JPWO2019208441A1 - 重合体、成形体及び物品 - Google Patents

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遼祐 一二三
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伸行 宮木
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育義 冨田
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Abstract

本発明の一実施形態は、重合体、成形体及び物品に関し、該重合体は、下記式(1)で表される構造単位と、下記式(2−1)及び(2−2)で表される構造単位の少なくとも1つとを有する。

[R1はC1〜20の炭化水素基、R11及びR12はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又はC1〜20の有機基、x及びyはそれぞれ独立して、0〜4の整数である。]

[aは0〜2の整数、R2は独立して、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又はC1〜20の有機基、bは0〜8の整数である。]

[R3及びR4はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又はC1〜20の有機基、c及びdはそれぞれ独立して0〜8の整数、e及びfはそれぞれ独立して0〜2の整数、Lは、単結合、−SO2−又はC1〜20の有機基である。]

Description

本発明の一実施形態は、重合体、成形体及び物品に関する。
光学レンズ、光学フィルム等の光学部品は、液晶表示装置等の表示装置、デジタルカメラや携帯電話用カメラ等のカメラモジュールレンズ、イメージセンサ等の光センサなどに用いられている。近年、光学部品は、薄膜化、高付加価値化等の点から、樹脂成分として屈折率の高い重合体を用いて形成されるようになっている。
また、光学レンズ等の光学部品がカメラモジュール等の撮像系デバイスに使用される場合、画像の高精細化等のために低複屈折性も求められる。
低複屈折性の重合体の代表例として、ビスフェノールフルオレン誘導体等のビスフェノール化合物に由来する構造を有するポリエーテル等が知られている(特許文献1参照)。これらの重合体は、フルオレン骨格のカルド構造により、主鎖方向と主鎖に直交する方向の屈折率が互いに打ち消し合うため、低複屈折性を示す。その一方で、フルオレン骨格のような剛直で嵩高い骨格を有する重合体は、ガラス転移温度が極めて高いため、一般に成形性に劣ることが知られている。
一方、リン系官能基を有する重合体は種々知られており、ホスフィンスルフィド部位を主鎖に含む重合体は、高耐熱材料や難燃材料等として検討されている(非特許文献1及び2参照)。しかし、これらの重合体の光学特性は全く調べられておらず、またこれらの重合体の複屈折は低くないものと考えられる。
特開2012−224763号公報
Macromol. Chem. Phys.,200,1854,1999 Gaoxiao Huaxue Gongcheng Xuebao, 26,1020,2012
これまでのところ、高屈折率及び低アッベ数であり、低複屈折性に優れるホスフィンスルフィド部位を有する重合体は未だ知られていない。
本発明の一実施形態は、高屈折率及び低アッベ数であり、低複屈折性に優れる重合体を提供する。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記構成例によれば前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の構成例は以下の通りである。
[1] 下記式(1)で表される構造単位と、下記式(2−1)及び(2−2)で表される構造単位の少なくとも1つとを有する重合体。
[式(1)中、R1は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。R11及びR12はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は炭素数1〜20の1価の有機基である。x及びyはそれぞれ独立して、0〜4の整数である。xが2以上の場合、複数のR11は同一又は異なる。yが2以上の場合、複数のR12は同一又は異なる。]
[式(2−1)中、aは、0〜2の整数である。R2は独立して、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は炭素数1〜20の1価の有機基である。bは、0〜8の整数である。bが2以上の場合、複数のR2は同一又は異なり、これらの基のうちの2つ以上が互いに結合して環員数4〜20の環構造を形成していてもよい。]
[式(2−2)中、R3及びR4はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は炭素数1〜20の1価の有機基である。c及びdはそれぞれ独立して、0〜8の整数である。cが2以上の場合、複数のR3は、同一又は異なり、これらの基のうちの2つ以上が互いに結合して環員数4〜20の環構造を形成していてもよい。dが2以上の場合、複数のR4は、同一又は異なり、これらの基のうちの2つ以上が互いに結合して環員数4〜20の環構造を形成していてもよい。e及びfはそれぞれ独立して、0〜2の整数である。Lは、単結合、−SO2−又は炭素数1〜20の2価の有機基である。]
[2] 重合体のガラス転移温度より20℃高い温度で測定した応力光学係数の絶対値が3.0×10-9Pa-1以下である、[1]に記載の重合体。
[3] 前記式(1)におけるR1が、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基である、[1]又は[2]に記載の重合体。
[4] ポリスチレン換算の重量平均分子量が2,000以上300,000以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の重合体。
[5] ガラス転移温度が100℃以上300℃以下である、[1]〜[4]のいずれかに記載の重合体。
[6] F線(486nm)、D線(589nm)及びC線(656nm)の屈折率をそれぞれnF、nD及びnCとした時に、式(A)で得られるアッベ数(νD)が25.0以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載の重合体。
νD=(nD−1)/(nF−nC) (A)
[7] D線の屈折率nDが1.60以上である、[1]〜[6]のいずれかに記載の重合体。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の重合体の成形体。
[9] [8]に記載の成形体を含む、フィルム及び光学レンズから選ばれる物品。
本発明の一実施形態によれば、高屈折率及び低アッベ数であり、低複屈折性に優れる重合体を提供することができる。従って、該重合体を用いることで、高屈折率及び低アッベ数であり、低複屈折性に優れる成形体、特に、フィルムや光学レンズを簡便かつコスト的に有利に得ることができる。
図1は、実施例1で得られた重合体3の1H−NMRスペクトルである。
≪重合体≫
本発明の一実施形態に係る重合体(以下「本重合体」ともいう。)は、式(1)で表される構造単位(以下「構造単位(I)」ともいう。)と、式(2−1)及び(2−2)で表される構造単位の少なくとも1つ(以下「構造単位(II)」ともいう。)とを有する。
本重合体は、構造単位(I)及び(II)以外の他の構造単位を有していてもよい。
[構造単位(I)]
構造単位(I)は、下記式(1)で表される。
本重合体は、構造単位(I)を1種又は2種以上有していてもよい。
式(1)中、R1は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。R11及びR12はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は炭素数1〜20の1価の有機基である。x及びyはそれぞれ独立して、0〜4の整数である。xが2以上の場合、複数のR11は同一又は異なる。yが2以上の場合、複数のR12は同一又は異なる。
1における炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基が挙げられる。
炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基としては、例えば、
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基が挙げられる。
炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、
シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の1価の単環の脂環式飽和炭化水素基;
シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の1価の単環の脂環式不飽和炭化水素基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシル基等の1価の多環の脂環式飽和炭化水素基;
ノルボルネニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセニル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセニル基等の1価の多環の脂環式不飽和炭化水素基が挙げられる。
炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、アントリルメチル基等のアラルキル基が挙げられる。
1としては、芳香族炭化水素基が好ましく、アリール基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。
11及びR12におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの中では、塩素原子が好ましい。
11及びR12における炭素数1〜20の1価の有機基としては、炭素数1〜20の1価の、置換基を有してもよい炭化水素基等が挙げられる。炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば前記R1における炭素数1〜20の1価の炭化水素基として例示した基と同様の基等が挙げられる。置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メトキシ基、アセチル基、メチルチオ基、チオアセチル基等が挙げられる。
11及びR12としては、鎖状炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
x及びyはそれぞれ独立して、0及び1が好ましく、0がより好ましい。
構造単位(I)は、下記式(1')で表される構造単位であることが好ましい。
[式(1')中、R1は、式(1)のR1と同義である。]
構造単位(I)を誘導する単量体としては、例えば、
ビス(フルオロフェニル)フェニルホスフィンスルフィド、ビス(フルオロフェニル)ナフチルホスフィンスルフィド、ビス(フルオロフェニル)アントリルホスフィンスルフィド、ビス(フルオロフェニル)トリルホスフィンスルフィド、ビス(フルオロフェニル)メチルホスフィンスルフィド、ビス(フルオロフェニル)シクロヘキシルホスフィンスルフィド等のホスフィンスルフィドのジフルオロ化物;
ビス(クロロフェニル)フェニルホスフィンスルフィド、ビス(クロロフェニル)ナフチルホスフィンスルフィド、ビス(クロロフェニル)アントリルホスフィンスルフィド、ビス(クロロフェニル)トリルホスフィンスルフィド、ビス(クロロフェニル)メチルホスフィンスルフィド、ビス(クロロフェニル)シクロヘキシルホスフィンスルフィド等のホスフィンスルフィドのジクロロ化物が挙げられる。
また、下記方法2で本重合体を合成する等の場合には、官能基変換反応により構造単位(I)へ変換可能な単量体として、例えば、
ビス(フルオロフェニル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(フルオロフェニル)ナフチルホスフィンオキシド、ビス(フルオロフェニル)アントリルホスフィンオキシド、ビス(フルオロフェニル)トリルホスフィンオキシド、ビス(フルオロフェニル)メチルホスフィンオキシド、ビス(フルオロフェニル)シクロヘキシルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシドのジフルオロ化物;
ビス(クロロフェニル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(クロロフェニル)ナフチルホスフィンオキシド、ビス(クロロフェニル)アントリルホスフィンオキシド、ビス(クロロフェニル)トリルホスフィンオキシド、ビス(クロロフェニル)メチルホスフィンオキシド、ビス(クロロフェニル)シクロヘキシルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシドのジクロロ化物を用いることができる。
前記単量体としては、ジフルオロ化物が好ましく、ビス(フルオロフェニル)フェニルホスフィンスルフィド、ビス(フルオロフェニル)フェニルホスフィンオキシドが特に好ましい。なお、トリル基としては、p−トリル基が好ましい。
本重合体における構造単位(I)の含有割合の下限としては、10モル%が好ましく、30モル%がより好ましく、40モル%がさらに好ましく、45モル%が特に好ましい。前記含有割合の上限としては、90モル%が好ましく、70モル%がより好ましく、60モル%がさらに好ましく、55モル%が特に好ましい。構造単位(I)の含有割合が前記範囲にあることで、高屈折率、低アッベ数及び低複屈折性により優れる重合体とすることができる。
[構造単位(II)]
構造単位(II)は、下記式(2−1)及び(2−2)の少なくとも1つで表される。
本重合体は、構造単位(II)を1種又は2種以上有していてもよい。本重合体が、2種以上の構造単位(II)を有する場合、2種以上の式(2−1)で表される構造単位を有していてもよく、2種以上の式(2−2)で表される構造単位を有していてもよく、1種以上の式(2−1)で表される構造単位と1種以上の式(2−2)で表される構造単位とを有していてもよい。
式(2−1)中、aは、0〜2の整数である。R2は独立して、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は炭素数1〜20の1価の有機基である。bは、0〜8の整数である。bが2以上の場合、複数のR2は同一又は異なり、これらの基のうちの2つ以上が互いに結合して環員数4〜20の環構造を形成していてもよい。
なお、式(2−1)で表される構造単位は、具体的には、下記式(2−1−1)〜(2−1−3)で表される構造単位のことを意味する。下記式(2−2)も同様の意味である。
[式(2−1−1)〜(2−1−3)中、R2は独立して、式(2−1)のR2と同義である。式(2−1−1)中、b1は、0〜4の整数である。式(2−1−2)中、b2は、0〜2の整数であり、b3は、0〜4の整数である。式(2−1−3)中、b2及びb4はそれぞれ独立して、0〜2の整数であり、b5は、0〜4の整数である。]
式(2−2)中、R3及びR4はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は炭素数1〜20の1価の有機基である。c及びdはそれぞれ独立して、0〜8の整数である。cが2以上の場合、複数のR3は、同一又は異なり、これらの基のうちの2つ以上が互いに結合して環員数4〜20の環構造を形成していてもよい。dが2以上の場合、複数のR4は、同一又は異なり、これらの基のうちの2つ以上が互いに結合して環員数4〜20の環構造を形成していてもよい。e及びfはそれぞれ独立して、0〜2の整数である。Lは、単結合、−SO2−又は炭素数1〜20の2価の有機基である。
2、R3及びR4におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの中では、塩素原子が好ましい。
2、R3及びR4における炭素数1〜20の1価の有機基としては、炭素数1〜20の1価の、置換基を有してもよい炭化水素基等が挙げられる。炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば前記R1における炭素数1〜20の1価の炭化水素基として例示した基と同様の基等が挙げられる。置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メトキシ基、アセチル基、メチルチオ基、チオアセチル基等が挙げられる。これらの中では、鎖状炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
複数のR2、複数のR3又は複数のR4の基のうちの2つ以上が互いに結合して形成される環員数4〜20の環構造としては、例えば、
シクロブテン構造、シクロペンテン構造、シクロヘキセン構造、ノルボルネン構造、ビシクロ[2.2.2]オクテン構造、ジベンゾビシクロ[2.2.2]オクテン構造等の脂環構造;ベンゼン構造、ナフタレン構造、アントラセン構造等の芳香環構造などの炭化水素環構造、
オキサシクロヘキセン構造、アザシクロヘキセン構造、チアシクロヘキセン構造等の脂肪族複素環構造;
フラン構造、ピロール構造、ピリジン構造、チオフェン構造等の芳香族複素環構造が挙げられる。
a、e及びfとしては、0及び1が好ましく、0がより好ましい。
b、c及びdとしては、0〜2が好ましく、0及び1がより好ましく、0が特に好ましい。
Lで表される炭素数1〜20の2価の有機基としては、炭素数1〜20の2価の炭化水素基(α)、この2価の炭化水素基の炭素−炭素間に2価のヘテロ原子含有基を有する基(β)、前記基(α)又は基(β)が有する水素原子の一部又は全部を1価のヘテロ原子又はヘテロ原子含有基で置換した基等が挙げられる。
前記1価及び2価のヘテロ原子含有基を構成するヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、ハロゲン原子等が挙げられる。
2価のヘテロ原子含有基としては、−O−、−CO−、−S−、−CS−、−NR’−、−SO2−、これらのうちの2つ以上を組み合わせた基等が挙げられる。なお、R’は、水素原子又は1価の炭化水素基である。これらの中で、−O−が好ましい。
1価のヘテロ原子又はヘテロ原子含有基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、スルファニル基等が挙げられる。
Lにおける炭素数1〜20の2価の有機基としては、下記式(L−1)〜(L−3)で表される基(それぞれ、以下「基(L−1)〜基(L−3)」ともいう。)等が挙げられる。
[式(L−1)〜(L−3)中、*は、式(2−2)における芳香環に結合する部位を示す。]
Lにおける2価の有機基の炭素数の下限は、2が好ましく、3がより好ましく、上限は、18が好ましく、16がより好ましく、14がさらに好ましく、13が特に好ましい。
Lとしては、単結合及び2価の有機基が好ましく、単結合及び基(L−1)〜(L−3)がより好ましく、基(L−1)〜基(L−3)が特に好ましい。
構造単位(II)としては、下記式(2−A)〜(2−G)で表される構造単位(それぞれ、以下「構造単位(II−A)〜(II−G)」ともいう。)等が挙げられる。
これらの中で、構造単位(II−A)、(II−F)及び(II−G)が好ましい。
構造単位(II)を誘導する単量体としては、例えば、
ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、フェニルヒドロキノン等のジヒドロキシフェニル化合物;
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,4−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン等のビスフェノール化合物が挙げられる。
本重合体における構造単位(II)の含有割合の下限としては、10モル%が好ましく、30モル%がより好ましく、40モル%がさらに好ましく、45モル%が特に好ましい。前記含有割合の上限としては、90モル%が好ましく、70モル%がより好ましく、60モル%がさらに好ましく、55モル%が特に好ましい。構造単位(II)の含有割合が前記範囲にあることで、高屈折率、低アッベ数及び低複屈折性の特性により優れる重合体とすることができる。
[他の構造単位]
前記他の構造単位としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されない。
本重合体は、前記他の構造単位を1種又は2種以上有していてもよい。
前記他の構造単位を誘導する単量体としては、例えば、
ジフェニルカーボネート、ジフェニルチオカーボネート、ジフェニルセレノカーボネート、ホスゲン、チオホスゲン、セレノホスゲン等のカーボネート結合、チオカーボネート結合又はセレノカーボネート結合を含む構造単位を誘導する化合物;
ベンゼンジメタノール、シクロヘキサンジメタノール等のジヒドロキシ化合物;
フタル酸ジクロリド、イソフタル酸ジクロリド、テレフタル酸ジクロリド等のジカルボン酸のジハロゲン化物が挙げられる。
本重合体が前記他の構造単位を有する場合、本重合体における前記他の構造単位の含有割合の上限としては、50モル%が好ましく、30モル%がより好ましく、20モル%がさらに好ましく、10モル%が特に好ましい。前記含有割合の下限としては、例えば1モル%である。
[重合体の物性]
・重量平均分子量(Mw)
本重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)の下限としては、2,000が好ましく、10,000がより好ましく、30,000がさらに好ましく、40,000が特に好ましい。前記Mwの上限としては、300,000が好ましく、200,000がより好ましく、160,000がさらに好ましく、130,000が特に好ましい。
Mwが前記範囲にある本重合体は、機械特性および成形性により優れるため好ましい。
本明細書における重合体のMwは、下記実施例に記載の条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。
・重合体のガラス転移温度より20℃高い温度で測定した応力光学係数(CR)
本重合体は、該重合体のガラス転移温度より20℃高い温度で測定した応力光学係数(以下「CR」ともいう。)の絶対値が、3.0×10-9Pa-1以下であることが好ましい。
CRは、正又は負であるが、重合体の主鎖に平行な方向の屈折率と該主鎖に直交する方向の屈折率とを比較したとき、主鎖に平行な方向の屈折率の方が大きい場合、CRは正であり、主鎖に直交する方向の屈折率の方が大きい場合、CRは負である。
CRは、具体的には、実施例に記載の方法で測定される。
前記CRの下限としては、−3.0×10-9Pa-1が好ましく、−2.9×10-9Pa-1がより好ましく、−2.8×10-9Pa-1がさらに好ましい。前記CRの上限としては、3.0×10-9Pa-1が好ましく、2.9×10-9Pa-1がより好ましく、2.8×10-9Pa-1がさらに好ましい。CRが前記範囲にある重合体は、低複屈折性により優れる重合体となる。
・ガラス転移温度(Tg)
本重合体のTgの下限としては、100℃が好ましく、120℃がより好ましく、130℃がさらに好ましく、140℃が特に好ましい。前記Tgの上限としては、例えば300℃である。本重合体のTgが前記範囲にあることで、溶融成形をより容易に行うことができ、また、耐熱性に優れる成形体を得ることができる。
Tgは、DSC測定装置を用いて得られたサーモグラムから算出した値であり、具体的には、実施例に記載の方法で測定される。
・屈折率(nD)
本重合体の屈折率(nD)の下限としては、1.60が好ましく、1.63がより好ましく、1.64がさらに好ましく、1.65が特に好ましい。前記屈折率の上限としては、例えば1.80である。
本明細書における屈折率は、特に断らない限りD線の屈折率のことをいう。
・アッベ数(νD)
本重合体のアッベ数(νD)の上限としては、25.0が好ましく、24.0がさらに好ましく、23.0が特に好ましい。前記アッベ数の下限としては、例えば15.0であり、16.0が好ましい。
本重合体の屈折率(nD)が1.60以上、かつアッベ数(νD)が25.0以下であることで、本重合体を用いて得られる、レンズ、フィルム等の成形体の薄膜化及び高付加価値化を実現することが容易となる。
nD及びνDは、具体的には、実施例に記載の方法で測定される。本明細書におけるアッベ数は、下記式(A)で算出されるアッベ数(νD)のことをいう。
<重合体の合成方法>
本重合体は、公知の方法で合成することができ特に制限されないが、下記方法1又は2で合成することが好ましい。
・方法1
前記方法1は、例えば、二ハロゲン化ホスフィンスルフィド等の構造単位(I)を誘導する単量体、ビスフェノール化合物等の構造単位(II)を誘導する単量体、及び、必要により前記他の構造単位を誘導する単量体を、アルカリ金属化合物等の存在下、有機溶媒中で縮合重合等の反応1を行うことにより重合体を合成する方法である。該反応1の際には、例えば、2−フェニルフェノール等のモノフェノール化合物などの末端封止剤を存在させて反応を行ってもよい。
前記単量体、アルカリ金属化合物、有機溶媒及び末端封止剤等はそれぞれ、1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
なお、前記単量体は、それぞれの単量体から形成される構造単位の含有割合が前記範囲となるような量で用いることが好ましい。
(アルカリ金属化合物)
アルカリ金属化合物は、本重合体の合成の過程で、芳香族ジオール化合物等と反応してアルカリ金属塩を形成する。このようなアルカリ金属化合物としては、例えば、
リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;
水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化アルカリ金属;
水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属;
炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;
炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩が挙げられる。
これらの中では、アルカリ金属炭酸塩が好ましく、炭酸カリウムがより好ましい。
アルカリ金属化合物の使用量として、本重合体の合成に用いる全化合物中のヒドロキシ基のモル数に対するアルカリ金属化合物中のアルカリ金属原子のモル数の比の下限としては、1が好ましく、1.1がより好ましく、1.2がさらに好ましい。前記比の上限としては、3が好ましく、2がより好ましく、1.5がさらに好ましい。
(有機溶媒)
前記方法1に用いる有機溶媒としては、例えば、
テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、アニソール、フェネトール、ジフェニルエーテル、ジアルコキシベンゼン、トリアルコキシベンゼン等のエーテル系溶媒;
N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の含窒素系溶媒;
γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶媒などのエステル系溶媒;
スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、ジフェニルスルホン等の含硫黄系溶媒;
ベンゾフェノン等のケトン系溶媒;
塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒が挙げられる。
これらの有機溶媒の中では、DMAc、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましく、N−メチル−2−ピロリドンがより好ましい。
(方法1の条件)
前記方法1における反応温度の下限としては、50℃が好ましく、100℃がより好ましい。前記反応温度の上限としては、300℃が好ましく、200℃がより好ましい。
前記方法1における反応時間の下限としては、1時間が好ましく、2時間がより好ましく、3時間がさらに好ましい。前記反応時間の上限としては、100時間が好ましく、50時間がより好ましく、24時間がさらに好ましい。
・方法2
前記方法2は、例えば、二ハロゲン化ホスフィンオキシド等の官能基変換反応により構造単位(I)へ変換可能な単量体と、ビスフェノール化合物等の構造単位(II)を誘導する単量体と、必要により前記他の構造単位を誘導する単量体とを、アルカリ金属化合物等の存在下、有機溶媒中で重合反応させた重合体を、硫化剤等の存在下、有機溶媒中で官能基変換等を行うことにより本重合体を合成する方法である。
なお、前記方法2の際には、例えばクロロシラン類等の還元剤を用いて反応を行ってもよい。
前記方法2における重合反応は、前記方法1における反応1と同様にして行えばよい。この反応に用いる、前記単量体、アルカリ金属化合物、有機溶媒及び末端封止剤等はそれぞれ、1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
なお、前記単量体は、それぞれの単量体から形成される構造単位の含有割合が前記範囲となるような量で用いることが好ましい。
(硫化剤)
前記硫化剤は、本重合体の合成の過程で、ホスフィン部位やホスフィンオキシド部位等と反応してホスフィンスルフィド部位を形成することができる材料であることが好ましい。
このような硫化剤としては、例えば、
単体硫黄;
硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム等の硫化アルカリ金属;
五硫化ニリン等の硫化リン化合物;
ローソン試薬、デービー試薬、ジャパニーズ試薬、ベレオー試薬などの1,3,2,4−ジチアジホスフェタン−2,4−ジスルフィド化合物が挙げられる。
これらの中では、1,3,2,4−ジチアジホスフェタン−2,4−ジスルフィド化合物が好ましく、ローソン試薬がより好ましい。
(有機溶媒)
前記官能基変換の際に用いる有機溶媒としては、例えば、
塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;
THF、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、アニソール、フェネトール、ジフェニルエーテル、ジアルコキシベンゼン、トリアルコキシベンゼン等のエーテル系溶媒;
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒が挙げられる。
これらの有機溶媒の中では、塩化メチレン、クロロホルム、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、トルエンが好ましく、トルエンがより好ましい。
該有機溶媒は、1種又は2種以上を用いることができる。
(還元剤)
前記還元剤を用いることで、ホスフィンオキシド部位等を還元してホスフィン部位を与え、続く硫化反応を容易にすることができる。
このような還元剤としては、ジクロロシラン、トリクロロシラン等のクロロシラン類などが挙げられる。これらのクロロシラン類の中では、トリクロロシランが好ましい。
前記還元剤は、1種又は2種以上を用いることができる。
(条件)
前記官能基変換の際の反応温度の下限としては、0℃が好ましく、20℃がより好ましい。前記反応温度の上限としては、200℃が好ましく、180℃がより好ましい。
前記官能基変換の際の反応時間の下限としては、1時間が好ましく、2時間がより好ましく、3時間がさらに好ましい。前記反応時間の上限としては、100時間が好ましく、50時間がより好ましく、30時間がさらに好ましい。
≪成形体≫
本重合体は、溶融成形法、溶剤キャスト法等の成形方法により、成形して成形体とすることができる。本重合体から光学部品等の成形体を形成する場合、低複屈折性、機械強度及び寸法精度等の特性に優れる成形体を容易に得ることができる等の点から、成形方法としては溶融成形法が好ましい。
溶融成形法としては、プレス成形法、押出成形法、射出成形法等が挙げられる。これらの中では、成形性及び生産性等の点から射出成形法が好ましい。
成形工程における成形条件は、使用目的又は成形方法等により適宜選択すればよいが、射出成形法の際の温度の下限としては、150℃が好ましく、180℃がより好ましく、200℃がさらに好ましい。前記温度の上限としては、400℃が好ましく、350℃がより好ましく、330℃がさらに好ましい。射出成形時の温度を前記範囲とすることで、重合体の熱分解及び黄変を効果的に抑制することができる。
前記成形体の用途としては、高屈折率、低アッベ数及び低複屈折性に優れる特性を利用した光学部品が好ましい。光学部品としては、例えば、光ディスク、光学レンズ、プリズム、光拡散板、光カード、光ファイバー、光学ミラー、液晶表示素子基板、導光板、偏光フィルム、位相差フィルムが挙げられる。
≪光学レンズ≫
本発明の一実施形態に係る光学レンズは、本重合体の成形体を含み、該成形体からなることが好ましい。
前記光学レンズは、例えば、本重合体を射出成形機又は射出圧縮成形機等の成形機によってレンズ形状に射出成形することで得ることができる。光学レンズを得る際には異物の混入を極力避けるため、成形環境が低ダスト環境であることが好ましい。
前記光学レンズは、ピックアップレンズ、f−θレンズ、メガネレンズ等の各種レンズとして使用することができる。また、前記光学レンズは、高屈折率及び低アッベ数であることから、色収差補正用レンズとして特に好適に使用することができる。具体的には、一眼レフカメラ、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、カメラ付携帯電話、レンズ付フィルム、望遠鏡、双眼鏡、顕微鏡、プロジェクター等のレンズとして好適に使用することができる。
前記光学レンズは、凸レンズ及び凹レンズのいずれであってもよい。凹レンズである場合には、他の高アッベ数の凸レンズと組み合わせて色収差の少ない光学レンズ系として好適に使用することができる。
≪フィルム≫
本発明の一実施形態に係るフィルムは、本重合体の成形体を含み、該成形体からなることが好ましい。
前記フィルムは、例えば、本重合体を溶融成形又は溶剤キャスト成形することによってフィルム形状とすることで得ることができる。
前記フィルムは特に限定されないが、光学フィルムとして好適に使用することができ、具体的には、液晶表示素子基板、導光板、偏光フィルム、位相差フィルム等として好適に使用することができる。
前記フィルムの厚みは特に制限されず、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、例えば10μm〜2mm、好ましくは30μm〜1mmである。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。各物性値は、以下の方法により測定した。
[重量平均分子量(Mw)]
重合体のMwは、GPC装置(東ソー(株)製の「HLC−8320型」)を使用し、下記条件で測定した。
カラム:東ソー(株)製の「TSKgel α−M」と、東ソー(株)製の「TSKgel guardcоlumn α」とを連結したもの
展開溶媒:N−メチル−2−ピロリドンにLiBrを10mMの濃度になるよう添加したもの
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/分
試料濃度:0.33質量%
試料注入量:50μL
検出器:紫外可視吸光光度計
標準物質:単分散ポリスチレン
1H−NMR分析]
重合体における各構造単位の含有割合を求めるために、1H−NMR分析を行った。1H−NMR分析は、核磁気共鳴装置(日本電子(株)製の「ECX400」)を使用し、測定溶媒として重クロロホルムを用いて行った。
[比較例1]
窒素導入管、Dean−Stark管及び冷却管を取り付け、攪拌子を入れた100mLの3つ口フラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(9.13g、40.0mmol)、ビス(4−フルオロフェニル)フェニルホスフィンオキシド(13.1g、41.7mmol)及び炭酸カリウム(7.95g、57.5mmol)を量り入れ、そこに、N−メチル−2−ピロリドン(50ml)を加え、窒素雰囲気下、180℃で14時間反応させた。
反応終了後、N−メチル−2−ピロリドン(50ml)を加えて希釈し、濾過により塩を除去した。ろ液にイオン交換樹脂(三菱化学(株)製の「ダイヤイオンRCP160M」及び「ダイヤイオンWA21J」)を適量投入し、ミックスローターで4.5時間攪拌した。イオン交換樹脂をろ過にて取り除いた後、残存する溶液をイオン交換水(2.0kg)に投入することで固体を析出させた。析出した固体を濾別し、イオン交換水(600ml)で2回、アセトン(600ml)で3回、イオン交換水(1200ml)で1回洗浄し、再度濾別して回収した。続いて、真空乾燥機を用い、減圧下120℃で24時間乾燥することで、下記式(A1)に示す重合体1を得た(収量18.5g、収率89.4%)。
[比較例2]
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(2.90g、10.0mmol)、ビス(4−フルオロフェニル)フェニルホスフィンオキシド(3.30g、10.5mmol)、炭酸カリウム(2.01g、14.5mmol)及びN−メチル−2−ピロリドン(14ml)を用いた以外は、比較例1と同様の操作を行い、下記式(A2)に示す重合体2の粉体を得た(収量5.15g、収率88.8%)。
[実施例1]
攪拌子と還流管を備えた丸底フラスコに、比較例1の重合体(10.0g、20.0mmol)及びローソン試薬(6.85g、16.9mmol)を量り入れ、そこに、トルエン(260ml)を加え、アルゴン雰囲気下、還流条件下で24時間反応させた。反応終了後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。そこに、クロロホルム(150ml)を加えてポリマーを再溶解させ、濾過により沈殿物を除去した。残存する溶液をアセトン(1500ml)に投入し、析出した固体を濾別した後、少量のアセトンで洗浄し、再度濾別して回収した(アセトンへの沈殿操作)。得られた固体をテトラヒドロフラン(150ml)に溶解させることで得られた溶液を用い、前記と同様のアセトンへの沈殿操作を行った。2回目のアセトンへの沈殿操作後に得られた固体を、真空乾燥機を用いて減圧下120℃で14時間乾燥することで、下記式(A3)に示す重合体3を得た(収量9.5g、収率92%)。得られた重合体の1H−NMRスペクトルを図1に示す。
[実施例2]
比較例2の重合体(2.61g、4.6mmol)、ローソン試薬(1.59g、3.9mmol)及びトルエン(100ml)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、下記式(A4)に示す重合体4の粉体を得た(収量2.22g、収率82.7%)。
<評価>
実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた重合体1〜4について、下記方法に従いガラス転移温度(Tg)、屈折率(nD)、アッベ数(νD)及び該ガラス転移温度より20℃高い温度で測定した応力光学係数(CR)を評価した。評価結果を表1に示す。
[ガラス転移温度(Tg)[℃]]
重合体のTgは、DSC装置(Rigaku社製の「Thermo Plus DSC8230」)を用いて得られたサーモグラムから求めた。DSC測定は、窒素下で、昇温速度を20℃/分として行った。具体的には、サーモグラムにおけるDSCの昇温曲線において、ベースラインと変曲点における接線との交点に対応する温度をTgとした。変曲点は、サーモグラムのDDSC(DSCの微分値)曲線におけるピークに対応する温度とした。また、DSCのベースラインの確認には、適宜DDSC曲線を参照した。
Tgは、100℃以上300℃以下である場合は「良好」と評価でき、100℃未満または300℃を超える場合は「不良」と評価できる。
[屈折率(nD)[−]及びアッベ数(νD)[−]]
重合体を適量の塩化メチレンに溶解させた溶液をガラス板上にキャスト成膜し、常温常圧下にて一晩乾燥させた。次いで真空乾燥機にて残存塩化メチレンを除去し、重合体のフィルムを得た。このフィルムの屈折率を、プリズムカプラ(Metricon社製の「モデル2010」)にて測定した。屈折率は、408nm、633nm、828nmの3波長にて測定し、Cauchyの式を用いてD線(589nm)の屈折率(nD)を求めた。F線(486nm)の屈折率(nF)及びC線(656nm)の屈折率(nC)についても同様にして求め、下記式(A)によってアッベ数(νD)を算出した。
νD=(nD−1)/(nF−nC) (A)
屈折率(nD)は、1.65以上である場合は「良好」と評価できる。
アッベ数(νD)は、25.0以下である場合は「良好」と評価でき、25.0を超える場合は「不良」と評価できる。
[応力光学係数(CR)[10-9Pa-1]]
重合体のガラス転移温度より20℃高い温度で測定した応力光学係数(CR)は、公知の方法(NIHON REOROJI GAKKAISHI、 Vol.24, No.3,129-132 ,1996)により求めた。前記屈折率評価用に成膜したフィルムを短冊状に切り出し、数種類の荷重をかけ、Tg+20℃の温度条件下にて加熱延伸し、荷重をかけたままゆっくりと冷却した。フィルムに加えた応力と、生じた複屈折(測定波長598nm)との関係を求め、その比例係数をCRとした。複屈折の測定には大塚電子(株)製の「RETS100」を用いた。また、CRの正負は、前記得られた延伸フィルムと、ポリカーボネートの延伸フィルム(CRが正)とを延伸方向同士が平行又は垂直になるように重ねてリタデーション値を測定することにより評価した。測定したリタデーション値が平行に重ねた方が垂直に重ねた場合より大きいとき、CRは正であり、垂直に重ねた方が平行に重ねた場合より大きいとき、CRは負である。
CRは、絶対値(|CR|)が3.0×10-9Pa-1以下である場合は「良好」と評価でき、3.0×10-9Pa-1を超える場合は「不良」と評価できる。
表1から明らかなように、実施例1〜2で得られた重合体は、ガラス転移温度(Tg)、屈折率(nD)、アッベ数(νD)及び複屈折(CR)の評価において良好な結果が得られた。
本重合体は、高屈折率及び低アッベ数であり、低複屈折性に優れる。従って、本重合体によれば、高屈折率及び低アッベ数であり、低複屈折性に優れる成形体を簡便かつコスト的に有利に得ることができる。また、高屈折率、低アッベ数及び優れた低複屈折性の特性を有する光学レンズ及びフィルムを得ることもできる。

Claims (9)

  1. 式(1)で表される構造単位と、式(2−1)及び(2−2)で表される構造単位の少なくとも1つとを有する重合体:
    式(1)中、R1は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、R11及びR12はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は炭素数1〜20の1価の有機基であり、x及びyはそれぞれ独立して、0〜4の整数であり、xが2以上の場合、複数のR11は同一又は異なり、yが2以上の場合、複数のR12は同一又は異なる;
    式(2−1)中、aは、0〜2の整数であり、R2は独立して、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は炭素数1〜20の1価の有機基であり、bは、0〜8の整数であり、bが2以上の場合、複数のR2は同一又は異なり、これらの基のうちの2つ以上が互いに結合して環員数4〜20の環構造を形成していてもよい;
    式(2−2)中、R3及びR4はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は炭素数1〜20の1価の有機基であり、c及びdはそれぞれ独立して、0〜8の整数であり、cが2以上の場合、複数のR3は、同一又は異なり、これらの基のうちの2つ以上が互いに結合して環員数4〜20の環構造を形成していてもよく、dが2以上の場合、複数のR4は、同一又は異なり、これらの基のうちの2つ以上が互いに結合して環員数4〜20の環構造を形成していてもよく、e及びfはそれぞれ独立して、0〜2の整数であり、Lは、単結合、−SO2−又は炭素数1〜20の2価の有機基である。
  2. 重合体のガラス転移温度より20℃高い温度で測定した応力光学係数の絶対値が3.0×10-9Pa-1以下である、請求項1に記載の重合体。
  3. 前記式(1)におけるR1が、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基である、請求項1又は2に記載の重合体。
  4. ポリスチレン換算の重量平均分子量が2,000以上300,000以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の重合体。
  5. ガラス転移温度が100℃以上300℃以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の重合体。
  6. F線、D線及びC線の屈折率をそれぞれnF、nD及びnCとした時に、式(A)で得られるアッベ数νDが25.0以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の重合体。
    νD=(nD−1)/(nF−nC) (A)
  7. D線の屈折率nDが1.60以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の重合体。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の重合体の成形体。
  9. 請求項8に記載の成形体を含む、フィルム及び光学レンズから選ばれる物品。
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