WO2020241414A1 - 上着 - Google Patents

Abstract

本発明は、高い防寒機能を備えつつ軽量で、着用者のシルエットのスリム化を図ることができる上着を提供する。本発明の上着（１）は、前身頃（１０）、後身頃（１１）、袖部（１２）及び脇部（１３）を備える。前身頃（１０）、後身頃（１１）、袖部（１２）及び脇部（１３）の各部分は、防寒素材が内包された防寒領域（Ｒ１、Ｒ２、Ｒ４、Ｒ５）を備える。前身頃（１０）の上部は、ダウンが内包されたダウン領域（Ｒ１）を備える。後身頃（１１）の上部は、ダウンが内包されたダウン領域（Ｒ２）を備える。袖部（１２）の全体は、綿素材が内包された綿領域（Ｒ４）を備える。脇部（１３）の下部は、綿素材が内包された綿領域（Ｒ５）を備える。

Description

上着

　本発明は、上着に関する。

　防寒用の上着として、例えばダウンジャケットがある。ダウンジャケットは、一般的に前身頃、後身頃及び袖部の全体にダウンが内包されている（特許文献１、２参照）。このダウンジャケットは、防寒機能が高いうえに軽量である。

特許第５９５１６７９号公報 特許第６１８２６１７号公報

　しかしながら、上述のようなダウンジャケットでは、袖部が、内部のダウンにより膨出し、着用者の実際の腕よりもかなり太く見える。また、脇部も、内部のダウンにより膨出し、このため、着用者が脇を締めることが難しくなり、着用者の腕が身体から離れやすくなる。この結果、上述のようなダウンジャケットを着用すると、スリムな外形（シルエット）を確保することは難しい。

　本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、高い防寒機能を備えつつ軽量で、着用者のシルエットのスリム化を図ることができる上着を提供することを目的とする。

　本発明の一態様に係る上着（１）は、前身頃（１０）、後身頃（１１）、袖部（１２）及び脇部（１３）を備え、前身頃（１０）、後身頃（１１）、袖部（１２）及び脇部（１３）の各部分は、防寒素材が内包された防寒領域（Ｒ１、Ｒ２、Ｒ４、Ｒ５）を備え、前身頃（１０）の上部は、ダウンが内包されたダウン領域（Ｒ１）を備え、後身頃（１１）の上部は、ダウンが内包されたダウン領域（Ｒ２）を備え、袖部（１２）の全体は、綿素材が内包された綿領域（Ｒ４）を備え、脇部（１３）の下部は、綿素材が内包された綿領域（Ｒ５）を備えている。

　本発明によれば、高い防寒機能を備えつつ軽量で、着用者のシルエットのスリム化を図ることができる上着を提供することができる。

上着の構成の一例を示す上着の正面図である。 上着の構成の一例を示す上着の背面図である。 上着を展開した説明図である。 肩部の拡大図である。 他の態様の上着を展開した説明図である。 他の態様の上着を展開した説明図である。

　以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。

　図１は、本実施の形態にかかる上着１の構成の一例を示す上着１の正面図であり、図２は、上着１の背面図である。上着１は、例えばパーカー、ジャケット或いはコートである。

　上着１は、例えば前身頃１０と、後身頃１１と、袖部１２と、脇部１３と、肩部１４及びフード１５を備えている。

　前身頃１０、後身頃１１、袖部１２、脇部１３、肩部１４及びフード１５の各部分は、防寒素材が内包された防寒領域を有している。

　図３は、開いた状態の上着１を内側から見た展開図であり、前身頃１０、後身頃１１、袖部１２、脇部１３、肩部１４及びフード１５の各部分に設けられた防寒領域を示している。各部分の防寒領域には、防寒素材であるダウン又は綿素材のいずれかが内包されている。

　ダウンは、例えば上着１の裏地に空隙を設け、その空隙にダウンを入れて縫製等で閉じることにより内包されている。綿素材は、例えばシート状に形成され、上着１の裏地と表地の間に挟み込まれ互いに縫製されることにより内包されている。なお、本明細書において「上」、「下」、「上下」、「左右」は、図１乃至図３に示した上着１を基準にした方向である。

　ここで、ダウンは、羽毛又は羽根毛の少なくともいずれかを含む素材である。綿素材は、綿を含む素材又は、綿と略同質の化学繊維、例えばレーヨン繊維、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、アクリル系繊維、アクリレート系繊維などの繊維を含む素材である。ダウンは、綿素材よりも軽量で保温性に優れており、綿素材は、ダウンよりも強度が高く、水にも強い。さらに、綿素材には、機能綿の吸湿発熱綿を使用してもよい。

　図３に示すように前身頃１０は、ダウンが内包されたダウン領域Ｒ１を有している。ダウン領域Ｒ１は、右前身頃１０ａと左前身頃１０ｂのそれぞれに設けられている。ダウン領域Ｒ１は、右前身頃１０aと左前身頃１０ｂの上下方向に長い略長方形状領域である。

　ダウン領域Ｒ１は、例えば前身頃１０の裾部２０と、前立て部（右前身頃１０ａと左前身頃１０ｂを合わせて互いに固定するためのボタンやファスナーが付いている部分であって、右前身頃１０ａと左前身頃１０ｂの中央側の端部に設けられた上下方向に細長い部分）２１を除いた、上部と下部を含むほぼ全体にわたり設けられている。ダウン領域Ｒ１は、上着１の着用者の胸部、腹部、下腹部を覆うように設けられている。

　後身頃１１は、例えば上着１の着用者の背中を覆う上部１１ａと、着用者の臀部を覆う下部１１ｂを有している。後身頃１１は、その上部１１ａに、ダウン素材が内包されたダウン領域Ｒ２を有し、その下部１１ｂに、綿素材が内包された綿領域Ｒ３を有している。

　ダウン領域Ｒ２は、後身頃１１の上部１１ａの略方形領域に配置され、綿領域Ｒ３は、後身頃１１の下部１１ｂの略方形領域に配置されている。

　綿領域Ｒ３は、後身頃１１の下部１１ｂにおける裾部２０を除く下端Ｔ１から境界線Ｄ１までの領域に設けられている。ダウン領域Ｒ２と綿領域Ｒ３の境界線Ｄ１は、左右方向に延びる直線状に形成されている。

　境界線Ｄ１は、下端Ｔ１から、上端Ｔ２側に向けて、後身頃１１の上下方向の全長Ｌ１の１０％以上６０％以下、好ましくは１５％以上４０％以下離れた位置に設けられている。ダウン領域Ｒ２の上下方向の全長Ｌ２は、例えば３５ｃｍ以上７０ｃｍ以下、好ましくは４５ｃｍ以上、６０ｃｍ以下に設定されている。また、綿領域Ｒ３の上下方向の全長Ｌ３は、例えば１０ｃｍ以上４０ｃｍ以下、好ましくは１５ｃｍ以上３５ｃｍ以下に設定されている。

　さらに後身頃１１のダウン領域Ｒ２と綿領域Ｒ３との全長比（Ｌ２対Ｌ３）は、例えば６～０．８対１の範囲に設定されている。

　図１及び図２に示す袖部１２は、その全体に、綿素材が内包された綿領域Ｒ４（図３に示す）を有している。なお、ここでいう「袖部１２の全体」は、実質的な全体であればよく、例えば袖部１２の表面積の９０％以上をいう。

　図３に示す脇部１３は、前身頃１０と後身頃１１の左右方向の間であって袖部１２の下方に位置している。脇部１３は、その全体に、綿素材が内包された綿領域Ｒ５を有している。

　なお、ここでいう「脇部１３の全体」は、実質的な全体であればよく、例えば脇部１３の表面積の９０％以上をいう。例えば脇部１３の裾部２０には綿領域Ｒ５が設けられていなくてもよい。綿領域Ｒ５は、前身頃１０、後身頃１１及び袖部１２に囲まれた上下方向に長い略長方形領域に配置されている。

　肩部１４は、袖部１２の基端縁１２ａから襟に向かって帯状に形成されている。図４に示すように肩部１４は、例えば前身頃１０及び後身頃１１側の前後縁１４ａと、フード１５側の上端縁１４ｂと、袖部１２側の下端縁１４ｃからなる外縁を有している。

　前後縁１４ａは、前身頃１０の上端縁１０ｃと後身頃１１の上端縁１１ｃに対応し、上端縁１４ｂは、後述の襟部１５ｂの下端縁１５ｃに対応し、下端縁１４ｃは、袖部１２の基端縁１２ａに対応している。

　肩部１４の前後縁１４ａは、袖部１２の基端縁１２ａと、それより上着１の中央側にある襟部１５ｂの下端縁１５ｃとを接続し、基端縁１２ａから下端縁１５ｃに向かって、次第に上がるように斜めに延設されている。図３に示すように肩部１４は、その全体に、綿素材が内包された綿領域Ｒ６を有している。

　図３に示すようにフード１５は、本体部１５ａと襟部１５ｂを有している。本体部１５ａは、少なくとも頂部１５ｄを含む部分であり、着用者の頭部を覆うようにドーム状に形成されている。

　襟部１５ｂは、前身頃１０、後身頃１１、肩部１４及び本体部１５ａに囲まれた部分であって、着用者の首回りを覆うような帯状に形成されている。本体部１５ａは、綿素材が内包された綿領域Ｒ７を有している。襟部１５ｂは、ダウン素材が内包されたダウン領域Ｒ８を有している。

　なお、例えばフード１５の縁部３０や前部３１には、防寒領域が形成されていなくてもよい。フード１５は、上着１の本体に対し取り外し自在であってもよいし、上着１の本体に常に固定されていてもよい。

　図３に示したように後身頃１１の綿領域Ｒ３は、左右の脇部１３の綿領域Ｒ５に繋がっており、左右の各脇部１３の綿領域Ｒ５は、左右の各袖部１２の綿領域Ｒ４に繋がっている。さらに左右の各袖部１２の綿領域Ｒ４は、左右の各肩部１４の綿領域Ｒ６に繋がっている。

　よって、後身頃１１の綿領域Ｒ３、脇部１３の綿領域Ｒ５、袖部１２の綿領域Ｒ４及び肩部１４の綿領域Ｒ６は互いに連続している。

　前身頃１０のダウン領域Ｒ１は、襟部１５ｂのダウン領域Ｒ８に繋がっており、襟部１５ｂのダウン領域Ｒ８は、後身頃１１のダウン領域Ｒ２に繋がっている。よって、前身頃１０のダウン領域Ｒ１、襟部１５ｂのダウン領域Ｒ８及び後身頃１１のダウン領域Ｒ２は互いに連続している。

　本実施の形態によれば、前身頃１０、後身頃１１、袖部１２及び脇部１３の各々が、防寒素材が内包された防寒領域を有し、前身頃１０及び後身頃１１は、各々の少なくとも上部に、防寒素材のダウンが内包されたダウン領域Ｒ１、Ｒ２を有している。これにより、上着１の着用者の背中、胸部の保温性を確保することができ、また上着１の軽量性も確保することができる。

　袖部１２は、その全体に、防寒素材の綿素材が内包された綿領域Ｒ４を有し、脇部１３は、少なくともその下部に、防寒素材の綿素材が内包された綿領域Ｒ５を有している。これにより、上着１の着用者の腕が細く見え、また着用者が腕を十分に閉じて身体に付けやすくなる。この結果、上着１の着用者のシルエット（外形）をスリム化することができる。よって、上着１の高い防寒性と軽量性を確保しつつ、上着１の着用者のシルエットのスリム化を図ることができる。

　後身頃１１は、その下部１１ｂに、綿素材が内包された綿領域Ｒ３を有している。綿素材はダウンよりも強度が高いので、例えば上着１の着用者が着座するたびに後身頃１１の下部１１ｂが着用者の臀部で踏まれても、上着１の防寒機能が劣化したり上着１の形状が変化することを抑制することができる。

　また、綿素材はダウンに比べて水に強いため、着用者が濡れた場所に座っても上着１の防寒機能や耐久性が劣化することを抑制することができる。この構成は、アウトドア用、スキー、スケートボードなどのスポーツ用の上着１に特に適している。

　脇部１３の綿領域Ｒ５と後身頃１１の綿領域Ｒ３は繋がっているので、この綿領域Ｒ５、Ｒ３が上着１の骨格の一部としての役割を果たし、上着１の強度を向上することができる。また、上着１に綿素材を包含させる作業をより簡単に行うことができる。

　脇部１３は、その全体に綿領域Ｒ５を有しているので、上着１の着用者が脇を締めて腕を十分に閉じて身体に着けることができる。よって、上着１の着用者のシルエットをよりスリム化することができる。

　フード１５は、少なくとも頂部１５ｄを含む本体部１５ａに、綿素材が内包された綿領域Ｒ７を有するので、フード１５が雨や雪などにより濡れた場合でもダウンに比べてフード１５の防寒機能が劣化することを抑制することができる。

　フード１５の襟部１５ｂは、ダウンが内包されたダウン領域Ｒ８を有しているので、フード１５の防寒性及び軽量性を確保することができる。

　肩部１４は、綿素材が内包された綿領域Ｒ６を有しているので、肩部１４が雨や雪などにより濡れた場合でもダウンに比べて肩部１４の防寒機能が劣化することを抑制することができる。また、リュックなどを背負ったときの紐により肩部１４の防寒素材が劣化することを抑制することができる。この構成は、アウトドア用、スキー、スケートボードなどのスポーツ用の上着１に特に適している。また、肩部１４には、ダブルラッセルなどのメッシュ素材を用いてもよい。

　肩部１４の綿領域Ｒ６と袖部１２の綿領域Ｒ４は繋がっているので、この綿領域Ｒ６、Ｒ４が上着１の骨格の一部としての役割を果たし、上着１の強度を向上することができる。

　上記実施の形態において、図５に示すように後身頃１１は、その全体が、ダウンが内包されたダウン領域Ｒ２であってもよい。すなわち、後身頃１１の上部１１ａと下部１１ｂが同じダウン領域Ｒ２であり、綿領域Ｒ３がなくてもよい。この場合、上着１の保温性、軽量性を向上することができる。

　以上の図１～図５に示す実施の形態において、肩部１４は、綿領域Ｒ６の代わりにダウン領域を有していてもよい。またフード１５は、本体部１５ａと襟部１５ｂの両方が綿領域Ｒ７であってもよいし、ダウン領域Ｒ８であってもよい。

　さらに上着１は、図６に示すように前身頃１０が上部１０ｄと下部１０ｅを備え、上部１０ｄにダウン領域Ｒ１が配置され、下部１０ｅに綿領域Ｒ１０が配置されるように構成されていてもよい。上部１０ｄは、例えば上着１の着用者の胸部と腹部を覆う部分であり、下部１０ｅは、上着１の着用者の下腹部を覆う部分である。

　この場合、綿領域Ｒ１０は、前身頃１０の下部１０ｅにおける裾部２０を除く下端Ｔ３から境界線Ｄ２までの領域に設けられている。ダウン領域Ｒ１と綿領域Ｒ１０の境界線Ｄ２は、左右方向に延びる直線状に形成されている。境界線Ｄ２は、下端Ｔ３から、上端Ｔ４側に向けて前身頃１０の上下方向の全長Ｌ４の１０％以上６０％以下、好ましくは２０％以上５５％以下離れた位置に設けられている。

　ダウン領域Ｒ１の上下方向の全長Ｌ５は、例えば３５ｃｍ以上７０ｃｍ以下に設定されている。また、綿領域Ｒ１０の上下方向の全長Ｌ６は、例えば１０ｃｍ以上６０ｃｍ以下、好ましくは２０ｃｍ以上５０ｃｍ以下に設定されている。さらに前身頃１０のダウン領域Ｒ１と綿領域Ｒ１０との全長比（Ｌ５対Ｌ６）は、例えば６～０．８対１の範囲に設定されている。なお、境界線Ｄ２は、上記実施の形態の後身頃１１の境界線Ｄ１と同一直線上に配置されていてもよい。

　また、図６に示すように脇部１３は、上部１３ａと下部１３ｂを備え、上部１３ａにダウン領域Ｒ１１が配置され、下部１３ｂに綿領域Ｒ５が配置されていてもよい。この場合、上部１３ａと下部１３ｂの境界線Ｄ３は、例えば境界線Ｄ２及び境界線Ｄ１と上下方向の同じ位置に配置され、境界線Ｄ２及び境界線Ｄ１と同一直線上に配置されていてもよい。

　例えば図６に示すように上着１は、前身頃１０や後身頃１１と区別される肩部１４を備えていなくてもよい。また、上着１は、フード１５を取り外し自在であってもよい。図６は、フード１５が取り外された状態の上着１を示す。図６に示す上着１のその他の前身頃１１、袖部１２などの構成は、図１～図５に示す上記実施の形態と同様であってもよい。

　以上の実施の形態における上着１は、他の形状を有するものであってもよい。フード１５はあってもなくてもよい。上着１は、ジャケット、コート、パーカー等であってもよい。

　本発明は、高い防寒機能を備えつつ軽量で、着用者のシルエットのスリム化を図ることができる上着を提供する際に有用である。

　１　上着
　１０　前身頃
　１１　後身頃
　１２　袖部
　１３　脇部
　１４　肩部
　１５　フード
　Ｒ１　ダウン領域
　Ｒ２　ダウン領域
　Ｒ３　綿領域
　Ｒ４　綿領域
　Ｒ５　綿領域
 

Claims (9)

1. 　前身頃（１０）、後身頃（１１）、袖部（１２）及び脇部（１３）を備えた上着（１）において、
   　前記前身頃（１０）、前記後身頃（１１）、前記袖部（１２）及び前記脇部（１３）の各部分は、防寒素材が内包された防寒領域（Ｒ１、Ｒ２、Ｒ４、Ｒ５）を備え、
   　前記前身頃（１０）の上部は、ダウンが内包されたダウン領域（Ｒ１）を備え、
   　前記後身頃（１１）の上部は、ダウンが内包されたダウン領域（Ｒ２）を備え、
   　前記袖部（１２）の全体は、綿素材が内包された綿領域（Ｒ４）を備え、
   　前記脇部（１３）の下部は、綿素材が内包された綿領域（Ｒ５）を備える
   　ことを特徴とする上着（１）。
2. 　前記後身頃（１１）の下部は、綿素材が内包された綿領域（Ｒ３）を備える
   　ことを特徴とする請求項１に記載の上着（１）。
3. 　前記脇部（１３）の綿領域（Ｒ５）と、前記後身頃（１１）の綿領域（Ｒ３）とは連続するように縫製されている
   　ことを特徴とする請求項２に記載の上着（１）。
4. 　前記脇部（１３）の上部は、前記綿領域（Ｒ５）を備える
   　ことを特徴とする請求項１～３の何れか一項に記載の上着（１）。
5. 　前記前身頃（１０）の下部は、綿素材が内包された綿領域（Ｒ１０）を備える
   　ことを特徴とする請求項１～４の何れか一項に記載の上着（１）。
6. 　フード（１５）をさらに備え、
   　前記フード（１５）は、防寒素材が内包された防寒領域を備え、頂部（１５ｄ）を含む本体部（１５ａ）に綿素材が内包された綿領域（Ｒ７）を備える
   　ことを特徴とする請求項１～５の何れか一項に記載の上着（１）。
7. 　前記フード（１５）は、襟部（１５ｂ）を備え、
   　前記襟部（１５ｂ）は、ダウンが内包されたダウン領域（Ｒ８）を備える
   　ことを特徴とする請求項６に記載の上着（１）。
8. 　肩部（１４）をさらに備え、
   　前記肩部（１４）は、綿素材が内包された綿領域（Ｒ６）を備える
   　ことを特徴とする請求項１～７の何れか一項に記載の上着（１）。
9. 　前記肩部（１４）の綿領域（Ｒ６）と、前記袖部（１２）の綿領域（Ｒ４）とは連続するように縫製されている
   　ことを特徴とする請求項８に記載の上着（１）。

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