WO2021106709A1 - フィルムの加工装置、袋の製造装置、フィルムの加工方法および袋の製造方法 - Google Patents

Abstract

少なくとも２枚が重ねられたフィルムを挟んで対向し、互いに対して接近および離隔することが可能な第１の切断刃および第１の受台と、フィルムに接触することなく、第１の切断刃と第１の受台との間の最小間隔を調整する第１の間隔調整手段とを備えるフィルムの加工装置が提供される。少なくとも２枚が重ねられたフィルムに、フィルムを挟んで対向する第１の切断刃および第１の受台を用いて第１の切り込みを形成する工程を含み、第１の切断刃と第１の受台との間の最小間隔は、フィルムに接触しない第１の間隔調整手段を用いて調整される、フィルムの加工方法が提供される。

Description

フィルムの加工装置、袋の製造装置、フィルムの加工方法および袋の製造方法

　本発明は、フィルムの加工装置、袋の製造装置、フィルムの加工方法および袋の製造方法に関する。

　袋に開封用のタブを形成する技術が知られている。例えば、特許文献１には、袋基材のフィルムにタブを形成する切断装置において、切断刃および受台に加えて、第１フィルムと第２フィルムとの間にスペーサ部材を配置することによって、第１フィルムにタブを形成するときに切断刃の貫通によって第２フィルムにまでタブが形成されることを防止し、所謂ハーフカットを確実に形成する技術が記載されている。

特開２０１８－１７６４３７号公報

　しかしながら、上記の特許文献１に記載された技術では、スペーサ部材に切断刃が接触するため、切断刃の摩耗が早いという問題がある。また、加工時の工程が多く煩雑である。さらに、フィルムにスペーサ部材を挟み込むために、タブの周囲のシール領域を形成する前にタブの切り込みを形成する必要があり、シール領域の形成時にヒートシールの熱によって切り込みが融着する可能性がある。

　そこで、本発明は、フィルムにハーフカットを形成するにあたり切断刃の摩耗を低減し、加工工程の簡略化によって製造効率を向上させることが可能な、フィルムの加工装置、袋の製造装置、フィルムの加工方法および袋の製造方法を提供することを目的とする。

［１］少なくとも２枚が重ねられたフィルムを挟んで対向し、互いに対して接近および離隔することが可能な第１の切断刃および第１の受台と、フィルムに接触することなく、第１の切断刃と第１の受台との間の最小間隔を調整する第１の間隔調整手段とを備えるフィルムの加工装置。
［２］第１の切断刃および第１の受台とは異なる位置でフィルムを挟んで対向し、互いに対して接近および離隔することが可能な第２の切断刃および第２の受台と、フィルムに接触することなく第２の切断刃と第２の受台との間の最小間隔を調整する第２の間隔調整手段とをさらに備え、第２の切断刃および第２の受台は、フィルムに対してそれぞれ第１の切断刃および第２の受台とは反対側に配置される、［１］に記載のフィルムの加工装置。［３］第１の切断刃および第１の受台、ならびに第２の切断刃および第２の受台がそれぞれ最小間隔まで接近したとき、フィルムの厚さ方向について、第１の切断刃と第２の切断刃とは互いに重なり合う、［２］に記載のフィルムの加工装置。
［４］フィルムは、互いに重ね合わされた第１面および第２面を含み、第１面と第２面との間には引き裂き条片およびジッパーテープの基部条片が介挿され、第１の切断刃と第１の受台との間の最小間隔は、第１面、引き裂き条片および基部条片を切断し、第２面を切断しないように調整され、第２の切断刃と第２の受台との間の最小間隔は、第２面および基部条片を切断し、第１面および引き裂き条片を切断しないように調整される、［３］に記載のフィルムの加工装置。
［５］フィルムは、第１面と第２面との間に折り込まれた第３面および第４面をさらに含み、引き裂き条片および基部条片は、第１面と第３面との間に介挿され、第１の切断刃と第１の受台との間の最小間隔は、第１面、引き裂き条片、基部条片および第３面を切断し、第４面および第２面を切断しないように調整され、第２の切断刃と第２の受台との間の最小間隔は、第２面、第４面、第３面および基部条片を切断し、第１面および引き裂き条片を切断しないように調整される、［４］に記載のフィルムの加工装置。
［６］第１の切断刃および第２の受台は、第１の間隔調整手段および第２の間隔調整手段に含まれる共通の駆動機構に取り付けられ、第１の受台および第２の切断刃は、第１の間隔調整手段および第２の間隔調整手段に含まれ駆動機構に対してフィルムを挟んで反対側に配置されるテーブルによって支持される、［２］から［５］のいずれか１項に記載のフィルムの加工装置。
［７］［１］から［６］のいずれか１項に記載のフィルムの加工装置を含む袋の製造装置であって、袋の一部でフィルムがシールされる囲み形状のシール部を形成するシール装置をさらに含み、第１の切断刃および第１の受台は、シール部によって囲まれる領域にタブを形成する、袋の製造装置。
［８］［５］に記載のフィルムの加工装置を含む袋の製造装置であって、袋の一部で第１面と第３面との間がシールされるシール部を形成するシール装置をさらに含み、第１の切断刃および第１の受台は、シール部にタブを形成する、袋の製造装置。
［９］少なくとも２枚が重ねられたフィルムに、フィルムを挟んで対向する第１の切断刃および第１の受台を用いて第１の切り込みを形成する工程を含み、第１の切断刃と第１の受台との間の最小間隔は、フィルムに接触しない第１の間隔調整手段を用いて調整される、フィルムの加工方法。
［１０］フィルムに、第１の切断刃および第１の受台とは異なる位置でフィルムを挟んで対向する第２の切断刃および第２の受台を用いて、第１の切り込みとは反対側から第２の切り込みを形成する工程をさらに含み、第２の切断刃と第２の受台との間の最小間隔は、フィルムに接触しない第２の間隔調整手段を用いて調整される、［９］に記載のフィルムの加工方法。
［１１］第１の切り込みと第２の切り込みとは、フィルムの厚さ方向について互いに重なり合う、［１０］に記載のフィルムの加工方法。
［１２］フィルムは、互いに重ね合わされた第１面および第２面を含み、第１面と第２面との間には引き裂き条片およびジッパーテープの基部条片が介挿され、第１の切り込みは、第１面、引き裂き条片および基部条片に形成され、第２面には形成されず、第２の切り込みは、第２面および基部条片に形成され、第１面および引き裂き条片には形成されない、［１１］に記載のフィルムの加工方法。
［１３］フィルムは、第１面と第２面との間に折り込まれた第３面および第４面をさらに含み、引き裂き条片および基部条片は、第１面と第３面との間に介挿され、第１の切り込みは、第１面、引き裂き条片、基部条片および第３面に形成され、第４面および第２面には形成されず、第２の切り込みは、第２面、第４面、第３面および基部条片に形成され、第１面および引き裂き条片には形成されない、［１２］に記載のフィルムの加工方法。
［１４］第１の切断刃および第２の受台は、第１の間隔調整手段および第２の間隔調整手段に含まれる共通の駆動機構に取り付けられ、第１の切り込みおよび第２の切り込みは、共通の駆動機構の往復運動によって形成される、［１０］から［１３］のいずれか１項に記載のフィルムの加工方法。
［１５］［９］から［１４］のいずれか１項に記載のフィルムの加工方法の工程を含む袋の製造方法であって、第１の切り込みによって袋にタブを形成し、タブを囲む領域でフィルムがシールされるシール部を形成する工程をさらに含む、袋の製造方法。
［１６］［１３］に記載のフィルムの加工方法の工程を含む袋の製造方法であって、袋の一部で第１面と第３面との間がシールされるシール部を形成する工程をさらに含み、第１の切り込みによってシール部にタブを形成する、袋の製造方法。

　上記の構成によれば、フィルムに接触しない間隔調整手段によって切断刃と受台との間の最小間隔が調整されるため、フィルムにハーフカットを形成するにあたり切断刃の摩耗を低減し、また加工工程の簡略化によって製造効率を向上させることができる。

本発明の第１の実施形態に係るフィルムの加工装置の概略的な構成を示す図である。 図１のII－II線矢視図である。 本発明の第１の実施形態で加工されたフィルムを用いて製造される袋の部分的な平面図である。 図３のIV－IV線断面図である。 本発明の第２の実施形態に係るフィルムの加工装置の概略的な構成を示す図である。 本発明の第２の実施形態で加工されたフィルムを用いて製造される袋の部分的な断面図である。 本発明の第３の実施形態に係るフィルムの加工装置の概略的な構成を示す図である。 本発明の第３の実施形態で加工されたフィルムを用いて製造される袋の部分的な断面図である。

　以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。

　（第１の実施形態）
　図１は本発明の第１の実施形態に係るフィルムの加工装置の概略的な構成を示す図であり、図２は図１のII－II線矢視図である。図示された例において、加工装置１Ａは、フィルム２を挟んで対向する切断刃３Ａおよび受台４Ａと、切断刃３Ａがホルダ５１を介して取り付けられる駆動機構５と、駆動機構５を支持するアーム６と、アーム６を支持するポスト７と、ポスト７および受台４Ａを支持するテーブル８とを含む。駆動機構５がアーム６を支点にして上下方向に所定の可動範囲で往復運動することによって、切断刃３Ａと受台４Ａとは互いに対して接近および離隔する。

　ここで、切断刃３Ａと受台４Ａの間の最小間隔ｄ１、すなわち切断刃３Ａが受台４Ａに最も接近したときの切断刃３Ａの先端と受台４Ａの表面との間の距離は、切断刃３Ａとホルダ５１との間に介挿されるシム５２によって変更可能である。つまり、本実施形態において、ホルダ５１およびシム５２を含む駆動機構５と、アーム６と、ポスト７と、テーブル８とは、切断刃３Ａと受台４Ａとの間の最小間隔ｄ１を調整する間隔調整手段を構成する。図２に示されるように、間隔調整手段は全体として断面Ｃ字形に配置されているためフィルム２には接触しない。

　本実施形態において、フィルム２は、互いに重ね合わされた２つの面２Ａ，２Ｂを含み、面２Ａ，２Ｂの間には引き裂き条片２１とジッパーテープの基部条片２２とが介挿される。加工装置１Ａでは、切断刃３Ａと受台４Ａとの間の最小間隔ｄ１が、面２Ａ、引き裂き条片２１および基部条片２２を切断し、面２Ｂを切断しないように調整される。具体的には、最小間隔ｄ１は、面２Ｂの厚さに対応する。これによって、加工装置１Ａは、フィルム２、引き裂き条片２１および基部条片２２が重ね合わされた多層構造体の一部の層だけを切断する切り込み（ハーフカット）を形成することができる。

　図３は本発明の第１の実施形態で加工されたフィルムを用いて製造される袋の部分的な平面図であり、図４は図３のIV－IV線断面図である。図４の断面方向は図１と同じであるが、接合されていない部分が隙間を開けて図示されている。図示された例では、加工装置１Ａとは別に設けられるシール装置が、サイドシール部２３および囲みシール部２４でフィルム２の面２Ａ，２Ｂの間をシールする。図示されているように、サイドシール部２３の一部および囲みシール部２４は、囲み形状のシール部を形成する。加工装置１Ａは、サイドシール部２３および囲みシール部２４によって囲まれる領域に切り込み２５Ａによってタブを形成する。この場合、サイドシール部２３および囲みシール部２４の形成と、切り込み２５Ａによるタブの形成とはどちらが先に実施されてもよいが、後述するようにヒートシールの熱による切り込みの融着を防止するためにはシール部の形成を先に実施することが好ましい。

　図４（ａ）に示されるように、切り込み２５Ａは面２Ａ、引き裂き条片２１および基部条片２２を貫通して形成されているため、ユーザは図４（ｂ）に示されるように切り込み２５Ａによって形成されたタブを起点にして面２Ａ側から上記の３層を引き起こすことができる。ユーザがタブを摘持して引っ張ると、図４（ｃ）に示されるように囲みシール部２４で基部条片２２が破断し、面２Ａだけが引き裂き条片２１に沿って引き裂かれることによって、袋が開封される。なお、このような袋は、例えば特開２０１９－０５１９６３号公報などに記載されているため、袋に関するさらに詳細な説明は省略する。

　以上で説明した本発明の第１の実施形態によれば、フィルム２に接触しない間隔調整手段によって切断刃３Ａと受台４Ａとの間の最小間隔ｄ１が調整される。間隔調整手段がフィルム２に接触しない形で配置されるため、例えばフィルムに間隔調整手段としてスペーサ部材を挟み込む場合のように切断刃が間隔調整手段に接触することがなく、従って切断刃の摩耗を低減することができ、また加工工程の簡略化によって製造効率を向上させることができる。また、間隔調整手段がフィルム２に接触しないため、例えば図３に示されたようなシール領域をヒートシールによって形成した後に加工装置１Ａで切り込みを形成することができ、ヒートシールの熱によって切り込みが融着するおそれがない。

　なお、上記で説明した例では切断刃３Ａ側に配置される駆動機構５、アーム６、ポスト７およびテーブル８によって間隔調整手段が形成されたが、間隔調整手段は必ずしもアームやポスト、テーブルと呼ばれる部分を含まなくてもよい。具体的な部材の形状にかかわらず、切断刃３Ａおよび受台４Ａを支持し、全体としてフィルム２を囲むように配置されたＣ字形、箱形、または門型などのフレームが、本発明の実施形態に係る間隔調整手段として用いられうる。間隔調整手段において間隔を変更する構成としてシム５２を例示したが、他にもボールねじなど、直線上の位置調整手段として利用可能な各種の手段を用いて間隔が変更されてもよい。また、駆動機構５についても、必ずしも切断刃３Ａ側に配置されなくてもよく、例えば受台４Ａ側に配置されてもよい。

　（第２の実施形態）
　図５は、本発明の第２の実施形態に係るフィルムの加工装置の概略的な構成を示す図である。なお、本実施形態の構成は、以下で説明する点を除いて上記の第１の実施形態と同様であるため、重複した詳細な説明は省略する。図示された例において、加工装置１Ｂは、上記で説明した切断刃３Ａ、受台４Ａ、駆動機構５、アーム６、ポスト７およびテーブル８に加えて、切断刃３Ａおよび受台４Ａとは異なる位置でフィルム２を挟んで対向する切断刃３Ｂおよび受台４Ｂとを含む。切断刃３Ｂおよび受台４Ｂは、フィルム２に対してそれぞれ切断刃３Ａおよび受台４Ａとは反対側に配置される。従って、本実施形態において、切断刃３Ｂはホルダ８１を介してテーブル８によって支持され、受台４Ｂは駆動機構５に取り付けられる。つまり、切断刃３Ａおよび受台４Ａは切断刃３Ａが駆動機構５によって往復運動させられることによって互いに対して接近および離隔するのに対し、切断刃３Ｂおよび受台４Ｂは受台４Ｂが駆動機構５によって往復運動させられることによって互いに対して接近および離隔する。

　ここで、切断刃３Ｂと受台４Ｂとの間の最小間隔ｄ２、すなわち切断刃３Ｂが受台４Ｂに最も接近したときの切断刃３Ｂの先端と受台４Ｂの表面との間の距離は、切断刃３Ｂとホルダ８１との間に介挿されるシム８２によって変更可能である。つまり、本実施形態において、駆動機構５と、アーム６と、ポスト７と、ホルダ８１およびシム８２を含むテーブル８とは、切断刃３Ｂと受台４Ｂとの間の最小間隔ｄ２を調整する間隔調整手段を構成する。なお、本実施形態において、切断刃３Ａと受台４Ａとの間の最小間隔ｄ１を調整する第１の間隔調整手段と、切断刃３Ｂと受台４Ｂとの間の最小間隔ｄ２を調整する第２の間隔調整手段とは、駆動機構５の本体部分、アーム６、ポスト７およびテーブル８の本体部分で重複している。図２を参照した例と同様に、第１の間隔調整手段および第２の間隔調整手段は、いずれも全体として断面Ｃ字形に配置されているためフィルム２には接触しない。

　本実施形態において、フィルム２は、第１の実施形態と同様の面２Ａ，２Ｂを含み、面２Ａ，２Ｂの間には引き裂き条片２１と基部条片２２とが介挿される。加工装置１Ｂでは、切断刃３Ａと受台４Ａとの間の最小間隔ｄ１が、第１の実施形態と同様に面２Ａ、引き裂き条片２１および基部条片２２を切断し、面２Ｂを切断しないように調整される。一方、切断刃３Ｂと受台４Ｂとの間の最小間隔ｄ２は、面２Ｂおよび基部条片２２を切断し、面２Ａおよび引き裂き条片２１を切断しないように調整される。具体的には、最小間隔ｄ２は、面２Ａと引き裂き条片２１とを合わせた厚さに対応する。これによって、本実施形態では、切断刃３Ａおよび受台４Ａを用いて面２Ａ側から形成される第１の切り込みと、切断刃３Ｂおよび受台４Ｂを用いて第１の切り込みとは反対側から形成される第２の切り込みとが、共通の駆動機構５の往復運動によってほぼ同時に形成される。

　なお、上記のように最小間隔ｄ１および最小間隔ｄ２を調整した場合、図５に示されるように、切断刃３Ａおよび受台４Ａ、ならびに切断刃３Ｂおよび受台４Ｂがそれぞれ最小間隔まで接近したとき、フィルム２の厚さ方向について、切断刃３Ａと切断刃３Ｂとは互いに重なり合う。この場合、フィルム２、引き裂き条片２１および基部条片２２が重ね合わされた多層構造体において、切断刃３Ａと切断刃３Ｂとが共通して切断する層が少なくとも１つ存在する。本実施形態の場合、基部条片２２が、切断刃３Ａ，３Ｂに共通して切断される層にあたる。

　図６は、本発明の第２の実施形態で加工されたフィルムを用いて製造される袋の部分的な断面図である。図６の断面方向は図５と同じであるが、接合されていない部分が隙間を開けて図示されている。本実施形態では、加工装置１Ｂが、面２Ａ側からの切り込み２５Ａと、面２Ｂ側からの切り込み２５Ｂとを形成する。切り込み２５Ａは、開封用のタブを形成する。図６（ａ）に示されるように、切り込み２５Ａは面２Ａ、引き裂き条片２１および基部条片２２を貫通して形成されているため、ユーザは図６（ｂ）に示されるように切り込み２５Ａによって形成されたタブを起点にして面２Ａ側から上記の３層を引き起こすことができる。ユーザがタブを摘持して引っ張ると、切り込み２５Ｂによって引き裂き条片２１と基部条片２２との間が分離され、面２Ａだけが引き裂き条片２１に沿って引き裂かれることによって、袋が開封される。本実施形態に係る袋の開封構造は概ね上記の第１の実施形態と同様であるが、切り込み２５Ｂが形成されていることによって基部条片２２を破断させる必要がなく、より小さい力で袋を開封することができる。

　以上で説明した本発明の第２の実施形態によれば、フィルム２に接触しない間隔調整手段によって切断刃３Ａと受台４Ａとの間の最小間隔ｄ１、および切断刃３Ｂと受台４Ｂとの間の最小間隔ｄ２が調整される。本実施形態でも間隔調整手段はフィルム２に接触しない形で配置されるため、切断刃の摩耗を低減することができ、またヒートシールの熱によって切り込みが融着するおそれがない。なお、切断刃３Ａと受台４Ａとの間の最小間隔ｄ１を調整する第１の間隔調整手段について上記で説明された変形例は、切断刃３Ｂと受台４Ｂとの間の最小間隔ｄ２を調整する第２の間隔調整手段にも同様に適用可能である。

　（第３の実施形態）
　図７は、本発明の第３の実施形態に係るフィルムの加工装置の概略的な構成を示す図である。なお、本実施形態は、フィルム２の構成、および加工装置１Ｂにおける最小間隔ｄ１の設定値を除いて上記の第２の実施形態と同様であるため、重複した詳細な説明は省略する。図示された例において、フィルム２によって形成される袋は、所謂サイドガゼット構造を有する。具体的には、フィルム２は、互いに重ね合わされて袋の表面および裏面を構成する２つの面２Ａ，２Ｂと、袋の側部が折り込まれることによって形成される２つの面２Ｃ，２Ｄとを含む。加工装置１Ｂによって切り込み２５Ａ，２５Ｂが形成される部分では、面２Ａ，２Ｃ，２Ｄ，２Ｂがこの順で重ね合わされている。

　本実施形態では、加工装置１Ｂで、切断刃３Ａと受台４Ａとの間の最小間隔ｄ１が、面２Ａ、引き裂き条片２１、基部条片２２および面２Ｃを切断し、面２Ｄおよび面２Ｂを切断しないように調整される。具体的には、最小間隔ｄ１は、面２Ｄおよび面２Ｂを重ね合わせた厚さに対応する。一方、切断刃３Ｂと受台４Ｂとの間の最小間隔ｄ２は、面２Ｂ、面２Ｄ、面２Ｃおよび基部条片２２を切断し、面２Ａおよび引き裂き条片２１を切断しないように調整される。具体的には、最小間隔ｄ２は、面２Ａと引き裂き条片２１とを合わせた厚さに対応する。これによって、加工装置１Ｂは、面２Ａ側からの切り込み２５Ａと、面２Ｂ側からの切り込み２５Ｂとを形成することができる。切り込み２５Ａは開封用のタブを形成し、切り込み２５Ｂは上記で説明したように開封を容易にする機能を有する。

　図８は、本発明の第３の実施形態で加工されたフィルムを用いて製造される袋の部分的な断面図である。図８の断面方向は図７と同じであるが、接合されていない部分が隙間を開けて図示されている。図８（ａ）および図８（ｂ）に示される袋の開封構造は概ね上記の第２の実施形態と同様であるが、袋がサイドガゼット構造を有する点で第２の実施形態とは異なる。図示されているようにサイドガゼット構造で折り込まれた面２Ｃ，２Ｄの間が接合されていない場合、切り込み２５Ａが面２Ｂ側まで貫通するとタブを起点にした開封が困難になる可能性がある。従って、切断刃３Ａによってタブがハーフカットで形成される本実施形態の構成は有利でありうる。その他の本実施形態の利点、および変形例については、上記の第２の実施形態と同様である。

　本実施形態に係る袋の製造では、上記で図３を参照して説明した例と同様に切り込み２５Ａによってタブを形成する領域をサイドシール部２３および囲みシール部２４で囲む工程の他、先にタブの形成予定位置を含む袋の一部にフィルム２の面２Ａ，２Ｃの間がシールされるシール部を形成し、その後に加工装置１Ｃでシール部に切り込み２５Ａのタブおよび切り込み２５Ｂを形成する工程も可能である。

　以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

　１Ａ，１Ｂ…加工装置、２…フィルム、２Ａ，２Ｂ，２Ｃ，２Ｄ…面、３Ａ，３Ｂ…切断刃、４Ａ，４Ｂ…受台、５…駆動機構、６…アーム、７…ポスト、８…テーブル、引き裂き２１…条片、２２…基部条片、２３…サイドシール部、２４…囲みシール部、２５Ａ，２５Ｂ…切り込み、５１，８１…ホルダ、５２，８２…シム、ｄ１，ｄ２…最小間隔。

Claims (16)

1. 　少なくとも２枚が重ねられたフィルムを挟んで対向し、互いに対して接近および離隔することが可能な第１の切断刃および第１の受台と、
   　前記フィルムに接触することなく、前記第１の切断刃と前記第１の受台との間の最小間隔を調整する第１の間隔調整手段と
   　を備えるフィルムの加工装置。
2. 　前記第１の切断刃および前記第１の受台とは異なる位置で前記フィルムを挟んで対向し、互いに対して接近および離隔することが可能な第２の切断刃および第２の受台と、
   　前記フィルムに接触することなく前記第２の切断刃と前記第２の受台との間の最小間隔を調整する第２の間隔調整手段と
   　をさらに備え、
   　前記第２の切断刃および前記第２の受台は、前記フィルムに対してそれぞれ前記第１の切断刃および前記第２の受台とは反対側に配置される、請求項１に記載のフィルムの加工装置。
3. 　前記第１の切断刃および前記第１の受台、ならびに前記第２の切断刃および前記第２の受台がそれぞれ最小間隔まで接近したとき、前記フィルムの厚さ方向について、前記第１の切断刃と前記第２の切断刃とは互いに重なり合う、請求項２に記載のフィルムの加工装置。
4. 　前記フィルムは、互いに重ね合わされた第１面および第２面を含み、前記第１面と前記第２面との間には引き裂き条片およびジッパーテープの基部条片が介挿され、
   　前記第１の切断刃と前記第１の受台との間の最小間隔は、前記第１面、前記引き裂き条片および前記基部条片を切断し、前記第２面を切断しないように調整され、
   　前記第２の切断刃と前記第２の受台との間の最小間隔は、前記第２面および前記基部条片を切断し、前記第１面および前記引き裂き条片を切断しないように調整される、請求項３に記載のフィルムの加工装置。
5. 　前記フィルムは、前記第１面と前記第２面との間に折り込まれた第３面および第４面をさらに含み、
   　前記引き裂き条片および前記基部条片は、前記第１面と前記第３面との間に介挿され、
   　前記第１の切断刃と前記第１の受台との間の最小間隔は、前記第１面、前記引き裂き条片、前記基部条片および前記第３面を切断し、前記第４面および前記第２面を切断しないように調整され、
   　前記第２の切断刃と前記第２の受台との間の最小間隔は、前記第２面、前記第４面、前記第３面および前記基部条片を切断し、前記第１面および前記引き裂き条片を切断しないように調整される、請求項４に記載のフィルムの加工装置。
6. 　前記第１の切断刃および前記第２の受台は、前記第１の間隔調整手段および前記第２の間隔調整手段に含まれる共通の駆動機構に取り付けられ、
   　前記第１の受台および前記第２の切断刃は、前記第１の間隔調整手段および前記第２の間隔調整手段に含まれ前記駆動機構に対して前記フィルムを挟んで反対側に配置されるテーブルによって支持される、請求項２から請求項５のいずれか１項に記載のフィルムの加工装置。
7. 　請求項１から請求項６のいずれか１項に記載のフィルムの加工装置を含む袋の製造装置であって、
   　前記袋の一部で前記フィルムがシールされる囲み形状のシール部を形成するシール装置をさらに含み、
   　前記第１の切断刃および前記第１の受台は、前記シール部によって囲まれる領域にタブを形成する、袋の製造装置。
8. 　請求項５に記載のフィルムの加工装置を含む袋の製造装置であって、
   　前記袋の一部で前記第１面と前記第３面との間がシールされるシール部を形成するシール装置をさらに含み、
   　前記第１の切断刃および前記第１の受台は、前記シール部にタブを形成する、袋の製造装置。
9. 　少なくとも２枚が重ねられたフィルムに、前記フィルムを挟んで対向する第１の切断刃および第１の受台を用いて第１の切り込みを形成する工程を含み、
   　前記第１の切断刃と前記第１の受台との間の最小間隔は、前記フィルムに接触しない第１の間隔調整手段を用いて調整される、フィルムの加工方法。
10. 　前記フィルムに、前記第１の切断刃および前記第１の受台とは異なる位置で前記フィルムを挟んで対向する第２の切断刃および第２の受台を用いて、前記第１の切り込みとは反対側から第２の切り込みを形成する工程をさらに含み、
    　前記第２の切断刃と前記第２の受台との間の最小間隔は、前記フィルムに接触しない第２の間隔調整手段を用いて調整される、請求項９に記載のフィルムの加工方法。
11. 　前記第１の切り込みと前記第２の切り込みとは、前記フィルムの厚さ方向について互いに重なり合う、請求項１０に記載のフィルムの加工方法。
12. 　前記フィルムは、互いに重ね合わされた第１面および第２面を含み、前記第１面と前記第２面との間には引き裂き条片およびジッパーテープの基部条片が介挿され、
    　前記第１の切り込みは、前記第１面、前記引き裂き条片および前記基部条片に形成され、前記第２面には形成されず、
    　前記第２の切り込みは、前記第２面および前記基部条片に形成され、前記第１面および前記引き裂き条片には形成されない、請求項１１に記載のフィルムの加工方法。
13. 　前記フィルムは、前記第１面と前記第２面との間に折り込まれた第３面および第４面をさらに含み、
    　前記引き裂き条片および前記基部条片は、前記第１面と前記第３面との間に介挿され、
    　前記第１の切り込みは、前記第１面、前記引き裂き条片、前記基部条片および前記第３面に形成され、前記第４面および前記第２面には形成されず、
    　前記第２の切り込みは、前記第２面、前記第４面、前記第３面および前記基部条片に形成され、前記第１面および前記引き裂き条片には形成されない、請求項１２に記載のフィルムの加工方法。
14. 　前記第１の切断刃および前記第２の受台は、前記第１の間隔調整手段および前記第２の間隔調整手段に含まれる共通の駆動機構に取り付けられ、
    　前記第１の切り込みおよび前記第２の切り込みは、前記共通の駆動機構の往復運動によって形成される、請求項１０から請求項１３のいずれか１項に記載のフィルムの加工方法。
15. 　請求項９から請求項１４のいずれか１項に記載のフィルムの加工方法の工程を含む袋の製造方法であって、
    　前記第１の切り込みによって前記袋にタブを形成し、
    　前記タブを囲む領域で前記フィルムがシールされるシール部を形成する工程をさらに含む、袋の製造方法。
16. 　請求項１３に記載のフィルムの加工方法の工程を含む袋の製造方法であって、
    　前記袋の一部で前記第１面と前記第３面との間がシールされるシール部を形成する工程をさらに含み、
    　前記第１の切り込みによって前記シール部にタブを形成する、袋の製造方法。

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