WO2007074691A1

WO2007074691A1 - トリポード型等速自在継手

Info

Publication number: WO2007074691A1
Application number: PCT/JP2006/325353
Authority: WO
Inventors: Minoru Ishijima; Junichi Izumino
Original assignee: Ntn Corporation
Priority date: 2005-12-28
Filing date: 2006-12-20
Publication date: 2007-07-05

Abstract

　本発明は、ローラが外側継手部材のトラック溝に対して平行方向で直進転動するトリポード型等速自在継手において、ローラと脚軸との間に配設するころの接触面圧を低減するものである。脚軸の周面を所定曲率半径の球面状にする。ローラ１５の内径面１５ｂを所定曲率半径と同曲率の凸Ｒ面とする。脚軸周面とローラ内径面との間に、所定曲率半径と同曲率の凹Ｒ面を有するつづみ状ころを円周方向に複数配列する。複数のころは、その軸線方向中心位置をローラの最小内径位置よりも継手軸心方向に偏位させる。これにより、ころの軸線を傾斜させたとき、ころの継手中心側一端部が互いに離間し合うと共に、ころの継手中心と反対側他端部が互いに当接し合う。このときの離間し合うころ端部の内接円直径ｄを、脚軸の球面外径Ｄより大きく設定する。

Description

トリボード型等速自在継手

技術分野

[0001] 本発明は、例えば自動車の駆動系に組み込んで非直線上に存在する回転軸同士の間で等速に回転力を伝達するトリボード型等速自在継手に関する。

背景技術

[0002] 等速自在継手は、駆動側と従動側の二軸を連結して二軸間に角度があっても等速で回転力を伝達することのできるユニバーサルジョイントの一種である。等速自在継手には固定式と摺動式があり、摺動式のものは継手のプランジングによってニ軸間の相対的軸方向変位を可能にする。摺動式等速自在継手の一種にトリボード型がある。

[0003] トリボード型等速自在継手は、外側継手部材とトリポード部材とからなり、連結すベき二軸の一方の軸が外側継手部材と接続され、他方の軸がトリポード部材と接続される。外側継手部材は一端が開口した有底筒状で、その内周に軸方向に延びる三本のトラック溝を有する。トリポード部材は円筒状のボス部から半径方向外方に突出した三本の脚軸を有し、これら脚軸が外側継手部材のトラック溝に係合してトルク伝達を行う。脚軸にはローラが回転自在に外嵌され、このローラがトラック溝の互いに対向する一対のローラ案内面に沿って転動することで連結二軸間の角度変位と軸方向変位を円滑にする。

[0004] ところで、トリボード型等速自在継手が作動角を取った状態で連結二軸が回転すると各ローラが複雑な運動を行う。すなわち、各ローラは、ローラ案内面に沿って外側継手部材の軸方向に向きを変えながら移動し、し力も、脚軸の軸方向にも変位する。各ローラがこのような複雑な動きをすると、ローラの外周面とローラ案内面との間の相対変位が必ずしも円滑に行なわれなくなり、これら両面間に比較的大きな摩擦が発生する。その結果、連結二軸が一回転する間に三次の軸力が発生する。等速自在継手が自動車に組み込まれて大きなトルクを伝達しつつ大きな作動角をとつた場合、前記三次の軸力によってシャダ一と呼ばれる大きな振動が発生することがある。 [0005] このようなシャダ一を防止するものとして、ローラの内側に-一ドルころなどの転動体を介して別のローラを入れたダブルローラ型がある（特許文献 1、 2参照)。このダブルローラ型は、トラック溝のローラ案内面をゴシックアーチ形状とすることにより外側口ーラとの接触をアンギユラコンタクトにする一方、脚軸を内側ローラに対して揺動可能としている。アンギユラコンタクトによりローラの転動方向がトラック溝方向と平行となり、これによりローラの転がり抵抗を低減して回転三次の誘起スラストを低減して！/、る。発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0006] しかし、ダブルローラ型は内側ローラが余分に必要となるうえ、この内側ローラを脚軸の軸方向定位置に保持するための機構も必要になる。このため、組立に時間がか力りコストも嵩む。

[0007] そこで、内側ローラを使用することなくシングルローラのままでトラック溝に沿って一直線に転動するように工夫したトリボード型等速自在継手が提案されてヽる（特許文献 3)。このシングルローラ型は、脚軸周面を球面状にすると共に、この球面状脚軸とローラとの間に複数の-一ドルころを総ころ状態で配設している。また、トラック溝の互いに対向するローラ案内面を平面で構成し、ローラの外周面を円筒状にしてローラ案内面と線接触させることでローラを直進転動させ、これにより誘起スラストを防止している。この構成では、ローラを揺動させずに脚軸のみを傾動させることができるが、脚軸の球面状外周面がニードルころに対して点接触するため接触面圧が高くなり、寿命低下のおそれがある。

[0008] なお、脚軸の球面状外周面と-一ドルころとの間の接触面圧を軽減するため、ニードルころをつづみ状にして脚軸球面状外周面との接触を線接触にしたトリボード型等速自在継手がある（特許文献 4参照)。しかし、この継手は固定式継手であって、脚軸とローラとは相対角度を変えずに首振り運動をし、したがって誘起スラストの防止とは何ら関係がな、ものである。

[0009] 本発明の目的は、構造の簡単なシングルローラ型のトリボード型等速自在継手において、ローラが外側継手部材のトラック溝に対して平行方向で直進転動し、かつ口一ラと脚軸との間に配設するころの接触面圧を低減し、もって、低コスト、低振動、長寿命の総てを可能とするトリボード型等速自在継手を提供することにある。

特許文献 1：特表平 4— 503554号公報

特許文献 2：特開平 5— 215141号公報

特許文献 3：特開 2000— 74086号公報

特許文献 4：特開昭 58— 627号公報

課題を解決するための手段

[0010] 請求項 1の発明は、内周に軸線方向に延びる三本のトラック溝を設けると共に各トラック溝の内側壁に互いに対向するローラ案内面を設けた外側継手部材と、先端が前記トラック溝内に挿入された三本の脚軸を有するトリポード部材と、前記脚軸に回転自在に支持されると共に前記外側継手部材のトラック溝に転動自在に挿入された口一ラとを備えたトリボード型等速自在継手において、前記脚軸の周面を所定曲率半径の部分球面状にすると共に前記ローラの内径面を前記所定曲率半径と同曲率の凸 R面とし、前記脚軸周面とローラ内径面との間に、前記所定曲率半径と同曲率の凹 R面を有するつづみ状ころを円周方向に複数配列したことを特徴とする。

[0011] 本発明は、脚軸球面とローラの内径凸 R面との間に、脚軸球面および内径凸 R面と同曲率の凹 R面を有するつづみ状ころを円周方向に複数配列したから、つづみ状ころに対して脚軸およびローラを線接触させることができ、これにより同接触部での面圧を低減して継手寿命を増大させることができる。

[0012] また、ころを一方側に偏位させたときの互いに離間し合うころ端部の内接円直径 dを、脚軸の球面外径より大きくなるように設定することにより、ころの内側に対して脚軸球面を容易に挿入可能となる。

[0013] 請求項 2の発明は、請求項 1の発明において、前記複数のころは、その軸線方向中心位置を前記ローラの最小内径位置よりも継手軸心方向に偏位させてころの軸線を傾斜させたとき、前記ころの継手中心側一端部が互いに離間し合うと共に前記ころの継手中心と反対側他端部が互いに当接し合い、このときの前記離間し合うころ端部の内接円直径 dを、前記脚軸の球面外径より大きくなるように設定したことを特徴とする。

[0014] これにより、ころの内側に対して脚軸球面を容易に挿入可能となる。 [0015] 請求項 3の発明は、ころの軸線方向中心位置をローラの最小内径位置よりも継手軸心方向に偏位させてころの軸線を傾斜させたとき、ころの継手中心側一端部が互いに離間し合うと共にころの継手中心と反対側他端部が互いに当接し合い、このときの離間し合うころ端部の内接円直径 dを、脚軸の球面外径より僅かに小さくなるように設定したことを特徴とする。

[0016] つづみ状ころの凹 R面は、脚軸球面およびローラ内径面に対して線接触してこれら接触部を低面圧にし継手寿命を増大させる。また、つづみ状ころを最大限偏位させたときのころ端部の内接円直径 dを脚軸の球面外径より僅かに小さくすることで、ころの内側に対する脚軸の挿入を圧入とすることができ、ころの脱落を防止する。

[0017] 請求項 4の発明は、請求項 3の発明において、前記脚軸の継手円周方向の外径を D、継手軸線方向の外径を Cとしたとき、 C< Dの関係となるように前記脚軸の横断面形を非真円にすると共に、前記ころ端部の内接円直径 dを、前記外径 Cと Dの中間の大きさに設定したことを特徴とする。

[0018] これにより、脚軸の継手軸線方向でローラの弾性的縮径を許容する一方、脚軸の継手円周方向でローラの弾性的拡径を利用して、十分な圧入寸法を取ることが可能になる。

[0019] このように、つづみ状ころの内側に脚軸を圧入することにより、トリボード部材、ローラおよびつづみ状ころのアッセンプリ体力構成部品が不測に脱落することがなぐ安定したアッセンプリ状態でのハンドリングが可能となる。

[0020] 請求項 5の発明は、請求項 4の発明において、前記脚軸の継手円周方向の外径 D を脚軸の周方向所定角度範囲で形成すると共に、前記所定の角度範囲を越えた領域で前記外径 Dを漸減させて前記脚軸の継手軸線方向の外径 Cに繋げたことを特徴とする。

[0021] 請求項 6の発明は、請求項 5の発明において、前記所定の角度範囲を 90° 以上 1 50° 以下とした事を特徴とする。

[0022] 請求項 7の発明は、請求項 1の発明において、前記凸 R面の継手中心側縁部に凸 R面よりも***したはみ出し部を形成し、前記脚軸周面とローラ内径面との間に、前記所定曲率半径と同曲率の凹 R面を有するつづみ状ころを円周方向に複数配列したことを特徴とする。

[0023] 請求項 8の発明は、請求項 7の発明において、前記つづみ状ころをその継手中心側一端部が前記はみ出し部に当接するまで偏位させたときのころの一端部の内接円直径 dを、前記脚軸の球面外径より僅かに小さくなるように設定したことを特徴とする。

[0024] つづみ状ころを最大限偏位させたときのころ端部の内接円直径 dを、脚軸の球面外径より僅かに小さくすることで、ころの内側に対する脚軸の挿入を圧入とすることができ、ころの脱落を防止して安定したアッセンプリ状態でのハンドリングが可能となる。

[0025] 請求項 9の発明は、請求項 8の発明において、前記脚軸の継手円周方向の外径を D、継手軸線方向の外径を Cとしたとき、 C< Dの関係となるように前記脚軸の横断面形を非真円にすると共に、前記ころ端部の内接円直径 dを、前記外径 Cと Dの中間の大きさに設定したことを特徴とする。

[0026] これにより、脚軸の継手軸線方向でローラの弾性的縮径を許容する一方、脚軸の継手円周方向でローラの弾性的拡径を利用して、十分な圧入寸法を取ることが可能になる。

[0027] 請求項 10の発明は、請求項 9の発明において、前記脚軸の継手円周方向の外径 Dを脚軸の周方向所定角度範囲で形成すると共に、前記所定の角度範囲を越えた領域で前記外径 Dを漸減させて前記脚軸の継手軸線方向の外径 Cに繋げたことを特徴とする。

[0028] 請求項 11の発明は、請求項 10の発明において、前記所定の角度範囲を 90° 以上 150° 以下とした事を特徴とする。

また、脚軸の凸 R面をその曲率中心を脚軸中心から外周面側と反対側にオフセットさせた軸方向縦断面形状とし、ローラの凸 R面の曲率半径を、脚軸の曲率半径と同一にしたことにより、脚軸およびローラの凸 R面が真球面より大きな Rとなることから、口一ラの内周面に沿って鼓状ころが変位する際の鼓状ころの内接径の増加量を低減することができ、高作動角時の継手における回転方向ガタを低減することができる。発明の効果

[0029] 本発明によれば、ローラと脚軸との間に配設された鼓状ころの接触面圧を低減することにより継手の長寿命化が図れる。また、ローラが外側継手部材のトラック溝に対して平行に転動するため、低誘起スラスト性能（車両のシャダ一現象の抑制）と回転方向ガタの低減とを両立させた、低振動で、シンプルな構造で、低コストのトリボード型等速自在継手を提供することができる。

発明を実施するための最良の形態

[0030] 以下に本発明の実施形態を図に基づき説明する。図 1 (A)に示すように、本発明のトリボード型等速自在継手 10は、外側継手部材 11とトリポード部材 12を有する。外側継手部材 11は有底筒状であり、その底壁中央に回転軸の一端が連結される。外側継手部材 11の内周面には、円周方向等間隔に 3本のトラック溝 13が形成される。各トラック溝 13は、互いに対向する一対のローラ案内面 13aと、これら一対のローラ案内面 13a間を繋ぐ底面 13bとで形成される。ローラ案内面 13aは円弧状断面を有し、外側継手部材 11の軸線方向に直線状に延びる。トラック溝 13の底面 13bは中央平面 13blと両側鍔面 13b2を有する。両側鍔面 13b2は後述のローラ 15の傾斜防止を確実にするためのものである。なお、外側継手部材 11の外周面はトラック溝 13 間に対応する部位が軽量ィ匕のため円弧状凹所 14とされて減肉されている。

[0031] トリポード部材 12は、円筒状をなす中心ボス部 12aの外周面に 3本の脚軸 12bが円周方向等間隔（120° 間隔)かつ放射状に一体形成されたものである。ボス部 12aの軸孔 12cに外側継手部材 11の回転軸とは別の回転軸の一端がスプラインなどにより連結される。 3本の脚軸 12bの先端はトラック溝 13の底面 13b付近まで半径方向に延在する。脚軸 12bの周面は図 1、図 2のように直径 Dの球面 Sとされ、先端面は緩い凸 R面とされて、トラック溝 13の底面 13bと所定間隔を開けて対向する。脚軸 12bの基部は括れ部 12dを介してボス部 12aに連結する。

[0032] 外側継手部材 11のトラック溝 13のローラ案内面 13aと、脚軸球面 Sとの間に、ローラ 15が配設される。ローラ 15の外周面 15aは縦断面円弧状とされ、ローラ案内面 13 aと線接触するように構成される。ローラ 15がトラック溝 13と平行に転動して誘起スラストを低減し、車両のシャダ一現象を防止する。

[0033] ローラ 15の内径面 15bは脚軸球面 Sと同曲率の凸 R面とされ、ローラ内径面 15bと脚軸球面 Sとの間に、複数のつづみ状ころ 16が単列総ころ状態で配設される。つづみ状ころ 16の周面は、脚軸 12bおよびローラ内径面 15bの曲率と同曲率の凹 R面とされる。つづみ状ころ 16の凹 R面はトルク作用側において脚軸球面 Sとローラ内径面 15bの双方に隙間なく転接する。すなわち、つづみ状ころ 16は、脚軸球面 Sおよび口ーラ案内面 13aに対してそれぞれ線接触し、低面圧を確保する。

[0034] つづみ状ころ 16相互間には若干の隙間を空けている。この隙間は、継手の組立時につづみ状ころ 16を図 1 (B)、図 3 (B)および図 4のように、ローラ 15の厚み方向を二等分する中心線 Lを基準として、図上の上下方向に偏位可能とするためである。すなわち、つづみ状ころ 16をローラ 15の最小内径位置である中心線 Lよりも継手軸心方向に偏位させてころ 16の軸線を傾斜させたとき、図 3 (A)、（B)のように、ころ 16の継手中心側一端部 16aが互いに離間し合うと共に、ころ 16の継手中心と反対側他端部 16bが互いに当接し合う。このような状態にころ 16を偏位させた場合、ころ 16はそれ以上継手軸心方向に偏位することができない。換言すると、前記離間し合うころ 16 端部 16aの内接円直径 dは、これ以上は拡大しない。本発明ではこの内接円直径 d を脚軸 12bの球面 S外径より僅かに大きくなるように設定している。これにより、つづみ状ころ 16の内側に対する脚軸 12bの挿入を容易にする。挿入後はころ 16相互間、およびころ 16と脚軸 12b、ころ 16とローラ 15の間に適度の隙間が形成され、良好な作動性を確保できると共にころ 16の脱漏を防止できる。

[0035] 本発明のトリボード型等速自在継手は以上のように構成され、トリポード部材 12の脚軸 12bにローラ 15を装着する場合、図 4のようにつづみ状ころ 16をローラ 15の厚み方向中心から最大限偏位させた状態で配列する。この状態で、ころ 16の外側端部の内径 dに向けて脚軸 12bを矢印方向力も押し込む。この時、ころ 16の内側端部は互いに当接し合っているので、内径 dはこれ以上は拡大しない。脚軸 12bの径 Dがころ 16の端部内径 dより小さいため、脚軸 12bの挿入を極めてスムーズに行うことができる。脚軸 12bの挿入後は、ころ 16が図 1 (A)の位置に収まり、ころ 16相互間に適度の隙間が生まれる。次に、ローラ 15を外側継手部材 11のトラック溝 13に対してその端部から挿入することによりトリボード型等速自在継手 10が出来上がる。

[0036] トリボード型等速自在継手 10は、外側継手部材 11のトラック溝 13と、トリポード部材 12の脚軸 12bとの間で、トルク伝達をなす。脚軸 12bに回転自在に取付けられた口ーラ 15は、トラック溝 13に沿って転動可能なため、外側継手部材 11とトリポード部材 12は相対的に軸方向に変位可能である。この軸方向変位の前後で、トルク伝達が変わらずに維持される。

[0037] また、外側継手部材 11とトリポード部材 12との間に角度差を生じると、脚軸 12bがトラック溝 13に対して相対的に傾斜する。同時に、ローラ 15がトラック溝 13に沿って転動する。この際、ローラ 15はトラック溝 13に対して傾斜することなくトラック溝 13の方向に直進転動することで誘起スラストの発生を防止する。なお、脚軸 12bが傾斜すると、図 1 (b)のようにつづみ状ころ 16が継手中心側にやや偏位する。この状態でも、ころ 16の周面は脚軸 12bおよびローラ 15に対して線接触を維持し、低面圧でのトルク伝達を可能にする。

[0038] 次に、本発明の第 1変形例を図 5〜図 7に基づき説明する。この第 1変形例は、図 6 に示す内接円直径 dを、脚軸 12bの球面 S外径より僅かに小さくなるように設定したものである。これにより、つづみ状ころ 16の内側に対する脚軸 12bの挿入が圧入となり、挿入後はころ 16相互間、およびころ 16と脚軸 12b、ころ 16とローラ 15の間に適度の隙間が形成され、良好な作動性を確保し、かつ、ころ 16の脱漏を防止する。またトリボード部材 12、ローラ 15およびつづみ状ころ 16を安定したアッセンブリ状態でのハンドリングが可能となる。

[0039] 脚軸 12bの横断面形は真円とするほか、図 5 (脚軸 12bは 1本のみ図示）に示すように、継手軸線方向の外径 Cと継手円周方向の外径 Dとが異なる非真円とすることができる。前述のように、つづみ状ころ 16の内側に対する脚軸 12bの挿入は圧入が望ましいが、この圧入をより効果的にするのが図 5の脚軸形態である。すなわち、脚軸 1 2bの外径 Cと Dは、前記内接円直径 dに対して C< d< Dの関係式を満足するように設定する。このような寸法関係にすることにより、脚軸 12bの継手軸線方向（外径 C方向）ではころ 16との間に隙間を形成してローラ 15の弾性的縮径を許容する一方、脚軸 12bの継手円周方向（外径 D方向）ではローラ 15の前記縮径による弹性的拡径を利用して、十分な圧入寸法を取ることが可能になる。

[0040] さらに、トルク伝達時に脚軸 12bの球面 Sに作用する圧力が継手円周方向に偏在することに着目して、図 5のように、継手円周方向の中心線 Mから両側所定角度 Θの範囲内では脚軸 12bの外径を外径 Dと同じにし、角度 2 Θの範囲外では脚軸 12bの外径を漸減させて外径 Cに滑らかに繋がる形状にしてもよい。前記所定角度 Θは、例えば 0 =45° (2 0では 90° )以上かつ 75° (2 0では 150° )以下とする。この角度範囲内では脚軸 12bの外径面は真円であるから、ころ 16との間の面圧を均等分散させて低面圧とし継手寿命を増大させることができる。脚軸外径の真円を、前記角度 Θ力 75° を越える範囲まで拡大すると、こんどは脚軸 12bところ 16との間の隙間が狭くなり、継手軸線方向でのローラ 15の縮径代減少、継手円周方向でのローラ 15 の拡径代減少となって脚軸 12bの十分な圧入寸法を取ることが困難になる。

[0041] 本発明の第 1変形例のトリボード型等速自在継手は以上のように構成され、トリポード部材 12の脚軸 12bにローラ 15を装着する場合、図 7のようにつづみ状ころ 16を口ーラ 15の厚み方向中心から最大限偏位させた状態で配列し、ころ 16の外側端部の内径 dに向けて脚軸 12bを矢印方向から押し込む。この時、ころ 16の内側端部は互いに当接し合っているので、内径 dはこれ以上は拡大しない。脚軸 12bの径 Dがころ 16の端部内径 dより大きいため、脚軸 12bの押し込みは圧入となる。脚軸 12bの圧入後はころ 16が図 1 (A)の位置に収まり、ころ 16相互間に適度の隙間が生まれる。次に、ローラ 15を外側継手部材 11のトラック溝 13に対してその端部力挿入することによりトリボード型等速自在継手 10が出来上がる。

[0042] 次に、本発明の第 2変形例を図 8に基づき説明する。この第 2変形例は、ローラ 15 の内径面 15bを脚軸球面 Sと同曲率の凸 R面とすると共に、この凸 R面の継手中心側縁部に図 8 (B)に示すように凸 R面よりも***したはみ出し部 15cを形成したものである。はみ出し部 15cは、ローラ 15の軸線方向と平行な平面で構成してよい。はみ出し部 15cは R面取りを経由してローラ 15の端面へと続く。また、互いに離間し合うころ 16 端部 16aの内接円直径 dを、脚軸 12bの球面 S外径より僅かに小さくなるように設定している。これにより、つづみ状ころ 16の内側に対する脚軸 12bの挿入が圧入となり、挿入後はころ 16相互間、およびころ 16と脚軸 12b、ころ 16とローラ 15の間に適度の隙間が形成され、良好な作動性を確保でき、かつ、ころ 16の脱漏を防止できる。またトリポード部材 12、ローラ 15およびつづみ状ころ 16を安定したアッセンプリ状態でのハンドリングが可能となる。

[0043] 脚軸 12bの横断面形は真円とするほか、図 5 (脚軸 12bは 1本のみ図示）に示すように、継手軸線方向の外径 Cと継手円周方向の外径 Dとが異なる非真円とすることができる。すなわち、脚軸 12bの外径 Cと Dは、前記内接円直径 dに対して C< d< Dの関係式を満足するように設定することができる。

[0044] さらに、トルク伝達時に脚軸 12bの球面 Sに作用する圧力が継手円周方向に偏在することに着目して、図 5のように、継手円周方向の中心線 Mから両側所定角度 Θの範囲内では脚軸 12bの外径を外径 Dと同じにし、角度 2 Θの範囲外では脚軸 12bの外径を漸減させて外径 Cに滑らかに繋がる形状にしてもよい。前記所定角度 Θは、例えば 0 =45° (2 0では 90° )以上かつ 75° (2 0では 150° )以下とする。

[0045] トリポード部材 12の脚軸 12bにローラ 15を装着する場合、図 7と同様に、つづみ状ころ 16をローラ 15の厚み方向中心力最大限偏位させた状態で配列し、ころ 16の外側端部の内径 dに向けて脚軸 12bを矢印方向力も押し込む。この時、ころ 16の一端部は、はみ出し部 15cに当接しているので、内径 dはこれ以上は拡大しない。脚軸 12bの径 Dがころ 16の端部内径 dより大きいため、脚軸 12bの押し込みは圧入となる。脚軸 12bの圧入後は、ころ 16が図 1 (A)の位置に収まり、ころ 16相互間に適度の隙間が生まれる。この状態では、はみ出し部 15cはころ 16から離間するので、ころ 16 の転動の妨げにはならない。次に、ローラ 15を外側継手部材 11のトラック溝 13に対してその端部力も挿入することによりトリボード型等速自在継手 10が出来上がる。

[0046] 次に、本発明の第 2実施形態を図 9〜図 15に基づき説明する。

図面の簡単な説明

[0047] [図 1] (A)は本発明に係るトリボード型等速自在継手の断面図、（B)は同継手のローラに対してトリポード部材が傾斜した状態を示す側面図。

[図 2]トリポード部材を脚軸の先端側から見た平面図。

[図 3] (A)はローラを脚軸先端側力も見た平面図、 (B)はローラを継手軸心側力も見た底面図。

[図 4]トリポード部材の脚軸をローラに圧入する状態を示す断面図。

[図 5]本発明の第 1変形例のトリボード型等速自在継手のトリポード部材を、脚軸の先端側から見た平面図。

[図 6]ローラを継手軸心側力見た底面図。圆 7]トリポード部材の脚軸をローラに圧入する状態を示す断面図。

圆 8]本発明の第 1変形例のトリボード型等速自在継手のローラを示すもので、 (A)はローラを脚軸先端側カゝら見た平面図、 (B)はローラを継手軸心側から見た底面図。圆 9]本発明の第 2実施形態におけるトリボード型等速自在継手の軸線に対する横断面である。

[図 10]トリボード型等速自在継手の軸線に対する縦断面図で、トリポード部材が外側継手部材に対して作動角をとつた状態を示す。

[図 11]図 10のローラおよび鼓状ころを継手中心側力も見た図である。

[図 12]ローラおよび鼓状ころと脚軸との組み付けを説明するためのもので、（a)は (b) のローラおよび鼓状ころを上から見た図、 (b)はローラおよび鼓状ころを示す断面図

、 (c)は (b)のローラおよび鼓状ころを下から見た図である。

圆 13]トリポード部材の一つの脚軸を軸端側力も見た図である。

圆 14]本発明の変形例を示すもので、脚軸とローラおよび鼓状ころを示す図である。圆 15]本発明の他の変形例を示すもので、トリポード部材の一つの脚軸を軸端側から見た図である。

Claims

請求の範囲

[1] 内周に軸線方向に延びる三本のトラック溝を設けると共に各トラック溝の内側壁に互いに対向するローラ案内面を設けた外側継手部材と、先端が前記トラック溝内に挿入された三本の脚軸を有するトリポード部材と、前記脚軸に回転自在に支持されると共に前記外側継手部材のトラック溝に転動自在に挿入されたローラとを備えたトリボード型等速自在継手にぉ、て、

前記脚軸の周面を所定曲率半径の部分球面状にすると共に前記ローラの内径面を前記所定曲率半径と同曲率の凸 R面とし、前記脚軸周面とローラ内径面との間に、前記所定曲率半径と同曲率の凹 R面を有するつづみ状ころを円周方向に複数配列したことを特徴とするトリボード型等速自在継手。

[2] 前記複数のころは、その軸線方向中心位置を前記ローラの最小内径位置よりも継手軸心方向に偏位させてころの軸線を傾斜させたとき、前記ころの継手中心側一端部が互いに離間し合うと共に前記ころの継手中心と反対側他端部が互いに当接し合い、このときの前記離間し合うころ端部の内接円直径 dを、前記脚軸の球面外径より大きくなるように設定したことを特徴とするトリボード型等速自在継手。

[3] 前記複数のころは、その軸線方向中心位置を前記ローラの最小内径位置よりも継手軸心方向に偏位させてころの軸線を傾斜させたとき、前記ころの継手中心側一端部が互いに離間し合うと共に前記ころの継手中心と反対側他端部が互いに当接し合い、このときの前記離間し合うころ端部の内接円直径 dを、前記脚軸の球面外径より僅かに小さくなるように設定したことを特徴とする請求項 1のトリボード型等速自在継手。

[4] 前記脚軸の継手円周方向の外径を D、継手軸線方向の外径を Cとしたとき、 C< D の関係となるように前記脚軸の横断面形を非真円にすると共に、前記ころ端部の内接円直径 dを、前記外径 Cと Dの中間の大きさに設定したことを特徴とする請求項 3のトリボード型等速自在継手。

[5] 前記脚軸の継手円周方向の外径 Dを脚軸の周方向所定角度範囲で形成すると共に、前記所定の角度範囲を越えた領域で前記外径 Dを漸減させて前記脚軸の継手軸線方向の外径 Cに繋げたことを特徴とする請求項 4のトリボード型等速自在継手。

[6] 前記所定の角度範囲を 90° 以上 150° 以下とした事を特徴とする請求項 5のトリポ

ード型等速自在継手。

[7] 前記凸 R面は継手中心側縁部に凸 R面よりも***したはみ出し部を形成したことを特徴とする請求項 1のトリボード型等速自在継手。

[8] 前記つづみ状ころをその継手中心側一端部が前記はみ出し部に当接するまで偏位させたときのころの一端部の内接円直径 dを、前記脚軸の球面外径より僅かに小さくなるように設定したことを特徴とする請求項 7のトリボード型等速自在継手。

[9] 前記脚軸の継手円周方向の外径を D、継手軸線方向の外径を Cとしたとき、 C< D の関係となるように前記脚軸の横断面形を非真円にすると共に、前記ころ端部の内接円直径 dを、前記外径 Cと Dの中間の大きさに設定したことを特徴とする請求項 8のトリボード型等速自在継手。

[10] 前記脚軸の継手円周方向の外径 Dを脚軸の周方向所定角度範囲で形成すると共に、前記所定の角度範囲を越えた領域で前記外径 Dを漸減させて前記脚軸の継手軸線方向の外径 Cに繋げたことを特徴とする請求項 9のトリボード型等速自在継手。

[11] 前記所定の角度範囲を 90° 以上 150° 以下とした事を特徴とする請求項 10のトリボード型等速自在継手。

[12] 前記脚軸の外周面および前記ローラの内周面をそれぞれ同一曲率半径の凸 R面とし、前記脚軸の凸 R面をその曲率中心を脚軸中心から外周面側と反対側にオフセットさせた軸方向縦断面形状としたことを特徴とする請求項 1のトリボード型等速自在継手。

[13] 前記鼓状ころの全てをローラの内周面に沿って継手中心側へ変位させることにより、前記鼓状ころの継手中心側一端部が互いに離間し合うと共に前記鼓状ころの継手中心と反対側他端部が互いに当接し合う状態で、前記離間し合う鼓状ころの一端部同士でなす内接径を前記脚軸の外径より僅かに小さくなるように設定した請求項 12 に記載のトリボード型等速自在継手。

[14] 前記ローラの内周面の少なくとも継手中心側縁部に、その凸 R面よりもはみ出したはみ出し部を設けた請求項 13に記載のトリボード型等速自在継手。

[15] 前記脚軸の継手軸線方向の外径を C、継手円周方向の外径を Dとしたとき、 C< D の関係を満足するように前記脚軸の横断面形状を非真円形にすると共に、前記鼓状ころの一端部の前記内接径を、前記脚軸の外径 Cより大きぐかつ、脚軸の外径 Dより小さい範囲に設定したことを特徴とする請求項 12〜14のいずれか一項に記載のトリボード型等速自在継手。

[16] 前記脚軸の継手円周方向の外径 Dにおける脚軸の周方向所定角度範囲を真円形とし、前記所定角度範囲を超えた領域で前記外径 Dを漸減させて前記脚軸の継手軸線方向の外径 Cに繋げた請求項 15に記載のトリボード型等速自在継手。

[17] 前記所定角度範囲を 90° 以上とした請求項 16に記載のトリボード型等速自在継手。