WO2013099722A1 - 表示装置および表示方法 - Google Patents

Abstract

　コントラストの低下を抑制しつつ、ハロを抑制する表示装置を提供する。　液晶表示装置（１０）は、カメラ画像取得部（１５）、エリアアクティブ駆動調整部（１６）、およびエリアアクティブ駆動処理部（１７）を備える。カメラ画像取得部（１５）は、カメラ（１５１）およびカメラ画像処理部（１５２）を含む。エリアアクティブ駆動調整部（１６）は、顔検出部（１６１）および補償値算出部（１６２）を含む。カメラ（１５１）で取得されたカメラ画像はカメラ画像処理部（１５２）で補正処理が施された後、顔検出部（１６１）に与えられる。顔検出部（１６１）は、カメラ画像から視聴者の顔を検出する。補償値算出部（１６２）は、顔検出部（１６１）で検出された顔の位置から視聴者の位置を求め、視聴者の位置に応じて最低発光輝度補償値を算出する。最低発光輝度補償値は、最低発光輝度補償部（１７２）で用いられる。

Description

表示装置および表示方法

　本発明は、表示装置に関し、特に、バックライトの輝度を制御する機能を有する表示装置およびその表示装置における表示方法に関する。

　液晶表示装置など、バックライトを備えた表示装置では、表示画面を複数のエリアに分割し、エリア内に表示すべき画像に基づいてバックライトの輝度を制御しながら表示パネルを駆動する方法（以下「エリアアクティブ駆動」という。）が知られている。エリアアクティブ駆動によれば、バックライトの低消費電力化および表示画像の高画質化を図ることができる。

　ところで、比較的高い輝度を示す画素の群（以下「高輝度領域」という。）の周辺に比較的低い輝度を示す画素の群（以下「低輝度領域」という。）がある場合など、入力画像中に極端に大きな輝度差がある場合に、エリアアクティブ駆動では高輝度領域に対応するエリアについて局所的にバックライトを点灯することになる。この場合、高輝度領域の周辺の低輝度領域が本来よりも明るくなることがある。この現象はハロ（halo）と呼ばれる。なお、ハロは黒浮きとも呼ばれる。このハロは、ディスプレイを正面から見た場合よりも斜めから見た場合の方が認識されやすいことが一般に知られている。

　図２０は、液晶ディスプレイ（以下単に「ディスプレイ」という。）２００の正面から視聴した場合のハロについて説明するための図である。より詳細には、図２０（Ａ）は、ディスプレイ２００の中心軸（ディスプレイ２００の中心における法線をいう。）に対する視聴者３０の位置を示す図である。図２０（Ｂ）は、ディスプレイ２００における表示例を示す図である。図２１は、ディスプレイ２００の斜めから視聴した場合のハロについて説明するための図である。より詳細には、図２１（Ａ）は、ディスプレイ２００の中心軸に対する視聴者３０の位置を示す図である。図２１（Ｂ）は、ディスプレイ２００における表示例を示す図である。図２０（Ｂ）および図２１（Ｂ）では、ディスプレイ２００の中心付近に高輝度領域があり、その他は全て低輝度領域であるものとして図示している。図２２は、ディスプレイ２００の中心軸からの視聴角度と液晶の光透過率との関係を示す図である。図２２中のＧ１～Ｇ６は入力画像の階調レベル毎の液晶の視野角特性を示しており、Ｇ１からＧ６にかけて階調レベルが低くなる。

　図２０（Ａ）および図２０（Ｂ）に示すように、ディスプレイ２００の正面から視聴した場合には、ハロが比較的認識されにくい。一方、図２１（Ａ）および図２１（Ｂ）に示すように、ディスプレイ２００の斜めから視聴した場合には、ハロが比較的認識されやすい。これは、液晶の視野角特性に起因する現象である。すなわち、図２２に示すように、正面よりも液晶の光透過率が高くなる視聴角度が存在し、そのような視聴角度では、バックライトの光が正面から視聴する場合よりも多く液晶を透過することになる。このため、ハロが認識されやすくなる。

　このようなハロを抑制するためにバックライトの最低発光輝度をある程度高くする設定（以下「最低発光輝度持ち上げ設定」という。）を行った表示装置が従来知られている。最低発光輝度持ち上げ設定を行うことにより高輝度領域と低輝度領域との輝度差が小さくなるので、ハロが認識されにくくなる。

　なお、本願発明に関連して特許文献１には、ユーザの目の色温度を予め登録しておき、顔認識によりユーザの目の位置を特定して現在のユーザの目の色温度を測定し、測定したユーザの目の色温度と予め登録した目の色温度との差に基づいて表示画像の色を調整する表示装置が開示されている。

日本の特開２００７－２６４１２４号公報

　ところで、上述の最低発光輝度持ち上げ設定を行う従来の表示装置では一般に、生じ得るバックライトのエリア間の最大の輝度差および斜めからの視聴を考慮して、最低発光輝度を予め十分に高く設定しておくことにより輝度分布を比較的緩やかにしている。これにより、ハロを十分に抑制できる。しかしこれは同時に、コントラストの不必要な低下を招く。なお、上記特許文献１に記載の表示装置は、表示画像の色を調整するものであって、エリアアクティブ駆動においてハロを抑制するものではない。

　そこで、本発明は、コントラストの低下を抑制しつつ、ハロを抑制する表示装置および表示方法を提供することを目的とする。

　本発明の第１の局面は、バックライトの輝度を制御する機能を有する表示装置であって、
　複数の表示素子を含む表示パネルと、
　複数の光源を含むバックライトと、
　前記視聴者の位置に関する情報を少なくとも含む視聴者情報を取得する視聴者情報取得部と、
　前記視聴者情報に基づいて前記バックライトの輝度制御に関する情報を求める駆動調整部と、
　入力画像を複数のエリアに分割し、各エリアに対応した入力画像および前記バックライトの輝度制御に関する情報に基づき、各エリアに対応した光源の発光輝度を求める駆動処理部と、
　前記駆動処理部により求められた発光輝度に基づき、前記バックライトに対して前記光源の輝度を制御する信号を出力するバックライト駆動部と、
　少なくとも前記入力画像に関する情報から求められる前記表示パネルの光透過制御に関する情報に基づき、前記表示パネルに対して前記表示素子の光透過率を制御する信号を出力するパネル駆動部とを備えることを特徴とする。

　本発明の第２の局面は、本発明の第１の局面において、
　前記バックライトの輝度制御に関する情報は、前記バックライトの最低発光輝度を示す最低発光輝度補償値を含み、
　前記駆動処理部は、前記駆動調整部から受信した最低発光輝度補償値に基づき、前記バックライトの発光輝度を補正することを特徴とする。

　本発明の第３の局面は、本発明の第２の局面において、
　前記駆動調整部は、前記最低発光輝度補償値を、前記視聴者の位置に関する情報から得られる当該視聴者の位置に基づいて求めることを特徴とする。

　本発明の第４の局面は、本発明の第３の局面において、
　前記視聴者情報は、前記視聴者の人数に関する情報をさらに含み、
　前記駆動調整部は、
　　前記視聴者の人数が一人である場合には、当該視聴者に関して当該視聴者の位置に応じて決定される、前記バックライトの最低発光輝度を示す個別最低発光輝度補償値を前記最低発光輝度補償値として求め、
　　前記視聴者の人数が複数人である場合には、各視聴者に関する個別最低発光輝度補償値に基づいて前記最低発光輝度補償値を求めることを特徴とする。

　本発明の第５の局面は、本発明の第４の局面において、
　前記個別最低発光輝度補償値および前記最低発光輝度補償値のそれぞれは、全エリアで一律に設定され、
　前記視聴者に関する個別最低発光輝度補償値は、前記表示パネルの中心に対する当該視聴者の位置に応じて設定されることを特徴とする。

　本発明の第６の局面は、本発明の第５の局面において、
　前記視聴者数が複数人である場合の前記最低発光輝度補償値は、複数人の視聴者に関する個別最低発光輝度補償値のうちの最大の個別最低発光輝度補償値であることを特徴とする。

　本発明の第７の局面は、本発明の第６の局面において、
　前記視聴者に関する個別最低発光輝度補償値は、前記表示パネルの中心における法線に対する当該視聴者の位置の角度が大きいほど大きくなるように設定されることを特徴とする。

　本発明の第８の局面は、本発明の第４の局面において、
　前記個別最低発光輝度補償値および前記最低発光輝度補償値のそれぞれは、所定数のエリア毎に設定され、
　前記視聴者に関する前記所定数のエリア毎の個別最低発光輝度補償値は、当該所定数のエリアが当該視聴者の正面のエリアから離れているほど大きくなるように設定されることを特徴とする。

　本発明の第９の局面は、本発明の第８の局面において、
　前記視聴者の人数が複数人である場合の、前記所定数のエリア毎の最低発光輝度補償値は、複数人の視聴者に関する当該所定数のエリア毎の個別最低発光輝度補償値のうちの最大の個別最低発光輝度補償値であることを特徴とする。

　本発明の第１０の局面は、本発明の第３の局面または第４の局面において、
　前記視聴者情報取得部は、視聴者を撮影した画像を、前記視聴者情報として取得するカメラを含むことを特徴とする。

　本発明の第１１の局面は、本発明の第１０の局面において、
　前記駆動調整部は、前記視聴者を撮影した画像から当該視聴者の顔を検出して前記表示パネルに対する当該顔の位置を取得することにより、少なくとも当該視聴者の位置を求めることを特徴とする。

　本発明の第１２の局面は、本発明の第１１の局面において、
　前記視聴者を照らす照明と、
　視聴環境の明るさに応じて前記照明の輝度を調整する照明輝度調整部とをさらに備えることを特徴とする。

　本発明の第１３の局面は、本発明の第１２の局面において、
　前記照明輝度調整部は、前記視聴者を撮影した画像から前記視聴環境の明るさを取得することを特徴する。

　本発明の第１４の局面は、本発明の第１の局面から第４の局面までのいずれかにおいて、
　前記駆動処理部はさらに、各エリアに対応した入力画像に関する情報および各エリアに対応した光源の発光輝度に基づいて、前記表示パネルの光透過制御に関する情報を求めることを特徴とする。

　本発明の第１５の局面は、複数の表示素子を含む表示パネルと、複数の光源を含むバックライトとを備え、前記バックライトの輝度を制御する機能を有する表示装置における表示方法であって、
　前記視聴者の位置に関する情報を少なくとも含む視聴者情報を取得する視聴者情報取得ステップと、
　前記視聴者情報に基づいて前記バックライトの輝度制御に関する情報を求めるステップと、
　入力画像を複数のエリアに分割し、各エリアに対応した入力画像および前記バックライトの輝度制御に関する情報に基づき、各エリアに対応した光源の発光輝度を求める駆動調整ステップと、
　前記駆動処理ステップで求められた発光輝度に基づき、前記バックライトに対して前記光源の輝度を制御する信号を出力するバックライト駆動ステップと、
　少なくとも前記入力画像に関する情報から求められる前記表示パネルの光透過制御に関する情報に基づき、前記表示パネルに対して前記表示素子の光透過率を制御する信号を出力するパネル駆動ステップとを備えることを特徴とする。

　本発明の第１６の局面は、本発明の第１５の局面において、
　前記バックライトの輝度制御に関する情報は、前記バックライトの最低発光輝度を示す最低発光輝度補償値を含み、
　前記駆動処理ステップでは、前記駆動調整ステップで求められた最低発光輝度補償値に基づき、前記バックライトの発光輝度が補正されることを特徴とする。

　本発明の第１７の局面は、本発明の第１６の局面において、
　前記駆動調整ステップでは、前記最低発光輝度補償値は、前記視聴者の位置に関する情報から得られる当該視聴者の位置に基づいて求められることを特徴とする。

　本発明の第１８の局面は、本発明の第１７の局面において、
　前記視聴者情報は、前記視聴者の人数に関する情報をさらに含み、
　前記駆動調整ステップでは、
　　前記視聴者の人数が一人である場合には、当該視聴者に関して当該視聴者の位置に応じて決定される、前記バックライトの最低発光輝度を示す個別最低発光輝度補償値が前記最低発光輝度補償値として求められ、
　　前記視聴者の人数が複数人である場合には、各視聴者に関する個別最低発光輝度補償値に基づいて前記最低発光輝度補償値が求められることを特徴とする。

　本発明の第１の局面または第１５の局面によれば、エリアアクティブ駆動を行う表示装置または表示方法において、視聴者情報に基づいて得られるバックライトの輝度制御に関する情報を用いて各エリアに対応した光源の発光輝度が求められる。このため、例えば、バックライトの輝度制御に関する情報がバックライトの最低発光輝度を示す最低発光輝度補償値を含み、かつ、視聴者情報が含む視聴者の位置に関する情報から視聴者の位置が得られる場合に、視聴者の位置に応じて適切に設定される当該最低発光輝度補償値を用いて最低発光輝度持ち上げ設定を行うことができる。これにより、コントラストの低下を抑制しつつ、ハロを抑制することができる。

　本発明の第２の局面または第１６の局面によれば、バックライトの輝度制御に関する情報がバックライトの最低発光輝度を示す最低発光輝度補償値を含む場合に、当該最低発光輝度補償値を用いてバックライトの発光輝度を補正することにより、本発明の第１の局面または第１５の局面と同様の効果を得ることができる。

　本発明の第３の局面または第１７の局面によれば、視聴者の位置に関する情報から得られる視聴者の位置に基づいて最低発光輝度補償値を求めることにより、本発明の第２の局面または第１６の局面と同様の効果を得ることができる。

　本発明の第４の局面または第１８の局面によれば、視聴者が一人である場合と視聴者が複数人である場合とに応じて最低発光輝度補償値を求めることにより、双方の場合においてコントラストの低下を抑制しつつ、ハロを抑制することができる。

　本発明の第５の局面によれば、最低発光輝度補償値および各視聴者に関する個別最低発光輝度補償値を全エリアで一律に設定される。これにより、簡易な設定で本発明の第４の局面と同様の効果を得ることができる。

　本発明の第６の局面によれば、最低発光輝度補償値を、複数人の視聴者に関する個別最低発光輝度補償値のうちの最大の個別最低発光輝度補償値とすることにより、個別最低発光輝度補償値が最大である視聴者を重点的に考慮してハロを抑制することができる。

　本発明の第７の局面によれば、表示パネルが例えば液晶パネルである場合に、表示パネルの中心の法線に対する視聴者の位置の大きいほど、当該視聴者に関する個別最低発光輝度補償値が大きくなるように液晶の視野角特性を考慮した設定を行うことにより、コントラストの低下を十分に抑制しつつ、ハロを十分に抑制することができる。

　本発明の第８の局面によれば、表示パネルが例えば液晶パネルである場合に、視聴者の正面のエリアから離れるにつれて大きくなる個別最低発光輝度補償値が最低発光輝度補償値として設定される。このため、最低発光輝度補償値は、視聴者の位置に応じた正面エリア（視聴者の正面に位置するエリアをいう。）を考慮して適切に設定される。これにより、例えばパネルサイズが大きい液晶表示装置において正面エリアから離れたエリアなどを見る場合でも、ハロを抑制することができる。

　本発明の第９の局面によれば、各所定数のエリアの最低発光輝度補償値を、複数人の視聴者に関する当該所定数のエリア毎の個別最低発光輝度補償値のうちの最大の個別最低発光輝度補償値とすることにより、ハロを十分に抑制することができる。

　本発明の第１０の局面によれば、視聴者を撮影した画像を視聴者情報として用いることにより、本発明の第３の局面または第４の局面と同様の効果を得ることができる。

　本発明の第１１の局面によれば、顔検出により得られた顔の位置から視聴者の位置を求めることにより、本発明の第１０の局面と同様の効果を得ることができる。

　本発明の第１２の局面によれば、照明を用いると共に、視聴環境の明るさに応じて照明の輝度を調整することにより、例えば環境輝度が顔検出に十分でない場合に、照明の輝度を高くすることができる。このため、顔検出精度の低下を抑制することができる。

　本発明の第１３の局面によれば、視聴者を撮影した画像から視聴環境の明るさを取得するので、当該視聴環境の明るさを取得するためのセンサなどを別途設ける必要がない。

　本発明の第１４の局面によれば、各エリアに対応した入力画像に関する情報のみならず、各エリアに対応した光源の発光輝度に基づいて、前記表示パネルの光透過制御に関する情報を求めることにより、各表示素子の光透過率がより正確に求められる。これにより、表示画像の画質を向上させることができる。

本発明の第１の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。 上記第１の実施形態におけるバックライトの詳細を示す図である。 上記第１の実施形態におけるエリアアクティブユニットの詳細を示すブロック図である。 上記第１の実施形態におけるカメラの設置位置について説明するための図である。 上記第１の実施形態におけるＹ方向での視聴者の位置について説明するための図である。 上記第１の実施形態におけるＸ方向での視聴者の位置について説明するための図である。 上記第１の実施形態における視聴角度εの算出について説明するための図である。 上記第１の実施形態におけるエリアアクティブ駆動調整部の動作を示すフローチャートである。 上記第１の実施形態における視聴角度εと個別最低発光輝度補償値との関係を示す図である。 視聴角度εが比較的小さい視聴者に関する個別最低発光輝度補償値の設定について説明するための図である。（Ａ）は、液晶パネルにおける表示例を示す図である。（Ｂ）は、（Ａ）におけるＡ－Ａ線に対応した各エリアの個別最低発光輝度補償値を模式的に示す図である。 視聴角度εが比較的大きい視聴者に関する個別最低発光輝度補償値の設定について説明するための図である。（Ａ）は、液晶パネルにおける表示例を示す図である。（Ｂ）は、（Ａ）におけるＡ－Ａ線に対応した各エリアの個別最低発光輝度補償値を模式的に示す図である。 本発明の第２の実施形態におけるエリアアクティブ駆動調整部の動作を示すフローチャートである。 上記第２の実施形態における視聴角度εと最低発光輝度との関係を示す図である。 上記第２の実施形態における最低発光輝度補償値の設定について説明するための図である。（Ａ）は、第８エリアが正面エリアである視聴者に関する個別最低発光輝度補償値の設定を示す図である。（Ｂ）は、第６エリアが正面エリアである視聴者に関する個別最低発光輝度補償値の設定を示す図である。（Ｃ）は、第１２エリアが正面エリアである視聴者に関する個別最低発光輝度補償値の設定を示す図である。（Ｄ）は、（Ａ）～（Ｃ）に示す個別最低発光輝度補償値から求められる最低発光輝度補償値の設定を示す図である。 本発明の第３の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。 上記第３の実施形態における照明部の構成を説明するためのブロック図である。 上記第３の実施形態における照明の設置位置について説明するための図である。 上記第３の実施形態における照明輝度調整部の動作を示すフローチャートである。 上記第３の実施形態における現在の環境輝度と照明輝度との関係を示す図である。 ディスプレイの正面から視聴した場合のハロについて説明するための図である。（Ａ）は、ディスプレイの中心軸に対する視聴者の位置を示す図である。（Ｂ）は、ディスプレイにおける表示例を示す図である。 ディスプレイの斜めから視聴した場合のハロについて説明するための図である。（Ａ）は、ディスプレイの中心軸に対する視聴者の位置を示す図である。（Ｂ）は、ディスプレイにおける表示例を示す図である。 ディスプレイの中心軸からの視聴角度と液晶の光透過率との関係を示す図である。

　以下、添付図面を参照しながら、本発明の第１～第３の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、バックライトから出射された光の輝度のことを「発光輝度」といい、バックライトから出射された光が液晶パネルを透過するときの輝度のことを「表示輝度」という。

　＜１．第１の実施形態＞
　＜１．１　全体構成および動作概要＞
　図１は、本発明の第１の実施形態に係る液晶表示装置１０の構成を示すブロック図である。図１に示す液晶表示装置１０は、表示パネルとしての液晶パネル１１、バックライト１２、パネル駆動回路１３、バックライト駆動回路１４、視聴者情報取得部としてのカメラ画像取得部１５、エリアアクティブ駆動調整部１６、およびエリアアクティブ駆動処理部１７を備えている。液晶表示装置１０は、画面を複数のエリアに分割し、エリア内に表示すべき画像に基づきバックライト１２の輝度を制御しながら、液晶パネル１１を駆動するエリアアクティブ駆動を行う。以下では、ｍおよびｎは２以上の整数、ｐおよびｑは１以上の整数であるとする。

　液晶表示装置１０には、Ｒ画像データ、Ｇ画像データ、およびＢ画像データを含む入力画像データＡ１が入力される。Ｒ画像データ、Ｇ画像データ、およびＢ画像データはいずれも、表示階調を示すｍ×ｎ個のデータを含んでいる。エリアアクティブ駆動処理部１７は、入力画像データＡ１、および後述の第１最低発光輝度データＢ２に基づき、液晶パネル１１の駆動に用いる液晶データＡ２およびバックライト１２の駆動に用いるＬＥＤデータＡ３を求める。

　カメラ画像取得部１５は、視聴者情報を含むカメラデータＢ１を取得する。エリアアクティブ駆動調整部１６は、カメラデータＢ１に基づいて、バックライトの輝度制御に関する情報である最低発光輝度データＢ２を求める。なお、カメラ画像取得部１５、エリアアクティブ駆動調整部１６、および上記エリアアクティブ駆動処理部１７の詳細は後述する。また、以下では、カメラ画像取得部１５、エリアアクティブ駆動調整部１６、およびエリアアクティブ駆動処理部１７のことをまとめて「エリアアクティブユニット」ということがある。

　液晶パネル１１は、３ｍ×ｎ個の表示素子５を含んでいる。表示素子５は、行方向（図１では横方向であり、後述のＸ方向に対応する。）に３ｍ個ずつ、列方向（図１では縦方向であり、後述のＹ方向に対応する。）にｎ個ずつ、全体として２次元状に配置されている。表示素子５には、赤色光を透過するＲ表示素子、緑色光を透過するＧ表示素子、および青色光を透過するＢ表示素子が含まれている。Ｒ表示素子、Ｇ表示素子、およびＢ表示素子は行方向に並べて配置され、それら３個の表示素子で１個の画素を形成する。

　パネル駆動回路１３は、液晶パネル１１の駆動回路である。パネル駆動回路１３は、エリアアクティブ駆動処理部１７から出力された液晶データＡ２に基づき、液晶パネル１１に対して表示素子５の光透過率を制御する信号（電圧信号）を出力する。パネル駆動回路１３から出力された電圧は表示素子５内の画素容量に書き込まれ、表示素子５の光透過率は画素容量に書き込まれた電圧に応じて変化する。

　バックライト１２は、液晶パネル１１の背面側に設けられ、液晶パネル１１の背面にバックライト光を照射する。図２は、バックライト１２の詳細を示す図である。バックライト１２は、図２に示すように、ｐ×ｑ個の光源としてのＬＥＤ（Light Emitting Diode）ユニット６を含んでいる。ＬＥＤユニット６は、行方向にｐ個ずつ、列方向にｑ個ずつ、全体として２次元状に配置されている。ＬＥＤユニット６は、赤色ＬＥＤ７ｒ、緑色ＬＥＤ７ｇ、および青色ＬＥＤ７ｂ（以下、これらのＬＥＤを区別しない場合に単に「ＬＥＤ」といい、符号７で表す。）を含んでいる。これら３種類のＬＥＤ７から出射された光は、液晶パネル１１の背面に一部に当たる。なお、バックライト１２はＬＥＤユニット６に代えて白色ＬＥＤを含んでいても良い。また、ここではバックライト１２が直下型であるものとして説明しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、エッジライト型のバックライトを用いても良い。すなわち、ディスプレイの額縁内に設けられたＬＥＤと、液晶パネル１１の背面に設けられた板状の導光板を用いて、液晶パネル１１に照明光を導くようにしても良い。この場合、導光板の厚み部分（側面部）とＬＥＤとが互いに接するように導光板およびＬＥＤが配置される。

　バックライト駆動回路１４は、バックライト１２の駆動回路である。バックライト駆動回路１４は、エリアアクティブ駆動処理部１７から出力されたＬＥＤデータＡ３に基づき、バックライト１２に対してＬＥＤ７の輝度を制御する信号（電圧信号または電流信号）を出力する。ＬＥＤ７の輝度は、他のＬＥＤユニット６に含まれるＬＥＤ７の輝度とは独立して制御される。

　液晶表示装置１０の画面はｐ×ｑ個のエリアに分割され、各エリアには１個のＬＥＤユニット６が対応づけられる。エリアアクティブ駆動処理部１７は、ｐ×ｑ個のエリアのそれぞれについて、エリアに対応した入力画像データＡ１に基づいて、当該エリアに対応したＬＥＤユニット６に含まれるＬＥＤ７の輝度（発光輝度）を求め、求めた発光輝度を表すＬＥＤデータＡ３をバックライト駆動回路１４に対して出力する。なお、ここでは各エリアに１個のＬＥＤユニット６を対応づけることとしたが、各エリアに複数のＬＥＤユニット６を対応づけても良い。

　また、エリアアクティブ駆動処理部１７は、ＬＥＤデータＡ３に基づき、液晶パネル１１に含まれる全ての表示素子５における発光輝度を求める。さらに、エリアアクティブ駆動処理部１７は、入力画像データＡ１および発光輝度に基づき、液晶パネル１１に含まれるすべての表示素子の光透過率を求め、求めた光透過率を表す液晶データＡ２をパネル駆動回路１３に対して出力する。

　液晶表示装置１０では、Ｒ表示素子の輝度は、バックライト１２から出射された赤色光の輝度とＲ表示素子の光透過率との積になる。１個の赤色ＬＥＤ７ｒから出射された光は、対応する１個のエリアを中心として複数のエリアに当たる。したがって、Ｒ表示素子の表示輝度は、複数の赤色ＬＥＤ７ｒの発光輝度の合計とＲ表示素子の光透過率との積になる。同様に、Ｇ表示素子の表示輝度は複数の緑色ＬＥＤ７ｇの発光輝度の合計とＧ表示素子の光透過率との積になり、Ｂ表示素子の表示輝度は複数の青色ＬＥＤ７ｂの発光輝度の合計とＢ表示素子の光透過率との積になる。

　上述のように、液晶表示装置１０は、入力画像データＡ１に基づき液晶データＡ２およびＬＥＤデータＡ３を求め、液晶データＡ２に基づき表示素子５の光透過率を制御すると共に、ＬＥＤデータＡ３に基づきＬＥＤ７の発光輝度を制御する。これにより、入力画像データＡ１に応じた画像を液晶パネル１１に表示することができる。また、エリア内の輝度が小さいときには、当該エリアに対応したＬＥＤ７の発光輝度を小さくして、バックライト１２の輝度を低減することができる。また、エリア内の輝度が小さいときには、当該エリアに対応した表示素子５の輝度をより少数のレベル間で切り替えることにより、画像の分解能を高め、表示画像の画質を向上させることができる。

　＜１．２　エリアアクティブユニットの構成＞
　図３は、本実施形態におけるエリアアクティブユニット、すなわちカメラ画像取得部１５、エリアアクティブ駆動調整部１６、およびエリアアクティブ駆動処理部１７の詳細を示すブロック図である。カメラ画像取得部１５は、カメラ１５１およびカメラ画像処理部１５２を含んでいる。エリアアクティブ駆動調整部１６は、顔検出部１６１および補償値算出部１６２を含んでいる。エリアアクティブ駆動処理部１７は、発光輝度算出部１７１、最低発光輝度補償部１７２、表示輝度算出部１７３、および液晶データ算出部１７４を含んでいる。また、エリアアクティブ駆動処理部１７は、ＬＥＤ７から出射された光が液晶パネル１１を透過するときの輝度分布が示す輝度分布データを記憶している。

　カメラ１５１は、視聴者情報として、より詳細には、視聴者の位置に関する情報および人数に関する情報として視聴者を撮影した画像（以下「カメラ画像」という。）を取得する。カメラ画像は、カメラ画像処理部１５２により所定の補正処理などが施される。そして、補正処理後のカメラ画像を示すカメラデータＢ１が顔検出部１６１に対して出力される。

　顔検出部１６１は、カメラデータＢ１が示すカメラ画像から視聴者の顔を検出する。顔検出部１６１はまた、検出された顔の数により視聴者の人数を求める。なお、視聴者の人数は補償値算出部１６２が求めても良い。

　補償値算出部１６２は、顔検出部１６１で検出された顔の位置から液晶表示装置１０（より詳細には液晶パネル１１）に対する視聴者の位置を求める。視聴者が複数人である場合には、各視聴者の位置を求める。本実施形態における視聴者の位置は、液晶パネル１１の中心における法線（以下「中心軸」という。）に対する角度（以下「視聴角度」という。）として求められる。また、視聴者の人数は検出された顔の数により求められる。なお、視聴角度の算出方法については後述する。また、補償値算出部１６２は、各視聴者の視聴角度に基づき、各視聴者に関する個別最低発光輝度補償値を求める。この個別最低発光輝度補償値は、各視聴者の視聴角度に応じて設定される、バックライト１２中のＬＥＤ７の最低発光輝度である。そして、補償値算出部１６２は、個別最低発光輝度補償値に基づいて最低発光輝度補償値を求め、求めた最低発光輝度補償値を含む最低発光輝度データＢ２を最低発光輝度補償部１７２に対して出力する。なお、最低発光輝度補償値の算出方法については後述する。

　発光輝度算出部１７１は、入力画像データＡ１に基づき、バックライト１２に含まれる全てのＬＥＤ７の発光輝度を求める。より詳細には、発光輝度算出部１７１は、ｐ×ｑ個のエリアのそれぞれについて、エリア内の入力画像データＡ１の統計値を求め、求めた統計値に基づき当該エリアに対応したＬＥＤ７の発光輝度を求める。発光輝度算出部１７１は例えば、エリア内の入力画像データＡ１の最大値を求め、求めた最大値に基づきＬＥＤ７の発光輝度を求める。あるいは、発光輝度算出部１７１は、エリア内の入力画像データＡ１の平均値を求め、求めた平均値に基づきＬＥＤ７の発光輝度を求めても良い。あるいは、発光輝度算出部１７１は、エリア内の入力画像データＡ１の最大値および平均値を求め、これら２個の値に基づきＬＥＤ７の発光輝度を求めても良い。発光輝度算出部１７１は、１個のＬＥＤユニット６に含まれる３個のＬＥＤ７の発光輝度を同じ値に揃えても良く、３個のＬＥＤ７の発光輝度を個別に求めても良い。

　最低発光輝度補償部１７２は、発光輝度算出部１７１で求めたＬＥＤ７の発光輝度を補正することにより、最低発光輝度持ち上げ設定を行う。より詳細には、最低発光輝度補償部１７２は、発光輝度算出部１７１で求めたＬＥＤ７の発光輝度が、最低発光輝度データＢ２が含む最低発光輝度補償値よりも低いときには、当該発光輝度を最低発光輝度補償値に補正する。最低発光輝度補償部１７２は、補正後の発光輝度を含むＬＥＤデータＡ３を出力する。ＬＥＤデータＡ３は、エリアアクティブ駆動処理部１７からバックライト駆動回路１４に出力され、バックライト１２の駆動に用いられる。ＬＥＤデータＡ３はまた、表示輝度算出部１７３でも用いられる。

　表示輝度算出部１７３は、ＬＥＤデータＡ３および輝度分布データに基づき、バックライト１２の輝度分布を求める。より詳細には、表示輝度算出部１７３は、輝度分布データを参照して、最低発光輝度補償部１７２で求めた補正後の個々の発光輝度を重畳することにより、バックライト光が液晶パネル１１を透過するときの表示輝度を全ての表示素子５について求める。表示輝度算出部１７３は、全ての表示素子５における表示輝度を含む表示輝度データを出力する。

　液晶データ算出部１７４は、入力画像データＡ１および表示輝度データに基づき、液晶データＡ２を求める。より詳細には、液晶データ算出部１７４は、入力画像データＡ１に含まれる３ｍ×ｎ個のデータを表示輝度データに含まれる３ｍ×ｎ個の表示輝度でそれぞれ割ることにより、各表示素子５の光透過率を求める。液晶データ算出部１７４は、表示素子５の光透過率を表示素子５の画素階調に変換し、すべての表示素子５の画素階調を含む液晶データＡ２を出力する。液晶データＡ２は、エリアアクティブ駆動処理部１７からパネル駆動回路１３に出力され、液晶パネル１１の駆動に用いられる。

　＜１．３　視聴角度の算出＞
　図４は、本実施形態におけるカメラ１５１の設置位置について説明するための図である。なお、以下では、液晶表示装置１０のうちのカメラ１５１以外の構成要素をまとめて「ディスプレイ」といい、符号２１で表す。本実施形態におけるカメラ１５１は、図４に示すように、ディスプレイ２１の上辺中央部に設置されている。図４に示すように、ディスプレイ２１の水平方向をＸ方向とし、垂直方向をＹ方向とし、中心軸３１に沿った方向をＺ方向とする。ここで、中心軸３１は、具体的には、ディスプレイ２１を構成する液晶パネル１１のＸＹ平面の中心における法線である。以下では、液晶パネル１１の中心軸３１をディスプレイ２１の中心軸として説明することがある。本実施形態では、視聴者３０の顔の位置（以下単に「視聴者３０の位置」という。）は、ディスプレイ２１の中心軸３１を基準として、カメラ画像に基づいて求められる。なお、カメラ１５１は複数台用いても良く、また、ディスプレイ２１の上辺中央部以外の位置に設置しても良い。カメラ１５１を複数台用いた場合、１台のみ用いる場合よりも正確に視聴者３０の位置を求めることができる。

　図５は、Ｙ方向における、中心軸３１に対する視聴者３０の位置（以下単に位置ｙという。）について説明するための図である。本実施形態では、ディスプレイ２１から視聴者３０までの標準視聴距離をＤとし、カメラ１５１の光軸を、中心軸３１上のディスプレイ２１から距離Ｄの位置に合わせる。ディスプレイ２１の高さ（Ｙ方向の長さ）をＨとすると、Ｄ＝３Ｈが標準的である。なお、カメラ１５１から、カメラ１５１の光軸と中心軸３１との交点までの距離をＥａとし、カメラ１５１の光軸と中心軸３１とがなす角をθとする。

　カメラ画像上では、視聴者３０はカメラの光軸から距離ｙａの位置にある。距離ｙａは、当該距離ｙａに相当するカメラ画像の画素数を長さ（ｍ）にスケーリングすることにより求められる。例えば、１ｍの基準棒などをカメラ１５１で撮影し、撮影した画像での基準棒の長さを表すピクセル数がｐｓであったとすると、スケーリング値Ｓを１／ｐｓとする。この場合、ピクセル値である距離ｙａは、Ｓ×ｙａとすることにより長さ（ｍ）で求められる。

　カメラ１５１から視聴者３０までの光軸上の距離Ｅｂ（＞Ｅａ）は、例えば顔認識のオートフォーカスカメラなどにおけるピント位置の距離情報から求めても良いし、標準的な顔のサイズを基準に、カメラ画像中の顔のサイズから近似的に求めても良い。

　以上に示した距離Ｅａ，Ｅｂ，ｙａおよび角θから、位置ｙは次式（１）で与えられる。
　　y = ya・cosθ - (Eb-Ea)sinθ　…（１）

　また、Ｚ方向におけるディスプレイ２１から視聴者３０までの距離Ｅは、次式（２）で与えられる。
　　E = Eb・cosθ + ya・sinθ　…（２）

　図６は、Ｘ方向における、中心軸３１に対する視聴者３０の位置（以下単に位置ｘという。）について説明するための図である。位置ｘは、図６に示すように、カメラ画像から上記スケーリングを行うことによって得られる。なお、以上に示した位置ｘ，ｙの算出方法は単なる例示であり、ここで説明した方法に限定されるものではない。

　図７は、本実施形態における視聴角度εの算出について説明するための図である。ＸＹ平面上における、中心軸３１から視聴者３０までの距離ｒは次式（３）で与えられる。

　視聴角度εは次式（４）で与えられる。

　この視聴角度εは、距離ｒを半径とし、高さを距離Ｅとする円錐の頂角の半分の角度に相当する。

　以上のようにして、Ｘ方向およびＹ方向を考慮した視聴角度εが求められる。この視聴角度εが大きいほど、視聴者３０はディスプレイ２１の中心から離れた位置にいると判定される。視聴者３０が複数人存在する場合には、各視聴者の視聴角度εが求められる。なお、ここではＥｂ＞Ｅａであるものとして説明したが（図５を参照）、Ｅｂ≦Ｅａでも同様の説明が成り立つ。

　＜１．４　エリアアクティブ駆動調整部の動作＞
　図８は、本実施形態におけるエリアアクティブ駆動調整部１６の動作を示すフローチャートである。ステップＳ１は顔検出部１６１に対応するステップであり、ステップＳ２～Ｓ７は補償値算出部１６２に対応するステップである。なお、ステップＳ１～Ｓ７は例えば入力画像のフレームに同期して行われる。

　ステップＳ１では、カメラ画像から視聴者３０の顔が検出される。顔検出アルゴリズムとしては、例えばＨａａｒ－ｌｉｋｅパターンによるパターンマッチングとＡｄａ－ｂｏｏｓｔ法による学習とを組み合わせたものなど、種々の公知技術を用いることができる。視聴者３０が複数人である場合には、ステップＳ１で複数人分の顔が検出される。ここで、視聴者３０の人数をＮａで表す。

　ステップＳ２でカウンタｉが１にセットされた後、ステップＳ３では、検出されたｉ人目の視聴者３０の顔検出の結果に基づいて、当該ｉ人目の視聴者３０の位置が求められる。より詳細には、ｉ人目の視聴者３０の視聴角度εが式（４）から求められる。

　ステップＳ４では、ｉ人目の視聴者３０の視聴角度εに基づいて、当該ｉ人目の視聴者３０に関する個別最低発光輝度補償値が求められる。本実施形態では、個別最低発光輝度補償値および最低発光輝度補償部１７２で使用される最低発光輝度補償値は全エリアで一律に設定される。また、個別最低発光輝度補償値は例えば図９に示すように、視聴角度εが大きくなるにつれてその値が大きくなるように設定される。図９に示す視聴角度εと最低発光輝度との関係を表す式（以下「図９の関係式」という。）は、例えばエリアアクティブ駆動調整部１６内に予め保持されている。図９の関係式は、線形となっているが非線形であっても良く、その他目的に応じて種々変更可能である。また、液晶の視野角特性にもよるが、例えば図２２に示すような特性の場合には、ε＝９０°付近の視聴角度では、数十度付近の視聴角度ほどは最低発光輝度を高くする必要はないので、例えば図９の関係式おいて、数十度付近の視聴角度から、その角度が大きくなるにつれて個別最低発光輝度補償値を小さくなるように設定しても良い。

　ステップＳ５ではｉ＝Ｎａであるか否かが判定される。ｉ＝ＮａでなければステップＳ６に進み、ｉ＝ＮａであればステップＳ７に進む。ステップＳ６では、カウンタｉがインクリメントされ、その後ステップＳ３に進む。以上のようにして、ステップＳ４がＮａ回行われることにより、全ての視聴者３０に関する個別最低発光輝度補償値が得られる。

　ステップＳ７では、得られた個別最低発光輝度補償値のうちの最大の個別最低発光輝度補償値が、最低発光輝度補償部１７２で使用される最低発光輝度補償値として設定される。例えば視聴者３０が３人存在し、１人目～３人目の視聴者３０の視聴角度がそれぞれε＝５°、ε＝１０°、およびε＝２０°であるとする。この場合、図９に示す視聴角度εと個別最低発光輝度補償値との関係に基づけば、視聴角度ε＝２０°である３人目の視聴者に関する個別最低発光輝度補償値が、１人目～３人目の視聴者３０に関する個別最低発光輝度補償値の中で最大となる。したがって、１人目～３人目の視聴者３０の中で視聴角度εが最大である３人目の視聴者に関する個別最低発光輝度補償値が、最低発光輝度補償部１７２で使用される最低発光輝度補償値として設定される。

　なお、ステップＳ１において顔が検出されない場合、すなわち視聴者３０が存在しない場合には、上記ステップＳ２～Ｓ７に代えて、最低輝度補償値を所定の値に維持する、または視聴者３０が存在していた直近のフレームにおける最低輝度補償値を維持するなど、種々の処理を行うことができる。

　＜１．５　考察＞
　図１０は、視聴角度εが比較的小さい視聴者３０に関する個別最低発光輝度補償値の設定について説明するための図である。図１０（Ａ）は、液晶パネル１１における表示例を示す図である。図１０（Ｂ）は、図１０（Ａ）におけるＡ－Ａ線に対応した各エリアの個別最低発光輝度補償値を模式的に示す図である。図１１は、視聴角度εが比較的大きい視聴者３０に関する個別最低発光輝度補償値の設定について説明するための図である。図１１（Ａ）は、液晶パネル１１における表示例を示す図である。図１１（Ｂ）は、図１１（Ａ）におけるＡ－Ａ線に対応した各エリアの個別最低発光輝度補償値を模式的に示す図である。図１０（Ａ）および図１１（Ａ）は特に、斜めから視聴した場合に視聴者３０が視認する表示例を示したものである。ここでは、Ｘ方向のエリア数を１５とし、図１０（Ａ）および図１１（Ａ）の上部および図１０（Ｂ）および図１１（Ｂ）の下部にはエリアの番号１～１５を付している。以下では、図１０（Ａ）、図１０（Ｂ）、図１１（Ａ）および図１１（Ｂ）の左側から１番目～１５番目のエリアのことをそれぞれ「第１～第１５エリア」という。なお、本説明以外においても、ｋ個目あるいはｋ番目のエリアのことを「第ｋエリア」ということがある。また、以下の個別最低発光輝度補償値または最低発光輝度補償値の設定に関する図を参照しながらの説明では、Ｘ方向に関する個別最低発光輝度補償値または最低発光輝度補償値に着目するが、実際にはＹ方向あるいはＸＹ平面において同様の説明が成り立つことに留意されたい。また、以下では、図１０（Ａ）および後述の図１１（Ａ）に示すように、低輝度領域からなる背景の中央に小窓状の高輝度領域ある画像を例に挙げて説明するが、本例以外の、画像中に極端に大きな輝度差がある例についても同様の説明が成り立つことに留意されたい。なお、本明細書で説明する低輝度領域の輝度は、例えば最低発光輝度と同じ輝度であるとする。

　図１０（Ｂ）に示すように、視聴角度εが比較的小さい視聴者３０に関する個別最低発光輝度補償値は比較的小さく設定される。すなわち、高輝度領域と低輝度領域との輝度差は比較的大きくなる。ただし、この輝度差は、最低発光輝度持ち上げ設定を行わない場合よりは小さいかまたはその場合と同じである。このように高輝度領域と低輝度領域との輝度差が比較的大きい場合であっても、視聴角度εが比較的小さい視聴者３０にはハロは認識されにくい。なお、この理由は上述のとおりである。この場合、高輝度領域と低輝度領域との輝度差が比較的大きくなることにより、十分なコントラストを得ることができる。しかしその一方で、視聴角度εが比較的大きい視聴者３０、すなわち斜めから視聴している視聴者３０には、図１０（Ａ）に示すようにハロが認識されやすくなる。なお、この理由も上述のとおりである。

　図１１（Ｂ）に示すように、視聴角度εが比較的大きい視聴者３０に関する個別最低発光輝度補償値は比較的大きく設定される。すなわち、高輝度領域と低輝度領域との輝度差は比較的小さくなる。このように高輝度領域と低輝度領域との輝度差が比較的小さい場合には、視聴角度εが比較的大きい視聴者３０、すなわち斜めから視聴している視聴者３０においてもハロが認識されにくくなる。なお、視聴角度εが比較的小さい視聴者３０、すなわち正面付近から視聴している視聴者３０にも同様にハロが認識されにくい。しかしその一方で、視聴角度εが比較的小さい視聴者３０に対しては、バックライト１２の最低発光輝度が必要以上に高く設定されている。このため、視聴角度εが比較的小さい視聴者３０のみが視聴する場合を考えると、コントラストを不必要に低下させることになる。また、バックライトの駆動電力も不必要に増大することになる。

　最低発光輝度持ち上げ設定を行う従来の表示装置では、例えば生じ得るバックライトのエリア間の輝度差を調べて、その輝度差うちの最大の輝度差を指標にすると共に、斜めからの視聴を考慮して最低発光輝度は予め十分に高く設定される。この設定は、例えば図１１（Ｂ）に示すような設定であり、視聴者の位置および人数に関わらず固定である。このように最低発光輝度が必要以上に高く設定されると、不必要なコントラストの低下を招く。また、バックライトの駆動電力が不必要に増大する。また、最低発光輝度持ち上げ設定を行う従来の表示装置または特許文献１に記載の表示装置などでは、視聴者が複数人存在する場合を考慮した制御はなされない。

　＜１．６　効果＞
　ところが、本実施形態では、視聴者３０が一人である場合には、その視聴者３０の視聴角度εが大きくなるにつれて大きくなる個別最低発光輝度補償値が最低発光輝度補償値として設定される。このため、最低発光輝度補償値は、視聴者３０の視聴角度εに応じて適切に設定される。そして、この最低発光輝度補償値を用いて最低発光輝度持ち上げ設定が行われることにより、コントラストの低下を抑制しつつ、ハロを抑制することができる。また、視聴者３０が複数人である場合には、複数人の視聴者３０の位置にそれぞれ応じた複数種類の個別最低発光輝度補償値のうちの最大の個別最低発光輝度補償値が最低発光輝度補償値として設定される。このため、視聴角度εが最も大きい視聴者３０により認識され得るハロを重点的に考慮して、最低発光輝度補償値が設定される。そして、この最低発光輝度補償値を用いて最低発光輝度持ち上げ設定が行われることにより、ハロを抑制することができる。ここで、最低発光輝度補償値は、視聴角度εが最も大きい視聴者３０に関する個別最低発光輝度補償値よりも大きな値にはならないので、視聴者３０が複数人である場合でも、コントラストの低下を抑制することができる。なお、視聴者３０が一人である場合および視聴者３０が複数人である場合のいずれにおいても、上述のように最低発光輝度が適切に設定されるので、バックライト１２の駆動電力の増大をも抑制することができる。

　また、本実施形態によれば、最低発光輝度補償値および各視聴者に関する個別最低発光輝度補償値は全エリアで一律に設定される。このため、簡易な設定で上述の効果を得ることができる。

　また、本実施形態によれば、液晶データ算出部１７４は、入力画像データＡ１のみならず表示輝度データにも基づいて液晶データＡ２を求める。このため、各エリアの発光輝度を考慮して液晶データＡ２が求められる。これにより、各表示素子５の光透過率がより正確に求められる。したがって、表示画像の画質を向上させることができる。

　＜１．７　変形例＞
　上記ステップＳ７では、得られた個別最低発光輝度補償値のうちの、最大の個別最低発光輝度補償値を、最低発光輝度補償部１７２で使用される最低発光輝度補償値として設定するものとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記第１の実施形態の変形例として、得られた個別最低発光輝度補償値の平均値を最低発光輝度補償値として設定しても良い。本変形例によれば、上記第１の実施形態よりもハロの抑制効果は劣ることになるが、コントラストの低下およびバックライト１２の駆動電力の増大をさらに抑制することができる。

　＜２．第２の実施形態＞
　近年、液晶表示装置の大型化が進んでいる。例えばパネルサイズが６０型などの液晶表示装置では、視聴者３０がディスプレイ２１の中央から視聴している場合でも、そのディスプレイ２１（より詳細には液晶パネル１１）の縁を見ると、上述の液晶の視野角特性によりハロが生じ得る。なお、視聴者３０がディスプレイ２１の端から視聴している場合に、そのディスプレイ２１の中央または反対側の縁などを見る場合などでも同様の問題が生じ得る。本発明の第２の実施形態は、このような大型の液晶表示装置においてハロを抑制するものである。なお、本実施形態は、エリアアクティブ駆動調整部１６の動作を除き上記第１の実施形態と構成および動作が基本的に共通するので、このように共通する部分については説明を省略する。

　＜２．１　エリアアクティブ駆動調整部の動作＞
　図１２は、本実施形態におけるエリアアクティブ駆動調整部１６の動作を示すフローチャートである。図１２に示すように、上記第１の実施形態におけるステップＳ７に代えて、ステップＳ８～Ｓ１１が加わっている。ステップＳ８～Ｓ１１は、上記第１の実施形態におけるステップＳ７と同様に補償値算出部１６２に対応するステップである。上記第１の実施形態と同様に、ステップＳ１～Ｓ６，Ｓ８～Ｓ１１は例えば入力画像のフレームに同期して行われる。なお、ステップＳ１～Ｓ６，Ｓ８～Ｓ１１のうち、ステップＳ１，Ｓ２，Ｓ５，Ｓ６では上記第１の実施形態と同様の処理が行われるのでその説明を省略する。

　ステップＳ３では、検出されたｉ人目の視聴者３０の顔検出の結果に基づいて、当該ｉ人目の視聴者３０の位置が求められる。ただし、本実施形態では上記第１の実施形態と異なり、視聴角度εに代えて、例えば位置ｘ，ｙが視聴者３０の位置として求められる。位置ｘ，ｙの算出方法は上述のとおりである。このように位置ｘ，ｙを用いることにより、視聴者３０がどのエリアの正面から視聴しているかがわかる。以下では、視聴者３０の正面に位置するエリアのことを「視聴者３０の正面エリア」という。ところで、ステップＳ１で顔が検出された視聴者３０がディスプレイ２１全体の正面よりも外側から視聴している場合には、例えば当該視聴者３０の直近のエリアの正面から当該視聴者３０が視聴しているものとみなして後述のステップＳ４を適用する。なお、視聴者３０の位置を表すために用いられる値はここで示す例に限定されるものではなく、種々の値を採用することができる。

　ステップＳ４では、ｉ人目の視聴者３０の位置ｘ，ｙに基づいて、当該ｉ人目の視聴者３０に関する個別最低発光輝度補償値が求められる。本実施形態では、個別最低発光輝度補償値および最低発光輝度補償部１７２で使用される最低発光輝度補償値は１エリア毎に設定される。また、各エリアの個別最低発光輝度補償値は、例えば図１３に示すように、当該エリアがｉ人目の視聴者３０の正面エリアから離れた位置にあるほど、当該エリアの個別最低発光輝度補償値が大きくなるように設定される。図１３に示す正面エリアからの距離と個別最低発光輝度補償値との関係を表す式（以下「図１３の関係式」という。）は、例えばエリアアクティブ駆動調整部１６内に予め保持されている。図１３の関係式は、非線形となっているが線形であっても良く、その他目的に応じて種々変更可能である。また、図１３の関係式は、Ｘ方向およびＹ方向の双方を考慮して適用される。すなわち、図１３に示す「正面エリアからの距離」は、ＸＹ平面上の距離である。このような設定は、上述のように大型の液晶表示装置においてハロを抑制するためのものである。これにより、正面エリアから離れたエリアでのハロが抑制される。ステップＳ４がＮａ回行われることにより、全ての視聴者３０に関する個別最低発光輝度補償値が得られる。なお、ここでは個別最低発光輝度補償値は１エリア毎に設定されるものとして説明したが、全エリア数よりも少ない複数のエリア毎に設定されても良い。

　ステップＳ８でカウンタｊが１にセットされた後、ステップＳ９では、全視聴者に関する第ｊエリアの個別最低発光輝度補償値のうちの最大の個別最低発光輝度補償値が、最低発光輝度補償部１７２で使用される第ｊエリアの最低発光輝度補償値として設定される。この設定の詳細は後述する。

　ステップＳ１０ではｊ＝Ｎｂであるか否かが判定される。ここで、Ｎｂは全エリア数である。ｊ＝ＮｂでなければステップＳ１１に進み、カウンタｊがインクリメントされ、ｊ＝Ｎｂであれば最低発光輝度補償値を求めるための処理が終了する。

　図１４は、本実施形態における最低発光輝度補償値の設定について説明するための図である。より詳細には、図１４（Ａ）は、第８エリアが正面エリアである視聴者３０（以下本実施形態において「１人目の視聴者」という。）に関する個別最低発光輝度補償値の設定を示す図であり、図１４（Ｂ）は、第６エリアが正面エリアである視聴者３０（以下本実施形態において「２人目の視聴者」という。）に関する個別最低発光輝度補償値の設定を示す図であり、図１４（Ｃ）は、第１２エリアが正面エリアである視聴者３０（以下本実施形態において「３人目の視聴者」という。）に関する個別最低発光輝度補償値の設定を示す図であり、図１４（Ｄ）は、図１４（Ａ）～図１４（Ｃ）に示す個別最低発光輝度補償値から求められる最低発光輝度補償値の設定を示す図である。ここでは、上記第１の実施形態での個別最低発光輝度補償値についての説明と同様に、Ｘ方向のエリア数を１５とする。また、視聴者３０の人数は３人であるとする。また、図１４（Ａ）～図１４（Ｄ）では個別最低発光輝度補償値および最低発光輝度補償値を、説明の便宜上模式的に表し、正面エリアから離れるにつれて各エリアの個別最低発光輝度補償値は線形に大きくなるように変化するものしている。なお、ここでは正面エリアの個別最低発光輝度補償値を０として説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。

　図１４（Ａ）に示すように、１人目の視聴者３０に関する各エリアの個別最低発光輝度補償値は、当該エリアが第８エリアから離れるほど大きくなる。すなわち、第８エリアの個別最低発光輝度補償値は０となり、第９，第１０，第１１，第１２，第１３，第１４，第１５エリアの個別最低発光輝度補償値はそれぞれ１，２，３，４，５，６，７となり、第７，第６，第５，第４，第３，第２，第１エリアの個別最低発光輝度補償値はそれぞれ１，２，３，４，５，６，７となる。

　図１４（Ｂ）に示すように、２人目の視聴者３０に関する各エリアの個別最低発光輝度補償値は、当該エリアが第６エリアから離れるほど大きくなる。すなわち、第６エリアの個別最低発光輝度補償値は０となり、第７，第８，第９，第１０，第１１，第１２，第１３，第１４，第１５エリアの個別最低発光輝度補償値はそれぞれ１，２，３，４，５，６，７，８，９となり、第５，第４，第３，第２，第１エリアの個別最低発光輝度補償値はそれぞれ１，２，３，４，５となる。

　図１４（Ｃ）に示すように、３人目の視聴者３０に関する各エリアの個別最低発光輝度補償値は、当該エリアが第１２エリアから離れるほど大きくなる。すなわち、第１２エリアの個別最低発光輝度補償値は０となり、第１３，第１４，第１５エリアの個別最低発光輝度補償値はそれぞれ１，２，３となり、第１１，第１０，第９，第８，第７，第６，第５，第４，第３，第２，第１エリアの個別最低発光輝度補償値はそれぞれ１，２，３，４，５，６，７，８，９，１０，１１となる。

　上記ステップＳ８では、１～３人目の視聴者３０に関する各エリアの個別最低発光輝度補償値のうちの最大の個別最低発光輝度補償値が、最低発光輝度補償部１７２で使用される当該エリアの最低発光輝度補償値として設定される。例えば、第８エリアについては、１～３人目の視聴者３０に関する個別最低発光輝度補償値のうちの最大値は、３人目の視聴者３０に関する個別最低発光輝度補償値の４であるので、図１４（Ｄ）に示すように、第８エリアの最低発光輝度補償値は４となる。同様に、第９エリアについては、１～３人目の視聴者３０に関する個別最低発光輝度補償値のうちの最大値は、２人目または３人目の視聴者３０に関する個別最低発光輝度補償値の３であるので、第９エリアの最低発光輝度補償値は３となる。同様に、第１０エリアについては、１～３人目の視聴者３０に関する個別最低発光輝度補償値のうちの最大値は、２人目の視聴者３０に関する個別最低発光輝度補償値の４であるので、第１０エリアの最低発光輝度補償値は４となる。その他のエリアについても同様に最低発光輝度補償値が設定されることにより、第１～第１５エリアの最低発光輝度補償値はそれぞれ１１，１０，９，８，７，６，５，４，３，４，５，６，７，８，９となる。なお、例えば１～３人目の視聴者３０のいずれか一人のみが視聴している場合には、図１４（Ａ）～図１４（Ｃ）に示す個別最低発光輝度補償値のいずれかがそのまま最低発光輝度補償値になる。

　＜２．２　効果＞
　本実施形態によれば、視聴者３０が一人である場合には、その視聴者の正面エリアから離れるにつれて大きくなる個別最低発光輝度補償値が最低発光輝度補償値として設定される。このため、最低発光輝度補償値は、視聴者３０の位置（位置ｘ，ｙ）に応じた正面エリアを考慮して適切に設定される。そして、この最低発光輝度補償値を用いて最低発光輝度持ち上げ設定が行われることにより、パネルサイズが大きい液晶表示装置において正面エリアから離れたエリアなどを見る場合でも、ハロを抑制することができる。また、最低発光輝度補償値を予め高く設定するなどは行われないので、上記第１の実施形態と同様にコントラストの低下を抑制することができる。視聴者３０が複数人である場合には、各エリアにおいて、複数人の視聴者３０の位置にそれぞれ応じた複数種類の個別最低発光輝度補償値のうちの最大の個別最低発光輝度補償値が最低発光輝度補償値として設定される。このため、各視聴者の位置を考慮して最低発光輝度補償値が設定される。そして、この最低発光輝度補償値を用いて最低発光輝度持ち上げ設定が行われることにより、パネルサイズが大きい液晶表示装置において、複数人の視聴者３０が正面エリアから離れたエリアなどを見る場合でも、ハロを抑制することができる。ここで、最低発光輝度補償値は、各視聴者３０に関する個別最低発光輝度補償値の最大値よりも大きな値にはならないので、視聴者３０が複数人である場合でも、コントラストの低下を抑制することができる。なお、視聴者３０が一人である場合および視聴者３０が複数人である場合のいずれにおいても、上述のように最低発光輝度が適切に設定されるので、バックライト１２の駆動電力の増大をも抑制することができる。

　＜２．３　変形例＞
　上記ステップＳ８では、複数人の視聴者３０に関する各エリアの個別最低発光輝度補償値のうちの最大の個別最低発光輝度補償値を、最低発光輝度補償部１７２で使用される当該エリアの最低発光輝度補償値として設定するものとしてが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記第２の実施形態の変形例として、複数人の視聴者３０に関する各エリアの個別最低発光輝度補償値の平均値を当該エリアの最低発光輝度補償値として設定しても良い。本変形例によれば、上記第２の実施形態よりもハロの抑制効果は劣ることになるが、コントラストの低下およびバックライト１２の駆動電力の増大をさらに抑制することができる。

　＜３．第３の実施形態＞
　上記第１の実施形態および第２の実施形態における顔検出はカメラ画像に基づいて行われるので、視聴環境の明るさ（以下「環境輝度」という。）が十分ではない場合に、当該顔検出の精度が低下するおそれがある。なお、視聴中は画面自体の明るさにより環境輝度をある程度高く維持することができるが、例えば映画鑑賞時のように室内を暗くして視聴するような場合には特に、環境輝度は顔検出に不十分となる。本発明の第３の実施形態は、このような顔検出の精度の低下を抑制するものである。

　＜３．１　照明部の構成および動作＞
　図１５は、本発明の第３の実施形態に係る液晶表示装置１０の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る液晶表示装置１０は、図１５に示すように、上記第１の実施形態に係る液晶表示装置１０の構成要素として照明部１８を加えたものである。照明部１８は、図１６に示すように、照明１８１および照明輝度調整部１８２を含んでいる。照明１８１は、視聴者３０を照らす。照明輝度調整部１８２は、環境輝度に応じて照明１８１の輝度（以下「照明輝度」という。）を調整する。照明１８１は、例えば図１７に示すように、ディスプレイ２１の上辺に設置されている。なお、照明１８１の数および設置位置はこれに限定されるものではない。また、照明輝度調整部１８２はディスプレイ２１中に含まれているものとする。

　図１８は、本実施形態における照明輝度調整部１８２の動作を示すフローチャートである。ステップＳ２１～Ｓ２４は例えば入力画像のフレームに同期して行われる。

　ステップＳ２１では、カメラ画像処理部１５２で生成されたカメラデータＢ１が含むカメラ画像に基づいて、カメラ画像を撮影した際の環境輝度である現在の環境輝度が求められる。なお、環境輝度を測定するセンサを別途設けることにより、環境輝度を取得するようにしても良い。

　ステップＳ２２では、ステップＳ２１で求めた現在の環境輝度が視聴者３０の顔検出に十分であるか否かが判定される。この判定は、例えば予め定められた視聴者３０の顔検出に最低限必要な環境輝度を表す閾値（以下「環境輝度閾値」という。）に基づいて行われ、現在の環境輝度が環境輝度閾値よりも高ければ当該環境輝度は視聴者３０の顔検出に十分であり、環境輝度閾値以下であれば当該環境輝度は視聴者３０の顔検出に不十分であると判定される。なお、環境輝度閾値は必要に応じて変更可能であっても良い。現在の環境輝度が視聴者３０の顔検出に不十分であればＳ２３に進み、十分であれば照明輝度調整部１８２の動作は終了する。

　ステップＳ２３では、現在の環境輝度および環境輝度閾値に基づいて、顔検出が可能な環境輝度を得るための照明輝度を求める。この照明輝度は、例えば図１９に示すような現在の環境輝度（ｌｘ）と照明輝度（ｌｍ）との関係を表す式（以下「図１９の関係式」という。）に基づいて算出される。図１９の関係式は、例えば照明輝度調整部１８２内に予め保持されている。なお、図１９に示す照明輝度は、予め定められた環境輝度閾値の大きさによって異なる。

　ステップＳ２４では、ステップＳ２３で求めた照明輝度を、照明１８１の照明輝度とする調整が行われる。以上のようにして、環境輝度が不十分であるときには照明１８１の照明輝度が高くなるように調整される。

　＜３．２　効果＞
　本実施形態によれば、環境輝度が顔検出に十分でない場合に、照明１８１の照明輝度が高くなるように調整される。このため、顔検出精度の低下を抑制することができる。また、カメラ画像から環境輝度を取得するので、別途センサなどを設ける必要がない。

　＜３．３　変形例＞
　図１８に示すフローチャートでは、現在の環境輝度が視聴者３０の顔検出に不十分である場合にのみステップＳ３，Ｓ４を行うものとして説明したが本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記第３の実施形態の変形例として、ステップＳ２を行うことなく、ステップＳ３において現在の環境輝度に対応する照明輝度を求め、求めた照明輝度を照明１８１の照明輝度とするようにしても良い。これにより、例えば現在の環境輝度が環境輝度閾値よりも十分に高く、かつ、照明輝度が必要以上に高くなっている場合に、図１９の関係式に基づいて照明１８１の照明輝度を適切な高さに設定することにより、照明１８１の消費電力を低減することができる。

　＜４．その他＞
　また、上記各実施形態では、視聴者情報取得部としてカメラ画像取得部１５を用いるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他種々の視聴者情報（特に視聴者の位置および／または人数に関する情報）を取得するための装置を採用することができる。例えば、カメラ画像取得部１５に代えて、超音波センサまたは赤外線センサ（以下、これらをまとめて単に「センサ」という。）などを用いることができる。この場合、標準的な視聴範囲内の想定される視聴者位置に対して互いに異なる方向に向けた複数個のセンサを、ディスプレイの額縁上などに並べて配置することができる。このようなセンサは送信機および受信機を対とし、通常はセンサを向けた光軸上の物体しか検知しないので、互いに異なる方向に向けた複数個のセンサを用いることにより、視聴者が複数人存在する際の視聴者数および／または視聴者の位置を検出できる。

　上記各実施形態ではＲＧＢ３原色によるカラー表示が行われるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ＲＧＢＹ（Ｙは黄色）などの４原色、またはその他多原色によるカラー表示が行われても良い。また、モノクロ表示が行われても良い。また、上記第１の実施形態では、液晶データ算出部１７４が入力画像データＡ１および表示輝度データに基づいて液晶データＡ２を求めるものとしてが、本発明はこれに限定されるものではなく、入力画像データＡ１のみに基づいて液晶データＡ２を求めても良い。また、上記第３の実施形態は、上記第２の実施形態と組み合わせても良い。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で上記各実施形態を種々変形して実施することができる。

　以上により、本発明によれば、コントラストの低下を抑制しつつ、ハロを抑制する表示装置および表示方法を提供することができる。

　本発明は、バックライトの輝度を制御する機能を有する表示装置およびその表示装置における表示方法に適用することができる。

５…表示素子
６…ＬＥＤユニット（光源）
７…ＬＥＤ
１０…液晶表示装置
１１…液晶パネル（表示パネル）
１２…バックライト
１３…パネル駆動回路
１４…バックライト駆動回路
１５…カメラ画像取得部（視聴者情報取得部）
１６…エリアアクティブ駆動調整部
１７…エリアアクティブ駆動処理部
１８…照明部
２１…ディスプレイ
３０…視聴者
１５１…カメラ
１５２…カメラ画像処理部
１６１…顔検出部
１６２…補償値算出部
１７１…発光輝度算出部
１７２…最低発光輝度補償部
１７３…表示輝度算出部
１７４…液晶データ算出部
１８１…照明
１８２…照明輝度調整部

Claims (18)

1. 　バックライトの輝度を制御する機能を有する表示装置であって、
   　複数の表示素子を含む表示パネルと、
   　複数の光源を含むバックライトと、
   　前記視聴者の位置に関する情報を少なくとも含む視聴者情報を取得する視聴者情報取得部と、
   　前記視聴者情報に基づいて前記バックライトの輝度制御に関する情報を求める駆動調整部と、
   　入力画像を複数のエリアに分割し、各エリアに対応した入力画像および前記バックライトの輝度制御に関する情報に基づき、各エリアに対応した光源の発光輝度を求める駆動処理部と、
   　前記駆動処理部により求められた発光輝度に基づき、前記バックライトに対して前記光源の輝度を制御する信号を出力するバックライト駆動部と、
   　少なくとも前記入力画像に関する情報から求められる前記表示パネルの光透過制御に関する情報に基づき、前記表示パネルに対して前記表示素子の光透過率を制御する信号を出力するパネル駆動部とを備えることを特徴とする、表示装置。
2. 　前記バックライトの輝度制御に関する情報は、前記バックライトの最低発光輝度を示す最低発光輝度補償値を含み、
   　前記駆動処理部は、前記駆動調整部から受信した最低発光輝度補償値に基づき、前記バックライトの発光輝度を補正することを特徴とする、請求項１に記載の表示装置。
3. 　前記駆動調整部は、前記最低発光輝度補償値を、前記視聴者の位置に関する情報から得られる当該視聴者の位置に基づいて求めることを特徴とする、請求項２に記載の表示装置。
4. 　前記視聴者情報は、前記視聴者の人数に関する情報をさらに含み、
   　前記駆動調整部は、
   　　前記視聴者の人数が一人である場合には、当該視聴者に関して当該視聴者の位置に応じて決定される、前記バックライトの最低発光輝度を示す個別最低発光輝度補償値を前記最低発光輝度補償値として求め、
   　　前記視聴者の人数が複数人である場合には、各視聴者に関する個別最低発光輝度補償値に基づいて前記最低発光輝度補償値を求めることを特徴とする、請求項３に記載の表示装置。
5. 　前記個別最低発光輝度補償値および前記最低発光輝度補償値のそれぞれは、全エリアで一律に設定され、
   　前記視聴者に関する個別最低発光輝度補償値は、前記表示パネルの中心に対する当該視聴者の位置に応じて設定されることを特徴とする、請求項４に記載の表示装置。
6. 　前記視聴者数が複数人である場合の前記最低発光輝度補償値は、複数人の視聴者に関する個別最低発光輝度補償値のうちの最大の個別最低発光輝度補償値であることを特徴とする、請求項５に記載の表示装置。
7. 　前記視聴者に関する個別最低発光輝度補償値は、前記表示パネルの中心における法線に対する当該視聴者の位置の角度が大きいほど大きくなるように設定されることを特徴とする、請求項６に記載の表示装置。
8. 　前記個別最低発光輝度補償値および前記最低発光輝度補償値のそれぞれは、所定数のエリア毎に設定され、
   　前記視聴者に関する前記所定数のエリア毎の個別最低発光輝度補償値は、当該所定数のエリアが当該視聴者の正面のエリアから離れているほど大きくなるように設定されることを特徴とする、請求項４に記載の表示装置。
9. 　前記視聴者の人数が複数人である場合の、前記所定数のエリア毎の最低発光輝度補償値は、複数人の視聴者に関する当該所定数のエリア毎の個別最低発光輝度補償値のうちの最大の個別最低発光輝度補償値であることを特徴とする、請求項８に記載の表示装置。
10. 　前記視聴者情報取得部は、視聴者を撮影した画像を、前記視聴者情報として取得するカメラを含むことを特徴とする、請求項３または４に記載の表示装置。
11. 　前記駆動調整部は、前記視聴者を撮影した画像から当該視聴者の顔を検出して前記表示パネルに対する当該顔の位置を取得することにより、少なくとも当該視聴者の位置を求めることを特徴とする、請求項１０に記載の表示装置。
12. 　前記視聴者を照らす照明と、
    　視聴環境の明るさに応じて前記照明の輝度を調整する照明輝度調整部とをさらに備えることを特徴とする、請求項１１に記載の表示装置。
13. 　前記照明輝度調整部は、前記視聴者を撮影した画像から前記視聴環境の明るさを取得することを特徴する、請求項１２に記載の表示装置。
14. 　前記駆動処理部はさらに、各エリアに対応した入力画像に関する情報および各エリアに対応した光源の発光輝度に基づいて、前記表示パネルの光透過制御に関する情報を求めることを特徴とする、請求項１から４までのいずれか１項に記載の表示装置。
15. 　複数の表示素子を含む表示パネルと、複数の光源を含むバックライトとを備え、前記バックライトの輝度を制御する機能を有する表示装置における表示方法であって、
    　前記視聴者の位置に関する情報を少なくとも含む視聴者情報を取得する視聴者情報取得ステップと、
    　前記視聴者情報に基づいて前記バックライトの輝度制御に関する情報を求めるステップと、
    　入力画像を複数のエリアに分割し、各エリアに対応した入力画像および前記バックライトの輝度制御に関する情報に基づき、各エリアに対応した光源の発光輝度を求める駆動調整ステップと、
    　前記駆動処理ステップで求められた発光輝度に基づき、前記バックライトに対して前記光源の輝度を制御する信号を出力するバックライト駆動ステップと、
    　少なくとも前記入力画像に関する情報から求められる前記表示パネルの光透過制御に関する情報に基づき、前記表示パネルに対して前記表示素子の光透過率を制御する信号を出力するパネル駆動ステップとを備えることを特徴とする、表示方法。
16. 　前記バックライトの輝度制御に関する情報は、前記バックライトの最低発光輝度を示す最低発光輝度補償値を含み、
    　前記駆動処理ステップでは、前記駆動調整ステップで求められた最低発光輝度補償値に基づき、前記バックライトの発光輝度が補正されることを特徴とする、請求項１５に記載の表示方法。
17. 　前記駆動調整ステップでは、前記最低発光輝度補償値は、前記視聴者の位置に関する情報から得られる当該視聴者の位置に基づいて求められることを特徴とする、請求項１６に記載の表示方法。
18. 　前記視聴者情報は、前記視聴者の人数に関する情報をさらに含み、
    　前記駆動調整ステップでは、
    　　前記視聴者の人数が一人である場合には、当該視聴者に関して当該視聴者の位置に応じて決定される、前記バックライトの最低発光輝度を示す個別最低発光輝度補償値が前記最低発光輝度補償値として求められ、
    　　前記視聴者の人数が複数人である場合には、各視聴者に関する個別最低発光輝度補償値に基づいて前記最低発光輝度補償値が求められることを特徴とする、請求項１７に記載の表示方法。

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