WO2002100640A1

WO2002100640A1 - Film en resine etire a couches multiples

Info

Publication number: WO2002100640A1
Application number: PCT/JP2002/005805
Authority: WO
Inventors: Masaaki Yamanaka; Kazuyuki Kimura
Original assignee: Yupo Corporation
Priority date: 2001-06-12
Filing date: 2002-06-11
Publication date: 2002-12-19
Also published as: JP2002361812A; CN1596190A; US20040121176A1; EP1405720A4; EP1405720A1

Description

明細書多層樹脂延伸フィルム <技術分野 >

本発明は、不透明度が 7 0 %以上で熱及び/又は溶断でシール可能な多層樹脂延伸フィルムに関するものであり、更に該多層樹脂延伸フィルムを用いたリサイクルが容易なブリスターパックに関するものである。く背景技術 >

従来、日用品、文具などを収容するプリスターパックの収容容器の素材には、ポリ塩化ビニルがシートの加工性、熱成形性、物性等のバランスから主に用いられているが、その他ポリプロピレン、ポリスチレン等も用いられている。

これらブリスターパック容器の厚さは、ブリスターの形状保持のため、一般的には 0 . 2〜 1 mmと比較的厚いリジットな容器として用いられている。しかしながら使用後の廃棄において、燃焼時の排ガスが社会的問題となっている。また、プリスター容器に商品を収容した後に熱シール及び Z又は溶断シールして使用する蓋体として使用する台紙には、両面に印刷された天然紙やアルミ箔を基材としてその片面にヒートシール材が塗工されたものゃラミネ一トされたものが多く使用されている。これら従来の台紙は、収容商品を取り出す際の開封に際して、熱シールされた天然紙やアルミ箔が容器の外周部に残るため、使用後に於いてのブリスター容器のリサイクルは困難であり、焼却処理されているのが現状である。

また、最近では熱可塑性樹脂を素材とする台紙を使用したプリスターパックも提供されていおり、これらは蓋体素材や容器外周部の表面等に低温熱シール可能な樹脂を、共押出し成形したもの、又はラミネートしたもの、あるいは熱シール剤を塗布したものが挙げられるが、これらシールに用いる樹脂は殆どが容器樹脂とは異なるので使用済みの容器及び台紙を再生化する際に異物となったり、変色するのでリサイクルが困難となって、大部分の使用後の容器及び/又は台紙は焼却等により廃棄されている。

更には、ブリスター容器の台紙には両面に商品の性能、効用等の文字や図の情報を多く精細に印刷する必要があるが、従来の素材を用いた台紙に於いては、グラビヤ印刷、フレキソ印刷等で印刷されており、高精細な印刷が可能な枚葉でのオフセット印刷が困難という欠点を有している。

本発明の目的は、高精細な印刷が可能な枚葉でのオフセット印刷性、容器との低温熱シール性、開封性に優れた、ポリプロピレン系樹脂を素材とした多層樹脂延伸フィルム、及び使用後のリサイクル性に優れたプリスターパックを提供するものである。

<発明の開示 >

本発明者らは、上記課題を解決にするため鋭意検討を進めた結果、プロピレン系重合体と無機微細粉末及び/又は有機フイラ一とを適量配合した樹脂からなる 1軸延伸された多層樹脂延伸フィルムが、本発明の目的にかなう優れた特性を有することを見い出し、本発明を完成するに至った。

すなわち本発明は、プロピレン系重合体（A) 4 0〜9 0重量％、無機微細粉末及び又は有機フィラー（B ) 1 0〜6 0重量％を含有する 1軸延伸フィルム基材層（ィ）の少なくとも片面に、プロピレン系ランダム共重合体（C ) 7 0〜 9 5重量％、帯電防止剤（D ) 5〜3 0重量を含有する印刷可能な 1軸延伸フィルム表面層（口）を有し、熱及び/又は溶断で容器にシール可能な 7 0 %以上の不透明度を有する多層樹脂延伸フィルム、である。

本発明の多層樹脂延伸フィルムの基材層（ィ）に用いる、プロピレン系重合体 (A) はプロピレンを主成分とする重合体であり、エチレン 2〜 1 0重量⁰ /₀、及びプロピレン 9 0〜 9 8重量⁰ /₀のランダム共重合体（a-1) ；エチレン 0〜 5重量⁰ /₀、ブテン一 1 ： 8〜3 0重量⁰ /₀、及びプロピレン 6 5〜9 2重量⁰ /₀のランダム共重合体（a- 2) ；プロピレン単独重合体（a- 3) であることが好ましく、無機微細粉末及び又は有機フィラー（B ) は炭酸カルシウム、酸化チタンを主として含む配合物であることが好ましい。

表面層（口）に用いるプロピレン系ランダム共重合体（C ) は、メタ口セン触媒により重合されたプロピレン■エチレンランダム共重合体又はプロピレン · ブテン一 1ランダム共重合体であり、オルソジクロルベンゼンを溶媒として、 4 0 °C において抽出した抽出量が 4 . 0重量。 /₀以下（b- 1) のものと、エチレン 2〜 1 0 重量⁰ /₀とプロピレン 9 0〜9 8重量％とのランダム共重合体、エチレン 0〜 5重量⁰ /₀とブテン一 1 ： 8〜3 0重量⁰ /₀及びプロピレン 6 5〜9 2重量％のランダム共重合体であって、かつ D S Cによる融解ピーク温度が 1 1 0〜 1 4 0 °Cの範囲である（b- 2) 特性を有するものが好ましい。

更に、帯電防止剤（D ) はポリプロピレン系樹脂、芳香族環含有ポリエーテルエステルアミド、ポリアミド樹脂及び変性低分子量ポリプロピレンからなる樹脂組成物が好ましい。

本発明の多層樹脂延伸フィルムの不透明度（J I S— P— 8 1 3 8 ) は 7 0 % 以上、より好ましくは 8 0 %以上であるのが好ましい。

本発明のブリスターパックは、熱成形により成形された透明なポリプロピレン系シート容器であり、その中に商品物体を収容し、該容器の開放面に、両面に印刷が施された本発明の多層樹脂延伸フィルムを重ね、上面より熱及び Z又は溶断にてシールしたものである。

<発明を実施するための最良の形態〉

以下、本発明の多層樹脂延伸フィルムの実施形態について詳細に説明する。本発明の多層樹脂延伸フィルムは基材層（ィ）に表面層（口）を積層した構造単位を含むフィルム台紙である。

この構造単位は基材層（ィ）の両面に表面層（口）を積層した構造であってもよい。

基材層（ィ）はプロピレン系重合体（A) と無機微細粉末及び/又は有機フィラー（B ) を含有するものである。

基材層（ィ）に使用するプロピレン系重合体（A) としては、単量体としてプ口ピレンを用いた重合体であればその種類は特に限定されない。プロピレンのみを単独重合させたプロピレン単独重合体であっても、プロピレンと他の重合性単量体を共重合させたプロピレン共重合体であってもよい。好ましいプロピレン系重合体（A) は、単量体としてプロピレンを 5 0重量。 /₀以上、好ましくは 6 0重量％、更により好ましくは 6 5重量％以上使用して共重合させた共重合体である。具体的には、エチレン 2〜1 0重量⁰ /₀、及びプロピレン 9 0〜 9 8重量％のランダム共重合体（a-1) ；エチレン 0〜5重量％、ブテン一 1 ： 8〜3 0重量⁰ /₀、及びプロピレン 6 5〜9 2重量⁰ /₀のランダム共重合体（a- 2) ；プロピレン単独重合体（a- 3) を例示することが出来る。特に好ましいのはプロピレン単独重合体 (a-3) である。

尚、本明細書に於いて「〜」はその前後に記載される数値を包含する範囲を意味する。

プロピレン系重合体（A) のメノレトフローレート（2 3 0 °C、 2 . 1 6 k g荷重）は 0 . 5〜 3 0 1 0分の範囲であるのが好ましい。

基材層（ィ）に使用する無機微細粉末としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、焼成クレー、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、珪藻土、酸化珪素等を例示することが出来る。中でも重質炭酸カルシウム、酸化チタン、を使用すれば、安価で延伸時に多くの空孔が形成され白色不透明なフィルム台紙を得るのに好ましい。

有機フィラーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン一 6、ナイロン一 6 , 6、環状ォレフィンの単独重合体や環状ォレフィンとエチレンとの共重合体等であって、融点が 1 2 0〜3 0 0 °C、ないしはガラス転移温度が 1 2 0〜2 8 0 °Cを有するものを挙げることができる。中でも環状ォレフィンの単独重合体や環状ォレフィンとェチレンとの共重合体を用いることがハンドリングの点で好ましい。

基材層（ィ）には、上記の微細粉末の中から 1種を選択してこれを単独で使用してもよいし、 2種以上を選択して組み合わせて使用してもよい。

微細粉末の好ましい平均粒子径の範囲は 0 . 1〜3 0 / mである。粒子径が 0 . 1 /z m以下ではプロピレン重合体に混合したときに分散不良による凝集物の発生が多く延伸切れの原因ともなる。また、延伸による空孔形成が困難となり所望の白色不透明な延伸フィルム台紙が得られない。

平均粒子径が 3 Ο μπι以上では、延伸性が大きく低下し延伸切れが多くなる。また、表面層（口）に突起として現れ、表面平滑性が低下し高精細な印刷が出来なくなる。

表面層（口）に使用するプロピレン系ランダム共重合体（C) は、メタ口セン触媒で重合されたプロピレン · エチレンランダム共重合体又はプロピレン ·ブテン一 1ランダム共重合体であって、オルソジクロルベンゼンを溶媒として 40°C において抽出した抽出量が 4. 0重量％以下0)-1) のもの、及びエチレン 2〜 1 0重量⁰ /₀及びプロピレン 90〜98重量⁰ /₀のランダム共重合体、エチレン 0〜5 重量％、ブテン一 1 ： 8〜30重量％のランダム共重合体で、 DSCによる融解ピーク温度が 1 10〜 140°Cの範囲であるのがブリスターパック用台紙として必要なシール強度（400 gZ c m以上）を得るのに好ましい。

表面層（口）に使用する帯電防止剤（D) としては、ポリプロピレン系樹脂、芳香族環含有ポリエーテルエステルアミド、ポリアミド樹脂及び変性低分子量ポリプロピレンからなる樹脂組成物が低温でのシール強度の低下を少なくすることと、印刷適性を向上させる点で好ましい。これら樹脂組成物は混合して使用してもよく、また芳香族環含有ポリエーテルエステルアミド榭脂の重合過程で変性低分子量ポリプロピレンを共重合して得られたものとポリアミド樹脂及びポリプロピレンを混合したものでもよい。

上記のポリアミド樹脂としては、炭素数 6〜1 2又はそれ以上のラクタムの開環重合体、炭素数 6〜1 2又はそれ以上のアミノカルボン酸の重縮合体及び、炭素数 4〜20のジカルボン酸と炭素数 6〜 1 2の又はそれ以上のジァミンの重縮合体などが挙げられる。

具体的には、ナイロン 66、ナイロン 69、ナイロン 6 10、ナイロン 6 1 2、ナイロン 6、ナイロン 1 1、ナイロン 1 2、ナイロン 46等を挙げることができる。また、ナイロン 6 66、ナイロン 6Zl l、ナイロン 6ノ 1 2、ナイロン 6 / 6 6 / 1 2、等の共重合ポリアミド類も使用することができる。更には、テレフタル酸、イソフタル酸、等の芳香族ジカルボン酸とメタキシレンジアミン又は、脂肪酸ジァミンから得られる芳香族含有ポリアミド類等が挙げられる。これらの中でも特に好ましいものはナイロン 6 6、ナイロン 6、ナイロン 1 2である。帯電防止剤（D ) における芳香族環含有ポリエーテルエステルアミドの含有量は、通常 4 0〜9 0重量⁰ /₀、好ましくは 4 5〜8 0重量％の範囲である。上記成分が 4 0重量％以下では帯電防止性能がでず、また 9 0重量％以上ではフィルム成形性が低下する。

また、ポリプロピレン及び変性低分子量ポリプロピレンの含有量、及びポリアミド樹脂の含有量は、それぞれに通常 0〜 2 0重量％、好ましくは 1〜 1 0重量％の範囲で調整される。

基材層（ィ）は、プロピレン系重合体（A) を 4 0〜9 0重量％、無機微細粉末及び又は有機フィラー（B ) 1 0〜6 0重量％を含有する樹脂組成物を延伸することにより形成する。

表面層（口）は、プロピレン系ランダム共重合体（C ) 7 0〜9 5重量％、ポリエ一テルエステルアミド系帯電防止剤（D ) 5〜 3 0重量を含有する樹脂組成物を延伸することにより形成する。

基材層（ィ）におけるプロピレン重合体（A) は多層樹脂延伸フィルムの強度、剛性、耐熱性に寄与するのでその配合量は 4 0重量％以上にする。 4 0重量％未満では十分な強度、剛性、耐熱性が得られなくなり、さらには延伸切れ等が発生し成形性が大きく低下する。

無機微細粉末及び Z又は有機フィラー（B ) は多層樹脂延伸フィルムの不透明度に寄与するので 1 0重量％以上にする。 1 0重量％未満ではブリスターパック用台紙として必要な 7 0 %以上、より好ましい 8 0 %以上の不透明度を有するフイルム台紙が得られない。また 6 0重量％を越えて配合すると、延伸切れや膜割れ等が発生し成形性が大きく低下する。

表面層（口）におけるプロピレン系ランダム共重合体（C ) は多層樹脂延伸フイルムの、熱及び溶断シール強度、表面光沢度に寄与するので 7 0重量％以上にする。 7 0重量％未満では熱及び溶断でのシール強度が低下し、ブリスターパックにした場合、容器内に入れた商品が搬送時や店で展示した時等に飛び出す危険性が高くなる。また、光沢度も低下し、印刷した時の印刷物の光沢感がなくなり、商品の加飾性の低下にもなる。

表面層（口）におけるポリエーテルエステルアミド系帯電防止剤（D ) は、印刷適性におけるインキ密着性、枚葉オフセット印刷における給排紙性、インキ密着性に寄与するので 5重量％以上にする。 3 0重量％をこえては熱及び溶断でのシールされた時の容器とのシール強度の低下が大きい。

基材層（ィ）及び表面層（口）の樹脂組成物には必要に応じて、熱安定剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、核剤、滑剤、分散剤等を配合してもよい。これらは 3重量％以下の割合で配合するのが好ましい。

製造する多層樹脂延伸フィルムの全厚さは 4 0〜4 0 0 mが好ましく、より好ましくは 6 0〜3 5 0 ju m、更に好ましくは 8 0〜 3 0 Ο μ πιの範囲である。基材層（ィ）の厚さは全厚さの 5 0 %〜 8 0 %が好ましい。

[多層樹脂延伸フィルムの製造と加ェ]

本発明の多層樹脂延伸フィルムは、当業者に公知の種々の方法を組み合わせることによって製造することができる。いかなる方法により製造された多層樹脂延伸フィルム台紙であっても、本発明で規定する条件を満たすものである限り本発明の範囲内に包含される。

本発明の多層樹脂延伸フィルムを構成する各層は、上記プロピレン系重合体 (Α)、無機微細粉末及び/又は有機フィラー（Β )、融点が 1 1 0〜 1 4 0 °Cの範囲を有するプロピレン系ランダム共重合体（C )、ポリエーテルエステルァミド系帯電防止剤（D ) を所定の割合で混合し、押出し等の方法により形成することができる。

その後、積層と 1軸延伸を行うことにより本発明の多層樹脂延伸フィルムを製造することができる。

本発明の多層樹脂延伸フィルムは基材層（ィ）と表面層（口）を別々に延伸した後に積層することによって製造してもよいし、基材層（ィ）と表面層（口）を積層した後にまとめて延伸して製造してもよい。これらの方法は適宜組み合わせることもできる。好ましい製造方法は基材層（ィ）と表面層（口）を積層した後にまとめて延伸する工程を含む方法である。別個に延伸して積層する場合に比べると簡便であり製造コストも安くなる。

延伸には、公知の種々の方法を使用することができる。延伸は、各層に用いる樹脂の中で一番低い融点を有する樹脂の融点より 5 °C以上低い温度で行うのが好ましい。延伸は 1軸方向に延伸したものが好ましく、プリスターパック台紙として使用した時の収納商品を取り出す際に台紙が 1方向に直線的に引き裂かれるので、商品を容易に取り出すことができる。

一方、 2軸方向の延伸では引き裂き方向が一定せず商品の取り出しを容易に行う事ができない。更に、無延伸では商品を取り出す際に台紙が容易に伸びてしまい容易に取り出せない。またオフセット印刷の高速での吸排紙に必要な剛性が不足する。

1軸延伸の具体的な方法としては、口ール群の周速差を利用した口ール間延伸、テンターオーブンを利用したクリップ延伸などを挙げることができる。

中でも 1軸方向のロール間延伸によれば、延伸倍率を任意に調整して、任意の剛性、不透明度、光沢度のフィルムを得ることが容易であるので好ましい。

延伸倍率は特に限定される物ではなく、本発明の多層樹脂延伸フィルムの使用目的と、用いる樹脂の特性を考慮して決定する。通常は 2〜1 1倍の範囲内で延伸する。中でもロールの周速差を利用したロール間延伸では 2〜7倍、熱オーブン中で行うクリップ延伸の場合は 5〜 1 1倍で延伸することがより好ましい。延伸後には熱処理を行うのが好ましい。熱処理の温度は、延伸温度から延伸温度より 3 0 °C高い温度の範囲内を選択することが好ましい。熱処理を行うことにより、延伸方向の熱収縮率が低減し、製品保管時の巻き締まりや、熱及び溶断シール時の収縮による波打ち等が少なくなる。

熱処理の方法はロール及び熱オーブンで行うのが一般的であるが、これらを組合わせてもよい。これら処理は延伸したフィルムを緊張下に保持された状態において熱処理するのが高い処理効果が得られるので好ましい。

また、必要に応じて表面にコロナ放電処理やプラズマ処理を施すと、印刷インキの密着性が向上するなどの利点があるため望ましい。更にはその上に帯電防止剤やアンカー剤等を塗布又はコーティングして使用してもよい。

本発明の多層樹脂延伸フィルムの表面層（口）及び裏面に使用目的に応じて印刷を行うことができる。印刷の種類や方法は特に限定されない。例えば公知のビヒクルに顔料を分散したインクを用いたグラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、シール印刷、 U Vオフセット印刷、オフセット輪転印刷等の公知の印刷手段を用いて印刷することができる。また金属蒸着、金属箔押し、ニスコート、溶融熱転写印字などの印刷をすることもできが、より高精細な印刷を行うにはオフセット印刷が好ましい。

本発明の多層樹脂延伸フィルムは、ブリスターパック用台紙に有用であるが、へッダーラベルの台紙や真空パック包装用台紙などの包装用や、フアイルバインダー、マウスパットなど事務用品の用途にも供することができる。

すなわち、本発明の多層樹脂延伸フィルムは両面に優れた印刷適性と、片面の印刷文字や絵柄が他方の面に透過しない不透明性をもち、かつ熱及び Z又は溶断でシールを行なった際に優れたシール強度を有するので、透明なポリプロピレン系シートを熱成形して得られるブリスター容器の台紙として優れている。

更に、ブリスターパックとして使用する際には、本発明の多層樹脂延伸フィルムはー軸方向へ延伸されているので、定幅で直線的に引き裂くことが可能であり、商品取り出しの際の開封性にも優れる。

本発明の多層樹脂延伸フィルムの J I S - P - 8 1 3 8で測定された不透明度は 7 0 %以上が好ましく、より好ましくは 8 0 %以上である。

不透明度が 7 0 %未満ではブリスターパック用台紙に使用する場合は両面に印刷が施されるので片面に印刷された文字や絵柄が反対面に透過して見えるために台紙裏面にバーコ一ドなどを印字して商品管理を行う揚合にバーコ一ドの読みとり不良が生じる。ぐ実施例 >

以下に実験例、実施例、比較例及び試験例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。

以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。

以下の実施例及び比較例で使用する材料を表 1にまとめて示す。なお、表中の MF Rはメルトフローレ一トを意味する。

(実験例 1 )

〔芳香族環含有ポリエーテルエステルアミドの製造〕

内容量 3リットルのステンレス製ォートクレーブ内に、 1 2—ァミノデカン酸 1 1 0部、アジピン酸 1 6. 3部、ィルガノックス · 1 0 10 (チバガイギ一社製酸化防止剤；商品名） 0. 3部及び水 7部を仕込みオートクレープ内を窒素ガスで置換した後、 220°Cの温度で加圧密閉下 4時間加熱撹拌し、両末端にカルボキシル基を有する酸価 1 07のポリアミドオリゴマーを 1 1 7部得た。

次に、数平均分子量 2, 000のビスフエノール Aエチレンオキサイド付加物 225部、酢酸ジルコニル 0. 5部を加え、 245°C、 ImmHg以下の減圧の条件下で 5時間重合し、ポリマーを得た。

このポリマーをベルト上にストランド状で取り出し、ペレタイズすることによつてポリエーテルエステルアミドを得た。

このものの還元粘度（ s p/C m_タレゾール溶媒、 2 5°C、 C = 0. 5 重量％) は 2. 1であった。

(実験例 2 )

〔変性低分子量ポリオレフィンの製造〕

熱減成して得られた数平均分子量 3, 000、密度 0. 92 g/cm³の低分子量ポリエチレン 9 5部と無水マレイン酸 5部及びキシレン 60部を窒素気流下 140°Cの温度で溶融し、次いでこれにターシャリーブチルバーォキサイド 1. 5部を溶かしたキシレン 50%溶液を 1 5分かけて滴下し、その後 1時間反応を行った。反応終了後、溶剤を留去して酸変性低分子量ポリプロピレンを得た。このものの数平均分子量は 5， 000であった。表 1

[実施例 1〜 5及び比較例 1〜 4 ]

以下の手順に従って本発明の多層樹脂延伸フィルム（実施例 1〜5) 及び比較用の多層樹脂延伸フィルム（比較例 1〜4 ) を製造し、さらにこれらを用いてブリスターパックを製造した。表 2に各フィルム台紙の製造にあたって使用した材料の種類と量（重量％)、延伸条件を、表 3には得られたフィルムの物性及び印刷適性、ブリスターパックに加工した時のシール強度、開封性等をまとめて示した。プロピレン系重合体、メタロセン触媒より重合されたプロピレン系ランダム重合体、帯電防止剤、微細粉末を混合することによって、表 2に示す配合物 [A] 及び [ B ] を調整した。配合物 [ A]、配合物 [ B ] を 2 5 0 °Cに設定された 3台の押出機で溶融混練し、ダイ内で配合物 [A] の表裏両側に配合物 [ B ] を積層して押出成形し、冷却装置にて 7 0 °Cまで冷却して、 3層の無延伸シートを得た。形成された 3層の無延伸シートを表 2に示す所定の温度に加熱した後、縦方向に口ール間で表 2に示す所定の倍率で延伸し 1軸延伸フィルムを得た。ただし、比較例 1では前記同様の 1軸延伸フィルムを得、次いで 1 5 5 °Cに加熱した後、テンター延伸機を用いて横方向に 9倍延伸して 2軸延伸フィルムを得た。また、比較例 2では延伸を行わなかった。

次いで得られた、無延伸フィルム及び延伸フィルムの両面に放電処理機（春日電機（株）製）を用いて 4 0 w Zm² ·分のコロナ放電処理を行って多層樹脂延伸フィルムを得た。

得られた多層樹脂延伸フィルムの層厚さ、物性は表 3に示すとおりであった。これらの多層樹脂延伸フィルムの表面及び裏面に商品名や能書き、及び表品管理を行うためのバーコード等の情報を U Vオフセット印刷（インキ； T & K T O K A (株）製：商品名「べストキユア一 1 6 1 S」）を施した後、すでに歯ブラシが収容されたポリプロピレンを主成分とした透明なブリスター容器用シートの上に重ね溶断シーラー、熱シーラ一でシールした。

(試験例）

製造した各多層樹脂フィルム台紙について、不透明度を測定した。また印刷適性の評価を行なつた。また製造したブリスターパックについても容器と台紙のシール強度と開封性について評価した。各試験の詳細は以下に示すとおりである。

1) 不透明度

測定機（スガ試験機（株）社製：商品名「SMカラーコンピューター」）を用いて J I S-Z- 8 7 22の測定法で測定した。

2) 印刷適性

製造した各多層樹脂延伸フィルムを菊全版（6 36mmX 93 9 mm) のサイズで 1 000枚を、インキ（T&K TOKA (株）社製：商品名「ベストキュァー 1 6 1 S」）を用いて、ハイデルベルグ社 UVオフセット印刷機で 7000枚 Z分の速度で印刷を両面に行った。

ィ）給排紙性の評価は下記の基準により評価した。

0 : 1 000枚連続で問題なく給排紙された。

△：給紙で 1〜 3回の機械停止があった。

X ：給紙で 4回以上の機械停止があり且つ、排紙部でそろわない。口）インキ密着性の評価

得られた印刷物のベタ印刷された面に粘着テープ（ニチバン（株）：商品名「セ口テープ」）を貼り付けて十分に押し付けた後、粘着テープを粘着面に対して 90 度の方向に一定の速度で引き剥がした。延伸フィルム台紙からのィンキの取られ方を肉眼で観察し下記の基準で評価した。

〇：全くィンキが剥がれない。

△：テープの剥離時に抵抗はあるがインキのほとんどが剥がれ実用上問題がある。

X ：テープの剥離時に抵抗がなくインキの全量が剥がれて、実用上使用できない。

3) シール強度

製造した多層樹脂延伸フィルムと厚さ 0. 2mmのポリプロピレン系透明シート（出光石油化学（株）社製：商品名「ピュアーソフティ」）を重ね合わせ、富士インパルス（株）社製インパルスシーラー；商品名「F I— 400Y」を用いて下記条件でシールし、シールされたシール部を 1 Omm幅に断裁して、引っ張り速度 3 OmmZ分で 1 80度剥離試験を行ないシール強度を求めた。

ィ）溶断シール強度

シールバー： 1 mm φ熱線

保持時間： 5. 5秒

加熱温度：接着部温度約 1 80°C

加熱時間： 1. 5秒

口）熱シール強度

シーノレバー： 5 mm幅の熱板

保持時間： 5. 5秒

加熱温度：接着部温度約 1 80°C

加熱時間： 1. 5秒

層厚さ（ji m) 不透明度印刷性開封性

[B] [A] [B] (%) 給排紙インキ密耄溶断熱、 "ル

実施例 1 20 100 20 82 〇〇 2100 650 o 実施例 2 20 100 20 90 〇〇 1800 600 〇実施例 3 20 100 20 92 〇〇 1650 550 〇実施例 4 30 80 30 94 〇〇 1900 800 〇実施例 5 15 130 15 85 〇〇 1700 520 〇扁列 1 20 100 20 94 〇 △ 1400 300 △ 臓列 2 20 100 20 55 X 〇 2200 670 X 扁列 3 30 80 30 65 X X 900 150 〇繊列 4 20 100 20 89 〇〇 400 100 〇以上の結果から明らかなように、本発明の多層樹脂延伸フィルムは不透明性、印刷性に優れ、ブリスターパックに加工した場合にも、優れたシール強度と開封性に優れる（実施例 1 ~ 5 )。

これに対して、本発明の条件を外れている多層樹脂延伸フィルムは特性が劣り実用性がない（比較例 1〜4 )。本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとつて明らかである。

本出願は、 2001年 6月 12 日出願の日本特許出願（特願 2001— 177326) に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

<産業上の利用可能性 >

本発明の多層樹脂延伸フィルムは、白色不透明で枚葉オフセット印刷性に優れ、ブリスターパック加工した際の容器との高いシール強度が得られ、商品取り出しの際の開封性にも優れた性質を有する。

このため、本発明の多層樹脂延伸フィルムは、プリスターパック用台紙を始め、ヘッダーラベルの台紙、真空パック包装用台紙、マウスパットなどに効果的に供することができる。

Claims

請求の範囲

1. プロピレン系重合体（A) 40〜90重量％、無機微細粉末及び又は有機フィラー（B) 1 0〜60重量％を含有する 1軸延伸フィルム基材層（ィ）の少なくとも片面に、プロピレン系ランダム共重合体（C) 70〜95重量％、帯電防止剤（D) 5〜30重量％を含有する印刷可能な 1軸延伸フィルム表面層

(口）を有し、熱及び/又は溶断でシールが可能な不透明度が 70%以上の多層樹脂延伸フィルム。

2. プロピレン系重合体が、下記（a-1) 〜（a-3) より選ばれる請求の範囲第 1項に記載の多層樹脂延伸フィルム。

(a-1) エチレン 2〜1 0重量⁰ /₀、及びプロピレン 90〜 98重量⁰ /₀のランダム共重合体。

(a- 2) エチレン 0〜5重量⁰ /₀、ブテン _ 1 ： 8〜30重量％、及びプロピレン 65〜92重量％のランダム共重合体。

(a-3) プロピレン単独重合体。

3. 無機微細粉末（B) 力炭酸カルシウム、酸化チタンを主として含む配合物である請求の範囲第 1項に記載の多層樹脂延伸フィルム。

4. プロピレン系ランダム共重合体（C) 力メタ口セン触媒で重合された、プロピレン · エチレンランダム共重合体又はプロピレン · ブテン一 1ランダム共重合体であって、下記（b-1) 、 (b-2) の特性を有する請求の範囲第 1項に記載の多層樹脂延伸フィルム。

(b-1) オルソジクロルベンゼンを溶媒として、 40°Cにおいて抽出した抽出量が 4. 0重量％以下である。

(b-2) D S Cによる融解ピーク温度が 1 10〜 140°Cの範囲である。

5 . プロピレン系ランダム共重合体（C ) 力 D S Cによる融解ピーク温度が 1 1 0 ~ 1 4 0 °Cの範囲のエチレン 2 〜 1 0重量⁰ /₀及びプロピレン 9 0〜 9 8重量⁰ /₀とのランダム共重合体、又はエチレン 0〜 5重量％、ブテン一 1 ： 8 〜 3 0重量⁰ /₀及びプロピレン 6 5〜 9 2重量⁰ /₀のランダム共重合体より選ばれたものである請求の範囲第 1項に記載の多層樹脂延伸フィルム。

6 . 帯電防止剤（D ) 力ポリプロピレン系樹脂、芳香族環含有ポリエーテルエステルアミド、ポリアミド樹脂及び変性低分子量ポリプロピレンからなる樹脂組成物である請求の範囲第 1項に記載の多層樹脂延伸フィルム。

7 . 1軸延伸フィルムが、ロール間及び Z又はオーブン内で熱延伸されたものである請求の範囲第 1項〜第 6項に記載の多層樹脂延伸フィルム。

8 . 包装容器が熱成形により成形された透明なプロピレン系シート容器であり、その中に商品物体を収容し、該容器の開放面に、両面に印刷が施された請求の範囲第 1項〜第 7項に記載の多層樹脂延伸フィルムを重ね、上面より熱及び /又は溶断でシールしたブリスターパック。