WO2019130980A1

WO2019130980A1 - 切断機

Info

Publication number: WO2019130980A1
Application number: PCT/JP2018/044198
Authority: WO
Inventors: 祐一豊嶋; 智知岩田; 健熊倉
Original assignee: 工機ホールディングス株式会社
Priority date: 2017-12-28
Filing date: 2018-11-30
Publication date: 2019-07-04

Abstract

歯飛びを抑制し、安定した回転伝達が可能な切断機を提供する。伝達機構部（６０）は、径方向に突出する歯部（６０５Ｃ）を有する第３プーリ（６０５）と、径方向に突出する歯部（６０７Ｃ）を有する第４プーリ（６０７）と、第３プーリ（６０５）及び第４プーリ（６０７）間に張架され歯部（６０５Ｃ）及び（６０７Ｃ）と係合する歯部を有する無端状の第２ベルト（６０８）と、を有し、前記歯部と前記係合部とが係合することにより前記回転軸の回転力を前記出力軸へ伝達可能に構成され、ハウジング（６Ａ）は、前記第３プーリ（６０５）及び第４プーリ（６０７）の径方向外方に位置する壁部を有し、第３プーリ（６０５）及び第４プーリ（６０７）の径方向において、歯部（６０５Ｃ）及び（６０７Ｃ）の歯先円と壁部の内面との間の距離は、第２ベルト（６０８）の駆動時における軌跡の幅よりも小さい。

Description

切断機

本発明は切断機に関する。

従来から、木材やパイプ等（被切断材）を切断する切断機の一例として卓上切断機が広く用いられている。

例えば、特許文献１に記載されている卓上切断機では、モータ軸に取付けられた第１プーリと、中間回転軸に取付けられた第２プーリと、第１プーリ及び第２プーリ間に張架された第１ベルトとからなる１段目の伝達機構により、モータ軸の回転が中間回転軸に伝達される。そして、中間回転軸に取付けられた第３プーリと、鋸刃軸に取付けられた第４プーリと、第３プーリ及び第４プーリ間に張架された第２ベルトとからなる２段目の伝達機構により中間回転軸の回転が鋸刃軸に伝達され、鋸刃軸に装着された鋸刃が回転する。このように、ギヤを用いることなくモータの回転を減速して鋸刃に伝達可能であるため、ギヤの噛合による騒音が発生しないという利点があった。

特開２０１０－２７４３９２号公報

上記のような切断機において、伝達性能を向上するために第２ベルトにタイミングベルトを用いることがあるが、製造時又は駆動時において、ベルトとプーリとがうまく噛み合わず、安定して回転伝達をすることができなくなってしまう可能性があった。

そこで本発明は、安定した回転伝達が可能な切断機を提供することを目的とする。

上記課題を解決するために本発明は、ハウジングと、前記ハウジングに支持され回転駆動する回転軸を有するモータと、前記ハウジングに支持され切断刃を装着可能な出力軸と、前記ハウジングに支持され前記回転軸の回転力を前記出力軸へ伝達可能な伝達機構部と、を有し、前記伝達機構部は、径方向に突出する歯部を有する第１回転部材と、径方向に突出する歯部を有する第２回転部材と、前記第１回転部材及び前記第２回転部材間に張架され前記歯部と係合する係合部を有する無端状の第１ベルトと、を有し、前記歯部と前記係合部とが係合することにより前記回転軸の回転力を前記出力軸へ伝達可能に構成され、前記ハウジングは、前記第１回転部材及び第２回転部材の少なくともいずれか一方の径方向外方に位置する壁部を有し、前記少なくともいずれか一方の回転部材の径方向において、前記歯部の歯先円と前記壁部の内面との間の距離は、前記第１ベルトの駆動時における軌跡の幅よりも小さいことを特徴とする切断機を提供している。

上記によれば、回転部材の径方向において、回転部材の歯部と壁部の内面との間の距離は、第１ベルトの駆動時における軌跡の幅よりも小さく構成されている。言い換えると、回転部材の径方向において、回転部材の歯部と壁部の内面との間の距離は、第１ベルトの外周面と第１ベルトの係合部の先端面との間の距離よりも小さく構成されている。これによれば、回転部材の回転方向において、第１ベルトの歯部が回転部材に対して歯飛びすることが抑制され、回転の伝達効率の低下が抑制される。また、ベルトの破損を抑制することができ、工具の耐久性を向上させることが可能となる。

上記構成において、前記ハウジングは、前記少なくともいずれか一方の回転部材の軸方向において、前記少なくともいずれか一方の回転部材の歯部の側面及び前記第１ベルトの係合部の側面と平行な側壁部を、さらに有することが好ましい。

このような構成によれば、第１ベルトに回転部材の軸方向に向かう力が働いた場合においても、側壁部が第１ベルトの軸方向への移動を規制するため、回転の伝達効率の低下が抑制される。また、ベルトの破損が抑制することができ、工具の耐久性が向上させることが可能となる。

また、前記ハウジングは、前記モータを収容するモータハウジングと、前記壁部及び前記側壁部を有するギヤハウジングと、を有することが好ましい。

このような構成によれば、ギヤハウジングを加工することにより、壁部を設けるために新たな部品を追加することなく、簡易な構成で、回転の伝達効率の低下が抑制させることが可能となる。

また、前記壁部は、前記第１回転部材の軸心と前記第２回転部材の軸心とを結ぶ仮想直線の延長線上の位置と、前記少なくともいずれか一方の回転部材と前記第１ベルトとが駆動時において噛み合い始める部分と対向する位置とに設けられていることが好ましい。

このような構成によれば、最も張力の大きくなる第１回転部材の軸心と第２回転部材の軸心とを結ぶ仮想直線の延長線上の位置と、回転部材と第１ベルトが噛み合い始める部分とに対向する位置に壁部が設けられているため、好適に歯飛びを抑制することが可能となる。

また、前記壁部は、前記いずれか一方の回転部材と前記第１ベルトの噛み合う部分全域と対向するように設けられていることが好ましい。

このような構成によれば、壁部が回転部材と第１ベルトの噛み合う部分全域に設けられているため、好適に歯飛びを抑制することが可能となる。

また前記伝達機構部は、前記回転力の伝達経路上において前記回転軸と前記出力軸との間に位置し前記回転軸の回転に伴い従動回転する中間軸と、前記回転軸に設けられ前記回転軸と一体回転する第３回転部材と、前記中間軸に設けられ前記中間軸と一体回転し前記第３回転部材よりも大径に形成される第４回転部材と、前記第３回転部材及び前記第４回転部材間に張架される無端状の第２ベルトと、をさらに有し、前記第１回転部材は、前記中間軸に設けられ、前記第４回転部材よりも小径に形成され、前記第２回転部材は、前記出力軸に設けられ、前記第１回転部材よりも大径に形成されることが好ましい。

このような構成によれば、好適にモータの回転軸の回転を減速して出力軸に伝達することが可能となる。

また、前記第２ベルトは、Ｖベルトであり、前記第３回転部材及び前記第４回転部材は、Ｖプーリであることが好ましい。

このような構成によれば、切断刃において規定外の高負荷が生じた場合も、ＶベルトがＶプーリの外周を滑ることにより、回転を伝達する各部品の破損が抑制される。これにより、工具の耐久性が向上される。

また、前記第１ベルトは、タイミングベルトであり、前記第１回転部材及び前記第２回転部材は、タイミングプーリであることが好ましい。

このような構成によれば、切断刃において高負荷が生じた場合も、ガタツキ等の発生が抑制されるので、高精度に中間軸を支承可能となり、効率的で安定した切断作業の実施が可能となる。また、タイミングベルト及びタイミングプーリを使用することにより、回転の伝達効率の低下が抑制されるとともに、ベルトの破損が抑制されるので、工具の耐久性が向上される。

また、前記第１ベルトの張力を調整可能なテンション調整機構を、さらに有することが好ましい。

このような構成によれば、第１ベルトの張力を調整可能なベルトテンション調整機構を有しているため、ベルトのテンションを調整することによって、動力伝達を好適に行うことが可能となる。

また、前記テンション調整機構は、前記第１ベルトの張架面に直交する方向に移動することで前記第１ベルトの外周を押圧するベルト押圧部を有し、前記ベルト押圧部の移動量を調整することで張力を調整可能であることが好ましい。

このような構成によれば、ベルト押圧部がベルトの外周を押圧することで張力を調整可能であるため、簡易な構成で、動力伝達を好適に行うことが可能となる。

また、被加工材を載置可能な載置面を有するベースと、前記切断刃を回転可能に支持する切断部と、前記切断部を前記ベースに対して、前記切断刃の側面と直交する揺動軸心を中心に、前記切断部を前記ベースに対して近接する位置と離間する位置とに揺動可能に支持する揺動部と、をさらに有することが好ましい。

このような構成によれば、切断刃の側面と直交する揺動軸心を中心に、切断部をベースに対して近接する位置と離間する位置とに揺動可能に支持する揺動部を有する卓上切断機において、第１ベルトの歯部が回転部材に対して歯飛びすることが抑制され、回転の伝達効率の低下が抑制される。また、ベルトの破損を抑制することができ、工具の耐久性を向上させることが可能となる。

本発明はさらに、ハウジングと、前記ハウジングに支持され回転駆動する回転軸を有するモータと、前記ハウジングに支持され切断刃を装着可能な出力軸と、前記ハウジングに支持され前記回転軸の回転力を前記出力軸へ伝達可能な伝達機構部と、を有し、前記伝達機構部は、径方向に突出する歯部を有する第１回転部材と、径方向に突出する歯部を有する第２回転部材と、前記第１回転部材及び前記第２回転部材間に張架され前記歯部と係合する係合部を有する無端状の第１ベルトと、を有し、前記歯部と前記係合部とが係合することにより前記回転軸の回転力を前記出力軸へ伝達可能に構成され、前記ハウジングは、前記第１回転部材及び第２回転部材の少なくともいずれか一方の径方向外方に位置する壁部を有し、前記ハウジングは、前記少なくともいずれか一方の回転部材の軸方向において、前記少なくともいずれか一方の回転部材の歯部の側面及び前記第１ベルトの係合部の側面と平行な側壁部を、さらに有することを特徴とする切断機を提供している。

上記の構成によれば、第１ベルトに回転部材の軸方向に向かう力が働いた場合においても、側壁部が第１ベルトの軸方向への移動を規制するため、回転の伝達効率の低下が抑制される。また、ベルトの破損を抑制することができ、工具の耐久性を向上させることが可能となる。

本発明の切断機によれば、安定した回転伝達が可能となる。

本発明の第１の実施の形態にかかる卓上丸鋸の外観を示す右側面図である。本発明の第１の実施の形態にかかる卓上丸鋸の外観を示す左側面図である。本発明の第１の実施の形態にかかる卓上丸鋸の外観を示す正面図である。図１のＩＶ－ＩＶ線断面図である。図４の部分拡大図である。（ａ）は図３のＶＩ－ＶＩ線断面図であり、（ｂ）は第２ベルトの歯部と第４プーリの歯部との噛み合い部分の部分拡大図である。本発明の第１の実施の形態にかかる卓上丸鋸のギヤハウジングの組立工程を示す図であり、（ａ）には第２ベルトの歯部と第４プーリの歯部とを係合させる態様が示され、（ｂ）には組立が完了した状態が示されている。本発明の実施の形態にかかる卓上丸鋸の駆動時における効果を示す図であり、（ａ）には非駆動時の状態が示され、（ｂ）には駆動時の状態が示されている。本発明の第２の実施の形態にかかる卓上丸鋸の切断部の断面図である。本発明の第２の実施の形態にかかる卓上丸鋸の切断部の断面図であり、（ａ）には第２ベルトにテンションが掛かっていない状態が示され、（ｂ）にはベルトテンション調整機構の押圧部によって第２ベルトの外周面が押圧され、第２ベルトにテンションが掛けられた状態が示されている。従来の卓上丸鋸の切断部の下部の断面図である。従来の卓上丸鋸の組立時に発生する問題点を説明する図であり、（ａ）には第２ベルトの歯部と第３プーリの歯部とを係合させる態様が示され、（ｂ）には組立が完了した状態が示されている。従来の卓上丸鋸の駆動時に発生する問題点を説明する図であり、（ａ）には非駆動時の状態が示され、（ｂ）には駆動時の状態が示されている。

本発明の実施の形態にかかる電動工具の一例である卓上丸鋸１について、図１乃至８を参照しながら説明する。卓上丸鋸１は、木材やアルミサッシ等（被切断材）を切断するための電動式の電動工具であり、図１乃至３に示されているように、ベース部２と、ホルダ３と、ガイド部４と、移動部５と、切断刃Ｐを回転可能に支持する切断部６とを有している。

以下の説明において、図１に示されている「上」を上方向、「下」を下方向、「前」を前方向、「後」を後方向と定義する。また、図１において紙面から手前に向かう方向を右方向、紙面から奥に向かう方向を左方向と定義する。本明細書において寸法、数値等について言及した場合には、当該寸法及び寸法等と完全に一致する寸法及び数値だけでなく、略一致する寸法及び数値等（例えば製造誤差の範囲内である場合）を含むものとする。「同一」、「直交」、「平行」、「一致」、「面一」、「一定」等についても同様に「略同一」、「略直交」、「略平行」、「略一致」、「略面一」、「略一定」等を含むものとする。なお、以下においては、特に言及しない限り、切断刃Ｐがベース部２の載置面２Ａに対して傾動及び揺動していない状態（図１乃至図３に示されている状態）を基準に説明する。

図１乃至図３に示されているように、ベース部２は、ベース２１、ターンテーブル２２及びフェンス２３を有している。

ベース２１は、金属製であり、床面等に載置可能な部分である。ターンテーブル２２は、金属製であり、上面に直交する図示せぬ回動軸を介してベース２１と接続され、その上面がベース２１の上面と略面一となるように配置されている。ベース２１の上面とターンテーブル２２の上面とによって被切断材（被加工材）を載置可能な載置面２Ａが規定されている。ベース２１及びターンテーブル２２には、切断作業時に切断部６が下降した際に、切断刃Ｐの進入を許容する図示せぬ溝部が形成されている。ベース２１は、本発明における「ベース」の一例であり、載置面２Ａは、本発明における「載置面」の一例である。

フェンス２３は、ベース２１に設けられ、図３に示されているように、右フェンス２３Ａと左フェンス２３Ｂとを有している。右フェンス２３Ａ及び左フェンス２３Ｂは、載置面２Ａに略直交する押さえ面２３ａを有している。被切断材を切断加工する際には、フェンス２３の押さえ面２３ａに被切断材の一面を当接させることにより、安定した切断加工を行うことが可能となる。

図１乃至図３に示されているように、ターンテーブル２２の前部には、操作部２４が設けられている。操作部２４は、ターンテーブル２２の回動操作及び回動位置固定操作を行う際に、ユーザが操作する部分である。また、図３に示されているように、ターンテーブル２２の後部には、傾動軸２５及び突出部２６が設けられている。傾動軸２５は、切断刃Ｐの側面と平行に前後方向に延び且つその中心軸がターンテーブル２２の上面と一致するように設けられている。突出部２６は、ベース２１の後部から上方に突出しており、傾動軸２５の中心軸を中心として円弧上の長穴２６ａが形成されている。

図１及び図２に示されているように、ホルダ３は、ベース２１と切断部６との間に設けられている。ホルダ３は、ターンテーブル２２の後部において上方に立設しており、その下部が傾動軸２５を中心として傾動可能に支持されている。これにより、ホルダ３は、ターンテーブル２２に対して左右方向に傾動可能である。ホルダ３には長穴２６ａと一致する位置に図示せぬ螺合孔が形成されており、この螺合孔にはクランプレバー３１が螺合する。

図２に示されているように、ガイド部４は、ホルダ３に固定され、第１ロッド４１、第２ロッド４２及び連結部材４３を有している。第１ロッド４１及び第２ロッド４２は、パイプ材等の高剛性材料によって形成されている。第１ロッド４１は、ベース部２の載置面２Ａに平行且つ切断刃Ｐの回転軸心に直交する方向（前後方向）に延びている。第２ロッド４２は、第１ロッド４１に平行に延び、第１ロッド４１よりも下側に位置している。第１ロッド４１及び第２ロッド４２は、互いに同一の長さであるとともに、ターンテーブル２２の長手方向（前後方向）よりも短い。第１ロッド４１及び第２ロッド４２は、ホルダ３のターンテーブル２２に対する左右方向の傾動によって、ホルダ３とともに左右方向に傾動する。

移動部５は、切断部６をベース部２方向及び反ベース部２方向に回動可能に支持すると共に、ガイド部４に対して前後方向に摺動自在に支持されている。移動部５は、図２に示されているように、スライド部５１及び切断部支持部５２を有している。

スライド部５１は、第１ロッド４１及び第２ロッド４２に跨るように設けられている。スライド部５１には、第１ロッド４１及び第２ロッド４２が挿通され、これにより、スライド部５１は、ホルダ３と連結部材４３との間を第１ロッド４１及び第２ロッド４２上を摺動するように構成されている。切断部支持部５２は、スライド部５１に支持されている。切断部支持部５２には、図１及び図２に示されているように、第１ロッド４１及び第２ロッド４２の軸方向（前後方向）と直交する方向（左右方向）に延びる回動軸５２Ａが固定されている。切断部支持部５２は、回動軸５２Ａを中心としてベース部２方向及び反ベース部２方向に回動可能に切断部６を支持している。言い換えると、切断部支持部５２は、切断部６をベース２１に対して、切断刃Ｐの側面と直交する回動軸５２Ａを中心に、切断部６をベース２１に対して近接する位置と離間する位置とに揺動可能に支持している。切断部支持部５２は、本発明における「揺動部」の一例であり、回動軸５２Ａは、本発明における「揺動軸心」の一例である。

図４に示されているように、切断部６は、モータ６７、伝達機構部６０を含んで構成され、ハウジング６Ａによってその一部を覆われている。ハウジング６Ａは、本発明における「ハウジング」の一例である。

図１乃至図４に示されているように、切断部６のハウジング６Ａは、ソーカバー６１、保護カバー６２、モータハウジング６３、ギヤケース６４及びギヤカバー６５を含んで構成されている。

図１に示されているように、ソーカバー６１は、切断刃Ｐの一部外周を覆っている。保護カバー６２は、ソーカバー６１内に収容可能であり、ソーカバー６１より突出する部分の切断刃Ｐの外周を覆うようにソーカバー６１に回動可能に設けられている。

保護カバー６２は、図１に示されているように、切断部６が上方に回動している状態では、ソーカバー６１より突出する部分の切断刃Ｐの外周を覆う位置に回動し、切断部６が下方に回動している状態（不図示）では、図示せぬリンク機構によってソーカバー６１内に収容され、ソーカバー６１より突出する部分の切断刃Ｐの外周を露出させる位置に回動する。

モータハウジング６３は、左右方向に延びる略円筒形状をなし、その右側面には、図１に示されているように、スリット形状の吸気口６３ａが形成されている。モータハウジング６３には、ハンドル部６６が一体的に設けられている。ハンドル部６６は、側面視略コ字状をなしている。ハンドル部６６には、モータハウジング６３内に収容されるモータ６７の駆動を制御するスイッチ６６Ａが設けられている。モータハウジング６３は、本発明における「モータハウジング」の一例である。

図４に示されているように、ギヤケース６４は、モータハウジング６３の左側開口部に連結し、切断刃Ｐと平行な方向に延びる壁部を有している。ギヤケース６４には、ベアリング支持部６８がボルト等の固定具によって着脱可能に固定されている。

ギヤカバー６５は、ギヤケース６４の下部の右側開口部と連結し、切断刃Ｐと平行に延びる壁部を有している。ギヤケース６４及びギヤカバー６５は、本発明における「ギヤハウジング」の一例である。

なお、ギヤケース６４及びギヤカバー６５の詳細な構成については、後述する。

図４に示されているように、モータ６７は、モータハウジング６３の内部に収容され、モータ本体６７Ａ、回転駆動するモータ軸６７Ｂ、ファン６７Ｃ及びコミュテータ６７Ｄを有している。モータ軸６７Ｂは、略円柱形状をなし、モータ本体６７Ａの左右方向に延びるように配置されている。モータ軸６７Ｂは、ベアリング６７ａを介してモータハウジング６３に回転可能に支承されている。モータ軸６７Ｂの左端部は、ギヤケース６４の外側（左側）に突出している。モータ軸６７Ｂの左端部は、ベアリング６７ｂを介してギヤケース６４に回転可能に支承されている。モータ６７は、本発明における「モータ」の一例であり、モータ軸６７Ｂは、本発明における「回転軸」の一例である。

ファン６７Ｃは、モータ本体６７Ａの左側において、モータ軸６７Ｂに固定されている。ファン６７Ｃは、モータ軸６７Ｂと一体に回転し、モータハウジング６３の吸気口６３ａから外気を吸入し、ギヤケース６４に形成されている排気口（不図示）から排気することによって、モータ本体６７Ａやコミュテータ６７Ｄ等を冷却する。

伝達機構部６０は、２段ベルト方式でモータ６７の回転を切断刃Ｐに伝達する部分であり、図４に示されているように、第１プーリ６０１、中間軸６０２、第２プーリ６０３、第１ベルト６０４、第３プーリ６０５、スピンドル６０６、第４プーリ６０７及び第２ベルト６０８を備えている。このうち、第１プーリ６０１、第２プーリ６０３及び第１ベルト６０４が、１段目の伝達機構を構成し、第３プーリ６０５、第４プーリ６０７及び第２ベルト６０８が、２段目の伝達機構を構成している。また、２段目の伝達機構（第３プーリ６０５、第４プーリ６０７及び第２ベルト６０８）は、ギヤケース６４の左側面及びギヤカバー６５の内面によって画成された空間内に収容されている。伝達機構部６０は、本発明における「伝達機構部」の一例である。

第１プーリ６０１は、Ｖプーリであり、外周面に周方向に延びる溝が形成されている。第１プーリ６０１は、ギヤケース６４の外側（左側）において、モータ軸６７Ｂの左端部に固定され、モータ軸６７Ｂと一体に回転可能である。第１プーリ６０１は、本発明における「第３回転部材」の一例である。

中間軸６０２は、モータ軸６７Ｂの回転力の伝達経路上においてモータ軸６７Ｂとスピンドル６０６との間に位置している。言い換えると、中間軸６０２は、回転力の伝達経路上においてモータ軸６７Ｂとスピンドル６０６との間に位置しモータ軸６７Ｂの回転に伴い従動回転する。中間軸６０２は、略円柱形状をなし、モータ軸６７Ｂに平行に左右方向に延びるように配置されている。中間軸６０２は、ベアリング７０ａ及びベアリング７０ｂを介してギヤケース６４に回転可能に支承されている。つまり、中間軸６０２は、２つの軸受によって回転可能に軸支されている。ベアリング７０ａは、ベアリング支持部６８を介してギヤケース６４に支持されている。ベアリング支持部６８がギヤケース６４に対して着脱可能に構成されているため、ベアリング７０ａとベアリング７０ｂとの間に配置された伝達機構部６０の一部を変更したとしても、ベアリング支持部６８の形状を変更して容易に対応可能となる。中間軸６０２は、本発明における「中間軸」の一例である。

第２プーリ６０３は、Ｖプーリであり、左右方向に延びる略円筒形状をなし、外周面に周方向に延びる溝が形成されている。第２プーリ６０３の外径は、第１プーリ６０１の外径よりも大きい。言い換えると、第２プーリ６０３は、第１プーリ６０１よりも大径に形成されている。第２プーリ６０３には、中間軸６０２の左端部が固定され、中間軸６０２と一体に回転可能である。第２プーリ６０３は、本発明における「第４回転部材」の一例である。

第１ベルト６０４は、無端状に形成された樹脂製のエンドレスベルトであり、内周面に長尺方向に延びる溝が形成されたＶベルトである。第１ベルト６０４は、その上部を第１プーリ６０１の外周に架け渡され、１よりも大きな伸張率でテンションをかけた状態で、その下部を第２プーリ６０３の外周に架け渡されることによって第１プーリ６０１及び第２プーリ６０３間に張架されている。第１ベルト６０４は、その内周面と第１プーリ６０１及び第２プーリ６０３の外周面との間に生じる摩擦力により、第１プーリ６０１及び第２プーリ６０３と共に回転を行う。第１プーリ６０１及び第２プーリ６０３がＶプーリであり、第１ベルト６０４がＶベルトであるため、切断刃Ｐにおいて規定外の高負荷が生じた場合においてもＶベルトがＶプーリの外周を滑ることにより、回転を伝達する各部品の破損が抑制される。第１ベルト６０４は、本発明における「第２ベルト」の一例である。

第３プーリ６０５は、タイミングプーリであり、左右方向に延びる略円筒形状をなし、外周面に歯車形状の凹凸が形成されている。第３プーリ６０５の外径は、第２プーリ６０３の外径よりも小さい。言い換えると、第３プーリ６０５は、第２プーリ６０３よりも小径に形成されている。第３プーリ６０５は、中間軸６０２の中央部よりも右側に圧入により固定され、中間軸６０２と一体に回転可能である。第３プーリ６０５は、本発明における「第１回転部材」の一例である。

スピンドル６０６は、略円柱形状をなし、モータ軸６７Ｂ及び中間軸６０２に平行に左右方向に延びるように配置されている。スピンドル６０６は、ベアリング７１ａを介してギヤケース６４に回転可能に支承されるとともに、ベアリング７１ｂを介してギヤカバー６５に回転可能に支承される。スピンドル６０６の右端部には、切断刃Ｐを装着するためのボルト等の締結具を有する装着部６０６Ａが設けられている。装着部６０６Ａは、ギヤカバー６５の外側（右側）に突出している。スピンドル６０６は、本発明における「出力軸」の一例である。

第４プーリ６０７は、タイミングプーリであり、左右方向に延びる略円筒形状をなし、外周面に歯車形状の凹凸が形成されている。第４プーリ６０７の外径は、第３プーリ６０５の外径よりも大きい。言い換えると、第４プーリ６０７は、第３プーリよりも大径に形成されている。第４プーリ６０７は、スピンドル６０６の中央部よりも左側に圧入により固定され、スピンドル６０６と一体に回転可能である。また、第４プーリ６０７の回転軸心に対して偏心した位置には、スピンドル６０６の軸線方向（前後方向）に延び、第４プーリ６０７の後面に開口をなすように挿通穴６０７ａが形成されている。第４プーリ６０７は、本発明における「第２回転部材」の一例である。

第２ベルト６０８は、無端状に形成された樹脂製のエンドレスベルトであり、内周面に歯車形状の凹凸が形成されたタイミングベルトである。第２ベルト６０８は、その上部を第３プーリ６０５の外周に架け渡され、その下部を第４プーリ６０７の外周に架け渡されることによって、第３プーリ６０５及び第４プーリ６０７間に張架される。第２ベルト６０８は、１よりも大きな伸張率でテンションをかけた状態で、第３プーリ６０５及び第４プーリ６０７間に張架される。第２ベルト６０８は、第２ベルト６０８の内周面の凹凸と、第３プーリ６０５及び第４プーリ６０７の外周面の凹凸とが噛み合うことで、第３プーリ６０５の回転が第２ベルト６０８を介して第４プーリ６０７に伝達され、回転する。第３プーリ６０５及び第４プーリ６０７がタイミングプーリであり、第２ベルト６０８がタイミングベルトであるため、切断刃Ｐにおいて高負荷が生じた場合においても、ベルトとプーリが滑ることなく噛み合って回転伝達されるため、効率的で安定した切断作業の実施が可能となる。また、タイミングベルト及びタイミングプーリを使用することにより、回転の伝達効率の低下が抑制されるとともに、ベルトの破損が抑制されるため、工具の耐久性が向上される。

なお、第３プーリ６０５、第４プーリ６０７及び第２ベルト６０８のより詳細な構成については、後述する。

図４に示されているように、伝達機構部６０は、回転規制部７をさらに有している。回転規制部７は、スピンドル６０６の回転を規制可能に構成され、ピン７１と、スプリング７２とを有している。

ピン７１は、スピンドル６０６の軸線方向（前後方向）に延びる略円柱形状に形成され、その右端部がギヤケース６４の挿通孔６４ｃに挿通されている。

スプリング７２は、コイルバネであり、そのコイル部分にピン７１の軸部が挿通されている。スプリング７２の右端部は、ギヤケース６４の側面と当接し、スプリング７２の左端部は、ピン７１に設けられたリング状の部材に当接している。これにより、スプリング７２は、ピン７１をギヤケース６４に対して左方に付勢している。ピン７１は、挿通穴６０７ａに挿通可能に構成されている。

次に、図５及び図６を参照しながら、第３プーリ６０５、第４プーリ６０７、第２ベルト６０８、ギヤケース６４及びギヤカバー６５の詳細な構成について説明する。

図５に示されているように、第３プーリ６０５は、プレート６０５Ａを有している。また、図６に示されているように、第３プーリ６０５は、円筒部６０５Ｂと、歯部６０５Ｃとを有している。

図５に示されているように、プレート６０５Ａは、第３プーリ６０５の左端部に位置し、略円環状をなしている。

円筒部６０５Ｂは、左右方向に延びる円筒形状に形成され、その内周面に中間軸６０２が固定されている。

図６に示されているように、歯部６０５Ｃは、円筒部６０５Ｂの外周面から円筒部６０５Ｂの径方向外方へ突出している。言い換えると、第３プーリ６０５は、その径方向に突出する歯部６０５Ｃを有している。歯部６０５Ｃは、円筒部６０５Ｂの周方向において、所定のピッチで設けられた複数の歯を有している。歯部６０５Ｃの複数の歯の突出端部には、円筒部６０５Ｂの径方向と垂直な歯先面６０５Ｄが規定されている。歯部６０５Ｃは、本発明における「歯部」の一例である。

図５に示されているように、第４プーリ６０７は、プレート６０７Ａを有している。また、図６に示されているように、第４プーリ６０７は、円筒部６０７Ｂと、歯部６０５Ｃとを有している。

図５に示されているように、プレート６０７Ａは、第４プーリ６０７の左端部に位置し、略円環状をなしている。

円筒部６０７Ｂは、左右方向に延びる略円筒形状に形成され、その内周面にスピンドル６０６が固定されている。

図６に示されているように、歯部６０７Ｃは、円筒部６０７Ｂの外周面から円筒部６０７Ｂの径方向外方へ突出している。言い換えると、第４プーリ６０７は、その径方向に突出する歯部６０７Ｃを有している。歯部６０７Ｃは、円筒部６０７Ｂの周方向において、所定のピッチで設けられた複数の歯を有している。歯部６０７Ｃの複数の歯の突出端部には、円筒部６０７Ｂの径方向と垂直な歯先面６０７Ｄが規定されている。歯部６０７Ｃは、本発明における「歯部」の一例である。

図６に示されているように、第２ベルト６０８は、樹脂製の帯部６０８Ａと、樹脂製の歯部６０８Ｂとを有している。

帯部６０８Ａは、左右方向に所定の幅を有している。帯部６０８Ａは、外周面６０８Ｃを有している。

歯部６０８Ｂは、帯部６０８Ａの内周面から帯部６０８Ａの径方向内方へ突出している。歯部６０８Ｂは、帯部６０８Ａの周方向において所定のピッチで設けられ、帯部６０８Ａの幅方向（左右方向）に延びる複数の歯を有している。歯部６０８Ｂの複数の歯のそれぞれの突出端部によって、歯先面６０８Ｄが規定されている。歯部６０８Ｂは、本発明における「係合部」の一例である。

図６に示されているように、第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂの複数の歯と第４プーリ６０７の歯部６０７Ｃの複数の歯とは、係合している。また、第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂの複数の歯と第３プーリ６０５の歯部６０５Ｃの複数の歯とは、係合している（不図示）。本実施の形態においては、歯部６０５Ｃ及び歯部６０７Ｃと歯部６０８Ｂとが係合することによって、モータ６７のモータ軸６７Ｂの回転力をスピンドル６０６に伝達可能に構成されている。

また、本実施の形態においては、図５に示されているように、図中（ｉ）で示されている第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂと第３プーリ６０５の歯部６０５Ｃとの噛み合い部分の左側に、当該噛み合い部分と対向するように、第３プーリ６０５のプレート６０５Ａが位置するように構成されている。これにより、第２ベルト６０８が第３プーリ６０５に対して左方にずれてしまうことが抑制され、回転の伝達効率の低下が抑制される。また、図中（ｉｉ）でしめされている第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂと第４プーリ６０７の歯部６０７Ｃとの噛み合い部分の右側に、当該噛み合い部分と対向するように、第４プーリ６０７のプレート６０７Ａが位置するように構成されている。これにより、第２ベルト６０８が第４プーリ６０７に対して右方にずれてしまうことが抑制され、回転の伝達効率の低下が抑制される。

図５に示されているように、ギヤケース６４は、第１壁部６４Ａと、第２壁部６４Ｂと、第３壁部６４Ｃとを有している。

第１壁部６４Ａは、第３プーリ６０５の径方向外方に位置し、左右方向に延びている。第１壁部６４Ａは、歯飛び規制面６４Ｄを有している。第１壁部６４Ａは、本発明における「壁部」の一例である。

歯飛び規制面６４Ｄは、図６に示されているように、略円弧状をなし、第２ベルト６０８の外周面６０８Ｃと対向している。第３プーリ６０５の径方向において、歯飛び規制面６４Ｄと第３プーリ６０５の歯部６０５Ｃの歯先面６０５Ｄとの間の距離は、第２ベルト６０８の外周面６０８Ｃと歯先面６０８Ｄとの間の距離よりも小さく構成されている。言い換えると、第３プーリ６０５の径方向において、歯部６０５Ｃの歯先円と歯飛び規制面６４Ｄとの間の距離は、第２ベルト６０８の駆動時における軌跡の幅よりも小さく構成されている。このような構成によれば、第２ベルト６０８が外方に膨らむ場合においても、第２ベルト６０８の外周面６０８Ｃと歯飛び規制面６４Ｄとが当接し、第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂと第３プーリ６０５の歯部６０５Ｃとの係合が維持される。これにより、第３プーリ６０５の回転方向において、第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂが第３プーリ６０５の歯部６０５Ｃに対して歯飛びすることが抑制され、回転の伝達効率の低下が抑制される。また、第２ベルト６０８の破損を抑制することができ、卓上丸鋸１の耐久性を向上させることが可能となる。

図５に示されているように、第２壁部６４Ｂは、ギヤケース６４の下端部に位置し、上下方向に延びている。第２壁部６４Ｂは、横ずれ規制面６４Ｅを有している。第２壁部６４Ｂは、本発明における「側壁部」の一例である。

横ずれ規制面６４Ｅは、上下及び前後方向に延びている。横ずれ規制面６４Ｅは、図５に示されているように、図中（ｉｉ）で示されている第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂと第４プーリ６０７の歯部６０７Ｃとの噛み合い部分の左側に位置し、当該噛み合い部分と対向している。言い換えると、横ずれ規制面６４Ｅは、第４プーリ６０７の歯部６０７Ｃの側面及び第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂの側面と対向するように、当該噛み合い部分の側面と平行に延びている。これにより、第２ベルト６０８に第４プーリ６０７の軸方向（左方）に向かう力が働いた場合においても、第２壁部６４Ｂが第２ベルト６０８の左方への移動を規制するため、回転の伝達効率の低下が抑制される。また、第２ベルト６０８の破損を抑制することができ、卓上丸鋸１の耐久性を向上させることが可能となる。

本実施の形態においては、第２ベルト６０８の第４プーリ６０７に対する左方への移動を好適に規制するため、横ずれ規制面６４Ｅと、第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂと第４プーリ６０７の歯部６０７Ｃとの噛み合い部分（図５の（ii）部分）との間の距離を第２ベルト６０８の帯部６０８Ａの厚みと同程度に構成している。

上記のように、本実施の形態においては、横ずれ規制面６４Ｅと噛合い部分（図５の（ii）部分）との間の距離を帯部６０８Ａの厚みと同程度に構成しているが、当該距離は、第２ベルト６０８の第４プーリ６０７に対する左方への移動を好適に規制できる程度であれば、本実施の形態における距離よりも長い距離或いは短い距離として構成することができる。より具体的には、横ずれ規制面６４Ｅと噛合い部分（図５の（ii）部分）との間の距離は、１～２ｍｍ程度であると良い。

第３壁部６４Ｃは、第４プーリ６０７の径方向外方に位置し、第２壁部６４Ｂの下端部から右方に突出している。第３壁部６４Ｃは、歯飛び規制面６４Ｆを有している。第３壁部６４Ｃは、本発明における「壁部」の一例である。

歯飛び規制面６４Ｆは、図６に示されているように、略円弧状をなし、第２ベルト６０８の外周面６０８Ｃと対向している。第４プーリ６０７の径方向において、歯飛び規制面６４Ｆと第４プーリ６０７の歯部６０７Ｃの歯先面６０７Ｄとの間の距離は、第２ベルト６０８の外周面６０８Ｃと歯先面６０８Ｄとの間の距離よりも小さく構成されている。言い換えると、第４プーリ６０７の径方向において、歯部６０７Ｃの歯先円と歯飛び規制面６４Ｆとの間の距離は、第２ベルト６０８の駆動時における軌跡の幅よりも小さく構成されている。より具体的には、図６（ｂ）に示されているように、歯先面６０７Ｄと歯飛び規制面６４Ｆとの間の距離Ｌ１は、歯先面６０８Ｄと外周面６０８Ｃとの間の距離Ｌ２よりも小さい。このような構成によれば、第２ベルト６０８が外方に膨らむ場合においても、第２ベルト６０８の外周面６０８Ｃと歯飛び規制面６４Ｆとが当接し、第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂと第４プーリ６０７の歯部６０７Ｃとの係合が維持される。これにより、これにより、第４プーリ６０７の回転方向において、第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂが第３プーリ６０５の歯部６０５Ｃに対して歯飛びすることが抑制され、回転の伝達効率の低下が抑制される。また、第２ベルト６０８の破損を抑制することができ、卓上丸鋸１の耐久性を向上させることが可能となる。

また、図５に示されているように、ギヤケース６４の第４プーリ６０７の上方に位置する部分には、段差部６４ａが形成され、下方に位置する部分には、段差部６４ｂが形成されている。段差部６４ａ及び段差部６４ｂのそれぞれは、ギヤケース６４の右端部の外周を切り欠くことにより形成されている。

図５に示されているように、ギヤカバー６５は、第１壁部６５Ａと、第２壁部６５Ｂとを有している。

第１壁部６５Ａは、上下方向に延び、横ずれ規制面６５Ｃを有している。第１壁部６５Ａは、本発明における「側壁部」の一例である。

横ずれ規制面６５Ｃは、上下及び前後方向に延びている。横ずれ規制面６５Ｃは、図５に示されているように、図中（ｉ）で示されている第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂと第３プーリ６０５の歯部６０５Ｃとの噛み合い部分の右側に位置し、当該噛み合い部分と対向している。言い換えると、横ずれ規制面６５Ｃは、第３プーリ６０５の歯部６０５Ｃの側面及び第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂの側面と対向するように、当該噛み合い部分の側面と平行に延びている。これにより、第２ベルト６０８に第３プーリ６０５の右方へ向かう力が働いた場合においても、第１壁部６５Ａが第２ベルト６０８の右方への移動を規制するため、回転の伝達効率の低下が抑制される。また、第２ベルト６０８の破損を抑制することができ、卓上丸鋸１の耐久性を向上させることが可能となる。

本実施の形態においては、第２ベルト６０８の第３プーリ６０５に対する右方への移動を好適に規制するため、横ずれ規制面６５Ｃと、第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂと第３プーリ６０５の歯部６０５Ｃとの噛み合い部分（図５の（ｉ）部分）との間の距離を第２ベルト６０８の帯部６０８Ａの厚みと同程度に構成している。

上記のように、本実施の形態においては、横ずれ規制面６５Ｃと噛合い部分（図５の（ｉ）部分）との間の距離を帯部６０８Ａの厚みと同程度に構成しているが、当該距離は、第２ベルト６０８の第３プーリ６０５に対する右方への移動を好適に規制できる程度であれば、本実施の形態における距離よりも長い距離或いは短い距離として構成することができる。より具体的には、横ずれ規制面６５Ｃと噛合い部分（図５の（ｉ）部分）との間の距離は、１～２ｍｍであると良い。

第２壁部６５Ｂは、ギヤカバー６５の下端部をなしている。第２壁部６５Ｂは、第４プーリ６０７の径方向外方に位置し、左右方向に延びている。第２壁部６５Ｂは、歯飛び規制面６５Ｄを有している。第２壁部６５Ｂは、本発明における「壁部」の一例である。

歯飛び規制面６５Ｄは、略円弧状をなし、第２ベルト６０８の外周面６０８Ｃと対向している。第４プーリ６０７の径方向において、歯飛び規制面６５Ｄと第４プーリ６０７の歯部６０７Ｃの歯先面６０７Ｄとの間の距離は、第２ベルト６０８の外周面６０８Ｃと歯先面６０８Ｄとの間の距離よりも小さく構成されている。言い換えると、第４プーリ６０７の径方向において、歯部６０７Ｃの歯先円と歯飛び規制面６５Ｄとの間の距離は、第２ベルト６０８の駆動時における軌跡の幅よりも小さく構成されている。これにより、このような構成によれば、第２ベルト６０８が外方に膨らむ場合においても、第２ベルト６０８の外周面６０８Ｃと歯飛び規制面６５Ｄとが当接し、第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂと第４プーリ６０７の歯部６０７Ｃとの係合が維持される。これにより、第４プーリ６０７の回転方向において、第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂが第４プーリ６０７の歯部６０７Ｃに対して歯飛びすることが抑制され、回転の伝達効率の低下が抑制される。また、第２ベルト６０８の破損を抑制することができ、卓上丸鋸１の耐久性を向上させることが可能となる。

なお、本実施の形態においては、図５に示されているように、ギヤケース６４の第３壁部６４Ｃの歯飛び規制面６４Ｆと、ギヤカバー６５の第２壁部６５Ｂの歯飛び規制面６５Ｄとは、面一に構成されている。また、第２ベルト６０８の幅方向（左右方向）において、歯飛び規制面６４Ｆが第２ベルト６０８の左側部分と対向し、歯飛び規制面６５Ｄが第２ベルト６０８の右側部分と対向することによって、第２ベルト６０８の歯飛びを抑制している。

また、図５に示されているように、ギヤカバー６５の第４プーリ６０７の上方に位置する部分には、段差部６５ａが形成され、下方に位置する部分には、段差部６５ｂが形成されている。段差部６５ａ及び段差部６５ｂのそれぞれは、ギヤカバー６５の左端部の内周を切り欠くことによって形成されている。段差部６５ａは、段差部６４ａと係合可能に構成され、段差部６５ｂは、段差部６４ｂと係合可能に構成されている。

また、本実施の形態においては、図５に示されているように、ギヤケース６４の第１壁部６４Ａは、第３プーリ６０５の回転軸心と第４プーリ６０７の回転軸心とを結ぶ仮想直線の延長線上の位置と、第３プーリ６０５と第２ベルト６０８とが駆動時において噛み合い始める部分と対向する位置とに設けられている。また、ギヤケースの第３壁部６４Ｃ及びギヤカバー６５の第２壁部６５Ｂは、第４プーリ６０７と第２ベルト６０８とが駆動時において噛み合い始める部分と対向する位置とに設けられている。これにより、第３プーリ６０５及び第４プーリ６０７に対する第２ベルト６０８の歯飛びを好適に抑制することが可能となる。

さらに、本実施の形態においては、第１壁部６４Ａが第３プーリ６０５と第２ベルト６０８の噛み合う部分全域と対向するように設けられている。また、第３壁部６４Ｃ及び第２壁部６５Ｂが第４プーリ６０７と第２ベルト６０８の噛み合う部分全域と対向するように設けられている。このような構成によれば、第３プーリ６０５及び第４プーリ６０７に対する第２ベルト６０８の歯飛びを好適に抑制することが可能となる。

なお、本実施の形態においては、第３プーリ６０５及び第４プーリ６０７のいずれの径方向外方においても第２ベルト６０８の歯飛びを抑制する壁部が設けられていたが、第３プーリ６０５及び第４プーリ６０７の少なくともいずれか一方の径方向外方に位置するように壁部が設けられていても良い。

また、本実施の形態においては、第３プーリ６０５及び第４プーリ６０７のいずれの径方向外方においても第２ベルトの横ずれを抑制する側壁部が設けられていたが、第３プーリ６０５及び第４プーリ６０７の少なくともいずれか一方の径方向外方に位置するように側壁部が設けられていても良い。

次に、ギヤケース６４に対するギヤカバー６５の組み付け工程について、図７を参照しながら説明する。以下においては、必要に応じて図１１に示される従来の卓上丸鋸と比較しながら説明する。

まず、ギヤケース６４に支持された中間軸６０２に固定された第３プーリ６０５に第２ベルト６０８を架け渡す。このときに、第３プーリ６０５の径方向において、歯飛び規制面６４Ｄと第３プーリ６０５の歯部６０５Ｃの歯先面６０５Ｄとの間の距離が、第２ベルト６０８の外周面６０８Ｃと歯先面６０８Ｄとの間の距離よりも小さく構成されているため、第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂと第３プーリ６０５の歯部６０５Ｃとが噛み合わない状態で第２ベルト６０８を第３プーリ６０５に架け渡すことはできない。すなわち、第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂと第３プーリ６０５の歯部６０５Ｃとが十分に噛み合った状態でのみ第２ベルト６０８を第３プーリ６０５に架け渡すことができるように構成したので、歯飛びを好適に抑制することが可能である。

次に、ギヤカバー６５にスピンドル６０６及び第４プーリ６０７を組み付けた状態で、図７（ａ）に示されているように、第４プーリ６０７の歯部６０７Ｃと第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂとが係合する（噛み合う）ように、ギヤカバー６５をギヤケース６４に近接させる。

図７（ｂ）に示されているように、ギヤカバー６５の段差部６５ａとギヤケース６４の段差部６４ａとを係合させ、ギヤカバー６５の段差部６５ｂとギヤケース６４の段差部６４ｂとを係合させる。この状態において、図示せぬ固定部材（ネジ等）を用いて、ギヤカバー６５をギヤケース６４に固定する。

ここで、図１１に示されている従来の卓上丸鋸の切断部９０は、ギヤケース９１と、ギヤカバー９２とを有している。切断部９０は、２段の減速機構からなる伝達機構部を有している。切断部９０の伝達機構部は、スピンドル９５と、スピンドル９５に固定されスピンドル９５と一体に回転する第４プーリ９４と、図示せぬ第３プーリ及び第４プーリ９４に張架される第２ベルト９３とを有している。

従来の卓上丸鋸のギヤケース９１には、本実施の形態における第２壁部６４Ｂに相当する構成は設けられていない。言い換えると、第４プーリ９４の歯部の側面及び第２ベルト９３の歯部の側面と対向するように、当該噛み合い部分の側面と平行に延びる横ずれ規制面６４Ｅは設けられていない。このため、図１２（ａ）に示されているように、第４プーリ９４の歯部を第２ベルト９３の歯部に対して係合させる際に、第２ベルト９３の歯部と第４プーリ９４の歯部との間に発生し第２ベルト９３を第４プーリ９４に対して左方に移動させる方向に働く摩擦力によって、図１２（ｂ）に示されているように、第２ベルト９３が第４プーリ９４に対して左方にずれた状態で組み付けられる可能性が大きかった。また、この状態で駆動することにより、第２ベルト９３が破損してしまう可能性があった。

しかしながら、本実施の形態においては、ギヤケース６４に第２壁部６４Ｂが設けられているため、第４プーリ６０７に対する第２ベルト６０８の横ずれを好適に抑制することが可能となる。具体的には、図７（ａ）に示されているように、第４プーリ６０７の歯部６０７Ｃを第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂに係合させる際に、第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂと第４プーリ６０７の歯部６０７Ｃとの間に第２ベルト６０８を第４プーリ６０７に対して左方に移動させる方向に働く摩擦力が発生した場合においても、第２壁部６４Ｂの横ずれ規制面６４Ｅと第２ベルト６０８の左側面とが当接し、第２ベルト６０８の左方への移動を規制する。これにより、図７（ｂ）に示されているように、第４プーリ６０７に対する第２ベルト６０８の横ずれが好適に抑制された状態で、切断部６を組み立てることが可能となる。また、第２壁部６４Ｂはギヤケース６４と一体に設けられるので、ベルトの横ずれを抑制するために新たな部品を追加する必要がないうえ、組み付け時に予め第２壁部６４Ｂが設けられているので、ベルトが横ずれをした状態で組み付けを完了してしまうことを抑制できる。

また、ギヤケース６４の第３壁部６４Ｃの歯飛び規制面６４Ｆ及びギヤカバー６５の第２壁部６５Ｂの歯飛び規制面６５Ｄと、第４プーリ６０７の歯部６０７Ｃの歯先面６０７Ｄとの間の距離が、第２ベルト６０８の外周面６０８Ｃと歯先面６０８Ｄとの間の距離よりも小さく構成されているため、第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂと第４プーリ６０７の歯部６０７Ｃとが噛み合わない状態で第２ベルト６０８を第４プーリ６０７に架け渡すことはできず、歯飛びを好適に抑制することが可能となる。

次に、回転規制部７を用いた切断刃Ｐの交換作業について、図４を参照しながら、説明する。

まず、作業者は、スプリング７２の付勢力に抗して、ピン７１の左端部を右方へ押圧する。ピン７１が押圧されると、ピン７１は、右方へ移動する。

この状態において、作業者は、ピン７１を押圧した状態を維持しつつ、切断刃Ｐを回転させ、左右方向において挿通穴６０７ａがピン７１と重なる位置を探す、挿通穴６０７ａとピン７１とが重なると、ピン７１は、挿通穴６０７ａに挿入される。

このときに、挿通穴６０７ａは、第４プーリ６０７の回転軸心に対して偏心した位置に位置しているため、第４プーリ６０７の回転が規制される。同時に、スピンドル６０６及び切断刃Ｐの回転も規制される。

この状態において、作業者は、装着部６０６Ａのボルトの締め込み又は取り外しを行い、切断刃Ｐを着脱する。その後、交換作業を終えた作業者がピン７１から手を放すと、スプリング７２の付勢力によってピン７１は左方へ移動して第４プーリ６０７から離間し、図４に示される状態に復帰する。このような構成によれば、スピンドル６０６を固定しつつ好適に切断刃Ｐの取付け、又は、取り外しを行うことが可能となる。

次に、モータ６７の回転が切断刃Ｐに伝達される動作について、説明する。

ハンドル部６６のスイッチ６６Ａが押下されると、モータ６７が駆動し、モータ軸６７Ｂが第１プーリ６０１と一体に回転を開始する。この回転に伴い、第１プーリ６０１に架け渡された第１ベルト６０４が、その内周面と第１プーリ６０１との間に働く摩擦力によって回転を開始する。すなわち、第１ベルト６０４がモータ軸６７Ｂ及び第１プーリ６０１の回転を第２プーリ６０３に伝達し、第２プーリ６０３が回転を開始する。

この状態において、中間軸６０２に固定された第３プーリ６０５が回転する。この回転に伴い、第３プーリ６０５に噛み合う第２ベルト６０８が第３プーリ６０５によって回転し、第２ベルト６０８に噛み合う第４プーリ６０７が第２ベルト６０８によって回転される。ここで、第４プーリ６０７は、第３プーリ６０５よりも大径に形成されているため、スピンドル６０６には、中間軸６０２の回転が減速されて伝達されることとなる。つまり、第３プーリ６０５、第４プーリ６０７及び第２ベルト６０８からなる２段目の伝達機構が、中間軸６０２の回転を減速して、スピンドル６０６に伝達する。

スピンドル６０６の回転に伴い、スピンドル６０６の装着部６０６Ａに装着された切断刃Ｐが、スピンドル６０６と共に同一の回転速度で回転する。以上により、モータ軸６７Ｂの回転が２段階に減速されて、切断刃Ｐに伝達される。

次に、卓上丸鋸１を用いた切断作業について、説明する。

まず、ベース２１の載置面２１Ａに対して直角な切断角度で被切断材を切断する場合には、スイッチ６６Ａを押し上げ、モータ６７を駆動させ、切断刃Ｐを回転させる。この状態において、切断刃Ｐを下方へと移動させることによって、被切断材の切断を開始する。具体的には、切断部支持部５２の回動軸５２Ａを中心として切断部６が回動（揺動）することによって、切断部６は、下方へ移動する。

これに対し、ベース２１の載置面２１Ａに対して直角でない切断角度で被切断材を切断する場合には、作業者は、ホルダ３のクランプレバー３１を操作して、ホルダ３のベース部２に対する固定を解除する。この状態において、作業者は、ハンドル部６６を左右方向へと移動させる。ハンドル部６６の左右方向への移動に伴い、ホルダ３及び切断部６がベース部２の傾動軸２５の軸心を中心に傾動する。作業者は、クランプレバー３１を用いて所望の傾動角度でホルダ３をベース部２に固定し、切断部６を揺動させて切断作業を行う。

ここで、図１１に示されているように、従来の卓上丸鋸のギヤケース９１には、本実施の形態における第３壁部６４Ｃに相当する構成は設けられていない。また、従来の卓上丸鋸のギヤカバー９２には、本実施の形態における第２壁部６５Ｂに相当する構成は設けられていない。つまり、第４プーリ９４の径方向において、ギヤケース９１及びギヤカバー９２の内面と第４プーリ９４の歯先面との間の距離は、第２ベルト９３の外周面と第２ベルトの歯先面との間の距離よりも大きく構成されている。

このため、図１３（ｂ）に示されているように、作業時において、スピンドル９５に大きな負荷がかかった際に、歯飛びが発生し、安定して回転伝達をすることができなくなってしまう可能性があった。

しかしながら、本実施の形態においては、ギヤケース６４に第３壁部６４Ｃが設けられ、ギヤカバー６５に第２壁部６５Ｂが設けられているため、第４プーリ６０７に対する第２ベルト６０８の歯飛びを好適に抑制することが可能となる。具体的には、スピンドル６０６に大きな負荷がかかった場合においても、図８（ｂ）に示されているように、第３壁部６４Ｃの歯飛び規制面６４Ｆ及び第２壁部６５Ｂの歯飛び規制面６５Ｄとが、第２ベルト６０８の外周面６０８Ｃと当接することにより、第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂと第４プーリ６０７の歯部６０７Ｃとの係合が維持され、第４プーリ６０７に対する第２ベルト６０８の歯飛びが抑制される。また、第３壁部６４Ｃと第２壁部６５Ｂとは、それぞれギヤケース６４とギヤカバー６５とに一体に形成されるので、歯飛びを抑制するのに新たな部品を追加する必要がなく、また、組み付け時に予め第３壁部６４Ｃと第２壁部６５Ｂが設けられているので、ベルトとプーリの噛み合いが不十分になることを好適に抑制でいる。

また、本実施の形態においては、図５、図６に示されているように、ギヤケース６４の第１壁部６４Ａは、第３プーリ６０５の回転軸心と第４プーリ６０７の回転軸心とを結ぶ仮想直線の延長線上の位置と、第３プーリ６０５と第２ベルト６０８とが駆動時において噛み合い始める部分と対向する位置とに設けられている。また、ギヤケースの第３壁部６４Ｃ及びギヤカバー６５の第２壁部６５Ｂは、第４プーリ６０７と第２ベルト６０８とが駆動時において噛み合い始める部分と対向する位置とに設けられている。これにより、第３プーリ６０５及び第４プーリ６０７に対する第２ベルト６０８の歯飛びを好適に抑制することが可能となる。

次に、図９及び図１０を参照しながら、本発明の第２の実施の形態にかかる切断機の一例である卓上丸鋸１００について説明する。卓上丸鋸１００は、基本的に第１の実施の形態にかかる卓上丸鋸１と同一の構成を有しており、卓上丸鋸１と同一の構成については説明を適宜省略し、相違する構成について主に説明する。

図９に示されているように第２の実施の形態にかかる卓上丸鋸１００においては、第４プーリ６０７に替えて第４プーリ６１０が設けられ、ギヤケース６４に替えてギヤケース１６４が設けられ、ギヤカバー６５に替えてギヤカバー１６５が設けられている。また、その他の構成は、第２の実施の形態にかかる卓上丸鋸１００は、第１の実施の形態にかかる卓上丸鋸１と同一の効果を奏する。

図９に示されているように、第４プーリ６１０は、プレート６１０Ａを有している。プレート６１０Ａは、第４プーリ６１０の左端部に位置し、略円環状をなしている。

本実施の形態においては、図９に示されているように、図中（ｉｉ）で示されている第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂと第４プーリ６１０の歯部６１０Ｃとの噛み合い部分の左側に、当該噛み合い部分と対向するように、第４プーリ６１０のプレート６１０Ａが位置するように構成されている。これにより、第２ベルト６０８が第４プーリ６１０に対して左方にずれてしまうことが抑制され、回転の伝達効率の低下が抑制される。

図９に示されているように、ギヤケース１６４は、第４壁部１６４Ｃを有している。

第４壁部１６４Ｃは、ギヤケース１６４の下端部をなしている。第４壁部１６４Ｃは、第４プーリ６１０の径方向外方に位置し、左右方向に延びている。第４壁部１６４Ｃは、歯飛び規制面１６４Ｆを有している。第４壁部１６４Ｃは、本発明における「壁部」の一例である。

歯飛び規制面１６４Ｆは、略円弧状をなし、第２ベルト６０８の外周面６０８Ｃと対向している。第４プーリ６１０の径方向において、歯飛び規制面１６４Ｆと第４プーリ６１０の歯部６１０Ｃの歯先面６１０Ｄとの間の距離は、第２ベルト６０８の外周面６０８Ｃと歯先面６０８Ｄとの間の距離よりも小さく構成されている。言い換えると、第４プーリ６１０の径方向において、歯部６１０Ｃの歯先円と歯飛び規制面１６４Ｆとの間の距離は、第２ベルト６０８の駆動時における軌跡の幅よりも小さく構成されている。これにより、第４プーリ６１０の回転方向において、第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂが第４プーリ６１０の歯部６１０Ｃに対して歯飛びすることが抑制され、回転の伝達効率の低下が抑制される。また、第２ベルト６０８の破損を抑制することができ、卓上丸鋸１００の耐久性を向上させることが可能となる。

また、図１０に示されているように、ギヤケース１６４には、第２ベルト６０８の外周面と直交する方向に延びるテンション調整機構支持穴１６４ｃが形成されている。テンション調整機構支持穴１６４ｃには、第２ベルト６０８の外周面と直交する方向に延びるネジ穴が形成された基部１６４Ｇが設けられている。

図９に示されているように、ギヤカバー１６５は、第３壁部１６５Ｂと、第４壁部１６５Ｃとを有している。

第３壁部１６５Ｂは、ギヤカバー１６５の下端部に位置し、上下方向に延びている。第３壁部１６５Ｂは、横ずれ規制面１６５Ｅを有している。第３壁部１６５Ｂは、本発明における「側壁部」の一例である。

横ずれ規制面１６５Ｅは、上下及び前後方向に延びている。横ずれ規制面１６５Ｅは、図中（ｉｉ）で示されている第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂと第４プーリ６１０の歯部６１０Ｃとの噛み合い部分の右側に位置し、当該噛み合い部分と対向している。言い換えると、横ずれ規制面１６５Ｅは、第４プーリ６１０の歯部６１０Ｃの側面及び第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂの側面と対向するように、当該噛み合い部分の側面と平行に延びている。これにより、第２ベルト６０８に第４プーリ６１０の右方に向かう力が働いた場合においても、第３壁部１６５Ｂが第２ベルト６０８の右方への移動を規制するため、回転の伝達効率の低下が抑制される。また、第２ベルト６０８の破損を抑制することができ、卓上丸鋸１００の耐久性を向上させることが可能となる。

本実施の形態においては、第２ベルト６０８の第４プーリ６１０に対する右方への移動を好適に規制するため、横ずれ規制面１６５Ｅと、第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂと第４プーリ６１０の歯部６１０Ｃとの噛み合い部分（図９の（ii）部分）との間の距離を第２ベルト６０８の帯部６０８Ａの厚みと同程度に構成している。

上記のように、本実施の形態においては、横ずれ規制面１６５Ｅと噛合い部分（図９の（ii）部分）との間の距離を帯部６０８Ａの厚みと同程度に構成しているが、当該距離は、第２ベルト６０８の第４プーリ６１０に対する右方への移動を好適に規制できる程度であれば、本実施の形態における距離よりも長い距離或いは短い距離として構成することができる。より具体的には、横ずれ規制面１６５Ｅと噛合い部分（図９の（ii）部分）との間の距離は、１～２ｍｍであると良い。

第４壁部１６５Ｃは、第４プーリ６１０の径方向外方に位置し、第３壁部１６５Ｂの下端部から右方に突出している。第４壁部１６５Ｃは、歯飛び規制面１６５Ｆを有している。第４壁部１６５Ｃは、本発明における「壁部」の一例である。

歯飛び規制面１６５Ｆは、略円弧状をなし、第２ベルト６０８の外周面６０８Ｃと対向している。第４プーリ６１０の径方向において、歯飛び規制面１６５Ｆと第４プーリ６１０の歯部６１０Ｃの歯先面６１０Ｄとの間の距離は、第２ベルト６０８の外周面６０８Ｃと歯先面６０８Ｄとの間の距離よりも小さく構成されている。言い換えると、第４プーリ６１０の径方向において、歯部６１０Ｃの歯先円と歯飛び規制面１６５Ｆとの間の距離は、第２ベルト６０８の駆動時における軌跡の幅よりも小さく構成されている。これにより、第４プーリ６１０の回転方向において、第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂが第４プーリ６１０の歯部６１０Ｃに対して歯飛びすることが抑制され、回転の伝達効率の低下が抑制される。また、第２ベルト６０８の破損を抑制することができ、卓上丸鋸１００の耐久性を向上させることが可能となる。

なお、本実施の形態においては、図９に示されているように、ギヤケース１６４の第４壁部１６４Ｃの歯飛び規制面１６４Ｆと、ギヤカバー１６５の第４壁部１６５Ｃの歯飛び規制面１６５Ｆとは、面一に構成されている。また、第２ベルト６０８の幅方向（左右方向）において、歯飛び規制面１６４Ｆが第２ベルト６０８の左側部分と対向し、歯飛び規制面１６５Ｆが第２ベルト６０８の右側部分と対向することによって、第２ベルト６０８の歯飛びを抑制している。

また、第２の実施の形態にかかる卓上丸鋸１００は、第２ベルト６０８の張力を調整可能なテンション調整機構８を有している。テンション調整機構８は、移動部８１と、調整部８２と、押圧部８３とを有している。

移動部８１は、略直方体状に形成されギヤケース１６４のテンション調整機構支持穴１６４ｃに対して摺動可能な本体部を有している。移動部８１の第２ベルト６０８に近接する端部は、押圧部８３を支持している。

押圧部８３は、左右方向に延びる円柱形状をなし、第２ベルト６０８に押圧させることで張力を調整可能に構成されている。また、押圧部８３は、移動部８１に左右方向に延びる軸心を中心に回転可能に支承されている。押圧部８３は、本発明における「ベルト押圧部」の一例である。

調整部８２は、ギヤケース１６４の基部１６４Ｇに対する移動部８１の位置を調整可能に構成されている。調整部８２は、第２ベルト６０８の外周面６０８Ｃに直交する方向に延びている。調整部８２の外周には図示せぬネジ山が形成され、基部１６４Ｇに形成されたネジ穴と螺合している。

図１０（ｂ）に示されているように、作業者が調整部８２を右回りに回転させることにより、第２ベルト６０８の張架面に直交する方向において、移動部８１、調整部８２及び押圧部８３が第２ベルト６０８の外周面６０８Ｃに近づく方向に移動する。これにより、押圧部８３が第２ベルト６０８の外周面６０８Ｃを押圧することが可能である。

また、作業者が調整部８２を左回りに回転させることにより、第２ベルト６０８の張架面に直交する方向において、移動部８１、調整部８２及び押圧部８３が第２ベルト６０８の外周面６０８Ｃから離間する方向に移動する。つまり、本実施の形態においては、押圧部８３の移動量を調整することで張力を調整可能である。これにより、第２ベルト６０８と第３プーリ６０５及び第４プーリ６１０との噛み合いが促進され、好適に回転伝達を行うことが可能となる。

また、図１０（ａ）に示されているように、第３プーリ６０５及び第４プーリ６１０に張架されただけでは、第２ベルト６０８にテンションに十分なテンションが掛かっていない場合においても、ギヤケース１６４の第４壁部１６４Ｃ及びギヤカバー１６５の第４壁部１６５Ｃによって、第４プーリ６１０の歯部６１０Ｃと第２ベルト６０８の歯部６０８Ｂとの係合が維持され、組立後において、第２ベルト６０８と第４プーリ６１０との間の歯飛びが好適に抑制された状態で、テンション調整機構８を用いて、第２ベルト６０８にテンションを掛けることが可能となる。

なお、第１の実施の形態にかかる卓上丸鋸１においても、第２の実施の形態にかかる卓上丸鋸１００と同様に、第２ベルト６０８のテンション調整機構８が設けられていても良い。

本実施の形態においては、ベルトの一例としてタイミングベルトを例に説明したが、本発明は、タイミングベルト以外のベルト、例えば金属製のチェーンベルト等にも適用可能である。

本実施の形態においては、切断機として卓上丸鋸を例に説明したが、本発明はモータの回転を伝達する機構にベルトを用いた切断機、例えば、丸鋸やグラインダ等の切断機にも適用可能である。

１…卓上丸鋸　２…ベース部　３…ホルダ　４…ガイド部　５…移動部　６…切断部　７…回転規制部

Claims

ハウジングと、
前記ハウジングに支持され回転駆動する回転軸を有するモータと、
前記ハウジングに支持され切断刃を装着可能な出力軸と、
前記ハウジングに支持され前記回転軸の回転力を前記出力軸へ伝達可能な伝達機構部と、を有し、
前記伝達機構部は、径方向に突出する歯部を有する第１回転部材と、径方向に突出する歯部を有する第２回転部材と、前記第１回転部材及び前記第２回転部材間に張架され前記歯部と係合する係合部を有する無端状の第１ベルトと、を有し、前記歯部と前記係合部とが係合することにより前記回転軸の回転力を前記出力軸へ伝達可能に構成され、
前記ハウジングは、前記第１回転部材及び第２回転部材の少なくともいずれか一方の径方向外方に位置する壁部を有し、
前記少なくともいずれか一方の回転部材の径方向において、前記歯部の歯先円と前記壁部の内面との間の距離は、前記第１ベルトの駆動時における軌跡の幅よりも小さいことを特徴とする切断機。
前記ハウジングは、前記少なくともいずれか一方の回転部材の軸方向において、前記少なくともいずれか一方の回転部材の前記歯部の側面及び前記第１ベルトの前記係合部の側面と平行な側壁部を、さらに有することを特徴とする請求項１に記載の切断機。
前記ハウジングは、前記モータを収容するモータハウジングと、前記壁部及び前記側壁部を有するギヤハウジングと、を有することを特徴とする請求項２に記載の切断機。
前記壁部は、前記第１回転部材の軸心と前記第２回転部材の軸心とを結ぶ仮想直線の延長線上の位置と、前記少なくともいずれか一方の回転部材と前記第１ベルトとが駆動時において噛み合い始める部分と対向する位置とに設けられていることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか一項に記載の切断機。
前記壁部は、前記いずれか一方の回転部材と前記第１ベルトの噛み合う部分全域と対向するように設けられていることを特徴とする請求項１乃至４のいずれか一項に記載の切断機。
前記伝達機構部は、前記回転力の伝達経路上において前記回転軸と前記出力軸との間に位置し前記回転軸の回転に伴い従動回転する中間軸と、前記回転軸に設けられ前記回転軸と一体回転する第３回転部材と、前記中間軸に設けられ前記中間軸と一体回転し前記第３回転部材よりも大径に形成される第４回転部材と、前記第３回転部材及び前記第４回転部材間に張架される無端状の第２ベルトと、をさらに有し、
前記第１回転部材は、前記中間軸に設けられ、前記第４回転部材よりも小径に形成され、
前記第２回転部材は、前記出力軸に設けられ、前記第１回転部材よりも大径に形成されることを特徴とする請求項１乃至５のいずれか一項に記載の切断機。
前記第２ベルトは、Ｖベルトであり、
前記第３回転部材及び前記第４回転部材は、Ｖプーリであることを特徴とする請求項６に記載の切断機。
前記第１ベルトは、タイミングベルトであり、
前記第１回転部材及び前記第２回転部材は、タイミングプーリであることを特徴とする請求項１乃至７のいずれか一項に記載の切断機。
前記第１ベルトの張力を調整可能なテンション調整機構を、さらに有することを特徴とする請求項１乃至８のいずれか一項に記載の切断機。
前記テンション調整機構は、前記第１ベルトの張架面に直交する方向に移動することで前記第１ベルトの外周を押圧するベルト押圧部を有し、前記ベルト押圧部の移動量を調整することで張力を調整可能であることを特徴とする請求項９に記載の切断機。
被加工材を載置可能な載置面を有するベースと、
前記切断刃を回転可能に支持する切断部と、
前記切断部を前記ベースに対して、前記切断刃の側面と直交する揺動軸心を中心に、前記切断部を前記ベースに対して近接する位置と離間する位置とに揺動可能に支持する揺動部と、をさらに有することを特徴とする請求項１乃至１０のいずれか一項に記載の切断機。
ハウジングと、
前記ハウジングに支持され回転駆動する回転軸を有するモータと、
前記ハウジングに支持され切断刃を装着可能な出力軸と、
前記ハウジングに支持され前記回転軸の回転力を前記出力軸へ伝達可能な伝達機構部と、を有し、
前記伝達機構部は、径方向に突出する歯部を有する第１回転部材と、径方向に突出する歯部を有する第２回転部材と、前記第１回転部材及び前記第２回転部材間に張架され前記歯部と係合する係合部を有する無端状の第１ベルトと、を有し、前記歯部と前記係合部とが係合することにより前記回転軸の回転力を前記出力軸へ伝達可能に構成され、
前記ハウジングは、前記少なくともいずれか一方の回転部材の軸方向において、前記少なくともいずれか一方の回転部材の前記歯部の側面及び前記第１ベルトの前記係合部の側面と平行な側壁部を有することを特徴とする切断機。