WO2015182411A1 - 複合酸化物粉末、複合酸化物粉末の製造方法、及び積層セラミック電子部品 - Google Patents

複合酸化物粉末、複合酸化物粉末の製造方法、及び積層セラミック電子部品 Download PDF

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    • H01G4/30Stacked capacitors

Definitions

  • barium titanate (BaTiO 3 ) powder is known, and in the past, in order to obtain fine and highly crystalline barium titanate powder, Researched and developed.
  • the barium titanate-based composite oxide having a good crystallinity with a specific surface area sphere equivalent diameter of 130 to 300 nm and an axial ratio c / a between the c-axis and the a-axis of 1.0075 to 1.0088.
  • the product powder is obtained.
  • the composite oxide powder preferably has a crystal particle diameter of 60 to 80 nm.
  • FIG. 1 is a perspective view showing an embodiment of a multilayer ceramic capacitor as a multilayer ceramic electronic component according to the present invention. It is a longitudinal cross-sectional view of FIG.
  • the ceramic layer When the ceramic layer is thinned to 0.6 ⁇ m or less, it is necessary to atomize the particle diameter of the composite oxide powder to a specific surface area sphere equivalent diameter of 60 to 80 nm as described above.
  • the larger the particle diameter the better the crystallinity of the composite oxide powder.
  • the axial ratio c / a can be 1.0075 or more, and the crystallinity can be further improved. .
  • the A site compound containing the constituent elements of the A site is added to the dispersion solution so that the molar ratio m between the A site and the B site is 1.011 to 1.030, and the A site compound and the A synthesis step in which a B-site compound is reacted and dried to produce a composite, and the composite is subjected to a heat treatment, and the axial ratio c / a of the c-axis to the a-axis of the crystal axis is 1.0070 or more. Since a composite oxide powder containing a barium compound as a main component is prepared, the compound is blended so that the molar ratio m is A-site-excess than the stoichiometric composition. Suppress growth It can, thereby even ultrafine can be obtained with high crystallinity composite oxide powder.
  • each composite had the molar ratio m shown in Table 1. I understood that.

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Abstract

 複合酸化物粉末は、一般式ABOで表されるチタン酸バリウム系化合物を主成分としている。AサイトとBサイトとのモル比mが1.011~1.030であり、かつ、結晶粒子の結晶軸は、a軸に対するc軸の軸比c/aが、1.0070以上である。結晶粒子の粒子径は、比表面積球相当径で60~80nmである。比表面積球相当径が70~80nmの場合は、軸比c/aは、1.0075以上とすることができる。セラミック層3はこの複合酸化物粉末で形成されている。これによりセラミック層が従来よりも更に薄層化されても、所望の特性を確保できる超微粒で高結晶性を有するチタン酸バリウム系の複合酸化物粉末、この複合酸化物粉末の製造方法、及びこの複合酸化物粉末を使用した積層セラミックコンデンサ等の積層セラミック電子部品を実現する。

Description

複合酸化物粉末、複合酸化物粉末の製造方法、及び積層セラミック電子部品
 本発明は、複合酸化物粉末、複合酸化物粉末の製造方法、及び積層セラミック電子部品に関し、より詳しくは積層セラミック電子部品の電子材料に適した複合酸化物粉末とその製造方法、及びこの複合酸化物粉末を使用した積層セラミックコンデンサ等の積層セラミック電子部品に関する。
 近年、積層セラミックコンデンサ等の積層セラミック電子部品の技術分野では、小型大容量化が急速に進展しており、セラミック層の薄層化が進んでいる。
 セラミック層の薄層化に対応するためには、セラミック原料である複合酸化物粉末の微粒化が必要となる。また、複合酸化物粉末の結晶性が低いと、焼成時に粒成長を起こし、積層セラミック電子部品の特性劣化を招くことから、結晶性の高いことも要求される。
 そして、この種の複合酸化物粉末の代表的なものとしては、チタン酸バリウム(BaTiO)粉末が知られており、従来より、微粒で結晶性の高いチタン酸バリウム粉末を得るべく、盛んに研究・開発されている。
 例えば、特許文献1には、一般式ABO(AはBa又はSrを示し、BはTiを示す。)で表されるペロブスカイト構造を有する複合酸化物粉末の製造方法であって、結晶水を含有したAサイト成分を構成する元素の水酸化物と250m/g以上の比表面積を有する酸化チタン粉末とを混合する混合処理工程を有し、前記混合処理工程は、加熱処理を行うことにより前記結晶水の水分のみで前記Aサイト成分の溶解した溶解液を生成する溶解液生成工程と、前記酸化チタン粉末と前記溶解液とが反応して反応合成物を生成する反応工程とを含み、前記溶解液生成工程と前記反応工程とは連続的に進行するようにした複合酸化物粉末の製造方法が提案されている。
 この特許文献1では、Aサイト成分とBサイト成分のモル比m(=A/B)が0.990~1.010となるように、Ba(OH)・8HO等のAサイト成分を構成する元素の水酸化物と超微粒のTiOとを混合し、反応させて20nm程度の超微粒の反応物を作製し、その後、仮焼処理を行なっている。そして、比表面積球相当径が130~300nmであって、結晶軸のc軸とa軸との軸比c/aが1.0075~1.0088の結晶性の良好なチタン酸バリウム系複合酸化物粉末を得ている。
特許第4200427号公報(請求項1、表1、表3)
 積層セラミック電子部品の技術分野では、上述したようにセラミック層の薄層化が進展しているが、最近では更なる薄層化が要請されており、セラミック層の厚みを0.6μm以下にまで薄層化することが求められている。
 そして、このようにセラミック層の更なる薄層化に伴い、複合酸化物粉末に要求される仕様も更に厳しくなり、より一層の微粒化が要求され、比表面積球相当径が60~80nm程度でかつ高結晶性を有する複合酸化物粉末の実現が要請されている。
 しかしながら、特許文献1では、比表面積球相当径が130~300nm程度であれば、結晶性の高い複合酸化物粉末を得ることができるが、比表面積球相当径が60~80nm程度の微粒になると、高結晶の複合酸化物を安定して得ることができず、結晶性の低下を招くおそれがある。
 すなわち、特許文献1では、Aサイト成分とBサイト成分のモル比mが0.990~1.010であり、化学量論組成(=1.000)の近傍域にあるため、結晶粒子は熱処理時に粒成長し易い。
 結晶粒子の粒成長を抑制するためには、熱処理温度を低下させればよいが、熱処理温度を低下させると、粒成長にバラツキが生じて結晶性の低下を招くおそれがある。
 したがって、特許文献1の複合酸化物粉末をより一層微粒化し、これによりセラミック層の厚みが0.6μm以下の積層セラミック電子部品に使用しても、結晶性に劣ることから、特性劣化を招き、所望の特性を発現するのが困難になる。
 本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、セラミック層が従来よりも更に薄層化されても、所望の特性を確保できる超微粒で高結晶性を有するチタン酸バリウム系の複合酸化物粉末、この複合酸化物粉末の製造方法、及びこの複合酸化物粉末を使用した積層セラミックコンデンサ等の積層セラミック電子部品を提供することを目的とする。
 本発明者は、上記目的を達成するに一般式ABOで表されるチタン酸バリウム系化合物を使用して鋭意研究を行ったところ、AサイトとBサイトとのモル比mを1.011~1.030とすることにより、比表面積球相当径が60~80nmの超微粒であっても、結晶軸のa軸に対するc軸の軸比c/aが、1.0070以上の結晶性の高い複合酸化物粉末を確実に得ることができるという知見を得た。
 本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係る複合酸化物粉末は、一般式ABOで表されるチタン酸バリウム系化合物を主成分とする複合酸化物粉末であって、AサイトとBサイトとのモル比mが1.011~1.030であり、かつ、結晶粒子の結晶軸は、a軸に対するc軸の軸比c/aが、1.0070以上であることを特徴としている。
 また、本発明の複合酸化物粉末は、粒子径が、比表面積球相当径で60~80nmであるのが好ましい。
 また、本発明の複合酸化物粉末は、前記軸比c/aが、1.0075以上であるのが好ましい。
 この場合は、粒子径が、比表面積球相当径で70~80nmの複合酸化物粉末を得ることができる。
 また、本発明に係る複合酸化物粉末の製造方法は、チタン酸化物を含むBサイトの構成元素を含有したBサイト化合物を溶媒中に分散させ、分散溶液を作製する分散溶液作製工程と、バリウム水酸化物を含むAサイトの構成元素を含有したAサイト化合物を、AサイトとBサイトとのモル比mが1.011~1.030となるように、前記分散溶液に添加し、前記Aサイト化合物と前記Bサイト化合物とを反応させ、乾燥させて合成物を作製する合成工程と、前記合成物に熱処理を施し、結晶軸のa軸に対するc軸の軸比c/aが1.0070以上のチタン酸バリウム系化合物を主成分とする複合酸化物粉末を作製することを特徴としている。
 また、本発明の複合酸化物粉末の製造方法は、前記複合酸化物粉末は、結晶粒子の粒子径が60~80nmであるのが好ましい。
 また、本発明の複合酸化物粉末の製造方法は、前記熱処理時の熱処理温度が、745~970℃であるのが好ましい。
 また、本発明に係る積層セラミック電子部品は、内部電極層とセラミック層とが交互に積層されたセラミック素体を有する積層セラミック電子部品において、前記セラミック層は、上記いずれかに記載の複合酸化物粉末が焼結されてなることを特徴としている。
 本発明の複合酸化物粉末によれば、一般式ABOで表されるチタン酸バリウム系化合物を主成分とする複合酸化物粉末であって、AサイトとBサイトとのモル比mが1.011~1.030であり、かつ、結晶粒子の結晶軸は、a軸に対するc軸の軸比c/aが、1.0070以上(好ましくは、1.0075以上)であるので、化学量論組成よりもAサイト過剰であることから結晶粒子の粒成長を抑制することができ、超微粒であっても結晶性の高い複合酸化物粉末を得ることができる。
 本発明の複合酸化物粉末の製造方法によれば、チタン酸化物を含むBサイトの構成元素を含有したBサイト化合物を溶媒中に分散させ、分散溶液を作製する分散溶液作製工程と、バリウム水酸化物を含むAサイトの構成元素を含有したAサイト化合物を、AサイトとBサイトとのモル比mが1.011~1.030となるように、前記分散溶液に添加し、前記Aサイト化合物と前記Bサイト化合物とを反応させ、乾燥させて合成物を作製する合成工程と、前記合成物に熱処理を施し、結晶軸のa軸に対するc軸の軸比c/aが1.0070以上のチタン酸バリウム系化合物を主成分とする複合酸化物粉末を作製するので、モル比mが化学量論組成よりもAサイト過剰となるように配合されることから、熱処理温度が高くでも結晶粒子の粒成長を抑制することができ、これにより超微粒であっても結晶性の高い複合酸化物粉末を得ることができる。
 本発明のセラミック電子部品によれば、内部電極層とセラミック層とが交互に積層さてセラミック素体を有する積層セラミック電子部品において、前記セラミック層は、上記いずれかに記載の複合酸化物粉末が焼結されてなるので、超微粒で高結晶の複合酸化物粉末を使用してセラミック素体が形成されることから、セラミック層が、0.6μm以下に薄層化されても、特性劣化を招くことなく、所望の電気特性を有する積層セラミックコンデンサ等の積層セラミック電子部品を得ることができる。
本発明に係る積層セラミック電子部品としての積層セラミックコンデンサの一実施の形態を示す斜視図である。 図1の縦断面図である。
 次に、本発明の実施の形態を詳説する。
 本発明に係る複合酸化物粉末は、一般式ABOで表されるチタン酸バリウム系化合物を主成分とし、AサイトとBサイトとのモル比mが1.011~1.030であり、かつ、結晶粒子の結晶軸は、a軸に対するc軸の軸比c/aが、1.0070以上とされている。
 そして、これにより化学量論組成よりもAサイト過剰であることから、結晶粒子の粒成長を抑制することができ、高温で熱処理を行うことが可能となり、超微粒であっても結晶性の高い複合酸化物粉末を得ることができる。
 ここで、チタン酸バリウム系化合物としては、チタン酸バリウムの他、バリウムの一部がストロンチウムやカルシウムで置換されていたり、或いはチタンの一部がハフニウムやジルコニウムで置換されていてもよい。
 チタン酸バリウム系化合物は、積層セラミックコンデンサ等の積層セラミック電子部品に広く使用されているが、電子機器の軽薄短小化の要請下、積層セラミック電子部品におけるセラミック層の薄層化が飛躍的に進んでおり、今日ではセラミック層の厚さが0.6μm以下のものの実現が求められている。
 このためセラミック層を形成する複合酸化物粉末の粒子径も微粒化が求められており、セラミック層の厚さが0.6μm以下とするためには、複合酸化物粉末の粒子径を比表面積球相当径で60~80nm程度の微粒にし、かつ結晶性が高いことが要求される。
 しかしながら、AサイトとBサイトとのモル比mが1.011未満になってモル比mが化学量論組成に近づくと、熱処理合成時に粒成長し易くなる。この場合、熱処理合成時の粒成長を抑制するには、熱処理温度を低くすればよいが、熱処理温度を低くすると、BaやTi等の構成元素の熱拡散が十分に進まないことから、粒子内の組成が均一とはならず、結晶性が低下する。
 一方、モル比mが1.030を超えると、Aサイト元素の含有量が過度に多くなり、この場合も結晶性の低下を招くおそれがある。
 これに対しモル比mを1.011~1.030の範囲にすると、Aサイト元素が適度に過剰であることから、熱処理合成時に粒成長が抑制され、745~970℃程度の高温で熱処理を行っても、粒子径は比表面積球相当径で60~80nmに抑制することができる。しかも熱処理を高温で行うことができることから、粒成長のバラツキが抑制されて略均一に粒成長し、a軸に対するc軸の軸比c/aを1.070以上の結晶性の良好な複合酸化物粉末を得ることができる。
 そこで、本実施の形態では、モル比mを1.011~1.030としている。
 このように本複合酸化物粉末は、AサイトとBサイトとのモル比mが1.011~1.030であり、かつ、結晶粒子の結晶軸は、a軸に対するc軸の軸比c/aが、1.0070以上であるので、化学量論組成よりもAサイト過剰であることから結晶粒子の粒成長を抑制することができ、超微粒であっても結晶性の高い複合酸化物粉末を得ることができる。
 尚、セラミック層を0.6μm以下に薄層化した場合、上述のように複合酸化物粉末の粒子径を比表面積球相当径で60~80nmに微粒化する必要があるが、この範囲内で粒子径が大きいほど、複合酸化物粉末の結晶性は向上する。例えば、粒子径が、比表面積球相当径で70~80nmの場合であれば、軸比c/aは1.0075以上にすることが可能であり、より一層の結晶性向上を図ることができる。
 次に、上記複合酸化物粉末の製造方法を説明する。
 まず、比表面積が250m/g以上の微粒のTi酸化物を純水等の溶媒中に投入し、70~80℃に加熱してTi酸化物を溶媒中に分散させ、分散溶液を作製する。
 次に、熱処理後のモル比mが1.011~1.030となるように、Ba水酸化物を前記分散溶液に添加する。これにより水和熱が発生して温度上昇しTi酸化物とBa水酸化物とが反応する。その後、これを乾燥させることにより、比表面積球相当径で20~30nm程度の立方晶系(軸比c/a=1.0000)の合成物が得られる。
 次いで、この合成物に対し、745~970℃の温度で熱処理を行う。この熱処理により、合成物の結晶系は立方晶系から正方晶系に相転移し、軸比c/aが1.0070以上、好ましくは1.0075以上の結晶性が良好なチタン酸バリウム系粉末を得ることができる。
 このように本実施の形態によれば、チタン酸化物を含むBサイトの構成元素を含有したBサイト化合物を溶媒中に分散させ、分散溶液を作製する分散溶液作製工程と、バリウム水酸化物を含むAサイトの構成元素を含有したAサイト化合物を、AサイトとBサイトとのモル比mが1.011~1.030となるように、前記分散溶液に添加し、前記Aサイト化合物と前記Bサイト化合物とを反応させ、乾燥させて合成物を作製する合成工程と、前記合成物に熱処理を施し、結晶軸のa軸に対するc軸の軸比c/aが1.0070以上のチタン酸バリウム系化合物を主成分とする複合酸化物粉末を作製するので、モル比mが化学量論組成よりもAサイト過剰となるように配合されることから、熱処理温度が高くても結晶粒子の粒成長を抑制することができ、これにより超微粒であっても結晶性の高い複合酸化物粉末を得ることができる。
 次に、上記複合酸化物粉末を使用した積層セラミック電子部品について詳述する。
 図1は本発明に係る積層セラミック電子部品としての積層セラミックコンデンサの一実施の形態を模式的に示す斜視図であり、図2は、その縦断面図である。
 該積層セラミックコンデンサは、セラミック素体1の両端部に外部電極2a、2bが形成されている。
 そして、セラミック素体1は、図2に示すように、セラミック層3と内部電極層4とが交互に積層されて焼成されてなり、外部電極2aに電気的に接続される内部電極層4と、外部電極2bに電気的に接続される内部電極層4との対向面間で静電容量を形成している。
 次に、上記積層セラミックコンデンサの製造方法を詳述する。
 まず、上述の方法・手順でチタン酸バリウム系化合物からなる複合酸化物粉末を作製する。
 次いで、この複合酸化物粉末を所定の添加物や有機バインダ、有機溶剤、粉砕媒体と共にボールミルに投入して湿式混合し、セラミックスラリーを作製し、ドクターブレード法等によりセラミックスラリーに成形加工を行い、焼成後の厚みが1μm以下となるようにセラミックグリーンシートを作製する。
 次いで、Ni粉末等の導電性材料、有機ビヒクル及び有機溶剤を含有した内部電極用導電性ペーストを作製する。
 そして、この内部電極用導電性ペーストを使用してセラミックグリーンシート上にスクリーン印刷を施し、前記セラミックグリーンシートの表面に所定パターンの導電膜を形成する。
 次いで、この導電膜が形成されたセラミックグリーンシートを所定方向に複数枚積層した後、これを導電膜の形成されていないセラミックグリーンシートで挟持し、圧着し、所定寸法に切断してセラミック積層体を作製する。そしてこの後、温度300~500℃で脱バインダ処理を行ない、さらに、酸素分圧が10-9~10-12MPaに制御されたH-N-HOガスからなる還元性雰囲気下、温度1100~1300℃で約2時間焼成処理を行なう。これにより導電膜とセラミックグリーンシートとが共焼結され、セラミック層3と内部電極層4とが交互に積層されたセラミック素体1が得られる。
 次に、セラミック素体1の両端面に外部電極用導電性ペーストを塗布し、600~800℃の温度で焼付処理を行い、外部電極2a、2bを形成する。
 尚、外部電極用導電性ペーストに含有される導電性材料についても、特に限定されるものではないが、低コスト化の観点から、AgやCu、或いはこれらの合金を主成分とした材料を使用するのが好ましい。
 また、外部電極2a、2bの形成方法としては、セラミック積層体の両端面に外部電極用導電性ペーストを塗布した後、セラミック積層体と同時に焼成処理を施すようにしてもよい。
 そして、最後に、電解めっきを施して外部電極2a、2bの表面にNi、Cu、Ni-Cu合金等からなるめっき皮膜及びはんだやスズ等からなるめっき皮膜を順次形成し、これにより積層セラミックコンデンサが製造される。
 このように本積層セラミックコンデンサは、セラミック層3が、上記いずれかに記載の複合酸化物粉末が焼結されてなるので、超微粒で高結晶の複合酸化物粉末を使用して形成されることから、セラミック層3が、0.6μm以下に薄層化されても、特性劣化を招くことなく、所望の電気特性を有する積層セラミックコンデンサ等の積層セラミック電子部品を得ることができる。
 尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で変更可能なのはいうまでもない。
 次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
〔試料の作製〕
 比表面積300m/gのTiO:300gを787gの純水中に投入してスラリー化し、これを約70℃に加熱し、分散溶液を得た。次いで合成後のモル比mが0.991~1.046となるように無水Ba(OH)を分散溶液に添加し、90℃の温度で1時間保持し、TiOと無水Ba(OH)とを反応させセラミックスラリーを得た。そして、このセラミックスラリーを150℃の温度に調整されたオーブンで乾燥し、その後、目開き60メッシュの篩いを使用して分篩し、試料番号1~8の合成物を得た。
 次いで、試料番号1~8の各合成物について、WD-XRF(波長分散型蛍光X線分析)法を使用してモル比を測定したところ、各合成物は表1に示すモル比mを有することが分かった。
 また、試料番号1~8の各合成物について、全自動比表面積測定装置(マウンテック社製、商品名「Macsorb」)を使用し、BET法により比表面積を測定したところ、65m2/g(比表面積球相当径:15nm)であった。
 さらに、CuKαを特性X線として各合成物にX線を照射し、X線回折スペクトルを測定した。そして、このX線回折スペクトルをリートベルト解析し、結晶軸のa軸に対するc軸の軸比c/aを求めたところ、軸比c/aはいずれも1.0000であり、結晶系は立方晶系であることが分かった。
 次に、この合成物をアルミナ製のさやに入れ、バッチ炉内で熱処理を行った。そして、700℃~970℃の間で比表面積球相当径が60nm、70nm、80nmとなる熱処理温度を、上述したBET法を使用して求め、この熱処理温度で各乾燥粉末を1時間熱処理し、試料番号1~8の試料を得た。
〔試料の評価〕
 試料番号1~8の各試料について、上述と同様の方法・手順で軸比c/aを求めた。
 表1は、試料番号1~8の各試料について、モル比mと比表面積球相当径が60nm、70nm、80nmのときの軸比c/a及び熱処理温度を示している。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 この表1から明らかなように、試料番号3~7は、モル比mが1.011~1.030であり、本発明範囲内であるので、比表面積球相当径が60~80nmの範囲で軸比c/aを確実に1.0070以上にすることができることが分かった。
 特に、比表面積球相当径が70~80nmの場合は、軸比c/aを1.0075以上とすることができることが分かった。
 これに対し試料番号1は、モル比mが0.991であり、1.011未満であるので、比表面積球相当径が80nmと大きくなると、軸比c/aは1.0071と良好な結晶性を示すが、比表面積球相当径が60nmと小さくなると、軸比c/aは1.0060と小さくなり、結晶性に劣ることが分かった。
 試料番号2は、モル比mが1.004であり、比表面積球相当径が70~80nm程度であれば、軸比c/aは1.0070~1.0075と良好な結晶性を示すが、比表面積球相当径が60nmと小さくなると、軸比c/aは1.0066と小さくなり、結晶性に劣ることが分かった。
 また、試料番号8は、モル比mが1.046と過度にAサイト過剰であるため、比表面積球相当径が60~80nmの範囲では、軸比c/aは1.0062~1.0067となって結晶性に劣ることが分かった。
 このように比表面積球相当径が60~80nmの範囲で軸比c/aを1.0070以上とするためにはモル比mを1.011~1.030に調整する必要があり、特に比表面積球相当径が70~80nmの場合は、軸比c/aが1.0075以上のより結晶性の良好なチタン酸バリウム粉末が得られることが分かった。
 セラミック層が従来よりも更に薄層化されても、所望の特性を確保できる超微粒で高結晶性を有するチタン酸バリウム系の複合酸化物粉末の実現が可能となる。
1 セラミック素体
2a、2b 外部電極
3 セラミック層
4 内部電極

Claims (8)

  1.  一般式ABOで表されるチタン酸バリウム系化合物を主成分とする複合酸化物粉末であって、
     AサイトとBサイトとのモル比mが1.011~1.030であり、
     かつ、結晶粒子の結晶軸は、a軸に対するc軸の軸比c/aが、1.0070以上であることを特徴とする複合酸化物粉末。
  2.  前記粒子径は、比表面積球相当径で60nm~80nmであることを特徴と請求項1記載の複合酸化物粉末。
  3.  前記軸比c/aが、1.0075以上であることを特徴とする請求項1記載の複合酸化物粉末。
  4.  前記粒子径は、比表面積球相当径で70nm~80nmであることを特徴と請求項3記載の複合酸化物粉末。
  5.  チタン酸化物を含むBサイトの構成元素を含有したBサイト化合物を溶媒中に分散させ、分散溶液を作製する分散溶液作製工程と、
     バリウム水酸化物を含むAサイトの構成元素を含有したAサイト化合物を、AサイトとBサイトとのモル比mが熱処理後に1.011~1.030となるように、前記分散溶液に添加し、前記Aサイト化合物と前記Bサイト化合物とを反応させ、乾燥させて合成物を作製する合成工程と、
     前記合成物に熱処理を施し、結晶軸のa軸に対するc軸の軸比c/aが、1.0070以上のチタン酸バリウム系化合物を主成分とする複合酸化物粉末を作製することを特徴とする複合酸化物粉末の製造方法。
  6.  前記複合酸化物粉末は、結晶粒子の粒子径が60~80nmであることを特徴とする請求項5記載の複合酸化物粉末の製造方法。
  7.  前記熱処理時の熱処理温度は、745~970℃であることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の複合酸化物粉末の製造方法。
  8.  内部電極層とセラミック層とが交互に積層されたセラミック素体を有する積層セラミック電子部品において、
     前記セラミック層が、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の複合酸化物粉末が焼結されてなることを特徴とする積層セラミック電子部品。
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