高分子担持金属錯体触媒
技術分野
[0001] この発明は、高分子担持ロジウム (II)触媒、この触媒を用いた a -ジァゾカルボニル 化合物の炭素 炭素多重結合への付加、 C- H及び X-H (X = N, 0, S, Se, Siなど)結 合への挿入ある!/、はイリド形成を引き金とする転位 ·付加環化反応に関し、有機合成 の属する分野及び他の分野において要求されているアトムエコノミーに供するもので ある。
背景技術
[0002] Rh (OAc)に代表されるロジウム (II)錯体は、銅をはじめとする遷移金属及びそれら
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の錯体に比べ遥かに緩和な条件下で α -ジァゾカルボ二ルイヒ合物を速やかにジァゾ 分解し、現在なお直接的な構造証明には至っていないが、ロジウム (II)カルベン中間 体を生成すると考えられて ヽる。
ロジウム (II)カルベン中間体のカルベン炭素は非常に高い求電子性を示し、この中 間体に基づく反応は多岐にわたる。例えば炭素—炭素多重結合への付加、 C-H及 び X- Η (X = Ν, 0, S, Se, Siなど)結合への挿入あるいはイリド形成を引き金とする転 位及び付加環化反応などが知られている。いずれも触媒反応であり、炭素-炭素結 合形成と同時に不斉炭素を創出する合成化学上重要な反応である (非特許文献 1)
Rh (OAc)は架橋配位子であるァセタートを配位子交換反応により容易に種々カル
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ボキシラートやアミダートに置き換えることが可能であり、多様な性質を持つロジウム (I I)錯体を合成する事ができる。例えば、 Doyleらは不斉空間が固定された不斉アミダ 一ト錯体 Rh (5S-MEPY)や Rh (4S-MPPIM)等を開発した (非特許文献 2)。本錯体は
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a -ジァゾァセタートあるいは a -ジァゾァセトアミドの分子内 C-H挿入反応や分子内 シクロプロパン化反応において高いェナンチォ選択性を示す。 McKervey、 Daviesら はアレーンスルホ-ルプロリナートを架橋配位子に組み込んだロジウム (II)カルボキシ ラート錯体を開発した。特に Daviesらが開発した Rh (S-DOSP)はへキサン中で行なう
フエ-ルジァゾァセタートあるいはビュルジァゾァセタートの分子間 C-H挿入反応や 分子間シクロプロパン化反応において極めて高いェナンチォ選択性が実現する(非 特許文献 3)。
本発明者らは光学活性 N-フタロイルアミノ酸を架橋配位子として組み込んだロジゥ ム (II)カルボキシラート錯体を開発し、種々の α -ジァゾカルボ-ルイ匕合物を基質とす る分子内不斉 C-H挿入反応やイリド形成を経る不斉付加環化 ·転移反応を報告して いる (非特許文献 4)。
均一系遷移金属錯体を用いる不斉触媒反応は、反応終了後の触媒と目的物の分 離'精製はしばしば困難な場合がある。特に医薬品'化粧品や食品などの属する分 野では、厳密に生成物力 重金属を除く必要がある。また高価な配位子や金属を使 用するため、大量合成に適用する際の経済性が問題となる。このため、金属錯体の 除去法ある!/、は回収'再利用可能な触媒の開発が活発に行われて 、る(非特許文献 5)。
ロジウム (II)錯体の除去 ·回収及び再利用に関する解決策の一つとして、不溶性固 相担体へのロジウム (II)錯体の担持が挙げられる。固相ロジウム (II)錯体を用いること で、生成物との容易な分離、高価なロジウム錯体の回収及び再利用、金属の浸出の 回避が理論的には可能となる。例えば Doyleらは、可溶性ポリエチレンを組み込んだ ピロリジノン- 5(S)-カルボキシラートを架橋配位子とするロジウム (II)アミダート錯体 Rh (
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S-PYCA)を開発した。本錯体は α -ジァゾァセタートの分子内不斉 C-H挿入反応に
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ぉ 、て、良好な不斉収率を維持しつつ数回の再利用に成功して 、る(非特許文献 6 ) οまた、 Daviesらは二核ロジウム (II)錯体のアキシアル位が種々のルイス塩基性の軸 配位子で占有されている性質に着目し、 Rh (S-DOSP)をはじめとする種々のロジウム
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(II)錯体に固相上のピリジンを配位することで担持する方法論を提示した。フエ-ルジ ァゾァセタートの分子間不斉 C-H挿入反応において、固定化 Rh (S-DOSP)触媒は、
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Rh (S-DOSP)単独で用いた場合と同等の触媒活性及び不斉識別能を示すことを見
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出している(非特許文献 7)。一方、 Biffisらはペルフルォロアルキル鎖を組み込んだ シリカゲルにロジウム (Π)ペルフルォロカルボキシラート錯体を保持した触媒を開発し 、アルコールのシリルイ匕反応における触媒の回収、再利用を実現している(非特許文
献 8)。
[0004] 非特許文献 1: Synthesis, 2003, 1137- 1156.
非特許文献 2 : Chem. Rev. 1998, 98, 911-935.
非特許文献 3 : Chem. Rev. 2003, 103, 2861-2903.
非特許文献 4 : Adv. Synth. Catal. 2005, 347, 1483-1487.
非特許文献 5 : Chem. Rev. 2002, 102, 3275-3300.
非特許文献 6 : J. Org. Chem. 1992, 57, 6103-6105.
非特許文献 7 : Org. Lett. 2003, 5, 479-482.
非特許文献 8 : Green Chem. 2003, 5, 170-173.
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0005] 以上のように触媒の回収 ·再利用を可能にする固相ロジウム (II)錯体の開発は近年 注目を集めている分野である。 Doyleらの報告した Rh (S- PYCA)を使用する例はロジ
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ゥム錯体の回収及び再利用が容易である力 触媒活性の低いロジウム (II)アミダート 錯体を母型触媒とする本触媒は、固相担持により触媒活性及び不斉識別能は母型 錯体よりさらに低いものになっている。また、 Daviesや Biffisらの手法は不溶性高分子 へのロジウム (II)錯体の担持が共有結合によるものではないため金属錯体の浸出を 完全に防ぐことができず、繰り返し使用により触媒活性は低下する。このように、これ まで報告された 、ずれの場合も改善の余地を残して 、る。特にこれらの触媒を用いる 低温下での反応は困難である。
本発明者らは、多くのジァゾ分解反応で高!、触媒活性及び不斉識別能を示す光 学活性 N-フタロイルアミノ酸を架橋配位子として組み込んだロジウム (II)カルボキシラ 一ト錯体を不溶性高分子に担持した固相触媒の開発について検討した。
課題を解決するための手段
[0006] その結果、本発明者らはカルボン酸が置換したスチレン誘導体、スチレン及び両末 端にビュルベンジルォキシ基を置換した直鎖アルカンの共重合により調製した不溶 性高分子とロジウム (II)カルボキシラート錯体の配位子交換反応により新規不溶性高 分子担持ロジウム (Π)錯体の調製法を開発し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、金属を架橋高分子に担持させてなる下式 (化 1)
[化 1]
「 X 0 1
(式中、 M1と M2は、同じであっても異なってもよぐロジウム、パラジウム、ルテニウム、 レニウム、鉄、ニッケル、銅、白金、ビスマス、コバルト、クロム、モリブデン及びタンダ ステンから成る群から選択され、 Xは酸素原子、硫黄原子又は =NR5基 (式中、 R5は 水素原子又はアルキル基を表す。)を表し、 R4は置換基を有していてもよいアルキル 基、ァリール基、ァラルキル基、アルキルォキシ基又はアルキルアミノ基を表し、 k+1
+mに対して kは 1〜15%、 mは 0より大きく 99%以下、 1は残部を表し、 nは M1と M2 の原子価によって定まる整数であって 1〜4の整数を表し、!^〜 は下記で定義す る。)で表される高分子担持金属錯体触媒であって、該架橋高分子が一般式 (化 2)
[化 2]
C=C
R 1
C
ノ八 \
X 0
(式中、 R1はへテロ原子を含んでもよい 2価の炭化水素基を表し、 Xは上記の定義の とおりであり、その他のビニル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。)で 表される配位性モノマー、一般式 (化 3)
[化 3]
(式中、 R2は芳香族基を表し、その他のビニル基炭素には任意に置換基が結合して いてもよい。)で表される疎水性モノマー、及び下記一般式 (化 4)
[化 4]
C=C
R3
C=C
(式中、 R3はへテロ原子を含んでもよい 2価の炭化水素基を表し、その他のビニル基 炭素には任意に置換基が結合していてもよい。)で表される重合性モノマーを共重合 させてなり、該架橋高分子と下記一般式 (化 5)
(R4CXO) M'M2
(式中、 R4、 X、 n、 M1及び M2は上記の定義のとおりである。)で表される錯体との配 位子交換により形成されることを特徴とする高分子担持金属錯体触媒である。
発明を実施するための最良の形態
本発明の高分子担持金属錯体触媒は以下のような手順で作成することが出来る。 まず、配位子として機能するポリマー部分を合成する。このポリマーは以下のような モノマーを共重合することにより得ることができる。
(1)下記一般式 (ィ匕 2)で表される配位性モノマー
[化 2]
c=c
R 1
C
/八 \
X 0
式中、 R1はへテロ原子を含んでもよい 2価の炭化水素基、好ましくはアルキル- 2- ( 4, -アルキルォキシフタルイミドメチル基)を表す。
Xは酸素原子、硫黄原子又は =NR5基 (式中、 R5は水素原子又はアルキル基、好 ましくは水素原子を表す。)、好ましくは酸素原子を表す。
このビュル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。このような置換基とし て、 α位にメチル基などのアルキル基、アルキルォキシ基などが挙げられる。
この配位性モノマーとして、例えば、 Ν-4-[6-(4-ビュルベンジルォキシ)へキシル]ォ
キシフタロイル- (S)-tert-ロイシン、 N-4-[6-(4-ビュルベンジルォキシ)へキシル]ォキ シフタロイル- (S)-フエ-ルァラニン、 6-へキセン酸等が例示される。
[0009] (2)下記一般式 (化 3)で表される疎水性モノマー
[化 3]
C=C
R2
式中、 R2は芳香族基、好ましくはフエ-ル基、 ex -又は β -ナフチル基を表す。 このビュル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。このような置換基とし て、メチル基、ェチル基、フエニル基、メトキシ基などが挙げられる。
この疎水性モノマーとして、スチレン、 4-メチルスチレン、 α -メチルスチレン、 β -メ チルスチレン、スチルベン、ビュルナフタレン等が例示される。
[0010] (3)下記一般式 (ィ匕 4)で表される重合性モノマー
[化 4]
C=C
R3
C=C
式中、 R3はへテロ原子を含んでもよい 2価の炭化水素基、好ましくは 4,4'-(1 ,3-プロ ピレン- 1 ,3-ジォキシメチル)フエ-ル基を表す。
このビュル基炭素には任意に置換基が結合していてもよい。このような置換基とし て、
メチル基、ェチル基、フ ニル基などが挙げられる。
[0011] この重合性モノマーとして下式 (ィ匕 6)で表されるものが好ましく用いられる。
R6及び R7は、それぞれ独立して、— O—、— S—、—NR。—又は— PR9—を表し、 好ましくは— O—又は— NR8—である。式中、 R8は及び R9は、それぞれ独立して、水
素原子、アルキル基又はァリール基又はァシル基、好ましくはァセチル基又はフエ- ル基を表す。このアルキル基としては、炭素数が 1〜3のアルキル基が好ましぐァリ ール基としてはフエ-ル基が好まし!/、。
oは 0〜4の整数、好ましくは 0又は 1を表し、 pは 1〜12の整数、好ましくは 3〜8の 整数、より好ましくは 4〜6の整数表し、 qは 0〜4の整数、好ましくは 0又は 1を表し、 r は 0〜20の整数、好ましくは 1〜2の整数を表す。
この重合性モノマーとして、 1,3-ビス (4-ビュルベンジルォキシ)プロパン、 1,4-ビス (4 -ビュルベンジルォキシ)ブタン又は 1,4-ジビュルベンゼンが例示される。
[0012] これらのモノマーは、合成されたポリマーにおける、配位性モノマー:疎水性モノマ 一:重合性モノマーのモル比(k:l:m)が、 k+1+mに対して、 kが 1〜15%、 1〜3% 、 m力^より大きく 99%以下、好ましくは 1〜5%、 1が残部となるように選択される。
[0013] この共重合反応に用いることができる溶媒は tert-ブチルアルコール、イソプロピリア ルコール、エタノール等のアルコール系溶媒又はトルエン等の炭化水素系溶媒であ るが、良好な結果を得るためには tert-ブチルアルコールの使用が望まし 、。
濃度は 20〜50 wt%で行なうが、できるだけ高濃度で行なうことが望ましい。 重合開始剤はァゾビスイソブチ口-トリル、過酸化べンゾィル、 tert-ブチルヒドロべ ルォキシド、過酸ィ匕水素-鉄 (II)塩又は過酸ィ匕水素-トリェチルアルミニウム等が用い られる。反応温度は 0°C力 溶媒の還流温度の間で選ばれるが、好ましくは 70°C付近 である。
反応時間は反応温度及びモノマーの糸且成により異なるが、 1〜96時間の間で適宜 選択される。
[0014] モノマーとして、 N- 4- [6- (4-ビュルベンジルォキシ)へキシル]ォキシフタロイル- (S)- tert-ロイシン、スチレン及び 1 ,3-ビス (4-ビュルベンジルォキシ)プロパンを使用した場 合、この共重合は、重合時の溶媒'反応温度及び濃度を適宜調整することにより、配 位子となる官能基 (この場合はカルボキシル基)が高分子の内部にも導入可能となる とともに生成する高分子がマイクロゲルに類似した高い運動性を示す。 [Spanka, C; Clapham, B.; Janda, K. D. J. Org. Chem. 2002, 67, 3045-3050.]すなわち、 N- 4- [6- (4-ビュルベンジルォキシ)へキシル]ォキシフタロイル- (S)-tert-ロイシンとスチレンの
比を 5:93とすることにより、高分子内部においてもロジウム錯体の配位子交換反応が 進行するために必要な空間と運動性を確保することができる。また架橋剤として 1,3- ビス (4-ビニルベンジルォキシ)プロパンのような自由度の高い架橋剤を導入すること により、本不溶性高分子は溶媒中高度に膨潤し通常の Merrifield榭脂に代表される 高分子担体と比べ高分子内部への金属錯体の侵入が容易となり、本高分子担体へ の金属錯体の導入率が高くなつて 、る。また架橋剤及び担体上の N-フタロイル- (S)- tert-ロイシン部分に置換した長鎖リンカ一の運動性と自由度の高さに由来する本固 相担持触媒の高度な膨潤能は、本触媒が既存の固相触媒が適用できない低温下で の反応のみならず、頻回の使用に耐え得る物理的磨耗への耐久性を実現する。
[0015] 次に、上記の高分子配位子と触媒活性を有する金属を含有する錯体との配位子交 換により本発明の高分子担持金属錯体触媒が形成される。
この錯体は、下記一般式 (化 5)で表される。
(R4CXO) M'M2
M1と M2は、同じであっても異なってもよぐロジウム、パラジウム、ルテニウム、レニ ゥム、鉄、ニッケル、銅、白金、ビスマス、コバルト、クロム、モリブデン及びタンダステ ンから成る群から選択され、好ましくはロジウム、ルテニウム、クロム、モリブデン、タン ダステン又は銅を表す。
Xは上記の定義のとおりであり、
R4は置換基を有していてもよいアルキル基、ァリール基、ァラルキル基、アルキル ォキシ基又はアルキルアミノ基、好ましくはアルキル基又はアミノアルキル基を表す。
nは M1と M2の原子価によって定まる整数であって、 2〜4の整数を表す。例えば M1 と M2がともにロジウム (II)又はルテニウム (II)又は銅 (II)の場合は n=4となる。
このような錯体として、 Rh (S-PTTL)、 Rh (O CCH )が例示される。
2 4 2 2 3 4
[0016] この配位子交換反応は高分子と錯体の溶液を加熱することで行なう。本反応は平 衡反応であり、一定時間の加熱後未反応のロジウム (Π)錯体と遊離した配位子の溶液 を除き、残った固相担持触媒を溶媒で洗浄する。必要に応じてこのサイクルを数回 繰り返した後、減圧下溶媒を留去する。
本反応で用いられる溶媒はクロ口ベンゼンやトルエン、キシレン等の炭化水素系溶
媒が用いられる力 クロ口ベンゼンの使用が望ましい。
反応は約 100°C力 溶媒の沸点までの範囲の温度で行なう。
反応時間はロジウム (II)錯体の進行の程度で選択されるが、 1-9時間かけて行なう。 通常は 9時間行なった後一度反応溶液を洗浄し、再度ロジウム (Π)錯体の溶液を加え 加熱するサイクルを 2-3回繰り返す。この方法により高分子に含まれるカルボキシル 基の約 50%が金属錯体に配位する。
[0017] 本発明の高分子担持金属錯体触媒は以下の方法によっても調整可能である。
すなわち、錯体と配位性モノマー(リンカ一に結合する配位子)との等モル混合物を 加熱(クロ口ベンゼンやトルエン、キシレン等の高沸点の溶媒中、 110-130°Cで加熱 する)することで配位子交換を行な 、、フ ノール性水酸基に適当な長さの側鎖 (末 端にビュルフエ-ル基を組み込む必要がある力 その置換基と錯体の間は置換基が つ!ヽて 、ても 、なくてもよ!、アルキル基)を導入後、疎水性モノマー (スチレン)と重合 性モノマー(1,3-ビス (4-ビュルベンジルォキシ)プロパン)を共重合させることによって も合成可能である。
この場合、先に示した共重合法の他に、アラビアゴム一食塩の水溶液に錯体—疎 水性モノマー(スチレン)—重合性モノマー(1,3-ビス (4-ビュルベンジルォキシ)プロ パン)のクロ口ベンゼン溶液を懸濁させ激しく撹拌しながら共重合させることも可能で あり、この場合は任意の粒径をもつビーズ状の触媒を調製することも可能である。 この方法ははじめのロジウム (II)錯体を調製する段階にぉ 、ては低収率 (未反応の 可溶性ロジウム錯体 Rh2(S- PTTL は原理的には回収再利用可能である)であるもの の、重合直前まで金属錯体の構造を確認できる点及び原理的には高分子に含まれ る全てのカルボキシル基が金属に配位していることになる(高分子触媒中に遊離の力 ルボキシル基が存在しな!、)。
[0018] その結果、下式 (化 1)で表される高分子担持金属錯体触媒が得られる。
[化 1]
本発明の高分子担持金属錯体触媒は、 C-H挿入反応、シクロプロパン化反応、 X- H挿入反応 (Xはケィ素、酸素、硫黄、窒素原子を表す)、ォキソ -ゥムイリド又はスル ホ -ゥムイリド又はアンモ -ゥムイリドの [2,3]-シグマトロピー転位反応、ォキソユウムィ リド又はスルホ -ゥムイリド又はアンモ-ゥムイリドの [1,2]-転位反応、カルボ-ルイリド 又はチォカルボ-ルイリド又はァゾメチンイリドの 1,3-双極付加環化反応、アルケン やアルキンの水素化反応又はヒドロシリルィヒ反応又はヒドロホルミルィヒ反応又はシリ ルホルミル化反応、 a , β -不飽和カルボニル化合物のヒドロシリル化反応、シリルエノ ールエーテル若しくはシリルケテンァセタールとアルデヒドの向山アルドール反応、力 ルポ二ルェン反応、又は Diels-Alder反応などの反応に有効である。
これらの反応をジクロロメタン、 1,2-ジクロロェタンやクロ口ホルム等のハロゲン化炭 化水素溶媒、トルエン、ベンゼン、ベンゾトリフルオリド、キシレン等の芳香族炭化水 素溶媒、エーテル、テトラヒドロフラン、メチル tert-ブチルエーテル、メチルシクロペン チルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸ェチル、酢酸メチル等のエステル系溶媒、 へキサン、ペンタン等の炭化水素系溶媒、エタノールやメタノール等のアルコール系 溶媒、ァセトニトリルやプロピオ-トリル等の-トリル系溶媒、ニトロメタンや-トロェタン 等の-トロアルカン系溶媒中で行なうことができる。
本触媒を用いることができる温度範囲は- 78〜130°Cであり、行なう反応の種類と基 質'反応剤の活性によって最適温度を選択できる。
本触媒を用いる反応は、反応完結後反応混合物からろ過により不溶性の触媒を除
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6L£Z90/L00Zdr/lDd 600£難 00Z OAV
(EI) calcd for C H NO : 367.1419 found 367.1416. Anal. Calcd for C H NO : C,
21 21 5 21 21 5
68.65; H, 5.76; N, 3.81. Found: C, 68.66; H, 5.76; N, 3.83.
生成物の鏡像体過剰率 (ee)は、ジァゾメタン処理してメチルエステルに導 、た後キラ ルカラムを用いた HPLC分析により〉 99% eeと決定した。分析条件: column: Daicel Chi ralcel OD-H; eluent: 19: 1 hexane/ -propanol; flow: 1.0 mL/min; detection: 254 n m; retention time: 13.1 min (minor enantiomer R), 20.5 min (major enantiomer S). [ィ匕 8]
N- 4-ベンジルォキシフタロイル- (S)- tert-ロイシン (1.38 g, 3.75 mmol)のジクロ口メタ ン溶液 (10 mL)を- 78°Cに冷却し、イソブテン (6 mL)、リン酸 (0.2 mL, 500 mgの五酸 化二リンを 1.1 mLの 85%リン酸に加えて用時調製した)のジクロロメタン溶液(1 mL)及 び BF - OEt (0.3 mL)を順次加え、 2時間撹拌した。その後反応溶液を 4°Cに昇温し、
3 2
さらに 24時間撹拌した。反応溶液に氷片 (10 g)と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (10 mL)を加えて 30分撹拌した後酢酸ェチル (50 mL)で抽出した。有機層を水 (20 mL) 及び飽和食塩水 (20 mL)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮して粗 生成物(1.60 g)を得た。カラムクロマトグラフィー精製 (シリカゲル 50 g, 10:1 n-hexan e/EtOAc)により N- 4-ベンジルォキシフタロイル- (S)- tert-ロイシン tert-ブチルエステ ル(1.11 g, 2.63 mmol, 70%,〉99%ee)を無色アモルファスとして得た。生成物の分析 データを以下に記す。
Tし C R 0.43 (5:1 hexane/EtOAc); [ α ] —7.8。 (c 0.78, EtOH); IR (KBr) v 3474, 297 f D
3, 1775, 1717, 1618, 1487, 1373, 1284 cm"1; JH NMR (270 MHz, CDCl ) δ 1.17 (s,
3
9H, C(CH ) ), 1.40 (s, 9H, C(CH ) ), 4.55 (s, 1H, CH(t— Bu)CO t- Bu), 5.19 (s, 2H, 一 3 3 一 3 3 一 2
OCH Ar), 7.23 (m, 1H, ArH), 7.42 (m, 6 H, ArH) 7.76 (m, 1H, ArH); 13C NMR (67.
2
8 MHz, CDCl ) δ ;27.9 (CH ), 28.1 (CH ), 35.6 (C), 60.7 (CH), 70.7 (CH ), 81.9 (C)
3 3 3 2
, 108.8 (CH), 120.7 (CH), 123.9 (C), 125.1 (CH), 127.5 (CH), 128.5 (CH), 128.8 (
CH), 134.3 (C), 135.4 (C), 163.8 (C), 166.9 (C=0), 167.8 (C=0), 167.9 (C=0); LR MS (EI) m/z 423 (M+); HRMS (EI) calcd for C H NO : 423.2045 found 423.2050; A
25 29 5
nal. Calcd for C H NO : C, 70.90; H, 6.90; N, 3.31. Found: C, 70.83; H, 6.91; N
25 29 5
3.21.
生成物の鏡像体過剰率 (ee)は、キラルカラムを用いた HPLC分析により〉 99% eeと決定 しァこ。分析条件: column: Daicel Chiralcel OD— H; eluent: 19:丄 hexane/2— propanol; flow: 1.0 mL/min; detection: 254 nm; retention time: 11.8 min (minor enantiomer R) , 18.8 min (major enantiomer S).
[0022] [化 9]
N- 4-ベンジルォキシフタロイル- (S)-tert-ロイシン tert-ブチルエステル(1.27 g, 3.0 mmol)の THF溶液 (30 mL)に 10% Pd/C(159 mg)を加え、水素ガス雰囲気下室温で 6 時間撹拌した。反応混合物をろ過し残渣を THF(10 mL)で洗浄した。ろ液を濃縮後、 残渣(1.40 g)のカラムクロマトグラフィー精製(シリカゲル, 40 g, 3:1 n-hexane/EtOAc )により N- 4-ヒドロキシフタロイル- (S)- tert-ロイシン tert-ブチルエステル(960 mg, 2.8 8 mmol, 96%)を無色アモルファスとして得た。生成物の分析データを以下に記す。 TLC R 0.55(1:1 hexane/AcOEt); [ α ] +1.1° (c 0.75, CDC1 ); IR (KBr) v 3387, 297 f D 3
5, 1775, 1717, 1615, 1468, 1370, 1261 cm"1; JH NMR (270 MHz, CDC1 ) δ 1.17 (s,
3
9H, C(CH ) ), 1.40 (s, 9H, C(CH ) ), 4,57 (s, 1H, CH(t— Bu)CO t— Bu), 7.08 (m, 1H 一 3 3 一 3 3 一 2
, Ar), 7.25 (m, 1 H, Ar), 7.67 (m, 1 H, Ar); 13C NMR (100.4 MHz, CDC1 ) δ ;28.0 (C
3
H ), 28.4 (CH ), 35.7 (C), 61.2 (CH), 83.0 (C), 110.7 (CH), 120.7 (CH), 122.8 (C),
3 3
125.5 (CH), 134.2 (C), 162.0 (C), 167.7 (C), 168.1 (C); LRMS (EI) m/z 334 (MH+); Anal. Calcd for C H NO : C, 64.85; H, 6.95; N, 4.20. Found: C, 64.94; H, 7.01; N
18 23 5
, 4.22.
[0023] [化 10]
水素化ナトリウム(50% in oil, 0.8 g, 16.7 mmol)の DMF (5 mL)懸濁液を 0°Cに冷却 し、 1,6-へキサメチレングリコール(3.55 g, 30 mmol)の DMF溶液(5 mL)を滴下し 15 分間撹拌した。クロロメチルスチレン(1.53 g, 10 mmol)の DMF溶液(1 mL)を 5分以上 かけて滴下した後、反応溶液を室温に昇温して 3時間撹拌した。反応溶液を再度氷 浴で冷却し、水(15 mL)をカ卩ぇ 5分間撹拌酢酸ェチル (2 X 40 ml)で抽出した。あわ せた有機層を水 (20 mL)、飽和食塩水(15 mL)で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウム で乾燥し、ろ過、濃縮して粗生成物 (4.2 g)を得た。カラムクロマトグラフィー精製 (シリ 力ゲル 70 g, 9:1→1:1 hexane/EtOAc)して 6- (4-ビュルベンジルォキシ)へキサノール (1.64 g, 7.0 mmol, 70%)を無色油状物質として得た。生成物の分析データを以下に 記す。
TLC R 0.44 (1:1 hexane/EtOAc); IR (film) v 3403, 2935, 2858, 1630, 1512, 1406, 1 f
364 cm"1; JH NMR (270 MHz, CDC1 ) δ 1.22 (br, IH, OH), 1.38 (m, 4H,— CH -), 1.
3 2
61 (m, 4H,— CH -) 3.46 (t, J=5.94 Hz, 2H, OCH CH ), 3.63 (m, 2H, CH CH OH),
2 一 2 2 2 一 2
4.49 (s, 2H, ArCH O), 5.23 (d, J = 11.2 Hz, IH, ArCH=CH ), 5.74 (d, J = 17.8 Hz,
一 2 ― 2
IH, ArCH=CH ), 6.71 (dd, J = 11.2 Hz, 17.8 Hz, IH, ArCH=CH ), 7.29 (m, 2H, Ar
2 2
H), 7.39 (m, 2H, ArH); 13C NMR (100.4 MHz, CDC1 ) δ 25.6 (CH ), 26.0 (CH ), 29.
3 2 2
7 (CH ), 32.7 (CH ), 62.7 (CH ), 70.2 (CH ), 72.5 (CH ), 113.5 (CH ), 126.0 (CH),
2 2 2 2 2 2
127.7 (CH), 136.4 (CH), 136.7 (C), 138.1 (C); LRMS (EI) m/z 234 (M+); HRMS (EI) m/z calcd for C H O: 234.1620 found 234.1618. Anal. Calcd for C H O: C, 76.
15 22 2 15 22 2
88; H, 9.46. Found: C, 76.45; H, 9.42.
[化 11]
氷冷下、塩化 p-トルエンスルホ-ル(1.43 g, 7.5 mmol)にピリジン(6 mL)を加え溶
解させた後、 6-(4-ビュルベンジルォキシ)へキサノール(1.17 g, 5.0 mmol)を加え、 室温にて 3時間撹拌した。反応溶液を氷水(20 mL)にあけ 30分間激しく撹拌した後 酢酸ェチル (50 mL)で抽出した。有機層を水(20 mL)、飽和食塩水(20 mL)で順次 洗浄した後無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮して粗生成物(1.60 g)を得た。 カラムクロマトグラフィー精製(シリカゲル 70 g, 4:1 hexane/AcOEt)により、 p-トルエン スルホン酸 6- (4-ビュルベンジルォキシ)へキシル(1.38 g, 3.5 mmol, 71%)を油状物 質として得た。生成物の分析データを以下に記す。
TLC R = 0.43 (3:1 hexane/AcOEt); IR (film) v 2938, 2861, 1630, 1599, 1512, 1402, f
1360, 1177 cm"1; JH NMR (270 MHz, CDCl ) δ 1.29-1.34 (m, 4H, - CH -), 1.53-1.
3 一 2
64 (m, 4H, - CH -), 2.44 (s, 3H, ArCH ), 3.41 (t, J = 6.40 Hz, 2H, OCH CH ), 4.01
2 3 2 2
(t, J = 6.40 Hz, 2H, ArCH O), 4.46 (s, 2H, CH CH OTs), 5.22 (d, J = 10.9 Hz, 1
2 2 2
H, ArCH=C一H ), 5.73 (d, J=16.9 Hz, 1 H, ArCH=CH ), 6.70 (dd, J = 10.9 Hz, 16.9
2 一 2
Hz, 1 H, ArC一H=CH ), 7.20 (m, 2H, ArH), 7.34 (m, 4H, ArH), 7.78 (m, 2H, ArH); 13
2
C NMR (100.4 MHz, CDCl ) δ 25.2 (CH ), 25.6 (CH ), 28.8 (CH ), 21.5 (CH ), 29.
3 2 2 2 3
4 (CH ), 70.0 (CH ), 70.5 (CH ), 72.5 (CH ), 113.6 (CH ), 126.1 (CH), 127.7 (CH),
2 2 2 2 2
129.7 (CH), 133.1 (C), 136.4 (CH), 136.7 (C), 138.1 (C), 144.5 (C).; MS (EI) m/z 3 88 (M^; HRMS (EI) m/z calcd for C H SO : 388.1708, found 388.1708. Anal. Calc
22 28 4
d for C H SO: C, 68.01; H, 7.26; S, 8.25. Found: C, 67.16; H, 7.20; S, 8.19.
22 28 4
[化 12]
N- 4-ヒドロキシフタロイル -(S)-tert-ロイシン tert-ブチルエステル(900 mg, 2.7 mmo 1)の DMF溶液(5 mL)に CO (746 mg, 5.4 mmol)を加え室温で 5分間撹拌後(反
2 3
応液は徐々に黄色に変化)、トルエンスルホン酸 6-(4-ビニルベンジルォキシ)へキシ ル(857 mg, 2.5 mmol)の DMF溶液(1 mL)をカ卩え、 50°Cで 3時間撹拌した。反応溶
液に水(20 mL)を加え、酢酸ェチル(3 X 50 mL)で抽出後、あわせた有機層を飽和 食塩水(20 mL)で洗浄して無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、濃縮後、残渣(1.70 g)のカラムクロマトグラフィー精製(シリカゲル 55 g, 5:1 n-hexane/Et O)により N- 4- [
2
6-(4-ビュルベンジルォキシ)へキシル]ォキシフタロイル- (S)-tert-ロイシン tert-ブチ ルエステル(1.07 g, 2.0 mmol, 80%)を無色油状物質として得た。生成物の分析デー タを以下に記す。
Tし C R 0.43 (5:1 hexane/EtOAc); [ α ] +1.7。 (c 1.10, CHC1 ); IR (film) v 3474, 293 f D 3
8, 2865, 1775, 1744, 1717, 1618, 1489, 1373 cm"1; JH NMR (270 MHz, CDC1 ) δ 1.
3
17 (s, 9H, C(CH ) ), 1.40 (s, 9H, C(CH ) ), 1.48 (m, 4H,— CH -), 1.66 (m, 2H,— CH
一 3 3 ― 3 3 一 2 一
-), 1.81 (m, 2H,— CH -), 3.48 (t, J = 6.6 Hz, 2H, OCH CH ), 4.06 (t, J = 6.6 Hz, 2
2 2 2 2
H, OCH CH ), 4.49 (s, 2H, OCH Ar), 4.55 (s, 1H, CH(t- Bu)CO t- Bu), 5.23 (d, J =
2 2 一 2 2
11.2 Hz, 1H, ArCH=C一H ), 5.74 (d, J = 17.8 Hz, 1H, ArCH=CH ), 6.71 (dd, J = 11.
2 一 2
2 Hz, 17.8 Hz, ArC一H=CH ), 7.15 (m, 1H, ArH), 7.24 (m, 3 H, ArH), 7.39 (m, 2 H,
2
ArH) 7.74 (m, 1 H, ArH); 13C NMR (67.8 MHz.CDCl ) δ 25.8(CH ), 25.9 (CH ), 27.
3 2 2
9 (CH ), 28.0 (CH ), 28.9 (CH ), 29.7 (CH ), 35.6 (C), 60.8 (CH), 68.8 (CH ), 70.1
3 3 2 2 2
(CH ), 72.6 (CH ), 81.8 (C), 108.2 (CH), 113.6 (CH ), 120.3 (CH), 123.3 (C), 125.0
2 2 2
(CH), 126.1 (CH), 127.7 (CH), 134.2 (C), 136.4 (CH), 136.7 (C), 138.1 (C), 164.1 (C), 166.7 (C=0), 167.7 (C=0), 167.8 (C=0); LRMS (EI) m/z 549 (M+); HRMS (EI) calcd for C H NO : 549.3090, found 549.3097; Anal. Calcd for C H NO : C, 72.1
33 43 6 33 43 6
0; H, 7.88; N 2.55. Found: C, 70.74; H, 7.89; N, 2.49.
生成物の鏡像体過剰率 (ee)は、キラルカラムを用いた HPLC分析により〉 99% eeと決定 した。分析条件: column: Daicel Chiraicel OJ-H; eluent: 19: 1 hexane/ 2-propanol; f low: 1.0 mL/min; detection: 254 nm; retention time: 9.7 min (minor enantiomer R),
16.3 min (major enantiomer S).
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D) 9·εΐΐ '(HD) S'80I '(HD) 9'ZL '(HD) VOL HD) 6·89 '(HD) 6'6S '(D) -SS ' H
D) 9"62 '( つ) 6"82 '( つ) 0"82 '( HD) 6"S2 ' Hつ) 9 ( IDOD 'z 8"Z9) 醒 つ εΐ '(HA 'Ηΐ 'ω) ^ " (HA Ή2 'ω) 8S"Z '(H Ήε 'ω) βΖΊ '( 'Ηΐ 'ω) ^Γ
HD=HD^V 'ΖΗ 3"Ζΐ '^Η 6 ΐ = f 'ΡΡ) 0Γ9 '( =H V 'Ηΐ '^Η 3"Ζΐ = f 'Ρ)
'( H =H V 'Ηΐ 'ΖΗ 6 ΐ = f 'Ρ) £Ζ' H OD^Q-i)HD 'Ηΐ 's) 69 '( HDO Ή
Ζ 's) 6 · '( っ Ηつ〇 Ή2 'ΖΗ ·9 = [ SO' '( っ つ〇 'ΗΖ 'ΖΗ V9 = f Z S
'(-¾- Ή2 'ω) ZS'l '(- HD- 'Η2 W\ '(- HD- 'Hf 'ω) 9VI '( ( H )つ 'Η6 <s
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74%
水素化ナトリウム(50% in oil, 528 mg, 11 mmol)の DMF (5 mL)懸濁液を 0°Cに冷却 し、 1,3-プロパンジオール(381 mg, 5.0 mmol)の DMF溶液(3 mL)を滴下し 15分間撹 拌した。クロロメチルスチレン(1.53 g, 10 mmol)の DMF溶液(1 mL)を 5分以上かけて 滴下した後、反応溶液を室温に昇温して 3時間撹拌した。反応溶液を再度氷浴で冷 却し、水(15 mL)をカ卩ぇ 5分間撹拌酢酸ェチル (2 X 40 ml)で抽出した。あわせた有機 層を水(20 mL)、飽和食塩水(15 mL)で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、 ろ過、濃縮して粗生成物(1.6 g)を得た。カラムクロマトグラフィー精製 (シリカゲル 70 g, 9:1→1:1 hexane/EtOAc)により 1,3-ビス (4-ビュルベンジルォキシ)プロパン(1.14 g, 3.7 mmol, 74%)を無色油状物質として得た。生成物の分析データを以下に記す。
TLC R = 0.40 (19:1 hexane/EtOAc); IR (film) v 2859, 1630, 1510, 1404, 1364 cm"1; f
JH NMR (270 MHz, CDC1 ) δ 1.91 (t, J = 6.2 Hz, 2H, CH CH O), 3.57 (t, J = 6.2
3 一 2 2
Hz, 4H, CH CH O), 4.58 (s, 4H, ArCH O), 5.23 (d, J = 10.7 Hz, 2 H, ArCH=CH ),
2 一 2 ― 2 ― 2
5.73 (d, J = 17.7 Hz, 2 H, ArCH=CH ), 6.70 (dd, J = 10.7 Hz, 17.7 Hz, 2 H, ArCH
2
=CH ), 7.26 (m, 4H, ArH), 7.37 (m, 4H, ArH); 13C NMR (67.8 MHz, CDC1 ) δ 30.2
2 3
(CH ), 67.3 (CH ), 72.7 (CH ), 113.6 (CH ), 126.1 (CH), 127.8 (CH), 136.5 (CH), 1
2 2 2 2
36.8 (C), 138.1 (C); Anal. Calcd for C H O: C, 81.78; H, 7.84. Found: C, 81.61;
21 24 2
H, 7.94.
次に、上記で得たモノマーを用いて高分子配位子を合成し、触媒活性を有する金 属を含有する錯体との配位子交換により本発明の高分子担持金属錯体触媒を合成 する。その反応を図 1に示す。
N- 4- [6- (4-ビュルベンジルォキシ)へキシル]ォキシフタロイル- (S)-tert-ロイシン(4 9.4 mg, 0.1 mmol)、スチレン(194 mg, 1.86 mmol) , 1,3-ビス (4-ビュルべンジルォキ シ)プロパン(12.3 mg, 0.04 mmol)及び AIBN (3.2 mg, 0.02 mmmol)の tert-ブチルァ ルコール溶液(1 mL)をアルゴン雰囲気下、 3回の freeze-pump-thaw操作で脱気した 後、 70°Cで 60時間撹拌した。反応溶液を濃縮後、粗生成物(260 mg)をジクロロメタン
(5 mL)及び酢酸ェチル (3 X 5mL)で順次洗浄し、残渣を減圧乾燥し高分子配位子(
123 mg, 48%)を白色粉末として得た。生成物の分析データを以下に記す。
Anal. Calcd for C H N O : C, 86.89; H, 7.60; N, 0.64. Found: C, 86.99; H, 7.6
950 990 6 40
7; N, 0.69.
[0029] 高分子配位子(51.8 mg)に Rh (S- PTTL) (31 mg, 22.4 μ mol)のクロ口ベンゼン溶
2 4
液(1.0 mL)を加え 9時間加熱還流した。上清をデカンテーシヨンし、緑色の残查をメ タノール-ジクロロメタン(1:1, 3 X 2 mL)で洗浄後、減圧乾燥した。このものに再度 Rh
2
(S-PTTL) (31 mg, 22.4 μ mol)のクロ口ベンゼン溶液(1.0 mL)を加え 9時間加熱還
4
流した。上清のデカンテーシヨン、残查の洗浄(1:1メタノール Zジクロロメタン、 3 X 2 mL)、減圧乾燥により緑色粉体の固相担持ロジウム (Π)錯体 (66 mg)を得た。生成物 の分析データを以下に記す。
Anal. Calcd for C H N O Rh : C, 79.97; H, 7.08; N, 1.27; Rh, 3.74. Found: C,
1100 1161 15 82 6
79.61; H, 7.02; N, 1.28; Rh, 3.54.この結果より、理論値の 50%の二核ロジウム (II)錯 体が高分子配位子に取り込まれたことになる。
実施例 2
[0030] 以下、別法による高分子担持金属錯体触媒の調製法を示す。
[化 15]
N- 4-ベンジルォキシフタロイル- (S)- tert-ロイシン(1.10 g, 3.0 mmol)の THF (30 m L)溶液に 10% Pd/C (159 mg)を加え、水素ガス雰囲気下室温で 6時間撹拌した。反 応混合物をろ過し、残查を THF (10 ml)で洗浄した。あわせたろ液を濃縮して得られ る粗生成物 (810 mg)をへキサン-酢酸ェチル (3:1, 5 mL)力 再結晶し N-4-ヒドロキシ フタロイル- (S)- tert-ロイシン (665 mg, 2.40 mmol, 80%)を無色鱗片状晶として得た。 N- 4-ヒドロキシフタロイル -(S)-tert-ロイシンの機器データを以下に記す。
TLC R 0.41 (9:1 CH CI /MeOH); 1H NMR (400 MHz, CD OD) δ 1.13 (s, 9H, C(C
H ) ), 4,53 (s, IH, CH(t-Bu)CO H), 7.11 (dd, J=2.2 Hz, J=8.2 Hz, IH, Ar), 7.18 (d, 一 3 3 2
J=2.2 Hz, 1 H, Ar), 7.69 (d, dd, J=8.2 Hz, IH, Ar); 13C NMR (100.4 MHz, CD OD)
3 δ ; 28.4 (CH ), 36.3 (C), 60.6 (CH) 110.9 (CH), 121.7 (CH), 123.2 (C), 126.3 (C
3
H), 135.5 (C), 165.0 (C), 169.4(C), 169.4(C), 170.9 (C); LRMS (FAB) m/z 278 (M+ H); HRMS (FAB) calcd for C H NO : 278.1028 found 278.1029. Anal. Calcd for C
14 16 5 1
H NO : C 60.64, H 5.45, N 5.05, found C 60.79, H 5.51, N 5.03.
4 15 5
[化 16]
アルゴン雰囲気下、 Rh (S-PTTL) (568 mg, 0.4 mmol)と 4-ヒドロキシフタロイル _(S)-t
2 4
ert-ロイシン (111 mg, 0.4 mmol)にクロ口ベンゼン (6 mL)をカ卩え、 1.5時間加熱還流し た。放冷後反応溶液を酢酸ェチル (10 mL)で希釈し飽和重曹水 (2 X 10 mL)、水 (10 m L)次いで飽和食塩水 (10 mL)で洗浄した後無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、濃 縮して得られた緑色の粗生成物 (581 mg)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (silica g el 40 g, 4:1:0.01 = toluene:AcOEt:Et N)で精製し緑色固体を (178 mg, 31%)。この固
3
体を酢酸ェチル (0.5 mL)に熱時溶解'ろ過後、ろ液にへキサン(1.5mL)をカ卩ぇ放置 す と、 dirhomum(II) tris[N— phtaloyl— (S)— tert— leucinate][N— 4— hydroxyphthaloyl— (¾ノ— tert— leucinate] 'bis (ethyl acetateノ adductを緑色金十状状晶として得/こ (150 mg, 0.10 m mol, 26%)。
生成物の機器データを以下に記す。
TLC R 0.51 (1:2 hexane/AcOEt); mp >280°C; JH NMR (270 MHz, CDCl ) δ 1.09 ( f 3 s, 9H, C(CH ) ), 1.11 (br, 27H, C(CH ) ), 1.26 (t, J =7.26 Hz, 6H, CH CH ), 2.05 (
3 3 3 3 3 2 s, 6H, CH ), 4.12 (q J =7.26 Hz, 4H, CH CH ), 4.67 (s, IH, CH(t— Bu)CO ), 4.80 (b
)SXn '('HD) -ZL '('HD) Ο Ζ '('HD) 8·εε '('HD) UZZ '('HD) 9'6S '('HD) 0"82 '('H D) V Z 9 (OQD 'ΖΗ ·00ΐ) H N DgI '(JV 'H2 'ω) 6S"Z '( 'H2 'ω) 82"Z '(HD H V Ή ΐ 'ZH S'ZI 'ZH 6 T=f 'ΡΡ) ΐΖ·9 '(HDHD^V Ή ΐ '^Η S"ZT=f 'Ρ) Z'S H つ H V Ή ΐ 'ZH 6 T=f 'P) £Z' -N HDO 's) 6Vf '( HD HD^Q HD HDO 'Hf 'ω
) 8 ·ε— 8ε·ε '(-('HD)- 'ΗΖ ΐ6·ΐ— ΐ8·ΐ '(-('HD)- 'ΗΖ '^) S9'i— IS'I '(-('HD)- '
'ω) W\-LZ'\ 9 (OQD <ZH OLZ) H N HT i.(W /^mx^^ χ:οΐ) SS'O = H H丄
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6.CZ90/.00Zdf/X3d 6θοε難 οοζ OAV
CH ), 126.0 (CH), 127.6 (CH), 136.4 (CH), 136.7 (C), 138.0 (C); MS (EI) m/z 296 (
2
M+); HRMS (EI) m/z calcd for C H BrO: 296.0775 found 296.0778. Anal. Calcd for
15 21
C H BrO: C 60.61, H 7.12, Br 26.88.; found C 60.79, H 7.22, S 26.83.
15 21
[化 18]
dirhodium(II)tris[N- phtaloyト (S)- tert- leucinate][N- 4- hydroxyphthaloyト (S)- tert- le ucinate] -bis(ethyl acetate)adduct (57.6 mg, 40 mmol)の DMF溶液 (0.5 mL)に Cs CO
2 3
(28.7 mg, 88 mmol)をカ卩ぇ 5分間撹拌した (反応液は徐々に青緑色力 黄緑色に変化 )o 6- (4-ビュルベンジルォキシ)ブロモへキサン(14.3 mg, 48 mmol)の DMF溶液(0.5 mL)をカ卩ぇ室温で 10時間撹拌後、反応溶液に水 (2 mL)を加え、酢酸ェチル (2 X 5 mL)で抽出した。あわせた有機層を飽和食塩水 (2 mL)で洗浄後、無水硫酸ナトリウム で乾燥した。ろ過、濃縮して得られた残查 (67 mg)をシリカゲルカラムクロマトグラフィ 一精製 (silica gel 1 g, 3:1 n- hexane/AcOEt)すると、 dirhodium(II)tris[N- phtaloyト (S)- tert-leucinate][N-4-[6-(4-vinylbenzyloxy)hexyloxy]-phthaloyl-(S)-tert-leucinate] 'b is(ethyl acetate)adduct (60.7 mg, 36.8 mmol, 92%)を緑色鱗片状晶として得た。
生成物の機器データを以下に記す。
TLC R 0.54 (1:1 hexane/EtOAc); JH NMR (270 MHz, CDC1 ) δ 1.02 (br, 36H, C( f 3
CH ) ), 1.18 (t, J=7.26 Hz, 6H, CH CH ), 1.21, (m, 4H), 1.57 (m, 2H), 1.76 (m, 2H)
3 3 3 2
, 1.97 (s, 6H, CH ), 3.40 (m, 2H), 4.00 (m, 2H), 4.12 (q J=7.26 Hz, 4H, CH CH ), 4
― 3 3 2
.40 (s, 2H), 4.64 (s, IH, CH(t— Bu)CO ), 4.70 (br, 3H, CH(t— Bu)CO ), 5.16 (d, J=10
2 2
.9 Hz, 1 H, ArCHCH ), 5.67 (d, J=16.9 Hz, 1 H, ArCHCH ), 6.71 (dd, J=10.9 Hz, 1
2 2
6.9 Hz, 1 H, ArCHCH ), 7.01 (m, IH, Ar), 7.12 (m, IH, Ar), 7.56-7.76 (m, 13 H, A
2
r); LRMS (FAB) m/z 1478 (M+); HRMS (FAB) calcd for C H N O Rh : 1478.3265 f
ound 1478.3258.
[0034] スチレン(32.3 mg, 0.31 mmol)、 dirhodium(II)tris[N— phtaloy卜 (S)— tert— leucinate] [N— 4- [6- (4- vinylbenzyloxy)hexyloxy]- phthaloyl- (S)- tert- leucinate] · bis(ethyl acetate)ad duct (2.1 mg, 6.7 mmol)、 AIBN(0.54 mg, 3.2 mmmol)の tert—ブチルアルコール (93 m g)溶液をアルゴン雰囲気下、 3回の freeze-pump-thaw操作で脱気し、 75°Cで 10時間 撹拌した。溶媒留去して得た残查 (55.9 mg)をグラスフィルター上でジクロロメタン (2 m し)、酢酸ェチル (3 X 1 mL)で順次洗浄後、減圧乾燥して高分子配位子 (54.6 mg, 88%) を緑色粉体として得た。この反応を図 2に示す。
生成物の機器データは以下の通りである。
Anal. Calcd for C H N O Rh - lOAcOEt: C, 76.34; H, 6.80; N, 1.51; Rh, 5.5
1141 1174 20 94 10
4. anal; C, 76.80; H, 7.05; N, 1.50; Rh, 4.99.
実施例 3
[0035] 実施例 1で得た高分子担持金属錯体触媒を用いて、分子内不斉 C-H挿入反応を 行った。不溶性ロジウム (II)触媒にトルエンを加え膨潤させた後— 78°Cに冷却し、反 応基質である 2-ジァゾ -(6-フエ-ル)へキサン酸メチルのトルエン溶液を加えると分子 内 C-H挿入反応が進行した。反応完結後上清をデカンテーシヨンで回収後濃縮する と環化生成物を得ることができる。残渣は酢酸ェチルなどで洗浄後、減圧乾燥するこ とで再度の利用が可能になる。
[0036] その結果を下表に示す。
[表 1]
Enantioselective C-H Insertion of α-Diazoester Catalyzed by @-S-TLRh
2(S-PTTL)
;
aAdv. Synth. Catal. 2005, 347, 1483. 1 mol % of Rh2(S-PTTL)4 was used
ただし、
本発明に係るロジウム触媒を用いるこの反応は、 -78°Cという固相担持型遷移金属 錯体では前例のない低温下で不斉反応を実現し、反応の化学選択性、ジァステレオ 選択性及びェナンチォ選択性ともに母型錯体である均一系不斉触媒 Rh (S-PTTL)
2 4 を用いた場合と同等の結果を得ることができる。また、この触媒は水、エタノール、酢 酸ェチル、アセトン、エーテル、へキサン、トルエン、ジクロロメタン等に不溶であるた め触媒の回収や反応生成物の精製が容易に行なえる。そして、回収した触媒はその 効率を損なうこと無く再利用が可能である。例えば上記反応式 (化 7、 R1 水素原子
、 R2=メチル基)では収率 85%、 C-H挿入/アルケン生成に係る化学選択性は〉 99:1 、不斉収率 94%である。この反応後、触媒の回収 ·再利用を繰り返したところ、 20回の 連続した再利用での収率 83%、 C-H挿入 Zアルケン生成に係る化学選択性は〉 99:1、 不斉収率 94%と収率、選択性にほとんど変化が見られな力つた。以上のように本発明 に係るロジウム (II)触媒は、 C-H挿入反応等の不斉カルベン反応の極めて有用な触 媒といえる。
実施例 4
[0038] 実施例 1で作成したロジウム触媒を用いて、分子内不斉 C-H挿入反応を行った。不 溶性ロジウム (II)触媒にトルエンを加え膨潤させた後— 60°Cに冷却し、反応基質であ る 2-(2-ベンジルォキシフエ-ル)- 2-ジァゾ酢酸メチルのトルエン溶液をカ卩えると分子 内 C-H挿入反応が進行した。反応完結後上清をデカンテーシヨンで回収後濃縮する と環化生成物を得ることができる。残渣は酢酸ェチルなどで洗浄後、減圧乾燥するこ とで再度の利用が可能になる。
[0039] その結果を下表に示す。
[表 2]
Enantioselective C-H Insertion of Aryldiazoacetate Catalyzed by (P j-S-TLRh
2(S-PTTL)
3
temp time yield
entry Rh(H) catalyst cycle [°c] [ ] [%]
1a Rh2(S-PTTL)4 - -78 1 86 94
2a Rh2(S-PTTL)4 - -60 0.5 87 90
3 @~S"TLRh2(S-PTTL)3 1 -60 6 82 89
4 (p)-S-TLRh2(S-PTTL)3 2 -60 6 85 91
5 ( )-S-TLRh2(S-PTTL)3 5 -60 6 83 90
6 -S-TLR 2(S-PTTL)3 10 -60 6 82 90
7 (p)-S-TLR
2(S-PTTL)
3 15 -60 6 78 90
Org. Lett. 2002, 4, 3887. 1 mol % of h2(S-PTTL)4 wi as used 本発明に係るロジウム触媒を用いるこの反応についても、— 60°Cと!、う低温下にお ける不斉反応を実現する。反応の化学選択性、ジァステレオ選択性及びェナンチォ
選択性についても母型錯体である均一系不斉触媒 Rh (S-PTTL)を用いた場合と同
2 4
等の結果を得ることができる。本発明に係るロジウム触媒は本反応系につ 、ても 15回 の連続した再利用での収率、位置及びジァステレオ選択性及び不斉収率の低下は 認められな力つた。以上のように本発明に係るロジウム (II)触媒は、多様な構造をもつ 基質に対しても極めて有用な触媒といえる。
実施例 5
[化 19]
固相担持ロジウム (II)錯体 (28.6 mg)及びトルエン(1.0 mL)を入れた反応用試験管 を- 78°Cに冷却し、 2-ジァゾ -(6-フエ-ル)へキサン酸メチル(93.0 mg, 0.40 mmol)の トルエン溶液(1.0 mL)をカ卩え、その温度で 4時間撹拌した。上清をデカンテーシヨン 後、残查をトルエン(2 X 2 mL)、酢酸ェチル(2 mL)及びトルエン(2 mL)で順次洗浄 した。あわせた上清を濃縮後、残查(90 mg)をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 6 g、 15:1 n-hexane/EtOAc)精製し (1S,2R)- 2-フエ-ルシクロペンタンカルボン酸メチル (69.0 mg, 0.34 mmol, 85%)を無色油状物質として得た。混合物中の (1S,2R)- 2-フエ -ルシクロペンタンカルボン酸メチルの光学純度は、 HPLC分析により 94% eeであるこ とが分力つた。回収した固相担持ロジウム (II)錯体は、減圧乾燥後同様の反応を繰り isし? Tつた。
(1S,2R)- 2-フエ-ルシクロペンタンカルボン酸メチルの分析データを以下に記す。
TLC R 0.39 (5:1 hexane/EtOAc); IR (neat) v 1732 (C=0), 1200, 1171, 700 cm"1; 1 f
H NMR (400 MHz, CDC1 ) δ 1.70 (m, 1H, CH ), 1.95—2.15 (m, 5H, CH ), 3.16 (dd
3 一 2 一 2 d, J = 6.2, 9.0, 9.0 Hz, 1H, C2-H), 3.22 (s, 3H, CO CH ), 3.41 (ddd, J = 7.1, 9.0,
2 —3
9.0 Hz, 1H, Cl-H), 7.15-7.28 (m, 5H, ArH); 13C NMR (100 MHz, CDC1 ) δ 24.8 (
3
CH ), 28.6 (CH ), 31.2 (CH ), 49.2 (CH), 49.8 (CH), 50.9 (CH ), 126.3 (CH), 127.8
2 2 2 3
(CH), 127.9 (CH), 141.5 (C), 174.9 (C=0); LRMS (EI) m/z 204 (M+); HRMS (EI) ca led for C H O (M 204.1150; found 204.1151; Anal. Calcd for C H O: C, 76.44
; H, 7.90. Found: C, 76.33; H, 7.98.
鏡像異性体過剰率 (ee)はキラルカラムを用いた HPLC分析により 94%と決定した。分析 条件: column Daicel Cniralcel OJ-H followed Dy Daicelし hiralpak A¾-H; eluent: 10 0:1 hexane/i-PrOH; 1.0 mL/min; detection: 254 nm; retention time: 12.9 min for (1 R,2S) enantiomer (minor), 14.7 min for (1S,2R) enantiomer (major).
実施例 6
固相担持ロジウム (II)錯体 (28.6 mg)及びトルエン(1.0 mL)を入れた反応用試験管 を- 60°Cに冷却し、 2-(2-ベンジルォキシフエ-ル)- 2-ジァゾ酢酸メチル(113 mg, 0.4 0 mmol)のトルエン溶液(1.0 mL)をカ卩え、その温度で 6時間撹拌した。上清をデカン テーシヨン後、残查をトルエン(2 X 2 mL)、酢酸ェチル(2 mL)及びトルエン(2 mL)で 順次洗浄した。あわせた上清を濃縮後、残查(90 mg)をカラムクロマトグラフィー(シリ 力ゲル 6 g、 15:1 n- hexane/EtOAc)精製し (2R,3S)- 2,3-シス- 2,3-ジヒドロ- 2-フエ-ル ベンゾフラン- 3_カルボン酸メチル(67.0 mg, 0.33 mmol, 82%)を無色針状晶として得 た。回収した固相担持ロジウム (Π)錯体は、減圧乾燥後同様の反応を繰り返し行った 。(2R,3S)-2,3-シス- 2,3-ジヒドロ- 2-フエ-ルペンゾフラン- 3-カルボン酸メチルの分 析データを以下に記す。
Tし C R 0.35 (5:1 hexane/EtOAc); mp 91— 92。C; IR (neat) v 1736 (C=0), 1480, 122 f
9, 1213 cm"1; 1H NMR (270 MHz, CDC1 ) δ 3.21 (s, 3H, CO CH ), 4.62 (d, J = 9.9
3 2 一 3
Hz, 1H, CH CO CH ), 5.99 (d, J = 9.9 Hz, 1H, OCHPh), 6.01—6,98 (m, 2H, ArH),
一 2 3 一
7.22-7.38 (m, 2H, ArH); 13C NMR (67.8 MHz, CDC1 ) δ 51.5 (CH ), 53.9 (CH), 85
3 3
.6 (CH), 109.9 (CH), 121.2 (CH), 124.7 (C), 125.8 (CH), 126.1 (CH), 128.1 (CH), 128.2 (CH), 129.5 (CH), 137.0 (C), 160.4 (C), 170.2 (C=0); LRMS (EI) m/z 254 (M +); HRMS (EI) calcd for C H O (M+) 254.0943; found 254.0946; Anal. Calcd for C
16 14 3 16
H O : C, 75.57; H, 5.55. Found: C, 75.38; H, 5.77.
鏡像異性体過剰率 (ee)はキラルカラムを用いた HPLC分析により 89%と決定した。分析 条件: column Daicelし hiralcei OD— H; eiuent: 9:1 hexane/i— PrOH; 1.0 mL/min; det ection: 254 nm; retention time: 7.9 min for (2R,3S) enantiomer (major), 14.1 min for (2S,3R) enantiomer (minoir).
実施例 7
本実施例においては、不斉分子内芳香環 C-H挿入反応における本願発明の触媒 の再利用を検討した。本願発明の触媒は不溶性であるため、反応完結後、反応混合 物からろ過により触媒を除くことができる。瀘取した触媒は適当な有機溶媒を用い数 回洗浄した後、減圧下溶媒を留去することで再利用することできる。本実施例におい て、以下に示すように、本願発明の固相担持型金属触媒は 100回の繰返し使用に おいても反応性及び不斉識別能の低下は認められなカゝつた。
実施例 1で得た固相担持ロジウム (II)錯体(7.4 mg, 2 mol % of catalyst)及びジクロロ メタン(0.5 mL)を入れた反応用試験管に 2-ジァゾ -4,4-ジフエ-ル- 3-ォキソペンタン 酸メチル(30.8 mg, 0.1 mmol)のジクロロメタン溶液(0.5 mL)を室温で加え、その温度 で 20分間撹拌した。上清をデカンテーシヨン後、残查をジクロロメタン(1 mL)で洗浄 した。あわせた上清を濃縮後、残查(28 mg)をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 1 g、ベンゼン)精製し (3S)-3-メチル -3-フエ-ル- 2-ォキソインダン- 1-カルボン酸メチル (24.1 mg, 86%)を淡青色固体として得た。得られた (3S)-3-メチル -3-フエ-ル- 2-ォキ ソインダン- 1-カルボン酸メチルの光学純度は、脱メトキシカルボ-ル化後の HPLC分 析により 91% eeであることが分力 た。回収した固相担持ロジウム (II)錯体は、減圧乾 燥後同様の反応を繰り返し行った。
(3S)-3-メチル -3-フエ-ル- 2-ォキソインダン- 1-カルボン酸メチルの分析データを以 下に記す。
TLC R 0.55 (2: 1 hexane/EtOAc); mp 81.0— 82.0°C; IR (KBr) v 2971, 2949, 1595, f
1475, 1440 cm"1; JH NMR (270 MHz, CDC1 , almost enol form) δ 1.80 (3H, s, CH
3 一 3
), 3.98 (3H, s, CO CH ), 7.07-7.13 (2H, m, ArH), 7.20-7.32 (6H, m, ArH), 7.65 (1
2 3
H, d, J = 7.3 Hz, ArH), 11.00 (1H, brs, enol-OH); 13C NMR (67.8 MHz, CDC1 ) δ
3
21.7 (CH ), 51.6 (CH ), 54.8 (C), 102.3 (C), 120.5 (CH), 122.8 (CH), 124.5 (CH), 1
26.6 (CH), 127.3 (CH), 127.4 (CH), 128.5 (CH), 137.5 (C), 140.2 (C), 145.0 (C), 1 69.5 (C), 186.2 (C); LRMS (EI) m/z 280 (M"), 248, 233, 219, 205, 192; HRMS (EI) c alcd for C H O (M+) 280.1099, found 280.1092; Anal. Calcd for C H O : C, 77.1
18 16 3 18 16 3
2; H, 5.75. Found: C, 77.33; H, 5.92.
[0043] 結果を下表に示す。
entry Rh(n) catalyst cycle [min] I%] J 】
1» Rh2<S-PTTL)4 一 5 90 90
2 (2>-S-TLRh2(S-PTTL)3 1 20 86 91
3 0-S-TL h2(S-PTTLi3 10 20 90 91
4 0-«-TL h2(S-PTTL)3 so 20 90 91
5 (p)-S-TLRh2(S-PTrLJ3 100 20 88 92
a Determined by HPLC analysis alter demethoxycar onytation. 6
Tsutsul, H.; Yamaguchi, Y.; (Otaga f, S.; Nakamura, S.;Anada, M.;
Hashimoto, S-Tetivhedron Asymmetry 2003, 14, 617-821.
[0044] 次に、上記反応で得た (3S)-3-メチル -3-フエ-ル- 2-ォキソインダン- 1-カルボン酸 メチル (24.1 mg, 0.086 mmol)の含水ジメチルスルホキシド (0.5 mL, 1 : 9水: DMSO) 溶液を 120°Cで 30分撹拌した。反応液は淡橙色になった。放冷後、水 (5 mL)を加え、 酢酸ェチル (20 mL)で抽出した。有機層を飽和食塩水 (5 mL)で洗浄し、無水硫酸ナト リウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残查をシリカゲルカラムクロマトグラフ ィー (1 g, 1 : 2へキサン/ベンゼン)にて精製し (S)-3-メチル -3-フエ-ル- 2-インダノン (18.2 mg, 95%)を淡橙色油状物として得た。
(S)-3-メチル -3 -フエニル -2-インダノンの分析データを以下に記す。
TLC R 0.65 (2 : 1 hexane/EtOAc); IR (film) v 3025, 2971, 1752, 1597, 1495, 1480 f
cm"1; JH NMR (270 MHz, CDC1 ) δ 1.76 (3H, s, CH ), 3.53 (1H, d, J = 21.8 Hz, C
3 ~ 3
H ), 3.68 (1H, d, J = 21.8 Hz, CH ), 7.16-7.41 (9H, m, ArH); 13C NMR (67.8 MHz, 一 2 一 2
CDC1 )? 23.8 (CH ), 41.6 (CH ), 58.3 (C), 124.8 (CH), 125.2 (CH), 126.7 (CH), 12
6.9 (CH), 127.7 (CH), 127.9 (CH), 128.4 (CH), 135.8 (C), 142.0 (C), 146.4 (C), 21 6.1 (C); LRMS (EI) m/z 222 (M"), 194, 179, 165, 152; HRMS (EI) calcd for C H O
16 14
(M 222.1045, found 222.1046; Anal. Calcd for C H O: C, 86.45; H, 6.35. Found:
16 14
C, 86.40; H, 6.40.
生成物の鏡像体過剰率 (ee)はキラルカラムを用いた HPLC分析により 97% eeと決定 した。
条件: column: Daicel Chiralcel OD- H; eluent: 200: 1 hexane/ -propanol; flow: 1.0 mL/min; detection: 254 nm; retention time: 9.4 min (major enantiomer S), 10.8 min (minor enantiomer R).
図面の簡単な説明
[図 1]実施例 1の高分子担持金属錯体触媒の合成法を示す図である。
[図 2]実施例 2の高分子担持金属錯体触媒の合成法 (別法)を示す図である。