明細書
プロパンまたはブ夕ンを主成分とする液化石油ガスの製造方法 抟術分
本発明は、 合成ガスから、 主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガス を製造する方法に関する。 また、 本発明は、 天然ガス等の含炭素原料から、 主成 分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造する方法に関する。
' 昔景抟術
液化石油ガス (LPG) は、 常温常圧下ではガス状を呈する石油系もしくは天 然ガス系炭化水素を圧縮し、 あるいは同時に冷却して液状にしたものをいい、 そ の主成分はプロパンまたはプ夕ンである。 液体の状態で貯蔵および輸送が可能な LPGは可搬性に優れ、 供給にパイプラインを必要とする天然ガスとは違い、 ボ ンべに充填した状態でどのような場所にでも供給することができるという特徴が ある。 そのため、 プロパンを主成分とする LP G、 すなわちプロパンガスが、 家 庭用 ·業務用の燃料として広く用いられている。 現在、 日本国内においても、 プ ロバンガスは約 2, 500万世帯 (全世帯の 50%以上) に供給されている。 ま た、 LPGは、 家庭用,業務用燃料以外にも、 カセヅトコンロ、 使い捨てライ夕 —等の移動体用の燃料 (主に、 ブタンガス) 、 工業用燃料、 自動車用燃料として も使用されている。
従来、 LPGは、 1)湿性天然ガスから回収する方法、 2)原油のス夕ビライ ズ (蒸気圧調整) 工程から回収する方法、 3) 石油精製工程などで生成されるも のを分離 '抽出する方法などにより生産されている。
LPG 特に家庭用 ·業務用の燃料として用いられるプロパンガスは将来的に も需要が見込め、 工業的に実施可能な、 新規な製造方法を確立できれば非常に有 用である。
LPGの製造方法として、 "Se l e ct ive Synthes i s of
L P G f rom Synt he s i s Gas" , Kao ru Fuj imo t o e t a 1. , Bul l. C h e m. So c. J p n. , i_8_, p. 3059— 3060 ( 1985) には、 メタノール合成用触媒である 4wt%Pd/S i02、 Cu— Zn— A1混合酸ィ匕物 [Cu : Zn : Al = 40 : 23 : 37 (原子比) ] または Cu系低圧メタノール合成用触媒 (商品名: BASF S 3— 85) と、 S i 02/A 1203 = 7. 6の高シリカ Y型ゼオラ ィ トとから成るハイブリツ ド触媒を用い、 合成ガスからメタノール、 ジメチルェ 一テルを経由して C 2〜C 4のパラフィンを選択率 69〜85%で製造する方法 が開示されている。 しかしながら、 この方法では、 生成物中の炭素数 2以下の成 分の含有量が低くはなく、 プロパン (C 3) およびブタン (C4) の選択率は 6 3〜74%程度であって、 その生成物は LPG製品として適したものとは言い難 い。
また、 上記の "Se l e c t ive S nt hし 丄 f LPG f rom Synt he s i s Gas" , Bul l. C h e m. So c.
J p n . , 58. p. 3059-3060 ( 1985) に記載の方法により得ら れる生成物の主成分はブタンである。 家庭用 ·業務用の燃料として用いられる L PGは、 前述の通り、 プロパンガスである。 プロパンガスは、 プタンガスと比べ て、 低温下でも安定した高出力で燃焼を続けることができる利点がある。 家庭用 •業務用の燃料として、 また工業用燃料、 自動車用燃料としても広く用いられる 易液化性燃料ガスとしては、 冬季あるいは寒冷地においても十分な、 より高い蒸 気圧を持ち、 かつ、 燃焼時においてより髙カロリ一であるプロパンガスの方がブ タンガスよりも優れている。 日 の開示
本発明の目的は、 合成ガスからプロパンおよび/またはプ夕ンを選択性よく製 造し、 炭素数 2以下の成分の濃度が低く、 プロパンおよび/またはブタンの濃度 が高い LPGを製造することができる方法を提供することである。 さらには、 合
成ガスから、 炭素数 2以下の成分の濃度が低く、 プロパンおよび/またはブタン の濃度が高い L P Gを、 より経済的に製造することができる方法を提供すること である。
本発明の他の目的は、 天然ガスなどの含炭素原料から、 炭素数 2以下の成分の 濃度が低く、 プロパンおよび/またはブタンの濃度が高い L P Gを製造すること ができる方法を提供することである。 さらには、 天然ガスなどの含炭素原料から、 炭素数 2以下の成分の濃度が低く、 プロパンおよび Zまたはブタンの濃度が高い L P Gを、 より経済的に製造することができる方法を提供することである。 本発明によれば、 ( i ) 触媒の存在下、 合成ガスから、 プロパンの沸点より低 い沸点または昇華点を持つ物質である低沸点成分を含み、 含まれる炭化水素の主 成分がプロパンまたはブタンである低級パラフィン含有ガスを製造する低級ノ ラ フィン製造工程と、
(ii) 該低級パラフィン含有ガスから該低沸点成分を分離し、 プロパンまたは プ夕ンを主成分とする液化石油ガスを得る分離工程と
を有することを特徴とする、 プロパンまたはブタンを主成分とする液化石油ガス の製造方法 (第 1 _ 1の L P Gの製造方法) が提供される。
また、 本発明によれば、 ( i ) 含炭素原料と、 H 2 0、 0 2および C 02からな る群より選択される少なくとも一種と、 分離工程において低級パラフィン含有ガ スから分離され、 リサイクル工程において合成ガス製造工程の原料としてリサイ クルされた低沸点成分とから、 合成ガスを製造する合成ガス製造工程と、
(ϋ) 触媒の存在下、 該合成ガスから、 プロパンの沸点より低い沸点または昇 華点を持つ物質である低沸点成分を含み、 含まれる炭化水素の主成分がプロパン またはブタンである低級ノ、'ラフィン含有ガスを製造する低級パラフィン製造工程 と、
(iii) 該低級パラフィン含有ガスから該低沸点成分を分離し、 プロパンまたは ブ夕ンを主成分とする液化石油ガスを得る分離工程と、
(iv) 分離された該低沸点成分を、 合成ガス製造工程の原料としてリサイクル するリサイクル工程と
を有することを特徴とする、 プロパンまたはプ夕ンを主成分とする液化石油ガス の製造方法 (第 1—2の L P Gの製造方法) が提供される。
さらに、 本発明によれば、 (i ) 触媒の存在下、 一酸化炭素と水素とを C O : H 2 = 1 : 0 . 5〜1 : 1 . 4 (モル比) で含む合成ガスから、 プロパンの沸点よ り低い沸点または昇華点を持つ物質である低沸点成分を含み、 含まれる炭化水素 の主成分がプロパンまたはブ夕ンである低級パラフィン含有ガスを製造する低級 パラフィン製造工程と、
(ii) 低級パラフィン製造工程において得られた低級パラフィン含有ガスから 該低沸点成分を分離し、 プロパンまたはブタンを主成分とする液化石油ガスを得 る分離工程と
を有することを特徴とする、 プロパンまたはブタンを主成分とする液化石油ガス の製造方法 (第 2 _ 1の L P Gの製造方法) が提供される。
また、 本発明によれば、 (i ) 含炭素原料と、 分離工程において低級パラフィ ン含有ガスから分離され、 リサイクルエ程において合成ガス製造工程の原料とし てリサイクルされた低沸点成分とから、 一酸化炭素と水素とを C O : H 2 = 1 : 0 . 5〜1 : 1 . 4 (モル比) で含む合成ガスを製造する合成ガス製造工程と、
(ii) 触媒の存在下、 合成ガス製造工程において得られた合成ガスから、 プロ パンの沸点より低い沸点または昇華点を持つ物質である低沸点成分を含み、 含ま れる炭化水素の主成分がプロパンまたはブタンである低級ノ ラフィン含有ガスを 製造する低級パラフィン製造工程と、
(iii) 低級パラフィン製造工程において得られた低級パラフィン含有ガスから 該低沸点成分を分離し、 プロパンまたはブタンを主成分とする液化石油ガスを得 る分離工程と、
(iv) 分離工程において低級パラフィン含有ガスから分離された該低沸点成分 を、 合成ガス製造工程の原料としてリサイクルするリサイクルエ程と
を有することを特徴とする、 プロパンまたはブタンを主成分とする液化石油ガス の製造方法 (第 2— 2の L P Gの製造方法) が提供される。
また、 本発明によれば、 合成ガス製造工程において、 原料中のリサイクルされ た低沸点成分の含有量が、 4 0〜7 5モル%である上記の液化石油ガスの製造方 法が提供される。
また、 本発明によれば、 低級パラフィン製造工程において製造される低級パラ フィン含有ガス中の低沸点成分の含有量 (水素を除く) が、 炭素基準で 6 0 %以 下である上記の液化石油ガスの製造方法が提供される。
また、 本発明によれば、 該低沸点成分が、 ェタン、 エチレンおよびメタンから なる群より選択される少なくとも一種である上記の液化石油ガスの製造方法が提 供される。
ここで、 合成ガスとは、 水素と一酸化炭素とを含む混合ガスを指し、 水素およ び一酸化炭素からなる混合ガスに限られない。 合成ガスは、 例えば、 二酸化炭素、 水、 メタン、 ェタン、 エチレンなどを含む混合ガスであってもよい。 天然ガスを 改質して得られる合成ガスは、 通常、 水素と一酸化炭素とに加えて二酸化炭素や 水蒸気を含む。 また、 合成ガスは、 石炭ガス化により得られる石炭ガスや、 石炭 コ一クスから製造される水性ガスであってもよい。 本発明によれば、 天然ガスなどの含炭素原料あるいは合成ガスからプロパンお よび/またはブ夕ンを選択性よく製造することができる。 すなわち、 天然ガスな どの含炭素原料あるいは合成ガスから、 炭素数 2以下の成分の濃度が低く、 プロ パンおよび/またはブタンの濃度が高い液化石油ガス ( L P G ) を製造すること ができる。
本発明によれば、 例えば、 プロパンおよびブタンの合計含有量が 9 0モル%以 上、 さらには 9 5モル%以上 ( 1 0 0モル%も含む) である L P Gを製造するこ とができる。 また、 本発明によれば、 例えば、 プロパンの含有量が 5 0モル%以 上、 さらには 6 0モル%以上 ( 1 0 0モル%も含む) である L P Gを製造するこ
とができる。
'さらに、 本発明の第 2— 1の L P Gの製造方法および第 2— 2の L P Gの製造 方法によれば、 天然ガスなどの含炭素原料あるいは合成ガスから、 炭素数 2以下 の成分の濃度が低く、 プロパンおよび/またはブタンの濃度が高い LPGを、 よ り経済的に製造することができる。
—酸化炭素と水素とを反応させてプロパンまたはブ夕ンを主成分とする液化石 油ガスを製造する場合、 まず、 下記式 ( 1) に従って一酸化炭素と水素とからメ 夕ノールが合成され、 次に、 下記式 (2) に従ってメタノールの脱水によりカル ベン ( H 2 C : ) が生成し、 このカルベンの重合によって低級ォレフィンが生成し、 さらに生成した低級ォレフィンが水素化されて低級パラフィン (LPG) になる と考えられる。
CO + 2H
2→ CH
3OH ( 1 )
従来、 フィッシャー ' トロプシュ合成 (FT合成) やメタノール合成において は、 原料ガスとして、 一酸化炭素と水素とを CO : H
2= 1 : 1. 8〜1 : 2. 5 (モル比) で含む合成ガスがよく使用されている。 このような組成の合成ガスを 原料として液化石油ガスを製造した場合、 合成ガスから製造される低級パラフィ ン含有ガスは、 プロパンの沸点より低い沸点または昇華点を持つ低沸点成分、 具 体的には、 未反応の原料である水素および一酸化炭素、 副生物である二酸化炭素、 ェタン、 エチレンおよびメタンなどを比較的多く含む。 このような低沸点成分は、 低級パラフィン含有ガスから分離し、 原料としてリサイクルすることが可能であ る。 しかし、 製造される低級パラフィン含有ガスに含まれる低沸点成分量が多く なると、 リサイクル量が多くなるため、 経済性が低下する傾向がある。
それに対し、 本発明では、 一酸化炭素と水素とを CO : E2= 1 : 0. 5〜1 :
1. 4 (モル比) で含む合成ガスを原料として使用する。 これにより、 製造され る低級パラフィン含有ガスに含まれる低沸点成分量を少なくすることができ、 そ の結果、 低沸点成分を原料としてリサイクルする量が少なくなり、 より経済的に LPGを製造することができる。
原料である合成ガスの組成を上記の範囲にすることによって、 より経済的に L PGを製造することができる理由は、 以下のように考えられる。
下記式 (3) のように、 プロパン製造のための化学量論から言えば、 合成ガス の組成は H2/CO (モル比) =7/3 = 2. 33が好ましい。 また、 下記式 (4 ) のように、 ブ夕ン製造のための化学量論から言えば、 合成ガスの組成は H2/C 0 (モル比) = 9/4 = 2. 25が好ましい。 一方、 合成ガスから LP Gへの転 換反応においては、 下記式 (3)、 (4) に示されるように、 水が副生する。 こ の副生する水は、 下記式 (5) のように、 一酸化炭素と反応し、 水素が生成する と考えられる。
3CO + 7H2→ C3H8 + 3H20 ( 3 )
4CO + 9H2→ C4H10 + 4H20 (4)
CO + H20→ C02 + H2 (5) 原料である合成ガスの組成を上記の範囲にすることにより、 上記式 (5) に示 される反応が進行して一酸化炭素が減少し、 水素が増加することで、 LPG (プ 口パンおよび/またはブタン) の合成に最適な原料ガス組成が得られ、 その結果、 製造される低級パラフィン含有ガス中の低沸点成分の含有量が低くなると考えら れる。 面の簡 な謚昍
図 1は、 本発明を実施するのに好適な LP G製造装置の一例について、 主要な 構成を示すプロセスフロ一図である。
主要な符号の説明
1 改質器
1 a 改質触媒 (合成ガス製造用触媒)
ム 汉 器
2 a 低級パラフィン製造用触媒
3 分離器
11、 12、 13、 14、 15 ライン
16 リサイクルライン
する めの ί¾の开
〔合成ガス製造工程〕
合成ガス製造工程では、 含炭素原料と、 Η2〇、 02および CO 2からなる群よ り選択される少なくとも一種と、 後述の分離工程において低級パラフィン含有ガ スから分離された低沸点成分とから、 好ましくは一酸化炭素と水素とを CO: H2 二 1 : 0. 5〜1 : 1. 4 (モル比) で含む合成ガスを製造する。 低沸点成分は、 プロパンの沸点より低い沸点または昇華点を持つ物質である。
含炭素原料としては、 炭素を含む物質であって、 H20、 02および C02から なる群より選択される少なくとも一種と反応して H2および COを生成可能なもの を用いることができる。 含炭素原料としては、 合成ガスの原料として公知のもの を用いることができ、 例えば、 メ夕ンゃエタン等の低級炭化水素など、 また、 天 然ガス、 ナフサ、 石炭などを用いることができる。
本発明では、 通常、 合成ガス製造工程および低級パラフィン製造工程において 触媒を用いるため、 含炭素原料 (天然ガス、 ナフサ、 石炭など) としては、 硫黄 や硫黄化合物などの触媒被毒物質の含有量が少ないものが好ましい。 また、 含炭 素原料に触媒被毒物質が含まれる場合には、 必要に応じて、 合成ガス製造工程に
先立ち脱硫など、 触媒被毒物質を除去する工程を行うことができる。
合成ガスは、 合成ガス製造用触媒 (改質触媒) の存在下で、 上記のような含炭 素原料と、 H 2 0、 02および C 0 2からなる群より選択される少なくとも一種と を反応させることにより製造される。 合成ガスは、 公知の方法により製造するこ とができる。 例えば、 天然ガス (メタン) を原料とする場合には、 水蒸気改質法 や、 自己熱改質法などによって合成ガスを製造することができる。 なお、 この場 合、 水蒸気改質に必要な水蒸気や、 自己熱改質に必要な酸素などは必要に応じて 供給することができる。 また、 石炭を原料とする場合には、 空気吹きガス化炉な どを用いて合成ガスを製造することができる。 一酸化炭素と水素とを C O : H 2 = 1 : 0 . 5〜1 : 1 . 4 (モル比) で含む合成ガスを製造する場合には、 例えば、 天然ガス (メタン) と二酸化炭素とを 1 : 1 (モル比) 程度で反応させる方法 ( C〇2リフォーミング) などにより、 上記のような組成の合成ガスを製造すること ができる。 中でも、 本発明においては、 オートサ一マルリフォーミングにより合 成ガスを製造することが好ましい。
本発明においては、 経済性などの点から、 上記のような含炭素原料と、 H 2 0、 02および c o 2からなる群より選択される少なくとも一種と共に、 後述の分離ェ 程において低級バラフィン含有ガスから分離された低沸点成分も合成ガス製造ェ 程の原料として用いることが好ましい。
低沸点成分としては、 水素、 一酸化炭素や、 二酸化炭素、 ェタン、 エチレン、 メタンなどが挙げられる。 このうち、 メタン、 ェ夕ンおよびエチレンは、 含炭素 原料となる。 また、 二酸化炭素は、 例えば、 下記式 ( 6 ) に示す C 02リフォ一ミ ング反応によつて合成ガスに戻すことができる。 低沸点成分を合成ガス製造工程 の原料としてリサイクルすることにより、 原料原単位を低減させることができる。
CH4 + C02 2H2 + 2CO ( 6 ) 原料中の低沸点成分の含有量、 すなわちリサイクル原料の含有量は適宜決める
ことができ、 例えば、 40 ~ 75モル%とすることができる。 経済性などの点か ら、 原料中の低沸点成分の含有量は、 55モル%以下がより好ましい。
そして、 この合成ガス製造工程では、 上記のような原料から合成ガスを製造す る。
また、 例えば、 上記のような原料から合成ガスを製造する反応器である改質器 の下流にシフト反応器を設け、 シフト反応 (CO + H20 C02 + H2) によつ て合成ガスの組成を調整することもできる。
本発明において、 合成ガス製造工程から製造される好ましい合成ガスの組成は、 低級パラフィン製造のための化学量論から言えば H2/COのモル比は 7/3 = 2. 3であるが、 製造される合成ガス中の一酸化炭素に対する水素の含有比率 (モル 基準) は 1. 5〜3 [H2/CO] とすることができる。 合成ガスから LPGへの 転換反応で生成する水によるシフト反応によって水素が生成するため、 一酸化炭 素を好適に反応させる点から、 合成ガス中の一酸化炭素に対する水素の含有比率
(モル基準) は、 1. 5 [H2/CO] 以上が好ましく、 1. 8 [H2/CO] 以 上がより好ましい。 また、 水素は、 一酸化炭素が好適に反応し、 主成分がプロパ ンまたはブタンである液化石油ガスを得ることのできる量があればよく、 余剰の 水素は原料ガスの全圧を不必要に上げることになつて技術の経済性を低下させる。 この点から、 合成ガス中の一酸化炭素に対する水素の含有比率 (モル基準) は、 3 [Η,/CO] 以下が好ましく、 2. 3 [H2/CO] 以下がより好ましい。
上記の組成の合成ガスを製造するためには、 含炭素原料とスチーム (水) 、 酸 素、 二酸化炭素との供給量比、 原料中の低沸点成分の含有量、 用いる合成ガス製 造用触媒の種類、 反応の操作条件などを適宜選択すればよい。
例えば、 原料ガスとして、 スチーム/メタン (モル比) が 1、 二酸化炭素/メ タン (モル比) が 0. 4となるような組成のガスを用い、 1^11ぁるぃは1111/焼 結低表面積化マグネシア触媒が充填された外熱式多管反応管型の装置にて、 反応 温度 (触媒層出口温度) 800〜 900°C、 反応圧力 l~4MPa、 ガス空間速 度 (GHSV) 200 Ohr-1等の操作条件にて合成ガスを製造することができ
る。
合成ガス製造においてスチームを用いて改質する場合、 エネルギー効率の点か ら、 スチームと原料カーボンとの比 (S/C) は 1. 5以下とすることが好まし く、 0. 8〜1. 2とすることがより好ましい。 その一方で、 S/Cをこのよう な低い値にすると、 炭素析出発生の可能性が無視できなくなる。 一方、 分離工程 で得られる低沸点成分を合成ガス製造工程にリサイクルした場合、 この成分中に 含まれるメタンはもちろんのこと、 ェ夕ンやエチレンも含炭素原料となり、 また、 この成分中に含まれている、 シフト反応によって生成した二酸化炭素も C 02リフ ォーミング反応によつて合成ガスに戻すことができるので、 原料原単位を低減さ せることかでき、 かつ、 S/Cを上記のような低い値にしても co2リフォーミン グ反応によつて炭素析出発生の可能性を低下させることができる。
上記のリサイクルを行い、 かつ、 低 S / Cで合成ガス製造を行う場合には、 例 えば、 WO 98/46524号公報、 特開 2000-288394号公報あるい は特開 2000 -469号公報に記載されているような、 良好な合成ガス化反応 の活性を有しつつも炭素析出活性が抑えられた触媒を用いることが好ましい。 以 下、 これらの触媒について述べる。
WO 98/46524号公報に記載されている触媒は、 金属酸化物からなる担 体にロジウム、 ルテニウム、 イリジウム、 パラジウムおよび白金の中から選ばれ る少なくとも 1種の触媒金属を担持させた触媒であって、 該触媒の比表面積が 2 5m2/g以下で、 かつ該担体金属酸化物中の金属イオンの電気陰性度が 13. 0 以下であり、 該触媒金属の担持量が金属換算量で担体金属酸化物に対して 0. 0 005〜0. 1モル%である触媒である。 炭素析出防止の点からは、 上記電気陰 性度は 4〜12が好ましく、 上記触媒の比表面積は 0. 01 ~ 10 m2Z gが好ま しい。
なお、 前記金属酸化物中の金属イオンの電気陰性度は、 次式により定義される ものである。
Xi= (1 + 2 i) Xo
ここで、 Xi :金属イオンの電気陰性度、 Xo :金属の電気陰性度、 i :金属 イオンの荷電子数である。
金属酸化物が複合金属酸化物の場合は、 平均の金属イオン電気陰性度を用い、 その値は、 その複合金属酸化物中に含まれる各金属イオンの電気陰性度に複合酸 化物中の各酸ィ匕物のモル分率を掛けた値の合計値とする。
金属の電気陰性度 (Xo) は Paul ingの電気陰性度を用いる。 Paul ingの電気陰性度は、 「藤代亮ー訳、 ムーア物理化学 (下) (第 4版) 、 東京 化学同人, p. 707 (1974) 」 の表 15. 4に記載の値を用いる。 なお、 金属酸化物中の金属イオンの電気陰性度 (Xi) については、 例えば、 「触媒学 会編、 触媒講座、 第 2卷、 p. 145 ( 1985) 」 に詳述されている。
この触媒において、 前記金属酸化物としては、 Mg、 Ca、 Ba、 Z n、 Al Zr、 La等の金属を 1種または 2種以上含む金属酸化物が挙げられる。 このよ うな金属酸化物としては、 例えば、 マグネシア (M O) が挙げられる。
メタンとスチームとを反応させる方法 (スチームリフォーミング) の場合、 そ の反応は下記式 (7)で示される。
CH4 + H20 3H2 + CO (7) メタンと二酸化炭素とを反応させる方法 (C〇2リフォ一ミング) の場合、 その 反応は下記式 (8) で示される。
CH4 + C02 2H2 + 2CO (8) メタンとスチームと二酸化炭素とを反応させる方法 (スチーム/ C〇2混合リフ ォ一ミング) の場合、 その反応は下記式 (9) で示される。
3CH4 + 2H20 + C02 8H2 + 4CO (9)
上記の触媒を用いてスチームリフォーミングを行う場合、 その反応温度は、 好 ましくは 600〜 1200°C、 より好ましくは 600〜1000°Cであり、 その 反応圧力は、 好ましくは 0. 098MP aG〜3. 9MPaG、 より好ましくは 0. 49MP aG〜2. 9MP aG (Gはゲージ圧であることを示す) である。 また、 このスチームリフォーミングを固定床方式で行う場合、 そのガス空間速度
(GHS V) は、 好ましくは 1, 000〜10, O O O hr より好ましくは 2, 000〜8, 00 Ohr 1である。 含炭素原料に対するスチームの使用割合 を示すと、 含炭素原料 (リサイクル原料を含め、 C〇2を除く) 中の炭素 1モル当 り、 好ましくはスチーム (H20) 0. 5〜2モル、 より好ましくは 0. 5〜1. 5モル、 さらに好ましくは 0. 8〜1. 2モルの割合である。
上記の触媒を用いて C 02リフォ一ミングを行う場合、 その反応温度は、 好まし くは 500 ~ 1200 °C、 より好ましくは 600〜 1000 °Cであり、 その反応 圧力は、 好ましくは 0. 49 MP a G〜 3. 9MP aGヽ より好ましくは 0. 4 9MPaG〜2. 9MPaGである。 また、 この C 02リフォーミングを固定床方 式で行う場合、 そのガス空間速度 ( G H S V) は、 好ましくは 000〜 1 03 000 hr~\ より好ましくは 2, 000〜8, 00 Oh r 1である。 含炭素原 料に対する C 02の使用割合を示すと、 含炭素原料 (リサイクル原料を含め、
C〇2を除く) 中の炭素 1モル当り、 好ましくは C〇220〜0. 5モル、 より好 ましくは 10〜 1モルの割合である。
上記の触媒を用いて、 含炭素原料にスチームと C 02との混合物を反応させて合 成ガスを製造する (スチーム/ co2混合リフォ一ミングを行う) 場合、 スチーム と C02との混合割合は特に制約されないが、 一般的には、 H20/C〇2 (モル 比) は、 0. 1〜 10であり、 その反応温度は、 好ましくは 5 50〜 1 200 °C、 より好ましくは 600〜1 000°Cであり、 その反応圧力は、 好ましくは 0. 2 9MP aG~3. 9MPaG、 より好ましくは 0. 49MP aG〜2. 9MP a Gである。 また、 この反応を固定床方式で行う場合、 そのガス空間速度 (GHS
V) は、 好ましくは 1, 000〜; L◦, 00 Ohr より好ましくは 2, 00 0〜8, O O Ohr 1である。 含炭素原料に対するスチームの使用割合を示すと、 含炭素原料 (リサイクル原料を含め、 C02を除く) 中の炭素 1モル当り、 好まし くはスチーム (H20) 0. 5〜2モル、 より好ましくは 0. 5〜: L . 5モル、 さ らに好ましくは 0. 5〜1. 2モルの割合である。
特開 2000— 288394号公報に記載されている触媒は、 下記式 ( I ) で 表される組成を有する複合酸化物からなり、 M1および Coが該複合酸化物中で高 分散化されていることを特徴とする触媒である。
a 1 M 1 · b 1 C 0 · c 'Mg · dxCa ■ e xO (I)
(式中、 a.1, b1, c 1, d1, e 1はモル分率であり、 a 1 + b 1 + c 1 + d 1 = 1、 0. 0001 ^a^O. 10、 0. 0001≤b!≤0. 20、
0. 70≤ (c ^d1) ≤ 0. 9998、 0<c !≤ 0. 9998、
0≤ά'< 0. 9998であり、 e 1は元素が酸素と電荷均衡を保つのに必要な数 である。
また、 M1は周期律表第 6 A族元素、 第 7 A族元素、 Coを除く第 8族遷移元素、 第 I B族元素、 第 2B族元素、 第 4B族元素およびランタノイ ド元素の少なくと も 1種類の元素である。 )
特開 2000 - 46 9号公報に記載されている触媒は、 下記式 (II) で表され る組成を有する複合酸化物からなり、 M2および N iが該複合酸化物中で高分散化 されていることを特徴とする触媒である。
a2M2 - b2Ni - c2Mg · d2Ca · e20 (II)
(式中、 a2, b2, c2, d2, e 2はモル分率であり、 a 2 + b 2 + c 2 + d 2 = 1ヽ 0. 0001≤a2≤0. 10、 0. 0001≤b2≤0. 10、
0. 80≤ (c2 + d2) ≤ 0. 9998、 0<c2≤ 0. 9998、
0≤d2< 0. 9998であり、 e 2は元素が酸素と電荷均衡を保つのに必要な数 である。
また、 M 2は周期律表第 3 B族元素、 第 4 A族元素、 第 6 B族元素、 第 7B族元
素、 第 1 A族元素およびランタノイ ド元素の少なくとも 1種類の元素である。 ) これらの触媒も、 W098/46524号公報に記載の触媒と同様にして用い ることができる。
そして、 経済性の点からは、 より好ましい第 2— 2の LP Gの製造方法におい ては、 この合成ガス製造工程では、 上記のような原料から、 一酸化炭素と水素と を CO: H2= 1 : 0. 5〜1 : 1. 4 (モル比) で含む合成ガスを製造する。 製 造される合成ガス中の一酸化炭素に対する水素の含有比率 (モル基準) は、 0. 55 [H2/CO]以上が好ましく、 0. 6 [H2/CO]以上がより好ましい。 また、 製造される合成ガス中の一酸化炭素に対する水素の含有比率 (モル基準) は、 1. 2 [H2/CO]以下が好ましく、 1. 1 [H2/CO] 以下がより好ま しい。
合成ガスの組成を上記の範囲にすることによって、 前述の通り、 次の低級パラ フィン製造工程において得られる低級パラフィン含有ガスに含まれる低沸点成分 量が少なくなり、 その結果、 低沸点成分を原料としてリサイクルする量が少なく なり、 より経済的に LPGを製造することができる。
また、 例えば、 上記のような原料から合成ガスを製造する反応器である改質器 の下流にシフト反応器を設け、 シフト反応 (CO + H20→C02 + H ) によつ て合成ガスの組成を上記の範囲に調整することもできる。
組成が上記の範囲である合成ガスを製造するためには、 含炭素原料と水、 酸素 および二酸化炭素からなる群より選択される少なくとも一種との供給量比、 原料 中の低沸点成分の含有量、 用いる合成ガス製造用触媒の種類や、 その他の反応条 件を適宜選択すればよい。
本発明において低級パラフィン含有ガスの原料として用いる、 一酸化炭素と水 素とを CO : H2=l : 0. 5〜1 : 1. 4 (モル比) で含む合成ガスは、 例えば、 次のような方法によつて製造することができる。
下記式 (III) で表される組成を有する複合酸化物からなる改質触媒の存在下、 含炭素原料 (低級パラフィン含有ガスから分離された低沸点成分中の含炭素原料
も含む) と酸素と二酸化炭素とスチーム (水蒸気) とを、 反応器に導入する原料 ガス中の (二酸化炭素 +スチーム) /カーボン比を 0. 5〜3、 酸素/力一ボン 比を 0. 2〜1とし、 かつ、 反応器出口での温度を 900〜1100°C、 圧力を 5〜60 kg/cm2として反応させることにより、 本発明において用いられる合 成ガスを製造することができる。
aM- bCo - cNi - dMg - eCa - f O (III)
(式中、 Mは第 6 A族元素、 第 7 A族元素、 C oおよび Niを除く第 8族違移元 素、 第 1B族元素、 第 2 B族元素、 第 4B族元素およびラン夕ノィ ド元素からな る群より選ばれる少なくとも 1種の元素を表す。 a, b, c, dおよび eは各元 素の原子比率を表し、 a + b + c + d + e = lのとき、 0≤ a≤ 0. 1、 0. 0 01≤ (b + c) ≤ 0. 3、 0≤b≤ 0. 3、 0≤ c≤ 0. 3、 0. 6≤ (d + e) ≤ 0. 999、 0 <d≤ 0. 999、 0≤ e≤ 0. 999であり、 fは各元 素が酸素と電荷均衡を保つのに必要な数である。 )
反応器に導入する原料ガス中の (二酸化炭素 +スチーム) /カーボン比は、 0. 5 ~ 2程度が好ましい。 また、 反応器の出口の温度は、 950~1050°Cが好 ましい。 反応器の出口の圧力は、 15〜 20 k g/c m2が好ましい。
原料ガスの空間速度は、 通常、 500〜200000hr— 1であり、 1000 -100000 hr一1が好ましく、 1000〜 70000 hr一1がより好ましい。 上記式 (III) で表される組成を有する複合酸化物は、 MgOヽ CaOが岩塩型 結晶構造をとり、 その格子に位置する Mgまたは Ca原子の一部が Co、 Niあ るいは Mに置換した一種の固溶体であって、 単相をなすものである。
上記式 (III) 中、 Mは、 マンガン、 モリプデン、 ロジウム、 ルテニウム、 白金、 パラジウム、 銅、 銀、 亜鉛、 錫、 鉛、 ランタンおよびセリウムからなる群より選 ばれる少なくとも 1種の元素であることが好ましい。
Mの含有量 (a) は 0≤a 0. 1であり、 0≤.a≤0. 05であることが好 ましく、 0≤a≤0. 03であることがより好ましい。 Mの含有量 (a) が 0. 1を超えると、 リフォーミング反応の活性が低下してくる。
コバルト含有量 (b) は 0≤b≤0. 3であり、 O^b^O. 25であること が好ましく、 0≤b≤0. 2であることがより好ましい。 コノ ルト含有量 (b) が 0. 3を超えると、 炭素質析出防止効果が十分には得られにくくなる。
二ヅケル含有量 (c) は 0≤c≤0. 3であり、 0≤c^0. 25であること が好ましく、 0≤c≤0. 2であることがより好ましい。 ニッケル含有量 (c) が 0. 3を超えると、 炭素質析出防止効果が十分には得られにくくなる。
また、 コバルト含有量 (b) とニッケル含有量 (c) との合計量 (b + c) は 0. 001≤ (b+c) ≤0. 3であり、 0. 001≤ (b + c) ≤0. 25で あることが好ましく、 0. 00 1≤ (b + c) ≤0. 2であることがより好まし い。 合計含有量 (b + c) が 0. 3を超えると、 炭素質析出防止効果が十分には 得られにくくなる。 一方、 合計含有量 (b + c) が 0. 001未満では、 反応活 性が低下してくる。
マグネシウム含有量 (d) とカルシウム含有量 (e) との合計量 (d + e) は 0. 6≤ (d + e) ≤ 0. 9998であり、 0. 7≤ (d + e) ≤ 0. 9998 であることが好ましく、 0. Ί Ί (d + e) ≤ 0. 9998であることがより 好ましい。
このうち、 マグネシウム含有量 (d) は 0<d≤ 0. 999であり、 0.
d≤ 0. 9998であることが好ましく、 0. 37≤ d≤ 0. 9998であるこ とがより好ましい。 また、 カルシウム含有量 ( e) は 0≤ e < 0. 999であり、 0≤ e≤ 0. 5であることが好ましく、 0≤ e≤ 0. 3であることがより好まし い。 この触媒は、 カルシウムを含有しないものであってもよい。
マグネシウム含有量 (d) とカルシウム含有量 (e) との合計量 (d + e) は、 M含有量 (a) 、 コバルト含有量 (b) およびニッケル含有量 (c) とのバラン スで決められる。 (d + e) は上記範囲内であればいかなる割合でもリフォーミ ング反応に優れた効果を発揮するが、 カルシウム (e) と M (a) の含有量が多 いと、 炭素質析出の抑制に高い効果があるものの、 マグネシウム (d) が多い場 合に比べて触媒活性が低くなる傾向がある。 活性の点からは、 カルシウム含有量
(e) が 0. 5以下であり、 M含有量 (a) が 0. 1以下であることが好ましい。 用いる改質触媒は、 M、 Coおよび Niの少なくとも 1種が複合酸化物中で高 分散化されていることが好ましい。 ここで、 分散とは、 担持された金属の全原子 数に対する触媒表面に露出している原子数の比として定められるものである。 す なわち、 Co、 Niあるいは Mの金属元素またはその化合物の原子数を Aとし、 これらの原子のうち粒子表面に露出している原子の数を Bとすると、 BZAが分 散度となる。 M、 Coおよび Niの少なくとも 1種が複合酸化物中で高分散化さ れている改質触媒を用いることにより、 さらに高活性となって反応が化学量論的 に進行し、 炭素質 (カーボン) の析出がより効果的に防止される。
このような改質触媒を製造する方法としては、 例えば、 含浸担持法、 共沈法、 ゾルーゲル法 (加水分解法) 、 均一沈澱法などが挙げられる。
上記の改質触媒は、 通常、 合成ガスの製造に使用する前に、 活性化処理を行う。 活性化処理は、 水素ガスなどの還元性気体の存在下、 500〜1000°C、 好ま しくは 600〜1000°C、 より好ましくは 650〜; L 000 °Cの温度範囲で 0. 5〜30時間程度、 触媒を加熱することにより行う。 還元性気体は、 窒素ガスな どの不活性ガスで希釈されていてもよい。 この活性化処理は、 リフォ一ミング反 応を行う反応器内で行うこともできる。 この活性化処理により、 触媒活性が発現 する。
本発明において用いられる合成ガスを製造する他の方法としては、 含炭素原料 (低級パラフィン含有ガスから分離された低沸点成分中の含炭素原料も含む) を 部分酸化して、 未反応の含炭素原料を含む少なくとも 600°Cの温度を有する混 合ガスを生成させ、 次いで、 この高温の混合ガス中に含まれる未反応の含炭素原 料に、 金属イオンの電気陰性度が 13以下である金属酸化物からなる担体にロジ ゥム、 ルテニウム、 イリジウム、 パラジウムおよび白金からなる群より選ばれる 少なくとも 1種の金属 (触媒金属) を担持させた、 比表面積 25m2/g以下、 触 媒金属の担持量が金属換算量で担体金属酸化物に対して 0. 0005〜0. 1モ ル%の触媒の存在下において、 加圧条件下で炭酸ガスおよび/またはスチームを
反応させて合成ガスを製造する方法が挙げられる。 また、 含炭素原料 (低級パラ フィン含有ガスから分離された低沸点成分中の含炭素原料も含む) と、 酸素含有 ガス (空気、 酸素など) と、 炭酸ガスおよび/またはスチームとからなる混合ガ スを用い、 金属イオンの電気陰性度が 1 3以下である金属酸化物からなる担体に ロジウム、 ルテニウム、 イリジウム、 パラジウムおよび白金からなる群より選ば れる少なくとも 1種の金属 (触媒金属) を担持させた、 比表面積 2 5 m2/g以下、 触媒金属の担持量が金属換算量で担体金属酸化物に対して 0 . 0 0 0 5〜 0 . 1 モル%の触媒の存在下において、 該混合ガス中の含炭素原料を部分酸化して、 未 反応の含炭素原料を含む少なくとも 6 0 0 °Cの温度を有する混合ガスを生成させ るとともに、 この未反応の含炭素原料に加圧条件下で炭酸ガスおよび/またはス チームを反応させて合成ガスを製造する方法が挙げられる。
ここで、 触媒金属は、 金属状態で担持されていてもよいし、 酸化物などの金属 化合物の状態で担持されていてもよい。 また、 担体として用いる金属酸化物は、 単一金属酸化物であってもよいし、 複合金属酸化物であってもよい。
担体用金属酸化物中の金属イオンの電気陰性度は 1 3以下であり、 1 2以下が 好ましく、 1 0以下がより好ましい。 金属酸化物中の金属イオンの電気陰性度が 1 3を超えると、 その触媒の使用に際して炭素析出が著しくなつてくる。 また、 担体用金属酸化物中の金属イオンの電気陰性度の下限値は、 通常、 4程度である。 なお、 金属酸化物中の金属イオンの電気陰性度は、 次式により定義されるもの である。
X i = ( 1 + 2 i ) X o
X i :金属イオンの電気陰性度、
X o :金属の電気陰性度、
i :金属イオンの荷電子数。
金属酸化物が複合金属酸化物である場合は、 平均の金属イオン電気陰性度を用 い、 その値は、 複合金属酸化物中に含まれる各金属イオンの電気陰性度に複合酸 化物中の各酸ィヒ物のモル分率を掛けた値の合計値とする。
金属の電気陰性度 (Xo) は P au 1 ingの電気陰性度を用いる。 P au l ingの電気陰性度は、 「藤代亮ー訳、 ムーア物理化学 (下) (第 4版) 、 東京 化学同人, p. 707 ( 1974) 」 の表 15. 4に記載されている。 金属酸化 物中の金属イオンの電気陰性度 (Xi) については、 例えば、 「触媒学会編、 触 媒講座、 第 2卷、 p. 145 ( 1 985) 」 に詳述されている。
このような金属酸化物としては、 Mg、 Ca、 B a、 Z n、 Al、 Z r、 La 等の金属を 1種以上含む金属酸化物が挙げられる。 このような金属酸化物として、 具体的には、 マグネシア (MgO) 、 酸化カルシウム (CaO) 、 酸化バリウム (B aO) 、 酸化亜鉛 (ZnO) 、 アルミナ (Al2〇3) 、 ジルコニァ (Z r 0 2) 、 酸化ランタン (L a203) 等の単一金属酸化物や、 MgO/CaO、 Mg 〇/B aO、 MgO/ZnO、 MgO/A 1203、 MgO/Z r 02、 C aO/ BaO、 C aO/Z nO、 C a O/A 1203ヽ C aO/Z r 02、 B a O/Z n 〇、 BaO/Al 203N B aO/Z r02、 ZnO/Al 203、 Z nO/Z r 02、 A 1203/Z r 02N L a203/MgOヽ L a203/A 1203、 L a203/C a 0等の複合金属酸化物が挙げられる。
用いる触媒の比表面積は 25m2Zg以下であり、 20m2/g以下が好ましく、 1 5m2/g以下がより好ましく、 1 Om2/ g以下が特に好ましい。 また、 用い る触媒の比表面積の下限値は、 通常、 0. 0 lm2/g程度である。 触媒の比表面 積を上記の範囲にすることにより、 触媒の炭素析出活性をより十分に抑制するこ とができる。
ここで用いる触媒において、 触媒の比表面積と担体である金属酸化物の比表面 積とは実質的にほぼ同じである。 したがって、 担体である金属酸化物の比表面積 は 2 5m2/g以下であり、 20m2/g以下が好ましく、 1 5m2/g以下がよ り好ましく、 10m2/g以下が特に好ましい。 また、 担体である金属酸化物の比 表面積の下限値は、 通常、 0. 0 1m2/g程度である。
なお、 ここで、 触媒または担体である金属酸化物の比表面積は、 BET法によ り、 温度 15°Cで測定されたものである。
比表面積が 25m2/g以下の触媒は、 触媒金属の担持前に担体である金属酸化 物を 300〜 1300。 好ましくは 650〜 1200 °Cで焼成し、 触媒金属担 持後、 得られた触媒金属担持物をさらに 600〜1300°C、 好ましくは 650 〜1200°Cで焼成することによって得ることができる。 また、 担体である金属 酸化物に触媒金属を担持後、 得られた触媒金属担持物を 600〜1300°C、 好 ましくは 650°C〜 1200°Cで焼成することによつても得ることができる。 焼 成温度と焼成時間とを制御することによって、 得られる触媒または担体である金 属酸化物の比表面積を制御することができる。
担体である金属酸化物に対する触媒金属の担持量は、 金属換算量で、 0. 00 05〜0. 1モル%である。 担体である金属酸化物に対する触媒金属の担持量は、 金属換算量で、 0. 001モル%以上が好ましく、 0. 002モル%以上がより 好ましい。 また、 担体である金属酸化物に対する触媒金属の担持量は、 金属換算 量で、 0. 09モル%以下が好ましい。
上記のような触媒は、 触媒の比表面積が小さく、 かつ、 触媒金属の担持量が非 常に少量であるため、 含炭素原料に対する十分な合成ガス化活性を有すると共に、 炭素析出活性が著しく抑制されたものである o
このような触媒は、 公知の方法に従って調製することができる。 触媒を製造す る方法としては、 例えば、 担体である金属酸化物を水中に分散させ、 触媒金属塩 またはその水溶液を添加、 混合した後、 触媒金属が担持された金属酸化物を水溶 液から分離し、 乾燥、 焼成する方法 (含浸法) や、 担体である金属酸化物を排気 後、 細孔容積分の金属塩溶液を少量ずつ加え、 担体表面を均一に濡れた状態にし た後、 乾燥、 焼成する方法 (inc ip i ent— we t ne s s法) などが挙 げられる。
上記のような触媒の存在下、 含炭素原料 (低級パラフィン含有ガスから分離さ れた低沸点成分中の含炭素原料も含む) とスチーム (水蒸気) および/または二 酸化炭素とを反応させることにより、 本発明において用いられる合成ガスを製造 することができる。
含炭素原料と二酸化炭素とを反応させる方法 (〇02リフォーミング) の場合、 反応温度は 500〜1200°Cであり、 600〜1000°Cが好ましい。 反応圧 力は 5〜40kg/cm2Gであり、 5〜 30 k g/c m2 Gが好ましい。 また、 この反応を固定床方式で行う場合、 ガス空間速度 (GHSV) は 1, 000〜1 0, O OOhr— 1であり、 2, 000〜8, 000 h r*- 1が好ましい。 反応器に 導入する原料ガス中の C 02の含有量は、 含炭素原料中の炭素 1モル当たり、 CO220〜0. 5モルであり、 10〜; Lモルが好ましい。
含炭素原料とスチームとを反応させる方法 (スチームリフォーミング) の場合、 反応温度は 600〜 1200 °Cであり、 600〜 1000 °Cが好ましい。 反応圧 力は 1〜40 kg/ cm2 Gであり、 5〜30 k g/c m2 Gが好ましい。 また、 この反応を固定床方式で行う場合、 ガス空間速度 (GHS V) は 1, 000〜1 0, O OOhr— 1であり、 2, 000〜8, 000 h r一1が好ましい。 反応器に 導入する原料ガス中のスチームの含有量は、 含炭素原料中の炭素 1モル当たり、 スチーム (H20) 20〜0. 5モルであり、 10〜 1モルが好ましく、 1. 5〜 1モルがより好ましい。
スチームと co2の混合物を含炭素原料に反応させて合成ガスを製造する場合、 スチームと C 02との混合割合は特に限定されないが、 通常、 H20/C02 (モ ル比) は 0. 1〜 10である。
この合成ガスの製造方法においては、 上記リフォーミング反応に必要とされる エネルギーは、 リフォーミングの反応原料である含炭素原料の一部を部分酸化 ( 部分燃焼) させ、 その際に生じる燃焼熱により補給される。
含炭素原料の部分酸化反応は、 600〜 1500 °C、 好ましくは 700〜 13 00°Cの温度および 5〜50 kg/cm2 G、 好ましくは 10〜40 k g/c m2 Gの圧力の条件下で実施される。 含炭素原料を部分酸化させるための酸化剤とし ては酸素が用いられるが、 この酸素源としては、 純酸素の他に、 空気、 富酸素化 空気などの酸素含有ガスが用いられる。 反応器に導入する原料ガス中の酸素の含 有量は、 含炭素原料中の炭素に対する酸素の原子比 (0/C) で、 0. 1〜4で
あり、 0. 5〜2が好ましい。
この含炭素原料の部分酸化により、 未反応の含炭素原料を含む、 少なくとも 6 00°C、 好ましくは 700〜1300°Cの高温の混合ガスが得られる。 この混合 ガス中の未反応の含炭素原料に対して、 上記の条件で二酸化炭素および/または スチームを反応させることにより、 合成ガスを製造することができる。 二酸化炭 素および Zまたはスチームは、 含炭素原料の部分酸化により得られた混合ガスに 添加して反応させてもよく、 また、 部分酸化反応に供する含炭素原料にあらかじ め添加 ·混合しておいてもよい。 後者の場合には、 含炭素原料の部分酸化とリフ ォ一ミング反応とを同時に行うことが可能となる。
含炭素原料のリフォーミング反応は、 各種の反応器形式で実施することができ るが、 通常、 固定床方式、 流動床方式で実施することが好ましい。
〔低級パラフィン製造工程〕
低級パラフィン製造工程では、 低級パラフィン製造用触媒の存在下、 上記の合 成ガス製造工程において得られた合成ガスから、 プロパンの沸点より低い沸点ま たは昇華点を持つ物質である低沸点成分を含み、 含まれる炭化水素の主成分がプ 口パンまたはプ夕ンである低級ノ ラフィン含有ガスを製造する。
低級パラフィン製造用触媒としては、 例えば、 メタノール合成用触媒である 4 質量%Pd/S i 02、 Cu— Zn— A1混合酸化物 [Cu: Zn: Al = 40 : 23 : 37 (原子比) ] および Cu系低圧メタノール合成用触媒 (商品名: BASF S3— 85) から選ばれる少なくとも一種と、 S i 02/A 12〇3 = 7. 6の Y型ゼォライ トとを混合した混合触媒を用いることができる。 前者と後 者との混合比は、 例えば、 質量比で 1 : 1程度とすることができる。
上記のものも含め、 低級パラフィン製造用触媒としては、 例えば、 1種以上の メタノール合成触媒成分と 1種以上のゼォライ ト触媒成分とを含有する触媒が挙 げられる。
ここで、 メタノール合成触媒成分とは、 C〇 + 2H2 CH3OHの反応におい て触媒作用を示すものを指す。 また、 ゼォライ ト触媒成分とは、 メタノールの炭
化水素への縮合反応および/またはジメチルエーテルの炭化水素への縮合反応に おいて触媒作用を示すゼォライ トを指す。
この低級パラフィン製造用触媒の存在下で一酸化炭素と水素とを反応させると、 次のような反応が起こり、 主成分がプロパンまたはブタンであるパラフィン類を 製造することができる。
まず、 メ夕ノール合成触媒成分上で一酸化炭素と水素とからメタノ一ルが合成 される。 次いで、 合成されたメタノールはゼォライ ト触媒成分の細孔内の活性点 にて主成分がプロピレンまたはプテンである低級ォレフイン炭化水素に転換され る。 この反応では、 メ夕ノ一ルの脱水によってカルベン ( H 2 C : ) が生成し、 こ のカルベンの重合によって低級ォレフィンが生成すると考えられる。 そして、 生 成した低級ォレフィンはゼォライ ト触媒成分の細孔内から抜け出し、 メタノール 合成触媒成分上で速やかに水素化されて主成分がプロパンまたはブタンであるパ ラフィン類となる。
ゼォライ 卜触媒成分に対するメ夕ノール合成触媒成分の含有比率 (質量基準) は、 0 . 5以上 [メタノール合成触媒成分/ゼオラィ ト触媒成分] であることが 好ましく、 0 . 8以上 [メタノ一ル合成触媒成分/ゼオライ ト触媒成分] である ことがより好ましい。 また、 ゼォライ ト触媒成分に対するメタノール合成触媒成 分の含有比率 (質量基準) は、 3以下 [メタノ一ル合成触媒成分/ゼォライ ト触 媒成分] であることが好ましく、 2以下 [メタノール合成触媒成分/ゼォライ ト 触媒成分] であることがより好ましい。 ゼォライ ト触媒成分に対するメタノール 合成触媒成分の含有比率を上記の範囲にすることにより、 より高選択率、 高収率 でプロパンおよび/またはプ夕ンを製造することができる。
メタノール合成触媒成分は、 メタノール合成触媒としての機能を有し、 また、 ゼォライ ト触媒成分は、 メタノールおよび/またはジメチルエーテルの炭化水素 への縮合反応に対して酸性が調整された固体酸ゼォライ ト触媒としての機能を有 する。 そのため、 ゼォライ ト触媒成分に対するメタノール合成触媒成分の含有比 率は、 触媒の持つメ夕ノ一ル合成機能とメタノールからの炭化水素生成機能との
相対比に反映される。 本発明において一酸化炭素と水素とを反応させて主成分が プロパンまたはブタンであるパラフィン類を製造するにあたり、 一酸化炭素と水 素とをメタノ一ル合成触媒成分によって十分にメタノールに転化しなければなら ず、 かつ、 生成したメタノールをゼオライ ト触媒成分によって十分に主成分がプ ロピレンまたはブテンであるォレフィン類に転化し、 それをメタノール合成触媒 成分によつて主成分がプロパンまたはブ夕ンであるパラフィン類に転化しなけれ ばならない。
ゼォライ ト触媒成分に対するメタノール合成触媒成分の含有比率 (質量基準) を 0. 5以上 [メタノール合成触媒成分/ゼォライ ト触媒成分] にすることによ り、 一酸化炭素と水素とをより高転化率でメ夕ノールに転化させることができる。 また、 ゼォライ ト触媒成分に対するメタノール合成触媒成分の含有比率 (質量基 準) を 0. 8以上 [メタノール合成触媒成分/ゼォライ ト触媒成分] にすること により、 生成したメタノールをより選択的にプロパンまたはブタンを主成分とす るパラフィン類に転化させることができる。
一方、 ゼォライ ト触媒成分に対するメタノール合成触媒成分の含有比率 (質量 基準) を 3以下 [メタノール合成触媒成分/ゼォライ ト触媒成分] 、 より好まし くは 2以下 [メタノール合成触媒成分/ゼォライ ト触媒成分] にすることにより、 生成したメタノールをより高転化率で主成分がプロパンまたはブタンであるパラ フィン類に転化させることができる。
メ夕ノール合成触媒成分としては、 公知のメ夕ノール合成触媒、 具体的には、 Cu- Z n系、 Cu— Zn— Cr系、 Cu— Zn— A1系、 Cu— Zn— Ag系、 Cu— Zn— Mn— V系、 Cu— Zn— Mn— Cr系、 Cu-Zn-Mn-Al — C r系などの C u— Z n系およびそれに第三成分が加わったもの、 あるいは、 Ni— Zn系のもの、 Mo系のもの、 Ni—炭素系のもの、 さらには Pdなど貴 金属系のものなどが挙げられる。 また、 メタノール合成触媒として市販されてい るものを使用することもできる。
ゼォライ ト触媒成分としては、 反応分子の拡散が可能な細孔の広がりが 3次元
である中細孔ゼォライ トまたは大細孔ゼォライ トが好ましい。 このようなものと しては、 例えば、 Z S M _ 5、 M C M— 2 2や、 ペータ、 Y型などが挙げられる。 本発明においては、 一般にメ夕ノ一ルぉよび/またはジメチルェ一テルから低級 ォレフィン炭化水素への縮合反応に高い選択性を示す S A P O— 3 4などの小細 孔ゼォライ トあるいはモルデナィ トなどの細孔内での反応分子の拡散が 3次元で ないゼォライ トよりも、 一般にメタノールおよび/またはジメチルエーテルから アルキル置換芳香族炭化水素への縮合反応に高い選択性を示す Z S M— 5、 M C M— 2 2などの中細孔ゼォライ トあるいはべ一夕、 Y型などの大細孔ゼォライ ト などの細孔内での反応分子の拡散が 3次元であるゼォライ 卜が好ましい。 中細孔 ゼォライ トあるいは大細孔ゼォライ トなどの細孔内での反応分子の拡散が 3次元 であるゼォライ 1、を用いることにより、 生成したメタノールをより選択的にプロ ピレンまたはブテンを主成分とするォレフィン類、 さらにはプロパンまたはプ夕 ンを主成分とするパラフィン類に転化させることができる。
ここで、 中細孔ゼォライ トは、 細孔径が主に 1 0員環によって形成される 0 . 4 4〜0 . 6 5 n mのゼォライ トをいい、 また、 大細孔ゼォライ トは、 細孔径が 主に 1 2員環によって形成される 0 . 6 6〜0 . 7 6 n mのゼオライ トをいう。 ゼォライ ト触媒成分の細孔径は、 ガス状生成物内の C 3成分および C 4成分選択 性の点から、 0 . 5 n m以上がより好ましい。 また、 ゼォライ ト触媒成分の骨格 細孔径は、 ベンゼン等の芳香族化合物や C 5成分等のガソリン成分などの液状生 成物の生成抑制の点から、 0 . 7 7 n m以下がより好ましい。
また、 ゼォライ ト触媒成分としては、 いわゆる髙シリカゼォライ ト、 具体的に は S i 0 2/A 1 2 0 3モル比が 1 0〜5 0のゼォライ トが好ましい。 S i〇2/A 1 2 0 3モル比が 1 0〜5 0の高シリカゼォライ トを用いることにより、 生成した メタノールをより選択的にプロピレンまたはブテンを主成分とするォレフィン類、 さらにはプロパンまたはブタンを主成分とするパラフィン類に転化させることが できる。
ゼォライ ト触媒成分としては、 S i 0 2/Α 1 2 0 3モル比が 1 0〜5 0で、 反
応分子の拡散が可能な細孔の広がりが 3次元である中細孔ゼォライ トまたは大細 孔ゼオライ トが特に好ましい。 そのようなものとしては、 例えば、 USYゃ高シ リカタイプのベ一夕などの固体酸ゼオライ トが挙げられる。
ゼォライ ト触媒成分としては、 イオン交換などによって酸性を調整した上記の ような固体酸ゼォライ トを用いる。
低級パラフィン製造用触媒としては、 メタノール合成触媒成分とゼォライ ト触 媒成分とを別途に調製し、 これらを混合したものが好ましい。 メタノール合成触 媒成分とゼォライ ト触媒成分とを別途に調製することにより、 各々の機能に対し て、 それそれの組成、 構造、 物性を最適に設計することが容易にできる。
なお、 メタノール合成触媒には、 使用前に還元処理をして活性化することが必 要なものもある。 本発明においては、 メ夕ノール合成触媒成分を予め還元処理し て活性化する必要は必ずしもなく、 メ夕ノール合成触媒成分とゼオラィ ト触媒成 分とを混合 ·成形して低級パラフィン製造用触媒を製造した後に、 反応を開始す るに先立ち還元処理をしてメタノール合成触媒成分を活性化することができる。 低級パラフィン製造用触媒は、 その所望の効果を損なわない範囲内で必要によ り他の添加成分を含有していてもよい。
低級パラフィン製造工程では、 上記のような触媒を用いて一酸化炭素と水素と を反応させ、 主成分がプロパンまたはブタンであるパラフィン類、 好ましくは主 成分がプロパンであるパラフィン類を製造する。
反応器に送入されるガスは、 上記の合成ガス製造工程において得られた合成ガ スである。 すなわち、 経済性の点から、 より好ましい第 2— 1の LPGの製造方 法および第 2— 2の L P Gの製造方法においては、 反応器に送入されるガスは、 一酸化炭素と水素とを CO: H2=l : 0. 5〜1 : 1. 4 (モル比) で含む合成 ガスである。 反応器に送入されるガス中の一酸化炭素に対する水素の含有比率 ( モル基準) は、 0. 55 [H2/CO] 以上が好ましく、 0. 6 [H2/CO]以 上がより好ましい。 また、 反応器に送入されるガス中の一酸化炭素に対する水素 の含有比率 (モル基準) は、 1. 2 [H2/CO]以下が好ましく、 1. 1 [H2
/ C O ] 以下がより好ましい。
反応器に送入されるガス中の一酸化炭素の濃度は、 反応に好適な一酸化炭素の 圧力 (分圧) の確保と、 原料原単位向上との点から、 2 0モル%以上が好ましく、 2 5モル%以上がより好ましい。 また、 反応器に送入されるガス中の一酸化炭素 の濃度は、 一酸化炭素の転化率がより十分に高くなる点から、 6 7モル%以下が 好ましく、 6 0モル%以下がより好ましい。
従って、 合成ガス製造工程において製造される合成ガス中の一酸化炭素の濃度 は、 2 0モル%以上が好ましく、 2 5モル%以上がより好ましく、 また、 6 7モ ル%以下が好ましく、 6 0モル%以下がより好ましい。
また、 場合によっては、 反応器に送入されるガス中の一酸化炭素の濃度は、 4 0モル%以下が好ましく、 3 5モル%以下がより好ましい。
なお、 反応器に送入されるガスは、 一酸化炭素および水素以外に、 例えば、 二 酸化炭素、 水、 メタン、 ェタン、 エチレン、 不活性ガスなどを含むものであって もよい。
反応器に送入されるガスは、 低級パラフィン製造の原料である一酸化炭素およ び水素に、 二酸化炭素を加えたものであってもよい。 その二酸化炭素として、 反 応器から排出される二酸化炭素をリサイクルする、 あるいは、 それに見合う量を 用いることによって、 反応器の中で一酸化炭素からのシフ ト反応による二酸化炭 素の生成を実質的に軽減、 あるいは、 二酸化炭素を生成させなくすることもでき る。
また、 反応器に送入されるガスには、 水蒸気を含有させることもできる。
反応温度は、 メタノール合成触媒成分とゼォライ ト触媒成分とが、 それそれ、 より十分に高い活性を示す点から、 2 7 0 °C以上が好ましく、 3 0 0 °C以上がよ り好ましい。 また、 反応温度は、 触媒の使用制限温度の点と、 平衡規制、 反応熱 の除去 '回収が容易である点とから、 4 0 0 °C以下が好ましく、 3 8 0 °C以下が より好ましい。
反応圧力は、 メタノール合成触媒成分がより十分に高い活性を示す点から、 1
M P a以上が好ましく、 2 M P a以上がより好ましい。 また、 反応圧力は、 経済 性の点から、 1 O MP a以下が好ましく、 5 M P a以下がより好ましい。
ガス空間速度は、 経済性の点から、 5 0 O h r— 1以上が好ましく、 2 0 0 0 h r一1以上がより好ましい。 また、 ガス空間速度は、 メタノール合成触媒成分とゼ オライ ト触媒成分とが、 それそれ、 より十分に高い転化率を示す接触時間を与え る点から、 1 0 0 0 O h r一1以下が好ましく、 5 0 0 O h r一1以下がより好まし い。
反応器に送入されるガスは、 分割して反応器に送入し、 それにより反応温度を 制御することもできる。
反応は固定床、 流動床、 移動床などで行うことができるが、 反応温度の制御と 触媒の再生方法との両面から選定することが好ましい。 例えば、 固定床としては、 内部多段クェンチ方式などのクェンチ型反応器、 多管型反応器、 複数の熱交換器 を内包するなどの多段型反応器、 多段冷却ラジアルフ口一方式や二重管熱交換方 式や冷却コィル内蔵式や混合流方式などその他の反応器などを用いることができ る。
低級パラフィン製造用触媒は、 温度制御を目的として、 シリカ、 アルミナなど、 あるいは、 不活性で安定な熱伝導体で希釈して用いることもできる。 また、 低級 パラフィン製造用触媒は、 温度制御を目的として、 熱交換器表面に塗布して用い ることもできる。
この低級パラフィン製造工程において得られる低級パラフィン含有ガスは、 含 まれる炭化水素の主成分がプロパンまたはブタンである。 液化特性の点から、 低 級パラフィン含有ガス中のプロパンおよびプ夕ンの合計含有量は多レ、ほど好まし い。 本発明では、 プロパンおよびブタンの合計含有量が、 含まれる炭化水素の 5 0モル%以上、 さらには 6 0モル%以上、 さらには 7 0モル%以上 ( 1 0 0モル %も含む) である低級パラフィン含有ガスを得ることができる。
さらに、 低級パラフィン製造工程において得られる低級パラフィン含有ガスは、 燃焼性および蒸気圧特性の点から、 ブタンよりプロパンが多いことが好ましい。
本発明では、 プロパンの含有量が、 含まれる炭化水素の 5 0モル%以上、 さらに は 5 5モル%以上、 さらには 6 0モル%以上 ( 1 0 0モル%も含む) である低級 パラフィン含有ガスを得ることができる。
低級パラフィン製造工程において得られる低級パラフィン含有ガスには、 プロ パンの沸点より低い沸点または昇華点を有する低沸点成分が含まれる。 低沸点成 分としては、 例えば、 副生物であるェタン、 メタン、 エチレンが挙げられる。 ま た、 低沸点成分として、 シフト反応により生成する二酸化炭素、 未反応の原料で ある水素および一酸化炭素も挙げられる。 含まれる低沸点成分は、 一種であって も、 二種以上であってもよい。
特に、 本発明の第 2 — 1の L P Gの製造方法および第 2— 2の L P Gの製造方 法によれば、 低沸点成分の含有量が少ない低級パラフィン含有ガスを得ることが できる。 具体的には、 水素を除く低沸点成分の含有量が、 炭素基準で 7 5 %以下、 さらには 7 0 %以下、 さらには 6 0 %以下 (◦%を除く) である低級パラフィン 含有ガスを得ることができる。 また、 水素の含有量が、 4 0モル%以下、 さらに は 3 8モル%以下 ( 0モル%を除く) である低級パラフィン含有ガスを得ること ができる。
〔分離工程〕
分離工程では、 上記の低級パラフィン製造工程において得られた低級パラフィ ン含有ガスから、 必要に応じて水分などを分離した後、 低沸点成分を分離し、 プ 口パンまたはブタンを主成分とする液化石油ガス ( L P G ) を得る。 液化石油ガ スを得るために、 必要に応じて加圧および/または冷却を行ってもよい。
また、 低沸点成分を分離する前、 あるいは、 低沸点成分を分離した後に、 低級 パラフィン含有ガスから、 ブタンの沸点より高い沸点を持つ物質である高沸点成 分、 例えば高沸点パラフィンガスなどを分離してもよい。 高沸点成分の分離は、 公知の方法によって行うことができる。
低沸点成分の分離は、 例えば、 気液分離、 吸収分離、 蒸留など公知の方法によ つて行うことができる。 より具体的には、 加圧常温での気液分離や吸収分離、 冷
却しての気液分離や吸収分離、 あるいは、 その組み合わせによって行うことがで きる。 また、 膜分離や吸着分離によって行うこともでき、 これらと気液分離、 吸 収分離、 蒸留との組み合わせによって行うこともできる。 低沸点成分の分離には、 製油所で通常用いられているガス回収プロセス ( 「石油精製プロセス」 石油学会
/編、 講談社サイェンティフイク、 1 9 9 8年、 . 2 8〜p . 3 2記載) を適 用することができる。
低沸点成分の分離方法としては、 プロパンまたはブタンを主成分とする液化石 油ガスを、 ブ夕ンより沸点の高い高沸点パラフィンガス、 あるいは、 ガソリンな どの吸収液に吸収させる吸収プロセスが好ましい。
民生用としては、 使用時の安全性の点から、 例えば、 分離によって L P G中の 低沸点成分の含有量を 5モル%以下 (0モル%も含む) とすることが好ましい。 このようにして製造される L P G中のプロパンおよびブ夕ンの合計含有量は、 9 0モル%以上、 さらには 9 5モル%以上 ( 1 0 0モル%も含む) とすることが できる。 また、 製造される L P G中のプロパンの含有量は、 5 0モル%以上、 さ らには 6 0モル%以上 ( 1 0 0モル%も含む) とすることができる。 本発明によ れば、 家庭用 ·業務用の燃料として広く用いられているプロパンガスに適した組 成を有する L P Gを製造することができる。
〔リサイクル工程〕
リサイクル工程では、 上記の分離工程において低級パラフィン含有ガスから分 離された低沸点成分を、 合成ガス製造工程 (改質工程) の原料としてリサイクル
9一る。
低級パラフィン含有ガスから分離された低沸点成分は、 前述の通り、 合成ガス 製造工程の原料として再利用することができる物質、 具体的にはメタン、 ェタン、 エチレンなどを含む。 また、 この低沸点成分中に含まれる二酸化炭素は、 〇02リ フォ一ミング反応によって合成ガスに戻すことができる。 さらに、 低沸点成分は、 未反応の原料である水素、 一酸化炭素を含む。 そのため、 この低級パラフィン含 有ガスから分離された低沸点成分は、 合成ガス製造工程にリサイクルされる。
低級パラフィン含有ガスから分離された低沸点成分は、 すべて合成ガス製造ェ 程にリサイクルしてもよいし、 また、 一部を系外に抜き出し、 残りを合成ガス製 造工程にリサイクルしてもよい。 低沸点成分は、 所望の成分のみを分離して合成 ガス製造工程にリサイクルすることもできる。
低沸点成分をリサイクルするためには、 適宜リサイクルラインに昇圧手段を設 ける等、 公知の技術を採用することができる。
〔L P Gの製造方法〕
次に、 図面を参照しながら、 本発明の L P Gの製造方法の一実施形態について 説明する。
図 1に、 本発明の L P Gの製造方法を実施するのに好適な L P G製造装置の一 例を示す。
まず、 含炭素原料としてメタンが、 ライン 1 1および 1 2を経て、 改質器 1に 供給される。 また、 水蒸気改質を行うため、 図示しないが水蒸気がライン 1 2に 供給される。 さらに、 プロパンの沸点より低い沸点または昇華点を持つ低沸点成 分が、 分離器 3からリサイクルライン 1 6を経て、 ライン 1 2に供給される。 改 質器 1内には、 改質触媒 1 aが備えられている。 また、 改質器 1は、 改質のため に必要な熱を供給するための加熱手段 (不図示) を備える。 この改質器 1内にお いて、 改質触媒 1 aの存在下、 メタンが改質され、 水素、 一酸化炭素、 二酸化炭 素および水蒸気を含む合成ガスが得られる。
このようにして得られた合成ガスは、 ライン 1 3を経て、 反応器 2に供給され る。 反応器 2内には、 低級パラフィン製造用触媒 2 aが備えられている。 この反 応器 2内において、 低級パラフィン製造用触媒 2 aの存在下、 合成ガスからエタ ン、 プロパン、 ブ夕ンを含む低級パラフィン含有ガスが合成される。
合成された低級パラフィン含有ガスは、 ライン 1 4を経て、 蒸留塔である分離 器 3に供給される。 そして、 常温加圧蒸留により、 塔底からプロパンの沸点以上 の沸点を持つ物質、 すなわち製品となる L P Gが得られ、 塔頂からプロパンの沸 点より低い沸点または昇華点を持つ物質、 すなわち低沸点成分が残ガスとして得
られる。 こうしてライン 1 5から製品となる LP Gが得られる。 一方、 塔頂から 得られる残ガス (低沸点成分) は、 リサイクルライン 1 6により、 改質器 1にリ サイクルされる。
なお、 図示しないが、 LPG製造装置には、 昇圧機、 熱交換器、 バルブ、 計装 制御装置などが必要に応じて設けられる。 実施例
以下、 実施例により本発明をさらに詳細に説明する。 なお、 本発明はこれらの 実施例に限定されるものではない。
〔参考例 1〕
(低級パラフィンの製造)
メ夕ノール合成触媒成分として、 市販の Cu— Z n系メ夕ノール合成触媒 (日 本ズードへミ一社製) を機械的に粉末にしたものを用いた。 別途、 ゼォライ ト触 媒成分として、 S i 02/A 1203モル比が 14. 5のプロ トン型 Z SM— 5ゼ ォライ ト粉末を調製した。 そして、 このメタノール合成触媒成分とゼォライ ト触 媒成分とを質量基準で同量、 均一混合して、 加圧成型 ·整粒した後、 水素気流中 にて 300°C、 3時間還元して低級パラフィン製造用触媒を得た。
この調製した触媒を反応管に充填して、 組成が水素 62. 0モル%、 一酸化炭 素 3 1. 0モル%、 二酸化炭素 5. 0モル%、 メタン 2. 0モル%の原料ガスを 流通させた。 反応条件は、 反応温度 325 °C、 反応圧力 2. OMP aヽ ガス空間 速度 3000 hr— 1とした。
生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、 一酸化炭素の転化率 は 7 1%であった。 一酸化炭素の二酸化炭素へのシフト反応転化率は 35%、 炭 化水素への転化率は 37%であった。 また、 生成した炭化水素ガスの炭素基準で 75 %がプロパンおよびブタンであり、 そのプロパンおよびブタンの内訳は炭素 基準でプロパンが 56%、 ブタンが 44%であった。
(低沸点成分の分離、 リサイクル)
LPGの製造 (低級パラフィンの製造) からの反応ガスを気液分離した後、 モ レキユラ一シープにて乾燥させた後、 0°C付近に保持されたオクタン溶液にパプ ルさせる方法で、 メタン 3. 7モル%、 ェ夕ンおよびエチレン 1. 2モル%、 二 酸化炭素 21. 1モル%、 未反応の一酸化炭素 12. 0モル%および水素 62. 0モル%の組成のガスを低沸点分として分離した。
そして、 この分離した低沸点分を圧縮機にて 2. 5MPaまで昇圧して、 合成 ガス製造工程に原料ガスの一部 67モル%として送入した。
(合成ガス製造)
L P Gの製造工程からの低沸点分リサイクルガス 67. 0モル%、 天然ガス 1 4. 7モル%、 スチーム 14. 8モル%、 二酸化炭素 3. 5モル%の組成の原料 ガスを、 WO 98/46524号公報の触媒調製例 9に従って調製した R u/焼 結低表面積化マグネシア触媒が充填された外熱式反応管型の装置にて、 触媒を予 め水素気流中、 900。Cで 1 hr還元処理を行った後、 反応温度 870°C、 反応 圧力 2. IMP a、 GHSV2000hr"1の操作条件にて改質して、 水素 58 モル%、 一酸化炭素 29モル%、 二酸化炭素 6モル%、 メタン 7モル%の組成の 合成ガスを得た。
この組成から、 得られた合成ガスは低級パラフィンの製造で原料として使うこ とができる。
〔実施例 1〕
図 1に示す LP G製造装置を用いて LP Gを製造した。 改質触媒 (合成ガス製 造用触媒) および低級パラフィン製造用触媒は、 以下のようにして調製したもの を用いた。
(改質触媒の調製)
空気中、 920°Cで 2時間焼成した酸化マグネシウムを 0. 27〜0. 75m mに整粒した後、 含浸法で Ruを担持した。 この Ru含浸体は、 ルテニウム (III ) クロライ ド水和物の水溶液 (Ru含有量: 1. 0重量%) を焼成 MgOに極め て少量ずつ滴下し、 混振することを繰り返して得た。 そして、 この Ru含浸体を
空気中、 120°Cで 2. 5時間乾燥した後、 空気中、 920°Cで 2時間焼成し、 改質触媒 (1^11担持^[ 0触媒) を得た。
得られた: Ru担持 MgO触媒は、 Ruの担持量が MgO 1 gに対して 1. 5x 10— 3g、 mo 1換算で 0. 06mo 1%であり、 表面積が 9. 6m2/gであ つた。
(低級パラフィン製造用触媒の調製)
メタノール合成触媒成分としては、 市販の Cu— Zn系メタノール合成触媒 ( 日本ズードへミ一社製) を機械的に粉末にしたものを用いた。 ゼォライ ト触媒成 分としては、 別途調製した S i02/Al 203モル比が 14. 5のプロトン型 Z SM— 5ゼォライ ト (細孔径:短径 0. 53nm、 長径 56 nm)粉末を用 いた。
このメタノール合成触媒成分と同じ重量のゼォライ ト触媒成分とを均一に混合 して加圧成型 ·整粒した後、 水素気流中、 300°Cで 3時間、 還元処理して低級 パラフィン製造用触媒を得た。
(合成ガス製造工程)
前記の改質触媒を外熱式反応管型の装置に充填した後、 反応に先立ち、 触媒を 水素気流中、 900°Cで 1時間、 還元処理した。
天然ガス 7. 8モル%、 スチーム 14. 3モル%、 二酸化炭素 3. 9モル%、 後述の低級パラフィン含有ガスから分離され、 合成ガス製造の原料としてリサイ クルされた低沸点成分 74モル%からなる原料ガスを、 改質触媒層に流通させた。 反応条件は、 反応温度 870 °C、 反応圧力 2. lMPa、 GHS V (ガス空間速 度) 2000 hr 1とした。
生成物 (合成ガス) をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、 その組 成は、 水素 44モル%、 一酸化炭素 43モル%、 二酸化炭素 6モル%、 メタン 7 モル%であった。 得られた合成ガスは、 一酸化炭素と水素とを CO: H2= 1 : 1. 0 (モル比) で含むものである。
(低級パラフィン製造工程)
合成ガス製造工程において得られた合成ガスを、 低級パラフィン製造用触媒層 に流通させた。 反応条件は、 反応温度 325°C、 反応圧力 2. 0MPa、 GHS V3000 hr— 1とした。
生成物 (低級パラフィン含有ガス) をガスクロマトグラフィーにより分析した ところ、 一酸化炭素の転化率は 72%であり、 一酸化炭素の二酸化炭素へのシフ ト反応転化率は 36%、 炭化水素への転化率は 36%であった。 また、 生成した 炭化水素は、 炭素基準で 70%がプロパンおよびブタンであり、 そのプロパンお よびブタンの内訳は炭素基準でプロパンが 41%S ブタンが 59%であった。 低 級パラフィン含有ガス中の低沸点成分の含有量 (水素を除く) は炭素基準で 69 %であった。
(分離 · リサイクル工程)
低級パラフィン製造工程において得られた低級パラフィン含有ガスを気液分離 した後、 モレキュラーシ一プで乾燥し、 0°C付近に保持されたオクタン溶液にバ ブルさせる方法により、 低級パラフィン含有ガスから、 メタン 0. 6モル%、 ェ タンおよびエチレン 0. 8モル%、 二酸化炭素 39モル%、 未反応の一酸化炭素 22モル%および水素 38モル%からなるガスを低沸点成分として分離し、 LP Gを製造した。
分離された低沸点成分は、 圧縮機にて 2. 5 MP aまで昇圧した後、 合成ガス 製造工程の原料としてリサイクルした。
〔比較例 1 D
合成ガス製造工程において、 原料ガス組成を天然ガス 14. 7モル%、 スチ一 ム 14. 8モル%、 二酸化炭素 3. 5モル%、 低級パラフィン含有ガスから分離 され、 合成ガス製造の原料としてリサイクルされた低沸点成分 67. 0モル%と し、 反応温度を 870° 反応圧力を 2. IMP a, GHSVを 2000 hr"1 として、 水素 58モル%、 一酸化炭素 29モル%、 二酸化炭素 6モル%、 メタン 7モル%からなる合成ガスを製造し、 この合成ガスから低級パラフィン含有ガス を製造した以外は実施例 1と同様にして LPGを製造した。 合成ガス製造工程に
おいて得られた合成ガスは、 一酸化炭素と水素とを C O : H 2 = l : 2 (モル比) で含むものである。
低級パラフィン製造工程における生成物 (低沸点成分を分離する前の低級パラ フィン含有ガス) をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、 一酸化炭素 の転化率は 7 3 %であり、 一酸化炭素の二酸化炭素へのシフト反応転化率は 3 4 %、 炭化水素への転化率は 3 7 %であった。 また、 生成した炭化水素は、 炭素基 準で 7 8 %がプロパンおよびブタンであり、 そのプロパンおよびブタンの内訳は 炭素基準でプロパンが 4 0 %、 ブタンが 6 0 %であった。 低級パラフィン含有ガ ス中の低沸点成分の含有量 (水素を除く) は炭素基準で 6 9 %であった。
また、 分離 - リサイクル工程において低級パラフィン含有ガスから分離された 低沸点成分の組成は、 メタン 0 . 7モル%、 ェ夕ンおよびエチレン 1 . 2モル%、 二酸化炭素 1 5モル%、 未反応の一酸化炭素 1 0モル%および水素 7 3モル%で あった。
比較例 1は、 実施例 1と比べて、 合成ガスから製造される低級パラフィン含有 ガスに含まれる低沸点成分量が多かった。 詳しくは、 比較例 1は、 実施例 1と比 ぺて、 低級パラフィン含有ガス中の水素を除く低沸点成分 (含炭素低沸点成分) の含有量は同じであつたが、 低級パラフィン含有ガス中の水素の含有量が多かつ た。 比較例 1は、 低級パラフィン含有ガスから分離された低沸点成分全量を合成 ガス製造工程の原料としてリサイクルすることはできなかった。 庠業卜の利用可能件
以上のように、 本発明によれば、 天然ガスなどの含炭素原料あるいは合成ガス からプロパンおよび/またはブ夕ンを選択性よく製造することができる。
また、 本発明によれば、 天然ガスなどの含炭素原料あるいは合成ガスから、 炭 素数 2以下の成分の濃度が低く、 プロパンおよび/またはブタンの濃度が高い L P Gを、 より経済的に製造することができる。