WO2012137517A1 - 誘導加熱調理器 - Google Patents

Abstract

　この誘導加熱調理器は、加熱コイル２４外周近傍に設けられた光源３４と、光源３４の光を反射する側壁３６を有し、光が側方に拡散しないようにする反射枠３９と、加熱コイル２４を下方から支持するとともに反射枠３９が取り付けられる反射枠収納部４１を有するコイルベース２５とを備え、反射枠３９は上下開口部を有し、下から入射した光を反射させながら、上方に放射するようにしたことにより、狭いスペースにおいても発光表示部の良好な発光特性を得ることができる。

Description

誘導加熱調理器

　本願は、日本国に２０１１年４月８日に出願した特願２０１１－８６０１９号の日本特許出願と、２０１１年１２月２６日に出願した特願２０１１－２８３１９４号の日本特許出願と、２０１１年１２月１４日に出願した特願２０１１－２７３１４５号の日本特許出願と、を優先権の基礎とするものであり、これらの日本特許出願の内容は、本願明細書の一部をなすものとしてここに挙げておく。

　本発明は、加熱コイルの位置や動作状態等を発光表示するに誘導加熱調理器に関するものである。

　従来、この種の誘導加熱調理器は、ガス調理器や電気ヒータとは異なり加熱時に炎や赤熱が見えないので、近年は加熱状態を発光ダイオード等により発光表示して視覚的に訴える製品が普及してきている。

　一例として、誘導加熱が開始されると加熱コイル外周近傍に設けた発光表示部が点灯するようにしたものがある（例えば、特許文献１参照）。

　前記従来の誘導加熱調理器の発光表示部は、例えば図１４に示すような構成のものがある。この構成（発光表示部のみ図示）は、外郭を形成する本体ケースとケース上面に設けられた光を透過させる材料で形成された天板と、天板の下部には調理容器を誘導加熱する加熱コイルが設けられた誘導加熱調理器本体内に載置される発光表示部を示している。

　加熱コイル周囲の発光表示部は、光源５１を有する発光基板５２と、前記発光基板５２を囲むように構成され上部に光を透過させる開口部を有する箱体５３と、光源５１の光を受けて光る輝部５４と不透明部５５が印刷により形成された表示シート５６が前記箱体５３の上部の開口部を覆うように載置され、表示シート５６の下方から上方に向けて光源５１から発せられた光により表示シート５６を発光表示させ、加熱コイルの位置や使用状態を表示している。

特開２０１０－２５７５７９号公報

　しかしながら、従来の構成では、ＬＥＤ等の光源の光を直接上方の表示シートに向かって発光させるため、指向性の狭いＬＥＤの光を広い範囲に届かせようとすると、表示シートから遠い位置に光源を固定するため、スペースが必要となり、スペースを確保するか、あるいはＬＥＤの数を増やす必要があった。

　また、このような発光表示手段を備えた誘導加熱調理器では、加熱部の状態を使用者に分かりやすく表示するため、できるだけ加熱部近傍に発光手段を設ける必要があり、発光表示部は加熱コイルや天板上の加熱調理容器からの熱影響を受けやすいものであった。

　また、本体内に十分なスペースがあり、コイル周りの表示部にも十分な冷却風を行き渡らせることができる場合は、冷却効果を得ることができているが、例えば、海外等では主流になりつつある薄型のＩＨに同じようにコイル周りの発光表示部を搭載しようとした場合には、十分なスペースや冷却風が得られないので、今までの構成以上に温度上昇を抑制するような対応が必要であるという課題を有していた。

　本発明は、前記従来の課題を解決するもので、コイル周りの発光表示部の良好な発光特性を確保しながら、加熱コイルや調理器からの熱による温度上昇を抑制でき、しかも薄型のＩＨのように狭いスペースの中でも実現できる発光表示部を有する誘導加熱調理器を提供することを目的とする。

　前記従来の課題を解決するために、本発明の誘導加熱調理器は、加熱コイル外周近傍に設けられた光源と、光源の光を反射する側壁を有し、光が側方に拡散しないようにする反射枠とを備え、反射枠は下方に向かって開口する下開口部と上方に向かって開口する上開口部とを有する。そして、反射枠の上開口部を覆い、上開口部から出射された光が図柄表示部を透過することにより図柄表示を投影する表示部材を備え、下開口部から入射した光を反射させながら、上開口部から放射された光が上方に照射する構成としたものである。

　これにより、ＬＥＤ等の光源の光を反射枠で反射させながら拡散できるので、狭いスペースにおいても発光表示部の良好な発光特性を得ることができる。

　また、反射枠の底面および側壁に通風孔を設けることにより、発光特性を低減させることなく反射枠内の熱気を外に逃がし、さらに光源の温度上昇を抑制することができる。

　本発明の誘導加熱調理器は、コイル周りの発光表示部の良好な発光特性を確保しつつ、加熱コイルや天板上の加熱調理容器からの熱による発光表示部の温度上昇を抑制でき、誘導加熱調理器の薄型化を実現することができる。

本発明の実施の形態１における誘導加熱調理器の断面図 本発明の実施の形態１における誘導加熱調理器の発光表示部の部分拡大断面図 本発明の実施の形態１における誘導加熱調理器の発光表示部の反射枠斜視図 本発明の実施の形態１における誘導加熱調理器の上方から見た平面外観図 本発明の実施の形態２における誘導加熱調理器の断面図 本発明の実施の形態２における発光表示部の部分斜視図 本発明の実施の形態２における加熱コイルユニットの平面外観図 本発明の実施の形態３における誘導加熱調理器の断面図 本発明の実施の形態３における誘導加熱調理器の発光表示部の部分拡大断面図 本発明の実施の形態３における誘導加熱調理器の発光表示部の反射枠斜視図 本発明の実施の形態３における誘導加熱調理器の上方から見た平面外観図 本発明の実施の形態４における電磁誘導加熱調理器の断面図 本発明の実施の形態４における電磁誘導加熱調理器の斜視図 従来の誘導加熱調理器の発光表示部の斜視図

　第１の発明は、
　外郭を構成する本体ケースと、
　前記本体ケースの上面に設けられ光を透過する材料で形成された天板と、
　前記天板の下部に設けられた加熱コイルと、
　前記加熱コイル外周近傍に設けられた光源と、
を備え、
　前記光源の光を反射する側壁、下方に設けられた下開口部、上方に向かって開口する上開口部、を有する反射枠と、
　前記反射枠の前記上開口部を覆い、前記上開口部から出射された光が図柄表示部を透過することにより図柄表示を投影する表示部材と、
をさらに備え、
　前記光源の光は、前記反射枠の下方から入射され、かつ、前記上開口部から出射されて前記天板の裏面を照射するようにし、
　前記表示部材の裏面は、前記光源の光を反射するよう形成されたものである。

　これによって、ＬＥＤ等の光源の光を反射枠で反射させながら拡散できるので、狭いスペースにおいても発光表示部の良好な発光特性を得ることができる。

　第２の発明は、特に、第１の発明の前記反射枠は、底面を有した箱状とするとともに、前記底面もしくは前記底面近傍の前記側壁に下開口部を形成し、前記底面は前記光源の光を反射するようにしたことにより、底面でも光を反射させることにより、さらに良好な発光特性を確保することができる。

　第３の発明は、特に、第１の発明において、前記光源は、前記表示部材の図柄表示部を垂直に下方に投影した部分を除く位置に配置させたことにより、奥行きが狭いスペースでも表示部材の裏面も利用しながら光を反射させ、さらに広い範囲を点灯させることができるとともに、光源の光を直接上方に透過させないので光ムラも軽減することができる。

　第４の発明は、特に第２の発明において、前記表示部材の図柄表示部を垂直下方に投影した部分を除く前記反射枠の底面に通風孔を設けたことにより、更なる光源部の温度低減を図りつつ、発光特性の低下を防止することができる。

　第５の発明は、特に、第１の発明において、前記反射枠の前記側壁部で前記光源より低い位置に通風孔を設けたことにより、更なる光源部の温度低減を図るとともに、反射枠からの光り漏れを抑制し、発光特性の低下を防止することができる。

　第６の発明は、特に、第１の発明において、上面に前記光源及び前記光源に電源を供給するコネクタを有する光源用基板をさらに備え、
　前記光源は、前記反射枠の内側に配置され、
　前記コネクタは、前記加熱コイル中心から見て前記反射枠の外側に配置されるとともに、前記コネクタの上方には前記コネクタの上面を覆うひさしが設けられている。これにより、光源から天板への光漏れを防止しつつ、光源用基板のコネクタ部分の温度上昇を抑えることができるとともに、光源用基板と天板との距離を小さくすることができるので、薄型のＩＨのようにコイルユニット下側にスペースがない場合でも、コイル周囲に発光表示部を構成することが可能となる。

　第７の発明は、特に第６の発明において、前記反射枠と前記ひさしとを一体で構成したものである。これにより、反射枠とひさしとを、例えば樹脂にて一体成型することで、発光表示部をよりコンパクトに構成でき、組立性も向上できる。

　第８の発明は、特に、第１又は第６又は第７の発明において、前記加熱コイルを下方から支持するコイルベースをさらに備え、
　前記反射枠と前記コイルベースとを一体で構成したものである。これにより、反射枠とコイルベースとを、例えば樹脂にて一体成型することで、発光表示部をよりコンパクトに構成でき、組立性も向上できる。

　第９の発明は、特に、第６の発明において、前記加熱コイルを下方から支持するコイルベースをさらに備え、
　前記コネクタの上面は、前記コイルベースの裏面より高い位置に配置される。これにより、誘導加熱調理器の薄型化が可能となる。

　第１０の発明は、特に、第６の発明において、前記加熱コイルの下方に設けられ、前記加熱コイルを載置するとともに磁束漏れを防止する防磁板をさらに備え、
　前記コネクタの上面は前記防磁板の裏面より高い位置に配置される。これにより、誘導加熱調理器の薄型化が可能となる。

　第１１の発明は、特に、第１０の発明において、前記光源用基板の前記光源と前記コネクタの間には前記反射枠の外側側壁が形成され、前記外側側壁に開口部を設けたものである。これにより、ひさしによって光源から天板への光漏れを防止しながら、反射枠内の熱気を外側へ排出し、発光基板の温度上昇を抑制することができる。

　第１２の発明は、特に、第１０の発明において、前記防磁板の前記光源用基板が位置する部位に開口穴を設けたものである。これにより、光源用基板の温度低減を図ることができる。

　第１３の発明は、特に、第６の発明において、前記ひさしの一部に、前記ひさしから下方に延びる、ひさし側壁を設けたものである。これにより、ひさしの変形を防止するとともに、光源から天板への光漏れを防止しつつ光源用基板のコネクタ部分の温度上昇を抑えることができる。

　第１４の発明は、特に、第１の発明において、冷却ファンと、
　前記冷却ファンからの冷却風を前記光源に導くダクトと、
をさらに備えたものである。これにより、光源を集中的に冷却することができる。

　以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。

　（実施の形態１）
　図１は、本発明の第１の実施の形態における誘導加熱調理器の断面図であり、図２は、本発明の第１の実施の形態における誘導加熱調理器の発光表示部の部分拡大断面図、図３は、本発明の第１の実施の形態における誘導加熱調理器の発光表示部の反射枠斜視図、図４は、本発明の第１の実施の形態における誘導加熱調理器の上方から見た平面外観図である。

　図１～４において、外郭を構成する本体ケース２１上面には、調理容器２２を載置する天板２３が設けられ、天板２３の下部には調理容器２２を誘導加熱する加熱コイル２４が設けられている。

　加熱コイル２４は、下方からコイルベース２５により支持されており、加熱コイル２４の下部には集磁性を有するフェライト２６が放射状に配置され、コイルベース２５に保持されている。

　また、加熱コイル２４は、内コイル、外コイルに分けて構成されており、内コイルと外コイルの間には筒状の開口穴２７が設けられておりコイルベース２５の裏面に取り付けられた赤外線センサー２８により、開口穴２７を介して調理容器２２の底面の温度を検知して加熱コイル２４に流す電流を制御し、誘導加熱状態を調節している。

　コイルベース２５は、磁束漏れの影響をなくすために、防磁効果を有するアルミ等でできた防磁板２９上に載置されている。防磁板２９は、加熱コイル２４側の空間と制御部３０側の空間を仕切るように設けられている。また、外郭等に設けられたバネ３１により、上方に力を加えられ、コイルベース２５を介して加熱コイル２４を支えながら、コイルベース２５に取り付けられた防振ゴム３２を天板２３に押し付けている。このバネ３１によって、加熱コイル２４と天板２３のギャップを一定の距離に保つ構成となっている。

　加熱コイル２４近傍には、加熱コイル２４の位置や加熱状態を示す発光表示部３３（図４）が設けられている。コイル外周近傍の発光表示部３３は、ＬＥＤ等の発光素子からなる光源３４（図２）を搭載した光源用基板である、発光基板３５と、その光源３４を囲むように配置され、光を反射する側壁３６を有し、さらに下方に向かって開口する下開口部３７と、上方に向かって開口する上開口部３８を有する反射枠３９と、放射された光を透過することにより図柄を表示する表示部材である表示シート４０から構成されている。

　光源を搭載した発光基板３５は、反射枠３９の下開口部３７を塞ぐように配置され、表示シート４０は、反射枠３９の上開口部３８を覆うように配置され、表示シート４０が反射枠３９に挟持されている。また、表示シート４０の文字表示部以外の部分において、表面は黒色などの部材により光を透過しないように構成されるとともに、裏面は光を反射するように、印刷が施されているもしくは光の反射特性を持つシートが重ねられている。

　反射枠３９を構成する樹脂は、表示部の輝度を上げることができる、比較的光反射率の高い色の樹脂で成型される必要がある。一方、発光表示部３３（図４）の光漏れや天板２３から透けて見えるのを防止するためには、光反射率の低い樹脂で成型されることが好ましい。本実施の形態では、これらを両立するために、例えばグレーや茶色の樹脂で構成している。

　また、コイルベース２５は、反射枠３９と一体で樹脂により構成されているが、別部材により構成してもよい。コイルベース２５と反射枠３９を別部材で構成した場合には、コイルベース２５は黒色で成型するのが好ましい。

　また、光源３４の設置位置は、表示シート４０の光を透過し図柄を表示する図柄表示部４２を垂直に投影した位置以外の場所に配置されている。反射枠３９の底面４３で、表示シート４０の光を透過する図柄表示部４２を垂直に投影した部分を除く一部に、熱気を逃がす通風孔４４ａ（図３）が設けてあり、さらに、反射枠３９の側壁３６の一部に通風孔４４ｂ（図２、図３）を設けてある。なお、この通風孔４４ｂを光源の発光面より低い高さに設けた場合には、光源３４からの光漏れを抑制することができる。

　以上のように構成された誘導加熱調理器について、以下その動作、作用を説明する。
　天板２３上の加熱位置に、調理容器２２を載置し、加熱スイッチを押し加熱を開始させると、光源３４が点灯し、光源３４から発せられた光は、反射枠３９の底面４３および、側壁３６あるいは表示シート４０の裏面を反射しながら反射枠３９全体に広がりながら、表示シート４０の図柄表示部４２を点灯させ、さらに天板２３の光透過部を介して、使用者が発光表示された図柄を認識し、加熱状態や加熱ゾーンを認識することができる。

　反射枠３９は、比較的光反射率の高いグレーもしくは茶色の樹脂で成型されているため、少ない光源で広い範囲に反射させることができ、狭いスペースしか確保できない場合でも、良好な発光特性を確保することができる。

　また、表示シート４０は、反射枠３９に挟持されるとともに、反射枠３９がグレーもしくは茶色で構成され、表示シート４０の表面が黒色で形成されているので、発光表示部３３（図４）の光漏れを抑制し、また天板２３の光透過部から透けて見えにくいため良好な発光表示状態を保つことができる。

　また、光源３４が表示シート４０の光を透過し図柄を表示する部分を垂直に投影した位置以外の場所に配置されているため、奥行きが狭いスペースでも光源３４の光を反射させながらさらに広い範囲を点灯させることができるとともに、光源３４の光を直接上方に透過させないので光ムラも軽減することができる。
　また、図１及び２に示すように、表示シート４０の光を透過し図柄を表示する部分を垂直に投影した位置と、光源３４との間には、リブ３９ａを設けているので、さらに光ムラを軽減することができる。

　一方、誘導加熱が始まると、赤外線センサー２８（図１）による鍋底の検知が開始されるが、赤外線の検知通路および周囲を囲んでいるコイルベース２５は、グレーもしくは茶色や黒色を用いているため、外乱光による影響を受けにくく、赤外線センサー２８が精度良く鍋底温度を検知することができる。

　発光表示部３３は、加熱位置を分かりやすくする表示機能も有しており、できるだけ加熱コイル２４近傍に配置されるため、加熱コイル２４の発熱や調理容器２２からの熱の影響を受けやすい。

　また、構成が薄型のＩＨであるため、防磁板２９の下のスペースは、制御部３０およびそれを冷却するためのダクトが空間を占めており、加熱コイル２４およびその周辺部の発光手段には、冷却用の風が流れにくい構造となっている。

　しかしながら、反射枠３９において、表示シート４０の図柄表示部４２を垂直に投影した部分を除く底面４３および側壁３６で光源３４の発光面より低い位置に通風孔４４ａ、４４ｂを設けたことにより、更なる光源３４周囲の温度低減を図りつつ、反射枠３９からの光り漏れを抑制し、発光特性の低下を防止することができる。

　なお、本実施の形態では、表示部材を表示シート４０によって構成したが、これに限るものではない。例えば、反射枠３９の上面に図柄を形成して投影させる構成としても良いし、天板２３に印刷して形成しても良い。これによって、部品点数を削減でき、コストや工数の観点から有利となる。

　なお、本実施の形態では、反射枠３９をグレーもしくは茶色の樹脂で成型するとしたが、反射率の高い白色で成型し、かつ表面を黒色で着色もしく黒色で構成された別部材を周囲に取り付けてもよい。これによって、さらに光量を確保しかつ光ムラを抑制することができる。

　（実施の形態２）
　図５は、本発明の実施の形態２における誘導加熱調理器の断面図であり、図６は、本発明の実施の形態２における発光表示部の部分斜視図である。図７は、本発明の実施の形態２における加熱コイルユニットの平面外観図である。

　外郭を構成する本体ケース１上面には、調理容器２２を載置する天板２３が設けられ、天板２３の下部には調理容器２２を誘導加熱する加熱コイル２４が設けられている。加熱コイル２４は、下方からコイルベース２５により支持されており、加熱コイル２４の下部には集磁性を有するフェライト２６が放射状にコイルベース２５に保持されている。

　コイルベース２５は、磁束漏れの影響をなくすために、防磁効果を有するアルミ等で作成された防磁板２９上に載置されている。また、防磁板２９は、加熱コイル２４側の空間と制御部側の空間を仕切るように設けられている。さらに、本体ケース２１等に設けられたバネ３１により、上方に力を加えられ、コイルベース２５を介して加熱コイル２４を支えながら、コイルベース２５に取り付けられた防振ゴム３２を天板２３に押し付けている。このバネ３１によって、加熱コイル２４と天板２３のギャップを一定の距離に保つ構成となっている。

　加熱コイル２４の外周近傍には、加熱コイル２４の位置や加熱状態を示す発光表示部３３が設けられている。加熱コイル２４の外周近傍の四角に設けた発光表示部３３は、ＬＥＤ等の発光素子からなる光源３４と光源３４に電源を供給するコネクタ１２を有する発光基板３５とその光源３４およびその上部の透過した光により図柄を表示する表示シートなどの発光面１４を側方から取り囲む枠体１５から構成されている。発光基板３５上のコネクタ１２は、枠体１５のコイル中心より見た外側で、かつコネクタ１２の上面が防磁板２９より上なる位置に配置され、発光基板３５はビス締めによりコイルベース２５に固定されている。枠体１５は、コイルベース２５と一体で構成するとともに、コネクタ１２上方に枠体１５の上部より外側にひさし１６を設けている。また、発光基板３５の光源３４とコネクタ１２の間に位置する枠体１５の側壁１７には、開口部１８を設けている。

　一方、防磁板２９は、略四角形状で、発光基板３５がコーナー部に位置する形状であり、防磁板２９上の発光基板３５が位置する部位には、開口穴１９が設けてあり、さらに前記防磁板２９の外周には外周側壁２０を設け、発光基板３５およびひさし１６の位置するコーナー部の外周側壁２０の高さを直線部１１より、一段低くした構成としている。

　また、コイルベース２５の枠体１５の上部に設けたひさし１６には、下方に延びるひさし側壁１６ａを設け、さらに部分的には防磁板７まで延びるひさし縦壁１６ｂを設け、風路を形成している。

　また、防磁板２９の下側のスペースは、薄型のＩＨのため、基板および基板を囲む基板ケース１０で占められているが、発光基板３５上の光源３４やコネクタ１２は冷却する必要があるので、ファン１による冷却風の一部が、発光基板３５にも回るように、発光基板３５の下方の基板ケース１０には、冷却風吹き上げ用の開口穴１９や風向きを変えるダクト３などを設けている。

　以上のように構成された誘導加熱調理器について、以下その動作、作用を説明する。
　天板２３上の加熱位置に、調理容器２２を載置し、加熱スイッチによって加熱を開始させると、加熱コイル２４近傍の発光基板３５上のコネクタ１２を経由して光源３４に通電され、発光表示部３３が点灯し、使用者が加熱状態や加熱ゾーンを認識することができる。また、加熱開始とともに、冷却用のファン１も回り始め、おもに防磁板２９の下のスペースに配置された基板ケース１０内の基板部品の冷却を行う。

　発光表示部３３は、加熱位置を分かりやすく表示機能も有しており、できるだけ加熱コイル２４近傍に配置され、加熱コイル２４の発熱や調理容器２２からの熱の影響を受けやすい。
　しかしながら、コネクタ１２の上方に枠体１５の上部より外側にひさし１６を設けているので、加熱時に天板から発光基板３５上のコネクタ１２などへ伝わる輻射熱を低減することができるので、コネクタ１２を防磁板２９より上なる位置に配置した構成にしているが、発光基板３５上のコネクタ１２の温度上昇を抑えることができる。また同様に、コネクタ１２の上面を、コイルベース２５の裏面よりも高い位置に配置させても、コネクタ１２の温度上昇を抑えることができるので、特に機器の薄型化が可能となる。

　枠体１５は、コイルベース２５とは別部品で樹脂色などを変えて作成することも可能であるが、本実施の形態では、スペースや組立性を優先してコイルベース２５と一体で構成している。ひさし１６も、コイルベース２５と一体で構成した枠体１５の上部から外側に延長することにより、発光表示部３３をよりコンパクトに構成でき、組立性も向上できる。

　また、発光基板３５の光源３４とコネクタ１２の間に位置する枠体１５の側壁１７には、開口部１８を設けているので、ひさし１６が光源３４から天板への光漏れを防止しながら、枠体１５内の熱気を外側へ排出し、発光基板３５の温度上昇を抑制することができる。

　基板ケース１０内の冷却風の一部は、基板ケース１０に設けられた開口穴１９や風向きを変えるダクト３により、図１の一点鎖線で示す矢印のように、コイル外周近傍で防磁板２９のコーナー部に配置された発光基板３５周囲に吹き上げられ、防磁板２９の上に設けられた発光基板３５周囲の開口穴１９を通って、ひさし１６に当り、さらに防磁板２９のコーナー部の外周側壁２０に導かれ、外周側壁２０の一段低い部分より冷却風が抜けていく。この冷却風の流れにより、発光基板３５上のコネクタ１２や光源３４の温度上昇を抑制することができ、部品の耐久性を上げることができる。

　また、コイルベース２５の枠体１５の上部に設けたひさし１６には、下方に延びるひさし側壁１６ａを設け、さらに部分的には防磁板２９まで延びるひさし縦壁１６ｂを設け、風路を形成しているので、防磁板２９の開口穴１９より流入した冷却風が周囲に広がりにくくなり、確実にコネクタ１２を冷却しながら防磁板２９の外周側壁２０の低い部分より抜けていくので、さらに冷却効率を高めることができる。

　また、本実施の形態２では、略四角形状の防磁板２９の四隅に光源３４および反射枠３９をそれぞれ設け、その外側に発光基板３５のコネクタ１２を構成している。これによって、使用者に加熱部の位置を示して使い勝手を向上するとともに、水平方向のスペースを有効に利用して、機器の薄型化を実現している。

　従来であれば、発光表示部は加熱コイルや天板上の加熱調理器からの熱影響を受けやすいため、発光基板は天板より遠ざけて、コイルやフェライトにより構成されているコイルユニットの高さ位置よりも、低い位置に固定する、あるいは、コネクタを熱の影響を受けにくい発光基板の裏側に配置し、冷却風も当りやすくするなどの対応が必要であった。これに対して、本実施の形態の構成によれば、発光基板３５を天板２５に近づけることができ、さらなる機器の薄型化が可能となる。

　なお、発光基板および開口穴を防磁板のコーナー部に位置させ、防磁板のコーナー部の外周壁の高さを直線部より低くしたことにより、防磁板の側壁により冷却風がコーナー部から抜けるように誘導されるので、発光基板上の部品の冷却効果が上がるとともに、コーナー部が低いので防磁板の加工もしやすくなる。

　なお、実施の形態２における構成を実施の形態１もしくは後述の実施の形態３に適用しても良く、この場合は実施の形態２における枠体１５を反射枠３９とすれば良い。

　（実施の形態３）
　図８は、本発明の実施の形態３における誘導加熱調理器の断面図であり、図９は、本発明の実施の形態３における誘導加熱調理器の発光表示部の部分拡大断面図、図１０は本発明の実施の形態３における誘導加熱調理器の発光表示部の反射枠斜視図、図１１は本発明の実施の形態３における誘導加熱調理器の上方から見た平面外観図である。本実施の形態３は、実施の形態１の反射枠３９の変形例を含む誘導加熱調理器に関するものであり、反射枠３９の外側に、さらに反射枠収納部４１を設けた点が実施の形態１と異なる。ここでは実施の形態１との相違点を中心に説明する。

　反射枠３９を構成する樹脂は、表示部の輝度を上げることができる光反射率の高い白い樹脂で成型されており、一方、コイルベース２５は発光表示部３３（図１１）の光漏れや天板２３から透けて見えるのを防止するため、光反射率の低い黒色の樹脂で成型されている。

　また、コイルベース２５の反射枠収納部４１の収納部上開口部４５の端面を反射枠３９の上開口部３８の端面の内側に位置させ、表示シート４０の光を透過しない部分の一部を覆っており、天板２３に載置される加熱された調理容器２２からの輻射熱を少しでも多く遮ることにより、下部の光源３４に熱が伝わり温度上昇することを抑制する構成となっている。

　さらに、コイルベース２５の反射枠収納部４１と反射枠３９の側壁３６の間には、０．５ｍｍ程度の隙間４６が確保されており、加熱コイルの熱が、コイルベース２５の反射枠収納部４１を経由して、反射枠３９への熱伝導を抑制する構成となっている。

　以上のように構成された誘導加熱調理器について、以下その動作、作用を説明する。
天板２３上の加熱位置に、調理容器２２を載置し、加熱スイッチを押し加熱を開始させると、光源３４が点灯し、光源３４から発せられた光は、光反射率の高い白い樹脂で成型された反射枠３９の底面４３および、側壁３６あるいは表示シート４０の裏面を反射しながら反射枠３９全体に広がりながら、表示シート４０の図柄表示部４２を点灯させ、さらに天板２３の光透過部を介して、使用者が発光表示された図柄を認識し、加熱状態や加熱ゾーンを認識することができる。

　反射枠３９は、光反射率の高い白色の樹脂で成型されているため、少ない光源で広い範囲に反射させることができ、狭いスペースしか確保できない場合でも、良好な発光特性を確保することができる。

　また、表示シート４０は、反射枠３９とコイルベース２５の反射枠収納部４１に挟持されるとともに、反射枠３９が光反射率の低い黒色のコイルベース２５で覆われているので、発光表示部３３（図１１）の光漏れがなく、また天板２３の光透過部から透けて見えにくいため良好な発光表示状態を保つことができる。

　一方、誘導加熱が始まると、赤外線センサー２８（図８）による鍋底の検知が開始されるが、赤外線の検知通路および周囲を囲んでいるコイルベース２５は、光反射率の低い黒色を用いているため、外乱光による影響を受けにくく、赤外線センサー２８が精度良く鍋底温度を検知することができる。

　しかしながら、コイルベース２５の反射枠収納部４１の上開口部４５端面を反射枠３９の上開口部３８の内側に位置させたことにより、調理容器２２から天板２３を伝ってくる輻射熱をコイルベース２５で遮ることができ、光源３４付近の温度上昇を抑制することができる。

　さらに、反射枠３９外側の側壁３６とコイルベース２５の反射枠収納部４１の内壁４６の間に隙間を設けたことにより、加熱コイル２４の発熱によるコイルベース２５からの熱伝導を低減することができ、光源３４付近の温度上昇を抑制することができる。

　（実施の形態４）
　図１２は、本発明の実施の形態４における電磁誘導加熱調理器の断面図を示すものである。図１３は、本発明の実施の形態４における電磁誘導加熱調理器の斜視図を示すものである。本実施の形態４では、実施の形態１－３の構成に、光源を冷却する専用のダクトを設けたものであり、以下で冷却構成を中心に説明する。

　図１２、および図１３において、実施の形態４における電磁誘導加熱調理器は、高周波電流を供給して天板に載置された鍋を誘導加熱する加熱コイルの略同心円に略環状の導光体を配置し、光源であるＬＥＤから導光体に光を入射して略リング状に光らせる発光表示部を備える。
　また、専用ダクト入り口２は、冷却ファン１から冷却風を吸い込むものである。専用ダクト３は、電磁誘導加熱コイル８と制御回路９との間に配置し、専用ダクト入り口２から天板の下方に配置された発光表示部のＬＥＤ７に冷却風を導くものである。専用ダクト３は、導電性を有する溶融亜鉛メッキ鋼板製の板金４で天井を構成し、他の面を難燃性に優れ絶縁性を有するポリプロピレン樹脂を成型して構成するものである。

　シーリング６は、ＥＰＤＭ（エチレン・プロピレン・ジエンターポリマー）ゴムを主成分として耐熱性、耐候性、耐薬品性に優れた伸縮性を有する発泡材で構成され、専用ダクト吹き出し口５を囲んで密封し冷却風が隙間から漏れて拡散しないように設けられている。
　また、制御回路９は、電磁誘導加熱コイル８に高周波電流を供給するインバーターを駆動して加熱出力を制御する制御回路である。

　なお、矢印は冷却風の流れを表している。

　以上のように構成された電磁誘導加熱調理器について、以下その動作、作用を説明する。

　調理を開始すると冷却ファン１が回転し、外気を取り込み電磁誘導加熱調理器内に吹き込む。その冷却風の一部は、空気圧力の作用で専用ダクト入り口２に吸い込まれる。吸い込まれた冷却風は、専用ダクト３を通って専用ダクト吹き出し口５から吹き出される。吹き出された冷却風は、シーリング６によって拡散することなく、発光表示部のＬＥＤ７に当たり本体外殻側面の排出口から外に排出されることにより、集中的に効率良く発光表示部のＬＥＤ７を冷却することができる。

　また、専用ダクト３の天井は、溶融亜鉛メッキ鋼板等の板金４で構成されているので、調理中に電磁誘導加熱コイル８に高周波電流が供給された場合に、電磁誘導加熱コイル８から下方の制御回路９に向かう電磁波をその間に介する板金４でシールドする効果がある。これによって、電磁誘導加熱コイル８と制御回路９の相互干渉を抑制することができる。

　また、発光表示部のＬＥＤ７は、複数配置して、略環状のリングを複数の導光体で円弧をつなげて構成し、各々の発光表示部のＬＥＤ７に接続するように専用ダクト３を分岐させてもよい。

　以上のように、本発明にかかる誘導加熱調理器は、加熱コイルの位置や動作状態を発光表示する発光表示手段の良好な発光特性を確保しながら、温度上昇を抑制し耐久性を確保することができる。そこで、誘導加熱調理器に限らず発光手段を使用して発光表示するさまざまな装置に適用できる。

　１　冷却ファン
　２　専用ダクト入り口
　３　専用ダクト
　４　板金
　５　専用ダクト吹き出し口
　６　シーリング
　７　のＬＥＤ
　８　電磁誘導加熱コイル
　９　制御回路
　１０　基板ケース
　１１　直線部
　１２　コネクタ
　１４　発光面
　１５　枠体
　１６　ひさし
　１６ａ　ひさし側壁
　１６ｂ　ひさし縦壁
　１７　側壁
　１８　開口部
　１９　開口穴
　２０　外周側壁
　２１　本体ケース
　２３　天板
　２４　加熱コイル
　２５　コイルベース
　２８　赤外線センサー
　３４　光源
　３６　側壁
　３７　下開口部
　３８　上開口部
　３９　反射枠
　４０　表示シート
　４１　反射枠収納部
　４２　図柄表示部
　４３　底面
　４４ａ、４４ｂ　通風孔
　４５　収納部上開口部

Claims (14)

1. 　外郭を構成する本体ケースと、
   　前記本体ケースの上面に設けられ光を透過する材料で形成された天板と、
   　前記天板の下部に設けられた加熱コイルと、
   　前記加熱コイルの外周近傍に設けられた光源と、
   を備え、
   　前記光源の光を反射する側壁、下方に設けられた下開口部、上方に向かって開口する上開口部、を有する反射枠と、
   　前記反射枠の前記上開口部を覆い、前記上開口部から出射された光が図柄表示部を透過することにより図柄表示を投影する表示部材と、
   をさらに備え、
   　前記光源の光は、前記反射枠の下方から入射され、かつ、前記上開口部から出射されて前記天板の裏面を照射するようにし、
   　前記表示部材の裏面は、前記光源の光を反射するよう形成された誘導加熱調理器。
2. 　前記反射枠は、底面を有した箱状とするとともに、前記底面もしくは前記底面近傍の前記側壁に下開口部を形成し、前記底面は前記光源の光を反射するようにした請求項１に記載の誘導加熱調理器。
3. 　前記光源は、前記表示部材の図柄表示部を垂直下方に投影した部分を除く位置に配置された請求項１に記載の誘導加熱調理器。
4. 　前記表示部材の図柄表示部を垂直下方に投影した部分を除く前記反射枠の底面に通風孔を設けた請求項２に記載の誘導加熱調理器。
5. 　前記反射枠の前記側壁で前記光源より低い位置に通風孔を設けた請求項１に記載の誘導加熱調理器。
6. 　上面に前記光源及び前記光源に電源を供給するコネクタを有する光源用基板
   をさらに備え、
   　前記光源は、前記反射枠の内側に配置され、
   　前記コネクタは、前記加熱コイル中心から見て前記反射枠の外側に配置されるとともに、前記コネクタの上方には前記コネクタの上面を覆うひさしが設けられた請求項１に記載の誘導加熱調理器。
7. 　前記反射枠と前記ひさしとを一体で構成した請求項６に記載の誘導加熱調理器。
8. 　前記加熱コイルを下方から支持するコイルベースをさらに備え、
   　前記反射枠と前記コイルベースとを一体で構成した請求項１または６または７に記載の誘導加熱調理器。
9. 　前記加熱コイルを下方から支持するコイルベースをさらに備え、
   　前記コネクタの上面は、前記コイルベースの裏面より高い位置に配置される請求項６に記載の誘導加熱調理器。
10. 　前記加熱コイルの下方に設けられ、前記加熱コイルを載置するとともに磁束漏れを防止する防磁板をさらに備え、
    　前記コネクタの上面は前記防磁板の裏面より高い位置に配置される請求項６に記載の誘導加熱調理器。
11. 　前記光源用基板の前記光源と前記コネクタの間には前記反射枠の外側側壁が形成され、前記外側側壁に開口部を設けた請求項６に記載の誘導加熱調理器。
12. 　前記防磁板の前記光源用基板が位置する部位に開口穴を設けた請求項１０に記載の誘導加熱調理器。
13. 　前記ひさしの一部に、前記ひさしから下方に延びる、ひさし側壁を設けた請求項６に記載の誘導加熱調理器。
14. 　冷却ファンと、
    　前記冷却ファンからの冷却風を前記光源に導くダクトと、
    をさらに備えた請求項１に記載の誘導加熱調理器。

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