WO2011024611A1

WO2011024611A1 - ドラム式洗濯機

Info

Publication number: WO2011024611A1
Application number: PCT/JP2010/063018
Authority: WO
Inventors: 高井勇治; 西脇智; 西村好美; 岩井正五
Original assignee: 株式会社東芝; 東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社; 東芝ホームアプライアンス株式会社
Priority date: 2009-08-24
Filing date: 2010-08-02
Publication date: 2011-03-03
Also published as: EP2471993B1; CN102482833B; CN102482833A; EP2471993A1; EP2471993A4; KR20120037032A; KR101389238B1

Abstract

　本実施形態のドラム式洗濯機は、外箱と、外箱内に中心軸が後方に向かって下降する軸線上に位置するように弾性支持され、背面側が閉塞された有底円筒状の水槽と、水槽内に軸線を中心に回転可能に設けられ、背面側が閉塞された有底円筒状をなし、周壁に多数の孔を有するドラムと、水槽の背面の外側に設けられ、ドラムを正転方向および逆転方向に駆動する洗濯機モータと、ドラムの内周部に設けられ、軸線に沿うように前後方向に延びるバッフルと、水槽の背面側の底部に形成された取水口部と、水槽の前面側の上部に形成された第１および第２の放水口部と、取水口部と第１および第２の放水口部とをつなぐ循環経路と、循環経路中に設けられ、水槽の取水口部から取り出された水を第１および第２の放水口部からドラム内に放出させる循環ポンプと、洗濯機モータおよび循環ポンプを制御する制御手段と、を備える。

Description

ドラム式洗濯機

　本発明の実施形態は、水槽内の洗濯水を循環させる循環経路を備えたドラム式洗濯機に関する。

　一般に、ドラム式洗濯機は、背面側が閉塞された有底円筒状の水槽を備えている。この水槽は、外箱内に、その中心軸が後方に向かって下降する軸線上に位置するようにして弾性支持されている。水槽内には、洗濯機モータによって回転駆動されるドラムが回転可能に設けられている。そして、ドラムの内周部には、洗濯物を掻き上げるための複数個のバッフルが設けられている。バッフルは、例えば、水槽の前後方向にまっすぐ延びるように構成されている。そして、洗濯運転の洗い行程時において、水槽内には、洗剤を溶かした洗濯水が貯められる。ドラムが回転すると、洗濯水を含んだ洗濯物である衣類は、バッフルにより掻き上げられて落下する。これにより、衣類の叩き洗いが行なわれる。
　このようなバッフルを有するドラム式洗濯機においては、衣類をバッフルから落下させる前に、洗剤を溶かした洗濯水を衣類に充分に浸透させることが重要である。このため、従来では、循環ポンプを有する循環経路を設け、水槽の底部から洗濯水を取り出して水槽の上部からドラム内に放出する構成が考えられている。この構成によれば、衣類がドラムの底部にある状態における洗濯水の自然浸透の他に、循環経路からドラム内への洗濯水の散水による強制浸透を図ることができる。

特開２００８－１１３９８２号公報特開平９－２１５８９１号公報

　従来構成では、水槽は、外箱内に、その中心軸が後方に向かって下降する軸線上に位置するようにして弾性支持されている。そのため、洗濯水は、水槽の背面側のコーナー部に溜り易くなり、少ない洗濯水量で水位を上げることができる。しかしながら、ドラムは、水槽内に、その軸線を中心に回転可能に設けられている。そのため、バッフルも背面側に向かって下降するように傾斜した状態になり、ドラムの回転に伴って掻き上げられた衣類が背面側に移動してドラム内の背面側に偏在する傾向になる。従って、従来のように、循環経路によって洗濯水を単に水槽の上部からドラム内に散水するだけでは、洗濯水を衣類全体に均等に浸透させることが困難であった。そのため、洗濯物の叩き洗い効果が充分に得られなくなることがあり、洗い動作の効率が悪くなってしまう。このことは、すすぎ動作時においても同様に生じる。
　また、従来構成では、外付けの循環経路から水槽の上部内に放出される水を、水槽の衣類の出入口部に取り付けられた偏向板に反射させてドラム内に噴射する。しかし、この構成では、循環経路がかさばるだけでなく、循環経路の配設も面倒である。しかも、このように偏向板が水槽の出入口部に取り付けられる構成では、その偏向板が水槽の出入口部の内方に突出する。そのため、偏向板が衣類の出し入れの邪魔になる。また、偏向板を取り付けるために多数の部品が必要であり、構造が複雑になる。

　そこで、循環経路により洗濯水を洗濯物全体に均等に浸透させることができ、洗濯物の充分な叩き洗い効果を得ることができ、洗い動作およびすすぎ動作を効率良く行なうことができるドラム式洗濯機を提供することを第１の目的とする。
　また、循環経路により洗濯水をドラム内に放水する構成において、洗濯物の出し入れに邪魔になるものがなく、部品点数が少なく、構造が簡単なドラム式洗濯機を提供することを第２の目的とする。

　本実施形態のドラム式洗濯機は、外箱と、水槽と、ドラムと、洗濯機モータと、バッフルと、取水口部と、第１の放水口部および第２の放水口部と、循環経路と、循環ポンプと、制御手段と、を備える。
　水槽は、背面側が閉塞された有底円筒状をなし、外箱内に、その中心軸が後方に向かって下降する軸線上に位置するようにして弾性支持されている。ドラムは、背面側が閉塞された有底円筒状をなし、水槽内に、上記の軸線を中心に回転可能に設けられ、周壁に多数の孔を有する。洗濯機モータは、水槽の背面の外側に設けられ、ドラムを正転方向および逆転方向に駆動する。バッフルは、ドラムの内周部に設けられ、上記の軸線に沿うようにして前後方向に延びる。取水口部は、水槽の背面側の底部に形成されている。第１の放水口部および第２の放水口部は、それぞれ水槽の前面側の上部に形成されている。循環経路は、取水口部と第１の放水口部および第２の放水口部とをつなぐ。循環ポンプは、循環経路中に設けられ、水槽の取水口部から取り出された水を第１の放水口部および第２の放水口部からドラム内に放出させる。制御手段は、洗濯機モータおよび循環ポンプを制御する。

　また、本実施形態のドラム式洗濯機は、外箱と、水槽と、水槽カバーと、ドラムと、放水機構部と、循環経路と、循環ポンプと、を備える。
　水槽は、外箱内に弾性支持され、背面側が閉塞された有底円筒状をなし、底部に取水口部が形成されている。水槽カバーは、水槽の前面側の開口部に装着されている。ドラムは、水槽内に回転可能に設けられ、背面側が閉塞された有底円筒状をなし、周壁に多数の孔を有する。放水機構部は、水槽カバーの背面側に注水カバーを溶着することにより構成され、水路およびこの水路と連通してドラム内に上側から臨むノズル部を有する。循環経路は、水槽の取水口部と放水機構部の水路とをつなぐ。循環ポンプは、循環経路中に設けられ、水槽の取水口部から取り出された水を放水機構部のノズル部からドラム内に噴射させる。そして、放水機構部は、水槽カバーおよび注水カバーの双方により水路が形成され、水槽カバーおよび注水カバーの一方若しくは双方によりノズル部が形成されるように構成されている。

第１実施形態を示すドラム式洗濯機全体の縦断側面図ドラム式洗濯機の一部を破断して示す斜視図ドラムの一部分を展開して示す平面図水槽カバー部分の背面図図４の５－５線に沿う断面図図４の６－６線に沿う断面図図４の７－７線に沿う断面図図４の８－８線に沿う断面図図４の矢印Ｅ方向に見た第１の放水口部を示す図図４の矢印Ｆ方向に見た第２の放水口部を示す図電気的構成を示すブロック図作用説明のためにドラムを模式的に示す背面図作用説明のためにドラムを模式的に示す側面図作用説明のためのタイムチャート（その１）作用説明のためのタイムチャート（その２）作用説明のためのタイムチャート（その３）作用説明のためのフローチャート衣類量と洗濯水の浸透率との関係を示す図ポンプモ－タの電流特性図第２実施形態を示すフローチャート第３実施形態を示すタイムチャート本発明の第４実施形態を示すドラム式洗濯機全体の縦断側面図ドラム式洗濯機の内部構成を示す斜視図水槽の前側上部を拡大して示す縦断側面図ドラムを収容した水槽の正面図放水機構部の上部を拡大して示す背面図水槽カバーの背面図注水カバーの背面図注水カバーの正面図図２７の２９－２９線に沿う断面図図２９に符号Ｘで示す部分の拡大図図２７の３１－３１線に沿う断面図図３１に符号Ｙで示す部分の拡大図図２７の３３－３３線に沿う断面図本発明の第５実施形態を示す図２９相当図図３１相当図

　以下、複数の実施形態によるドラム式洗濯機を、図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
　（第１実施形態）
　第１実施形態について、図１ないし図１９を参照して説明する。
　まず、図１および図２には、ドラム式洗濯機の全体構造が示されている。ドラム式洗濯機の外箱１は、詳細には、合成樹脂製の基台１Ａと、この基台１Ａに結合された箱本体１Ｂとから構成されている。箱本体１Ｂの前面部（図１で左側）のほぼ中央部には、洗濯物出入口部２が形成されている。扉３は、二重ガラス構造であり、洗濯物出入口部２を開閉する。箱本体１Ｂの前面部の上部には、操作パネル４が設けられている。操作パネル４の裏側（外箱１内）には、制御手段である制御装置５が設けられている。

　外箱１内には、背面側が閉塞された有底円筒状の水槽６が設けられている。水槽６は、外箱１内に、その中心軸が後方（図１で右側）に向かって下降する軸線上に位置するようにしてサスペンション７によって弾性支持されている。
　水槽６の背面の外側には、洗濯機モータ８が設けられている。この洗濯機モータ８は、例えば直流のブラシレスモータから成るもので、アウターロータ型であり、ステータ８Ａおよびロータ８Ｂを有している。ステータ８Ａは、水槽６の背面の外側に取り付けられている。ロータ８Ｂの中心部の回転軸８Ｃは、軸受ブラケット９に軸受１０を介して支承されて水槽６の内部に挿通されている。

　水槽６内には、背面側が閉塞された有底円筒状のドラム１１が設けられている。このドラム１１は、背面の外側の中心部が洗濯機モータ８の回転軸８Ｃの先端部に連結されている。このドラム１１は、水槽６の軸線を中心に回転可能に設けられ、洗濯機モータ８により正転方向および逆転方向に駆動される。この場合、洗濯機モータ８は、ドラム１１を回転させる駆動装置として機能する。

　ドラム１１の周壁（胴部）には、多数の孔１２が全域にわたって形成されている。この場合、孔１２は、ドラム１１の前後の中央よりも前面側の半部（前半部）、即ち、ドラム１１の前後の中心よりも前方の領域に形成された孔１２Ａの数が、ドラムの中央よりも背面側の半部（後半部）、即ち、ドラム１１の前後の中心よりも後方の領域に形成された孔１２Ｂの数よりも多くなるように設定されている。また、ドラム１１の内周部には、洗濯物掻き上げ用の複数（例えば３個）のバッフル１３がドラム１１の周方向に沿って等間隔に設けられている。このバッフル１３については後に詳述する。

　ドラム１１および水槽６は、何れも前面側が開口している。ドラム１１の前面側の開口部１４の周囲部の内側には、例えば液体封入型の回転バランサ１５が設けられている。水槽６の前面側の開口部には、水槽カバー１６が装着されている。水槽カバー１６の先端部の開口部１６ａは、環状の弾性材（例えばゴム）から成るベローズ１７により洗濯物出入口部２に連結されている。この結果、洗濯物出入口部２は、ベローズ１７、水槽カバー１６およびドラム１１の開口部１４を介して、ドラム１１の内部に連なっている。

　水槽６の背面側の底部には、取水口部として兼用される排水口部１８が形成されている。この排水口部１８には、機内排水ホース１９の一端部が接続されている。また、機内排水ホース１９の他端部は、外箱１の基台１Ａの前部に設けられたフィルタケース２０の機内排水ホース接続口部２１に接続されている。
　フィルタケース２０は、上部に機内排水ホース接続口部２１が形成され、前端部にキャップ２２が装着されている。フィルタケース２０の内部には、キャップ２２と一体のリントフィルタ（図示せず）が収納されている。また、フィルタケース２０の下部には、排水弁２３が接続されている。この排水弁２３の出口部には、排水パイプ２４が接続されている。排水パイプ２４の先端部は、外箱１の基台１Ａから機外に臨み、図示しない機外排水ホースに接続される。

　一方、フィルタケース２０の後端部には、循環ポンプ２５が設けられている。この循環ポンプ２５は、水槽６（ドラム１１）内の水を排水口部１８、機内排水ホース１９およびフィルタケース２０を介して吸引する。図１１に示すポンプモータ２５ａを有する循環ポンプ２５は、その周側部（図では上部）に吐出口部２６を有する。この吐出口部２６には、送水ホース２７の一端部が接続されている。送水ホース２７は、その中間部が水槽カバー１６の周側方から上方へ延びており、先端部が水槽カバー１６に形成された放水機構部２８に接続されている。この放水機構部２８は、後述するように、ドラム１１の内部に散水するように構成されている。この結果、排水口部１８と放水機構部２８とをつなぐようにして循環経路３０が形成される。即ち、循環経路３０は、水槽６、ドラム１１、排水口部１８、機内排水ホース１９、フィルタケース２０、送水ホース２７および放水機構部２８から形成されている。また、循環ポンプ２５は、循環経路３０中に位置するように設けられている。そして、循環ポンプ２５は、駆動されると、水槽６の排水口部１８から取り出された水を放水機構部２８からドラム１１内に向かってシャワー状に放出（噴射）する。

　フィルタケース２０の前部の上部には、エアトラップ３１が設けられている。このエアトラップ３１と外箱１内の最上部に配設された水位センサ３２とは、エアチューブ３３によって接続されている。この結果、水位センサ３２は、水槽６内の水位を、機内排水ホース１９、フィルタケース２０、エアトラップ３１およびエアチューブ３３を介して検出する水位検出手段として機能する。

　外箱１内の最上部には、給水弁３４および給水ケース３５が設けられている。給水弁３４の入口部には、図示しない水道の蛇口に接続された機外給水ホース（図示せず）が接続されている。また、給水弁３４の出口部には、接続パイプ３６の一端部が接続されている。接続パイプ３６の他端部は、給水ケース３５に接続されている。給水ケース３５は、内部に洗剤貯留部（図示せず）を有している。この給水ケース３５には、機内給水ホース３７の一端部が接続されている。この機内給水ホース３７の他端部は、水槽６の上部に接続されている。その結果、水道から給水弁３４を介して供給される水は、接続パイプ３６、給水ケース３５の洗剤貯留部および機内給水ホース３７を介して水槽６内に供給される。また、給水弁３４と給水ケース３５は、水槽６内に給水する給水装置３８を構成している。

　さて、図１ないし図３に示すように、上述のバッフル１３は、水槽６の軸線に沿うようにして前後方向に延びるとともに、ドラム１１の回転中心軸側に突出している。このバッフル１３は、その周方向の両側面部１３Ａ，１３Ｂが中央稜部１３Ｃに向かってせり上がる山脈形をなしている。中央稜部１３Ｃには、複数の孔１３Ｄが形成されている。なお、この場合、側面部１３Ａを、ドラム式洗濯機を正面から視て時計回り方向側（例えば図２および図３中の矢印Ａ方向）の側面部とする。また、側面部１３Ｂを、ドラム式洗濯機を正面から視て反時計回り方向側（例えば図２および図３中の矢印Ｂ方向）の側面部とする。

　図１ないし図３に示すように、このバッフル１３の中央稜部１３Ｃは、平面方向から視たときに正弦波のように湾曲する形状をなしている。具体的には、中央稜部１３Ｃは、その領域を長手方向に並ぶ３つの領域に分けた場合、第１の突条部１３Ｃａ、第２の突条部１３Ｃｂおよび第３の突条部１３Ｃｃから構成されている。第１の突条部１３Ｃａは、水槽６の軸線に沿う線Ｌ（図３参照）に対して周方向の一方側（この場合、ドラム式洗濯機を正面から視て矢印Ａ方向側）に位置し、且つ、ドラム１１の前面側に位置している。第２の突条部１３Ｃｂは、軸線に沿う線Ｌに対して周方向の他方側（この場合、ドラム式洗濯機を正面から視て矢印Ｂ方向側）に位置し、且つ、ドラム１１の背面側に位置している。第３の突条部１３Ｃｃは、第１の突条部１３Ｃａと第２の突条部１３Ｃｃとの間に位置している。また、第１の突条部１３Ｃａと第３の突条部１３Ｃｃは、滑らかな曲線でつながれている。第２の突条部１３Ｃｂと第３の突条部１３Ｃｃも、滑らかな曲線でつながれている。そして、第１の突条部１３Ｃａと第３の突条部１３Ｃｃとによって、第１の凹部１３Ｅが形成されている。また、第２の突条部１３Ｃｂと第３の突条部１３Ｃｃとによって、第１の凹部１３Ｅとは逆向きの第２の凹部１３Ｆが形成されている。第１の凹部１３Ｅは、図１において下側（反時計方向側）が開くように湾曲し、第２の凹部１３Ｆは、図１において上側（時計方向側）が開くように湾曲する。

　図１に示すように、水槽６の背面側の上部には、その水槽６内に連通するエアトラップ３９が設けられている。このエアトラップ３９と外箱１内の最上部に配設された泡センサ４０とは、エアチューブ４１によって接続されている。泡センサ４０は、圧力スイッチから成る。水槽６内に発生した泡がエアトラップ３９に到達し、その泡がドラム１１の回転に伴って伸縮することにより、エアトラップ３９内の圧力が変化する。泡センサ４０は、その圧力変化を検出することで泡の発生量を検出する。

　次に、放水機構部２８について、図４ないし図１０も参照して説明する。
　放水機構部２８は、図１、図４、図５および図６に示すように、水槽カバー１６の内面部のほぼ上部の外周部に一体に形成された突出部４２，４２と、これら突出部４２，４２の先端部に装着（溶着）されて水路４３を形成する閉塞板４４とを備えている。水槽カバー１６の図２における左方部位（図４においては右方部位）には、水路４３に連通する連結口部４５（図５参照）が形成されている。連結口部４５には、送水ホース２７が連結されている。水槽カバー１６の連結口部４５の上方に位置する部位には、閉塞板４４とともに第１の放水口部４６（図７参照）が形成されている。第１の放水口部４６は、ドラム１１内に臨む拡散板部４６ａを有する。水槽カバー１６の第１の放水口部４６とは反対側に位置する部位（図２においては右方部位、図４においては左方部位）には、閉塞板４４とともに第２の放水口部４７（図８参照）が形成されている。第２の放水口部４７は、ドラム１１内に臨む拡散板部４７ａを有する。この場合、第１の放水口部４６および第２の放水口部４７は、図１２および図１３に示すように、第１の放水口部４６による放水経路Ｐａの水落下地点がドラム１１内の前面側になり、第２の放水口部４７による放水経路Ｐｂの水落下地点が第１の放水口部４６の水落下地点よりも背面側になるように設定されている。そして、図９および図１０に示すように、第１の放水口部４６および第２の放水口部４７は、第１の放水口部４６の開口よりも第２の放水口部４７の開口の方が大きく、第２の放水口部４７の放出流量が第１の放水口部４６の放出流量よりも大きくなるように設定されている。なお、第２の放水口部４７には、図８に示すように、扉３のリアガラス３ａに洗濯水を噴射する通水孔４７ｂが形成されている。この第２の放水口部４７の通水孔４７ｂからの噴射水により、扉３のリアガラス３ａに付着した泡が流し落とされる。

　図１１には、上記ドラム式洗濯機の電気的構成が示されている。制御装置５は、マイクロコンピュータを主体として構成され、ドラム式洗濯機の動作全般を制御する。この制御装置５には、操作パネル４（図１参照）に設けられた各種のキー（スイッチ）からなる操作部４８からの各種操作信号、水位センサ３２からの水位検出信号、泡センサ４０からの泡検出信号、洗濯機モータ８の回転速度を検出する回転センサ４９からの速度検出信号、ポンプモータ２５ａの回転速度を検出する回転センサ５０からの速度検出信号、ポンプモータ２５ａの電流を検出するカレントトランス５１からの電流検出信号などが入力される。

　そして、制御装置５は、上記各種の入力信号および予め記憶された制御プログラムに基づいて、給水弁３４、排水弁２３、洗濯機モータ８、ポンプモータ２５ａを制御する。この場合、制御装置５は、インバータによるパルス幅変調（ＰＷＭ）方式によって洗濯機モータ８の回転速度を制御する。また、制御装置５は、操作パネル４に設けられた例えば液晶パネルなどからなる表示部５２に、後述の洗濯物の重量検出に応じた洗剤使用量を表示する。その他、制御装置５は、設定された運転コース、運転の残り時間、予約時刻、現在時刻などの各種情報を表示部５２に表示する。

　次に、上記構成の作用について、図１４ないし図１６に示すタイムチャート、および、図１７に示すフローチャートを参照して説明する。
　例えば、使用者が操作パネル４を操作して通常の運転コース（洗い行程、すすぎ行程、脱水行程の各行程を行なうコース）を選択し、操作パネル４の操作部４８のスタートキーを操作すると、制御装置５は、洗濯運転の動作を開始（スタート）する。制御装置５は、操作部４８から出力される信号に基づいて、まず、洗濯物（衣類）の重量を検出する（図１７の処理ステップＳ１）。洗濯物重量の検出は、ドラム１１の回転速度が所定の回転速度に上昇するまでに要した時間と、その後、洗濯機モータ８によるドラム１１の駆動を停止してドラム１１を惰性回転させ、それによってドラム１１の回転速度が所定の回転速度に下降するまでに要した時間とから演算するものである。つまり、制御装置５は、洗濯物の重量を洗濯機モータ８の回転負荷でもって検出する。この後、制御装置５は、上記洗濯物重量の検出結果から、洗剤量の判定と、洗濯物重量に応じた洗い行程における水位の決定と、ドラム１１の回転速度の決定とを行なう。この場合、洗濯機モータ８の回転速度を検出する回転センサ４９が、ドラム１１内の洗濯物の重量を検出する重量検出手段として機能する。そして、制御装置５は、洗剤量の判定結果（洗濯物重量に応じて判定した洗剤量）を表示部５２に表示する（図１７の処理ステップＳ２）。
　なお、制御装置５は、洗濯物の重量（負荷量）を、この場合、小（例えば１ｋｇ）、中（例えば３ｋｇ）および大（例えば６ｋｇ）の３段階で検出する。そして、検出した段階に応じて、それぞれ図１４、図１５および図１６のタイムチャートを選択する。

　制御装置５は、表示部５２による洗剤量表示に基づいて、使用者が給水ケース３５に表示された洗剤量を投入することを所定時間（例えば２０秒）待つ（図１７の判断ステップＳ３）。そして、制御装置５は、所定時間の経過後に、給水弁３４を開放して、洗い行程用に決定した水位（洗濯物が浸される水位）まで水道水を供給する。この場合、給水ケース３５の洗剤貯留部には、制御装置５による洗剤量の判定に応じた量の洗剤が予め投入されているものとする。ここで、ドラム１１は、中心軸が後方に向かって下降する水槽６の軸線を中心に回転可能に設けられている。そのため、給水される水は、ドラム１１（水槽６）の背面側（後半部側）に溜まり、ドラム１１の前面側（前半部側）に向かうにつれて浅くなる。従って、ドラム１１の前面側付近（前端側部分）には、水がほとんど無い状態、或いは、それほどない状態となる。

　制御装置５は、給水開始とともに、洗濯機モータ８により、ドラム１１を回転駆動する（図１７の処理ステップＳ５、図１４（ｃ）ないし図１６（ｃ）参照）。給水開始時におけるドラム１１の回転の周期は、この場合、ドラム１１を低速度（例えば４０～６０ｒｐｍ）で正転方向に１５秒間回転させ、次に、ドラム１１を１秒間停止させ、次に、ドラム１１を低速度（例えば４０～６０ｒｐｍ）で逆転方向に１５秒間回転させ、次に、ドラム１１を１秒間停止させるものである。

　その後、制御装置５は、水位センサ３２による検出水位が循環ポンプ２５の駆動可能水位になったときには（図１７の判断ステップＳ６で「ＹＥＳ」）、泡センサ４０が所定量の泡を検出したか否かを判断する（判断ステップＳ７）。そして、制御装置５は、その判断結果に応じて、処理ステップＳ８、或いは、処理ステップＳ９に移行して、ポンプモータ２５ａを回転させて循環ポンプ２５を駆動する（図１４（ｂ）ないし図１６（ｂ）参照）。この場合、制御装置５は、泡センサ４０の検出泡量が所定量未満のときには（判断ステップＳ７で「ＮＯ」）、ポンプモータ２５ａを設定速度（例えば２０００ｒｐｍ）で回転させて循環ポンプ２５を駆動する（処理ステップＳ８）。一方、制御装置５は、泡センサ４０の検出泡量が所定量以上のときには（判断ステップＳ７で「ＹＥＳ」）、ポンプモータ２５ａを現在の設定速度（例えば２０００ｒｐｍ）から一定速度（例えば１００ｒｐｍ）を順次減じた速度（例えば２０００－１００ｒｐｍ）で回転させて循環ポンプ２５を駆動する（処理ステップＳ９）。

　更に、制御装置５は、カレントトランス５１の検出電流値を観測して、循環ポンプ２５にエアがみが発生しているか否かを判断する（図１７の判断ステップＳ１０）。洗剤が溶かされ水槽６内（ドラム１１内）に供給された洗濯水は、バッフル１３により掻き上げられ落下する洗濯物により撹拌され、且つ、循環ポンプ２５により循環され、これにより泡を発生するようになる。泡の発生が過剰になると、洗浄効果が落ちるばかりでなく、循環ポンプ２５にダメージを与える。水槽６内に泡が過剰に発生して循環ポンプ２５内に泡が進入すると、図１９に示すように、ポンプモータ２５ａの電流値が大きく変動して、その後、所定値以下の低い値においてほぼ一定になる。これによって、制御装置５は、循環ポンプ２５にエアがみが発生したか否かを判断する（図１７の判断ステップＳ１０）。

　制御装置５は、循環ポンプ２５にエアがみが発生していると判断したときには（判断ステップＳ１０で「ＹＥＳ」）、ポンプモータ２５ａの設定速度を現在の設定速度から一定速度（例えば１００ｒｐｍ）減じた速度に変更し（図１７の処理ステップＳ１１）、次の判断ステップＳ１２に移行する。なお、制御装置５は、循環ポンプ２５にエアがみが発生していないと判断したときには（判断ステップＳ１０で「ＮＯ」）、そのまま判断ステップＳ１２に移行する。

　制御装置５は、判断ステップＳ１２に移行すると、水位センサ３２による検出水位が、処理ステップＳ１で設定された洗い行程用の所定水位に達したか否かを判断する。達していないときには（判断ステップＳ１２で「ＮＯ」）、制御装置５は、判断ステップＳ７に戻る。一方、達していたときには（判断ステップＳ１２で「ＹＥＳ」）、制御装置５は、給水弁３４を閉塞して当該給水弁３４による給水を停止する（処理ステップＳ１３）。その後、制御装置５は、洗濯機モータ８によってドラム１１を正転方向および逆転方向に駆動して実質的な洗い行程（処理ステップＳ１４）を実行する。

　制御装置５は、この洗い行程の初期においては、洗濯物の重量に応じた時間により、ドラム１１を低速（例えば４０～６０ｒｐｍ）で正転させる。即ち、制御装置５は、洗濯物の重量が小（例えば１ｋｇ）の場合には、洗濯機モータ８を２０秒正転させ（図１４（ｃ）参照）、洗濯物の重量が中（例えば３ｋｇ）の場合には、洗濯機モータ８を３０秒正転させ（図１５（ｃ）参照）、洗濯物の重量が大（例えば６ｋｇ）の場合には、洗濯機モータ８を４０秒正転させる（図１６（ｃ）参照）。即ち、制御装置５は、洗い行程の初期においては、ドラム１１の回転方向を正転方向に選択するとともに、洗濯物の重量に応じて洗濯機モータ８の正転時間を変化させる。これにより、制御装置５は、ドラム１１の回転量を変化させる。

　このような動作により、ドラム１１内に予め収容された洗濯物がバッフル１３により掻き上げられて落とされる叩き洗いが繰り返し行なわれる。また、制御装置５は、前述したように、洗い行程中においては、循環ポンプ２５を駆動する。これにより、水槽６内の水は、水槽６の排水口部１８から取水され、水槽６の開口部上部に設けられた放水機構部２８の第１の放水口部４６および第２の放水口部４７からドラム１１の前面側および背面側に向かってシャワー状に供給される。

　その後、制御装置５は、前述の判断ステップＳ７、処理ステップＳ９、判断ステップＳ１０および処理ステップＳ１１と同様の判断ステップＳ１５、処理ステップＳ１６、判断ステップＳ１７および処理ステップＳ１８を実行する。その後、制御装置５は、洗濯機モータ８が３０秒間正転し、１秒間停止し、３０秒間逆転し、１秒間停止することを繰り返す通常運転を行う（処理ステップＳ１９）。

　そして、制御装置５は、洗い行程の設定時間が経過したか否かを判断する。経過していないときには（判断ステップＳ２０で「ＮＯ」）、制御装置５は、判断ステップＳ１５に戻る。一方、経過したときには（判断ステップＳ２０で「ＹＥＳ」）、制御装置５は、排水弁２３を開放させて、水槽６（ドラム１１）内の水を、水槽６の排水口部１８から機内排水ホース１９、フィルタケース２０（リントフィルタ）、排水弁２３、排水パイプ２４および機外排水ホースを通じて排出させる（図１７の処理ステップＳ２１）。

　次に、制御装置５は、すすぎ行程を実行する。すすぎ行程では、制御装置５は、洗い行程と同様の給水動作、すすぎ動作、排水動作を繰り返し行なう。そして、制御装置５は、脱水行程を実行する。脱水行程では、制御装置５は、ドラム１１を、一方向に高速（例えば７００～１５００ｒｐｍ）で回転させ、洗濯物に対して遠心脱水を行なう。脱水行程が終了することにより、通常の運転コース（洗濯運転）が終了する。

　図１２および図１３は、洗濯運転の洗い行程の初期時における洗濯物である衣類Ｗの様子を示している。ドラム１１が矢印Ａ方向に回転（正転）すると、衣類Ｗは、バッフル１３によって掻き上げられながら、バッフル１３の側面部１３Ａに沿って前方から後方側（図３に示す矢印Ｙ方向）へ移動する。この場合、バッフル１３の背面側には、第２の凹部１３Ｆが形成されているので、ドラム１１が回転しても、衣類Ｗは、第２の凹部１３Ｆよりも後端側に移動されず、第２の凹部１３Ｆ内に収まる。また、第２の凹部１３Ｆは、バッフル１３の後半部側にある。そのため、第２の凹部１３Ｆ内に収まっている衣類Ｗは、ドラム１１の回転に伴いドラム１１内の最上位置付近に移動すると、自重によりドラム１１の後半部側に落ちて叩き洗いされる。このとき、ドラム１１の後半部側には多くの洗濯水が溜まっているので、洗濯物Ｗに水が浸み込み易い。この場合、衣類Ｗの量（重量）が大きいほどドラム１１の正転方向への回転量（回転時間）が多くなるように設定されている。そのため、衣類Ｗは、その量（重量）が大きいほど背面側に移動されて多くの洗濯水が溜っている背面側に落下するようになる。これにより、洗剤が水に溶けることが促進されるとともに、洗濯水が衣類Ｗに浸透し易くなる。しかも、ドラム１１の前面側に散水する第１の放水口部４６の放水量よりもドラム１１の背面側に散水する第２の放水口部４７の散水量が大きくなるように設定されている。そのため、衣類Ｗ全体に均等に洗濯水を浸透させることができる。

　また、ドラム１１の回転に伴い掻き上げられた衣類Ｗは、放水量が大きい第２の放水口部４７による放水方向（放水経路Ｐｂ）に沿うように落下するようになる。そのため、衣類Ｗが第２の放水口部４７から放水された水と接触する時間が長くなり、衣類Ｗに水が一層浸み込み易くなる。

　次に、ドラム１１が矢印Ｂ方向に回転（逆転）すると、衣類Ｗは、バッフル１３によって掻き上げられながら、バッフル１３の側面部１３Ｂに沿って後方から前方側（図３に示す矢印Ｘ方向）へ移動する。この場合、バッフル１３の前半部側には、第１の凹部１３Ｅが形成されているので、ドラム１１が回転しても、衣類Ｗは、第１の凹部１３Ｅよりも前端部に移動されず、第１の凹部１３Ｅ内に収まる。また、第１の凹部１３Ｅは、バッフル１３の前半部側にある。そのため、第１の凹部１３Ｅに収まっている衣類Ｗは、ドラム１１の回転に伴いドラム１１内の最上位置付近に移動すると、自重によりドラム１１の前半部側に落ちて叩き洗いされる。このとき、ドラム１１の前半部には、ほとんど水がないので、叩き洗いされる洗濯物Ｗから水が押し出され易い。

　本実施形態によれば、循環経路３０の放水機構部２８は、ドラム１１の前面側に散水する第１の放水口部４６と、ドラム１１内の背面側に散水する第２の放水口部４７とを備えている。そして、第２の放水口部４７の放水量は、第１の放水口部４６の放水量よりも大きく設定されている。これにより、バッフル１３により背面側に偏在するように移動される衣類Ｗに洗濯水を全体にわたって均等に浸透させることができ、叩き洗い効果を充分に発揮させることができ、洗い動作およびすすぎ動作を効率良く行うことができる。
　また、第１の放水口部４６および第２の放水口部４７は、第１の放水口部４６による水落下地点がドラム１１内の前面側になり、第２の放水口部４７による水落下地点が第１の放水口部４６による水落下地点よりも背面側になるように構成されている。そのため、ドラム１１内の洗濯物が背面側に偏在する傾向にあっても、洗濯水を洗濯物全体に均等に浸透させることができる。また、洗濯物の叩き洗い効果を一層充分に得ることができ、洗い動作およびすすぎ動作を一層効率良く行うことができる。

　また、洗い行程の初期においては、衣類Ｗの量（重量）が大きいほどドラム１１の正転方向への回転量（回転時間）が多くなるように設定されている。そのため、衣類Ｗは、衣類Ｗの量（重量）が大きいほどドラム１１内の背面側に移動されて多くの洗濯水が溜っている背面側に落下するようになる。これにより、洗剤が水に溶けることが促進されるとともに、洗濯水が衣類Ｗに浸透し易くなる。図１８に示すように、衣類Ｗに対する洗濯水の浸透割合は、衣類Ｗの重量が大きくなるに従って悪くなる。そのため、衣類Ｗの重量が大きくなるに従って正転時間を多くすることは、衣類Ｗに洗濯水を浸透させる上で効果的である。
　更に、制御装置５は、泡センサ４０の検出泡量が所定量以上のときには、ポンプモータ２５ａを現在の設定速度から一定速度を順次減じた速度で回転させて循環ポンプ２５を駆動させる。つまり、制御装置５は、泡センサ４０の検出泡量が所定量以上のときには、循環ポンプ２５による循環水量を減少させるようにした。これにより、ドラム１１内に過剰に泡が発生して洗浄効果が低下してしまうことを防止することができる。

　また、制御装置５は、カレントトランス５１の検出電流値を観測して、循環ポンプ２５にエアがみが発生していると判断したときには、ポンプモータ２５ａの設定速度を現在の設定速度から一定速度を減じた速度に変更する。つまり、制御装置５は、カレントトランス５１の検出電流値に基づいて循環ポンプ２５にエアがみが発生していると判断したときには、循環ポンプ２５による循環水量を減少させるようにした。これにより、循環ポンプ２５がダメージを受けることを防止することができる。
　なお、制御装置５は、判断ステップＳ１５、或いは、判断ステップＳ１７を繰り返し実行することにより、循環ポンプ２５の回転数が下限値以下になったときには、ポンプモータ２５ａを停止させるようにするとよい。これにより、無用な制御の続行が防止される。

　（第２実施形態）
　図２０は第２実施形態に係るものであり、上記第１実施形態（図１７）と同一部分には同一符号を付して示す。この第２実施形態は、カレントトランス５１（図１１参照）に関する判断ステップＳ１０、処理ステップＳ１１、判断ステップＳ１７および処理ステップＳ１８を削除したものである。つまり、本実施形態は、カレントトランス５１を省略した構成である。

　（第３実施形態）
　図２１は、第３実施形態に係るものであり、上記第１実施形態（図１４ないし図１６参照）と同一部分には同一符号を付して示す。この第３実施形態は、洗い行程の初期において、洗濯物の重量（この場合、小、中、大）に応じて設定されたドラム１１（図１、図２参照）の正転時間（この場合、２０秒、３０秒、４０秒）を、複数の正転時間と停止時間に分割して実行するものである。この構成によれば、泡の発生を極力抑制することができる。

　（第４実施形態）
　第４実施形態について、図２２ないし図３３を参照して説明する。
　図２２および図２３には、ドラム式洗濯機の全体構造が示されている。なお、このドラム式洗濯機は、外箱１の形状などが上述のドラム式洗濯機（図１および図２参照）とは異なるが、基本的な構成は同様である。以下、特に放水機構部２８の構成について、図２４ないし図３３を参照して説明する。
　図２７に示すように、合成樹脂製の水槽カバー６１の背面部の外周部には、ほぼ下部から上半部にわたって所定の間隔を存する円弧状の水路形成用の突条部６２，６３が一体に成形されている。これら突条部６２，６３は、下部において連結されている。水槽カバー６１の背面部の上部において、図２７の時計方向側にずれた位置（例えば垂直線に対して時計方向に３０度ずれた位置）には、第１のノズル部形成用の突条部６４，６５が水槽カバー６１の中心に指向するように一体に成形されている。これら突条部６４，６５間は、突条部６２，６３間に連通する。また、水槽カバー６１の背面部の上部において、図２７の反時計方向側にずれた位置（例えば垂直線に対して反時計方向に３０度ずれた位置）には、第２のノズル部形成用の突条部６６，６７が水槽カバー６１の中心に指向するように一体に成形されている。これら突条部６６，６７間は、突条部６２，６３間に連通する。

　図２８Ａ，図２８Ｂに示すように、合成樹脂製の注水カバー６８は、水槽カバー６１の突条部６２，６３と同様に円弧状をなしている。この注水カバー６８の内周部および外周部には、突条部６２，６３と対応する水路形成用の突条部６９，７０が一体に成形されている。これら突条部６９，７０は、下部において連結されている。更に、注水カバー６８には、突条部６４，６５と対応する第１のノズル部形成用の突条部７１，７２、および、突条部６６，６７と対応する第２のノズル部形成用の突条部７３，７４が一体に成形されている。突条部７１，７２間および突条部７３，７４間は、突条部６９，７０間に連通されている。なお、水槽カバー６１の前面の開口部６１ａは、ベローズ１７（図２２参照）により洗濯物出入口部２に水密に連結されている。

　注水カバー６８は、水槽カバー６１の背面側に配置されている。このとき、突条部６９，７０は突条部６２，６３に衝合され、突条部７１，７２は突条部６４，６５に衝合され、突条部７３，７４は突条部６６，６７に衝合される。これらが、例えば超音波溶接されることによって、図２６、図２９ないし図３２に示す水路７５、第１のノズル部７６および第２のノズル部７７が形成される。これにより、放水機構部２８が構成される。なお、図２９ないし図３２においては、説明の便宜上、注水カバー６８が溶着された状態を示す。

　そして、第１のノズル部７６は、図２６、図２９および図３０に示すように、上方から斜め下方に指向する基壁部７６ａと、この基壁部７６ａに対応する案内壁部７６ｂと、これら基壁部７６ａと案内壁部７６ｂとの両側部をつなぐ両側壁部７６ｃ，７６ｄとにより構成されている。この構成により、第１のノズル部７６は、ドラム１１内に臨むほぼ横長の矩形形状（スリット状）の開口７６ｆを形成している。この場合、第１のノズル部７６の放水流量は、基壁部７６ａと当該基壁部７６ａに対応する案内壁部７６ｂとの間の最小の間隔寸法Ｓａにより設定される。また、第１のノズル部７６による放水経路Ｐａの水落下地点は、基壁部７６ａおよび案内壁部７６ｂの指向角度である傾斜角度αにより設定される。

　また、第２のノズル部７７は、図２６、図３１および図３２に示すように、上方から斜め下方に指向する基壁部７７ａと、この基壁部７７ａに対応する案内壁部７７ｂと、これら基壁部７７ａと案内壁部７７ｂとの両側部をつなぐ両側壁部７７ｃ，７７ｄとにより構成されている。この構成により、第２のノズル部７７は、ドラム１１内に臨むほぼ横長の矩形形状（スリット状）の開口７７ｆを形成している。この場合、第２のノズル部７７の放水流量は、基壁部７７ａと当該基壁部７７ａに対応する案内壁部７７ｂとの間の最小の間隔寸法Ｓｂにより設定される。なお、間隔寸法Ｓｂは、第１のノズル部７６の間隔寸法Ｓａよりも大きく設定されている（Ｓｂ＞Ｓａ）。更に、第２のノズル部７７による放水経路Ｐｂの水落下地点は、基壁部７７ａおよび案内壁部７７ｂの指向角度である傾斜角度βにより設定される。なお、傾斜角度βは、第１のノズル部７６の傾斜角度αよりも大きく設定されている（β＞α）。
　図３３に示すように、水槽カバー６１の図２３における真下よりも左方部位（図２７においては右方部位）には、水路７５に連通する連結口部７８が形成されている。この水路７５には、送水ホース２７が連結されている。

　次に、上記構成の作用について説明する。
　制御装置５は、洗い行程中においては、循環ポンプ２５を駆動して、水槽６の排水口部１８から取水される水槽６内の水を、水槽６の開口部上部の放水機構部２８の第１のノズル部７６および第２のノズル部７７からドラム１１の前面側および背面側に向かって噴射するように放出させる。制御装置５は、その後は、排水動作および脱水動作を行なって洗い行程を終了する。そして、制御装置５は、更に、すすぎ行程および脱水行程を行なって洗濯運転を終了する。

　本実施形態によれば、循環経路３０の放水機構部２８は、水槽カバー６１の背面部に注水カバー６８を超音波により溶着することにより、循環経路３０からの洗濯水が供給される水路７５と、この水路７５からの洗濯水をドラム１１内に噴射するように放水する第１のノズル部７６および第２のノズル部７７を形成した構成である。そのため、従来の外付けホースのような配管が不要となるばかりでなく、従来の偏向板のような水槽カバー６１の出入口部６１ｂ内に突出するようなものも不要にできる。このように、衣類の出し入れに邪魔になるものを無くすことができる。
　また、放水機構部２８は、水槽カバー６１と注水カバー６８の二部材で構成されている。そのため、部品点数が少なく、構造が簡単である。そして、水槽カバー６１に注水カバー６８を溶着する構造としたので、溶着後においては一部品として取り扱うことができ、組み立てが簡単である。

　更に、第１のノズル部７６は、上方から斜め下方に指向する基壁部７６ａと、この基壁部７６ａに対応する案内壁部７６ｂと、これら基壁部７６ａと案内壁部７６ｂとの両側部をつなぐ両側壁部７６ｃ，７６ｄとにより構成されている。そして、この構成により、第１のノズル部７６は、ドラム１１内に臨むほぼ横長の矩形形状（スリット状）の開口７６ｆを形成している。また、第２のノズル部７７は、上方から斜め下方に指向する基壁部７７ａと、この基壁部７７ａに対応する案内壁部７７ｂと、これら基壁部７７ａと案内壁部７７ｂとの両側部をつなぐ両側壁部７７ｃ，７７ｄとにより構成されている。そして、第２のノズル部７７は、ドラム１１内に臨むほぼ横長の矩形形状（スリット状）の開口７７ｆを形成している。従って、第１のノズル部７６および第２のノズル部７７からの噴射水は、従来のような偏向板からの飛散水とは異なり、水平な膜状で且つ放射状に広がる状態になる。これにより、洗濯水を衣類に満遍なく浸透させることができる。

　そして、前述したように、第１のノズル部７６および第２のノズル部７７からの噴射水は、水平な膜状で且つ放射状に広がる状態になる。そのため、図２４に示すように、水槽カバー６１の出入口部６１ｂとドラム１１の開口部１４との間の間隔寸法Ｌが小さくても（例えば１ｃｍ前後）、第１のノズル部７６および第２のノズル部７７からの噴射水を開口部１４を通して円滑にドラム１１内に放出できる。

　また、第１のノズル部７６は、基壁部７６ａおよび案内壁部７６ｂの指向角度である傾斜角度αによって、第１のノズル部７６による放水経路Ｐａの水落下地点が設定される。第２のノズル部７７は、基壁部７７ａおよび案内壁部７７ｂの指向角度である傾斜角度βによって、第２のノズル部７７による放水経路Ｐｂの水落下地点が設定される。そして、傾斜角度βは、第１のノズル部７６の傾斜角度αよりも大きく設定されている（β＞α）。そのため、第１のノズル部７６はドラム１１の前面側寄りに放水し、第２のノズル部７７はドラム１１内の背面側寄りに放水する。しかも、第２のノズル部７７による放水水量を第１のノズル部７６による放水水量よりも大きくした。そのため、バッフル１３により背面側に偏在するように移動される衣類に洗濯水を全体にわたって均等に浸透させることができ、叩き洗い効果を充分に発揮させることができ、洗い動作およびすすぎ動作を効率良く行うことができる。

（第５実施形態）
　図３４および図３５は、第５実施形態に係るものであり、上述の第４実施形態と同一部分には同一符号を付して示す。
　上述の第４実施形態では、水槽カバー６１および注水カバー６８の双方により第１のノズル部７６および第２のノズル部７７を形成した。これに対して、この第５実施形態では、図３４に示すように、第１のノズル部７６に代わる第１のノズル部８１は注水カバー６８に一体に成形されている。また、図３５に示すように、第２のノズル部７７に代わる第２のノズル部８２は注水カバー６８に一体に成形されている。但し、何れの場合も、連結口部７８から各ノズル部までの水路は、水槽カバー６１と注水カバー６８の双方により形成されている。
　この第５実施形態によっても、第４実施形態と同様の効果を得ることができる。

　（その他の実施形態）
　本実施形態は、上述し且つ図面に示す実施形態に限定されず、次のような変形、拡張が可能である。
　上述のバッフル１３の代わりに、通常の直線状のバッフルを用いてもよい。
　バッフル１３の個数は、３個以外であってもよい。
　上述の実施形態では、洗い行程の初期において、洗濯物の重量に応じて、ドラム１１の正転時間を変化させることによりドラム１１の回転量を変更する。これに代わり、ドラム１１の正転速度を変化させることによりドラム１１の回転量を変更してもよい。

　制御装置５は、洗濯運転の初期において、放水量が大きい第２の放水口部４７による水落下点側に洗濯物Ｗが落下するように洗濯機モータ８によるドラム１１の「回転方向」を制御するのではなく、放水量が大きい第２の放水口部４７による水落下点側に洗濯物Ｗが落下するように洗濯機モータ８によるドラム１１の「回転速度」を制御してもよい。
　制御装置５は、洗濯運転の初期において、放水量が大きい第２の放水口部４７による放水方向（放水経路Ｐｂ）に沿って洗濯物Ｗが落下するように洗濯機モータ８によるドラム１１の回転方向を制御するのではなく、放水量が大きい第２の放水口部４７による放水方向（放水経路Ｐｂ）に交わる方向に沿って洗濯物Ｗが落下するように洗濯機モータ８によるドラム１１の回転方向を制御してもよい。これにより、落下する洗濯物Ｗが第２の放水口部４７から放水された水に対して衝突するような状態になり、その機械力により洗濯水が洗濯物Ｗの繊維中に浸透し易くなるため、洗濯物Ｗに付着した汚れを除去し易くできる。

　重量検出手段として、カレントセンサを用いる構成としとてもよい。具体的には、制御装置５は、洗濯機モータ８を駆動してドラム１１を回転させたときにおけるカレントセンサの検出電流の大きさと、制御装置５に予め記録されているデータとに基づき、ドラム１１内に収容された洗濯物の重量を判断するようにしてもよい。
　放水機構部２８に設けられる放水口部、或いは、ノズル部は、２個に限られるものではなく、例えば１個でもよいし、３個以上であってもよい。
　本実施形態は、乾燥機能付きのドラム式洗濯機にも適用することができる。
　上述の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

　１は外箱、５は制御装置（制御手段）、６は水槽、８は洗濯機モータ、１１はドラム、１３はバッフル、１６は水槽カバー、１８は排水口部（取水口部）、２５は循環ポンプ、２５ａはポンプモータ、２８は放水機構部、３０は循環経路、４３は水路、６８は注水カバー、４６は第１の放水口部、４７は第２の放水口部、６１は水槽カバー、７５は水路、７６は第１のノズル部、７６ａは基壁部、７６ｂは案内壁部、７６ｃおよび７６ｄは側壁部、７６ｆは開口、７７は第２のノズル部、７７ａは基壁部、７７ｂは案内壁部、７７ｃおよび７７ｄは側壁部、７７ｆは開口、８１は第１のノズル部、８２は第２のノズル部を示す。

Claims

　外箱と、
　この外箱内に中心軸が後方に向かって下降する軸線上に位置するようにして弾性支持され、背面側が閉塞された有底円筒状の水槽と、
　この水槽内に前記軸線を中心に回転可能に設けられ、背面側が閉塞された有底円筒状をなし、周壁に多数の孔を有するドラムと、
　前記水槽の背面の外側に設けられ、前記ドラムを正転方向および逆転方向に駆動する洗濯機モータと、
　前記ドラムの内周部に設けられ、前記軸線に沿うようにして前後方向に延びるバッフルと、
　前記水槽の背面側の底部に形成された取水口部と、
　前記水槽の前面側の上部に形成された第１の放水口部および第２の放水口部と、
　前記取水口部と前記第１の放水口部および前記第２の放水口部とをつなぐ循環経路と、
　この循環経路中に設けられ、前記水槽の前記取水口部から取り出された水を前記第１の放水口部および前記第２の放水口部から前記ドラム内に放出させる循環ポンプと、
　前記洗濯機モータおよび前記循環ポンプを制御する制御手段と、
を備えることを特徴とするドラム式洗濯機。
　前記水槽の前面側の開口部に装着された水槽カバーと、
　この水槽カバーの背面側に装着された注水カバーと、
を備え、
　前記水槽カバーおよび前記注水カバーの双方により水路が形成され、
　前記第１の放水口部および前記第２の放水口部は、前記水槽カバーおよび前記注水カバーの一方若しくは双方により形成され、前記水路と連通して前記ドラム内に上側から臨むように設けられていることを特徴とする請求の範囲第１項記載のドラム式洗濯機。
　前記第１の放水口部および前記第２の放水口部は、前記第２の放水口部による水落下地点が前記第１の放水口部による水落下地点よりも背面側になるように構成されていることを特徴とする請求の範囲第１項または第２項記載のドラム式洗濯機。
　前記第２の放水口部の放水量は、前記第１の放水口部の放水量よりも大きく設定されていることを特徴とする請求の範囲第１項または第２項記載のドラム式洗濯機。
　前記制御手段は、洗濯運転の初期において、放水量が大きい前記第２の放水口部による水落下点側に洗濯物が落下するように前記洗濯機モータによる前記ドラムの回転を制御することを特徴とする請求の範囲第４項記載のドラム式洗濯機。
　前記制御手段は、洗濯運転の初期において、放水量が大きい前記第２の放水口部による放水方向に沿って洗濯物が落下するように前記洗濯機モータによる前記ドラムの回転方向を制御することを特徴とする請求の範囲第４項記載のドラム式洗濯機。
　前記ドラム内の洗濯物の重量を検出する重量検出手段を備え、
　前記制御手段は、前記重量検出手段の検出重量に応じて前記洗濯機モータの回転量を制御することを特徴とする請求の範囲第１項記載のドラム式洗濯機。
　前記ドラム内の洗濯物の重量を検出する重量検出手段を備え、
　前記制御手段は、前記重量検出手段の検出重量に応じて前記洗濯機モータの回転量を制御することを特徴とする請求の範囲第２項記載のドラム式洗濯機。
　前記ドラム内に発生する泡の量を検出する泡量検出手段を備え、
　前記制御手段は、前記泡量検出手段による検出泡量が設定量以上のときには、前記循環ポンプをその循環流量が減少するように制御することを特徴とする請求の範囲第１項記載のドラム式洗濯機。
　前記ドラム内に発生する泡の量を検出する泡量検出手段を備え、
　前記制御手段は、前記泡量検出手段による検出泡量が設定量以上のときには、前記循環ポンプをその循環流量が減少するように制御することを特徴とする請求の範囲第２項記載のドラム式洗濯機。
　前記循環ポンプのモータ電流を検出する電流検出手段を備え、
　前記制御手段は、前記電流検出手段の検出電流に基づき前記循環ポンプにエアがみが発生していると判断したときには、前記循環ポンプをその循環流量が減少するように制御することを特徴とする請求の範囲第１項記載のドラム式洗濯機。
　前記循環ポンプのモータ電流を検出する電流検出手段を備え、
　前記制御手段は、前記電流検出手段の検出電流に基づき前記循環ポンプにエアがみが発生していると判断したときには、前記循環ポンプをその循環流量が減少するように制御することを特徴とする請求の範囲第２項記載のドラム式洗濯機。
　外箱と、
　この外箱内に弾性支持され、背面側が閉塞された有底円筒状をなし、底部に取水口部が形成された水槽と、
　この水槽の前面側の開口部に装着された水槽カバーと、
　前記水槽内に回転可能に設けられ、背面側が閉塞された有底円筒状をなし、周壁に多数の孔を有するドラムと、
　前記水槽カバーの背面側に注水カバーを装着することにより構成され、水路およびこの水路と連通して前記ドラム内に上側から臨むノズル部を有する放水機構部と、
　前記水槽の取水口部と前記放水機構部の水路とをつなぐ循環経路と、
　この循環経路中に設けられ、前記水槽の取水口部から取り出された水を前記放水機構部のノズル部から前記ドラム内に噴射させる循環ポンプと、
を備え、
　前記放水機構部は、前記水槽カバーおよび前記注水カバーの双方により前記水路が形成され、前記水槽カバーおよび前記注水カバーの一方若しくは双方により前記ノズル部が形成されるように構成されていることを特徴とするドラム式洗濯機。
　前記放水機構部は、前記ノズル部による前記ドラム内の水落下地点が前記ドラムの背面側になるように構成されていることを特徴とする請求の範囲第１３項記載のドラム式洗濯機。
　前記放水機構部は、２つの前記ノズル部を有し、一方のノズル部による前記ドラム内の水落下地点が前記ドラムの背面側になるように構成され、他方のノズル部による前記ドラム内の水落下地点が前記ドラムの前面側になるように構成されていることを特徴とする請求の範囲第１３項記載のドラム式洗濯機。
　前記ノズル部は、上方から斜め下方に指向する基壁部と、この基壁部に対応する案内壁部と、これら基壁部と案内壁部との両側部をつなぐ両側壁部とにより、前記ドラム内に臨むほぼ横長の矩形形状の開口を形成するように構成されていることを特徴とする請求の範囲第１３項から第１５項の何れか１項記載のドラム式洗濯機。
　前記ノズル部の水落下地点は、前記基壁部および前記案内壁部の指向角度により設定されていることを特徴とする請求の範囲第１６項記載のドラム式洗濯機。