明 細 書
無線装置
技術分野
[0001] この発明は、無線装置に関し、特に、複数の無線装置によって、自律的、かつ、即 時的に構築されるアドホックネットワークを構成する無線装置に関するものである。 背景技術
[0002] アドホックネットワークは、複数の無線装置が相互に通信を行なうことによって自律 的、かつ、即時的に構築されるネットワークである。アドホックネットワークでは、通信 する 2つの無線装置が互 、の通信エリアに存在しな!、場合、 2つの無線装置の中間 に位置する無線装置がルータとして機能し、データパケットを中継するので、広範囲 のマルチホップネットワークを形成することができる。
[0003] このようなアドホックネットワークは、被災地での無線通信網や ITS (Intelligent Tr ansport Systems)車車間通信でのストリーミングなど、様々な方面に応用されよう としている (非特許文献 1)。
[0004] マルチホップ通信をサポートする動的なルーティングプロトコルとしては、テーブル 駆動型プロトコルとオンデマンド型プロトコルとがある。テーブル駆動型プロトコルは、 定期的に経路に関する制御情報の交換を行ない、予め経路表を構築しておくもので あり、 FSR (Fish— eye State Routing)、 OLSR (Optimized Link State Ro uting)および TBRPF (Topology Dissemination Based on Reverse― Path Forwarding)等が知られて 、る。
[0005] また、オンデマンド型プロトコルは、データ送信の要求が発生した時点で、初めて宛 先までの経路を構築するものであり、 DSR (Dynamic Source Routing)および A ODV(Ad Hoc On -Demand Distance Vector Routing)等が知られてい る。
[0006] そして、従来のアドホックネットワークにおいては、送信元から送信先へデータ通信 を行なう場合、送信元カゝら送信先までのホップ数ができる限り少なくなるように通信経 路が決定される (非特許文献 2)。
[0007] しかし、無線環境は不安定であるため、ホップ数が少な 、経路が必ずしも品質の良 い経路であるとは限らない。そのため、何らかの方法によって安定な経路のみを選択 する方が良ぐその主な方法として信号強度閾値を導入する方法と、パケットロス率を 観測する方法とが知られて!/ヽる。
[0008] パケットロス率を観測する方法は、パケットロスが連続的に発生している場合に効果 的である。
[0009] また、信号強度閾値を導入する方法として、信号強度の平均値を用いて安定な経 路を抽出する方法が知られて ヽる (非特許文献 3)。
非特許文献 1:渡辺正浩"無線アドホックネットヮーグ', 自動車技術会春季大会ヒユー マ卜口-タスフォーラム, ppl8 - 23,横浜, 5月 2003年.
非特干文献 2: Guangyu Pel, at al, Fisneye state routing: a routing scheme for ad h oc wireless networks", ICC2000. Commun., Volume 1, pp70- 74, L.A., June 2000. 非特許文献 3 : Robit Dube, Cynthia D. Rais, Kuang-Yeh Wang, and Satish K. Tripat hi,"bignal Stability based Adaptive Routing (SSA) for Ad-Hoc Mobile Networks , IE EE Personal Communications, February 1997, pp.36— 45.
発明の開示
[0010] し力し、パケットロス率を用いる方法においては、ある地点では、パケットロスが殆ど ないが、電波強度が非常に弱ぐその地点の周りでは、通信状態が不安定になって いる場合もある。また、通信可能範囲ぎりぎりの電波環境におけるパケットロスの発生 の仕方は、複雑であり、予測困難である。
[0011] 図 32Aおよび図 32Bは、それぞれ、パケット到着間隔と、受信パケット数との関係を 示す第 1および第 2の図である。図 32Aは、無線装置間のリンクが安定である場合を 示し、図 32Bは、無線装置間のリンクが不安定である場合を示す。
[0012] また、図 32Aおよび図 32Bにおいて、縦軸は、パケット到着間隔を表し、横軸は、 受信パケット数を表す。無線装置間のリンクが安定である場合、殆どのパケットは、一 定の間隔で到着する(図 32A参照)。一方、無線装置間のリンクが不安定である場合 、パケット到着間隔は、複雑に変化する(図 32B参照)。従って、無線装置間のリンク が不安定である電波環境にぉ 、て、パケットロスの発生の仕方を予測するのは困難
である。
[0013] 一方、平均値を閾値として導入する方法では、実際の信号強度は、距離にのみ依 存せず、無線装置が固定されている場合でも大きく揺らいでいる。図 33は、受信信 号強度のタイミングチャートである。図 33において、縦軸は、受信信号強度を表し、 横軸は、時間を表す。そして、図 33に示された受信信号強度における" 0. 05"の変 化幅は、 lOdBmの変化幅に相当する。受信信号強度は、図 33に示すように、時間 の経過とともに大きく揺らぎ、その揺らぎ幅は、最大で約 35dBmである。このように、 受信信号強度は、無線装置が固定されている場合であっても、大きく揺らぐ。
[0014] 従って、信号強度閾値を高く設定し過ぎると、実際には、安定なリンクを持つ無線 装置における受信信号強度が閾値を何度も横切り、ルーティングテーブルの書き換 えが頻繁に生じ、ネットワーク内においてルーティングテーブルの不整合が発生し易 くなるという問題がある。その結果、ネットワーク内にループが発生する場合があり、パ ケットの到着順序が大幅に入れ替わったり、パケットロスが増加したりするという問題 がある。
[0015] そこで、この発明は、力かる問題を解決するためになされたものであり、その目的は 、安定したルーティングが可能な無線装置を提供することである。
[0016] この発明によれば、無線装置は、自律的に確立され、かつ、送信元と送信先との間 で無線通信が行なわれる無線ネットワークを構成する無線装置であって、閾値決定 手段と、テーブル作成手段とを備える。閾値決定手段は、 n(nは正の整数)個の無線 装置力 受信した複数の受信電波に基づいて、安定な電波環境において送受信さ れる電波の最低電波特性以上の電波特性を検出するための閾値を決定する。テー ブル作成手段は、決定された閾値以上の電波特性を有する経路の経路情報に基づ V、て、送信元と送信先との間の経路情報を示すルーティングテーブルを作成する。
[0017] 好ましくは、閾値決定手段は、安定な電波環境において送受信される電波の最小 強度以上の強度を検出するための閾値を決定する。テーブル作成手段は、決定され た閾値以上の強度を有する経路の経路情報に基づ!/、て、ルーティングテーブルを作 成する。
[0018] 好ましくは、閾値決定手段は、信号強度検出手段と、並替手段と、設定手段とを含
む。信号強度検出手段は、複数の受信電波に基づいて、 m (mは所定数以上の整数 )個の最大受信信号強度と m個の最大受信信号強度に対応する m個の最小受信信 号強度とからなる第 1の m個の信号強度ペアを検出する信号強度検出処理を実行す る。並替手段は、 m個の最大受信信号強度が大きい順または小さい順になるように 検出された第 1の m個の信号強度ペアを並べ替えて第 2の m個の信号強度ペアを作 成する並替処理を実行する。設定手段は、第 2の m個の信号強度ペアを構成する m 個の最大受信信号強度において隣接する 2つの最大受信信号強度の差が最大にな るときの第 1および第 2の最大受信信号強度に対応する第 1および第 2の最小受信信 号強度を検出し、その検出した第 1および第 2の最小受信信号強度を両端とする範 囲に前記閾値を設定する。
[0019] 好ましくは、 nは、 n=mである。信号強度検出手段は、 1つの無線装置から複数の 電波を順次受信し、その受信した複数の電波から 1組の最大受信信号強度および最 小受信信号強度を検出する信号強度検出処理を n個の無線装置について実行し、 第 1の m個の信号強度ペアを検出する。
[0020] 好ましくは、 nは、所定数よりも小さい整数である。信号強度検出手段は、送受信の 電波強度を変えながら n個の無線装置力 送信された複数の電波に基づいて、第 1 の m個の信号強度ペアを検出する。
[0021] 好ましくは、パケットエラーが所定値以上であるとき、信号強度検出手段は、信号強 度検出処理を再度実行して新たな第 1の m個の信号強度ペアを検出し、並替手段は 、新たな第 1の m個の信号強度ペアに基づいて並替処理を実行して新たな第 2の m 個の信号強度ペアを作成し、設定手段は、新たな第 2の m個の信号強度ペアに基づ いて、新たな第 1および第 2の最小受信信号強度を検出し、その検出した新たな第 1 および第 2の最小受信信号強度を両端とする範囲に閾値を設定して閾値を更新する
[0022] 好ましくは、所定数は、閾値を安定して決定可能な無線装置の数を示す。 n個の無 線装置が所定数以上に増加したとき、信号強度検出手段は、信号強度検出処理を 再度実行して新たな第 1の m個の信号強度ペアを検出し、並替手段は、新たな第 1 の m個の信号強度ペアに基づいて並替処理を実行して新たな第 2の m個の信号強
度ペアを作成し、設定手段は、新たな第 2の m個の信号強度ペアに基づいて、新た な第 1および第 2の最小受信信号強度を検出し、その検出した新たな第 1および第 2 の最小受信信号強度を両端とする範囲に閾値を設定して閾値を更新する。
[0023] 好ましくは、一定個数の無線装置が前記 n個の無線装置に追加されたとき、信号強 度検出手段は、一定個数の無線装置および n個の無線装置力 受信した複数の受 信電波に基づいて、信号強度検出処理を再度実行して新たな第 1の m個の信号強 度ペアを検出し、並替手段は、新たな第 1の m個の信号強度ペアに基づいて並替処 理を実行して新たな第 2の m個の信号強度ペアを作成し、設定手段は、新たな第 2の m個の信号強度ペアに基づいて、新たな第 1および第 2の最小受信信号強度を検出 し、その検出した新たな第 1および第 2の最小受信信号強度を両端とする範囲に閾 値を設定して閾値を更新する。
[0024] 好ましくは、信号強度検出手段は、 n個の無線装置力 送信され、かつ、各々が経 路情報を含む複数のパケットを受信して第 1の m個の信号強度ペアを検出する。
[0025] 好ましくは、閾値決定手段は、電波を送信した無線装置を当該無線装置に隣接す る隣接無線装置として隣接装置リストに登録するための第 1の閾値と、第 1の閾値と所 定の差を有し、かつ、電波を送信した無線装置を隣接装置リストから削除するための 第 2の閾値とを第 1および第 2の閾値が相互に対応する電波特性の最大値および最 小値力 なるように決定し、テーブル作成手段は、決定された第 1の閾値以上の電波 特性を有する電波を送信した無線装置を隣接装置リストに登録してルーティングテー ブルを作成し、決定された第 2の閾値よりも低 ゝ電波特性を有する電波を送信した無 線装置を隣接装置リストから削除してルーティングテーブルを更新する。
[0026] 好ましくは、電波特性は、電波の受信強度であり、閾値決定手段は、複数の受信電
、て、 m (mは所定数以上の整数)個の最大受信信号強度と m個の最大受 信信号強度に対応する m個の最小受信信号強度とからなる第 1の m個の信号強度 ペアを検出する信号強度検出処理を実行する信号強度検出手段と、 m個の最大受 信信号強度が大きい順または小さい順になるように検出された第 1の m個の信号強 度ペアを並べ替えて第 2の m個の信号強度ペアを作成する並替処理を実行する並 替手段と、第 2の m個の信号強度ペアを構成する m個の最大受信信号強度において
隣接する 2つの最大受信信号強度の差が最大になるときの第 1および第 2の最大受 信信号強度と、第 1および第 2の最大受信信号強度に対応する第 1および第 2の最 小受信信号強度とを検出し、検出した第 1および第 2の最大受信信号強度に基づい て第 1の閾値を決定し、検出した第 1および第 2の最小受信信号強度に基づいて第 2 の閾値を決定する決定手段とを含む。
[0027] 好ましくは、電波特性は、電波の受信強度である。閾値決定手段は、複数の受信 電波に基づ!、て、 m (mは所定数以上の整数)個の最大受信信号強度と m個の最大 受信信号強度に対応する m個の最小受信信号強度とからなる第 1の m個の信号強 度ペアを検出する信号強度検出処理を実行する信号強度検出手段と、 m個の最大 受信信号強度が大きい順または小さい順になるように検出された第 1の m個の信号 強度ペアを並べ替えて第 2の m個の信号強度ペアを作成する並替処理を実行する 並替手段と、パケットエラーのしきい値と所定の差を有する受信信号強度を第 2の閾 値と決定するとともに、第 2の閾値が第 2の m個の信号強度ペアを構成する m個の最 小受信信号強度を繋いだ曲線と交差するときの最小受信信号強度に対応する最大 受信信号を第 1の閾値と決定する決定手段とを含む。
[0028] この発明による無線装置にお!、ては、安定な電波環境にぉ 、て送受信される電波 の全ての受信信号強度を検出するための閾値が決定され、その決定された閾値以 上の受信信号強度を有する経路の経路情報に基づ 、て、ルーティングテーブルが 作成される。その結果、ルーティングテーブルが頻繁に書き換えられることが抑制さ れる。
[0029] 従って、この発明によれば、安定したルーティングを行なうことができる。
図面の簡単な説明
[0030] [図 1]この発明の実施の形態による無線装置を用いた無線ネットワークシステムの概 略図である。
[図 2]図 1に示す無線装置の実施の形態 1における構成を示す概略ブロック図である
[図 3]IPヘッダの構成図である。
[図 4]TCPヘッダの構成図である。
[図 5]OLSRプロトコルにおけるパケット PKTの構成図である。
[図 6]図 2に示すルーティングテーブルの構成図である。
[図 7]図 2に示すルーティングデーモンの機能ブロック図である。
[図 8]並べ替えの概念図である。
[図 9]受信信号強度と、無線装置の数との関係を示す図である。
圆 10]複数の最大値が大きい順に並べ換えられたときの受信信号強度およびバケツ トエラー率と、無線装置の数との関係を示す図である。
圆 11]隣の無線装置に関する情報力もなるネイバ一リストを示す図である。
[図 12A]他のネイバ一リストを示す第 1の図である。
[図 12B]他のネイバ一リストを示す第 2の図である。
[図 12C]他のネイバ一リストを示す第 3の図である。
[図 12D]他のネイバ一リストを示す第 4の図である。
[図 13A]他のネイバ一リストを示す第 5の図である。
[図 13B]他のネイバ一リストを示す第 6の図である。
[図 13C]ルーティングテーブルを示す図である。
[図 14]ルーティングテーブルを作成する動作を説明するための実施の形態 1におけ るフローチャートである。
[図 15]図 14に示すステップ S1の詳細な動作を説明するためのフローチャートである
[図 16]図 14に示すステップ S2の詳細な動作を説明するためのフローチャートである
[図 17]図 14に示すステップ S1の詳細な動作を説明するための他のフローチャートで ある。
[図 18]ルーティングテーブルを作成する動作を説明するための他のフローチャートで ある。
[図 19]ルーティングテーブルを作成する動作を説明するための更に他のフローチヤ ートである。
[図 20]ルーティングテーブルを作成する動作を説明するための更に他のフローチヤ
ートである。
[図 21]パケットエラー率と実験回数との関係を示す図である。
[図 22]図 1に示す無線装置の実施の形態 2における構成を示す概略ブロック図であ る。
[図 23]図 22に示すルーティングデーモンの機能ブロック図である。
[図 24]実施の形態 2における閾値の決定方法を説明するための図である。
[図 25] 2つの閾値を用いたネイバ一リストの更新を示す図である。
[図 26]2つの閾値を用いたルーティングテーブルの更新を示す図である。
[図 27]ルーティングテーブルを作成する動作を説明するための実施の形態 2におけ るフローチャートである。
[図 28]図 27に示すステップ S2Aの詳細な動作を説明するためのフローチャートであ る。
[図 29]実施の形態 2における閾値の決定方法を説明するための他の図である。
[図 30]ルーティングテーブルを作成する動作を説明するための実施の形態 2におけ る他のフローチャートである。
[図 31]図 30に示すステップ S2Bの詳細な動作を説明するためのフローチャートであ る。
[図 32A]パケット到着間隔と、受信パケット数との関係を示す第 1の図である。
[図 32B]パケット到着間隔と、受信パケット数との関係を示す第 2の図である。
[図 33]受信信号強度のタイミングチャートである。
発明を実施するための最良の形態
[0031] 本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同 一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
[0032] 図 1は、この発明の実施の形態による無線装置を用いた無線ネットワークシステム の概略図である。無線ネットワークシステム 100は、無線装置 31〜43を備える。無線 装置 31〜43は、無線通信空間に配置され、自律的にネットワークを構成している。 アンテナ 51〜63は、それぞれ、無線装置 31〜43に装着される。
[0033] 例えば、無線装置 31から無線装置 42へデータを送信する場合、無線装置 32, 35
〜41は、無線装置 31からのデータを中継して無線装置 42へ届ける。
[0034] この場合、無線装置 31は、各種の経路を介して無線装置 42との間で無線通信を 行なうことができる。即ち、無線装置 31は、無線装置 37, 41を介して無線装置 42と の間で無線通信を行なうことができ、無線装置 32, 36, 39を介して無線装置 42との 間で無線通信を行なうこともでき、無線装置 32, 35, 38, 40を介して無線装置 42と の間で無線通信を行なうこともできる。
[0035] 無線装置 37, 41を介して無線通信を行なう場合、ホップ数が" 3"と最も少なぐ無 線装置 32, 36, 39を介して無線通信を行なう場合、ホップ数力 4"であり、無線装置 32, 35, 38, 40を介して無線通信を行なう場合、ホップ数が" 5"と最も多い。
[0036] 従って、無線装置 37, 41を介して無線通信を行なう経路を選択すると、ホップ数が "3"と最も少なくなる。
[0037] しかし、無線装置 31 無線装置 37 無線装置 41 無線装置 42の経路によって 無線装置 31と無線装置 42との間で無線通信を行なうことが無線装置 31, 42間の安 定した無線通信を保証するわけではな 、。
[0038] そこで、以下においては、無線ネットワークシステム 100において、安定した経路か らなるルーティングテーブルを作成し、その作成したルーティングテーブルに基づ!/ヽ て送信元と送信先との間で無線通信を行なう方法について説明する。
[0039] なお、送信元と送信先との間で通信経路を確立するプロトコルの例として OLSRプ ロトコルを用いる。この OLSRプロトコルは、テーブル駆動型のルーティングプロトコル であり、 Helloメッセージおよび TC (Topology Control)メッセージを用いて経路情 報を交換し、ルーティングテーブルを作成するプロトコルである。
[0040] [実施の形態 1]
図 2は、図 1に示す無線装置 31の実施の形態 1における構成を示す概略ブロック 図である。無線装置 31は、アンテナ 11と、入力部 12と、出力部 13と、ユーザアプリケ ーシヨン 14と、通信制御部 15とを含む。
[0041] アンテナ 11は、図 1に示すアンテナ 51〜63の各々を構成する。そして、アンテナ 1 1は、無線通信空間を介して他の無線装置力 データを受信し、その受信したデータ を通信制御部 15へ出力するとともに、通信制御部 15からのデータを無線通信空間
を介して他の無線装置へ送信する。
[0042] 入力部 12は、無線装置 1の操作者が入力したメッセージおよびデータの宛先を受 付け、その受付けたメッセージおよび宛先をユーザアプリケーション 14へ出力する。 出力部 13は、ユーザアプリケーション 14からの制御に従ってメッセージを表示する。
[0043] ユーザアプリケーション 14は、入力部 12からのメッセージおよび宛先に基づいてデ ータを生成して通信制御部 15へ出力する。
[0044] 通信制御部 15は、 ARPA (Advanced Research Projects Agency)インター ネット階層構造に従って、通信制御を行なう複数のモジュール力もなる。即ち、通信 制御部 15は、無線インターフェースモジュール 16と、 MAC (Media Access Con trol)モジュール 17と、バッファ 18と、 LLC (Logical Link Control)モジュール 19 と、 IP (Internet Protocol)モジュール 20と、ルーティングテーブル 21と、 TCPモ ジュール 22と、 UDPモジュール 23と、ルーティングデーモン 24とからなる。
[0045] 無線インターフェースモジュール 16は、物理層に属し、所定の規定に従って送信 信号または受信信号の変復調を行なうとともに、アンテナ 11を介して信号を送受信 する。そして、無線インターフェースモジュール 16は、アンテナ 11が他の無線装置か ら受信した Helloパケットの受信信号強度を検出し、その検出した受信信号強度をル 一ティングデーモン 24へ出力する。
[0046] MACモジュール 17は、 MAC層に属し、 MACプロトコルを実行して、以下に述べ る各種の機能を実行する。
[0047] 即ち、 MACモジュール 17は、ルーティングデーモン 24から受けた Helloパケットを 無線インターフェースモジュール 16を介してブロードキャストする。
[0048] また、 MACモジュール 17は、データ(パケット)の再送制御等を行なう。
[0049] ノッファ 18は、データリンク層に属し、パケットを一時的に格納する。
[0050] LLCモジュール 19は、データリンク層に属し、 LLCプロトコルを実行して隣接する 無線装置との間でリンクの接続および解放を行なう。
[0051] IPモジュール 20は、インターネット層に属し、 IPパケットを生成する。 IPパケットは、 IPヘッダと、上位のプロトコルのパケットを格納するための IPデータ部とからなる。そ して、 IPモジュール 20は、 TCPモジュール 22からデータを受けると、その受けたデ
ータを IPデータ部に格納して IPパケットを生成する。
[0052] そうすると、 IPモジュール 20は、テーブル駆動型のルーティングプロトコルである O LSRプロトコルに従ってルーティングテーブル 21を検索し、生成した IPパケットを送 信するための経路を決定する。そして、 IPモジュール 20は、 IPパケットを LLCモジュ ール 19へ送信し、決定した経路に沿って IPパケットを送信先へ送信する。
[0053] ルーティングテーブル 21は、インターネット層に属し、後述するように、各送信先に 対応付けて経路情報を格納する。
[0054] TCPモジュール 22は、トランスポート層に属し、 TCPパケットを生成する。 TCPパケ ットは、 TCPヘッダと、上位のプロトコルのデータを格納するための TCPデータ部とか らなる。そして、 TCPモジュール 22は、生成した TCPパケットを IPモジュール 20へ送 信する。
[0055] UDPモジュール 23は、トランスポート層に属し、ルーティングデーモン 24によって 作成された Updateパケットをブロードキャストし、他の無線装置からブロードキャスト された Updateパケットを受信してルーティングデーモン 24へ出力する。
[0056] ルーティングデーモン 24は、プロセス Zアプリケーション層に属し、他の通信制御 モジュールの実行状態を監視するとともに、他の通信制御モジュールからのリクエスト を処理する。
[0057] また、ルーティングデーモン 24は、後述する方法によって、安定な電波環境にぉ ヽ て送受信される電波の最小強度以上の受信信号強度を決定するための閾値を決定 し、その決定した閾値以上の受信信号強度を有する Helloパケットの経路情報に基 づいて、最適な経路を算出してルーティングテーブル 21をインターネット層に動的に 作成する。
[0058] 更に、ルーティングデーモン 24は、無線ネットワークシステム 100における経路情 報を他の無線装置へ送信するとき、隣接する無線装置に関する情報等の各種のメッ セージを含む Helloパケットを作成し、その作成した Helloパケットを MACモジユー ル 17へ出力する。
[0059] なお、図 1に示す無線装置 32〜43の各々も、図 2に示す無線装置 31の構成と同じ 構成からなる。
[0060] 図 3は、 IPヘッダの構成図である。 IPヘッダは、バージョン、ヘッダ長、サービスタイ プ、パケット長、識別番号、フラグ、フラグメントオフセット、生存時間、プロトコル、へッ ダチェックサム、送信元 IPアドレス、送信先 IPアドレス、およびオプション力もなる。
[0061] 図 4は、 TCPヘッダの構成図である。 TCPヘッダは、送信元ポート番号、送信先ポ ート番号、シーケンス番号、確認応答 (ACK)番号、データオフセット、予約、フラグ、 ウィンドサイズ、ヘッダチェックサムおよびァージェントポインタからなる。
[0062] 送信元ポート番号は、送信元の無線装置で複数のアプリケーションが動作している ときに、 TCPパケットを出力したアプリケーションを特定する番号である。また、送信 先ポート番号は、送信先の無線装置で複数のアプリケーションが動作しているときに 、 TCPパケットを届けるアプリケーションを特定する番号である。
[0063] TCP通信は、エンド'ッ一 ·エンドのコネクション型通信プロトコルである。 TCP通信 のコネクション接続を要求する無線装置 (以下、「TCP通信接続要求装置」という。 ) の TCPモジュール 22は、コネクションの確立時に、 TCPヘッダ内の Code Bitに SY N (Synchronize Flag)を設定したコネクションの接続要求を示す第 1パケットを TC P通信のコネクション接続を受理する端末 (以下、「TCP通信接続受理装置」という。 ) の TCPモジュール 22へ送信する。これを受けて、 TCP通信接続受理装置の TCPモ ジュール 22は、 TCPヘッダ内の Code Bitに SYNおよび ACK (確認応答)を設定し たコネクションの接続要求受理および接続完了を示す第 2パケットを TCP通信接続 要求装置の TCPモジュール 22へ送信する。更に、これを受けて、 TCP通信接続要 求装置の TCPモジュール 22は、 TCPヘッダ内の Code Bitを ACK (確認応答)に 設定したコネクションの接続完了を示す第 3パケットを TCP通信接続受理装置の TC Pモジュール 22へ送信する。
[0064] コネクションの切断要求は、 TCP通信要求装置および TCP通信受理装置のいず れの側力 でも行なうことができる。 TCP通信のコネクション切断を要求する無線装 置(以下、「TCP通信切断要求装置」という。)の TCPモジュール 22は、コネクション の切断時に、 TCPヘッダ内の Code Bitを FIN (Finish Flag)に設定したコネクショ ンの切断要求を示す第 1パケットを TCP通信のコネクション切断を受理する無線装置 (以下、「TCP通信切断受理装置」という。)へ送信する。これを受けて、 TCP通信切
断受理装置の TCPモジュール 22は、 TCPヘッダ内の Code Bitを ACK (確認応答) に設定したコネクションの切断要求受理を示す第 2パケットと、 TCPヘッダ内の Code Bitを FINに設定したコネクションの切断完了を示す第 3パケットを TCP通信切断要 求装置の TCPモジュール 22へ送信する。更に、これを受けて、 TCP通信切断要求 装置の TCPモジュール 22は、 TCPヘッダ内の Code Bitを ACK (確認応答)に設定 したコネクションの切断完了を示す第 4パケットを TCP通信切断受理装置の TCPモ ジュール 22へ送信する。
[0065] 図 5は、 OLSRプロトコルにおけるパケット PKTの構成図である。パケット PKTは、 パケットヘッダ PHDと、メッセージヘッダ MHD1, MHD2, · · ·とからなる。なお、ノ ケット PKTは、 UDPモジュール 23のポート番号 698番を使用して送受信される。
[0066] パケットヘッダ PHDは、パケット長と、パケットシーケンス番号とからなる。パケット長 は、 16ビットのデータからなり、パケットのバイト数を表す。また、パケットシーケンス番 号は、 16ビットのデータ力もなり、どのパケットが新しいかを区別するために用いられ る。そして、パケットシーケンス番号は、新しいパケットが生成される度に" 1"づっ増加 される。従って、パケットシーケンス番号が大きい程、そのパケット PKTが新しいことを 示す。
[0067] メッセージヘッダ MHD1, MHD2, · · ·の各々は、メッセージタイプと、有効時間と 、メッセージサイズと、発信元アドレスと、 TTLと、ホップ数と、メッセージシーケンス番 号と、メッセージとからなる。
[0068] メッセ一タイプは、 8ビットのデータからなり、メッセージ本体に書かれたメッセージの 種類を表し、 0〜127は、予約済みである。有効時間は、 8ビットのデータカゝらなり、受 信後に、このメッセージを管理しなければならない時間を表す。そして、有効時間は、 仮数部と、指数部とからなる。
[0069] メッセージサイズは、 16ビットのデータからなり、メッセージの長さを表す。発信元ァ ドレスは、 32ビットのデータ力もなり、メッセージを生成した無線装置を表す。 TTLは 、 8ビットのデータ力もなり、メッセージが転送される最大ホップ数を指定する。そして 、 TTLは、メッセージが転送される時に" 1"づっ減少される。そして、 TTLが" 0"か" 1 "である場合、メッセージは、転送されない。ホップ数は、 8ビットのデータ力 なり、メッ
セージの生成元力 のホップ数を表す。そして、ホップ数は、最初、 "0"に設定され、 転送される毎に "1 "づっ増加される。メッセージシーケンス番号は、 16ビットのデータ からなり、各メッセージに割当てられる識別番号を表す。そして、メッセージシーケン ス番号は、メッセージが作成される毎に、 "1"づっ増加される。メッセージは、送信対 象のメッセージである。
[0070] OLSRプロトコルにおいては、各種のメッセージが図 5に示す構成のパケット PKT を用いて送受信される。
[0071] 図 6は、図 2に示すルーティングテーブル 21の構成図である。ルーティングテープ ル 21は、送信先、次の無線装置およびホップ数からなる。送信先、次の無線装置お よびホップ数は、相互に対応付けられている。 "送信先"は、送信先の無線装置の IP アドレスを表す。 "次の無線装置"は、送信先にパケット PKTを送信するときに、次に 送信すべき無線装置の IPアドレスを表す。 "ホップ数"は、送信先までのホップ数を表 す。例えば、図 1において、無線装置 31 無線装置 32 無線装置 36 無線装置 3 9 無線装置 42の経路によって無線装置 31と無線装置 42との間で無線通信が行な われる場合、無線装置 32のルーティングテーブル 21のホップ数には、 "3"が格納さ れる。
[0072] 図 7は、図 2に示すルーティングデーモン 24の機能ブロック図である。ルーティング デーモン 24は、信号強度測定モジュール 241と、閾値導入モジュール 242と、テー ブル作成モジュール 243とを含む。
[0073] 信号強度測定モジュール 241は、アンテナ 11が受信した Helloパケットの複数の受 信信号強度 Receive [n]を無線インターフェースモジュール 16から受信し、その受信 した複数の受信信号強度 Receive [n]に基づ 、て m (mは所定数 (例えば、 5以上の 整数) )個の最大値 MAX[n]と m個の最大値 MAX[n]に対応する m個の最小値 MI N[n]と力もなる m組の最大値 Z最小値 MAX[n] , MIN[n]を検出し、その検出した m組の最大値 Z最小値 MAX[n] , MIN[n]を閾値導入モジュール 242へ出力する
[0074] なお、 mが所定数(=例えば、 5以上の整数)に設定されるのは、後述する図 10に 示すように、 5組以上の最大値 Z最小値 MAX[1] , MIN[l]〜MAX[m] , MIN[m
]を検出できれば、その 5組以上の最大値 Z最小値 MAX[1] , MIN[l]〜MAX[m ] , MIN[m]に基づいて、安定な電波環境において送受信される電波の全ての受信 信号強度を検出するための閾値 Withを信頼性良く決定できる力もである。
[0075] 閾値導入モジュール 242は、信号強度測定モジュール 241からの m組の最大値 Z 最小値 MAX[n] , MIN[n]に基づいて、後述する方法によって、閾値 Withを決定 し、その決定した閾値 Withをテーブル作成モジュール 243へ出力する。
[0076] テーブル作成モジュール 243は、閾値導入モジュール 242から閾値 Withを受ける と、無線インターフェースモジュール 16から受けた Helloパケットの受信信号強度 Re ceive [n]を閾値 Withと比較し、閾値 With以上の受信信号強度 Receive [n]を有す る Helloパケットを抽出し、その抽出した Helloパケットに基づいて、図 6に示すルー ティングテーブル 21を動的に作成する。
[0077] OLSRプロトコルに従ったルーティングテーブル 21の作成について詳細に説明す る。無線装置 31〜43は、ルーティングテーブル 21を作成する場合、 Helloメッセ一 ジおよび TCメッセージを送受信する。
[0078] Helloメッセージは、各無線装置 31〜43が有する情報の配信を目的として、定期 的に送信される。この Helloメッセージを受信することによって、各無線装置 31〜43 は、周辺の無線装置に関する情報を収集でき、自己の周辺にどのような無線装置が 存在するのかを認識する。
[0079] OLSRプロトコルにおいては、各無線装置 31〜43は、ローカルリンク情報を管理す る。そして、 Helloメッセージは、このローカルリンク情報の構築および送信を行なうた めのメッセージである。ローカルリンク情報は、「リンク集合」、「隣接無線装置集合」、「 2ホップ隣接無線装置集合とそれらの無線装置へのリンク集合」、「MPR (Multipoin t Relay)集合」、および「MPRセレクタ集合」を含む。
[0080] リンク集合は、直接的に電波が届く無線装置(隣接無線装置)の集合へのリンクのこ とであり、各リンクは 2つの無線装置間のアドレスの組の有効時間によって表現される 。なお、有効時間は、そのリンクが単方向なのか双方向なのかを表すためにも利用さ れる。
[0081] 隣接無線装置集合は、各隣接無線装置のアドレス、およびその無線装置の再送信
の積極度 (Willingness)等によって構成される。 2ホップ隣接無線装置集合は、隣接 無線装置に隣接する無線装置の集合を表す。
[0082] MPR集合は、 MPRとして選択された無線装置の集合である。なお、 MPRとは、各 パケット PKTを無線ネットワークシステム 100の全ての無線装置 31〜43へ送信する 場合、各無線装置 31〜43が 1つのパケット PKTを 1回だけ送受信することによって パケット PKTを全ての無線装置 31〜43へ送信できるように中継無線装置を選択す ることである。
[0083] MPRセレクタ集合は、自己を MPRとして選択した無線装置の集合を表す。
[0084] ローカルリンク情報が確立される過程は、概ね、次のようになる。 Helloメッセージは 、初期の段階では、各無線装置 31〜43が自己の存在を知らせるために、自己のァ ドレスが入った Helloメッセージを隣接する無線装置へ送信する。これを、無線装置 3 1〜43の全てが行ない、各無線装置 31〜43は、自己の周りにどのようなアドレスを 持った無線装置が存在するのかを把握する。このようにして、リンク集合および隣接 無線装置集合が構築される。
[0085] そして、構築されたローカルリンク情報は、再び、 Helloメッセージによって定期的 に送り続けられる。これを繰返すことによって、各リンクが双方向であるの力、隣接無 線装置の先にどのような無線装置が存在するのかが徐々に明らかになって行く。各 無線装置 31〜43は、このように徐々に構築されたローカルリンク情報を蓄える。
[0086] 更に、 MPRに関する情報も、 Helloメッセージによって定期的に送信され、各無線 装置 31〜43へ告知される。各無線装置 31〜43は、自己が送信するパケット PKTの 再送信を依頼する無線装置として、いくつかの無線装置を MPR集合として隣接無線 装置の中力も選択している。そして、この MPR集合に関する情報は、 Helloメッセ一 ジによって隣接する無線装置へ送信されるので、この Helloメッセージを受信した無 線装置は、自己が MPRとして選択してきた無線装置の集合を「MPRセレクタ集合」と して管理する。このようにすることにより、各無線装置 31〜43は、どの無線装置から 受信したパケット PKTを再送信すればよいのかを即座に認識できる。
[0087] Helloメッセージの送受信により各無線装置 31〜43において、ローカルリンク集合 が構築されると、無線ネットワークシステム 100全体のトポロジーを知らせるための TC
メッセージが無線装置 31〜43へ送信される。この TCメッセージは、 MPRとして選択 されている全ての無線装置によって定期的に送信される。そして、 TCメッセージは、 各無線装置と MPRセレクタ集合との間のリンクを含んでいるため、無線ネットワークシ ステム 100の全ての無線装置 31〜43は、全ての MPR集合および全ての MPRセレ クタ集合を知ることができ、全ての MPR集合および全ての MPRセレクタ集合に基づ いて、無線ネットワークシステム 100全体のトポロジーを知ることができる。各無線装 置 31〜43は、無線ネットワークシステム 100全体のトポロジーを用いて最短路を計 算し、それに基づいて経路表を作成する。
[0088] なお、各無線装置 31〜43は、 Helloメッセージとは別に、 TCメッセージを頻繁に交 換する。そして、 TCメッセージの交換にも、 MPRが利用される。
[0089] 各無線装置 31〜43の UDPモジュール 23は、上述した Helloメッセージおよび TC メッセージを送受信し、ルーティングデーモン 24のテーブル作成モジュール 243は、 UDPモジュール 23が受信した Helloメッセージおよび TCメッセージのうち、閾値 WI th以上の受信信号強度を有する Helloメッセージおよび TCメッセージに基づいて無 線ネットワークシステム 100全体のトポロジーを認識し、その無線ネットワークシステム 100全体のトポロジーに基づいて、最短路を計算し、それに基づいて、図 6に示すル 一ティングテーブル 21を動的に作成する。
[0090] 以下、閾値 Withを決定する方法について説明する。なお、図 1に示す無線装置 3 6が閾値 Withを決定する場合を例にして説明する。
[0091] 無線装置 36が閾値 Withを決定する場合、無線装置 36は、 1ホップ内の無線装置 32, 35, 37〜39, 41から一定時間内に受信する複数の Helloパケットの受信強度 である複数の受信信号強度を検出し、その検出した複数の受信信号強度力 受信 信号強度の最大値 MAX [n]および最小値 MIN[n]を抽出する。
[0092] より具体的には、無線装置 36において、ルーティングデーモン 24の信号強度測定 モジュール 241は、無線装置 32から一定時間内に順次受信した m個の Helloバケツ トの m個の受信信号強度 Receive[32] l〜Receive[32]mを無線インターフェース モジュール 16から順次受ける。そして、信号強度測定モジュール 241は、順次受け る m個の受信信号強度 Receive [32] l〜Receive[32]mに基づいて、 m個の受信
信号強度 Receive [32] 1〜: Receive[32]mの最大値 Z最小値の組 MAX[32] , Μ ΙΝ[32]を検出する。
[0093] この場合、信号強度測定モジュール 241は、最初の受信信号強度 Receive [32] 1 を最大値MAX[32]ぉょび最小値MIN[32]に設定し、 2番目以降に受信した受信 信号強度Receive[32]2〜Receive[32]mを最大値MAX[32]ぉょび最小値MI N [32]と比較する。そして、信号強度測定モジュール 241は、 Receive [32] 2〜Re ceive [32] mが最大値 MAX[32]よりも大きければ、受信信号強度 Receive [32] 2 〜Receive[32]mによって最大値 MAX[32]を更新し、 Receive [32] 2〜Receive [32]mが最小値 MIN[32]よりも小さければ、受信信号強度 Receive[32]2〜Rece ive[ 32] mによって最小値 MIN [32]を更新して最終的に最大値 Z最小値の組 MA X[32], MIN[32]を検出する。
[0094] また、信号強度測定モジュール 241は、無線装置 35, 37, 38, 39, 41から一定時 間内に順次受信した m個の受信信号強度 Receive [35] 1〜: Receive[35]m, Rece ive[37] l〜Receive|_d7]m, Receive[38」 l〜Receive[38]m, Receive|_d9」 1 〜Receive[39]m, Receive [41] l〜Receive[41]mを無線インターフェースモジ ユール 16から順次受け、その受けた m個の受信信号強度 Receive [35] l〜Receiv e[35]m, Receive|_d7] l〜Receive[d7」m, Receive[38]丄〜 Receive[38]m, Receive [39] l〜Receive[39]m, Receive [41] l〜Receive[41]m【こ基づ ヽて、 同様にして、最大値 Z最小値の組 MAX[35], MIN[35];MAX[37], MIN[37] ; MAX[38], MIN[38];MAX[39], MIN[39] ;MAX[41], MIN[41]を検出 する。
[0095] そして、信号強度測定モジュール 241は、その検出した 6組の最大値 Z最小値の 組 MAX[32], MIN[32];MAX[35], MIN[35] ;MAX[37], MIN [37]; MAX [38], MIN[38];MAX[39], MIN[39] ;MAX[41], MIN [41]を 6組の最大値 Z最小値の糸且 MAX [0], MIN[0];MAX[1], MIN[l] ;MAX[2] , MIN[2];M AX[3], MIN[3];MAX[4], MIN[4] ;MAX[5], MIN [5]として閾値導入モジュ ール 242へ出力する。
[0096] 図 8は、並べ替えの概念図である。閾値導入モジュール 242は、信号強度測定モ
ジュール 241から 6組の最大値 Z最小値の組 MAX[0], MIN[0];MAX[1], MIN [1];MAX[2], MIN[2];MAX[3], MIN[3] ;MAX[4], MIN[4] ;MAX[5] , MIN[5]を受けると、 6個の最大値 MAX[0], MAX[l], MAX [2], MAX[3], M AX [4] , MAX[5]が大き 、順になるように 6組の最大値 Z最小値の組 MAX[0] , MIN[0];MAX[1], MIN[1];MAX[2], MIN[2] ;MAX[3] , MIN[3];MAX[ 4], MIN[4];MAX[5], MIN[5]を並べ替える。
[0097] より具体的には、閾値導入モジュール 242は、最大値 Z最小値の組 MAX[3], MI N[3]、最大値 Z最小値の組 MAX [4], MIN [4]、最大値 Z最小値の組 MAX [0] , MIN[0]、最大値 Ζ最小値の組 ΜΑΧ[5], ΜΙΝ[5]、最大値 Ζ最小値の組 MAX [1], MIN[1]、最大値Z最小値の組MAX[2], MIN [2]の順に並べ替え、最大値 Z最小値の組 MAX[3], MIN[3]、最大値 Z最小値の組 MAX [4] , ΜΙΝ[4]、最 大値 Ζ最小値の組 MAX [0], MIN[0]、最大値 Z最小値の組 MAX[5], MIN [5] 、最大値 Z最小値の組 MAX[1], MIN[1]、最大値 Z最小値の組 MAX [2], MIN [2]をそれぞれ最大値 Z最小値の組 {D— MAX[0], D— MIN[0]}、最大値 Z最 小値の組 {D— MAX[1], D_MIN[1]}、最大値 Z最小値の組 {D_MAX[2], D — MIN[2]}、最大値 Z最小値の組 {D— MAX[3], D— MIN[3]}、最大値 Z最小 値の組 {D— MAX[4], D— MIN[4]}、最大値 Z最小値の組 {D— MAX[5], D_ MIN [5]}として設定する。
[0098] そうすると、閾値導入モジュール 242は、 6個の最大値 D— MAX[0]〜D— MAX[ 5]のうち、隣接する 2つの最大値の差が最大になるときの 2組の最大値 Z最小値 { D _MAX[i], D_MIN [i] }; { D_M AX [i + 1 ] , D— MIN[i+ 1] }を検出し、その検 出した 2組の最大値 Z最小値 {D— MAX[i], D_MIN [i] }; { D_M AX [i + 1 ] , D _MIN[i+ 1] }に含まれる 2個の最小値 D— MIN [i] , D_MIN[i+ 1]の平均値を 閾値 Withとして決定する。
[0099] 閾値 Withを決定するための実験結果について説明する。図 9は、受信信号強度 およびパケットエラー率と、無線装置の数との関係を示す図である。図 9において、縦 軸は、受信信号強度およびパケットエラー率を表し、横軸は、無線装置の数を表す。
[0100] 1ホップ内の複数の無線装置力 一定時間内に受信した Helloパケットの受信信号
強度の最大値 Z最小値の組 MAX[n] , MIN[n]をプロットすると、図 9に示すように なる。この場合、參は、受信信号強度の最大値 MAX [n]を示し、 Xは、受信信号強 度の最小値 MIN[n]を示し、△は、パケットエラー率を示す。
[0101] また、図 10は、複数の最大値が大きい順に並べ換えられたときの受信信号強度お よびパケットエラー率と、無線装置の数との関係を示す図である。図 10において、縦 軸は、受信信号強度およびパケットエラー率を表し、横軸は、無線装置の数を表す。 また、參は、受信信号強度の最大値 MAX[n]を示し、 Xは、受信信号強度の最小 値 MIN[n]を示し、△は、パケットエラー率を示す。
[0102] 図 9から明らかなように、最大値は、無線装置の数が多くなるに従って上下しており
、大きい順に並べられていない。そこで、図 10に示すように、最大値が大きい順にな るように複数の最大値 Z最小値の組を並べ替える。
[0103] そして、隣接する 2つの最大値の差が最大となるときの 2組の最大値 Z最小値 {D—
MAX (14) , D_MIN (14) } , {D_MAX(15) , D— MIN (15) }が検出され、 2個 の最小値 D— MIN (14) , D— ΜΙΝ (15)の平均値が閾値 Withとして決定される。
[0104] 図 10において、最大値 Z最小値の組 MAX[14] , MIN[14]よりも右側の領域に おいては、受信信号強度の最大値は、大きく低下し、パケットエラー率は、ばらつい ている。
[0105] 一方、最大値 Z最小値の組 MAX[15] , MIN[15]よりも左側の領域においては、 受信信号強度の最大値は、大きぐパケットエラー率は、無線装置の数が増力!]しても 約 0%である。従って、最大値 Z最小値の組 MAX [15] , MIN[15]よりも左側の領 域は、安定な電波環境にぉ 、て送受信される電波の全ての受信信号強度が分布す る領域であり、最大値 Z最小値の組 MAX [14] , MIN[14]よりも右側の領域は、不 安定な電波環境において送受信される電波の全ての受信信号強度が分布する領域 である。
[0106] その結果、閾値 With以上の受信信号強度を検出することは、安定な電波環境に おいて送受信される電波を全て検出することになる。
[0107] 従って、上述した方法によって閾値 Withを決定することにより、安定な電波環境で 送受信される電波を全て検出し、不安定な電波環境で送受信される電波を全て排除
できる。
[0108] 閾値導入モジュール 242は、閾値 Withを決定すると、その決定した閾値 Withをテ 一ブル作成モジュール 243へ出力する。
[0109] ルーティングテーブル 21の作成方法について説明する。図 11は、隣の無線装置 に関する情報力もなるネイバ一リストを示す図である。また、図 12Aから図 12Dは、そ れぞれ、他のネイバ一リストを示す第 1から第 4の図である。更に、図 13Aおよび図 13 Bは、それぞれ、他のネイバ一リストを示す第 5および第 6の図である。更に、図 13C は、ルーティングテーブルを示す図である。
[0110] 図 11にお 、ては、図 1に示す無線装置 36が保持するネイバ一リストが示され、図 1 2Aから図 12Dにおいては、図 1に示す無線装置 32, 35, 37, 38が保持するネイバ 一リストが示され、図 13Aから図 13Cにおいては、図 1に示す無線装置 39, 41が保 持するネイバ一リストおよび無線装置 36が保持するルーティングテーブルが示され ている。
[0111] 無線装置 36においては、閾値導入モジュール 242は、上述した方法によって閾値 Withを決定し、その決定した閾値 Withをテーブル作成モジュール 243へ出力する
[0112] 無線装置 36のテーブル作成モジュール 243は、無線装置 32, 35, 38, 37, 39, 4 1力 それぞれ受信した Helloパケット PKT1〜PKT6を UDPモジュール 23から受け 、その受けた Helloパケット ΡΚΤ1〜ΡΚΤ6からそれぞれネイバ一リスト 10B, 10C, 1 OD, 10E, 10F, 10Gを読み出す。
[0113] そして、テーブル作成モジュール 243は、その読み出したネイバ一リスト 10B, 10C , 10D, 10E, 10F, 10Gに基づ!/ヽて、無線装置 32, 35, 37, 38, 39, 41力 ^無線装 置 36に隣接することを検知し、ネイバ一リスト 10を作成する。
[0114] また、テーブル作成モジュール 243は、 Helloパケット ΡΚΤ1〜ΡΚΤ6を受信したと きの受信信号強度 Receive [32] , Receive [35] , Receive [38] , Receive [37] , R eceive [39] , Receive [41]を無線インターフェースモジュール 16から受ける。
[0115] そうすると、テーブル作成モジュール 243は、受信信号強度 Receive [32] , Recei ve [35] , Receive [38] , Receive [37] , Receive [39] , Receive [41]の各々を閾
値 Withと比較し、受信信号強度 Receive [32] , Receive [35] , Receive [38] , Re ceive [37] , Receive [39] , Receive [41]の中から閾値 With以上の受信信号強度 を抽出する。
[0116] 例えば、受信信号強度 Receive [37]のみが閾値 Withよりも小さいとすると、テー ブル作成モジュール 243は、無線装置 37をネイバ一リスト 10から削除し、ネイバーリ スト 10Aを作成する。即ち、テーブル作成モジュール 243は、無線装置 36に隣接す る無線装置 32, 35, 37, 38, 39, 41のうち、無線装置 36との間の受信信号強度が 閾値 With以上になる無線装置 32, 35, 38, 39, 41を無線装置 36に隣接する無線 装置として選択する。
[0117] その後、テーブル作成モジュール 243は、ネイバ一リスト 10A, 10B, IOC, 10D, 10F, 10Gと、トポロジーに関する情報を含む TCメッセージとに基づいて、ルーティ ングテーブル 21 Aを作成する(図 13C参照)。
[0118] テーブル作成モジュール 243は、ネイバ一リスト 10Dを見れば、無線装置 38が無 線装置 36、無線装置 39および無線装置 40に隣接していることを検知でき、ネイバ一 リスト 10Fを見れば、無線装置 39が無線装置 36および無線装置 40に隣接している ことを検知できる。その結果、テーブル作成モジュール 243は、無線装置 40が無線 装置 36からのホップ数が" 2ホップ"である位置に存在することを検知し、ルーティン グテーブル 21 Aの第 1行目の経路を作成する。
[0119] また、テーブル作成モジュール 243は、ネイバ一リスト 10Fを見れば、無線装置 39 が無線装置 36および無線装置 42に隣接していることを検知でき、ネイバ一リスト 10 Gを見れば、無線装置 41が無線装置 36、無線装置 39および無線装置 42に隣接し ていることを検知できる。その結果、テーブル作成モジュール 243は、無線装置 42が 無線装置 36からのホップ数が" 2ホップ"である位置に存在することを検知し、ルーテ イングテーブル 21 Aの第 2行目の経路を作成する。
[0120] 更に、テーブル作成モジュール 243は、ネイバ一リスト 10Gを見れば、無線装置 41 が無線装置 36、無線装置 39および無線装置 43に隣接していることを検知できる。そ の結果、テーブル作成モジュール 243は、無線装置 43が無線装置 36からのホップ 数が" 2ホップ"である位置に存在することを検知し、ルーティングテーブル 21Aの第
3行目の経路を作成する。
[0121] 上述したように、閾値 Withを決定することにより、安定な電波環境において送受信 される Helloバケツトに基づ!/、てルーティングテーブル 21を作成できる。
[0122] その結果、各無線装置に隣接する無線装置の情報が頻繁に変更されず、安定した ルーティングテーブル 21を作成でき、安定したルーティングが可能である。
[0123] 図 14は、ルーティングテーブルを作成する動作を説明するための実施の形態 1〖こ おけるフローチャートである。
[0124] 一連の動作が開始されると、各無線装置 31〜43において、ルーティングデーモン
24の信号強度測定モジュール 241は、周りの n個の無線装置力 受信した複数の H elloパケットの複数の受信信号強度に基づ 、て、 m個の最大値 Z最小値の組を検出 し (ステップ S 1)、その検出した m個の最大値 Z最小値の組を閾値導入モジュール 2
42へ出力する。
[0125] そして、閾値導入モジュール 242は、信号強度測定モジュール 241から受けた m個 の最大値 Z最小値の組に基づ 、て、安定な電波環境にぉ 、て送受信される電波の 最小強度以上の受信信号強度を検出するための閾値 Withを設定する (ステップ S2
) o
[0126] そして、テーブル作成モジュール 243は、閾値 Withを閾値導入モジュール 242か ら受け、その受けた閾値 With以上の受信信号強度を有する Helloパケットを受信し 、上述した方法によってルーティングテーブル 21を作成する (ステップ S3)。これによ つて、一連の動作が終了する。
[0127] 図 15は、図 14に示すステップ S1の詳細な動作を説明するためのフローチャートで ある。一連の動作が開始されると、信号強度測定モジュール 241は、 k= lを設定し( ステップ S10)、 m= 1を設定し (ステップ SI 1)、 Helloパケットを UDPモジュール 23 から受信する (ステップ S 12)。
[0128] そして、無線インターフェースモジュール 16は、無線装置 k (kは、無線装置を識別 する情報である)力も Helloパケットを受信すると、その Helloパケットを受信したとき の受信信号強度 Receive [k]mを検出してルーティングデーモン 24の信号強度測定 モジュール 241へ出力する。
[0129] 信号強度測定モジュール 241は、無線インターフェースモジュール 16から受信信 号強度 Receive [k]mを受け、無線装置 kから受信した Helloパケットの受信信号強 度 Receive [k] mを検出する(ステップ S 13)。
[0130] そして、信号強度測定モジュール 241は、その検出した受信信号強度 Receive [k] mを受信信号強度の最大値 MAX[k]および最小値 MIN [k]として設定する (ステツ プ S14)。つまり、信号強度測定モジュール 241は、最大値 MAX[k]および最小値 MIN[k]を初期化する。
[0131] その後、信号強度測定モジュール 241は、 m=m+ lを設定し (ステップ S15)、 He lloパケットを受信する (ステップ S16)。そして、信号強度測定モジュール 241は、ス テツプ S 13における動作と同じ動作によってステップ S 16にお!/、て受信した Helloパ ケットの受信信号強度 Receive [k]m+ 1を検出する (ステップ S 17)。
[0132] そうすると、信号強度測定モジュール 241は、受信信号強度!^じ6^^[1^] 111+ 1が 最大値 MAX[k]よりも大きいか否かを判定し (ステップ S 18)、受信信号強度 Receiv e [k]m+ lが最大値 MAX[k]よりも大きいとき、受信信号強度 Receive[k]m+ 1を 最大値 MAX[k]として設定する (ステップ S 19)。
[0133] 一方、ステップ S18において、受信信号強度 Receive[k]m+ 1が最大値 MAX[k ]以下であると判定されたとき、信号強度測定モジュール 241は、受信信号強度 Rec eive [k]m+ lが最小値 MIN[k]よりも小さいか否かを更に判定し (ステップ S20)、 受信信号強度 ReceiVe [k]m+ 1が最小値 MIN[k]よりも小さいとき、受信信号強度 Receive [k]m+ lを最小値 MIN [k]として設定する(ステップ S 21)。
[0134] ステップ S20において、受信信号強度Receive[k]m+ lが最小値MIN[k]以上で あると判定されたとき、またはステップ S19の後、またはステップ S21の後、信号強度 測定モジュール 241は、 mが max— numよりも小さいか否かを判定し (ステップ S22) 、 mが max— numよりも小さいとき、一連の動作は、ステップ S 15へ移行する。そして 、ステップ S22において、 mが max— numに到達するまで、上述したステップ S15〜 ステップ S22が繰返し実行される。
[0135] max— numは、 1つの無線装置力も Helloパケットを一定時間内に受信する最大 受信回数を表し、例えば、 max— num= 30回に設定される。この 30回は、 1分間に
受信する Helloパケットの個数に基づく。
[0136] 従って、ステップ S22において、 1分間に Helloパケットを 30回受信したと判定され るまで、ステップ S 15〜ステップ S 22が繰返し実行される。
[0137] そして、ステップ S22において、 Helloパケットの受信回数 mが max— num ( = 30) に到達したと判定されると、信号強度測定モジュール 241は、 k=nである力否かを判 定し (ステップ S23)、 k=nでないとき、 k=k+ lを設定し (ステップ S24)、その後、一 連の動作は、ステップ S11へ移行する。そして、ステップ S23において、 k=nであると 判定されるまで、上述したステップ SI 1〜ステップ S 24が繰返し実行される。
[0138] nは、各無線装置から 1ホップ内に存在する無線装置の個数を表し、より具体的に は、上述した閾値 Withを決定するための無線装置の個数を表す。そして、 nは、例 えば、 "5"に設定される。 1つの無線装置の 1ホップ内に 5個の無線装置が存在し、 5 個の無線装置が 1つの無線装置へ Helloパケットを定期的に送信すれば、その 1つ の無線装置は、図 10に示すような受信信号強度と無線装置の数との関係を取得で き、閾値 Withを信頼性良く決定できるカゝらである。
[0139] そして、ステップ S23において、 k=nであると判定されると、一連の動作は、図 14の ステップ S 2へ移行する。
[0140] このように、図 15に示すフローチャートに従えば、 1つの無線装置の信号強度測定 モジュール 241は、自己の 1ホップ内に存在する n個の無線装置の各々力 m個の H elloパケットを順次受け、その受けた m個の Helloパケットの m個の受信信号強度に 基づいて、 n個の無線装置の各々ごとに最大値 Z最小値の組 MAX[k] , MIN[k]を 検出し、その検出した n組の最大値 Z最小値 MAX[1] , MIN[l]〜MAX[n] , MI N[n]を閾値導入モジュール 242へ出力する。
[0141] 図 16は、図 14に示すステップ S2の詳細な動作を説明するためのフローチャートで ある。
[0142] 一連の動作が開始されると、閾値導入モジュール 242は、信号強度測定モジユー ル 241から n組の最大値 Z最小値 MAX[1] , MIN[l]〜MAX[n] , MIN[n]を受 け、 n個の最大値 MAX[1]〜MAX[n]が大き、、順序になるように n組の最大値 Z最 小値 MAX[1] , MIN[l]〜MAX[n] , MIN[n]を並べ替え(図 8参照)、その並べ
替えた n組の最大値 Z最小値を n組の最大値 Z最小値 D— MAX[1] , D— ΜΙΝ[1
]〜D_MAX[n] , D_MIN [n]として設定する(ステップ S31)。
[0143] そして、閾値導入モジュール 242は、隣接する 2つの最大値の差 D— MAX[j]—D
_MAX[j + 1]を順次演算し、差 D— MAX[j] -D_MAX[j + 1]が最大となる 2組 の最大値 Z最小値 {D_MAX[i], MIN[i] } , {D_MAX[i+ l], MIN[i+ l] }を 検出する (ステップ S32)。
[0144] その後、閾値導入モジュール 242は、最小値 MIN[i]と最小値 MIN[i+ 1]との平 均( = (MIN [i] + MIN [1+ 1]) /2)を演算し、その演算結果を閾値 Withとして決 定する(ステップ S33)。
[0145] そして、一連の動作は、図 14のステップ S3へ移行する。
[0146] このように、各無線装置は、自己の 1ホップ内に存在する n (nは 5以上の整数)個の 無線装置の各々から所定数 ( = 30個)の Helloパケットを受信し、 n個の無線装置の 各々について受信信号強度の最大値 Z最小値の組 MAX[k] , MIN [k]を検出する 。そして、各無線装置は、その検出した n組の最大値 Z最小値 MAX[1] , MIN[1] 〜MAX[n] , MIN [η]を η個の最大値 ΜΑΧ[1]〜ΜΑΧ[η]が大き 、順に配列され るように並べ替え、その並べ替えた n組の最大値 Z最小値 D— MAX[1] , D— MIN [1]〜D— MAX[n] , D— MIN [n]において、隣接する 2つの最大値の差が最大に なる 2つの最大値 D— MAX[i] , D— MAX[i+ l]を検出し、その検出した 2つの最 大値 D— MAX[i] , D— MAX[i+ l]に対応する 2つの最小値 D— MIN[i] , D_M IN[i+ 1]の平均値を閾値 Withとして決定する。
[0147] 各無線装置に隣接する無線装置が 5個以上存在するときは、上述した方法によつ て閾値 Withを安定して決定できるが、各無線装置に隣接する無線装置が 5個よりも 少ないとき、上述した方法によって閾値 Withを安定して決定することが困難である。
[0148] そこで、各無線装置に隣接する無線装置が 5個よりも少ないときは、次の方法によつ て閾値 Withを決定する。無線装置 36に隣接する無線装置が無線装置 39のみであ る場合を例にして説明する。
[0149] 無線装置 39は、送信パワーを P (Pは 5以上の整数)個の送信パワーに順次切換え 、各送信パワーにおいて一定時間(1分)内に一定個数 (m= 30個)の Helloパケット
を無線装置 36へ送信する。
[0150] そして、無線装置 36の信号強度測定モジュール 241は、各送信パワーにおいて受 信した m個の Helloパケットの m個の受信信号強度に基づいて各送信パワーにおけ る受信信号強度の最大値 Z最小値の組 MAX [p] , MIN[p]を検出し、その検出し た P組の最大値 Z最小値 MAX[1] , MIN[1]〜MAX[P] , MIN[P]を閾値導入モ ジュール 242へ出力する。
[0151] 閾値導入モジュール 242は、 P組の最大値 Z最小値 MAX[1] , MIN[1]〜MAX
[P] , ΜΙΝ[Ρ]を Ρ個の最大値 ΜΑΧ[1]〜ΜΑΧ[Ρ]が大き!/、順に配列されるように 並べ替え、その並べ替えた Ρ組の最大値 Ζ最小値 D— MAX[1] , D— MIN[1]〜D _MAX[P] , D— MIN[P]において、隣接する 2つの最大値の差が最大になる 2つ の最大値 D— MAX[i] , MAX[i+ l]を検出し、その検出した 2つの最大値 D—MA X[i] , MAX[i+ l]に対応する 2つの最小値 D— MIN[i] , MIN[i+ 1]の平均値を 閾値 Withと決定する。
[0152] 図 17は、図 14に示すステップ S1の詳細な動作を説明するための他のフローチヤ ートである。図 17に示すフローチャートは、図 15に示すフローチャートのステップ S1 0, S12, S16, S23, S 24をそれぞれステップ SI OA, S12A, S16A, S23A, S24 Aに代えたものであり、その他は、図 15に示すフローチャートと同じである。
[0153] 一連の動作が開始されると、信号強度測定モジュール 241は、 p = 1を設定する (ス テツプ S10A)。そして、上述したステップ S 11が実行された後、信号強度測定モジュ ール 241は、送信パワー PWpで送信された Helloパケットを受信する(ステップ S12 A)。その後、上述したステップ S13〜S 15が実行される。この場合、図 15のステップ S13, S 14に示される Receive [k]mは、 Receive [p]mに読み替えられ、図 15のス テツプ S 14に示される MAX [k] , MIN[k]は、それぞれ、 MAX[p] , MIN[p]に読 み替えられる。
[0154] ステップ S15の後、信号強度測定モジュール 241は、送信パワー PWpで送信され た Helloパケットを受信する(ステップ S 16 A)。そして、上述したステップ S 17〜ステツ プ S22が実行される。この場合、 Receive [k]m+ l, MAX[k] , MIN[k]は、それぞ れ、 Receive [p]m+ l, MAX[p] , MIN[p]に読み替えられる。
[0155] ステップ S22にお 、て、 mが max— numに到達したと判定されると、信号強度測定 モジュール 241は、 p = Pであるか否かを判定し (ステップ S23A)、 p = Pでないとき、 p=p + lを設定し (ステップ S24A)、その後、一連の動作は、ステップ S11へ移行す る。
[0156] そして、ステップ S23Aにおいて、 p = Pであると判定されるまで、上述したステップ S 11, S12A, S13〜S15, S16A, S17〜S22, S23A, S24Aカ 返し実行される。 つまり、送信パワー PWpが P個の送信パワーの全てに変えられるまで、上述したステ ップ Sl l, S12A, S13〜S15, S16A, S17〜S22, S23A, S24Aカ 返し実行さ れる。
[0157] これ〖こより、 P組の最大値 Z最小値 MAX[1] , MIN[1]〜MAX[P] , MIN[P]が 検出される。
[0158] そして、ステップ S23Aにおいて、 p = Pであると判定されると、一連の動作は、図 14 に示すステップ S2へ移行し、図 16に示すフローチャートに従って、 P組の最大値 Z 最小値 MAX[1] , MIN[1]〜MAX[P] , MIN[P]に基づいて閾値 Withが決定さ れる。
[0159] このように、各無線装置は、自己の 1ホップ内に存在する 1個の無線装置から送信 パワー PWを P個に変えながら、各送信パワー PWにお!/、て所定数(m= 30個)の He lloパケットを受信し、 P個の送信パワー PWの各々について受信信号強度の最大値 Z最小値の組 MAX[p] , MIN[p]を検出する。そして、各無線装置は、その検出し た P組の最大値 Z最小値 MAX[1] , MIN[1]〜MAX[P] , MIN[P]を P個の最大 値 MAX[ 1]〜MAX[P]が大き 、順に配列されるように並べ替え、その並べ替えた P 組の最大値 Z最小値 D_MAX[1] , D_MIN[1]〜D— MAX[P] , D_MIN[P] において、隣接する 2つの最大値の差が最大になる 2つの最大値 D—MAX[i] , D — MAX[i+ l]を検出し、その検出した 2つの最大値 D— MAX[i] , D_MAX[i+ l ]に対応する 2つの最小値 D— MIN[i] , D— MIN[i+ l]の平均値を閾値 Withとし て決定する。
[0160] 上述したように、この発明によれば、無線ネットワークシステム 100を構成する無線 装置 31〜43が定期的にブロードキャストする Helloパケットを利用して、各無線装置
から受信した Helloパケットの最大受信信号強度 Z最小受信信号強度 MAX[k] , M IN[k] (または MAX[p] , MIN[p])を検出できる。
[0161] 従って、各無線装置は、アドホックネットワークにおける通常の動作を利用して安定 な電波環境にぉ 、て送受信される Helloパケットのみを受信し、その受信した Hello パケットに基づいて、安定なルーティングテーブル 21を作成できる。その結果、安定 なルーティングが可能である。
[0162] 上述したように、各無線装置に隣接する無線装置の個数が 5個以上であれば、 1個 の無線装置から受信した Helloパケットの受信信号強度の最大値 Z最小値の組 MA X[k] , MIN[k]を 5個以上の無線装置の各々について検出し、その検出した 5組以 上の最大値 Z最小値 MAX [k], MIN[k]に基づいて閾値 Withを決定し、各無線装 置に隣接する無線装置の個数が 5個よりも少なければ、 1個の無線装置力 受信した Helloパケットの受信信号強度の最大値 Z最小値の組 MAX [p] , MIN[p]を 5個以 上の送信パワーの各々について検出し、その検出した 5組以上の最大値 Z最小値 MAX[p] , MIN [p]に基づ!/、て閾値 Withを決定する。
[0163] 従って、この発明にお 、ては、 Helloパケットを送信する無線装置の個数をカウント し、そのカウント結果に応じて、上述した 2つの方法のいずれかによつて閾値 Withを 決定してちょい。
[0164] 図 18は、ルーティングテーブルを作成する動作を説明するための他のフローチヤ ートである。一連の動作が開始されると、各無線装置 31〜43の信号強度測定モジュ ール 241は、ブロードキャストされた Helloパケットの発信元アドレスに基づいて、隣 の無線装置の個数 N (Nは正の整数)をカウントし (ステップ S41)、そのカウントした個 数 Nが基準値 Nstd (例えば、 5個)以上である力否かを判定する(ステップ S42)。
[0165] そして、隣の無線装置の個数 Nが基準値 Nstd以上であるとき、信号強度測定モジ ユール 241は、図 15に示すフローチャートに従って n組の最大値 Z最小値 MAX[k] , MIN[k]を検出し、その検出した n組の最大値 Z最小値 MAX[k] , MIN[k]を閾 値導入モジュール 242へ出力する。
[0166] 閾値導入モジュール 242は、信号強度測定モジュール 241から受けた n組の最大 値 Z最小値 MAX[k] , MIN[k]に基づいて、図 16に示すフローチャートに従って閾
値 Withを決定し、その決定した閾値 Withをテーブル作成モジュール 243へ出力す る(ステップ S43)。
[0167] 一方、ステップ S42にお!/、て、隣の無線装置の個数 Nが基準値 Nstdよりも小さ!/、と 判定されたとき、信号強度測定モジュール 241は、図 17に示すフローチャートに従つ て P組の最大値 Z最小値 MAX [p] , MIN[p]を検出し、その検出した P組の最大値 Z最小値 MAX[p] , MIN[p]を閾値導入モジュール 242へ出力する。
[0168] 閾値導入モジュール 242は、信号強度測定モジュール 241から受けた P組の最大 値 Z最小値 MAX[p] , MIN[p]に基づいて、図 16に示すフローチャートに従って閾 値 Withを決定し、その決定した閾値 Withをテーブル作成モジュール 243へ出力す る(ステップ S44)。
[0169] そして、ステップ S43またはステップ S44の後、テーブル作成モジュール 243は、閾 値導入モジュール 242から受けた閾値 With以上の受信信号強度を有する Helloパ ケットを受信し、上述した方法によってルーティングテーブル 21を作成する (ステップ S45)。これによつて、一連の動作は終了する。
[0170] このように、図 18に示すフローチャートに従えば、隣接する無線装置の個数に拘わ らず、閾値 Withを決定でき、その決定した閾値 Withに基づいて、安定したルーティ ングテーブル 21を作成できる。その結果、安定したルーティングが可能である。
[0171] 図 19は、ルーティングテーブルを作成する動作を説明するための更に他のフロー チャートである。この発明においては、図 19に示すフローチャートに従ってルーティ ングテーブル 21が作成されてもよい。
[0172] 図 19に示すフローチャートは、図 18に示すフローチャートのステップ S45を削除し 、ステップ S46〜ステップ S52を追加したものであり、その他は、図 18に示すフロー チャートと同じである。なお、図 19に示すフローチャートにおいては、ステップ S43に おいて閾値 Wlthlが決定され、ステップ S44において閾値 WIth2が決定される。
[0173] ステップ S43の後、各無線装置 31〜43のテーブル作成モジュール 243は、閾値 W Ithl以上の受信信号強度を有する Helloパケットを受信してルーティングテーブル 2 1を作成する(ステップ S46)。
[0174] また、ステップ S44の後、各無線装置 31〜43のテーブル作成モジュール 243は、
閾値 WIth2以上の受信信号強度を有する Helloパケットを受信してルーティングテ 一ブル 21を作成する (ステップ S47)。そして、各無線装置 31〜43の信号強度測定 モジュール 241は、隣接する無線装置の個数 Nが基準値 Nstd以上に増加した力否 かを判定し (ステップ S48)、個数 Nが基準値 Nstd以上に増加したとき、図 15に示す フローチャートに従って n組の最大値 Z最小値 MAX[k] , MIN[k]を検出し、閾値 導入モジュール 242は、 n組の最大値 Z最小値 MAX[k] , MIN[k]に基づいて、図 16に示すフローチャートに従って閾値 WIth3を決定する(ステップ S49)。
[0175] その後、テーブル作成モジュール 243は、閾値 WIth3以上の受信信号強度を有す る Helloパケットを受信してルーティングテーブル 21を作成する(ステップ S50)。
[0176] 一方、ステップ S48において、個数 Nが基準値 Nstd以上に増加していないと判定 されたとき、テーブル作成モジュール 243は、閾値 WIth2を維持してルーティングテ 一ブル 21を作成する(ステップ S51)。その後、一連の動作は、ステップ S48へ移行 する。
[0177] そして、ステップ S46またはステップ S50の後、各無線装置 31〜43のテーブル作 成モジュール 243は、隣の無線装置の個数 Nが変化 (増加または減少)しても、閾値 Wlthl (または WIth3)を維持してルーティングテーブル 21を作成する(ステップ S 5 2)。これにより、一連の動作が終了する。
[0178] 図 19に示すフローチャートは、隣の無線装置の個数 Nが基準値 Nstd以上であれ ば、その後、個数 Nが変化しても、最初に決定した閾値 Wlthlを維持してルーティン グテーブル 21を作成し (ステップ S42の" Yes",ステップ S43, S46, S52参照)、最 初、隣の無線装置の個数 Nが基準値 Nstdに達しないとき、送信パワーを変化させて 閾値 WIth2を決定し (ステップ S42の" No"およびステップ S44参照)、隣の無線装 置の個数 Nが基準値 Nstd以上に増加すると、再度、閾値 WIth3を決定し、その決定 した閾値 With3によって閾値 Wlthlを更新し、その後、閾値 WIth3を維持してルー ティングテーブル 21を作成する(S47〜S52参照)。
[0179] 即ち、この発明にお 、ては、隣の無線装置の個数 Nが基準値 Nstd以上に増加し た場合に、閾値 Withが更新され、それ以外の場合には、閾値 Withは更新されない
[0180] なお、図 19に示すフローチャートにおいては、隣接する無線装置の個数 Nが一定 数増加した場合に、閾値 Withを更新するようにしてもよい。この場合、図 19に示すス テツプ S48においては、無線装置の個数 Nがー定数増加した力否かが判定される。 それ以外は、図 19に示すフローチャートと同じである。
[0181] 図 20は、ルーティングテーブルを作成する動作を説明するための更に他のフロー チャートである。この発明においては、図 20に示すフローチャートに従ってルーティ ングテーブル 21が作成されてもよい。
[0182] 図 20に示すフローチャートは、図 19に示すフローチャートのステップ S48〜ステツ プ S52をステップ S48A〜ステップ S52Aに代えたものであり、その他は、図 19に示 すフローチャートと同じである。
[0183] ステップ S46またはステップ S47の後、信号強度測定モジュール 241は、パケット口 スを検出する (ステップ S48A)。より具体的には、信号強度測定モジュール 241は、 一定時間内に規定数のパケットを受信しな力つたことによりパケットロスを検出する。
[0184] そして、信号強度測定モジュール 241は、その検出したパケットロスが所定数以上 であるか否かを判定する (ステップ S49A)。パケットロスが所定数以上でないとき、テ 一ブル作成モジュール 243は、閾値 Wlthlまたは WIth2を維持してルーティングテ 一ブル 21を作成する(ステップ S50A)。その後、一連の動作は、ステップ S48Aへ移 行する。
[0185] 一方、ステップ S49Aにおいて、パケットロスが所定数以上であると判定されたとき、 信号強度測定モジュール 241および閾値導入モジュール 242は、図 15および図 16 に示すフローチャートに従って、または図 17および図 16に示すフローチャートに従 つて閾値 WIth4を決定し、その決定した閾値 WIth4によって閾値 Wlthlまたは Wit h2を更新する(ステップ S 51 A)。
[0186] その後、テーブル作成モジュール 243は、閾値 WIth4以上の受信信号強度を有す る Helloパケットを受信してルーティングテーブル 21を作成する(ステップ S52A)。こ れによって、一連の動作が終了する。
[0187] 図 20に示すフローチャートは、パケットロスが所定数以上になると、閾値 Withを更 新し、それ以外の場合、閾値 Withを更新しない。パケットロスが所定数以上になると
、電波環境が不安定になっている可能性が高いので、閾値 Withを更新することにし たものである。
[0188] 図 21は、パケットエラー率と実験回数との関係を示す図である。図 21において、縦 軸は、パケットエラー率を表し、横軸は、実験回数を表す。また、閾値 With— H, WI th_L, WIth_ [は、それぞれ、図 10に示す With— H, With— L, WIth_ [であり、 閾値 With— Hは、高過ぎる閾値を表し、閾値 With— Lは、低過ぎる閾値を表し、閾 値 With _ [は、この発明による閾値を表す。更に、 With— NOは、閾値を設定しなか つた場合を表す。
[0189] 図 21から明らかなように、この発明によって決定した閾値 With _Jを用いた場合、 パケットエラー率は、 10回の実験回数まで零である。しかし、閾値 Withが高過ぎる場 合、閾値 Withが低過ぎる場合、および閾値 Withを設定しなカゝつた場合は、パケット エラー率が実験回数とともに大きく変化する。即ち、閾値 Withが高過ぎる場合、閾値 Withが低過ぎる場合、および閾値 Withを設定しな力つた場合は、ルーティングテー ブル 21が頻繁に書き換えられ、無線ネットワークシステム 100内にループが発生し、 パケットの到着順序が大幅に入れ替わり、パケットエラー率が増加する。
[0190] 従って、この発明による方法によって閾値 Withを決定することによって、安定した ルーティングテーブル 21を作成でき、安定してルーティングを行なえることが実験的 にも証明できた。
[0191] 上記においては、 n糸且の最大値 Z最小値 MAX[1] , MIN[l]〜MAX[n] , MIN[ n] (または P組の最大値 Z最小値 MAX[1] , MIN[1]〜MAX[P] , MIN[P])を n 個の最大値 MAX[l]〜MAX[n] (または P個の最大値 MAX[1]〜MAX[P])が大 きい順に配列されるように並べ替えると説明した力 この発明においては、これに限ら ず、 n個の最大値 MAX[l]〜MAX[n] (または P個の最大値 MAX[1]〜MAX[P] )が小さい順に配列されるように n組の最大値 Z最小値 MAX[1] , MIN[1]〜MAX [n] , MIN[n] (または P組の最大値 Z最小値 MAX[1] , MIN[1]〜MAX[P] , MI N[P])を並べ替え、その並べ替えた n組の最大値 Z最小値 D— MAX[1] , D_MI N[1]〜D— MAX[n] , D— MIN[n]において、隣接する 2つの最大値の差が最大 となる 2糸且の最大値 Z最小値 D MAX[i] , D MIN[i] ;D_MAX[i+ l] , D M
IN [i+ 1]を検出し、その検出した 2組の最大値 Z最小値 D— MAX [i] , D_MIN[i ] ;D_MAX[i+ l] , D— MIN[i+ l]に含まれる 2つの最小値 D— MIN[i] , D_M IN [i + 1 ]の平均((D— MIN [i] + D_MIN [i+ l]) /2)を閾値 Withとして決定し てもよい。
[0192] また、上記においては、 2つの最小値 D— MIN[i] , D— MIN [i+ 1]の平均((D— MIN [i] + D— MIN [i+ l]) /2)を閾値 Withとすると説明したが、この発明におい ては、これに限らず、 2つの最小値 D— MIN[i] , D— MIN [i+ 1]の重み付け平均を 閾値 Withとしてもよい。
[0193] この場合、重み付け平均は、次式により演算される。
[0194] ( a X (D_MIN[i]) + (l - α ) X (D_MIN[i+ 1]) ) /2
•••(1)
式(1)において、 αは、 0く αく 1の範囲の実数である。
[0195] そして、 αは、 η個の最大値 D— MAX[1]〜D— ΜΑΧ[η]または Ρ個の最大値 D — MAX[1]〜D— ΜΑΧ[Ρ]が大きい順に並べられたときは、 D— MIN [i]と D— Ml N[i+ 1]との差( = D— MIN[i]—D— MIN[i+ l])が相対的に大きくなると、相対 的に大きく設定され、差( = D— MIN [i] D— MIN [i+ 1])が相対的に小さくなると 、相対的に小さく設定される。
[0196] 差( = D— MIN[i]— D— MIN[i+ l])が相対的に大きくなると、最小値 D— MAX
[i+ 1]が不安定な電波環境における受信信号強度の最小値(図 10の MIN[15]より も右側に存在する最小値)よりも小さくなる可能性があり、平均((D_MIN[i] +D_ MIN [i+ 1]) Z2)を閾値 Withとしたのでは、不安定な電波環境において送受信さ れた Helloパケットを用いてルーティングテーブル 21が作成される可能性があるので 、安定な電波環境における受信信号強度のみを検出するために最小値 D—MIN [i] により近 、受信信号強度を閾値 Withとして設定するために上記のように重み付け平 均を演算することにしたものである。
[0197] また、 αは、 n個の最大値 D— MAX[1]〜D— MAX[n]または P個の最大値 D— MAX[1]〜D— MAX[P]が小さい順に並べられたときは、 D— MIN[i+ 1]と D— MIN[i]との差(=D MIN[i+ l] -D MIN[i])が相対的に大きくなると、相対的
に大きく設定され、差( = D— MIN [i+ 1] - D— MIN [i] )が相対的に小さくなると、 相対的に小さく設定される。
[0198] このようにして重み付け平均を演算する理由は、上記と同じである。
[0199] 更に、上記においては、 2つの最小値 D_MIN[i] , D— MIN [i+ 1]の平均(= (D — MIN[i] +D— MIN[i+ l]) Z2)、または 2つの最小値 D— MIN[i] , D_MIN[i + 1]の重み付け平均 (式(1)参照)によって閾値 Withを決定すると説明したが、この 発明においては、これに限らず、 2つの最小値 D— MIN[i] , D— MIN[i+ l]を両端 とする範囲に含まれるように閾値 Withを決定してもよ ヽ。
[0200] 更に、上記においては、信頼性を高くして閾値 Withを決定するための隣接無線装 置の数を 5個として説明した力 この発明においては、これに限らず、信頼性を高くし て閾値 Withを決定するための隣接無線装置の数は、 5個以外であってもよぐ周辺 の電波環境に応じて決定されてもょ 、。
[0201] なお、この発明の実施の形態 1においては、信号強度測定モジュール 241および 閾値導入モジュール 242は、「閾値決定手段」を構成する。
[0202] また、テーブル作成モジュール 243は、「テーブル作成手段」を構成する。
[0203] 更に、信号強度測定モジュール 241は、「信号強度検出手段」を構成する。
[0204] 更に、 n組の最大値 Z最小値 MAX[1] , MIN[l]〜MAX[n] , MIN[n]を n組の 最大値,最小値 D— MAX [1] , D— MIN [ 1 ]〜D— MAX [n] , D— MIN [n]に並 ベ替える閾値導入モジュール 242、または P組の最大値 Z最小値 MAX[1] , MIN[ 1]〜MAX[P] , MIN[P]を P組の最大値 Z最小値 D— MAX[1] , D— MIN[1]〜 D_MAX[P] , D— MIN[P]に並べ替える閾値導入モジュール 242は、「並替手段 」を構成する。
[0205] 更に、 n組の最大値 Z最小値 D— MAX[1] , D— MIN[1]〜D— MAX[n] , D_ MIN [n]または P組の最大値 Z最小値 D— MAX [ 1 ] , D_MIN [ 1 ]〜D_MAX [P ] , D— MIN [P]に基づいて閾値 Withを決定する閾値導入モジュール 242は、「設 定手段」を構成する。
[0206] [実施の形態 2]
図 22は、図 1に示す無線装置 31の実施の形態 2における構成を示す概略ブロック
図である。無線装置 31 Aは、図 2に示す無線装置 31の通信制御部 15を通信制御部 15Aに代えたものであり、その他は、無線装置 31と同じである。
[0207] 通信制御部 15Aは、図 2に示す通信制御部 15のルーティングデーモン 24をルー ティングデーモン 24Aに代えたものであり、その他は、通信制御部 15と同じである。
[0208] ルーティングデーモン 24Aは、後述する方法によって、 Helloパケットを送信した無 線装置を隣接無線装置としてネイバ一リストに登録するための閾値 With— HHと、 H elloパケットを送信した無線装置をネイバ一リストから削除するための閾値 With— L Lとを決定する。そして、ルーティングデーモン 24Aは、その決定した閾値 WIth_H H, With— LLに基づいて、受信信号強度が閾値 With— HH以上である Helloパケ ットを送信した無線装置をネイバ一リストに登録し、受信信号強度が閾値 With— LL よりも低い Helloパケットを送信した無線装置をネイバ一リストから削除してルーティン グテーブル 21をインターネット層に動的に作成する。ルーティングデーモン 24Aは、 その他、ルーティングデーモン 24と同じ機能を果たす。
[0209] 図 23は、図 22に示すルーティングデーモン 24Aの機能ブロック図である。ルーティ ングデーモン 24Aは、図 7に示すルーティングデーモン 24の閾値導入モジュール 24 2およびテーブル作成モジュール 243をそれぞれ閾値導入モジュール 242Aおよび テーブル作成モジュール 243Aに代えたものであり、その他は、ルーティングデーモ ン 24と同じである。
[0210] 閾値導入モジュール 242Aは、信号強度測定モジュール 241から受けた m組の最 大値 Z最小値 MAX[n] , MIN[n]に基づいて、後述する方法によって、閾値 With — HH, With— LLを決定し、その決定した閾値 With— HH, With— LLをテープ ル作成モジュール 243Aへ出力する。
[0211] テーブル作成モジュール 243Aは、閾値導入モジュール 242Aから閾値 With— H H, With— LLを受けると、無線インターフェースモジュール 16から受けた Helloパケ ットの受信信号強度 Receive [n]を閾値 WIth_HHと比較し、閾値 WIth_HH以上 の受信信号強度 Receive [n]を有する Helloパケットを抽出し、その抽出した Hello パケットに基づ 、てルーティングテーブル 21を作成する。
[0212] また、テーブル作成モジュール 243Aは、無線インターフェースモジュール 16から
受けた Helloパケットの受信信号強度 Receive [n]を閾値 With— LLと比較し、閾値 With— LLよりも低 、受信信号強度 Receive [n]を有する Helloパケットを送信した 無線装置をネイバ一リストから削除し、ルーティングテーブル 21を更新する。
[0213] 図 24は、実施の形態 2における閾値 With— HH, With— LLの決定方法を説明 するための図である。そして、図 24は、受信信号強度およびパケットエラー率の無線 装置数依存性を示し、図 10と同じである。
[0214] 閾値導入モジュール 242Aは、信号強度測定モジュール 241から m組の最大値 Z 最小値 MAX[n], MIN[n]を受けると、閾値導入モジュール 242における並べ替え の方法と同じ方法によって、 m個の最大値 MAX[n]が大きい順または小さい順にな るように m組の最大値 Z最小値 MAX [η] , ΜΙΝ [η]を m組の最大値 Ζ最小値 D— MAX[n] , D_MIN[n]に並べ替える。
[0215] 並べ替えられた m組の最大値 Z最小値 D— MAX [n], D— MIN [n]を無線装置 の数に対してプロットすると、図 24に示す參および Xになる。
[0216] そうすると、閾値導入モジュール 242Aは、隣接する 2つの最大値の差が最大にな るときの 2糸且の最大値 Z最小値 { D_MAX [i], D_MIN [i] }; { D_MAX [i+1], D— MIN[i+l]}を検出し、その検出した 2組の最大値 Z最小値 {D— MAX[i], D _MIN[i] }; {D_MAX[i+ 1], D— MIN[i+ 1] }に含まれる 2つの最大値 D—M AX [i] , D— MAX [i + 1 ]の平均値 Dave 1 ( = (D— MAX [i] + D— MAX [i+1]) Z2)を閾値 With— HHと決定し、 2組の最大値 Z最小値 {D— MAX [i], D— MIN [i] }; {D_MAX[i+ 1], D_MIN[i+ 1] }に含まれる 2つの最小値 D_MIN[i] , D— MIN [i+1]の平均値 Dave2 ( = (D— MIN [i] + D— MIN [i+1]) /2)を閾値 WIth_LLと決定する。
[0217] この場合、平均値 Davel(=(D_MAX[i]+D_MAX[i+l])Z2)および平均 値 Dave2(= (D— MIN[i] +D— MIN[i+ 1]) Z2)は、同じ無線装置の数に対して 得られる。即ち、受信信号強度の最大値が平均値 Davel (= (D_MAX[i] +D_ MAX[i+l])/2)になるときの無線装置の数は、受信信号強度の最小値が平均値 Dave2 ( = (D_MIN [i] + D_MIN [i + 1 ] ) /2)になるときの無線装置の数と同じ である。
[0218] その結果、平均値 Davel (= (D_MAX[i] +D_MAX[i+ 1]) /2)は、平均値 Dave2 (= (D— MIN[i] +D_MIN[i+ 1]) /2)に対応した値になる。
[0219] 従って、閾値導入モジュール 242Aは、閾値 With— LL, With— HHを決定する 場合、上述した方法によって閾値 With— HHを決定し、その決定した閾値 With— HHから図 24において垂直下方へ線を引き、その線が受信信号強度の最小値を無 線装置の数に対してプロットした線と交差する受信信号強度の最小値を閾値 With —LLと決定してもよ 、。
[0220] また、閾値導入モジュール 242Aは、閾値 With— LL, With— HHを決定する場 合、上述した方法によって閾値 With— LLを決定し、その決定した閾値 With— LL 力も図 24において垂直上方へ線を引き、その線が受信信号強度の最大値を無線装 置の数に対してプロットした線と交差する受信信号強度の最大値を閾値 With— HH と決定してちょい。
[0221] 図 25は、 2つの閾値 With— HH, With— LLを用いたネイバ一リストの更新を示す 図である。また、図 26は、 2つの閾値 With— HH, With— LLを用いたルーティング テーブル 21の更新を示す図である。
[0222] 図 1に示すように、無線装置 36に隣接する無線装置は、無線装置 32, 35, 37, 38 , 39, 41である力 無線装置 32, 35, 38, 39, 41力ら受信した Helloノケットの受 信信号強度が With— HH以上であり、無線装置 37から受信した Helloパケットの受 信信号強度が閾値 With— HHよりも低カゝつたので、無線装置 36にお 、てルーティン グデーモン 24Aのテーブル作成モジュール 243Aは、無線装置 32, 35, 38, 39, 4 1力もの Helloパケットに基づいて、ネイバ一リスト 10Aを作成する(図 25参照)。
[0223] そして、無線装置 36にお!/、て、ルーティングデーモン 24Aのテーブル作成モジュ ール 243Aは、実施の形態 1にお 、て説明した方法によってルーティングテーブル 2 1Aを作成する(図 26参照)。
[0224] その後、無線装置 36において、ルーティングデーモン 24Aのテーブル作成モジュ ール 243Aは、無線装置 32, 35, 38, 39, 41から受信した Helloパケットの受信信 号強度が閾値 With— HHよりも低くなつても閾値 With— LL以上であれば、ネイバ 一リスト 10Aを維持する(図 25参照)。
[0225] そして、無線装置 36のテーブル作成モジュール 243Aは、無線装置 39から受信し た Helloパケットの受信信号強度が閾値 With— LLよりも低くなると、無線装置 39を 削除してネイバ一リスト 10Aをネイバ一リスト 10Hへ更新するとともに(図 25参照)、そ の更新したネイバ一リスト 10Hと、ネイバ一リスト 10Gとに基づいて、ルーティングテー ブル 21 Aをルーティングテーブル 21 Bへ更新する(図 26参照)。
[0226] この場合、無線装置 36のテーブル作成モジュール 243Aは、ネイバ一リスト 10Hを 見れば、無線装置 38が無線装置 36に隣接することを検知でき、ネイバ一リスト 10G を見れば、無線装置 41が無線装置 38に隣接することを検知できる。従って、無線装 置 36のテーブル作成モジュール 243Aは、送信先である無線装置 40に対する経路 における次の無線装置を無線装置 39から無線装置 38に変える。
[0227] また、無線装置 36のテーブル作成モジュール 243Aは、ネイバ一リスト 10Hを見れ ば、無線装置 41が無線装置 36に隣接することを検知でき、ネイバ一リスト 10Gを見 れば、無線装置 42が無線装置 41に隣接することを検知できる。従って、無線装置 3 6のテーブル作成モジュール 243Aは、送信先である無線装置 42に対する経路にお ける次の無線装置を無線装置 39から無線装置 41に変える。これにより、無線装置 3 6のテーブル作成モジュール 243Aは、ルーティングテーブル 21 Aをルーティングテ 一ブル 21 Bに更新する。
[0228] 上述したように、ネイバ一リスト 10に登録するための閾値 With— HHと、ネイバーリ スト 10から削除するための閾値 With— LLとを導入することにより、受信信号強度が 閾値 With— HH以上になってネイバ一リスト 10に登録された無線装置は、受信信号 強度が閾値 With— LLを下回るまでネイバ一リスト 10から削除されず、ルーティング テーブル 21における頻繁な経路切換を抑制できる。
[0229] 図 24において、受信信号強度が閾値 With— HH以上である無線装置は、線 LN1 よりも左側に存在し、受信信号強度が閾値 With— LLよりも低い無線装置は、線 LN 1よりも右側に存在する。即ち、 2つの閾値 With— HH, With— LLを導入することに より、隣接無線装置をネイバ一リスト 10に登録されている無線装置とネイバ一リスト 10 に登録されて ヽな ヽ無線装置とに区別できる。
[0230] そして、閾値 With— HH以上の受信信号強度を有する Helloパケットを送信した無
線装置がネイバ一リスト 10に登録されている期間および閾値 With— LLよりも低い受 信信号強度を有する Helloパケットを送信した無線装置がネイバ一リスト 10から削除 されている期間は、金属板からなる遮蔽物が 2つの無線装置間に配置される等の電 波環境の変化が生じない期間である。
[0231] 従って、 2つの閾値 With— HH, With— LLを導入することにより、一定期間、隣接 無線装置をネイバ一リスト 10に登録されている無線装置とネイバ一リスト 10に登録さ れて 、な 、無線装置とに区別できる。
[0232] その結果、ー且、ネイバ一リスト 10に登録されれば、一定期間、ネイバ一リスト 10か ら削除されることはなぐルーティングテーブル 21における頻繁な経路切換の抑制を より確実なものにできる。
[0233] 図 27は、ルーティングテーブルを作成する動作を説明するための実施の形態 2〖こ おけるフローチャートである。図 27に示すフローチャートは、図 14に示すフローチヤ ートのステップ S2, S3をそれぞれステップ S2A, S3Aに代えたものであり、その他は 、図 14に示すフローチャートと同じである。
[0234] 上述したステップ S1が終了すると、閾値導入モジュール 242Aは、信号強度測定 モジュール 241から受けた m個の最大値 Z最小値の組に基づ 、て、上述した方法に よって、安定な電波環境にぉ 、て送受信される電波の最小強度以上の受信信号強 度を検出するための 2つの閾値 WIth_HH, WIth_LLを決定する(ステップ S2A)
[0235] そして、閾値導入モジュール 242Aは、その決定した閾値 With— HH, With— LL をテーブル作成モジュール 243Aへ出力する。
[0236] その後、テーブル作成モジュール 243Aは、 2つの閾値 With— HH, With— LLを 閾値導入モジュール 242A力も受け、その受けた閾値 With— HH以上の受信信号 強度を有する Helloパケットを受信し、上述した方法によってルーティングテーブル 2 1を作成する (ステップ S3A)。これによつて、一連の動作が終了する。
[0237] 図 28は、図 27に示すステップ S2Aの詳細な動作を説明するためのフローチャート である。一連の動作が開始されると、閾値導入モジュール 242Aは、実施の形態 1に おける閾値導入モジュール 242と同じ方法によって、 n組の最大値 Z最小値 MAX[
1] , MIN[l]〜MAX[n] , MIN[n]を n糸且の最大値 Z最小値 D— MAX[1] , D_ MIN[1]〜D— MAX[n] , D_MIN[n]に並べ替える(ステップ S31)。
[0238] そして、閾値導入モジュール 242Aは、隣接する 2つの最大値の差 D— MAX[j] - D— MAX[j + l]を順次演算し、差 D— MAX[j]—D— MAX[j + l]が最大となる 2 糸且の最大値 Z最小値 {D_MAX[i], MIN[i] } , {D_MAX[i+ l], MIN[i+ l] } を検出する (ステップ S32)。
[0239] その後、閾値導入モジュール 242Aは、最小値 MIN[i]と最小値 MIN[i+ 1]との 平均(= (MIN [i] + MIN [i+ 1 ] ) /2)を演算し、その演算結果を閾値 WIth_LLと して決定する(ステップ S33 A)。また、閾値導入モジュール 242Aは、最大値 MAX[i ]と最大値 MAX[i+ 1]との平均(= (MAX[i] +MAX[i+ l]) /2)を演算し、その 演算結果を閾値 With— HHとして決定する (ステップ S33B)。
[0240] そして、一連の動作は、図 27のステップ S3Aへ移行する。
[0241] なお、実施の形態 2においては、閾値導入モジュール 242Aは、次の方法によって
2つの閾値 With— HH, With— LLを決定してもよい。
[0242] 図 29は、実施の形態 2における閾値の決定方法を説明するための他の図である。
そして、図 29は、受信信号強度およびパケットエラー率の無線装置数依存性を示し
、図 10と同じである。
[0243] 閾値導入モジュール 242Aは、信号強度測定モジュール 241から m組の最大値 Z 最小値 MAX[n] , MIN [n]を受けると、閾値導入モジュール 242における並べ替え の方法と同じ方法によって、 m個の最大値 MAX[n]が大きい順または小さい順にな るように m組の最大値 Z最小値 MAX [n] , MIN [n]を m組の最大値 Z最小値 D— MAX[n] , D_MIN[n]に並べ替える。
[0244] 並べ替えられた m組の最大値 Z最小値 D— MAX [n] , D— MIN [n]を無線装置 の数に対してプロットすると、図 29に示す參および Xになる。また、パケットエラー率 を無線装置の数に対してプロットすると、図 29に示す になる。
[0245] そうすると、閾値導入モジュール 242Aは、パケットエラー率のしきい値 PERthを決 定し、その決定したしきい値 PERthよりも所定値(=例えば、 5dB)だけ高いレベルの 受信信号強度の最小値を閾値 With— LL1と決定する。そして、閾値導入モジユー
ル 242Aは、その決定した閾値 With— LL1から垂直上方向へ線 LN2を引き、その 線 LN2が受信信号強度の最大値を無線装置の数に対してプロットした線と交差する 点における受信信号強度の最大値を閾値 With— HH1と決定する、
上述した方法によって決定された閾値 With— HH1, With— LL1は、同じ無線装 置の数に対して得られる。即ち、受信信号強度の最大値が閾値 With— HH1になる ときの無線装置の数は、受信信号強度の最小値が閾値 With— LL1になるときの無 線装置の数と同じである。
[0246] その結果、閾値 With— HH1は、閾値 With— LL1に対応した値になる。
[0247] テーブル作成モジュール 243Aは、閾値 With— HH1以上の受信信号強度を有す る Helloパケットを送信した無線装置をネイバ一リスト 10に登録し、閾値 With— LL1 よりも低い受信信号強度を有する Helloパケットを送信した無線装置をネイバ一リスト 10から削除することによって、一定期間の間、隣接無線装置をネイバ一リスト 10に登 録される無線装置(図 29の線 LN2よりも左側に存在する無線装置)とネイバ一リスト 1 0から削除されている無線装置(図 29の線 LN2よりも右側に存在する無線装置)とに 区別できる。その結果、一旦、ネイバ一リスト 10に登録されれば、一定期間、ネイバ 一リスト 10から削除されることはなぐルーティングテーブル 21における頻繁な経路 切換の抑制をより確実なものにできる。
[0248] 図 30は、ルーティングテーブルを作成する動作を説明するための実施の形態 2〖こ おける他のフローチャートである。図 30に示すフローチャートは、図 27に示すフロー チャートのステップ S2Aをステップ S2Bに代えたものであり、その他は、図 27に示す フローチャートと同じである。
[0249] 上述したステップ S1が終了すると、閾値導入モジュール 242Aは、検出した信号強 度の最大値と最小値との複数の組およびパケットエラー率に基づ 、て、安定な電波 環境において送受信される電波の最小強度以上の強度を検出するための 2つの閾 値 With— HH1, With— LL1を決定する(ステップ S2B)。その後、上述したステツ プ S3Aが実行され、一連の動作は終了する。
[0250] 図 31は、図 30に示すステップ S2Bの詳細な動作を説明するためのフローチャート である。図 31に示すフローチャートは、図 16に示すフローチャートのステップ S32, S
33をステップ S34, S35に代えたものであり、その他は、図 16に示すフローチャート と同じである。
[0251] 上述したステップ S31が終了すると、閾値導入モジュール 242Aは、パケットエラー 率のしきい値 PERthと所定差を有する最小値 D— MIN[i]を検出し、その検出した 最小値 D— MIN[i]を閾値 With— LL1として導入する(ステップ S34)。
[0252] その後、閾値導入モジュール 242Aは、最小値 D— MIN[i]に対応する最大値 D — MAX[i]を検出し、その検出した最大値 D— MAX [i]を閾値 With— HH1として 導入する(ステップ S35)。そして、一連の動作は、図 30に示すステップ S3 Aへ移行 する。
[0253] このように、実施の形態 2においては、閾値 With— HH1, With— LL1は、複数組 の最大値 Z最小値 {D— MAX[n]ZD— MIN[n] }およびパケットエラー率に基づ いて決定される。
[0254] なお、この発明の実施の形態 2においては、信号強度測定モジュール 241および 閾値導入モジュール 242Aは、「閾値決定手段」を構成する。
[0255] また、テーブル作成モジュール 243Aは、「テーブル作成手段」を構成する。
[0256] 更に、 n組の最大値 Z最小値 MAX[1] , MIN[l]〜MAX[n] , MIN[n]を n組の 最大値,最小値 D— MAX [1] , D— MIN [ 1 ]〜D— MAX [n] , D— MIN [n]に並 ベ替える閾値導入モジュール 242A、または P組の最大値 Z最小値 MAX[1] , MI N[1]〜MAX[P] , MIN[P]を P組の最大値 Z最小値 D— MAX[1] , D_MIN[l] 〜D— MAX[P] , D— MIN[P]に並べ替える閾値導入モジュール 242Aは、「並替 手段」を構成する。
[0257] 更に、 n組の最大値 Z最小値 D— MAX[1] , D— MIN[1]〜D— MAX[n] , D_ MIN [n]または P組の最大値 Z最小値 D— MAX [ 1 ] , D_MIN [ 1 ]〜D_MAX [P ] , D_MIN[P]に基づいて閾値 WIth_HH, WIth_LL; WIth_HH 1 , WIth_ LL1を決定する閾値導入モジュール 242Aは、「決定手段」を構成する。
[0258] その他は、実施の形態 1と同じである。
[0259] 上述した実施の形態 1, 2においては、閾値 With; With— HH, WIth_LL ;WIth — HH1, With— LL1は、受信信号強度の最大値 Z最小値に基づいて決定された
1S この発明においては、これに限らず、閾値 With; With— HH, WIth_LL;WIt h_HHl, With— LL1は、伝搬遅延に基づいて決定されてもよい。
[0260] 上述したように、この発明においては、伝搬遅延に基づいて閾値 With; With— H H, With— LL ; With— HH1, With— LL1を決定してもよぐ一般的には、所定の 幅を揺らぐ電波特性の最大値 Z最小値と無線装置の数との関係に基づいて閾値 WI th; WIth_HH, With— LL; With— HH 1 , With— LL 1を決定してもよ!/ヽ。
[0261] 今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと 考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特 許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのす ベての変更が含まれることが意図される。
産業上の利用可能性
[0262] この発明は、安定したルーティングが可能な無線装置に適用される。