WO2014073711A1

WO2014073711A1 - 毛髪処理剤組成物

Info

Publication number: WO2014073711A1
Application number: PCT/JP2013/080844
Authority: WO
Inventors: 竹鼻　実樹
Original assignee: 株式会社菊星
Priority date: 2012-11-08
Filing date: 2013-11-08
Publication date: 2014-05-15
Also published as: JPWO2014073711A1; US20150079139A1

Abstract

持続可能なボリューム感やハリ・コシを毛髪に付与する毛髪処理を実現させるとともに、当該毛髪処理と他の処理（例えば、染毛）とを同時に行うことを可能にする技術を提供する。一次粒子のときの平均粒子径１ｎｍ～１μｍである２２質量％以下の無機粒子２と、油溶性分散剤５と、を含有する毛髪処理剤組成物。

Description

[規則37.2に基づきISAが決定した発明の名称]　毛髪処理剤組成物

　本発明は、毛髪処理剤組成物、ならびにこれを用いる染毛用毛髪処理剤組成物、酸化染毛剤の第１剤、酸化染毛剤の第２剤、洗髪用毛髪処理剤組成物、ヘアトリートメント用毛髪処理剤組成物、パーマ用毛髪処理剤組成物、チオ系加温二浴式パーマ液第１剤、チオ系加温二浴式パーマ液第２剤、シス系加温二浴式パーマ液第１剤、およびシス系加温二浴式パーマ液第２剤に関する。

　生まれつき或いは加齢によって毛髪が細く柔らかくなっている場合や、パーマやヘアカラーリングによって毛髪が損傷している場合には、毛髪からボリューム感やハリ・コシが失われてしまう。さらに、毛髪からハリ・コシが失われてしまうと、毛髪の形状保持力がなくなり、所望の髪型にスタイリングすることが困難となる。

　そこで、毛髪にボリューム感やハリ・コシを与える毛髪処理剤が提案されている。このような毛髪処理剤については、毛髪の表面を被覆するタイプ（以下、「被覆タイプ」）と毛髪を内部から補強するタイプ（以下、「内部補強タイプ」）とに大別することができる。

　被覆タイプの毛髪処理剤としては、例えば、炭粒子を含む増毛着色染色料が提案されている（特許文献１）。また、別の被覆タイプの毛髪処理剤としては、疎水性シリカ粒子と、疎水性シリカ粒子を分散させる非水系分散液（主にエタノール）とを含むヘアスタイリング剤組成物が提案されている（特許文献２）。これらの増毛着色染色料およびヘアスタイリング剤組成物によれば、炭粒子や疎水性シリカ粒子によって毛髪の表面を被覆することにより、毛髪を外部から補強し、ボリューム感やハリ・コシを与えることが可能になる。しかし、上述の増毛着色染色料およびヘアスタイリング剤組成物を用いる場合、毛髪の表面を覆っている炭粒子や疎水性シリカ粒子によってべたつき感やごわつき感を与えてしまう。こうした毛髪の感触面の不快感を解消するために、所定の分子構造のシリコーン化合物を含有するフォーム状頭髪化粧料が提案されている（特許文献３）。このフォーム状頭髪化粧料のように、所定の分子構造のシリコーン化合物を含有する被膜で毛髪を覆うと、べたつき感やごわつき感を生じさせることなく、毛髪にボリューム感やハリ・コシを与えることが可能になる。

　内部補強タイプの毛髪処理剤としては、例えば、１価または２価の金属塩とセリシン加水分解物とを含有する毛髪処理剤が提案されている（特許文献４）。このセリシン加水分解物を含有する毛髪処理剤によれば、絹たんぱく質セリシンの加水分解物を毛髪の内部に浸透させ、毛髪内部でセリシン加水分解物を毛髪組織のケラチンと結合させる。こうしたセリシン加水分解物とケラチンとの結合により、毛髪を内部から補強し、ボリューム感やハリ・コシを与えることが可能になる。また、内部補強タイプの毛髪処理剤の別のものとしては、所定の分子構造のアルコキシシラン化合物を含有する毛髪処理剤が提案されている（特許文献５）。このアルコキシシラン化合物を含有する毛髪処理剤では、アルコキシシラン化合物からシラノール化合物を生成させ、このシラノール化合物を毛髪内部に浸透させ、重合させることにより、毛髪を内部から補強し、ボリューム感やハリ・コシを与えることが可能になる。

特開２００９−７３８２７号公報特開２０１１−２４６３５２号公報特開２００９−２８０５２７号公報特開２００９−１３２６４８号公報特開２００９−１８４９７８号公報

　ところが、上述の被覆タイプの毛髪処理剤では、シャンプーなどで毛髪を洗うと、被覆物（炭粒子や疎水性シリカ粒子やシリコーン化合物を含有する被膜など）が毛髪から剥がれ落ちてしまう。その結果、ボリューム感やハリ・コシを失った元の状態の毛髪に戻ってしまう。すなわち、上述の被覆タイプの毛髪処理剤では、ボリューム感やハリ・コシのある状態で毛髪を保持させることが困難である。

　もっとも、上述の内部補強タイプの毛髪処理剤では、シャンプーなどで毛髪を洗っても、影響を受けにくく、ボリューム感やハリ・コシのある状態の毛髪で保持させることが可能である。しかしながら、上述の内部補強タイプの毛髪処理剤を用いる場合には、毛髪内部において、セリシン加水分解物とケラチンとを結合させる反応や、シラノール化合物の重合反応を行わせるので、これらの反応に適した状態に毛髪を維持させなければならない。そのため、上述の内部補強タイプの毛髪処理剤を用いる場合には、染毛、シャンプー、ヘアトリートメント、およびパーマなどの他の処理と同時に行うことは不可能である。

　上記の問題に鑑みて、本発明の目的は、持続可能なボリューム感やハリ・コシを毛髪に付与する毛髪処理を実現させるとともに、当該毛髪処理と染毛、シャンプー、ヘアトリートメント、またはパーマ処理との同時実施を可能にする技術を提供することにある。

　本発明は、以下に示す毛髪処理剤組成物、ならびにこれを用いる染毛用毛髪処理剤組成物、酸化染毛剤の第１剤、酸化染毛剤の第２剤、洗髪用毛髪処理剤組成物、ヘアトリートメント用毛髪処理剤組成物、パーマ用毛髪処理剤組成物、チオ系加温二浴式パーマ液第１剤、チオ系加温二浴式パーマ液第２剤、シス系加温二浴式パーマ液第１剤、およびシス系加温二浴式パーマ液第２剤である。

［１］　一次粒子のときの平均粒子径１ｎｍ~１μｍである２２質量％以下の無機粒子と、油溶性分散剤と、を含有する毛髪処理剤組成物。

［２］　前記無機粒子が一次粒子および／または平均粒子径５μｍ以下の二次粒子の状態にて前記油溶性分散剤中に分散している無機粒子分散体を含む前記［１］に記載の毛髪処理剤組成物。

［３］　界面活性剤と、水性溶剤と、を含有し、前記無機粒子分散体を含む第１相と、前記水性溶剤を含む第２相とがエマルジョンを形成している前記［２］に記載の毛髪処理剤組成物。

［４］　前記無機粒子の一次粒子または前記無機粒子の平均粒子径５μｍ以下の二次粒子を含むコア部と、前記油溶性分散剤を含むともに前記コア部を包み込むシェル層とを有するコアシェル粒子を含有する前記［１］に記載の毛髪処理剤組成物。

［５］　界面活性剤と、水性溶剤と、を含有し、前記コアシェル粒子が前記水性溶剤中に分散したコロイドを形成している前記［４］に記載の毛髪処理剤組成物。

［６］　前記無機粒子がシリカ粒子である前記［１］~［５］のいずれかに記載の毛髪処理剤組成物。

［７］　浸潤助剤を含有する前記［１］~［６］のいずれかに記載の毛髪処理剤組成物。

［８］　前記［１］~［７］のいずれかに記載の毛髪処理剤組成物と、染毛剤と、を含有する染毛用毛髪処理剤組成物。

［９］　酸化染料を含む第１剤と、前記毛髪処理剤組成物と過酸化水素とを含む第２剤と、を含有する前記［８］に記載の染毛用毛髪処理剤組成物。

［１０］　前記毛髪処理剤組成物と酸化染料とを含む第１剤と、過酸化水素を含む第２剤と、を含有する前記［８］に記載の染毛用毛髪処理剤組成物。

［１１］　前記［１］~［７］のいずれかに記載の毛髪処理剤組成物と、酸化染料と、を含む酸化染毛剤の第１剤。

［１２］　前記［１］~［７］のいずれかに記載の毛髪処理剤組成物と、過酸化水素と、を含む酸化染毛剤の第２剤。

［１３］　前記［１］~［７］のいずれかに記載の毛髪処理剤組成物と、シャンプー剤と、を含有する洗髪用毛髪処理剤組成物。

［１４］　前記［１］~［７］のいずれかに記載の毛髪処理剤組成物と、ヘアトリートメント剤と、を含有するヘアトリートメント用毛髪処理剤組成物。

［１５］　前記ヘアトリートメント剤はシリコーンを含有する前記［１４］に記載のヘアトリートメント用毛髪処理剤組成物。

［１６］　前記［１］~［７］のいずれかに記載の毛髪処理剤組成物と、パーマ剤と、を含有するパーマ用毛髪処理剤組成物。

［１７］　前記毛髪処理剤組成物を含むチオ系加温二浴式パーマ液第１剤と、チオ系加温二浴式パーマ液第２剤と、を含有する前記［１６］に記載のパーマ用毛髪処理剤組成物。

［１８］　チオ系加温二浴式パーマ液第１剤と、前記毛髪処理剤組成物を含むチオ系加温二浴式パーマ液第２剤と、を含有する前記［１６］に記載のパーマ用毛髪処理剤組成物。

［１９］　前記毛髪処理剤組成物を含むシス系加温二浴式パーマ液第１剤と、シス系加温二浴式パーマ液第２剤と、を含有する前記［１６］に記載のパーマ用毛髪処理剤組成物。

［２０］　シス系加温二浴式パーマ液第１剤と、前記毛髪処理剤組成物を含むシス系加温二浴式パーマ液第２剤と、を含有する前記［１６］に記載のパーマ用毛髪処理剤組成物。

［２１］　前記［１］~［７］のいずれかに記載の毛髪処理剤組成物と、還元剤と、を含むチオ系加温二浴式パーマ液第１剤。

［２２］　前記［１］~［７］のいずれかに記載の毛髪処理剤組成物と、酸化剤と、を含むチオ系加温二浴式パーマ液第２剤。

［２３］　前記［１］~［７］のいずれかに記載の毛髪処理剤組成物と、還元剤と、を含むシス系加温二浴式パーマ液第１剤。

［２４］　前記［１］~［７］のいずれかに記載の毛髪処理剤組成物と、酸化剤と、を含むシス系加温二浴式パーマ液第２剤。

　本発明の毛髪処理剤組成物によれば、毛髪内部、具体的にはキューティクルで作られた毛髪表面の鱗状構造の中で、外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた内側のキューティル（具体的には、先端側隣のキューティクル）との間に無機粒子を入り込ませる。そして、本発明の毛髪処理剤組成物によれば、外側のキューティクルと内側のキューティルとの間に無機粒子を定着させることにより、毛髪を補強し、毛髪にボリューム感やハリ・コシを与えることが可能になる。このようにして毛髪内部に定着した無機粒子はシャンプーなどで洗髪しても毛髪内部から放出されにくいので、本発明の毛髪処理剤組成物によれば毛髪をボリューム感やハリ・コシのある状態のまま持続させ易い。

　さらに、本発明の毛髪処理剤組成物によれば、外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた内側のキューティルとの間に無機粒子を導入するという簡単な仕組みにより毛髪を補強可能である。そのため、本発明の毛髪処理剤組成物によれば、染毛剤、シャンプー剤、ヘアトリートメント剤、およびパーマ剤の有無に影響されにくく、また同時に、染毛剤などへの影響も抑制しながら毛髪にボリューム感やハリ・コシを付与することが可能になる。すなわち、本発明の毛髪処理剤組成物によれば、ボリューム感やハリ・コシを付与する毛髪処理と染毛、シャンプー、ヘアトリートメント、またはパーマ処理との同時実施が可能である。

本発明の毛髪処理剤組成物の一実施形態の模式的な説明図である。本発明の毛髪処理剤組成物の他の実施形態の模式的な説明図である。本発明の毛髪処理剤組成物のうちで界面活性剤および水性溶剤を含有する一実施形態の模式的な説明図である。本発明の毛髪処理剤組成物のうちで界面活性剤および水性溶剤を含有する他の実施形態の模式的な説明図である。未処理の頭髪の全体像の電子顕微鏡写真である。未処理の頭髪のキューティクルの拡大像の電子顕微鏡写真である。未処理の頭髪のキューティクル縁部の拡大像の電子顕微鏡写真である。実施例１の毛髪処理剤組成物を用いた毛髪処理後の頭髪の全体像の電子顕微鏡写真である。実施例１の毛髪処理剤組成物を用いた毛髪処理後の頭髪のキューティクルの拡大像の電子顕微鏡写真である。実施例１の毛髪処理剤組成物を用いた毛髪処理後の頭髪のキューティクル縁部の拡大像の電子顕微鏡写真である。実施例２の毛髪処理剤組成物を用いた毛髪処理後の頭髪の全体像の電子顕微鏡写真である。実施例２の毛髪処理剤組成物を用いた毛髪処理後の頭髪のキューティクルの拡大像の電子顕微鏡写真である。実施例２の毛髪処理剤組成物を用いた毛髪処理後の頭髪のキューティクル縁部の拡大像の電子顕微鏡写真である。比較例１の毛髪処理剤組成物を用いた毛髪処理後の頭髪の全体像の電子顕微鏡写真である。比較例１の毛髪処理剤組成物を用いた毛髪処理後の頭髪のキューティクルの拡大像の電子顕微鏡写真である。比較例１の毛髪処理剤組成物を用いた毛髪処理後の頭髪のキューティクル縁部の拡大像の電子顕微鏡写真である。実施例５の染毛用毛髪処理剤組成物を用いた染毛後の頭髪の全体像の電子顕微鏡写真である。実施例５の染毛用毛髪処理剤組成物を用いた染毛後の頭髪のキューティクルの拡大像の電子顕微鏡写真である。実施例５の染毛用毛髪処理剤組成物を用いた染毛後の頭髪のキューティクル縁部の拡大像の電子顕微鏡写真である。実施例８の洗髪用毛髪処理剤組成物を用いた使用例１のシャンプーおよびヘアトリートメント後の頭髪の全体像の電子顕微鏡写真である。実施例８の洗髪用毛髪処理剤組成物を用いた使用例１のシャンプーおよびヘアトリートメント後の頭髪のキューティクルの拡大像の電子顕微鏡写真である。実施例８の洗髪用毛髪処理剤組成物を用いた使用例１のシャンプーおよびヘアトリートメント後の頭髪のキューティクル縁部の拡大像の電子顕微鏡写真である。実施例８の洗髪用毛髪処理剤組成物を用いた使用例２のシャンプーおよびヘアトリートメント後の頭髪の全体像の電子顕微鏡写真である。実施例８の洗髪用毛髪処理剤組成物を用いた使用例２のシャンプーおよびヘアトリートメント後の頭髪のキューティクルの拡大像の電子顕微鏡写真である。実施例８の洗髪用毛髪処理剤組成物を用いた使用例２のシャンプーおよびヘアトリートメント後の頭髪のキューティクル縁部の拡大像の電子顕微鏡写真である。実施例９のヘアトリートメント用毛髪処理剤組成物を用いた使用例３のシャンプーおよびヘアトリートメント後の頭髪の全体像の電子顕微鏡写真である。実施例９のヘアトリートメント用毛髪処理剤組成物を用いた使用例３のシャンプーおよびヘアトリートメント後の頭髪のキューティクルの拡大像の電子顕微鏡写真である。実施例９のヘアトリートメント用毛髪処理剤組成物を用いた使用例３のシャンプーおよびヘアトリートメント後の頭髪のキューティクル縁部の拡大像の電子顕微鏡写真である。実施例１１のパーマ用毛髪処理剤組成物を用いたパーマ処理後の頭髪の全体像の電子顕微鏡写真である。実施例１１のパーマ用毛髪処理剤組成物を用いたパーマ処理後の頭髪のキューティクルの拡大像の電子顕微鏡写真である。実施例１１のパーマ用毛髪処理剤組成物を用いたパーマ処理後の頭髪のキューティクル縁部の拡大像の電子顕微鏡写真である。実施例１２のパーマ用毛髪処理剤組成物を用いたパーマ処理後の頭髪の全体像の電子顕微鏡写真である。実施例１２のパーマ用毛髪処理剤組成物を用いたパーマ処理後の頭髪のキューティクルの拡大像の電子顕微鏡写真である。実施例１２のパーマ用毛髪処理剤組成物を用いたパーマ処理後の頭髪のキューティクル縁部の拡大像の電子顕微鏡写真である。実施例１３のパーマ用毛髪処理剤組成物を用いたパーマ処理後の頭髪の全体像の電子顕微鏡写真である。実施例１３のパーマ用毛髪処理剤組成物を用いたパーマ処理後の頭髪のキューティクルの拡大像の電子顕微鏡写真である。実施例１３のパーマ用毛髪処理剤組成物を用いたパーマ処理後の頭髪のキューティクル縁部の拡大像の電子顕微鏡写真である。実施例１４のパーマ用毛髪処理剤組成物を用いたパーマ処理後の頭髪の全体像の電子顕微鏡写真である。実施例１４のパーマ用毛髪処理剤組成物を用いたパーマ処理後の頭髪のキューティクルの拡大像の電子顕微鏡写真である。実施例１４のパーマ用毛髪処理剤組成物を用いたパーマ処理後の頭髪のキューティクル縁部の拡大像の電子顕微鏡写真である。実施例１７の毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１８の毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１９の毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例２０の毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例２１の毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。比較例３の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例３１の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例３２の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例３３の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例３４の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。被験者Ａの処理前の頭部の写真である。実施例３５の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した後の被験者Ａの頭部の写真である。被験者Ｂの処理前の頭部の写真である。実施例３５の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した後の被験者Ｂの頭部の写真である。未処理の毛束の写真である。比較例４の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例３６の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例３７の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例３８の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例３９の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例４０の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例４１の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例４２の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例４３の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。比較例５の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例４４の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例４５の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例４６の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例４７の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例４８の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例４９の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例５０の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例５１の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。未処理の毛束の写真である。比較例１１のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１２７のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１２８のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１２９のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１３０のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１３１のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１３２のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１３３のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１３４のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。比較例１２のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１３５のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１３６のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１３７のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１３８のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１３９のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１４０のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１４１のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１４２のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１４３のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１４４のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。未処理の毛束の写真である。比較例１３のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１４５のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１４６のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１４７のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１４８のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１４９のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１５０のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１５１のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１５２のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。比較例１４のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１５３のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１５４のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１５５のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１５６のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１５７のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１５８のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１５９のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１６０のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。比較例１５のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１６１のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１６２のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１６３のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１６４のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１６５のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１６６のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１６７のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。実施例１６８のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真である。

　以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。

１．毛髪処理剤組成物：
　本発明の毛髪処理剤組成物は、一次粒子のときの平均粒子径１ｎｍ~１μｍである２２質量％以下の無機粒子と、油溶性分散剤と、を含有するものである。

　本発明に用いる無機粒子は、一次粒子において平均粒子径１ｎｍ~１μｍであるので、いわゆるナノ粒子に特有な凝集性（無機粒子同士が凝集して凝集物が形成され易いという性質）を有する。

　本発明に用いる油溶性分散剤は、無機粒子の凝集を抑制する作用を持つ。本発明では、油溶性分散剤の作用によって無機粒子の凝集が抑制されているので、無機粒子が一次粒子および／または平均粒子径５μｍ以下の二次粒子の状態で保たれ易くなる。

　上述のような、平均粒子径１ｎｍ~１μｍの無機粒子の一次粒子や、無機粒子の平均粒子径５μｍ以下の二次粒子は、毛髪において外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた内側のキューティクル（具体的には先端側隣のキューティクル）との間に入り込むことが可能な大きさである。無機粒子による二次粒子の平均粒子径が５μ以下の場合、本発明の毛髪処理剤組成物を毛髪に塗り付けると、無機粒子の二次粒子が崩壊し、当該二次粒子から平均粒子径１μｍ以下の一次粒子および／または平均粒子径１μｍ以下の二次粒子が形成されていく傾向がある。こうして、本発明の毛髪処理剤組成物では、無機粒子の一次粒子および／または二次粒子が平均粒子径１μｍ以下にて毛髪に塗り込まれていくようになる。そのため、本発明の毛髪処理剤組成物では、無機粒子が外側に露出しているキューティクル縁部とその内側のキューティクルとの間に入り込み易くなる。

　また、本発明に用いる油溶性分散剤は、キューティクルと馴染み易い性質を有する。そのため、本発明に用いる油溶性分散剤は、外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた先端側隣のキューティクルとの間に無機粒子を導入するのを補助する役割を果たす。こうして無機粒子が外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた先端側隣のキューティクルとの間に導入されて定着すると、毛髪を内部から補強し、毛髪にボリューム感やハリ・コシを与えることが可能になる。

　また、本発明の毛髪処理剤組成物では、無機粒子が外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた内側のキューティクルとの間に入り込んだ後であれば、当該無機粒子は凝集して凝集物を形成してもよい。このように、無機粒子の凝集物が外側のキューティクルと内側のキューティクルとの間に挟まれる状態の中で形成されて、この部位に当該凝集物が定着する場合には、毛髪を補強する作用がより高まり、その結果、毛髪にハリ・コシをより良好に付与することが可能になる。このときの無機粒子の凝集力は、毛髪を曲げたりして外力を加えると解けてしまう程度に弱いものである。そのため、本発明によれば、無機粒子の凝集物が外側のキューティクルと内側のキューティクルとに挟まれた状態で定着している場合であっても、毛髪を強固に固め過ぎてしまうことなく、適度に柔らかい状態で保持させることが可能である。

　図１は、本発明の毛髪処理剤組成物の一実施形態の模式的な説明図である。本発明の毛髪処理剤組成物は、図示されているような、無機粒子分散体１を含有するものであってもよい。本実施形態では、無機粒子分散体１は、無機粒子２が一次粒子３および／または平均粒子径５μｍ以下の二次粒子４の状態にて油溶性分散剤５中に分散しているものである。

　図２は、本発明の毛髪処理剤組成物の他の実施形態の模式的な説明図である。本発明の毛髪処理剤組成物は、図示されているような、コアシェル粒子６を含むものであってもよい。コアシェル粒子６は、無機粒子２の一次粒子３または無機粒子２の平均粒子径５μｍ以下の二次粒子４を含むコア部７と、油溶性分散剤５を含むとともにコア部７を包み込むシェル層８とを有するものである。

　また、本発明の毛髪処理剤組成物では、さらに、界面活性剤と、水性溶剤とを含むものであってもよい。

　図３は、本発明の毛髪処理剤組成物のうちで界面活性剤および水性溶剤を含有する一実施形態の模式的な説明図である。図示されているように、本発明の毛髪処理剤組成物では、界面活性剤９と水性溶剤１０を含有する場合、無機粒子分散体１を含む相（第１相１１）と水性溶剤１０を含む相（第２相１２）とがエマルジョンを形成していてもよい。このとき、界面活性剤９は、第１相１１と第２相１２との間に介在してエマルジョンを安定的に保持させる役割を果たす。

　本発明の毛髪処理剤組成物において上述のエマルジョンを形成している場合、連続相は、第１相１１であっても、第２相１２であってもよいが、連続相が第２相１２であることが好ましい。本発明の毛髪処理剤組成物において上述のエマルジョンを形成している場合、連続相が第２相１２であることにより、無機粒子２が一次粒子３および／または平均粒子径５μｍ以下の二次粒子４の状態で保たれ易くなる。その結果として、外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた内側のキューティクルとの間に無機粒子２を導入させ易くなる。

　上述の第１相１１と第２相１２とがエマルジョンを形成している実施形態のものを調製する方法としては、例えば、無機粒子分散体１（例えば、図１を参照）を予め調製しておき、ここに、水性溶剤１０および界面活性剤９を加えて撹拌するとよい。このような方法により、エマルジョンを形成することができる。

　あるいは、第１相１１と第２相１２とがエマルジョンを形成している実施形態のものを調製する別の方法としては、次のものがある。まず、油溶性分散剤５と水性溶剤１０と界面活性剤９とを混合、撹拌し、油溶性分散剤５を含む相と水性溶剤１０を含む相（第２相１２）とのエマルジョン（以下、「プレエマルジョン」）を予め形成しておく。次いで、このプレエマルジョンに無機粒子２を添加し、強く撹拌して、油溶性分散剤５を含む相の中に無機粒子２を混入させる。この方法により、無機粒子分散体１を含む相（第１相１１）を形成することができる。

　このプレエマルジョンを形成する方法は、特に、無機粒子２がシリカ粒子である場合に好適である。無機粒子２がシリカ粒子の場合、シリカ粒子を油溶性分散剤５中に分散させることが困難なことがある。こうしたシリカ粒子を分散させることが困難なときには、上述のようなプレエマルジョンを予め形成しておき、そこにシリカ粒子を添加して強く撹拌するとよい。この方法により、シリカ粒子を油溶性分散剤５に吸着させ、油溶性分散剤５中に強制的に導入し、分散させることが可能になる。

　図４は、本発明の毛髪処理剤組成物のうちで界面活性剤および水性溶剤を含有する他の実施形態の模式的な説明図である。図示されているように、本発明の毛髪処理剤組成物では、界面活性剤９と水性溶剤１０を含有する場合、コアシェル粒子６が水性溶剤１０中に分散しているコロイドを形成していてもよい。このとき、界面活性剤９は、コアシェル粒子６と水性溶剤１０との間に介在してコロイドを安定的に保持させる役割を果たす。

　本発明の毛髪処理剤組成物において界面活性剤９と水性溶剤１０を含有する場合には、水溶性成分（例えば、後述する浸潤助剤、染毛用毛髪処理剤組成物とする場合の過酸化水素など）を添加しても、当該水溶性成分の作用を十分に発現させることが可能になる。

　本発明の毛髪処理剤組成物は、浸潤助剤を含有することが好ましい。本発明に用い得る浸潤助剤とは、毛髪を膨潤させ、無機粒子を外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた内側のキューティクルとの間に導入し易くする役割を果たすものである。そのため、本発明の毛髪処理剤組成物では、浸潤助剤を含有する場合には、無機粒子が外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた内側のキューティクルとの間により確実に導入および定着せることが可能になる。そのため、本発明の毛髪処理剤組成物において浸潤助剤を含有する場合には、毛髪にハリ・コシをより確実に付与することが可能になる。

　なお、上述した性質を有するものであれば、無機粒子、油溶性分散剤、界面活性剤、水性溶剤、浸潤助剤として本発明の毛髪処理剤組成物に使用することができるものとする。

　また、ここまでに述べた本発明の毛髪処理剤組成物に関しては、染毛剤に混合あるいは染毛剤と併用することで染毛用毛髪処理剤組成物として使用することが可能である。また、本発明の毛髪処理剤組成物に関しては、シャンプー剤に混合あるいはシャンプー剤と併用することで洗髪用毛髪処理剤組成物として使用することが可能である。本発明の毛髪処理剤組成物に関しては、ヘアトリートメント剤に混合あるいはヘアトリートメント剤と併用することでヘアトリートメント用毛髪処理剤組成物として使用することが可能である。さらに、本発明の毛髪処理剤組成物に関しては、パーマ剤と混合あるいはパーマ剤と併用することによりパーマ用毛髪処理剤組成物として使用することも可能である（詳しくは後述）。

　以下、本発明の毛髪処理剤組成物に含有される（含有され得る）各成分ついて、より詳しく説明する。

〈無機粒子〉
　本発明に用いる無機粒子としては、シリカ粒子（疎水性シリカ粒子、親水性シリカ粒子）、リン酸カルシウム粒子、炭酸カルシウム粒子、酸化チタン粒子、カーボン粒子、タルク粒子、マイカ粒子、ケイ酸ナトリウム粒子などを挙げることができる。

　本発明に用いる無機粒子の一次粒子のときの平均粒子径は、外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた内側のキューティクルとの間に無機粒子を導入し易くなるという観点から、１ｎｍ~９００ｎｍであることが好ましい。さらに、本発明に用いる無機粒子の一次粒子のときの平均粒子径は、１ｎｍ~５００ｎｍであることがより好ましく、１ｎｍ~５０ｎｍであることが特に好ましい。

　また、本発明では、無機粒子の二次粒子が油溶性分散剤中に分散している場合、当該無機粒子の二次粒子の平均粒子径は、３μｍ以下であることが好ましい。無機粒子の二次粒子の平均粒子径が３μｍ以下である場合には、外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた先端側隣のキューティクルとの間に無機粒子を導入し易くなる。さらに、本発明では、無機粒子の二次粒子が油溶性分散剤中に分散している場合、当該無機粒子の二次粒子の平均粒子径は、２μｍ以下であることがより好ましく、５０ｎｍ~１．５μｍであることが特に好ましく、５０ｎｍ~１．０μｍであることが最も好ましい。

　本明細書にいう平均粒子径とは、平均粒子径が１μｍ以下にて測定される場合には動的散乱法（光子相関法）により測定し、粒径解析法「ＣＯＮＴＩＮ法」を使用して個数分布から導き出した測定値（モード径）である。また、本明細書にいう平均粒子径とは、平均粒子径が１μｍ超にて測定される場合にはレーザー回折法により測定した値（メジアン径）である。

　本発明の毛髪処理剤組成物では、無機粒子が平均粒子径１ｎｍ~１μｍの一次粒子や平均粒子径５μｍ以下の二次粒子にて油溶性分散剤中に分散し易くなるという理由から、無機粒子の含有量は、０．１~２２質量％であることが好ましい。さらに、本発明の毛髪処理剤組成物では、無機粒子の含有量は、０．５~１２質量％であることがより好ましく、１．０~８．０質量％であることが更に好ましく、２．０~７．０質量％であることが特に好ましく、２．０~５．０質量％であることが最も好ましい。

　さらに、本発明に用いる無機粒子としては、シリカ粒子（疎水性シリカ粒子、親水性シリカ粒子）が好ましい。特に、外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた内側のキューティクルとの間に定着し易い性質（キューティクルとの高い親和性）を有するという理由から、本発明に用いる無機粒子としては疎水性シリカ粒子がより好ましい。

　本発明の毛髪処理剤組成物では、無機粒子が疎水性シリカ粒子の場合、外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた内側のキューティクルとの間に、疎水性シリカ粒子を一旦定着させることができる。このようにキューティクル同士の間に疎水性シリカ粒子を一旦定着させると、疎水性シリカ粒子とキューティクルとの高い親和性によって、疎水性シリカ粒子が重なり合ったキューティクル同士の間から毛髪の外部に放出されにくくなる。そのため、本発明の毛髪処理剤組成物では、無機粒子が疎水性シリカ粒子の場合、毛髪をボリューム感やハリ・コシのある状態のまま持続させ易い。

　さらに、本発明の毛髪処理剤組成物では、無機粒子が疎水性シリカ粒子の場合、外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた内側のキューティクルとの間を跨るかたちで、疎水性シリカ粒子や疎水性シリカ粒子の凝集物を定着させることができる。このような形態で疎水性シリカ粒子や疎水性シリカ粒子の凝集物を定着させると、疎水性シリカ粒子とキューティクルとの高い親和性も相まって、重なり合ったキューティクル同士を架橋する状態を作ることができる。こうした架橋状態が作られた場合には、キューティクルの捲れを抑制したり、キューティクルの捲れを修復したりすることが可能になる。そのため、本発明の毛髪処理剤組成物において無機粒子が疎水性シリカ粒子の場合には、毛髪のダメージを抑制したり、毛髪のダメージを修復したりすることが可能になり、また、枝毛などの発生を防止することが可能になる。

　本発明の毛髪処理剤組成物では、特に無機粒子が疎水性シリカ粒子を含む場合に限っては、疎水性シリカ粒子の含有量（毛髪処理剤組成物全体を１００質量％とする場合の含有量）は、０．５~２２質量％であることが好ましい。疎水性シリカ粒子の含有量が０．５~２２質量％である場合には、平均粒子径１ｎｍ~１μｍの一次粒子や平均粒子径５μｍ以下の二次粒子にて油溶性分散剤中に分散し易くなる。さらに、疎水性シリカ粒子の含有量が０．５~２２質量％である場合には、疎水性シリカ粒子が外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた内側のキューティクルとの間に入り込む前に凝集してしまうことを抑制することが可能になる。本発明の毛髪処理剤組成物では、無機粒子が疎水性シリカ粒子を含む場合、疎水性シリカ粒子の含有量は、１．０~１２質量％であることがより好ましく、１．５~８．０質量％であることが特に好ましく、１．５~６．０質量％であることが最も好ましい。

　本発明に用いうる疎水性シリカ粒子としては、例えば、シリカ粒子の表面に現れたヒドロキシル基（−ＯＨ）をジメチルシリル化やトリメチルシリル化などの処理をすることにより得られるものを挙げることができる。ここでは疎水性シリカ粒子の性質についてジメチルシリル化などの処理法を例示して説明するが、もちろん、この説明は、本発明に使用する疎水性シリカ粒子をここで例示した処理法により得られるものに限定することを意味するものではない。

　本発明に使用できる疎水性シリカ粒子の市販品としては、例えば、ＡＥＲＯＳＩＬ−Ｒ９７２、ＡＥＲＯＳＩＬ−Ｒ９７４、ＡＥＲＯＳＩＬ−Ｒ１０４、ＡＥＲＯＳＩＬ−Ｒ１０６、ＡＥＲＯＳＩＬ−Ｒ２０２、ＡＥＲＯＳＩＬ−Ｒ８０５、ＡＥＲＯＳＩＬ−Ｒ８１２、ＡＥＲＯＳＩＬ−Ｒ８１２Ｓ、ＡＥＲＯＳＩＬ−Ｒ８１６、ＡＥＲＯＳＩＬ−Ｒ７２００、ＡＥＲＯＳＩＬ−Ｒ８２００、ＡＥＲＯＳＩＬ−Ｒ９２００、ＡＥＲＯＳＩＬ−Ｒ７１１、ＡＥＲＯＳＩＬ−Ｒ９７２　Ｐｈａｒｍａ（以上、日本アエロジル）、ＶＭ−２２７０　Ａｅｒｏｇｅｌ　Ｆｉｎｅ　Ｐａｒｔｉｃｌｅｓ（ダウ・コーニング）、ＨＤＫ　Ｈ２０００、ＨＤＫ　Ｈ１５、ＨＤＫ　Ｈ１８、ＨＤＫ　Ｈ２０、ＨＤＫ　Ｈ３０（以上、旭化成ワッカーシリコーン）などを挙げることができる。

　本発明に使用できる親水性シリカ粒子の市販品としては、例えば、ＡＥＲＯＳＩＬ−９０、ＡＥＲＯＳＩＬ−１３０、ＡＥＲＯＳＩＬ−１５０、ＡＥＲＯＳＩＬ−２００、ＡＥＲＯＳＩＬ−２５５、ＡＥＲＯＳＩＬ−３００、ＡＥＲＯＳＩＬ−３８０、ＡＥＲＯＳＩＬ−ＯＸ５０、ＡＥＲＯＳＩＬ−ＴＴ６００、ＡＥＲＯＳＩＬ−２００ＳＰ、ＡＥＲＯＳＩＬ−３００ＳＰ、ＡＥＲＯＳＩＬ−２００Ｐｈａｒｍａ、ＡＥＲＯＳＩＬ−３００Ｐｈａｒｍａ、ＡＥＲＯＳＩＬ−３００／３０、ＡＥＲＯＳＩＬ−３００Ｐｈａｒｍａ（以上、日本アエロジル）、ＨＤＫ　Ｎ２０、ＨＤＫ　Ｔ３０（以上、旭化成ワッカーシリコーン）、サイシリア３５０、サイシリア４４５（以上、富士シリシア化学）などを挙げることができる。

〈油溶性分散剤〉
　本発明に用いる油溶性分散剤としては、ポリオール類、および高級アルコールを挙げることができる。

　本発明において油溶性分散剤として用い得るポリオール類としては、例えば、グリセリン、濃グリセリン、ペンチレングリコール、ブチレングリコール、１．３−ブチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エトキシジグリコール、などを挙げることができる。

　本発明において油溶性分散剤として用い得る高級アルコールとしては、例えば、イソステアリン酸、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、デシルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、水添ナタネ油アルコール、ミスチルアルコール、アラキルアルコール、ラウリルアルコール、キミルアルコール、コレステロール、ラノリンアルコール、ヘキシルデカノール、２−オクチルデカノール、セラキルアルコール（モノオレイルグリセリルエーテル）、バチルアルコール（グリセリルモノステアリルエーテル）、フィトステロール（フィトステリン）、水素添加ラノリンアルコール、カプリルアルコール、リノリルアルコール、ＰＯＥステリアルエーテル、ＰＯＥセチルエーテルなどを挙げることができる。

　さらに、本発明に用いる油溶性分散剤として、硬化ナタネ油アルコール、イソステアリン酸硬化ヒマシ油などの植物油類；トリ（カプリル酸／カプリン酸）グリセリル、２−エチルヘキサン酸セチルなどのエステル類；イソプロパノールなどの低級アルコール類；流動パラフィン、流動イソパラフィンなどの炭化水素類；ミツロウなどのワックス類；ラウリン酸、ミリスチン酸、ラウリル酸などの脂肪酸類；シクロペンタシロキサン、ジメチコン、シクロメチコンなどのシリコーン油類；といった各種の油類を挙げることができる。

　本発明に用いる油溶性分散剤としては、毛髪処理剤組成物が水性溶剤および界面活性剤を含む場合において安定したコロイドまたはエマルジョンにできるという理由から、セタノール、ラノリンアルコール、セテアリルアルコール、流動パラフィン、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、イソプロパノール、セタノール、プロピレングリコール、高重合メチルポリシロキサン、ブチレングリコール、グリセリン、親油性ステアリン酸グリセリル、ワセリン、フィトステロール、オクチルデカノール、ミスチルアルコール、デカメチルシクロペンタシロキサン、流動イソパラフィン、シクロテトラシロキサン、ヒマシ油、イソステアリルアルコール、メチルポリシロキサン、イソステアリン酸硬化ヒマシ油イソステアリルアルコール、メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、高重合ポリエチレングリコール、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、高重合ジメチコン−１、２−プロパノール、硬化油、コレステロール、植物性スクワラン、パーム核油、パーム油、ステアリン酸グリコール、ジメチコン、マイクロクリスタリンワックス、ミツロウ、オレイルアルコール、オイレン酸フィトスティル、ＤＰＧ、ベヘニルアルコール、トリ（カプリル・カプリン酸）グリセリル、メチルポリシロキサンからなる群より選ばれる１種以上を含むことが好ましい。さらに、本発明に用いる油溶性分散剤としては、無機粒子（特に、疎水性シリカ粒子が適する）を油溶性分散剤中に良好に分散させた状態での安定したコロイドまたはエマルジョンにできるという理由から、セタノール、ラノリンアルコール、セテアリルアルコール、流動パラフィン、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、イソプロパノール、プロピレングリコール、高重合メチルポリシロキサン、ブチレングリコール、グリセリン、親油性ステアリン酸グリセリル、ワセリン、フィトステロール、オクチルデカノール、ミスチルアルコール、デカメチルシクロペンタシロキサン、流動イソパラフィン、硬化ナタネ油アルコール、からなる群より選ばれる１種以上からなることがより好ましい。

　本発明の毛髪処理剤組成物では、無機粒子分散体を含むエマルジョンを形成している場合（例えば、図３に示されている状態の場合）や、コアシェル粒子が水性溶剤中に分散したコロイドを形成している場合（例えば、図４に示されている状態の場合）には、油溶性分散剤の含有量（毛髪処理剤組成物全体を１００質量％とする場合の含有量）は、０．５５~５０質量％であることが好ましい。油溶性分散剤の含有量が０．５５~５０質量％の場合、エマルジョンやコロイドを安定化させ、これにより外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた内側のキューティクルとの間に無機粒子を導入し易くなる。さらに、本発明の毛髪処理剤組成物では、油溶性分散剤の含有量（毛髪処理剤組成物全体を１００質量％とする場合の含有量）は、１~１０質量％であることがより好ましく、１~５質量％であることが特に好ましく、３~５質量％であることが最も好ましい。

　本発明の毛髪処理剤組成物では、油溶性分散剤がセタノールとラノリンアルコールとを含む場合、油溶性分散剤と水と界面活性剤との混合によりボールベアリング効果を生み出し、その結果として、安定したエマルジョンとなり易くなるので好適である。このボールベアリング効果によって、無機粒子（特に、疎水性シリカ粒子が適する）を内包したミセルを容易に誘導させることができる。

　本発明の毛髪処理剤組成物では、水性溶剤および界面活性剤を含みかつ油溶性分散剤がセタノールとラノリンアルコールとを含む場合、安定したエマルジョンとする観点から、セタノールの含有量が０．５~５％質量以下であることが好ましい。特に、本発明の毛髪処理剤組成物では、油溶性分散剤がセタノールとラノリンアルコールとからなり、かつセタノールの含有量が０．５~５％質量およびラノリンアルコールの含有量が０．０５~０．５質量％であることがより好ましい［但し、上記の含有量（質量％）は毛髪処理剤組成物全体を１００質量％とする］。

〈界面活性剤〉
　本発明に用い得る界面活性剤としては、陰イオン（アニオン）性界面活性剤、陽イオン（カチオン）性界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤を挙げることができる。

　本発明において界面活性剤として用い得る陰イオン（アニオン）性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸ナトリウム（ＮＳソープ、ＳＳ−４０Ｎ、ＫＳソープ、ＯＳソープ、ＦＲ−１４、ＦＲ−２５：花王）、ラウリル硫酸ナトリウム（エマール：花王）、高級アルコール硫酸ナトリウム（エマール：花王）、ラウリル硫酸トリエタノールアミン（エマール：花王）、ラウリル硫酸アンモニウム（ラテムル：花王）、ドデシルベンゼンスルホン酸（ネオペレックス：花王）、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム（ネオペレックス：花王）、ドデシルベンゼンスルホン酸塩（ネオペレックス：花王）、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム（ペレツクス：花王）、ジアルキルスルホンコハク酸ナトリウム（ペレックス：花王）、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム（ペレツクス：花王）、アルカンスルホン酸ナトリウム（ラムテル：花王）、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム（ラムテル：花王）、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸カリウム（エレクトロストリッパーＦ：花王）、アルケニルコハク酸ジカリウム（ラムテルＡＳＫ：花王）、モノアルキル硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩（エマール：花王）、アルキルベンゼンスルホン酸塩、モノアルキルリン酸塩、アルファスルホン脂肪酸エステルナトリウム、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、ポリオキシラウリルエーテル硫酸ナトリウム（ＴＥＸＡＰＯＮ　Ｎ２５　メーカー：ＢＡＳＦジャパン）、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム（エマール、ラテムル：花王）、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム（レベノール、ラテムル）、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン（エマール：花王）、オクタン酸ナトリウム、デカン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ＰＦＯＡ（Ｃ７Ｆ１５ＣＯＯＨ）、ペルフルオロノナン酸、Ｎ−ラウロイルサルコシンナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、アルファスルホ脂肪酸メチルエステル塩、１−ヘキサンスルホン酸ナトリウム、１−オクタンスルホン酸ナトリウム、１−デカンスルホン酸ナトリウム、１−ドデカンスルホン酸ナトリウム、ペルフルオロブタンスルホン酸、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸ナトリウム、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ＤＢＳ、ナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム、ナフタレントリスルホン酸三ナトリウム、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ＰＦＯＳ（Ｃ８Ｆ１７ＳＯ３Ｈ）、ミリスチル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェノールスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルリン酸、ラウリルリン酸ナトリウム、ラウリルリン酸カリウムなどを挙げることができる。

　本発明において界面活性剤として用い得る陽イオン（カチオン）性界面活性剤としては、例えば、ココナットアミンアセテート（アセタミン２４：花王）、ステアリルアミンアセテート（アセタミン８６：花王）などのアルキルアミン塩；ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド（コータミン２４Ｐ：花王）、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド（コータミン８６Ｐ　コンク：花王）、セチルトリメチルアンモニウムクロライド（コータミン６０Ｗ：花王）、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド（コータミン８６Ｗ：花王）、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド（コータミンＤ８６Ｐ：花王）、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド（サニゾールＣ、サニゾールＢ−５０：花王）などの第四級アンモニウム塩などを挙げることができる。

　本発明において界面活性剤として用い得る非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル（エマルゲン：花王）、ポリオキシエチレンセチルエーテル（エマルゲン：花王）、ポリオキシエチレンステアリルエーテル（エマルゲン：花王）、ポリオキシエチレンオレイルエーテル（エマルゲン：花王）、ポリオキシエチレンアルキルエーテル（エマルゲン：花王）、ポリオキシミリスチルエーテル（エマルゲン：花王）、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル（エマルゲン：花王）、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル（エマルゲン：花王）、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル（エマルゲン：花王）、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル（ラテムル：花王）、ソルビタン脂肪酸エステル（レオドール、エマゾール：花王）、ソルビタンモノラウレート（レオドール：花王）、ソルビタンモノパルミテート（レオドール：花王）、ソルビタンモノステアレート（レオドール：花王）、ソルビタンジステアレート（レオドール：花王）、ソルビタントリステアレート（レオドール：花王）、ソルビタンモノオレエート（レオドール：花王）、ソルビタントリオレエート（レオドール：花王）、ソルビタンモノラウレート（レオドールスーパーＳＰ−Ｌ１０：花王）、ソルビタンモノステアレート（レオドール：花王）、ソルビタンモノオレエート（レオドール：花王）、ソルビタンセスキオレエート（レオドール：花王）、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル（レオドール：花王）、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート（レオドール：花王）、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート（レオドール：花王）、ポリオキシソルビタンモノステアレート（レオドール：花王）、ポリオキシソルビタントリステアレート（レオドール：花王）、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート（レオドール：花王）、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート（レオドール：花王）、ポリオキシエチレンソルビタントリイソステアレート（レオドール：花王）、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート（レオドールスーパー：花王）、テトラオイレン酸ポリオキシエチレンソルビット（レンドール：花王）、グリセリン脂肪酸エステル（レオドール：花王）、グリセロールモノステアレート（レオドール：花王）、グリセロールモノオレエート（レオドール：花王）、自己乳酸型グリセロールモノステアレート（レオドール：花王）、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル（エマノーン：花王）、ポリエチレングリコールモノラウレート（レオドール：花王）、ポリエチレングリコールモノステアレート（レオドール：花王）、ポリエチレングリコールジステアレート（レオドール：花王）、ポリエチレングリコールモノオレエート（レオドール：花王）、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油（エマノーン：花王）、ポリオキシエチレンアルキルアミン（アミート：花王）、アルキルアルカノールアミド（アミノーン：花王）、しょ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、脂肪酸時エタノールアミド、アルキルモノグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンゾルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ラウリン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ノノキシノール、ノノキシノール−９、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンヘキシタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルポリエチレングリコール、ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、コカミドＤＥＡ、オクチルグルコシド、デシルグルコシド、ラウリルグルコシドなどを挙げることができる。

　本発明において界面活性剤として用い得る両性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミノ脂肪酸ナトリウム、アルキルベタイン（アンヒトール：花王）、アルキルアミンオキサイド（アンヒトール：花王）、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタイン、アルキルアミンオキシド、ラウリルベタイン（アンヒトール：花王）、ステアリルベタイン（アンヒトール：花王）、２−アルキル−Ｎ−カルボキシメチル−Ｎ−ヒドロキシエチルイソダゾリニウムベタイン（アンヒトール：花王）、ラウリルジメチルアミンオキサイド（アンヒトール：花王）、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、オクタデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、２−アルキル−Ｎ−カルボキシメチル−Ｎ−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルメチル−β−アラニン、ラウリルジメチルアミンＮ−オキシド、オレイルジメチルアミンＮ−オキシドなどを挙げることができる。

　本発明の毛髪処理剤組成物において界面活性剤を用いる場合、先に列挙した各種界面活性剤を１種類のみ使用しても、あるいは２種以上を組み合わせて用いてもよい。また、先に列挙した各種界面活性剤は、油溶性分散剤や水性溶剤との相性なども考慮しつつ適宜選択するとよい。

〈水性溶剤〉
　本発明に用い得る水性溶剤としては、例えば、水、または、水と添加剤（例えば、ｐＨ調整剤、防腐剤、キレート剤）とを含む液などを挙げることができる。

　本発明において水性溶剤に用い得るｐＨ調整剤としては、例えば、トリエタノールアミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、グリコール酸などを挙げることができる。

　本発明の毛髪処理剤組成物では、水性溶剤のｐＨは３~１０であることが好ましく、さらに５~１０であることがより好ましい。本発明の毛髪処理剤組成物において水性溶剤のｐＨは３~１０である場合、毛髪を膨潤させることにより外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた内側のキューティクルとの間に無機粒子を導入し易くなる。さらに、本発明の毛髪処理剤組成物では、水性溶剤のｐＨは５~１０であることがより好ましく、５．５~９．８であることが最も好ましい。

　本発明において水性溶剤に用い得る防腐剤としては、例えば、リン酸、サリチル酸、パラベン類、フェノキシエタノールなどを挙げることができる。

　本発明において水性溶剤に用い得るキレート剤としては、例えば、ヒドロキシエタンホスホン酸、エデト酸塩、クエン酸などを挙げることができる。

〈浸潤助剤〉
　本発明に用い得る浸潤助剤としては、例えば、アルカリ剤、シリコーンオイル、ミネラルオイル、植物系オイル、動物系オイルを挙げる。なお、下記で列挙する浸潤助剤の中には、油溶性分散剤として機能し得る場合もある。このような場合には、油溶性分散剤が浸潤助剤としての役割も果たし得るものとして考えることとする。

　本発明において浸潤助剤として用い得るアルカリ剤としては、例えば、強アンモニア水、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、炭酸水素アンモニウム、塩化アンモニウムなどを挙げることができる。

　本発明において浸潤助剤として用い得るシリコーンオイルとしては、例えば、メチルフェニルシリコーンオイル、環状ジメチルシリコーンオイル、（アクリレーツ／アクリル酸トリデシル／メタクリル酸トリエトキシシリルプロピル／メタクリル酸ジメチコン）コポリマー、メチコン、ハイドロゲンジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン、トリエトキシカプリリルシラン、ジメチコン、シクロペンタシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、ジメチコノール、アモジメチコン、アミノプロピルジメチコン、シメチコンなどを挙げることができる。

　本発明において浸潤助剤として用い得るミネラルオイルとしては、例えば、軽質流動パラフィン、流動パラフィン、ワセリン、セレシン、固形パラフィン、マイクロクリスタリンワックスなどを挙げることができる。

　本発明において浸潤助剤として用い得る植物系オイルとしては、例えば、ひまし油（キャスターオイル）、桐油、ナンヨウアブラギリ油（ヤトロファ油）、烏臼油、亜麻仁油（フラックスシードオイル、リンシードオイル）、ショートニング、サラダ油、白絞油、コーン油、大豆油、ごま油（セサミオイル）、菜種油（キャノーラ油）、サフラワー油（ベニバナ油）、ひまわり油、こめ油、糠油、椿油、パーム油、パーム核油、ヤシ油（コプラ油）、綿実油、麻実油（ヘンプオイル）、葡萄油、けし油（ポピーシードオイル）、カラシ油、小麦胚芽油、月見草油、紫蘇油、荏油、榧油、杏仁油（アプリコット核油）、アケビ油（アケビ種子油）、山茶花油（茶梅油）、茶油、胡桃油、白樺油、大風子油、巴豆油、ニクズク油、オリーブオイル、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、アボカドオイル、ヘーゼルナッツオイル、グレープシードオイル、ローレルオイル（月桂樹実油）、マカダミアナッツオイル、アルガンオイル、パンプキンシードオイル、ペカンナッツオイル、ピスタチオオイル、ホホバオイル、カカオバター、ボリジオイル（ルリジサ種子油）、シアバター、ババスオイル、バオバブオイル、メロンシードオイル、マンゴバター、サルバター、コクムバター、メドウフォーム油、コーヒー豆油、マルーラナッツオイル、ブロッコリーシードオイル、モモ核油、チェリー核油、クランベリーシードオイル、ざくろの種油、ククイナッツオイル、ニーム油（マルゴーサ油）、キウイフルーツシードオイル、ローズヒップオイル、シーバクソン（ウミクロウメモドキ種子油）、モンゴンゴオイル、油瀝青油、チンク油、密陀油、木蝋、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、精油（エッセンシャル・オイル）などを挙げることができる。

　本発明において浸潤助剤として用い得る動物系オイルとしては、例えば、ラード、ヘット（牛脂）、骨脂、骨油、魚油、鶏油、鴨油、鵞鳥油、蛹油、蟹油、馬油、ラノリン（ウールグリース）、シュマルツ、バター、エミューオイル、蘇油（酥油）、ギー、馬油、鯨油、イルカ油、ミンクオイル（スクワラン）、卵黄油、肝油、鮫油、牛脚油、蜜蝋などを挙げることができる。

２．染毛用毛髪処理剤：
　本発明の染毛用毛髪処理剤組成物は、上述した毛髪処理剤組成物（「１．毛髪処理剤組成物」の欄にいう「本発明の毛髪処理剤組成物」）と、染毛剤とを含有するものである。本発明の染毛用毛髪処理剤組成物では、ボリューム感やハリ・コシを与える毛髪処理と染毛とを同時に行うことが可能になる。

　本発明の染毛用毛髪処理剤組成物に用い得る染毛剤としては、一般に、アルカリ性酸化染毛剤、酸性酸化染毛剤、非酸化染毛剤、酸性染料（ヘアマニキュア）、ＨＣ染料、塩基性染料、およびヘナと呼ばれているものを挙げることができる。酸化染毛剤は、酸化染料を含む第１剤と、過酸化水素を含む第２剤とを含有する２剤型である。酸化染毛剤には、酸化染料を毛髪内部に浸潤させるのを促す成分が含まれている。本発明の染毛用毛髪処理剤組成物の一実施形態では、染毛剤に含まれる浸潤を促す成分の作用を、無機粒子が重なり合っているキューティクル同士の間に導入されていく現象にも利用することが可能である。この染毛剤に含まれる浸潤を促す成分の作用により、無機粒子が毛髪内部により確実に導入され、その結果、ボリューム感やハリ・コシをより確実に付与することが可能になる。また、ここで用いうる染毛剤としては、本発明の毛髪処理剤組成物の成分を利用して染色可能な、色素（例えば、黒４０１号）や化合物などであってもよい。

　本発明の染毛用毛髪処理剤組成物を毛髪に塗布する際には、無機粒子のチクソトロピー性に起因した作用により、染毛剤に含まれている刺激性成分（頭皮に滲みると刺激や痛みを感じさせる成分）が頭皮の痛点に影響を及ぼし難くなる。その結果として、頭皮に刺激や痛みが生じ難くなる。

　本発明の染毛用毛髪処理剤組成物では、酸化染料を含む第１剤と、毛髪処理剤組成物と過酸化水素とを含む第２剤と、を含有するものであることが好ましい。酸化染料を含む第１剤と、毛髪処理剤組成物と過酸化水素とを含む第２剤とを含有するものである場合、過酸化水素による毛髪の膨潤作用を有効に利用することが可能になり、また、頭皮への刺激や痛みをより確実に抑制することが可能になる。

　また、上述した毛髪処理剤組成物（「１．毛髪処理剤組成物」の欄にいう「本発明の毛髪処理剤組成物」）と酸化染料とを含む酸化染毛剤の第１剤（本発明の酸化染毛剤の第１剤）としてもよい。当該酸化染毛剤の第１剤に、別途で用意した酸化染毛剤の第２剤を適宜組み合わせることにより、染毛することが可能となる。

　あるいは、上述した毛髪処理剤組成物（「１．毛髪処理剤組成物」の欄にいう「本発明の毛髪処理剤組成物」）と過酸化水素とを含む酸化染毛剤の第２剤（本発明の酸化染毛剤の第２剤）としてもよい。当該酸化染毛剤の第２剤に、別途で用意した酸化染毛剤の第１剤を適宜組み合わせることにより、染毛することが可能となる。

　さらに、この形態の染毛用毛髪処理剤組成物では、毛髪処理剤組成物は、無機粒子が一次粒子および／または平均粒子径５μｍ以下の二次粒子の状態にて油溶性分散剤中に分散している無機粒子分散体と、界面活性剤と、水性溶剤とを含有するとともに、無機粒子分散体を含む第１相と、水性溶剤を含む第２相とがエマルジョンを形成しているものであることが好ましい（なお、上述の本発明の酸化染毛剤の第１剤および本発明の酸化染毛剤の第２剤の場合も該当し得る）。このように毛髪処理剤組成物がエマルジョンを形成している実施形態では、毛髪処理剤組成物の第２相に含まれる水性溶剤に過酸化水素がよく馴染むので、過酸化水素によって毛髪を膨潤させる作用が十分に発現可能となる。その結果、外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた内側のキューティクルとの間に、無機粒子を良好に導入可能となる。

　あるいは、この形態の染毛用毛髪処理剤組成物では、毛髪処理剤組成物は、コアシェル粒子と、界面活性剤と、水性溶剤とを含有するとともに、コアシェル粒子が水性溶剤中に分散したコロイドを形成しているものであることが好ましい（なお、上述の本発明の酸化染毛剤の第１剤および本発明の酸化染毛剤の第２剤の場合も該当し得る）。なお、ここでいうコアシェル粒子とは、無機粒子の一次粒子または無機粒子の平均粒子径５μｍ以下の二次粒子を含むコア部と油溶性分散剤を含むともにコア部を包み込むシェル層とを有するもののことをいう。このように毛髪処理剤組成物がコロイドを形成している実施形態では、毛髪処理剤組成物の水性溶剤に過酸化水素がよく馴染むので、過酸化水素によって毛髪を膨潤させる作用が十分に発現可能となる。その結果、外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた内側のキューティクルとの間に、無機粒子を良好に導入可能となる。

　本発明の染毛用毛髪処理剤組成物において、上述した２剤型の場合の具体的な一実施形態としては、毛髪処理剤組成物（「１．毛髪処理剤組成物」の欄にいう「本発明の毛髪処理剤組成物」）と過酸化水素とを混ぜ合わせて第２剤とし、この第２剤に市販の酸化染毛剤の第１剤（酸化染料を含む）を組み合わせたものを挙げることができる。このとき、第２剤には、ｐＨ調整剤やキレート剤などの他の成分を適宜添加してもよい。このように、本発明の染毛用毛髪処理剤組成物では、市販の酸化染毛剤に毛髪処理剤組成物を組み合わせるという非常に簡便な取り扱いにより、染毛とボリューム感やハリ・コシの付与とを同時に行うことが可能になる。

　また、本発明の染毛用毛髪処理剤組成物では、毛髪処理剤組成物（「１．毛髪処理剤組成物」の欄にいう「本発明の毛髪処理剤組成物」）と酸化染料を含む第１剤と、過酸化水素を含む第２剤と、を含有するものであってもよい。このような２剤型の場合の具体的な一実施形態としては、毛髪処理剤組成物（「１．毛髪処理剤組成物」の欄にいう「本発明の毛髪処理剤組成物」）と酸化染料とを混ぜ合わせて第１剤とし、この第１剤に市販の第２剤（過酸化水素を含む）を組み合わせたものを挙げることができる。

３．洗髪用毛髪処理剤組成物：
　本発明の洗髪用毛髪処理剤組成物は、上述した毛髪処理剤組成物（「１．毛髪処理剤組成物」の欄にいう「本発明の毛髪処理剤組成物」）と、シャンプー剤とを含有するものである。本発明の洗髪用毛髪処理剤組成物では、ボリューム感やハリ・コシを与える毛髪処理と洗髪（シャンプー）とを同時に行うことが可能になる。ここで用いうるシャンプー剤としては、石鹸系シャンプー、高級アルコール系シャンプー、アミノ酸系シャンプーに分類されるものを挙げることができる。

　本発明の洗髪用毛髪処理剤組成物の一実施形態としては、毛髪処理剤組成物（「１．毛髪処理剤組成物」の欄にいう「本発明の毛髪処理剤組成物」）と市販のシャンプー剤とを混ぜ合わせたものを挙げることができる。このように、本発明の洗髪用毛髪処理剤組成物では、市販のシャンプー剤に毛髪処理剤組成物を組み合わせるという非常に簡便な取り扱いにより、洗髪（シャンプー）とボリューム感やハリ・コシの付与とを同時に行うことが可能になる。

　本発明の洗髪用毛髪処理剤組成物では、毛髪処理剤組成物は、無機粒子分散体と、界面活性剤と、水性溶剤とを含有するとともに、無機粒子分散体を含む第１相と、水性溶剤を含む第２相とがエマルジョンを形成しているものであることが好ましい。なお、ここでいう無機粒子分散体とは、無機粒子が一次粒子および／または平均粒子径５μｍ以下の二次粒子の状態にて油溶性分散剤中に分散しているもののことをいう。このように毛髪処理剤組成物がエマルジョンを形成している実施形態では、外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた内側のキューティクルとの間に良好に無機粒子を導入可能となる。

　あるいは、本発明の洗髪用毛髪処理剤組成物では、毛髪処理剤組成物は、コアシェル粒子と、界面活性剤と、水性溶剤とを含有するとともに、コアシェル粒子が水性溶剤中に分散したコロイドを形成しているものであることが好ましい。なお、ここでいうコアシェル粒子とは、無機粒子の一次粒子または無機粒子の平均粒子径５μｍ以下の二次粒子を含むコア部と油溶性分散剤を含むともにコア部を包み込むシェル層とを有するもののことをいう。このように毛髪処理剤組成物がコロイドを形成している実施形態では、外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた内側のキューティクルとの間に良好に無機粒子を導入可能となる。

４．ヘアトリートメント用毛髪処理剤組成物：
　本発明のヘアトリートメント用毛髪処理剤組成物は、上述した毛髪処理剤組成物（「１．毛髪処理剤組成物」の欄にいう「本発明の毛髪処理剤組成物」）と、ヘアトリートメント剤とを含有するものである。本発明のヘアトリートメント用毛髪処理剤組成物では、ボリューム感やハリ・コシを与える毛髪処理とヘアトリートメントとを同時に行うことが可能になる。ここで用いうるトリートメント剤としては、非カチオン系トリートメント、カチオン系トリートメントに分類されるものを挙げることができる。

　本発明のヘアトリートメント用毛髪処理剤組成物に用い得るヘアトリートメント剤には、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアパックと称されるものも含まれることとする。

　本発明のヘアトリートメント用毛髪処理剤組成物の一実施形態としては、毛髪処理剤組成物（「１．毛髪処理剤組成物」の欄にいう「本発明の毛髪処理剤組成物」）と市販のヘアトリートメント剤とを混ぜ合わせたものを挙げることができる。このように、本発明のヘアトリートメント用毛髪処理剤組成物では、市販のヘアトリートメント剤に毛髪処理剤組成物を組み合わせるという非常に簡便な取り扱いにより、ヘアトリートメントとボリューム感やハリ・コシの付与とを同時に行うことが可能になる。

　本発明のヘアトリートメント用毛髪処理剤組成物では、毛髪処理剤組成物は、無機粒子分散体と、界面活性剤と、水性溶剤とを含有するとともに、無機粒子分散体を含む第１相と、水性溶剤を含む第２相とがエマルジョンを形成しているものであることが好ましい。なお、ここでいう無機粒子分散体とは、無機粒子が一次粒子および／または平均粒子径５μｍ以下の二次粒子の状態にて油溶性分散剤中に分散しているもののことをいう。このように毛髪処理剤組成物がエマルジョンを形成している実施形態では、外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた内側のキューティクルとの間に良好に無機粒子を導入可能となる。

　あるいは、本発明のヘアトリートメント用毛髪処理剤組成物では、毛髪処理剤組成物は、コアシェル粒子と、界面活性剤と、水性溶剤とを含有するとともに、コアシェル粒子が水性溶剤中に分散したコロイドを形成しているものであることが好ましい。なお、ここでいうコアシェル粒子とは、無機粒子の一次粒子または無機粒子の平均粒子径５μｍ以下の二次粒子を含むコア部と油溶性分散剤を含むともにコア部を包み込むシェル層とを有するもののことをいう。このように毛髪処理剤組成物がコロイドを形成している実施形態では、外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた内側のキューティクルとの間に良好に無機粒子を導入可能となる。

　本発明のヘアトリートメント用毛髪処理剤組成物では、ハリ・コシの付与や毛髪の立ち上がりをより良好にできる観点から、ヘアトリートメント剤はシリコーンを含有することが好ましい。

５．パーマ用毛髪処理剤組成物：
　本発明のパーマ用毛髪処理剤組成物は、上述した毛髪処理剤組成物（「１．毛髪処理剤組成物」の欄にいう「本発明の毛髪処理剤組成物」）と、パーマ剤とを含有するものである。本発明のパーマ用毛髪処理剤組成物では、ボリューム感やハリ・コシを与える毛髪処理とパーマ処理とを同時に行うことが可能になる。

　本発明のパーマ用毛髪処理剤組成物は、毛髪処理剤組成物を含むチオ系加温二浴式パーマ液第１剤とチオ系加温二浴式パーマ液第２剤とを含有するものや、チオ系加温二浴式パーマ液第１剤と毛髪処理剤組成物を含むチオ系加温二浴式パーマ液第２剤とを含有するものであってもよい。

　あるいは、本発明のパーマ用毛髪処理剤組成物は、毛髪処理剤組成物を含むシス系加温二浴式パーマ液第１剤とシス系加温二浴式パーマ液第２剤とを含有するものや、シス系加温二浴式パーマ液第１剤と毛髪処理剤組成物を含むシス系加温二浴式パーマ液第２剤とを含有するものであってもよい。

　本発明のパーマ用毛髪処理剤組成物に用いるパーマ剤としては、上述のチオ系加温二浴式パーマ剤やシス系加温二浴式パーマ剤の他にも、チオ系コールド二浴式パーマ剤、シス系コールド二浴式パーマ剤、チオ系コールド一浴式パーマ剤、チオ系第１剤用事調製発熱二浴式パーマ剤、チオ系コールド二浴式縮毛矯正剤、チオ系加温二浴式縮毛矯正剤、チオ系高温整髪用アイロンを使用する加温二浴式縮毛矯正剤、サルファイト系パーマ剤、システアミン系パーマ剤、ブチロラクトンチオール系パーマ剤［例えば、スピエラ（登録商標）（昭和電工）］、チオグリセリン系パーマ剤などを挙げることができる。

　本発明のパーマ用毛髪処理剤組成物の一実施形態としては、毛髪処理剤組成物（「１．毛髪処理剤組成物」の欄にいう「本発明の毛髪処理剤組成物」）と市販のパーマ剤とを混ぜ合わせたものを挙げることができる。このように、本発明のパーマ用毛髪処理剤組成物では、市販のパーマ剤に毛髪処理剤組成物を組み合わせるという非常に簡便な取り扱いにより、パーマ処理とボリューム感やハリ・コシの付与とを同時に行うことが可能になる。

　また、上述した毛髪処理剤組成物（「１．毛髪処理剤組成物」の欄にいう「本発明の毛髪処理剤組成物」）と還元剤とを含むチオ系加温二浴式パーマ液第１剤（本発明のチオ系加温二浴式パーマ液第１剤）としてもよい。当該チオ系加温二浴式パーマ液第１剤に、別途で用意したチオ系加温二浴式パーマ液第２剤を適宜組み合わせることにより、パーマ処理が可能となる。

　本発明のチオ系加温二浴式パーマ液第１剤に用い得る還元剤としては、チオグリコール酸塩、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸モノエタノールアミンなどを挙げることができる。本発明のチオ系加温二浴式パーマ液第１剤においては、還元剤として先に列挙した物質を１種類のみ用いても、あるいは２種類以上を組み合わせて用いてもよい。

　本発明のチオ系加温二浴式パーマ液第１剤においては、アルカリ剤（例えば、強アンモニア水、モノエタノールアミン、炭酸水素アンモニウム）、キレート剤、ジチオグリコール酸、コンディショニング剤、香料などを適宜含んでいてもよいものとする。

　あるいは、上述した毛髪処理剤組成物（「１．毛髪処理剤組成物」の欄にいう「本発明の毛髪処理剤組成物」）と酸化剤とを含むチオ系加温二浴式パーマ液第２剤（本発明のチオ系加温二浴式パーマ液第２剤）としてもよい。当該チオ系加温二浴式パーマ液第２剤に、別途で用意したチオ系加温二浴式パーマ液第１剤を適宜組み合わせることにより、パーマ処理が可能となる。

　本発明のチオ系加温二浴式パーマ液第２剤に用い得る酸化剤としては、過酸化水素、臭素酸塩、臭素酸カリウム、臭素酸塩ナトリウムなどを挙げることができる。

　本発明のチオ系加温二浴式パーマ液第２剤においては、キレート剤、ｐＨ調整剤（例えば、リン酸塩、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム）、コンディショニング剤、香料などを適宜含んでいてもよいものとする。

　さらに、上述した毛髪処理剤組成物（「１．毛髪処理剤組成物」の欄にいう「本発明の毛髪処理剤組成物」）と還元剤とを含むシス系加温二浴式パーマ液第１剤（本発明のシス系加温二浴式パーマ液第１剤）としてもよい。当該シス系加温二浴式パーマ液第１剤に、別途で用意したシス系加温二浴式パーマ液第２剤を適宜組み合わせることにより、パーマ処理が可能となる。

　本発明のシス系加温二浴式パーマ液第１剤に用い得る還元剤としては、システイン（例えば、ＤＬ−システイン塩酸塩、ＤＬ−システィン塩酸塩、Ｌ−システィン、Ｌ−システィン塩酸塩、アセチルシスティン）を挙げることができる。本発明のシス系加温二浴式パーマ液第１剤においては、還元剤として先に列挙した各種のシステインを１種類のみ用いても、あるいは２種類以上を組み合わせて用いてもよい。

　本発明のシス系加温二浴式パーマ液第１剤においては、アルカリ剤（例えば、強アンモニア水、モノエタノールアミン、炭酸水素アンモニウム）、キレート剤、ジチオグリロール酸、コンディショニング剤、香料などを適宜含んでいてもよいものとする。

　あるいは、上述した毛髪処理剤組成物（「１．毛髪処理剤組成物」の欄にいう「本発明の毛髪処理剤組成物」）と酸化剤とを含むシス系加温二浴式パーマ液第２剤（本発明のシス系加温二浴式パーマ液第２剤）としてもよい。当該シス系加温二浴式パーマ液第２剤に、別途で用意したシス系加温二浴式パーマ液第１剤を適宜組み合わせることにより、パーマ処理が可能となる。

　本発明のシス系加温二浴式パーマ液第２剤に用い得る酸化剤としては、過酸化水素、臭素酸塩、臭素酸カリウム、臭素酸塩ナトリウムなどを挙げることができる。

　本発明のシス系加温二浴式パーマ液第２剤においては、キレート剤、ｐＨ調整剤（例えば、リン酸塩、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム）、コンディショニング剤、香料などを適宜含んでいてもよいものとする。

　本発明のパーマ用毛髪処理剤組成物では、毛髪処理剤組成物は、無機粒子分散体と、界面活性剤と、水性溶剤とを含有するとともに、無機粒子分散体を含む第１相と、水性溶剤を含む第２相とがエマルジョンを形成しているものであることが好ましい（なお、上述の本発明のチオ系加温二浴式パーマ液第１剤、本発明のチオ系加温二浴式パーマ液第２剤、本発明のシス系加温二浴式パーマ液第１剤、および本発明のシス系加温二浴式パーマ液第２剤の場合も該当し得る）。なお、ここでいう無機粒子分散体とは、無機粒子が一次粒子および／または平均粒子径５μｍ以下の二次粒子の状態にて油溶性分散剤中に分散しているもののことをいう。このように毛髪処理剤組成物がエマルジョンを形成している実施形態では、外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた内側のキューティクルとの間に良好に無機粒子を導入可能となる。

　あるいは、本発明のパーマ用毛髪処理剤組成物では、毛髪処理剤組成物は、コアシェル粒子と、界面活性剤と、水性溶剤とを含有するとともに、コアシェル粒子が水性溶剤中に分散したコロイドを形成しているものであることが好ましい（なお、上述の本発明のチオ系加温二浴式パーマ液第１剤、本発明のチオ系加温二浴式パーマ液第２剤、本発明のシス系加温二浴式パーマ液第１剤、および本発明のシス系加温二浴式パーマ液第２剤の場合も該当し得る）。なお、ここでいうコアシェル粒子とは、無機粒子の一次粒子または無機粒子の平均粒子径５μｍ以下の二次粒子を含むコア部と油溶性分散剤を含むともにコア部を包み込むシェル層とを有するもののことをいう。このように毛髪処理剤組成物がコロイドを形成している実施形態では、外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた内側のキューティクルとの間に良好に無機粒子を導入可能となる。

　以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

（１）材料：
　下記の実施例および比較例においては、下記の材料を用いた。

（１−１）シリカ粒子：
　アエロジルＲ８１２（ＡＥＲＯＳＩＬ　Ｒ８１２、エボニック、平均粒子径７ｎｍ）

（１−２）油溶性分散剤：
　セタノール（高級アルコール工業）
　ラノリンアルコール（ＳＵＰＥＲ　ＨＡＲＴＯＬＡＮ、クローダジャパン）
　セトステアリルアルコール（高級アルコール工業）
　ステアリルアルコール（カルコール８６８８、花王）
　ステアリン酸（ＮＡＡ−１７３Ｋ、日油）
　硬化ナタネ油アルコール（アルコール　Ｎｏ．２０−Ｂ、高級アルコール工業）

（１−３）界面活性剤：
　ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム（ＴＥＸＡＰＯＮＮ２５、ＢＡＳＦジャパン）
　ラウリルグリコール酢酸Ｎａ（ビューライト　ＳＨＡＡ、三浦化成工業）

（１−４）ｐＨ調整剤：
　トリエタノールアミン（商品名：高純度トリエタノールアミン（ＴＥＡ−９９）、製造元：三井化学株式会社）
　リン酸水素二ナトリウム（特級リン酸水素２ナトリウム（無水）、キシダ化学）
　リン酸（特級　リン酸、キシダ化学）

（１−５）キレート剤：
　ヒドロキシエタンジホスホン酸（ＴＵＲＰＩＮＡＬ　ＳＬ、コグニスジャパン）

（１−６）防腐剤：
　サルチル酸（サリチル酸、吉冨製薬）

（１−７）染毛剤：
（１−７−１）酸化染毛剤：
　商品名：ウエラ　コレストンパーフェクトＪ　６明度・ブラック（６／０）（Ｐ＆Ｇ）（第１剤）
　商品名：インフィットイルミアント（インターナショナル・トイレツリース）（第１剤）
　商品名：ウエロキソンパーフェクト（Ｐ＆Ｇ）（第２剤）
（１−７−２）酸性染料：
　商品名：ウエラ　カラーフレッシュバック　ブラック０（Ｐ＆Ｇ）
（１−７−３）ＨＣ・塩基性染料：
　商品名：「ＢＣヘアカラートリートメントＢＬ」（ふんわり仕上がるカラートリートメント）（メディコス製薬株式会社）

（１−８）シャンプー剤：
（１−８−１）石鹸系シャンプー：
　商品名：ココナチュラシャンプー（菊星）
（１−８−２）高級アルコール系シャンプー：
　商品名：パンテーンエクストラダメージヘアシャンプー（Ｐ＆Ｇ）
（１−８−３）アミノ酸系シャンプー：
　商品名：ラサーナシャンプー（株式会社ヤマサキ）

（１−９）ヘアトリートメント剤：
（１−９−１）非カチオン系トリートメント：
　商品名：ココナチュラトリートメント（菊星）
（１−９−２）カチオン系トリートメント：
　商品名：パンテーンプロブイエクストラダメージケアトリートメント（Ｐ＆Ｇ）

（１−１０）パーマ剤：
（１−１０−１）チオ系加温二浴式パーマ剤：
　商品名：Ｃｒｅａｍ　Ｓ．　ＤＥＳＩＧＮ　ＬＩＰＩＤ（第１剤・第２剤）（ルベルコスメティックス）
（１−１０−２）シス系加温二浴式パーマ剤：
　商品名：ＣＲＥＡＭ　ＣＹＳ（第１剤・第２剤）（ルベルコスメティックス）
（１−１０−３）チオ系コールド二浴式パーマ剤：
　商品名：ステルスＴＡ　ノーマル~ライトダメージヘアー（第１剤・第２剤）（ナンバースリー）
（１−１０−４）シス系コールド二浴式パーマ剤：
　商品名：ステルス　シス　ＣＹ　ダメージレベル４~５（ナンバースリー）
（１−１０−５）システアミン系パーマ剤：
　商品名：フィレディカ　トゥーコスメクリーム　Ｌ　Ｉ　ＣＲＥＡＭ　ＬＩＮＥＲ　＜ヘアトリートメント＞（第１剤）（ナンバースリー）
　商品名：フィレディカ　トゥーコスメ　セカンドクリーム　ＩＩ　ＳＥＣＯＮＤ　ＣＲＥＡＭ＜ヘアトリートメント＞（第２剤）　（ナンバースリー）
（１−１０−６）ブチロラクトンチオール系パーマ剤：
　商品名：セフティ　ウェーブラボＳＰ　カール１　スピエラＲ配合二浴式カール料　化粧品　プロフェッショナル専用（第１剤）（ヌースフィット）
　商品名：セフティ　ウェーブラボＳＰ　フィックス２　セフティ　ウェーブラボＳＰ専用　化粧品　プロフェッショナル専用　カール固定用（第２剤）（ヌースフィット）
（１−１０−７）サルファイト系パーマ剤：
　商品名：クリエイターコスメ３７＜セットローション＞（第１剤）（資生堂プロフェッショナル）
　商品名：クリエイターコスメＡＴ＜アフタートリートメント＞（第２剤）（資生堂プロフェッショナル）

（１−１１）その他：
　エタノール（日本アルコール、一般アルコール９５度合成）
　グリセリン（製品名：化粧品用濃グリセリン、花王）
　プロピレングリコール（ＰＧ）［製品名：プロピレングリコール（日本薬局方）、アデカ］
　デカメチルシクロペンタシロキサン（ＴＳＦ４０５、モメンティブ・Ｐ・Ｗ・Ｊ）
　２８％アンモニア水（試薬１級、大盛化工）
　５０％チオグリコール酸アンモニウム液（佐々木化学）
　１００％モノエタノールアミン（佐々木化学）
　（調製時には精製水で８０％に希釈して使用）
　Ｌ−システイン（トモ・ケミカル）
　臭素酸ナトリウム（大阪佐々木化学）
　リン酸一ナトリウム（太平化学産業）
　リン酸二カリリウム（太平化学産業）

（２）評価項目および評価基準：
　下記の実施例および比較例においては、下記の評価項目および評価基準に基づいて性能の評価を行った。

（２−１）ハリ・コシ：
　優：手で触ってみて髪の毛にハリ・コシがかなり実感できる。
　良：髪の毛にハリ・コシがある程度実感できる。
　可：髪の毛にハリ・コシが幾分実感できる。
　不可：髪の毛にハリ・コシがほとんど感じられない。

（２−２）立ち上がり：
　優：髪の毛が根元からかなり立ち上がる。
　良：髪の毛が根元からある程度立ち上がる。
　可：髪の毛が根元から立ち上がるがすぐに寝てしまう。
　不可：髪の毛が根元から立ち上がらない。

（２−３）ごわつき：
　優：髪の毛のゴワつきがほとんど感じられない。
　良：髪の毛のゴワつきがあまり感じられない。
　可：髪の毛のごわつきは若干感じられるが気になる程ではない。
　不可：髪の毛がごわつき気になってしまう。

（２−４）持続力：
　優：ハリ・コシが１０日間以上続く。
　良：ハリ・コシが５~９間続く。
　可：ハリ・コシが３~４日間続く。
　不可：ハリ・コシが長くとも２日間までしか続かない。

（２−５）ボリューム感：
　優：ボリュームがよく出る。
　良：ボリュームが出る。
　可：ボリュームが少し出る。
　不可：ボリュームが出ない。

（３）毛髪処理剤組成物：
（実施例１~２５、比較例１，２）
　実施例１~２５、比較例１，２の毛髪処理剤組成物については、上記の各材料を表１（実施例１，２）、表２（比較例１）、表３（実施例３~１６、比較例２）、および表４（実施例１７~２５）に示す組成にて配合することにより調製した［表１~表４中の各材料の含有量（質量％）は、毛髪処理剤組成物全量を基準（毛髪処理剤組成物全量を１００質量％）とした値である］。実施例１~２５および比較例２の毛髪処理剤組成物については、まず、シリカ粒子と油溶性分散剤とを混ぜ合わせておき、そこに、界面活性剤、水性溶剤を加えてエマルジョンを形成することにより得た。毛髪処理剤組成物におけるｐＨは、実施例１がｐＨ５．５、実施例２がｐＨ９．０であった。ｐＨ値の測定は、堀場製作所製のｐＨメーターを使用し、ｐＨメーターの電極棒を調製済の毛髪処理剤組成物中に差し込む（エマルジョンに電極棒を差し込む）ことにより行った。

　実施例３~１６の毛髪処理剤組成物は、シリカの混合状態が良好であった（表２中で「良」と表記）。一方、比較例２の毛髪処理剤組成物は、シリカが液面に浮き上がってしまって、シリカの混合状態が不良であった（表２中で「不可」と表記）。なお、実施例３~１０の毛髪処理剤組成物については、試料Ａ~Ｈとして、以降に述べる実施例にも用いている。

（毛髪処理）
　毛髪処理剤組成物を頭髪または毛束に塗布し、約２０分間にわたり自然放置し、続いて、温水で頭髪を洗い、ドライヤーで乾燥させた。毛髪処理後の頭髪の評価結果を表１、表２、および表４に示す。

　未処理の頭髪、ならびに実施例１，２および比較例１の毛髪処理剤組成物を用いた毛髪処理後の頭髪について電子顕微鏡写真を撮影した。

　未処理の頭髪について、全体像（図５Ａ）、キューティクルの拡大像（図５Ｂ）、キューティクル縁部の拡大像（図５Ｃ）を示す。これらの写真において、左から右への方向が頭髪の根元側から先端側への方向になる。図５Ａに示されているように、頭髪の表面には多数のキューティクルに覆われた鱗構造が作られている。図５Ｂ，５Ｃに示されているように、この鱗構造は、各キューティクルがその先端側隣の別のキューティクルの根元側の部分を覆うことにより形作られている。

　実施例１の毛髪処理剤組成物を用いた毛髪処理後の頭髪について、全体像（図６Ａ）、キューティクルの拡大像（図６Ｂ）、キューティクル縁部の拡大像（図６Ｃ）を示す。実施例１の頭髪では、外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた先端側隣のキューティクルとの間にシリカ粒子が入り込んでいる状態が観察された（図６Ｂ、図６Ｃ）。また、実施例１の頭髪では、キューティクル縁部周辺の表面に僅かながらシリカ粒子が散在していた。

　実施例２の毛髪処理剤組成物を用いた毛髪処理後の頭髪について、全体像（図７Ａ）、キューティクルの拡大像（図７Ｂ）、キューティクル縁部の拡大像（図７Ｃ）を示す。実施例２の頭髪では、外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた先端側隣のキューティクルとの間にシリカ粒子が入り込んでいる状態が観察された（図７Ｂ、図７Ｃ）。実施例１と比較して、実施例２の方が、より多量のシリカ粒子がキューティクル同士の間に入り込んでいる傾向があった。また、実施例２の頭髪では、キューティクル縁部周辺の表面に僅かながらシリカ粒子が散在していた。

　比較例１の毛髪処理剤組成物を用いた毛髪処理後の頭髪について、全体像（図８Ａ）、キューティクルの拡大像（図８Ｂ）、キューティクル縁部の拡大像（図８Ｃ）を示す。比較例１の頭髪では、シリカ粒子がキューティクル縁部の外側表面に乗り上げている状態が観察された（図８Ｃ）。さらに、比較例１の頭髪では、外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた先端側隣のキューティクルとが密着しており、シリカ粒子がキューティクル同士の間に入り込んでいる状態は観察されなかった（図８Ｂ）。また、比較例１の頭髪では、多量のシリカ粒子がキューティクルの表面を覆っている状態が観察された（図８Ａ~図８Ｃ）。

　実施例１７~２１の毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真を図１７Ａ~図１７Ｅに示す。

（４）染毛用毛髪処理剤組成物：
（４−１）酸化染毛料：
（実施例２６~２９，実施例３１~３５）
　実施例２６~２９および実施例３１~３５の染毛用毛髪処理剤組成物については、上記の各材料を表５、表７および表８に示す組成にて配合することにより調製した。なお、実施例２６~２９および実施例３１~３５の第２剤については、まず、シリカ粒子と油溶性分散剤とを混ぜ合わせておき、そこに、界面活性剤、水性溶剤、過酸化水素水を加えてエマルジョンを形成することにより得た。使用直前に、第１剤と第２剤とを等量（１００ｇずつ）混ぜ合わせ、クリーム状になるまでよくかき混ぜた。

（実施例３０）
　実施例３０の染毛用毛髪処理剤組成物については、上記の各材料を表６に示す組成にて配合することにより調製した。なお、実施例３０の第１剤については、まず、シリカ粒子と油溶性分散剤とを混ぜ合わせておき、そこに、界面活性剤、水性溶剤を加えてエマルジョンを形成し、そこにさらにウエラコレストンパーフェクトＪを加えることにより得た。使用直前に、第１剤４５ｇと第２剤４０ｇとを混ぜ合わせ、クリーム状になるまでよくかき混ぜた。

（比較例３）
　比較例３の染毛用毛髪処理剤組成物については、上記の各材料を表９に示す組成にて配合することにより調製した。使用直前に、第１剤と第２剤とを等量（１００ｇずつ）混ぜ合わせ、クリーム状になるまでよくかき混ぜた。

（染毛）
　刷毛またはコームを用いて、染毛用毛髪処理剤組成物を頭髪の根元から毛先までまんべんなく塗布した。塗布後、２０~３０分間にわたり自然放置し、染毛剤の酸化を進行させることにより染毛した。染毛を確認後、頭髪をぬるま湯に浸しながら、頭髪の表面に付着している余分な付着物を剥がし落した。さらに、温水で頭髪をすすぎ、洗髪剤（シャンプー剤）を用いてシャンプーし、次いで、ヘアトリートメント剤を用いて頭髪のトリートメントを行った。続いて、タオルを当てて頭髪の水分を除き、ドライヤーで乾燥させた。

　染毛後の頭髪の評価結果を表５（実施例２６~２９）、表６（実施例３０）、表７（実施例３１~実施例３４）、表８（実施例３５）、および表９（比較例３）に示す。

　実施例２６~２９の染毛用毛髪処理剤組成物のいずれにおいても、従来の染毛剤の使用時（「ウエラコレストンパーフェクトＪ　６明度・ブラック（６／０）」（Ｐ＆Ｇ）の通常使用時）にしばしば生じる頭皮への刺激が、ほとんど感じられることはなかった（表５中の「頭皮への刺激」の欄で「無」として表示）。ただし、実施例３０の染毛用毛髪処理剤組成物では頭皮への刺激を感じることがあった（表６中の「頭皮への刺激」の欄で「有」として表示）。

　「染め上がり」については、「ウエラコレストンパーフェクトＪ　６明度・ブラック（６／０）」（Ｐ＆Ｇ）の通常の使用時と同様にきれいな染め上がりとなった場合を「優」と評価した。「ウエラコレストンパーフェクトＪ　６明度・ブラック（６／０）」（Ｐ＆Ｇ）の通常の使用時と比べ、若干ではあるが薄めの染め上がりとなった場合を「良」と評価した。毛髪は染まるもののムラ染めとなった場合を「可」と評価した。

　実施例２８の染毛用毛髪処理剤組成物を用いた染毛後の頭髪について、全体像（図９Ａ）、キューティクルの拡大像（図９Ｂ）、キューティクル縁部の拡大像（図９Ｃ）を示す。実施例２８の頭髪では、外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた先端側隣のキューティクルとの間にシリカ粒子が入り込んでいる状態が観察された（図９Ｂ、図９Ｃ）。また、実施例２８の頭髪では、キューティクルの表面にシリカ粒子はほとんど観察されなかった。

　比較例３、実施例３１~３４の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真を図１８Ａ~図１８Ｅに示す。なお、未処理の毛束は、図２０Ａの写真に示されているものと同様である。図１９Ａは、被験者Ａの処理前の頭部の写真である。図１９Ｂは、実施例３５の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した後の被験者Ａの頭部の写真である。図１９Ｃは、被験者Ｂの処理前の頭部の写真である。図１９Ｄは、実施例３５の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した後の被験者Ｂの頭部の写真である。

（４−２）酸性染料：
（実施例３６~実施例４３、比較例４）
　実施例３６~４３および比較例４の染毛用毛髪処理剤組成物については、上記の各材料を表１０に示す組成にて配合することにより調製した。

　「染め上がり」については、「ウエラ　カラーフレッシュバック　ブラック０」（Ｐ＆Ｇ）の通常の使用時と同様にきれいな染め上がりとなった場合を「優」と評価した。「ウエラ　カラーフレッシュバック　ブラック０」（Ｐ＆Ｇ）の通常の使用時と比べ、若干ではあるが薄めの染め上がりとなった場合を「良」と評価した。毛髪は染まるもののムラ染めとなった場合を「可」と評価した。

　未処理の毛束の写真を図２０Ａ、比較例４、実施例３６~４３の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真を図２０Ｂ~図２０Ｊに示す。

（４−３）ＨＣ・塩基性染料：
（実施例４４~５１、比較例５）
　実施例４４~５１および比較例５の染毛用毛髪処理剤組成物については、上記の各材料を表１１に示す組成にて配合することにより調製した。

　「染め上がり」については、「ＢＣヘアカラートリートメントＢＬ」（ふんわり仕上がるカラートリートメント）（メディコス製薬株式会社）の通常の使用時と同様にきれいな染め上がりとなった場合を「優」と評価した。「ＢＣヘアカラートリートメントＢＬ」（ふんわり仕上がるカラートリートメント）（メディコス製薬株式会社）の通常の使用時と比べ、若干ではあるが薄めの染め上がりとなった場合を「良」と評価した。毛髪は染まるもののムラ染めとなった場合を「可」と評価した。

　比較例５、実施例４４~５１の染毛用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真を図２１Ａ~図２１Ｉに示す。

（５）試料Ｉおよび試料Ｊの毛髪処理剤組成物の作製：
　試料Ｉおよび試料Ｊの毛髪処理剤組成物については、上記の各材料を表１２に示す組成に配合することにより調製した［表１２中の各材料の含有量（質量％）は、毛髪処理剤組成物全量を基準（毛髪処理剤組成物全量を１００質量％）とした値である］。まず、シリカ粒子と油溶性分散剤とを混ぜ合わせておき、そこに、界面活性剤、水性溶剤を加えてエマルジョンを形成することにより得た。毛髪処理剤組成物におけるｐＨは、試料ＡがｐＨ５．５、試料ＢがｐＨ９．０であった。ｐＨ値の測定は、堀場製作所製のｐＨメーターを使用し、ｐＨメーターの電極棒を調製済の毛髪処理剤組成物中に差し込む（エマルジョンに電極棒を差し込む）ことにより行った。

（６）洗髪用毛髪処理剤組成物：
（実施例５２）
　試料Ｉの毛髪処理剤組成物５ｇと、商品名「ココナチュラシャンプー」（菊星）４０ｍｌとを混ぜ合わせることにより、実施例５２の洗髪用毛髪処理剤組成物を得た（表１３）。

（シャンプーおよびヘアトリートメント）
　使用例１，２では、シャンプーおよびヘアトリートメントを表１４に示されている組み合わせにて行った。まず、水で頭髪の下洗いを行い、次にシャンプー剤（実施例５２の洗髪用毛髪処理剤組成物）を頭髪に付けて洗髪した。続いて、頭髪を水ですすいだ後、ヘアトリートメント剤を頭髪に付けて馴染ませ、水で洗髪した。

　シャンプーおよびヘアトリートメント後の頭髪の評価結果を表１４に示す。

　ヘアトリートメント後の頭髪のきしみの評価も行った。使用例１では、ヘアトリートメント後に若干ではあるが頭髪のきしみを感じた（表１４中の「きしみ」の欄で「可」として表示）。使用例２は、ヘアトリートメント剤がシリコーンを含む場合に該当する。使用例２では、ヘアトリートメント後に頭髪のきしみを全く感じなかった（表１４中の「きしみ」の欄で「優」として表示）。

　実施例５２の洗髪用毛髪処理剤組成物を用いた使用例１のシャンプーおよびヘアトリートメント後の頭髪について、全体像（図１０Ａ）、キューティクルの拡大像（図１０Ｂ）、キューティクル縁部の拡大像（図１０Ｃ）を示す。実施例５２の使用例１の頭髪では、外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた先端側隣のキューティクルとの間にシリカ粒子が入り込んでいる状態が観察された（図１０Ｂ、図１０Ｃ）。また、実施例５２の使用例１の頭髪では、キューティクル縁部周辺の表面に、シリカ粒子が僅かながら散在していた。

　実施例５２の洗髪用毛髪処理剤組成物を用いた使用例２のシャンプーおよびトリートメント後の頭髪について、全体像（図１１Ａ）、キューティクルの拡大像（図１１Ｂ）、キューティクル縁部の拡大像（図１１Ｃ）を示す。実施例５２の使用例２の頭髪では、外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた先端側隣のキューティクルとの間にシリカ粒子が入り込んでいる状態が観察された（図１１Ｂ、図１１Ｃ）。

　また、実施例５２の使用例２の頭髪では、キューティクルの縁部周辺の表面に、シリカ粒子が若干多めに付着していた。ただし、比較例１の頭髪ではシリカ粒子がキューティクルの表面に粉を噴いて浮き上がった状態で付着していたのに比べ（図８Ｂ）、実施例５２の使用例２の頭髪ではシリカ粒子がキューティクルの表面にへばり付いている状態であった（図１１Ｂ）。こうしたシリカ粒子の付着状態の違いが、実施例５２の使用例２の頭髪では「ごわつき」が「優」（表１４）であったのに対し、比較例１の頭髪では「ごわつき」が「不可」（表２）であったことに関係していると推察された。

（実施例５３~８８、比較例６~８）
　実施例５３~８８および比較例６~８の洗髪用毛髪処理剤組成物については、上記の各材料を表１５~１７に示す組成にて配合することにより調製した。

　実施例５３~８８および比較例６~８の洗髪用毛髪処理剤組成物と、パンテーンプロブイエクストラダメージケアトリートメント（Ｐ＆Ｇ）との組み合わせにて、シャンプーおよびヘアトリートメントを行った。まず、水で頭髪の下洗いを行い、次にシャンプー剤（実施例５３~８８および比較例６~８の洗髪用毛髪処理剤組成物のいずれか１つ）を頭髪に付けて洗髪した。続いて、頭髪を水ですすいだ後、ヘアトリートメント剤を頭髪に付けて馴染ませ、水で洗髪した。

　結果を表１５~１７に示す。なお、泡立ちの評価基準は以下の通りである。
　泡立ちの評価基準：
　優：よく泡立つ
　良：泡立つ
　可：少し泡立つ
　不可：泡立たない

（７）ヘアトリートメント用毛髪処理剤組成物：
（実施例８９，９０）
　実施例８９では試料Ｉの毛髪処理剤組成物５ｇと商品名「ココナチュラトリートメント」（菊星）４０ｍｌとを混ぜ合わせることにより、実施例９０では試料Ｉの毛髪処理剤組成物５ｇと商品名「パンテーンプロブイエクストラダメージケアトリートメント」（Ｐ＆Ｇ）４０ｍｌとを混ぜ合わせることにより、ヘアトリートメント用毛髪処理剤組成物を得た（表１８）。

（シャンプーおよびヘアトリートメント）
　使用例３，４では、シャンプーおよびヘアトリートメントを表１９に示されている組み合わせにて行った。まず、水で頭髪の下洗いを行い、次にシャンプー剤を頭髪に付けて洗髪した。続いて、頭髪を水ですすいだ後、ヘアトリートメント剤（実施例８９または実施例９０のヘアトリートメント用毛髪処理剤組成物）を頭髪に付けて馴染ませ、水で洗髪した。

　シャンプーおよびヘアトリートメント後の頭髪の評価結果を表１９に示す。

　ヘアトリートメント後の頭髪のきしみの評価も行った。使用例３，４では、ヘアトリートメント後に頭髪のきしみを全く感じなかった（表１９中の「きしみ」の欄で「優」として表示）。

　実施例８９（使用例３）のヘアトリートメント用毛髪処理剤組成物を用いたシャンプーおよびトリートメント後の頭髪について、全体像（図１２Ａ）、キューティクルの拡大像（図１２Ｂ）、キューティクル縁部の拡大像（図１２Ｃ）を示す。実施例８９（使用例３）の頭髪では、外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた先端側隣のキューティクルとの間にシリカ粒子が入り込んでいる状態が観察された（図１２Ｂ、図１２Ｃ）。また、実施例８９（使用例３）の頭髪では、キューティクルの表面にシリカ粒子はほとんど観察されなかった。

　（実施例９１~１２２、比較例９，１０）
　実施例９１~１２２および比較例９，１０の洗髪用毛髪処理剤組成物については、上記の各材料を表２０、表２１に示す組成にて配合することにより調製した。

　実施例９１~１０６および比較例９のヘアトリートメント用毛髪処理剤組成物は、パンテーンエクストラダメージヘアシャンプー（Ｐ＆Ｇ）と組み合わせて、シャンプーおよびヘアトリートメントを行った。まず、水で頭髪の下洗いを行い、次にシャンプー剤を頭髪に付けて洗髪した。続いて、頭髪を水ですすいだ後、ヘアトリートメント剤（実施例９１~１２２および比較例９の洗髪用毛髪処理剤組成物のいずれか１つ）を頭髪に付けて馴染ませ、水で洗髪した。

　実施例１０７~１２２および比較例１０のヘアトリートメント用毛髪処理剤組成物は、ココナチュラシャンプー（菊星）と組み合わせて、シャンプーおよびヘアトリートメントを行った。まず、水で頭髪の下洗いを行い、次にシャンプー剤を頭髪に付けて洗髪した。続いて、頭髪を水ですすいだ後、ヘアトリートメント剤（実施例１０７~１２２および比較例１０の洗髪用毛髪処理剤組成物のいずれか１つ）を頭髪に付けて馴染ませ、水で洗髪した。

　結果を表２０および２１に示す。なお、コンディショニングの評価基準は以下の通りである。
　コンディショニングの評価：
　優：頭髪がとてもなめらかになる。
　良：頭髪がなめらかになる。
　可：頭髪が少しなめらかになる。
　不可：頭髪がなめらかにならない。

（８）パーマ用毛髪処理剤組成物：
（実施例１２３）
　実施例１２３では、試料Ｊの毛髪処理剤組成物５ｇと商品名「Ｃｒｅａｍ　Ｓ．　ＤＥＳＩＧＮ　ＬＩＰＩＤ」（ルベルコスメティックス）の第１剤４０ｍｌとを混ぜ合わせてパーマ用毛髪処理剤組成物の第１剤として用い、また、商品名「Ｃｒｅａｍ　Ｓ．　ＤＥＳＩＧＮ　ＬＩＰＩＤ」（ルベルコスメティックス）の第２剤４０ｍｌをパーマ用毛髪処理剤組成物の第２剤として用いた（表２２）。

（実施例１２４）
　実施例１２４では、試料Ｊの毛髪処理剤組成物５ｇと商品名「ＣＲＥＡＭ　ＣＹＳ」（ルベルコスメティックス）の第１剤４０ｍｌとを混ぜ合わせてパーマ用毛髪処理剤組成物の第１剤として用い、また、商品名「ＣＲＥＡＭ　ＣＹＳ」（ルベルコスメティックス）の第２剤４０ｍｌをパーマ用毛髪処理剤組成物の第２剤として用いた（表２２）。

（実施例１２５）
　実施例１２５では、商品名「Ｃｒｅａｍ　Ｓ．　ＤＥＳＩＧＮ　ＬＩＰＩＤ」（ルベルコスメティックス）の第１剤４０ｍｌをパーマ用毛髪処理剤組成物の第１剤として用い、また、試料Ｊの毛髪処理剤組成物５ｇと商品名「Ｃｒｅａｍ　Ｓ．　ＤＥＳＩＧＮ　ＬＩＰＩＤ」（ルベルコスメティックス）の第２剤４０ｍｌとを混ぜ合わせてパーマ用毛髪処理剤組成物の第２剤として用いた（表２３）。

（実施例１２６）
　実施例１２６では、商品名「ＣＲＥＡＭ　ＣＹＳ」（ルベルコスメティックス）の第１剤４０ｍｌをパーマ用毛髪処理剤組成物の第１剤として用い、また、試料Ｊの毛髪処理剤組成物５ｇと商品名「ＣＲＥＡＭ　ＣＹＳ」（ルベルコスメティックス）の第２剤４０ｍｌとを混ぜ合わせてパーマ用毛髪処理剤組成物の第２剤として用いた（表２３）。

（パーマ処理）
　頭髪をシャンプーし、タオルを当てて頭髪の水分を除いた。次に、パーマ用毛髪処理剤組成物の第１剤を頭髪に塗布し、頭髪をロッドに巻いて２０分間にわたり加温した。続いて、テストカールを確認した後、パーマ用毛髪処理剤組成物の第２剤を頭髪に塗布して５分間放置し、次いで頭髪からロッドを外し、ぬるま湯で頭髪をすすいだ後、頭髪をリンスして仕上げた。

　パーマ処理後の頭髪の評価結果を表２２（実施例１２３，１２４）および表２３（実施例１２５，１２６）に示す。

　実施例１２３~１２６のパーマ用毛髪処理剤組成物のいずれにおいても、従来のパーマ剤の使用時にしばしば生じる頭皮への刺激を感じることはなかった（表２２、表２３中の「頭皮への刺激」の欄で「無」として表示）。

　実施例１２３，１２５では、「Ｃｒｅａｍ　Ｓ．　ＤＥＳＩＧＮ　ＬＩＰＩＤ」（ルベルコスメティックス）の通常の使用時と同様に良好にパーマをかけることが可能であった（表２２，２３中の「パーマ」の欄で「優」として表示）。また、実施例１２４，１２６では、「ＣＲＥＡＭ　ＣＹＳ」（ルベルコスメティックス）の通常の使用時と同様に良好にパーマをかけることが可能であった（表２２、表２３中の「パーマ」の欄で「優」として表示）。

　実施例１２３のパーマ用毛髪処理剤組成物を用いたパーマ処理後の頭髪について、全体像（図１３Ａ）、キューティクルの拡大像（図１３Ｂ）、キューティクル縁部の拡大像（図１３Ｃ）を示す。実施例１２３の頭髪では、外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた先端側隣のキューティクルとの間にシリカ粒子が入り込んでいる状態が観察された（図１３Ｂ、図１３Ｃ）。

　また、実施例１２３の頭髪では、キューティクル縁部周辺の表面に、シリカ粒子がやや多めに付着していた。ただし、比較例１の頭髪ではシリカ粒子がキューティクルの表面に粉を噴いて浮き上がった状態で付着していたのに比べ（図８Ｂ）、実施例１２３の頭髪ではシリカ粒子がキューティクルの表面にへばり付いている状態であった（図１３Ｂ）。こうしたシリカ粒子の付着状態の違いが、実施例１２３の頭髪では「ごわつき」が「良」（表２２）であったのに対し、比較例１の頭髪では「ごわつき」が「不可」（表２）であったことに関係していると推察された。

　実施例１２４のパーマ用毛髪処理剤組成物を用いたパーマ処理後の頭髪について、全体像（図１４Ａ）、キューティクルの拡大像（図１４Ｂ）、キューティクル縁部の拡大像（図１４Ｃ）を示す。実施例１２４の頭髪では、外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた先端側隣のキューティクルとの間にシリカ粒子が入り込んでいる状態が観察された（図１４Ｂ、図１４Ｃ）。

　また、実施例１２４の頭髪では、キューティクル縁部周辺の表面に、シリカ粒子が少し付着していた。ただし、比較例１の頭髪ではシリカ粒子がキューティクルの表面に粉を噴いて浮き上がった状態で付着していたのに比べ（図８Ｂ）、実施例１２４の頭髪ではシリカ粒子がキューティクルの表面にへばり付いている状態であった（図１４Ｂ）。こうしたシリカ粒子の付着状態の違いが、実施例１２４の頭髪では「ごわつき」が「良」（表２２）であったのに対し、比較例１の頭髪では「ごわつき」が「不可」（表２）であったことに関係していると推察された。

　実施例１２５のパーマ用毛髪処理剤組成物を用いたパーマ処理後の頭髪について、全体像（図１５Ａ）、キューティクルの拡大像（図１５Ｂ）、キューティクル縁部の拡大像（図１５Ｃ）を示す。実施例１２５の頭髪では、外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた先端側隣のキューティクルとの間にシリカ粒子が入り込んでいる状態が観察された（図１５Ｂ、図１５Ｃ）。

　また、実施例１２５の頭髪では、キューティクル縁部周辺の表面にシリカ粒子はやや多めに付着していた。ただし、比較例１の頭髪ではシリカ粒子がキューティクルの表面に粉を噴いて浮き上がった状態で付着していたのに比べ（図８Ｂ）、実施例１２５の頭髪ではシリカ粒子がキューティクルの表面にへばり付いている状態であった（図１５Ｂ）。こうしたシリカ粒子の付着状態の違いが、実施例１２５の頭髪では「ごわつき」が「良」（表２３）であったのに対し、比較例１の頭髪では「ごわつき」が「不可」（表２）であったことに関係していると推察された。

　実施例１２６のパーマ用毛髪処理剤組成物を用いたパーマ処理後の頭髪について、全体像（図１６Ａ）、キューティクルの拡大像（図１６Ｂ）、キューティクル縁部の拡大像（図１６Ｃ）を示す。実施例１２６の頭髪では、外側に露出しているキューティクル縁部とこれに覆われた先端側隣のキューティクルとの間にシリカ粒子が入り込んでいる状態が観察された（図１６Ｂ、図１６Ｃ）。

　また、実施例１２６の頭髪では、キューティクル縁部周辺の表面に、シリカ粒子が少し付着していた。ただし、比較例１の頭髪ではシリカ粒子がキューティクルの表面に粉を噴いて浮き上がった状態で付着していたのに比べ（図８Ｂ）、実施例１２６の頭髪ではシリカ粒子がキューティクルの表面にへばり付いている状態であった（図１６Ｂ）。こうしたシリカ粒子の付着状態の違いが、実施例１２６の頭髪では「ごわつき」が「良」（表２３）であったのに対し、比較例１の頭髪では「ごわつき」が「不可」（表２）であったことに関係していると推察された。

　（実施例１２７~１３４、比較例１１）
　実施例１２７~１３４および比較例１１のパーマ用毛髪処理剤組成物については、上記の各材料を表２４に示す組成にて配合することにより調製した。

　（パーマ処理）
　石鹸系シャンプーで毛髪（毛束）を洗浄し、水で洗い流し、タオルで毛髪（毛束）を乾燥させた。次いで、毛髪（毛束）に第１剤をまんべんなく塗布し、ロッド（直径３２ｍｍ）に毛髪（毛束）を巻き、そのまま１５分間放置した。続いて、毛髪（毛束）を水洗いし、第２剤を毛髪（毛束）に塗布し、そのまま１５分間放置した。続いて、毛髪（毛束）を水洗いし、乾燥させた。

　「パーマ」については、「ステルスＴＡ　ノーマル~ライトダメージヘアー」（ナンバースリー）の通常の使用時と同様に毛束をカールさせることができた場合を「優」と評価した。「ステルスＴＡ　ノーマル~ライトダメージヘアー」（ナンバースリー）の通常の使用時と比べ、若干ではあるが弱いカールのかかりとなった場合を「良」と評価した。「ステルスＴＡ　ノーマル~ライトダメージヘアー」（ナンバースリー）の通常の使用時と比べ、弱いカールのかかりとなった場合を「可」と評価した。結果を表２４に示す。

　未処理の毛束の写真を図２２Ａ、比較例１１、実施例１２７~１３４のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真を図２２Ｂ~図２２Ｊに示す。

　（実施例１３５~１４２、比較例１２）
　実施例１３５~１４２および比較例１２のパーマ用毛髪処理剤組成物については、上記の各材料を表２５に示す組成にて配合することにより調製した。

　「パーマ」については、「ステルス　シス　ＣＹ　ダメージレベル４~５」（ナンバースリー）の通常の使用時と同様に毛束をカールさせることができた場合を「優」と評価した。「ステルス　シス　ＣＹ　ダメージレベル４~５」（ナンバースリー）の通常の使用時と比べ、若干ではあるが弱いカールのかかりとなった場合を「良」と評価した。「ステルス　シス　ＣＹ　ダメージレベル４~５」（ナンバースリー）の通常の使用時と比べ、弱いカールのかかりとなった場合を「可」と評価した。結果を表２５に示す。

　比較例１２、実施例１３５~１４２のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真を図２３Ａ~図２３Ｉに示す。

（実施例１４３、１４４）
　チオ系パーマ液（第１剤）およびシス系パーマ液（第１剤）について、上記の各材料を表２６に示す組成にて配合することにより調製した。臭素酸系第２剤を上記の材料を表２７に示す組成にて配合することにより調製した。なお、表２６に示されている「チオ系パーマ液（第１剤）」と表２７に示されている「臭素酸系第２剤」との組み合わせは、チオ系パーマ剤を最小限の成分で構成したものに相当する。また、表２６に示されている「シス系パーマ液（第１剤）」と表２７に示されている「臭素酸系第２剤」との組み合わせは、シス系パーマ剤を最小限の成分で構成したものに相当する。実施例１４３および実施例１４４のパーマ用毛髪処理剤組成物については、上記の各材料を表２８に示す組成にて配合することにより調製した。

　「パーマ」については、「チオ系パーマ液（第１剤）」（表２６）または「シス系パーマ液（第１剤）」（表２６）と「臭素酸系第２剤」（表２７）との単純な組み合わせでの使用時と同様に毛束をカールさせることができた場合を「優」と評価した。上記の単純な組み合わせでの通常の使用時と比べ、若干ではあるが弱いカールのかかりとなった場合を「良」、弱いカールのかかりとなった場合を「可」と評価した。結果を表２８に示す。

　実施例１４３および実施例１４４のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真を図２４および図２５に示す。

（実施例１４５~実施例１５２、比較例１３）
　実施例１４５~１５２および比較例１３のパーマ用毛髪処理剤組成物については、上記の各材料を表２９に示す組成にて配合することにより調製した。

　「パーマ」については、「フィレディカ　トゥーコスメクリーム　Ｌ　Ｉ　ＣＲＥＡＭ　ＬＩＮＥＲ　＜ヘアトリートメント＞」（第１剤）（ナンバースリー）および「フィレディカ　トゥーコスメ　セカンドクリーム　ＩＩ　ＳＥＣＯＮＤ　ＣＲＥＡＭ＜ヘアトリートメント＞」（第２剤）（ナンバースリー）との組み合わせの通常の使用時と同様に毛束をカールさせることができた場合を「優」と評価した。また、上記の組み合わせの通常の使用時と比べ、若干ではあるが弱いカールのかかりとなった場合を「良」、弱いカールのかかりとなった場合を「可」と評価した。結果を表２９に示す。

　未処理の毛束の写真を図２６Ａ、比較例１３、実施例１４５~１５２のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真を図２６Ｂ~図２６Ｊに示す。

（実施例１５３~１６０、比較例１４）
　実施例１５３~１６０および比較例１４のパーマ用毛髪処理剤組成物については、上記の各材料を表３０に示す組成にて配合することにより調製した。

　「パーマ」については、「セフティ　ウェーブラボＳＰ　カール１　スピエラＲ配合二浴式カール料　化粧品　プロフェッショナル専用」（第１剤）（ヌースフィット）と「セフティ　ウェーブラボＳＰ　フィックス２　セフティ　ウェーブラボＳＰ専用　化粧品　プロフェッショナル専用　カール固定用」（第２剤）（ヌースフィット）との組み合わせの通常の使用時と同様に毛束をカールさせることができた場合を「優」と評価した。また、上記の組み合わせの通常の使用時と比べ、若干ではあるが弱いカールのかかりとなった場合を「良」、弱いカールのかかりとなった場合を「可」と評価した。結果を表３０に示す。

　比較例１４、実施例１５３~１６０のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真を図２７Ａ~図２７Ｉに示す。

（実施例１６１~１６８、比較例１５）
　実施例１６１~１６８および比較例１５のパーマ用毛髪処理剤組成物については、上記の各材料を表３１に示す組成にて配合することにより調製した。

　「パーマ」については、「クリエイターコスメ３７＜セットローション＞」（第１剤）（資生堂プロフェッショナル）と「クリエイターコスメＡＴ＜アフタートリートメント＞」（第２剤）（資生堂プロフェッショナル）との組み合わせの通常の使用時と同様に毛束をカールさせることができた場合を「優」と評価した。また、上記の組み合わせの通常の使用時と比べ、若干ではあるが弱いカールのかかりとなった場合を「良」、弱いカールのかかりとなった場合を「可」と評価した。結果を表３１に示す。

　比較例１５、実施例１６１~１６８のパーマ用毛髪処理剤組成物で処理を施した毛束の写真を図２８Ａ~図２８Ｉに示す。

　本発明は、毛髪にハリ・コシを与えるための毛髪処理剤組成物、ならびにこれを用いる染毛用毛髪処理剤組成物、酸化染毛剤の第１剤、酸化染毛剤の第２剤、洗髪用毛髪処理剤組成物、ヘアトリートメント用毛髪処理剤組成物、パーマ用毛髪処理剤組成物、チオ系加温二浴式パーマ液第１剤、チオ系加温二浴式パーマ液第２剤、シス系加温二浴式パーマ液第１剤、およびシス系加温二浴式パーマ液第２剤として利用できる。

１：無機粒子分散体、２：無機粒子、３：（無機粒子の）一次粒子、４：（無機粒子の）二次粒子、５：油溶性分散剤、６：コアシェル粒子、７：コア部、８：シェル層、９：界面活性剤、１０：水性溶剤、１１：第１相、１２：第２相。

Claims

　一次粒子のときの平均粒子径１ｎｍ~１μｍである２２質量％以下の無機粒子と、
　油溶性分散剤と、を含有する毛髪処理剤組成物。
　前記無機粒子が一次粒子および／または平均粒子径５μｍ以下の二次粒子の状態にて前記油溶性分散剤中に分散している無機粒子分散体を含む請求項１に記載の毛髪処理剤組成物。
　界面活性剤と、
　水性溶剤と、を含有し、
　前記無機粒子分散体を含む第１相と、前記水性溶剤を含む第２相とがエマルジョンを形成している請求項２に記載の毛髪処理剤組成物。
　前記無機粒子の一次粒子または前記無機粒子の平均粒子径５μｍ以下の二次粒子を含むコア部と、前記油溶性分散剤を含むともに前記コア部を包み込むシェル層とを有するコアシェル粒子を含有する請求項１に記載の毛髪処理剤組成物。
　界面活性剤と、
　水性溶剤と、を含有し、
　前記コアシェル粒子が前記水性溶剤中に分散したコロイドを形成している請求項４に記載の毛髪処理剤組成物。
　前記無機粒子がシリカ粒子である請求項１~５のいずれか１項に記載の毛髪処理剤組成物。
　浸潤助剤を含有する請求項１~６のいずれか１項に記載の毛髪処理剤組成物。
　請求項１~７のいずれか１項に記載の毛髪処理剤組成物と、
　染毛剤と、を含有する染毛用毛髪処理剤組成物。
　酸化染料を含む第１剤と、
　前記毛髪処理剤組成物と過酸化水素とを含む第２剤と、を含有する請求項８に記載の染毛用毛髪処理剤組成物。
　前記毛髪処理剤組成物と酸化染料とを含む第１剤と、
　過酸化水素を含む第２剤と、を含有する請求項８に記載の染毛用毛髪処理剤組成物。
　請求項１~７のいずれか１項に記載の毛髪処理剤組成物と、
　酸化染料と、を含む酸化染毛剤の第１剤。
　請求項１~７のいずれか１項に記載の毛髪処理剤組成物と、
　過酸化水素と、を含む酸化染毛剤の第２剤。
　請求項１~７のいずれか１項に記載の毛髪処理剤組成物と、
　シャンプー剤と、を含有する洗髪用毛髪処理剤組成物。
　請求項１~７のいずれか１項に記載の毛髪処理剤組成物と、
　ヘアトリートメント剤と、を含有するヘアトリートメント用毛髪処理剤組成物。
　前記ヘアトリートメント剤はシリコーンを含有する請求項１４に記載のヘアトリートメント用毛髪処理剤組成物。
　請求項１~７のいずれか１項に記載の毛髪処理剤組成物と、
　パーマ剤と、を含有するパーマ用毛髪処理剤組成物。
　前記毛髪処理剤組成物を含むチオ系加温二浴式パーマ液第１剤と、
　チオ系加温二浴式パーマ液第２剤と、を含有する請求項１６に記載のパーマ用毛髪処理剤組成物。
　チオ系加温二浴式パーマ液第１剤と、
　前記毛髪処理剤組成物を含むチオ系加温二浴式パーマ液第２剤と、を含有する請求項１６に記載のパーマ用毛髪処理剤組成物。
　前記毛髪処理剤組成物を含むシス系加温二浴式パーマ液第１剤と、
　シス系加温二浴式パーマ液第２剤と、を含有する請求項１６に記載のパーマ用毛髪処理剤組成物。
　シス系加温二浴式パーマ液第１剤と、
　前記毛髪処理剤組成物を含むシス系加温二浴式パーマ液第２剤と、を含有する請求項１６に記載のパーマ用毛髪処理剤組成物。
　請求項１~７のいずれか１項に記載の毛髪処理剤組成物と、
　還元剤と、を含むチオ系加温二浴式パーマ液第１剤。
　請求項１~７のいずれか１項に記載の毛髪処理剤組成物と、
　酸化剤と、を含むチオ系加温二浴式パーマ液第２剤。
　請求項１~７のいずれか１項に記載の毛髪処理剤組成物と、
　還元剤と、を含むシス系加温二浴式パーマ液第１剤。
　請求項１~７のいずれか１項に記載の毛髪処理剤組成物と、
　酸化剤と、を含むシス系加温二浴式パーマ液第２剤。