JPWO2019156240A1 - グアノシン−3’,5’−ビスジホスフェートの製造方法及びその製造中間体 - Google Patents

グアノシン−3’,5’−ビスジホスフェートの製造方法及びその製造中間体 Download PDF

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Abstract

本発明は、グアノシン−3’,5’−ビスジホスフェートの製造方法、及びその製造中間体に関する。

Description

本発明は、グアノシン−3’,5’−ビスジホスフェート(以下で「ppGpp」とも呼ぶ)の製造方法及びその製造中間体に関する。
細菌などの微生物には、アミノ酸欠乏状態による生命の危機的状況からの打開策として、生体内反応を制御する機構が備わっている。このような機構は緊縮応答と呼ばれており、緊縮応答機構の中心分子がppGppであることが知られている。
微生物におけるppGppの合成は、RelA及びSpoTと呼ばれる2つの酵素により触媒される。これらの酵素は、ATPのβγ位のピロリン酸をGTP若しくはGDPの3’端に転移することでppGppを合成する。生合成されたppGppは、微生物中の転写、翻訳、複製及びGTPの生合成を阻害し、アミノ酸欠乏状態が解消されるまで、無駄なエネルギー消費を抑制する働きをする。アミノ酸合成酵素は阻害されないため、微生物中に徐々にアミノ酸が蓄えられる。飢餓状態を脱するとppGpp合成は抑制され、生体内反応が回復する。RelAタンパク質はppGppの合成活性のみ有しているが、SpoTタンパク質はppGppの合成活性と分解活性を有しており、飢餓状態を脱した後はppGppの分解作業を担っている。
近年、植物の成長においてもppGppが機能していることが明らかになった(非特許文献1及び2)。高等生物におけるppGppの作用は、今後研究されるべき興味深い課題である。
ppGppは市販されているが、その供給は主に酵素合成によって行われている。また、ppGppを化学合成により製造する方法も報告されている(非特許文献3)。
Maekawa M. et al., Nat Plants. 2015, 1, 15167 Ihara Y. et al., Plant Signal Behav., 2016; 11(2): e1132966 Simoncsits A et al., Biochim. Biophys. Acta, 340 (1974) pp.509-515
生物におけるppGppの作用を研究する上で、ppGppの安価かつ安定な供給が不可欠である。しかし、現在市販されているppGppは非常に高価であり、そのことが当該研究の進展を阻害する一因となっている。
現在の主流である酵素によるppGpp合成は大量合成には適していない。また、非特許文献3に記載のppGppの化学合成法は、その精製工程にイオン交換クロマトグラフィーによる精製を含む。イオン交換クロマトグラフィーでは粘性の高い水系の溶媒を用いて溶出するため、流速が遅い。また、緩衝液を用いて溶出するため、精製後に脱塩処理を行う必要がある。さらに、非特許文献3に記載のグアノシン3’、5’−ビスホスフェートからppGppの製造方法は、その総収率が約5%と極めて低収率である。したがって、非特許文献3の方法は低効率であり、ppGppの大量合成には適していない。
したがって本発明は、ppGppを効率的に製造することができる方法の提供を課題とする。
本発明者らは上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、ppGppの効率的製造に適した製造中間体を見出し、本発明に至った。
本発明は、以下の<1>〜<9>を包含する。
<1>
式(I):
Figure 2019156240
で表される化合物又はその塩の製造方法であって、
式(II):
Figure 2019156240
[式中、
1〜R3は、それぞれ独立して、C1-10アルキル又はC4-10シクロアルキルであり、
4及びR5は、それぞれ独立して保護基である]
で表される化合物又はその塩から、Si(R1)(R2)(R3)、並びにR4及びR5を除去する工程
を含む、製造方法
<2>
Si(R1)(R2)(R3)、並びにR4及びR5を除去する前記工程が、
式(II)で表される化合物又はその塩からR4及びR5を除去して、式(III):
Figure 2019156240
[式中、
1〜R3は、それぞれ独立して、C1-10アルキル又はC4-10シクロアルキルである]
で表される化合物又はその塩を得る工程;及び
前記(III)の化合物又はその塩からSi(R1)(R2)(R3)を除去して式(I)の化合物又はその塩を得る工程
から成る、<1>に記載の製造方法。
<3>
式(IV):
Figure 2019156240
[式中、
1〜R3は、それぞれ独立して、C1-10アルキル又はC4-10シクロアルキルである]
で表される化合物又はその塩に、式(V):
Figure 2019156240
[式中、
4及びR5は、それぞれ独立して保護基であり、
6及びR7は、それぞれ独立して、C1-10アルキル又はC4-10シクロアルキルであるか、あるいは、隣接する窒素原子と共に、ピロリジン環、ピペリジン環又はモルホリン環を形成する]
で表されるホスホロアミダイトを、活性化剤の存在下で反応させて、式(VI):
Figure 2019156240
で表される化合物又はその塩を得る工程、及び
式(VI)の化合物又はその塩を酸化して、式(II)の化合物又はその塩を得る工程;
をさらに含む、<1>又は<2>に記載の製造方法。
<4>
1及びR2はメチルであり、R3はtert−ブチルであり、そしてR4及びR5はベンジルである、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の製造方法。
<5>
式(VII)
Figure 2019156240
[式中、
1〜R3は、それぞれ独立してC1-10アルキル又はC4-10シクロアルキルである
8は、NHR9又はN=CH-N(R10)(R11)であり、
9は塩基性条件下で除去可能な保護基、還元条件下で除去可能な保護基、又は光反応により除去可能な保護基であり、
10及びR11はそれぞれ独立して、C1-10アルキル又はC4-10シクロアルキルである]
で表される化合物又はその塩に、式(VIII):
Figure 2019156240
[式中、
12及びR13は、それぞれ独立して塩基性条件下で除去可能な保護基、還元条件下で除去可能な保護基、又は光反応により除去可能な保護基であり、
14及びR15は、それぞれ独立して、C1-10アルキル又はC4-10シクロアルキルであるか、あるいは、隣接する窒素原子と共に、ピロリジン環、ピペリジン環又はモルホリン環を形成する]
で表されるホスホロアミダイトを、活性化剤の存在下で反応させて、式(IX):
Figure 2019156240
で表される化合物又はその塩を得る工程;
式(IX)の化合物を酸化して、式(X):
Figure 2019156240
で表される化合物又はその塩を得る工程、及び
式(X)の化合物から、R9又はCH-N(R10)(R11)、並びにR12及びR13を除去することによって、式(IV)の化合物又はその塩を得る工程
をさらに含む、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の製造方法。
<6>
12及びR13は2−シアノエチルであり、R8はN=CH−N(CH32である、<5>に記載の製造方法。
<7>
式(II):
Figure 2019156240
[式中、
1〜R3は、それぞれ独立して、C1-10アルキル又はC4-10シクロアルキルであり、
4及びR5は、それぞれ独立して保護基である]
で表される化合物又はその塩。
<8>
式(III):
Figure 2019156240
[式中、
1〜R3は、それぞれ独立して、C1-10アルキル又はC4-10シクロアルキルである]
で表される化合物又はその塩。
<9>
式(IV):
Figure 2019156240
[式中、
1〜R3は、それぞれ独立して、C1-10アルキル又はC4-10シクロアルキルである]
で表される化合物又はその塩。
本発明によれば、ppGppを効率的に製造することが可能である。
<<定義>>
本明細書において、「C1-10アルキル」とは、炭素数1〜10の直鎖もしくは分枝鎖状のアルキル基である。C1-10アルキルには、例えばC1-7アルキルおよびC1-5アルキルなどが含まれる。C1-10アルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなど挙げられる。
本明細書において、「C4-10シクロアルキル」とは、炭素数4〜10の環状アルキル基である。C4-10シクロアルキルには、例えばC4-8シクロアルキルおよびC4-6シクロアルキルなどが含まれる。C4-10シクロアルキルの例としては、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシルなどが挙げられる。
本明細書において、「塩」は、酸付加塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、及びアミン塩を含む。酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩のような無機酸塩、または酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、グルクロン酸塩、またはグルコン酸塩のような有機酸塩が挙げられる。アルカリ金属塩としては、例えば、カリウム塩およびナトリウム塩などが挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩などが挙げられる。アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウム塩などが挙げられる。アミン塩としては、例えば、トリエチルアミン塩、ジアザビシクロウンデセン(DBU)塩、メチルアミン塩、ジメチルアミン塩、シクロペンチルアミン塩、ベンジルアミン塩、フェネチルアミン塩、ピペリジン塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩、リジン塩、アルギニン塩、およびN−メチル−D−グルカミン塩などが挙げられる。本願発明の方法によって製造されるppGpp及びその製造中間体は、当業者に周知の方法で塩に変換することができる。
<<ppGppの製造方法>>
本発明の一態様は、式(I):
Figure 2019156240
で表される化合物(ppGpp)又はその塩の製造方法であって、
式(II):
Figure 2019156240
[式中、
1〜R3は、それぞれ独立して、C1-10アルキル又はC4-10シクロアルキルであり、
4及びR5は、それぞれ独立して保護基である]
で表される化合物又はその塩から、Si(R1)(R2)(R3)、並びにR4及びR5を除去する工程
を含む、製造方法である。以下で「本発明のppGppの製造方法」と呼ぶ。
ppGppの効率的合成を達成するにあたり、ppGpp及びその合成中間体の精製が容易であることが好ましい。式(II)の化合物は、5’水酸基側のβ−リン酸と5’水酸基側のβ−リン酸とが保護されているため、リン酸が保護されていない化合物と比較して脂溶性が高い。また、2’水酸基の保護基として脂溶性の高いシリル型保護基が導入されている。したがって、式(II)の化合物は、有機溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフフィーや再沈殿など、大量合成に適した方法で効率的に精製することが可能である。また、2’水酸基のシリル型保護基は、3’水酸基に導入されたリン酸の隣接基関与により、緩和な酸性条件で除去可能である。
精製及び脱保護の容易性などの観点から、2’水酸基の保護基としては、tert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)(R1及びR2=メチル;R3=tert−ブチル)、トリエチルシリル(R1、R2及びR3=エチル)、トリイソプロピルシリル(R1、R2及びR3=イソプロピル)などが好ましく、tert−ブチルジメチルシリルがより好ましい。
4及びR5としては特に限定されないが、例えば、酸性条件下で除去可能な保護基、塩基性条件下で除去可能な保護基、還元条件下で除去可能な保護基、又は光反応により除去可能な保護基を使用することができる。好ましくは、塩基性条件下で除去可能な保護基、還元条件下で除去可能な保護基、又は光反応により除去可能な保護基である。塩基性条件下で除去可能な保護基の例としては、2−シアノエチル、フルオレニルメチル基、2−(4−ニトロフェニル)エチルを挙げることができる。還元条件下で除去可能な保護基の例としては、ベンジル、4−メトキシベンジル、ナフチルメチルを挙げることができる。光反応により除去可能な保護基の例としては、2−ニトロベンジル基、2−ニトロフェニルエチルを挙げることができる。精製及び脱保護の容易性などの観点から、ベンジルが好ましい。
式(II)の化合物又はその塩から、Si(R1)(R2)(R3)、並びにR4及びR5が除去される順番は、使用される保護基の性質に応じて適宜選択することができる。例えば、Si(R1)(R2)(R3)、並びにR4及びR5の除去は、同時に行われてもよい。あるいは、Si(R1)(R2)(R3)を除去した後に、R4及びR5を除去してもよい。あるいは、R4及びR5を除去して、以下の式(III)の化合物又はその塩を得た後に、Si(R1)(R2)(R3)を除去してもよい。
Figure 2019156240
[式中、
1〜R3は、それぞれ独立して、C1-10アルキル又はC4-10シクロアルキルである。]
4及びR5の除去条件は、使用される保護基の種類に応じて適宜選択することができる。Si(R1)(R2)(R3)は、中性の含水有機溶媒処理、酸性処理(例えばpH3以上pH7未満での処理)またはフッ化物イオン処理によって、あるいはこれらの処理を組み合わせることによって除去可能である。含水溶媒処理において、含水有機溶媒中の有機溶媒としては、水と混合する有機溶媒であればいずれも使用できる。極性有機溶媒が好ましい。極性溶媒としては、例えば、低級アルコール(例えばメタノール、エタノール)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド(HMPA)等が挙げられる。含水有機溶媒処理の場合、例えば20℃〜60℃で行われ得る。酸性処理は、特に限定されないが、例えば酢酸水を用いて行なうことができる。フッ化物イオン処理は、特に限定されないが、例えば、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)、ジフルオロトリメチルケイ酸トリス(ジメチルアミノ)スルホニウム(TASF)、HF−ピリジン錯体、HF−トリエチルアミン錯体)などを用いて行うことができる。Si(R1)(R2)(R3)の除去は、好ましくは中性の含水有機溶媒処理又は酸性処理で行われる。
好ましい実施形態において、式(II)中、R1及びR2はメチルであり、R3はtert−ブチルであり、そしてR4及びR5はベンジルである。これらの保護基を使用した場合、除去後に生じる副生物をppGppから容易に分離することができるため、ppGppを首尾よく単離することができる。これらの保護基を使用する場合、例えばPd触媒存在下で水素添加することによりベンジルを除去した後、中性の含水有機溶媒処理もしくは酸性処理(例えばpH3以上pH7未満)によりtert−ブチルジメチルシリルを除去することにより、ppGppを製造することができる。
式(II)の化合物は、以下の工程(A)及び(B)を経て製造されてもよい。
(A)式(IV):
Figure 2019156240
[式中、
1〜R3は、それぞれ独立して、C1-10アルキル又はC4-10シクロアルキルである]
で表される化合物又はその塩に、式(V):
Figure 2019156240
[式中、
4及びR5は、それぞれ独立して保護基であり、
6及びR7は、それぞれ独立して、C1-10アルキル又はC4-10シクロアルキルであるか、あるいは、隣接する窒素原子と共に、ピロリジン環、ピペリジン環又はモルホリン環を形成する]
で表されるホスホロアミダイトを、塩基及び活性化剤の存在下で反応させて、式(VI):
Figure 2019156240
で表される化合物又はその塩を得る工程、及び
(B)式(VI)の化合物又はその塩を酸化する工程。
式(IV)の化合物又はその塩は、式(II)の化合物を効率的に製造するために極めて有用な出発物質である。
脱離基を連結して活性化した式(IV)の化合物の3’及び5’リン酸基をリン酸と反応させると、分子内環化反応が進行して目的とする式(II)の化合物を得ることができない。本発明者らは、式(IV)の化合物の3’及び5’リン酸基を求核剤として、ホスホロアミダイト試薬と反応させることによって、副反応を回避して目的とする式(II)の化合物を製造できることを見出した。
工程(A)で使用される式(V)のホスホロアミダイトにおいて、R6及びR7は、好ましくはそれぞれ独立して、エチル又はイソプロピルであるか、あるいは隣接する窒素原子と共に、ピロリジン環、ピペリジン環又はモルホリン環を形成する。より好ましくはイソプロピルである。工程(A)で使用される、式(IV)の化合物又はその塩と、式(V)のホスホロアミダイトとのモル比は、好ましくは1:2〜1:10であり、より好ましくは1:4である。式(V)のホスホロアミダイトは、当業者に周知の方法によって製造することができる。また、式(V)のホスホロアミダイトとして市販品を使用してもよい。
工程(A)において、塩基が使用されてもよい。塩基としては反応が進行する限り特に限定されないが、例えばトリ(n−ブチル)アミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、又はそれらの混合物が挙げられる。トリ(n−ブチル)アミン、DBU、又はそれらの混合物が好ましい。工程(A)で使用される、式(IV)の化合物又はその塩と、塩基とのモル比は、好ましくは1:2〜1:6であり、より好ましくは1:4である。
工程(A)で使用される活性化剤は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、
ピリジン塩酸塩;
ピリジウムトリフラート等のピリジンスルホン酸塩;
ピリジウムテトラフルオロボレート等のピリジンホウ酸塩;
4,5−ジシアノイミダゾール、4,5−ジクロロイミダゾール等のイミダゾール;
5−ベンジルテトラゾール、5−エチルチオ−1H−テトラゾール、1H−テトラゾール、5−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)−1H−テトラゾール等のテトラゾール;
イミダゾリウムトリフラート等のイミダゾールスルホン酸塩;
5−ニトロベンズイミダゾリウムトリフラート等のベンズイミダゾールスルホン酸塩;
トリアゾリウムトリフラート等のトリアゾールスルホン酸塩;
1−ヒドロキシベンズトリアゾール等のN−ヒドロキシトリアゾール;
トリアゾール;
N−(シアノメチル)ピロリジニウムテトラフルオロボレート等のN−(シアノメチル)アミンホウ酸塩;
N−(シアノメチル)ピロリジニウムトリフラート等のN−(シアノメチル)アミンスルホン酸塩;及び
N−(シアノメチル)ピロリジニウムヘキサフルオロホスフェート等のN−(シアノメチル)アミンリン酸塩
等を挙げることができる。5−エチルチオ−1H−テトラゾールが好ましい。工程(A)で使用される、式(V)のホスホロアミダイトと、活性化剤とのモル比は、好ましくは1:1〜1:6であり、より好ましくは、1:1〜1:5、1:1〜1:4、1:1〜1:3、又は1:1〜1:2である。
工程(A)において使用される溶媒としては、反応が進行する限り特に限定されないが、例えばN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン又はそれらの混合溶媒が挙げられる。工程(A)における反応温度は、−78℃〜30℃が好ましく、0℃〜30℃がより好ましい。
工程(A)の反応における試薬の混合順序は、反応が進行する限り特に限定されない。例えば、溶媒に全ての試薬を同時に添加して混合してもよいし、溶媒に段階的に試薬を添加して混合してもよい。好ましくは、式(V)のホスホロアミダイトと活性化剤とを溶媒中で混合してホスホロアミダイトを活性化した後、当該混合溶液を、式(IV)の化合物又はその塩の溶液に添加することによって行われる。
工程(B)の反応において、酸化剤としては、例えばヨウ素、tert−ブチルヒドロペルオキシド、カンファースルホニルオキサジリジンなどを使用することができる。ヨウ素及びtert−ブチルヒドロペルオキシドが好ましい。
工程(B)において使用される溶媒としては、反応が進行する限り特に限定されないが、例えばN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、ジクロロメタン、ピリジン、テトラヒドロフラン又はそれらの混合溶媒が挙げられる。工程(B)における反応温度は、反応が進行する限り特に限定されないが、−78℃〜30℃が好ましく、0℃〜30℃がより好ましい。
工程(B)の反応は、工程(A)で得られる式(VI)の化合物を精製及び単離した後に行われてもよいし、工程(A)の反応が進行した後に、当該反応液に酸化剤を添加することによって行われてもよい。
式(IV)の化合物又はその塩は、例えば以下の工程(C)、(D)及び(E)を経て製造されてもよい。
(C)式(VII)
Figure 2019156240
[式中、
1〜R3は、それぞれ独立して、C1-10アルキル又はC4-10シクロアルキルであり、
8は、NHR9又はN=CH-N(R10)(R11)であり、
9は塩基性条件下で除去可能な保護基、還元条件下で除去可能な保護基、又は光反応により除去可能な保護基であり、
10及びR11はそれぞれ独立して、C1-10アルキル又はC4-10シクロアルキルである]
で表される化合物又はその塩に、式(VIII):
Figure 2019156240
[式中、
12及びR13は、それぞれ独立して塩基性条件下で除去可能な保護基、還元条件下で除去可能な保護基、又は光反応により除去可能な保護基であり、
14及びR15は、それぞれ独立して、C1-10アルキル又はC4-10シクロアルキルであるか、あるいは、隣接する窒素原子と共に、ピロリジン環、ピペリジン環又はモルホリン環を形成する]
で表されるホスホロアミダイトを、活性化剤の存在下で反応させて、式(IX):
Figure 2019156240
で表される化合物又はその塩を得る工程;
(D)式(IX)の化合物又はその塩を酸化して、式(X):
Figure 2019156240
で表される化合物又はその塩を得る工程、及び
(E)式(X)の化合物又はその塩から、R9又はCH-N(R10)(R11)、並びにR12及びR13を除去することによって、式(IV)の化合物又はその塩を得る工程。
工程(C)で使用される式(VII)の化合物又はその塩は、当業者に周知の方法で製造することができる。
式(VII)中、R8は、NHR9又はN=CH−N(R10)(R11)である。ここで、R9は塩基性条件下で除去可能な保護基(例えば、アシル)、還元条件下で除去可能な保護基(例えばベンジルオキシカルボニル)、又は光反応により除去可能な保護基(例えば2−ニトロベンジルオキシカルボニル)である。好ましくは塩基性条件下で除去可能な保護基であり、より好ましくはアシル(例えばイソブチリル)である。また、=CH−N(R10)(R11)は塩基性条件で除去可能な保護基であり、ここでR10及びR11はそれぞれ独立して、C1-10アルキル又はC4-10シクロアルキルであり、好ましくはR10及びR11はいずれもメチルである。
式(VII)の化合物は、好ましくは、R1及びR2がメチルであり、R3がtert−ブチルであり、R8がN=CH-N(CH32である化合物である。
工程(C)で使用される式(VIII)のホスホロアミダイトにおいて、R14及びR15は、好ましくはそれぞれ独立して、エチル又はイソプロピルであるか、あるいは隣接する窒素原子と共に、ピロリジン環、ピペリジン環又はモルホリン環を形成する。より好ましくは、R14及びR15はイソプロピルである。
工程(C)で使用される式(VIII)のホスホロアミダイトにおいて、R12及びR13としては、塩基性条件下で除去可能な保護基、還元条件下で除去可能な保護基及び光反応により除去可能な保護基から成る群から選択される。塩基性条件下で除去可能な保護基の例としては、2−シアノエチル、フルオレニルメチル基、2−(4−ニトロフェニル)エチルを挙げることができる。還元条件下で除去可能な保護基の例としては、ベンジル、4−メトキシベンジル、ナフチルメチルを挙げることができる。光反応により除去可能な保護基の例としては、2−ニトロベンジル基、2−ニトロフェニルエチルを挙げることができる。精製及び脱保護の容易性などの観点から、2−シアノエチルが好ましい。
工程(C)で使用される、式(VII)の化合物又はその塩と、式(VIII)のホスホロアミダイトとのモル比は、好ましくは1:2〜1:10であり、より好ましくは、1:2〜1:5、1:2〜1:4、又は1:2〜1:3である。式(VIII)のホスホロアミダイトは、当業者に周知の方法によって製造することができる。また、式(VIII)のホスホロアミダイトとして市販品を使用してもよい。
工程(C)で使用される活性化剤は、工程(A)で使用されたものと同様のものを使用することができる。好ましくは、1H-テトラゾールである。工程(C)で使用される、式(VIII)のホスホロアミダイトと、活性化剤とのモル比は、好ましくは1:1〜1:6であり、より好ましくは1:1〜1:5、1:1〜1:4、1:1〜1:3、又は1:1〜1:2である。
工程(C)において使用される溶媒としては、反応が進行する限り特に限定されないが、例えばアセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン又はそれらの混合溶媒が挙げられる。工程(C)における反応温度は、−78℃〜30℃が好ましく、0℃〜30℃がより好ましい。
工程(C)の反応における試薬の混合順序は、反応が進行する限り特に限定されない。例えば、溶媒に全ての試薬を同時に添加して混合してもよいし、溶媒に段階的に試薬を添加して混合してもよい。好ましくは、工程(C)の反応は、好ましくは、式(VIII)のホスホロアミダイトと活性化剤とを溶媒中で混合してホスホロアミダイトを活性化した後、当該混合溶液を、式(VI)の化合物又はその塩の溶液に添加することによって行われる。
工程(D)の反応において、酸化剤は工程(B)と同様のものを使用することができる。工程(D)において使用される溶媒としては、反応が進行する限り特に限定されないが、例えばN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、ジクロロメタン、ピリジン、テトラヒドロフラン又はそれらの混合溶媒が挙げられる。工程(D)における反応温度は、反応が進行する限り特に限定されないが、−78℃〜30℃が好ましく、0℃〜30℃がより好ましい。
工程(D)の反応は、工程(C)で得られる式(IX)の化合物を精製及び単離した後に行われてもよいし、工程(C)の反応が進行した後に、当該反応液に酸化剤を添加することによって行われてもよい。
工程(E)の反応において、式(X)の化合物からR9又はCH-N(R10)(R11)、並びにR12及びR13が除去される順番は、使用される保護基の性質に応じて適宜選択することができる。例えば、式(X)の化合物からのR9又はCH-N(R10)(R11)、並びにR12及びR13の除去は、同時に行われてもよい。あるいは、R9又はCH-N(R10)(R11)を除去した後に、R12及びR13を除去してもよい。あるいは、R12及びR13を除去した後に、R9又はCH-N(R10)(R11)を除去してもよい。
保護基の除去の除去条件、使用される溶媒及び反応温度は、使用される保護基の種類に応じて適宜選択することができる。
一実施形態において、式(X)中、R1及びR2はメチルであり、R3はtert−ブチルであり、R12及びR13は2−シアノエチルであり、R8はN=CH-N(CH32である。これらの保護基を使用した場合、除去後に生じる副生物は式(IV)の化合物から容易に分離することができるため、式(IV)の化合物を首尾よく精製及び単離することができる。これらの保護基を使用する場合、アルカリ性処理(例えばアンモニア水処理、メチルアミン溶液処理、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなど金属水酸化物の水溶液処理、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの炭酸塩の水溶液処理)により、2−シアノエチル及びCH-N(CH32を同時に除去することにより、式(IV)の化合物又はその塩を製造することができる。
本明細書において言及される全ての文献はその全体が引用により本明細書に取り込まれる。
以下に説明する本発明の実施例は例示のみを目的とし、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載によってのみ限定される。本発明の趣旨を逸脱しないことを条件として、本発明の変更、例えば、本発明の構成要件の追加、削除及び置換を行うことができる。
実施例1
テトラキス(2−シアノエチル)2’−O−(tert−ブチルジメチルシリル)−2−N−(ジメチルアミノメチレン)グアノシン3’,5’−ジホスフェート(1)の製造
Figure 2019156240
2’−O−(tert−ブチルジメチルシリル)−2−N−(ジメチルアミノメチレン)グアノシン(4.0g,8.8mmol)(Chin, S. A.; Tan, W. J.; Chua K. L.; Lam, Y. Bioorg. Med. Chem. 2010, 18, 6657-6665 に記載の方法によって製造)をピリジンで4回、トルエンで4回共沸乾燥した。残渣をアセトニトリル(100mL)に溶解し、1H−テトラゾール(1.4g,19.4mmol)とビス(2−シアノエチル)N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト(5.1mL,19.4mmol)を加え、室温で30分間撹拌した。溶媒を減圧下留去し、ジクロロメタン(50mL)で希釈し、飽和重曹水(50mL)で3回、飽和食塩水(50mL)で1回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、固体を濾過した後、濾液を減圧下濃縮した。残渣をアセトニトリル(100mL)に溶解し、0℃に冷却後、5.5M t−BuOOH(6.4mL,35.2mmol)を加えた。反応系を室温に戻して30分撹拌した後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標題化合物5.2g(71%)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.4 (s, 1H), 8.53 (s, 1H), 8.02 (s, 1H), 5.90 (d, J = 6.6 Hz, 1H), 5.09 (m, 1H), 5.06 (m, 1H), 4.44 (m, 1H), 4.41-4.33 (m, 2H), 4.26 (m, 4H), 4.22-4.18 (m, 2H), 4.16-4.12 (m, 2H), 3.17 (s, 3H), 3.03 (s, 3H), 2.99-2.96 (m, 4H), 2.92 (t, J = 5.8 Hz, 2H), 2.88-2.86 (t, J = 5.8 Hz, 2H), 0.72 (s, 9H), -0.03 (s, 3H), -0.20 (s, 3H).
13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ 158.2, 158.0, 157.8, 150.4, 137.3, 120.5, 119.3, 119.2, 119.1, 86.9, 58.2, 58.1, 58.0, 57.9, 57.7, 57.6, 41.3, 35.2, 25.9, 20.1, 18.1, -4.5, -5.0.
31P NMR (162 MHz, DMSO-d6) δ -1.04, -1.27.
HRMS (ESI-TOF) calcd for C31H46N10O11P2SiNa [M+Na] 847.2490, found 847.2502.
実施例2
2’−O−(tert−ブチルジメチルシリル)−グアノシン3’,5’−ジホスフェート 2トリエチルアンモニウム塩(2)の製造
Figure 2019156240
実施例1で製造したテトラキス(2−シアノエチル)2’−O−(tert−ブチルジメチルシリル)−2−N−(ジメチルアミノメチレン)グアノシン3’,5’−ジホスフェート(20mg,20μmol)を28%アンモニア水(1mL)に溶解し、50℃で13時間反応した。溶媒を減圧下留去し、0.1M酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液に溶解し、逆相カートリッジカラムに充填した2%トリエチルアミン(エタノール−水,7:3,v/v)で溶出し、目的物を収率62%で得た。
1H NMR (400 MHz, D2O) δ 8.05 (s. 1H), 5.77 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 4.59 (s, 1H), 4.58 (s, 1H), 4.51 (s, 1H), 4.01 (m, 2H), 0.49 (s, 9H), -0.16 (s, 3H), -0.26 (s, 3H).
13C NMR (101 MHz, D2O) δ 158.6, 154.0, 151.8, 137.0, 115.7, 86.2, 83.9, 75.4, 73.8, 64.3, 25.0, 17.4, -5.6, -6.3.
31P NMR (162 MHz, D2O) δ 1.26, -0.06.
HRMS (ESI-TOF) calcd for C16H29N5O11P2Si- [M-H] 556.1035, found 556.1022
実施例3
2’−O−(tert−ブチルジメチルシリル)−グアノシン3’,5’−ジ(ジベンジル ピロホスフェート)(3)の製造
Figure 2019156240
実施例2で製造した2’−O−(tert−ブチルジメチルシリル)−グアノシン3’,5’−ジホスフェート 2トリエチルアンモニウム塩(117μmol)をピリジン(2mL)に溶解し、トリ(n−ブチル)アミン(56μL,234μmol)とDBU(35μL,234μmol)を加えた。溶媒を減圧下留去し、N,N−ジメチルホルムアミド(2mL)とアセトニトリル(1.2mL)を加えた。この溶液にジベンジルN,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト(157μL,468μmol)と5−エチルチオテトラゾール(62mg,468μmol)を加え、室温で1時間撹拌した。5.5MのtBuOOH(340μL,1.87mmol)を加え室温で30分撹拌した。反応液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、目的物(80%)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6-MeOD-d3) δ 8.11 (s, 1H), 7.30 (m, 20H), 5.89 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.06 (m, 8H), 4.85 (m, 1H), 4.80 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.71 (m, 1H), 4.18 (m, 2H), 0.65 (s, 9H), -0.03 (s, 3H), -0.19 (s, 3H).
31P NMR (162 MHz, DMSO-d6-MeOD-d3) δ -12.5 (d, J = 18.1 Hz, 1P), -12.9 (d, J = 18.9 Hz, 1P), -13.1 (d, J = 18.9 Hz, 1P), -13.8 (d, J = 18.1 Hz, 1P).
HRMS (ESI-TOF) calcd for C44H54N5O17P4Si- [M-H] 1076.2240, found 1076.2209.
実施例4
2’−O−(tert−ブチルジメチルシリル)−グアノシン3’,5’−ジピロホスフェート(4)の製造
Figure 2019156240
実施例3で製造した2’−O−(tert−ブチルジメチルシリル)−グアノシン3’,5’−ジ(ジベンジルピロホスフェート)(71mg,40μmol)をメタノール(1mL)に溶解し、10wt%Pd/Cを加えた。この懸濁液を水素雰囲気下、室温で4時間撹拌した。4時間後、触媒を濾過で除去し、溶媒を減圧下留去し、MeOH(1mL)に溶解し、0.6M NaClO4のアセトン溶液(10mL)を加えた。この懸濁液を4°Cで1時間遠心分離し、その後溶媒を除去した。沈殿のうち25μmol分をメタノール−水(1:1,v/v、2mL)に溶解し、10wt%Pd/Cを加えた.この懸濁液を水素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。溶媒を留去し、目的物(3 mL水中51.262 abs, 13.4 μmol, 34%)を得た。
1H NMR (400 MHz, D2O) δ 8.06 (s, 1H), 5.87 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 4.24 (m, 1H), 4.16 (m, 2H), 0.56 (s, 9H), -0.05 (s, 3H), -0.10 (s, 3H).
31P NMR (162 MHz, D2O) δ -10.1 (m, 2P), -11.3 (m, 1P). -12.0 (m, 1P).
HRMS (ESI-TOF) calcd for C16H30N5O17P4Si- [M-H] 716.0362, found 716.0348.
実施例5
グアノシン3’,5’−ジピロホスフェート(5)の製造
実施例4で製造した2’−O−(tert−ブチルジメチルシリル)−グアノシン3’,5’−ジ(ジベンジル ピロホスフェート)を8%酢酸水に溶かし、24時間放置した。反応液中に目的物を確認した。
HRMS (ESI-TOF) calcd for C10H16N5O17P4 -, [M-H] 601.9497, found 601.9512
実施例6
グアノシン3’,5’−ジピロホスフェート(5)の製造及び単離
実施例4で製造した2’−O−(tert−ブチルジメチルシリル)−グアノシン3’,5’−ジ(ジベンジル ピロホスフェート)(4.76μmol)を8%酢酸水に(1mL)に溶かし、6時間放置した。反応の進行を逆相HPLC(装置名:日本ウォーターズ社製e2695;カラム:日本ウォーターズ社製XBridge(商標)C18 (5μm、4.6×150mm);UV検出器:Waters2998;波長260nmで検出)で追跡した。反応の進行終了後、重炭酸水素ナトリウム(1.4mmol,118.4mg)を加え、中和を行い、反応を終了させた。100mMのヘキサフルオロ2−プロパノール8mMトリエチルアミン緩衝溶液を用いて粗生成物を逆相HPLC(装置名:日本分光社製UV−4070;カラム:日本ウォーターズ社製XBridge(登録商標)BEH C18 OBD Prep(商標)5μm、10×250mm)で単離し、目的物(1.21μmol,25%)を得た。
1H NMR (500 MHz, D2O) δ 8.14 (s, 1H, H8arom), 6.00 (d, J = 6.8 Hz, 1H, H1’), 5.00-4.96 (m, 1H, H3’), 4.92-4.89 (m, 1H, H2’), 4.59-4.58 (m, 1H, H4’), 4.26-4.20 (m, 2H, H5’and H5’’).
31P NMR (202 MHz, D2O) δ -6.91 (d, J = 19.9 Hz, 1P), -8.35 (d, J = 20.2 Hz, 1P), -10.37 (t, J = 21.3 Hz, 2P).
HRMS (ESI-TOF) calcd for C10H16N5O17P4 -, [M-H] 601.9497, found 601.9512
本発明は、ppGppの効率的な製造に好適に利用することができる。

Claims (9)

  1. 式(I):
    Figure 2019156240
    で表される化合物又はその塩の製造方法であって、
    式(II):
    Figure 2019156240
    [式中、
    1〜R3は、それぞれ独立して、C1-10アルキル又はC4-10シクロアルキルであり、
    4及びR5は、それぞれ独立して保護基である]
    で表される化合物又はその塩から、Si(R1)(R2)(R3)、並びにR4及びR5を除去する工程
    を含む、製造方法。
  2. Si(R1)(R2)(R3)、並びにR4及びR5を除去する前記工程が、
    式(II)で表される化合物又はその塩からR4及びR5を除去して、式(III):
    Figure 2019156240
    [式中、
    1〜R3は、それぞれ独立して、C1-10アルキル又はC4-10シクロアルキルである]
    で表される化合物又はその塩を得る工程;及び
    前記(III)の化合物又はその塩からSi(R1)(R2)(R3)を除去して式(I)の化合物又はその塩を得る工程
    から成る、請求項1に記載の製造方法。
  3. 式(IV):
    Figure 2019156240
    [式中、
    1〜R3は、それぞれ独立して、C1-10アルキル又はC4-10シクロアルキルである]
    で表される化合物又はその塩に、式(V):
    Figure 2019156240
    [式中、
    4及びR5は、それぞれ独立して保護基であり、
    6及びR7は、それぞれ独立して、C1-10アルキル又はC4-10シクロアルキルであるか、あるいは、隣接する窒素原子と共に、ピロリジン環、ピペリジン環又はモルホリン環を形成する]
    で表されるホスホロアミダイトを、活性化剤の存在下で反応させて、式(VI):
    Figure 2019156240
    で表される化合物又はその塩を得る工程、及び
    式(VI)の化合物又はその塩を酸化して、式(II)の化合物又はその塩を得る工程;
    をさらに含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 1及びR2はメチルであり、R3はtert−ブチルであり、そしてR4及びR5はベンジルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 式(VII)
    Figure 2019156240
    [式中、
    1〜R3は、それぞれ独立してC1-10アルキル又はC4-10シクロアルキルである
    8は、NHR9又はN=CH-N(R10)(R11)であり、
    9は塩基性条件下で除去可能な保護基、還元条件下で除去可能な保護基、又は光反応により除去可能な保護基であり、
    10及びR11はそれぞれ独立して、C1-10アルキル又はC4-10シクロアルキルである]
    で表される化合物又はその塩に、式(VIII):
    Figure 2019156240
    [式中、
    12及びR13は、それぞれ独立して塩基性条件下で除去可能な保護基、還元条件下で除去可能な保護基、又は光反応により除去可能な保護基であり、
    14及びR15は、それぞれ独立して、C1-10アルキル又はC4-10シクロアルキルであるか、あるいは、隣接する窒素原子と共に、ピロリジン環、ピペリジン環又はモルホリン環を形成する]
    で表されるホスホロアミダイトを、活性化剤の存在下で反応させて、式(IX):
    Figure 2019156240
    で表される化合物又はその塩を得る工程;
    式(IX)の化合物を酸化して、式(X):
    Figure 2019156240
    で表される化合物又はその塩を得る工程、及び
    式(X)の化合物から、R9又はCH-N(R10)(R11)、並びにR12及びR13を除去することによって、式(IV)の化合物又はその塩を得る工程
    をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 12及びR13は2−シアノエチルであり、R8はN=CH−N(CH32である、請求項5に記載の製造方法。
  7. 式(II):
    Figure 2019156240
    [式中、
    1〜R3は、それぞれ独立して、C1-10アルキル又はC4-10シクロアルキルであり、
    4及びR5は、それぞれ独立して保護基である]
    で表される化合物又はその塩。
  8. 式(III):
    Figure 2019156240
    [式中、
    1〜R3は、それぞれ独立して、C1-10アルキル又はC4-10シクロアルキルである]
    で表される化合物又はその塩。
  9. 式(IV):
    Figure 2019156240
    [式中、
    1〜R3は、それぞれ独立して、C1-10アルキル又はC4-10シクロアルキルである]
    で表される化合物又はその塩。
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