WO2014013547A1

WO2014013547A1 - 液体投与具

Info

Publication number: WO2014013547A1
Application number: PCT/JP2012/068102
Authority: WO
Inventors: 学有延; 正臣今井; 滋晃冨家
Original assignee: テルモ株式会社
Priority date: 2012-07-17
Filing date: 2012-07-17
Publication date: 2014-01-23

Abstract

　液体投与具は、口部を有する筒体本体と口部を封止する封止部とを備える筒体と、筒体本体内で摺動し得るガスケットと、封止部の先端側に配置され、先端側針先と基端側針先とを有する両頭針と、両頭針を基端側針先が封止部から離間した離間位置と、基端側針先が封止部を刺通して、筒体内と連通する刺通位置とに移動可能に支持する支持部材と、ガスケットを先端方向に向かって押圧して筒体本体内の液体を両頭針から吐出させる押圧操作を行なう操作部材と、両頭針の先端側針先を覆う第１の位置と、先端側針先が露出する第２の位置とに移動可能なカバーとを備え、カバーが第１の位置にあるとき、両頭針は離間位置にあり、口部に対する封止部の封止状態が維持されており、カバーが第１の位置から第２の位置に移動した際、その移動に伴って両頭針が刺通位置に移動し、これにより封止状態が解除される。

Description

液体投与具

　本発明は、液体投与具に関する。

　従来から、無菌的に液状製剤が充填され、その液状製剤を投与可能なプレフィルドシリンジが知られている（例えば、特許文献１参照）。特許文献１に記載のプレフィルドシリンジは、液状製剤が吐出する口部を有するシリンジ外筒と、シリンジ外筒内で摺動し得るガスケットと、シリンジ外筒とガスケットとで囲まれた空間に充填された液状製剤と、ガスケットの基端側に連結され、該ガスケットを先端方向に向かって押圧して液状製剤を口部から吐出させるプランジャとを備えている。また、このプレフィルドシリンジは、未使用状態で、シリンジ外筒の口部が液密的にキャップで封止されている。そして、プレフィルドシリンジを用いて液状製剤を投与する際には、まず、シリンジ外筒の口部からキャップを取り外し、当該キャップが取り外された口部に、注射針を装着する。次に、注射針で生体を穿刺して、この穿刺状態のまま、プランジャを押圧操作する。これにより、ガスケットで液状製剤が口部から吐出することとなり、よって、当該液状製剤を注射針を介して生体に投与することができる。

　しかしながら、プレフィルドシリンジは、通常、キャップを取り外せば、使用者の任意のタイミングでプランジャを押圧操作することができるため、注射針で生体を穿刺する以前に、誤ってプランジャを押圧操作してしまうという問題が生じるおそれがあった。この場合、液状製剤が注射針から不本意に漏出したり、漏出した分、液状製剤が不足して、十分な量の液状製剤を生体に投与するのが困難となったりしていた。

特開２００５－３１９１１８号公報

　本発明の目的は、操作部材が誤って作動するのを確実に防止することができる液体投与具を提供することにある。

　このような目的は、下記（１）～（１３）の本発明により達成される。
　（１）　筒状をなし、その内側に液体が充填され、先端部に前記液体が排出される口部を有する筒体本体と、前記口部を液密に封止し、弾性を有する封止部とを備える筒体と、
　前記筒体本体内で摺動し得るガスケットと、
　前記封止部の先端側に配置され、前記筒体の軸方向に沿って移動可能に支持され、先端に鋭利な先端側針先と基端に鋭利な基端側針先とを有する針管と、
　前記針管を、前記基端側針先が前記封止部から離間した離間位置と、前記基端側針先が前記封止部を刺通して、前記筒体内と連通する刺通位置とに移動可能に支持する支持部材と、
　前記ガスケットの基端側に連結され、該ガスケットを先端方向に向かって押圧して前記液体を前記針管から吐出させる押圧操作を行なう操作部材と、
　前記針管の少なくとも前記先端側針先を覆う第１の位置と、該第１の位置から基端方向に退避して、前記先端側針先が露出する第２の位置とに移動可能なカバーとを備え、
　前記カバーが前記第１の位置にあるとき、前記針管は前記離間位置にあり、前記口部に対する前記封止部の封止状態が維持されており、
　前記カバーが前記第１の位置から前記第２の位置に移動した際、その移動に伴って、前記針管が前記刺通位置に移動し、これにより、前記封止状態が解除されることを特徴とする液体投与具。

　（２）　前記封止状態が維持されることにより、前記押圧操作が禁止され、前記封止状態が解除されることにより、前記押圧操作が可能となる上記（１）に記載の液体投与具。

　（３）　前記カバーは、前記第１の位置から前記第２の位置に移動するときに、前記支持部材に当接し、該支持部材を前記針管ごと基端方向に向かって押圧する押圧部を有する上記（１）または（２）に記載の液体投与具。

　（４）　前記カバーは、筒状をなすカバー本体と、該カバー本体の内周側にその中心軸回りに回動可能に支持され、前記カバー本体の移動を規制し得る筒状をなす規制部材とを有する上記（１）ないし（３）のいずれか１項に記載の液体投与具。

　（５）　前記カバーは、前記第２の位置から先端方向に向かって移動して、少なくとも前記先端側針先を再度覆う第３の位置に移動可能であり、
　前記操作部材は、前記規制部材の外周側に配置され、その周方向に沿って湾曲した湾曲片を有し、
　前記規制部材の外周部および前記湾曲片の内周部のうちの一方には、スライダ部が設けられ、他方には、前記スライダ部が摺動するレール部が設けられており、該レール部は、当該他方の軸方向に沿って形成された第１の縦方向レールと、該第１の縦方向レールに対して当該他方の周方向に離間して配置され、当該他方の軸方向に沿って形成された第２の縦方向レールと、該第２の縦方向レールに対して当該他方の周方向に離間して配置され、当該他方の軸方向に沿って形成された第３の縦方向レールと、前記第１の縦方向レールと前記第２の縦方向レールとの間に配置され、前記第１の縦方向レールと前記第２の縦方向レールとに連続し、当該他方の軸方向に対し傾斜して形成された第１の傾斜レールと、前記第２の縦方向レールと前記第３の縦方向レールとの間に配置され、前記第２の縦方向レールと前記第３の縦方向レールとに連続し、当該他方の軸方向に対し傾斜して形成された第２の傾斜レールとを有し、
　前記カバーが前記第１の位置から前記第２の位置に移動する過程では、前記スライダ部が前記第１の縦方向レール、前記第１の傾斜レール、前記第２の縦方向レール、前記第２の傾斜レールを順に摺動し、前記カバーが前記第２の位置から前記第３の位置に移動する過程では、前記スライダ部が前記第３の縦方向レールを摺動する上記（４）に記載の液体投与具。

　（６）　前記レール部は、前記第３の縦方向レールに設けられ、前記カバーが前記第３の位置に移動した際に前記スライダ部にその基端側から係合して、前記カバーの基端方向への移動を規制する係合部を有する上記（５）に記載の液体投与具。

　（７）　前記係合部は、弾性的に変形する上記（６）に記載の液体投与具。

　（８）　前記スライダ部は、突出形成された突部で構成され、前記レール部は、前記スライダ部が挿入される溝で構成されている上記（５）ないし（７）のいずれか１項に記載の液体投与具。

　（９）　前記規制部材は、前記第３の位置で前記カバー本体と係合して該カバー本体が基端方向に向かって移動するのを規制する上記（５）ないし（８）のいずれか１項に記載の液体投与具。

　（１０）　前記支持部材は、筒状をなし、前記筒体本体の外周部と前記規制部材の内周部との間に配置され、前記規制部材とともに回動可能であり、
　前記筒体本体の外周部および前記支持部材の内周部のうちの一方には、前記スライダ部よりも内側に位置する内側スライダ部が設けられ、他方には、前記内側スライダ部が摺動する内側レール部が設けられており、前記内側レール部は、当該他方の軸方向に対し傾斜して形成された内側傾斜レールと、該内側傾斜レールの基端側に配置され、前記内側傾斜レールと連続し、当該他方の軸方向に沿って形成された内側縦方向レールとを有し、
　前記針管が前記離間位置から前記刺通位置に移動する過程で、前記内側スライダ部が前記内側傾斜レール、前記内側縦方向レールを順に摺動する上記（５）ないし（９）のいずれか１項に記載の液体投与具。

　（１１）　前記内側スライダ部は、前記スライダ部が前記第１の縦方向レールを摺動する際には前記内側傾斜レールに留まり、前記スライダ部が前記第１の傾斜レールを摺動する際には前記内側傾斜レールを摺動し、前記スライダ部が前記第２の縦方向レールを摺動する際には前記内側縦方向レールを摺動し、前記スライダ部が前記第２の傾斜レール、前記第３の縦方向レールを順に摺動する際には前記内側縦方向レールに留まる上記（１０）に記載の液体投与具。

　（１２）　前記内側レール部は、前記内側縦方向レールに設けられ、前記針管が前記刺通位置に移動した際に前記内側スライダ部にその先端側から係合して、前記針管の先端方向への移動を規制する内側係合部を有する上記（１０）または（１１）に記載の液体投与具。

　（１３）　前記内側スライダ部は、突出形成された突部で構成され、前記内側レール部は、前記内側スライダ部が挿入される溝で構成されている上記（１０）ないし（１２）のいずれか１項に記載の液体投与具。

　本発明によれば、カバー部材の位置に応じて、筒体本体の口部に対する封止部の封止状態の維持または解除が行なわれる。そして、封止状態が維持されている場合には、操作部材による押圧操作が禁止され、封止状態が解除された場合には、操作部材による押圧操作が可能となる。これにより、例えばカバー部材が第１の位置にあるときに不本意に封止状態が解除されることが防止され、その結果操作部材が誤って作動するのを確実に防止することができる。

図１は、本発明の液体投与具の使用時の作動状態を順に示す側面図（一部を切欠いた図）である。図２は、本発明の液体投与具の使用時の作動状態を順に示す側面図（一部を切欠いた図）である。図３は、本発明の液体投与具の使用時の作動状態を順に示す側面図（一部を切欠いた図）である。図４は、本発明の液体投与具の使用時の作動状態を順に示す側面図（一部を切欠いた図）である。図５は、本発明の液体投与具の使用時の作動状態を順に示す側面図（一部を切欠いた図）である。図６は、本発明の液体投与具の使用時の作動状態を順に示す側面図（一部を切欠いた図）である。図７は、図１に示す状態の液体投与具の縦断面図である。図８は、図２に示す状態の液体投与具の縦断面図である。図９は、図３に示す状態の液体投与具の縦断面図である。図１０は、図４に示す状態の液体投与具の縦断面図である。図１１は、図５に示す状態の液体投与具の縦断面図である。図１２は、図６に示す状態の液体投与具の縦断面図である。図１３は、本発明の液体投与具が備える操作部材と規制部材との位置関係を示す分解斜視図である。図１４は、本発明の液体投与具が備える内筒と支持部材との位置関係を示す分解斜視図である。図１５は、本発明の液体投与具が備える支持部材と規制部材との位置関係を示す分解斜視図である。図１６は、本発明の液体投与具が備えるカバー本体と規制部材との位置関係を示す分解縦断面図である。

　以下、本発明の液体投与具を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図１～図６は、それぞれ、本発明の液体投与具の使用時の作動状態を順に示す側面図（一部を切欠いた図）、図７～図１２は、それぞれ、図１～図６に示す状態の液体投与具の縦断面図、図１３は、本発明の液体投与具が備える操作部材と規制部材との位置関係を示す分解斜視図、図１４は、本発明の液体投与具が備える内筒と支持部材との位置関係を示す分解斜視図、図１５は、本発明の液体投与具が備える支持部材と規制部材との位置関係を示す分解斜視図、図１６は、本発明の液体投与具が備えるカバー本体と規制部材との位置関係を示す分解縦断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図１～図１６中の上側を「基端」または「上（上方）」、下側を「先端」または「下（下方）」と言う。

　図１～図１２に示す液体投与具１０は、液体Ｑを生体Ｂに投与する（注入する）際に用いられる医療器具である。なお、液体Ｑとしては、その使用目的に応じて適宜選択されるが、例えば、造血剤、ワクチン、ホルモン製剤、抗リウマチ剤、抗ガン剤、麻酔剤、血液凝固防止剤等、主に皮下注射される薬液が挙げられる。

　この液体投与具１０は、内筒（筒体）１と、内筒１に装着された穿刺針５０と、内筒１内で摺動し得るガスケット３と、ガスケット３の基端側に連結された操作部材１１と、両頭針２を覆うことができるカバー７０と、カバー７０を付勢する付勢手段としてのコイルバネ６０とを備えている。

　なお、図１４、図１５に示すように、穿刺針５０は、２つの部品（本実施形態では両頭針２および支持部材９）で構成され、これら部品同士を組み立ててなる組立体で構成されている。この組立体では、両頭針２は、支持部材９に対し固定されている。

　また、図１～図１２に示すように、操作部材１１も、２つの部品（本実施形態では操作部材本体８および把持部材（把持部）７）で構成され、これら部品同士を組み立ててなる組立体で構成されている。この組立体では、把持部材７は、操作部材本体８に対し固定されている。

　また、図１６に示すように、カバー７０も、２つの部品（本実施形態ではカバー本体６および規制部材４）で構成され、これら部品同士を組み立ててなる組立体で構成されている。この組立体では、規制部材４は、円筒状をなすカバー本体６に対しその中心軸回りに回動可能に支持されている。

　図７～図１２に示すように、内筒１は、先端部に底部１２と、当該底部１２の縁部から立設した側壁１３とを有する部材、すなわち、有底筒状をなす部材で構成された内筒本体１４を有している。そして、内筒１の内部には、液体Ｑが充填可能である。

　底部１２は、形状がすり鉢状をなし、その中心部に液体Ｑが排出される（通過する）口部１２１が貫通して形成されている。

　側壁１３は、形状が円筒状をなしている。

　また、内筒１は、内筒本体１４の口部１２１を液密に封止する封止部材（封止部）１５と、封止部材１５をその先端側から固定する固定部材１６とを有している。

　封止部材１５は、円板状をなす弾性片で構成され、その基端面にリング状の凹部１５１が形成されている。この凹部１５１に、内筒本体１４の口部１２１に突出形成されたリング状の凸部１２２が液密に嵌合することができる。これにより、封止部材１５が内筒本体１４の口部１２１に装着されるとともに、当該口部１２１を液密に封止することができる。

　固定部材１６は、リング状をなす部材である。そして、この固定部材１６は、封止部材１５にその外周側から嵌合して、凸部１２２との間で封止部材１５を挟持することにより、当該封止部材１５を内筒本体１４に対して確実に固定することができる。これにより、封止部材１５の内筒本体１４からの離脱が確実に防止される。なお、固定部材１６の固定方法としては、その他、接着による方法や溶着による方法であってもよい。

　また、内筒本体１４、固定部材１６、カバー７０、支持部材９、操作部材１１の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ－（４－メチルペンテン－１）、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリルニトリル－ブタジエン－スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ブタジエン－スチレン共重合体、ポリアミド（例えば、ナイロン６、ナイロン６・６、ナイロン６・１０、ナイロン１２）のような各種樹脂が挙げられるが、その中でも、成形が容易であるという点で、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ－（４－メチルペンテン－１）のような樹脂が好ましい。

　また、封止部材１５、ガスケット３を構成する弾性材料としては、特に限定されず、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン－ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの混合物等の弾性材料が挙げられる。

　筒体本体１４内には、ガスケット３が収納されている。なお、このガスケット３と筒体本体１４（内筒１）とで囲まれた空間には、液体Ｑが予め充填されている。そして、ガスケット３が先端方向に向かって移動することにより、筒体本体１４内の液体Ｑを、当該筒体本体１４に連通した状態の両頭針２から押し出すことができる（図１０、図１１参照）。

　ガスケット３は、外形形状が円盤状をなし、その外周部に２つの突部３１、３２が突出形成されている。突部３１と突部３２とは、ガスケット３の軸方向に沿って離間している。また、突部３１、３２は、それぞれ、ガスケット３の周方向に沿ったリング状をなし、その外径は、外力を付与しない自然状態で、内筒１の内径よりも若干大きい。これにより、突部３１、３２は、それぞれ、内筒１の側壁１３の内周部１３３に対し密着しつつ摺動することができ、よって、液密性を確実に保持するとともに、摺動性の向上が図れる。

　図７～図１２に示すように、内筒１の先端部には、穿刺針５０が装着されている。この穿刺針５０は、両頭針２と支持部材９とで構成されている。

　両頭針２は、内筒１の封止部材１５の先端側に配置されている。両頭針２は、中空の針管であり、先端に鋭利な先端側針先２１を有し、基端にも鋭利な基端側針先２３を有する。このような構成の両頭針２は、先端側針先２１で生体Ｂを穿刺することができ、基端側針先２３で内筒１の封止部材１５を刺通することができる。

　両頭針２の内腔部（中空部）は、基端側針先２３が内筒１の封止部材１５を刺通した図１０～図１２に示す状態で、内筒１と連通しており、内筒１からの液体Ｑが通過する流路２２として機能する。そして、先端側針先２１で生体Ｂを皮膚から所定の深さまで穿刺した状態で、当該生体Ｂに流路２２を介して液体Ｑが注入される。

　なお、両頭針２の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金のような金属材料が挙げられる。

　このような構成の両頭針２は、支持部材９を介して内筒１に装着されている。支持部材９は、両頭針２を内筒１に対しその中心軸方向に沿って移動可能に支持するものである。これにより、穿刺針５０は、基端側針先２３が内筒１の封止部材１５から離間した（または刺通仕切らない）離間位置（図７～図９参照）から、基端側針先２３が封止部材１５を刺通して、両頭針２と内筒１内とが連通する刺通位置（図１０～図１２参照）に移動することができる。よって、液体投与具１０では、穿刺針５０が刺通位置に位置するまで両頭針２からの液体Ｑの不本意な漏出が防止される。

　支持部材９は、円板状をなす固定部（支持部）９１と、固定部９１の縁部から基端方向に向かって立設した壁部９２とで構成されている。

　固定部９１は、その中心部で両頭針２を支持、固定することができる。なお、両頭針２の固定部９１で支持される箇所は、両頭針２の長手方向の途中である。

　壁部９２は、固定部９１の縁部に沿った円筒状なす部分である。図１５に示すように、壁部９２の外周部には、外側に向かって突出し、壁部９２の中心軸方向に沿って延在した複数（図１５に示す構成では４つ）の凸条９３が形成されている。各凸条９３は、それぞれ、壁部９２の周方向に沿って等間隔に配置されている。そして、各凸条９３は、それぞれ、カバー７０の規制部材４の内周部に形成されたガイド溝４１に挿入されている。これにより、穿刺針５０が離間位置から刺通位置に移動する際に、凸条９３がガイド溝４１で案内され、よって、その移動が円滑に行なわれる。

　また、前述したように、カバー７０では、規制部材４がカバー本体６に対しその中心軸回りに回動可能に支持されている。穿刺針５０は、凸条９３がガイド溝４１に挿入されているため、規制部材４とともに回動することもできる。この回転により、後述する穿刺針５０の内側スライダ部９４が、内筒１の内側溝部１７の内側傾斜溝１７１を移動することができる（図１、図２、図１４参照）。

　操作部材１１は、ガスケット３を先端方向に向かって押圧して液体Ｑを両頭針２から吐出させる押圧操作（吐出操作）を行なう部材である。操作部材１１は、ガスケット３と連結される操作部材本体８と、押圧操作を行なうときに把持される把持部材（把持部）７とで構成されている。

　図１３に示すように、操作部材本体８は、円板状をなす天板８１と、天板８１の下面に円柱状に突出形成されたプランジャ８２と、天板８１の下面に突出形成され、プランジャ８２を介して対向配置された一対の湾曲片８３とを有している。

　天板８１の外周部には、円筒状をなす把持部材７の内周部が嵌合することができる。なお、天板８１の外周部および把持部材７の内周部のうちの一方には、複数の爪部が形成され、他方には、各爪部がそれぞれ係合する凹部が形成されているのが好ましい。爪部が凹部に係合することにより、操作部材本体８と把持部材７とが互いに固定されることとなる。そして、操作部材１１を操作する際に、例えば片手の手のひらを操作部材本体８の天板８１に当てて、親指から小指までを把持部材７の外周部７１に掛けて、その操作を片手で一回の連続操作の中で確実に行うことができる。または、片方の手の人差し指から小指までを把持部材７の外周部７１に掛け、親指を操作部材本体８の天板８１に掛けて、その操作を片手で一回の連続操作の中で確実に行なうことができる。

　プランジャ８２は、天板８１の中心部に設けられている。このプランジャ８２は、その先端部８２１がガスケット３の基端面に開口した凹部３３に挿入されて（嵌合して）いる。これにより、操作部材１１とガスケット３とが連結され、よって、ガスケット３に対する操作を行なうことができる。

　湾曲片８３は、それぞれ、プランジャ８２の周方向に沿って湾曲している。

　把持部材７は、円筒状をなし、その内周部が湾曲片８３の外周部から離間するように設けられている。そして、図７～図１２に示すように、把持部材７の内周部と湾曲片８３の外周部との間をカバー７０のカバー本体６が移動することができる。

　カバー７０は、第１の位置（図１、図７参照）と、第２の位置（図４、図５、図１０、図１１参照）と、第３の位置（図６、図１２参照）とに移動することができる。第１の位置では、カバー７０は、両頭針２の少なくとも先端側針先２１を覆うことができる。これにより、先端側針先２１による誤穿刺や、先端側針先２１が損傷を受けるのを確実に防止することができる。また、第１の位置から基端方向に移動した（退避した）第２の位置では、先端側針先２１が生体Ｂを穿刺可能な程度に十分に露出する。これにより、先端側針先２１で生体Ｂを確実に穿刺することができる。第２の位置から先端方向に向かって移動した第３の位置では、少なくとも先端側針先２１を再度覆うことができる。

　図１６に示すように、カバー７０は、円筒状をなすカバー本体６と、カバー本体６の内周側に当該カバー本体６と同心的に配置され、円筒状をなす規制部材４とで構成されている。

　カバー本体６は、その先端に先端壁部６３を有している。先端壁部６３は、カバー本体６の周方向に沿ってリング状をなす部分である。そして、図７～図１０に示すように、先端壁部６３は、カバー７０が第１の位置から第２の位置に移動するときに、支持部材９の固定部９１に当接し、支持部材９を両頭針２ごと基端方向に向かって押圧する押圧部として機能する。この押圧により、穿刺針５０は、離間位置から刺通位置に移動することができる。

　また、カバー本体６の内周部６５には、先端壁部６３から離間した位置に突部６５１が突出して形成されている。この突部６５１は、先端壁部６３との間に間隙を形成し、当該間隙に、後述する規制部材４の爪部４６が挿入される。これにより、図１２に示すように、第３の位置で、カバー本体６と規制部材４とが係合することとなり、カバー本体６が基端方向に向かって移動するのが規制される。なお、図７～図１１に示すように、カバー本体６と規制部材４との係合は、カバー７０が第３の位置に来るまでは解除されている。すなわち、規制部材４の爪部４６は、突部６５１と先端壁部６３との間からは離間している。

　カバー本体６の外周部６４には、複数（本実施形態では４つ）のリブ６４１が突出して形成されている。各リブ６４１は、それぞれ、その周方向に沿って等間隔に配置されている。このように形成された各リブ６４１は、把持部材７の内周部７２に、その軸方向に沿って形成された溝７２１（図９、図１０参照）に挿入される。これにより、カバー７０が移動する際に、リブ６４１が当該溝で案内され、よって、その移動が円滑に行なわれる。また、カバー本体６の把持部材７に対する回転も規制することができ、よって、カバー７０全体としての移動がより円滑に行なわれる。

　規制部材４は、カバー本体６（カバー７０）の移動を規制し得る部材であり、カバー本体６の中心軸回りに回動可能に支持されている。規制部材４の先端部には、前述した爪部４６が形成されている。この爪部４６は、規制部材４の壁部の先端部を欠損させることにより、規制部材４の回転方向に向かって、すなわち、規制部材４の周方向（図１６中の左方向）に向かって突出形成された部分である。

　カバー７０は、コイルバネ６０の付勢力により、第２の位置から第１の位置（第３の位置）に移動する方向に向かって付勢されている。

　図７～図１２に示すように、コイルバネ６０は、圧縮状態で操作部材１１のプランジャ８２と湾曲片８３との間に収納されている。このコイルバネ６０は、その先端６０１が規制部材４の基端面に当接し、基端６０２が操作部材１１の天板８１に当接している。そして、これらの間で、コイルバネ６０が圧縮されている。これにより、カバー７０を第２の位置から第１の位置へ向かう方向に確実に付勢することができる。このようなコイルバネ６０の付勢力により、液体投与具１０の使用前後で、穿刺針５０の先端側針先２１をカバー本体６で覆うことができ、よって、当該先端側針先２１による誤穿刺等を確実に防止することができる。

　なお、コイルバネ６０の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼等のような金属材料を用いることができる。

　以上のような構成の液体投与具１０では、図１、図７に示す押圧操作禁止状態と、図４、図５、図１０、図１１に示す押圧操作可能状態と、図６、図１３に示すカバー移動禁止状態とを取り得る。

　押圧操作禁止状態は、カバー７０が第１の位置にあるときに、穿刺針５０は離間位置にあり、内筒１では口部１２１に対する封止部材１５の封止状態が維持されており、これにより、操作部材１１による押圧操作を禁止する状態である。

　押圧操作可能状態は、カバー７０が第１の位置から第２の位置に移動した際に、その移動に伴って、穿刺針５０が刺通位置に移動し、これにより、内筒１での口部１２１に対する封止部材１５の封止状態が解除されて、操作部材１１による押圧操作が可能となる状態である。

　カバー移動禁止状態は、押圧操作完了後にカバー７０が第２の位置から第３の位置に移動した際に、カバー７０の第３の位置からの再移動が禁止される状態である。

　以下、これらの状態を順に経るための構成について説明する。

　図１３に示すように、規制部材４には、その外周部の先端部に一対の外側スライダ部（スライダ部（外側フォロア部））４２が設けられている。また、規制部材４の外周側には、操作部材１１（操作部材本体８）の一対の湾曲片８３が配置されている。そして、各湾曲片８３には、それぞれ、１つの外側スライダ部４２が摺動する外側レール部（レール部）としての外側溝部（外側カム溝）８４が設けられている。

　一対の外側スライダ部４２は、規制部材４の中心軸を介して互いに反対側に配置されている。また、各外側スライダ部４２は、それぞれ、規制部材４の外周部から突出形成された突部で構成されている。

　各外側溝部８４の構成は、それぞれ、同じであるため、１つの外側溝部８４について代表的に説明する。

　外側溝部８４は、湾曲片８３をその厚さ方向に貫通した貫通孔であり、外側スライダ部４２が挿入される。この外側溝部８４は、第１の外側縦溝（第１の縦方向レール）８４１と、第２の外側縦溝（第２の縦方向レール）８４２と、第３の外側縦溝（第３の縦方向レール）８４３と、第１の外側傾斜溝（第１の傾斜レール）８４４と、第２の外側傾斜溝（第２の傾斜レール）８４５と、外側係合部（係合部）８４６とで構成されている。

　第１の外側縦溝８４１は、操作部材１１の中心軸方向に沿って、すなわち、カバー７０が第１の位置から第２の位置に移動する方向に向かって形成されている。

　第２の外側縦溝８４２は、第１の外側縦溝８４１に対して操作部材１１（湾曲片８３）の周方向に離間した位置に、操作部材１１の中心軸方向に沿って、すなわち、第１の外側縦溝８４１と同方向に向かって形成されている。

　第３の外側縦溝８４３は、第２の外側縦溝８４２に対して操作部材１１の周方向に離間した位置に、操作部材１１の中心軸方向に沿って、すなわち、カバー７０が第２の位置から第３の位置に移動する方向に向かって形成されている。

　外側溝部８４では、第１の外側縦溝８４１と第２の外側縦溝８４２と第３の外側縦溝８４３とが操作部材１１の周方向に沿ってこの順に配置されている。

　第１の外側傾斜溝８４４は、第１の外側縦溝８４１と第２の外側縦溝８４２との間に、操作部材１１の中心軸方向に対し傾斜して形成されている。この第１の外側傾斜溝８４４は、その先端部が第１の外側縦溝８４１の基端部と交差しており、基端部が第２の外側縦溝８４２の先端部と交差している。

　第２の外側傾斜溝８４５は、第２の外側縦溝８４２と第３の外側縦溝８４３との間に、操作部材１１の中心軸方向に対し傾斜して形成されている。この第２の外側傾斜溝８４５は、その先端部が第２の外側縦溝８４２の基端部に交差し、基端部が第３の外側縦溝８４３の基端部に交差している。

　このように形成された第１の外側縦溝８４１、第２の外側縦溝８４２、第３の外側縦溝８４３、第１の外側傾斜溝８４４、第２の外側傾斜溝８４５は、隣接する溝同士が互いに連通し、全体として連続した１本の溝となっている。これにより、カバー７０が第１の位置から第２の位置に移動する過程では、外側スライダ部４２は、第１の外側縦溝８４１、第１の外側傾斜溝８４４、第２の外側縦溝８４２、第２の外側傾斜溝８４５を順に円滑に摺動することができる。また、カバー７０が第２の位置から第３の位置に移動する過程では、外側スライダ部４２は、第３の外側縦溝８４３を円滑に摺動することができる。

　外側係合部８４６は、第３の外側縦溝８４３を画成する湾曲片８３の一部で構成された弾性片である。この外側係合部８４６は、第３の外側縦溝８４３の先端部に配置され、カバー７０が第３の位置に移動した際に外側スライダ部４２にその先端側から係合することができる（図６参照）。また、弾性片で構成された外側係合部８４６は、弾性的に変形することができ、よって、外側スライダ部４２との係合状態が確実に維持される。これにより、カバー７０（カバー本体６）が第３の位置から再度基端方向へ移動するのを規制することができる。

　図１４に示すように、穿刺針５０の支持部材９には、その内周部の基端部に一対の内側スライダ部（内側フォロア部）９４が設けられている。また、支持部材９の内周側には、筒体本体１４（内筒１）が配置されている。そして、この筒体本体１４には、その外周部の先端部に、各内側スライダ部９４がそれぞれ摺動する内側レール部としての内側溝部（内側カム溝）１７が設けられている。

　一対の内側スライダ部９４は、外側スライダ部４２よりも内側に位置するものであり、支持部材９の中心軸を介して対向して配置されている。また、各内側スライダ部９４は、それぞれ、支持部材９の内周部から突出形成された突部で構成されている。

　各内側溝部１７は、それぞれ、同じであるため、１つの内側溝部１７について代表的に説明する。

　内側溝部１７には、内側スライダ部９４が挿入される。この内側溝部１７は、内側傾斜溝（内側傾斜レール）１７１と、内側縦溝（内側縦方向レール）１７２と、第１の内側係合部１７３と、第２の内側係合部（内側係合部）１７４とで構成されている。

　内側傾斜溝１７１は、筒体本体１４の中心軸方向に対し傾斜して形成されている。

　内側縦溝１７２は、内側傾斜溝１７１の基端側に、筒体本体１４の中心軸方向に沿って、すなわち、穿刺針５０が離間位置から刺通位置に移動する方向に向かって形成されている。この内側縦溝１７２は、その先端部が内側傾斜溝１７１の基端部と交差している。これにより、内側傾斜溝１７１と内側縦溝１７２とが互いに連通し、全体として連続した１本の溝となっている。よって、穿刺針５０が離間位置から刺通位置に移動する過程では、内側スライダ部９４は、内側傾斜溝１７１、内側縦溝１７２を順に円滑に摺動することができる。

　第１の内側係合部１７３は、内側傾斜溝１７１を画成する筒体本体１４の壁部の一部が突出した部分である。この第１の内側係合部１７３は、内側傾斜溝１７１の先端部に配置されており、穿刺針５０が離間位置にあるときに、内側スライダ部９４にその基端側から一時的に係合する（図１、図２参照）。これにより、前述したように穿刺針５０がカバー７０の先端壁部６３で基端方向に向かって押圧されるまでは、穿刺針５０の不本意な移動が確実に規制される、すなわち、穿刺針５０が離間位置に確実に留まることができる。

　第２の内側係合部１７４は、内側縦溝１７２を画成する筒体本体１４の壁部の一部が突出した部分である。この第２の内側係合部１７４は、内側縦溝１７２の基端部に配置されており、穿刺針５０が刺通位置に移動した際に内側スライダ部９４にその先端側から係合する（図４～図６参照）。これにより、穿刺針５０が先端方向へ移動する、すなわち、穿刺針５０が離間位置に戻るのが規制され、よって、第３の位置にあるカバー７０で先端側針先２１を確実に覆うことができる。

　前述したように、穿刺針５０が規制部材４とともに回転することができる。これにより、液体投与具１０では、この規制部材４に設けられた外側スライダ部４２の外側溝部８４に対する位置、すなわち、外側スライダ部４２が外側溝部８４を構成する複数本の溝うちのどの溝を移動しているのかに応じて（連動して）、穿刺針５０（支持部材９）に設けられた内側スライダ部９４が内側溝部１７を移動することができる。

　具体的には、図１、図２に示すように、外側スライダ部４２が第１の外側縦溝８４１を摺動する際には、内側スライダ部９４は内側傾斜溝１７１に留まる。また、図３に示すように、外側スライダ部４２が第１の外側傾斜溝８４４を摺動する際には、内側スライダ部９４は内側傾斜溝１７１を摺動する。また、図４に示すように、外側スライダ部４２が第２の外側縦溝８４２を摺動する際には、内側スライダ部９４は内側縦溝１７２を摺動する。図５、図６に示すように、外側スライダ部４２が第２の外側傾斜溝８４５、第３の外側縦溝８４３を順に摺動する際には、内側スライダ部９４は内側縦溝１７２に留まる。

　そして、このような位置関係により、液体投与具１０は、押圧操作禁止状態、押圧操作可能状態、カバー移動禁止状態を順に経ることができる。これについての詳細は、以下の液体投与具１０の使用方法と、その使用時の作動状態とともに説明する。

　次に、液体投与具１０の使用方法と、その使用時の作動状態とについて、図１～図１２を参照しつつ説明する。

　［１］　まず、図１、図７に示す未使用状態（初期状態）の液体投与具１０を用意する。

　この液体投与具１０は、押圧操作禁止状態となっている。押圧操作禁止状態では、カバー７０が第１の位置にあり、当該カバー７０の一部を構成する規制部材４の外側スライダ部４２が、操作部材１１の外側溝部８４の第１の外側縦溝８４１に位置している。また、このとき、穿刺針５０は離間位置にあり、当該穿刺針５０の一部を構成する支持部材９の内側スライダ部９４が、内筒１の内側溝部１７の内側傾斜溝１７１に位置している。さらに、穿刺針５０が離間位置にあるため、内筒１では、口部１２１に対する封止部材１５の封止状態が維持されている。これにより、操作部材１１による押圧操作が禁止されるとともに、液体Ｑの投与が開始されるまで、液体Ｑの無菌状態を維持することができる。

　なお、内側スライダ部９４は、内側傾斜溝１７１内で第１の内側係合部１７３に係合している。これにより、穿刺針５０の不本意な基端方向への移動が規制され、よって、前記封止状態を確実に維持することができる。

　また、第１の位置にあるカバー７０により、両頭針２の先端側針先２１が覆われている。これにより、先端側針先２１による誤穿刺を確実に防止することができる。

　［２］　次に、未使用状態の液体投与具１０の操作部材１１の把持部材７を把持して、図８に示すように、カバー７０の先端壁部６３を生体Ｂに当接させ、そのまま、操作部材１１を先端方向に向かって押圧する。これにより、カバー７０は、コイルバネ６０の付勢力に抗して、第１の位置から第２の位置へ移動し始める。

　このとき、カバー７０の外側スライダ部４２は、操作部材１１の第１の外側縦溝８４１の第１の外側傾斜溝８４４と交差する位置まで摺動する。一方、穿刺針５０の内側スライダ部９４は、内側傾斜溝１７１内で第１の内側係合部１７３に係合した状態となっているため、その位置で留まっている（図２参照）。これにより、穿刺針５０は、未だ離間位置にある。

　［３］　図２、図８に示す状態から操作部材１１をさらに先端方向に向かって押圧すると、図３に示すように、カバー７０の外側スライダ部４２は、操作部材１１の第１の外側傾斜溝８４４の第２の外側縦溝８４２と交差する位置まで摺動する。このとき、規制部材４が回転することとなり、この回転に伴って、穿刺針５０も同方向に回転して、内側スライダ部９４が第１の内側係合部１７３から外れ、内側傾斜溝１７１の内側縦溝１７２と交差する位置まで摺動する。これにより、穿刺針５０は、離間位置から刺通位置へ移動し始める（図９参照）。

　［４］　図３、図９に示す状態から操作部材１１を先端方向に向かって押圧し続けると、液体投与具１０は、図４、図１０に示す押圧操作可能状態となる。この押圧操作可能状態では、カバー７０が第２の位置に移動しており、当該カバー７０の外側スライダ部４２が、まず、操作部材１１の第２の外側縦溝８４２の第２の外側傾斜溝８４５と交差する位置まで摺動する。なお、カバー７０が第２の位置にあるため、先端側針先２１が突出し、当該先端側針先２１で生体Ｂを穿刺することができる。

　また、カバー７０が第２の位置に移動する過程で、当該カバー７０の先端壁部６３が穿刺針５０の支持部材９を基端方向に向かって押圧する。これにより、穿刺針５０は、その内側スライダ部９４が内側縦溝１７２の基端部まで移動することができ（図４参照）、よって、刺通位置で内筒１と連通することとなる（図１０参照）。この連通により、内筒１での口部１２１に対する封止部材１５の封止状態が解除され、よって、操作部材１１による押圧操作を行なうことができ、液体Ｑの投与が開始される。

　［５］　そして、操作部材１１による押圧操作を継続することにより、カバー７０の外側スライダ部４２は、さらに、第２の外側傾斜溝８４５の第３の外側縦溝８４３と交差する位置まで摺動する（図５参照）。このとき、ガスケット３が内筒１の底部１２に当接する移動限界まで移動して、液体Ｑを両頭針２から排出することができる（図１１参照）。これにより、液体Ｑの投与が完了する。

　［６］　次に、図６、図１２に示すように、液体投与具１０を生体Ｂから離間させる。これにより、カバー７０は、コイルバネ６０の付勢力により先端方向に向かって付勢されることとなり、外側スライダ部４２が第３の外側縦溝８４３を移動し、第３の位置まで移動することができる。このとき、液体投与具１０は、カバー移動禁止状態となる。カバー移動禁止状態では、外側スライダ部４２が外側係合部８４６に係合しており、この係合によって、カバー７０が再度基端方向に向かって移動するのが禁止されている。先端側針先２１による誤穿刺が防止される。

　なお、穿刺針５０の内側スライダ部９４は、第２の内側係合部１７４に係合して、内側縦溝１７２に留まる。これにより、穿刺針５０は、刺通位置に位置し続けることとなる。

　以上のように、液体投与具１０では、両頭針２の先端側針先２１がカバー７０で覆われているときには、操作部材１１によって液体Ｑを吐出させる押圧操作が禁止され、先端側針先２１がカバー７０から突出したときに、押圧操作を行なうことができる。これにより、生体Ｂに対する穿刺が行われる前に、操作部材１１による押圧操作が誤って行なわれるのを確実に防止することができる。

　以上、本発明の液体投与具を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、液体投与具を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。

　また、前記実施形態では、外側スライダ部が規制部材および操作部材の湾曲片のうちの規制部材に設けられ、外側レール部が操作部材の湾曲片に設けられている。本願発明では、これに限定されず、外側レール部が規制部材に設けられ、外側スライダ部が操作部材の湾曲片に設けられていてもよい。

　また、前記実施形態では、内側スライダ部が支持部材および筒体本体のうちの支持部材に設けられ、内側レール部が筒体本体に設けられている。本願発明では、これに限定されず、内側スライダ部が筒体本体に設けられ、内側レール部が支持部材に設けられていてもよい。

　また、外側レール部および内側レール部は、それぞれ、前記実施形態では溝で構成されているが、外側スライダ部および内側スライダ部がレールに沿って滑動可能であればこれに限定されず、例えば、凸条（リブ）や段差で構成されていてもよい。

　本発明の液体投与具は、筒状をなし、その内側に液体が充填され、先端部に前記液体が排出される口部を有する筒体本体と、前記口部を液密に封止し、弾性を有する封止部とを備える筒体と、前記筒体内で摺動し得るガスケットと、前記封止部の先端側に配置され、前記筒体の軸方向に沿って移動可能に支持され、先端に鋭利な先端側針先と基端に鋭利な基端側針先とを有する針管と、前記針管を、前記基端側針先が前記封止部から離間した離間位置と、前記基端側針先が前記封止部を刺通して、前記筒体内と連通する刺通位置とに移動可能に支持する支持部材と、前記ガスケットの基端側に連結され、該ガスケットを先端方向に向かって押圧して前記液体を前記針管から吐出させる押圧操作を行なう操作部材と、前記針管の少なくとも前記先端側針先を覆う第１の位置と、該第１の位置から基端方向に退避して、前記先端側針先が露出する第２の位置とに移動可能なカバーとを備え、前記カバーが前記第１の位置にあるとき、前記針管は前記離間位置にあり、前記口部に対する前記封止部の封止状態が維持されており、前記カバーが前記第１の位置から前記第２の位置に移動した際、その移動に伴って、前記針管が前記刺通位置に移動し、これにより、前記封止状態が解除される。そのため、操作部材の作動を規制したいときに、操作部材が誤って作動するのを確実に防止することができる。

　従って、本発明の液体投与具は、産業上の利用可能性を有する。

　１０　　　　　液体投与具
　１　　　　　　内筒（筒体）
　１２　　　　　底部
　１２１　　　　口部
　１２２　　　　凸部
　１３　　　　　側壁
　１３３　　　　内周部
　１４　　　　　内筒本体
　１５　　　　　封止部材（封止部）
　１５１　　　　凹部
　１６　　　　　固定部材
　１７　　　　　内側溝部（内側カム溝）
　１７１　　　　内側傾斜溝（内側傾斜レール）
　１７２　　　　内側縦溝（内側縦方向レール）
　１７３　　　　第１の内側係合部
　１７４　　　　第２の内側係合部（内側係合部）
　２　　　　　　両頭針
　２１　　　　　先端側針先
　２２　　　　　流路
　２３　　　　　基端側針先
　３　　　　　　ガスケット
　３１、３２　　突部
　３３　　　　　凹部
　４　　　　　　規制部材
　４１　　　　　ガイド溝
　４２　　　　　外側スライダ部（スライダ部（外側フォロア部））
　４６　　　　　爪部
　６　　　　　　カバー本体
　６３　　　　　先端壁部
　６４　　　　　外周部
　６４１　　　　リブ
　６５　　　　　内周部
　６５１　　　　突部
　７　　　　　　把持部材（把持部）
　７１　　　　　外周部
　７２　　　　　内周部
　７２１　　　　溝
　８　　　　　　操作部材本体
　８１　　　　　天板
　８２　　　　　プランジャ
　８２１　　　　先端部
　８３　　　　　湾曲片
　８４　　　　　外側溝部（外側カム溝）
　８４１　　　　第１の外側縦溝（第１の縦方向レール）
　８４２　　　　第２の外側縦溝（第２の縦方向レール）
　８４３　　　　第３の外側縦溝（第３の縦方向レール）
　８４４　　　　第１の外側傾斜溝（第１の傾斜レール）
　８４５　　　　第２の外側傾斜溝（第２の傾斜レール）
　８４６　　　　外側係合部（係合部）
　９　　　　　　支持部材
　９１　　　　　固定部（支持部）
　９２　　　　　壁部
　９３　　　　　凸条
　９４　　　　　内側スライダ部（内側フォロア部）
　１１　　　　　操作部材
　５０　　　　　穿刺針
　６０　　　　　コイルバネ
　６０１　　　　先端
　６０２　　　　基端
　７０　　　　　カバー
　Ｂ　　　　　　生体
　Ｑ　　　　　　液体

Claims

　筒状をなし、その内側に液体が充填され、先端部に前記液体が排出される口部を有する筒体本体と、前記口部を液密に封止し、弾性を有する封止部とを備える筒体と、
　前記筒体本体内で摺動し得るガスケットと、
　前記封止部の先端側に配置され、前記筒体の軸方向に沿って移動可能に支持され、先端に鋭利な先端側針先と基端に鋭利な基端側針先とを有する針管と、
　前記針管を、前記基端側針先が前記封止部から離間した離間位置と、前記基端側針先が前記封止部を刺通して、前記筒体内と連通する刺通位置とに移動可能に支持する支持部材と、
　前記ガスケットの基端側に連結され、該ガスケットを先端方向に向かって押圧して前記液体を前記針管から吐出させる押圧操作を行なう操作部材と、
　前記針管の少なくとも前記先端側針先を覆う第１の位置と、該第１の位置から基端方向に退避して、前記先端側針先が露出する第２の位置とに移動可能なカバーとを備え、
　前記カバーが前記第１の位置にあるとき、前記針管は前記離間位置にあり、前記口部に対する前記封止部の封止状態が維持されており、
　前記カバーが前記第１の位置から前記第２の位置に移動した際、その移動に伴って、前記針管が前記刺通位置に移動し、これにより、前記封止状態が解除されることを特徴とする液体投与具。
　前記封止状態が維持されることにより、前記押圧操作が禁止され、前記封止状態が解除されることにより、前記押圧操作が可能となる請求項１に記載の液体投与具。
　前記カバーは、前記第１の位置から前記第２の位置に移動するときに、前記支持部材に当接し、該支持部材を前記針管ごと基端方向に向かって押圧する押圧部を有する請求項１または２に記載の液体投与具。
　前記カバーは、筒状をなすカバー本体と、該カバー本体の内周側にその中心軸回りに回動可能に支持され、前記カバー本体の移動を規制し得る筒状をなす規制部材とを有する請求項１ないし３のいずれか１項に記載の液体投与具。
　前記カバーは、前記第２の位置から先端方向に向かって移動して、少なくとも前記先端側針先を再度覆う第３の位置に移動可能であり、
　前記操作部材は、前記規制部材の外周側に配置され、その周方向に沿って湾曲した湾曲片を有し、
　前記規制部材の外周部および前記湾曲片の内周部のうちの一方には、スライダ部が設けられ、他方には、前記スライダ部が摺動するレール部が設けられており、該レール部は、当該他方の軸方向に沿って形成された第１の縦方向レールと、該第１の縦方向レールに対して当該他方の周方向に離間して配置され、当該他方の軸方向に沿って形成された第２の縦方向レールと、該第２の縦方向レールに対して当該他方の周方向に離間して配置され、当該他方の軸方向に沿って形成された第３の縦方向レールと、前記第１の縦方向レールと前記第２の縦方向レールとの間に配置され、前記第１の縦方向レールと前記第２の縦方向レールとに連続し、当該他方の軸方向に対し傾斜して形成された第１の傾斜レールと、前記第２の縦方向レールと前記第３の縦方向レールとの間に配置され、前記第２の縦方向レールと前記第３の縦方向レールとに連続し、当該他方の軸方向に対し傾斜して形成された第２の傾斜レールとを有し、
　前記カバーが前記第１の位置から前記第２の位置に移動する過程では、前記スライダ部が前記第１の縦方向レール、前記第１の傾斜レール、前記第２の縦方向レール、前記第２の傾斜レールを順に摺動し、前記カバーが前記第２の位置から前記第３の位置に移動する過程では、前記スライダ部が前記第３の縦方向レールを摺動する請求項４に記載の液体投与具。
　前記レール部は、前記第３の縦方向レールに設けられ、前記カバーが前記第３の位置に移動した際に前記スライダ部にその基端側から係合して、前記カバーの基端方向への移動を規制する係合部を有する請求項５に記載の液体投与具。
　前記係合部は、弾性的に変形する請求項６に記載の液体投与具。
　前記スライダ部は、突出形成された突部で構成され、前記レール部は、前記スライダ部が挿入される溝で構成されている請求項５ないし７のいずれか１項に記載の液体投与具。
　前記規制部材は、前記第３の位置で前記カバー本体と係合して該カバー本体が基端方向に向かって移動するのを規制する請求項５ないし８のいずれか１項に記載の液体投与具。
　前記支持部材は、筒状をなし、前記筒体本体の外周部と前記規制部材の内周部との間に配置され、前記規制部材とともに回動可能であり、
　前記筒体本体の外周部および前記支持部材の内周部のうちの一方には、前記スライダ部よりも内側に位置する内側スライダ部が設けられ、他方には、前記内側スライダ部が摺動する内側レール部が設けられており、前記内側レール部は、当該他方の軸方向に対し傾斜して形成された内側傾斜レールと、該内側傾斜レールの基端側に配置され、前記内側傾斜レールと連続し、当該他方の軸方向に沿って形成された内側縦方向レールとを有し、
　前記針管が前記離間位置から前記刺通位置に移動する過程で、前記内側スライダ部が前記内側傾斜レール、前記内側縦方向レールを順に摺動する請求項５ないし９のいずれか１項に記載の液体投与具。
　前記内側スライダ部は、前記スライダ部が前記第１の縦方向レールを摺動する際には前記内側傾斜レールに留まり、前記スライダ部が前記第１の傾斜レールを摺動する際には前記内側傾斜レールを摺動し、前記スライダ部が前記第２の縦方向レールを摺動する際には前記内側縦方向レールを摺動し、前記スライダ部が前記第２の傾斜レール、前記第３の縦方向レールを順に摺動する際には前記内側縦方向レールに留まる請求項１０に記載の液体投与具。
　前記内側レール部は、前記内側縦方向レールに設けられ、前記針管が前記刺通位置に移動した際に前記内側スライダ部にその先端側から係合して、前記針管の先端方向への移動を規制する内側係合部を有する請求項１０または１１に記載の液体投与具。
　前記内側スライダ部は、突出形成された突部で構成され、前記内側レール部は、前記内側スライダ部が挿入される溝で構成されている請求項１０ないし１２のいずれか１項に記載の液体投与具。