WO2020240817A1 - データ使用促進装置、データ使用許可方法及びデータ使用許可プログラム - Google Patents

Abstract

複数のエッジデバイス（ネットワークカメラ１）がネットワーク２を介して接続されたデータ使用促進システム１００におけるデータ使用許可方法であって、ネットワーク２に接続された装置において、データ使用許可者が登録されているデータ使用許可者情報３２を管理するステップと、センサデバイス（イメージセンサ１１）で得られたデータに、個人若しくは個人の行動に関する人・行動情報があるか否かを判別するステップと、人・行動情報が含まれたデータがあった場合に、前記個人がデータ使用許可者情報３２に登録されているか否かを判別し、登録されていた場合にはデータの使用を許可するステップと、を有する、データ使用許可方法。

Description

データ使用促進装置、データ使用許可方法及びデータ使用許可プログラム

　本発明は、センサデバイスで得られたデータの利用を促進させるための、データ使用促進装置、データ使用許可方法及びデータ使用許可プログラムに関する。

　いわゆるＩｏＴの普及に伴い、ネットワークに繋がったセンサデバイスが増加しており、今後も爆発的に増加していくことが予想されている。これにより膨大なデータが取得、蓄積され得るが、これらのデータの有効活用が真に図られているかというと、そうとも言えないのが現状である。
　このようなデータの利用がうまく進んでいかない理由の一つとして、個人情報の扱いの問題がある。
　このような問題に関連し、特許文献１では、ブラックリスト人物の識別において、複数のブラックリスト人物の顔画像から共通する共通特徴量を作成して、この共通特徴量に基づいてブラックリスト人物の識別をする技術が開示されている。ブラックリスト人物の顔画像そのものの使用が、個人情報の扱いの観点で難しく、“共通特徴量”という形で匿名化をしているものである。

特開２０１９－５３３８１号公報

　例えば、多数のネットワークカメラの映像に基づく情報を利用することで、現実空間で起きている事象に関する情報をほぼリアルタイムで取得することも可能である。その利用例の一つとして、車の走行中に、自己の場所からは視認できない場所の情報を、ネットワークを介して得ることで、事故防止等に役立てるといったこともできる。
　しかしながら、例えば、街角に設置されたネットワークカメラの映像には、多くの人が映り込むことになる。映像に人が映り込んでいる（データに個人情報が入っている）と、その利用が制限され、技術的には可能且つ有用な利用法が存在しても、現実にこれを行うことができない、若しくは本来の効果を得られないという場合がある。
　特許文献１の技術においても、ブラックリスト人物の顔画像そのものの使用が可能であれば、より確実な識別が可能となるものであるが、“共通特徴量”による匿名化という手段を取らざるを得ず、本来得られる筈の識別精度が得られない結果となるものである。
　このような例からも理解されるように、個人情報の扱いがネックとなって、データの有効活用が図られ難いという問題が存在している。

　本発明は、上記の点に鑑み、センサデバイスで得られたデータの利用を促進させるための、データ使用促進装置、データ使用許可方法及びデータ使用許可プログラムを提供することを目的とする。

（構成１）
　センサデバイスで得られたデータに、個人若しくは個人の行動に関する人・行動情報があるか否かを判別する人・行動情報判別部と、前記人・行動情報が含まれたデータがあった場合に、前記個人がデータ使用許可者であるか否かを判別し、前記データ使用許可者であった場合には前記人・行動情報が含まれたデータの使用を許可するデータ使用許可部と、を備える、データ使用促進装置。

（構成２）
　センサデバイスで得られたデータに、個人若しくは個人の行動に関する人・行動情報があるか否かを判別する人・行動情報判別部と、前記人・行動情報が含まれたデータがあった場合に、前記個人が、データ使用許可者であるか否かを外部装置に照会し、前記データ使用許可者である場合には前記人・行動情報が含まれたデータの使用を許可するデータ使用許可部と、を備える、データ使用促進装置。

（構成３）
　センサデバイスで得られたデータに、個人若しくは個人の行動に関する人・行動情報があるか否か、及び、当該人・行動情報が含まれたデータがあった場合に前記個人がデータ使用許可者であるか否かを外部装置に照会し、前記データ使用許可者である場合には前記人・行動情報が含まれたデータの使用を許可するデータ使用許可部、を備える、データ使用促進装置。

（構成４）
　構成２又は３に記載の外部装置たるデータ使用促進装置であって、前記データ使用許可者が登録されているデータ使用許可者情報を有し、前記照会に対して、前記個人が、データ使用許可者情報に登録されているか否かを判別し、当該判別結果を前記照会に対する返信として返す、データ使用許可者判別部、を備える、データ使用促進装置。

（構成５）
　前記人・行動情報が、個人を識別できる識別情報である、構成１から４の何れかに記載のデータ使用促進装置。

（構成６）
　前記データが画像若しくは映像データであり、前記識別情報が、前記個人の画像若しくは映像に基づく情報である、構成５に記載のデータ使用促進装置。

（構成７）
　前記人・行動情報が含まれたデータの使用がされた場合に、前記個人に対価情報を付与する、構成１から６の何れかに記載のデータ使用促進装置。

（構成８）
　前記データに、複数の個人の前記人・行動情報が含まれていた場合には、当該複数の個人のすべてが前記データ使用許可者である場合のみ前記人・行動情報が含まれたデータの使用を許可する、構成１から７の何れかに記載のデータ使用促進装置。

（構成９）
　前記データに、前記データ使用許可者ではない個人の前記人・行動情報が含まれていた場合には、前記人・行動情報を削除若しくは匿名化した上で、当該データの使用を許可する、構成１から７の何れかに記載のデータ使用促進装置。

（構成１０）
　前記データに、複数の個人の前記人・行動情報が含まれていた場合において、当該複数の個人の何れかが前記データ使用許可者でなかった場合に、当該データ使用許可者ではない個人の前記人・行動情報を削除若しくは匿名化した上で、当該データの使用を許可する、構成１から７の何れかに記載のデータ使用促進装置。

（構成１１）
　前記データに、前記データ使用許可者ではない個人の前記人・行動情報が含まれていた場合には、当該データを削除する、構成１から１０の何れかに記載のデータ使用促進装置。

（構成１２）
　複数のエッジデバイスがネットワークを介して接続されたデータ使用促進システムにおけるデータ使用許可方法であって、前記ネットワークに接続された装置において、データ使用許可者が登録されているデータ使用許可者情報を管理するステップと、センサデバイスで得られたデータに、個人若しくは個人の行動に関する人・行動情報があるか否かを判別するステップと、前記人・行動情報が含まれたデータがあった場合に、前記個人が前記データ使用許可者情報に登録されているか否かを判別し、前記データ使用許可者情報に登録されていた場合には前記人・行動情報が含まれたデータの使用を許可するステップと、を有する、データ使用許可方法。

（構成１３）
　前記人・行動情報が、個人を識別できる識別情報である、構成１２に記載のデータ使用許可方法。

（構成１４）
　前記人・行動情報が含まれたデータの使用がされた場合に、前記個人に対価情報を付与するステップを有する、構成１２又は１３に記載のデータ使用許可方法。

（構成１５）
　複数のエッジデバイスがネットワークを介して接続されたデータ使用促進システムにおけるデータ使用許可プログラムであって、前記ネットワークに接続された装置に、データ使用許可者が登録されているデータ使用許可者情報を管理するステップと、センサデバイスで得られたデータに、個人若しくは個人の行動に関する人・行動情報があるか否かを判別するステップと、前記人・行動情報が含まれたデータがあった場合に、前記個人が前記データ使用許可者情報に登録されているか否かを判別し、前記データ使用許可者情報に登録されていた場合には前記人・行動情報が含まれたデータの使用を許可するステップと、を実行させる、データ使用許可プログラム。

（構成１６）
　前記人・行動情報が、個人を識別できる識別情報である、構成１５に記載のデータ使用許可プログラム。

（構成１７）
　前記人・行動情報が含まれたデータの使用がされた場合に、前記個人に対価情報を付与するステップを有する、構成１５又は１６に記載のデータ使用許可プログラム。

　本発明のデータ使用促進装置、データ使用許可方法及びデータ使用許可プログラムの提供によれば、センサデバイスで得られたデータの利用を促進させることができる。

本発明に係る実施形態１のデータ使用促進システムを示す概略ブロック図 データ使用促進システムにおける処理動作の概略を示すフローチャート データ使用許可者管理テーブル（データ使用許可者情報）の概略を示す図 データ使用許可者データの概略を示す図 データ使用促進システムにおける処理動作の概略を示すフローチャート 実施形態２のデータ使用促進システムを示す概略ブロック図 実施形態２のデータ使用促進システムの処理動作の概略を示すフローチャート 実施形態２のデータ使用促進システムの処理動作の概略を示すフローチャート

　以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。

＜実施形態１＞
　図１は、本発明に係る実施形態１のデータ使用促進システムの構成の概略を示すブロック図である。
　データ使用促進システム１００は、ネットワーク２と、ネットワーク２に接続された複数のネットワークカメラ（データ使用促進装置）１と、データ使用許可者管理装置（データ使用促進装置）３と、を備える。
　データ使用促進システム１００は、以下で説明する概念により、ネットワークカメラなどのセンサデバイスを有し、ネットワークに接続された装置で得られたデータが、ネットワークを介して流通及び利用される（例えば、ネットワーク２に接続された他の情報処理装置４等によって利用される）ことを促進させるためのシステムである。以下、このシステムによって実現される新たなデータ利用環境を、「データ使用促進環境」という。データ使用促進環境は、参加者がより進んだ情報社会の実現のためにデータの活用を認めるという、共通のコンセンサスが得られた場である。

　ネットワークカメラ（データ使用促進装置）１は、いわゆるエッジデバイスであり、イメージセンサ１１と、当該イメージセンサ１１からのデータ等を記録するＲＡＭ１２と、各種の演算処理等を行うＣＰＵ１３と、ネットワーク２に対するデータの送受信のインターフェースとなる送受信部１４と、データ使用許可者データが保存される記憶部１５（以下単に「データ使用許可者データ１５」という）と、を備える。
　データ使用許可者管理装置（データ使用促進装置）３は、いわゆるサーバ等の情報処理装置であって、各種の演算処理等を行うＣＰＵ３１と、データ使用許可者管理テーブルが保存される記憶部３２（以下単に「データ使用許可者管理テーブル３２」という）と、ネットワーク２に対するデータの送受信のインターフェースとなる送受信部３３と、を備える。

　図３は、データ使用許可者管理装置３が有するデータ使用許可者管理テーブル（データ使用許可者情報）３２を示す概略図である。
　データ使用許可者管理テーブル３２は、データ使用許可者のＩＤ情報と、顔画像（若しくは顔認識用特徴量データ）と、実際にデータが使用された回数に関する情報であるデータ使用回数と、が対応付けられたテーブルである。
　“データ使用許可者”とは、データ使用促進環境への参加者であり、自己が写った映像若しくは画像データ（以下単に「映像」や「映像データ」という）の使用を許可した者である。例えば街角を歩いている際に、ネットワークカメラ１（データ使用許可者が保有する装置に限られない任意の装置）に自己が写り込んだ場合において、その映像が利用されることを認める旨を、予め登録している者である。
　データ使用促進環境への参加、即ちデータ使用許可者管理テーブル３２への情報の登録は、任意の方法によって行われるものであってよい。例えば、データ使用促進環境への参加希望者が、データ使用許可者管理装置３によって提供されるＷｅｂサイトにアクセスし、必要情報の入力と顔画像データの送信を行うことによっても良いし、紙媒体での申込書に自己の顔写真を添付して、データ使用許可者管理装置３の管理者宛てに郵送し、これを受けた管理者が、データ使用許可者管理テーブル３２に情報の登録を行うようなものであっても良い。既に他のサービスやシステムで顔画像データ等の必要な情報が保有されている場合に（例えば日本におけるマイナンバー制度）、それらのシステムとの連携をするようなもの（それらの他のシステム自体が、データ使用許可者管理装置３として機能するものを含む）であってもよい。例えば、日本のマイナンバー制度において、データ使用促進環境への参加意思をチェックする項目を設けることで、顔画像等のマイナンバー制度に基づく情報を有するサーバ等に、以下で説明するデータ使用許可者管理装置３の機能を持たせるようにしてもよい。
　データ使用許可者管理装置３では、データ使用促進環境への参加希望者の顔画像データから、顔認識用特徴量データを算出し、これをデータ使用許可者管理テーブル３２において管理する。なお、顔認識用特徴量データの算出方法については、本発明の要部ではないため、ここでの説明を省略する。当業者が「顔認識用特徴量データの算出」として適用できる任意の方法を用いることができる。データ使用許可者管理装置３における顔認識用特徴量データの算出は、データの通信量の削減や、処理効率の向上を目的としているものであるが、処理資源が許すのであれば、データ使用許可者管理テーブル３２や以下で説明するデータ使用許可者データ１５として保有するデータを、顔画像データそのままとするものであっても構わない。

　図２は、ネットワークカメラ１における処理動作の概略を示すフローチャートである。また、図５は、データ使用許可者管理装置３における処理動作の概略を示すフローチャートである。
　ステップ２０１（図２）では、ネットワークカメラ１において、データ使用許可者データ１５の更新時間であるか否かを判別し、更新時間であった場合には、データ使用許可者管理装置３に対して、データ使用許可者データ１５の更新要求を行う（ステップ２０２）。これを受けたデータ使用許可者管理装置３では、データ使用許可者管理テーブル３２と、ネットワークカメラ１が有するデータ使用許可者データ１５との差分情報をデータ使用許可者データ１５に配信する処理を行う（図５：ステップ５０２→ステップ５０５）。
　図４は、ネットワークカメラ１が有するデータ使用許可者データ１５を示す概略図である。データ使用許可者データ１５は、データ使用許可者のＩＤ情報と、顔画像（顔認識用特徴量データ）と、が対応付けられたテーブルであり、ステップ２０２の処理は、データ使用許可者管理装置３のデータ使用許可者管理テーブル３２に対応させてデータを更新するものである。即ち、データ使用許可者管理テーブル３２に更新データがあった場合（新たな参加者や脱退者があった場合）に、これを反映するものである。
　データ使用許可者データ１５の更新間隔は、任意のものであってよい（当然に更新間隔は短い方が好ましいが、ネットワークの容量や、各装置の処理能力等に応じて適宜定められるものであればよい）。

　ステップ２０３では、ネットワークカメラ１において、人を検知したか否かを判別する。当該判別はイメージセンサ１１で撮像される映像データに基づいて行われるものであり、「映像に基づく人の検知」の技術の内容自体は、本発明の要部ではないため、ここでの説明を省略する。当業者が「映像に基づく人の検知」として適用できる任意の方法を用いることができる。
　人が検知された場合には、当該人が、“データ使用許可者”であるか否かを判別する（ステップ２０３→ステップ２０４）。当該判別は、イメージセンサ１１で撮像された映像データを、データ使用許可者データ１５の顔認識用特徴量データと照合することによって行う。イメージセンサ１１で撮像された映像データにおける顔認識や、データ使用許可者データ１５の顔認識用特徴量データとの照合の具体的な内容については、本発明の要部ではないため、ここでの説明を省略する。当業者が「顔認識」や「顔照合」として適用できる任意の方法を用いることができる。

　ステップ２０４の判別処理によって、“データ使用許可者”であると判別できなかった場合には、ステップ２０５へ移行して、映像データにおける該当人物のエリアに対するモザイク処理を行う。当該処理は、“データ使用許可者”であると判別できなかった場合に、該当人物の映像を匿名化するためのものであり、モザイク処理に限らず任意の匿名化処理とするものであってよい（当業者が「匿名化処理」として適用できる任意の方法を用いることができる）。
　なお、ステップ２０３で人を検知したが、顔認識まではできず、結果として“データ使用許可者”であると判別できなかった場合等についても、ステップ２０５へ移行して匿名化処理を行う。

　ステップ２０６では、イメージセンサ１１で撮像された映像データに基づいて、メタデータ化する処理を行う。
　即ち、写りこんだ人物の映像に基づいて得られる情報を解析・所得する（例えば行動解析や、表情解析を行って得られる情報の取得）。「メタデータ化」の技術の内容自体は、本発明の要部ではないため、ここでの説明を省略する。当業者が「メタデータ化」として適用できる任意の方法を用いることができる。
　なお、ステップ２０５において匿名化処理をした映像についてもステップ２０６でのメタデータ化処理を行う。基本的にはメタ化できる情報はほとんどない状態となるが、少なくとも“人がいる”という情報を得ることは可能である。これによって“死角に人がいる”という情報を利用して、事故防止に役立てること等は可能なものである。ここでは、匿名化処理をした映像についてもメタ化する（即ち、“データ使用許可者”であると判別できなかった場合にも匿名化した上で情報を利用する）ものを例としたが、匿名化処理をした映像に基づくメタ化は行わないようにするものであってもよい。この場合、そもそもステップ２０５の匿名化処理は特に必要はなく、“データ使用許可者”であると判別できなかった映像部分からのメタ化を行わないようにすればよい。

　続くステップ２０７ではステップ２０６で得られたメタデータをネットワーク２上の他の装置（情報処理装置４等）へ送信する処理を行う。何れの装置にメタデータを送信するかは任意であり、例えば、必要に応じて対応するデータを提供するために各種のデータを蓄積しているサイトにメタデータを送信するものであっても良いし、ほぼリアルタイムでサービスを提供するために現実空間で起きている事象を逐次解析しているサイトにメタデータを送信するもの等であっても良い。
　送信するデータを、映像データに基づいたメタデータとすることにより、通信量を低減でき、ネットワーク２の輻輳を抑止できる。

　ステップ２０８では、ステップ２０４で判別されたデータ使用許可者のＩＤ情報を、データ使用許可者管理装置３に対して送信する処理を行う。これを受けたデータ使用許可者管理装置３では、データ使用許可者管理テーブル３２の、該当ＩＤのデータ使用回数を加算する処理を行う（図５：ステップ５０１→ステップ５０４）。
　データ使用許可者管理装置３では、データ使用許可者への対価の支払い処理を行う時間になったら、各ＩＤ（データ使用許可者）のデータ使用回数に応じた対価の支払い処理を行う（ステップ５０３→ステップ５０６）。
　対価の支払いは、様々な方法が考えられ、データ使用許可者が対価と評価し得るものであればよい。対価として直接的なものは、金銭的な支払いであり、指定の銀行口座（データ使用許可者管理テーブル３２に登録される）にデータ使用回数に応じて定められた金額を振り込むものや、ネットワーク上で提供されるサービスや物品の購入に使用可能なポイントの付与等が考えられる。
　また、対価の支払いとして、データ使用許可者に対してのみ、データ使用促進環境によって得られたデータから得られる様々な知見を利用したより進んだサービスを提供するということも考えられる。この場合にはサービスの提供をもって対価が支払われているため、ステップ５０３、５０６の対価の支払い処理は必要ない（サービス提供に加えてさらに、対価を支払うもの等であっても勿論よい）。
　なお、ここではある定められた時間に定期的に対価の支払い処理を行うものを例としているが、ステップ５０１でデータ使用の情報を受信した際に、随時支払い処理を行うもの等であってもよい。

　以上のごとく、本実施形態のデータ使用促進システム１００によれば、データの利用を促進させる新たな環境を作りだすことができる。即ち、データの基となっている個人（意識的にデータを提供している場合に限らず、知らず知らずのうちにカメラに写り込んでいる場合を含む）に対して、対価をちゃんと支払う仕組みとし、予めの合意を得ておくことによって、データを有効利用することを可能としているものである。

　本実施形態では、ネットワークカメラを例とし（即ち、センサデバイスの一例としてイメージセンサを用い）て説明したが、本発明をこれに限るものではなく、ネットワークに接続される任意のセンサデバイスから得られるデータに対する処理として、上記で説明した概念を適用することができる。
　カメラで撮影される顔の映像は、“個人を識別できる識別情報”である。また同時に、“個人若しくは個人の行動に関する人・行動情報”でもある。“個人若しくは個人の行動に関する人・行動情報”とは、センサデバイスによって取得可能な、個人若しくは個人の行動に関する全ての情報をいう。例えばセンサデバイスによって取得される個人の身体的な情報は、当該個人を特定可能な情報であるか否かに関わらず、“個人に関する情報”であり、例えば購買などの個人の行動に基づいて得られる情報は、“個人の行動に関する情報”である。
　“識別情報”は、当該情報によって個人を特定可能な情報であり、例えば、虹彩、声紋、指紋等の固有の身体的特徴の他、歩行パターン等の固有の動作特徴等である。一方、“人・行動情報”はより包括的に、個人若しくは個人の行動に基づいて、センサデバイスによって取得可能な全ての情報を指す。

　なお、ステップ２０３～２０８の処理は、イメージセンサ１１で撮像される映像において人が判別される度実行される。即ち、映像中に複数人が映り込んでいる場合には、映り込んでいる各人に対してステップ２０３～２０８の処理が実行される。即ち、“データに、前記データ使用許可者ではない個人の前記人・行動情報が含まれていた場合には、前記人・行動情報又は前記識別情報を削除若しくは匿名化した上で、当該データの使用を許可”するものであり、また、“データに、複数の個人の前記人・行動情報が含まれていた場合において、当該複数の個人の何れかが前記データ使用許可者でなかった場合に、当該前記データ使用許可者ではない個人の前記人・行動情報を削除若しくは匿名化した上で、当該データの使用を許可する”ものである。
　なお、“データに、複数の個人の前記人・行動情報が含まれていた場合には、当該複数の個人のすべてが前記データ使用許可者である場合のみ前記人・行動情報が含まれたデータの使用を許可”するものであってもよい。または、“データに、前記データ使用許可者ではない個人の前記人・行動情報が含まれていた場合には、当該データを削除する”ようにしてもよい。

　本実施形態では、対価の支払いの対象として、個人の映像データに基づいたメタデータをアップロードした場合に“データが使用された”とするものを例としているが、対価の支払いの対象となるデータの“使用”の概念は、これに限られるものではない。例えば、メタ化するだけでも“使用”と扱い得るし、逆に、メタ化してアップロードしたようなものだけでは“使用”とは扱わず、その情報が実際に経済的な利益を生む利用をされた場合に初めて“使用”として扱うもの等であってもよい。

　本実施形態では、データをメタ化するものを例としているが、メタ化することが本発明の概念の必須の要件ではない。センサデバイスから得られるデータをメタ化せずにそのまま使用する場合にも、本発明を適用することができる。

　本実施形態では、エッジデバイスであるネットワークカメラ１において、図２の処理を実行するＣＰＵ１３や、データ使用許可者データ１５等が、“センサデバイスで得られたデータに、人・行動情報があるか否かを判別する人・行動情報判別部”や、“人・行動情報が含まれたデータがあった場合に、前記個人がデータ使用許可者であるか否かを判別し、前記データ使用許可者であった場合には前記人・行動情報が含まれたデータの使用を許可するデータ使用許可部”として機能するものを例としている。
　また、データ使用許可者管理装置３において、図５の処理を実行するＣＰＵ３１や、データ使用許可者管理テーブル３２等によって、“データ使用許可者が登録されているデータ使用許可者情報を管理する”機能や、“個人に対価情報を付与する”機能が構成されるものを例としている。
　上記の各処理機能について、何れの処理を何れの装置で行うかは、適宜選択可能なものであり、本発明の概念としての相違となるものではない。これらの処理の一部若しくは全てを行う装置は、いずれも“データ使用促進装置”である。
　例えば、“センサデバイスで得られたデータに、人・行動情報があるか否かを判別”する処理や、“人・行動情報が含まれたデータがあった場合に、前記個人がデータ使用許可者であるか否かを判別”する処理、等を、ネットワーク上にある他の装置で行い（外部装置に照会し）、その判別結果をエッジデバイスが受け取るようなものであってもよい。
　このようなものの一例として、エッジデバイスが、データ使用許可者であるか否かを外部装置に照会するシステムを、以下の実施形態２として説明する。

＜実施形態２＞
　図６は、実施形態２のデータ使用促進システムの構成の概略を示すブロック図である。なお、実施形態１と同様の概念となるものについては同一の符号を使用し、ここでの説明を省略若しくは簡略化する。
　本実施形態のデータ使用促進システム１００´は、ネットワークカメラ１´が、映像に映った人物がデータ使用許可者であるか否かを、外部装置であるデータ使用許可者管理装置３´に照会するシステムである。

　本実施形態のネットワークカメラ（データ使用促進装置）１´は、データ使用許可者データ１５を備えていない以外は、実施形態１のネットワークカメラ１と同様の構成である。
　本実施形態のデータ使用許可者管理装置（データ使用促進装置）３´は、携帯電話事業者によって運用されており、携帯端末（携帯電話やスマホ等）の個体識別番号や位置情報を含む携帯端末データ３４を有している。その他は基本的に実施形態１のデータ使用許可者管理装置３と同様の構成であるが、データ使用許可者管理テーブル３２のＩＤ情報に個体識別番号が紐付けられている。また、本実施形態のデータ使用許可者管理テーブル３２においては、データ使用許可者顔画像（顔認識用特徴量データ）は特に必要ない。

　図７は、ネットワークカメラ１´における処理動作の概略を示すフローチャートであり、図８は、データ使用許可者管理装置３´における処理動作の概略を示すフローチャートである。実施形態１と同様の処理概念となるものについては同一の符号を使用し、ここでの説明を省略若しくは簡略化する。

　ネットワークカメラ１´では、実施形態１におけるデータ使用許可者データ１５を有しておらず、従って実施形態１（図２）におけるステップ２０１、２０２の更新処理も存在しない。
　ネットワークカメラ１´において、人を検知した場合には（図７：ステップ２０３）、当該人がデータ使用許可者であるか否かをデータ使用許可者管理装置３´に問い合わせる（ステップ７０１）。
　これを受けたデータ使用許可者管理装置３´では、データ使用許可者であるか否かを判別し、これをネットワークカメラ１´に返信する（図８：ステップ８０１→ステップ８０２）。

　ネットワークカメラ１´は自己の設置位置の位置情報を有しており、これをステップ７０１の問い合わせ時にデータ使用許可者管理装置３´に送信する。若しくはデータ使用許可者管理装置３´側で、各ネットワークカメラ１´の位置情報を有していることにより、データ使用許可者管理装置３´は、ネットワークカメラ１´が設置されている位置を判別可能となっている。なお、例えばカメラの向きや画角の情報等から、ネットワークカメラ１´の撮像範囲を示す位置情報まで判別可能な構成であるとより望ましい。
　また、データ使用許可者管理装置３´では、携帯端末データ３４を参照することにより、該当の位置に、携帯端末が存在するか否かを判別することができる。携帯端末の個体識別番号は、データ使用許可者管理テーブル３２のＩＤ情報と紐付けられているため、ネットワークカメラ１´の位置（より望ましくはネットワークカメラ１´の撮像範囲内）にデータ使用許可者がいるかいなか、即ち、ネットワークカメラ１´から問い合わせがあった人物がデータ使用許可者であるか否かを判別可能なものである。
　このように、センサデバイスで得られたデータ（ここでは人物の映像）そのものを使わなくても、データ使用許可者であるか否かの判別は可能である。

　データ使用許可者管理装置３´は、データ使用許可者であるか否かの判別結果をネットワークカメラ１´に返信し（図８：ステップ８０２）、データ使用許可者であった場合には該当ＩＤのデータ使用回数を加算する処理を行う（ステップ８０３：Ｙｅｓ→ステップ５０４）。一方、データ使用許可者でなかった場合は、ステップ５０４をスキップする。データ使用許可者管理装置３´における対価の支払い処理（ステップ５０３、５０６）は実施形態１と同様である。
　また、データ使用許可者であるか否かの判別結果を受信したネットワークカメラ１´における以降の処理（図７：ステップ２０４～２０７）も実施形態１と同様である。ただし、図２のステップ２０８のデータ使用情報をアップロードする処理は必要が無いためここでは行わない。

　以上のごとく、本実施形態のデータ使用促進システム１００´によれば、ネットワークカメラ１´においてデータ使用許可者データ１５を持つ必要がなく、従ってこれを更新する処理なども必要ない。また、データ使用許可者であるか否かの判別のためのパターン認識、パターンマッチング等の処理も行う必要が無い。したがって、データ使用促進システム１００´に必要なリソースを低減することができる。

　本実施形態では、エッジデバイスであるネットワークカメラ１´において、図７の処理を実行するＣＰＵ１３や、送信部１４等が、“人・行動情報が含まれたデータがあった場合に、前記個人が、データ使用許可者であるか否かを外部装置に照会”する機能を構成する。
　また、データ使用許可者管理装置３´において、図８の処理を実行するＣＰＵ３１や、データ使用許可者管理テーブル３２、携帯端末データ３４等が、“データ使用許可者が登録されているデータ使用許可者情報を有し、前記照会に対して、前記個人が、データ使用許可者リスト情報に登録されているか否かを判別し、当該判別結果を前記照会に対する返信として返す、データ使用許可者判別部”として機能する。

　上述のごとく、何れの処理を何れの装置で行うかは、適宜選択可能なものであり、本発明の概念としての相違とはならない。
　例えば、本実施形態では、データ使用許可者管理装置３において、データ使用許可者情報（データ使用許可者管理テーブル３２）を管理する機能や、対価情報の付与若しくは対価の支払い処理を行う機能を有しているが、これらに関する情報をブロックチェーンによる分散型台帳技術にて管理するようにしてもよい。上記説明した本発明の概念に基づいて使用可能とされたデータを、特定の装置間にて取引する際の取引情報や、決済情報をブロックチェーンによって管理するものであってよい。また、データ使用許可者の情報（ＩＤ及び顔認識用特徴量データ）を、ブロックチェーンによって管理するものであってもよい。データ使用許可者の情報に対する改ざん防止等が図られるものである。
　即ち、ネットワークに接続された装置（実施形態の例では、ネットワークカメラ１、データ使用許可者管理装置３、他の情報処理装置４）において、Ｐ２Ｐ型のネットワークを形成し、上述した本発明の概念に基づく処理が行われるものであってもよい。

　上記各実施形態では、ＣＰＵが各種データ等に基づいて上記説明した処理を実行するもの、即ち、人・行動情報判別部やデータ使用許可部が、ＣＰＵとそこで実行されるソフトウェアによって構成されるものを例としているが、本発明をこれに限るものではない。各機能部が専用回路等によってハード的に一体若しくは個別に構成されるようなものであってもよい。各処理機能が専用回路的にハード的に構成される、若しくは、汎用回路上でソフト的に構成される、又はこれらの組み合わせ等とするかは、適宜選択可能なものである。
　また、上記各実施形態では、エッジデバイスがセンサデバイスを備えているものを例としているが、いわゆるゲートウェイ装置とセンサデバイスが別体であるようなものであってもよいのは勿論である。

　なお、上記各実施形態では、データ使用許可者の意思表示としてはデータの使用を許可するかしないかだけであるが、データの使用に各種の条件を付けることができるようにしてもよい。
　例えばメタ化に対する条件付けや、使用目的に対する条件付け、対価に対する条件付け等をさせてもよい。
　メタ化に対する条件付けとは、例えば、性別や人種等の特定の情報に関する抽出（メタ化）は不可とするといったようなものであり、当該条件がデータ使用許可者管理テーブル３２やデータ使用許可者データ１５に設定されていて、メタ化の処理の際に当該条件に従った処理が行われるものである。
　使用目的や対価に対する条件付けとは、例えば交通管理システムのみ利用を認めるといったものや、所定以上の対価が得られる場合のみ利用を認めるといったものである。例えば、これらの条件を、メタ化されたデータにインデックス情報を付加しておき、条件の合うデータのみが利用されるようにする等すればよい。

　１００．．．データ使用促進システム
　１．．．ネットワークカメラ（データ使用促進装置）
　　１１．．．イメージセンサ（センサデバイス）
　２．．．ネットワーク
　３．．．データ使用許可者管理装置（データ使用促進装置）

Claims (17)

1. 　センサデバイスで得られたデータに、個人若しくは個人の行動に関する人・行動情報があるか否かを判別する人・行動情報判別部と、
   　前記人・行動情報が含まれたデータがあった場合に、前記個人がデータ使用許可者であるか否かを判別し、前記データ使用許可者であった場合には前記人・行動情報が含まれたデータの使用を許可するデータ使用許可部と、
   　を備える、データ使用促進装置。
2. 　センサデバイスで得られたデータに、個人若しくは個人の行動に関する人・行動情報があるか否かを判別する人・行動情報判別部と、
   　前記人・行動情報が含まれたデータがあった場合に、前記個人が、データ使用許可者であるか否かを外部装置に照会し、前記データ使用許可者である場合には前記人・行動情報が含まれたデータの使用を許可するデータ使用許可部と、
   　を備える、データ使用促進装置。
3. 　センサデバイスで得られたデータに、個人若しくは個人の行動に関する人・行動情報があるか否か、及び、当該人・行動情報が含まれたデータがあった場合に前記個人がデータ使用許可者であるか否かを外部装置に照会し、前記データ使用許可者である場合には前記人・行動情報が含まれたデータの使用を許可するデータ使用許可部、
   　を備える、データ使用促進装置。
4. 　請求項２又は３に記載の外部装置たるデータ使用促進装置であって、
   　前記データ使用許可者が登録されているデータ使用許可者情報を有し、
   　前記照会に対して、前記個人が、データ使用許可者情報に登録されているか否かを判別し、当該判別結果を前記照会に対する返信として返す、データ使用許可者判別部、
   　を備える、データ使用促進装置。
5. 　前記人・行動情報が、個人を識別できる識別情報である、請求項１から４の何れかに記載のデータ使用促進装置。
6. 　前記データが画像若しくは映像データであり、前記識別情報が、前記個人の画像若しくは映像に基づく情報である、請求項５に記載のデータ使用促進装置。
7. 　前記人・行動情報が含まれたデータの使用がされた場合に、前記個人に対価情報を付与する、請求項１から６の何れかに記載のデータ使用促進装置。
8. 　前記データに、複数の個人の前記人・行動情報が含まれていた場合には、当該複数の個人のすべてが前記データ使用許可者である場合のみ前記人・行動情報が含まれたデータの使用を許可する、請求項１から７の何れかに記載のデータ使用促進装置。
9. 　前記データに、前記データ使用許可者ではない個人の前記人・行動情報が含まれていた場合には、前記人・行動情報を削除若しくは匿名化した上で、当該データの使用を許可する、請求項１から７の何れかに記載のデータ使用促進装置。
10. 　前記データに、複数の個人の前記人・行動情報が含まれていた場合において、当該複数の個人の何れかが前記データ使用許可者でなかった場合に、当該データ使用許可者ではない個人の前記人・行動情報を削除若しくは匿名化した上で、当該データの使用を許可する、請求項１から７の何れかに記載のデータ使用促進装置。
11. 　前記データに、前記データ使用許可者ではない個人の前記人・行動情報が含まれていた場合には、当該データを削除する、請求項１から１０の何れかに記載のデータ使用促進装置。
12. 　複数のエッジデバイスがネットワークを介して接続されたデータ使用促進システムにおけるデータ使用許可方法であって、
    　前記ネットワークに接続された装置において、
    　データ使用許可者が登録されているデータ使用許可者情報を管理するステップと、
    　センサデバイスで得られたデータに、個人若しくは個人の行動に関する人・行動情報があるか否かを判別するステップと、
    　前記人・行動情報が含まれたデータがあった場合に、前記個人が前記データ使用許可者情報に登録されているか否かを判別し、前記データ使用許可者情報に登録されていた場合には前記人・行動情報が含まれたデータの使用を許可するステップと、
    　を有する、データ使用許可方法。
13. 　前記人・行動情報が、個人を識別できる識別情報である、請求項１２に記載のデータ使用許可方法。
14. 　前記人・行動情報が含まれたデータの使用がされた場合に、前記個人に対価情報を付与するステップを有する、請求項１２又は１３に記載のデータ使用許可方法。
15. 　複数のエッジデバイスがネットワークを介して接続されたデータ使用促進システムにおけるデータ使用許可プログラムであって、
    　前記ネットワークに接続された装置に、
    　データ使用許可者が登録されているデータ使用許可者情報を管理するステップと、
    　センサデバイスで得られたデータに、個人若しくは個人の行動に関する人・行動情報があるか否かを判別するステップと、
    　前記人・行動情報が含まれたデータがあった場合に、前記個人が前記データ使用許可者情報に登録されているか否かを判別し、前記データ使用許可者情報に登録されていた場合には前記人・行動情報が含まれたデータの使用を許可するステップと、
    　を実行させる、データ使用許可プログラム。
16. 　前記人・行動情報が、個人を識別できる識別情報である、請求項１５に記載のデータ使用許可プログラム。
17. 　前記人・行動情報が含まれたデータの使用がされた場合に、前記個人に対価情報を付与するステップを有する、請求項１５又は１６に記載のデータ使用許可プログラム。

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