製造出荷システム及び製造出荷方法
技術分野
[0001] 本発明は、建物をシステム化し、このシステムを構成する部品や部材の生産及び調 達を集約的に行い、これにより各建物物件の設計力 竣工に至る一連の工程の効率 化を図ると共に、建物の品質を向上させ、かつ、建設コストの低減を図ることを可能と するもので、特に、建物の部品の発注を受け付けて、施工計画に合わせて効率的に 部品を製造し出荷するための製造出荷システム及び製造出荷方法に関する。
背景技術
[0002] 従来、住宅を含む建築物は、固有の敷地や利用者に対応するため、一軒一軒その 形状や仕様が異なるものとされており、一品生産により建設されていた。一品生産で は、個々の建物を建設する際に、その都度、一から設計作業を行う必要があった。ま た、その都度、必要な建築資材を選定し市場力も調達する作業を行う必要があった。 従って、その都度、設計作業と、建築資材の選定作業及び調達作業に手間を要する という問題点があった。
[0003] また、設計作業や建築資材の選定作業及び調達作業は専門知識と経験を要し、 作業担当者の能力が作業内容の良否に反映される。従って、建物を建設する度に 一からこのような作業を行うと、担当者の能力によって建物の品質や価格が左右され ることになる。つまり、能力の低い担当者力このような作業を行った場合には、適切な 設計や部材の選定を行うことができない。また、適切な価格、品質、納期で建築資材 を提供してくれる購買先を選定することができない。従って、完成した建物が、納期 や品質の点で顧客の要求を満足するものになって 、なかったり、費用が予算内にお さまらな 、と 、う問題点があった。
[0004] このような問題点を改善する方法として、 V、わゆる工業ィ匕住宅のように、建物をシス テム化して供給するのが有効な手段である。
システム化された建物は、予め規格化された部品を用いて構成される。また、規格 ィ匕された部品を個別の設計条件や設計内容に対してどのように適用するかという設
計ルールが予め整備されている。従って、設計作業及び必要な建築資材の選定作 業にかかる手間が低減されると共に、担当者の能力に左右されずに一定の品質の建 物を提供することが可能となる。
[0005] また、規格化された部品は、工場で一括して生産され、各現場へ供給される。従つ て、必要な部品の供給を適切な品質、納期、価格で受けることができる。また、現場 工事での作業量を最小限に抑えることができ、現場工期の短縮化が実現される。ま た、現場組立の作業を合理化することが可能である。従って、作業に要する時間及 び人員を計算し易ぐ現場工事での無駄を省くことが可能である。
[0006] このように有利な特徴を備えた工業ィ匕住宅の建設を更に効率的に行うために、設 計力 竣工に至る一連の工程において、各工程に必要な情報を適時に作成して供 給する情報管理手段及び情報加工手段が求められている。特に、施主のより高度な 要望に対応するために建物の仕様を多様化すると、部品の構成が複雑化すると共に 、部品の品種や組み合わせのパターンが格段に増大する。従って、部品の発注管理 及び生産管理が困難になるという問題が生じる。また、建物の施工スケジュールに合 わせて効率的に生産し現場に出荷する作業が困難になるという問題が生じる。
[0007] 本発明は、上記のような問題に鑑み、システム化された建物の仕様を多様ィ匕し、か つ、従来よりも更に効率的に供給するために必要な具体的手段を提供するものであ つて、特に、必要な部品を建物の施工スケジュールに合わせて効率的に生産し現場 に出荷することを可能とする手段を提供することを目的とする。
発明の開示
[0008] 本発明は、建物に使用される部品'部材の製造に関する管理基準が格納される製 造管理情報格納手段と、受注した建物の施工に必要な部品'部材の品目、数量、着 ェ日を含む具体的発注情報を取得する発注情報取得手段と、前記管理基準および 前記具体的発注情報に基づ!、て、資材調達スケジュールを含む資材調達指示情報 ,製造品目及び製造スケジュールを含む製造指示情報,出荷スケジュールを含む出 荷指示情報,を作成する情報加工手段と、前記資材調達指示情報、前記製造指示 情報、前記出荷指示情報、のいずれかに基づき前記管理基準に含まれる情報を抽 出する情報検索手段と、を備え、前記管理基準には、製造する部品の各々に該部品
が使用される建物の施主名を表示した識別手段を付与して識別可能に管理すること を定めた識別表示基準,製造する部品の各々を該部品に表示された施主名に基づ いて集積し保管することを定めた製品保管基準,が含まれること、を特徴とする。
[0009] このように、本発明によれば、建物に使用される部品 ·部材の製造に関する管理基 準を予め準備しておくことができる。また、製造すべき部品'部材の品目、数量、着工 日を含む具体的発注情報を取得することができる。そして、管理基準と、具体的発注 情報とを利用することにより、資材調達、製造加工、出荷等の各種スケジュールを、 施工時に部品が確実に現場に届くように決定することができる。また、資材調達指示 情報、製造指示情報、出荷指示情報を作成して各担当者に受け渡し、各担当者は 必要に応じて管理基準などのデータを利用することができる。
また、識別表示基準、製品保管基準に従って部品を管理することにより、各々の部 品がどの施主の現場に出荷されるのかが容易に判別可能とされる。また、製造した部 品を施主別にまとめて集積することができるので、出荷の際に必要な部品が漏れるこ とが少ない。また、出荷スケジュール別に集積されることになり、集積スペースの無駄 をなくすことができる。従って、製造した部品の集積'保管を効率的に行うことができる
[0010] また、本発明において、前記管理基準には、各々の工場または製造請負業者にお ける工程管理能力を反映させた個別工程管理基準が含まれ、前記具体的発注情報 には、製造を担当する工場または製造請負業者を指定する指定情報が含まれ、前 記情報加工手段は、前記指定情報に基づき、指定された工場または製造請負業者 の工程管理能力を反映させて前記製造スケジュール及び前記資材調達スケジユー ルを作成するように構成することもできる。
このように構成すると、製造設備、資材の調達事情、製造請負業者等が異なる複数 の工場において、各々の工程管理能力に応じて資材調達、製造、出荷等の各種ス ケジュールを決定することができる。従って、工場や製造請負業者による能力のばら つきを補正することができ、施工時に部品を確実に現場に届けることができる。
[0011] より具体的には、前記管理基準には、材料受入検査基準、材料保管基準、製造技 術基準、設備点検基準、製品検査基準、工程検査基準、の少なくともいずれかが含
まれる。このように、部品 ·部材の製造に関する管理基準を予め詳細に定めておき、 管理基準に従って製造することにより、部品の品質を確保することができる。また、予 定スケジュールに対する遅れを防止することができる。
[0012] そして、本発明は、建物に使用する部品 ·部材の製造に関する管理基準を予め作 成し、製造管理情報格納手段に格納する工程と、受注した建物の施工に必要な部 品 ·部材の品目、数量、着工日を含む具体的発注情報を取得する工程と、前記管理 基準および前記具体的発注情報に基づき、資材調達スケジュールを含む資材発注 情報,製造品目及び加工スケジュールを含む製造指示情報,出荷スケジュールを含 む出荷指示情報,を自動で作成する工程と、前記資材調達指示情報、前記製造指 示情報、前記出荷指示情報、のいずれかに基づき前記管理基準に含まれる情報を 抽出する工程と、前記管理基準に含まれる識別表示基準に基づき、製造する部品の 各々に該部品が使用される建物の施主名を表示した識別手段を付与する工程と、前 記管理基準に含まれる識別表示基準に基づき、製造する部品の各々を該部品に表 示された施主名に基づいて集積し保管する工程と、を行うことを特徴とする。
[0013] このように、製造する部品の各々に該部品が使用される建物の施主名を表示した 識別手段を付与する工程と、前記管理基準に含まれる識別表示基準に基づき、製 造する部品の各々を該部品に表示された施主名に基づいて集積し保管する工程と、 を行うことにより、各々の部品がどの施主の現場に出荷されるのかが容易に判別可能 とされる。また、施主別にまとめて集積されていれば、出荷の際に必要な部品が漏れ ることがない。また、出荷スケジュール別に集積されることになり、集積スペースの無 駄をなくすことができる。従って、製造した部品の集積'保管を効率的に行うことがで きる。
図面の簡単な説明
[0014] [図 1]本実施形態の製造出荷システムの全体構成を示す説明図である。
[図 2]本実施形態の製造出荷システムの全体構成を示す説明図である。
[図 3]本実施形態の製造出荷システムにおける製造管理サーバの構成を示すブロッ ク図である。
[図 4]本実施形態の製造出荷システムにおける端末の構成を示すブロック図である。
[図 5]製造出荷処理の流れを示すフローチャートである。
発明を実施するための最良の形態
[0015] 本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。また、以下に説明する 配置、形状等は、本発明を限定するものではなぐ本発明の趣旨に沿って各種改変 することがでさることは勿!^である。
図 1乃至図 5は本発明の一実施形態を示す図で、図 1、図 2は製造出荷システムの 全体構成を示す説明図、図 3は製造管理サーバの構成を示すブロック図、図 4は端 末の構成を示すブロック図、図 5は製造出荷処理の流れを示すフローチャートである
[0016] (工業化住宅の提供手段)
建物を構成する部品を規格化し、予め工場で加工し、これにより現場での組み立て を最小限にした、いわゆる工業ィ匕住宅のような建物は、以下の(1)〜(5)のような情 報や手段を準備することにより提供可能となる。まず、開発段階において、(1)予め 規格化された建物構成部品の仕様、形状、構成材料、調達情報を含む部品情報と、 (2)これらの部品をどのように組み合わせると所定の形状あるいは所定の仕様の建物 が実現されるかという設計ルールと、を準備する。
[0017] 部品情報及び設計ルールは、顧客の要望を建物の形状や仕様に反映させる作業 を行う提案設計者に対し、適宜使用可能な状態で提供される。例えば、設計ルール ブックや、プラン集、事例集として提供することができる。また、部品情報を登録した データベースとして提供することができる。また、設定された部品を図面上に配置可 能なアイテムとして登録し、設計ルールに従わな 、配置を禁止する機能を備える CA Dソフトウェアとして提供することができる。また、図面上に配置されたアイテムの品目 、位置、数量、等の情報を図面情報に含めて保持する CADソフトウェアとして提供す ることがでさる。
[0018] また、規格化された部品や建築材料を適時に建設現場に供給するための具体的 手段を準備する。すなわち、(3)予め規格化された建物構成部品を製造可能な工場 設備及び製造請負業者と、(4)顧客が要望する設計内容に基づき、この設計内容を 実現するために必要な部品'部材の配置、品目、数量等を算出し、算出した情報を
工場に受け渡す調達準備システムと、 (5)調達準備システムカゝら提供された情報に 基づき、資材購買先や製造請負業者等に受け渡す指示情報を作成し、これに基づ き予め設定された基準に従って必要な部品 ·部材の製造を行い、施工計画に合わせ て適時に現場に出荷する製造出荷システムと、を備える。
[0019] (製造出荷システムの概要)
本実施形態の製造出荷システム Sは、上記(1)〜(5)のうち、(5)の製造出荷シス テムに相当するものである。すなわち、本例の製造出荷システム Sは、建物の部品- 部材の製造を行うために、前工程力も受け渡された準備情報を取得して、その情報 の内容と、前もって準備された種々の管理基準やデータとに基づいて、資材調達作 業、製造作業、出荷作業を行うための具体的な資材調達計画、製造計画、出荷計画 を作成し、これらの計画を実行させるための指示情報を、実作業の担当者に受け渡 すものである。
[0020] 前工程で作成された準備情報には、例えば、個々の受注物件につ!、ての確定した 設計内容に基づいて、受注した建物を施工するために必要な部品'部材の品目、数 量を拾い出して集計した拾い出しデータに更に調達費用などの情報を付加し、発注 先別にリストイ匕した調達準備情報としての部品発注リストが含まれる。部品発注リスト には、品目、数量だけでなぐ調達費用を積算した積算リストが含まれていてもよい。 部品発注リストには、受注物件を特定するための受注番号あるいは施主名等の情報 が含まれる。また、着工日などの施工スケジュールや、着工日等に基づき算出された 部品の調達スケジュールが含まれていてもよい。例えば、部品を工場から出荷すべき 出荷日などの情報が含まれて 、てもよ 、。
部品発注リストは、例えば、受注を確定させた事業所や営業所からの指示により作 成される。そして、必要な部品の工場への発注手続である工場投入を行う際に、工場 に受け渡される。つまり、部品発注リストは、工場投入の際に、部品の品目及び数量 を拾い出すための調達準備システム力ゝら本発明の製造出荷システム Sに送信される
[0021] また、前もって準備された種々の管理基準やデータには、例えば、後述する資材調 達計画を作成するための準備情報としての資材購買先名、価格、仕様、発注条件、
等の各種購買条件を定めた資材調達情報や、製造される部品'部材についての各 種情報、すなわち、部品'部材の仕様を定めた部品図や部品規格、あるいは各種性 能などの試験データ、等の部品情報が含まれる。また、部品の資材調達工程、製造 工程、出荷工程において適用される材料受入検査基準、材料保管基準、製造技術 基準、設備点検基準、製品検査基準、工程検査基準、工程管理基準、識別表示基 準などの管理基準が含まれる。
[0022] (製造出荷システムの構成)
まず、製造出荷システム Sの全体構成について説明する。
図 1に示すように、製造出荷システム Sは、製造管理サーバ 10と、端末 20とを備え て構成されている。製造管理サーバ 10と端末 20は、インターネット又は専用回線網 、あるいは LAN等の通信回線 Iを介して互いに接続可能に構成されている。また、製 造管理サーバ 10は、外部の調達準備サーバから、通信回線 Iを介してデータを受信 可能に構成されている。
[0023] 製造管理サーバ 10は、例えば部品を製造する各工場に付設される管理部門として の生産管理部のオフィスに設置され、部品の製造管理を担当する生産管理担当者 によって使用される。端末 20は、例えば工場内に設けられた製造請負業者のオフィ スに設置され、部品製造業務の実作業を行う製造請負業者によって利用される。端 末 20は、複数の製造請負業者がそれぞれ部品を製造する場合には、各々専用端末 を設置してもよいし、共同の端末として工場内に 1台だけ設置してもよい。また、図 2 に示すように、端末 20は、工場内あるいは生産管理部のオフィスに設置され、資材 調達担当者あるいは出荷担当者によって利用されるように構成しても良い。本例では 、資材調達担当者及び出荷担当者は管理部門に属し、それぞれ専用の端末 20を使 用するものとするが、製造請負業者が資材調達作業及び出荷作業を受託して行って もよい。この場合には、製造請負業者が使用する端末のみ設置されていればよい。
[0024] 次に、製造管理サーバ 10の構成について説明する。
図 3に示すように、製造管理サーバ 10は、各種データ及びプログラムが記憶された 記憶部 11と、通信回線 Iとの入出力インターフェースであるモデム等力もなる通信部 1 2と、記憶部 11に格納されたプログラムを読み出してこのプログラムに基づき各種の
処理を行うための CPUを備えた制御部 13と、 CRT, LCDパネル等力もなる表示部 1 4と、を有して!/、る。
製造管理サーバ 10は、例えば、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、汎用 コンピュータなどにより構成することができる。また、製造管理サーバ 10は、単独のコ ンピュータであってもよぐまた、複数のコンピュータ等力もなる情報処理装置として構 成されていてもよい。また、通信回線 Iは、例えば電話回線網等の公衆回線や、専用 通信回線とすることができる。
[0025] 記憶部 11には、各種プログラム及びデータが格納されて 、る。
例えば、工場投入の手続きに伴い、調達準備システムとしてのいわゆる仕切りシス テムから、調達準備情報としての部品発注リストのデータを受信するプログラム、受信 したデータに基づき、工場で製造する部品と外部力 購入するだけの部品とを判別 するプログラム、工場で製造する部品について、製造請負業者、資材購買先、等を 判定するプログラム、部品発注リストに含まれる着工日や出荷日などのスケジュール 情報に基づいて、各部品の購入時期や、各部品を製造するための資材の調達時期 、製造時期、出荷時期を算出するプログラム、上記各判定内容に基づき各々の担当 者が行うべき資材調達計画、製造計画、出荷計画を作成するプログラム、作成した計 画に基づき資材調達指示情報、製造指示情報、出荷指示情報を作成して各々の担 当者の端末 20に送信するプログラム、端末 20から送信された部品製造の進拔経過 情報を受信し、受信した情報と、作成した計画とに基づいて、各工程の進拔状況を 管理するプログラム、等の一部または全部が格納されて 、る。
[0026] また、記憶部 11には、上述した各種管理基準のデータが格納される。管理基準は 、工場によって設備や製造請負業者が異なっていれば、各工場別に、その能力ゃ特 性の違!ヽが反映された個別管理基準として作成されて ヽてもよ ヽ。このようにすると、 各工場における製造能力の差異を補正して、施工計画に合わせて確実に部品を出 荷することができる。
[0027] また、記憶部 11には、上述した資材調達情報や、部品情報を登録したデータべ一 スが格納されている。このデータベースには、予め選定された資材購買先名、価格、 仕様、発注条件、等の各種購買条件や、部品'部材の仕様を定めた部品図や部品
規格、あるいは各種性能などの試験データ、等の部品情報が登録されている。これら の情報は、追加、変更があれば随時更新され、最新の情報が利用可能となるように 管理されている。
部品情報を登録したデータベースには、例えば、部品を一意に特定可能な部品記 号、部品を構成する子部品や構成部材を特定する子部品記号、部品を含む親部品 がある場合には親部品を特定する親部品記号、部品の材質、形状、寸法、加工デー タ、構造計算に基づく強度データ、重量、部品 ·部材の割付に基づく接合データ、等 を登録することができる。また、部品がメーカー力も供給品であって工場での加工を 必要としない場合には、価格、納期、サプライャ名、代理店名、等を登録することがで きる。
[0028] 次に、端末 20の構成について説明する。
端末 20は、図 1に示すように、通信回線 Iを介して調達サーバ装置 10との間で各種 データを送受信可能に構成されている。製造請負業者は、端末 20から製造管理サ ーバ 10に、ログイン情報 (ID及びパスワード)や各種検索情報、各種入力情報を送 信することができる。これに基づき、製造管理サーバ 10から端末 20に各種データが 送信される。
[0029] 図 4に示すように、端末 20は、調達準備担当者がデータを入力するための入力部 2 1と、 CRT, LCDパネル等力 なる表示部 22と、通信回線 Iとの入出力インターフエ ースであるモデム等力 なる通信部 23と、各種データやプログラムが記憶された記憶 部 24と、これらを制御する CPUを備えた制御部 25を備えている。この端末 20は、例 えばパーソナルコンピュータから構成されている。また、ノ ーソナルコンピュータに代 えて、ワークステーション、汎用コンピュータなどにより構成することができる。入力部 21は、マウス、キーボード等力も構成されている。また、端末 20は、例えばレーザー プリンタなど、書類を印刷するためのプリンタ装置に接続されていてもよい。また、記 憶部 24には、製造管理サーバ 10との間でデータの送受信処理を行うためのプログ ラムが格納されている。
[0030] (製造出荷システム Sによる製造出荷処理の流れ)
次に、図 5に示すフローチャートを参照しながら、本実施形態の製造出荷システム S
で行われる製造出荷処理の流れについて説明する。この製造出荷処理は、例えば、 製造管理サーバ 10の記憶部 11に格納された各種プログラムに基づ!/、て行われる。 本例の製造出荷システム Sによる部品 ·部材の製造及び出荷の流れは、以下の (A ;)〜(D)の手順に基づき行われる。ここでは、部品として、耐カ壁パネルを構成する 子部品の一つである耐カフレームを例にとって説明する。
[0031] (A)具体的部品製造計画の作成
まず、製造管理サーバ 10は、外部の調達準備サーバ等力 送信された部品発注リ ストを受信する (ステップ Sl)。そして、製造管理サーバ 10は、受信した部品発注リス トに基づき、工場で製造すべき内製部品と外部力も購入するだけの部品とを判別し、 製造すべき部品の情報を抽出する (ステップ S2)。なお、部品発注リストが工場で製 造する内製部品のみを含むとされていた場合には、このステップは省略される。
[0032] 次に、製造管理サーバ 10は、現時点で受信している部品発注リストに基づき、具体 的部品製造計画としての資材調達計画、製造計画、出荷計画を現時点で作成する か否かの判定を行う (ステップ S3)。具体的部品製造計画は、受注建物一棟ごとにそ れぞれ作成することができる。また、一定期間内に工場投入の手続きが行われた複 数の建物に使用される部品を集計し、これらを取りまとめて製造するように具体的部 品製造計画を作成してもよい。また、出荷日力 逆算して何日までに部品を製造す ればよ 、か判定し、必要な時期が近!、部品を順次取りまとめて製造するように具体的 部品製造計画を作成してもよい。この判定は、製造管理サーバ 10が受信した各種デ ータに基づき、記憶部 11に格納されたプログラムに含まれる所定のアルゴリズムを適 用して行ってもよい。また、生産管理担当者が具体的部品製造計画の作成指示を入 力した場合には、その入力に応じて行ってもよい。
[0033] 具体的部品製造計画を作成する場合には (ステップ S3: Yes)、製造管理サーバ 1 0は、続いて、対象とする部品発注リストに含まれるデータのうち、工場で生産すべき 内製部品のデータを集計し、出荷日、品目、数量のリストを作成する (ステップ S4)。 対象とする部品発注リストの選定は、上述のように製造管理サーバ 10が受信した各 種データに基づき所定のアルゴリズムを適用して行ってもよいし、生産管理担当者が 、手動で対象とすべき部品発注リストを選定する入力を行ってもよい。
[0034] 次に、製造管理サーバ 10は、対象とする部品発注リストを集計したデータに基づき 、基本的には、出荷日に間に合うように、かつ、作業が一時期に集中せず、製造期間 中均等に各作業を行うことができるように、具体的部品製造計画を作成する (ステップ S5)。これにより、後述する資材調達計画、製造計画、出荷計画が概略作成される。 例えば、出荷日に基づき、搬入日計画を作成し、これに基づき、週間日程計画を作 成する。週間日程計画は、例えば一週間単位で日々の生産量を平均化するように作 成される。そして、この週間日程計画に基づき、製造日程計画を作成する。そして、 製造日程計画に基づき、資材調達計画を作成する。
[0035] (調達準備データ作成処理の流れ)
ステップ S5における具体的部品製造計画の作成は、上述したように、前工程で作 成された準備情報と、前もって準備された種々の管理基準やデータ等、製造管理サ ーバ 10において取得可能な各種情報を適宜利用して行うことができる。
このように、前工程力 予め必要な情報加工がなされたデータを受け取り、それに 基づいて製造を行うための各種指示情報が作成されて製造請負業者等に提供され る。従って、製造請負業者等に対し、予め定められた請負契約に基づいた内容で、 明確な製造指示を与えることができる。また、製造請負業者は、製造の実作業段階で は、複雑な情報加工なしに作業を行うことができる。これにより、生産やリードタイムを 極小化することができる。
[0036] 例えば、耐カフレームを製造する場合には、資材として軽量形鋼、鋼板、溶接ナツ ト、溶接ボルト、溶接ワイヤ、等が使用される。資材調達計画を作成するための準備 情報として、前工程において、予め資材購買先の鋼材メーカー、金属加工メーカー、 等が選定され、価格、仕様、発注条件、等の各種購買条件が定められている。資材 購買先は、購買先選定担当者により、購買条件に定めた所定の品質や供給体制等 が確保されることを確認した上で選定されている。従って、この準備情報を利用する ことにより、計画通りに資材を調達するための資材調達計画を作成することが可能と される。なお、資材購買先は、複数の中から選択可能に設定されていてもよぐ地域 別に設定されていても良い。
[0037] また、例えば、調達準備情報としての部品発注リストには、必要な耐カフレームの品
目(部品記号)及び数量のリストが含まれる。また、必要な耐カフレームを製造するの に必要な資材の品目及び数量を資材購買先別にリストイ匕した資材発注リストを含ん でいてもよい。また、これらのリストには、調達費用と、着工日などのスケジュール情報 が含まれていてもよい。
上記のように、資材調達計画として、発注リストを集計して得た数量及び品目と、着 ェ日などのスケジュール情報と、資材調達計画を作成するための準備情報として予 め設定された調達や製造の所要期間とに基づき、いつ、どの資材を、どこに発注し、 いつ受け入れるかという資材調達スケジュールを適切に作成することができる。これ により、必要なとき(工場力 現場への出荷日)力 何日前に材料を入れて何日前に 作るという情報を確保することにより、部品を必要な時に必要なだけ作ることができ、 在庫を抱える必要がない。従って、保管費用が削減される。
[0038] 続 ヽて、作成された具体的部品製造計画に基づき、資材調達担当者に資材調達 指示情報を、製造請負業者に製造指示情報を、出荷担当者に出荷指示情報を、生 産管理担当者側からそれぞれ受け渡す (ステップ S6)。具体的には、例えば、製造 管理サーバ 10から端末 20へ各指示情報を送信する。この指示情報に基づき、以下 (B)〜 (D)に示すような各作業が行われる。
[0039] (B)資材調達
次に、製造管理サーバ 10で作成された資材調達計画に基づいて行われる資材調 達作業について説明する。
資材調達担当者は、ステップ S6において製造管理サーバ 10から送信された資材 調達指示情報を受信し、端末に表示する (ステップ S7a)。なお、この端末は、上述し たように、製造請負業者の端末 20と同一の端末であってもよいし、別の端末であって もよい。また、製造管理サーバ 10から外部に情報を送信せず、製造管理サーバ 10 の表示部 14に表示させて情報を確認してもよい。
[0040] 確認した情報に基づき、資材調達担当者は、資材供給者に資材発注を行う。そし て、納品予定日に向けて受け入れ準備を行う。すなわち、資材調達指示情報に基づ いて資材発注処理が行われたことに基づき、端末 20から製造管理サーバ 10に検索 情報を送信し、資材の受け入れ及び保管に必要な情報を取得する (ステップ S8a)。
ここで必要な情報とは、予め定められた材料受入検査基準に従って受け入れ検査を 行うために必要な情報と、受け入れた資材を予め定められた材料保管基準に従って 保管するために必要な情報である。そして、発注した資材が納品されると、取得した 情報に基づいて受け入れ検査を行い、合格した資材を保管する。なお、端末 20に予 め各種情報を格納しておき、必要な情報を端末 20内で検索 ·取得してもよ 、。
[0041] 納品された資材の受け入れ検査は、例えば、材料受入検査基準に定められた以下 のような方法によって行われる。まず、資材の入庫ごとに、検査の教育を受けた納品 検査担当者が、納品物の数量、寸法、メーカー名、を納品書により確認する。そして 、ロット Noをメーカーラベルまたは荷札により確認する。確認方法は例えば目視によ る。そして、合格と判定された納品物は、識別表示基準に基づいて所定の表示が付 される。これにより、識別可能とされる。そして、所定の置場に、予め定められた材料 保管基準に従って保管される。
[0042] (C)製造
次に、製造管理サーバ 10で作成された製造計画に基づき、予め定められた製造 技術基準及び工程管理基準に従って部品の製造を行う製造作業について説明する 製造計画として、上記準備情報に含まれる必要な耐カフレームの品目(部品記号) 及び数量のリストと、着工日などのスケジュール情報と、その他利用可能な情報に基 づき、どの部品を、工場内のどの製造請負業者に、どのようなスケジュールで製造さ せるかが決定され、製造請負業者に与える製造指示情報が作成される。
[0043] 製造指示情報には、例えば、部品図、組み立て図、工程図、積算リスト等が含まれ る。また、邸別生産用製造指示書、週間発注工程表、ロット生産用製造指示書、等が 含まれる。この中で、邸別生産用製造指示書は、施主ごとに部品をとりまとめて管理 するためのものである。また、週間発注工程表は、週間日程計画に基づき、材料搬 入と製造とを毎日一定量行うように設定したものである。これにより、現場への出荷は 日により多少があっても、毎日の製造作業は一定量ずつ行われるように調整される。
[0044] 製造請負業者は、ステップ S6において製造管理サーバ 10から送信された製造指 示情報を受信し、端末に表示する (ステップ S7b)。次に、確認した情報に基づき、製
造請負業者は、製造作業を行う。また、設備点検基準に基づき、製造設備や治具の 点検や整備を行う。そして、完成した製品に対して予め定められた製品検査基準に 従って抜き取り検査を行い、合格品カゝ否かを判定する。
すなわち、製造指示情報に基づいて製造準備を行う工程において、端末 20から製 造管理サーバ 10に検索情報を送信し、製造作業、設備点検、製品検査等に必要な 情報を取得する (ステップ S8b)。ここで必要な情報とは、上記各作業について予め 定められた管理基準に従って作業を行うために必要な情報である。
[0045] 製造請負業者は、例えば、耐カフレームの製造作業では、まず、上記材料保管基 準に従って保管された軽量形鋼、鋼板、溶接ナット、溶接ボルト、溶接ワイヤ、等の資 材を必要分出庫し、資材の加工に伴って、順次製造ラインの所定場所に設置する。 出庫の際には、保管担当者に連絡する。また、置場の場所、置場に設置されたかん ばん、資材に付されたラベル等により、使用する資材を間違いなく識別することがで きる。
[0046] そして、まず、鋼材に孔開け、切断等の加工を行う。上記と同様に、予め定められた 製造技術基準に従い、製造ロットの初回、あるいは始業時の最初の製造において、 孔位置、孔径、孔かえり、切断寸法、切断かえり等を確認する。確認方法は、目視、ノ ギスあるいはコンベックスを用いた測定による。そして規格値との相違が許容範囲を 超える場合には、手直し基準に従って、加工した資材を加工しなおす。
次に、溶接ナット及び溶接ボルトを鋼材に溶接する加工を行う。このとき、予め定め られた製造技術基準に従い、製造ロットの初回、あるいは始業時の最初の製造にお いて、溶接したナット、ボルトの脱落の有無、溶接電流、通電時間等を確認する。確 認方法は、目視あるいは溶接モニターによる。
[0047] 次に、予め定められた識別表示基準に従い、邸別生産用製造指示書、週間発注 工程表、ロット生産用製造指示書に従って加工した各資材や部品に対して、識別表 示を行う。例えば、邸別生産用製造指示書に基づき加工した各資材や部品には、施 主名を表示する。表示方法は、例えばラベル等の貼付、スタンプ、マーキングなどに より行うことができる。また、必要に応じて、ロット No、品目(部品記号)、製造日、作業 者名等を表示する。
[0048] 続 、て、鋼材同士を組立溶接する加工を行う。このとき、予め定められた製造技術 基準に従い、製造ロットの初回、あるいは始業時の最初の製造において、フレーム高 さ、フレーム幅、対角寸法差、変型、曲がり、ねじれ、溶接長、溶接電流、溶接電圧、 炭酸ガス流量等を確認する。確認方法は、目視、電流計、電圧計、流量計等による。 そして確認した値が許容範囲外の場合には、手直し基準に従って修正する。また、 溶接箇所のグラインダー仕上げ、スパッタ除去を行う。
[0049] 以上の加工によりフレーム形状が出来上がると、続いて、部品図との照らし合わせ で検査を行う。上記確認項目のうち、フレーム高さ、フレーム幅、対角寸法差、孔位 置、溶接長、曲がり、ねじれ、変型等を確認する。そして、合格であれば、検査完了 表示及び工程検査員名の表示を行う。続いて、製品検査を行い、同様に、検査完了 表示及び検査員名の表示を行う。そして、フレームに電着塗装を行ったのち、検査 及び識別表示を行う。
[0050] (D)出荷
次に、製造管理サーバ 10で作成された出荷計画に基づいて行われる出荷作業に ついて説明する。
出荷担当者は、ステップ S6において製造管理サーバ 10から送信された出荷指示 情報を受信し、端末に表示する (ステップ S7c)。そして、確認した情報に基づき、出 荷日に向けて出荷の準備を行う。出荷担当者は、端末 20から製造管理サーバ 10に 検索情報を送信し、出荷の準備に必要な情報を取得し (ステップ S8c)、利用すること ができる。
[0051] 具体的には、完成した部品のうち、上記各検査に合格した合格品については、製 品保管基準に従い、部品に表示された施主名ごとに集積し保管されている。このよう に、出荷される部品は 1棟分ずつまとめて保管され、トラックに積み易いように荷造り される。これにより、各々の部品がどの施主の現場に出荷されるのかが容易に判別可 能とされる。また、施主別にまとめて集積されていれば、出荷の際に必要な部品が漏 れることがない。また、出荷スケジュール別に集積されることになり、集積スペースの 無駄をなくすことができる。従って、製造した部品の集積'保管を効率的に行うことが できる。
[0052] そして、出荷担当者は、配車計画を立て、出荷許可証の発行を受ける手続きを行う 。続いて、配車が整うと、出荷スケジュールに従って積み込み作業を行い、出荷検収 を行って現場へ向けて発送する。輸送業務は委託業者が行い、現場で荷卸作業を 行う。出荷担当者は、出荷検収が完了すると現場への引渡しが終了(出荷完了)した として、売上として計上する手続きを行う。以上のようにして、製造から出荷までの各 作業が完了する。
[0053] 以上のように、本発明によれば、以下のような効果を奏する。
本発明の製造出荷システム及び製造出荷方法によれば、予め準備した管理基準と 具体的発注情報とを利用することにより、資材調達、製造加工、出荷等の各種スケジ ユールを、施工時に部品が確実に現場に届くように決定することができる。また、資材 調達指示情報、製造指示情報、出荷指示情報を作成して各担当者に受け渡し、各 担当者は必要に応じて管理基準などのデータを利用することができる。これにより、 効率よく部品の製造を行うことが可能となる。また、施工時に部品を確実に現場に届 けることができる。また逆に、工場に不要な部品が滞留することがなぐ管理コストを削 減することができる。
[0054] また、識別表示基準、製品保管基準に従って部品を管理することにより、各々の部 品がどの施主の現場に出荷されるのかが容易に判別可能とされる。また、施主別に まとめて集積されていれば、出荷の際に必要な部品が漏れることがない。また、出荷 スケジュール別に集積されることになり、集積スペースの無駄をなくすことができる。 従って、製造した部品の集積'保管を効率的に行うことができる。
各々の工場または製造請負業者における工程管理能力を反映させた個別工程管 理基準を予め準備することにより、各々の工程管理能力に応じて資材調達、製造、 出荷等の各種スケジュールを決定することができる。従って、工場による能力のばら つきを補正することができ、施工時に部品を確実に現場に届けることができる。