JPWO2020166714A1 - 複合体化タンパク質、抗体複合体、医薬組成物、および核酸 - Google Patents
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Abstract
抗体またはその抗原結合断片に対して、所望の抗原に対する結合性を付加可能な複合体化タンパク質を提供する。本発明の複合体化タンパク質は、第1の抗原結合ドメインと、第2の抗原結合ドメインとを含み、前記第1の抗原結合ドメインは、免疫グロブリンに結合可能であり、前記第2の抗原結合ドメインは、所望の抗原に結合可能である。
Description
本発明は、複合体化タンパク質、抗体複合体、医薬組成物、および核酸に関する。
多重特異性抗体では、1つの抗体分子が、異なる抗原に対して結合性を示す抗原結合ドメインを有する。前記多重特異性抗体を、腫瘍抗原とCD3εとに結合する抗体とすることにより、T細胞を介した細胞傷害を誘導できることから、前記多重特異性抗体は、抗癌剤としての臨床開発が進められている。また、前記多重特異性抗体によれば、複数のタンパク質を近傍に配置することも可能になるため、血液凝固因子をターゲットとした血友病治療薬が開発され、販売されている。
しかしながら、多重特異性抗体は、その製造効率が極めて低く、またその製造が困難であるという問題がある。例えば、二重特異性抗体は、2種類の重鎖(H鎖)および2種類の軽鎖(L鎖)から構成される。また、2種類のH鎖および2種類のL鎖を発現させ、前記二重特異性抗体を製造する場合、発現する抗体における2つのH鎖および2つのL鎖の組合せは10通りとなり、目的とする二重特異性抗体以外に9種類もの不要な抗体が製造されることとなる(特許文献1)。
そこで、本発明は、抗体またはその抗原結合断片に対して、所望の抗原に対する結合性を付加可能な複合体化タンパク質の提供を目的とする。
前記目的を達成するため、本発明の複合体化タンパク質は、第1の抗原結合ドメインと、第2の抗原結合ドメインとを含み、
前記第1の抗原結合ドメインは、免疫グロブリンに結合可能であり、
前記第2の抗原結合ドメインは、所望の抗原に結合可能である。
前記第1の抗原結合ドメインは、免疫グロブリンに結合可能であり、
前記第2の抗原結合ドメインは、所望の抗原に結合可能である。
本発明の抗体複合体は、標的抗原に結合可能な抗体またはその抗原結合断片と、複合体化タンパク質とを含み、
前記複合体化タンパク質は、前記本発明の複合体化タンパク質であり、
前記複合体化タンパク質は、その第1の抗原結合ドメインより前記抗体またはその抗原結合断片と結合し、複合体化している。
前記複合体化タンパク質は、前記本発明の複合体化タンパク質であり、
前記複合体化タンパク質は、その第1の抗原結合ドメインより前記抗体またはその抗原結合断片と結合し、複合体化している。
本発明の医薬組成物は、前記本発明の複合体化タンパク質を含む。
本発明の核酸は、前記本発明の複合体化タンパク質をコードする。
本発明の複合体化タンパク質によれば、抗体またはその抗原結合断片に対して、所望の抗原に対する結合性を付加できる。
<複合体化タンパク質>
本発明の複合体化タンパク質は、前述のように、第1の抗原結合ドメインと(以下、「第1の結合ドメイン」ともいう)、第2の抗原結合ドメイン(以下、「第2の結合ドメイン」ともいう)とを含み、前記第1の抗原結合ドメインは、免疫グロブリンに結合可能であり、前記第2の抗原結合ドメインは、所望の抗原に結合可能である。本発明の複合体化タンパク質は、前記第1の抗原結合ドメインは、免疫グロブリンに結合可能であり、前記第2の抗原結合ドメインは、所望の抗原に結合可能であることが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。
本発明の複合体化タンパク質は、前述のように、第1の抗原結合ドメインと(以下、「第1の結合ドメイン」ともいう)、第2の抗原結合ドメイン(以下、「第2の結合ドメイン」ともいう)とを含み、前記第1の抗原結合ドメインは、免疫グロブリンに結合可能であり、前記第2の抗原結合ドメインは、所望の抗原に結合可能である。本発明の複合体化タンパク質は、前記第1の抗原結合ドメインは、免疫グロブリンに結合可能であり、前記第2の抗原結合ドメインは、所望の抗原に結合可能であることが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。
本発明の複合体化タンパク質は、図1(A)に示すように、前記第1の結合ドメインにより、免疫グロブリン、すなわち、抗体またはその抗原結合断片と結合できる。また、本発明の複合体化タンパク質は、前記第2の抗原結合ドメインにより、所望の抗原に結合できる。このため、図1(B)に示すように、本発明の複合体化タンパク質を免疫グロブリンと接触させると、前記複合体化タンパク質が免疫グロブリンと結合することにより、複合体化する。この結果、形成された抗体複合体は、抗原結合ドメインとして、免疫グロブリンの抗原結合ドメインに加え、前記複合体化タンパク質の第2の結合ドメインを含む。すなわち、前記複合体化タンパク質は、前記免疫グロブリンと複合体化することにより、前記免疫グロブリンに対して、前記第2の結合ドメインという新たな抗原結合ドメインを付与できる。また、前記第2の結合ドメインが結合する対象は、所望の抗原とできる。このため、本発明の複合体化タンパク質によれば、抗体またはその抗原結合断片に対して、所望の抗原に対する結合性を付加できる。したがって、本発明の複合体化タンパク質によれば、多重特異性抗体と同様の機能を有する抗体複合体を簡便に製造できる。また、本発明の複合体化タンパク質では、前記第2の結合ドメインの結合対象、すなわち、前記所望の抗原を制御し、前記免疫グロブリンと組合せて使用することで前述の多重特異性抗体と同様の機能を発揮できる。具体例として、前記第2の結合ドメインが結合する所望の抗原をCD3等のT細胞上に発現する抗原とし、前記免疫グロブリンの結合ドメインの結合対象を腫瘍抗原とすることにより、前記複合体化タンパク質と前記免疫グロブリンとの抗体複合体は、例えば、がん細胞に結合し、かつT細胞とNK細胞とをリクルートできるため、多重特異性抗体を含む抗癌剤と同様の機能を発揮する抗癌剤として使用できる。また、前記抗体複合体は、前記第2の結合ドメインの結合対象と、前記免疫グロブリンの結合対象とを近傍に配置することができ、前記抗体複合体は、例えば、前述の血友病治療薬と同様の機能を発揮する血友病治療薬として使用できる。前記抗体複合体は、前記第2の結合ドメインの結合対象と、前記免疫グロブリンの結合対象とを近傍に配置することができるため、例えば、複合体を形成している受容体等を離隔し、受容体を介したシグナルを抑制することができる。さらに、前記抗体複合体は、例えば、複数の抗原に結合可能であるため、複数の抗原の除去にも使用でき、例えば、疾患の原因物質となる抗原の除去にも使用できる。
本発明において、「ドメイン」は、例えば、ポリペプチドにおいて、立体構造または機能的にまとまった領域を意味する。前記ポリペプチドは、例えば、10アミノ酸以上の長さを有するペプチドがあげられる。
本発明において、「結合可能」は、結合物である抗体等が、前記結合物に結合される結合対象物に対して実際に結合することを意味してもよいし、分子ドッキング法等を用いたシミュレーションにおいて結合することを意味してもよいが、好ましくは、前者である。前記結合物と前記結合対象物との結合は、例えば、タンパク質間相互作用の解析方法を利用して検出でき、例えば、共免疫沈降、プルダウンアッセイ、ELISA法、フローサイトメトリー等の抗体抗原反応を利用した方法を利用して検出できる。具体例として、前記結合物と前記結合対象物との結合は、例えば、前記結合対象物を発現する細胞と、標識化した結合物とを接触後、前記細胞において、標識を検出することにより検出できる。
本発明において、前記免疫グロブリンは、抗体でもよいし、その抗原結合断片でもよいが、好ましくは、定常領域(Fc領域)を含む抗体またはその抗原結合断片であり、生体における安定性が高いことから、より好ましくは、抗体である。前記免疫グロブリンは、例えば、可溶型免疫グロブリンということもできる。以下、特に言及しない限り、本発明の複合体化タンパク質の結合対象である抗体またはその抗原結合断片について、「抗体等」ともいう。前記抗体等の結合対象は、特に制限されず、任意の抗原とできる。前記抗体等は、例えば、1つまたは複数の抗原に結合可能である。後者の場合、前記抗体等は、例えば、二重特異性抗体等の多重特異性抗体またはその抗原結合断片ということもできる。前記抗体の種類は、例えば、IgA、IgD、IgE、IgG、またはIgMがあげられる。IgAは、例えば、IgA1またはIgA2があげられる。IgGは、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4があげられる。前記抗原結合断片は、例えば、前記抗体の一部、より具体的には、前記抗体の結合領域または可変領域を含むポリペプチドである。前記抗原結合断片は、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、rIgG(半IgG)断片、一本鎖抗体(scFv)、二重可変ドメイン抗体(DVD−Ig(商標))、ダイアボディ(diabody)、トリアボディ(triabody)、テトラボディ(tetrabody)、タンダブ(tanda)、scFvとダイアボディとの組合せであるフレキシボディ(flexibody)、タンデム(tandem)scFv(例えば、BiTE(登録商標)、Micromet社),DART(登録商標)(MacroGenics社)、Fcab(商標)またはmAb2(商標)(F-star社)、Fc engineering抗体(Xencor社)またはDuoBody(登録商標)(Genmab社)等があげられる。前記免疫グロブリンは、公知の免疫グロブリン、すなわち、公知の抗体またはその抗原結合断片を用いてもよいし、任意の抗原を免疫することにより得られる、新たな抗体またはその抗原結合断片を用いてもよい。
前記抗体等の由来は、特に制限されず、例えば、ヒトまたは非ヒト動物があげられる。前記非ヒト動物は、例えば、マウス、ラット、イヌ、サル、ウサギ、ヒツジ、ウマ、ブタ等の哺乳類;ニワトリ、エミュー等の鳥類;等があげられる。前記抗体等は、例えば、複数の動物に由来してもよい。すなわち、前記抗体等は、キメラ抗体またはその抗原結合断片でもよいし、ヒト化抗体またはその抗原結合断片でもよい。
前記第1の結合ドメインは、前記免疫グロブリン(抗体等)に結合可能であればよい。前記抗体等における第1の結合ドメインの結合位置、すなわち、前記抗体等における第1の結合ドメインのエピトープの位置は、特に制限されず、前記抗体等と、前記抗体等の抗原との結合を阻害しない範囲で、任意に設定できる。前記第1の結合ドメインは、例えば、前記抗体等における結合領域または可変領域以外の領域内にエピトープを有し、好ましくは、定常(Fc)領域内にエピトープを有する。前記Fc領域は、重鎖のFc領域でもよいし、軽鎖のFc領域でもよい。前記重鎖のFc領域は、例えば、CH1領域、CH2領域、またはCH3領域があげられる。前記軽鎖のFc領域は、例えば、CL領域があげられる。前記第1の結合ドメインは、例えば、抗体を介した補体活性または細胞傷害活性の低下を抑制できることから、前記免疫グロブリンにおけるFc受容体の結合領域以外の領域内にエピトープを有することが好ましく、具体例として、CH1領域またはCH3領域があげられる。前記抗体等がIgGまたはその抗原結合断片の場合、前記第1の結合ドメインは、例えば、Fc領域のEUナンバリングで表される部位のうち232〜236位以外の領域内にエピトープを有し、好ましくは、237〜447位、237〜340位、341〜447位、250〜447位、260〜447位、270〜447位、280〜447位、290〜447位、300〜447位、310〜447位、320〜447位、330〜447位、340〜447位、350〜447位、360〜447位、370〜447位、380〜447位、390〜447位、400〜447位、410〜447位、420〜447位、または430〜447位の領域内にエピトープを有する。前記EUナンバリングは、下記参考文献1に準じて決定できる。
参考文献1:Edelman, G.M. et al., Proc. Natl. Acad. USA, 63, 78-85 (1969)
参考文献1:Edelman, G.M. et al., Proc. Natl. Acad. USA, 63, 78-85 (1969)
前記免疫グロブリンにおけるFc受容体の結合領域は、例えば、NK細胞が抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を示す際に、そのFc受容体を介して結合する領域である。前記免疫グロブリンにおけるFc受容体の結合領域以外の領域は、例えば、Fc領域において、NK細胞のADCC活性を阻害しない領域ということもできる。また、前記免疫グロブリンにおけるFc受容体の結合領域以外の領域は、例えば、NK細胞のADCC活性が、抑制されるか否かを指標に検討できる。具体例として、抗体と、前記抗体が結合する抗原を発現する細胞(標的細胞)と、対象の第1の結合ドメインを有する複合体化タンパク質と、NK細胞とを共存して培養した際に示すNK細胞の傷害活性が、抗体と、前記抗体が結合する抗原を発現する細胞(標的細胞)と、NK細胞とを共存して培養した際に示すNK細胞の傷害活性を基準として、有意差がない場合、前記複合体化タンパク質における対象の第1の結合ドメインは、前記免疫グロブリンにおけるFc受容体の結合領域以外の領域に結合しているといえる。前記免疫グロブリンにおけるFc受容体の結合領域は、例えば、Fc領域のEUナンバリングで表される部位のうち、233〜237位(ELLGG)、239位(S)、265位(D)、269位(E)、294位(E)、296〜298位(YNS)、328位(L)および329位(P)である。前記標的細胞の数およびNK細胞の数、ならびに培養条件は、例えば、後述の実施例に準じて設定できる。
前記第1の結合ドメインは、前述のように、免疫グロブリンに結合可能であればよく、例えば、免疫グロブリンに結合可能なポリペプチドの構造を採用できる。具体例として、前記第1の結合ドメインは、例えば、前記抗体等に結合する受容体、前記抗体等に結合する、抗体またはその抗原結合断片があげられる。本発明において「結合」は、例えば、測定対象の抗体等と抗原とを接触後、得られた複合体をフローサイトメトリーで測定した際に、前記抗原と結合しないコントロールの抗体と比較して、有意に蛍光強度が上昇していることを意味する。
前記第1の結合ドメインが抗体等に結合する受容体の場合、前記第1の結合ドメインは、例えば、Fc受容体があげられる。前記Fc受容体の種類は、特に制限されず、例えば、前記免疫グロブリンの種類に応じて適宜設定できる。前記Fc受容体は、例えば、FcαRI(CD89)、Fcα/μR等のFcαR;FcεRI等のFcεR;FcγRIa(CD64)、FcγRIIa(CD32)、FcγRIIb1(CD32)、FcγRIIb2(CD32)、FcγRIIIa(CD16)、FcγRIIIbのFcγR;Fcα/μR等のFcμR;FcRn(neonatal Fc receptor);等があげられる。前記免疫グロブリンがIgGの場合、前記Fc受容体は、例えば、FcγR等があげられる。前記第1の結合ドメインは、前記Fc受容体の全アミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、その部分配列からなるポリペプチドでもよい。後者の場合、前記部分配列からなるポリペプチドは、前記免疫グロブリンに結合可能である、すなわち、前記Fc受容体のリガンド結合ドメインを含む。
前記第1の結合ドメインが抗体等に結合する、抗体またはその抗原結合断片である場合、前記第1の結合ドメインは、前述の抗体またはその抗原結合断片と同様の構造を採用でき、例えば、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を有する。以下、前記第1の結合ドメインの重鎖可変領域および軽鎖可変領域を、それぞれ、第1の重鎖可変領域および第1の軽鎖可変領域ともいう。前記第1の重鎖可変領域および前記第1の軽鎖可変領域は、抗体分子における重鎖可変領域および軽鎖可変領域と同様の構造を有する。一般に、抗体分子の重鎖可変領域および軽鎖可変領域は、それぞれ、3ヶ所の相補性決定領域(CDR:Complemetarity determining region)を有している。CDRは、超可変領域(hypervariable domain)ともいう。CDRは、前記重鎖および軽鎖の可変領域でも、特に一次構造の変異性が高い領域であり、一次構造上において、通常、3ヶ所に分離している。本発明において、重鎖可変領域における3ヶ所のCDRを、重鎖可変領域のアミノ酸配列におけるアミノ末端(N末端)側から、重鎖CDR1(CDRH1)、重鎖CDR2(CDRH2)、および重鎖CDR3(CDRH3)と表し、軽鎖可変領域における3ヶ所のCDRを、軽鎖可変領域のアミノ酸配列におけるアミノ末端側から、軽鎖CDR1(CDRL1)、軽鎖CDR2(CDRL2)、および軽鎖CDR3(CDRL3)と表す。これらの部位は、立体構造の上で相互に近接し、結合する抗原に対する特異性を決定している。前記抗原結合断片は、前述の説明を援用できる。前記第1の結合ドメインは、scFvを含むことが好ましい、すなわち、前記免疫グロブリンに結合可能なscFvを含むことが好ましい。前記scFvは、例えば、重鎖可変領域と、軽鎖可変領域とをリンカーペプチドで連結することにより調製できる。前記リンカーペプチドのアミノ酸配列は、特に制限されない。
前記第1の結合ドメインが前記第1の重鎖可変領域および第1の軽鎖可変領域を有する場合、前記第1の重鎖可変領域および第1の軽鎖可変領域は、例えば、前記抗体等に結合する抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域に由来してもよいし、前記抗体等で免疫し、得られた抗体等に結合可能な抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域に由来してもよいし、ファージディスプレイ等のスクリーニング方法により得られた、抗体等に結合可能な抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域に由来してもよい。
抗体の抗原に対する結合性には、前述のように、重鎖可変領域および軽鎖可変領域における相補性決定領域(CDR)が重要である。このため、前記第1の重鎖可変領域のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、前記抗体等に結合する抗体の重鎖可変領域のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記抗体等に結合する抗体の重鎖可変領域のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。また、前記第1の軽鎖可変領域のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、前記抗体等に結合する抗体の軽鎖可変領域のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記抗体等に結合する抗体の軽鎖可変領域のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
前記第1の重鎖可変領域において、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3以外の領域、すなわち、フレームワーク領域(FR)は、例えば、前記抗体等に結合する抗体における重鎖可変領域のFRを含んでもよい。前記FRは、一次構造上において、通常、4ヶ所に分離している。本発明において、前記重鎖可変領域における4ヶ所のFRを、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列におけるN末端側から、重鎖FR1(FRH1)、重鎖FR2(FRH2)、重鎖FR3(FRH3)、および重鎖FR4(FRH4)と表す。なお、前記各CDRHと、前記各FRHとは、例えば、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列におけるN末端側から、FRH1、CDRH1、FRH2、CDRH2、FRH3、CDRH3、およびFRH4の順序で配置されている。前記第1の重鎖可変領域におけるFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4は、例えば、それぞれ、前記抗体等に結合する抗体のFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記抗体等に結合する抗体のFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。前記各CDRHの説明における「抗体等に結合する抗体」と、前記各FRHの説明における「抗体等に結合する抗体」とは、同じ抗体等であることが好ましい。
前記第1の軽鎖可変領域において、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3以外の領域、すなわち、フレームワーク領域(FR)は、例えば、前記抗体等に結合する抗体における軽鎖可変領域のFRを含んでもよい。前記FRは、一次構造上において、通常、4ヶ所に分離している。本発明において、前記軽鎖可変領域における4ヶ所のFRを、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列におけるN末端側から、軽鎖FR1(FRL1)、軽鎖FR2(FRL2)、軽鎖FR3(FRL3)、および軽鎖FR4(FRL4)と表す。なお、前記各CDRLと、前記各FRLとは、例えば、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列におけるN末端側から、FRL1、CDRL1、FRL2、CDRL2、FRL3、CDRL3、およびFRL4の順序で配置されている。前記第1の軽鎖可変領域におけるFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4は、例えば、それぞれ、前記抗体等に結合する抗体のFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記抗体等に結合する抗体のFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。前記各CDRLの説明における「抗体等に結合する抗体」と、前記各FRLの説明における「抗体等に結合する抗体」とは、同じ抗体等であることが好ましい。また、前記各CDRHの説明における「抗体等に結合する抗体」と、前記各CDRLの説明における「抗体等に結合する抗体」とは、同じ抗体等であることが好ましい。
前記抗体等に結合する抗体は、特に制限されず、例えば、抗体等の種類に応じて適宜選択できる。前記抗体等に結合する抗体は、公知の抗体等に結合する抗体でもよいし、前記抗体等で免疫し、得られた抗体等に結合可能な抗体でもよい。前記抗体がヒトIgGの場合、ヒトIgGに結合する抗体は、例えば、下記参考文献2および参考文献3に記載されている抗体があげられる。具体例として、前記抗体がヒトIgGの場合、ヒトIgGに結合する抗体(クローン名)は、例えば、HP6017、HP6000、HP6018、HP6043、HP6052、HP6064、HP6065、HP6087、HP6092、HP6044、HP6046、HP6063等があげられる。前記各種クローンの抗体を産生するハイブリドーマは、例えば、American Type Culture Collection (ATCC)等の寄託機関から入手できる。
参考文献2:Jefferis, R et.al., “Evaluation of monoclonal antibodies having specificity for human IgG sub-classes: results of an IUIS/WHO collaborative study.”, Immunol Lett., 1985, volume 10, Issues 3-4, pages 223-52
参考文献3: Reimer CB et.al, “Evaluation of thirty-one mouse monoclonal antibodies to human IgG epitopes.”, Hybridoma., 1984, volume 3, Isuue 3, pages 263-75
参考文献2:Jefferis, R et.al., “Evaluation of monoclonal antibodies having specificity for human IgG sub-classes: results of an IUIS/WHO collaborative study.”, Immunol Lett., 1985, volume 10, Issues 3-4, pages 223-52
参考文献3: Reimer CB et.al, “Evaluation of thirty-one mouse monoclonal antibodies to human IgG epitopes.”, Hybridoma., 1984, volume 3, Isuue 3, pages 263-75
前記抗体等がヒトIgGの場合、前記第1の結合ドメインは、例えば、ヒトIgG抗体と抗体複合体を形成した際に、前記抗体複合体にFcγ受容体を介してヒトNK細胞が結合し、前記ヒトNK細胞がADCC活性を発揮可能であることから、下記第1の重鎖可変領域および第1の軽鎖可変領域を含むことが好ましい。
(第1の重鎖可変領域)
CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
CDRH1が、下記(H1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH2が、下記(H2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH3が、下記(H3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
(第1の軽鎖可変領域)
CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、
CDRL1が、下記(L1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL2が、下記(L2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL3が、下記(L3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
(第1の重鎖可変領域)
CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
CDRH1が、下記(H1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH2が、下記(H2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH3が、下記(H3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
(第1の軽鎖可変領域)
CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、
CDRL1が、下記(L1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL2が、下記(L2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL3が、下記(L3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
(H1-A)下記(H1-A1)、(H1-A2)または(H1-A3)のアミノ酸配列
(H1-A1)配列番号1(GYTFTNYW)のアミノ酸配列
(H1-A2)配列番号1のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H1-A3)配列番号1のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(H2-A)下記(H2-A1)、(H2-A2)または(H2-A3)のアミノ酸配列
(H2-A1)配列番号2(IYPGGGIT)のアミノ酸配列
(H2-A2)配列番号2のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H2-A3)配列番号2のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(H3-A)下記(H3-A1)、(H3-A2)または(H3-A3)のアミノ酸配列
(H3-A1)配列番号3(SRSYGKYFDY)のアミノ酸配列
(H3-A2)配列番号3のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H3-A3)配列番号3のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(H1-A1)配列番号1(GYTFTNYW)のアミノ酸配列
(H1-A2)配列番号1のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H1-A3)配列番号1のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(H2-A)下記(H2-A1)、(H2-A2)または(H2-A3)のアミノ酸配列
(H2-A1)配列番号2(IYPGGGIT)のアミノ酸配列
(H2-A2)配列番号2のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H2-A3)配列番号2のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(H3-A)下記(H3-A1)、(H3-A2)または(H3-A3)のアミノ酸配列
(H3-A1)配列番号3(SRSYGKYFDY)のアミノ酸配列
(H3-A2)配列番号3のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H3-A3)配列番号3のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L1-A)下記(L1-A1)、(L1-A2)または(L1-A3)のアミノ酸配列
(L1-A1)配列番号4(QDIKSY)のアミノ酸配列
(L1-A2)配列番号4のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-A3)配列番号4のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L2-A)下記(L2-A1)、(L2-A2)または(L2-A3)のアミノ酸配列
(L2-A1)配列番号5(YST)のアミノ酸配列
(L2-A2)配列番号5のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-A3)配列番号5のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L3-A)下記(L3-A1)、(L3-A2)または(L3-A3)のアミノ酸配列
(L3-A1)配列番号6(LQHDESPFT)のアミノ酸配列
(L3-A2)配列番号6のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-A3)配列番号6のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列。
(L1-A1)配列番号4(QDIKSY)のアミノ酸配列
(L1-A2)配列番号4のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-A3)配列番号4のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L2-A)下記(L2-A1)、(L2-A2)または(L2-A3)のアミノ酸配列
(L2-A1)配列番号5(YST)のアミノ酸配列
(L2-A2)配列番号5のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-A3)配列番号5のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L3-A)下記(L3-A1)、(L3-A2)または(L3-A3)のアミノ酸配列
(L3-A1)配列番号6(LQHDESPFT)のアミノ酸配列
(L3-A2)配列番号6のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-A3)配列番号6のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列。
前記各CDRにおいて、「同一性」は、例えば、比較する配列同士を適切にアライメントしたときの同一性の程度であり、前記配列間のアミノ酸の正確な一致の出現率(%)を意味する。前記「同一性」は、それぞれ、例えば、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。前記同一性は、例えば、BLAST、FASTA等の解析ソフトウェアを用いて、デフォルトのパラメータにより算出できる(以下、同様)。
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1〜10個、1〜7個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1または2個、1個である。
前記アミノ酸の置換は、例えば、保存的置換であってもよい(以下、同様)。前記保存的置換は、タンパク質の機能を実質的に改変しないように、1個または数個のアミノ酸を、他のアミノ酸および/またはアミノ酸誘導体に置換することを意味する。「置換するアミノ酸」と「置換されるアミノ酸」とは、例えば、性質および/または機能が類似していることが好ましい。具体的には、例えば、疎水性および親水性の指標(ハイドロパシー)、極性、電荷等の化学的性質、または、二次構造等の物理的性質等が類似していることが好ましい。前記性質および/または機能が類似するアミノ酸またはアミノ酸誘導体は、例えば、当該技術分野において公知である。具体例として、非極性アミノ酸(疎水性アミノ酸)は、例えば、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、メチオニン等があげられ、極性アミノ酸(中性アミノ酸)は、グリシン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラギン、システイン等があげられ、陽電荷を有するアミノ酸(塩基性アミノ)酸は、アルギニン、ヒスチジン、リジン等があげられ、負電荷を有するアミノ酸(酸性アミノ酸)は、アスパラギン酸、グルタミン酸等があげられる。
前記第1の重鎖可変領域は、例えば、下記(H-A)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含むことが好ましい。また、前記第2の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-A)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含むことが好ましい。
(H-A)下記(H-A1)、(H-A2)または(H-A3)のアミノ酸配列
(H-A1)配列番号13のアミノ酸配列
配列番号13:QVQLQQPGAELVKPGASVKMSCKASGYTFTNYWINWVKQRPGQGLEWIGDIYPGGGITNYNEKFKTKATLTLDTSSSTVYMQLSSLTSEDSAVYYCSRSYGKYFDYWGQGTTLIVSS
(H-A2)配列番号13のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H-A3)配列番号13のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(H-A1)配列番号13のアミノ酸配列
配列番号13:QVQLQQPGAELVKPGASVKMSCKASGYTFTNYWINWVKQRPGQGLEWIGDIYPGGGITNYNEKFKTKATLTLDTSSSTVYMQLSSLTSEDSAVYYCSRSYGKYFDYWGQGTTLIVSS
(H-A2)配列番号13のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H-A3)配列番号13のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L-A)下記(L-A1)、(L-A2)または(L-A3)のアミノ酸配列
(L-A1)配列番号14のアミノ酸配列
配列番号14:DIKMTQSPSSMYASVGERVTITCKASQDIKSYLTWYQKKPWKSPRTLIFYSTRLADGVPSRFSGSGSGQDFSLTISSLESDDTATYYCLQHDESPFTFGGGTKLEIK
(L-A2)配列番号14のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-A3)配列番号14のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L-A1)配列番号14のアミノ酸配列
配列番号14:DIKMTQSPSSMYASVGERVTITCKASQDIKSYLTWYQKKPWKSPRTLIFYSTRLADGVPSRFSGSGSGQDFSLTISSLESDDTATYYCLQHDESPFTFGGGTKLEIK
(L-A2)配列番号14のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-A3)配列番号14のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
前記(H-A1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-A1)、CDRH2の(H2-A1)、およびCDRH3の(H3-A1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(H-A2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-A1)、CDRH2の(H2-A1)、およびCDRH3(H3-A1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号13のアミノ酸配列に対して、70%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(H-A3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-A1)、CDRH2の(H2-A1)、およびCDRH3(H3-A1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号13のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
前記(L-A1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-A1)、CDRL2の(L2-A1)、およびCDRL3の(L3-A1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-A2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-A1)、CDRL2の(L2-A1)、およびCDRL3の(L3-A1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号14のアミノ酸配列に対して、70%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-A3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-A1)、CDRL2の(L2-A1)、およびCDRL3の(L3-A1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号14のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
前記重鎖可変領域のアミノ酸配列および前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列において、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
前記重鎖可変領域のアミノ酸配列および前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列において、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1〜30個、1〜20個、1〜15個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1または2個、1個である。
前記抗体等がヒトIgGの場合、前記第1の結合ドメインは、例えば、ヒトIgG抗体と抗体複合体を形成した際に、前記抗体複合体にFcγ受容体を介してヒトNK細胞が結合し、前記ヒトNK細胞がADCC活性を発揮可能であることから、下記第1のscFvのアミノ酸配列からなるポリペプチドを含むことが好ましい。下記(S-A2)および(S-A3)のアミノ酸配列からなるポリペプチドは、例えば、ヒトIgGに結合可能である。
(第1のscFv)
(S-A)下記(S-A1)、(S-A2)または(S-A3)のアミノ酸配列
(S-A1)配列番号15のアミノ酸配列
配列番号15:DIKMTQSPSSMYASVGERVTITCKASQDIKSYLTWYQKKPWKSPRTLIFYSTRLADGVPSRFSGSGSGQDFSLTISSLESDDTATYYCLQHDESPFTFGGGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGGSQVQLQQPGAELVKPGASVKMSCKASGYTFTNYWINWVKQRPGQGLEWIGDIYPGGGITNYNEKFKTKATLTLDTSSSTVYMQLSSLTSEDSAVYYCSRSYGKYFDYWGQGTTLIVSS
(S-A2)配列番号15のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(S-A3)配列番号15のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(S-A)下記(S-A1)、(S-A2)または(S-A3)のアミノ酸配列
(S-A1)配列番号15のアミノ酸配列
配列番号15:DIKMTQSPSSMYASVGERVTITCKASQDIKSYLTWYQKKPWKSPRTLIFYSTRLADGVPSRFSGSGSGQDFSLTISSLESDDTATYYCLQHDESPFTFGGGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGGSQVQLQQPGAELVKPGASVKMSCKASGYTFTNYWINWVKQRPGQGLEWIGDIYPGGGITNYNEKFKTKATLTLDTSSSTVYMQLSSLTSEDSAVYYCSRSYGKYFDYWGQGTTLIVSS
(S-A2)配列番号15のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(S-A3)配列番号15のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
前記(S-A1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-A1)、CDRH2の(H2-A1)、およびCDRH3の(H3-A1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(S-A2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-A1)、CDRH2の(H2-A1)、およびCDRH3(H3-A1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号15のアミノ酸配列に対して、70%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(S-A3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-A1)、CDRH2の(H2-A1)、およびCDRH3(H3-A1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号15のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
前記(S-A1)のアミノ酸配列は、例えば、第1の重鎖可変領域の(H-A1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(S-A2)のアミノ酸配列は、例えば、第1の重鎖可変領域の(H-A1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号15のアミノ酸配列に対して、70%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(S-A3)のアミノ酸配列は、例えば、第1の重鎖可変領域の(H-A1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号15のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
前記(S-A1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-A1)、CDRL2の(L2-A1)、およびCDRL3の(L3-A1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(S-A2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-A1)、CDRL2の(L2-A1)、およびCDRL3の(L3-A1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号15のアミノ酸配列に対して、70%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(S-A3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-A1)、CDRL2の(L2-A1)、およびCDRL3の(L3-A1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号15のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
前記(S-A1)のアミノ酸配列は、例えば、第1の軽鎖可変領域の(L-A1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(S-A2)のアミノ酸配列は、例えば、第1の軽鎖可変領域の(L-A1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号15のアミノ酸配列に対して、70%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(S-A3)のアミノ酸配列は、例えば、第1の軽鎖可変領域の(L-A1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号15のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
前記(S-A2)のアミノ酸配列において、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
前記(S-A3)のアミノ酸配列において、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1〜72個、1〜60個、1〜48個、1〜40個、1〜24個、1〜20個、1〜15個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1または2個、1個である。
前記第2の結合ドメインは、前述のように、所望の抗原に結合可能である。前記所望の抗原は、例えば、免疫細胞に発現する抗原(タンパク質)、体液中の抗原(タンパク質)腫瘍抗原、ウイルス抗原、細菌抗原、寄生虫抗原、自己免疫疾患に関連する抗原、糖鎖抗原等があげられる。前記腫瘍抗原は、例えば、細胞のがん化により、新たに発現する抗原、発現量が増加する抗原等の抗原性を有する生体分子を意味する。前記腫瘍抗原は、例えば、腫瘍特異的抗原でもよいし、腫瘍関連抗原でもよい。前記所望の抗原は、例えば、前記抗体等が結合可能な抗原と異なることが好ましい。
前記免疫細胞に発現する抗原は、例えば、T細胞、NK細胞、またはNKT細胞に発現する抗原があげられる。前記T細胞に発現する抗原は、例えば、T細胞の活性化タンパク質またはT細胞の活性化抑制タンパク質あげられる。前記T細胞活性化タンパク質としては、例えば、CD2、CD3、CD4、CD5、CD8α、CD8β、CD27、CD28、CD134(OX40)、CD137(4−1BB)、CD154、GITR、ICOS等があげられ、好ましくは、CD3である。前記CD3は、例えば、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD3η等があげられ、好ましくは、CD3εである。前記T細胞の活性化抑制タンパク質は、例えば、CTLA4、PD−1、LAG3、B7−H3、TIM3、TIGIT等があげられる。前記NK細胞に発現する抗原は、例えば、NK細胞の活性化タンパク質またはNK細胞の活性化抑制タンパク質があげられる。前記NK細胞の活性化タンパク質は、例えば、CD94/NKG2C、CD94/NKG2E、NKG2D/NKG2D等があげられる。前記NK細胞の活性化抑制タンパク質は、例えば、KIR2DL1、KIR2DL2、KIR2DL3、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR2DL4、KIR2DL5、KIR3DL3等があげられる。前記NKT細胞に発現する抗原は、例えば、NKT細胞の活性化タンパク質またはNKT細胞の活性化抑制タンパク質であり、具体例として、前記T細胞に発現する抗原および前記NK細胞に発現する抗原の説明を援用できる。
前記体液中の抗原は、例えば、サイトカイン、血液凝固因子等があげられる。前記サイトカインは、例えば、TNF−α、TNF−β等のTNF(Tumor Necrosis Factor);リンフォトキシン;IL−1〜IL−38(例えば、IL−1α、IL−1β、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−10、IL−11、IL−12、IL−17、IL−18、IL−23、IL−33、IL−36等)のインターロイキン;ケモカイン;造血因子;細胞増殖因子;アディポカイン;VEGF等の成長因子;等があげられる。
前記腫瘍抗原は、例えば、5T4、α5β1−インテグリン、707−AP、αフェトプロテイン(AFP)、レクチン反応性AFP、ART−4、AURKA(AURORA A)、B7H4、BAGE、β−カテニン、BCMA、Bcr−abl、BTAA、MN/CA IX抗原、CA125、CA19−9、CA72−4、CAMEL、CAP−1、CASP−8、CD4、CD19、CD20、CD22、CD25、CD27、CD30、CD33、CD47、CD52、CD56、CD80、CD96、CD123、CDK4、癌胎児性抗原(CEA)、CLL1、CT、Cyclin A1、Cyp−B、DAM、EGFR、ErbB3、ELF2M、EMMPRIN、EpCam、ETV6−AML1、G250、GAGE(GAGE−1、GAGE−2等)、GD2(Ganglioside G2)、GnT−V、Gp100、GPA33、GPC3、HAGE、β−ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、HER2/neu、HLA−A*0201−R170I、HPV−E7、HSP70−2M、HST−2、iCE、インスリン増殖因子(IGF)−1、IGF−2、IGF−1R、IL−2R、IL−5、KIAA0205、K−Ras、LAGE、LDLR/FUT、MAGE(MAGE−3、MAGE−4、MAGE−5、MAGE−6等)、MART−1/melan−A、MART−2/Ski、MC1R、mesothelin(MSLN)、ミオシン、MUC1、MUM−1、MUM−2、MUM−3、NA88−A、前立腺酸性フォスファターゼ(PAP)、プロテイナーゼ−3、PRAME(Melanoma antigen preferentially expressed in tumors)、p53、p190マイナーbcr−abl、Pml/RARα、前立腺腫瘍抗原−1(PCTA−1)、PRAME、前立腺特異的抗原(PSA)、PSM、PSMA、RAGE、RAS、RHAMM(CD168)、RU1、RU2、SAGE、SART−1、SART−3、サイログロブリン、サバイビン、テロメラーゼ逆転写酵素(TERTまたはTRT)、TEL/AML1、TGFβ、TIM3、TPI/m、TRP−1、TRP−2、TRP−2/INT2、VEGF、WT1、NY−Eso−1、NY−Eso−B等があげられる。
前記ウイルス抗原は、例えば、アデノウイルス(adenovirus)等のアデノウイルス科(Adenoviridae);コロナウイルス(coronavirus)等のコロナウイルス科(Coronaviridae);エボラウイルス属(Ebolavirus)等のフィロウイルス科(Filoviridae);C型肝炎ウイルス(HCV:hepatitis C virus)、デングウイルス(Dengue virus)、日本脳炎ウイルス(Japanese encephalitis virus)、西ナイルウイルス(west Nile virus)、黄熱ウイルス(yellow fever virus)等のフラビウイルス科(Flaviviridae);B型肝炎ウイルス(HVB:Hepatitis B Virus)等のヘパドナウイルス科(Hepadnaviridae);単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1:herpes simplex virus-1)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2:herpes simplex virus-2)、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV:varicella zoster virus)、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV:human cytomegalovirus)、EBウイルス(EBV:Epstein-Barr virus)、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV:Kaposi's sarcoma-associated herpesvirus)等のヘルペスウイルス科(Herpesviridae);A型インフルエンザウイルス属(Influenzavirus A)、B型インフルエンザウイルス属(Influenzavirus B)、C型インフルエンザウイルス属(Influenzavirus C)等のオルソミクソウイルス科(Orthomyxoviridae);麻疹ウイルス(measles virus)、ヒトパラインフルエンザウイルス1〜4型(Human parainfluenza virus 1〜4)、ムンプスウイルス(Mumps virus)、RSウイルス(Respiratory syncytial virus)等のパラミクソウイルス科(Paramyxoviridae);パルボウイルスB19(Parvovirus B19)等のパルボウイルス科(Parvoviridae);エンテロウイルス(enterovirus)、ポリオウイルス(poliovirus)、ヒトライノウイルスA〜B(human rhinovirus A〜B)、A型肝炎ウイルス(hepatitis A virus)、コクサッキーウイルス(coxsackievirus)、エコーウイルス(echo virus)等のピコルナウイルス科(Picornaviridae);天然痘ウイルス(variola virus)、ワクチニアウイルス(Vaccinia virus)等のポックスウイルス科(Poxviridae);ヒト免疫不全ウイルス(HIV:human immunodeficiency virus)-1, 2、ヒトTリンパ好性ウイルス(HTLV:human T-lymphocytropic virus)-I,II等のレトロウイルス科(Retroviridae);狂犬病ウイルス(Rabies virus)、水疱性口内炎ウイルス(Vesicular stomatitis virus)等のラブドウイルス科(Rhabdoviridae);風疹ウイルス(Rubella virus)、チクングニアウイルス(Chikungunya virus)等のトガウイルス科(Togaviridae);等のウイルス由来の抗原があげられる。
前記細菌抗原は、例えば、破傷風菌(Clostridium tetani)等のクロストリジウム属(Clostridium);大腸菌(Escherichia coli)等のエスケリキア属(Escherichia);ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pyloris)等のヘリコバクター属(Helicobacter);レジオネラ・ニューモフィリア(Legionella pneumophila)等のレジオネラ属(Legionella);リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)等のリステリア属(Listeria);結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、ライ菌(Mycobacterium leprae)、マイコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium avium)、マイコバクテリウム・イントラセルラーエ(Mycobacterium intracellulare)、マイコバクテリウム・カンサシ(Mycobacterium kansasii)、マイコバクテリウム・ゴルドネ(Mycobacterium gordonae)等のマイコバクテリウム属(Mycobacterium);淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)等のナイセリア属(Neisseria);緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)等のシュードモナス属(Pseudomonas);チフス菌(Salmonella enterica serovar Typhi)、パラチフス菌(Salmonella enterica serovar Paratyphi A)等のサルモネラ属(Salmonella);黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)等のブドウ球菌属(Staphylococcus);肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)等のレンサ球菌属(Streptococcus);等の細菌由来の抗原があげられる。
前記寄生虫抗原は、例えば、肝吸虫(Clonorchis sinensis)、日本住血吸虫(Schistosoma japonicum)、ヒトカイチュウ(Ascaris lumbricoides)、ヒト蟯虫(Enterobius vermicularis)、有鉤嚢虫(Cysticercus cellulosae)、広節裂頭条虫(Diphyllobothrium latum)、エキノコックス(Echinococcus)、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)、マラリア原虫(Plasmodium)等の寄生虫由来の抗原があげられる。
前記第2の結合ドメインは、例えば、前記所望の抗原に結合する受容体またはリガンドでもよいし、前記所望の抗原に結合する、抗体またはその抗原結合断片があげられる。
前記第2の結合ドメインが所望の抗原に結合するリガンドまたは受容体の場合、前記第1の結合ドメインは、例えば、前記リガンドに結合する受容体または前記受容体に結合するリガンドがあげられ、前記リガンドまたは受容体の種類に応じて、適宜設定できる。具体例として、前記リガンドがCTLA4リガンドの場合、前記受容体は、例えば、CTLA4があげられる。前記リガンドがPD−1リガンドの場合、前記受容体は、PD−1があげられる。
前記第2の結合ドメインが所望の抗原に結合する抗体またはその抗原結合断片である場合、前記第2の結合ドメインは、前述の抗体またはその抗原結合断片と同様の構造を採用でき、例えば、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を有する。以下、前記第2の結合ドメインの重鎖可変領域および軽鎖可変領域を、それぞれ、第2の重鎖可変領域および第2の軽鎖可変領域ともいう。前記抗原結合断片は、前述の説明を援用できる。前記第2の結合ドメインは、scFvを含むことが好ましい、すなわち、前記所望の抗原に結合可能なscFvを含むことが好ましい。
前記第2の結合ドメインが前記第2の重鎖可変領域および第2の軽鎖可変領域を有する場合、前記第2の重鎖可変領域および第2の軽鎖可変領域は、例えば、前記所望の抗原に結合する抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域に由来してもよいし、前記所望の抗原で免疫し、得られた所望の抗原に結合可能な抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域に由来してもよいし、ファージディスプレイ等のスクリーニング方法により得られた、抗体等に結合可能な抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域に由来してもよい。
抗体の抗原に対する結合性には、前述のように、重鎖可変領域および軽鎖可変領域における相補性決定領域(CDR)が重要である。このため、前記第2の重鎖可変領域のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、前記所望の抗原に結合する抗体の重鎖可変領域のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記所望の抗原に結合する抗体の重鎖可変領域のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。また、前記第2の軽鎖可変領域のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、前記所望の抗原に結合する抗体の軽鎖可変領域のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記所望の抗原に結合する抗体の軽鎖可変領域のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
前記第2の重鎖可変領域において、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3以外の領域、すなわち、フレームワーク領域(FR)は、例えば、前記所望の抗原に結合する抗体における重鎖可変領域のFRを含んでもよい。前記第2の重鎖可変領域におけるFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4は、例えば、それぞれ、前記所望の抗原に結合する抗体のFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記所望の抗原に結合する抗体のFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。前記各CDRHの説明における「所望の抗原に結合する抗体」と、前記各FRHの説明における「所望の抗原に結合する抗体」とは、同じ抗体等であることが好ましい。
前記第2の軽鎖可変領域において、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3以外の領域、すなわち、フレームワーク領域(FR)は、例えば、前記所望の抗原に結合する抗体における軽鎖可変領域のFRを含んでもよい。前記第2の軽鎖可変領域におけるFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4は、例えば、それぞれ、前記所望の抗原に結合する抗体のFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記所望の抗原に結合する抗体のFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。前記各CDRLの説明における「所望の抗原に結合する抗体」と、前記各FRLの説明における「所望の抗原に結合する抗体」とは、同じ抗体等であることが好ましい。また、前記各CDRHの説明における「所望の抗原に結合する抗体」と、前記各CDRLの説明における「所望の抗原に結合する抗体」とは、同じ抗体等であることが好ましい。
前記第2の結合ドメインが前記第2の重鎖可変領域および第2の軽鎖可変領域を有する場合、前記第2の重鎖可変領域および第2の軽鎖可変領域は、例えば、前記所望の抗原に結合する抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を用いてもよいし、前記所望の抗原により免疫し、得られた前記所望の抗原結合可能な抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を用いてもよい。具体例として、前記所望の抗原がヒトCD3εの場合、ヒトCD3εに結合する抗体(クローン名)は、例えば、OKT3抗体、UCHT1抗体、L2K抗体、HIT3a抗体、28F11抗体、27H5抗体等があげられる。
前記所望の抗原がCD3εの場合、前記第2の結合ドメインは、例えば、前記抗体等と抗体複合体を形成した際に、前記抗体複合体に前記第2の結合ドメインを介してT細胞が結合し、前記T細胞が細胞傷害活性を発揮可能であることから、下記第2の重鎖可変領域および第2の軽鎖可変領域を含むことが好ましい。
(第2の重鎖可変領域)
CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
CDRH1が、下記(H1-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH2が、下記(H2-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH3が、下記(H3-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
(第2の軽鎖可変領域)
CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、
CDRL1が、下記(L1-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL2が、下記(L2-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL3が、下記(L3-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
(第2の重鎖可変領域)
CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
CDRH1が、下記(H1-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH2が、下記(H2-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH3が、下記(H3-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
(第2の軽鎖可変領域)
CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、
CDRL1が、下記(L1-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL2が、下記(L2-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL3が、下記(L3-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
(H1-B)下記(H1-B1)、(H1-B2)または(H1-B3)のアミノ酸配列
(H1-B1)配列番号7(GYTFTRYT)のアミノ酸配列
(H1-B2)配列番号7のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H1-B3)配列番号7のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(H2-B)下記(H2-B1)、(H2-B2)または(H2-B3)のアミノ酸配列
(H2-B1)配列番号8(INPSRGYT)のアミノ酸配列
(H2-B2)配列番号8のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H2-B3)配列番号8のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(H3-B)下記(H3-B1)、(H3-B2)または(H3-B3)のアミノ酸配列
(H3-B1)配列番号9(ARYYDDHYCLDY)のアミノ酸配列
(H3-B2)配列番号9のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H3-B3)配列番号9のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(H1-B1)配列番号7(GYTFTRYT)のアミノ酸配列
(H1-B2)配列番号7のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H1-B3)配列番号7のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(H2-B)下記(H2-B1)、(H2-B2)または(H2-B3)のアミノ酸配列
(H2-B1)配列番号8(INPSRGYT)のアミノ酸配列
(H2-B2)配列番号8のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H2-B3)配列番号8のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(H3-B)下記(H3-B1)、(H3-B2)または(H3-B3)のアミノ酸配列
(H3-B1)配列番号9(ARYYDDHYCLDY)のアミノ酸配列
(H3-B2)配列番号9のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H3-B3)配列番号9のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L1-B)下記(L1-B1)、(L1-B2)または(L1-B3)のアミノ酸配列
(L1-B1)配列番号10(SSVSY)のアミノ酸配列
(L1-B2)配列番号10のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-B3)配列番号10のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L2-B)下記(L2-B1)、(L2-B2)または(L2-B3)のアミノ酸配列
(L2-B1)配列番号11(DTS)のアミノ酸配列
(L2-B2)配列番号11のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-B3)配列番号11のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L3-B)下記(L3-B1)、(L3-B2)または(L3-B3)のアミノ酸配列
(L3-B1)配列番号12(QQWSSNPFT)のアミノ酸配列
(L3-B2)配列番号12のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-B3)配列番号12のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列。
(L1-B1)配列番号10(SSVSY)のアミノ酸配列
(L1-B2)配列番号10のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-B3)配列番号10のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L2-B)下記(L2-B1)、(L2-B2)または(L2-B3)のアミノ酸配列
(L2-B1)配列番号11(DTS)のアミノ酸配列
(L2-B2)配列番号11のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-B3)配列番号11のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L3-B)下記(L3-B1)、(L3-B2)または(L3-B3)のアミノ酸配列
(L3-B1)配列番号12(QQWSSNPFT)のアミノ酸配列
(L3-B2)配列番号12のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-B3)配列番号12のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列。
前記各CDRにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1〜10個、1〜7個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1または2個、1個である。
前記第2の重鎖可変領域は、例えば、下記(H-B)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含むことが好ましい。また、前記第2の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-B)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含むことが好ましい。
(H-B)下記(H-B1)、(H-B2)または(H-B3)のアミノ酸配列
(H-B1)配列番号16のアミノ酸配列
配列番号16:QVQLQQSGAELARPGASVKMSCKASGYTFTRYTMHWVKQRPGQGLEWIGYINPSRGYTNYNQKFKDKATLTTDKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARYYDDHYCLDYWGQGTTLTVSS
(H-B2)配列番号16のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H-B3)配列番号16のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(H-B1)配列番号16のアミノ酸配列
配列番号16:QVQLQQSGAELARPGASVKMSCKASGYTFTRYTMHWVKQRPGQGLEWIGYINPSRGYTNYNQKFKDKATLTTDKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARYYDDHYCLDYWGQGTTLTVSS
(H-B2)配列番号16のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H-B3)配列番号16のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L-B)下記(L-B1)、(L-B2)または(L-B3)のアミノ酸配列
(L-B1)配列番号17のアミノ酸配列
配列番号17:QIVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMNWYQQKSGTSPKRWIYDTSKLASGVPAHFRGSGSGTSYSLTISGMEAEDAATYYCQQWSSNPFTFGSGTKLEIN
(L-B2)配列番号17のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-B3)配列番号17のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L-B1)配列番号17のアミノ酸配列
配列番号17:QIVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMNWYQQKSGTSPKRWIYDTSKLASGVPAHFRGSGSGTSYSLTISGMEAEDAATYYCQQWSSNPFTFGSGTKLEIN
(L-B2)配列番号17のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-B3)配列番号17のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
前記(H-B1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-B1)、CDRH2の(H2-B1)、およびCDRH3の(H3-B1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(H-B2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-B1)、CDRH2の(H2-B1)、およびCDRH3(H3-B1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号16のアミノ酸配列に対して、70%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(H-B3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-B1)、CDRH2の(H2-B1)、およびCDRH3(H3-B1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号16のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
前記(L-B1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-B1)、CDRL2の(L2-B1)、およびCDRL3の(L3-B1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-B2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-B1)、CDRL2の(L2-B1)、およびCDRL3の(L3-B1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号17のアミノ酸配列に対して、70%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-B3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-B1)、CDRL2の(L2-B1)、およびCDRL3の(L3-B1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号17のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
前記重鎖可変領域のポリペプチドおよび前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
前記重鎖可変領域のポリペプチドおよび前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1〜30個、1〜20個、1〜15個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1または2個、1個である。
前記所望の抗原がCD3εの場合、前記第2の結合ドメインは、例えば、前記抗体等と抗体複合体を形成した際に、前記抗体複合体に前記第2の結合ドメインを介してT細胞が結合し、前記T細胞が細胞傷害活性を発揮可能であることから、下記第2のscFvのアミノ酸配列からなるポリペプチドを含むことが好ましい。下記(S-B2)および(S-B3)のアミノ酸配列からなるポリペプチドは、例えば、CD3εに結合可能である。
(第2のscFv)
(S-B)下記(S-B1)、(S-B2)または(S-B3)のアミノ酸配列
(S-B1)配列番号18のアミノ酸配列
配列番号18:QVQLQQSGAELARPGASVKMSCKASGYTFTRYTMHWVKQRPGQGLEWIGYINPSRGYTNYNQKFKDKATLTTDKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARYYDDHYCLDYWGQGTTLTVSSGGGGSGGGGSGGGGSQIVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMNWYQQKSGTSPKRWIYDTSKLASGVPAHFRGSGSGTSYSLTISGMEAEDAATYYCQQWSSNPFTFGSGTKLEIN
(S-B2)配列番号18のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(S-B3)配列番号18のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(S-B)下記(S-B1)、(S-B2)または(S-B3)のアミノ酸配列
(S-B1)配列番号18のアミノ酸配列
配列番号18:QVQLQQSGAELARPGASVKMSCKASGYTFTRYTMHWVKQRPGQGLEWIGYINPSRGYTNYNQKFKDKATLTTDKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARYYDDHYCLDYWGQGTTLTVSSGGGGSGGGGSGGGGSQIVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMNWYQQKSGTSPKRWIYDTSKLASGVPAHFRGSGSGTSYSLTISGMEAEDAATYYCQQWSSNPFTFGSGTKLEIN
(S-B2)配列番号18のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(S-B3)配列番号18のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
前記(S-B1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-B1)、CDRH2の(H2-B1)、およびCDRH3の(H3-B1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(S-B2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-B1)、CDRH2の(H2-B1)、およびCDRH3(H3-B1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号18のアミノ酸配列に対して、70%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(S-B3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-B1)、CDRH2の(H2-B1)、およびCDRH3(H3-B1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号18のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
前記(S-B1)のアミノ酸配列は、例えば、第2の重鎖可変領域の(H-B1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(S-B2)のアミノ酸配列は、例えば、第2の重鎖可変領域の(H-B1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号18のアミノ酸配列に対して、70%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(S-B3)のアミノ酸配列は、例えば、第2の重鎖可変領域の(H-B1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号18のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
前記(S-B1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-B1)、CDRL2の(L2-B1)、およびCDRL3の(L3-B1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(S-B2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-B1)、CDRL2の(L2-B1)、およびCDRL3の(L3-B1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号18のアミノ酸配列に対して、70%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(S-B3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-B1)、CDRL2の(L2-B1)、およびCDRL3の(L3-B1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号18のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
前記(S-B1)のアミノ酸配列は、例えば、第2の軽鎖可変領域の(L-B1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(S-B2)のアミノ酸配列は、例えば、第2の軽鎖可変領域の(L-B1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号18のアミノ酸配列に対して、70%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(S-B3)のアミノ酸配列は、例えば、第2の軽鎖可変領域の(L-B1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号18のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
前記(S-B2)のアミノ酸配列において、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
前記(S-B3)のアミノ酸配列において、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1〜72個、1〜60個、1〜48個、1〜40個、1〜24個、1〜20個、1〜15個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1または2個、1個である。
前記第1の結合ドメインおよび前記第2の結合ドメインは、直接または間接的に連結されていてもよいし、前記第1の結合ドメインと前記第2の結合ドメインとを共存させた場合、両者が会合(結合)するように形成してもよい。前記間接的な連結の場合、前記第1の結合ドメインおよび前記第2の結合ドメインは、リンカーペプチド(ドメインリンカー)により連結されていることが好ましい。前記ドメインリンカーは、例えば、1〜40個、1〜18個、1〜15個、1〜7個、1〜3個、1個または2個のアミノ酸から構成される。前記ドメインリンカーは、例えば、グリシンおよびセリン等のアミノ酸から構成されており、具体例として、(GmS)nがあげられる。前記mは、正の整数であり、例えば、1〜6の整数である。前記nは、正の整数であり、例えば、1〜6の整数である。前記mとnとは、同じでもよいし、異なってもよい。具体例として、ドメインリンカーは、下記配列番号19のアミノ酸配列からなるポリペプチドがあげられる。前記会合は、例えば、アミノ酸側鎖の電荷を利用できる。具体例として、前記会合は、例えば、一方の結合ドメインに正の電荷を有するアミノ酸のドメインを付加し、他方の結合ドメインに負の電荷を有するアミノ酸のドメインを付加することにより、誘導できる。また、前記会合は、例えば、タグ配列とタグ配列を認識するポリペプチドの組合せ等も利用できる。
ドメインリンカー(配列番号19):SGSG
ドメインリンカー(配列番号19):SGSG
本発明の複合体化タンパク質は、例えば、腫瘍抗原に結合可能な抗体と組合せて利用することにより、NK細胞およびT細胞をリクルートでき、腫瘍に対する細胞傷害活性を誘導できることから、下記(B)のアミノ酸配列からなるポリペプチドが好ましい。下記(B2)および(B3)のアミノ酸配列からなるポリペプチドは、例えば、ヒトIgGおよび/またはCD3εに結合可能である。
(B)下記(B1)、(B2)、(B3)のアミノ酸配列
(B1)配列番号20のアミノ酸配列
配列番号20:MMRPIVLVLLFATSAAADIKMTQSPSSMYASVGERVTITCKASQDIKSYLTWYQKKPWKSPRTLIFYSTRLADGVPSRFSGSGSGQDFSLTISSLESDDTATYYCLQHDESPFTFGGGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGGSQVQLQQPGAELVKPGASVKMSCKASGYTFTNYWINWVKQRPGQGLEWIGDIYPGGGITNYNEKFKTKATLTLDTSSSTVYMQLSSLTSEDSAVYYCSRSYGKYFDYWGQGTTLIVSSSGSGQVQLQQSGAELARPGASVKMSCKASGYTFTRYTMHWVKQRPGQGLEWIGYINPSRGYTNYNQKFKDKATLTTDKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARYYDDHYCLDYWGQGTTLTVSSGGGGSGGGGSGGGGSQIVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMNWYQQKSGTSPKRWIYDTSKLASGVPAHFRGSGSGTSYSLTISGMEAEDAATYYCQQWSSNPFTFGSGTKLEIN
(B2)配列番号20のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(B3)配列番号20のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(B1)配列番号20のアミノ酸配列
配列番号20:MMRPIVLVLLFATSAAADIKMTQSPSSMYASVGERVTITCKASQDIKSYLTWYQKKPWKSPRTLIFYSTRLADGVPSRFSGSGSGQDFSLTISSLESDDTATYYCLQHDESPFTFGGGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGGSQVQLQQPGAELVKPGASVKMSCKASGYTFTNYWINWVKQRPGQGLEWIGDIYPGGGITNYNEKFKTKATLTLDTSSSTVYMQLSSLTSEDSAVYYCSRSYGKYFDYWGQGTTLIVSSSGSGQVQLQQSGAELARPGASVKMSCKASGYTFTRYTMHWVKQRPGQGLEWIGYINPSRGYTNYNQKFKDKATLTTDKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARYYDDHYCLDYWGQGTTLTVSSGGGGSGGGGSGGGGSQIVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMNWYQQKSGTSPKRWIYDTSKLASGVPAHFRGSGSGTSYSLTISGMEAEDAATYYCQQWSSNPFTFGSGTKLEIN
(B2)配列番号20のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(B3)配列番号20のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
前記(B1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-A1)、CDRH2の(H2-A1)、およびCDRH3の(H3-A1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(B2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-A1)、CDRH2の(H2-A1)、およびCDRH3(H3-A1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号20のアミノ酸配列に対して、70%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(B3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-A1)、CDRH2の(H2-A1)、およびCDRH3(H3-A1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号20のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
前記(B1)のアミノ酸配列は、例えば、第1の重鎖可変領域の(H-A1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(B2)のアミノ酸配列は、例えば、第1の重鎖可変領域の(H-A1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号20のアミノ酸配列に対して、70%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(B3)のアミノ酸配列は、例えば、第1の重鎖可変領域の(H-A1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号20のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
前記(B1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-A1)、CDRL2の(L2-A1)、およびCDRL3の(L3-A1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(B2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-A1)、CDRL2の(L2-A1)、およびCDRL3の(L3-A1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号20のアミノ酸配列に対して、70%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(B3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-A1)、CDRL2の(L2-A1)、およびCDRL3の(L3-A1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号20のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
前記(B1)のアミノ酸配列は、例えば、第1の軽鎖可変領域の(L-A1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(B2)のアミノ酸配列は、例えば、第1の軽鎖可変領域の(L-A1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号20のアミノ酸配列に対して、70%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(B3)のアミノ酸配列は、例えば、第1の軽鎖可変領域の(L-A1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号20のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
前記(B1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-B1)、CDRH2の(H2-B1)、およびCDRH3の(H3-B1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(B2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-B1)、CDRH2の(H2-B1)、およびCDRH3(H3-B1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号20のアミノ酸配列に対して、70%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(B3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-B1)、CDRH2の(H2-B1)、およびCDRH3(H3-B1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号20のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
前記(B1)のアミノ酸配列は、例えば、第2の重鎖可変領域の(H-B1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(B2)のアミノ酸配列は、例えば、第2の重鎖可変領域の(H-B1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号20のアミノ酸配列に対して、70%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(B3)のアミノ酸配列は、例えば、第2の重鎖可変領域の(H-B1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号20のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
前記(B1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-B1)、CDRL2の(L2-B1)、およびCDRL3の(L3-B1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(B2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-B1)、CDRL2の(L2-B1)、およびCDRL3の(L3-B1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号20のアミノ酸配列に対して、70%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(B3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-B1)、CDRL2の(L2-B1)、およびCDRL3の(L3-B1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号20のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
前記(B1)のアミノ酸配列は、例えば、第2の軽鎖可変領域の(L-B1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(B2)のアミノ酸配列は、例えば、第2の軽鎖可変領域の(L-B1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号20のアミノ酸配列に対して、70%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(B3)のアミノ酸配列は、例えば、第2の軽鎖可変領域の(L-B1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号20のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
前記(B2)のアミノ酸配列において、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
前記(B3)のアミノ酸配列において、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1〜72個、1〜60個、1〜48個、1〜40個、1〜24個、1〜20個、1〜15個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1または2個、1個である。
本発明の複合体化タンパク質は、前記第2の結合ドメインを1つまたは複数有する。後者の場合、各第2の結合ドメインは、同じ抗原に結合してもよいし、異なる抗原に結合してもよい。また、各第2の結合ドメインが同じ抗原に結合する場合、各第2の結合ドメインは、同じ抗原の同一のエピトープに結合してもよいし、同じ抗原の異なるエピトープに結合してもよい。
本発明の複合体化タンパク質は、前記免疫グロブリンと架橋可能な架橋部を有することが好ましい。このような構成を有することにより、本発明の複合体化タンパク質は、前記免疫グロブリンと複合体化後に、前記免疫グロブリンと架橋することで、得られた抗体複合体を安定化できる。このため、前記架橋部を有する複合体化タンパク質によれば、前記抗体複合体を生体に投与した際に、前記免疫グロブリンと前記複合体化タンパク質との解離を防止でき、医薬組成物として効果的に使用できる。前記架橋部は、光の照射により、架橋反応が生じる光反応性架橋部が好ましい。本発明の複合体化タンパク質が光反応性架橋部を有する場合、前記複合体化タンパク質を構成するアミノ酸の一部または全部が、例えば、前記光反応性架橋部として、光活性型の反応基を有し、好ましくは、前記第1の結合ドメインを構成するアミノ酸の一部または全部が、前記光反応性架橋部として、光活性型の反応基を有する。前記光活性型の反応基を有するアミノ酸は、例えば、L-photo-ロイシン、L-photo-イソロイシン、L-photo-メチオニン等があげられる。前記光活性型の反応基を有するアミノ酸を有する複合体化タンパク質は、例えば、前記複合体化タンパク質の発現系において、対応するアミノ酸に加えてまたは代えて、前記光活性型の反応基を有するアミノ酸を発現系に添加し、前記複合体化タンパク質を発現させることにより、調製できる。前記光活性型の反応基を有するアミノ酸およびそれを用いた架橋方法は、下記参考文献4を参照できる。
参考文献4:Monika Suchanek et.al., “Photo-leucine and photo-methionine allow identification of protein-protein interactions in living cells.”, Nature Method, 2005, DOI:10.1038/NMETH752
参考文献4:Monika Suchanek et.al., “Photo-leucine and photo-methionine allow identification of protein-protein interactions in living cells.”, Nature Method, 2005, DOI:10.1038/NMETH752
本発明において、前記複合体化タンパク質の第1の結合ドメインは、抗体等に結合するが、前記抗体等が付加配列を有する場合、前記第1の結合ドメインは、前記付加配列に結合可能でもよい。前記付加配列は、例えば、ペプチドタグ、プロテインタグ等のタグ等があげられる。前記タグは、例えば、FLAG(登録商標)タグ、HAタグ、Hisタグ、Mycタグ、V5タグ、切断型のNGFR(nerve growth factor receptor)等があげられる。前記付加配列は、例えば、本発明の複合体化タンパク質のN末端およびC末端の少なくとも一方に付加される。前記付加配列がHisタグの場合、前記Hisタグは、例えば、本発明の複合体化タンパク質のC末端に付加される。本発明の複合体化タンパク質と前記付加配列とは、前述のリンカーペプチドにより連結されてもよい。
本発明の複合体化タンパク質の製造方法は、特に制限されず、例えば、前述のアミノ酸配列情報に基づいて、遺伝子工学的に製造することができる。具体的には、例えば、以下のようにして行うことができる。なお、本発明は、この例示には限定されない。
まず、本発明の複合体化タンパク質をコードする核酸を含む発現ベクターを宿主に導入し、形質転換体を得る。そして、前記形質転換体を培養し、前記複合体化タンパク質を発現する形質転換体を得る。そして、前記形質転換体を培養し、前記複合体化タンパク質を含む画分を回収し、得られた回収画分から、前記複合体化タンパク質を単離または精製する。
前記発現ベクターは、例えば、前記複合体化タンパク質をコードする核酸を含むベクター等があげられる。前記発現ベクターは、例えば、前記複合体化タンパク質をコードする核酸を連結用ベクターに連結することで調製できる。前記連結用ベクターの種類は、特に制限されず、例えば、オンコレトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、シュードタイプベクター等のレトロウイルスベクター;アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、シミアンウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、センダイウイルスベクター、エプスタイン・バー・ウイルス(EBV)ベクター、HSVベクター等のウイルスベクターがあげられる。具体例として、前記連結用ベクターは、例えば、pUC、pCMV、pMX、pELPがあげられる。前記連結用ベクターは、例えば、前記発現ベクターを導入する宿主に応じて、適宜設定することもできる。前記宿主は、特に制限されず、例えば、HEK細胞、CHO細胞、COS細胞、NSO細胞等の哺乳類由来の培養細胞等があげられる。
前記発現ベクターは、例えば、前記複合体化タンパク質をコードする核酸の発現を調節する、調節配列を有することが好ましい。前記調節配列は、例えば、プロモーター、ターミネーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル配列、複製起点配列(ori)等があげられる。前記発現ベクターにおいて、前記調節配列の配置は特に制限されない。前記発現ベクターにおいて、前記調節配列は、例えば、前記複合体化タンパク質の発現を、機能的に調節できるように配置されていればよく、公知の方法に基づいて配置できる。前記調節配列は、例えば、前記連結ベクターが予め備える配列を利用してもよいし、前記連結ベクターに、さらに、前記調節配列を挿入してもよいし、前記連結ベクターが備える調節配列を、他の調節配列に置き換えてもよい。
前記発現ベクターは、例えば、さらに、選択マーカーのコード配列を有してもよい。前記選択マーカーは、例えば、薬剤耐性マーカー、蛍光タンパク質マーカー、酵素マーカー、細胞表面レセプターマーカー等があげられる。
前記形質転換体の培養方法は、特に制限されず、前記宿主の種類に応じて、適宜決定できる。前記複合体化タンパク質を含む画分は、例えば、培養した前記形質転換体を破砕し、液体画分として回収できる。前記複合体化タンパク質の単離または精製は、特に制限されず、公知の方法が採用できる。
本発明の複合体化タンパク質は、後述の本発明の抗体複合体の製造に使用できる。また、本発明の複合体化タンパク質は、例えば、前記抗体等と複合体を形成させることにより、医薬組成物として使用できる。
<抗体複合体>
本発明の抗体複合体は、前述のように、標的抗原に結合可能な抗体またはその抗原結合断片と、複合体化タンパク質とを含み、前記複合体化タンパク質は、前記本発明の複合体化タンパク質であり、前記複合体化タンパク質は、その第1の抗原結合ドメインより前記抗体またはその抗原結合断片と結合し、複合体化している。本発明の抗体複合体は、前記本発明の複合体化タンパク質を含み、前記本発明の複合体化タンパク質が、標的抗原に結合可能な抗体またはその抗原結合断片と複合体を形成していることが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の抗体複合体は、前記抗体またはその抗原結合断片の抗原結合ドメインに加えて、本発明の複合体化タンパク質の第2の抗原結合ドメインを含む。このため、本発明の抗体複合体は、例えば、前述の多重特異性抗体と同様の機能を発揮できる。具体例として、前記第2の結合ドメインが結合する所望の抗原をCD3等のT細胞上に発現する抗原とし、前記抗体等の結合ドメインの結合対象を腫瘍抗原とすることにより、本発明の抗体複合体は、例えば、がん細胞に結合し、かつT細胞とNK細胞とをリクルートできるため、多重特異性抗体を含む抗癌剤と同様の機能を発揮する抗癌剤として使用できる。また、本発明の抗体複合体は、前記第2の結合ドメインの結合対象と、前記免疫グロブリンの結合対象とを近傍に配置することができ、前記抗体複合体は、例えば、前述の血友病治療薬と同様の機能を発揮する血友病治療薬として使用できる。本発明の抗体複合体は、前記第2の結合ドメインの結合対象と、前記免疫グロブリンの結合対象とを近傍に配置することができるため、例えば、複合体を形成している受容体等を離隔し、受容体を介したシグナルを抑制することができる。さらに、本発明の抗体複合体は、例えば、複数の抗原に結合可能であるため、複数の抗原の除去にも使用でき、例えば、疾患の原因物質となる抗原の除去にも使用できる。本発明の抗体複合体は、前記本発明の複合体化タンパク質の説明を援用できる。
本発明の抗体複合体は、前述のように、標的抗原に結合可能な抗体またはその抗原結合断片と、複合体化タンパク質とを含み、前記複合体化タンパク質は、前記本発明の複合体化タンパク質であり、前記複合体化タンパク質は、その第1の抗原結合ドメインより前記抗体またはその抗原結合断片と結合し、複合体化している。本発明の抗体複合体は、前記本発明の複合体化タンパク質を含み、前記本発明の複合体化タンパク質が、標的抗原に結合可能な抗体またはその抗原結合断片と複合体を形成していることが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の抗体複合体は、前記抗体またはその抗原結合断片の抗原結合ドメインに加えて、本発明の複合体化タンパク質の第2の抗原結合ドメインを含む。このため、本発明の抗体複合体は、例えば、前述の多重特異性抗体と同様の機能を発揮できる。具体例として、前記第2の結合ドメインが結合する所望の抗原をCD3等のT細胞上に発現する抗原とし、前記抗体等の結合ドメインの結合対象を腫瘍抗原とすることにより、本発明の抗体複合体は、例えば、がん細胞に結合し、かつT細胞とNK細胞とをリクルートできるため、多重特異性抗体を含む抗癌剤と同様の機能を発揮する抗癌剤として使用できる。また、本発明の抗体複合体は、前記第2の結合ドメインの結合対象と、前記免疫グロブリンの結合対象とを近傍に配置することができ、前記抗体複合体は、例えば、前述の血友病治療薬と同様の機能を発揮する血友病治療薬として使用できる。本発明の抗体複合体は、前記第2の結合ドメインの結合対象と、前記免疫グロブリンの結合対象とを近傍に配置することができるため、例えば、複合体を形成している受容体等を離隔し、受容体を介したシグナルを抑制することができる。さらに、本発明の抗体複合体は、例えば、複数の抗原に結合可能であるため、複数の抗原の除去にも使用でき、例えば、疾患の原因物質となる抗原の除去にも使用できる。本発明の抗体複合体は、前記本発明の複合体化タンパク質の説明を援用できる。
前記標的抗原は、特に制限されず、任意の抗原とできる。前記標的抗原は、例えば、疾患に関連する抗原であり、具体例として、前記所望の抗原の説明を援用できる。前記疾患に関連する抗原は、例えば、前記疾患の発症または症状の進行に関係する抗原、疾患の治療に有効な抗原、疾患において発現が上昇または減少している抗原、疾患の原因となる細胞に発現する抗原等があげられる。前記疾患は、特に制限されず、例えば、悪性リンパ腫、白血病、骨髄腫、肺がん、乳がん、腎がん、大腸がん、卵巣がん等の腫瘍;アレルギー疾患または自己免疫疾患等の免疫疾患;血友病、特発性血小板減少性紫斑病、フォンビルブランド病等の遺伝子疾患;アルツハイマー病、多発性硬化症、ギランバレー症候群等の神経疾患;等があげられる。本発明の抗体複合体をがん治療薬として用いる場合、前記標的抗原は、例えば、Angiopoietin、CD19、CD20、CD30、CD38、CD123、CEA、cMET、EpCam、GPA33、GPC3、Her1、Her2、Her2、IGF1R、PSMA、VEGF、EGFR、BCMA等があげられる。また、本発明の抗体複合体を血友病治療薬として用いる場合、前記標的抗原は、例えば、factor IXa、factor X、vWF、IIb/IIIa等の血液凝固因子等があげられる。本発明の抗体複合体を抗原の除去による治療薬として用いる場合、前記標的抗原は、IL−1α、IL−1β、IL−4、IL−5、IL−6、IL−13、IL−17、IL−23、TNF−α等があげられる。前記標的抗原は、前記所望の抗原と異なることが好ましい。
前記抗体等は、例えば、公知の標的抗原に結合する抗体でもよいし、前記標的抗原で免疫し、得られた抗体等に結合可能な抗体でもよい。具体例として、前記標的抗原がCD19の場合、前記抗体等(クローン名)は、例えば、FMC63抗体、SJ25C1等があげられる。前記標的抗原がCD20の場合、前記抗体等は、例えば、リツキシマブ(Rituximab)、オビヌツズマブ(Obinutuzumab)等があげられる。前記標的抗原がCD38の場合、前記抗体等(クローン名)は、例えば、ダラツムマブ(Daratumumab)等があげられる。前記抗体等は、好ましくは、Fc領域を含む抗体またはその抗原結合断片であり、より好ましくは、抗体である。
前述のように、前記複合体化タンパク質において、前記第1の結合ドメインは、免疫グロブリンに結合可能である。このため、本発明の抗体複合体において、前記複合体化タンパク質は、その第1の結合ドメインにより前記抗体またはその抗原結合断片と結合している。すなわち、本発明の抗体複合体において、前記抗体等と、前記複合体化タンパク質とは複合体を形成している。ただし、本発明はこれに限定されず、前記複合体化タンパク質と、前記抗体等は、未結合の状態でもよい。この場合、本発明の抗体複合体は、例えば、抗体複合体形成用組成物、または抗体複合体形成用キットということもできる。
本発明の抗体複合体において、前記抗体等と、前記複合体化タンパク質とは、架橋されていることが好ましい。本発明の抗体複合体が架橋されることにより、例えば、生体への投与時に、前記抗体複合体が、前記抗体等と、前記複合体化タンパク質とに分離することを抑制できる。前記架橋は、例えば、前記複合体化タンパク質の説明における架橋部を用いて形成でき、前記架橋部の説明を援用できる。
本発明の抗体複合体の製造方法は、例えば、前記標的抗原に結合可能な抗体またはその抗原結合断片と、前記複合体化タンパク質とを接触させる接触工程を含む。前記接触工程では、前記標的抗原に結合可能な抗体またはその抗原結合断片と、前記複合体化タンパク質とが接触することにより、前記複合体化タンパク質における第1の結合ドメインが、前記抗体等に結合し、前記抗体複合体を形成する。前記接触工程における温度は、例えば、0〜40℃、4〜37℃である。前記接触工程における接触時間は、例えば、10〜180分、30〜60分である。前記接触工程における前記標的抗原に結合可能な抗体またはその抗原結合断片のモル数(MAb)と、前記複合体化タンパク質のモル数(MCO)との比(MAb:MCO)は、特に制限されず、例えば、1:0.01〜100、0.1〜10である。前記比(MAb:MCO)は、例えば、前記接触工程後において、遊離している複合体化タンパク質を低減でき、前記抗体複合体を生体に投与した際の副反応を抑制できることから、好ましくは、1:1以下であり、より好ましくは、1:0.01〜1、1:0.1〜1、1:0.1〜0.9、1:0.1〜0.8、1:0.1〜0.7、1:0.1〜0.6、1:0.1〜0.5である。
本発明の抗体複合体の製造方法は、例えば、前記複合体化タンパク質が架橋部を有する場合、前記抗体等と前記複合体化タンパク質とを架橋する架橋工程を含んでもよい。前記架橋工程は、例えば、前記参考文献4を参照できる。
本発明の抗体複合体の製造方法は、例えば、前記接触工程後または前記架橋工程後に、前記抗体複合体を精製する精製工程を含んでもよい。前記精製工程における精製方法は、特に制限されない。前記抗体複合体は、前記抗体等および前記複合体化タンパク質と比較して、分子量が大きくなっている。このため、前記精製工程では、ゲル濾過クロマトグラフィー等の分子排斥クロマトグラフィーまたは分子篩クロマトグラフィー等により実施できる。前記抗体複合体は、例えば、前記抗体等または前記複合体化タンパク質の抗原を利用して、アフィニティークロマトグラフィー等で精製してもよい。
本発明の抗体複合体は、医薬組成物として使用できる。
<医薬組成物>
本発明の医薬組成物は、前述のように、前記本発明の複合体化タンパク質を含む。本発明の医薬組成物は、前記本発明の複合体化タンパク質を含むことが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の医薬組成物は、前記本発明の複合体化タンパク質および抗体複合体の説明を援用できる。本発明の医薬組成物は、例えば、後述の本発明の治療方法に用いることができる。
本発明の医薬組成物は、前述のように、前記本発明の複合体化タンパク質を含む。本発明の医薬組成物は、前記本発明の複合体化タンパク質を含むことが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の医薬組成物は、前記本発明の複合体化タンパク質および抗体複合体の説明を援用できる。本発明の医薬組成物は、例えば、後述の本発明の治療方法に用いることができる。
本発明の医薬組成物は、例えば、標的抗原に結合可能な抗体またはその抗原結合断片を含んでもよい。この場合、前記複合体化タンパク質と、前記抗体等とは、複合体を形成してもよいし、形成しなくてもよい。前者の場合、前記複合体化タンパク質は、その第1の結合ドメインにより前記抗体またはその抗原結合断片と結合している。後者の場合、前記複合体化タンパク質と、前記抗体等とは、例えば、未混合の状態で有ることが好ましい。また、この場合、本発明の医薬組成物は、例えば、医薬キットということもできる。
本発明の医薬組成物は、例えば、薬学的に許容される担体、希釈物等のその他の成分を含んでもよい。前記その他の成分は、特に制限されず、例えば、保存剤、抗酸化剤、キレート剤、安定化剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤等があげられる。前記保存剤は、例えば、チメロサール、2−フェノキシエタノール等があげられる。前記キレート剤は、例えば、エチレンジアミン4酢酸、グリコールエーテルジアミン4酢酸等があげられる。
本発明の医薬組成物の投与条件は、特に制限されず、例えば、対象となる疾患の種類、患者の年齢等に応じて、投与形態、投与方法、投与時期、投与量等を適宜設定できる。本発明の医薬組成物の使用方法は、特に制限されず、例えば、前記投与対象に、本発明の医薬組成物を投与すればよい。
前記投与対象は、例えば、細胞、組織または器官があげられる。前記投与対象は、例えば、ヒト、ヒトを除く非ヒト動物があげられる。前記非ヒト動物は、前記非ヒト動物は、例えば、マウス、ラット、イヌ、サル、ウサギ、ヒツジ、ウマ、ブタ等の哺乳類等があげられる。前記投与は、例えば、in vivoでもin vitroでもよい。
本発明の医薬組成物の投与形態(剤型)は、特に制限されず、例えば、注射剤(埋め込み注射、持続性注射剤、輸液剤(点滴用製剤等)、凍結乾燥注射剤、粉末注射剤、充填済シリンジ剤、カートリッジ剤等)等の注射投与用製剤等の液剤等である。
前記投与方法は、特に制限されず、例えば、投与対象に応じて適宜決定できる。前記投与方法は、例えば、非経口投与、経口投与等があげられる。前記非経口投与は、例えば、局所投与、皮下投与、皮内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、静脈内投与、リンパ管内投与、腫瘍内投与等があげられる。
本発明の医薬組成物において、前記複合体化タンパク質の投与量は、特に制限されない。本発明の医薬組成物をin vivoで使用する場合、例えば、投与対象の種類、症状、年齢、投与方法等により適宜決定できる。具体例として、ヒトに投与する場合、1回あたりの前記複合体化タンパク質の投与量は、例えば、1〜1500mg、25〜375mg、75〜200mg、約125mg(例えば、100〜150mg)である。具体例として、ヒトに投与する場合、1回あたりの前記抗体等の投与量は、例えば、1〜5000mg、75〜1125mg、225〜600mg、約375mg(例えば、300〜450mg)である。本発明の医薬組成物として、前記抗体複合体を投与する場合、前記抗体複合体の投与量は、特に制限されない。具体例として、ヒトに投与する場合、1回あたりの前記抗体複合体の投与量は、例えば、1〜7500mg、100〜1500mg、350〜800mg、約500mg(例えば、400〜600mg)である。本発明の医薬組成物の投与回数は、例えば、1週間〜6週間に1回である。本発明の医薬組成物において、前記複合体化タンパク質または前記抗体複合体の配合量は、例示した投与条件を実現できるような濃度または量でバイアル等の容器に含まれていることが好ましい。
<核酸>
本発明の核酸は、前記本発明の複合体化タンパク質をコードする。本発明の核酸は、前記本発明の複合体化タンパク質をコードすることが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の核酸は、本発明の複合体化タンパク質、抗体複合体、および医薬組成物の説明を援用できる。本発明の核酸によれば、本発明の複合体化タンパク質を製造できる。
本発明の核酸は、前記本発明の複合体化タンパク質をコードする。本発明の核酸は、前記本発明の複合体化タンパク質をコードすることが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の核酸は、本発明の複合体化タンパク質、抗体複合体、および医薬組成物の説明を援用できる。本発明の核酸によれば、本発明の複合体化タンパク質を製造できる。
本発明の核酸は、例えば、前記本発明の複合体化タンパク質のアミノ酸配列に基づき、常法により調製できる。具体例として、前記本発明の複合体化タンパク質をコードする核酸は、例えば、前述の各ドメインの前記アミノ酸配列をコードする塩基配列を取得し、前記塩基配列に基づき、分子生物学的手法および/または化学的合成方法により調製できる。前記核酸の塩基配列は、例えば、本発明の複合体化タンパク質を発現させる細胞の由来に応じて、コドン最適化してもよい。
前記複合体化タンパク質は、前述のように、第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインを含む。このため、本発明の核酸は、前記第1の結合ドメインをコードする核酸配列(ポリヌクレオチド)および前記第2の結合ドメインをコードする核酸配列(ポリヌクレオチド)を含む。
前記第1の結合ドメインをコードするポリヌクレオチドは、具体例として、例えば、下記(s-a)のポリヌクレオチドがあげられる。
(s-a)下記(s-a1)、(s-a2)、(s-a3)、(s-a4)、(s-a5)、または(s-a6)のポリヌクレオチド(核酸)
(s-a1)配列番号15のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(s-a2)配列番号15のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ヒトIgGに結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(s-a3)配列番号15のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、ヒトIgGに結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(s-a4)配列番号21の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(s-a5)配列番号21の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、ヒトIgGに結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(s-a6)配列番号21の塩基配列において、1個または数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、ヒトIgGに結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(s-a)下記(s-a1)、(s-a2)、(s-a3)、(s-a4)、(s-a5)、または(s-a6)のポリヌクレオチド(核酸)
(s-a1)配列番号15のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(s-a2)配列番号15のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ヒトIgGに結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(s-a3)配列番号15のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、ヒトIgGに結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(s-a4)配列番号21の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(s-a5)配列番号21の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、ヒトIgGに結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(s-a6)配列番号21の塩基配列において、1個または数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、ヒトIgGに結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
配列番号21の塩基配列からなるポリヌクレオチド
5'-GACATCAAGATGACACAGAGCCCCAGCTCTATGTACGCCAGCGTGGGAGAGAGAGTGACCATTACCTGCAAGGCCAGCCAGGACATCAAGTCCTACCTGACCTGGTATCAGAAGAAGCCCTGGAAGTCCCCTCGGACACTGATCTTCTACAGCACCAGACTGGCCGATGGCGTGCCCAGCAGATTTTCTGGCTCTGGCAGCGGCCAGGACTTCAGCCTGACAATCAGCAGCCTGGAAAGCGACGACACCGCCACCTACTACTGCCTGCAGCACGACGAGAGCCCCTTCACATTTGGCGGAGGCACCAAGCTGGAAATCAAAGGAGGTGGAGGCTCTGGAGGTGGAGGCTCTGGAGGCGGTGGATCCCAAGTTCAGCTTCAGCAACCTGGCGCCGAGCTGGTTAAGCCTGGCGCCTCTGTGAAGATGAGCTGCAAAGCCAGCGGCTACACCTTCACCAACTACTGGATCAACTGGGTCAAGCAGCGGCCTGGCCAAGGCCTGGAATGGATCGGCGATATCTATCCTGGCGGCGGAATCACCAATTACAACGAGAAGTTCAAGACCAAGGCCACACTGACCCTGGACACCAGCAGCTCCACAGTGTACATGCAGCTGAGCAGCCTGACCAGCGAGGATAGCGCCGTGTACTACTGCAGCAGAAGCTACGGCAAGTACTTCGACTACTGGGGCCAGGGCACCACACTGATTGTGTCCTCG-3'
5'-GACATCAAGATGACACAGAGCCCCAGCTCTATGTACGCCAGCGTGGGAGAGAGAGTGACCATTACCTGCAAGGCCAGCCAGGACATCAAGTCCTACCTGACCTGGTATCAGAAGAAGCCCTGGAAGTCCCCTCGGACACTGATCTTCTACAGCACCAGACTGGCCGATGGCGTGCCCAGCAGATTTTCTGGCTCTGGCAGCGGCCAGGACTTCAGCCTGACAATCAGCAGCCTGGAAAGCGACGACACCGCCACCTACTACTGCCTGCAGCACGACGAGAGCCCCTTCACATTTGGCGGAGGCACCAAGCTGGAAATCAAAGGAGGTGGAGGCTCTGGAGGTGGAGGCTCTGGAGGCGGTGGATCCCAAGTTCAGCTTCAGCAACCTGGCGCCGAGCTGGTTAAGCCTGGCGCCTCTGTGAAGATGAGCTGCAAAGCCAGCGGCTACACCTTCACCAACTACTGGATCAACTGGGTCAAGCAGCGGCCTGGCCAAGGCCTGGAATGGATCGGCGATATCTATCCTGGCGGCGGAATCACCAATTACAACGAGAAGTTCAAGACCAAGGCCACACTGACCCTGGACACCAGCAGCTCCACAGTGTACATGCAGCTGAGCAGCCTGACCAGCGAGGATAGCGCCGTGTACTACTGCAGCAGAAGCTACGGCAAGTACTTCGACTACTGGGGCCAGGGCACCACACTGATTGTGTCCTCG-3'
前記(s-a1)〜(s-a3)のポリヌクレオチドは、それぞれ、前記(S-A1)〜(S-A3)のポリペプチドをコードする核酸であり、前記(S-A1)〜(S-A3)のポリペプチドの説明を援用できる。
前記(s-a4)のポリヌクレオチドは、前記本発明の複合体化タンパク質における配列番号13および14のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。前記(s-a5)および(s-a6)のポリヌクレオチドにおいて、前記配列番号21の塩基配列のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3に対応するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドは、例えば、保存されている。前記配列番号21の塩基配列における各CDRのアミノ酸配列をコードする塩基配列は、例えば、それぞれ、前記本発明の複合体化タンパク質における第1の結合ドメインの重鎖可変領域および軽鎖可変領域における各CDRのアミノ酸配列を参照できる。
前記(s-a5)の塩基配列において、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
前記(s-a6)の塩基酸配列において、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1〜216個、1〜180個、1〜144個、1〜120個、1〜90個、1〜72個、1〜60個、1〜45個、1〜30個、1〜20個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1または2個、1個である。
前記第2の結合ドメインをコードするポリヌクレオチドは、具体例として、例えば、下記(s-b)のポリヌクレオチドがあげられる。
(s-b)下記(s-b1)、(s-b2)、(s-b3)、(s-b4)、(s-b5)、または(s-b6)のポリヌクレオチド(核酸)
(s-b1)配列番号18のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(s-b2)配列番号18のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、CD3εに結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(s-b3)配列番号18のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、CD3εに結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(s-b4)配列番号22の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(s-b5)配列番号22の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、CD3εに結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(s-b6)配列番号22の塩基配列において、1個または数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、CD3εに結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(s-b)下記(s-b1)、(s-b2)、(s-b3)、(s-b4)、(s-b5)、または(s-b6)のポリヌクレオチド(核酸)
(s-b1)配列番号18のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(s-b2)配列番号18のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、CD3εに結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(s-b3)配列番号18のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、CD3εに結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(s-b4)配列番号22の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(s-b5)配列番号22の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、CD3εに結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(s-b6)配列番号22の塩基配列において、1個または数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、CD3εに結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
配列番号22の塩基配列からなるポリヌクレオチド
5'-CAGGTCCAGTTGCAACAGTCTGGCGCTGAACTGGCTAGACCTGGCGCTAGCGTGAAGATGTCTTGCAAGGCCTCCGGATACACATTCACCCGGTACACCATGCATTGGGTTAAGCAGAGGCCCGGACAGGGACTTGAGTGGATCGGCTACATCAACCCCAGCCGGGGCTACACAAACTACAATCAGAAGTTTAAGGACAAGGCTACCCTCACCACCGACAAGAGCAGCAGCACAGCCTATATGCAGCTGTCCTCTCTGACCTCCGAGGACTCCGCCGTGTATTATTGCGCCCGGTACTACGACGACCACTACTGTCTGGATTATTGGGGACAGGGAACAACCCTGACCGTGTCCTCTGGTGGAGGAGGCTCAGGAGGAGGTGGCTCTGGTGGTGGAGGCTCGCAAATTGTGCTGACCCAGTCTCCTGCCATCATGAGCGCTAGCCCTGGCGAGAAAGTGACAATGACCTGTAGCGCCAGCAGCAGCGTGTCCTACATGAATTGGTATCAACAGAAGTCCGGCACAAGCCCCAAGAGATGGATCTACGACACCTCCAAGCTGGCCTCTGGCGTGCCAGCTCACTTTAGAGGAAGCGGCAGCGGCACCAGCTACTCCCTGACAATTTCTGGCATGGAAGCCGAGGACGCCGCTACCTACTATTGTCAGCAGTGGTCCAGCAATCCCTTCACCTTCGGCTCCGGAACAAAACTCGAAATCAAC-3'
5'-CAGGTCCAGTTGCAACAGTCTGGCGCTGAACTGGCTAGACCTGGCGCTAGCGTGAAGATGTCTTGCAAGGCCTCCGGATACACATTCACCCGGTACACCATGCATTGGGTTAAGCAGAGGCCCGGACAGGGACTTGAGTGGATCGGCTACATCAACCCCAGCCGGGGCTACACAAACTACAATCAGAAGTTTAAGGACAAGGCTACCCTCACCACCGACAAGAGCAGCAGCACAGCCTATATGCAGCTGTCCTCTCTGACCTCCGAGGACTCCGCCGTGTATTATTGCGCCCGGTACTACGACGACCACTACTGTCTGGATTATTGGGGACAGGGAACAACCCTGACCGTGTCCTCTGGTGGAGGAGGCTCAGGAGGAGGTGGCTCTGGTGGTGGAGGCTCGCAAATTGTGCTGACCCAGTCTCCTGCCATCATGAGCGCTAGCCCTGGCGAGAAAGTGACAATGACCTGTAGCGCCAGCAGCAGCGTGTCCTACATGAATTGGTATCAACAGAAGTCCGGCACAAGCCCCAAGAGATGGATCTACGACACCTCCAAGCTGGCCTCTGGCGTGCCAGCTCACTTTAGAGGAAGCGGCAGCGGCACCAGCTACTCCCTGACAATTTCTGGCATGGAAGCCGAGGACGCCGCTACCTACTATTGTCAGCAGTGGTCCAGCAATCCCTTCACCTTCGGCTCCGGAACAAAACTCGAAATCAAC-3'
前記(s-b1)〜(s-b3)のポリヌクレオチドは、それぞれ、前記(S-B1)〜(S-B3)のポリペプチドをコードする核酸であり、前記(S-B1)〜(S-B3)のポリペプチドの説明を援用できる。
前記(s-b4)のポリヌクレオチドは、前記本発明の複合体化タンパク質における配列番号16および17のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。前記(s-b5)および(s-b6)のポリヌクレオチドにおいて、前記配列番号22の塩基配列のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3に対応するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドは、例えば、保存されている。前記配列番号22の塩基配列における各CDRのアミノ酸配列をコードする塩基配列は、例えば、それぞれ、前記本発明の複合体化タンパク質における第2の結合ドメインの重鎖可変領域および軽鎖可変領域における各CDRのアミノ酸配列を参照できる。
前記(s-b5)の塩基配列において、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
前記(s-b6)の塩基酸配列において、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1〜216個、1〜180個、1〜144個、1〜120個、1〜90個、1〜72個、1〜60個、1〜45個、1〜30個、1〜20個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1または2個、1個である。
前記複合体化タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、具体例として、例えば、下記(b)のポリヌクレオチドがあげられる。
(b)下記(b1)、(b2)、(b3)、(b4)、(b5)、または(b6)のポリヌクレオチド(核酸)
(b1)配列番号20のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(b2)配列番号20のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ヒトIgGおよび/またはCD3εに結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(b3)配列番号20のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、ヒトIgGおよび/またはCD3εに結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(b4)配列番号23の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(b5)配列番号23の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、ヒトIgGおよび/またはCD3εに結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(b6)配列番号23の塩基配列において、1個または数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、ヒトIgGおよび/またはCD3εに結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(b)下記(b1)、(b2)、(b3)、(b4)、(b5)、または(b6)のポリヌクレオチド(核酸)
(b1)配列番号20のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(b2)配列番号20のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ヒトIgGおよび/またはCD3εに結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(b3)配列番号20のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、ヒトIgGおよび/またはCD3εに結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(b4)配列番号23の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(b5)配列番号23の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、ヒトIgGおよび/またはCD3εに結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(b6)配列番号23の塩基配列において、1個または数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、ヒトIgGおよび/またはCD3εに結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
配列番号23の塩基配列からなるポリヌクレオチド
5'-ATGATGAGGCCCATCGTGCTGGTGCTGCTGTTTGCTACATCTGCGGCCGCCGACATCAAGATGACACAGAGCCCCAGCTCTATGTACGCCAGCGTGGGAGAGAGAGTGACCATTACCTGCAAGGCCAGCCAGGACATCAAGTCCTACCTGACCTGGTATCAGAAGAAGCCCTGGAAGTCCCCTCGGACACTGATCTTCTACAGCACCAGACTGGCCGATGGCGTGCCCAGCAGATTTTCTGGCTCTGGCAGCGGCCAGGACTTCAGCCTGACAATCAGCAGCCTGGAAAGCGACGACACCGCCACCTACTACTGCCTGCAGCACGACGAGAGCCCCTTCACATTTGGCGGAGGCACCAAGCTGGAAATCAAAGGAGGTGGAGGCTCTGGAGGTGGAGGCTCTGGAGGCGGTGGATCCCAAGTTCAGCTTCAGCAACCTGGCGCCGAGCTGGTTAAGCCTGGCGCCTCTGTGAAGATGAGCTGCAAAGCCAGCGGCTACACCTTCACCAACTACTGGATCAACTGGGTCAAGCAGCGGCCTGGCCAAGGCCTGGAATGGATCGGCGATATCTATCCTGGCGGCGGAATCACCAATTACAACGAGAAGTTCAAGACCAAGGCCACACTGACCCTGGACACCAGCAGCTCCACAGTGTACATGCAGCTGAGCAGCCTGACCAGCGAGGATAGCGCCGTGTACTACTGCAGCAGAAGCTACGGCAAGTACTTCGACTACTGGGGCCAGGGCACCACACTGATTGTGTCCTCGAGCGGATCTGGCCAGGTCCAGTTGCAACAGTCTGGCGCTGAACTGGCTAGACCTGGCGCTAGCGTGAAGATGTCTTGCAAGGCCTCCGGATACACATTCACCCGGTACACCATGCATTGGGTTAAGCAGAGGCCCGGACAGGGACTTGAGTGGATCGGCTACATCAACCCCAGCCGGGGCTACACAAACTACAATCAGAAGTTTAAGGACAAGGCTACCCTCACCACCGACAAGAGCAGCAGCACAGCCTATATGCAGCTGTCCTCTCTGACCTCCGAGGACTCCGCCGTGTATTATTGCGCCCGGTACTACGACGACCACTACTGTCTGGATTATTGGGGACAGGGAACAACCCTGACCGTGTCCTCTGGTGGAGGAGGCTCAGGAGGAGGTGGCTCTGGTGGTGGAGGCTCGCAAATTGTGCTGACCCAGTCTCCTGCCATCATGAGCGCTAGCCCTGGCGAGAAAGTGACAATGACCTGTAGCGCCAGCAGCAGCGTGTCCTACATGAATTGGTATCAACAGAAGTCCGGCACAAGCCCCAAGAGATGGATCTACGACACCTCCAAGCTGGCCTCTGGCGTGCCAGCTCACTTTAGAGGAAGCGGCAGCGGCACCAGCTACTCCCTGACAATTTCTGGCATGGAAGCCGAGGACGCCGCTACCTACTATTGTCAGCAGTGGTCCAGCAATCCCTTCACCTTCGGCTCCGGAACAAAACTCGAAATCAAC-3'
5'-ATGATGAGGCCCATCGTGCTGGTGCTGCTGTTTGCTACATCTGCGGCCGCCGACATCAAGATGACACAGAGCCCCAGCTCTATGTACGCCAGCGTGGGAGAGAGAGTGACCATTACCTGCAAGGCCAGCCAGGACATCAAGTCCTACCTGACCTGGTATCAGAAGAAGCCCTGGAAGTCCCCTCGGACACTGATCTTCTACAGCACCAGACTGGCCGATGGCGTGCCCAGCAGATTTTCTGGCTCTGGCAGCGGCCAGGACTTCAGCCTGACAATCAGCAGCCTGGAAAGCGACGACACCGCCACCTACTACTGCCTGCAGCACGACGAGAGCCCCTTCACATTTGGCGGAGGCACCAAGCTGGAAATCAAAGGAGGTGGAGGCTCTGGAGGTGGAGGCTCTGGAGGCGGTGGATCCCAAGTTCAGCTTCAGCAACCTGGCGCCGAGCTGGTTAAGCCTGGCGCCTCTGTGAAGATGAGCTGCAAAGCCAGCGGCTACACCTTCACCAACTACTGGATCAACTGGGTCAAGCAGCGGCCTGGCCAAGGCCTGGAATGGATCGGCGATATCTATCCTGGCGGCGGAATCACCAATTACAACGAGAAGTTCAAGACCAAGGCCACACTGACCCTGGACACCAGCAGCTCCACAGTGTACATGCAGCTGAGCAGCCTGACCAGCGAGGATAGCGCCGTGTACTACTGCAGCAGAAGCTACGGCAAGTACTTCGACTACTGGGGCCAGGGCACCACACTGATTGTGTCCTCGAGCGGATCTGGCCAGGTCCAGTTGCAACAGTCTGGCGCTGAACTGGCTAGACCTGGCGCTAGCGTGAAGATGTCTTGCAAGGCCTCCGGATACACATTCACCCGGTACACCATGCATTGGGTTAAGCAGAGGCCCGGACAGGGACTTGAGTGGATCGGCTACATCAACCCCAGCCGGGGCTACACAAACTACAATCAGAAGTTTAAGGACAAGGCTACCCTCACCACCGACAAGAGCAGCAGCACAGCCTATATGCAGCTGTCCTCTCTGACCTCCGAGGACTCCGCCGTGTATTATTGCGCCCGGTACTACGACGACCACTACTGTCTGGATTATTGGGGACAGGGAACAACCCTGACCGTGTCCTCTGGTGGAGGAGGCTCAGGAGGAGGTGGCTCTGGTGGTGGAGGCTCGCAAATTGTGCTGACCCAGTCTCCTGCCATCATGAGCGCTAGCCCTGGCGAGAAAGTGACAATGACCTGTAGCGCCAGCAGCAGCGTGTCCTACATGAATTGGTATCAACAGAAGTCCGGCACAAGCCCCAAGAGATGGATCTACGACACCTCCAAGCTGGCCTCTGGCGTGCCAGCTCACTTTAGAGGAAGCGGCAGCGGCACCAGCTACTCCCTGACAATTTCTGGCATGGAAGCCGAGGACGCCGCTACCTACTATTGTCAGCAGTGGTCCAGCAATCCCTTCACCTTCGGCTCCGGAACAAAACTCGAAATCAAC-3'
前記(b1)〜(b3)のポリヌクレオチドは、それぞれ、前記(B1)〜(B3)のポリペプチドをコードする核酸であり、前記(B1)〜(B3)のポリペプチドの説明を援用できる。
前記(b4)のポリヌクレオチドは、前記本発明の複合体化タンパク質における配列番号15および18のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。前記(b5)および(b6)のポリヌクレオチドにおいて、前記配列番号23の塩基配列のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3に対応するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドは、例えば、保存されている。前記配列番号23の塩基配列における各CDRのアミノ酸配列をコードする塩基配列は、例えば、それぞれ、前記本発明の複合体化タンパク質における第1の結合ドメインの重鎖可変領域および軽鎖可変領域と、第2の結合ドメインの重鎖可変領域および軽鎖可変領域とにおける各CDRのアミノ酸配列を参照できる。
前記(b5)の塩基配列において、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
前記(b6)の塩基配列において、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1〜450個、1〜400個、1〜350個、1〜300個、1〜250個、1〜216個、1〜180個、1〜144個、1〜120個、1〜72個、1〜60個、1〜45個、1〜30個、1〜20個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1または2個、1個である。
<治療方法>
本発明の標的抗原に関連する疾患の治療方法は、患者に、本発明の複合体化タンパク質と、標的抗原に結合可能な抗体またはその抗原結合断片とを投与する(投与工程)。本発明の治療方法は、前記本発明の複合体化タンパク質を患者に投与することが特徴であり、その他の工程および条件は、特に制限されない。本発明の治療方法は、前記本発明の複合体化タンパク質、抗体複合体、および医薬組成物の説明を援用できる。本発明の治療方法によれば、前記標的抗原に関連する疾患を治療できる。
本発明の標的抗原に関連する疾患の治療方法は、患者に、本発明の複合体化タンパク質と、標的抗原に結合可能な抗体またはその抗原結合断片とを投与する(投与工程)。本発明の治療方法は、前記本発明の複合体化タンパク質を患者に投与することが特徴であり、その他の工程および条件は、特に制限されない。本発明の治療方法は、前記本発明の複合体化タンパク質、抗体複合体、および医薬組成物の説明を援用できる。本発明の治療方法によれば、前記標的抗原に関連する疾患を治療できる。
前記投与工程において、前記複合体化タンパク質と、前記抗体等とは別々に投与してもよいし、同時に投与してもよい。後者の場合、前記投与工程では、前記複合体化タンパク質と前記抗体等との抗体複合体を投与してもよい。この場合、前記複合体化タンパク質は、その第1の抗原結合ドメインにより前記抗体等と結合し、複合体化している。前記投与工程では、例えば、前記複合体化タンパク質として、前記複合体化タンパク質をコードする核酸を投与してもよい。
前記標的抗原に関連する疾患は例えば、特に制限されず、例えば、悪性リンパ腫、白血病、骨髄腫、肺がん、乳がん、腎がん、大腸がん、卵巣がん等の腫瘍;アレルギー疾患または自己免疫疾患等の免疫疾患;血友病、特発性血小板減少性紫斑病、フォンビルブランド病等の遺伝子疾患;アルツハイマー病、多発性硬化症、ギランバレー症候群等の神経疾患;等があげられる。
前記標的抗原と、前記疾患との組合せは、特に制限されない。具体例として、前記疾患ががん(腫瘍)である場合、前記標的抗原は、腫瘍抗原である。この場合、前記複合体化タンパク質における所望の抗原は、例えば、前記免疫細胞に発現する抗原であり、好ましくは、CD3である。前記疾患がB細胞リンパ腫である場合、前記標的抗原は、CD19、CD20、CD38等のB細胞に発現する抗原である。この場合、前記複合体化タンパク質における所望の抗原は、例えば、前記免疫細胞に発現する抗原であり、好ましくは、CD3である。前記疾患がアレルギー疾患である場合、前記標的抗原は、例えば、アレルゲンまたはサイトカインである。この場合、前記複合体化タンパク質における所望の抗原は、例えば、アレルゲンまたはサイトカインであり、好ましくは、前記標的抗原と異なる抗原である。前記疾患が血友病である場合、前記標的抗原は、例えば、前述の血液凝固因子である。この場合、前記複合体化タンパク質における所望の抗原は、例えば、前述の血液凝固因子であり、好ましくは、前記標的抗原と異なる抗原である。
<複合体化タンパク質または抗体複合体の使用>
本発明は、標的抗原に関連する疾患の治療方法に使用するための、前記本発明の複合体化タンパク質または抗体複合体である。また、本発明は、標的抗原に関連する疾患の治療用医薬の製造のための前記本発明の複合体化タンパク質または抗体複合体の使用である。本発明の使用は、本発明の複合体化タンパク質、抗体複合体、および医薬組成物の説明を援用できる。
本発明は、標的抗原に関連する疾患の治療方法に使用するための、前記本発明の複合体化タンパク質または抗体複合体である。また、本発明は、標的抗原に関連する疾患の治療用医薬の製造のための前記本発明の複合体化タンパク質または抗体複合体の使用である。本発明の使用は、本発明の複合体化タンパク質、抗体複合体、および医薬組成物の説明を援用できる。
次に、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、下記実施例により制限されない。市販の試薬は、特に示さない限り、それらのプロトコルに基づいて使用した。
[実施例1]
本発明の複合体化タンパク質を調製後、抗体複合体を調製し、前記抗体複合体は、所望の抗原に対する結合性が付与されていること、および前記抗体複合体は、多重特異性抗体と同様の機能を発揮することを確認した。
本発明の複合体化タンパク質を調製後、抗体複合体を調製し、前記抗体複合体は、所望の抗原に対する結合性が付与されていること、および前記抗体複合体は、多重特異性抗体と同様の機能を発揮することを確認した。
(1)B-BiTEの調製
まず、ヒトIgGに結合可能な第1の結合ドメインと、CD3εに結合可能な第2の結合ドメインとを有する複合体化タンパク質(以下、「B-BiTE」ともいう)を調製した。具体的には、B-BiTEをコードするポリヌクレオチドを、人工遺伝子合成サービス(GeneArt(商標)、Thermo Fisher Scientifics社製)を利用して合成した。B-BiTEをコードするポリヌクレオチドは、以下のようにして設計した。まず、マウス抗ヒトIgG mAb(クローン:HP6017)由来の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を、リンカーペプチド(GGGGSGGGGSGGGGS:配列番号24)により連結し、ヒトIgGに結合可能なscFv(第1の結合ドメイン)を設計した。なお、HP6017抗体は、ヒトIgGの全てのサブクラスに結合可能であることが知られている。
まず、ヒトIgGに結合可能な第1の結合ドメインと、CD3εに結合可能な第2の結合ドメインとを有する複合体化タンパク質(以下、「B-BiTE」ともいう)を調製した。具体的には、B-BiTEをコードするポリヌクレオチドを、人工遺伝子合成サービス(GeneArt(商標)、Thermo Fisher Scientifics社製)を利用して合成した。B-BiTEをコードするポリヌクレオチドは、以下のようにして設計した。まず、マウス抗ヒトIgG mAb(クローン:HP6017)由来の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を、リンカーペプチド(GGGGSGGGGSGGGGS:配列番号24)により連結し、ヒトIgGに結合可能なscFv(第1の結合ドメイン)を設計した。なお、HP6017抗体は、ヒトIgGの全てのサブクラスに結合可能であることが知られている。
つぎに、ヒトCD3ε mAb(クローン:OKT3)由来の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を、リンカーペプチド(GGGGSGGGGSGGGGS:配列番号24)により連結し、ヒトCD3εに結合可能なscFv(第2の結合ドメイン)を設計した。さらに、前記第1の結合ドメインと、前記第2の結合ドメインとを、ドメインリンカー(SGSG:配列番号19)を介して、N末端からこの順序で連結し、さらに、そのC末端に前記ドメインリンカーを介してHisタグ(His×6タグ)を連結することにより、B-BiTEを設計した。そして、設計されたB-BiTEのアミノ酸配列(配列番号25)から、B-BiTEをコードするポリヌクレオチド(配列番号26)の塩基配列を決定した。そして、B-BiTEをコードするポリヌクレオチドを合成した。
B-BiTEのアミノ酸配列(配列番号25)
MMRPIVLVLLFATSAAADIKMTQSPSSMYASVGERVTITCKASQDIKSYLTWYQKKPWKSPRTLIFYSTRLADGVPSRFSGSGSGQDFSLTISSLESDDTATYYCLQHDESPFTFGGGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGGSQVQLQQPGAELVKPGASVKMSCKASGYTFTNYWINWVKQRPGQGLEWIGDIYPGGGITNYNEKFKTKATLTLDTSSSTVYMQLSSLTSEDSAVYYCSRSYGKYFDYWGQGTTLIVSSSGSGQVQLQQSGAELARPGASVKMSCKASGYTFTRYTMHWVKQRPGQGLEWIGYINPSRGYTNYNQKFKDKATLTTDKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARYYDDHYCLDYWGQGTTLTVSSGGGGSGGGGSGGGGSQIVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMNWYQQKSGTSPKRWIYDTSKLASGVPAHFRGSGSGTSYSLTISGMEAEDAATYYCQQWSSNPFTFGSGTKLEINSGSGHHHHHH
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B-BiTEをコードするポリヌクレオチド(配列番号26、終止コドン含)
5'-ATGATGAGGCCCATCGTGCTGGTGCTGCTGTTTGCTACATCTGCGGCCGCCGACATCAAGATGACACAGAGCCCCAGCTCTATGTACGCCAGCGTGGGAGAGAGAGTGACCATTACCTGCAAGGCCAGCCAGGACATCAAGTCCTACCTGACCTGGTATCAGAAGAAGCCCTGGAAGTCCCCTCGGACACTGATCTTCTACAGCACCAGACTGGCCGATGGCGTGCCCAGCAGATTTTCTGGCTCTGGCAGCGGCCAGGACTTCAGCCTGACAATCAGCAGCCTGGAAAGCGACGACACCGCCACCTACTACTGCCTGCAGCACGACGAGAGCCCCTTCACATTTGGCGGAGGCACCAAGCTGGAAATCAAAGGAGGTGGAGGCTCTGGAGGTGGAGGCTCTGGAGGCGGTGGATCCCAAGTTCAGCTTCAGCAACCTGGCGCCGAGCTGGTTAAGCCTGGCGCCTCTGTGAAGATGAGCTGCAAAGCCAGCGGCTACACCTTCACCAACTACTGGATCAACTGGGTCAAGCAGCGGCCTGGCCAAGGCCTGGAATGGATCGGCGATATCTATCCTGGCGGCGGAATCACCAATTACAACGAGAAGTTCAAGACCAAGGCCACACTGACCCTGGACACCAGCAGCTCCACAGTGTACATGCAGCTGAGCAGCCTGACCAGCGAGGATAGCGCCGTGTACTACTGCAGCAGAAGCTACGGCAAGTACTTCGACTACTGGGGCCAGGGCACCACACTGATTGTGTCCTCGAGCGGATCTGGCCAGGTCCAGTTGCAACAGTCTGGCGCTGAACTGGCTAGACCTGGCGCTAGCGTGAAGATGTCTTGCAAGGCCTCCGGATACACATTCACCCGGTACACCATGCATTGGGTTAAGCAGAGGCCCGGACAGGGACTTGAGTGGATCGGCTACATCAACCCCAGCCGGGGCTACACAAACTACAATCAGAAGTTTAAGGACAAGGCTACCCTCACCACCGACAAGAGCAGCAGCACAGCCTATATGCAGCTGTCCTCTCTGACCTCCGAGGACTCCGCCGTGTATTATTGCGCCCGGTACTACGACGACCACTACTGTCTGGATTATTGGGGACAGGGAACAACCCTGACCGTGTCCTCTGGTGGAGGAGGCTCAGGAGGAGGTGGCTCTGGTGGTGGAGGCTCGCAAATTGTGCTGACCCAGTCTCCTGCCATCATGAGCGCTAGCCCTGGCGAGAAAGTGACAATGACCTGTAGCGCCAGCAGCAGCGTGTCCTACATGAATTGGTATCAACAGAAGTCCGGCACAAGCCCCAAGAGATGGATCTACGACACCTCCAAGCTGGCCTCTGGCGTGCCAGCTCACTTTAGAGGAAGCGGCAGCGGCACCAGCTACTCCCTGACAATTTCTGGCATGGAAGCCGAGGACGCCGCTACCTACTATTGTCAGCAGTGGTCCAGCAATCCCTTCACCTTCGGCTCCGGAACAAAACTCGAAATCAACAGCGGCTCCGGCCACCACCACCATCACCATTAA-3'
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前記B-BiTEをコードするポリヌクレオチドをpMX発現ベクター(B-BiTE発現ベクター)に導入した。つぎに、前記B-BiTE発現ベクターを、トランスフェクション試薬(TransIT293、Takara Bio社製)を用いて、Plat-A細胞(東大医科研より供与)に導入することにより、レトロウイルスを調製した。前記レトロウイルスを293T細胞に感染させることにより、B-BiTEをコードするポリヌクレオチドを293T細胞に導入し、B-BiTEを産生する293T細胞(293T/B-BiTE細胞)を調製した。前記Plat−A細胞は、10%ウシ胎児血清(FCS)、1μg/mLピューロマイシン、10μg/mLブラストサイジン含有DMEM培地で維持したものを使用した。得られた293T/B-BiTE細胞について、培養を行ない、得られた培養上清から、ヒスタグを利用したカラム(His GraviTrap column、GE healthcare社製)を用いて、B-BiTEを生成した。293T/B-BiTE細胞の培養液は、Ultra Low IgG FBS(Thermo Fisher Scientific社製)を添加したDMEM培地とした。なお、293T細胞およびPlat-A細胞の培養条件は、37℃、5%CO2とし、湿潤雰囲気下とした。以下、特に言及しない限り細胞の培養条件は同様とした。
(2)B-BiTEの結合能
つぎに、B-BiTEが、ヒトIgGおよびヒトCD3εに結合することを、標的抗原をCD19として確認した。まず、B-BiTEと、抗CD19抗体(ヒトIgG1キメラ抗体、clone FMC63)またはコントロール抗体(ヒトIgG1キメラ抗体、clone MOPC21)とで抗体複合体を形成させた。なお、各抗体の可変領域は、マウス抗体であり、定常領域は、ヒト抗体である。具体的には、血清不含のリン酸緩衝液(PBS)に、B-BiTEと、抗CD19抗体またはコントロールの抗体とを、B-BiTEの濃度(B)と前記抗体の濃度(A)との濃度比(B:A)が、1:3となるように添加し、1時間室温(約25℃)でインキュベートした。なお、B-BiTEの濃度(B)と前記抗体の濃度(A)を1:3とすることにより、前記比(MAb:MCO)は、1:約1となる。そして、得られた混合液を抗体複合体(CD19/B-BiTEまたはisotype/B-BiTE)として用いた。なお、B-BiTEの濃度は、10μg/mLとし、抗体の濃度は、30μg/mLとした。
つぎに、B-BiTEが、ヒトIgGおよびヒトCD3εに結合することを、標的抗原をCD19として確認した。まず、B-BiTEと、抗CD19抗体(ヒトIgG1キメラ抗体、clone FMC63)またはコントロール抗体(ヒトIgG1キメラ抗体、clone MOPC21)とで抗体複合体を形成させた。なお、各抗体の可変領域は、マウス抗体であり、定常領域は、ヒト抗体である。具体的には、血清不含のリン酸緩衝液(PBS)に、B-BiTEと、抗CD19抗体またはコントロールの抗体とを、B-BiTEの濃度(B)と前記抗体の濃度(A)との濃度比(B:A)が、1:3となるように添加し、1時間室温(約25℃)でインキュベートした。なお、B-BiTEの濃度(B)と前記抗体の濃度(A)を1:3とすることにより、前記比(MAb:MCO)は、1:約1となる。そして、得られた混合液を抗体複合体(CD19/B-BiTEまたはisotype/B-BiTE)として用いた。なお、B-BiTEの濃度は、10μg/mLとし、抗体の濃度は、30μg/mLとした。
抗体複合体と反応させる細胞は、KT1細胞(CD3−CD19−細胞、慢性骨髄性白血病由来細胞株(国立大学法人愛媛大学医学部第一内で樹立))、KT1/CD19細胞(CD3−CD19+細胞)、K562細胞(CD3−CD19−細胞、ATCCより入手)、K562/CD19細胞(CD3−CD19+細胞)、Raji細胞(CD3−CD19+細胞)、Jurkat76細胞(CD3−CD19−細胞)、およびJurkat細胞(CD3+CD19−細胞)とした。KT1/CD19細胞およびK562/CD19細胞は、それぞれ、KT1細胞およびK562細胞に、レトロウイルスを用いてヒトCD19をコードするポリヌクレオチドを導入することにより調製した。具体的には、前記B-BiTE発現ベクターに代えて、ヒトCD19をコードするポリヌクレオチド(配列番号27)を含むpMX発現ベクターを導入した以外は、同様にしてレトロウイルスを調製した。得られたレトロウイルスをKT1細胞およびK562細胞に感染させることにより、KT1/CD19細胞およびK562/CD19細胞を調製した。また、KT1細胞およびKT1/CD19細胞の培養液は、10%FCS含有RPMI培地とした。K562細胞、K562/CD19細胞、Raji細胞、Jurkat76細胞、およびJurkat細胞と、後述のK562/CD20細胞およびK562/CD38細胞の培養液は、10%FCS含有RPMI1640培地とした。
ヒトCD19をコードするポリヌクレオチド(配列番号27)
5'-ATGCCACCTCCTCGCCTCCTCTTCTTCCTCCTCTTCCTCACCCCCATGGAAGTCAGGCCCGAGGAACCTCTAGTGGTGAAGGTGGAAGAGGGAGATAACGCTGTGCTGCAGTGCCTCAAGGGGACCTCAGATGGCCCCACTCAGCAGCTGACCTGGTCTCGGGAGTCCCCGCTTAAACCCTTCTTAAAACTCAGCCTGGGGCTGCCAGGCCTGGGAATCCACATGAGGCCCCTGGCCATCTGGCTTTTCATCTTCAACGTCTCTCAACAGATGGGGGGCTTCTACCTGTGCCAGCCGGGGCCCCCCTCTGAGAAGGCCTGGCAGCCTGGCTGGACAGTCAATGTGGAGGGCAGCGGGGAGCTGTTCCGGTGGAATGTTTCGGACCTAGGTGGCCTGGGCTGTGGCCTGAAGAACAGGTCCTCAGAGGGCCCCAGCTCCCCTTCCGGGAAGCTCATGAGCCCCAAGCTGTATGTGTGGGCCAAAGACCGCCCTGAGATCTGGGAGGGAGAGCCTCCGTGTCTCCCACCGAGGGACAGCCTGAACCAGAGCCTCAGCCAGGACCTCACCATGGCCCCTGGCTCCACACTCTGGCTGTCCTGTGGGGTACCCCCTGACTCTGTGTCCAGGGGCCCCCTCTCCTGGACCCATGTGCACCCCAAGGGGCCTAAGTCATTGCTGAGCCTAGAGCTGAAGGACGATCGCCCGGCCAGAGATATGTGGGTAATGGAGACGGGTCTGTTGTTGCCCCGGGCCACAGCTCAAGACGCTGGAAAGTATTATTGTCACCGTGGCAACCTGACCATGTCATTCCACCTGGAGATCACTGCTCGGCCAGTACTATGGCACTGGCTGCTGAGGACTGGTGGCTGGAAGGTCTCAGCTGTGACTTTGGCTTATCTGATCTTCTGCCTGTGTTCCCTTGTGGGCATTCTTCATCTTCAAAGAGCCCTGGTCCTGAGGAGGAAAAGAAAGCGAATGACTGACCCCACCAGGAGATTCTTCAAAGTGACGCCTCCCCCAGGAAGCGGGCCCCAGAACCAGTACGGGAACGTGCTGTCTCTCCCCACACCCACCTCAGGCCTCGGACGCGCCCAGCGTTGGGCCGCAGGCCTGGGGGGCACTGCCCCGTCTTATGGAAACCCGAGCAGCGACGTCCAGGCGGATGGAGCCTTGGGGTCCCGGAGCCCGCCGGGAGTGGGCCCAGAAGAAGAGGAAGGGGAGGGCTATGAGGAACCTGACAGTGAGGAGGACTCCGAGTTCTATGAGAACGACTCCAACCTTGGGCAGGACCAGCTCTCCCAGGATGGCAGCGGCTACGAGAACCCTGAGGATGAGCCCCTGGGTCCTGAGGATGAAGACTCCTTCTCCAACGCTGAGTCTTATGAGAACGAGGATGAAGAGCTGACCCAGCCGGTCGCCAGGACAATGGACTTCCTGAGCCCTCATGGGTCAGCCTGGGACCCCAGCCGGGAAGCAACCTCCCTGGGGTCCCAGTCCTATGAGGATATGAGAGGAATCCTGTATGCAGCCCCCCAGCTCCGCTCCATTCGGGGCCAGCCTGGACCCAATCATGAGGAAGATGCAGACTCTTATGAGAACATGGATAATCCCGATGGGCCAGACCCAGCCTGGGGAGGAGGGGGCCGCATGGGCACCTGGAGCACCAGG-3'
5'-ATGCCACCTCCTCGCCTCCTCTTCTTCCTCCTCTTCCTCACCCCCATGGAAGTCAGGCCCGAGGAACCTCTAGTGGTGAAGGTGGAAGAGGGAGATAACGCTGTGCTGCAGTGCCTCAAGGGGACCTCAGATGGCCCCACTCAGCAGCTGACCTGGTCTCGGGAGTCCCCGCTTAAACCCTTCTTAAAACTCAGCCTGGGGCTGCCAGGCCTGGGAATCCACATGAGGCCCCTGGCCATCTGGCTTTTCATCTTCAACGTCTCTCAACAGATGGGGGGCTTCTACCTGTGCCAGCCGGGGCCCCCCTCTGAGAAGGCCTGGCAGCCTGGCTGGACAGTCAATGTGGAGGGCAGCGGGGAGCTGTTCCGGTGGAATGTTTCGGACCTAGGTGGCCTGGGCTGTGGCCTGAAGAACAGGTCCTCAGAGGGCCCCAGCTCCCCTTCCGGGAAGCTCATGAGCCCCAAGCTGTATGTGTGGGCCAAAGACCGCCCTGAGATCTGGGAGGGAGAGCCTCCGTGTCTCCCACCGAGGGACAGCCTGAACCAGAGCCTCAGCCAGGACCTCACCATGGCCCCTGGCTCCACACTCTGGCTGTCCTGTGGGGTACCCCCTGACTCTGTGTCCAGGGGCCCCCTCTCCTGGACCCATGTGCACCCCAAGGGGCCTAAGTCATTGCTGAGCCTAGAGCTGAAGGACGATCGCCCGGCCAGAGATATGTGGGTAATGGAGACGGGTCTGTTGTTGCCCCGGGCCACAGCTCAAGACGCTGGAAAGTATTATTGTCACCGTGGCAACCTGACCATGTCATTCCACCTGGAGATCACTGCTCGGCCAGTACTATGGCACTGGCTGCTGAGGACTGGTGGCTGGAAGGTCTCAGCTGTGACTTTGGCTTATCTGATCTTCTGCCTGTGTTCCCTTGTGGGCATTCTTCATCTTCAAAGAGCCCTGGTCCTGAGGAGGAAAAGAAAGCGAATGACTGACCCCACCAGGAGATTCTTCAAAGTGACGCCTCCCCCAGGAAGCGGGCCCCAGAACCAGTACGGGAACGTGCTGTCTCTCCCCACACCCACCTCAGGCCTCGGACGCGCCCAGCGTTGGGCCGCAGGCCTGGGGGGCACTGCCCCGTCTTATGGAAACCCGAGCAGCGACGTCCAGGCGGATGGAGCCTTGGGGTCCCGGAGCCCGCCGGGAGTGGGCCCAGAAGAAGAGGAAGGGGAGGGCTATGAGGAACCTGACAGTGAGGAGGACTCCGAGTTCTATGAGAACGACTCCAACCTTGGGCAGGACCAGCTCTCCCAGGATGGCAGCGGCTACGAGAACCCTGAGGATGAGCCCCTGGGTCCTGAGGATGAAGACTCCTTCTCCAACGCTGAGTCTTATGAGAACGAGGATGAAGAGCTGACCCAGCCGGTCGCCAGGACAATGGACTTCCTGAGCCCTCATGGGTCAGCCTGGGACCCCAGCCGGGAAGCAACCTCCCTGGGGTCCCAGTCCTATGAGGATATGAGAGGAATCCTGTATGCAGCCCCCCAGCTCCGCTCCATTCGGGGCCAGCCTGGACCCAATCATGAGGAAGATGCAGACTCTTATGAGAACATGGATAATCCCGATGGGCCAGACCCAGCCTGGGGAGGAGGGGGCCGCATGGGCACCTGGAGCACCAGG-3'
KT1細胞、KT1/CD19細胞、K562細胞、K562/CD19細胞、Raji細胞、Jurkat76細胞、およびJurkat細胞と、CD19/B-BiTEまたはisotype/B-BiTEを含む混合液とを混合し、30分間4℃でインキュベートした。前記インキュベート後、各細胞を洗浄し、PE標識抗His抗体(clone GG11-8F3.5.1)で染色した。そして、染色後の各細胞について、フローサイトメーター(Gallios flow cytometer、Beckman Coulter社製)を用いて各細胞と前記抗体複合体との結合を検討した。コントロールは、前記抗体複合体を添加しなかった以外は同様にして測定した。これらの結果を図2に示す。
図2は、抗体複合体と細胞との結合を示すヒストグラムである。図2において、(A)が、KT1細胞、(B)が、KT1/CD19細胞、(C)が、K562細胞、(D)が、K562/CD19細胞、(E)が、Raji細胞、(F)が、Jurkat76細胞、(G)が、Jurkat細胞の結果を示す。図2(A)〜(G)において、横軸は、抗His抗体の蛍光強度を示し、縦軸は、カウント数の相対値を示す。図2(A)〜(G)に示すように、コントロールでは、結合が観察されなかった。また、図2(G)に示すように、複合体化タンパク質とコントロール抗体との抗体複合体(isotype/B-BiTE)は、CD3εに対して結合性を示すため、Jurkat細胞に対して結合した。さらに、図2(B)、(D)、(E)および(G)に示すように、複合体化タンパク質と抗CD19抗体との抗体複合体(CD19/B-BiTE)は、CD19およびCD3εに対して結合性を示すため、KT1/CD19細胞、K562/CD19細胞、Raji細胞およびJurkat細胞に結合した。これらの結果から、本発明の複合体化タンパク質によれば、結合対象の抗体に対して、所望の抗原に対する結合性を付加可能であることがわかった。
(3)抗体複合体の機能
二重特異性抗体は、標的抗原を発現する細胞にT細胞をリクルートし、T細胞を活性化できる。このため、B-BiTE/CD19についても同様の機能を有するか検討した。具体的には、B-BiTEの濃度を2.5μg/mLとし、抗体の濃度を7.5μg/mLとした以外は、前記実施例1(2)と同様にして、CD19/B-BiTEまたはisotype/B-BiTEを調製した。
二重特異性抗体は、標的抗原を発現する細胞にT細胞をリクルートし、T細胞を活性化できる。このため、B-BiTE/CD19についても同様の機能を有するか検討した。具体的には、B-BiTEの濃度を2.5μg/mLとし、抗体の濃度を7.5μg/mLとした以外は、前記実施例1(2)と同様にして、CD19/B-BiTEまたはisotype/B-BiTEを調製した。
つぎに、末梢血中のCD4+T細胞およびCD8+T細胞を調製した。具体的には、健常者からヒト末梢血を回収した。つぎに、前記末梢血から、ヒト末梢血単核球を抽出後、得られたヒト末梢血単核球と、T細胞精製キット(Pan T cell isolation kit 、Miltenyi Biotec社製)を用いて、CD3+T細胞を精製した。そして、2.5×105個のT細胞と、5.0×104個のターゲット細胞とを、前記CD19/B-BiTEまたはisotype/B-BiTEの存在下、2時間培養した(n=3)。前記ターゲット細胞は、K562細胞、K562/CD19細胞およびRaji細胞とした。前記培養後、5μg/mLとなるように、Brefeldin A(BFA)を添加し、さらに、18時間培養した。そして、T細胞を回収後、1%パラホルムアルデヒド(PFA)で固定後、細胞膜の透過処理を行い、PE標識抗ヒトTNF−α抗体(clone MAb11)、APC標識抗ヒトIL−2抗体(clone MQ1-17H12)およびPC7標識抗ヒトIFN−γ抗体(clone B27)と、PC5標識抗ヒトCD8抗体(clone B9.11)、FITC標識抗CD4抗体(clone OKT4)およびV450抗ヒトCD3抗体(clone UCHT1)で染色した。前記染色後のT細胞について、前記フローサイトメーターで測定し、各サイトカインを産生している細胞の割合を算出した。これらの結果を図3および4に示す。
図3および4は、サイトカイン産生細胞の割合を示すグラフである。図3および4において、横軸は、抗体または抗体複合体の種類を示し、縦軸は、各サイトカイン産生細胞の割合を示す。図3は、ターゲット細胞がK562細胞またはK562/CD19細胞の場合の結果を示し、図4は、ターゲット細胞がRaji細胞の場合の結果を示す。図3に示すように、CD19およびCD3を発現していないK562細胞をターゲット細胞とした場合、CD19/B-BiTEおよびisotype/B-BiTE添加群では、サイトカイン産生は見られなかった。これに対して、CD19を発現しているK562/CD19細胞をターゲット細胞とした場合、CD19/B-BiTE添加群は、isotype/B-BiTE添加群と比較して有意にサイトカイン産生細胞の割合が増加していた。また、図4に示すように、CD19を発現しているRaji細胞をターゲット細胞とした場合、CD19/B-BiTE添加群は、isotype/B-BiTE添加群と比較して有意にサイトカイン産生細胞の割合が増加していた。これらの結果から、本発明の抗体複合体は、二重特異性抗体と同様に、標的抗原を発現する細胞にT細胞をリクルートし、T細胞を活性化できることがわかった。
以上のことから、本発明の複合体化タンパク質は、抗体複合体を形成し、前記抗体複合体は、所望の抗原に対する結合性が付与されていること、および前記抗体複合体は、多重特異性抗体と同様の機能を発揮することをがわかった。
[実施例2]
本発明の抗体複合体を調製し、前記抗体複合体は、所望の抗原に対する結合性が付与されていること、および前記抗体複合体は、多重特異性抗体と同様の機能を発揮することがわかった。
本発明の抗体複合体を調製し、前記抗体複合体は、所望の抗原に対する結合性が付与されていること、および前記抗体複合体は、多重特異性抗体と同様の機能を発揮することがわかった。
前記抗CD19抗体に代えて、抗CD20抗体(Rituximab)または抗CD38抗体(Daratumumab)を用いた以外は、前記実施例1(2)と同様にして、抗体複合体(CD20/B-BiTEまたはCD38/B-BiTE)を調製した。
抗体複合体と反応させる細胞は、K562細胞(CD3−CD20−CD38−細胞、ATCCより入手)、K562/CD20細胞(CD3−CD20+CD38−細胞)、K562/CD38細胞(CD3−CD20−CD38+細胞)、Raji細胞(CD3−CD20+CD38+細胞)、Jurkat76細胞(CD3−CD20−CD38−細胞)、およびJurkat細胞(CD3+CD20−CD38−細胞)とした。K562/CD20細胞およびK562/CD38細胞は、それぞれ、前記ヒトCD19をコードするポリヌクレオチドに代えて、ヒトCD20をコードするポリヌクレオチドおよびヒトCD38をコードするポリヌクレオチドを用いた以外は、レトロウイルスを用いて前記実施例1(2)と同様にして調製した。
ヒトCD20をコードするポリヌクレオチド(配列番号28、終止コドン含)
5’-ATGACAACACCCAGAAATTCAGTAAATGGGACTTTCCCGGCAGAGCCAATGAAAGGCCCTATTGCTATGCAATCTGGTCCAAAACCACTCTTCAGGAGGATGTCTTCACTGGTGGGCCCCACGCAAAGCTTCTTCATGAGGGAATCTAAGACTTTGGGGGCTGTCCAGATTATGAATGGGCTCTTCCACATTGCCCTGGGGGGTCTTCTGATGATCCCAGCAGGGATCTATGCACCCATCTGTGTGACTGTGTGGTACCCTCTCTGGGGAGGCATTATGTATATTATTTCCGGATCACTCCTGGCAGCAACGGAGAAAAACTCCAGGAAGTGTTTGGTCAAAGGAAAAATGATAATGAATTCATTGAGCCTCTTTGCTGCCATTTCTGGAATGATTCTTTCAATCATGGACATACTTAATATTAAAATTTCCCATTTTTTAAAAATGGAGAGTCTGAATTTTATTAGAGCTCACACACCATATATTAACATATACAACTGTGAACCAGCTAATCCCTCTGAGAAAAACTCCCCATCTACCCAATACTGTTACAGCATACAATCTCTGTTCTTGGGCATTTTGTCAGTGATGCTGATCTTTGCCTTCTTCCAGGAACTTGTAATAGCTGGCATCGTTGAGAATGAATGGAAAAGAACGTGCTCCAGACCCAAATCTAACATAGTTCTCCTGTCAGCAGAAGAAAAAAAAGAACAGACTATTGAAATAAAAGAAGAAGTGGTTGGGCTAACTGAAACATCTTCCCAACCAAAGAATGAAGAAGACATTGAAATTATTCCAATCCAAGAAGAGGAAGAAGAAGAAACAGAGACGAACTTTCCAGAACCTCCCCAAGATCAGGAATCCTCACCAATAGAAAATGACAGCTCTCCTTAA-3’
5’-ATGACAACACCCAGAAATTCAGTAAATGGGACTTTCCCGGCAGAGCCAATGAAAGGCCCTATTGCTATGCAATCTGGTCCAAAACCACTCTTCAGGAGGATGTCTTCACTGGTGGGCCCCACGCAAAGCTTCTTCATGAGGGAATCTAAGACTTTGGGGGCTGTCCAGATTATGAATGGGCTCTTCCACATTGCCCTGGGGGGTCTTCTGATGATCCCAGCAGGGATCTATGCACCCATCTGTGTGACTGTGTGGTACCCTCTCTGGGGAGGCATTATGTATATTATTTCCGGATCACTCCTGGCAGCAACGGAGAAAAACTCCAGGAAGTGTTTGGTCAAAGGAAAAATGATAATGAATTCATTGAGCCTCTTTGCTGCCATTTCTGGAATGATTCTTTCAATCATGGACATACTTAATATTAAAATTTCCCATTTTTTAAAAATGGAGAGTCTGAATTTTATTAGAGCTCACACACCATATATTAACATATACAACTGTGAACCAGCTAATCCCTCTGAGAAAAACTCCCCATCTACCCAATACTGTTACAGCATACAATCTCTGTTCTTGGGCATTTTGTCAGTGATGCTGATCTTTGCCTTCTTCCAGGAACTTGTAATAGCTGGCATCGTTGAGAATGAATGGAAAAGAACGTGCTCCAGACCCAAATCTAACATAGTTCTCCTGTCAGCAGAAGAAAAAAAAGAACAGACTATTGAAATAAAAGAAGAAGTGGTTGGGCTAACTGAAACATCTTCCCAACCAAAGAATGAAGAAGACATTGAAATTATTCCAATCCAAGAAGAGGAAGAAGAAGAAACAGAGACGAACTTTCCAGAACCTCCCCAAGATCAGGAATCCTCACCAATAGAAAATGACAGCTCTCCTTAA-3’
ヒトCD38をコードするポリヌクレオチド(配列番号29、終止コドン含)
5'-ATGGCCAACTGCGAGTTCAGCCCGGTGTCCGGGGACAAACCCTGCTGCCGGCTCTCTAGGAGAGCCCAACTCTGTCTTGGCGTCAGTATCCTGGTCCTGATCCTCGTCGTGGTGCTCGCGGTGGTCGTCCCGAGGTGGCGCCAGCAGTGGAGCGGTCCGGGCACCACCAAGCGCTTTCCCGAGACCGTCCTGGCGCGATGCGTCAAGTACACTGAAATTCATCCTGAGATGAGACATGTAGACTGCCAAAGTGTATGGGATGCTTTCAAGGGTGCATTTATTTCAAAACATCCTTGCAACATTACTGAAGAAGACTATCAGCCACTAATGAAGTTGGGAACTCAGACCGTACCTTGCAACAAGATTCTTCTTTGGAGCAGAATAAAAGATCTGGCCCATCAGTTCACACAGGTCCAGCGGGACATGTTCACCCTGGAGGACACGCTGCTAGGCTACCTTGCTGATGACCTCACATGGTGTGGTGAATTCAACACTTCCAAAATAAACTATCAATCTTGCCCAGACTGGAGAAAGGACTGCAGCAACAACCCTGTTTCAGTATTCTGGAAAACGGTTTCCCGCAGGTTTGCAGAAGCTGCCTGTGATGTGGTCCATGTGATGCTCAATGGATCCCGCAGTAAAATCTTTGACAAAAACAGCACTTTTGGGAGTGTGGAAGTCCATAATTTGCAACCAGAGAAGGTTCAGACACTAGAGGCCTGGGTGATACATGGTGGAAGAGAAGATTCCAGAGACTTATGCCAGGATCCCACCATAAAAGAGCTGGAATCGATTATAAGCAAAAGGAATATTCAATTTTCCTGCAAGAATATCTACAGACCTGACAAGTTTCTTCAGTGTGTGAAAAATCCTGAGGATTCATCTTGCACATCTGAGATCTGA-3'
5'-ATGGCCAACTGCGAGTTCAGCCCGGTGTCCGGGGACAAACCCTGCTGCCGGCTCTCTAGGAGAGCCCAACTCTGTCTTGGCGTCAGTATCCTGGTCCTGATCCTCGTCGTGGTGCTCGCGGTGGTCGTCCCGAGGTGGCGCCAGCAGTGGAGCGGTCCGGGCACCACCAAGCGCTTTCCCGAGACCGTCCTGGCGCGATGCGTCAAGTACACTGAAATTCATCCTGAGATGAGACATGTAGACTGCCAAAGTGTATGGGATGCTTTCAAGGGTGCATTTATTTCAAAACATCCTTGCAACATTACTGAAGAAGACTATCAGCCACTAATGAAGTTGGGAACTCAGACCGTACCTTGCAACAAGATTCTTCTTTGGAGCAGAATAAAAGATCTGGCCCATCAGTTCACACAGGTCCAGCGGGACATGTTCACCCTGGAGGACACGCTGCTAGGCTACCTTGCTGATGACCTCACATGGTGTGGTGAATTCAACACTTCCAAAATAAACTATCAATCTTGCCCAGACTGGAGAAAGGACTGCAGCAACAACCCTGTTTCAGTATTCTGGAAAACGGTTTCCCGCAGGTTTGCAGAAGCTGCCTGTGATGTGGTCCATGTGATGCTCAATGGATCCCGCAGTAAAATCTTTGACAAAAACAGCACTTTTGGGAGTGTGGAAGTCCATAATTTGCAACCAGAGAAGGTTCAGACACTAGAGGCCTGGGTGATACATGGTGGAAGAGAAGATTCCAGAGACTTATGCCAGGATCCCACCATAAAAGAGCTGGAATCGATTATAAGCAAAAGGAATATTCAATTTTCCTGCAAGAATATCTACAGACCTGACAAGTTTCTTCAGTGTGTGAAAAATCCTGAGGATTCATCTTGCACATCTGAGATCTGA-3'
そして、KT1細胞、KT1/CD19細胞、およびK562/CD19細胞に代えて、K562/CD20細胞およびK562/CD38細胞を用い、CD19/B-BiTEに代えて、CD20/B-BiTEまたはCD38/B-BiTEを用いた以外は、前記実施例1(2)と同様にして、各細胞と前記抗体複合体との結合を検討した。コントロールは、前記抗体複合体を添加しなかった以外は同様にして測定した。これらの結果を図5に示す。
図5は、抗体複合体と細胞との結合を示すヒストグラムである。図5において、(A)が、K562細胞、(B)が、K562/CD20細胞、(C)が、K562/CD38細胞、(D)が、Raji細胞、(E)が、Jurkat細胞、(F)が、Jurkat76細胞の結果を示す。図5(A)〜(F)において、横軸は、抗His抗体の蛍光強度を示し、縦軸は、カウント数の相対値を示す。図5(A)〜(F)に示すように、コントロールでは、結合が観察されなかった。また、図5(E)に示すように、複合体化タンパク質とコントロール抗体との抗体複合体(isotype/B-BiTE)は、CD3εに対して結合性を示すため、Jurkat細胞に対して結合した。さらに、図5(B)、(D)、および(E)に示すように、複合体化タンパク質と抗CD20抗体との抗体複合体(CD20/B-BiTE)は、CD20およびCD3εに対して結合性を示すため、K562/CD20細胞、Raji細胞およびJurkat細胞に結合した。そして、図5(C)〜(E)に示すように、複合体化タンパク質と抗CD38抗体との抗体複合体(CD38/B-BiTE)は、CD38およびCD3εに対して結合性を示すため、K562/CD38細胞、Raji細胞およびJurkat細胞に結合した。これらの結果から、本発明の複合体化タンパク質によれば、結合対象の抗体に対して、所望の抗原に対する結合性を付加可能であることがわかった。
つぎに、CD20/B-BiTEおよびCD38/B-BiTEが、二重特異性抗体と同様の機能を発揮するか検討した。具体的には、前記抗CD19抗体に代えて、抗CD20抗体(Rituximab)または抗CD38抗体(Daratumumab)を用い、B-BiTEの濃度を2.5μg/mLとし、抗体の濃度を7.5μg/mLとした以外は、前記実施例1(2)と同様にして、CD20/B-BiTEまたはCD38/B-BiTEを調製した。
つぎに、CD19/B-BiTEに代えて、CD20/B-BiTEまたはCD38/B-BiTEを用い、K562/CD19細胞に代えて、K562/CD20細胞またはK562/CD38細胞を用いた以外は、前記実施例1(3)と同様にして、サイトカインを産生している細胞の割合を算出した。これらの結果を図6および7に示す。
図6および7は、サイトカイン産生細胞の割合を示すグラフである。図6および7において、横軸は、抗体または抗体複合体の種類を示し、縦軸は、各サイトカイン産生細胞の割合を示す。図6は、ターゲット細胞がK562細胞、K562/CD20細胞またはK562/CD38細胞の場合の結果を示し、図7は、ターゲット細胞がRaji細胞の場合の結果を示す。図6に示すように、CD20、CD38およびCD3を発現していないK562細胞をターゲット細胞とした場合、CD20/B-BiTE、CD38/B-BiTEおよびisotype/B-BiTE添加群では、サイトカイン産生は見られなかった。これに対して、CD20を発現しているK562/CD20細胞をターゲット細胞とした場合、CD20/B-BiTE添加群は、isotype/B-BiTE添加群と比較して有意にサイトカイン産生細胞の割合が増加していた。また、CD38を発現しているK562/CD38細胞をターゲット細胞とした場合、CD38/B-BiTE添加群は、isotype/B-BiTE添加群と比較して有意にサイトカイン産生細胞の割合が増加していた。さらに、図7に示すように、CD20およびCD38を発現しているRaji細胞をターゲット細胞とした場合、CD20/B-BiTE添加群およびCD38/B-BiTE添加群は、isotype/B-BiTE添加群と比較して有意にサイトカイン産生細胞の割合が増加していた。これらの結果から、本発明の抗体複合体は、二重特異性抗体と同様に、標的抗原を発現する細胞にT細胞をリクルートし、T細胞を活性化できることがわかった。
以上のことから、本発明の複合体化タンパク質は、抗体複合体を形成し、前記抗体複合体は、所望の抗原に対する結合性が付与されていること、および前記抗体複合体は、多重特異性抗体と同様の機能を発揮することがわかった。
[実施例3]
本発明の抗体複合体により、制御性T細胞の増殖を実質的に抑制しつつ、他のT細胞の増殖を誘導できることを確認した。
本発明の抗体複合体により、制御性T細胞の増殖を実質的に抑制しつつ、他のT細胞の増殖を誘導できることを確認した。
前記抗CD19抗体に代えて、抗CD20抗体(Rituximab)または抗CD38抗体(Daratumumab)を用いた以外は、前記実施例1(2)と同様にして、抗体複合体(CD20/B-BiTEまたはCD38/B-BiTE)を調製した。
前記実施例1(3)と同様にして、CD3+T細胞を調製した。得られたT細胞について、0.5μmol/L CFSE(5-(and -6)-Carboxyfluorescein diacetate succinimidyl ester)を含むPBS内で、15分間37℃でインキュベートし、T細胞をCFSEで標識した。
つぎに、2.0×105個のCFSE標識T細胞と、2.0×104個のターゲット細胞とを、前記CD20/B-BiTE、CD38/B-BiTE、またはisotype/B-BiTEの存在下、5日間培養した(n=3)。前記ターゲット細胞は、K562/CD19細胞、K562/CD20細胞、K562/CD38細胞およびRaji細胞とした。前記培養後、T細胞を、Alexa647標識抗ヒトFoxP3抗体(clone 206D)、PE標識抗ヒトCD45RA抗体(clone HI100)、前記PC5標識抗ヒトCD8抗体(clone B9.11)、APC−Cy7標識抗ヒトCD4抗体(clone OKT4)、BV421抗ヒトCD25抗体(clone BC96)で染色した。前記染色後のT細胞について、前記フローサイトメーターで測定し、T細胞におけるCFSEが減衰している細胞の割合および制御性T細胞の割合を測定した。これらの結果を図8および9に示す(n.s.:not siginificant、*:p<0.05、**:p<0.01、***:p<0.001、以下、同様)。
図8は、CFSEが減衰している細胞の割合を示すグラフである。図8において、横軸は、抗体複合体の種類を示し、縦軸は、増殖した細胞の割合を示す。図8のドットプロットに示すように、isotype/B-BiTEでは、T細胞の増殖が生じないため、図中の矢印で示すように、CFSE強陽性の細胞となる。他方、K562/CD38細胞およびCD38/B-BiTEでは、T細胞の増殖が生じることにより、CFSEの減衰が生じるため、増殖した細胞は、図中の矢印で示すように、CFSE弱陽性の細胞となる。そして、CD19を発現しているK562/CD19細胞をターゲット細胞とした場合、CD19/B-BiTE添加群は、isotype/B-BiTE添加群と比較して有意に増殖したCD4+T細胞およびCD8+T細胞の割合が増加していた。また、CD20を発現しているK562/CD20細胞をターゲット細胞とした場合、CD20/B-BiTE添加群は、isotype/B-BiTE添加群と比較して有意に増殖したCD4+T細胞およびCD8+T細胞の割合が増加していた。さらに、CD38を発現しているK562/CD38細胞をターゲット細胞とした場合、CD38/B-BiTE添加群は、isotype/B-BiTE添加群と比較して有意に増殖したCD4+TおよびCD8+T細胞の割合が増加していた。そして、CD19、CD20およびCD38を発現しているRaji細胞をターゲット細胞とした場合、CD19/B-BiTE添加群、CD20/B-BiTE添加群およびCD38/B-BiTE添加群は、isotype/B-BiTE添加群と比較して有意に増殖したCD4+T細胞およびCD8+T細胞の割合が増加していた。
図9は、活性化しているCD4+T細胞(CD4+CD25+)および制御性T細胞(CD4+CD25+CD45RA+FoxP3+)の割合を示すグラフである。図9において、横軸は、抗体複合体の種類、または制御性T細胞のサブセットを示し、縦軸は、活性化しているCD4+T細胞(CD4+CD25+)の割合、または活性化しているCD4+T細胞(CD4+CD25+)における制御性T細胞のサブセットの割合を示す。なお、CD4+CD25+細胞を、CD45RAとFoxP3との発現で展開し、CD45RA+FoxP3+の細胞群と、CD45RA−FoxP3+++の細胞群とを制御性T細胞と定義した。また、CD45RA−FoxP3+の細胞群は、下記参考文献5に基づき、活性化T細胞と判断した。本実施例では、培養後の末梢血T細胞においてCD45RA−FoxP3+++の細胞群を認めなかった。CD19を発現しているK562/CD19細胞をターゲット細胞とした場合、CD19/B-BiTE添加群は、isotype/B-BiTE添加群と比較して有意に活性化しているCD4+T細胞の割合が増加していたが、ナイーブな制御性T細胞(CD4+CD25+FoxP3+CD45RA+)および活性化T細胞(CD4+CD25+FoxP3+CD45RA−)の割合は変化しなかった。また、CD20を発現しているK562/CD20細胞をターゲット細胞とした場合、CD20/B-BiTE添加群は、isotype/B-BiTE添加群と比較して有意に活性化しているCD4+T細胞の割合が増加していたが、ナイーブな制御性T細胞(CD4+CD25+FoxP3+CD45RA+)の割合は変化せず、活性化T細胞(CD4+CD25+FoxP3+CD45RA−)の割合は若干増加した。さらに、CD38を発現しているK562/CD38細胞をターゲット細胞とした場合、CD38/B-BiTE添加群は、isotype/B-BiTE添加群と比較して有意に活性化しているCD4+T細胞の割合が増加していたが、ナイーブな制御性T細胞(CD4+CD25+FoxP3+CD45RA+)の割合は変化せず、活性化T細胞(CD4+CD25+FoxP3+CD45RA−)の割合は若干増加した。そして、CD19、CD20およびCD38を発現しているRaji細胞をターゲット細胞とした場合、CD19/B-BiTE添加群、CD20/B-BiTE添加群およびCD38/B-BiTE添加群は、isotype/B-BiTE添加群と比較して有意に活性化しているCD4+T細胞の割合が増加していたが、ナイーブな制御性T細胞(CD4+CD25+FoxP3+CD45RA+)の割合は変化せず、活性化T細胞(CD4+CD25+FoxP3+CD45RA−)の割合は、CD19/B-BiTE添加群において若干増加した。
参考文献5:Makoto Miyara et.al., “Functional Delineation and Differentiation Dynamics of Human CD4+ T Cells Expressing the FoxP3 Transcription Factor”, Immunity, 2009, volume 30, pages 899-911
参考文献5:Makoto Miyara et.al., “Functional Delineation and Differentiation Dynamics of Human CD4+ T Cells Expressing the FoxP3 Transcription Factor”, Immunity, 2009, volume 30, pages 899-911
これらの結果から、本発明の抗体複合体により、制御性T細胞の増殖を実質的に抑制しつつ、他のT細胞の増殖を誘導できることがわかった。
[実施例4]
本発明の抗体複合体により、NK細胞単独またはNK細胞およびT細胞を活性化できることを確認した。
本発明の抗体複合体により、NK細胞単独またはNK細胞およびT細胞を活性化できることを確認した。
(1)NK細胞の活性化
前記抗CD19抗体に代えて、抗CD20抗体(Rituximab)または抗CD38抗体(Daratumumab)を用い、B-BiTEの濃度を2.5μg/mLとし、抗体の濃度を7.5μg/mLとした以外は、前記実施例1(2)と同様にして、抗体複合体(CD20/B-BiTEまたはCD38/B-BiTE)を調製した。
前記抗CD19抗体に代えて、抗CD20抗体(Rituximab)または抗CD38抗体(Daratumumab)を用い、B-BiTEの濃度を2.5μg/mLとし、抗体の濃度を7.5μg/mLとした以外は、前記実施例1(2)と同様にして、抗体複合体(CD20/B-BiTEまたはCD38/B-BiTE)を調製した。
つぎに、NK細胞を末梢血から調製した。具体的には、健常者からヒト末梢血を回収した。つぎに、前記末梢血から、ヒト末梢血単核球を抽出後、得られたヒト末梢血単核球と、NK細胞精製キット(NK cell isolation kit、Miltenyi Biotec社製)を用いて、NK細胞を精製した。そして、1×105個のNK細胞と1.0×105個のターゲット細胞とを、前記抗CD20抗体、抗CD38抗体、コントロール抗体、CD20/B-BiTE、CD38/B-BiTE、またはisotype/B-BiTE、および100U/mL IL−2および10ng/mL IL−15の存在下、1時間培養した(n=3)。前記抗体の濃度は、抗体単独の場合、7.5μg/mLとした。前記ターゲット細胞は、K562/CD20細胞、K562/CD38細胞およびRaji細胞とした。前記培養後、5μmol/LとなるようにBFAを添加し、さらに4時間培養した。そして、NK細胞を、1%PFAで固定後、細胞膜の透過処理を行い、さらに、APC標識抗ヒトCD107a(clone H4A3)、前記PC7標識抗ヒトIFN−γ抗体、FITC標識抗ヒトCD16抗体(clone 3G8)、およびPE標識抗ヒトCD56抗体(clone HCD56)で染色した。前記染色後のNK細胞について、前記フローサイトメーターで測定した。コントロールは、前記ターゲット細胞を添加しなかった以外は同様に測定した。そして、コントロールにおけるCD107aの発現を基準として、CD107aの発現上昇の割合を算出した。これらの結果を図10および11に示す。
図10および11は、IFN−γの産生細胞の割合およびCD107aの発現上昇の割合を示すグラフである。図10および11において、横軸は、抗体または抗体複合体の種類を示し、縦軸は、IFN−γの産生細胞の割合またはCD107aの発現上昇の割合を示す。図10および11に示すように、標的抗原であるCD20またはCD38を発現するターゲット細胞が存在し、かつ前記標的抗原に結合する抗体が存在する場合、標的抗原を発現しないターゲットが存在する場合および標的抗原に結合しない抗体が存在する場合と比較して、IFN−γの産生細胞の割合の上昇およびCD107aの発現上昇が生じ、NK細胞が活性化していることがわかった。また、同様に、標的抗原であるCD20またはCD38を発現するターゲット細胞が存在し、かつ前記標的抗原に結合する抗体複合体が存在する場合、標的抗原を発現しないターゲットが存在する場合および標的抗原に結合しない抗体複合体が存在する場合と比較して、IFN−γの産生細胞の割合の上昇およびCD107aの発現上昇が生じ、NK細胞が活性化していることがわかった。また、抗CD20抗体添加群と、CD20/B-BiTE添加群では、IFN−γの産生細胞の割合の上昇およびCD107aの発現上昇に差が見られなかった。抗CD38抗体添加群と、CD38/B-BiTE添加群では、IFN−γの産生細胞の割合の上昇およびCD107aの発現上昇に差が見られなかった。これらのことから、本発明の抗体複合体は、抗体と同様に、NK細胞の活性化を誘導できることがわかった。
(2)NK細胞およびT細胞の活性化
前記抗CD19抗体に加えて、抗CD20抗体(Rituximab)または抗CD38抗体(Daratumumab)を用い、B-BiTEの濃度を2.5μg/mLとし、抗体の濃度を7.5μg/mLとした以外は、前記実施例1(2)と同様にして、抗体複合体(CD19/B-BiTE、CD20/B-BiTEまたはCD38/B-BiTE)を調製した。
前記抗CD19抗体に加えて、抗CD20抗体(Rituximab)または抗CD38抗体(Daratumumab)を用い、B-BiTEの濃度を2.5μg/mLとし、抗体の濃度を7.5μg/mLとした以外は、前記実施例1(2)と同様にして、抗体複合体(CD19/B-BiTE、CD20/B-BiTEまたはCD38/B-BiTE)を調製した。
健常者からヒト末梢血を回収した。つぎに、前記末梢血から、ヒト末梢血単核球を抽出後、得られたヒト末梢血単核球と、B細胞除去キット(CD19 microbeads、Miltenyi Biotec社製)を用いて、B細胞を除去することにより、NK細胞、T細胞および単球を含む細胞群を精製した。前記精製後、2×105個の細胞群と2.0×105個のターゲット細胞とを、前記抗CD19抗体、抗CD20抗体、抗CD38抗体、コントロール抗体、CD19/B-BiTE、CD20/B-BiTE、CD38/B-BiTE、またはisotype/B-BiTEの存在下、5時間培養した(n=3)。前記抗体の濃度は、抗体単独の場合、7.5μg/mLとした。前記ターゲット細胞は、K562/CD19細胞、K562/CD20細胞およびK562/CD38細胞とした。前記培養後、5μmol/LとなるようにBFAを添加し、さらに5時間培養した。そして、培養後の細胞を、1%PFAで固定後、細胞膜の透過処理を行った。さらに、APC−Cy7抗ヒトCD4抗体(clone RPA-T4)、Alexa700標識抗ヒトCD56抗体(clone 5.1H11)、V450抗ヒトCD107a抗体(clone H4A3)、PE標識抗ヒトTNF−α抗体(clone MAb11)、APC標識抗ヒトIL−2抗体(clone MQ1-17H12)、PC7標識抗ヒトIFN−γ抗体(clone B27)、PC5標識抗ヒトCD8抗体(clone B9.11)、およびFITC標識抗ヒトCD16抗体(clone 3G8)で染色した。前記染色後の細胞について、前記フローサイトメーターで測定した。そして、ターゲット細胞がコントロールにおけるサイトカイン発現およびCD107aの発現を基準として、CD107aの発現上昇の割合を算出した。これらの結果を図12〜14に示す。
図12〜14は、NK細胞およびT細胞の活性化を示すグラフである。図12〜14において、横軸は、抗体または抗体複合体の種類を示し、縦軸は、各サイトカインの産生細胞の割合またはCD107aの発現上昇の割合を示す。図12〜14に示すように、標的抗原であるCD19、CD20またはCD38を発現するターゲット細胞が存在し、かつ前記標的抗原に結合する抗体が存在する場合、標的抗原を発現しないターゲットが存在する場合および標的抗原に結合しない抗体が存在する場合と比較して、NK細胞のIFN−γの産生細胞の割合の上昇およびCD107aの発現上昇が生じ、NK細胞が活性化していることがわかった。また、同様に、標的抗原であるCD19、CD20またはCD38を発現するターゲット細胞が存在し、かつ前記標的抗原に結合する抗体複合体が存在する場合、標的抗原を発現しないターゲットが存在する場合および標的抗原に結合しない抗体複合体が存在する場合と比較して、CD4+T細胞およびCD8+T細胞におけるIL−2、IFN−γおよびTNF−αの産生細胞の割合の上昇およびCD107aの発現上昇が生じ、NK細胞におけるIFN−γの産生細胞の割合の上昇およびCD107aの発現上昇が生じた。すなわち、CD4+T細胞、CD8+T細胞およびNK細胞が活性化していることがわかった。これらのことから、本発明の抗体複合体は、抗体と同様に、NK細胞およびT細胞の活性化を誘導できることがわかった。
(3)NK細胞およびT細胞の傷害活性の誘導
前記抗CD19抗体に代えて、抗CD20抗体(Rituximab)または抗CD38抗体(Daratumumab)を用い、B-BiTEの濃度を1μg/mLとし、抗体の濃度を3μg/mLとした以外は、前記実施例1(2)と同様にして、抗体複合体(CD19/B-BiTE、CD20/B-BiTEまたはCD38/B-BiTE)を調製した。
前記抗CD19抗体に代えて、抗CD20抗体(Rituximab)または抗CD38抗体(Daratumumab)を用い、B-BiTEの濃度を1μg/mLとし、抗体の濃度を3μg/mLとした以外は、前記実施例1(2)と同様にして、抗体複合体(CD19/B-BiTE、CD20/B-BiTEまたはCD38/B-BiTE)を調製した。
つぎに、5.0×103個のターゲット細胞であるK562細胞、K562/CD20細胞、K562/CD38細胞およびRaji細胞について、クロム51(51Cr)存在下で、1.5時間培養することにより、クロム51でラベルした。つぎに、前記実施例4(1)で精製した細胞群(E)と、前記クロム51でラベルしたターゲット細胞(T)について、E:Tが、20:1、10:1、5:1または2.5:1となるように、前記ターゲット細胞を培養しているウェルに、前記精製した細胞群を添加した。さらに、前記抗CD20抗体、抗CD38抗体、コントロール抗体、isotpye/B-BiTE、CD20/B-BiTEまたはCD38/B-BiTEを添加した。前記抗体の濃度は、3μg/mLとした。そして、18時間培養後、上清を回収し、1分間あたりの放射線の計数率(CPM:count per minute)を、AccuFLEXg7010(HITACHI社製)を用いて測定した。また、コントロールは、前記精製した細胞群を添加しなかった以外は、同様にして測定した。そして、下記式(1)に基づき、細胞傷害性(特異的融解の割合)を測定した。これらの結果を、図15に示す。
K=(LE−LS)/(LMax−LS)×100(%) ・・・(1)
K:細胞傷害性
LE:CPMの測定値
LS:ターゲット細胞のみの場合のCPMの測定値
LMax:ターゲット細胞のみのウェルに0.2%Triton-X含有PBSを添加した場合のCPMの測定値
K=(LE−LS)/(LMax−LS)×100(%) ・・・(1)
K:細胞傷害性
LE:CPMの測定値
LS:ターゲット細胞のみの場合のCPMの測定値
LMax:ターゲット細胞のみのウェルに0.2%Triton-X含有PBSを添加した場合のCPMの測定値
図15は、細胞傷害性を示すグラフである。図15において、横軸はE/T比を示し、縦軸は、細胞傷害性を示す。図15に示すように、標的抗原であるCD20およびCD38を発現しないK562をターゲット細胞として用いた場合、特異的な細胞傷害は生じず、各群における細胞傷害性は同等であった。他方、標的抗原であるCD20またはCD38を発現するK562およびRaji細胞をターゲット細胞として用いた場合、前記標的抗原に結合する抗体または抗体複合体が存在すると、エフェクターの量比依存的に細胞傷害性が増大した。また、抗体添加群と、抗体複合体添加群とを比較すると、抗体複合体添加群は、抗体添加群と比較して、細胞傷害性が増大した。これらの結果から、本発明の抗体複合体は、細胞傷害活性を誘導できることおよびその誘導能は抗体単独より増強されていることがわかった。
[実施例5]
本発明の抗体複合体が、濃度依存的に、T細胞のサイトカイン産生を誘導することを確認した。
本発明の抗体複合体が、濃度依存的に、T細胞のサイトカイン産生を誘導することを確認した。
前記抗CD19抗体に加えて、抗CD20抗体(Rituximab)または抗CD38抗体(Daratumumab)を用い、B-BiTEの濃度を2.5μg/mLとし、抗体の濃度を7.5μg/mLとした以外は、前記実施例1(2)と同様にして、抗体複合体(CD19/B-BiTE、CD20/B-BiTEまたはCD38/B-BiTE)を調製した。
前記実施例1(3)と同様にしてCD3+T細胞を精製した。2.5×105個のCD3+T細胞と5.0×104個のターゲット細胞とを、所定濃度(B-BiTEおよび抗体の総濃度;10μg/mL)のCD19/B-BiTE、CD20/B-BiTE、CD38/B-BiTE、またはisotype/B-BiTEの存在下、2時間培養した(n=3)。前記ターゲット細胞は、K562/CD19細胞、K562/CD20細胞またはK562/CD38細胞とした。前記培養後、5μmol/LとなるようにBFAを添加し、さらに18時間培養した。そして、培養後の細胞を、1%PFAで固定後、細胞膜の透過処理を行った。さらに、前記実施例1(3)と同様にして、各サイトカインを産生している細胞の割合を算出した。そして、CD4+T細胞およびCD8+T細胞の各サイトカインにおいて、10μg/mLの抗体複合体添加時のサイトカインを産生している細胞の割合を100%として、相対的な産生細胞の割合を算出した。これらの結果を図16に示す。
図16は、相対的な産生細胞の割合を示すグラフである。図16において、上段は、CD8+T細胞の結果を示し、下段は、CD4+T細胞の結果を示す。図16において、横軸は、B-BiTEおよび抗体の総濃度を示し、縦軸は、相対的な産生細胞の割合を示す。また、各グラフにおける抗体複合体の名称に隣接して記載されている数値は、EC50を示す。図16に示すように、抗体複合体の濃度依存的に、CD8+T細胞およびCD4+T細胞は、各サイトカインを産生する細胞の割合が増加した。これらの結果から、本発明の抗体複合体が、濃度依存的に、T細胞のサイトカイン産生を誘導することがわかった。
[実施例6]
本発明の抗体複合体が、生体内において、抗腫瘍活性を示すことを確認した。
本発明の抗体複合体が、生体内において、抗腫瘍活性を示すことを確認した。
SLRを発現するRaji細胞(Raji/SLR細胞)は、K562細胞に代えて、Raji細胞を用い、ヒトCD19をコードするポリヌクレオチドに代えて、SLRをコードするポリヌクレオチドを用いた以外は、前記実施例1(2)と同様にして、調製した。なお、SLRは細胞内タンパク質であるため、SLRをコードするポリヌクレオチドには、切断型のNGFR遺伝子(ΔNGFR)をコードするポリヌクレオチドを、フーリン(furin)切断部位(RAKR:配列番号32)、スペーサー配列(SGSG(ドメインリンカーと同配列))およびコドン最適化P2A配列(ATNFSLLKQAGDVEENPGP:配列番号33)をコードするポリヌクレオチドを介して、連結した。
SLRタンパク質(SLR/furin-sgsg-p2a/dNGFR、配列番号30)
MEEENIVNGDRPRDLVFPGTAGLQLYQSLYKYSYITDGIIDAHTNEVISYAQIFETSCRLAVSLEKYGLDHNNVVAICSENNIHFFGPLIAALYQGIPMATSNDMYTEREMIGHLNISKPCLMFCSKKSLPFILKVQKHLDFLKKVIVIDSMYDINGVECVFSFVSRYTDHAFDPVKFNPKEFDPLERTALIMTSSGTTGLPKGVVISHRSITIRFVHSSDPIYGTRIAPDTSILAIAPFHHAFGLFTALAYFPVGLKIVMVKKFEGEFFLKTIQNYKIASIVVPPPIMVYLAKSPLVDEYNLSSLTEIACGGSPLGRDIADKVAKRLKVHGILQGYGLTETCSALILSPNDRELKKGAIGTPMPYVQVKVIDINTGKALGPREKGEICFKSQMLMKGYHNNPQATRDALDKDGWLHTGDLGYYDEDRFIYVVDRLKELIKYKGYQVAPAELENLLLQHPNISDAGVIGIPDEFAGQLPSACVVLEPGKTMTEKEVQDYIAELVTTTKHLRGGVVFIDSIPKGPTGKLMRNELRAIFAREQAKSKLRAKRSGSGATNFSLLKQAGDVEENPGPMDGPRLLLLLLLGVSLGGAKEACPTGLYTHSGECCKACNLGEGVAQPCGANQTVCEPCLDSVTFSDVVSATEPCKPCTECVGLQSMSAPCVEADDAVCRCAYGYYQDETTGRCEACRVCEAGSGLVFSCQDKQNTVCEECPDGTYSDEANHVDPCLPCTVCEDTERQLRECTRWADAECEEIPGRWITRSTPPEGSDSTAPSTQEPEAPPEQDLIASTVAGVVTTVMGSSQPVVTRGTTDNLIPVYCSILAAVVVGLVAYIAFKRWNS
MEEENIVNGDRPRDLVFPGTAGLQLYQSLYKYSYITDGIIDAHTNEVISYAQIFETSCRLAVSLEKYGLDHNNVVAICSENNIHFFGPLIAALYQGIPMATSNDMYTEREMIGHLNISKPCLMFCSKKSLPFILKVQKHLDFLKKVIVIDSMYDINGVECVFSFVSRYTDHAFDPVKFNPKEFDPLERTALIMTSSGTTGLPKGVVISHRSITIRFVHSSDPIYGTRIAPDTSILAIAPFHHAFGLFTALAYFPVGLKIVMVKKFEGEFFLKTIQNYKIASIVVPPPIMVYLAKSPLVDEYNLSSLTEIACGGSPLGRDIADKVAKRLKVHGILQGYGLTETCSALILSPNDRELKKGAIGTPMPYVQVKVIDINTGKALGPREKGEICFKSQMLMKGYHNNPQATRDALDKDGWLHTGDLGYYDEDRFIYVVDRLKELIKYKGYQVAPAELENLLLQHPNISDAGVIGIPDEFAGQLPSACVVLEPGKTMTEKEVQDYIAELVTTTKHLRGGVVFIDSIPKGPTGKLMRNELRAIFAREQAKSKLRAKRSGSGATNFSLLKQAGDVEENPGPMDGPRLLLLLLLGVSLGGAKEACPTGLYTHSGECCKACNLGEGVAQPCGANQTVCEPCLDSVTFSDVVSATEPCKPCTECVGLQSMSAPCVEADDAVCRCAYGYYQDETTGRCEACRVCEAGSGLVFSCQDKQNTVCEECPDGTYSDEANHVDPCLPCTVCEDTERQLRECTRWADAECEEIPGRWITRSTPPEGSDSTAPSTQEPEAPPEQDLIASTVAGVVTTVMGSSQPVVTRGTTDNLIPVYCSILAAVVVGLVAYIAFKRWNS
SLRをコードするポリヌクレオチド(配列番号31)
5'-ATGGAAGAAGAGAACATCGTGAATGGCGATCGCCCTCGGGATCTGGTGTTCCCTGGCACAGCCGGCCTGCAGCTGTATCAGTCCCTGTATAAATACTCTTACATCACCGACGGAATCATCGACGCCCACACCAACGAGGTGATCTCCTATGCCCAGATTTTCGAAACAAGTTGCCGCCTGGCCGTGAGCCTGGAGAAGTATGGCCTGGATCACAACAACGTGGTGGCCATTTGCAGCGAGAACAACATCCACTTCTTCGGCCCTCTGATCGCTGCCCTATACCAGGGGATTCCAATGGCCACATCCAACGATATGTACACCGAGAGGGAGATGATCGGCCACCTGAACATCTCCAAGCCATGTCTGATGTTCTGTTCCAAGAAGTCCCTGCCATTCATCCTGAAGGTGCAGAAGCACCTGGACTTTCTCAAGAAGGTGATCGTGATCGACAGCATGTACGACATCAACGGCGTGGAGTGCGTGTTCAGTTTCGTGTCCCGGTACACCGATCATGCGTTCGATCCAGTGAAGTTCAACCCTAAAGAGTTTGATCCCCTGGAGAGAACCGCGCTGATCATGACATCCTCTGGAACAACCGGCCTGCCTAAGGGCGTGGTGATCAGCCACAGGAGCATCACCATCAGATTCGTCCACAGCAGCGATCCCATCTACGGCACCCGCATCGCCCCAGATACATCCATCCTGGCCATCGCCCCTTTCCACCACGCCTTCGGACTGTTTACCGCCCTGGCTTACTTTCCAGTGGGCCTGAAGATCGTGATGGTGAAAAAGTTTGAGGGCGAGTTCTTCCTGAAGACCATCCAGAACTACAAGATCGCTTCTATCGTGGTGCCTCCTCCAATCATGGTGTATCTGGCCAAGAGCCCTCTGGTGGATGAGTACAATCTGTCCAGCCTGACAGAGATCGCCTGTGGCGGCTCCCCTCTGGGCAGAGACATCGCCGACAAGGTGGCCAAGAGACTGAAGGTCCACGGCATCCTGCAGGGCTATGGCCTGACCGAGACCTGTAGCGCCCTGATCCTGAGCCCCAACGATAGAGAGCTGAAGAAGGGCGCCATCGGCACCCCTATGCCCTATGTCCAGGTGAAGGTGATTGACATCAACACCGGCAAAGCCCTGGGACCAAGAGAGAAGGGCGAGATTTGCTTCAAGAGCCAGATGCTGATGAAGGGCTACCACAACAACCCACAGGCCACCAGGGATGCCCTGGACAAGGACGGGTGGCTGCACACCGGCGATCTGGGCTACTACGACGAGGACAGATTCATCTATGTGGTGGATCGGCTGAAAGAACTCATCAAGTACAAGGGCTACCAGGTGGCCCCTGCCGAGCTGGAGAACTTGCTTCTGCAGCACCCTAACATCTCTGATGCCGGCGTCATCGGCATCCCAGACGAGTTTGCCGGCCAGCTGCCTTCCGCCTGTGTCGTGCTGGAGCCTGGCAAGACCATGACCGAGAAGGAGGTGCAGGATTATATCGCCGAGCTGGTGACCACCACCAAGCACCTGCGGGGCGGCGTGGTGTTCATCGACAGCATTCCGAAAGGCCCAACAGGCAAGCTGATGAGAAACGAGCTGAGGGCCATCTTTGCCCGCGAGCAGGCCAAGTCCAAGCTGAGGGCCAAGCGGTCCGGATCCGGAGCCACCAACTTCAGCCTGCTGAAGCAGGCCGGCGACGTGGAGGAGAACCCCGGCCCCATGGACGGGCCGCGCCTGCTGCTGTTGCTGCTTCTGGGGGTGTCCCTTGGAGGTGCCAAGGAGGCATGCCCCACAGGCCTGTACACACACAGCGGTGAGTGCTGCAAAGCCTGCAACCTGGGCGAGGGTGTGGCCCAGCCTTGTGGAGCCAACCAGACCGTGTGTGAGCCCTGCCTGGACAGCGTGACGTTCTCCGACGTGGTGAGCGCGACCGAGCCGTGCAAGCCGTGCACCGAGTGCGTGGGGCTCCAGAGCATGTCGGCGCCATGCGTGGAGGCCGACGACGCCGTGTGCCGCTGCGCCTACGGCTACTACCAGGATGAGACGACTGGGCGCTGCGAGGCGTGCCGCGTGTGCGAGGCGGGCTCGGGCCTCGTGTTCTCCTGCCAGGACAAGCAGAACACCGTGTGCGAGGAGTGCCCCGACGGCACGTATTCCGACGAGGCCAACCACGTGGACCCGTGCCTGCCCTGCACCGTGTGCGAGGACACCGAGCGCCAGCTCCGCGAGTGCACACGCTGGGCCGACGCCGAGTGCGAGGAGATCCCTGGCCGTTGGATTACACGGTCCACACCCCCAGAGGGCTCGGACAGCACAGCCCCCAGCACCCAGGAGCCTGAGGCACCTCCAGAACAAGACCTCATAGCCAGCACGGTGGCAGGTGTGGTGACCACAGTGATGGGCAGCTCCCAGCCCGTGGTGACCCGAGGCACCACCGACAACCTCATCCCTGTCTATTGCTCCATCCTGGCTGCTGTGGTTGTGGGTCTTGTGGCCTACATAGCCTTCAAGAGGTGGAACAGCTGA-3'
5'-ATGGAAGAAGAGAACATCGTGAATGGCGATCGCCCTCGGGATCTGGTGTTCCCTGGCACAGCCGGCCTGCAGCTGTATCAGTCCCTGTATAAATACTCTTACATCACCGACGGAATCATCGACGCCCACACCAACGAGGTGATCTCCTATGCCCAGATTTTCGAAACAAGTTGCCGCCTGGCCGTGAGCCTGGAGAAGTATGGCCTGGATCACAACAACGTGGTGGCCATTTGCAGCGAGAACAACATCCACTTCTTCGGCCCTCTGATCGCTGCCCTATACCAGGGGATTCCAATGGCCACATCCAACGATATGTACACCGAGAGGGAGATGATCGGCCACCTGAACATCTCCAAGCCATGTCTGATGTTCTGTTCCAAGAAGTCCCTGCCATTCATCCTGAAGGTGCAGAAGCACCTGGACTTTCTCAAGAAGGTGATCGTGATCGACAGCATGTACGACATCAACGGCGTGGAGTGCGTGTTCAGTTTCGTGTCCCGGTACACCGATCATGCGTTCGATCCAGTGAAGTTCAACCCTAAAGAGTTTGATCCCCTGGAGAGAACCGCGCTGATCATGACATCCTCTGGAACAACCGGCCTGCCTAAGGGCGTGGTGATCAGCCACAGGAGCATCACCATCAGATTCGTCCACAGCAGCGATCCCATCTACGGCACCCGCATCGCCCCAGATACATCCATCCTGGCCATCGCCCCTTTCCACCACGCCTTCGGACTGTTTACCGCCCTGGCTTACTTTCCAGTGGGCCTGAAGATCGTGATGGTGAAAAAGTTTGAGGGCGAGTTCTTCCTGAAGACCATCCAGAACTACAAGATCGCTTCTATCGTGGTGCCTCCTCCAATCATGGTGTATCTGGCCAAGAGCCCTCTGGTGGATGAGTACAATCTGTCCAGCCTGACAGAGATCGCCTGTGGCGGCTCCCCTCTGGGCAGAGACATCGCCGACAAGGTGGCCAAGAGACTGAAGGTCCACGGCATCCTGCAGGGCTATGGCCTGACCGAGACCTGTAGCGCCCTGATCCTGAGCCCCAACGATAGAGAGCTGAAGAAGGGCGCCATCGGCACCCCTATGCCCTATGTCCAGGTGAAGGTGATTGACATCAACACCGGCAAAGCCCTGGGACCAAGAGAGAAGGGCGAGATTTGCTTCAAGAGCCAGATGCTGATGAAGGGCTACCACAACAACCCACAGGCCACCAGGGATGCCCTGGACAAGGACGGGTGGCTGCACACCGGCGATCTGGGCTACTACGACGAGGACAGATTCATCTATGTGGTGGATCGGCTGAAAGAACTCATCAAGTACAAGGGCTACCAGGTGGCCCCTGCCGAGCTGGAGAACTTGCTTCTGCAGCACCCTAACATCTCTGATGCCGGCGTCATCGGCATCCCAGACGAGTTTGCCGGCCAGCTGCCTTCCGCCTGTGTCGTGCTGGAGCCTGGCAAGACCATGACCGAGAAGGAGGTGCAGGATTATATCGCCGAGCTGGTGACCACCACCAAGCACCTGCGGGGCGGCGTGGTGTTCATCGACAGCATTCCGAAAGGCCCAACAGGCAAGCTGATGAGAAACGAGCTGAGGGCCATCTTTGCCCGCGAGCAGGCCAAGTCCAAGCTGAGGGCCAAGCGGTCCGGATCCGGAGCCACCAACTTCAGCCTGCTGAAGCAGGCCGGCGACGTGGAGGAGAACCCCGGCCCCATGGACGGGCCGCGCCTGCTGCTGTTGCTGCTTCTGGGGGTGTCCCTTGGAGGTGCCAAGGAGGCATGCCCCACAGGCCTGTACACACACAGCGGTGAGTGCTGCAAAGCCTGCAACCTGGGCGAGGGTGTGGCCCAGCCTTGTGGAGCCAACCAGACCGTGTGTGAGCCCTGCCTGGACAGCGTGACGTTCTCCGACGTGGTGAGCGCGACCGAGCCGTGCAAGCCGTGCACCGAGTGCGTGGGGCTCCAGAGCATGTCGGCGCCATGCGTGGAGGCCGACGACGCCGTGTGCCGCTGCGCCTACGGCTACTACCAGGATGAGACGACTGGGCGCTGCGAGGCGTGCCGCGTGTGCGAGGCGGGCTCGGGCCTCGTGTTCTCCTGCCAGGACAAGCAGAACACCGTGTGCGAGGAGTGCCCCGACGGCACGTATTCCGACGAGGCCAACCACGTGGACCCGTGCCTGCCCTGCACCGTGTGCGAGGACACCGAGCGCCAGCTCCGCGAGTGCACACGCTGGGCCGACGCCGAGTGCGAGGAGATCCCTGGCCGTTGGATTACACGGTCCACACCCCCAGAGGGCTCGGACAGCACAGCCCCCAGCACCCAGGAGCCTGAGGCACCTCCAGAACAAGACCTCATAGCCAGCACGGTGGCAGGTGTGGTGACCACAGTGATGGGCAGCTCCCAGCCCGTGGTGACCCGAGGCACCACCGACAACCTCATCCCTGTCTATTGCTCCATCCTGGCTGCTGTGGTTGTGGGTCTTGTGGCCTACATAGCCTTCAAGAGGTGGAACAGCTGA-3'
5週齢のNOGマウス(NOD/Shi-scid,IL-2RγKO・Jicマウス、In-Vivo Science社から購入)に1.5Gyのγ線を照射した。つぎに、図17(A)に示すように、前記NOGマウスに、5×105個のRaji/SLR細胞を静脈投与し、移植した。前記移植後を0日目として、6日目および11日目に、5×106個のT細胞およびNK細胞を含む活性化エフェクター細胞と、30μg/150μLの前記抗CD20抗体または40μg/150μLのCD20/B-BiTEとを、静脈投与した。エフェクター細胞は、1.0×106個の末梢血単核球を、IL-2 100 U/mLおよび抗CD3抗体 (clone OKT3) 50 ng/mLの存在下、7日-10日前後培養して調製した。CD20/B-BiTEは、30μgの抗CD20抗体と、10μgのB-BiTEとを室温で1時間混合した後、PBSにより40μg/150μLとなるように希釈し、調製した。そして、前記移植後5、8日および12日目における腫瘍の大きさをイメージアナライザー(AEQUORIA-2D/8600 bioluminescence imaging assays、Hamamatsu Photonics社製)により測定した。コントロールは、前記抗体および抗体複合体を投与しなかった以外は、同様にして測定した。これらの結果を図17に示す。
図17は、生体における抗腫瘍活性に関する図である。図17において、(A)は、プロトコルを示し、(B)は、イメージアナライザーで測定された写真であり、(C)は、腫瘍の大きさを示すグラフである。図17(B)において、白線で囲った領域は、腫瘍が存在する領域である。図17(B)および(C)に示すように、前記抗CD20抗体または抗体複合体投与群は、コントロールと比較して、腫瘍の大きさが縮小した。また、前記抗体複合体投与群は、前記抗CD20抗体投与群と比較して、腫瘍が有意に縮小した。これらの結果から、本発明の抗体複合体が、生体内において、抗腫瘍活性を示すこと、および抗体単独より抗腫瘍活性が高いことがわかった。なお、抗CD20抗体として用いてるリツキシマブは、NK細胞によるADCC活性が高い抗体として知られている。ADCC活性が低く治療効果の弱い抗体製剤を複合体化タンパク質と組合わせた場合は、in vivoにおいて、抗体単独と比較してより明確に抗腫瘍効果を高めることができると推察される。
以上のことから、本発明の抗体複合体が、生体内において、抗腫瘍活性を示すことがわかった。
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
この出願は、2019年2月15日に出願された日本出願特願2019−024976を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
<付記>
上記の実施形態および実施例の一部または全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
第1の抗原結合ドメインと、第2の抗原結合ドメインとを含み、
前記第1の抗原結合ドメインは、免疫グロブリンに結合可能であり、
前記第2の抗原結合ドメインは、所望の抗原に結合可能である、複合体化タンパク質。
(付記2)
前記第1の抗原結合ドメインは、免疫グロブリンの定常(Fc)領域に結合可能である、付記1記載の複合体化タンパク質。
(付記3)
前記第1の抗原結合ドメインは、Fc領域のEUナンバリングで表される部位のうち、237〜447位の領域内にエピトープを有する、付記2記載の複合体化タンパク質。
(付記4)
前記第1の抗原結合ドメインは、第1の重鎖可変領域および第1の軽鎖可変領域を含む、付記1から3のいずれかに記載の複合体化タンパク質。
(付記5)
前記第1の重鎖可変領域は、重鎖相補性決定領域(CDRH)1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第1の軽鎖可変領域は、軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3を含み、
CDRH1が、下記(H1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH2が、下記(H2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH3が、下記(H3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL1が、下記(L1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL2が、下記(L2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL3が、下記(L3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである、付記4記載の複合化タンパク質:
(H1-A)下記(H1-A1)、(H1-A2)または(H1-A3)のアミノ酸配列
(H1-A1)配列番号1のアミノ酸配列
(H1-A2)配列番号1のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H1-A3)配列番号1のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(H2-A)下記(H2-A1)、(H2-A2)または(H2-A3)のアミノ酸配列
(H2-A1)配列番号2のアミノ酸配列
(H2-A2)配列番号2のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H2-A3)配列番号2のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(H3-A)下記(H3-A1)、(H3-A2)または(H3-A3)のアミノ酸配列
(H3-A1)配列番号3のアミノ酸配列
(H3-A2)配列番号3のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H3-A3)配列番号3のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L1-A)下記(L1-A1)、(L1-A2)または(L1-A3)のアミノ酸配列
(L1-A1)配列番号4のアミノ酸配列
(L1-A2)配列番号4のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-A3)配列番号4のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L2-A)下記(L2-A1)、(L2-A2)または(L2-A3)のアミノ酸配列
(L2-A1)配列番号5のアミノ酸配列
(L2-A2)配列番号5のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-A3)配列番号5のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L3-A)下記(L3-A1)、(L3-A2)または(L3-A3)のアミノ酸配列
(L3-A1)配列番号6のアミノ酸配列
(L3-A2)配列番号6のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-A3)配列番号6のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列。
(付記6)
前記第1の抗原結合ドメインは、一本鎖抗体(scFv)を含む、付記1から5のいずれかに記載の複合体化タンパク質。
(付記7)
前記所望の抗原は、T細胞に発現する抗原である、付記1から6のいずれかに記載の複合体化タンパク質。
(付記8)
前記T細胞に発現する抗原は、CD3である、付記7記載の複合体化タンパク質。
(付記9)
前記第2の抗原結合ドメインは、第2の重鎖可変領域および第2の軽鎖可変領域を含む、付記1から8のいずれかに記載の複合体化タンパク質。
(付記10)
前記第2の重鎖可変領域は、重鎖相補性決定領域(CDRH)1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第2の軽鎖可変領域は、軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3を含み、
CDRH1が、下記(H1-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH2が、下記(H2-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH3が、下記(H3-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL1が、下記(L1-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL2が、下記(L2-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL3が、下記(L3-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである、付記9記載の複合化タンパク質:
(H1-B)下記(H1-B1)、(H1-B2)または(H1-B3)のアミノ酸配列
(H1-B1)配列番号7のアミノ酸配列
(H1-B2)配列番号7のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H1-B3)配列番号7のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(H2-B)下記(H2-B1)、(H2-B2)または(H2-B3)のアミノ酸配列
(H2-B1)配列番号8のアミノ酸配列
(H2-B2)配列番号8のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H2-B3)配列番号8のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(H3-B)下記(H3-B1)、(H3-B2)または(H3-B3)のアミノ酸配列
(H3-B1)配列番号9のアミノ酸配列
(H3-B2)配列番号9のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H3-B3)配列番号9のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L1-B)下記(L1-B1)、(L1-B2)または(L1-B3)のアミノ酸配列
(L1-B1)配列番号10のアミノ酸配列
(L1-B2)配列番号10のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-B3)配列番号10のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L2-B)下記(L2-B1)、(L2-B2)または(L2-B3)のアミノ酸配列
(L2-B1)配列番号11のアミノ酸配列
(L2-B2)配列番号11のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-B3)配列番号11のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L3-B)下記(L3-B1)、(L3-B2)または(L3-B3)のアミノ酸配列
(L3-B1)配列番号12のアミノ酸配列
(L3-B2)配列番号12のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-B3)配列番号12のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列。
(付記11)
前記第2の抗原結合ドメインは、一本鎖抗体(scFv)を含む、付記1から10のいずれかに記載の複合体化タンパク質。
(付記12)
前記免疫グロブリンと架橋可能な光反応性架橋部を含む、付記1から11のいずれかに記載の複合体化タンパク質。
(付記13)
前記第1の抗原結合ドメインを構成するアミノ酸が、前記光反応性架橋部として、光活性型の反応性官能基を有する、付記12記載の複合体化タンパク質。
(付記14)
標的抗原に結合可能な抗体またはその抗原結合断片と、複合体化タンパク質とを含み、
前記複合体化タンパク質は、付記1から13のいずれかの複合体化タンパク質であり、
前記複合体化タンパク質は、その第1の抗原結合ドメインより前記抗体またはその抗原結合断片と結合し、複合体化している、抗体複合体。
(付記15)
前記抗体またはその抗原結合断片と、前記複合体化タンパク質とは、架橋されている、付記14記載の抗体複合体。
(付記16)
前記標的抗原は、疾患に関連する抗原である、付記14または15記載の抗体複合体。
(付記17)
前記標的抗原は、腫瘍抗原である、付記14から16のいずれかに記載の抗体複合体。
(付記18)
付記1から13のいずれかに記載の複合体化タンパク質を含む、医薬組成物。
(付記19)
標的抗原に結合可能な抗体またはその抗原結合断片を含む、付記18記載の医薬組成物。
(付記20)
前記複合体化タンパク質は、その第1の抗原結合ドメインにより前記抗体またはその抗原結合断片と結合し、複合体化している、付記19記載の医薬組成物。
(付記21)
付記1から13のいずれかに記載の複合体化タンパク質をコードする、核酸。
(付記22)
患者に、付記1から13のいずれかに記載の複合体化タンパク質と、標的抗原に結合可能な抗体またはその抗原結合断片とを投与する、標的抗原に関連する疾患の治療方法。
(付記23)
前記複合体化タンパク質は、その第1の抗原結合ドメインにより前記抗体またはその抗原結合断片と結合し、複合体化している、付記22記載の治療方法。
(付記24)
前記標的抗原は、腫瘍抗原であり、
前記標的抗原に関連する疾患は、がんである、付記22または23記載の治療方法。
上記の実施形態および実施例の一部または全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
第1の抗原結合ドメインと、第2の抗原結合ドメインとを含み、
前記第1の抗原結合ドメインは、免疫グロブリンに結合可能であり、
前記第2の抗原結合ドメインは、所望の抗原に結合可能である、複合体化タンパク質。
(付記2)
前記第1の抗原結合ドメインは、免疫グロブリンの定常(Fc)領域に結合可能である、付記1記載の複合体化タンパク質。
(付記3)
前記第1の抗原結合ドメインは、Fc領域のEUナンバリングで表される部位のうち、237〜447位の領域内にエピトープを有する、付記2記載の複合体化タンパク質。
(付記4)
前記第1の抗原結合ドメインは、第1の重鎖可変領域および第1の軽鎖可変領域を含む、付記1から3のいずれかに記載の複合体化タンパク質。
(付記5)
前記第1の重鎖可変領域は、重鎖相補性決定領域(CDRH)1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第1の軽鎖可変領域は、軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3を含み、
CDRH1が、下記(H1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH2が、下記(H2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH3が、下記(H3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL1が、下記(L1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL2が、下記(L2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL3が、下記(L3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである、付記4記載の複合化タンパク質:
(H1-A)下記(H1-A1)、(H1-A2)または(H1-A3)のアミノ酸配列
(H1-A1)配列番号1のアミノ酸配列
(H1-A2)配列番号1のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H1-A3)配列番号1のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(H2-A)下記(H2-A1)、(H2-A2)または(H2-A3)のアミノ酸配列
(H2-A1)配列番号2のアミノ酸配列
(H2-A2)配列番号2のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H2-A3)配列番号2のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(H3-A)下記(H3-A1)、(H3-A2)または(H3-A3)のアミノ酸配列
(H3-A1)配列番号3のアミノ酸配列
(H3-A2)配列番号3のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H3-A3)配列番号3のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L1-A)下記(L1-A1)、(L1-A2)または(L1-A3)のアミノ酸配列
(L1-A1)配列番号4のアミノ酸配列
(L1-A2)配列番号4のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-A3)配列番号4のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L2-A)下記(L2-A1)、(L2-A2)または(L2-A3)のアミノ酸配列
(L2-A1)配列番号5のアミノ酸配列
(L2-A2)配列番号5のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-A3)配列番号5のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L3-A)下記(L3-A1)、(L3-A2)または(L3-A3)のアミノ酸配列
(L3-A1)配列番号6のアミノ酸配列
(L3-A2)配列番号6のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-A3)配列番号6のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列。
(付記6)
前記第1の抗原結合ドメインは、一本鎖抗体(scFv)を含む、付記1から5のいずれかに記載の複合体化タンパク質。
(付記7)
前記所望の抗原は、T細胞に発現する抗原である、付記1から6のいずれかに記載の複合体化タンパク質。
(付記8)
前記T細胞に発現する抗原は、CD3である、付記7記載の複合体化タンパク質。
(付記9)
前記第2の抗原結合ドメインは、第2の重鎖可変領域および第2の軽鎖可変領域を含む、付記1から8のいずれかに記載の複合体化タンパク質。
(付記10)
前記第2の重鎖可変領域は、重鎖相補性決定領域(CDRH)1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第2の軽鎖可変領域は、軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3を含み、
CDRH1が、下記(H1-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH2が、下記(H2-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH3が、下記(H3-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL1が、下記(L1-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL2が、下記(L2-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL3が、下記(L3-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである、付記9記載の複合化タンパク質:
(H1-B)下記(H1-B1)、(H1-B2)または(H1-B3)のアミノ酸配列
(H1-B1)配列番号7のアミノ酸配列
(H1-B2)配列番号7のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H1-B3)配列番号7のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(H2-B)下記(H2-B1)、(H2-B2)または(H2-B3)のアミノ酸配列
(H2-B1)配列番号8のアミノ酸配列
(H2-B2)配列番号8のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H2-B3)配列番号8のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(H3-B)下記(H3-B1)、(H3-B2)または(H3-B3)のアミノ酸配列
(H3-B1)配列番号9のアミノ酸配列
(H3-B2)配列番号9のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H3-B3)配列番号9のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L1-B)下記(L1-B1)、(L1-B2)または(L1-B3)のアミノ酸配列
(L1-B1)配列番号10のアミノ酸配列
(L1-B2)配列番号10のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-B3)配列番号10のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L2-B)下記(L2-B1)、(L2-B2)または(L2-B3)のアミノ酸配列
(L2-B1)配列番号11のアミノ酸配列
(L2-B2)配列番号11のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-B3)配列番号11のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L3-B)下記(L3-B1)、(L3-B2)または(L3-B3)のアミノ酸配列
(L3-B1)配列番号12のアミノ酸配列
(L3-B2)配列番号12のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-B3)配列番号12のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列。
(付記11)
前記第2の抗原結合ドメインは、一本鎖抗体(scFv)を含む、付記1から10のいずれかに記載の複合体化タンパク質。
(付記12)
前記免疫グロブリンと架橋可能な光反応性架橋部を含む、付記1から11のいずれかに記載の複合体化タンパク質。
(付記13)
前記第1の抗原結合ドメインを構成するアミノ酸が、前記光反応性架橋部として、光活性型の反応性官能基を有する、付記12記載の複合体化タンパク質。
(付記14)
標的抗原に結合可能な抗体またはその抗原結合断片と、複合体化タンパク質とを含み、
前記複合体化タンパク質は、付記1から13のいずれかの複合体化タンパク質であり、
前記複合体化タンパク質は、その第1の抗原結合ドメインより前記抗体またはその抗原結合断片と結合し、複合体化している、抗体複合体。
(付記15)
前記抗体またはその抗原結合断片と、前記複合体化タンパク質とは、架橋されている、付記14記載の抗体複合体。
(付記16)
前記標的抗原は、疾患に関連する抗原である、付記14または15記載の抗体複合体。
(付記17)
前記標的抗原は、腫瘍抗原である、付記14から16のいずれかに記載の抗体複合体。
(付記18)
付記1から13のいずれかに記載の複合体化タンパク質を含む、医薬組成物。
(付記19)
標的抗原に結合可能な抗体またはその抗原結合断片を含む、付記18記載の医薬組成物。
(付記20)
前記複合体化タンパク質は、その第1の抗原結合ドメインにより前記抗体またはその抗原結合断片と結合し、複合体化している、付記19記載の医薬組成物。
(付記21)
付記1から13のいずれかに記載の複合体化タンパク質をコードする、核酸。
(付記22)
患者に、付記1から13のいずれかに記載の複合体化タンパク質と、標的抗原に結合可能な抗体またはその抗原結合断片とを投与する、標的抗原に関連する疾患の治療方法。
(付記23)
前記複合体化タンパク質は、その第1の抗原結合ドメインにより前記抗体またはその抗原結合断片と結合し、複合体化している、付記22記載の治療方法。
(付記24)
前記標的抗原は、腫瘍抗原であり、
前記標的抗原に関連する疾患は、がんである、付記22または23記載の治療方法。
以上説明したように、本発明の複合体化タンパク質によれば、抗体またはその抗原結合断片に対して、所望の抗原に対する結合性を付加できる。このため、本発明は、医薬分野等において、極めて有用といえる。
Claims (21)
- 第1の抗原結合ドメインと、第2の抗原結合ドメインとを含み、
前記第1の抗原結合ドメインは、免疫グロブリンに結合可能であり、
前記第2の抗原結合ドメインは、所望の抗原に結合可能である、複合体化タンパク質。 - 前記第1の抗原結合ドメインは、免疫グロブリンの定常(Fc)領域に結合可能である、請求項1記載の複合体化タンパク質。
- 前記第1の抗原結合ドメインは、Fc領域のEUナンバリングで表される部位のうち、237〜447位の領域内にエピトープを有する、請求項2記載の複合体化タンパク質。
- 前記第1の抗原結合ドメインは、第1の重鎖可変領域および第1の軽鎖可変領域を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の複合体化タンパク質。
- 前記第1の重鎖可変領域は、重鎖相補性決定領域(CDRH)1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第1の軽鎖可変領域は、軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3を含み、
CDRH1が、下記(H1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH2が、下記(H2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH3が、下記(H3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL1が、下記(L1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL2が、下記(L2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL3が、下記(L3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである、請求項4記載の複合化タンパク質:
(H1-A)下記(H1-A1)、(H1-A2)または(H1-A3)のアミノ酸配列
(H1-A1)配列番号1のアミノ酸配列
(H1-A2)配列番号1のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H1-A3)配列番号1のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列;
(H2-A)下記(H2-A1)、(H2-A2)または(H2-A3)のアミノ酸配列
(H2-A1)配列番号2のアミノ酸配列
(H2-A2)配列番号2のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H2-A3)配列番号2のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列;
(H3-A)下記(H3-A1)、(H3-A2)または(H3-A3)のアミノ酸配列
(H3-A1)配列番号3のアミノ酸配列
(H3-A2)配列番号3のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H3-A3)配列番号3のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列;
(L1-A)下記(L1-A1)、(L1-A2)または(L1-A3)のアミノ酸配列
(L1-A1)配列番号4のアミノ酸配列
(L1-A2)配列番号4のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-A3)配列番号4のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列;
(L2-A)下記(L2-A1)、(L2-A2)または(L2-A3)のアミノ酸配列
(L2-A1)配列番号5のアミノ酸配列
(L2-A2)配列番号5のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-A3)配列番号5のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列;
(L3-A)下記(L3-A1)、(L3-A2)または(L3-A3)のアミノ酸配列
(L3-A1)配列番号6のアミノ酸配列
(L3-A2)配列番号6のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-A3)配列番号6のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列。 - 前記第1の抗原結合ドメインは、一本鎖抗体(scFv)を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の複合体化タンパク質。
- 前記所望の抗原は、T細胞に発現する抗原である、請求項1から6のいずれか一項に記載の複合体化タンパク質。
- 前記T細胞に発現する抗原は、CD3である、請求項7記載の複合体化タンパク質。
- 前記第2の抗原結合ドメインは、第2の重鎖可変領域および第2の軽鎖可変領域を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の複合体化タンパク質。
- 前記第2の重鎖可変領域は、重鎖相補性決定領域(CDRH)1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第2の軽鎖可変領域は、軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3を含み、
CDRH1が、下記(H1-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH2が、下記(H2-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH3が、下記(H3-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL1が、下記(L1-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL2が、下記(L2-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL3が、下記(L3-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである、請求項9記載の複合化タンパク質:
(H1-B)下記(H1-B1)、(H1-B2)または(H1-B3)のアミノ酸配列
(H1-B1)配列番号7のアミノ酸配列
(H1-B2)配列番号7のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H1-B3)配列番号7のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列;
(H2-B)下記(H2-B1)、(H2-B2)または(H2-B3)のアミノ酸配列
(H2-B1)配列番号8のアミノ酸配列
(H2-B2)配列番号8のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H2-B3)配列番号8のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列;
(H3-B)下記(H3-B1)、(H3-B2)または(H3-B3)のアミノ酸配列
(H3-B1)配列番号9のアミノ酸配列
(H3-B2)配列番号9のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H3-B3)配列番号9のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列;
(L1-B)下記(L1-B1)、(L1-B2)または(L1-B3)のアミノ酸配列
(L1-B1)配列番号10のアミノ酸配列
(L1-B2)配列番号10のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-B3)配列番号10のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列;
(L2-B)下記(L2-B1)、(L2-B2)または(L2-B3)のアミノ酸配列
(L2-B1)配列番号11のアミノ酸配列
(L2-B2)配列番号11のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-B3)配列番号11のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列;
(L3-B)下記(L3-B1)、(L3-B2)または(L3-B3)のアミノ酸配列
(L3-B1)配列番号12のアミノ酸配列
(L3-B2)配列番号12のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-B3)配列番号12のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列。 - 前記第2の抗原結合ドメインは、一本鎖抗体(scFv)を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の複合体化タンパク質。
- 前記免疫グロブリンと架橋可能な光反応性架橋部を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の複合体化タンパク質。
- 前記第1の抗原結合ドメインを構成するアミノ酸が、前記光反応性架橋部として、光活性型の反応性官能基を有する、請求項12記載の複合体化タンパク質。
- 標的抗原に結合可能な抗体またはその抗原結合断片と、複合体化タンパク質とを含み、
前記複合体化タンパク質は、請求項1から13のいずれか一項の複合体化タンパク質であり、
前記複合体化タンパク質は、その第1の抗原結合ドメインより前記抗体またはその抗原結合断片と結合し、複合体化している、抗体複合体。 - 前記抗体またはその抗原結合断片と、前記複合体化タンパク質とは、架橋されている、請求項14記載の抗体複合体。
- 前記標的抗原は、疾患に関連する抗原である、請求項14または15記載の抗体複合体。
- 前記標的抗原は、腫瘍抗原である、請求項14から16のいずれか一項に記載の抗体複合体。
- 請求項1から13のいずれか一項に記載の複合体化タンパク質を含む、医薬組成物。
- 標的抗原に結合可能な抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項18記載の医薬組成物。
- 前記複合体化タンパク質は、その第1の抗原結合ドメインにより前記抗体またはその抗原結合断片と結合し、複合体化している、請求項19記載の医薬組成物。
- 請求項1から13のいずれか一項に記載の複合体化タンパク質をコードする、核酸。
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