WO2005025385A1

WO2005025385A1 - 乳児用姿勢保持構造および乳児用枕

Info

Publication number: WO2005025385A1
Application number: PCT/JP2004/012197
Authority: WO
Inventors: Kenzou Kassai; Sachiyo Suzuki; Fumiko Takahashi
Original assignee: Aprica Ikujikenkyukai Aprica Kassai Kabushikikaisha
Priority date: 2003-09-11
Filing date: 2004-08-25
Publication date: 2005-03-24
Also published as: ATE418895T1; EP1665958A4; RU2006107554A; KR20060059965A; TW200513216A; US20090007336A1; EP1665958B8; EP1665958A1; DE602004018798D1; EP1665958B1

Description

明細書

乳児用姿勢保持構造および乳児用枕

技術分野

[0001] この発明は、乳児の姿勢を適正に保持して酸素飽和度の低下を防ぐ乳児用姿勢保持構造および気道閉塞の生じない乳児用枕に関するものである。

背景技術

[0002] 乳児の姿勢を保持するための種々の提案がなされている。

[0003] たとえば、実用新案登録第 3079785号公報は、乳児用枕を開示している。この公報に開示された乳児用枕は、全体形状をドーナツ状または逆 U字状にすることによつて赤ちゃんの頭の形を損なわなレ、ようにしてレ、る。

[0004] 特開 2003-70602号公報は、乳幼児のおむつ交換時、乳幼児の寝返りを防止し得る敷物を開示している。この公報に開示された乳幼児寝返り防止敷物では、敷物に、乳幼児の胸囲を固定する帯と左右肩を固定する帯とを取付けてレ、る。

[0005] 特開平 11-276312号公報は、乳幼児のおむつ交換の際に使用するのに便利な寝返り防止具を開示している。この公報に開示された寝返り防止具では、乳幼児の上半身に装着可能な装着具を敷物に取付けている。

[0006] 特表 2002 - 539852号公報は、乳児の睡眠の際に寝床の移動および寝返りを防止することができる多機能クッションを開示している。この公報に開示された多機能クッシヨンは、薄くて平坦なパッドと、このパッドの両側部上に位置する円柱形状の一対のクッションとを備えてレ、る。

[0007] 実用新案登録第 3079785号公報に開示された、ドーナツ状の乳児用枕の例を図

26A, 26B, 26Cに示す。図 26Aはドーナツ状枕に乳児を寝かせた例を示す図であり、図 26Bは図 26Aに示す乳児用枕において、乳児の頭部がドーナツより小さぐ首の部分のみが支持された状態を示す図であり、図 26Cは、乳児の頭部がドーナツ状の枕からずれた状態を示す図である。

[0008] ドーナツ状枕 90においては、本来乳児の頭部をドーナツ状の枕で持ち上げて、頭部全体を浮かし、乳児の後頭部が扁平にならないようにしている。し力しながら、図 2 6Aに示すように、頭だけが枕上に位置決めされ、肩部から下の部分の位置が特定されないため、肩から下の部分が図の一点鎖線に示すように頭部に対して移動する場合がある。

[0009] また、図 26Bに示すように、乳児の頂頭部がドーナツ枕で支持されず、首部分のみがドーナツ枕で支持されると、乳児の首の部分が不自然に持ち上げられ、乳児が苦しくなる。

[0010] さらに、図 26Cに示すように、ドーナツ状の枕で乳児の頭部が枕から外れてその後頭部を持ち上げた状態では、首の部分が圧迫され、気道閉塞になる可能性があった

[0011] 乳児が仰臥位で頻繁に寝返り動作を行なうと、往々にして図 27に示すような窮屈な姿勢となることがある。図 27に示す状態では乳児の首部が屈曲しており、そのため気道閉塞による酸素飽和度の低下のおそれがある。さらに、乳児の腹部も屈曲して圧迫されているので、腹式呼吸が妨げられて酸素飽和度を低下するおそれがある。

[0012] 特開 2003-70602号公報ゃ特開平 11-276312号公報に開示されたように、帯や装着具によつて乳児の上半身を拘束すれば寝返りを防止することは可能であるが

、乳児の上半身の動きをほぼ止めてしまうものであるので長時間の使用には不適でめる。

[0013] 特表 2002-539852号公報に開示された多機能クッションの場合には、円柱形状の一対のクッションを乳児の両側部に位置させるだけであるので乳児の自由な動きを許容する。一方、乳児の側部とクッションとの間にある程度の隙間が形成されるので、乳児の首部の屈曲や腹部の屈曲を防止することは困難である。

発明の開示

[0014] この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、乳児の姿勢を適正に保持して酸素飽和度の低下を防ぐことのできる乳児用姿勢保持構造を提供することである。

[0015] この発明の他の目的は、乳児の首部および腹部の屈曲を防止することのできる乳児用姿勢保持構造を提供することである。

[0016] この発明のさらに他の目的は、乳児が安心して睡眠できる乳児用枕を提供することである。

[0017] この発明に従った乳児用姿勢保持構造は、上下および左右に延在するマットと、このマット上に寝力されている乳児の胴の両側部に当接するように、マットの左右側部上に位置する一対の胴サポートとを備える。各胴サポートは、乳児の胴側部背面を下から支える下層部と、この下層部上で外側方にずれて位置し乳児の胴側部に横から当接する上層部とを含む。

[0018] 好ましくは、胴サポートを構成する上層部および下層部は、柔軟性のある材料で形成される。例えば、上層部は発泡倍率の高い発泡材料力形成され、下層部は上層部よりも発泡倍率の低い発泡材料から形成される。

[0019] 上記構成の本発明によれば、胴サポートの下層部が乳児の胴側部背面を下から支え、上層部が乳児の胴側部に横力も当接するので、乳児の胴部分の位置をしつかりと固定保持することができる。したがって、腹部が屈曲して圧迫されるということが無いので、正常な腹式呼吸を維持でき酸素飽和度の低下を防止できる。

[0020] 母親のお腹の中にいる胎児は羊水の中にあり、常に水圧によって全身の皮膚に圧力を受けている。このときの記憶から力、新生児や未熟児は、大きな領域で包み込まれるように身体の皮膚に圧力を感じると安心してよく眠る。上記構成の本発明によれば、一対の胴サポートが乳児の胴部を包み込むように圧力を与えるので、特に新生児や未熟児は安心してよく眠ることができる。

[0021] 好ましくは、上層部は、下層部が乳児の体重によって押圧されるのに伴って内側方に移動するように構成されている。このようにすれば、乳児の胴部分をよりしつ力りと固定保持することができる。

[0022] 一つの実施形態では、各胴サポートは、マットに着脱可能に取付けられている。このようにすれば、乳児の体型や身体の大きさに合わせて一対の胴サポートの間隔や位置関係を調整することができる。

[0023] 乳児用姿勢保持構造は、マット上に寝かされている乳児の頭を下から支えるように、マットの上部に設けられた枕を備えるものであってもよい。枕は、例えば、マットに着脱可能に取付けられる。

[0024] 好ましくは、枕は、第 1の高さを有し、乳児の後頭部の両側部を下から支える一対の頭部位置決め部と、第 1の高さよりも低い第 2の高さを有し、一対の頭部位置決め部によって位置決めされた乳児の首を下から支える頸椎支え部とを備える。

[0025] 頭部位置決め部によって乳児の頭部を位置決めするとともに、乳児の首を頭部位置決め部より低い頸椎支え部で水平に支持するため、乳児の気道を閉塞させることなぐ気道を正しく確保できる。その結果、乳児が安心して睡眠できる乳児用枕を提供できる。

[0026] さらに、乳児用姿勢保持構造が、上記のような枕を備えることにより、首部の屈曲を防レ、で酸素飽和度の低下を防止できる。

[0027] 好ましくは、頸椎支え部上で乳児が首を回転して横を向いたときに、乳児の鼻および口に対向する頭部位置決め部の高さは、乳児の鼻および口の高さより低レ、。頭部位置決め部の高さをこのように設定したため、乳児が横を向いても、窒息することがなレ、。

[0028] なお、一対の頭部位置決め部は頭頂部側で相互に連続されてもよい。

[0029] さらに好ましくは、頸椎支え部は乳児の首側において長辺を有する台形状である。

また、一対の頭部位置決め部の高さは頭頂部側から首側へ徐々に低くなるよう形成されるのが好ましい。さらに、頸椎支え部は頭頂部側から首側へ徐々に低くなるよう形成されるのが好ましい。

[0030] さらに好ましくは、一対の頭部位置決め部は、首側において頸椎支え部より首側に延在し、それによつて乳児の肩を位置決めする肩当て部を構成する。

[0031] 頭部位置決め部から延びた肩当て部が設けられて乳児の肩が位置決めされるため

、乳児の頭部と肩部とが位置決めされる。その結果、乳児の頭部と身体とがねじれにくくなり、気道閉塞が起きに《なる。

[0032] 乳児用姿勢保持具は、一対の胴サポートから連なって乳児の下半身を取り囲むように、マットの周縁部を取り囲む立壁部をさらに備えるものであってもよい。

[0033] この発明に従った乳児用枕は、第 1の高さを有し、乳児の後頭部の両側部を下から支える一対の頭部位置決め部と、第 1の高さよりも低い第 2の高さを有し、一対の頭部位置決め部によって位置決めされた乳児の首を下から支える頸椎支え部とを備える。図面の簡単な説明

[図 1]この発明の一実施形態における乳児用枕の斜視図である。

[図 2]図 1に示した乳児用枕の平面図である。

[図 3]図 1に示した乳児用枕の ΠΙ-ΠΙで示す部分の断面図である。

[図 4]図 1に示した乳児用枕の IV-IVで示す部分の断面図である。

[図 5]この発明にかかる乳児用枕の効果を説明するための図である。

[図 6]この発明の他の実施形態における乳児用枕の平面図である。

[図 7]この発明のさらに他の実施形態における乳児用枕の平面図である。

[図 8]図 7に示した乳児用枕の VIII-VIIIで示す部分の断面図である。

[図 9]この発明のさらに他の実施形態における乳児用枕の平面図である。

[図 10]図 9に示した乳児用枕の X-Xで示す部分の断面図である。

[図 11]この発明のさらに他の実施形態における乳児用枕の平面図である。

[図 12]図 11に示した乳児用枕の ΧΙΙ-ΧΠで示す部分の断面図である。

[図 13]この発明に従った乳児用姿勢保持構造の一実施形態を示す斜視図である。

[図 14]図 13に示した乳児用姿勢保持具の横断面図である。

[図 15]乳児の胴部分が乳児用姿勢保持具によつて固定保持されている状態を示す断面図である。

[図 16]乳児が姿勢保持具上に寝かされている状態を示す平面図である。

[図 17]乳児が姿勢保持具上に寝かされている状態を示す平面図であり、両手が一対の胴サポート上に置かれてレ、る状態を示してレ、る。

[図 18]仰臥位での酸素飽和度の変化を示すグラフである。

[図 19]座部と背もたれ部との間の角度を 30度にしたときの酸素飽和度の変化を示すグラフである。

[図 20]乳児用姿勢保持具の他の例を示す断面図である。

[図 21]乳児が図 20に示した乳児用姿勢保持具によつて固定保持されている状態を示す断面図である。

[図 22]乳児用姿勢保持具のさらに他の例を示す断面図である。

[図 23]乳児が図 22に示した乳児用姿勢保持具によつて固定保持されている状態を示す断面図である。

[図 24]乳児用姿勢保持具のさらに他の例を示す平面図である。

[図 25]図 24の線 25-25に沿って見た断面図である。

[図 26A]ドーナツ状枕に乳児を寝かせた例を示す図である。

[図 26B]図 26Aに示す乳児用枕において、乳児の頭部がドーナツより小さぐ首の部分のみが支持された状態を示す図である。

[図 26C]乳児の頭部がドーナツ状の枕からずれた状態を示す図である。

[図 27]乳児の首部および腹部が屈曲している状態を示す図である。

発明を実施するための最良の形態

[0035] 以下、この発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。図 1は乳児用枕 10の斜視図であり、図 2はその平面図であり、図 3および図 4は、図 2の III一 IIIおよび IV— I Vで示す部分の断面図である。

[0036] 図 1および 2を参照して、乳児用枕 10は、下敷層 11と、下敷層 11の上に比較的柔らかい布で構成された、上端部に対して逆 U字状に***した頭部位置決め部 12と、乳児用枕 10の下端部近くの中央部に設けられた頸椎支え部 13とを有している。頸椎支え部 13は下端部側の辺が長い台形状を有した***部となっている。

[0037] 逆 U字状の頭部位置決め部 12は頸椎支え部 13より下方向へ延在し、第 1および第 2の突出部 14a, 14bを構成している。また、頭部位置決め部 12および頸椎支え部 13で囲まれた部分は凹部 15を構成する。頭部位置決め部 12と、頸椎支え部 13と、凹部 15とはそれぞれが滑らかに接続されている。

[0038] 図 3を参照して、頸椎支え部 13の最も高い部分の高さは、頭部位置決め部 12の頂部側の高さより低ぐそこから上端側および下端側になめらかに下降している。頸椎支え部 13をこのようなテーパ状とすることによって、後に説明するように、乳児を乳児用枕 10上に寝かせたとき、首の部分がほとんど存在しない乳児の首から肩の部分の脂肪をこの部分で支持することが可能になる。

[0039] 図 4を参照して、頭部位置決め部 12の両側は、上端部から頸椎支え部 13の少し上側位まではその高さがほぼ一定であり、そこからは突出部 14の端部まで徐々に低下している。なお、頭部位置決め部 12の両側部 12a、 12bの、乳児が頸椎支え部 13上で横を向いたときに乳児の鼻および口に対向する部分の高さは、乳児の鼻および口の高さより低い寸法である。このような高さにすることにより、乳児が横を向いても、窒息することはない。

[0040] このような形状の乳児用枕 10において、乳児の頭部 18をその後頭部が凹部 15に収まるように乳児の頭部にあてがう（図 3参照）と、乳児の頭部 18の位置は頭部位置決め部 12によって位置決めされる。また、乳児の左右の肩も第 1および第 2の突出部 14a, 14bで位置決めされる。乳児の頭部 18および肩部の位置決めができるため、従来のように睡眠中に乳児の身体がねじれる心配がない。また、乳児の首は頸椎支え部 13によって支持されるため、乳児が寝かされたとき、首が水平になり、従来のように首の部分が持ち上げられて窮屈になったり、首の部分が下がりすぎて気道閉塞になるようなことはなレ、。

[0041] なお、乳児用枕 10としての高さ関係を維持するために、下敷層 11を構成する材料はその上に形成される頭部位置決め部 12、頸椎支え部 13や第 1および第 2の突出部 14a、 14bを構成する材料よりも密度が高いほうが好ましレ、。

[0042] 図 5はこの実施の形態に係る乳児用枕 10を使用したときの、乳児の睡眠中の状態における、酸素飽和度（SpO ：パルスォキシメータによる測定値）と脈拍数の変化を

2

示すグラフである。乳児を乳児用枕 10の上で寝かせた場合 (A)と、乳児用枕 10を無くした場合 (B)と、再度乳児用枕 10をあてがった場合 (C)の各々が比較できるように並べて示している。全てのデータにおいて脈拍は正常である。

[0043] 図 5から解るように、乳児用枕 10を使用した場合 (A)は乳児は酸素飽和度の低下も見られず（95近辺）安眠してレ、る。乳児用枕 10を外してしばらくすると（B)酸素飽和度が低下していくことがわかる（85程度まで降下)。これは、寝返り等により首のねじれが徐々に生じ、酸素飽和度の低下が生じたためである。その後、再度乳児用枕 10をあてがうと（C)酸素飽和度は再び上昇する（95近辺まで)。図 5から、この乳児用枕 10の効果は明らかである。

[0044] 次に、この発明の他の実施の形態について説明する。図 6はこの発明の他の実施の形態を示す平面図である。この実施の形態においては、乳児用枕 20がべビーカ一をはじめとする乳児用育児器具に内蔵される。 [0045] 図 6を参照して、ベビーカー 21の内壁面に適合して乳児用枕 20が内蔵されている。この乳児用枕の形状は、基本的に図 1一図 4に示したものと同じである。このように、乳児用枕 20をべビーカーのような育児器具の内壁面に適合させる力、または、固定していれば、育児器具内で乳児の頭部と肩部をしつ力、り位置決めし、気道閉塞無く乳児を睡眠させることができる。

[0046] なお、この場合下敷層 11は乳児用枕 20の載置されるべビーカー 21のような育児器具の上面を形成する材料の密度よりも大きい密度の材料で形成され、乳児用枕 2 0の載置される育児器具の上面の堅さの影響を受けないようにする必要がある。

[0047] つぎに、この発明のさらに他の実施の形態について説明する。図 7は、この発明のさらに他の実施の形態を示す乳児用枕の平面図であり、図 8は図 7の VIII— VIIIで示す部分の断面図である。図 7および図 8を参照して、この実施の形態に係る乳児用枕 30は、図 1一図 4に示した先の実施の形態に対して、頭部位置決め部 32がドーナツ状である点と、突出部が設けられていないという点と、頸椎支え部 33が矩形であるとレ、う点が異なっている。頭部位置決め部 32および頸椎支え部 33で囲まれた部分が凹部 35を構成している点を含めて、上記以外の部分は基本的に先の実施の形態と同様であるので、その説明は省略する。

[0048] この実施の形態における乳児用枕 30は、基本的には先の実施の形態と同様の基本形状を有しているため、先の実施の形態と同様の効果を奏する。

[0049] 次に、この発明のさらに他の実施の形態について説明する。図 9は、さらに他の実施の形態を示す平面図であり、図 10は図 9の X— Xで示す部分の断面図である。図 9 および図 10を参照して、この実施の形態に係る乳児用枕 40においては、先の実施の形態と異なり、頭部位置決め部 42は頂部で溝 46によって左右の頭部位置決め部 42a, 42bに分割されている。また、頭部位置決め部 42および頸椎支え部 43は下敷層 41から比較的急に立ち上がつている。

[0050] それ以外の部分は基本的に先の実施の形態と同様であるので、その説明は省略する。この実施の形態における乳児用枕 40は、基本的には先の実施の形態における必須の部分を有しているため、先の実施の形態と同様の効果を奏する。

[0051] 次に、この発明のさらに他の実施の形態について説明する。図 11は、さらに他の実施の形態を示す平面図であり、図 12は図 10の XII— XIIで示す部分の断面図である。図 11および図 12を参照して、この実施の形態に係る乳児用枕 50においては、先の実施の形態と異なり、先の実施の形態における一対の頭部位置決め部 42a、 42b のそれぞれが、 2つの突起部 52a、 53aおよび 52b、 53bに分けられてレ、る。このように溝 56a、 56bを設けることにより、乳児が寝ている間に横を向いても、乳児が横を向いたときの乳児の鼻および口に対する部分が存在しなければ、乳児が窒息することはない。

[0052] また、溝 56a、 56bは、図 11において中心部から、乳児が横を向いても鼻等が当接しなレ、位置（図 11におレ、て一点鎖線で示す位置付近）までとし、そこから外側は多少の高さを有するようにしてもよレ、（図 12における一点鎖線の部分参照）。このようにしても、上記と同様の効果が得られる。

[0053] なお、突起部 52a、 53a、 52b、 53bおよび頸椎支え部 43で囲まれた部分が凹部 4 5を構成している点を含めて、上記以外の部分は基本的に先の実施の形態と同様であるので、その説明は省略する。

[0054] 図 13は、この発明に従った乳児用姿勢保持構造の一実施形態の乳児用姿勢保持具 60を示す斜視図であり、図 14はその横断面図である。また、図 15は、乳児が乳児用姿勢保持具 60上に寝力されている状態を示す断面図である。図示する乳児用姿勢保持具 60は、上下および左右に延在するマット 61と、マット上に寝かされる乳児の胴 100の両側部に当接するようにマット 61の左右側部上に位置する一対の胴サポート 62、 63とを備える。各月同サポート 62, 63は、それぞれ、乳児の月同 100の側部背面を下から支える下層部 62b, 63bと、この下層部 62b, 63b上で外側方にずれて位置し乳児の胴 100の側部に横から当接する上層部 62a, 63aとを含む。図 15において、乳児の両腕 101， 102は胴サポートの上層部 62a， 63a上に置かれている。

[0055] 乳児用姿勢保持具 60は、室内の畳上、布団上、ベビーベッド上等で使用されてもよいし、乳母車、チャイルドシート、育児椅子等の育児器具上で使用されてもよい。

[0056] 図示した実施形態では、胴サポート 62, 63の上層部 62a， 63aおよび下層部 62b，

63bは、それぞれ、断面形状が楕円形の柱状体である。上層部 62a， 63aと下層部 6 2b, 63bとは、適当な接合手段によって接続される。例えば、それらを縫い付けても良レ、し、面ファスナーを介して離脱可能に接続してもよレ、。

[0057] 胴サポート 62, 63は乳児の胴の両側部に当接するものであるので、乳児に対して柔らかな感触を与え得るように、好ましくは、上層部 62a, 63aおよび下層部 62b, 63 bは、柔軟性のある材料で形成される。例えば、上層部 62a， 63aを発泡倍率の高い発泡材料で形成し、下層部 62b, 63bを上層部よりも発泡倍率の低い発泡材料で形成するようにしてもよい。

[0058] 図 15に示すように、胴サポート 62， 63の下層部 62b, 63bは乳児の胴 100の側部背面に押されて乳児の背中とマット 61との間の隙間を埋めるように横に広がる。また、この下層部 62b, 63bが乳児の体重によって押圧されて変形するのに伴って、上層部 62a， 63aが内側方に移動して胴 100の両側部に横から当接する。したがって、図示した実施形態によれば、乳児の胴部分の位置をしつかりとかつ安定して固定保持すること力 Sできる。こうして、例えば睡眠中における乳児の腹部の屈曲を防止し、酸素飽和度の低下を防止できる。

[0059] 各胴サポート 62, 63をマット 61上に完全に固定しても良いし、面ファスナ等を介して着脱可能に取付けるようにしてもよい。各胴サポートを着脱可能にしておけば、乳児の体型や身体の大きさに合わせて一対の胴サポートの間隔や位置関係を調整すること力 Sできる。なお、言うまでもないが、各胴サポートを着脱できないようにマット上に取付ける構造の場合でも、一対の胴サポートの間隔や位置関係の調整を可能にすること力 Sできる。

[0060] 図示する乳児用姿勢保持具 60は、マット 61上に寝かされる乳児の頭を下から支えるように、マット 61の上部に取付けられた枕 10を備える。この枕 10は、図 1一図 4に示したものと同一であるので、その説明を省略する。言うまでもないが、図 1一図 4に示した枕 10の代わりに、図 6に示した枕 20、図 7に示した枕 30、図 9に示した枕 40、図 11に示した枕 50を使用してもよレ、。

[0061] 枕 10は、マット 61の上部に完全に固定されても良いし、面ファスナ等を介して着脱可能に取付けるようにしてもよい。好ましくは、乳児の身体の大きさに合わせて枕 10 の位置を調節することができるようにする。

[0062] 乳児用姿勢保持具 60が上記のような枕 10を備えることにより、乳児の首部の屈曲を防レ、で酸素飽和度の低下を防止できる。

[0063] 図 16および図 17は、乳児用姿勢保持具 60上に乳児が仰臥位で寝かされている状態を示している。図 16に示す状態では、乳児は両手を頭側に上げているので、一対の胴サポート 62， 63が乳児の脇の下方に位置する。図 17に示す状態では、乳児は両手を下げているので、一対の胴サポート 62， 63が乳児の両腕を下から支えている。こうして、図示した実施形態によれば、一対の胴サポート 62, 63が存在していても乳児の両腕が窮屈にならないので、乳児に対して不快感を与えない。

[0064] 図 18は、生後 2か月の乳児を仰臥位にした状態で乳児用姿勢保持具 60を使用した場合 (実線）と、使用しなかった場合 (点線）とにおける酸素飽和度の変化を示すグラフである。乳児用姿勢保持具 60を使用しなかった場合、乳児の身体が動いたときに酸素飽和度が大きく低下していることが認められた。一方、乳児用姿勢保持具 60 を使用した場合には、酸素飽和度の低下は認められなかった。

[0065] 図 19は、座部に対して背もたれ部を 30度の傾斜角度となるように起こした状態で乳児用姿勢保持具 60を使用した場合 (実線)と、使用しなかった場合 (点線)とにおける生後 2か月の乳児の酸素飽和度の変化を示すグラフである。乳児用姿勢保持具 60を使用しなかった場合には、酸素飽和度が低下する状態が継続して見られた。これは、背もたれ部が起こされているために、乳児の首部および腹部が屈曲しやすくなつているためと考えられる。一方、乳児用姿勢保持具 60を使用した場合には、酸素飽和度の低下は見られな力つた。

[0066] マット 61をある程度の保形性を有するような材質のもので形成すれば、乳児用姿勢保持具 60上に寝力されている乳児を乳児用姿勢保持具と共に抱き力かえることが容易になる。したがって、例えば、乳母車やチャイルドシート等の育児器具の座席から乳児を降ろしたり、あるいは乳児を座席上に乗せたりすることが容易になる。

[0067] 図 20および図 21は、乳児用姿勢保持具の他の例を示している。図示する乳児用姿勢保持具 70は、マット 71と、一対の胴サポート 72， 73と、帯 74とを備える。各胴サポート 72， 73は、前述の実施形態と同様に、上層部 72a, 73aと下層部 72b, 73bとを含む。帯 74の両端は、各胴サポート 72, 73の上層部 72a， 73aと下層部 72b， 73 bとの間を通過して、座席を形成する両側壁 75に連結されている。乳児が姿勢保持具 70上に寝かされていない状態では、帯 74の中央部分はマット 71から上方に離れている。

[0068] 図 21に示すように、乳児が姿勢保持具 70上に寝力されると、帯 74の中央部分が乳児の胴 100によって下方に押圧されるので、帯 74の両端部分が各胴サポート 72, 73の上層部 72a, 73aを内側方に向かって移動させる。

[0069] 図 22および図 23は、乳児用姿勢保持具のさらに他の例を示している。図示する乳児用姿勢保持具 80は、マット 81と、一対の胴サポート 82， 83とを備える。各胴サボート 82， 83は、乳児の胴側部背面を下から支える下層部 82b， 83bと、この下層部上で外側方にずれて位置して乳児の胴側部に横力も当接する上層部 82a, 83aとを含む。図示するように、各胴サポート 82， 83内には、下方に向かって凸状に湾曲した板状の剛性部材 84， 85が収容されている。乳児が姿勢保持具 80上に寝力^れていない状態では、各剛性部材 84， 85の内側端部はマット 81から上方に大きく離れている

[0070] 図 23に示すように、乳児が姿勢保持具 80上に寝力されると、剛性部材 84, 85の内方端が下方に押されるので、各剛性部材 84, 85が図 23において矢印 Aで示すように内側に向かって回動し、上層部 82a, 83aを内側方に向かって移動させる。

[0071] 図 24および図 25は、乳児用姿勢保持具のさらに他の例を示している。図示する乳児用姿勢保持具 110は、マット 1 11と、一対の胴サポート 112, 113と、一対の胴サポートから連なってマット 111の周縁部を取り囲む立壁部 114とを備える。立壁部 11 4は、所定の高さを有して乳児の下半身を取り囲むものである。マット 111には、育児器具に取付けられた股ベルトを挿通させるための切込み 115が設けられている。

[0072] 図 25に示すように、各胴サポート 112， 113は、乳児の胴側部背面を下から支える下層部 112b， 113bと、この下層部上で外側方にずれて位置して乳児の胴側部に横力当接する上層部 112a， 113aとを含む。図示した実施形態では、マット 111を形成する生地が下層部 112b, 113 ぉょび上層部112&， 113aを覆っている。

[0073] 以上、図面を参照してこの発明の種々の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。

産業上の利用可能性

この発明は、乳児の姿勢を適切に保持することのできる乳児用姿勢保持構造および乳児用枕に有利に適用され得る。

Claims

請求の範囲

[1] 上下および左右に延在するマットと、

前記マット上に寝かされている乳児の胴の両側部に当接するように、前記マットの左右側部上に位置する一対の胴サポートとを備え、

前記各胴サポートは、乳児の胴側部背面を下から支える下層部と、この下層部上で外側方にずれて位置し乳児の胴側部に横力当接する上層部とを含む、乳児用

[2] 前記上層部は発泡倍率の高い発泡材料から形成され、

前記下層部は前記上層部よりも発泡倍率の低い発泡材料から形成されている、請求項 1に記載の乳児用姿勢保持構造。

[3] 前記上層部は、前記下層部が乳児の体重によって押圧されるのに伴って内側方に移動するように構成されている、請求項 1または 2に記載の乳児用姿勢保持構造。

[4] 前記各胴サポートは、前記マットに着脱可能に取付けられている、請求項 1一 3のいずれかに記載の乳児用姿勢保持構造。

[5] 前記マット上に寝かされている乳児の頭を下から支えるように、前記マットの上部に設けられた枕を備える、請求項 1一 4のいずれかに記載の乳児用姿勢保持構造。

[6] 前記枕は、前記マットに着脱可能に取付けられている、請求項 5に記載の乳児用姿勢保持構造。

[7] 前記枕は、

第 1の高さを有し、乳児の後頭部の両側部を下から支える一対の頭部位置決め部と、

前記第 1の高さよりも低い第 2の高さを有し、前記一対の頭部位置決め部によって位置決めされた乳児の首を下から支える頸椎支え部とを備える、請求項 5または 6に記載の乳児用姿勢保持構造。

[8] 前記頸椎支え部上で乳児が首を回転して横を向いたときに、乳児の鼻および口に対向する前記頭部位置決め部の高さは、乳児の鼻および口の高さより低い、請求項 7に記載の乳児用姿勢保持構造。

[9] 前記一対の頭部位置決め部は頭頂部側で相互に連続されてレ、る、請求項 7または 8に記載の乳児用姿勢保持構造。

[10] 前記頸椎支え部は乳児の首側において長辺を有する台形状である、請求項 7— 9 のいずれかに記載の乳児用姿勢保持構造。

[11] 前記一対の頭部位置決め部の高さは頭頂部側から首側へ徐々に低くなるように形成される、請求項 7 10のいずれかに記載の乳児用姿勢保持構造。

[12] 前記頸椎支え部は頭頂部側から首側へ徐々に低くなるように形成される、請求項 7 一 11のいずれかに記載の乳児用姿勢保持構造。

[13] 前記一対の頭部位置決め部は、首側において前記頸椎支え部より首側に延在し、それによつて乳児の肩を位置決めする肩当て部を構成する、請求項 7— 12のいずれかに記載の乳児用姿勢保持構造。

[14] 前記一対の胴サポートから連なって乳児の下半身を取り囲むように、前記マットの周縁部を取り囲む立壁部をさらに備える、請求項 1一 13のいずれかに記載の乳児用

[15] 第 1の高さを有し、乳児の後頭部の両側部を下から支える一対の頭部位置決め部と、

前記第 1の高さよりも低い第 2の高さを有し、前記一対の頭部位置決め部によって位置決めされた乳児の首を下から支える頸椎支え部とを備える、乳児用枕。

[16] 前記頸椎支え部上で乳児が首を回転して横を向いたときに、乳児の鼻および口に対向する前記頭部位置決め部の高さは、乳児の鼻および口の高さより低い、請求項 15に記載の乳児用枕。

[17] 前記一対の頭部位置決め部は頭頂部側で相互に連続されている、請求項 15または 16に記載の乳児用枕。

[18] 前記頸椎支え部は乳児の首側において長辺を有する台形状である、請求項 15 17のいずれかに記載の乳児用枕。

[19] 前記一対の頭部位置決め部の高さは頭頂部側から首側へ徐々に低くなるように形成される、請求項 15 18のいずれかに記載の乳児用枕。

[20] 前記頸椎支え部は頭頂部側から首側へ徐々に低くなるように形成される、請求項 1 5— 19のいずれかに記載の乳児用枕。 [21] 前記一対の頭部位置決め部は、首側において前記頸椎支え部より首側に延在し、それによつて乳児の肩を位置決めする肩当て部を構成する、請求項 15— 20のいずれかに記載の乳児用枕。