグ４２の配置の自由度を向上できる。また、前方延出部５１が斜めに延びるため、前方延出部５１が運転者Ｒを覆う範囲を広くでき、運転者Ｒを良好に保護できる。

　また、第２展開部５０は、下方延出部５３から前方延出部５１に向けて折り返す折り返し部５４を備える。
　この構成によれば、折り返し部５４によって運転者Ｒを保護できる。また、折り返し部５４が前方延出部５１に当接することで、第２展開部５０を適切な形状に維持し易い。

　また、上方展開部４５は、シート１７に着座する運転者Ｒの胴体Ｒ１の後面に沿って上方に展開し、第２展開部５０は、シート１７に着座して操舵用のハンドル２１を把持する運転者Ｒの腕Ｒ３の下方且つ胴体Ｒ１の外側方を通って前方に延出し、胴体Ｒ１を前方から覆う。
　この構成によれば、第２展開部５０を、腕Ｒ３の下方且つ胴体Ｒ１の外側方を通して胴体Ｒ１の前方に延出させることができる。上方展開部４５によって胴体Ｒ１を後方から保護でき、第２展開部５０によって胴体Ｒ１を前方及び外側方から保護できる。第２展開部５０は、腕Ｒ３の下方且つ胴体Ｒ１の外側方を通ることが可能な大きさであるため、第２展開部５０をコンパクト化できる。

　また、エアバッグ４２内にガスを噴出してエアバッグ４２を展開させるインフレーター４１がエアバッグ４２に接続され、エアバッグ４２の展開後にエアバッグ４２をインフレーター４１から切り離す切り離し機構４３が設けられる。
　この構成によれば、エアバッグ４２の展開後にエアバッグ４２がインフレーター４１から切り離されるため、エアバッグ４２の展開後に、エアバッグ４２がインフレーター４１によって下方にずらされることが抑制される。このため、エアバッグ４２を運転者Ｒに良好に付着させることができる。

　なお、上記実施の形態は本発明を適用した一態様を示すものであって、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
　上記実施の形態では、エアバッグ４２は、シート１７の後部に設けられるものとして説明したが、本発明はこれに限定されない。エアバッグ４２は、着座位置１７ａよりも後方に配置されれば良く、乗員用のシートよりも後方で、例えば車体カバーの内側に配置されても良い。
　また、第２展開部５０は、左右一対設けられるものとして説明したが、左右の一方のみに設けられても良い。
　さらに、上記実施の形態では、鞍乗り型車両１０として自動二輪車を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は、前輪または後輪を２つ備える３輪の鞍乗り型車両及び４輪以上を備える鞍乗り型車両に適用可能である。

［第２の実施の形態］
　以下、図６を参照して、本発明を適用した第２の実施の形態について説明する。この第２の実施の形態において、上記実施の形態（第１の実施の形態）と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
　本第２の実施の形態は、第２展開部２５０が、上方展開部２４５から真正面に延出する点が、上記実施の形態と異なる。

　図６は、第２の実施の形態において、エアバッグ２４２が展開して運転者Ｒを保護している状態を後方から見た背面図である。
　エアバッグ２４２は、エアバッグ収納部３３（図２）に収納される。エアバッグ２４２は、切り離し機構４３（図２）を介してインフレーター４１に接続される。

　エアバッグ２４２は、上方展開部２４５と、展開時において上方展開部２４５の一部分から分岐して前方に延びる左右一対の第２展開部２５０と、インフレーター接続部４６（図５）とを備える。

　上方展開部２４５は、上記実施の形態の上方展開部４５の幅を車幅方向に拡大したものであり、幅以外の基本形状は、上方展開部４５と同じである。インフレーター接続部４６は、上方展開部２４５の下端部に設けられる。
　上方展開部２４５の車幅方向の幅は、胴体Ｒ１の幅よりも大きい。このため、展開した状態では、上方展開部２４５の車幅方向の両端部は、胴体Ｒ１に対し車幅方向外側に位置する。

　第２展開部２５０は、上方展開部２４５の前面からそれぞれ車両前方に延出する棒状である。第２展開部２５０は、上方展開部２４５よりも細い棒状である。

　詳細には、各第２展開部２５０は、上方展開部２４５の下端部の前面における車幅方向外側の端部から前方に延出する第２前方延出部２５１と、第２前方延出部２５１の前端部から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部５２と、下方延出部５３と、折り返し部５４とを備える。
　第２展開部２５０の内側屈曲部５２、下方延出部５３、及び折り返し部５４は、図３の内側屈曲部５２、下方延出部５３、及び折り返し部５４と同一形状であり、これらについては図３を参照して説明する。

　第２前方延出部２５１は、上方展開部２４５からほぼ真正面に向けて前方に延出する棒状である。第２前方延出部２５１は、前方の上方に向けて斜めに延びており、車両側面視では、図２の前方延出部本体５１ｂと同様に前上がりに延びる。
　第２前方延出部２５１は、上方展開部２４５から胴体Ｒ１の外側方を通って前上方に延び、腕Ｒ３と胴体Ｒ１との間を通り、胴体Ｒ１の前方まで延出する。第２前方延出部２５１は、胴体Ｒ１を外側方から保護する。
　第２展開部２５０の内側屈曲部５２は、前上がりの第２前方延出部２５１の前端部から車幅方向内側に延出する。
　第２展開部２５０の折り返し部５４は、前方から第２前方延出部２５１に当接する。

　エアバッグ２４２では、胴体Ｒ１を後方から保護する上方展開部２４５と胴体Ｒ１を前方から保護する内側屈曲部５２とが第２前方延出部２５１によって接続されている。このため、一つのエアバッグ２４２によって胴体Ｒ１を後方及び前方から保護できる。

　以上説明したように、本発明を適用した第２の実施の形態によれば、エアバッグ２４２は、展開時に上方に展開する上方展開部２４５と、上方展開部２４５の一部分である下端部から分岐して延びる第２展開部２５０とを備え、第２展開部２５０は、上方展開部２４５から前方に延出する第２前方延出部２５１と、第２前方延出部２５１から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部５２とを備える。
　この構成によれば、上方展開部２４５によって運転者Ｒを後方から保護でき、上方展開部２４５から前方に延びる第２前方延出部２５１から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部５２によって運転者Ｒを前方から保護できる。このため、一つのエアバッグ２４２を用いた簡単な構造で、エアバッグ２４２によって運転者Ｒを前方及び後方から保護できる。

　図７は、第２の実施の形態の変形例において、エアバッグ２４２が展開して運転者Ｒを保護している状態を後方から見た背面図である。この変形例において、上記第２の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
　上記第２の実施の形態では、第２展開部２５０は、上方展開部２４５の前面から前方に延出するが、第２展開部２５０は、上方展開部２４５の前面から前外側方に延出しても良い。

　この変形例では、区別のため、第２展開部２５０を第２展開部２５０´と示す。
　第２展開部２５０´の第２前方延出部２５１´は、上方展開部２４５の前面から前外側方に延出する。第２前方延出部２５１´は、上方展開部２４５から内側屈曲部５２に至るまでは、後方に向かうに従って車幅方向外側に位置するように傾斜する。
　第２前方延出部２５１´は、前方の上方に向けて斜めに延びており、車両側面視では、図２の前方延出部本体５１ｂと同様に前上がりに延びる。
　第２前方延出部２５１´は、上方展開部２４５から胴体Ｒ１の外側方を通って前上方に延び、腕Ｒ３と胴体Ｒ１との間を通り、胴体Ｒ１の前方まで延出する。
　第２展開部２５０´の内側屈曲部５２は、前上がりの第２前方延出部２５１´の前端部から車幅方向内側に延出する。第２展開部２５０´の折り返し部５４（図３参照）は、第２前方延出部２５１´に向けて後方に折り返す。

［第３の実施の形態］
　以下、図８及び図９を参照して、本発明を適用した第３の実施の形態について説明する。この第３の実施の形態において、上記実施の形態（第１の実施の形態）と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
　本第３の実施の形態は、上記第２展開部５０とは異なる形状の第２展開部３５０が設けられる点が、上記実施の形態と異なる。

　図８は、第３の実施の形態において、エアバッグ３４２が展開して運転者Ｒを保護している状態を示す左側面図である。図９は、エアバッグ３４２が展開して運転者Ｒを保護している状態を前方から見た正面図である。
　エアバッグ３４２は、エアバッグ収納部３３に収納される。エアバッグ３４２は、切り離し機構４３を介してインフレーター４１に接続される。

　エアバッグ３４２は、上方展開部４５と、展開時において上方展開部４５の一部分から分岐して前方に延びる左右一対の第２展開部３５０とを備える。
　また、エアバッグ３４２は、インフレーター接続部４６（図５）を、上方展開部４５の下端部に備える。

　第２展開部３５０は、上方展開部４５の車幅方向外側の両側部からそれぞれ前方側に延出する棒状である。第２展開部３５０は、上方展開部４５よりも細い棒状である。
　第２展開部３５０は、上方展開部４５の下部の側部から延出する。第２展開部３５０の基端部は、上方展開部４５内に連通している。
　左右の第２展開部３５０は、上方展開部４５の車幅方向の中央を基準に左右対称に設けられる。

　詳細には、第２展開部３５０は、上方展開部４５の下端部から車幅方向外側に延出した後に前方に延出する前方延出部３５１と、前方延出部３５１から車幅方向内側に屈曲して車幅方向内側に延びる内側屈曲部３５２とを備える。
　さらに、第２展開部３５０は、内側屈曲部３５２から屈曲して上方に延びる上方延出部３５３と、上方延出部３５３から後方に向けて折り返す後方折り返し部３５４とを備える。

　前方延出部３５１は、上方展開部４５の下端部から車幅方向外側に延出する側方延出部３５１ａと、側方延出部３５１ａから前方に延出する前方延出部本体３５１ｂとを備える。側方延出部３５１ａは、胴体Ｒ１に対し車幅方向外側に延びる。
　側方延出部３５１ａは、第２展開部３５０の基端部である。インフレーター接続部４６から上方展開部４５に流入したガスの一部は、側方延出部３５１ａから第２展開部３５０に流入する。

　前方延出部本体３５１ｂは、車両側面視で、側方延出部３５１ａから前方に向けて略水平に延びる棒状である。
　前方延出部本体３５１ｂは、側方延出部３５１ａから、腕Ｒ３の下方且つ胴体Ｒ１の外側方を通って、胴体Ｒ１よりも前方まで延出する。
　前方延出部本体３５１ｂは、側方延出部３５１ａから前方に向かうに従って車幅方向外側に位置するように延出する。

　内側屈曲部３５２は、前方延出部本体３５１ｂの前端部から車幅方向内側に延びる。内側屈曲部３５２は、ハンドル２１よりも下方に位置する。内側屈曲部３５２は、胴体Ｒ１の前面側に回り込み、胴体Ｒ１の前面に接する。

　上方延出部３５３は、内側屈曲部３５２の車幅方向内側の端部３５２ａから上方に延びる。上方延出部３５３は、胴体Ｒ１の前面に沿うようにして上方に延びる。上方延出部３５３は、ハンドル２１よりも上方に延びる。

　後方折り返し部３５４は、上方延出部３５３の上端部から後方且つ車幅方向外側に折り返す。後方折り返し部３５４は、胴体Ｒ１の上部及び腕Ｒ３の上部の少なくともいずれかに前方から当接する。

　エアバッグ３４２が展開した状態では、エアバッグ３４２は、運転者Ｒを周囲から囲み、運転者Ｒに付着する。
　詳細には、上方展開部４５は、胴体Ｒ１を後方から覆い、胴体Ｒ１を後方から保護する。
　左右の前方延出部３５１は、腕Ｒ３の下方で胴体Ｒ１を外側方から覆い、胴体Ｒ１を外側方から保護する。

　内側屈曲部３５２は、胴体Ｒ１の前面の下部を前方から覆い、胴体Ｒ１の前面の下部を前方から保護する。
　上方延出部３５３は、胴体Ｒ１の前面を前方から覆い、胴体Ｒ１を前方から保護する。
　後方折り返し部３５４は、胴体Ｒ１の上部及び腕Ｒ３の上部の少なくともいずれかを覆い、胴体Ｒ１及び腕Ｒ３を前方から保護する。また、後方折り返し部３５４は、胴体Ｒ１及び腕Ｒ３の少なくともいずれかに前方から当接することで、第２展開部３５０の全体的な形状の変形を抑制し、第２展開部３５０を適切な形状に維持する。

　エアバッグ３４２では、胴体Ｒ１を後方から保護する上方展開部４５と胴体Ｒ１を前方から保護する内側屈曲部３５２とが前方延出部３５１によって接続されている。このため、一つのエアバッグ３４２によって胴体Ｒ１を後方及び前方から保護できる。

　エアバッグ３４２は、前方延出部３５１が腕Ｒ３の下方且つ胴体Ｒ１の外側方を通るため、腕Ｒ３及び胴体Ｒ１が前方延出部３５１の展開の邪魔になることを抑制できるとともに、左右の前方延出部３５１を介して運転者に良好に付着する。

　エアバッグ３４２は、内側屈曲部３５２及び上方延出部３５３と上方展開部４５とによって、運転者Ｒを車両前後方向から挟む。このため、エアバッグ３４２は、運転者Ｒに良好に付着する。
　図８及び図９を参照し、エアバッグ３４２が運転者Ｒに対し展開した状態では、内側屈曲部３５２の少なくとも一部は、車両前後方向で上方展開部４５に重なる。また、エアバッグ４２が運転者Ｒに対し展開した状態では、上方延出部３５３の少なくとも一部は、車両前後方向で上方展開部４５に重なる。
　すなわち、図９に示す正面視では、内側屈曲部３５２及び上方延出部３５３は、上方展開部４５に前方から重なる。このため、内側屈曲部３５２及び上方延出部３５３と、上方展開部４５とで運転者Ｒを前後に挟むことができ、エアバッグ３４２を運転者Ｒに効果的に付着させることができる。
　第２展開部３５０は、棒状であり、容積が小さいため、迅速に展開する。

　以上説明したように、本発明を適用した第３の実施の形態によれば、エアバッグ３４２は、展開時に上方に展開する上方展開部４５と、上方展開部４５の一部分である下端部から分岐して延びる第２展開部３５０とを備え、第２展開部３５０は、上方展開部４５から車幅方向外側に延出した後に前方に延出する前方延出部３５１と、前方延出部３５１から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部３５２とを備える。
　この構成によれば、上方展開部４５によって運転者Ｒを後方から保護でき、上方展開部４５の前方の前方延出部３５１から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部３５２によって運転者Ｒを前方から保護できる。このため、簡単な構造でエアバッグ３４２によって運転者Ｒを前方及び後方から保護できる。

　また、第２展開部３５０は、内側屈曲部３５２から屈曲して上方に延びる上方延出部３５３を備える。
　この構成によれば、内側屈曲部３５２から上方に延びる上方延出部３５３によって、運転者Ｒを上下方向に広い範囲に亘って保護できる。

　上記第３の実施の形態では、第２展開部３５０は、前方延出部３５１を備えるが、前方延出部３５１に替えて、図６のように上方展開部２４５から前方に延出する第２前方延出部、または、図７のように上方展開部２４５から前外側方に延出する第２前方延出部を備えても良い。この場合、第２前方延出部は、車両側面視では、図８のように略水平に前方へ延び、内側屈曲部３５２は第２前方延出部の前端部から車幅方向内側に延びる。

［第４の実施の形態］
　以下、図１０及び図１１を参照して、本発明を適用した第４の実施の形態について説明する。この第４の実施の形態において、上記実施の形態（第１の実施の形態）と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
　本第４の実施の形態は、上記第２展開部５０とは異なる形状の第２展開部４５０が設けられる点が、上記実施の形態と異なる。

　図１０は、第４の実施の形態において、エアバッグ４４２が展開して運転者Ｒを保護している状態を示す左側面図である。図１１は、エアバッグ４４２が展開して運転者Ｒを保護している状態を前方から見た正面図である。
　エアバッグ４４２は、エアバッグ収納部３３に収納される。エアバッグ４４２は、切り離し機構４３を介してインフレーター４１に接続される。

　エアバッグ４４２は、上方展開部４５と、展開時において上方展開部４５の一部分から分岐して前方に延びる左右一対の第２展開部４５０とを備える。
　また、エアバッグ４４２は、インフレーター接続部４６（図５）を、上方展開部４５の下端部に備える。

　第２展開部４５０は、上方展開部４５の車幅方向外側の両側部からそれぞれ前方側に延出する棒状である。第２展開部４５０は、上方展開部４５よりも細い棒状である。
　第２展開部４５０は、上方展開部４５の上部の側部から延出する。第２展開部４５０の基端部は、上方展開部４５内に連通している。
　左右の第２展開部４５０は、上方展開部４５の車幅方向の中央を基準に左右対称に設けられる。

　詳細には、第２展開部４５０は、上方展開部４５の上端部から車幅方向外側に延出した後に前方に延出する前方延出部４５１と、前方延出部４５１から車幅方向内側に屈曲して車幅方向内側に延びる内側屈曲部４５２とを備える。
　さらに、第２展開部４５０は、内側屈曲部４５２から屈曲して上方に延びる上方延出部４５３と、上方延出部４５３から後方に向けて折り返す第２折り返し部４５４とを備える。

　前方延出部４５１は、上方展開部４５の上端部から車幅方向外側に延出する側方延出部４５１ａと、側方延出部４５１ａから前方に延出する前方延出部本体４５１ｂとを備える。側方延出部４５１ａは、胴体Ｒ１に対し車幅方向外側に延びる。
　側方延出部４５１ａは、第２展開部４５０の基端部である。インフレーター接続部４６から上方展開部４５に流入したガスの一部は、側方延出部４５１ａから第２展開部４５０に流入する。

　前方延出部本体４５１ｂは、車両側面視で、側方延出部４５１ａから前方の下方に向けて斜めに延びる棒状である。
　前方延出部本体４５１ｂは、側方延出部４５１ａから、腕Ｒ３の下方且つ胴体Ｒ１の外側方を通って、胴体Ｒ１よりも前方まで延出する。前方延出部本体４５１ｂは、車両側面視で、腕Ｒ３に沿って前下がりに延びる。
　前方延出部本体４５１ｂは、側方延出部４５１ａからほぼ真正面に向けて前方に延びるが、前方に向かうに従って車幅方向外側に位置するように延出しても良い。

　内側屈曲部４５２は、前方延出部本体４５１ｂの前端部から車幅方向内側に延びる。内側屈曲部４５２は、ハンドル２１よりも下方に位置する。内側屈曲部４５２は、胴体Ｒ１の前面側に回り込み、胴体Ｒ１の前面に接する。

　上方延出部４５３は、内側屈曲部４５２の車幅方向内側の端部４５２ａから上方に延びる。上方延出部４５３は、胴体Ｒ１の前面に沿うようにして上方に延びる。上方延出部４５３は、ハンドル２１よりも上方に延びる。

　第２折り返し部４５４は、上方延出部４５３の上端部から後方且つ車幅方向外側に折り返す。第２折り返し部４５４は、第２折り返し部４５４の後方で前下がりに延びる前方延出部本体４５１ｂに向けて後方に延出する。

　エアバッグ４４２が展開した状態では、エアバッグ４４２は、運転者Ｒを周囲から囲み、運転者Ｒに付着する。
　詳細には、上方展開部４５は、胴体Ｒ１を後方から覆い、胴体Ｒ１を後方から保護する。
　左右の前方延出部４５１は、腕Ｒ３の下方で胴体Ｒ１を外側方から覆い、胴体Ｒ１を外側方から保護する。

　内側屈曲部４５２は、胴体Ｒ１の前面の下部を前方から覆い、胴体Ｒ１の前面の下部を前方から保護する。
　上方延出部４５３は、胴体Ｒ１の前面を前方から覆い、胴体Ｒ１を前方から保護する。
　第２折り返し部４５４は、胴体Ｒ１の上部及び腕Ｒ３の上部の少なくともいずれかを覆い、胴体Ｒ１及び腕Ｒ３を前方から保護する。また、第２折り返し部４５４は、胴体Ｒ１及び腕Ｒ３の少なくともいずれかに前方から当接することで、第２展開部４５０の全体的な形状の変形を抑制し、第２展開部４５０を適切な形状に維持する。

　エアバッグ４４２では、胴体Ｒ１を後方から保護する上方展開部４５と胴体Ｒ１を前方から保護する内側屈曲部４５２とが前方延出部４５１によって接続されている。このため、一つのエアバッグ４４２によって胴体Ｒ１を後方及び前方から保護できる。

　エアバッグ４４２は、前方延出部４５１が腕Ｒ３の下方且つ胴体Ｒ１の外側方を通るため、腕Ｒ３及び胴体Ｒ１が前方延出部４５１の展開の邪魔になることを抑制できるとともに、左右の前方延出部４５１を介して運転者に良好に付着する。

　図９に示す正面視では、内側屈曲部４５２及び上方延出部４５３は、上方展開部４５（図１０）に前方から重なる。このため、内側屈曲部４５２及び上方延出部４５３と、上方展開部４５とで運転者Ｒを前後に挟むことができ、エアバッグ４４２を運転者Ｒに効果的に付着させることができる。

　以上説明したように、本発明を適用した第４の実施の形態によれば、エアバッグ４４２は、展開時に上方に展開する上方展開部４５と、上方展開部４５の一部分である上端部から分岐して延びる第２展開部４５０とを備え、第２展開部４５０は、上方展開部４５から車幅方向外側に延出した後に前方に延出する前方延出部４５１と、前方延出部４５１から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部４５２とを備える。
　この構成によれば、上方展開部４５によって運転者Ｒを後方から保護でき、上方展開部４５の前方の前方延出部４５１から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部４５２によって運転者Ｒを前方から保護できる。このため、簡単な構造でエアバッグ４４２によって運転者Ｒを前方及び後方から保護できる。

　また、第２展開部４５０は、内側屈曲部４５２から屈曲して上方に延びる上方延出部４５３を備える。
　この構成によれば、内側屈曲部４５２から上方に延びる上方延出部４５３によって、運転者Ｒを上下方向に広い範囲に亘って保護できる。

　また、前方延出部４５１は、車両側面視で、前方の下方に向けて斜めに延びる。
　この構成によれば、上方延出部４５３を低い位置から上方に延出させることができるため、運転者Ｒを上下方向に広い範囲に亘って保護できる。また、前方延出部４５１が斜めに延びるため、前方延出部４５１が運転者を覆う範囲を広くでき、運転者Ｒを良好に保護できる。

　また、第２展開部４５０は、上方延出部４５３から前方延出部４５１に向けて折り返す第２折り返し部４５４を備える。
　この構成によれば、第２折り返し部４５４によって運転者Ｒを保護できる。また、第２折り返し部４５４が、運転者Ｒに当接することで、第２展開部４５０を適切な形状に維持し易い。なお、第２折り返し部４５４は、前方延出部４５１に前方から当接することで第２展開部４５０の形状を維持しても良い。

　上記第４の実施の形態では、第２展開部４５０は、前方延出部４５１を備えるが、前方延出部４５１に替えて、図６のように上方展開部２４５から前方に延出する第２前方延出部、または、図７のように上方展開部２４５から前外側方に延出する第２前方延出部を備えても良い。この場合、第２前方延出部は、車両側面視では、図１０のように前下がりに前方へ延び、内側屈曲部４５２は第２前方延出部の前端部から車幅方向内側に延びる。また、この第２前方延出部に向けて第２折り返し部４５４は折り返しても良い。

［第５の実施の形態］
　以下、図１２及び図１３を参照して、本発明を適用した第５の実施の形態について説明する。この第５の実施の形態において、上記実施の形態（第１の実施の形態）と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
　本第５の実施の形態は、上記第２展開部５０とは異なる形状の第２展開部５５０が設けられる点が、上記実施の形態と異なる。

　図１２は、第５の実施の形態において、エアバッグ５４２が展開して運転者Ｒを保護している状態を示す左側面図である。図１３は、エアバッグ５４２が展開して運転者Ｒを保護している状態を前方から見た正面図である。
　エアバッグ５４２は、エアバッグ収納部３３に収納される。エアバッグ５４２は、切り離し機構４３を介してインフレーター４１に接続される。

　エアバッグ５４２は、上方展開部４５と、展開時において上方展開部４５の一部分から分岐して前方に延びる左右一対の第２展開部５５０とを備える。
　また、エアバッグ５４２は、インフレーター接続部４６（図５）を、上方展開部４５の下端部に備える。

　第２展開部５５０は、上方展開部４５の車幅方向外側の両側部からそれぞれ前方側に延出する棒状である。第２展開部５５０は、上方展開部４５よりも細い棒状である。
　第２展開部５５０は、上方展開部４５の下部の側部から延出する。第２展開部５５０の基端部は、上方展開部４５内に連通している。
　左右の第２展開部５５０は、上方展開部４５の車幅方向の中央を基準に左右対称に設けられる。

　詳細には、第２展開部５５０は、上方展開部４５の下端部から車幅方向外側且つ上方に延出した後に前方に延出する前方延出部５５１と、前方延出部５５１から車幅方向内側に屈曲して車幅方向内側に延びる内側屈曲部５５２とを備える。
　さらに、第２展開部５５０は、内側屈曲部５５２から屈曲して上方に延びる上方延出部５５３と、上方延出部５５３から後方に向けて折り返す後方折り返し部５５４とを備える。

　前方延出部５５１は、上方展開部４５の下端部から車幅方向外側且つ上方に延出する外側上方延出部５５１ａと、外側上方延出部５５１ａの上端部５５１ｄから前方に延出する中間延出部５５１ｂと、中間延出部５５１ｂの前端部から前下方に延出する前下方延出部５５１ｃとを備える。

　外側上方延出部５５１ａは、胴体Ｒ１に対し車幅方向外側に延びる。また、外側上方延出部５５１ａの上端部５５１ｄは、上方展開部４５の上下の中間部と同じ高さ位置にある。外側上方延出部５５１ａは、車両側面視で、略全体が上方展開部４５に車幅方向外側から重なる。外側上方延出部５５１ａは、第２展開部５５０の基端部である。インフレーター接続部４６から上方展開部４５に流入したガスの一部は、外側上方延出部５５１ａから第２展開部５５０に流入する。

　中間延出部５５１ｂは、上方展開部４５の上下の中間部の高さ位置にある上端部５５１ｄで屈曲して前方に延出する。中間延出部５５１ｂは、上端部５５１ｄから、腕Ｒ３の下方且つ胴体Ｒ１の外側方を通って、胴体Ｒ１の前面近傍まで延出する。中間延出部５５１ｂは、車両側面視で、やや前下がりである。中間延出部５５１ｂは、上端部５５１ｄからほぼ真正面に向けて前方に延びるが、前方に向かうに従って車幅方向外側に位置するように延出しても良い。
　前下方延出部５５１ｃは、中間延出部５５１ｂの前端部から、胴体Ｒ１の前方まで前下方に延びる。

　内側屈曲部５５２は、前下方延出部５５１ｃの前端部から車幅方向内側に延びる。内側屈曲部５５２は、ハンドル２１よりも下方に位置する。内側屈曲部５５２は、胴体Ｒ１の前面側に回り込み、胴体Ｒ１の前面に接する。

　上方延出部５５３は、内側屈曲部５５２の車幅方向内側の端部５５２ａから上方に延びる。上方延出部５５３は、胴体Ｒ１の前面に沿うようにして上方に延びる。上方延出部５５３は、ハンドル２１よりも上方に延びる。
　後方折り返し部５５４は、上方延出部５５３の上端部から後方且つ車幅方向外側に折り返す。

　エアバッグ５４２が展開した状態では、エアバッグ５４２は、運転者Ｒを周囲から囲み、運転者Ｒに付着する。
　詳細には、上方展開部４５は、胴体Ｒ１を後方から覆い、胴体Ｒ１を後方から保護する。
　左右の前方延出部５５１は、腕Ｒ３の下方で胴体Ｒ１を外側方から覆い、胴体Ｒ１を外側方から保護する。

　内側屈曲部５５２は、胴体Ｒ１の前面の下部を前方から覆い、胴体Ｒ１の前面の下部を前方から保護する。
　上方延出部５５３は、胴体Ｒ１の前面を前方から覆い、胴体Ｒ１を前方から保護する。
　後方折り返し部５５４は、胴体Ｒ１の上部及び腕Ｒ３の上部の少なくともいずれかを覆い、胴体Ｒ１及び腕Ｒ３を前方から保護する。また、後方折り返し部５５４は、胴体Ｒ１及び腕Ｒ３の少なくともいずれかに前方から当接することで、第２展開部５５０の全体的な形状の変形を抑制し、第２展開部５５０を適切な形状に維持する。

　エアバッグ５４２では、胴体Ｒ１を後方から保護する上方展開部４５と胴体Ｒ１を前方から保護する内側屈曲部５５２とが前方延出部５５１によって接続されている。このため、一つのエアバッグ５４２によって胴体Ｒ１を後方及び前方から保護できる。

　エアバッグ５４２は、前方延出部５５１が腕Ｒ３の下方且つ胴体Ｒ１の外側方を通るため、腕Ｒ３及び胴体Ｒ１が前方延出部５５１の展開の邪魔になることを抑制できるとともに、左右の前方延出部５５１を介して運転者に良好に付着する。

　図１３に示す正面視では、内側屈曲部５５２及び上方延出部５５３は、上方展開部４５（図１２）に前方から重なる。このため、内側屈曲部５５２及び上方延出部５５３と、上方展開部４５とで運転者Ｒを前後に挟むことができ、エアバッグ５４２を運転者Ｒに効果的に付着させることができる。

　以上説明したように、本発明を適用した第５の実施の形態によれば、エアバッグ５４２は、展開時に上方に展開する上方展開部４５と、上方展開部４５の一部分から分岐して延びる第２展開部５５０とを備え、第２展開部５５０は、上方展開部４５から車幅方向外側に延出した後に前方に延出する前方延出部５５１と、前方延出部５５１から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部５５２とを備える。
　この構成によれば、上方展開部４５によって運転者Ｒを後方から保護でき、上方展開部４５の前方の前方延出部５５１から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部５５２によって運転者Ｒを前方から保護できる。このため、簡単な構造でエアバッグ５４２によって運転者Ｒを前方及び後方から保護できる。

　また、前方延出部５５１は、上方展開部４５の下部から車幅方向外側且つ上方に延び、車両側面視における上方展開部４５の上下の中間部の高さ位置で屈曲して前方に延出する。
　この構成によれば、前方延出部５５１が、車両側面視における上方展開部４５の上下の中間部の高さ位置で屈曲して前方に延出するため、運転者Ｒが前方延出部５５１の展開の邪魔になり難いとともに、前方延出部５５１を低過ぎない位置に通すことができ、第２展開部５５０によって運転者Ｒを良好に保護できる。前方延出部５５１が低過ぎる場合、第２展開部５５０が胴体Ｒ１から遠くなる。前方延出部５５１が高過ぎる場合、前方延出部５５１が腕Ｒ３に当たり易くなる。

［第６の実施の形態］
　以下、図１４及び図１５を参照して、本発明を適用した第６の実施の形態について説明する。この第６の実施の形態において、上記実施の形態（第１の実施の形態）と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
　本第６の実施の形態は、上記第２展開部５０とは異なる形状の第２展開部６５０が設けられる点が、上記実施の形態と異なる。

　図１４は、第６の実施の形態において、エアバッグ６４２が展開して運転者Ｒを保護している状態を示す左側面図である。図１５は、エアバッグ６４２が展開して運転者Ｒを保護している状態を前方から見た正面図である。
　エアバッグ６４２は、エアバッグ収納部３３に収納される。エアバッグ６４２は、切り離し機構４３を介してインフレーター４１に接続される。

　エアバッグ６４２は、上方展開部４５と、展開時において上方展開部４５の一部分から分岐して前方に延びる左右一対の第２展開部６５０とを備える。
　また、エアバッグ６４２は、インフレーター接続部４６（図５）を、上方展開部４５の下端部に備える。

　第２展開部６５０は、上方展開部４５の車幅方向外側の両側部からそれぞれ前方側に延出する棒状である。第２展開部６５０は、上方展開部４５よりも細い棒状である。
　第２展開部６５０は、上方展開部４５の上部の側部から延出する。第２展開部６５０の基端部は、上方展開部４５内に連通している。
　左右の第２展開部６５０は、上方展開部４５の車幅方向の中央を基準に左右対称に設けられる。

　詳細には、第２展開部６５０は、上方展開部４５の上端部から車幅方向外側且つ下方に延出した後に前方に延出する前方延出部６５１と、前方延出部６５１から車幅方向内側に屈曲して車幅方向内側に延びる内側屈曲部６５２とを備える。
　さらに、第２展開部６５０は、内側屈曲部６５２から屈曲して上方に延びる上方延出部６５３と、上方延出部６５３から後方に向けて折り返す後方折り返し部６５４とを備える。

　前方延出部６５１は、上方展開部４５の上端部から車幅方向外側且つ下方に延出する外側下方延出部６５１ａと、外側下方延出部６５１ａの下端部６５１ｄから前方に延出する中間延出部６５１ｂと、中間延出部６５１ｂの前端部から前下方に延出する前下方延出部６５１ｃとを備える。

　外側下方延出部６５１ａは、胴体Ｒ１に対し車幅方向外側に延びる。また、外側下方延出部６５１ａの下端部６５１ｄは、上方展開部４５の上下の中間部と同じ高さ位置にある。外側下方延出部６５１ａは、車両側面視で、略全体が上方展開部４５に車幅方向外側から重なる。外側下方延出部６５１ａは、第２展開部６５０の基端部である。インフレーター接続部４６から上方展開部４５に流入したガスの一部は、外側下方延出部６５１ａから第２展開部６５０に流入する。

　中間延出部６５１ｂは、上方展開部４５の上下の中間部の高さ位置にある下端部６５１ｄで屈曲して前方に延出する。中間延出部６５１ｂは、下端部６５１ｄから、腕Ｒ３の下方且つ胴体Ｒ１の外側方を通って、胴体Ｒ１の前面近傍まで延出する。中間延出部６５１ｂは、車両側面視で、やや前下がりである。中間延出部６５１ｂは、下端部６５１ｄからほぼ真正面に向けて前方に延びるが、前方に向かうに従って車幅方向外側に位置するように延出しても良い。
　前下方延出部６５１ｃは、中間延出部６５１ｂの前端部から、胴体Ｒ１の前方まで前下方に延びる。

　内側屈曲部６５２は、前下方延出部６５１ｃの前端部から車幅方向内側に延びる。内側屈曲部６５２は、ハンドル２１よりも下方に位置する。内側屈曲部６５２は、胴体Ｒ１の前面側に回り込み、胴体Ｒ１の前面に接する。

　上方延出部６５３は、内側屈曲部６５２の車幅方向内側の端部６５２ａから上方に延びる。上方延出部６５３は、胴体Ｒ１の前面に沿うようにして上方に延びる。上方延出部６５３は、ハンドル２１よりも上方に延びる。
　後方折り返し部６５４は、上方延出部６５３の上端部から後方且つ車幅方向外側に折り返す。

　エアバッグ６４２が展開した状態では、エアバッグ６４２は、運転者Ｒを周囲から囲み、運転者Ｒに付着する。
　詳細には、上方展開部４５は、胴体Ｒ１を後方から覆い、胴体Ｒ１を後方から保護する。
　左右の前方延出部６５１は、腕Ｒ３の下方で胴体Ｒ１を外側方から覆い、胴体Ｒ１を外側方から保護する。

　内側屈曲部６５２は、胴体Ｒ１の前面の下部を前方から覆い、胴体Ｒ１の前面の下部を前方から保護する。
　上方延出部６５３は、胴体Ｒ１の前面を前方から覆い、胴体Ｒ１を前方から保護する。
　後方折り返し部６５４は、胴体Ｒ１の上部及び腕Ｒ３の上部の少なくともいずれかを覆い、胴体Ｒ１及び腕Ｒ３を前方から保護する。また、後方折り返し部６５４は、胴体Ｒ１及び腕Ｒ３の少なくともいずれかに前方から当接することで、第２展開部６５０の全体的な形状の変形を抑制し、第２展開部６５０を適切な形状に維持する。

　エアバッグ６４２では、胴体Ｒ１を後方から保護する上方展開部４５と胴体Ｒ１を前方から保護する内側屈曲部６５２とが前方延出部６５１によって接続されている。このため、一つのエアバッグ６４２によって胴体Ｒ１を後方及び前方から保護できる。

　エアバッグ６４２は、前方延出部６５１が腕Ｒ３の下方且つ胴体Ｒ１の外側方を通るため、腕Ｒ３及び胴体Ｒ１が前方延出部６５１の展開の邪魔になることを抑制できるとともに、左右の前方延出部６５１を介して運転者に良好に付着する。

　図１５に示す正面視では、内側屈曲部６５２及び上方延出部６５３は、上方展開部４５（図１４）に前方から重なる。このため、内側屈曲部６５２及び上方延出部６５３と、上方展開部４５とで運転者Ｒを前後に挟むことができ、エアバッグ６４２を運転者Ｒに効果的に付着させることができる。

　以上説明したように、本発明を適用した第６の実施の形態によれば、エアバッグ６４２は、展開時に上方に展開する上方展開部４５と、上方展開部４５の一部分から分岐して延びる第２展開部６５０とを備え、第２展開部６５０は、上方展開部４５から車幅方向外側に延出した後に前方に延出する前方延出部６５１と、前方延出部６５１から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部６５２とを備える。
　この構成によれば、上方展開部４５によって運転者Ｒを後方から保護でき、上方展開部４５の前方の前方延出部６５１から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部６５２によって運転者Ｒを前方から保護できる。このため、簡単な構造でエアバッグ６４２によって運転者Ｒを前方及び後方から保護できる。

　また、前方延出部６５１は、上方展開部４５の上部から車幅方向外側且つ下方に延び、車両側面視における上方展開部４５の上下の中間部の高さ位置で屈曲して前方に延出する。
　この構成によれば、前方延出部６５１が、車両側面視における上方展開部４５の上下の中間部の高さ位置で屈曲して前方に延出するため、運転者Ｒが前方延出部６５１の展開の邪魔になり難いとともに、前方延出部６５１を低過ぎない位置に通すことができ、第２展開部６５０によって運転者Ｒを良好に保護できる。

［第７の実施の形態］
　以下、図１６～図１８を参照して、本発明を適用した第７の実施の形態について説明する。この第７の実施の形態において、上記実施の形態（第１の実施の形態）と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
　本第７の実施の形態は、上記第２展開部５０とは異なる形状の第２展開部７５０が設けられる点が、上記実施の形態と異なる。

　図１６は、第７の実施の形態において、エアバッグ７４２が展開して運転者Ｒを保護している状態を示す左側面図である。図１７は、エアバッグ７４２が展開して運転者Ｒを保護している状態を前方から見た正面図である。図１８は、図１６のＸＶＩＩＩ－ＸＶＩＩＩ断面図である。
　エアバッグ７４２は、エアバッグ収納部３３に収納される。エアバッグ７４２は、切り離し機構４３を介してインフレーター４１に接続される。

　エアバッグ７４２は、上方展開部７４５と、展開時において上方展開部７４５の一部分から分岐して前方に延びる左右一対の第２展開部７５０とを備える。
　また、エアバッグ７４２は、インフレーター接続部４６（図５）を、上方展開部７４５の下端部に備える。

　上方展開部７４５は、後方側から見ると、上記実施の形態の上方展開部４５（図４）と同様に、エアバッグ収納部３３から上方に延びる矩形状であり、車幅方向（左右方向）よりも上下方向に長い。
　上方展開部７４５は、車幅方向の中央に配置され、運転者Ｒの胴体Ｒ１の後面の略全体を後方から覆う。上方展開部７４５は、運転者Ｒの頭部Ｒ２の近傍まで上方に延びる。

　上方展開部７４５は、車幅方向の中央に設けられる仕切り部７４５ａ（図１８）によって、左右の一方側（左側）に配置される一側延出部７４５ｂと、左右の他方側（右側）に配置される他側延出部７４５ｃとに分けられている。
　仕切り部７４５ａは、後方から見た場合、上方展開部７４５の上下長の略全体に亘って上下に延びる直線状である。
　一側延出部７４５ｂ及び他側延出部７４５ｃは、仕切り部７４５ａに沿って直線状に上方に延出する。
　上方展開部７４５においてインフレーター４１のガスが流入する気室は、仕切り部７４５ａによって、一側延出部７４５ｂの気室と他側延出部７４５ｃの気室とに分けられている。

　上方展開部７４５の前面には、一側延出部７４５ｂと他側延出部７４５ｃとを車幅方向に接続する接続部材７４８が取り付けられる。接続部材７４８は、仕切り部７４５ａを跨ぐように車幅方向に延びる帯状の紐である。

　上方展開部７４５は、展開した状態では、図１８に示す上面視で、仕切り部７４５ａを起点としてＶ字状に折り曲がっている。上方展開部７４５は、仕切り部７４５ａを折り曲げ線として、Ｖ字状に折り曲がる。これにより、展開した状態では、上方展開部７４５の前面の形状は、胴体Ｒ１の前面に沿うようにＶ字状となる。このため、上方展開部７４５を胴体Ｒ１に良好に付着させることができる。
　接続部材７４８は、上方展開部７４５が展開した状態において、上方展開部７４５の折り曲がりの程度を規制し、上方展開部７４５を良好なＶ字形状にする。このため、上方展開部７４５を胴体Ｒ１に良好に付着させることができる。

　第２展開部７５０は、上方展開部７４５の車幅方向外側の両側部からそれぞれ前方側に延出する棒状である。第２展開部７５０は、上方展開部７４５よりも細い棒状である。
　第２展開部７５０は、上方展開部７４５の上下の中間部の側部から延出する。詳細には、左側の第２展開部７５０は、一側延出部７４５ｂの側部から延出し、右側の第２展開部７５０は、他側延出部７４５ｃの側部から延出する。
　第２展開部７５０の基端部は、上方展開部７４５内に連通している。左右の第２展開部７５０は、上方展開部７４５の車幅方向の中央を基準に左右対称に設けられる。

　詳細には、第２展開部７５０は、上方展開部７４５の上下の中間部の側部から車幅方向外側に延出した後に前方に延出する前方延出部７５１と、前方延出部７５１から車幅方向内側に屈曲して車幅方向内側に延びる内側屈曲部７５２とを備える。
　さらに、第２展開部７５０は、内側屈曲部７５２から上方及び下方に延びる上下延出部７５３を備える。

　前方延出部７５１は、上方展開部７４５の上下の中間部から車幅方向外側に延出する側方延出部７５１ａと、側方延出部７５１ａから前方に延出する前方延出部本体７５１ｂとを備える。側方延出部７５１ａは、胴体Ｒ１に対し車幅方向外側に延びる。
　側方延出部７５１ａは、第２展開部７５０の基端部である。インフレーター接続部４６から上方展開部７４５に流入したガスの一部は、側方延出部７５１ａから第２展開部７５０に流入する。

　前方延出部本体７５１ｂは、車両側面視で、側方延出部７５１ａから前方に向けて延びる棒状である。前方延出部本体７５１ｂは、車両側面視では、やや前下がりである。
　前方延出部本体７５１ｂは、側方延出部７５１ａから、腕Ｒ３の下方且つ胴体Ｒ１の外側方を通って、胴体Ｒ１の前面近傍まで前方に延出する。
　前方延出部本体７５１ｂは、側方延出部７５１ａから前方に向かうに従って車幅方向外側に位置するように延出する。

　内側屈曲部７５２は、前方延出部本体７５１ｂの前端部から車幅方向内側に延びる。内側屈曲部７５２は、胴体Ｒ１の前面側に回り込み、胴体Ｒ１の前面に接する。

　上下延出部７５３は、内側屈曲部７５２の車幅方向内側の端部７５２ａから上方及び下方に延びる。上下延出部７５３は、胴体Ｒ１の前面に沿うようにして上下に延びる。上下延出部７５３の上端部７５３ａは、胴体Ｒ１の上部まで延び、上下延出部７５３の下端部７５３ｂは、胴体Ｒ１の下部まで延びる。上下延出部７５３は、ハンドル２１に対し上方及び下方に延びる。

　図１６及び図１８を参照し、第２展開部７５０には、上方展開部７４５の外側面と上下延出部７５３の外側面とを前後に接続する前後接続部材７５６が取り付けられる。前後接続部材７５６は、前方延出部本体７５１ｂに沿うように前後方向に延びる帯状の紐である。前後接続部材７５６は、車両側面視で、前方延出部本体７５１ｂの上方及び下方にそれぞれ設けられる。
　前後接続部材７５６は、前方延出部本体７５１ｂに対する内側屈曲部７５２の曲がりの程度を規制し、内側屈曲部７５２が前方延出部本体７５１ｂに対し開き過ぎることを抑制する。これにより、内側屈曲部７５２を胴体Ｒ１の前面に適切に当接させることができる。

　エアバッグ７４２が展開した状態では、エアバッグ７４２は、運転者Ｒを周囲から囲み、運転者Ｒに付着する。
　詳細には、上方展開部７４５は、胴体Ｒ１を後方から覆い、胴体Ｒ１を後方から保護する。
　左右の前方延出部７５１は、腕Ｒ３の下方で胴体Ｒ１を外側方から覆い、胴体Ｒ１を外側方から保護する。

　内側屈曲部７５２及び上下延出部７５３は、胴体Ｒ１の前面を前方から覆い、胴体Ｒ１の前面を前方から保護する。

　エアバッグ７４２では、胴体Ｒ１を後方から保護する上方展開部７４５と胴体Ｒ１を前方から保護する内側屈曲部７５２とが前方延出部７５１によって接続されている。このため、一つのエアバッグ７４２によって胴体Ｒ１を後方及び前方から保護できる。

　エアバッグ７４２は、前方延出部７５１が腕Ｒ３の下方且つ胴体Ｒ１の外側方を通るため、腕Ｒ３及び胴体Ｒ１が前方延出部７５１の展開の邪魔になることを抑制できるとともに、左右の前方延出部７５１を介して運転者に良好に付着する。

　図１７に示す正面視では、内側屈曲部７５２及び上下延出部７５３は、上方展開部７４５（図１６、図１８）に前方から重なる。このため、内側屈曲部７５２及び上下延出部７５３と、上方展開部７４５とで運転者Ｒを前後に挟むことができ、エアバッグ７４２を運転者Ｒに効果的に付着させることができる。

　以上説明したように、本発明を適用した第７の実施の形態によれば、エアバッグ７４２は、展開時に上方に展開する上方展開部７４５と、上方展開部７４５の一部分から分岐して延びる第２展開部７５０とを備え、第２展開部７５０は、上方展開部７４５から車幅方向外側に延出した後に前方に延出する前方延出部７５１と、前方延出部７５１から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部７５２とを備える。
　この構成によれば、上方展開部７４５によって運転者Ｒを後方から保護でき、上方展開部７４５の前方の前方延出部７５１から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部７５２によって運転者Ｒを前方から保護できる。このため、簡単な構造でエアバッグ７４２によって運転者Ｒを前方及び後方から保護できる。

　また、前方延出部７５１は、上方展開部７４５の上下の中間部から延出する。
　この構成によれば、前方延出部７５１が、上方展開部７４５の上下の中間部から延出するため、運転者Ｒが前方延出部７５１の展開の邪魔になり難いとともに、前方延出部７５１を低過ぎない位置に通すことができ、第２展開部７５０によって運転者Ｒを良好に保護できる。

　上記第７の実施の形態では、第２展開部７５０は、前方延出部７５１を備えるが、前方延出部７５１に替えて、図６のように上方展開部２４５（ここでは上方展開部７４５に対応）から前方に延出する第２前方延出部、または、図７のように上方展開部２４５（ここでは上方展開部７４５に対応）から前外側方に延出する第２前方延出部を備えても良い。この場合、第２前方延出部は、車両側面視では、図１６のようにやや前下がりの姿勢で上方展開部２４５の上下の中間部から前方に延び、内側屈曲部７５２は第２前方延出部の前端部から車幅方向内側に延びる。

［第８の実施の形態］
　以下、図１９及び図２０を参照して、本発明を適用した第８の実施の形態について説明する。この第８の実施の形態において、上記実施の形態（第１の実施の形態）と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
　本第８の実施の形態は、エアバッグ４２が、乗員Ｒが装着する乗員用装備具８７１に設けられる点が、上記実施の形態と異なる。

　図１９は、第８の実施の形態において、エアバッグ４２が展開して乗員Ｒを保護している状態を示す左側面図である。図２０は、エアバッグ４２が展開して乗員Ｒを保護している状態を後方から見た背面図である。
　乗員保護具８７０は、乗員Ｒが装着する乗員用装備具８７１と、乗員用装備具８７１に支持されるエアバッグ４２とを備える。

　乗員用装備具８７１は、胴体Ｒ１の下部に着脱可能に装着されるベルトである。
　乗員用装備具８７１は、胴体Ｒ１の外周に巻き付く帯状のベルト部８７１ａと、ベルト部８７１ａの後面に設けられるケース状のエアバッグ収納部８７１ｂとを備える。エアバッグ収納部８７１ｂは、胴体Ｒ１の下部の後方に位置する。

　エアバッグ４２は、折り畳まれた状態でエアバッグ収納部８７１ｂに収納されている。また、インフレーター４１（図１）も、エアバッグ収納部８７１ｂに収納されている。エアバッグ４２は、胴体Ｒ１の下部の後方に位置する。

　エアバッグ４２は、エアバッグ収納部８７１ｂから上方及び前方に展開する。
　エアバッグ４２が展開した状態では、エアバッグ４２は、乗員Ｒを周囲から囲み、乗員Ｒに付着する。
　図１９及び図２０に示される乗員用装備具８７１のエアバッグ４２の展開状態は、上記実施の形態（図２～図４参照）と同じであるため、ここでは詳細な説明は省略する。

　以上説明したように、本発明を適用した第８の実施の形態によれば、乗員保護具８７０は、鞍乗り型車両１０に乗車する乗員Ｒが装着する乗員用装備具８７１と、エアバッグ４２とを備え、エアバッグ４２は、乗員用装備具８７１に支持されて乗員Ｒの胴体Ｒ１の後面側に位置し、エアバッグ４２は、展開時に上方に展開する上方展開部４５と、上方展開部４５の一部分から分岐して延びる第２展開部５０とを備え、第２展開部５０は、上方展開部４５から車幅方向外側に延出した後に前方に延出する前方延出部５１と、前方延出部５１から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部５２とを備える。
　この構成によれば、上方展開部４５によって運転者Ｒを後方から保護でき、上方展開部４５から前方に延びる前方延出部５１から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部５２によって運転者Ｒを前方から保護できる。このため、一つのエアバッグ４２を用いた簡単な構造で、エアバッグ４２によって運転者Ｒを前方及び後方から保護できる。また、エアバッグ４２は、非作動時は、エアバッグ収納部８７１ｂに収納され、乗員Ｒを保護する際に展開する。このため、例えば、常に展開した状態で乗員Ｒに装着されるエアバッグに比して、通気性が良い。

　なお、第８の実施の形態において、エアバッグ４２に替えて、エアバッグ２４２（図６、図７）、エアバッグ３４２（図８）、エアバッグ４４２（図１０）、エアバッグ５４２（図１２）、エアバッグ６４２（図１４）、及びエアバッグ７４２（図１６）のいずれかをエアバッグ収納部８７１ｂに設けても良い。

［第９の実施の形態］
　以下、図２１を参照して、本発明を適用した第９の実施の形態について説明する。この第９の実施の形態において、上記実施の形態（第１の実施の形態）と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
　本第９の実施の形態は、エアバッグ４２が、乗員Ｒが装着する乗員用装備具９７１に設けられる点が、上記実施の形態と異なる。

　図２１は、第９の実施の形態において、エアバッグ４２が展開して乗員Ｒを保護している状態を後方から見た背面図である。
　乗員保護具９７０は、乗員Ｒが装着する乗員用装備具９７１と、乗員用装備具９７１に支持されるエアバッグ４２とを備える。

　乗員用装備具９７１は、胴体Ｒ１に着脱可能に装着されるジャケットである。このジャケットは、例えばベストタイプのジャケットである。
　乗員用装備具９７１は、胴体Ｒ１を後方から覆うジャケット後面部９７１ａの下部に、ケース状のエアバッグ収納部９７１ｂを備える。エアバッグ収納部９７１ｂは、胴体Ｒ１の下部の後方に位置する。

　エアバッグ４２は、折り畳まれた状態でエアバッグ収納部９７１ｂに収納されている。また、インフレーター４１（図１）も、エアバッグ収納部９７１ｂに収納されている。エアバッグ４２は、胴体Ｒ１の下部の後方に位置する。
　なお、エアバッグ収納部９７１ｂは、エアバッグ４２用に上記ジャケットに設けられるポケットであっても良い。また、エアバッグ収納部９７１ｂは、エアバッグ４２を上記ジャケットに取り付け可能にするボタン及びファスナー等の固定具であっても良い。

　エアバッグ４２は、エアバッグ収納部９７１ｂから上方及び前方に展開する。
　エアバッグ４２が展開した状態では、エアバッグ４２は、乗員Ｒを周囲から囲み、乗員Ｒに付着する。
　図２１に示される乗員用装備具９７１のエアバッグ４２の展開状態は、上記実施の形態（図２～図４参照）と同じであるため、ここでは詳細な説明は省略する。

　以上説明したように、本発明を適用した第９の実施の形態によれば、乗員保護具９７０は、鞍乗り型車両１０に乗車する乗員Ｒが装着する乗員用装備具９７１と、エアバッグ４２とを備え、エアバッグ４２は、乗員用装備具９７１に支持されて乗員Ｒの胴体Ｒ１の後面側に位置し、エアバッグ４２は、展開時に上方に展開する上方展開部４５と、上方展開部４５の一部分から分岐して延びる第２展開部５０とを備え、第２展開部５０は、上方展開部４５から車幅方向外側に延出した後に前方に延出する前方延出部５１と、前方延出部５１から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部５２とを備える。
　この構成によれば、上方展開部４５によって運転者Ｒを後方から保護でき、上方展開部４５から前方に延びる前方延出部５１から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部５２によって運転者Ｒを前方から保護できる。このため、一つのエアバッグ４２を用いた簡単な構造で、エアバッグ４２によって運転者Ｒを前方及び後方から保護できる。また、エアバッグ４２は、非作動時は、エアバッグ収納部９７１ｂに収納され、乗員Ｒを保護する際に展開する。このため、例えば、常に展開した状態で乗員Ｒに装着されるエアバッグに比して、通気性が良い。

　なお、第９の実施の形態において、エアバッグ４２に替えて、エアバッグ２４２（図６、図７）、エアバッグ３４２（図８）、エアバッグ４４２（図１０）、エアバッグ５４２（図１２）、エアバッグ６４２（図１４）、及びエアバッグ７４２（図１６）のいずれかをエアバッグ収納部９７１ｂに設けても良い。

［上記実施の形態によりサポートされる構成］
　上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。

　（構成１）乗員用のシートと、前記シートよりも後方または前記シートの後部に設けられるエアバッグとを備える鞍乗り型車両において、前記エアバッグは、展開時に上方に展開する上方展開部と、前記上方展開部の一部分から分岐して延びる第２展開部とを備え、前記第２展開部は、前記上方展開部から車幅方向外側に延出した後に前方に延出する前方延出部、及び、前記上方展開部から前方または前外側方に延出する第２前方延出部のいずれかを備え、前記第２展開部は、前記前方延出部または前記第２前方延出部から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部を備えることを特徴とする鞍乗り型車両。
　この構成によれば、上方展開部によって乗員を後方から保護でき、上方展開部の前方の前方延出部または第２前方延出部から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部によって乗員を前方から保護できる。このため、簡単な構造でエアバッグによって乗員を前方及び後方から保護できる。

　（構成２）前記内側屈曲部の少なくとも一部は、車両前後方向で前記上方展開部に重なることを特徴とする構成１記載の鞍乗り型車両。
　この構成によれば、内側屈曲部と上方展開部とによって乗員を車両前後方向に挟むことができ、エアバッグを乗員に良好に付着させて乗員を保護できる。

　（構成３）前記前方延出部及び前記第２前方延出部は、前方に向かうに従って車幅方向外側に位置するように延出することを特徴とする構成１または２記載の鞍乗り型車両。
　この構成によれば、前方延出部及び第２前方延出部を乗員に沿うように前方へ良好に展開できる。

　（構成４）前記第２展開部は、前記内側屈曲部から屈曲して下方に延びる下方延出部を備えることを特徴とする構成１から３のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
　この構成によれば、内側屈曲部から下方に延びる下方延出部によって、乗員を上下方向に広い範囲に亘って保護できる。

　（構成５）前記前方延出部及び前記第２前方延出部は、車両側面視で、前方の上方に向けて斜めに延びることを特徴とする構成４記載の鞍乗り型車両。
　この構成によれば、下方延出部を高い位置から下方に延出させることができるため、乗員を上下方向に広い範囲に亘って保護できる。また、例えば、エアバッグを低い位置に配置した場合であっても、前方延出部及び第２前方延出部が前方の上方に向けて斜めに延びるため、乗員を上下方向に広い範囲に亘って保護できる。このため、エアバッグの配置の自由度を向上できる。また、前方延出部及び第２前方延出部が斜めに延びるため、前方延出部及び第２前方延出部が乗員を覆う範囲を広くでき、乗員を良好に保護できる。

　（構成６）前記第２展開部は、前記下方延出部から前記前方延出部または前記第２前方延出部に向けて折り返す折り返し部を備えることを特徴とする構成４または５記載の鞍乗り型車両。
　この構成によれば、折り返し部によって乗員を保護できる。また、折り返し部が前方延出部または第２前方延出部に当接することで、第２展開部を適切な形状に維持し易い。

　（構成７）前記第２展開部は、前記内側屈曲部から屈曲して上方に延びる上方延出部を備えることを特徴とする構成１から３のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
　この構成によれば、内側屈曲部から上方に延びる上方延出部によって、乗員を上下方向に広い範囲に亘って保護できる。

　（構成８）前記前方延出部及び前記第２前方延出部は、車両側面視で、前方の下方に向けて斜めに延びることを特徴とする構成７記載の鞍乗り型車両。
　この構成によれば、上方延出部を低い位置から上方に延出させることができるため、乗員を上下方向に広い範囲に亘って保護できる。また、前方延出部及び第２前方延出部が斜めに延びるため、前方延出部及び第２前方延出部が乗員を覆う範囲を広くでき、乗員を良好に保護できる。

　（構成９）前記第２展開部は、前記上方延出部から前記前方延出部または前記第２前方延出部に向けて折り返す第２折り返し部を備えることを特徴とする構成８記載の鞍乗り型車両。
　この構成によれば、第２折り返し部によって乗員を保護できる。また、第２折り返し部が、前方延出部、第２前方延出部、及び乗員のいずれかに当接することで、第２展開部を適切な形状に維持し易い。

　（構成１０）前記前方延出部は、前記上方展開部の下部から車幅方向外側且つ上方に延び、車両側面視における前記上方展開部の上下の中間部の高さ位置で屈曲して前方に延出することを特徴とする構成１から３のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
　この構成によれば、前方延出部が、車両側面視における上方展開部の上下の中間部の高さ位置で屈曲して前方に延出するため、乗員が前方延出部の展開の邪魔になり難いとともに、前方延出部を低過ぎない位置に通すことができ、第２展開部によって乗員を良好に保護できる。

　（構成１１）前記前方延出部は、前記上方展開部の上部から車幅方向外側且つ下方に延び、車両側面視における前記上方展開部の上下の中間部の高さ位置で屈曲して前方に延出することを特徴とする構成１から３のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
　この構成によれば、前方延出部が、車両側面視における上方展開部の上下の中間部の高さ位置で屈曲して前方に延出するため、乗員が前方延出部の展開の邪魔になり難いとともに、前方延出部を低過ぎない位置に通すことができ、第２展開部によって乗員を良好に保護できる。

　（構成１２）前記前方延出部及び前記第２前方延出部は、前記上方展開部の上下の中間部から延出することを特徴とする構成１から３のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
　この構成によれば、前方延出部及び第２前方延出部が、上方展開部の上下の中間部から延出するため、乗員が前方延出部及び第２前方延出部の展開の邪魔になり難いとともに、前方延出部及び第２前方延出部を低過ぎない位置に通すことができ、第２展開部によって乗員を良好に保護できる。

　（構成１３）前記第２展開部は、前記内側屈曲部から上方及び下方に延出する上下延出部を備えることを特徴とする構成１２記載の鞍乗り型車両。
　この構成によれば、内側屈曲部から上方及び下方に延出する上下延出部によって、乗員を上下方向に広い範囲に亘って保護できる。

　（構成１４）前記上方展開部は、前記シートに着座する乗員の胴体の後面に沿って上方に展開し、前記第２展開部は、前記シートに着座して操舵用のハンドルを把持する前記乗員の腕の下方且つ前記胴体の外側方を通って前方に延出し、前記胴体を前方から覆うことを特徴とする構成１から１３のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
　この構成によれば、第２展開部を、乗員の腕の下方且つ胴体の外側方を通して胴体の前方に延出させることができる。上方展開部によって乗員の胴体を後方から保護でき、第２展開部によって胴体を前方及び外側方から保護できる。第２展開部は、腕の下方且つ胴体の外側方を通ることが可能な大きさであるため、第２展開部をコンパクト化できる。

　（構成１５）前記エアバッグ内にガスを噴出して前記エアバッグを展開させるインフレーターが前記エアバッグに接続され、前記エアバッグの展開後に前記エアバッグを前記インフレーターから切り離す切り離し機構が設けられることを特徴とする構成１から１４のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
　この構成によれば、エアバッグの展開後にエアバッグがインフレーターから切り離されるため、エアバッグの展開後に、エアバッグがインフレーターによって下方にずらされることが抑制される。このため、エアバッグを乗員に良好に付着させることができる。

　（構成１６）車両に乗車する乗員が装着する乗員用装備具と、エアバッグとを備える乗員保護具において、前記エアバッグは、前記乗員用装備具に支持されて前記乗員の胴体の後面側に位置し、前記エアバッグは、展開時に上方に展開する上方展開部と、前記上方展開部の一部分から分岐して延びる第２展開部とを備え、前記第２展開部は、前記上方展開部から車幅方向外側に延出した後に前方に延出する前方延出部、及び、前記上方展開部から前方または前外側方に延出する第２前方延出部のいずれかを備え、前記第２展開部は、前記前方延出部または前記第２前方延出部から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部を備えることを特徴とする乗員保護具。
　この構成によれば、上方展開部によって乗員を後方から保護でき、上方展開部の前方の前方延出部または第２前方延出部から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部によって乗員を前方から保護できる。このため、簡単な構造でエアバッグによって乗員を前方及び後方から保護できる。

　１０　鞍乗り型車両（車両）
　１７　シート
　２１　ハンドル
　４１　インフレーター
　４２，２４２，３４２，４４２，５４２，６４２，７４２　エアバッグ
　４３　切り離し機構
　４５，２４５，７４５　上方展開部
　５０，２５０，２５０´，３５０，４５０，５５０，６５０，７５０　第２展開部
　５１，３５１，４５１，５５１，６５１，７５１　前方延出部
　５２，３５２，４５２，５５２，６５２，７５２　内側屈曲部
　５３　下方延出部
　５４　折り返し部
　２５１，２５１´　第２前方延出部
　３５３，４５３，５５３，６５３　上方延出部
　４５４　第２折り返し部
　７５３　上下延出部
　８７０，９７０　乗員保護具
　８７１，９７１　乗員用装備具
　Ｒ　運転者（乗員）
　Ｒ１　胴体
　Ｒ３　腕

Claims

　乗員用のシート（１７）と、前記シート（１７）よりも後方または前記シート（１７）の後部に設けられるエアバッグ（４２，２４２，３４２，４４２，５４２，６４２，７４２）とを備える鞍乗り型車両において、
　前記エアバッグ（４２，２４２，３４２，４４２，５４２，６４２，７４２）は、展開時に上方に展開する上方展開部（４５，２４５，７４５）と、前記上方展開部（４５，２４５，７４５）の一部分から分岐して延びる第２展開部（５０，２５０，２５０´，３５０，４５０，５５０，６５０，７５０）とを備え、
　前記第２展開部（５０，２５０，２５０´，３５０，４５０，５５０，６５０，７５０）は、前記上方展開部（４５，７４５）から車幅方向外側に延出した後に前方に延出する前方延出部（５１，３５１，４５１，５５１，６５１，７５１）、及び、前記上方展開部（２４５）から前方または前外側方に延出する第２前方延出部（２５１，２５１´）のいずれかを備え、
　前記第２展開部（５０，２５０，２５０´，３５０，４５０，５５０，６５０，７５０）は、前記前方延出部（５１，３５１，４５１，５５１，６５１，７５１）または前記第２前方延出部（２５１，２５１´）から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部（５２，３５２，４５２，５５２，６５２，７５２）を備えることを特徴とする鞍乗り型車両。
　前記内側屈曲部（５２，３５２，４５２，５５２，６５２，７５２）の少なくとも一部は、車両前後方向で前記上方展開部（４５，２４５，７４５）に重なることを特徴とする請求項１記載の鞍乗り型車両。
　前記前方延出部（５１，３５１，４５１，５５１，６５１，７５１）及び前記第２前方延出部（２５１´）は、前方に向かうに従って車幅方向外側に位置するように延出することを特徴とする請求項１または２記載の鞍乗り型車両。
　前記第２展開部（５０）は、前記内側屈曲部（５２）から屈曲して下方に延びる下方延出部（５３）を備えることを特徴とする請求項１から３のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
　前記前方延出部（５１）及び前記第２前方延出部（２５１，２５１´）は、車両側面視で、前方の上方に向けて斜めに延びることを特徴とする請求項４記載の鞍乗り型車両。
　前記第２展開部（５０）は、前記下方延出部（５３）から前記前方延出部（５１）または前記第２前方延出部（２５１，２５１´）に向けて折り返す折り返し部（５４）を備えることを特徴とする請求項４または５記載の鞍乗り型車両。
　前記第２展開部（３５０，４５０，５５０，６５０）は、前記内側屈曲部（３５２，４５２，５５２，６５２）から屈曲して上方に延びる上方延出部（３５３，４５３，５５３，６５３）を備えることを特徴とする請求項１から３のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
　前記前方延出部（４５１）及び前記第２前方延出部は、車両側面視で、前方の下方に向けて斜めに延びることを特徴とする請求項７記載の鞍乗り型車両。
　前記第２展開部（４５０）は、前記上方延出部（４５３）から前記前方延出部（４５１）または前記第２前方延出部に向けて折り返す第２折り返し部（４５４）を備えることを特徴とする請求項８記載の鞍乗り型車両。
　前記前方延出部（５５１）は、前記上方展開部（４５）の下部から車幅方向外側且つ上方に延び、車両側面視における前記上方展開部（４５）の上下の中間部の高さ位置で屈曲して前方に延出することを特徴とする請求項１から３のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
　前記前方延出部（６５１）は、前記上方展開部（４５）の上部から車幅方向外側且つ下方に延び、車両側面視における前記上方展開部（４５）の上下の中間部の高さ位置で屈曲して前方に延出することを特徴とする請求項１から３のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
　前記前方延出部（７５１）及び前記第２前方延出部は、前記上方展開部（７４５）の上下の中間部から延出することを特徴とする請求項１から３のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
　前記第２展開部（７５０）は、前記内側屈曲部（７５２）から上方及び下方に延出する上下延出部（７５３）を備えることを特徴とする請求項１２記載の鞍乗り型車両。
　前記上方展開部（４５，２４５，７４５）は、前記シート（１７）に着座する乗員の胴体（Ｒ１）の後面に沿って上方に展開し、
　前記第２展開部（５０，２５０，２５０´，３５０，４５０，５５０，６５０，７５０）は、前記シート（１７）に着座して操舵用のハンドル（２１）を把持する前記乗員の腕（Ｒ３）の下方且つ前記胴体（Ｒ１）の外側方を通って前方に延出し、前記胴体（Ｒ１）を前方から覆うことを特徴とする請求項１から１３のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
　前記エアバッグ（４２，２４２，３４２，４４２，５４２，６４２，７４２）内にガスを噴出して前記エアバッグ（４２，２４２，３４２，４４２，５４２，６４２，７４２）を展開させるインフレーター（４１）が前記エアバッグ（４２，２４２，３４２，４４２，５４２，６４２，７４２）に接続され、
　前記エアバッグ（４２，２４２，３４２，４４２，５４２，６４２，７４２）の展開後に前記エアバッグ（４２，２４２，３４２，４４２，５４２，６４２，７４２）を前記インフレーター（４１）から切り離す切り離し機構（４３）が設けられることを特徴とする請求項１から１４のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
　車両に乗車する乗員が装着する乗員用装備具（８７１，９７１）と、エアバッグ（４２）とを備える乗員保護具において、
　前記エアバッグ（４２）は、前記乗員用装備具（８７１，９７１）に支持されて前記乗員の胴体（Ｒ１）の後面側に位置し、
　前記エアバッグ（４２）は、展開時に上方に展開する上方展開部（４５）と、前記上方展開部（４５）の一部分から分岐して延びる第２展開部（５０）とを備え、
　前記第２展開部（５０）は、前記上方展開部（４５）から車幅方向外側に延出した後に前方に延出する前方延出部（５１）、及び、前記上方展開部から前方または前外側方に延出する第２前方延出部のいずれかを備え、
　前記第２展開部（５０）は、前記前方延出部（５１）または前記第２前方延出部から車幅方向内側に向けて屈曲する内側屈曲部（５２）を備えることを特徴とする乗員保護具。