WO2019131734A1

WO2019131734A1 - 毛髪保持具

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Publication number: WO2019131734A1
Application number: PCT/JP2018/047783
Authority: WO
Inventors: 義幸木部; 東城　武彦
Original assignee: 花王株式会社
Priority date: 2017-12-26
Filing date: 2018-12-26
Publication date: 2019-07-04
Also published as: TW201929719A

Abstract

本発明の毛髪保持具（１Ａ）は、一端の開口部（２１）から他端の開口部（２２）に向けて毛髪束を挿通可能に構成された筒状体（２）を備え、該筒状体（２）は長手方向及び該長手方向（Ｘ）に直交する幅方向（Ｙ）を有する。前記筒状体（２）は、２枚以上のシート（２３Ａ，２３Ｂ）が縫合により一体化された一対の縫合部（２４）、及び該一対の縫合部間に位置する前記毛髪束が挿入される筒状部（２６）を有している。前記一対の縫合部（２４）は、前記筒状体（２）の長手方向（Ｘ）に沿って延びており、該縫合部（２４）は、縫い目（２４ａ）が前記筒状体（２）の前記幅方向（Ｙ）に幅を有して配列されている配列域（２４Ｓ）を備える。斯かる構成の毛髪保持具（１Ａ）は、繰り返し使用に対し優れた耐久性と、高い巻き上げ力とを有する。

Description

毛髪保持具

　本発明は、毛髪保持具に関する。

　本出願人は、先に、毛髪束が挿通される筒状体と、該筒状体を複数種の巻き径の巻回状態に固定し得る巻き留め手段とを具備している毛髪保持具を提案している（特許文献１）。特許文献１には、毛髪保持具の筒状体は、２枚のシートを縫合、融着又は接着して形成する旨が記載されている。

　また、特許文献２には、挿入口部から他端の出口に向けて毛髪束が挿通されるポケット部を有する毛髪保持具が開示されている。特許文献２には、プラスチック製の２枚のシートをヒートシールにより接合してポケット部を形成することが記載されている。

特開２００４－２０９２３７号公報米国特許第３２５５７６５号明細書

　本発明は、一端の開口部から他端の開口部に向けて毛髪束を挿通可能に構成された筒状体を備え、該筒状体は長手方向及び該長手方向に直交する幅方向を有する毛髪保持具である。前記筒状体は、２枚以上のシートが縫合により一体化された一対の縫合部、及び該一対の縫合部間に位置する前記毛髪束が挿入される筒状部を有している。前記一対の縫合部はそれぞれ、前記筒状体の長手方向に沿って延びており、該縫合部は縫い目が前記筒状体の前記幅方向に幅を有して配列されている配列域を備える。前記２枚以上のシートには、前記筒状部を構成するシートが含まれており、該筒状部を構成するシートのうちの一部又は全てのシートが形状記憶シートからなる。前記筒状体の巻き上げ時に外側に位置するシートが、内側に位置するシートに比して、前記縫合部における縫い目の長さが長い。

　また、本発明は、一端の開口部から他端の開口部に向けて毛髪束を挿通可能に構成された筒状体を備え、該筒状体は長手方向及び該長手方向に直交する幅方向を有する毛髪保持具である。前記筒状体は、２枚以上のシートが縫合により一体化された一対の縫合部、及び該一対の縫合部間に位置する前記毛髪束が挿入される筒状部を有している。前記一対の縫合部はそれぞれ、前記筒状体の長手方向に沿って延びており、該縫合部は縫い目が前記筒状体の前記幅方向に幅を有して配列されている配列域を備える。前記２枚以上のシートには、前記筒状部を構成するシートと、前記一対の縫合部それぞれに配された補強材とが含まれている。前記筒状部を構成するシートが不織布であり、前記補強材が樹脂フィルムである。前記筒状部を構成するシートのうちの一部又は全てのシートが形状記憶シートからなる。

図１は、本発明の毛髪保持具の一実施形態を示す（ａ）正面図及び（ｂ）背面図である。図２は、毛髪束を挿通させた図１に示す毛髪保持具を巻回してロール状にした状態を示す斜視図である。図３は、本発明の毛髪保持具の別の実施形態を示す正面図である。図４は、図２に示す毛髪保持具の縫合部のバリエーションを示す図である。図５（ａ）～（ｃ）は、図１に示す毛髪保持具を用いて毛髪束にカールを付与する手順を順次示す斜視図である。図６は、参考例１～５の縫合部の接合強度を示すグラフである。図７（ａ）及び（ｂ）は、補強材を有する毛髪保持具を示す図であり、筒状体の幅方向に沿って厚み方向に断面視した断面図である。図８（ａ）は、図１（ａ）に示す直線縫い部の縫い目の長さ及び縫い目のピッチを示す拡大平面図であり、図８（ｂ）は、図１（ｂ）に示す直線縫い部の縫い目の長さ及び縫い目のピッチを示す拡大平面図である。図９（ａ）及び（ｂ）は、屈曲縫い部の縫い目の長さ及び縫い目のピッチを説明するための拡大平面図である。

発明の詳細な説明

　特許文献１及び２に記載の毛髪保持具は、毛髪を巻き上げた状態で、パーマ液が加えられると共に加温されるホットパーマや、パーマ液のみを加えられるコールドパーマに用いることができる。特許文献２に記載の毛髪保持具は、ホットパーマ等のパーマに繰り返し使用すると、２枚のシートの接合部分が破損する場合があるため、パーマの繰り返し使用に対する耐久性が不十分であった。特許文献１に記載の毛髪保持具も、パーマの繰り返し使用に対する耐久性に改善の余地があった。また、毛髪をしっかりカールさせる観点から、パーマに用いられる毛髪保持具は、巻き上げ力が大きいことが求められている。

　従って本発明の課題は、繰り返し使用に対し優れた耐久性と、高い巻き上げ力とを有する毛髪保持具を提供することに関する。

　以下、本発明の毛髪保持具を、その好ましい実施形態に基づき、図面を参照しながら説明する。図１には、本発明の毛髪保持具の一実施形態が示されている。第１実施形態の毛髪保持具１Ａは、図１（ａ）及び（ｂ）に示すように、一端の開口部２１から他端の開口部２２に向けて毛髪束Ｈを挿通可能なシート２３Ａ、２３Ｂにより構成された筒状体２を備えている。本実施形態の毛髪保持具１Ａは、長手方向Ｘと該長手方向Ｘに直交する幅方向Ｙを有している。筒状体２は一方向に長い扁平な形状を有し、長手方向及び該長手方向に直交する幅方向を有している。筒状体２の長手方向は、毛髪保持具１Ａの長手方向Ｘと一致し、筒状体の幅方向は、毛髪保持具１Ａの幅方向と一致している。

　本実施形態の毛髪保持具１Ａは、巻き上げ時に内側に位置する一面シート２３Ａ及び巻き上げ時に外側に位置する他面シート２３Ｂから形成された筒状体２を備えている。筒状体２は、図１（ａ）及び（ｂ）に示すように、扁平形状であり、２枚のシート２３Ａ，２３Ｂが縫合により一体化された一対の縫合部２４、及び該一対の縫合部２４間に位置する毛髪束Ｈが挿入される筒状部２６を有している。本実施形態において筒状部２６は、一端の開口部２１から挿入した毛髪束Ｈを、他端の開口部２２に向けて挿通する部分である。筒状体２は、一方の面を形成するシート（以下「一面シート」ともいう）２３Ａと、他方の面を形成するシート（以下「他面シート」ともいう）２３Ｂとを縫合により一体化させて形成されている。
　本実施形態の筒状体２は、一面シート２３Ａと他面シート２３Ｂの２枚のシートにより構成されているが、筒状体２は２枚以上のシートにより構成されていてもよい。前記２枚以上のシートには、筒状部２６を構成するシートが含まれる。筒状部２６を構成するシートは、縫合部２４において筒状体２を構成する他のシートと縫合により一体化されており、幅方向Ｙにおける一対の縫合部２４，２４間で筒状部２６を形成している。本実施形態においては、２枚以上のシートのうち、筒状部２６の外面、即ち筒状部２６の最外層を構成する２枚のシートがそれぞれ、一面シート２３Ａ及び他面シート２３Ｂとして説明される。
　毛髪保持具１Ａは、筒状体２の一端の開口部２１側の端部から延出する延設部４を有している。毛髪保持具１Ａは延設部４がなくても良いが、毛髪束Ｈの挿入作業を容易にする観点から、延設部４を有していることが好ましい。

　以下、一面シート２３Ａ及び他面シート２３Ｂに共通する説明、又は筒状部２６を構成する２枚以上のシートに共通する説明を行う際には、「基材シート２３」と表現する。
　基材シート２３の形成材料としては、例えば、不織布（ポリエチレン不織布、ポリエチレンテレフタレート不織布等）、織布、網状シート、多孔性又は非多孔性の樹脂フィルム（ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等）、紙、高分子材料シート、ゴムシート、又はこれら２種以上の複合体等が挙げられる。
　基材シート２３の厚みは、好ましくは５μｍ以上、より好ましくは１０μｍ以上であり、また好ましくは２０００μｍ以下、より好ましくは１５００μｍ以下であり、また好ましくは５μｍ以上２０００μｍ以下、より好ましくは１０μｍ以上１５００μｍ以下である。

　本実施形態の筒状体２は、巻き上げ可能に構成されている。巻き上げ可能な構成とは、図２に示すように、筒状体２を巻回してロール状にすることが可能であることを指す。筒状体２は、自動的に巻き上がる構成を有する。自動的に巻き上がる構成は、例えば、自然状態において、筒状体２がロール状に巻回されており、該筒状体２を引き伸ばして毛髪束Ｈを挿入した後、手を放すと、筒状体２が毛髪束Ｈとともに巻き上がるようになされている構成が挙げられる。このような構成は、筒状体２を構成する２枚以上のシートうちの何れか１枚以上又はその全てが形状記憶シートからなることにより具備することができる。具体的には、筒状部２６を構成するシートの一部又は全てのシートが形状記憶シートからなる。形状記憶シートは、熱収縮率の異なるシートやフィルム、又は張力の違うシートやフィルムを貼り合わせることによって形成することができる。また、筒状体２は、筒状体２を構成する基材シート２３を加熱することにより、記憶していた元のロール形状に復帰するものであっても良い。前記「自然状態」とは、温度２０℃、湿度４０％の環境下において、毛髪保持具に外力を加えない状態で、水平面上に毛髪保持具を載置した状態を意味する。

　基材シート２３は、パーマ液等の毛髪処理剤の拡散性を向上させる加工が施されていることが好ましい。このような加工は、特に制限されないが、エンボス加工、カレンダー加工、樹脂膜形成加工等が挙げられる。例えばエンボス加工は、基材シート２３の長手方向に連なる凸部を形成することにより、毛髪処理剤が該凸部を伝うことで拡散性を向上させることができる。カレンダー加工は、基材シート２３の密度を調整することにより、毛髪処理剤の拡散性を向上させることができる。樹脂膜形成加工は、基材シート２３の一部あるいは全部に吸液性の低い樹脂膜を形成し基材シート全体の吸液量を低減させることにより、毛髪処理剤の拡散性を向上させることができる。

　筒状体２は、筒状体２を構成する２枚以上のシートが縫合により一体化された一対の縫合部２４，２４を有している。縫合部２４は、筒状体２を構成する２枚以上のシートを縫製糸で縫い合わせた部分である。本実施形態の筒状体２は、一面シート２３Ａ及び他面シート２３Ｂが、一対の縫合部２４において互いに接合されている。その一方で、一面シート２３Ａ及び他面シート２３Ｂは、一対の縫合部２４以外の部分において互いに接合されていない。一対の縫合部２４それぞれは、筒状体２の長手方向Ｘに沿って延びており、該縫合部２４は縫い目２４ａが前記筒状体２の幅方向に幅を有して配列されている配列域Ｆ１を備えている。配列域Ｆ１は、縫い目２４ａが幅方向Ｙに幅を有するように長手方向Ｘに沿って配列されている領域である。ここで縫い目２４ａとは、一針分の縫製により形成される線分、即ち２つの針穴間を結ぶ縫製糸により形成される線分であり、該縫製糸が筒状体２を構成する２枚以上のシートを繰り返し貫通してできるループが、該筒状部２６の外面を構成する２枚のシート２３Ａ，２３Ｂの各表面に露出したものである。筒状部２６の外面とは、筒状体２の外側の面、即ち毛髪束Ｈが挿通される側の面とは反対側の面である。

　本実施形態の配列域Ｆ１は、縫い目２４ａが直線状で配列されている直線縫い部２４Ｓを複数本備えており、複数本の直線縫い部２４Ｓが幅方向Ｙに並んでいる。この配列域Ｆ１では、幅方向Ｙに並ぶ２本の直線縫い部２４Ｓを構成する縫い目２４ａが、図１（ａ）に示すように、幅方向Ｙに並ぶことで、該縫い目２４ａが幅を有するように配列されている。配列域Ｆ１は長手方向Ｘに沿って一端側から他端側まで全域にあることが好ましい。本実施形態の一対の縫合部２４は、２枚のシート２３Ａ，２３Ｂの両側縁部２５それぞれに形成されており、互いに平行である。一対の縫合部２４は、長手方向Ｘに沿って一端側から他端側まで互いに平行であることが好ましいが、平行でない部分が形成されていても良い。また、一対の縫合部２４には、筒状体２の長手方向Ｘに沿う縫い目２４ａが直線状で配列されている直線縫い部２４Ｓが幅方向Ｙに２列ずつ並んで形成されている。

　本実施形態の縫合部２４について詳述する。筒状体２の巻き上げ時に外側に位置するシートは、内側に位置するシートに比して、縫合部２４における縫い目の長さが長い。即ち、他面シート２３Ｂの縫合部２４における縫い目２４ａは、一面シート２３Ａの縫合部２４における縫い目３４に比して長い。斯かる構成を構成（１）ともいう。後述する巻き上げ力を向上させる観点から、他面シート２３Ｂの縫合部２４における縫い目の長さＬ２４ａ〔図１（ａ）及び図８（ａ）参照〕は、一面シート２３Ａの縫合部２４における縫い目の長さＬ３４〔図１（ｂ）及び図８（ｂ）参照〕に対して、好ましくは１０１％以上、より好ましくは１０５％以上であり、また好ましくは１３５％以下、より好ましくは１２５％以下であり、また好ましくは１０１％以上１３５％以下、より好ましくは１０５％以上１２５％以下である。
　上記と同様の観点から、他面シート２３Ｂの縫合部２４における縫い目の長さＬ２４ａ〔図１（ａ）及び図８（ａ）参照〕は、好ましくは１．５ｍｍ以上、より好ましくは２．０ｍｍ以上であり、また好ましくは５．５ｍｍ以下、より好ましくは３．５ｍｍ以下であり、また好ましくは１．５ｍｍ以上５．５ｍｍ以下、より好ましくは２．０ｍｍ以上３．５ｍｍ以下である。
　上記と同様の観点から、一面シート２３Ａの縫合部２４における縫い目の長さＬ３４〔図１（ｂ）及び図８（ｂ）参照〕は、他面シート２３Ｂの縫合部２４における縫い目の長さＬ２４ａよりも短いことを条件として、好ましくは１．５ｍｍ以上、より好ましくは２．０ｍｍ以上であり、また好ましくは５．５ｍｍ以下、より好ましくは３．５ｍｍ以下であり、また好ましくは１．５ｍｍ以上５．５ｍｍ以下、より好ましくは２．０ｍｍ以上３．５ｍｍ以下である。
　縫い目の長さは以下の方法により測定される。先ず、一面シート２３Ａ及び他面シート２３Ｂそれぞれについて、縫合部における任意の縫い目を２０針分選択する。選択した各縫い目の長さをデジタルマイクロスコープ（キーエンス社製、ＶＨＸ－６０００）の寸法計測機能を用いて測定し、これらの平均値を、縫い目の長さとする。前記寸法計測機能は、各縫い目の両端間の長さを画像処理により測定する。

　本実施形態の毛髪保持具１Ａは、一部のシートが形状記憶シートからなる筒状体２を備え、該筒状体２における一対の縫合部２４それぞれは、前述した配列域Ｆ１を備える。斯かる構成を備えることにより、毛髪保持具１Ａは、筒状体２を構成するシートのしなやかさを維持したまま、これらシートどうしが優れた接合強度で接合される。そのため、毛髪束Ｈを巻き上げる際に、筒状体２の一端の開口部２１側に、筒状体２を構成する２枚以上のシートどうしの接合を解く応力が集中しても、該応力に対して優れた耐久性を有する。これにより、毛髪保持具１Ａは、ホットパーマ等のパーマ処理に繰り返し使用しても、筒状体２の一端の開口部２１側の部分において破損が生じ難いため、優れた耐久性を有する。一方、筒状体２を構成する２枚以上のシートの両側縁部をヒートシールのみで接合した毛髪保持具は、毛髪束Ｈを巻き上げる際に、筒状体２の一端の開口部２１側に集中する応力に対する耐久性が低いため、一端の開口部２１側の部分において破損し易く、パーマ処理の繰り返し使用に耐え難い。

　また、筒状体２は、一対の縫合部２４により、筒状体２を構成する２枚以上のシートがしっかりと接合されつつ、かつ２枚以上のシートの両側縁部全面が密着されておらず、一部に遊びを有する。「一部に遊びを有する」とは、２枚以上のシートの両側縁部において縫合部２４以外の部分ではこれら２枚以上のシートが接合されていないことを意味する。即ち、前記２枚以上のシートの接合強度に優れていながらも、前記一部に遊びを有することで、前記２枚以上のシートの何れか１枚又は全てのシートに働く巻き上げに対する抵抗を低くすることができる。これにより、形状記憶シートの巻き上げ力を阻害させることなく、これらシートのしなやかさを維持でき該巻き上げ力を有効に発揮できるため、前記２枚以上のシートをヒートシールのみで接合した毛髪保持具よりも巻き上げ力に優れる。巻き上げ力は、毛髪保持具１Ａをロール状に巻回して毛髪束にカールを付与する力であり、該巻き上げ力が弱いと毛髪束にカール形状を付与することが難しい。しかも、他面シート２３Ｂが一面シート２３Ａに比して縫合部２４の縫い目の長さが長いことにより、筒状体２に歪が生じ難く、きれいな巻きを形成することができる。これにより、筒状体２内に保持される毛髪束にきれいなカール形状を付与することができる。

　前述の優れた接合強度を有する毛髪保持具１Ａは、ヒートシールのみの接合に比して、筒状体２を構成する２枚以上のシートが一体化されているため、毛髪保持具１Ａの両側縁部２５において、これらシートどうしが剥離し難い上、これらシートの一体化により、これらシートがしなやかさを維持でき長手方向Ｘに対して屈曲し難い。また、前述したように、筒状体２に歪が生じ難いので、円滑に筒状体２を巻き上げられる。即ち、毛髪保持具１Ａの巻き上げ作業の作業性に優れる。

　縫合部２４は、２枚以上のシートの両側縁部に形成されていることが好ましいが、一方のシート又は両方のシートにおける両側縁部以外の部分に形成されていても良い。
　また、毛髪保持具１Ａは、その両側縁部２５にそれぞれ複数の縫い目が直線状で配列されている直線縫い部２４Ｓがある。即ち、毛髪保持具１Ａにおいて、一対の縫合部２４はそれぞれ、前述の配列域Ｆ１として、縫い目２４ａが直線状で配列されている直線縫い部２４Ｓを複数本備える域を備えている。斯かる構成により、縫合部２４にほつれが生じたとしても、筒状体２を構成する２枚以上のシートどうしが剥離し難い。本実施形態における一対の縫合部２４はそれぞれ、配列域Ｆ１に、直線縫い部２４Ｓが２本ずつ形成されているが、該直線縫い部２４Ｓが、２本以上形成されていれば良く、３本以上形成されていても良い。
　また、前述のように、一対の縫合部２４それぞれは、配列域Ｆ１に、筒状体２の長手方向Ｘに沿う直線縫い部２４Ｓが幅方向Ｙに２本以上ずつ並んで形成されていることが好ましいが、該縫合部２４には、２本以上並んでいない部分があってもよい。

　毛髪保持具１Ａは、筒状体２を構成する２枚以上のシートの何れか１枚又は全てが、不織布からなるシートであっても良い。例えば、筒状体２が一面シート２３Ａ又は他面シート２３Ｂが不織布からなる場合、不織布を構成する繊維の坪量が、シート２３Ａ、２３Ｂどうしの接合強度に影響することがあるが、複数本の直線縫いからなる縫合部２４の接合強度は、前記坪量の影響を受け難い。そのため、毛髪保持具１Ａは、縫合部２４において、一面シート２３Ａ及び他面シート２３Ｂをしっかり接合することができる。

　前述の縫合部２４は、幅方向Ｙに横切る縫製ではないため、長手方向Ｘに沿って毛髪保持具１Ａを巻き上げる際の抵抗を低く抑えることができる。これにより、筒状体２を容易に巻き上げることができる。また、挿入具を用いて毛髪束Ｈを毛髪保持具１Ａに挿入する場合、筒状体２の両側縁部２５に生じ得る撓みを抑えることができるため、挿入具の出し入れを抵抗なく行うことができ、挿入作業の作業性に優れる。
　また、挿入具の出し入れに対する、筒状体２を構成する２枚以上のシートの側縁部２５どうしの接合強度を維持できると共に、巻き上げ力を有効に発揮できる。

　本実施形態の縫合部２４における直線縫い部２４Ｓは、他面シート２３Ｂの表面に、それぞれ同じ長さの複数の縫い目２４ａが、同じ間隔を空けて長手方向Ｘに沿って配されていることにより形成されている。縫合部２４における直線縫い部２４Ｓは、他面シート２３Ｂの表面に表れる縫い目２４ａが、長手方向Ｘに平行である〔図１（ａ）参照〕。本実施形態の毛髪保持具１Ａは、後述する延設部４を有しているところ、該延設部４における縫合部２４の延長線上に縫製部が形成されている。即ち、縫製された部分が、２枚以上シートが重なった筒状体２から長手方向Ｘの外方に延出していても良い。
　縫合部２４における直線縫い部２４Ｓは、ＪＩＳ　Ｌ　０１２０に記載の単環縫い、手縫い、本縫い、及び二重環縫いの何れかのステッチ形式を採用することができる。このようなステッチ形式として、例えば、二重環縫いとして半返し縫いが挙げられる。また、縫合部２４における直線縫い部２４Ｓは、ミシン等の公知の方法により形成することができる。特に２本針ミシンは、２本の直線縫い部２４Ｓを容易に形成することができる観点から、縫合部２４の縫合に好ましく用いることができる。ミシンを用いて、縫合部２４を本縫いで形成した場合、例えば、他面シート２３Ｂにおける縫合部２４の縫い目２４ａが上糸で形成され、一面シート２３Ａにおける縫合部２４の縫い目３４が下糸で形成される。本縫いは、並行する上糸と下糸とが、間欠的に形成される各針穴内に入り込んで、互いに交差する縫い方である。本実施形態では、一面シート２３Ａにおける縫い目と他面シート２３Ｂにおける縫い目とは、筒状体の片面側からの投影視において向きが等しく、ほぼ重なっている〔図１（ａ）及び（ｂ）参照〕。

　前述の巻き上げ力及び繰り返し使用に対する耐久性の効果をより確実に奏させる観点から、毛髪保持具１Ａにおける縫合部２４の寸法は以下の範囲であることが好ましい。
　長手方向Ｘにおける縫合部２４の長さＬ２４は〔図１（ａ）参照〕、筒状体２の長手方向Ｘの長さＬ２に対して、好ましくは８０％以上、より好ましくは１００％以上であり、また好ましくは１２０％以下、より好ましくは１１０％以下であり、また好ましくは８０％以上１２０％以下、より好ましくは１００％以上１１０％以下である。この縫合部２４の長さＬ２４は、後述する延長縫い部２４ｃを含む長さであり、長手方向Ｘにおける該延長縫い部２４ｃを含む縫製部の最大長さである。
　一面シート２３Ａ及び他面シート２３Ｂの表面に表れる縫い目２４ａ，３４の長さＬ２４ａ，Ｌ３４はそれぞれ〔図８（ａ）及び（ｂ）参照〕、長手方向Ｘにおける縫合部２４の長さＬ２４〔図１（ａ）参照〕に対して、好ましくは０．０１％以上、より好ましくは０．１％以上であり、また好ましくは５％以下、より好ましくは２％以下であり、また好ましくは０．０１％以上５％以下、より好ましくは０．１％以上２％以下である。
　一面シート２３Ａ及び他面シート２３Ｂの各縫合部２４における縫い目のピッチＰ２４ａ，Ｐ３４は〔図８（ａ）及び（ｂ）参照〕、縫い目２４ａ，３４の長さＬ２４ａ，Ｌ３４〔図８（ａ）及び（ｂ）参照〕に対して、好ましくは５０％以上、より好ましくは１００％以上であり、また好ましくは３００％以下、より好ましくは２００％以下であり、また好ましくは５０％以上３００％以下、より好ましくは１００％以上３００％以下である。直線縫い部２４Ｓにおける前記縫い目のピッチＰ２４ａ，Ｐ３４は、一つの縫い目２４ａ，３４の終点から、次の縫い目２４ａ，３４の終点までの長さである。縫合部２４は、複数の縫い目２４ａ，３４が、間隔を空けて形成されていても良く、間隔を空けないで形成されていても良い。
　本実施形態の縫合部２４は、複数の直線縫い部２４Ｓがそれぞれ幅方向Ｙに間隔Ｄ２４を空けて形成されている。幅方向Ｙにおける直線縫い部２４Ｓ間の間隔Ｄ２４、即ち幅方向Ｙにおける配列域Ｆ１の長さは、幅方向Ｙにおける筒状体２の長さＷ２に対して、好ましくは１％以上、より好ましくは３％以上であり、また好ましくは２０％以下、より好ましくは１０％以下であり、また好ましくは１％以上２０％以下、より好ましくは３％以上１０％以下である。

　なお、ＪＩＳ　Ｌ　０１２０に記載の手縫いによって、一面シート２３Ａの表面と他面シート２３Ｂの表面とで、異なる長さや異なるピッチの縫い目２４ａで構成された直線縫い部２４Ｓが形成されている場合、一面シート２３Ａ及び他面シート２３Ｂの表面に表れる各縫い目２４ａ，３４の寸法が、上述の範囲内であることが好ましい。但し、他面シート２３Ｂの縫合部２４における縫い目２４ａは、一面シート２３Ａの縫合部２４における縫い目３４に比して長いことを条件とする。

　本実施形態の毛髪保持具１Ａは、長手方向Ｘにおける縫合部２４の一端の開口部２１側の端部に返し縫い部２４ｂを有している。特段の断りがない場合、本明細書において「返し縫い部」は、縫合部２４等の縫製の縫い方向と略反転する方向に数針分縫製された部分である。斯かる構成により、一面シート２３Ａ及び他面シート２３Ｂの接合強度を長期間維持することができ、前述の繰り返し使用に対する耐久性を向上させることができる。また、縫合部２４において最もほつれが生じ易い縫い始点と、縫い終点における接合強度を向上させることができる。このように、縫合部２４は、少なくともその一端側に返し縫い部２４ｂを有していることが好ましく、長手方向Ｘにおける縫合部２４の一端の開口部２１側の端部に返し縫い部２４ｂを有していることがより好ましい。毛髪保持具１Ａは、返し縫い部２４ｂを、他端の開口部２２側の端部に有していても良く、一端の開口部２１側及び他端の開口部２２側の両方の端部に有していても良い。
　本実施形態において返し縫い部２４ｂは、通常、長手方向Ｘにおける縫合部２４の一方の端部と重なるように形成されるが、該一方の端部と重なっていなくとも良い。

　返し縫い部２４ｂは、縫い目にして一針分であっても良く、複数針分であっても良い。前述の筒状体２を構成する２枚以上のシートの接合強度をより向上させる観点から、返し縫い部２４ｂの長さＬ２４ｂは、縫合部２４における一針分の縫い目２４ａと同じ長さＬ２４ａの縫い目にして、好ましくは１針以上、より好ましくは３針以上である。返し縫い部２４ｂの一針分の縫い目の長さ、及び縫い目のピッチは、前述した縫合部２４における縫い目と同じ範囲であることが好ましい。
　返し縫い部２４ｂは、縫い方向において、好ましくは返し縫い部２４ｂの一部が、より好ましくは返し縫い部２４ｂの全てが、縫合部２４と重なるように形成されている。

　本実施形態の毛髪保持具１Ａは、一面シート２３Ａが、筒状体２から長手方向Ｘの外方に延出している。以下、この部分を延設部４ともいう。このように、毛髪保持具１Ａは、筒状体２を構成する２枚以上のシートの何れか１枚以上が、筒状体２の長手方向より延出した部分、即ち前記２枚以上のシートが重なる部分以外の部分を有している。本実施形態の毛髪保持具１Ａは、筒状体２の一端の開口部２１の端部近傍に延設部４を有しているが、他端の開口部２２の端部近傍に延設部４を有していても良く、両端の開口部２１，２２に延設部４を有していても良い。
　本実施形態の返し縫い部２４ｂは、延設部４における縫合部２４の延長線上に延出している。このように、延設部４において縫合部２４の延長線上に形成された縫製部を、延長縫い部２４ｃともいう。延長縫い部２４ｃは、縫合部２４の延長線上、より具体的には縫合部２４を長手方向Ｘの外方に延長させたと仮定した場合の延長部分の少なくとも一部と重なっていれば良い。延長縫い部２４ｃは、長手方向Ｘにおいて縫合部２４に延長して形成された縫製部又は返し縫い部であっても良い。延長縫い部２４ｃとして形成される返し縫い部は、筒状体２を構成する２枚以上のシートどうしを接合しない点から、縫合部２４の返し縫い部と区別される。筒状体２を構成する２枚以上のシートどうしの接合強度を向上させる観点から、延長縫い部２４ｃは、返し縫い部であることが好ましい。延長縫い部２４ｃは、該延長縫い部２４ｃの一部が返し縫い部であっても良く、該延長縫い部２４ｃの全体が返し縫い部であっても良い。例えば、延長縫い部２４ｃにおける長手方向Ｘの外方の端部のみが、返し縫い部であっても良い。本実施形態の延長縫い部２４ｃは、図２に示すように、長手方向Ｘにおける縫合部２４の一端の開口部２１側の端部に形成された返し縫い部２４ｂの一部が、長手方向Ｘにおいて一面シート２３Ａ及び他面シート２３Ｂが互いに重なる部分の縁２７を越えて延設部４に延出することで形成されており、延長縫い部２４ｃの全体が返し縫い部となっている。このように、延長縫い部２４ｃが返し縫い部であると、長手方向Ｘにおいて筒状体２を構成する２枚以上のシートが互いに重なる部分の縁の接合強度をより向上させることができる。例えば、本実施形態においては、一面シート２３Ａ及び他面シート２３Ｂが互いに重なる部分の縁の接合強度をより向上させることができる。特に、毛髪保持具１Ａを巻き上げた状態において、一端の開口部２１側の筒状体２を構成する２枚以上のシートが互いに重なる部分の縁２７〔図１（ａ）及び図２参照〕には、これらシートどうしの接合を解く応力が集中し易いため、延長縫い部２４ｃは、長手方向Ｘにおいて前記縁２７と重なるように形成された返し縫い部であることが好ましい。即ち、延長縫い部２４ｃは、前記縁２７から長手方向Ｘの外方に延出する縫い目が、該縁２７を跨ぐ返し縫い部で形成されていることが好ましい。
　延長縫い部２４ｃは、他端の開口部２２側の延設部４にも形成されていても良い。
　延長縫い部２４ｃは、前述の返し縫い部２４ｂの長さＬ２４ｂ、返し縫い部２４ｂの一針分の縫い目の長さ、及び縫い目のピッチと同じ範囲であることが好ましい。

　筒状体２の寸法等は、毛髪の長さやくせ付けしたい場所、挿入する毛髪束の量に応じて適宜に決定することができるが、下記の範囲であることが好ましい。
　幅方向Ｙにおける筒状体２の長さＷ２〔図１（ｂ）参照〕は、好ましくは２５ｍｍ以上、より好ましくは３０ｍｍ以上であり、また好ましくは２００ｍｍ以下、より好ましくは１５０ｍｍ以下であり、また好ましくは２５ｍｍ以上２００ｍｍ以下、より好ましくは３０ｍｍ以上１５０ｍｍ以下である。

　長手方向Ｘにおける毛髪保持具１の長さＬ１〔図１（ａ）参照〕は、好ましくは５０ｍｍ以上、より好ましくは１００ｍｍ以上であり、また好ましくは４００ｍｍ以下、より好ましくは３５０ｍｍ以下であり、また好ましくは５０ｍｍ以上４００ｍｍ以下、より好ましくは１００ｍｍ以上３５０ｍｍ以下である。長手方向Ｘにおける毛髪保持具１の長さＬ１は、長手方向Ｘにおける延設部４と、筒状体２との合計長さである。
　長手方向Ｘにおける筒状体２の長さＬ２は、好ましくは４５ｍｍ以上、より好ましくは９０ｍｍ以上であり、また好ましくは３００ｍｍ以下、より好ましくは２７５ｍｍ以下であり、また好ましくは４５ｍｍ以上３００ｍｍ以下、より好ましくは９０ｍｍ以上２７５ｍｍ以下である。本実施形態の筒状体２は、一端の開口部２１側の端部が、長手方向Ｘの内側に向かって凹状に湾曲している。このように、長手方向Ｘにおける筒状体２の長さが、幅方向Ｙの位置により異なる場合、長手方向Ｘにおける筒状体２の最大長さが、前述の範囲内であることが好ましい。

　幅方向Ｙにおける他端の開口部２２の長さＷ２２〔図１（ｂ）参照〕は、幅方向Ｙにおける筒状体２の長さＷ２に対して、好ましくは４０．０％以上、より好ましくは６６．７％以上であり、また好ましくは９７．５％以下、より好ましくは９６．７％以下であり、また好ましくは４０．０％以上９７．５％以下、より好ましくは６６．７％以上９６．７％以下である。
　幅方向Ｙにおける他端の開口部２２の長さＷ２２〔図１（ｂ）参照〕は、好ましくは１０ｍｍ以上、より好ましくは２０ｍｍ以上であり、また好ましくは１９５ｍｍ以下、より好ましくは１４５ｍｍ以下であり、また好ましくは１０ｍｍ以上１９５ｍｍ以下、より好ましくは２０ｍｍ以上１４５ｍｍ以下である。
　本実施形態において、幅方向Ｙにおける他端の開口部２２の長さＷ２２は、幅方向Ｙにおける一端の開口部２１の長さと同じである。幅方向Ｙにおける、他端の開口部２２の長さと、一端の開口部２１の長さとは同じであっても良いし、それぞれ異なっていても良い。

　巻回状態の筒状体２の外径Ｄ２（図２参照）は、特に制限されず、毛髪束の量や毛髪束の長さ等に応じて適宜設定してもよいが、巻き上げ時の作業性の観点から、好ましくは１０ｍｍ以上、より好ましくは１５ｍｍ以上であり、また好ましくは６０ｍｍ以下、より好ましくは５０ｍｍ以下であり、また好ましくは１０ｍｍ以上６０ｍｍ以下、より好ましくは１５ｍｍ以上５０ｍｍ以下である。筒状体２の外径Ｄ２は、巻き上げられてロール状となった筒状体２の中心軸方向に直交する径方向の断面の最大長さである。筒状体２の外径Ｄ２は、後述する延設部を含めない長さである。

　巻回状態の筒状体２に歪を生じ難くして、毛髪束に付与されるカール形状をよりきれいにする観点から、一面シート２３Ａの縫合部２４における縫い目の長さＬ３４〔図８（ｂ）参照〕は、筒状体２の外径Ｄ２（図２参照）に対して、好ましくは３％以上、より好ましくは４％以上であり、また好ましくは１５％以下、より好ましくは１３％以下であり、また好ましくは３％以上１５％以下、より好ましくは４％以上１３％以下である。

　上記と同様の観点から、縫合部２４の縫い目のピッチＰ２４ａ〔図１（ａ）参照〕は、筒状体２の外径Ｄ２（図２参照）に対して、好ましくは３％以上、より好ましくは４％以上であり、また好ましくは１５％以下、より好ましくは１３％以下であり、また好ましくは３％以上１５％以下、より好ましくは４％以上１３％以下である。

　毛髪保持具１は、筒状体２を構成する２枚以上のシートの何れか１枚以上又はその全てにスリットを有していても良いし、有していなくても良い。本施形態における毛髪保持具１は、図１（ａ）に示すように、他面シート２３Ｂに幅方向Ｙに延びる横長のスリット６を有している。斯かる構成により、毛髪保持具１を構成する基材シート２３の伸長性を向上させることができ、筒状体２をスムーズに巻き上げることができる。このように、筒状体２を構成する一方の面又は他方の面のシートに、該筒状体２の幅方向Ｙに長い形状の複数個のスリットが該筒状体２の長手方向に離間して直列に形成されていることが好ましく、筒状体２を構成する一方の面及び他方の面のシートの両方に、前記複数個のスリットが形成されていることがより好ましい。また、前記複数個のスリットは、筒状体２の長手方向Ｘに離間して直列に形成されていることが好ましい。筒状体２をスムーズに巻き上げる観点から、巻き上げ時に外側となる他面シート２３Ｂに長手方向Ｘに離間させて複数のスリットが形成されていることが好ましい。図１（ａ）に示すスリットの他に、例えば、特開２００６－１２９９７２号公報に記載のスリットを設けることができる。

　ここで、他面シート２３Ｂの幅方向Ｙに延びるスリットは、該スリットの筒状体２の長手方向Ｘにおける長さが３ｍｍ未満のものを意味する。また、幅方向Ｙにおけるスリット６の長さＷ６〔図１（ａ）参照〕は、幅方向Ｙにおける筒状体２の長さＷ２に対して、好ましくは４０．０％以上、より好ましくは５０．０％以上であり、また好ましくは９０．０％以下、より好ましくは８０．０％以下であり、また好ましくは４０．０％以上９０．０％以下、より好ましくは５０．０％以上８０．０％以下である。
　また、幅方向Ｙにおけるスリット６の長さＷ６〔図１（ａ）参照〕は、好ましくは１０ｍｍ以上、より好ましくは１５ｍｍ以上であり、また好ましくは１８０ｍｍ以下、より好ましくは１２０ｍｍ以下であり、また好ましくは１０ｍｍ以上１８０ｍｍ以下、より好ましくは１５ｍｍ以上１２０ｍｍ以下である。

　本実施形態の延設部４における他面シート２３Ｂとの反対側には、図１（ｂ）に示すように、巻き留め部５が設けられている。巻き留め部５は、他面シート２３Ｂに係合可能なもので、巻き上げ状態の筒状体２を巻き留め部５に係合させることにより筒状体２の巻き上げ状態を維持するものである。巻き留め部５としては、他面シート２３Ｂに係合可能なものであれば種々のものを用いることができ、本実施形態においては、メカニカルファスナーのオス部材を用いている。

　毛髪保持具１Ａは、巻き締め片８を有していなくても良いが、図１（ａ）及び（ｂ）に示すように、該巻き締め片８を有していることが好ましい。毛髪保持具１Ａは、筒状体２の両側縁部２５それぞれの他端の開口部２２側の近傍に、幅方向Ｙの外方側に延出した巻き締め片８を有している。巻き締め片８は、筒状体２から幅方向Ｙに延出して一面シート２３Ａと一体的に形成されている。毛髪束Ｈを挿通した筒状体２を巻回する際、巻き締め片を手で把持して筒状体２を巻き上げると、筒状体２を容易に且つ必要に応じてきつく巻き上げることができる。巻き締め片８として、例えば、特開２００６－１２９９７２号公報の段落〔００１９〕に記載のものを巻き締め片８として設けることができる。巻き締め片８の形成方法、形状、大きさ、厚み、配置等は適宜設定できる。

　本実施形態の縫合部２４は、一面シート２３Ａ及び他面シート２３Ｂの両側縁部どうしを、縫製糸で縫い合わせることにより形成される。毛髪保持具１Ａは、巻き径ごとに種類が複数あるが、縫製糸の色を、毛髪保持具１Ａの種類ごとに使い分けて、毛髪保持具１Ａの種類を容易に識別する観点から、縫合部を形成する縫製糸の色は、筒状体２の外面を構成する２枚のシート２３Ａ，２３Ｂの何れか一方の両側縁部の色と異なることが好ましく、一方又は両方のシートの縫合部を形成する部分（本実施形態においては両側縁部）の色と異なることがより好ましい。ここで、筒状体２の外面を構成する２枚のシートは、筒状部２６を構成し得るシート材に限られない。例えば、後述する図７（ａ）に示す毛髪保持具では、補強材３が、筒状体２の外面を構成する２枚のシートの一方となる。縫製糸の色と、筒状体２の外面を構成する２枚のシート２３Ａ，２３Ｂの両側縁部の色とは、通常の注意力を有する観察者が見て、両者を識別できる色の組み合わせであれば良い。縫製糸の色と、筒状体２の外面を構成する２枚のシート２３Ａ，２３Ｂの何れか一方の両側縁部の色とは、オストワルト（Ｏｓｔｗａｌｄ）色相環によって分類された２４色の色票で、色相番号が１つずれた範囲のものであっても良いが、識別性をより高くする観点から、両者の色は、色相番号が３つ以上ずれた範囲のものであることが好ましい。

　毛髪保持具１Ａは、加温してパーマ処理を行うホットパーマに用いることができる。ホットパーマを行う際、通常、毛髪保持具１Ａは１００℃以上の高温に晒される。ホットパーマの繰り返し使用に対する耐久性を高める観点から、縫合部２４を形成する縫製糸は、耐熱性を有していることが好ましい。ここで耐熱性とは、１００℃以上の環境下で、２０分間晒された際、縫製糸を構成する樹脂等の成分自体が溶融しないこと、又は損傷して孔等ができないことを指す。縫製糸の耐熱温度は、好ましくは１００℃以上、より好ましくは１６０℃以上であり、また好ましくは６００℃以下、より好ましくは３００℃以下であり、また好ましくは１００℃以上６００℃以下、より好ましくは１６０℃以上３００℃以下である。耐熱温度は、所定の温度で２０分間晒された際、縫製糸を構成する樹脂等の成分自体が溶融し得る、又は損傷して孔等が生じ得る温度である。

　耐熱性を向上させる観点から、縫製糸の融点は、好ましくは１００℃以上、より好ましくは１４０℃以上、さらに好ましくは２００℃以上である。融点は、ＰｅｒｋｉｎＥｌｍｅｒ社製、品番Ｄｉａｍｏｎｄ　ＤＳＣを用いたＤＳＣ法にて測定することができる。
　上記と同様の観点から、縫製糸の軟化点は、好ましくは１００℃以上、より好ましくは１２０℃以上、さらに好ましくは１８０℃以上である。軟化点は、ＡＳＴＭ　Ｄ１５２５記載の方法に準じて測定することができる。
　前記数値範囲の耐熱温度、融点、及び軟化点を有する縫製糸の素材として、例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂繊維や、絹、綿、羊毛、麻などの天然繊維等が挙げられる。

　毛髪保持具１Ａは、パーマ液等の毛髪処理剤と共に用いられるが、毛髪処理剤が含む酸の影響により、縫製糸の強度が低下する場合がある。毛髪処理剤に含まれ得る酸に対する耐久性を高める観点から、縫製糸は耐酸性の素材であることが好ましい。ここでいう耐酸性は、濃塩酸（濃度２０％）下においても、縫製糸の強度が低下しない素材である。
　縫製糸は、濃塩酸（濃度２０％）に６０分浸漬した際の強度が、好ましくは０．８ｃＮ／ｄｔｅｘ以上、より好ましくは２．４ｃＮ／ｄｔｅｘ以上である。縫製糸の強度は、大栄科学精器製作所社製、型式ＹＳ－２００を用いた引張強さ試験法（ＪＩＳ　Ｌ　１０１３）にて測定することができる。

　毛髪保持具１Ａは、毛髪束を筒状体２内に保持した状態で、他面シート２３Ｂの外面から毛髪処理剤が供給される。また、毛髪保持具１Ａは、水等によって湿潤状態となった毛髪束に用いられることがある。縫製糸が毛髪処理剤や水等を吸収した後、該縫製糸を容易に乾燥させる観点から、縫製糸は、吸水性の低い素材であることが好ましい。斯かる構成により、湿潤した環境下における菌の繁殖を抑制して、毛髪保持具をより清潔に保つことができる。吸水性が低い素材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン；ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル；ナイロン６、ナイロン６６等のポリアミド；ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸アルキルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の合成樹脂（熱可塑性樹脂）繊維が挙げられ、これらの１種を単独で又は２種以上を組み合わせて用いることができる。

　次に、本発明の第２実施形態の毛髪保持具１Ｂを説明する。第２実施形態の毛髪保持具については、矛盾しない限り、上述した第１実施形態の毛髪保持具１Ａの説明が適宜適用される。第１実施形態の毛髪保持具１Ａは、前記構成（１）を具備していたが、これに代えて、第２実施形態の毛髪保持具は、補強材３、及び不織布からなる筒状体２を有する。

　第２実施形態における毛髪保持具は、一対の縫合部２４，２４間に亘る２枚以上のシート材と、一対の縫合部２４，２４それぞれに配された補強材３を有している。即ち、第２実施形態において筒状体２を構成する２枚以上のシートには、筒状部２６を構成するシートと、一対の縫合部２４，２４それぞれに配された補強材とが含まれている。補強材３は、筒状体２の剛性を高めて、筒状体２の巻き上げ力を向上させる目的で配されるシートである。補強材３の幅方向Ｙの長さは、一対の縫合部２４，２４間に亘らない長さであっても良い。補強材３は、縫合部２４と重なるように配されているが、筒状体２の両側縁部２５に長手方向Ｘに沿って配されていることが好ましい。斯かる構成により、筒状部２６内で毛髪束が均等に広がるので、毛髪保持具の巻回時に、毛髪束にテンションがかかり易くなり、巻き上げ力を向上させることができる。

　前記補強材３を有する毛髪保持具を、図７（ａ）及び（ｂ）に示す。図７（ａ）に示す毛髪保持具は、筒状部２６を構成する２枚のシート材２３Ａ，２３Ｂの何れか一方の外面に配された補強材３を有している。巻き上げ力をより向上させる観点から、補強材３は、他面シート２３Ｂの外面に配されていることが好ましい。他面シート２３Ｂの外面とは、一面シート２３Ａと対向する面とは反対側の面であり、毛髪束が挿入される空間を形成する側の面とは反対側の面である。図７（ｂ）に示す毛髪保持具は、筒状部２６を構成する２枚のシート材２３Ａ，２３Ｂ間に配された補強材３を有している。尚、上述したように、筒状体２を構成するシートどうしはしっかり接合されているが、説明の便宜上、図７（ａ）及び（ｂ）において、筒状体２を構成するシートどうしの間には隙間があるように描かれている。補強材３は、縫合部２４により筒状部２６を構成するシート２３Ａ，２３Ｂと一体化されている。

　第２実施形態において、筒状部２６を構成するシートは不織布であり、補強材３は樹脂フィルムである。不織布は、前述したポリエチレン不織布、ポリエチレンテレフタレート不織布等を用いることができる。また、筒状部２６を構成するシートのうちの一部又は全てのシートが形状記憶シートからなる。
　補強材３としては、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム等が挙げられる。補強材３は、多孔性シートであってもよく、非多孔性シートであってもよい。

　第２実施形態における毛髪保持具は、不織布からなる筒状体２に比して剛性の高い補強材３を具備することにより、巻回時に座屈し難く、複数回使用しても、巻き上げ力を安定して維持することができる。また、樹脂フィルムからなる補強材３は、縫合部２４における糸の針穴が拡がり難いので、糸がほつれ難いと共に、設計どおりの縫合が可能となり、毛髪保持具の生産性及び耐久性に優れる。一方、樹脂フィルムからなる補強材３と、不織布からなる筒状体２とをヒートシールによって一体化するとき、補強材と筒状体とが融着し難い場合がある。また、補強材３により筒状体２の剛性が高められると、毛髪保持具の巻回時に、毛髪束にテンションがかかり易くなり、巻き上げ力を向上させることができる。特に、他面シート２３Ｂの外面に補強材３が配されていると〔図７（ａ）参照〕、筒状体２内に毛髪束を挿入した際、補強材３の厚みが毛髪束の厚みを吸収して、筒状部２６の厚みを抑制する。これにより、筒状体２内に挿入した毛髪束が抜け難くなると共に、巻回状態の毛髪保持具における最外周部と最内周部との巻き径差を小さくでき、きれいなカール形状を毛髪束に付与することができる。

　上述した一又は二以上の効果がより確実に奏されるようにする観点から、補強材３は、ポリエステルフィルムからなることが好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムからなることがより好ましい。また、上記と同様の観点から、補強材３は、厚みが好ましくは０．１０ｍｍ以上、より好ましくは０．１５ｍｍ以上であり、また好ましくは０．４０ｍｍ以下、より好ましくは０．３０ｍｍ以下であり、また好ましくは０．１０ｍｍ以上０．４０ｍｍ以下、より好ましくは０．１５ｍｍ以上、０．３０ｍｍ以下である。

　巻き上げ力をより向上させる観点から、幅方向Ｙにおける前記配列域Ｆ１の長さＤ２４，Ｗ２４´は、幅方向Ｙにおける補強材３の長さＷ３〔図７（ａ）参照〕に対して、好ましくは３０％以上、より好ましくは４５％以上であり、また好ましくは９５％以下、より好ましくは８５％以下であり、また好ましくは３０％以上９５％以下、より好ましくは４５％以上８５％以下である。

　補強材３と筒状体２との接合をより強固にする観点から、縫合部２４の縫い目の長さＬ２４ａ，Ｌ３４〔図８（ａ）及び（ｂ）参照〕は、幅方向Ｙにおける補強材３の長さＷ３〔図７（ａ）参照〕に対して、好ましくは２％以上、より好ましくは５％以上であり、また好ましくは１００％以下、より好ましくは５０％以下であり、また好ましくは２％以上１００％以下、より好ましくは５％以上５０％以下である。
　上記と同様の観点から、縫合部２４の縫い目のピッチＰ２４ａ，Ｐｂは、幅方向Ｙにおける補強材３の長さＷ３〔図７（ａ）参照〕に対して、好ましくは２％以上、より好ましくは５％以上であり、また好ましくは１００％以下、より好ましくは５０％以下であり、また好ましくは２％以上１００％以下、より好ましくは５％以上５０％以下である。

　第２実施形態の毛髪保持具は、配列域に形成される縫合部２４が、前述した複数本の直線縫い部であってもよく、後述する屈曲縫い部であってもよい。

　図３は、本発明の第３実施形態の毛髪保持具１Ｂを示す図である。第３実施形態の毛髪保持具１Ｂについては、矛盾しない限り、上述した第１及び第２実施形態の毛髪保持具の説明が適宜適用される。具体的には、後述する縫合部の配列域の構成以外は、第１及び第２実施形態の毛髪保持具の構成を適宜採用することができる。図３中には、第１実施形態の毛髪保持具１Ａと同様の構成について、第１実施形態の毛髪保持具１Ａに付した符号と同一の符号を付してある。

　第３実施形態の毛髪保持具１Ｂは、その両側縁部２５に一対の縫合部２４を有している。本実施形態における一対の縫合部２４´は、長手方向Ｘに延びるジグザグを形成する縫い目２４ｅ，２４ｆが配列されている屈曲縫い部２４Ｔを備える配列域Ｆ２を備えている。屈曲縫い部２４Ｔは、長手方向Ｘと交差する２つの方向にそれぞれ延びる２種類の縫い目２４ｅ，２４ｆからなる。これら２種類の縫い目２４ｅ，２４ｆは、長手方向Ｘに交互に並んで配列されており、長手方向Ｘに延びるジグザグを形成している。配列域Ｆ２においては、これら２種類の縫い目２４ｅ，２４ｆが幅方向Ｙに幅を有するように長手方向Ｘに沿って配列されている。このように一対の縫合部２４´，２４´はそれぞれ、配列域Ｆ２として、長手方向Ｘに沿う方向とは異なる縫い方向の縫い目２４ｅ，２４ｆが配列されている屈曲縫い部２４Ｔを備える域を備えている。
　縫合部２４´が屈曲縫い部２４Ｔを備える配列域Ｆ２を備えた毛髪保持具１Ｂは、前述した第１実施形態の構成（１）を具備しており、前述の第１実施形態の効果と同様の効果を奏することができる。即ち、毛髪保持具１Ｂは、筒状体２を構成する２枚以上のシートどうしの接合強度に優れるため、繰り返し使用に対して優れた耐久性を有すると共に、これらシートの両側縁部全面が密着されておらず、一部に遊びを有し、巻回時に筒状体２に歪みが生じ難いので、巻き上げ力に優れる。また、毛髪保持具１Ｂは、巻き上げ作業が容易であり、作業性に優れる。

　筒状体２を構成するシート２３Ａ，２３Ｂ間の接合強度を向上させる観点から、幅方向Ｙにおける縫合部２４´の配列域Ｆ２の長さＷ２４´は（図３参照）は、幅方向Ｙにおける筒状体２の長さＷ２に対して、好ましくは１％以上、より好ましくは３％以上であり、また好ましくは２０％以下、より好ましくは１０％以下であり、また好ましくは１％以上２０％以下、より好ましくは３％以上１０％以下である。
　幅方向Ｙにおける縫合部２４´の配列域Ｆ２の長さＷ２４´は（図３参照）は、該配列域Ｆ２における縫い目２４ｅ，２４ｆを形成するステッチの幅方向Ｙの最大長さである。

　縫合部２４´における屈曲縫い部２４Ｔは、その縫い目２４ｅ，２４ｆ、即ち縫製糸が筒状体２を構成する２枚以上のシートを繰り返し貫通してできるループであって、筒状部２６の外面を構成する２枚のシート２３Ａ，２３Ｂの表面に露出した該ループが、屈曲縫いパターンを形成し得るステッチ形式であれば特に限定されない。例えば、縫合部２４´は、単環縫い、手縫い、本縫い、二重環縫い、縁かがり縫い、及び偏平縫いの何れかのステッチ形式で形成することができる。

　屈曲縫い部２４Ｔは、長手方向Ｘに沿う方向とは異なる縫い方向の縫い目を有していれば良く、該屈曲縫い部２４Ｔを構成する縫い目の長さや該縫い目どうしの間隔がそれぞれ異なっていてもよい。
　屈曲縫い部２４Ｔの縫いパターンとして、図３に示すジグザグ縫いの他、例えば、縁かがり縫い〔図４（ａ）～（ｃ）参照〕、まつり縫い〔図４（ｄ）～（ｇ）参照〕、飾り縫い〔図４（ｈ）～（ｔ）参照〕等のパターンが挙げられる。図４（ａ）～（ｇ）、（ｋ）、（ｌ）、（ｍ）、（ｎ）（ｏ）、（ｐ）、（ｒ）及び（ｓ）のパターンは、縫い方向が長手方向Ｘに対して傾斜する部分を有するパターンである。図４（ｈ）、（ｊ）、（ｒ）、（ｓ）及び（ｔ）は、縫い方向が幅方向Ｙに平行である部分を有するパターンである。図４（ｉ）、（ｎ）及び（ｑ）は、湾曲した部分を有する縫いパターンである。図４（ｃ）、（ｋ）、（ｌ）、（ｍ）、（ｎ）、（ｏ）、（ｐ）及び（ｒ）は、縫い目が互いに交差する部分を有するパターンである。毛髪保持具を一旦巻き上げた後の巻径の維持の観点から、屈曲縫い部２４Ｔは、縫い方向が長手方向Ｘに対して傾斜する縫い目、縫い方向が幅方向Ｙに平行である縫い目、又はこれら縫い目の組み合わせを有することが好ましい。このような屈曲縫い部２４Ｔを備えると、巻き上げた後に毛髪保持具が元の形、即ち巻き上げる前の形状になろうとする復元力に対して抵抗性を示すため、巻径を維持し易く、巻き上げ後の毛髪保持具が崩れにくい。
　屈曲縫い部２４Ｔは、ジグザグ縫いやまつり縫い等の１つのパターンで形成されていても良く、複数のパターンを組み合わせて形成されていても良い。このような屈曲縫い部２４Ｔは、ミシン等の公知の方法により形成することができる。

　屈曲縫い部２４Ｔは、該屈曲縫い部２４Ｔを構成する一部又は全ての縫い目が、筒状体２の長手方向Ｘに対して傾斜している。屈曲縫い部２４Ｔの縫い目２４ｅ，２４ｆの長さＬ２４ｅ，Ｌ２４ｆは、一針分の縫製により形成される線分、即ち２つの針穴間を結ぶ縫製糸により形成される線分の長さである〔図９（ａ）及び（ｂ）参照〕。
　巻き上げ力を向上させる観点から、屈曲縫い部２４Ｔは、他面シート２３Ｂの縫合部２４における縫い目の長さが、一面シート２３Ａの縫合部２４における縫い目の長さに対して、好ましくは１０１％以上、より好ましくは１０５％以上であり、また好ましくは１３５％以下、より好ましくは１２５％以下であり、また好ましくは１０１％以上１３５％以下、より好ましくは１０５％以上１２５％以下である。
　上記と同様の観点から、屈曲縫い部２４Ｔは、他面シート２３Ｂの縫合部２４における縫い目の長さが、好ましくは１．５ｍｍ以上、より好ましくは２．０ｍｍ以上であり、また好ましくは５．５ｍｍ以下、より好ましくは３．５ｍｍ以下であり、また好ましくは１．５ｍｍ以上５．５ｍｍ以下、より好ましくは２．０ｍｍ以上３．５ｍｍ以下である。
　上記と同様の観点から、一面シート２３Ａの縫合部２４における縫い目の長さは、他面シート２３Ｂの縫合部２４における縫い目の長さよりも短いことを条件として、好ましくは１．５ｍｍ以上、より好ましくは２．０ｍｍ以上であり、また好ましくは５．５ｍｍ以下、より好ましくは３．５ｍｍ以下であり、また好ましくは１．５ｍｍ以上５．５ｍｍ以下、より好ましくは２．０ｍｍ以上３．５ｍｍ以下である。
　縫い目の長さは、上述した方法により測定される。

　屈曲縫い部２４Ｔは、複数の縫い目が所定のパターンＰｒで繰り返し配列している〔図９（ａ）及び（ｂ）参照〕。筒状体２の長手方向Ｘにおける前記所定のパターンＰｒの長さを、屈曲縫い部２４Ｔの縫い目のピッチＰｂとする。屈曲縫い部２４Ｔの縫い目のピッチＰｂは、所定のパターンＰｒにおいて、始点となる針穴から終点となる針穴までの長手方向Ｘの長さである〔図９（ａ）及び（ｂ）参照〕。
　前述の巻き上げ力及び繰り返し使用に対する耐久性の効果をより確実に奏させる観点から、屈曲縫い部２４Ｔの縫い目ピッチＰｂは〔図９（ａ）及び（ｂ）参照〕、縫い目２４ａの長さＬ２４ｅ，Ｌ２４ｆに対して、好ましくは５０％以上、より好ましくは１００％以上であり、また好ましくは５００％以下、より好ましくは３００％以下であり、また好ましくは５０％以上５００％以下、より好ましくは１００％以上３００％以下である。屈曲縫い部２４Ｔにおいて、複数の縫い目２４ｅ，２４ｆが、間隔を空けて形成されていても良く、間隔を空けないで形成されていても良い。

　上記と同様の観点から、毛髪保持具１Ｂにおける縫合部２４の寸法は、第１実施形態の毛髪保持具１Ａにおける縫合部２４の寸法と同様の範囲であることが好ましい。

　屈曲縫い部２４Ｔを備える配列域Ｆ２を備えた毛髪保持具１Ｂは、第１実施形態のように、返し縫い部や延長縫い部を有していても良い。本実施形態のように、縫合部２４´が一端の開口部２１側から他端の開口部２２側に向かう縫い方向で形成されている場合、返し縫い部は、該縫い方向と略反転する方向、又は該縫い方向とは異なる方向に数針分縫製された部分である。例えば、屈曲縫いパターンを有する毛髪保持具１Ｂの返し縫い部の縫い方向は、屈曲縫いパターンの始点から終点に向かう方向と略反転する方向、又は該始点から終点に向かう方向とは異なる方向であっても良い。

　本発明の毛髪保持具は、前述の第１～第３実施形態に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更が可能である。
　例えば、毛髪保持具１は、本発明の効果を損なわない範囲で、幅方向Ｙにおける長さが一部異なる部分を有していても良い。また、縫合部に長手方向Ｘにおいて前述の第１実施形態の直線縫い部と前述の第３実施形態の屈曲縫い部とが混在して形成されていても良い。
　また、上述した第１及び第３実施形態の毛髪保持具はそれぞれ、縫合部２４に補強材３を有していてもよく、上述した第２実施形態の毛髪保持具が前記構成（１）を具備してもよい。
　第２実施形態における補強材３は樹脂フィルムであったが、補強材３は、例えば、不織布（ポリエチレン不織布、ポリエチレンテレフタレート不織布等）、織布、網状シート、多孔性又は非多孔性の樹脂フィルム（ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等）、紙、高分子材料シート、ゴムシート、又はこれら２種以上の複合体等のシート状の素材であってもよい。
　また、本発明の毛髪保持具１における「筒状体２」を構成するシート材の形状及びその表面状態は、上述の形態の筒状体を形成可能なものであれば良く、シート材の表面は、凹凸面であってもよい。

　また、本発明の毛髪保持具は、毛髪処理剤を用いて毛髪にカールを付与するパーマ処理に使用できるが、毛髪処理剤を用いないで毛髪にカールを付与する処理にも使用することができる。例えば、毛髪束を巻回した後、毛髪処理剤を用いずに、ドライヤー等により熱処理したり、乾燥した毛髪を巻回状態で保持したり、濡れた状態の毛髪を巻回状態で保持し自然乾燥させたりして、毛髪にカールを付与する場合等にも適用することができる。

　本発明の毛髪保持具と、筒状体２に毛髪束Ｈを挿入する長尺状の毛髪挿入具と共に用いることができる。毛髪束Ｈの挿入作業をより容易にする観点から、毛髪挿入具は、毛髪束Ｈをフック可能なフック部が設けられていることが好ましい。毛髪挿入具として、特開２００８－６１９５９号公報に記載のもの等を用いることもできる。

　次に、第１実施形態の毛髪保持具１Ａを用いて、毛髪（頭髪）に直接カールを付与する毛髪処理方法を、図５を参照しながら説明する。毛髪保持具１Ａを用いた毛髪処理方法では、筒状体２を、該筒状体２に挿通した毛髪束Ｈと共に巻き上げる。毛髪保持具は、巻き上げ時の巻き具合によって、毛髪束Ｈの巻き径を調整することができる。

　先ず、毛髪束Ｈの量や得ようとするカール形状に応じて、適当な長さ及び幅を有する筒状体２からなる毛髪保持具１Ａを用い、図５（ａ）に示すように、引き伸ばした筒状体２の一端の開口部２１に毛髪束Ｈを挿入する。この際、毛髪保持具１Ａの一端の開口部２１は楕円状に開口されても良いが、必要に応じ、該開口部２１を真円状に開口した方が、毛髪束Ｈをスムーズに挿通させ易い。また、毛髪束Ｈの挿通作業をスムーズに行う観点から、上述した毛髪挿入具を用いて、毛髪束Ｈの挿通作業を行うことが好ましい。また、図５（ａ）に示すように、毛髪束Ｈの先端を筒状体２の他端の開口部２２からはみ出させてもよい。

　毛髪束Ｈを筒状体２に挿通させた後、図５（ｂ）及び（ｃ）に示すように、筒状体２をその他端の開口部２２の側から、一面シート２３Ａを内側にして巻き上げる。

　次に、毛髪保持具１Ａで巻き上げた毛髪束Ｈにパーマ用の毛髪処理剤を付与する。毛髪処理剤は、筒状体２の外側から毛髪束Ｈに付与する。そして所定時間後、筒状体２から毛髪束Ｈを抜き取り、洗髪等して、パーマ処理を完了する。２剤式のパーマ用毛髪処理剤の場合は、毛髪保持具１Ａで巻き上げた毛髪束Ｈに、筒状体２の外側から第１剤を付与した後、毛髪束Ｈを抜き取る前に毛髪束Ｈに第２剤を塗布する。そして所定時間後、筒状体２から毛髪束Ｈを抜き取り、洗髪等して、パーマ処理を完了することができる。

　上述した毛髪処理方法は、第２実施形態の毛髪保持具及び第３実施形態の毛髪保持具１Ｂを用いても、上記と同様の方法により、毛髪束を処理することができる。

　上述した第１～第３実施形態の毛髪保持具の製造方法は、一面シート２３Ａ及び他面シート２３Ｂの２枚のシートを対向させた状態で、一面シート２３Ａの長手方向に沿う側部と他面シート２３Ｂの長手方向に沿う側部とを、縫合により互いに接合する。縫合は、両シート２３Ａ，２３Ｂの長手方向に沿って、縫い目が幅を有して配列されるように行う。これによって、一対の縫合部２４，２４を有する筒状体２が形成される。また、一面シート２３Ａ及び他面シート２３Ｂとともに、補強材を縫合により接合してもよい。このように２枚以上のシートを縫合によって接合することで、前記２枚以上のシートの間に、長手方向Ｘに沿って毛髪束を挿通することができる筒状体２を備える毛髪保持具を製造することができる。

　本発明の範囲は上記の実施形態に制限されない。
　例えば、毛髪処理剤は、パーマ剤の他、染毛剤、脱色剤、スタイリング剤、水等が挙げられる。

　本発明は更に以下の毛髪保持具を開示する。
＜１＞
　　一端の開口部から他端の開口部に向けて毛髪束を挿通可能に構成された筒状体を備え、該筒状体は長手方向及び該長手方向に直交する幅方向を有する毛髪保持具であって、
　前記筒状体は、２枚以上のシートが縫合により一体化された一対の縫合部、及び該一対の縫合部間に位置する前記毛髪束が挿入される筒状部を有しており、
　前記一対の縫合部はそれぞれ、前記筒状体の長手方向に沿って延びており、該縫合部は縫い目が前記筒状体の前記幅方向に幅を有して配列されている配列域を備え、
　前記２枚以上のシートには、前記筒状部を構成するシートが含まれており、該筒状部を構成するシートのうちの一部又は全てのシートが形状記憶シートからなり、
　前記筒状体の巻き上げ時に外側に位置するシートが、内側に位置するシートに比して、前記縫合部における縫い目の長さが長い、毛髪保持具。

＜２＞
　前記筒状体の巻き上げ時に、内側に位置するシートを一面シート、外側に位置するシートを他面シートとしたとき、
　前記他面シートの前記縫合部における縫い目の長さＬ２４ａが、前記一面シートの前記縫合部における縫い目の長さＬ３４に対して、１０１％以上、好ましくは１０５％以上であり、また１３５％以下、好ましくは１２５％以下であり、また１０１％以上１３５％以下、好ましくは１０５％以上１２５％以下である、前記＜１＞に記載の毛髪保持具。
＜３＞
　前記他面シートの前記縫合部における縫い目の長さＬ２４ａは、１．５ｍｍ以上、好ましくは２．０ｍｍ以上であり、また５．５ｍｍ以下、好ましくは３．５ｍｍ以下であり、また１．５ｍｍ以上５．５ｍｍ以下、好ましくは２．０ｍｍ以上３．５ｍｍ以下である、前記＜２＞に記載の毛髪保持具。
＜４＞
　前記一面シートの前記縫合部における縫い目の長さＬ３４は、１．５ｍｍ以上、好ましくは２．０ｍｍ以上であり、また５．５ｍｍ以下、好ましくは３．５ｍｍ以下であり、また１．５ｍｍ以上５．５ｍｍ以下、好ましくは２．０ｍｍ以上３．５ｍｍ以下である、前記＜２＞又は＜３＞に記載の毛髪保持具。
＜５＞
　前記一対の縫合部間に亘る前記２枚以上のシート材と、前記一対の縫合部それぞれに配された補強材とを有している、前記＜１＞～＜４＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜６＞
　前記補強材は、不織布、織布、網状シート、多孔性の樹脂フィルム、非多孔性の樹脂フィルム、紙、高分子材料シート、ゴムシート、及びこれら２種以上の複合体のシート状の素材の群から選ばれる少なくとも一種であり、
　前記不織布が、ポリエチレン不織布又はポリエチレンテレフタレート不織布であり、
　前記多孔性の樹脂フィルム又は前記非多孔性の樹脂フィルムが、ポリエチレンフィルム又はポリエチレンテレフタレートフィルムである、前記＜５＞に記載の毛髪保持具。
＜７＞
　前記２枚以上のシートそれぞれの形成材料は、不織布、織布、網状シート、多孔性の樹脂フィルム、非多孔性の樹脂フィルム、紙、高分子材料シート、ゴムシート、及びこれら２種以上の複合体からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、
　前記不織布は、ポリエチレン不織布又はポリエチレンテレフタレート不織布であり、
　前記多孔性の樹脂フィルム又は非多孔性の樹脂フィルムは、ポリエチレンフィルム又はポリエチレンテレフタレートフィルムである、前記＜１＞～＜６＞の何れか１に記載の毛髪保持具。

＜８＞
　一端の開口部から他端の開口部に向けて毛髪束を挿通可能に構成された筒状体を備え、該筒状体は長手方向及び該長手方向に直交する幅方向を有する毛髪保持具であって、
　前記筒状体は、２枚以上のシートが縫合により一体化された一対の縫合部、及び該一対の縫合部間に位置する前記毛髪束が挿入される筒状部を有しており、
　前記一対の縫合部はそれぞれ、前記筒状体の長手方向に沿って延びており、該縫合部は縫い目が前記筒状体の前記幅方向に幅を有して配列されている配列域を備え、
　前記２枚以上のシートには、前記筒状部を構成するシートと、前記一対の縫合部それぞれに配された補強材とが含まれており、前記筒状部を構成するシートが不織布であり、前記補強材が樹脂フィルムであり、
　前記筒状部を構成するシートのうちの一部又は全てのシートが形状記憶シートからなる、毛髪保持具。
＜９＞
　前記補強材は、ポリエステルフィルムからなる、前記＜８＞に記載の毛髪保持具。
＜１０＞
　前記補強材は、厚みが０．１０ｍｍ以上、好ましくは０．１２ｍｍ以上であり、また０．３５ｍｍ以下、好ましくは０．３０ｍｍ以下であり、ま０．１０ｍｍ以上０．３５ｍｍ以下、好ましくは０．１２ｍｍ以上０．３０ｍｍ以下である、前記＜８＞又は＜９＞に記載の毛髪保持具。
＜１１＞
　前記補強材は、ポリエチレンテレフタレートフィルムからなり、且つ厚みが０．１９ｍｍである、前記＜８＞～＜１０＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜１２＞
　前記補強材は、巻き上げ時に外側に位置するシートの外面に配されている、前記＜８＞～＜１１＞の何れか１に記載の毛髪保持具。

＜１３＞
　前記一対の縫合部はそれぞれ、前記配列域として、縫い目が直線状で配列されている直線縫い部を複数本備える域を備える、前記＜１＞～＜１２＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜１４＞
　前記一対の縫合部は、前記２枚以上のシートの両側縁部それぞれに形成され、互いに平行であり、
　前記直線縫い部が、前記筒状体の前記幅方向に２列ずつ並んで形成されている、前記＜１３＞に記載の毛髪保持具。
＜１５＞
　前記一対の縫合部における前記直線縫い部は、前記筒状部の外面を構成する２枚のシートの何れか一方の表面に表れる前記縫い目が、前記筒状体の長手方向に平行である、前記＜１３＞又は＜１４＞に記載の毛髪保持具。
＜１６＞
　前記直線縫い部は、前記筒状部の外面を構成する２枚のシートの何れか一方の表面に、それぞれ同じ長さの複数の縫い目が、同じ間隔を空けて前記筒状体の前記長手方向に沿って配されていることにより形成されている、前記＜１３＞～＜１５＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜１７＞
　前記一対の縫合部はそれぞれ、前記配列域に、２本以上の前記直線縫い部が並んで形成されている、前記＜１３＞～＜１６＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜１８＞
　前記長手方向における前記縫合部の長さＬ２４は、前記筒状体の前記長手方向の長さＬ２に対して８０％以上、好ましくは１００％以上であり、また１２０％以下、好ましくは１１０％であり、また８０％以上１２０％以下、好ましくは１００％以上１１０％以下である、前記＜１３＞～＜１７＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜１９＞
　前記筒状部の外面を構成する２枚のシートの何れか一方の表面に表れる前記縫い目の長さＬ２４ａは、前記長手方向における前記縫合部の長さＬ２４に対して０．０１％以上、好ましくは０．１％以上であり、また５％以下、好ましくは２％以下であり、また０．０１％以上５％以下、好ましくは０．１％以上２％以下である、前記＜１３＞～＜１８＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜２０＞
　前記縫合部において、一つの前記縫い目の終点から、次の前記縫い目の終点までの長さである縫い目のピッチＰ２４ａは、前記縫い目の長さＬ２４ａに対して５０％以上、好ましくは１００％以上であり、また３００％以下、好ましくは２００％以下であり、また５０％以上３００％以下、好ましくは１００％以上３００％以下である、前記＜１３＞～＜１９＞の何れか１に記載の毛髪保持具。

＜２１＞
　前記一対の縫合部はそれぞれ、前記配列域として、前記筒状体の前記長手方向に沿う方向とは異なる縫い方向の縫い目が配列されている屈曲縫い部を備える域を備える、前記＜１＞～＜１２＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜２２＞
　前記屈曲縫い部は、前記縫い方向が前記長手方向に対して傾斜する縫い目、前記縫い方向が前記幅方向に平行である縫い目、又はこれら縫い目の組み合わせを有する、前記＜２１＞に記載の毛髪保持具。
＜２３＞
　前記筒状体の前記幅方向における前記配列域の長さは、前記筒状体の前記幅方向の長さに対して１％以上、好ましくは３％以上であり、また２０％以下、好ましくは１０％以下であり、また１％以上２０％以下、好ましくは３％以上１０％以下である、前記＜１＞～＜２２＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜２４＞
　前記筒状体の前記幅方向における前記配列域の長さは、前記筒状体の前記幅方向の長さに対して３％以上１０％以下である、前記＜１＞～＜２３＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜２５＞
　前記筒状体は、前記２枚以上のシートの両側縁部どうしが前記一対の縫合部によって一体化されている、前記＜１＞～＜２４＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜２６＞
　前記２枚以上のシートは、前記縫合部において互いに接合されており、該縫合部以外の部分において互いに接合されていない、前記＜１＞～＜２５＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜２７＞
　前記縫合部は、該縫合部の長手方向の少なくとも一端側に返し縫い部を有している、前記＜１＞～＜２６＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜２８＞
　前記縫合部は、前記筒状体の前記長手方向における前記縫合部の前記一端の開口部側の端部に返し縫い部を有している、前記＜１＞～＜２７＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜２９＞
　前記返し縫い部の長さＬ２４ｂは、前記縫合部における一針分の縫い目と同じ長さの縫い目にして、１針以上、好ましくは３針以上である、前記＜２７＞又は＜２８＞に記載の毛髪保持具。
＜３０＞
　前記返し縫い部は、縫い方向において、該返し縫い部の一部が、好ましくは該返し縫い部の全てが、前記縫合部と重なるように形成されている、前記＜２７＞～＜２９＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜３１＞
　前記筒状体の前記一端の開口部の端部近傍に、前記２枚以上のシートのうちの何れか１枚以上が該筒状体の前記長手方向に延出した延設部を有している、前記＜１＞～＜３０＞の何れか１に記載の毛髪保持具。

＜３２＞
　前記２枚以上のシートのうちの何れか１枚以上は、前記筒状体の長手方向より延出した延設部を有し、該延設部における前記縫合部の延長線上に延長縫い部を有し、該延長縫い部の全体又は一部が返し縫い部である、前記＜１＞～＜３１＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜３３＞
　前記延長縫い部は、筒状体２の長手方向において前記２枚以上のシートが重なる部分の縁と重なるように形成された前記返し縫い部である、前記＜３２＞に記載の毛髪保持具。
＜３４＞
　前記縫合部を形成する縫製糸の色は、前記筒状体の外面を構成する２枚のシートのうちの何れか一方の両側縁部の色と異なる、前記＜１＞～＜３３＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜３５＞
　前記縫製糸の色と、前記筒状体の外面を構成する２枚のシートの何れか一方の両側縁部の色とが、オストワルト（Ｏｓｔｗａｌｄ）色相環によって分類された２４色の色票で、色相番号が１つずれた範囲、好ましくは３つ以上ずれた範囲のものである、前記＜３４＞に記載の毛髪保持具。
＜３６＞
　前記縫合部を形成する縫製糸は、耐熱温度が１００℃以上６００℃以下である、前記＜１＞～＜３５＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜３７＞
　前記縫合部を形成する縫製糸の耐熱温度は、１００℃以上、好ましくは１６０℃以上であり、また６００℃以下、好ましくは３００℃以下であり、また１００℃以上６００℃以下、好ましくは１６０℃以上３００℃以下である、前記＜１＞～＜３６＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜３８＞
　前記縫合部を形成する縫製糸の融点は、１００℃以上、好ましくは１４０℃以上、より好ましくは２００℃以上であり、
　前記縫製糸の軟化点は、１００℃以上、好ましくは１２０℃以上、より好ましくは１８０℃以上である、前記＜１＞～＜３７＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜３９＞
　前記縫合部を形成する縫製糸は、濃度２０％の塩酸に６０分浸漬した際の引張り強さが、０．８ｃＮ／ｄｔｅｘ以上、好ましくは２．４ｃＮ／ｄｔｅｘ以上である、前記＜１＞～＜３８＞の何れか１に記載の毛髪保持具。

＜４０＞
　前記２枚以上のシートそれぞれの厚みは、５μｍ以上、好ましくは１０μｍ以上であり、また２０００μｍ以下、好ましくは１５００μｍ以下であり、また５μｍ以上２０００μｍ以下、好ましくは１０μｍ以上１５００μｍ以下である、前記＜１＞～＜３９＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜４１＞
　前記形状記憶シートは、熱収縮率の異なるフィルム、又は張力の違うフィルムを貼り合わせることによって形成されている、前記＜１＞～＜４０＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜４２＞
　前記筒状体は、該筒状体を構成する前記２枚以上のシートを加熱することにより、記憶していた元のロール形状に復帰する、前記＜１＞～＜４１＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜４３＞
　前記２枚以上のシートうちの何れか１枚以上又はその全ては、毛髪処理剤の拡散性を向上させる加工が施されており、該加工がエンボス加工、カレンダー加工又は樹脂膜形成加工である、前記＜１＞～＜４２＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜４４＞
　該幅方向における前記筒状体の長さＷ２は、２５ｍｍ以上、好ましくは３０ｍｍ以上であり、また２００ｍｍ以下、好ましくは１５０ｍｍ以下であり、また２５ｍｍ以上２００ｍｍ以下、好ましくは３０ｍｍ以上１５０ｍｍ以下である、前記＜１＞～＜４３＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜４５＞
　前記毛髪保持具の長手方向の長さＬ１は、５０ｍｍ以上、好ましくは１００ｍｍ以上であり、また４００ｍｍ以下、好ましくは３５０ｍｍ以下であり、また５０ｍｍ以上４００ｍｍ以下、好ましくは１００ｍｍ以上３５０ｍｍ以下である、前記＜１＞～＜４４＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜４６＞
　前記長手方向における前記筒状体の長さＬ２は、４５ｍｍ以上、好ましくは９０ｍｍ以上であり、また３００ｍｍ以下、好ましくは２７５ｍｍ以下であり、また４５ｍｍ以上３００ｍｍ以下、好ましくは９０ｍｍ以上２７５ｍｍ以下である、前記＜１＞～＜４５＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜４７＞
　前記幅方向における前記他端の開口部の長さＷ２２は、該幅方向における前記筒状体の長さＷ２に対して、４０．０％以上、好ましくは６６．７％以上であり、また９７．５％以下、好ましくは９６．７％以下であり、また４０．０％以上９７．５％以下、好ましくは６６．７％以上９６．７％以下である、前記＜１＞～＜４６＞の何れか１に記載の毛髪保持具。

＜４８＞
　前記幅方向における前記他端の開口部の長さＷ２２は、１０ｍｍ以上、好ましくは２０ｍｍ以上であり、また１９５ｍｍ以下、好ましくは１４５ｍｍ以下であり、また１０ｍｍ以上１９５ｍｍ以下、好ましくは２０ｍｍ以上１４５ｍｍ以下である、前記＜１＞～＜４７＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜４９＞
　前記毛髪保持具は、前記２枚以上のシートの何れか１枚以上又はその全てに前記幅方向に延びる横長のスリットを有しており、
　前記幅方向における前記スリットの長さＷ６は、前記幅方向における前記筒状体の長さＷ２に対して、４０．０％以上、好ましくは５０．０％以上であり、また９０．０％以下、好ましくは８０．０％以下であり、また４０．０％以上９０．０％以下、好ましくは５０．０％以上８０．０％以下である、前記＜１＞～＜４８＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜５０＞
　前記毛髪保持具は、前記２枚以上のシートの何れか１枚以上又はその全てに前記幅方向に延びる横長のスリットを有しており、
　前記幅方向における前記スリットの長さＷ６は、１０ｍｍ以上、好ましくは１５ｍｍ以上であり、また１８０ｍｍ以下、好ましくは１２０ｍｍ以下であり、また１０ｍｍ以上１８０ｍｍ以下、好ましくは１５ｍｍ以上１２０ｍｍ以下である、前記＜１＞～＜４９＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜５１＞
　巻回状態の前記筒状体の外径Ｄ２は、１０ｍｍ以上、好ましくは１５ｍｍ以上であり、また６０ｍｍ以下、好ましくは５０ｍｍ以下であり、また１０ｍｍ以上６０ｍｍ以下、好ましくは１５ｍｍ以上５０ｍｍ以下である、前記＜１＞～＜５０＞の何れか１に記載の毛髪保持具。
＜５２＞
　前記筒状体の巻き上げ時に、内側に位置するシートを一面シート、外側に位置するシートを他面シートとしたとき、
　前記一面シートの前記縫合部における縫い目の長さＬ３４は、前記筒状体の外径Ｄ２に対して、３％以上、好ましくは４％以上であり、また１５％以下、好ましくは１３％以下であり、また３％以上１５％以下、好ましくは４％以上１３％以下である、前記＜１＞～＜５１＞の何れか１に記載の毛髪保持具。

　以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。

〔参考例１〕
　縫合部が複数の直線縫いで形成された、毛髪保持具を用意した。毛髪保持具は、一面シート及び他面シートの両側縁部どうしを、幅方向に２本並んだ直線縫いで接合して、これらシートを一体化することにより形成した。
　毛髪保持具を構成する２枚のシートに、湿式抄造法により得られた不織布を用いた。前記不織布は、レーヨン繊維（繊度１．７ｄｔｅｘ、繊維径１２μｍ、繊維長５ｍｍ）２２％、ＰＥＴ繊維（繊度１．７ｄｔｅｘ、繊維径１２．５μｍ、繊維長１０ｍｍ）１８％、ＰＰ／ＰＥ繊維（鞘型複合繊維、繊度２．２ｄｔｅｘ、繊維径１７．５μｍ、繊維長１０ｍｍ）５０％及びＰＶＡ繊維（繊度１．１ｄｔｅｘ、繊維径１０μｍ、繊維長３ｍｍ）１０％を原料繊維とする。
　直線縫いには、株式会社フジックス製、品番「シャッペスパンミシン糸、＃６０」のポリエステル製の縫製糸を用いた。

　参考例１の毛髪保持具は、同形同大の長方形の２枚のシートを重ね合わせ、これに縫合部を形成し、該２枚のシートを一体化して製造した。毛髪保持具は、長手方向Ｘにおける長さが３００ｍｍ、幅方向Ｙにおける長さが１００ｍｍ、幅方向Ｙにおける縫製部間の長さ、即ち幅方向Ｙにおける筒状部の長さが７０ｍｍであった。縫合部として、毛髪保持具の両側縁部それぞれに、一端の開口部側の端部から長手方向Ｘに２５０ｍｍの直線縫いを、ＪＩＳ　Ｌ　０１２０に記載の本縫いによって、幅方向に２本並ぶように形成した。参考例１の縫合部は、毛髪保持具の他端の開口部側の端部と、該縫合部の一方の端部とが略一致するように形成した。即ち、一端の開口部側の縫合部の端部が、毛髪保持具の一端の開口部側の端部から、長手方向の内方に５０ｍｍ離間するよう、該縫合部を形成した。幅方向Ｙにおける直線縫い間の間隔は５ｍｍとした。また、縫い目の長さを２ｍｍ、縫い目のピッチの長さを２ｍｍとした。

〔参考例２〕
　縫合部をジグザグ縫いで形成した以外は、参考例１と同様の構成を有する毛髪保持具を用意した。幅方向Ｙにおけるジグザグ縫いの長さは５ｍｍであった。ジグザグ縫いは、毛髪保持具の長手方向に沿う長さが２５０ｍｍ、縫い目の長さが２ｍｍ、縫い目のピッチの長さが６ｍｍであった。

〔参考例３〕
　一端の開口部側および他端の開口部側の縫合部に返し縫い部を設けた以外は、参考例１と同様の構成を有する毛髪保持具を用意した。返し縫い部は、その全てが長手方向Ｘにおいて縫合部と重なるように、縫合部と同じ縫い目の寸法で形成した。返し縫い部の長さは１２ｍｍであった。

〔参考例４〕
　一端の開口部側および他端の開口部側の縫合部に返し縫い部を設けた以外は、参考例２と同様の構成を有する毛髪保持具を用意した。返し縫い部は、その長手方向の全体が、縫合部のジグザグ縫いの一部と重なるように、参考例１と同じ寸法の直線縫いで形成した。返し縫い部は、毛髪保持具の長手方向に沿う長さが１２ｍｍであった。

〔参考例５〕
　縫合部を１本の直線縫いで形成した以外は、参考例１と同様の構成を有する毛髪保持具を用意した。

　参考例１～５の毛髪保持具の一方の側縁部から縫合部とその周辺部分を切り出し、これを評価用シートとした。評価用シートは、長さ３００ｍｍ、幅８ｍｍの長方形であった。そして評価用シートの縫合部の接合強度を以下の方法により評価した。
　毛髪保持具を構成する２枚のシートは、一端の開口部側の端部が縫合されていないため、評価用シートの該一端の開口部側の端部に相当する部分は、前記２枚のシートを上下に両開きにすることができる。この２枚のシートを両開きにした状態で、一方のシートを引張試験機（島津製作所社製精密万能試験機「オートグラフＡＧ－５ｋＮＸｐｌｕｓ」）の上部チャックに、他方のシートを下部チャックに取り付けた。この際、一方のシート及び他方のシートは、各端部、即ち一端の開口部側の端部から長手方向の内方に１５ｍｍ離間した位置を両チャックで把持した。即ち、両チャック間は７０ｍｍとした。そして、下部チャックの位置を固定したまま、一方のシートが他方のシートから剥離するまで、上部チャックを１００ｍｍ／ｍｉｎの変位速度で上昇させた。
　上部チャックの変位（ｍｍ）と、該変位に伴って評価用シートの端部に加わる荷重（Ｎ）との関係を示すグラフを図６に示す。図中の（Ａ）が参考例１、（Ｂ）が参考例２、（Ｃ）が参考例３、（Ｄ）が参考例４、（Ｅ）が参考例５である。図６に示すグラフにおいて、前記荷重（Ｎ）のピークが大きいほど、縫合部の接合強度が高い。また、同じ接合強度であっても、該接合強度における上部チャックの変位（ｍｍ）の値が小さい程、縫合部は解れにくい。

　図６より、参考例１～４の毛髪保持具は、参考例５に比して、縫合部の接合強度が大きいことが示された。また、参考例２のジグザグ縫いによる縫合部は、参考例１の直線縫いに比して接合強度が大きいことが示された。これより、参考例１～４の毛髪保持具は、繰り返し使用しても、優れた耐久性を有する。
　参考例３及び参考例４の毛髪保持具は、変位（ｍｍ）が約１０ｍｍの時点で大きい荷重（Ｎ）を示した。このように縫合部の端部に返し縫い部を有することで、該端部の接合強度を向上させることができる上、荷重による縫合部の解れを抑制することができる。

〔実施例１～５及び比較例１〕
　筒状部を構成するシートを形状記憶シートにし、他面シートにスリットを設け、一面シート及び他面シートの縫合部における各縫い目の長さ及び縫い目のピッチを変更した以外は、参考例１と同様の構成を有する毛髪保持具を製造した。前述したように、一面シートは、毛髪保持具の巻回時に内側に位置するシートであり、他面シートは、巻回時に外側に位置するシートである。形状記憶シートとして、ポリエステル不織布（商品名「スマッシュ」、旭化成社製）を用いた。斯かるシートを２枚貼り合わせて縫合した後、これをロール状に賦形し、毛髪保持具を製造した。この毛髪保持具は、自然状態において、筒状体がロール状の巻回状態であった。スリットは、幅５０ｍｍとし、筒状体の長手方向に２０本のスリットを等間隔で形成した。実施例５～９、及び比較例２における各縫い目の長さ及び縫い目のピッチを下記表１に示す。

　実施例１～５及び比較例１における各毛髪保持具の性能評価として、作業性、巻回状態の毛髪保持具の外観性、及び毛髪束のカール形状の仕上がりを評価した。各評価は、３名のパネラーが下記評価基準に基づいて行い、評価点の平均値を算出することで行った。評価結果を下記表１に示す。各評価の方法は以下のとおりである。

〔作業性の評価〕
　巻き上げた毛髪保持具の巻き径を調整する作業性について評価した。評価基準は以下のとおりである。
　３点：巻回状態の筒状体に歪がほとんど生じず、巻き径の調整がし易い。
　２点：巻回状態の筒状体に歪が生じ、巻き径の調整がややし難い。
　１点：巻回状態の筒状体に歪とともに、皺が生じ、巻き径の調整が困難である。
　本評価における歪は、パネラーが目視で確認できるサイズの歪である。

〔巻回状態の毛髪保持具の外観性の評価〕
　毛髪保持具を筒状体の外径が２６ｍｍになるように巻回し、巻回状態の毛髪保持具をその側面から観察して、該毛髪保持具の外観を評価した。巻回状態の毛髪保持具を側面視すると、通常、筒状体を構成するシートが複数の巻回部分を形成して渦巻き状となっている。評価基準は以下のとおりである。
　３点：歪が生じず、隣り合う巻回部分どうしの間に隙間がほとんど生じていない。
　２点：５個以下の歪が生じており、隣り合う巻回部分どうしの間の一部に５ｍｍ未満の隙間が生じている。
　１点：６個以上の歪が生じており、隣り合う巻回部分どうしの間の一部に５ｍｍ以上の隙間が生じている。
　本評価における歪は、巻回状態の毛髪保持具の径方向の長さが１．５ｍｍ以上の歪である。

〔毛髪束のカール形状の仕上がりの評価〕
　化学的処理履歴の無いアジア人の毛髪を用いて、毛髪をまっすぐに伸ばした状態の長さが２０ｃｍ、重さが約２０ｇの毛髪束を作製した。この毛髪束を毛髪保持具の筒状体に挿入し、毛髪束とともに筒状体を巻き上げた。次いで、毛髪保持具のスリットからパーマ液（商品名「トップフォーム　ケアウェーブＨ-ＴＧ」、花王サロンジャパン社製）の１剤を５ｇ供給し、毛髪束の全体にパーマ液を行き渡らせた。その後、毛髪保持具を毛髪束を保持したまま１５分間静置した。その後、流水で充分に第１剤を洗い流した。次いで、パーマ液（商品名「トップフォーム　ケアウェーブＨ-ＴＧ」、花王サロンジャパン社製）の２剤を５ｇ供給し、毛髪束の全体にパーマ液を行き渡らせた。その後、毛髪保持具を毛髪束を保持したまま１５分間静置した。毛髪束を毛髪保持具から抜き取り、流水で充分に第２剤を洗い流した。リンス（商品名「メリット」、花王社製）で処理して流水で充分に洗い流した。毛髪束をタオルドライの後、室温２５℃にて２４時間自然乾燥させた。このようにして、毛髪束にカール形状を付与した。次いで、毛髪束のカール形状の仕上がりを評価した。評価基準は以下のとおりである。
　３点：毛髪束にカール形状がしっかりと付与されており、仕上がりが良好である。
　２点：毛髪束にカール形状が概ね付与されている。
　１点：毛髪束に意図しないうねり形状が付与されており、仕上がりが不十分である。

　表１から明らかなように、実施例１～５では、比較例１に比して、巻き径を調整する作業性、巻回状態の毛髪保持具の外観性、及び毛髪束のカール形状の仕上がりに優れる結果となった。これは、他面シートの縫合部における縫い目の長さを、一面シートの縫合部における縫い目の長さよりも長くすることにより、巻回状態の筒状体に歪が生じ難くなったことが影響していると考えられる。表１の結果より、他面シートの縫合部における縫い目の長さを２．０ｍｍ以上４．０ｍｍ以下であると、巻回状態の毛髪保持具の外観性、及び毛髪束に付与されるカール形状の仕上がりに有効であることが示された。

〔実施例６～１５〕
　一面シートの縫合部の縫い目の長さ及び縫い目のピッチを変更し、一対の縫合部それぞれに補強材を配置した以外は、実施例１と同様の構成を有する毛髪保持具を製造した。補強材には、樹脂フィルム（商品名「ルミラーＳ１０＃１８８」、東レ株式会社製）を長さ２５０ｍｍ、幅８ｍｍに切り出したものを用いた。筒状体の他面シートの外面に配置した状態で縫合して、筒状体と一体化させた。毛髪保持具は、自然状態において筒状体がロール状の巻回状態であった。その筒状体の外径を下記表２に示す。また、実施例６～１５における一面シートの縫い目の長さ及び縫い目のピッチを下記表２に示す。

　実施例６～１５における各毛髪保持具の性能評価として、補強材と筒状体との接合状態、該接合状態の耐久性、及び毛髪束のカール形状の仕上がりを評価した。各評価は、３名のパネラーが下記評価基準に基づいて行い、評価点の平均値を算出することで行った。評価結果を下記表２に示す。各評価の方法は以下のとおりである。〔毛髪束のカール形状の仕上がり〕の評価は、実施例６～１５における毛髪保持具の性能評価と同様の方法により行った。

〔補強材と筒状体との接合状態〕
　毛髪保持具を引き伸ばした状態にして、補強材と筒状体との接合状態を観察し、以下の評価基準で評価した。
　３点：補強材と他面シートとの間の隙間が１ｍｍ未満である。
　２点：補強材と他面シートとの間の隙間が２ｍｍ未満である。
　１点：補強材と他面シートとの間の隙間が２ｍｍ以上である。

〔補強材と筒状体との接合状態の耐久性〕
　毛髪保持具を引き伸ばした状態に維持しつつ、毛髪束を特開２００９－１９５７４６に記載の毛髪挿入具を用いて筒状体へ挿入し、該毛髪束を引き抜く操作を１００回繰り返した。その後、補強材と筒状体との接合状態を観察し、以下の評価基準で評価した。毛髪束は、前述した〔毛髪束のカール形状の仕上がりの評価〕で用いた毛髪束と同じものを用いた。
　３点：補強材と他面シートとの間の隙間が１ｍｍ未満である。
　２点：補強材と他面シートとの間の隙間が２ｍｍ未満である。
　１点：補強材と他面シートとの間の隙間が２ｍｍ以上である。

　表２から明らかなように、実施例６～１５は、補強材と他面シートとの間の隙間は２ｍｍ未満であり、補強材と筒状体との接合状態及びその耐久性に優れる結果となった。また、実施例１～５と同様に、毛髪束のカール形状の仕上がりに優れる結果となった。補強材と他面シートとの間の隙間が２ｍｍ以上になると、縫合部の糸が解れ、補強材が他面シートから剥離する虞がある。表２の結果より、巻回状態の筒状体の外径に対する一面シートの縫合部における縫い目の長さが１５％以下であると、補強材と筒状体との接合状態、及び毛髪束に付与されるカール形状の仕上げに有効であることが示された。

　本発明によれば、繰り返し使用に対し優れた耐久性と、高い巻き上げ力とを有する毛髪保持具が提供される。

Claims

　一端の開口部から他端の開口部に向けて毛髪束を挿通可能に構成された筒状体を備え、該筒状体は長手方向及び該長手方向に直交する幅方向を有する毛髪保持具であって、
　前記筒状体は、２枚以上のシートが縫合により一体化された一対の縫合部、及び該一対の縫合部間に位置する前記毛髪束が挿入される筒状部を有しており、
　前記一対の縫合部はそれぞれ、前記筒状体の長手方向に沿って延びており、該縫合部は縫い目が前記筒状体の前記幅方向に幅を有して配列されている配列域を備え、
　前記２枚以上のシートには、前記筒状部を構成するシートが含まれており、該筒状部を構成するシートのうちの一部又は全てのシートが形状記憶シートからなり、
　前記筒状体の巻き上げ時に外側に位置するシートが、内側に位置するシートに比して、前記縫合部における縫い目の長さが長い、毛髪保持具。
　一端の開口部から他端の開口部に向けて毛髪束を挿通可能に構成された筒状体を備え、該筒状体は長手方向及び該長手方向に直交する幅方向を有する毛髪保持具であって、
　前記筒状体は、２枚以上のシートが縫合により一体化された一対の縫合部、及び該一対の縫合部間に位置する前記毛髪束が挿入される筒状部を有しており、
　前記一対の縫合部はそれぞれ、前記筒状体の長手方向に沿って延びており、該縫合部は縫い目が前記筒状体の前記幅方向に幅を有して配列されている配列域を備え、
　前記２枚以上のシートには、前記筒状部を構成するシートと、前記一対の縫合部それぞれに配された補強材とが含まれており、前記筒状部を構成するシートが不織布であり、前記補強材が樹脂フィルムであり、
　前記筒状部を構成するシートのうちの一部又は全てのシートが形状記憶シートからなる、毛髪保持具。
　前記補強材は、ポリエステルフィルムからなり、且つ厚みが０．１０ｍｍ以上、０．４０ｍ以下である、請求項２に記載の毛髪保持具。
　前記補強材は、巻き上げ時に外側に位置するシートの外面に配されている、請求項２又は３に記載の毛髪保持具。
　前記一対の縫合部はそれぞれ、前記配列域として、縫い目が直線状で配列されている直線縫い部を複数本備える域を備える、請求項１～４の何れか１項に記載の毛髪保持具。
　前記縫い目が、前記筒状体の長手方向に平行である、請求項５に記載の毛髪保持具。
　前記一対の縫合部はそれぞれ、前記配列域に、２本以上の前記直線縫い部が並んで形成されている、請求項５又は６に記載の毛髪保持具。
　前記一対の縫合部はそれぞれ、前記配列域として、前記筒状体の長手方向に沿う方向とは異なる縫い方向の縫い目が配列されている屈曲縫い部を備える域を備える、請求項１～４の何れか１項に記載の毛髪保持具。
　前記屈曲縫い部は、前記縫い方向が前記長手方向に対して傾斜する縫い目、前記縫い方向が前記幅方向に平行である縫い目、又はこれら縫い目の組み合わせを有する、請求項８に記載の毛髪保持具。
　前記筒状体の前記幅方向における前記配列域の長さは、前記筒状体の前記幅方向の長さに対して３％以上１０％以下である、請求項１～９の何れか１項に記載の毛髪保持具。
　前記筒状体は、前記２枚以上のシートの両側縁部どうしが前記一対の縫合部によって一体化されている、請求項１～１０の何れか１項に記載の毛髪保持具。
　前記２枚以上のシートは、前記縫合部において互いに接合されており、該縫合部以外の部分において互いに接合されていない、請求項１～１１の何れか１項に記載の毛髪保持具。
　前記縫合部は、該縫合部の長手方向の少なくとも一端側に返し縫い部を有している、請求項１～１２の何れか１項に記載の毛髪保持具。
　前記２枚以上のシートのうちの何れか１枚以上は、前記筒状体の長手方向より延出した延設部を有し、該延設部における前記縫合部の延長線上に延長縫い部を有し、該延長縫い部の全体又は一部が返し縫い部である、請求項１～１３の何れか１項に記載の毛髪保持具。
　前記縫合部を形成する縫製糸の色は、前記筒状体の外面を構成する２枚のシートの何れか一方の両側縁部の色と異なる、請求項１～１４の何れか１項に記載の毛髪保持具。
前記縫製糸の色と、前記筒状体の外面を構成する２枚のシートの何れか一方の両側縁部の色とが、オストワルト（Ｏｓｔｗａｌｄ）色相環によって分類された２４色の色票で、色相番号が１つ以上ずれた範囲のものである、請求項１５に記載の毛髪保持具。
　前記縫合部を形成する縫製糸は、耐熱温度が１００℃以上６００℃以下である、請求項１～１６の何れか１項に記載の毛髪保持具。