透明ポリマーフィルム、並びに、それを用いた光学補償フィルム、偏光板 および液晶表示装置
技術分野
[0001] 本発明は、耐湿性に優れ、光学異方性が少なぐ偏光膜に直接貼り合わせることが 可能な透明ポリマーフィルムに関し、また、該透明ポリマーフィルムを用いた光学補 償フィルム、偏光板、および液晶表示装置に関する。
背景技術
[0002] ハロゲン化銀写真感光材料、位相差板、偏光板および画像表示装置には、セル口 ースエステル、ポリエステル、ポリカーボネート、シクロォレフインポリマービニノレポリマ 一、および、ポリイミド等に代表されるポリマーフィルムが用いられている。これらのポ リマーからは、平面性や均一性の点でより優れたフィルムを製造することができるため 、光学用途のフィルムとして広く採用されている。
[0003] これらのうち、セルロースエステルフィルムは適切な透湿度を有するため、最も一般 的なポリビニルアルコール (PVA) Zヨウ素からなる偏光膜とオンラインで直接貼り合 わせることが可能である。そのため、セルロースァシレート、特にセルロースァセテ一 トは偏光板の保護フィルムとして広く採用されている。偏光板の保護フィルムは光学 等方性に優れていることが必要とされており、特に偏光膜と液晶セルとの間に配置さ れる保護フィルムの光学特性は液晶表示装置の視認性に大きな影響を及ぼす。
[0004] 一方、近年の広視野角化に伴って位相差の補償性向上が求められるようになって おり、偏光膜と液晶セルとの間に配置されるフィルムの位相差力 変化しないことが 求められている。即ち、視野角によらずレターデーシヨンが小さいフィルム、換言すれ ば、面内方向のレターデーシヨン値 (Re ;以下、単に「Re」と称することがある。)と膜 厚方向のレターデーシヨン値 (Rth;以下、単に「Rth」と称することがある。)がともに 小さいフィルムが要求されており、これらのレターデーシヨン値は波長や測定環境に よらず、変化しないことが要求されている。し力しながら、従来のセルロースアセテート フィルムでは、視野角によらずレターデーシヨンが小さいフィルムを実現することは容
易ではなぐまた、測定環境、とりわけ湿度環境によって Rthが大きく変化してしまうと いう問題があった。
[0005] 視野角によらずレターデーシヨン力 、さ 、フィルムとして、ポリカーボネートゃシクロ ォレフィンポリマー力もなるフィルムが提案されている(例えば、特開 2001— 31823 3号公報および特開 2002— 328233号公報参照参照)。これらのフィルムは、例え ば、 ZEONOR (日本ゼオン (株)製)や、 ARTON (JSR (株)製)などとして市販され ている。し力し、これらのフィルムは透湿度が低いため、セルロースアセテートフィルム のように、偏光膜の保護フィルムとして直接貼り合わせることができな 、。
[0006] 従って、適度な透湿度を有し、且つ波長や測定環境によらず Reと Rthとが小さいフ イルムが求められている。
[0007] また、透明ポリマーフィルムを、光学補償フィルム、光学補償フィルムの支持体、お よび、偏光板の保護フィルム、並びに、液晶表示装置のような光学用途に使用する 場合、その光学異方性の制御は、表示装置の性能 (例えば、視認性)を決定する上 で非常に重要な要素となる。したがって、透明ポリマーフィルムの光学異方性を適切 に制御することが重要であるのに対し、一般に面内方向のレターデーシヨン (Re)の 制御は容易である力 厚み方向のレターデーシヨン (Rth)の制御が難しいとされてい る。
[0008] 特に優れた光学フィルムを製造できることから、溶液流延製膜法が最も一般的に採 用されている。しかし、前記溶液流延製膜法においては、製膜過程で必然的に膜厚 方向へ圧縮力が加わるため、厚み方向のレターデーシヨンが低 、フィルムを製造す ることは非常に困難であった。
[0009] また、溶融製膜法にて光学フィルムを製造した場合にも、製膜過程や搬送過程でゥ エブに力が力かることがあるため、レターデーシヨンが低いフィルムを製造することは 困難であった。
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0010] 本発明の目的は、適度な透湿度を有し、波長や測定環境によらず Reと Rthとが小 さい透明ポリマーフィルムを提供することにある。また、本発明の目的は、本発明の透
明ポリマーフィルムを、光学補償フィルム、光学補償フィルムの支持体または偏光板 の保護フィルムとして直接偏光膜と貼り合わせ、優れた光学性能を発揮することので きる偏光板およびこれを用いた信頼性の高 、液晶表示装置を提供することにもある。 課題を解決するための手段
[0011] 前記課題は下記の手段により解決される。
[0012] (1) 下記式 (I)〜(III)の全てを満足し、且つ、 40°C '相対湿度 90%における透湿 度力 膜厚 80 μ m換算で 500g/ (m2-day)以上である透明ポリマーフィルム。 式(I) : Reく 5、且つ、 I Rth Iく 20
式(Π) : I Re (700) -Re (400) |く 5、且つ、
I Rth (700) -Rth (400) |く 20
式(III) : I Re (10%) -Re (80%) |く 5、且つ、
I Rth (10%) -Rth (80%) | < 15
[式中、 Reおよび Rthは、それぞれ測定波長が 632. 8nmであるときの面内方向およ び膜厚方向のレターデーシヨン値(単位; nm)を表し、 1^ (ぇ)ぉょび1¾11 (ぇ)は、そ れぞれ波長が λ (単位; nm)であるときの面内方向および膜厚方向のレターデーショ ン値(単位; nm)を表し、 Re (H%)および Rth (H%)は、それぞれ相対湿度が H (単 位;%)における測定波長が 632. 8nmであるときの面内方向および膜厚方向のレタ 一デーシヨン値を表す。 ]
[0013] (2) (1)に記載の透明ポリマーフィルム上に、 0≤Re≤200nmであり、且つ、 I Rt h I ≤400nmである光学異方性層を設けた光学補償フィルム。
[0014] (3) 第 1保護フィルム、第 2保護フィルム、および該第 1保護フィルムと第 2保護フィ ルムに挟まれた偏光膜からなる偏光板であって、前記第 1保護フィルムが少なくとも 一枚の(1)に記載の透明ポリマーフィルム力 なる偏光板。
[0015] (4) (1)に記載の透明ポリマーフィルムを有する液晶表示装置、特に(3)に記載の 偏光板を第 1保護フィルムが液晶セル側になるように配置した液晶表示装置。
発明の効果
[0016] 本発明によれば、適度な透湿度を有し、波長や測定環境によらず Reと Rthが小さ い透明ポリマーフィルムを提供することができ、さらに、優れた光学補償フィルムを提
供することができる。また、本発明の透明ポリマーフィルムは適度な透湿度を有する ため、偏光膜とオンラインで貼り合わせることができ、視認性に優れた偏光板や信頼 性の高い液晶表示装置を生産性よく提供することができる。
図面の簡単な説明
[0017] [図 1]押出機の構成を示す概略図である。 Lは延伸間隔、 22は押出機、 32はシリンダ 一、 40は供給口、 Aは供給部、 Bは圧縮部、 Cは計量部である。
発明を実施するための最良の形態
[0018] 以下において、本発明の透明ポリマーフィルム、光学補償フィルム、偏光板、およ び、液晶表示装置について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、 本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実 施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される 数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を 意味する。
[0019] 《透明ポリマーフィルム》
本発明の透明ポリマーフィルムは、下記式 (I)〜(III)の全てを満足し、且つ、 40°C - 相対湿度 90%における透湿度力 膜厚 80 μ m換算で 500gZ (m2-day)以上である ことを特徴とする。
式(I) : Reく 5、且つ、 | Rth |く 20
式(Π) : I Re (700) -Re (400) |く 5、且つ、
I Rth (700) -Rth(400) |く 20
式(III) : I Re (10%) -Re (80%) |く 5、且つ、
I Rth (10%) -Rth (80%) | < 15
[式中、 Reおよび Rthは、それぞれ測定波長が 632. 8nmであるときの面内方向およ び膜厚方向のレターデーシヨン値(単位; nm)を表し、 1^ (ぇ)ぉょび1¾11 (ぇ)は、そ れぞれ波長が λ (単位; nm)であるときの面内方向および膜厚方向のレターデーショ ン値(単位; nm)を表し、 Re (H%)および Rth (H%)は、それぞれ相対湿度が H (単 位;%)における測定波長が 632. 8nmであるときの面内方向および膜厚方向のレタ 一デーシヨン値を表す。 ]
[0020] 本発明の透明ポリマーフィルムは前記式 (I)〜(III)の全てを満たすことで、波長によ らず Reと Rthとが小さぐさら〖こ、耐湿性に優れた光学異方性を示す。
[0021] [レターデーシヨン]
まず、本発明における各レターデーシヨンについて説明する。本明細書において、 Re、 Rth (単位; nm)は次の方法にしたがって求めたものである。まず、フィルムを 25 。C、相対湿度 60%にて 24時間調湿後、プリズムカップラー(MODEL2010 Prism Coupler: Metricon製)を用い、 25°C、相対湿度 60%において、 632. 8nmの He Neレーザーを用いて下記式 (a)で表される平均屈折率 (n)を求める。 式(a) : n= (n X 2+n ) /3
ΤΕ ΤΜ
[式中、 η はフィルム平面方向の偏光で測定した屈折率であり、 η はフィルム面法
ΤΕ Τ
線方向の偏光で測定した屈折率である。 ]
続いて、調湿されたフィルムを、複屈折測定装置 (ABR— 10A:ュニオブト (株)製) を用い、 25°C、相対湿度 60%において、サンプルフィルム表面に対し垂直方向およ び、フィルム面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム面法線から ±40° 傾斜 させた方向力ら 632. 8nmの He— Neレーザーを用いてレターデーシヨン値を測定し
、さらに上記で求めた平均屈折率を用いて、 nx、 ny、 nzをそれぞれ算出し、下記式( b)および (c)でそれぞれ表される面内方向のレターデーシヨン値 (Re)と膜厚方向の レターデーシヨン値 (Rth)とを算出する。
式(b) : Re= (nx-ny) X d
式(c) : Rth= { (nx+ny) /2-nz} X d
[式中、 nxはフィルム面内の遅相軸(x)方向の屈折率であり、 nyはフィルム面内の進 相軸 (y)方向の屈折率であり、 nzはフィルムの膜厚方向(フィルム面法線方向)の屈 折率であり、 dはフィルム膜厚 (nm)である。遅相軸はフィルム面内で屈折率が最大と なる方向であり、進相軸はフィルム面内で屈折率が最小となる方向である。 ]
Re ( )および Rth ( ) (単位; nm)は各々、波長え(単位; nm)における面内のレ ターデーシヨンおよび厚さ方向のレターデーシヨンを表す。
Re ( l )および Rth ( λ )は、フィルムを 25°C、相対湿度 60%にて 24時間調湿後、 分光エリプソメーター(M— 150 ;日本分光 (株)製)を用い、 25°C、相対湿度 60%に
おいて、サンプルフィルム表面に対し垂直方向および、フィルム面内の遅相軸を傾斜 軸(回転軸)としてフィルム面法線から ±40° 傾斜させた方向から、 Xe光源を用いて 前記方法に基づき波長えにおけるレターデーシヨン値を測定、算出したものである。
[0022] 相対湿度が H (単位;%)であるときの面内方向および膜厚方向のレターデーシヨン 値: Re (H%)および Rth(H%)は、フィルムを 25°C、相対湿度 H%にて 24時間調湿 後、 25°C、相対湿度 H%において、前記方法と同様にして、相対湿度 H%における 測定波長が 632. 8nmであるときのレターデーシヨン値を測定、算出したものである。
[0023] 本発明の透明ポリマーフィルムのレターデーシヨン値は、前記式(I)〜(III)の全てを 満足する。前記式 (I)〜(III)の 、ずれか一つでも満たさな 、と、フィルムのレターデ ーシヨン値が視野角や波長、測定環境などによって変化してしまう。また、前記式 (I) 〜(III)の全てを満足する本発明の透明ポリマーフィルムは、それぞれ下記式 (la)〜 (Ilia)の全てを満たすことが好ま U、。
式(la): Reく 4、且つ。 | Rth | く 15
式(Ila) : I Re (700) -Re (400) | く 5、且つ、
I Rth (700)—Rth (400) | く 15
式(Ilia): I Re (10%)—Re (80%) | く 4、且つ、
I Rth (10%) -Rth (80%) | く 10
[0024] 本発明の透明ポリマーフィルムは、それぞれ下記式 (lb)〜(Illb)の全てを満たすこ とがさらに好ましい。
式(lb) : Reく 2、且つ、 I Rth I く 10
式(lib) : I Re (700)—Re (400) | く 5、且つ、
I Rth (700)—Rth (400) | く 10
式(Illb): I Re (10%) -Re (80%) | く 2、且つ、
I Rth (10%) -Rth (80%) | く 8
[0025] これらのレターデーシヨン値の搬送方向および幅方向のばらつきは、 10nm以下で あることが好ましぐ 8nm以下であることがより好ましぐ 6nm以下であることがさらに 好ましい。
[0026] [透湿度]
次に透湿度について説明する。本発明において「透湿度」とは、塩ィ匕カルシウムを 入れたカップを各々のフィルム試料を用いて蓋をし、且つ密閉したものを、 40°C '相 対湿度 90%の条件で 24時間放置した際の調湿前後の質量変化 (gZ (m2-day) )か ら評価した値である。
なお、透湿度は、温度の上昇に伴い上昇し、また、湿度の上昇に伴い上昇する力 各条件によらず、フィルム間における透湿度の大小関係は不変である。そのため、本 発明にお 、ては 40°C ·相対湿度 90%における前記質量変化の値を基準とする。ま た、透湿度は、膜厚の上昇に伴い低下し、膜厚の低下に伴い上昇するため、まず実 測した透湿度に実測した膜厚を乗じ、それを 80で割った値を本発明における「膜厚 8 0 μ m換算の透湿度」とした。
[0027] 本発明の透明ポリマーフィルムの透湿度は、 80 μ m換算で 500gZ (m2-day)以上 である。前記 80 μ m換算の透湿度を 500g/ (m2 · day)以上としたフィルムを少なくと も 1枚以上使用すると、偏光膜と貼り合わせた際、偏光膜や接着剤に含まれた水が 迅速に乾燥するために生産性の観点や、初期偏光度の低下防止の観点力 好まし 前記 80 m換算の透、湿度としては、 500〜15008/ (1112'(1& )カ 子ましく、 600 〜 1 OOOgZ (m2 · day)がさらに好まし!/ヽ。
[0028] また、本発明の偏光板において、偏光膜を挟んで本発明の透明ポリマーフィルムの 反対側に貼合される保護フィルムの透湿度は、 m換算で 500gZ (m2'day)未 満であることが好まし 、。前記 80 μ m換算の透湿度を 500gZ (m2 · day)未満とした フィルムを、偏光膜を挟んで本発明の透明ポリマーフィルムの反対側に使用した偏光 板を作製し、本発明のフィルムが液晶セル側になるように配置した液晶表示装置を 作成すると、湿度もしくは湿熱に対する偏光板の耐久性が向上し、信頼性の高い液 晶表示装置を提供することができるため、好ましい。このフィルムの 80 m換算の透 湿度としては、 500gZ (m2' day)未満が好ましぐ 50〜450gZ (m2'day)がより好ま しく、 100〜400g/ (m2'day)力 Sさらに好ましく、 150〜300g/ (m2'day)力 S最も好 ましい。
[0029] [膜厚]
偏光板等に加工する際のハンドリング性や偏光板のカール、並びに、生産性の観
点から、本発明の透明ポリマーフィルムの膜厚は 50〜180 /ζ πιが好ましぐ 60〜15 O /z mがより好ましぐ 80〜120 /ζ πιがさらに好ましい。また、本発明の透明ポリマー フィルムの膜厚むらは、搬送方向および幅方向のいずれも 0〜2%であることが好ま しぐ 0〜1. 5%がさらに好ましぐ 0〜1%であることが特に好ましい。
[0030] [ポリマー]
本発明の透明ポリマーフィルムの構成要素となるポリマーとしては、セルロースエス テル、ポリエステル、ポリカーボネート、シクロォレフインポリマー、ビニノレポリマー、ポ リアミドおよびポリイミド等を挙げることができる。前記ポリマーは、適切な透湿度を達 成するために、主鎖もしくは側鎖に水酸基、アミド、イミドまたはエステル等の親水的 な構造を有することが好ましい。前記ポリマーとしては、セルロースエステルが好まし い。前記ポリマーとしては、粉末や粒子状のものを使用することができ、また、ペレット 化したものも用いることができる。
前記ポリマーの含水率は、 1. 0質量%以下であることが好ましぐ 0. 7質量%以下 であることがさらに好ましぐ 0. 5質量%以下であることが最も好ましい。また、前記含 水率は場合により 0. 2質量%以下であることが好ましい。前記ポリマーの含水率が好 ましい範囲内にない場合には、前記ポリマーを加熱などにより乾燥して力も使用する ことが好ましい。
これらのポリマーは単独で用いてもよ!、し、 2種類以上のポリマーを併用してもよ!ヽ
[0031] [セルロースエステル]
前記セルロースエステルとしては、セルロースエステル化合物、および、セルロース を原料として生物的或いは化学的に官能基を導入して得られるエステル置換セル口 ース骨格を有する化合物が挙げられ、その中でもセルロースァシレートが特に好まし い。
なお、本発明の透明ポリマーフィルムの主成分としてのポリマーとしては、上述のセ ルロースァシレートを用いることが好ましい。ここで、「主成分としてのポリマー」とは、 単一のポリマー力 なる場合には、そのポリマーのことを示し、複数のポリマーからな る場合には、構成するポリマーのうち、最も質量分率の高いポリマーのことを示す。
[0032] 前記セルロースエステルは、セルロースと酸とのエステルである。前記エステルを構 成する酸としては、有機酸が好ましぐカルボン酸がより好ましぐ炭素原子数が 2〜2 2の脂肪酸がさらに好ましぐ炭素原子数が 2〜4の低級脂肪酸が最も好ましい。 前記セルロースァシレートは、セルロースとカルボン酸とのエステルである。前記セ ルロースァシレートは、セルロースを構成するグルコース単位の 2位、 3位および 6位 に存在するヒドロキシル基の水素原子の全部または一部力 ァシル基で置換されて いる。前記ァシル基の例としては、例えば、ァセチル、プロピオ-ル、ブチリル、イソブ チリル、ビバロイル、ヘプタノィル、へキサノィル、オタタノィル、デカノィル、ドデカノィ ル、トリデカノィル、テトラデカノィル、へキサデカノィル、ォクタデカノィル、シクロへキ サンカルボニル、ォレオイル、ベンゾィル、ナフチルカルボニル、および、シンナモイ ルが挙げられる。前記ァシル基としては、ァセチル、プロピオ-ル、ブチリル、ドデカノ ィル、ォクタデカノィル、ピバロィル、ォレオイル、ベンゾィル、ナフチルカルボニル、 シンナモイルが好ましぐァセチル、プロピオニル、ブチリルが最も好ましい。
前記セルロースセルロースは、セルロースと複数の酸とのエステルであってもよ 、。 また、前記セルロースァシレートは、複数のァシル基で置換されていてもよい。
[0033] 本発明の透明ポリマーフィルムにおいては、炭素原子数 2〜4のカルボン酸とのェ ステルを有するセルロースァシレートが特に好ましぐ具体的には、セルロースァセテ ートプロピオネート、セノレロースプロピオネート、セノレロースアセテートブチレート、ま たは、セルロースブチレートが挙げられる。これらの具体的な置換度については後述 するが、本発明の透明ポリマーフィルムにおいては、 Reと Rthとを低下させるため、前 記セルロースエステルの全置換度は適切な範囲内にされることが好ましい。また、前 記セルロースエステルとしては、セルロースアセテートよりも疎水的なプロピオ-ル基 ゃブチリル基を導入することにより、フィルムのレターデーシヨンの湿度依存性を低下 させることができる。同時に嵩高い置換基の導入によりフィルムが低密度化するため 、透湿度を上昇させることができる。
[0034] 前記セルロースァシレート力 セルロースアセテートプロピオネートやセルロースプ 口ピオネートの場合は、セルロースの水酸基へのァシル置換度が下記式(IV)および (V)の両方を満足することが好ま 、。
式(IV): 2. 70≤SA+SP≤3. 00
式 (V): 2. 00≤SP≤2. 95
[式中、 SAおよび SPは、それぞれセルロースの水酸基に置換されているァセチル基 の置換度およびプロピオニル基の置換度を表す。 ]
[0035] また、前記セルロースの水酸基へのァシル置換度は下記式(IVa)および (Va)の両 方を満足することがさらに好ましい。
式(IVa) : 2. 80≤SA+SP≤2. 95
式 (Va): 2. 20≤SP≤2. 95
[0036] さらに、前記セルロースの水酸基へのァシル置換度は下記式(IVb)および (Vb)の 両方を満足することが特に好まし 、。
式(IVb) : 2. 85≤SA+SP≤2. 95
式 (Vb): 2. 40≤SP≤2. 90
[0037] 一方、前記セルロースァシレート力 セルロースアセテートブチレートやセルロース ブチレートの場合は、セルロースの水酸基へのァシル置換度が下記式 (VI)および (V II)の両方を満足することが好ま 、。
式 (VI): 2. 80≤SA+SB≤3. 00
式 (VII): 1. 50≤SB≤2. 50
[式中、 SAおよび SBは、それぞれセルロースの水酸基に置換されているァセチル基 の置換度およびプチリル基の置換度を表す。 ]
[0038] また、前記セルロースの水酸基へのァシル置換度は下記式 (Via)および (Vila)の 両方を満足することがさらに好ましい。
式 (Via): 2. 85≤SA+SB≤3. 00
式 (Vila): 1. 50≤SB≤2. 30
[0039] さらに、前記セルロースの水酸基へのァシル置換度は下記式 (VIb)および (Vllb) の両方を満足することが特に好ましい。
式 (VIb): 2. 90≤SA+SB≤3. 00
式 (Vllb): 1. 50≤SB≤2. 00
[0040] セルロースアセテートブチレートやセルロースブチレートでは、他のセルロースァシ
レートと同様、全置換度の上昇に伴い Rthが低下する。しかし、プチリル基はフレキシ ブルな構造を有するが故に、製膜時の圧縮力により側鎖が面内に寝て Rthを増加さ せる働きをする。このため、前記セルロースァシレートがセルロースアセテートブチレ ートゃセルロースブチレートの場合は、側鎖がァセチル基ゃプロピオニル基力 なる 場合よりも全置換度は高 、ことが好ま 、。
[0041] セルロースァシレートの合成方法について、基本的な原理は、右田伸彦他、木材 化学 180〜190頁(共立出版、 1968年)に記載されている。セルロースァシレートの 代表的な合成方法としては、カルボン酸無水物一力ルボン酸 硫酸触媒による液相 ァシルイ匕法が挙げられる。具体的には、まず、綿花リンタゃ木材パルプ等のセルロー ス原料を適当量の酢酸などのカルボン酸で前処理した後、予め冷却したァシルイ匕混 液に投入してエステル化し、完全セルロースァシレート(2位、 3位および 6位のァシ ル置換度の合計が、ほぼ 3. 00)を合成する。前記ァシルイ匕混液は、一般に溶媒とし てのカルボン酸、エステル化剤としてのカルボン酸無水物および触媒としての硫酸を 含む。また、前記カルボン酸無水物は、これと反応するセルロースおよび系内に存在 する水分の合計よりも、化学量論的に過剰量で使用することが普通である。
[0042] 次 、で、ァシル化反応終了後に、系内に残存して 、る過剰カルボン酸無水物の加 水分解を行うために、水または含水酢酸を添加する。さらに、エステル化触媒を一部 中和するために、中和剤(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウムまたは 亜鉛の炭酸塩、酢酸塩、水酸ィ匕物または酸ィ匕物)を含む水溶液を添加してもよい。さ らに、得られた完全セルロースァシレートを少量のァシルイ匕反応触媒 (一般には、残 存する硫酸)の存在下で、 20〜90°Cに保つことにより酸ィ匕熟成し、所望のァシル置 換度および重合度を有するセルロースァシレートまで変化させる。所望のセルロース ァシレートが得られた時点で、系内に残存して 、る触媒を前記中和剤などを用いて 完全に中和する力、或いは、前記触媒を中和することなく水若しくは希酢酸中にセル ロースァシレート溶液を投入 (或いは、セルロースァシレート溶液中に、水または希酢 酸を投入)してセルロースァシレートを分離し、洗浄および安定化処理により目的物 であるセルロースァシレートを得ることができる。
[0043] 前記セルロースエステルの重合度は、セルロースエステルを溶液流延製膜する場
合には、粘度平均重合度で 150〜500が好ましぐ 200〜400力 り好ましく、 220 〜350がさらに好ましい。また、セルロースエステルを溶融製膜する場合には、粘度 平均重合度で 100〜300力 S好ましく、 120〜250力 Sより好ましく、 130〜200力 Sさらに 好ましい。前記粘度平均重合度は、宇田らの極限粘度法 (宇田和夫、斉藤秀夫、繊 維学会誌、第 18卷第 1号、 105〜120頁、 1962年)の記載に従って測定することが できる。前記粘度平均重合度の測定方法については、特開平 9 95538号公報に も記載がある。
[0044] また、低分子成分が少な!/、セルロースエステルは、平均分子量 (重合度)が高 、が 、粘度は通常のセルロースエステルよりも低い値になる。このような低分子成分の少 な!、セルロースエステルは、通常の方法で合成したセルロースエステルから低分子 成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースエステ ルを適当な有機溶媒で洗浄することにより行うことができる。また、低分子成分の少な V、セルロースエステルを合成により得ることもできる。低分子成分の少な!/、セルロース エステルを合成する場合、ァシル化反応における硫酸触媒量を、セルロース 100質 量に対して 0. 5〜25質量部に調整することが好ましい。前記硫酸触媒の量を前記範 囲にすると、分子量分布の点でも好ま U、(分子量分布の均一な)セルロースエステ ルを合成することができる。
[0045] セルロースエステルの原料綿や合成方法にっ ヽては、発明協会公開技報 (公技番 号 2001— 1745号、 2001年 3月 15日発行、発明協会) 7〜12頁にも記載がある。 また、本発明において好ましく使用されるセルロースァシレートの具体的手順につ いては、後述する合成例 1および合成例 2を参照することができる。
[0046] [ポリマーフィルムの作製]
本発明の透明ポリマーフィルムは、ポリマーや各種添加剤を含有するポリマー溶液 力も溶液流延製膜方法によって製膜することで作製することができる。また、本発明 のポリマーや各種添加剤の混合物の融点が、分解温度よりも低い場合には、溶融流 延製膜方法によって製膜することで作製することもできる。本発明の透明ポリマーフィ ルムは溶融流延製膜方法によって製膜することもでき、溶融流延製膜方法にっ 、て は、特開 2000— 352620号公報などに記載がある。
[0047] [溶液流延製膜]
<ポリマー溶液 >
(溶媒)
本発明の透明ポリマーフィルムは、例えば、ポリマーや必要に応じて各種添加剤を 含有するポリマー溶液を溶液流延製膜方法等によって製膜することで、作製すること ができる。
本発明の透明ポリマーフィルムの作製に用いられるポリマー溶液 (好ましくはセル口 ースエステル溶液)の主溶媒としては、該ポリマーの良溶媒である有機溶媒を好まし く用いることができる。このような有機溶媒としては、沸点が 80°C以下の有機溶媒が 乾燥負荷低減の観点力もより好ましい。前記有機溶媒の沸点は、 10〜80°Cであるこ とがさらに好ましぐ 20〜60°Cであることが特に好ましい。また、場合により沸点が 30 〜45°Cである有機溶媒も前記主溶媒として好適に用いることができる。
[0048] このような主溶媒としては、ハロゲン化炭化水素、エステル、ケトン、エーテル、アル コールおよび炭化水素などが挙げられ、これらは分岐構造若しくは環状構造を有し ていてもよい。また、前記主溶媒は、エステル、ケトン、エーテルおよびアルコールの 官能基(即ち、—O—、—CO—、—COO—、 一 OH)のいずれかを二つ以上有して いてもよい。さらに、前記エステル、ケトン、エーテルおよびアルコールの炭化水素部 分における水素原子は、ハロゲン原子 (特に、フッ素原子)で置換されていてもよい。 なお、本発明の透明ポリマーフィルムの作製に用いられるポリマー溶液 (好ましくはセ ルロースエステル溶液)の主溶媒とは、単一の溶媒カゝらなる場合には、その溶媒のこ とを示し、複数の溶媒力もなる場合には、構成する溶媒のうち、最も質量分率の高い 溶媒のことを示す。
[0049] 前記ハロゲン化炭化水素としては、塩素化炭化水素がより好ましぐ例えば、ジクロ ロメタンおよびクロ口ホルムなどが挙げられ、ジクロロメタンがさらに好ましい。
前記エステルとしては、例えば、メチルホルメート、ェチルホルメート、メチルァセテ ート、ェチルアセテートなどが挙げられる。
前記ケトンとしては、例えば、アセトン、メチルェチルケトンなどが挙げられる。
前記エーテルとしては、例えば、ジェチルエーテル、メチルー tert—ブチルエーテ
ル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、 1, 3 ジォキソラン、 4 メチルジォキ ソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、 1, 4 ジォキサンなどが挙げられ る。
前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、 2—プロパノールなどが 挙げられる。
前記炭化水素としては、例えば、 n—ペンタン、シクロへキサン、 n—へキサン、ベン ゼン、トルエンなどが挙げられる。
[0050] これら主溶媒と併用される有機溶媒としては、ハロゲンィ匕炭化水素、エステル、ケト ン、エーテル、アルコールおよび炭化水素などが挙げられ、これらは分岐構造若しく は環状構造を有していてもよい。また、前記有機溶媒としては、エステル、ケトン、ェ 一テルおよびアルコールの官能基(即ち、 O—、— CO—、— COO—、—OH)の いずれか二つ以上を有していてもよい。さら〖こ、前記エステル、ケトン、エーテルおよ びアルコールの炭化水素部分における水素原子は、ハロゲン原子 (特に、フッ素原 子)で置換されて 、てもよ 、。
[0051] 前記ハロゲン化炭化水素としては、塩素化炭化水素がより好ましぐ例えば、ジクロ ロメタンおよびクロ口ホルムなどが挙げられ、ジクロロメタンがさらに好ましい。
前記エステルとしては、例えば、メチルホルメート、ェチルホルメート、プロピルホル メート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、ェチルアセテート、ペンチルァセテー トなどが挙げられる。
前記ケトンとしては、例えば、アセトン、メチルェチルケトン、ジェチルケトン、ジイソ ブチルケトン、シクロペンタノン、シクロへキサノン、メチルシクロへキサノンなどが挙げ られる。
前記エーテルとしては、例えば、ジェチルエーテル、メチルー tert ブチルエーテ ル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシェタン、 1, 4 ジォキサン、 1, 3 ジォキソラン、 4ーメチルジォキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラ ン、ァ-ソール、フエネトールなどが挙げられる。
前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、 1 プロパノール、 2— プロパノール、 1ーブタノール、 2—ブタノール、 tert ブタノール、 1 ペンタノール、
2—メチルー 2—ブタノール、シクロへキサノール、 2—フルォロエタノール、 2, 2, 2 トリフルォロエタノール、 2, 2, 3, 3—テトラフルオロー 1 プロパノールなどが挙げ られる。
前記炭化水素としては、例えば、 n—ペンタン、シクロへキサン、 n—へキサン、ベン ゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
前記 2種類以上の官能基を有する有機溶媒としては、例えば、 2—エトキシェチル アセテート、 2—メトキシエタノール、 2—ブトキシエタノール、メチルァセトアセテート などが挙げられる。
[0052] 本発明の透明ポリマーフィルムを構成するポリマーがセルロースァシレートを含む 場合、全溶媒中に 5〜30質量%、より好ましくは 7〜25質量%、さらに好ましくは 10 〜20質量%のアルコールを含有することがバンドからの剥離荷重低減の観点力も好 ましい。
また、 Rth低減の観点から、本発明の透明ポリマーフィルムの作製に用いられる前 記ポリマー溶液は、乾燥過程初期においてハロゲンィ匕炭化水素とともに揮発する割 合が小さぐ次第に濃縮される沸点が 95°C以上であり、且つ、セルロースエステルの 貧溶媒である有機溶媒を 1〜15質量%、より好ましくは 1. 5〜13質量%、さらに好ま しくは 2〜 10質量%含有することが好まし 、。
[0053] 本発明の透明ポリマーフィルムの作製に用いられるポリマー溶液の溶媒として好ま しく用 、られる有機溶媒の組み合せの例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定 されるものではない。なお、比率の数値は、質量部を意味する。
[0054] (1)ジクロロメタン Zメタノール Zエタノール Zブタノール =80ZlOZ5Z5
(2)ジクロロメタン Ζメタノール Ζエタノール Ζブタノール =80Z5Z5ZlO
(4)ジクロロメタン Ζアセトン Ζメタノール Ζプロパノール =80Z5Z5ZlO
(5)ジクロロメタン Ζメタノール Ζブタノール Ζシクロへキサン =80Ζ8Ζ10Ζ2(6) ジクロロメタン Ζメチルェチルケトン Ζメタノール Ζブタノール =80ZlOZ5Z5
(7)ジクロロメタン Ζブタノール = 90Z10
(8)ジクロロメタン Ζアセトン Ζメチルェチルケトン Ζエタノール Ζブタノール =68Zl
0/10/7/5
(9)ジクロロメタン Zシクロペンタノン Zメタノール Zペンタノール =80Z2Z15Z3
( 10)ジクロロメタン Ζメチルアセテート Ζエタノール Ζブタノール = 70Ζ 12Ζ 15Ζ3
(11)ジクロロメタン Ζメチルェチルケトン Ζメタノール Ζブタノール =80Ζ5Ζ5Ζ10
/20/15/5/10
(13)ジクロロメタン Ζ 1, 3—ジォキソラン Ζメタノール Ζブタノール = 70/ 15/5/ 10
(14)ジクロロメタン Ζジォキサン Ζアセトン Ζメタノール Ζブタノール =75Ζ5Ζ10 /5/5
(15)ジクロロメタン Ζアセトン Ζシクロペンタノン Ζエタノール Ζイソブチルアルコー ル Ζシクロへキサン =60Ζ18Ζ3Ζ10Ζ7Ζ2 0/10/10
(17)ジクロロメタン Ζアセトン Ζェチルアセテート Ζブタノール Ζへキサン =69Ζ10 /10/10/1
(18)ジクロロメタン Ζメチルアセテート Ζメタノール Ζイソブチルアルコール = 65Ζ 1 5/10/10
(19)ジクロロメタン Ζシクロペンタノン Ζエタノール Ζブタノール =85Ζ7Ζ3Ζ5
(20)アセトン Ζエタノール Ζブタノール =80Ζ15Ζ5
(21)メチルアセテート Ζアセトン Ζメタノール Ζブタノール =75Ζ10Ζ10Ζ5 (22) ジクロロメタン = 100
(23) 1, 3—ジォキソラン = 100
(溶液濃度)
調製する前記ポリマー溶液中のポリマー濃度は、 10〜50質量%が好ましぐ 13〜 40質量%がさらに好ましく、 15〜 30質量%が最も好ま 、。
前記ポリマー濃度は、ポリマーを溶媒に溶解する段階で所定の濃度になるように調 整することができる。また予め低濃度 (例えば 9〜14質量%)の溶液を調製した後に、
溶媒を蒸発させる等によって濃縮してもよい。さらに、予め高濃度の溶液を調製後に 、希釈してもよい。また、添加剤を添加することで、ポリマーの濃度を低下させることも できる。
[0056] (添加剤)
本発明の透明ポリマーフィルムの作製に用いられる前記ポリマー溶液は、各調製ェ 程において用途に応じた各種の液体または固体の添加剤を含むことができる。前記 添加剤の例としては、可塑剤 (好ましい添加量はポリマーに対して 0. 01〜: LO質量% 、以下同様)、紫外線吸収剤(0. 001〜1質量%)、平均粒子サイズが 5〜3000nm である微粒子粉体 (0. 001〜1質量%)、フッ素系界面活性剤 (0. 001〜1質量%) 、剥離剤 (0. 0001〜1質量%)、劣化防止剤 (0. 0001〜1質量%)、光学異方性制 御剤(0. 01〜10質量%)、赤外線吸収剤(0. 001〜1質量%)が含まれる。
[0057] 前記可塑剤や前記光学異方性制御剤は、分子量 3000以下の有機化合物であり、 好ましくは疎水部と親水部とを併せ持つ化合物である。これらの化合物は、ポリマー 鎖間で配向することにより、レターデーシヨン値を変化させる。さらに、これらの化合物 は、本発明で特に好ましく用いられるセルロースァシレートと併用することで、フィルム の疎水性を向上させ、レターデーシヨンの湿度変化を低減させることができる。また、 前記紫外線吸収剤や前記赤外線吸収剤を併用することで、効果的にレターデーショ ンの波長依存性を制御することもできる。本発明の透明ポリマーフィルムに用いられ る添加剤は、 、ずれも乾燥過程での揮散が実質的にな 、ものが好ま 、。
[0058] レターデーシヨンの湿度変化低減を図る観点からは、これらの添加剤の添力卩量は多 いほうが好ましいが、添加量の増大に伴い、ポリマーフィルムのガラス転移温度 (Tg) 低下や、フィルムの製造工程における添加剤の揮散問題を引き起こしやすくなる。従 つて、本発明にお 、てより好ましく用いられるセルロースアセテートプロピオネートや セルロースプロピオネートなどのセルロースァシレートをポリマーとして用いる場合、 前記分子量 3000以下の添加剤の添加量は、前記ポリマーに対し 2〜: LO質量%が 好ましぐ 3〜10質量%がより好ましぐ 4〜9質量%がさらに好ましい。また、本発明 において、より好ましく用いられるセルロースアセテートブチレートやセルロースブチ レートの場合、前記分子量 3000以下の添加剤の添加量は、前記ポリマーに対し 0〜
8質量%が好ましぐ 2〜8質量%がより好ましぐ 4〜8質量%がさらに好ましい。
[0059] 本発明の透明ポリマーフィルムを構成するポリマーとしてセルロースァシレートを用 いる場合に好適に用いることのできる可塑剤については、特開 2001— 151901号 公報に記載がある。また、赤外吸収剤については、特開平 2001— 194522号公報 に記載がある。添加剤を添加する時期は、添加剤の種類に応じて適宜決定すること ができる。また、前記添加剤については、公開技報 (公技番号 2001— 1745号、 20 01年 3月 15日発行、発明協会) 16頁〜 22頁にも記載がある。なお、本発明の透明 ポリマーフィルムが多層構造を有する場合、例えば、特開平 2001— 151902号公報 に記載されて 、るように、各層における添加剤の種類や量が異なって 、てもよ 、。
[0060] <ポリマー溶液の調製 >
前記ポリマー溶液の調製は、例えば、特開昭 58— 127737号公報、同 61— 1066 28号公報、特開平 2— 276830号公報、同 4— 259511号公報、同 5— 163301号 公報、同 9— 95544号公報、同 10— 45950号公報、同 10— 95854号公報、同 11 — 71463号公報、同 11— 302388号公報、同 11— 322946号公報、同 11— 3229 47号公報、同 11— 323017号公報、特開 2000— 53784号公報、同 2000— 2731 84号公報、同 2000— 273239号公報に記載されている調製方法に準じて行うこと ができる。具体的には、ポリマーと溶媒とを混合攪拌し膨潤させ、場合により冷却や 加熱等を実施して溶解させた後、これをろ過してポリマー溶液を得る。なお、本発明 においてより好ましく用いられるセルロースアセテートプロピオネート、セルロースプロ ピオネート、セノレロースアセテートブチレートゃセノレロースブチレートポリマー溶液の 調製工程においては、一般に溶媒への溶解性に優れるため、積極的に冷却や加熱 を行わなくてもよい。
[0061] 本発明におけるポリマー溶液は、 30°Cでの粘度が l〜400Pa' sであることが好まし く、 10〜200Pa' sであることがさらに好ましい。
本発明におけるポリマー溶液の粘度は、試料溶液 lmLを直径 4cm且つコーン角 2 ° の容器(STEEL CONE, TA Instruments社製)に入れ、レオメーター(CLS 500、 TA Instruments社製)を用いて測定することができる。なお、測定条件につ いては、装置に付属の条件(Oscillation Step/Temperature Ramp)を用いて
測定することができる。なお、試料溶液を予め測定開始温度にて液温一定となるまで 保温した後に、測定を開始する。
[0062] <流延、乾燥 >
本発明の透明ポリマーフィルムは、従来の溶液流延製膜方法に従い、従来の溶液 流延製膜装置を用いて製造できる。具体的には、溶解機 (釜)で調製されたドープ( ポリマー溶液)を、ろ過後、貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡し て最終調製することができる。ドープは 30°Cに保温し、ドープ排出口から、例えば回 転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに 送り、ドープを加圧型ダイの口金 (スリット)力もエンドレスに走行している流延部の金 属支持体の上に均一に流延する (流延工程)。次いで、金属支持体がほぼ一周した 剥離点で、生乾きのドープ膜 (ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。
[0063] 前記流延工程では、 2種類以上のポリマー溶液を同時または逐次共流延してもよ い。また、前記 2種類以上のポリマー溶液は、組成が全く同一であってもよい。 2種類 以上のポリマー溶液の組成が異なる場合、溶媒または添加剤の種類を溶液毎に変 更することもできる。さらに、 2種類以上の溶液は、濃度が異なっていてもよいし、ポリ マーの会合体分子量が異なっていてもよい。また、 2種類以上の溶液は、異なる温度 で保持してもよ ヽ。
[0064] 金属支持体力 剥離して得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテ ンターで搬送して乾燥し、続 、て乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き 取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはそ の目的により変わる。
ここで、本発明の如ぐレターデーシヨン値の低いフィルムを得るためには、ポリマー の一次構造を適切に選択するだけでなぐフィルムのポリマー主鎖の間隔を広げる方 法も有効である。そこで、既に述べたような高沸点貧溶媒である有機溶媒や、可塑剤 や光学異方性制御剤などの添加剤を含有させる方法が有効である。また、乾燥完了 後にフィルムを冷却する際には、フィルム温度がガラス転移温度 (Tg)を上回り、主鎖 間隔が広くなつている状態力 急速に冷却し、主鎖間隔が広いままタエンチさせる方 法が有効である。従って、通常は 100°CZ分程度で冷却している力 — 30〜10°C程
度の除湿風を吹き込むことにより、 110〜600°CZ分、より好ましくは 120〜350°CZ 分、さらに好ましくは 150〜300°CZ分で冷却することが好まし 、。
[0065] このようにして乾燥の終了したフィルム中の残留溶剤量は 0〜5質量%が好ましぐ より好ましくは 0〜2質量%、さらに好ましくは 0〜1質量%である。乾燥終了後、両端 をトリミングしてフィルムを巻き取る。本発明の透明ポリマーフィルムの好ましい幅は 0 . 5〜5mであり、より好ましくは 0. 7〜3mであり、さらに好ましくは l〜2mである。また 、本発明の透明ポリマーフィルムの好ましい卷長は 300〜30000mであり、より好まし <は 500〜 10000mであり、さらに好まし <は 1000〜7000mである。
[0066] [溶融製膜]
<ポリマーペレット >
(添加剤)
溶融製膜では、溶液流延製膜で用いられる添加剤と同様の添加剤 (可塑剤、紫外 線吸収剤、平均粒子サイズが 5〜3000nmである微粒子粉体、フッ素系界面活性剤 、剥離剤、劣化防止剤、光学異方性制御剤、赤外線吸収剤)を使用することができる 。ただし、溶融製膜においては、添加剤はポリマーの融点を低下させ、製膜特性を向 上させる働きがあるため、ポリマーに対して 2〜20質量%含有させることが好ましぐ 3 〜 18質量%含有させることがより好ましく、 4〜 15質量%含有させることがさらに好ま しい。 2質量%以上であれば上記効果が十分達成させやすぐ一方、 20質量%以下 であれば泣き出し (添加剤の表面析出)の発生を抑えやすい。
前記添加剤および光学異方性制御剤としては、溶液流延製膜で好ましく用いられ る有機化合物を使用することができ、さらに下記多価アルコール系可塑剤を好ましく 使用することができる。
[0067] (可塑剤)
溶融製膜において好ましく用いられる多価アルコール系可塑剤は、セルロース脂 肪酸エステルとの相溶性が良ぐまた熱可塑ィ匕効果が顕著に現れるグリセリンエステ ル、ジグリセリンエステルなどグリセリン系のエステル化合物や、ポリエチレングリコー ルゃポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコー ルの水酸基にァシル基が結合した化合物などである。
[0068] 具体的なグリセリンエステルとして、グリセリンジアセテートステアレート、グリセリンジ アセテートパルミテート、グリセリンジアセテートミスチレート、グリセリンジアセテートラ ゥレート、グリセリンジアセテート力プレート、グリセリンジアセテートノナネート、グリセリ ンジアセテートオタタノエート、グリセリンジアセテートヘプタノエート、グリセリンジァセ テートへキサノエート、グリセリンジアセテートペンタノエート、グリセリンジアセテートォ レート、グリセリンアセテートジカプレート、グリセリンアセテートジノナネート、グリセリン アセテートジ才クタノエート、グリセリンアセテートジヘプタノエート、グリセリンァセテ一 トジカプロエート、グリセリンアセテートジバレレート、グリセリンアセテートジブチレート 、グリセリンジプロピオネート力プレート、グリセリンジプロピオネートラウレート、グリセリ ンジプロピオネートミスチレート、グリセリンジプロピオネートパルミテート、グリセリンジ プロピオネートステアレート、グリセリンジプロピオネートォレート、グリセリントリブチレ ート、グリセリントリペンタノエート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレ ート、グリセリンジステアレート、グリセリンプロピオネートラウレート、グリセリンォレート プロピオネートなどが挙げられるが、本発明で用いることができるものはこれに限定さ れず、これらを単独もしくは併用して使用することができる。
[0069] この中でも、グリセリンジアセテートカプリレート、グリセリンジアセテートペラルゴネ ート、グリセリンジアセテート力プレート、グリセリンジアセテートラウレート、グリセリンジ アセテートミリステート、グリセリンジアセテートパノレミテート、グリセリンジアセテートス テアレート、グリセリンジアセテートォレートが好ましい。
[0070] ジグリセリンエステルの具体的な例としては、ジグリセリンテトラアセテート、ジグリセリ ンテトラプロピオネート、ジグリセリンテトラプチレート、ジグリセリンテトラバレレート、ジ グリセリンテトラへキサノエート、ジグリセリンテトラヘプタノエート、ジグリセリンテトラ力 プリレート、ジグリセリンテトラペラルゴネート、ジグリセリンテトラ力プレート、ジグリセリ ンテトララウレート、ジグリセリンテトラミスチレート、ジグリセリンテトラパルミテート、ジグ リセリントリアセテートプロピオネート、ジグリセリントリアセテートブチレート、ジグリセリ ントリアセテートバレレート、ジグリセリントリアセテートへキサノエート、ジグリセリントリ アセテートヘプタノエート、ジグリセリントリアセテートカプリレート、ジグリセリントリァセ テートペラノレゴネート、ジグリセリントリアセテート力プレート、ジグリセリントリアセテート
ラウレート、ジグリセリントリアセテートミスチレート、ジグリセリントリアセテートパノレミテ ート、ジグリセリントリアセテートステアレート、ジグリセリントリアセテートォレート、ジグ リセリンジアセテートジプロピオネート、ジグリセリンジアセテートジブチレート、ジグリ セリンジアセテートジバレレート、ジグリセリンジアセテートジへキサノエート、ジグリセ リンジアセテートジヘプタノエート、ジグリセリンジアセテートジカプリレート、ジグリセリ ンジアセテートジペラノレゴネート、ジグリセリンジアセテートジカプレート、ジグリセリン ジアセテートジラウレート、ジグリセリンジアセテートジミスチレート、ジグリセリンジァセ テートジパノレミテート、ジグリセリンジアセテートジステアレート、ジグリセリンジァセテ 一トジォレート、ジグリセリンアセテートトリプロピオネート、ジグリセリンアセテートトリブ チレート、ジグリセリンアセテートトリバレレート、ジグリセリンアセテートトリへキサノエ ート、ジグリセリンアセテートトリヘプタノエート、ジグリセリンアセテートトリカプリレート 、ジグリセリンアセテートトリペラルゴネート、ジグリセリンアセテートトリ力プレート、ジグ リセリンアセテートトリラウレート、ジグリセリンアセテートトリミスチレート、ジグリセリンァ セテートトリパノレミテート、ジグリセリンアセテートトリステアレート、ジグリセリンァセテ一 トトリ才レート、ジグリセリンラウレート、ジグリセリンステアレート、ジグリセリンカプリレー ト、ジグリセリンミリステート、ジグリセリンォレートなどのジグリセリンの混酸エステルな どが挙げられる力 本発明で用いることができるものはこれらに限定されず、これらを 単独もしくは併用して使用することができる。
[0071] この中でも、ジグリセリンテトラアセテート、ジグリセリンテトラプロピ才ネート、ジグリセ リンテトラプチレート、ジグリセリンテトラカプリレート、ジグリセリンテトララウレートが好 ましい。
[0072] ポリアルキレングリコールの具体的な例としては、平均分子量が 200〜1000のポリ エチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる力 本発明で用いるこ とができるものはこれらに限定されず、これらを単独もしくは併用して使用することが できる。
[0073] ポリアルキレングリコールの水酸基にァシル基が結合したィ匕合物の具体的な例とし て、ポリオキシエチレンアセテート、ポリオキシエチレンプロピオネート、ポリオキシェ チレンブチレート、ポリオキシエチレンバリレート、ポリオキシエチレン力プロエート、ポ
リオキシエチレンヘプタノエート、ポリオキシエチレンオタタノエート、ポリオキシェチレ ンノナネート、ポリオキシエチレン力プレート、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキ シエチレンミリスチレート、ポリオキシエチレンパルミテート、ポリオキシエチレンステア レート、ポリオキシエチレンォレート、ポリオキシエチレンリノレート、ポリオキシプロピレ ンアセテート、ポリオキシプロピレンプロピオネート、ポリオキシプロピレンブチレート、 ポリオキシプロピレンバリレート、ポリオキシプロピレン力プロエート、ポリオキシプロピ レンヘプタノエート、ポリオキシプロピレンオタタノエート、ポリオキシプロピレンノナネ ート、ポリオキシプロピレン力プレート、ポリオキシプロピレンラウレート、ポリオキシプロ ピレンミリスチレート、ポリオキシプロピレンパルミテート、ポリオキシプロピレンステアレ ート、ポリオキシプロピレンォレート、ポリオキシプロピレンリノレートなどが挙げられる 力 本発明で用いることができるものはこられに限定されず、これらを単独もしくは併 用して使用することができる。
さらにこれらの多価アルコール系可塑剤の上記効果を十分に発現させるためには 、下記条件でセルロースァシレートを溶融製膜することが好ましい。即ちセルロースァ シレートと多価アルコールを混合したペレットを混練機で溶融し、ダイ (好ましくは Tダ ィ)力も押し出して製膜するが、混練機入口温度 (T1)より混練機出口温度 (T2)を高 くするのが好ましく、さらに好ましくはダイ温度 (T3)を T2より高くするのが好まし 、。 即ち、溶融が進むにつれ温度を上昇してゆくことが好ましい。入口力も急激に昇温す ると、多価アルコールが先に溶解して液化し、この中でセルロースァシレートは浮遊し たようになり、十分な剪断力をスクリュー力 受けることができず、不溶解物が発生す る。このような十分混合の進んでいないものは、上記のような可塑剤の効果を発現で きず、溶融押出し後のメルトフィルムの表裏差を抑制する効果が得られない。さらにこ のような溶解不良物は製膜後にフィッシュアイ状の異物となる。このような異物は偏光 板で観察しても輝点とならず、むしろフィルム背面力 光を投射しスクリーン状で観察 することで視認できる。さらにフィッシュアイはダイ出口で尾引きを引き起こし、ダイライ ンち増力 tlさせる。
T1は 150〜200°Cが好ましぐより好ましくは 160〜195°C、さらに好ましくは 165 °C〜190°Cである。 T2は 190〜234°Cが好ましぐより好ましくは 200〜230°C、さら
に好ましくは 200〜225°Cである。このような溶融温度 Tl, T2は 234°C以下であるこ とが肝要である。この温度を超えると製膜フィルムの弾性率が高くなり易い。これは高 温で溶融したためにセルロースァシレートに分解が起こり、これが架橋を引き起こし 弾性率を上昇させるためと思われる。ダイ温度 T3は 200〜235°C未満が好ましぐよ り好ましくは 205〜230°C、さらに好ましくは 205°C〜225°Cである。
[0075] (安定剤)
安定剤としてフォスファイト系化合物、亜リン酸エステル系化合物のいずれか、もしく は両方を用いることが好ましい。これにより、経時劣化を抑制できるうえ、ダイラインも 改善できる。これは、これらの化合物がレべリング剤として働き、ダイの凹凸により形 成されたダイラインを解消するためである。
これらの安定剤の配合量は、ポリマーに対して 0. 005-0. 5質量%であるのが好 ましく、より好ましくは 0. 01-0. 4質量0 /0であり、さらに好ましくは 0. 02-0. 3質量 %である。
[0076] 1)フォスファイト系安定剤
具体的なホスファイト系着色防止剤は、特に限定されないが、下記式 (2)〜 (4)で 示されるホスファイト系着色防止剤が好ま 、。
[0077] [化 1]
式 (2 )
[0079] [化 3]
R'1― o—†— O—†—0—†— OR,p+
OR'2 OR'3 OR'p 式 (4 )
[0080] (ここで、
R'
3- . 'R'
P、 R'
P+1は水素原子または炭素
数 4〜23のアルキル基、ァリール基、アルコキシアルキル基、ァリールォキシアルキ ル基、アルコキシァリール基、ァリールアルキル基、アルキルァリール基、ポリアリー ルォキシアルキル基、ポリアルコキシアルキル基およびポリアルコキシァリール基から なる群から選択された基を示す。但し、式(2)、(3)、(4)のそれぞれの式中の Rが全 て水素原子になることはない。式(3)で示されるホスファイト系着色防止剤中の Xは脂 肪族鎖、芳香核を側鎖に有する脂肪族鎖、芳香核を鎖中に有する脂肪族鎖および 上記鎖中に 2個以上連続しない酸素原子を包含する鎖力もなる群力も選択された基 を示す。また、 k、 qは 1以上の整数、 pは 3以上の整数を示す。 )
これらのホスファイト系着色防止剤の k、 qの数は好ましくは 1〜10である。 k、 qの数が 1以上にすることで加熱時の揮発性が小さくなり、 10以下にすることでセルロースァ セテートプロピオネートとの相溶性が向上するため好ましい。また、 pの値は 3〜10が 好ましい。 3以上にすることで加熱時の揮発性が小さくなり、 10以下にすることでセル ロースアセテートプロピオネートとの相溶性が向上するため好ましい。
[0081] 上記式(2)で表されるホスファイト系着色防止剤の具体例としては、下記式(5)〜( 8)で表されるものが好まし!/、。
[0083] [化 5]
式 ( 6 )
[0084] [化 6]
式 < 7 )
式 ( 8 )
[0086] また、上記式(3)で表されるホスファイト系着色防止剤の具体例としては、下記式(9
)、(10)、(11)で表されるものが好ましい。
[0087] [化 8]
式 ( 9 )
[0088] [化 9]
式 ( 1 0 )
R = C 1 2 5のアルキル S
[0090] 2)亜リン酸エステル系安定剤
亜リン酸エステル系安定剤としては、例えばサイクリックネオペンタンテトライルビス ( ォクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2, 4 ジ一 t ブ チルフエ-ル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2, 6 ジ tーブ チル一 4—メチルフエ-ル)ホスファイト、 2, 2—メチレンビス(4, 6 ジ一 t—ブチルフ
ェ -ル)ォクチルホスファイト、トリス(2, 4 ジー t—ブチルフエ-ル)ホスファイト等が 挙げられる。
[0091] 3)その他の安定剤
弱有機酸、チォエーテル系化合物、エポキシィ匕合物等を安定剤として配合しても 良い。
弱有機酸とは、 pKa力 以上のものであり、本発明の作用を妨害せず、着色防止性 、物性劣化防止性を有するものであれば特に限定されない。例えば酒石酸、クェン 酸、リンゴ酸、フマル酸、シユウ酸、コハク酸、マレイン酸などが挙げられる。これらは 単独で用 ヽても良!ヽし、 2種以上を併用して用 ヽても良 ヽ。
チォエーテル系化合物としては、例えば、ジラウリルチォジプロピオネート、ジトリデ シルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプ 口ピオネート、パルミチルステアリルチォジプロピオネートが挙げられ、これらは単独 で用いても良いし、 2種以上を併用して用いても良い。
エポキシィ匕合物としては、例えばェピクロルヒドリンとビスフエノール Aより誘導される ものが挙げられ、ェピクロルヒドリンとグリセリンからの誘導体やビュルシクロへキセン ジオキサイドや 3, 4—エポキシ 6—メチルシクロへキシルメチルー 3, 4—エポキシ 6—メチルシクロへキサンカルボキシレートの如き環状のものも用いることができる。 また、エポキシ化大豆油、エポキシ化ヒマシ油や長鎖 OCーォレフインオキサイド類 なども用いることができる。これらは単独で用いても良いし、 2種以上を併用して用い ても良い。
[0092] (ペレット化)
上記セルロースァシレートと添加剤は溶融製膜に先立ち混合しペレツトイ匕するのが 好ましい。
ペレツトイ匕を行うにあたりセルロースァシレートおよび添加物は事前に乾燥を行うこと が好ましいが、ベント式押出機を用いることで、これを代用することもできる。乾燥を行 う場合は、乾燥方法として、加熱炉内にて 90°Cで 8時間以上加熱する方法等を用い ることができるが、この限りではない。ペレツトイ匕は上記セルロースァシレートと添加物 を 2軸混練押出機を用い 150°C〜250°Cで溶融後、ヌードル状に押出したものを水
中で固化し裁断することで作成することができる。また、押出機による溶融後水中に 口金より直接押出ながらカットする、アンダーウォーターカット法等によりペレツトイ匕を 行ってもかまわない。
押出機は十分な、溶融混練が得られる限り、任意の公知の単軸スクリュー押出機、 非かみ合い型異方向回転二軸スクリュー押出機、かみ合い型異方向回転二軸スクリ ユー押出機、かみ合い型同方向回転二軸スクリュー押出機などを用いることができる 好ましいペレットの大きさは断面積が l〜300mm2、長さが l〜30mmであり、より好 ましくは断面積が 2〜100mm2、長さが 1. 5〜10mmである。
またペレツトイ匕を行う時に、上記添加剤は押出機の途中にある原料投入口やベント ロカゝら投人することちでさる。
押出機の回転数は 10〜: LOOOrpmが好ましぐより好ましくは 20〜700rpm、さらに より好ましくは 30〜500rpmである。回転数が lOrpm以上であれば、適度な滞留時 間を実現できるため、熱劣化による分子量低下や黄色味悪ィ匕を生じにくい。回転数 が lOOOrpm以下であれば、剪断による分子の切断がおきにくいため、分子量低下 や架橋ゲルの発生増加を生じにく ヽ。
ペレツトイ匕における押出滞留時間は好ましくは 10秒〜 30分、より好ましくは 15秒〜 10分、さらに好ましくは 30秒〜 3分である。十分に溶融ができれば、滞留時間は短い 方が、榭脂劣化、黄色み発生を抑えることができる点で好ましい。
<ペレットの乾燥 >
本発明では、上述の方法でペレツトイ匕したものを用いるのが好ましぐ溶融製膜に 先立ちペレット中の水分を減少させることが好ましい。
本発明にお 、てポリマーの含水率を好まし 、量に調整するためには、ポリマーを乾 燥することが好ましい。乾燥する際には、除湿風乾燥機を用いて乾燥することが多い 力 目的とする含水率が得られるのであれば乾燥の手段は特に限定されない (加熱、 送風、減圧、攪拌などの手段を単独または組み合わせで用いることで効率的に行うこ とが好ましい、さらに好ましくは、乾燥ホッパ一を断熱構造にすることが好ましい)。乾 燥温度として好ましくは 0〜200°Cであり、さらに好ましくは 40〜180°Cであり、特に
好ましくは 60〜150°Cである。乾燥温度が低過ぎると乾燥に時間が力かるだけでなく 、含有水分率が目標値以下にならず好ましくない。一方、乾燥温度が高過ぎると榭 脂が粘着してブロッキングして好ましくな 、。乾燥風量として好ましくは 20〜400m3 Z時間であり、さらに好ましくは 50〜300m3Z時間、特に好ましくは 100〜250m3Z 時間である。乾燥風量が少なすぎると乾燥効率が悪く好ましくない。一方、風量を多 くしても一定量以上あれば乾燥効果の更なる向上は小さく経済的でない。エアーの 露点として、好ましくは 0〜― 60°Cであり、さらに好ましくは— 10〜― 50°C、特に好ま しくは— 20〜― 40°Cである。乾燥時間は少なくとも 15分以上必要であり、さらに好ま しくは 1時間以上、特に好ましくは 2時間以上である。一方、 50時間を超えて乾燥さ せても更なる水分率の低減効果は少なぐ榭脂の熱劣化の懸念が発生するため乾 燥時間を不必要に長くすることは好ましくない。本発明のポリマーは、その含水率が 1 . 0質量%以下であることが好ましぐ 0. 1質量%以下であることがさらに好ましぐ 0. 01質量%以下であることが特に好ましい。
<溶融押出し >
上述したポリマーは図 1に示すような押出機を用いて溶融押出しする。すなわち、ポ リマーはまず押出機の供給口 40を介してシリンダー 32内に供給される。シリンダー 3 2内は供給口 40側力も順に、供給ロカも供給したポリマーを定量輸送する供給部( 領域 A)とポリマーを溶融混練,圧縮する圧縮部 (領域 B)と溶融混練,圧縮されたポリ マーを計量する計量部 (領域 C)とで構成される。榭脂は上述の方法により水分量を 低減させるために、乾燥することが好ましいが、残存する酸素による溶融樹脂の酸ィ匕 を防止するために、押出機内を不活性 (窒素等)気流中、あるいはベント付き押出し 機を用い真空排気しながら実施するのがより好ましい。押出機のスクリュー圧縮比は 2. 5〜4. 5に設定され、 LZDは 20〜70に設定されている。ここでスクリュー圧縮比 とは供給部 Aと計量部 Cとの容積比、即ち (供給部 Aの単位長さあたりの容積) ÷ (計 量部 Cの単位長さあたりの容積)で表され、供給部 Aのスクリュー軸の外径 dl、計量 部 Cのスクリュー軸の外径 d2、供給部 Aの溝部径 al、および計量部 Cの溝部径 a2と を使用して算出される。また、 LZDとはシリンダー内径に対するシリンダー長さの比 である。また、押出温度は 190〜240°Cに設定される。押出機内での温度が 230°C
を超える場合には、押出機とダイとの間に冷却機を設ける様にすると良い。
スクリュー圧縮比が 2. 5を下回って小さ過ぎると、十分に溶融混練されず、未溶解 部分が発生したり、せん断発熱が小さ過ぎて結晶の融解が不十分となり、製造後の ポリマーフィルムに微細な結晶が残存し易くなり、さらに、気泡が混入し易くなる。これ により、ポリマーフィルムの強度が低下したり、あるいはフィルムを延伸する場合に、残 存した結晶が延伸性を阻害し、配向を十分に上げることができなくなる。逆に、スクリ ユー圧縮比が 4. 5を上回って大き過ぎると、せん断応力が力かり過ぎて発熱により榭 脂が劣化し易くなるので、製造後のポリマーフィルムに黄色味が出易くなる。また、せ ん断応力がかかり過ぎると分子の切断が起こり分子量が低下してフィルムの機械的 強度が低下する。したがって、製造後のポリマーフィルムに黄色味が出に《且つフィ ルム強度が強くさらに延伸破断しにくくするためには、スクリュー圧縮比は 2. 5〜4. 5 の範囲が良ぐより好ましくは 2. 8〜4. 2、特に好ましいのは 3. 0〜4. 0の範囲であ る。
また、 LZDが 20を下回って小さ過ぎると、溶融不足や混練不足となり、圧縮比が 小さい場合と同様に製造後のポリマーフィルムに微細な結晶が残存し易くなる。逆に 、 LZDが 70を上回って大き過ぎると、押出機内でのポリマーの滞留時間が長くなり 過ぎ、榭脂の劣化を引き起こし易くなる。また、滞留時間が長くなると分子の切断が 起こったり分子量が低下してポリマーフィルムの機械的強度が低下する。したがって 、製造後のポリマーフィルムに黄色味が出にくく且つフィルム強度が強くさらに延伸 破断しに《するためには、 L/Dは 20〜70の範囲が好ましぐより好ましくは 22〜6 5の範囲、特に好ましくは 24〜50の範囲である。
また、押出温度は上述の温度範囲にすることが好ましい。このようにして得たポリマ 一フィルムは、ヘイズが 2. 0%以下、イェローインデックス (YI値)が 10以下である特 性値を有している。
押し出し機の種類として、一般的には設備コストの比較的安い単軸押し出し機が用 いられることが多ぐフルフライト、マドック、ダルメージ等のスクリュータイプがあるが、 熱安定性の比較的悪 、セルロースァシレート榭脂には、フルフライトタイプが好まし い。また、設備コストは効果である力 スクリューセグメントを変更することにより、途中
でベント口を設けて不要な揮発成分を脱揮させながら押出ができる二軸押出機を用 いることが可能である、二軸押し出し機には大きく分類して同方向と異方向のタイプ がありどちらも用いることが可能であるが、滞留部分が発生し難くセルフクリーニング 性能の高い同方向回転のタイプが好ましい。二軸押出機は設備が効果であるが、混 練性が高ぐ榭脂の供給性能が高いため、低温での押出が可能となるため、ポリマー の製膜に適している。ベント口を適正に配置することにより、未乾燥状態でのポリマー ペレットやパウダーをそのまま使用することも可能である。また、製膜途中で出たフィ ルムのミミ等も乾燥させることなしにそのまま再利用することもできる。
なお、好ましいスクリューの直径は目標とする単位時間あたりの押出量によって異な る力 好ましく ίま 10〜300mm、より好ましく ίま 20〜250mm、さらに好ましく ίま 30〜1 50mmで teる。
[0095] <ろ過 >
榭脂中の異物濾過のためや異物によるギアポンプ損傷を避けるために、押し出し 機出口にフィルター濾材を設けるいわゆるブレーカープレート式の濾過を行うことが 好ましい。またさらに精度高く異物濾過をするために、ギアポンプ通過後にいわゆるリ ーフ型ディスクフィルターを組み込んだ濾過装置を設けることが好ましい。濾過は、濾 過部を 1力所設けて行うことができ、また複数力所設けて行う多段濾過でも良い。フィ ルター濾材の濾過精度は高い方が好ましいが、濾材の耐圧や濾材の目詰まりによる 濾圧上昇から、濾過精度は 15〜3 μ mmが好ましくさらに好ましくは 10〜3 μ mmで ある。特に最終的に異物濾過を行うリーフ型ディスクフィルター装置を使用する場合 では品質の上で濾過精度の高い濾材を使用することが好ましぐ耐圧,フィルターラ ィフの適性を確保するために装填枚数にて調整することが可能である。濾材の種類 は、高温高圧下で使用される点力 鉄鋼材料を用いることが好ましぐ鉄鋼材料の中 でも特にステンレス鋼,スチールなどを用いることが好ましぐ腐食の点力 特にステ ンレス鋼を用いることが望ましい。濾材の構成としては、線材を編んだものの他に、例 えば金属長繊維あるいは金属粉末を焼結し形成する焼結濾材が使用でき、濾過精 度,フィルターライフの点から焼結濾材が好ま U、。
[0096] <溶融押出し >
上記の如く構成された押出機によってポリマーが溶融され、必要に応じ濾過機、ギ ァポンプを経由して溶融樹脂がダイに連続的に送られる。ダイはダイス内の溶融榭 脂の滞留が少ない設計であれば、一般的に用いられる Tダイ、フィッシュテールダイ、 ハンガーコートダイの何れのタイプでも構わない。 τダイを用いる場合は、その直前に 榭脂温度の均一性アップのためのスタティックミキサーを入れることも問題な 、。 Tダ ィ出口部分のクリアランスは一般的にフィルム厚みの 1. 0〜5. 0倍が良ぐ好ましくは 1. 2〜3倍、さらに好ましくは 1. 3〜2倍である。リップクリアランスがフィルム厚みの 1 . 0倍小さい場合には製膜により面状の良好なシートを得ることが困難である。また、リ ップクリアランスがフィルム厚みの 5. 0倍を超えて大きい場合にはシートの厚み精度 が低下するため好ましくない。ダイはフィルムの厚み精度を決定する非常に重要な設 備であり、厚み調整がシビアにコントロールできるものが好ましい。通常厚み調整は 4 0〜50mm間隔で調整可能である力 好ましくは 35mm間隔以下、さらに好ましくは 2 5mm間隔以下でフィルム厚み調整が可能なタイプが好ましい。また、セルロールァ シレート榭脂は、溶融粘度の温度依存性、せん断速度依存性が高いことから、ダイの 温度ムラや巾方向の流速ムラのできるだけ少ない設計が重要である。また、下流のフ イルム厚みを計測して、厚み偏差を計算し、その結果をダイの厚み調整にフィードバ ックさせる自動厚み調整ダイも長期連続生産の厚み変動の低減に有効である。
フィルムの製造は設備コストの安い単層製膜装置が一般的に用いられるが、場合 によっては機能層を外層に設けために多層製膜装置を用いて 2種以上の構造を有 するフィルムの製造も可能である。一般的には機能層を表層に薄く積層することが好 ましいが、特に層比を限定するものではない。
上記方法にて、ダイよりシート上に押し出された溶融榭脂をキャスティングドラム上 で冷却固化し、フィルムを得る。この時、静電印加法、エアナイフ法、エアーチャンバ 一法、バキュームノズル法、タツチロール法等の方法を用い、キャスティングドラムと溶 融押出ししたシートの密着を上げることが好ましい。このような密着向上法は、溶融押 出しシートの全面に実施してもよぐ一部に実施しても良い。特にエッジピユングと呼 ばれる、フィルムの両端部にのみを密着させる方法が取られることも多いが、これに 限定される物ではない。
キャスティングドラムは複数本用い、徐冷する法がより好ましい、特に一般的には 3 本の冷却ロールを用いることが比較的よく行われている力 この限りではない。ロール の直径 ίま 50〜5000mm力 S好ましく、より好ましく ίま 100〜2000mm、さらに好ましく は 150〜 1000mmである。複数本あるロールの間隔は、面間で 0. 3〜300mm力 S好 ましぐより好ましくは l〜100mm、さらに好ましくは 3〜30mmである。
キャスティングドラムは 60〜160°Cが好ましぐより好ましくは 70〜150°C、さらに好 ましくは 80〜140°Cである。この後、キャスティングドラムから剥ぎ取り、 -ップロ一ノレ を経た後巻き取る。巻き取り速度は 10〜: LOOmZ分が好ましぐより好ましくは 15〜8 OmZ分、さらに好ましくは 20〜70mZ分である。
製膜幅は好ましくは 0. 7〜5m、より好ましくは l〜4m、さらに好ましくは 1. 3〜3m である。また、いわゆるタツチロール法を用いる場合、タツチロール表面は、ゴム、テフ ロン等の榭脂でもよぐ金属ロールでも良い。さらに、金属ロールの厚みを薄くするこ とでタツチしたときの圧力によりロール表面が若干くぼみ、圧着面積が広くなりフレキ シブルロールと呼ばれる様なロールを用いることも可能である。タツチロール温度は 6 0〜160でカ 子ましく、より好ましくは 70〜150°C、さらに好ましくは 80〜140°Cであ る。
このようにして得たシートは両端をトリミングし、巻き取ることが好ま 、。トリミングさ れた部分は、粉砕処理された後、或いは必要に応じて造粒処理や解重合 ·再重合等 の処理を行った後、同じ品種のフィルム用原料としてまたは異なる品種のフィルム用 原料として再利用してもよい。トリミングカッターはロータリーカッター、シヤー刃、ナイ フ等の何れのタイプの物を用いても構わない。材質についても、炭素鋼、ステンレス 鋼何れを用いても構わない。一般的には、超硬刃、セラミック刃を用いると刃物の寿 命が長ぐまた切り粉の発生が抑えられて好ましい。
また、巻き取り前に、少なくとも片面にラミフィルムを付けることも、傷防止の観点力 好ましい。好ましい巻き取り張力は lkg/m幅〜 50kg/幅、より好ましくは 2kg/m幅〜 40kg/幅、さらに好ましくは 3kg/m幅〜 20kg/幅である。巻き取り張力が lkg/m幅 以上であれば、フィルムを均一に巻き取りやすい。また、巻き取り張力が 50kg/幅以 下であれば、フィルムが堅卷きになりにくぐ巻き外観が良好で、フィルムのコブの部
分がクリープ現象により延びてフィルムの波うちの原因になったりフィルムの伸びによ る残留複屈折が生じたりしにくい。巻き取り張力は、ラインの途中のテンションコント口 ールにより検知し、一定の巻き取り張力になるようにコントロールされながら巻き取るこ とが好ましい。製膜ラインの場所により、フィルム温度に差がある場合には熱膨張によ り、フィルムの長さが僅かに異なる場合があるため、 -ップロール間のドロー比率を調 整し、ライン途中でフィルムに規定以上の張力が力からない様にすることが必要であ る。
巻き取り張力はテンションコントロールの制御により、一定張力で巻き取ることもでき る力 巻き取った直径に応じてテーパーをつけ、適正な卷取り張力にすることがより 好ましい。一般的には卷き径が大きくなるにつれて張力を少しずつ小さくするが、場 合によっては、卷き径が大きくなるにしたがって張力を大きくする方が好ましい場合も ある。
[0099] [フィルムの延伸]
Reおよび Rthを調整するために、本発明の透明ポリマーフィルムを延伸させること もできる。延伸は、製膜中未乾燥の状態で実施してもよく (例えば、流延後支持体か ら剥ぎ取った後力 乾燥完了までの間)、乾燥終了後に実施してもよい。これらの延 伸は製膜工程中、オンラインで実施してもよぐ製膜完了後、一度巻き取った後オフ ラインで実施してもよ 、。
[0100] 前記延伸は Tg〜(Tg + 50°C)で実施するのが好ましぐより好ましくは (Tg+ l°C) 〜(Tg + 30°C)、さらに好ましくは(Tg + 2°C)〜(Tg + 20°C)である。また、ここでの 延伸は積極的にレターデーシヨンを出すためのものではなぐ製膜時にフィルムにか 力る搬送方向のドローにより副次的に発生してしまった Reをキャンセルするためのも のである。このため、好ましい延伸方向は幅方向であり、好ましい延伸倍率は 0. 1% 〜20%、より好ましくは 0. 5%〜10%であり、さらに好ましくは 1%〜8%である。これ らの延伸は 1段で実施しても、多段で実施してもよい。なお、ここで云う「延伸倍率(% )」とは、以下の式を用いて求めたものを意味する。
延伸倍率 (%) = 100 X { (延伸後の長さ) - (延伸前の長さ) }Z延伸前の長さ
[0101] このような延伸は出口側の周速を速くした 2対以上の-ップロールを用いて、長手
方向に延伸してもよいが(縦延伸)、フィルムの両端をチャックで把持しこれを直交方 向(長手方向および直角方向)に広げることが好ましい (横延伸)。
[0102] さらに Reと Rthとの比を自由に制御するためには、縦延伸の場合、 -ップロール間 をフィルム幅で割った値 (縦横比)を制御することで達成できる。即ち前記縦横比を小 さくすることで、 RthZRe比を大きくすることができる。例えば、横延伸の場合には、 直交方向に延伸すると同時に縦方向にも延伸したり、逆に緩和させたりすることで制 御することができる。即ち、縦方向に延伸することで RthZRe比を大きくすることがで き、逆に縦方向に緩和することで RthZRe比を小さくすることができる。
[0103] 前記延伸における延伸速度は 10〜: LOOOO%Z分が好ましぐより好ましくは 20〜 1000%Z分であり、さらに好ましくは 30〜800%Z分である。
また製膜方向(長手方向)とフィルムの Reの遅相軸とのなす角度 Θは、 0± 3° 、 + 90 ± 3° 若しくは 90 ± 3° であることが好ましぐ 0± 2° 、 + 90± 2° 若しくは 9 0± 2° であることがより好ましぐ 0± 1° 、+ 90± 1° 若しくはー90± 1° であること 力 Sさらに好ましい。
[0104] [表面処理]
本発明の透明ポリマーフィルムには、適宜、表面処理を行うことにより、各機能層( 例えば、下塗層、バック層、光学異方性層)との接着を改善することが可能となる。前 記表面処理には、グロ一放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸ィ匕 処理 (酸鹼化処理、アルカリ鹼化処理)が含まれ、特にグロ一放電処理およびアル力 リ酸ィ匕処理が好ましい。ここでいう「グロ一放電処理」とは、プラズマ励起性気体存在 下でフィルム表面にプラズマ処理を施す処理である。
[0105] 前記グロ一放電処理は、 10— 3〜20Torr (0. 13〜2700Pa)の低圧ガス下で実施 する低温プラズマ処理を含む。また、大気圧下でのプラズマ処理も、好ましいグロ一 放電処理である。前記プラズマ励起性気体としては、アルゴン、ヘリウム、ネオン、タリ プトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、フロン (例、テトラフルォロメタン)およびそれら の混合物が用いられる。大気圧でのプラズマ処理は、好ましくは 10〜: LOOOKeV、さ らに好ましくは 30〜500KeVで実施する。照射エネルギーは、 20〜500kGy力 子ま しぐ 20〜300kGyがさらに好ましい。前記グロ一放電処理については、発明協会公
開技報 (公技番号 2001— 1745号、 2001年 3月 15日発行、発明協会) 30頁〜 32 頁に記載がある。
[0106] 前記アルカリ酸ィ匕処理は、ポリマーがセルロースァシレートの場合に特に好ましく用 いられ、フィルムにアルカリ鹼ィ匕液を塗布する力 或いはフィルムをアルカリ鹼ィ匕液に 浸清すること〖こより実施することができる。
前記アルカリ鹼ィ匕液の塗布方法としては、例えば、ディップコーティング法、カーテ ンコーティング法、エタストルージョンコーティング法、バーコーティング法または E型 塗布法を採用できる。また、アルカリ鹼ィ匕液の溶媒は、フィルムに対する濡れ性がよく 、フィルム表面に凹凸を形成させずに面状を良好なまま保つことできるものが望まし い。具体的に前記溶媒としては、アルコールが好ましぐイソプロピルアルコールが特 に好ましい。また、水 (好ましくは、界面活性剤の水溶液)を溶媒として使用することも できる。前記アルカリ酸ィ匕処理に用いられるアルカリとしては、アルカリ金属の水酸化 物が好ましぐ KOHおよび NaOHがさらに好ましい。アルカリ鹼化液の pHは、 10以 上が好ましぐ 12以上がさらに好ましい。アルカリ酸ィ匕時の反応条件は、室温で 1秒 〜5分が好ましぐ 5秒〜 5分がさらに好ましぐ 20秒〜 3分が最も好ましい。アルカリ 酸化反応後、酸ィ匕液塗布面を水洗する力、或いは酸で洗浄したあと水洗することが 好ましい。また、塗布式酸化処理と後述の配向膜解塗設とを、連続して行うこともでき 、この場合工程数を減少することができる。これらの酸ィ匕方法については、具体的に は、例えば、特開 2002— 82226号公報、国際公開第 02/46809号パンフレットに 内容の記載が挙げられる。
[0107] フィルム表面と機能層との接着性を改善するため、表面処理にカ卩えて、或いは表面 処理に代えて、本発明の透明ポリマーフィルム上に下塗層(接着層)を設けることが できる。前記下塗層については、発明協会公開技報 (公技番号 2001— 1745号、 2 001年 3月 15日発行、発明協会) 32頁に記載があり、これらを適宜、使用することが できる。
また、本発明の透明ポリマーフィルム上に設けられる機能性層については、発明協 会公開技報 (公技番号 2001— 1745号、 2001年 3月 15日発行、発明協会) 32頁〜 45頁に記載があり、これに記載のものを適宜、使用することができる。
[0108] 《光学補償フィルム》
本発明の透明ポリマーフィルムは、液晶表示装置の光学補償フィルム (本発明の光 学補償フィルム)として用いることができる。なお、「光学補償フィルム」とは、一般に液 晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを意味し、位相差板およ び光学補償シートなどと同義である。また、光学補償フィルムは複屈折性を有し、液 晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で 用いられる。
[0109] 本発明の透明ポリマーフィルムは波長や測定環境によらず Reおよび Rthが小さい ため、これを光学補償フィルムの支持体として用い、その上に液晶等力 なる光学異 方性層を設けると、想定した光学性能を有し、且つ、湿度等の環境変化に伴うレター デーシヨン値の変動の少ない光学補償フィルムが得られる。
[0110] 本発明の透明ポリマーフィルムを液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いる場 合、併用する光学異方性層の Reおよび Rthは 0≤ Re≤200nm且つ | Rth | ≤40 Onmであることが好ましぐ Reおよび Rthがこの範囲であればどのような光学異方性 層でもよい。尚、この場合における Reおよび Rthも、測定波長が 632. 8nmである場 合のものを意味する。また、本発明の光学補償フィルムには、液晶表示装置の液晶 セルの光学性能や駆動方式に制限されず、光学補償フィルムとして要求されるどの ような光学異方性層であっても適用することができる。本発明の光学補償フィルム〖こ 適用される光学異方性層は、例えば、液晶性化合物を含有する組成物から形成して もよ 、し、複屈折を持つポリマーフィルム力も形成してもよ 、。
前記液晶性ィ匕合物としては、ディスコティック液晶性ィ匕合物または棒状液晶性ィ匕合 物が好ましい。
[0111] [ディスコティック液晶性ィ匕合物]
本発明にお 、て前記液晶性ィ匕合物として使用可能なディスコティック液晶性ィ匕合 物の例には、様々な文献(例えば、 C. Destrade et al. , Mol. Crysr. Liq. Crys t. , vol. 71, page 111 (1981);日本化学会編、季刊化学総説、 No. 22、液晶の ィ匕学、第 5章、第 10章第 2節(1994); B. Kohne et al. , Angew. Chem. Soc. Chem. Comm. , page 1794 (1985); J. Zhang et al. , J. Am. Chem. Soc.
, vol. 116, page 2655 (1994) )に記載のィ匕合物力 S含まれる。
[0112] 前記光学異方性層において、ディスコティック液晶性分子は配向状態で固定され ているのが好ましぐ重合反応により固定されているのが最も好ましい。また、ディスコ ティック液晶性分子の重合については、特開平 8— 27284公報に記載がある。デイス コティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の 円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コア に重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。 そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。重合性基を有するディ スコティック液晶性分子については、特開 2001— 4387号公報に開示されている。
[0113] [棒状液晶性化合物]
本発明にお 、て前記液晶性ィ匕合物として使用可能な棒状液晶性ィ匕合物の例には 、ァゾメチン類、ァゾキシ類、シァノビフエ-ル類、シァノフエ-ルエステル類、安息香 酸エステル類、シクロへキサンカルボン酸フエ-ルエステル類、シァノフエ-ルシクロ へキサン類、シァノ置換フエ-ルビリミジン類、アルコキシ置換フエ-ルビリミジン類、 フエ-ルジォキサン類、トラン類およびァルケ-ルシクロへキシルベンゾ-トリル類が 含まれる。また、前記棒状液晶性ィ匕合物としては、以上のような低分子液晶性ィ匕合物 だけではなぐ高分子液晶性ィ匕合物も用いることができる。
[0114] 前記光学異方性層において、棒状液晶性分子は配向状態で固定されているのが 好ましぐ重合反応により固定されているのが最も好ましい。本発明に使用可能な重 合性棒状液晶性化合物の例は、例えば、 Makromol. Chem. , 190卷、 2255頁(1 989年)、 Advanced Materials 5卷、 107頁(1993年)、米国特許 4, 683, 327 号、同 5, 622, 648号、同 5, 770, 107号各明細書、国際公開第 95,22586号、 同 95Z24455号、同 97,00600号、同 98,23580号、同 98,52905号各ノ ン フレット、特開平 1— 272551号、同 6— 16616号、同 7— 110469号、同 11— 8008 1号、および特開 2001— 328973号等の各公報に記載の化合物が含まれる。
[0115] (ポリマーフィルム力もなる光学異方'性層)
前記光学異方性層は、ポリマーフィルムカゝら形成してもよい。前記ポリマーフィルム は、光学異方性を発現し得るポリマーから形成することができる。前記光学異方性を
発現し得るポリマーの例には、ポリオレフイン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノル ボルネン系ポリマー)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビュルアル コール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル、および、セルロースエステ ル(例、セルローストリァセーテート、セルロースジアセテート)が含まれる。また、前記 ポリマーとしては、これらポリマーの共重合体若しくはポリマー混合物を用いてもよい
[0116] 前記ポリマーフィルムの光学異方性は、延伸により得ることが好ましい。この際、前 記延伸は一軸延伸または二軸延伸であることが好ましい。具体的には、 2つ以上の口 一ルの周速差を利用した縦一軸延伸、またはポリマーフィルムの両サイドを掴んで幅 方向に延伸するテンター延伸、或いは、これらを組み合わせての二軸延伸が好ましく 、これらは 1段で実施しても、多段で実施してもよい。なお、二枚以上のポリマーフィ ルムを用いる場合、二枚以上のフィルム全体の光学的性質が上述の条件を満足して もよい。また、前記ポリマーフィルムは、複屈折のムラを少なくするためにソルベントキ ヤスト法により製造することが好ましい。前記ポリマーフィルムの厚さは、 20〜500 mであることが好ましぐ 40-100 μ mであることが最も好ましい。
[0117] また、光学異方性層を形成するポリマーフィルムとして、ポリアミド、ポリイミド、ポリエ ステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエステルイミドおよびポリアリールェ ーテルケトン力もなる群力も選ばれる少なくとも 1種のポリマー材料を用い、これを溶 媒に溶解した溶液を基材に塗布し、溶媒を乾燥させてフィルム化する方法も好ましく 用いることができる。この際、前記ポリマーフィルムと基材とを延伸して光学異方性を 発現させて光学異方性層として用いる手法も好ましく用いることができる。この際、本 発明の透明ポリマーフィルムは前記基材として好ましく用いられる。また、前記ポリマ 一フィルムを別の基材の上で作製しておき、ポリマーフィルムを基材カゝら剥離させた のちに本発明の透明ポリマーフィルムと貼合し、あわせて光学異方性層として用いる ことも好まし 、。
[0118] 《偏光板》
本発明の透明ポリマーフィルムまたは光学補償フィルムは、偏光板 (本発明の偏光 板)の保護フィルムとして用いることができる。本発明の偏光板は、偏光膜とその両面
を保護する二枚の偏光板保護フィルム (透明ポリマーフィルム)からなり、本発明の透 明ポリマーフィルム等は少なくとも一方の偏光板保護フィルムとして用いることができ る。
本発明の透明ポリマーフィルムを前記偏光板保護フィルムとして用いる場合、本発 明の透明ポリマーフィルムには前記表面処理(特開平 6— 94915号、同 6— 118232 号の各公報にも記載)を施して親水化しておくことが好ましぐ例えば、グロ一放電処 理、コロナ放電処理、または、アルカリ酸ィ匕処理などを施すことが好ましい。特に、本 発明の透明ポリマーフィルムを構成するポリマーがセルロースァシレートの場合には 、前記表面処理としてはアルカリ酸ィ匕処理が最も好ましく用いられる。
[0119] また、前記偏光膜としては、例えば、ポリビュルアルコールフィルムを沃素溶液中に 浸漬して延伸したもの等を用いることができる。ポリビュルアルコールフィルムを沃素 溶液中に浸漬して延伸した偏光膜を用いる場合、接着剤を用いて偏光膜の両面に 本発明の透明ポリマーフィルムの表面処理面を貼り合わせることができる。前記接着 剤としては、ポリビュルアルコールまたはポリビュルァセタール (例、ポリビュルブチラ ール)の水溶液や、ビニル系ポリマー(例、ポリブチルアタリレート)のラテックスを用い ることができる。特に好ましい接着剤は、完全鹼化ポリビニルアルコールの水溶液で ある。
偏光板の製造後、該偏光板を使用する前には、偏光板の一方の面に外部保護フィ ルム、反対面にセパレートフィルムが貼り合わされている。外部保護フィルムおよびセ ノル一トフイルムは、偏光板の出荷や製品検査において偏光板を保護する目的で用 いられる。外部保護フィルムは、偏光板を液晶セルへ貼合する面の反対面側に用い られる。また、セパレートフィルムは、偏光板を液晶セルへ貼合するための接着層を カバーする目的で用いられる。
[0120] 一般に液晶表示装置は、二枚の偏光板の間に液晶セルが設けられ、また、一般に 液晶セルは、 2枚の基板の間に液晶注入される。従って、通常の液晶表示装置では 、 4枚の偏光板保護フィルムを有する。本発明の透明ポリマーフィルムは、 4枚の偏光 板保護フィルムのいずれに用いてもよい。ただし、本発明の透明ポリマーフィルムは 透湿度が高いという特徴を有しており、液晶表示装置として使用する際の偏光板の
経時劣化をより改善するために、本発明の透明ポリマーフィルムは、液晶表示装置に おける偏光膜と液晶層(液晶セル)との間に配置される保護フィルムとして、特に有利 に用いることができる。
この場合、液晶表示装置として使用する際の偏光板の経時劣化をより改善するた めに、偏光膜を挟んで本発明の透明ポリマーフィルムの反対側に配置される保護フ イルムとしては、 40°C '相対湿度 90%における透湿度が膜厚 m換算で 500gZ (m2* day)未満である透明ポリマーフィルムが好ましく用いられ、具体的には、透湿度 が膜厚 80 μ m換算で 100以上 500未満 gZ(m2' day)であることがより好ましぐ 250 以上 500未満 gZ(m2' day)であることがさらに好ましい。このようなポリマーフィルム として、例えば、セルロースエステル、ポリエステル、ポリカーボネート、シクロォレフィ ンポリマー、ビュルポリマー、ポリアミドやポリイミド等のフィルムを挙げることができる 1S このうち、本発明の透明ポリマーフィルムと膨張係数のような物理的性質が近似し たフィルムが好ましく用いられる。例えば、本発明の透明ポリマーフィルムがセルロー スァシレートフィルムの場合には、 40°C '相対湿度 90%における透湿度が膜厚 80 m換算で 500gZ (m2 · day)未満であるセルロースァシレートフィルムが好ましく用い られ、このようなフィルムとしてはセルローストリアセテートフィルムなどが挙げられる。 前記偏光膜を挟んで本発明の透明ポリマーフィルムの反対側に配置される保護フィ ルムには、透明ハードコート層、防眩層、反射防止層などを設けることができ、特に液 晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護フィルムとして好ましく用いられる。
[0121] 《液晶表示装置》
本発明の透明ポリマーフィルム、光学補償フィルムおよび偏光板は、様々な表示モ ードの液晶表示装置に用いることができる。以下にこれらのフィルムが用いられる各 液晶モードについて説明する。これらのモードのうち、本発明の透明ポリマーフィルム 、光学補償フィルムおよび偏光板は特に IPSモードの液晶表示装置に好ましく用いら れる。これらの液晶表示装置は、透過型、反射型および半透過型のいずれでもよい。
[0122] (TN型液晶表示装置)
本発明の透明ポリマーフィルムは、 TNモードの液晶セルを有する TN型液晶表示 装置の位相差板の支持体として用いてもよ!ヽ。 TNモードの液晶セルと TN型液晶表
示装置とについては、古くからよく知られている。 TN型液晶表示装置に用いる光学 補償シートについては、特開平 3— 9325号、特開平 6— 148429号、特開平 8— 50 206号および特開平 9 26572号の各公報の他、モリ (Mori)他の論文 (Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 36 (1997) p. 143や、 Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 36 ( 1997) p. 1068)に記載力 Sある。
[0123] (STN型液晶表示装置)
本発明の透明ポリマーフィルムは、 STNモードの液晶セルを有する STN型液晶表 示装置の位相差板の支持体として用いてもよい。一般的に STN型液晶表示装置で は、液晶セル中の棒状液晶性分子が 90〜360度の範囲にねじられており、棒状液 晶性分子の屈折率異方性( Δ n)とセルギャップ(d)との積( Δ nd)力 300〜1500nm の範囲にある。 STN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開 200 0— 105316号公報に記載がある。
[0124] (VA型液晶表示装置)
本発明の透明ポリマーフィルムは、 VAモードの液晶セルを有する VA型液晶表示 装置の位相差板や位相差板の支持体として用いてもよ!ヽ。 VA型液晶表示装置は、 例えば特開平 10— 123576号公報に記載されているような配向分割された方式で あっても構わない。
[0125] (IPS型液晶表示装置および ECB型液晶表示装置)
本発明の透明ポリマーフィルムは、 IPSモードおよび ECBモードの液晶セルを有す る IPS型液晶表示装置および ECB型液晶表示装置の位相差板や位相差板の支持 体、または偏光板の保護フィルムとして特に有利に用いられる。これらのモードは黒 表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で液晶分子を 基板面に対して平行配向させて、黒表示する。これらの態様において本発明の透明 ポリマーフィルムを用いた偏光板は視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。
[0126] (OCB型液晶表示装置および HAN型液晶表示装置)
本発明の透明ポリマーフィルムは、 OCBモードの液晶セルを有する OCB型液晶表 示装置或いは HANモードの液晶セルを有する HAN型液晶表示装置の位相差板 の支持体としても有利に用いられる。 OCB型液晶表示装置或 、は HAN型液晶表示
装置に用いる位相差板には、レターデーシヨンの絶対値が最小となる方向が位相差 板の面内にも法線方向にも存在しな 、ことが好ま 、。 OCB型液晶表示装置或いは HAN型液晶表示装置に用いる位相差板の光学的性質も、光学的異方性層の光学 的性質、支持体の光学的性質および光学的異方性層と支持体との配置により決定さ れる。 OCB型液晶表示装置或いは HAN型液晶表示装置に用いる位相差板にっ 、 ては、特開平 9— 197397号公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文 (Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 38 (1999) p. 2837)に記載力 Sある。
[0127] (反射型液晶表示装置)
本発明の透明ポリマーフィルムは、 TN型、 STN型、 HAN型、 GH (Guest -Host )型の反射型液晶表示装置の位相差板としても有利に用いられる。これらの表示モ ードは古くからよく知られている。 TN型反射型液晶表示装置については、特開平 10 — 123478号、国際公開第 98Z48320号パンフレツ K特許第 3022477号公報に 記載がある。反射型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、国際公開第 00/65384号ノ ンフレットに記載力 Sある。
[0128] (その他の液晶表示装置)
本発明の透明ポリマーフィルムは、 ASM (Axially Symmetric Aligned Micr ocell )モードの液晶セルを有する ASM型液晶表示装置の光学補償シートの支持 体としても有利に用いられる。 ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可 能な榭脂スぺーサ一により維持されているとの特徴がある。その他の性質は、 TNモ ードの液晶セルと同様である。 ASMモードの液晶セルと ASM型液晶表示装置とに ついては、タメ(Kume)他の論文(Kume et al. , SID 98 Digest 1089 (1 998) )に記載がある。
[0129] (ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルム)
本発明の透明ポリマーフィルムは、場合により、ハードコートフィルム、防眩フィルム 、反射防止フィルムへ適用してもよい。 LCD, PDP、 CRT, EL等のフラットパネルデ イスプレイの視認性を向上する目的で、本発明の透明ポリマーフィルムの片面または 両面にハードコート層、防眩層、反射防止層の何れか或いは全てを付与することが できる。このような防眩フィルム、反射防止フィルムとしての望ましい実施態様は、発
明協会公開技報 (公技番号 2001— 1745、 2001年 3月 15日発行、発明協会) 54頁 〜57頁に詳細に記載されており、本発明の透明ポリマーフィルムにおいても好ましく 用!/、ることができる。
実施例
《測定法》
まず、本実施例中で用いた特性の測定法および評価法を以下に示す。
[レターデーシヨン]
幅方向 5点(中央、端部(両端力 それぞれ全幅の 5%の位置)、および中央部と端 部の中間部 2点)を長手方向に 100mごとにサンプリングし、 2cm口の大きさのサンプ ルを取り出し、下記の方法に従って求めた各点の平均値を求めた。
フィルムのレターデーシヨン値は、フィルムを 25°C、相対湿度 60%にて 24時間調 湿後、プリズムカップラー(MODEL2010 Prism Coupler: Metricon製)を用い 、 25°C、相対湿度 60%において、 632. 8nmの He—Neレーザーを用いて下記式( a)で表される平均屈折率 (n)を求めた。
式(a) : n= (n X 2+n ) /3
ΤΕ ΤΜ
[式中、 η はフィルム平面方向の偏光で測定した屈折率であり、 η はフィルム面法
ΤΕ Τ
線方向の偏光で測定した屈折率である。 ]
続いて、調湿されたフィルムを、複屈折測定装置 (ABR— 10A:ュニオブト (株)製) を用い、 25°C、相対湿度 60%において、サンプルフィルム表面に対し垂直方向およ び、フィルム面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム面法線から ±40° 傾斜 させた方向から、 632. 8nmの He— Neレーザーを用いてレターデーシヨン値を測定 し、さらに上記で求めた平均屈折率を用いて、 nx、 ny、 nzをそれぞれ算出し、下記 式 (b)および (c)でそれぞれ表される面内方向のレターデーシヨン値 (Re)と膜厚方 向のレターデーシヨン値 (Rth)とを算出した。
式(b) : Re= (nx-ny) X d
式(c) : Rth= { (nx+ny) /2-nz} X d
[式中、 nxはフィルム面内の遅相軸(x)方向の屈折率であり、 nyはフィルム面内の進 相軸 (y)方向の屈折率であり、 nzはフィルムの膜厚方向(フィルム面法線方向)の屈
折率であり、 dはフィルム膜厚 (nm)である。遅相軸はフィルム面内で屈折率が最大と なる方向であり、進相軸はフィルム面内で屈折率が最小となる方向である。 ]
Re ( )および Rth ( λ )は、フィルムを 25°C、相対湿度 60%にて 24時間調湿後、 分光エリプソメーター(M— 150 ;日本分光 (株)製)を用い、 25°C、相対湿度 60%に おいて、サンプルフィルム表面に対し垂直方向および、フィルム面内の遅相軸を傾斜 軸(回転軸)としてフィルム面法線から ±40° 傾斜させた方向力も Xe光源を用いて 前記方法に基づき、波長えにおけるレターデーシヨン値を測定、算出した。
[0131] 相対湿度が H (単位;%)であるときの面内方向および膜厚方向のレターデーシヨン 値: Re (H%)および Rth (H%)は、フィルムを 25°C、相対湿度 H%にて 24時間調湿 後、 25°C、相対湿度 H%において、前記方法と同様にして、相対湿度 H%における 測定波長が 632. 8nmであるときのレターデーシヨン値を測定、算出した。
[0132] [透湿度]
透湿度は、塩化カルシウムを入れたカップを各々のフィルム試料を用いて蓋をし、 且つ密閉したものを、 40°C *相対湿度 90%の条件で 24時間放置し、調湿前後の質 量変化 (g/ (m2 · day) )力もフィルムの透湿度を評価した値である。
[0133] [偏光度]
作製した 2枚の偏光板を吸収軸を並行に重ね合わせた場合の透過率 (Tp)および 吸収軸を直交させて重ね合わせた場合の透過率 (Tc)を測定し、下記式で表される 偏光度 (P)を算出した。
偏光度 P = ( (Tp-Tc) / (Tp+Tc) ) °·5
[0134] 《合成例 1》 セルロースアセテートプロピオネートの合成
セルロース (広葉樹パルプ) I50g、酢酸 75gを、反応容器である還流装置を付けた 5Lセパラブルフラスコに取り、 60°Cに調節したオイルバスにて加熱しながら、 2時間 激しく攪拌した。このような前処理を行ったセルロースは膨潤、解砕されて、フラッフ 状を呈した。反応容器を 2°Cの氷水浴に 30分間置き冷却した。
別途、ァシルイ匕剤としてプロピオン酸無水物 1545g、硫酸 10.5gの混合物を作製し 、— 30°Cに冷却した後に、上記の前処理を行ったセルロースを収容する反応容器に 一度に加えた。 30分経過後、外設温度を徐々に上昇させ、ァシル化剤の添加から 2
時間経過後に内温が 25°Cになるように調節した。反応容器を 5°Cの氷水浴にて冷却 し、ァシル化剤の添加から 0. 5時間後に内温が 10°C、 2時間後に内温が 23°Cにな るように調節し、内温を 23°Cに保ってさらに 3時間攪拌した。反応容器を 5°Cの氷水 浴にて冷却し、 5°Cに冷却した 25質量%含水酢酸 120gを 1時間かけて添加した。内 温を 40°Cに上昇させ、 1. 5時間攪拌した。次いで反応容器に、 50質量%含水酢酸 に酢酸マグネシウム 4水和物を硫酸の 2倍モル溶解した溶液を添加し、 30分間攪拌 した。 25質量%含水酢酸 1L、 33質量%含水酢酸 500mL、 50質量%含水酢酸 1L 、水 1Lをこの順に加え、セルロースアセテートプロピオネートを沈殿させた。得られた セルロースアセテートプロピオネートの沈殿は温水にて洗浄を行った。このときの洗 浄条件を変化させることで、残硫酸根量を変化させたセルロースアセテートプロピオ ネートを得ることができる。洗浄後、 20°Cの 0. 005質量%水酸ィ匕カルシウム水溶液 中で 0. 5時間攪拌し、洗浄液の pHが 7になるまで、さらに水で洗浄を行った後、 70 °Cで真空乾燥させた。
— NMRおよび、 GPC測定によれば、得られたセルロースアセテートプロビオネ ートは、ァセチルイ匕度 0. 30、プロピオ-ルイ匕度 2. 63、重合度 320であった。硫酸根 の含有量は、 ASTM D— 817— 96により測定した。
《合成例 2》 セルロースアセテートブチレートの合成
セルロース (広葉樹パルプ) l00g、酢酸 135gを、反応容器である還流装置を付け た 5Lセパラブルフラスコに取り、 60°Cに調節したオイルバスにて加熱しながら、 1時 間放置した。その後、 60°Cに調節したオイルバスにて加熱しながら、 1時間激しく攪 拌した。このような前処理を行ったセルロースは膨潤、解砕されて、フラッフ状を呈し た。反応容器を 5°Cの氷水浴に 1時間置き、セルロースを十分に冷却した。
別途、ァシル化剤として酪酸無水物 1080g、硫酸 10. Ogの混合物を作製し、—20 °Cに冷却した後に、前処理を行ったセルロースを収容する反応容器に一度に加えた 。 30分経過後、外設温度を 20°Cまで上昇させ、 5時間反応させた。反応容器を 5°C の氷水浴にて冷却し、約 5°Cに冷却した 12. 5質量%含水酢酸 2400gを 1時間かけ て添加した。内温を 30°Cに上昇させ、 1時間攪拌した。次いで反応容器に、酢酸マ グネシゥム 4水和物の 50質量%水溶液を 100g添加し、 30分間攪拌した。酢酸 100
0g、 50質量0 /0含水酢酸 2500gを徐々に力!]え、セルロースアセテートブチレートを沈 殿させた。得られたセルロースアセテートプチレートの沈殿は温水にて洗浄を行った 。このときの洗浄条件を変化させることで、残硫酸根量を変化させたセルロースァセ テートブチレートを得ることができる。洗浄後、 0. 005質量%水酸化カルシウム水溶 液中で 0. 5時間攪拌し、さらに、洗浄液の pHが 7になるまで水で洗浄を行った後、 7 0°Cで乾燥させた。得られたセルロースアセテートブチレートはァセチル化度 0. 84、 プチリル化度 2. 12、重合度 268であった。
[0136] 以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の 実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸 脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具 体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[0137] 《実施例 101〜110、比較例 101〜105》
(素材)
下記素材を用いてフィルムを作成した。
1)ポリマー
各実施例および比較例にぉ 、て、下記表 1に記載されたポリマーを下記の方法に 従ってそれぞれ調製した。調製したポリマーを 120°Cに加熱して乾燥し、含水率を 0 . 5質量%以下とした後、 30質量部を使用した。
[0138] ·ポリマー A:
下記方法に従 、、表 1における「ポリマー A」としてセルロースアセテートブチレート ( ァセチル置換度 1. 29、プチリル置換度 1. 66、重合度 230)を調製した。
[0139] 触媒としての硫酸 (セルロース 100質量部に対し 7. 8質量部)とカルボン酸無水物 との混合物を— 20°Cに冷却してからセルロースに添カ卩し、 40°Cでァシル化を行った 。この時、カルボン酸無水物の種類およびその量を調整することで、ァシル基の種類 およびその置換比を調整した。またァシル化後に 40°Cで熟成を行って全置換度を調 整した。このようにして得たセルロースァシレートの置換度および重合度は下記の方 法で求めた。
[置換度]
セルロースァシレートのァシル置換度は、 Carbohydr. Res. 273 (1995) 83— 91 (手塚他)に記載の方法で13 C— NMRにより求めた。
[重合度]
製造したセルロースァシレートを絶対乾燥した後、約 0. 2gを精秤し、ジクロロメタン :エタノール = 9: 1 (質量比)の混合溶剤 lOOmLに溶解した。これをォストワルド粘度 計にて 25°Cで落下秒数を測定し、重合度 DPを以下の式により求めた。
η rel =τ/τ 0
[ 7? ] =ln ( r? )/C
rel
DP= [ r? ]/Km
[式中、 Tは測定試料の落下秒数、 Τは溶剤単独の落下秒数、 Inは自然対数、 ま
0
濃度 (gZL)、 Kmは 6 X 10— 4である。 ]
[0140] ·ポリマー B :
前記ポリマー Aの調製方法に従い、表 1における「ポリマー B」としてセルロースァセ テートプロピオネート(ァセチル置換度 0. 32、プロピオ-ル置換度 2. 60、重合度 25 0)を調製した。
[0141] ·ポリマー C :
前記ポリマー Aの調製方法に従い、表 1における「ポリマー C」としてセルロースァセ テートプロピオネート(ァセチル置換度 0. 15、プロピオ-ル置換度 2. 78、重合度 25 0)を調製した。
[0142] ·ポリマー D :
前記ポリマー Aの調製方法に従い、表 1における「ポリマー D」としてセルロースァセ テートプロピオネート(ァセチル置換度 0. 12、プロピオ-ル置換度 2. 75、重合度 25 0)を調製した。
[0143] ·ポリマー E :
前記ポリマー Aの調製方法に従い、表 1における「ポリマー E」としてセルロースァセ テートプロピオネート(ァセチル置換度 2. 00、プロピオ-ル置換度 0. 80、重合度 27 0)を調製した。
[0144] 'ポリマー F :
表 1における「ポリマー F」としては、イーストマンケミカルジャパン (株)製の「CAB38 1 - 20」(ァセチル置換度 1. 00、プチリル置換度 1. 66、重合度 220)を使用した。
[0145] ·ポリマー G :
表 1における「ポリマー G」としては、イーストマンケミカルジャパン(株)製の CAP48 2— 20 (ァセチル置換度 0. 18、プロピオ-ル置換度 2. 49、重合度 240)を使用した
[0146] 2)溶媒
各実施例および比較例にお!、て、下記表 1に従って下記溶媒 Aまたは Bを使用し た。なお、下記溶媒の含水率は、いずれも 0. 2質量%以下であった。
•溶媒 A:ジクロロメタン Zブタノール(92Z8質量部)
•溶媒 B:ジクロロメタン Zメタノール Zブタノール (81/15Z4質量部)
[0147] 3)添加剤
各実施例および比較例にぉ 、て、下記表 1に従って下記組成の添加剤 A〜Eの ヽ ずれかを使用した。表 1における添加剤の使用量は、ポリマー 100質量部に対する 添加量を表す。
[0148] ·添加剤 A:
トリフ -ルホスフ ート(1. 2質量部)
ビフエ-ルジフエ-ルホスフェート(0. 6質量部)
Sumisorbl30 (住友ィ匕学工業 (株)製)(0. 6質量部)
二酸ィ匕ケィ素微粒子 (粒子サイズ 20nm、モース硬度 約 7) (0. 08質量部)
[0149] ·添加剤 B :
トリチルアルコール(1. 8質量部)
Sumisorbl30 (住友ィ匕学工業 (株)製)(0. 6質量部)
二酸ィ匕ケィ素微粒子 (粒子サイズ 20nm、モース硬度 約 7) (0. 08質量部)
[0150] ·添加剤 C :
ベンゼンスルホンァ-リド(1. 8質量部)
Sumisorbl30 (住友ィ匕学工業 (株)製)(0. 6質量部)
二酸ィ匕ケィ素微粒子 (粒子サイズ 20nm、モース硬度 約 7) (0. 08質量部)
[0151] ·添加剤 D :
トリフ -ルホスフェート(0. 2質量部)
ビフエ-ルジフエ-ルホスフェート(0. 1質量部)
二酸ィ匕ケィ素微粒子 (粒子サイズ 20nm、モース硬度 約 7) (0. 08質量部)
[0152] ·添加剤 E :
トリフ -ルホスフェート(2. 4質量部)
ビフエ-ルジフエ-ルホスフェート(1. 2質量部)
Sumisorbl30 (住友ィ匕学工業 (株)製)(0. 6質量部)
二酸ィ匕ケィ素微粒子 (粒子サイズ 20nm、モース硬度 約 7) (0. 08質量部)
[0153] ·添加剤 F :
ポリエチレングリコール(分子量 600) (2. 4質量部)
Sumisorbl30 (住友ィ匕学工業 (株)製)(0. 6質量部)
ビス( 2, 6 ジー t ブチル 4 メチルフエニル)ペンタエリスリトールジフォスファ イト(0. 009質量部)
二酸ィ匕ケィ素微粒子 (粒子サイズ 20nm、モース硬度 約 7) (0. 08質量部)
[0154] ·添加剤 G :
グリセリンジアセテートォレート(2. 4質量部)
Sumisorbl30 (住友ィ匕学工業 (株)製)(0. 6質量部)
ビス( 2, 6 ジー t ブチル 4 メチルフエニル)ペンタエリスリトールジフォスファ イト(0. 009質量部)
二酸ィ匕ケィ素微粒子 (粒子サイズ 20nm、モース硬度 約 7) (0. 08質量部)
[0155] (溶液流延製膜)
1)膨潤、溶解
各実施例および比較例において、攪拌羽根を有し外周を冷却水が循環する 400リ ットルのステンレス製溶解タンクに、表 1記載の溶媒および添加剤を投入して撹拌、 分散させながら、前記ポリマーを徐々に添加した。投入完了後、室温にて 2時間撹拌 し、 3時間膨潤させた後に再度撹拌を実施し、ポリマー溶液を得た。
なお、攪拌には、 15m/sec (剪断応力 5 X 104kgf/m/sec2〔4. 9 X 105N/m
/sec2] )の周速で攪拌するディゾルバータイプの偏芯攪拌軸および中心軸にアンカ 一翼を有して周速 lmZsec (剪断応力 1 X 104kgf/m/sec2〔9. 8 X 104N/m/s ec2〕)で攪拌する攪拌軸を用いた。膨潤は、高速攪拌軸を停止し、アンカー翼を有す る攪拌軸の周速を 0. 5mZsecとして実施した。
[0156] 2)ろ過
得られたポリマー溶液を、絶対濾過精度 0. 01mmの濾紙 ( # 63、東洋濾紙 (株)製 )で濾過し、さらに絶対濾過精度 2. 5 111の濾紙 11025、ポール社製)にて濾過し てポリマー溶液を得た。
[0157] 3)流延、乾燥
(透明ポリマーフィルムの作製)
前記ポリマー溶液を 30°Cに加温し、流延ギーサー(特開平 11— 314233号公報に 記載)を通して 15°Cに設定したバンド長 60mの鏡面ステンレス支持体上に流延した 。流延スピードは 15mZ分、塗布幅は 200cmとした。流延部全体の空間温度は、 15 °Cに設定した。そして、流延部の終点部から 50cm手前で、流延して回転してきたポ リマーフィルムをバンド力も剥ぎ取り、 45°Cの乾燥風を送風した。次に 100°Cで 5分、 さらに 110°Cで 10分乾燥した後、 30秒でフィルムを室温まで冷却し、目的物である 透明ポリマーフィルム(セルロースァシレートフィルム)を得た。得られたフィルムは両 端を 3cm裁断し、さらに端から 2〜: LOmmの部分に高さ 125 μ mの厚みだし加工 (ナ 一リング)を付与し、 1000mロール状に巻き取った(実施例 101〜105、 109、 110、 比較例 101〜105)。
[0158] (溶融製膜)
1)ペレツトイ匕
各実施例および比較例において、真空排気付き 2軸混練押出し機に、表 1記載の ポリマー、添加剤を投入し、スクリュー回転数 300rpm、混練時間 40秒、押出し量 20 OkgZhrでダイ力も押出し、 60°Cの水中で固化した後に裁断して、直径 2mm、長さ 3mmの円柱状のペレットを得た。
2)ろ過、溶融押出し
上記方法で調製したペレットを、露点温度—40°Cの脱湿風を用いて 100°Cで 5時
間乾燥し含水率を 0. 01質量%以下にした。これを 80°Cのホッパーに投入し、溶融 押出し機の入り口温度 (T1)を 190°C、出口温度 (T2)を 210°C、ダイの温度 (T3)を 220°Cに調整した。なお、これに用いたスクリューの直径(出口側)は 60mm、 L/D = 50、圧縮比 4であった。スクリューの入り口側はスクリュー内部にペレットの(Tg— 5 °C)のオイルを循環し冷却した。榭脂のバレル内の滞留時間は 5分であった。バレル 内の温度は、バレル入口が最低温度となり、バレル出口が最高温度となるように設定 した。押出機力も押出された榭脂はギアポンプで一定量計量され送り出されるが、こ の時ギアポンプ前の榭脂圧力が lOMPaの一定圧力で制御できるように、押出機の 回転数を変更させた。ギアポンプカゝら送り出されたメルト榭脂は濾過精度 5 mmのリ ーフディスクフィルタ一にて濾過し、スタティックミキサーを経由してスリット間隔 0. 8m mのハンガーコートダイから押出し、 (Tg- 10°C)のキャスティングドラムで固化した。 この時、各水準静電印加法(10kVのワイヤーをメルトのキャスティングドラムへの着 地点から 10cmのところに設置)を用い両端 10cmずつ静電印加を行った。固化した メルトをキャスティングドラム力 剥ぎ取り、巻き取り直前に両端を 7. 5cm裁断し、両 端に幅 10mm、高さ 50 mのナーリングをつけた後、 30mZ分で 3000m巻き取つ た。フィルムの幅は 1. 5mであった(実施例 106〜 108)。
[0159] (透明ポリマーフィルムの評価)
得られた各透明ポリマーフィルムにつ 、て下記の評価を行った。結果を下記表 1に 示す。
[0160] [面状]
フィルム面状は、得られた透明ポリマーフィルムの表面を目視により観察し、次の評 価尺度に従って評価した。
〇:フィルムの表面に横段ムラやブッが認められなかった。
X:フィルムの表面に著しいうねりが生じてしまい、光学フィルムとしては適用 できな力つた。
X X:支持体上のドープの乾燥を十分に行うことができず、支持体上に著しい剥げ 残りが生じてしまい、剥離することができな力つた。
[0161] [レターデーシヨン]
前述した方法で透明ポリマーフィルムのレターデーシヨン値を測定した。
[0162] [透湿度]
前述した方法で透明ポリマーフィルムの膜厚 80 μ m換算の透湿度を測定した。
[0163] [表 1]
溶媒 添加剤 膜厚 フィルム R e R t h |Re (700) | Rth (700) Re (10%) Rth (10%) 透湿度 ポリマー 添加量
(質量部) 平均値 平均値 -Re (400) 1 -Rth (400) I -Re (80%) -Rth (80%) 80μιη換算 種類 種類 [| m] 面状
[ n m」 [n m] [ n m] [ n mj [ n m」 [ n m] [g/m2-day] 実施例 101 ポリマ一 A 溶媒 A 添加剤 C 8. 3 80 o 1 6 1 1 2 0 1 750 実施例 102 ポリマ一 A 溶媒 A 添加剤 B 8. 3 80 o 2 1 5 1 1 5 0 2 830 実施例 103 ポリマ _B 溶媒 A 添加剤 A 8. 3 80 o 1 1 2 1 4 1 8 840 実施例 104 ポリマー C 溶媒 A 添加剤 A 8. 3 80 o 0 0 2 1 5 ο 9 840 実施例 105 ポリマ一 D 溶媒 B 添加剤 G 8. 3 80 o 1 ― 2 1 1 3 1 1 4 830 実施例 106 ポリマ一 A - 添加剤 F 1 0. 3 80 o 1 5 2 1 5 1 6 840 実施例 107 ポリマ一 A - 添加剤 G 1 0. 3 80 o 2 1 0 2 1 6 1 7 860 実施例 108 ポリマ一 B - 添加剤 F 1 0. 3 80 o 2 2 3 1 4 1 5 890 比較例 101 ポリマ一 E 溶媒 B 添加剤 A 8. 3 80 o 5 34 2 1 4 2 1 9 81 0 比較例 102 ポリマ一 F 溶媒 B 添加剤 A 8. 3 80 o 7 24 1 1 4 1 1 1 730 比較例 103 ポリマ _G 溶媒 B 添加剤 A 8. 3 80 o 6 33 1 1 4 2 21 81 0 比較例 104 ポリマ _D 溶媒 A 添加剤 E 1 4. 3 80 測定不能 測定不能 測定不能 測定不能 測定不能 測定不能 測定不能 実施例 109 ポリマ一 A 溶媒 A 添加剤 C 8. 3 60 o 1 5 1 9 0 1 740 実施例 110 ポリマー A 溶媒 A 添加剤 C 8. 3 1 00 o 3 8 2 1 4 1 2 750 比較例 105 ポリマ一 A 溶媒 A 添加剤 C 8. 3 (230) 測定不能 測定不能 測定不能 測定不能 測定不能 測定不能 測定不能
[0164] 《実施例 201》
(光学補償フィルムの作製)
実施例 101で得られた透明ポリマーフィルムを特開 2003— 315541号公報の実施 例 1に記載の方法に準じて光学補償フィルム試料を作製した。
[0165] 具体的には、 2, 2 '—ビス(3, 4 ジカルボキシフエ-ル)へキサフルォロプロパン 二無水物(6FDA)と、 2, 2' ビス(トリフルォロメチル) 4, 4'—ジアミノビフエ-ル( TFMB)と力 合成されたポリイミド(質量平均分子量 (Mw) 7万、 11カ約0. 04)を 、シクロへキサノン (溶媒)に溶解し、 25質量%に調製した溶液を、実施例 101にお いて得られた透明ポリマーフィルム上に塗布した。その後 100°Cで 10分熱処理し、 熱処理後、 130°Cで 15%縦一軸延伸することにより膜厚 5. 7 mのポリイミド層が実 施例 1で得られた透明ポリマーフィルム上に形成された光学補償フィルムを得た。こ の光学補償フィルムの光学特性は、 Re = 70nm、 Rth= 220nm、配向軸のズレ角 度は ±0. 3° 以内で、 nx>ny>nzの複屈折層を持つ光学補償フィルムであった。
[0166] 《実施例 202》
実施例 201にお 、て、実施例 101で得られた透明ポリマーフィルムの代わりに実施 例 106で得られた透明フィルムに変更した以外は実施例 201と同様にして光学補償 フィルムを得た。この光学補償フィルムの光学特性は、 Re = 75nm、 Rth= 260nm であった。
[0167] 《比較例 201》
実施例 201にお 、て、実施例 101で得られた透明ポリマーフィルムの代わりに比較 例 101で得られた透明フィルムに変更した以外は実施例 201と同様にして光学補償 フィルムを得た。この光学補償フィルムの光学特性は、 Re = 75nm、 Rth= 260nm であった。
[0168] 《実施例 301〜310、比較例 301〜307》
(偏光板の作製)
得られたフィルムを鹼ィ匕処理し、偏光板を作製した。
[0169] 1)フィルムの鹼化
水酸ィ匕ナトリウム 360質量部を水 3000質量部に溶解させてアルカリ水溶液を調製
し、アルカリ溶液槽に移した後、液温を 55°Cに調整した。この鹼ィ匕液に表 2のフィル ム Aおよびフィルム B欄に記載のフィルムを 2分間浸漬した後、フィルムを水洗し、そ の後、 0. 05molZLの硫酸水溶液に 30秒浸漬した後、さらに水洗浴を通した。そし て、エアナイフによる水切りを 3回繰り返し、水を落とした後に 70°Cの乾燥ゾーンに 1 5秒間滞留させて乾燥し、酸ィ匕処理したフィルムを作製した。
[0170] 2)偏光層の作製
特開平 2001— 141926号公報の実施例 1に従い、 2対のニップロール間に周速差 を与え、長手方向に延伸し、厚み 20 mの偏光層を調製した。
[0171] 3)貼り合わせ
このようにして得た偏光層と、前記酸ィ匕処理したフィルムのうちから 2枚選び (それぞ れフィルム A、フィルム Bとし、下記表 2に各実施例および比較例における組み合せを 記載した。)、フィルムの酸ィ匕面を偏光膜側に配置し、これらで前記偏光層を挟んだ 後、 PVA ( (株)クラレ製、 PVA— 117H) 3%水溶液を接着剤として、偏光軸とフィル ムの長手方向とが直交するように貼り合わせた。
なお、下記表 2中、「TD80UF」とは、フジタック TD80UF (富士写真フィルム(株) 製; 40°C '相対湿度 90%における透湿度
(膜厚 m換算)) を示し、「TF80UL」とは、フジタック TF80UL (富士写真フィルム (株)製; 40°C .相 対湿度 90%における透湿度
(膜厚 80 /z m換算)、 | Re | = 7n m、 I Rth I = 52nm、 Re (700)— Re (400) = l lnm、 Rth(700) -Rth (400) = 23nm、 Re (10%)— Re (80%) = 12nm、 Rth (10%) -Rth (80%) = 35nm)を示 し、「ポリカーボネート」とは、パンライト C1400 (帝人化成 (株)製; 40°C '相対湿度 90 %における透湿度 = 30g/ (m
2'day) (膜厚 80 m換算))を示し、「COCl」とは、ァ 一トンフィルム (膜厚 80 μ m、 JSR (株)製; 40°C ·相対湿度 90%における透湿度 = 3 OgZ (m
2 · day) (膜厚 80 μ m換算) )を示す。また、「COC2」とは、ゼォノアフィルム( 膜厚 100 m、 日本ゼオン製; 40°C .相対湿度 90%における透湿度 = 0g/ (m
2'da y) (膜厚 換算)、 Re = 5nm、 Rth=6nm、 Re (700)— Re (400) = lnm、 Rt h (700)—Rth(400) = lnm、 Re (10%) -Re (80%) =0nm、 Rth (10%) -Rth( 80%) = lnm)を示す。
[0172] (偏光板の評価)
[初期偏光度]
前記偏光板の偏光度を前述した方法で算出した。結果を下記表 2に示す。
[0173] [経時偏光度]
前記偏光板のフィルム A側を粘着剤でガラス板に貼り合わせ、 60°C ·相対湿度 95 %の条件で 500時間放置し、放置後の偏光度 (経時偏光度)を前述の方法で算出し た。結果を下記表 2に示す。本発明の透明ポリマーフィルムの透湿度は「TD80UF」 などの巿販セルロースアセテートフィルムと比較して高いため、偏光板の偏光度低下 が懸念されるが、このような配置でガラス板に貼り合せることにより、偏光度低下が回 避できることが分力つた。
[0174] [表 2]
《実施例 311〜312、比較例 308》
実施例 301において、表 3記載のフィルムを使用し、さらに上記「1)フィルムの酸ィ匕 」における酸ィ匕面を、ポリイミドを塗布していない側に変更し、上記「3)貼り合わせ」に
おいて光学補償フィルムの遅相軸方向と偏光板の吸収軸とが直交するように貼り合 せた以外は実施例 301と同様にして偏光板を作製し、同様の評価を行なった。結果 を下記表 3に示す。
[0176] [表 3]
[0177] 尚、比較例 304〜308の偏光板は、初期偏光度および経時偏光度については実 施例 301〜312の偏光板と同様の性能を有していたが、後述するように液晶表示装 置に設置したところ、視野角特性や色味変化に劣るものであった。
[0178] 《実施例 401〜410》
(液晶表示装置への実装評価)
各実施例における透明ポリマーフィルム、光学補償フィルムおよび偏光板を用いて 、液晶表示装置へ実装評価することにより、その光学性能が十分である力確認テスト を実施した。なお、ここでは IPS型、 VA型、および OCB型液晶セルを用いた力 本 発明の透明プラスチックフィルム、光学補償フィルムおよび偏光板の用途は液晶表 示装置の動作モードに限定されることはない。
[0179] (IPS型液晶表示装置への実装評価 1)
アートンフィルム (JSR (株)製)を一軸延伸して、 Re力 S270nm、 Rth力 SOnmの光学 補償フィルムを作製した。これに実施例 301〜310の偏光板を、光学補償フィルムの 面内の遅相軸方向と偏光板の透過軸とが直交するように貼り合わせて光学補償機能 を持たせた積層体を作製し、それぞれ実施例 401〜410とした。
実施例 401〜410において、前記積層体をそれぞれ 2組ずつ作製し、光学補償フ イルムが各々液晶セル側となるように、「実施例 40i〜4ioにおける積層体 ZIPS型 の液晶セル Z実施例 401〜410における積層体」の順番に重ね合わせて組み込ん
だ液晶表示装置を作製した。この際、上下の偏光板の透過軸を直交させ、上側の偏 光板の透過軸は液晶セルの分子長軸方向と平行 (即ち光学補償層の遅相軸と液晶 セルの分子長軸方向とは直交)とした。液晶セルや電極 ·基板は IPSとして従来から 用いられているものをそのまま使用した。また、液晶セルの配向は水平配向であり、 液晶は正の誘電率異方性を有しており、 IPS液晶用に開発され市販されているもの を用いた。液晶セルの物性は、液晶の Δ η : 0. 099、液晶層のセルギャップ: 3. Ο μ m、プレチルト角: 5° 、ラビング方向:基板上下とも 75° であった。
[0180] 前記のように作製した全ての液晶表示装置において、装置正面からの方位角方向 45° 、極角方向 70° における黒表示時の光漏れ率を測定したところ、 0. 10%以下 と良好な視野角特性であり、レターデーシヨンの波長分散性が小さいために、表示色 味に優れて 、ることも分かった。
これに対し、比較例 304〜307の偏光板を用いて、全く同様の評価を行ったところ 、全ての液晶表示装置において、光漏れ率が 0. 5%程度と、視野角特性に劣ること が分かった。
さらに、実施例 101〜110における透明ポリマーフィルムを用いた液晶表示装置で は、レターデーシヨンの湿度依存性が小さい。そのため、比較例 101〜103における 透明ポリマーフィルムを用いた液晶表示装置において、外部湿度変化による光漏れ 率の変化が観測されたのに対し、実施例 101〜110における透明ポリマーフィルムを 用いた液晶表示装置ではそのような問題は発生しないことが分力つた。
[0181] (IPS型液晶表示装置への実装評価 2)
一枚のガラス基板上に、隣接する電極間の距離が 20 mとなるように電極を配設し 、その上にポリイミド膜を配向膜として設け、ラビング処理を行なった。別に用意した 一枚のガラス基板の一方の表面にポリイミド膜を設け、ラビング処理を行なって配向 膜とした。二枚のガラス基板を、配向膜同士を対向させて、基板の間隔 (ギャップ; d) を 3. とし、二枚のガラス基板のラビング方向が平行となるようにして重ねて貼り 合わせ、、 、で屈折率異方性( Δ n)が 0. 0769および誘電率異方性( Δ ε )が正の 4. 5であるネマチック液晶組成物を封入した。液晶層の d ' Δ ηの値は 300nmであつ
[0182] この IPSモード液晶セルの一方に、実施例 302の偏光板の吸収軸が液晶セルのラ ビング方向と平行になるように、且つフィルム A側が液晶セル側になるように貼り合せ た。続いて、液晶セルの他方に比較例 306における偏光板をクロス-コルの配置で 貼り付け、実施例 302の偏光板側にバックライトが配置されるように液晶表示装置を 作製した。
[0183] 以上と同様に実施例 302の偏光板の代わりに比較例 306における偏光板を用いて 実装評価を行い、液晶表示装置の黒の色味を極角 60° における全方位角方向の 変化(A uv)で評価したところ、実施例 302を用いた場合では、 Δ ιινが 0. 05以下と なり、実質的に色味変化は感じられな力つたのに対し、比較例 306における偏光板 を 2枚用いた場合には、 Δ ιινが 0. 05を超えてしまい、色味変化が明らかに認められ た。し力も、 Reや Rthが小さぐ波長依存性も小さい本発明の透明フィルムおよび偏 光板を用いることにより、色味変化が改善されることも分力つた。
[0184] (VA型、 OCB型液晶表示装置への実装評価)
実施例 101〜107のフィルムを用いて、特開平 10— 48420号公報の実施例 1に記 載の液晶表示装置、特開平 9— 26572号公報の実施例 1に記載のディスコティック 液晶分子を含む光学異方性層、ポリビニルアルコールを塗布した配向膜、特開 200 0— 154261号公報の図 2〜9に記載の VA型液晶表示装置、特開 2000— 154261 号公報の図 10〜 15に記載の OCB型液晶表示装置での評価をしたところ、 V、ずれの 場合においてもコントラスト視野角が良好な性能が得られた。
[0185] (VA型液晶表示装置への実装評価)
実施例 311の光学補償フィルム側が液晶セル側となるように粘着剤で VA型液晶 表示装置へ貼り合せた。なお、液晶セルの反対側には偏光板の吸収軸同士が直交 するように比較例 311における偏光板を粘着剤を介して VA液晶パネルに貼り合せ た。以上のようにして得られた液晶表示装置の視野角特性を測定したところ、良好な 特性を示すことが分力ゝつた。
同様に実施例 311の代わりに実施例 312を用いて実装評価を行ったところ、実施 例 311の場合と同様に良好な特性を示すことが分力 た。
これに対し、実施例 311の代わりに比較例 308を用いて実装評価を行ったところ、
比較例 308を用いた場合では左右上下の視野角が劣ることがわかり、本発明の透明 ポリマーフィルム、光学補償フィルムおよび偏光板が VA用の位相差フィルムとしても 優れるものであることが分力つた。
産業上の利用可能性
本発明によれば、適度な透湿度を有し、波長や測定環境によらず Reと Rthが小さ い透明ポリマーフィルムを提供することができ、さらに、優れた光学補償フィルムを提 供することができる。また、本発明の透明ポリマーフィルムは適度な透湿度を有する ため、偏光膜とオンラインで貼り合わせることができ、視認性に優れた偏光板や信頼 性の高い液晶表示装置を生産性よく提供することができる。したがって、本発明は産 業上の利用可能性が高い。