JPWO2020036198A1 - 抵抗スポット溶接部材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

ナゲット端部の組織を改善することにより、耐遅れ破壊特性に優れた抵抗スポット溶接部材及びその製造方法を提供する。本発明は、2以上の鋼板と、鋼板間に形成されたスポット溶接部と、を備え、鋼板の少なくとも1つの鋼板の引張強度が980MPa以上であり、鋼板において、X=[C]+[Si]/40+[Mn]/200で表される係数Xが最も大きくなる鋼板のXをXmaxとし、Y=[P]+3×[S]で表される係数Yが最も小さくなる鋼板のYをYminとした場合に、スポット溶接部のナゲット端部のビッカース硬さHn(Hv)がHob=(800×Xmax+300)/(0.7+20×Ymin)で表されるHob(Hv)以下であり、スポット溶接部の溶接熱影響部の最軟化部のビッカース硬さHmin(Hv)が0.4×Hn≦Hmin≦0.9×Hnを満足する抵抗スポット溶接部材とする。

Description

本発明は、抵抗スポット溶接部材及びその製造方法に関するものである。
自動車の燃費を向上させるための自動車車体の軽量化と衝突安全性の向上とを両立するために、使用する鋼板を高強度化してその板厚を低減する努力が続けられている。しかしながら、自動車用鋼板の引張強度980MPa級以上への高強度化に伴い、溶接部の耐遅れ破壊特性の低下に対する懸念が生じてきた。
詳述すると、自動車の生産工程で主に用いられている溶接方法は抵抗スポット溶接であるが、この抵抗スポット溶接の溶接部は、溶融した部分が急冷されることによりマルテンサイト変態を起こしやすく硬い組織となる。また、該溶接部には冷却過程の熱収縮により引張残留応力が発生する。さらに、鋼板表面のめっき層、鋼板表面の油や水分などから、溶接中に溶接金属内に水素が取り込まれたり、使用環境(例えば酸性環境下)から溶接部へ水素が進入したりする場合がある。したがって、抵抗スポット溶接の溶接部は、耐遅れ破壊特性の観点からは非常に不利な状態となる場合がある。
従来は、鋼板強度がそれほど高くなかったために、溶接部への応力集中が比較的小さく、遅れ破壊が問題とされることはなかった。しかし、鋼板の引張強度が980MPa級以上の高強度鋼板においては、炭素等の焼入れ性元素を多く含むため、ナゲットおよびその近傍が非常に硬くなって、遅れ破壊が発生しやすい状態となる。
また、このようなナゲットが非常に硬い抵抗スポット溶接部は、ナゲット組織の粒界強度を低下させる要因となる元素であるP、Sに対する感受性が高い。このため、これらの元素を多く含む鋼板の抵抗スポット溶接部材ではナゲットの強度が低下し、遅れ破壊がより発生しやすい状態となる。この抵抗スポット溶接部材の遅れ破壊の問題は、高強度鋼板を含む板組であれば軟鋼との合わせ板組であっても生じる場合がある。また、該高強度鋼板においては、プレス成形が難しくなることから高強度鋼板を重ね合わせたときに鋼板間に隙間が生じやすい。このため、この隙間を一対の対向する電極で強制的に潰して溶接する抵抗スポット溶接では、ナゲットの端部にこの鋼板の隙間に起因する引張応力が追加され、さらに遅れ破壊が発生しやすい状態となることが考えられる。
このような溶接部の遅れ破壊を防止する方法として、特許文献1には、溶接通電(主通電)直後に加圧力を上昇させると共に電流を減少させることで溶接部の組織や硬さを制御し、遅れ破壊を防止する技術が開示されている。
また、特許文献2には、溶接通電(主通電)直後に加圧力を上昇させると共に無通電での冷却時間経過後に通電することで溶接部の組織や硬さを制御し、遅れ破壊を防止する技術が開示されている。
特開2015−93282号公報 WO2014/171495号公報
しかし、これらの技術は、遅れ破壊を防止する効果を得るために長時間の後通電を要する。このため、投入熱量が過多となった場合には熱影響部が過度の軟化により強度低下し、低応力で熱影響部からの破断が発生する場合がある。また、これらの技術は、ナゲットの強度低下の要因となる元素であるP、Sの影響については何ら考慮されていない。
なお、このような溶接時に水素脆化感受性の高い溶接金属内に水素が侵入することにより遅れ破壊が発生するという問題は、自動車用の高強度鋼板を抵抗スポット溶接する場合に限らず、その他の鋼板の抵抗スポット溶接においても同様に存在する。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ナゲットの端部(ナゲット端部)の組織を改善することにより、耐遅れ破壊特性に優れた抵抗スポット溶接部材及びその製造方法を提供するものである。
本発明者は、遅れ破壊の発生起点であるナゲット端部の組織を改善することにより、スポット溶接部の硬さを調整して、引張強度が980MPa以上の鋼板を含む板組の場合であっても、耐遅れ破壊特性に優れたスポット溶接部材を提供可能であると考えた。
そこで、遅れ破壊の要因であるナゲット端部の硬さおよび粒界強度低下の要因となる元素のP、Sについて調査し、以下のような知見を得た。
ナゲットの硬さに影響を与える鋼板中の合金元素としては、C、Mn、Siが挙げられる。鋼板中のこれらの元素の含有量が多いほど抵抗スポット溶接部材の遅れ破壊感受性が高くなる。しかし、これらの元素の含有量に応じてナゲット端部の硬さを低減することにより、上記鋼板を含む板組の抵抗スポット溶接部材の耐遅れ破壊特性を改善することが可能となる。
しかしながら、鋼板がP、Sを多く含む場合、ナゲット端部のP、Sの濃度が高くなり、遅れ破壊がより発生しやすい状態となる。また、ナゲットは複数の被溶接鋼板が溶融し形成される組織である。よって、高強度鋼板がP、Sを多く含まない場合であっても、例えば板組に含まれる他の鋼板のP、Sの含有量が大きかった場合には、同様に遅れ破壊が発生しやすい状態となる。そのため鋼板のC、Mn、Siの含有量だけでなく、P、Sの含有量を考慮してナゲット端部の硬さを適切に制御することが必要となり、これにより耐遅れ破壊特性に優れた抵抗スポット溶接部材を作製可能となる。
また、ナゲット端部の硬さを制御する方法としては、抵抗スポット溶接プロセスにおいて、ナゲットを形成するための主通電工程が終了した後に、焼き戻しを目的とした後通電工程を付与することが有効な手段である。しかし、ナゲット端部を焼き戻すための後通電工程が長時間となった場合、ナゲットの外側の熱影響部(以下、溶接熱影響部と称する場合もある。)にまで後通電による焼き戻しの影響が及び、過度の軟化による強度低下を引き起こす場合がある。そこで、主通電工程後、主通電工程における電流値以上の高電流を通電し、焼き戻しに必要な熱量を短時間でナゲット端部に投入することで、熱影響部を過度に軟化させることなくナゲット端部の硬さを制御することが必要となる。
本発明は以上のような知見に基づいてなされたものであり、要旨は以下のとおりである。
[1]2以上の鋼板と、前記鋼板間に形成されたスポット溶接部と、を備える抵抗スポット溶接部材であって、前記2以上の鋼板の少なくとも1つの鋼板の引張強度が980MPa以上であり、前記2以上の鋼板において、下記(1)式で表される係数Xが最も大きくなる鋼板のXをXmaxとし、下記(2)式で表される係数Yが最も小さくなる鋼板のYをYminとした場合に、前記スポット溶接部のナゲットの端部のビッカース硬さH(Hv)が下記(3)式で表されるHob(Hv)以下であり、前記スポット溶接部の溶接熱影響部の最軟化部のビッカース硬さHmin(Hv)が下記(4)式を満足する、抵抗スポット溶接部材。
X=[C]+[Si]/40+[Mn]/200 (1)
Y=[P]+3×[S] (2)
ob=(800× Xmax+300)/(0.7+20 × Ymin) (3)
0.4 × H≦Hmin≦0.9 × H (4)
前記(1)式及び(2)式において[C]、[Si]、[Mn]、[P]及び[S]は各元素の含有量(質量%)である。ただし、含まない場合は0とする。
[2]抵抗スポット溶接部材の製造方法であって、引張強度が980MPa以上の鋼板を少なくとも1枚含む2枚以上の鋼板を重ね合わせて1対の溶接電極で挟持し加圧しながら通電してナゲットを形成する主通電工程と、前記主通電工程の後に下記の(5)式、(6)式で表される冷却時間C(ms)の間鋼板を前記溶接電極で加圧保持してナゲットを冷却する冷却工程と、前記冷却工程後に、下記(7)式を満足する電流値I(kA)で通電する後通電工程と、を有する、抵抗スポット溶接部材の製造方法。
≧160 × t (t≦1.6) (5)
≧256 × t (t>1.6) (6)
0.8 × Imin≦I<1.5 × Imax (7)
前記(5)式、(6)式、(7)式において、
t:被接合鋼板の平均板厚(mm)
max:主通電工程における最大電流値(kA)
min:主通電工程における最小電流値(kA)
である。
[3]前記後通電工程の後に、冷却し下記(8)式を満たす条件で通電する冷却通電と、前記冷却通電後に下記(9)式を満たす条件で再後通電する再後通電とをn回行う繰返通電工程を有する、[2]に記載の抵抗スポット溶接部材の製造方法。
0≦Inc≦Imax (8)
0.8 × Imin≦Inr<1.5 × Imax (9)
前記(8)式、(9)式において、
nc:n回目の冷却通電における電流値(kA)
nr:n回目の再後通電における電流値(kA)
max:主通電工程における最大電流値(kA)
min:主通電工程における最小電流値(kA)
n:1以上の自然数
である。
本発明によれば、高強度鋼板の抵抗スポット溶接を行う場合であっても、熱影響部の軟化による強度低下を防止しつつナゲット端部の組織を改善し、耐遅れ破壊特性に優れた抵抗スポット溶接部材を得ることができる。
図1は、スポット溶接部を説明するための模式図である。 図2は、抵抗スポット溶接の例を模式的に示す断面図である。 図3(a)〜図3(c)は抵抗スポット溶接の試験片を示す図であり、図3(a)は平面図であり、図3(b)および図3(c)は側面図である。 図4は、本発明のナゲット端部を説明する断面図である。 図5(a)は本発明の溶接熱影響部の最軟化部を説明する断面図であり、図5(b)はナゲット端部および溶接熱影響部におけるビッカース硬さを示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
本発明の抵抗スポット溶接部材は、2以上の鋼板と、スポット溶接部とを有する。2以上の鋼板、スポット溶接部の順で説明する。
鋼板
2以上の鋼板は、引張強度が980MPa以上の鋼板(「高強度鋼板」という場合がある)を含む。引張強度が980MPa以上の鋼板を用いると、スポット溶接部の遅れ破壊が問題になりやすい。しかし、後述する通り、本発明の抵抗スポット溶接部材は、スポット溶接部の硬さの調整が行われているため、高強度鋼板を用いても、スポット溶接部の耐遅れ破壊特性が良好になる。なお、引張強度が980MPa以上の鋼板の使用量(使用枚数)が多いほど、遅れ破壊時間の問題が生じやすくなるため、本発明の効果は、2以上の鋼板のうち半数以上の鋼板の引張強度が980MPa以上の場合により顕著に現れる。
また、鋼板の枚数は2以上であれば上限は特に限定されないが、溶接のしやすさ等を考慮すると鋼板の枚数は4以下が好ましい。
上記2以上の鋼板の成分組成は特に限定されないが、質量%で、C:0.6%以下、Si:3.0%以下、Mn:20.0%以下、P:1.0%以下、S:0.8%以下、Al:3.0%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物である成分組成が好ましい。
上記2以上の鋼板の全て又は一部が、めっき処理されて表面にめっき層を有するものであってもよい。めっきとしては、例えば、Zn系めっきやAl系めっき系が挙げられる。Zn系めっきとしては、溶融亜鉛めっき(GI)、Zn−Ni系めっき、Zn−Al系めっきなどが挙げられる。また、Al系めっきとしては、Al−Si系めっき(例えば、10〜20質量%のSiを含むAl−Si系めっき)などが例示できる。溶融めっき層は、合金化された合金化溶融めっき層であってもよい。合金化溶融めっき層としては、例えば、合金化溶融亜鉛めっき(GA)層が挙げられる。
上記2以上の鋼板の板厚は特に限定されないが、例えば0.5mm以上2.0mm以下の範囲内であることが好ましい。板厚がこの範囲内である鋼板は、自動車用部材として好適に使用することができる。
2以上の鋼板は、同じでも異なっていてもよく、同種および同形状の鋼板であってもよいし、異種や異形状の鋼板であってもよい。
2以上の鋼板は、抵抗スポット溶接部材を構成する鋼板であるため、重ね合された状態になる。重ね合された鋼板間には下記のスポット溶接部が形成される。
スポット溶接部
スポット溶接部12は、図1に示すように、2以上の鋼板間15に形成され、中央のナゲット13、ナゲットの外側の溶接熱影響部14から構成される。ナゲット13と溶接熱影響部14との境界は、スポット溶接部の板厚断面において、ピクリン酸水溶液を用いた腐食を実施することで目視で判定可能である。
2以上の鋼板において、下記(1)式で表される係数Xが最も大きくなる鋼板のXをXmaxとし、下記(2)式で表される係数Yが最も小さくなる鋼板のYをYminとした場合に、スポット溶接部のナゲット端部のビッカース硬さH(Hv)が下記(3)式で表されるHob(Hv)以下である。
X=[C]+[Si]/40+[Mn]/200 (1)
Y=[P]+3×[S] (2)
ob=(800× Xmax+300)/(0.7+20 × Ymin) (3)
(1)式において[C]、[Si]、[Mn]、[P]及び[S]は各元素の含有量(質量%)である。ただし、含まない場合は0とする。
スポット溶接部の硬さは、C、Si、Mnの影響を受けるため、C、Si、Mnを考慮する必要がある。本発明では、X=[C]+[Si]/40+[Mn]/200(上記(1)式)により、C、Si、Mnの影響を考慮する。また、P、Sは、ナゲット組織の強度低下の要因となる元素である。このため、遅れ破壊を改善する本発明においてはPやSの影響を考慮する必要がある。そこで、本発明では、Y=[P]+3×[S](上記(2)式)によりSやPの影響を考慮する。なお、X、Yにおける各元素にかかる係数は、それぞれの元素が及ぼす影響の大きさを加味して決定している。
スポット溶接部のナゲット端部のビッカース硬さH(Hv)は、下記(3)式で表されるHob(Hv)以下である。ナゲット端部のビッカース硬さが式(3)で表されるHob(Hv)を超える場合は、遅れ破壊が発生し易い。
耐遅れ破壊特性を向上させる効果をより顕著に発揮させたい場合には、ナゲット端部のビッカース硬さH(Hv)を下記(10)式で表されるHob2(Hv)以下とするか、もしくは(0.95×Hob)以下とすることがより好ましい。
ob2=(800× Xmax+300)/(0.7+20 × Ymax) (10)
ここで、(10)式において、Ymax:上記(2)式で表される係数Yが最も大きくなる鋼板のY、である。
なお、ナゲット端部のビッカース硬さHは(0.4×Hob)以上とすることが好ましい。ナゲット端部のビッカース硬さHが(0.4×Hob)より小さい場合は、ナゲットの強度自体が低下し、継手強度など、耐遅れ破壊特性以外の継手性能が低下する恐れがある。
ここで、図4を用いてナゲット端部について説明する。図4には、スポット溶接部12におけるナゲット端部16を拡大した図も示す。図4に示すように、ナゲット端部16とは、抵抗スポット溶接部材のナゲット13の中央を通る板厚断面において、ナゲット13と溶接熱影響部14との境界からナゲット13の中央に向けて50μmの位置を意味する。また、ナゲット端部16は、ナゲット13の中央を通る板厚断面において、鋼板15間の境界線とナゲット13との2つの交点からそれぞれナゲット13の中央に向けて50μmの位置の2か所であり、そのうちビッカース硬さの値が小さい方をナゲット端部のビッカース硬さHとして定義する。なお、ビッカース硬さの値が同じ場合には、その値をナゲット端部のビッカース硬さHとして定義する。
なお本発明では、上記境界からナゲット13の中央に向けて50μmの位置を中心として一定の範囲内で上記ビッカース硬さH(HV)を有していれば同様に上述の効果が得られる。この一定の範囲内とは、上記境界からナゲット中央に向けて40〜60μmの領域である。そのため、「ナゲット端部」には上記境界からナゲット中央に向けて40〜60μmの領域が含まれるものとする。
3枚以上の鋼板を溶接する場合には、複数のナゲット端部が形成されるが、引張強度が980MPa以上の鋼板を含む板組の少なくとも一つのナゲット端部で(3)式を満たせばよい。
本発明では、スポット溶接部の溶接熱影響部の最軟化部のビッカース硬さHmin(Hv)が下記(4)式を満足する。
0.4 × H≦Hmin≦0.9 × H (4)
溶接熱影響部の最軟化部のビッカース硬さHmin(Hv)が(0.4×H)(Hv)未満の場合は、溶接熱影響部の過度の軟化により、強度低下を引き起こし易い。また、溶接熱影響部の最軟化部のビッカース硬さHmin(Hv)が(0.9×H)(Hv)超えの場合は、ナゲット端部に局所的に高い応力が集中し、遅れ破壊が発生し易い。また、強度低下を引き起こすことなく、遅れ破壊を抑制する効果をより顕著に発揮させたい場合には、溶接熱影響部の最軟化部のビッカース硬さHminは(0.5×H)以上が好ましく、(0.8×H)以下が好ましい。
ここで、図5(a)および図5(b)を用いて、スポット溶接部の溶接熱影響部の最軟化部について説明する。図5(a)はナゲット13の中央を通る板厚方向の断面図であり、図5(b)はナゲットと溶接熱影響部の境界周辺における、境界からの距離(mm)とビッカース硬さ(HV)を示すグラフである。
図5(a)および図5(b)に示すように、スポット溶接部12の溶接熱影響部14の最軟化部とは、次の位置を意味する。ナゲット13の中央と上述したナゲット端部16(図示せず)とを通る直線上において、ナゲット13と溶接熱影響部14との境界からナゲット13の外側3mmの領域について、上記境界から150μm間隔で測定した場合に最も軟らかい硬さを示した部分(位置)を意味する。なお、硬さは後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
次いで、本発明の抵抗スポット溶接部材の製造方法について説明する。本発明の製造方法は、主通電工程と、冷却工程と、後通電工程と、を有する。図1、2を用いて、本発明の製造方法を説明する。
主通電工程とは、引張強度が980MPa以上の鋼板を少なくとも1枚含む2枚以上の鋼板を重ね合わせて、1対の溶接電極で挟持し、加圧しながら通電してナゲットを形成する工程である。
図2に示すように、下側に配置される鋼板(以下、下鋼板1という)と上側に配置される鋼板(以下、上鋼板2という)とを重ね合わせる。このとき、下鋼板1、上鋼板2の少なくとも1つを引張強度が980MPa以上の鋼板とする。次いで、1対の溶接電極、すなわち下側に配置される電極(以下、下電極4という)および上側に配置される電極(以下、上電極5という)で、重ね合わせた鋼板(下鋼板1と上鋼板2)を挟持して、加圧しながら通電する。下電極4と上電極5によって加圧し、且つその加圧力を制御する構成は特に限定されず、エアシリンダやサーボモータ等の従来から知られている機器が使用できる。また、通電の際に電流を供給し、且つ電流値を制御する構成も特に限定されず、従来から知られている機器が使用できる。また、直流、交流のいずれにも本発明を適用できる。なお、交流の場合は、「電流」は「実効電流」を意味する。また、下電極4や上電極5の先端の形式も特に限定されず、例えば、JIS C 9304:1999に記載されるDR形(ドームラジアス形)、R形(ラジアス形)、D形(ドーム形)等が挙げられる。また、電極の先端径(先端の直径)は、例えば4mm〜16mmである。
上記のように行われる主通電工程は、鋼板を溶融させてナゲットを形成する工程である。そのナゲットを形成するための通電条件、加圧条件は特に限定されず、従来から用いられている溶接条件を採用することができる。例えば、電流値は1.0kA以上15.0kA以下であり、加圧力は2.0kN以上7.0kN以下である。また、通電時間も特に限定されず、例えば、100ms以上1000ms以下である。なお、「ナゲット」とは、重ね抵抗溶接においてスポット溶接部に生じる溶融凝固する部分である。
上記主通電工程後に、下記の(5)式、(6)式で表される冷却時間C(ms)の間、鋼板を溶接電極で加圧しながら保持してナゲットを冷却する冷却工程を行う。
≧160 × t (t≦1.6) (5)
≧256 × t (t>1.6) (6)
(5)式、(6)式において、t:被接合鋼板の平均板厚(mm)である。
冷却工程は、後述する後通電工程によって焼き戻しの効果を得るために必要な工程である。冷却時間C(ms)が(5)式、(6)式を満たさない場合は、ナゲット端部が十分に冷却されないままその後の後通電によって加熱されることになる。そうなると、焼き戻しの効果が得られず、ナゲット端部の硬さを低減できない。冷却時間C(ms)は鋼板の板厚に依存し、板厚の異なる鋼板を接合する場合には各鋼板の板厚の平均値とする。また、ナゲット端部をより十分に冷却し、その後の後通電における焼き戻しの効果をより顕著に発揮させたい場合は、t≦1.6の場合はC≧200×t、t>1.6の場合はC≧320×tとすることが好ましい。
本発明において特に冷却時間C(ms)の上限は規定しないが、C<800×tとすることが好ましい。Cが(800×t)以上の場合は、溶接工程自体の総時間が長くなって生産性が低下する。
以上より、本発明の製造方法では、(5)式及び(6)式に基づいて冷却時間の条件を決定する過程を経た後に、冷却工程が行われる。なお、被接合鋼板の平均板厚は、溶接される全ての鋼板の板厚の平均を意味する。
上記冷却工程後に後通電工程を行う。後通電工程とは、下記(7)式を満足する電流値I(kA)で通電する工程である。
0.8 × Imin≦I<1.5 × Imax (7)
(7)式において、Imax:主通電工程における最大電流値(kA)、Imin:主通電工程における最小電流値(kA)である。
後通電工程はナゲット端部を再加熱し、焼き戻しによりナゲット端部の硬さを低減する工程である。後通電工程における電流値I(kA)が(0.8×Imin)未満の場合は投入熱量が足りず、ナゲット端部の硬さを低減できない。また、後通電工程における電流値I(kA)が(1.5×Imax)以上の場合は投入熱量が過多となり、ナゲット端部の焼き戻しの効果が得られる温度域を超えるため、ナゲット端部の硬さを低減できない。また、ナゲット端部の硬さを低減し、耐遅れ破壊特性を向上する効果をより顕著に発生させたい場合は、後通電工程における電流値I(kA)が0.95×Imin≦I<1.2×Imaxを満たすことが好ましい。また、後通電工程における電流値I(kA)の下限は、(1.0×Imin)以上とすることがより一層好ましい。以上より、本発明の製造方法では、(7)式に基づいて電流値Iの条件を決定する過程を経た後に、後通電工程が行われる。
後通電工程の通電時間が20ms未満では、ナゲットが十分に加熱されず、焼き戻しの効果を得られない場合がある。後通電工程の通電時間が200msを超えると、投入熱量は十分となりナゲット端部の硬さは低減するが、熱影響部が過度の軟化により強度低下し、低応力で熱影響部からの破断が発生する場合がある。また、後通電工程における電流値が高く、投入熱量が過多となった場合には、ナゲットが再び溶融して、焼き戻しの効果を得られず、散り発生などの問題が生じる場合がある。したがって、後通電工程の通電時間は20〜200msの範囲内が好ましい。より好ましくは、20〜100msである。
また、上記後通電工程後に、繰返通電工程を行ってもよい。繰返通電工程とは、後通電工程の後に、冷却し下記(8)式を満たす条件で通電する冷却通電と、前記冷却通電後に下記(9)式を満たす条件で再後通電する再後通電とを、n回行う工程である。
0≦Inc≦Imax (8)
0.8 × Imin≦Inr<1.5 × Imax (9)
(8)式、(9)式において、Inc:n回目の冷却通電における電流値(kA)、Inr:n回目の再後通電における電流値(kA)、n:1以上の自然数である。Imax、Iminは(7)式と同様である。
繰返通電工程を行うことで、ナゲット端部の焼き戻しによる硬さ低減の効果をより顕著に発揮させ、溶接部材の耐遅れ破壊特性をより一層向上させることができる。
繰返通電工程において、冷却と加熱を繰り返すことにより、ナゲット端部を適切な温度域に長時間維持し、焼き戻しの効果をより一層発揮することができる。また、冷却通電はナゲット端部を冷却する過程であるから、無通電で行ってもよい。また、冷却通電における電流値Inc(kA)がImax超の場合は、ナゲット端部を冷却する効果が得られず、その後の再後通電で適切な温度域を維持できない。また、冷却通電でナゲット端部を冷却し、その後の再後通電で適切な温度域に保持する効果をより顕著に発揮したい場合は、冷却通電における電流値Inc(kA)が0≦Inc≦0.5×Imaxを満足することが好ましい。
また、再後通電における電流値Inr(kA)が(0.8×Imin)未満の場合は、ナゲット端部を十分に再加熱できず、適切な温度域を保持できない。また、再後通電における電流値Inr(kA)が(1.5×Imax)以上の場合は、投入熱量が過多となりナゲットが再び溶融して、焼き戻しの効果を得られない。また、再後通電でナゲット端部を適切な温度域に保持する効果をより顕著に発揮したい場合は、再後通電における電流値Inr(kA)が0.95×Imin≦Inr<1.2×Imaxを満足することが好ましい。また、再後通電工程における通電時間は、20ms〜200msの範囲内とすることが好ましい。より好ましくは、20ms〜100msである。
なお、本発明において、特に繰返通電工程における冷却通電の通電時間の上限は規定しないが、(800×t)以下とすることが好ましい。(800×t)を超える場合は、溶接工程自体の総時間が長くなって生産性が低下することがある。
一方、冷却通電の通電時間の下限も特に規定しないが、20ms以上とすることが好ましい。20ms未満の場合は、ナゲット端部を冷却する効果が得られず、その後の再後通電で適切な温度域を維持できない場合がある。
繰返通電工程では、上記の冷却通電と再後通電とをn回繰り返す。複数回行う場合、各回の条件は、上記範囲内であれば同じでも異なってもよい。ただし、後通電工程を繰り返し行うことにより溶接工程自体が長時間化し、抵抗スポット溶接の施工能率の低下を招く。このため、後通電工程の繰り返し数nは3以下が好ましい。
以上では、2枚の鋼板を溶接する場合について主に述べたが、3枚以上の鋼板を溶接する場合についても、同様に本発明の製造方法を適用可能である。
なお、電極が常に水冷されている状態で抵抗スポット溶接を行う。
以下、実施例を用いて本発明を説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
2枚板組と3枚板組の各条件において、抵抗スポット溶接を行った。抵抗スポット溶接は常温で行い、電極を常に水冷した状態で行った。下電極4と上電極5は、いずれも先端の直径(先端径)6mm、曲率半径40mmとし、クロム銅製のDR形電極とした。また、下電極4と上電極5をサーボモータで駆動することによって加圧力を制御し、通電の際には周波数50Hzの単相交流を供給した。2枚板組の場合には下鋼板1および上鋼板2とし、3枚板組の場合には下鋼板9、中鋼板10、上鋼板11とした。板組としては、下記の(A)、(B)、(C)とした。
(A):下鋼板1と上鋼板2として、引張強度1470MPa、(1)式で表されるXが0.24、(2)式で表されるYが0.020となるめっき処理有り(溶融亜鉛めっき(GI)、付着量は片面当たり50g/m))の板厚1.4mmの鋼板を用いた。
(B):下鋼板1として、引張強度1470MPa、(1)式で表されるXが0.24、(2)式で表されるYが0.020となるめっき処理有り(溶融亜鉛めっき(GI)、付着量は片面当たり50g/m))の板厚1.6mmの鋼板、上鋼板2として、引張強度1180MPa、(1)式で表されるXが0.20、(2)式で表されるYが0.024となるめっき処理無しの板厚2.0mmの鋼板を用いた。
(C):下鋼板9および中鋼板10として、引張強度1470MPa、(1)式で表されるXが0.22、(2)式で表されるYが0.024となるめっき処理無しの板厚1.4mmの鋼板、上鋼板11として、引張強度270MPa、(1)式で表されるXが0.027、(2)式で表されるYが0.044となるめっき処理有り(溶融亜鉛めっき(GA)、付着量は片面当たり45g/m)の板厚0.7mmの鋼板を用いた。
(A)の場合、Xmax=0.24、Ymin=0.020であり、(B)の場合、Xmax=0.24、Ymin=0.020、(C)の場合、Xmax=0.22、Ymin=0.024である。引張強度は、各鋼板から、圧延方向に対して平行方向にJIS5号引張試験片を作製し、JIS Z 2241:2011の規定に準拠して引張試験を実施して求めた引張強度である。
抵抗スポット溶接は、2枚板組の場合は、図3(a)および図3(b)に示すように、上記鋼板(長手方向の長さ:150mm、短手方向の長さ:50mm)の2枚の間に、厚さ1.6mmで50mm四方のスペーサ6を両側に挟み込んで仮溶接し、2枚の鋼板を重ね合わせた板組の中心を上記および表1−1に記載する条件で溶接し、溶接継手を作製した。図3(a)〜図3(c)は、抵抗スポット溶接の試験片を示す平面図(図3(a))および側面図(図3(b)、図3(c))であり、図3(a)〜図3(c)中の符号7は溶接点、符号8は仮溶接点である。また、3枚板組の場合は、図3(c)に示すように、下鋼板9、中鋼板10、上鋼板11を重ね合わせ、下鋼板9と中鋼板10の間にスペーサ6を両側に挟み込んで溶接を行った。なお、鋼板やスペーサの寸法は上記2枚板組の場合と同様である。
得られた溶接継手を常温(20℃)で大気中に静置して、24時間経過した後に、遅れ破壊の有無を調査した。結果を表1−2に示す。遅れ破壊については、24時間静置後に遅れ破壊が発生しなかったものに記号「○」を、破壊が発生したものに記号「×」を記載した。遅れ破壊の判定については、溶接後にナゲットの剥離(接合界面でナゲットが二つに剥離する現象)が目視で観察されたものを、遅れ破壊が発生したものとした。
また、遅れ破壊試験とは別に同条件・同形状で溶接継手を作製した。得られた溶接継手に対して、ナゲット中央にて切断し、ピクリン酸にてエッチングして溶融部の境界線を明瞭にした後に、荷重200gf、荷重保持時間15sでナゲット端部および最軟化部のビッカース硬さを測定した。ナゲット端部の硬さは、溶融部の境界線から50μmナゲット内側部分の硬さ測定値とした。最軟化部の硬さは、ナゲット端部からナゲット外側に150μm間隔で、ナゲット端部から3mmの長さの領域を測定した場合における、最軟化部分の測定値とした。
また、遅れ破壊試験とは別に、同条件で作製した溶接継手で十字引張試験を実施した。十字引張試験については、JISZ 3137に基づいた形状の試験体で実施した。後通電を行わず、主通電工程のみで溶接した場合の継手強度と比較して、10%以上強度低下したものには記号「×」を、10%以上強度低下しなかったものには記号「○」を記載した。
各評価で得られた結果を表1−2に示す。表1−2に示す「判定」の欄には、「遅れ破壊」および「継手強度」の両方が「〇」であったものに記号「〇」を記載し、「遅れ破壊」および「継手強度」の少なくとも1つが「×」であったものに記号「×」を記載した。表1−2から明らかなように、発明例では全て継手強度が低下せず、耐遅れ破壊特性に優れた溶接継手が得られたのに対して、比較例では良好な溶接継手が得られなかった。
Figure 2020036198
Figure 2020036198
1 下鋼板
2 上鋼板
3 ナゲット
4 下電極
5 上電極
6 スペーサ
7 溶接点
8 仮溶接点
9 下鋼板
10 中鋼板
11 上鋼板
12 スポット溶接部
13 ナゲット
14 溶接熱影響部
15 鋼板
16 ナゲット端部

Claims (3)

  1. 2以上の鋼板と、前記鋼板間に形成されたスポット溶接部と、を備える抵抗スポット溶接部材であって、
    前記2以上の鋼板の少なくとも1つの鋼板の引張強度が980MPa以上であり、
    前記2以上の鋼板において、下記(1)式で表される係数Xが最も大きくなる鋼板のXをXmaxとし、下記(2)式で表される係数Yが最も小さくなる鋼板のYをYminとした場合に、前記スポット溶接部のナゲットの端部のビッカース硬さH(Hv)が下記(3)式で表されるHob(Hv)以下であり、
    前記スポット溶接部の溶接熱影響部の最軟化部のビッカース硬さHmin(Hv)が下記(4)式を満足する、抵抗スポット溶接部材。
    X=[C]+[Si]/40+[Mn]/200 (1)
    Y=[P]+3×[S] (2)
    ob=(800× Xmax+300)/(0.7+20 × Ymin) (3)
    0.4 × H≦Hmin≦0.9 × H (4)
    前記(1)式及び(2)式において[C]、[Si]、[Mn]、[P]及び[S]は各元素の含有量(質量%)である。ただし、含まない場合は0とする。
  2. 抵抗スポット溶接部材の製造方法であって、
    引張強度が980MPa以上の鋼板を少なくとも1枚含む2枚以上の鋼板を重ね合わせて1対の溶接電極で挟持し加圧しながら通電してナゲットを形成する主通電工程と、
    前記主通電工程の後に下記の(5)式、(6)式で表される冷却時間C(ms)の間鋼板を前記溶接電極で加圧保持してナゲットを冷却する冷却工程と、
    前記冷却工程後に、下記(7)式を満足する電流値I(kA)で通電する後通電工程と、を有する、抵抗スポット溶接部材の製造方法。
    ≧160 × t (t≦1.6) (5)
    ≧256× t (t>1.6) (6)
    0.8 × Imin≦I<1.5 × Imax (7)
    前記(5)式、(6)式、(7)式において、
    t:被接合鋼板の平均板厚(mm)
    max:主通電工程における最大電流値(kA)
    min:主通電工程における最小電流値(kA)
    である。
  3. 前記後通電工程の後に、冷却し下記(8)式を満たす条件で通電する冷却通電と、前記冷却通電後に下記(9)式を満たす条件で再後通電する再後通電とをn回行う繰返通電工程を有する、請求項2に記載の抵抗スポット溶接部材の製造方法。
    0≦Inc≦Imax (8)
    0.8 × Imin≦Inr<1.5 × Imax (9)
    前記(8)式、(9)式において、
    nc:n回目の冷却通電における電流値(kA)
    nr:n回目の再後通電における電流値(kA)
    max:主通電工程における最大電流値(kA)
    min:主通電工程における最小電流値(kA)
    n:1以上の自然数
    である。
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