JPWO2019142781A1 - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐ピンホール性、ボイル処理やレトルト処理された後での耐破袋性に優れ、かつ保護層形成工程でのガスバリア層の割れが少ないガスバリア性に優れるポリエステルフィルムを得ること。【解決手段】 ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)を60〜100重量%、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)以外のポリエステル樹脂(B)を0〜40重量%含有するポリエステル樹脂組成物からなり、(a)及び(b)を同時に満足する二軸配向ポリエステルフィルム。(a)TMAを用いて測定した温度寸法変化曲線のフィルム原長に対する120℃での寸法変化率がフィルムの長手方向において−2.0%〜4.0%である。(b)フィルムの長手方向の150℃における熱収縮率が1.0%〜5.0%である。【選択図】 なし

Description

本発明は、食品、医薬品、工業製品等の包装分野に用いられるポリエステルフィルムに関する。更に詳しくは、耐ピンホール性、ボイル処理やレトルト処理された後での耐破袋性に優れ、かつ保護層形成工程でのガスバリア層の割れが少なくガスバリア性に優れるポリブチレンテレフタレート樹脂を主成分とする二軸配向ポリエステルフィルムに関する。
ポリブチレンテレフタレート(以下、ポリブチレンテレフタレートをPBTと略す)樹脂は、ポリエチレンテレフタレート(以下、ポリエチレンテレフタレートをPETと略す)樹脂より耐衝撃性、ガスバリア性、耐薬品性に優れることから、食品包装用フィルム、絞り成形用フィルムなどのフィルム分野においても応用が検討されている。
例えば、特許文献1では、PBT樹脂に対してPBT樹脂以外のポリエステル樹脂を40重量%以下の範囲で配合したポリエステル系樹脂組成物からなる二軸配向PBT系フィルムにおいて、フィルムの幅方向に対して分子鎖主軸のなす角度が30°以下であり、150℃における熱収縮率が幅方向・長手方向ともに4.0%以下であり、フィルムの固有粘度が0.80dl/g以上、1.2dl/g以下とすることで、レトルトパウチ包装や水物包装に対して好適に用いることが出来ることが開示されている。
しかしながら、長手方向の熱収縮率を低い値で抑えているため、保護層形成工程では長手方向にフィルムが伸びやすく、ガスバリア性の低下が起こることが考えられる。
一方、特許文献2には、PET樹脂を主とするフィルムを基材層とし、少なくとも一層以上の金属酸化物層を有する積層フィルムにおいて、150℃における熱収縮率を0.6〜3.0%にすることでレトルト処理、ボイル処理等の熱水処理後にも十分な衝撃強度を持ち、ガスバリア性にも優れる包装部材が開示されている。
しかしながら、上記特性を満たすための具体的な基材層の条件についての開示はない。
国際公開第2016/171173号 国際公開第2017/170574号
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、食品、医薬品、工業製品等の包装分野に用いられるポリエステルフィルムに関する。更に詳しくは、耐ピンホール性、ボイル処理やレトルト処理された後での耐破袋性に優れ、かつ保護層形成工程でのガスバリア層の割れが少なくガスバリア性に優れる積層ポリエステルフィルムを得ることにある。
本発明は、かかる目的を達成するために鋭意検討した結果、PBT樹脂を主体樹脂とする二軸配向延伸フィルムの120℃における寸法変化率及び熱収縮率を特定の範囲とすることにより、耐ピンホール性、ボイル処理やレトルト処理された後での耐破袋性に優れ、かつ保護層形成工程でのガスバリア層の割れが少なくガスバリア性に優れる積層ポリエステルフィルムが得られることを見出した。
すなわち本発明は、以下の構成からなる。
1. ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)を60〜100重量%、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)以外のポリエステル樹脂(B)を0〜40重量%含有するポリエステル樹脂組成物からなり、(a)及び(b)を同時に満足する二軸配向ポリエステルフィルム。
(a)TMA(サーマルメカニカルアナライザー)を用いて測定した温度寸法変化曲線のフィルム原長に対する120℃での寸法変化率がフィルムの長手方向において−2.0%〜4.0%である。
(b)フィルムの長手方向の150℃における熱収縮率が1.0%〜5.0%である。
2. JIS−Z1707に準じた突き刺し強さ試験で測定した突き刺し強度の値が8.0N以上である1.に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
3. フィルムの全幅での厚み精度が1〜20%である1.又は2.に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
本発明者は、かかる技術によって、耐ピンホール性、ボイル処理やレトルト処理された後での耐破袋性に優れ、かつ保護層形成工程でのガスバリア層の割れが少なくガスバリア性に優れる積層ポリエステルフィルムを得ることが可能となった。
以下、本発明について詳細に説明する。
[ポリエステル樹脂組成物]
本発明のフィルムに用いられるポリエステル樹脂組成物は、PBT樹脂(A)を主たる構成成分とするものであり、PBT樹脂(A)の含有率は60重量%以上が好ましく、75重量%以上が好ましく、さらには85重量%以上が好ましい。60重量%未満であると耐ピンホール性や耐破袋性が低下してしまう。
主たる構成成分として用いるPBT樹脂(A)は、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸が90モル%以上であることが好ましく、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは98モル%以上であり最も好ましくは100モル%である。グリコール成分として1,4−ブタンジオールが90モル%以上であることが好ましく、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは97モル%以上であり、最も好ましくは重合時に1,4−ブタンジオールのエーテル結合により生成する副生物以外は含まれないことである。
本発明のフィルムに用いられるポリエステル樹脂組成物は二軸延伸を行う時の製膜性や得られたフィルムの力学特性を調整する目的でPBT樹脂(A)以外のポリエステル樹脂(B)を含有することができる。
PBT樹脂(A)以外のポリエステル樹脂(B)が、PET、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、又はイソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸及びセバシン酸からなる郡から選択される少なくとも1種のジカルボン酸が共重合されたPBT樹脂、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール及びポリカーボネートからなる郡から選択される少なくとも1種のジオール成分が共重合されたPBT樹脂、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸及びセバシン酸からなる郡から選択される少なくとも1種のジカルボン酸が共重合されたPBT樹脂、若しくは1,3−ブタンジオール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール及びポリカーボネートからなる郡から選択される少なくとも1種のジオール成分が共重合されたPET樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂が挙げられる。
中でもPET樹脂は融点が高く耐熱性に優れるため寸法変化がしにくく、PBT樹脂との相溶性も優れるため透明性に優れることからPBT樹脂(A)以外のポリエステル樹脂(B)としては共重合されたPET樹脂が好ましく、特にPETが好ましい。
本発明のフィルムに用いるPBT樹脂(A)の固有粘度の下限は好ましくは0.8dl/gであり、より好ましくは0.95dl/gであり、更に好ましくは1.0dl/gである。
PBT樹脂(A)の固有粘度が0.9dl/g未満の場合、製膜して得られるフィルムの固有粘度が低下し、破袋強度や突き刺し強度などが低下することがある。
PBT樹脂(A)の固有粘度の上限は好ましくは1.3dl/gである。上記を越えるとフィルムの延伸時の応力が高くなりすぎ、製膜性が悪化するとなることがある。さらには、固有粘度の高いPBT樹脂を使用した場合、樹脂の溶融粘度が高くなるため押出し温度を高温にする必要があるが、PBT樹脂をより高温で押出しすると分解物が出やすくなることがある。
これらPBT樹脂(A)以外のポリエステル樹脂(B)の添加量の上限としては、40重量%以下が好ましく、より好ましくは35重量%以下が好ましく、15重量%以下が特に好ましい。PBT樹脂(A)以外のポリエステル樹脂(B)の添加量が40重量%を超えると、耐ピンホール性、耐破袋性が損なわれるほか、透明性やガスバリア性が低下することがある。
前記ポリエステル樹脂組成物は必要に応じ、従来公知の添加剤、例えば、滑剤、安定剤、着色剤、酸化防止剤、静電防止剤、紫外線吸収剤等を含有していてもよい。
本発明のフィルムの動摩擦係数を調整するための滑剤種としてはシリカ、炭酸カルシウム、アルミナなどの無機系滑剤のほか、有機系滑剤が好ましく、シリカ、炭酸カルシウムがより好ましく、中でもシリカがヘイズを低減する点で特に好ましい。これらにより透明性と滑り性と発現することができる。
ポリエステル樹脂組成物における滑剤の含有量の下限は好ましくは100重量ppmであり、より好ましくは800重量ppmであり、100重量ppm未満であると滑り性が低下となることがある。滑剤の含有量の上限は好ましくは20000重量ppmであり、より好ましくは1000重量ppmであり、特に好ましくは1800重量ppmであり、20000重量ppmを越えると透明性が低下することがある。
[二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを得るための好適な方法として、幅方向の厚み精度の観点からTダイ方式が好ましい。インフレーション方式ではその製造方法に起因して延伸倍率が上がりにくく、幅方向の厚み不良が生じることがある。
また本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを得るための好適な方法として、溶融ポリエステル樹脂組成物を冷却ロールにキャストする時に同一の組成のポリエステル樹脂組成物原料を多層化してキャストすることが挙げられる。
PBT樹脂は結晶化速度が速いため、キャスト時にも結晶化が進行する。このとき、多層化せずに単層でキャストした場合には、結晶の成長を抑制しうるような障壁が存在しないために、これらの結晶はサイズの大きな球晶へと成長してしまう。その結果、得られた未延伸シートの降伏応力が高くなり、長手方向の延伸時に破断しやすくなる。
そればかりか、長手方向の延伸の間にも結晶化が進むため、幅方向の延伸時にも破断しやすくなるうえ、得られた二軸配向ポリエステルフィルムの破袋強度や突き刺し強度も不十分なフィルムとなってしまう。
さらに、幅方向でのフィルムの厚みに準じて結晶の成長に大きなバラつきが生じ、密度差が生じてしまう。その結果、続く長手方向および幅方向の延伸時に延伸応力のムラが生じ、得られた二軸配向ポリエステルフィルムの厚み精度が低下する場合がある。
本発明の二軸配向PBTフィルムの製造方法は、具体的にはPBT樹脂を60重量%以上含むポリエステル樹脂組成物を溶融して溶融流体を形成する工程(1)で形成された溶融流体からなる積層数60以上の積層流体を形成するする工程(2)で形成された積層流体をダイスから吐出し、冷却ロールに接触させて固化させ積層体を形成する工程(3)、前記積層体を二軸延伸する工程(4)を少なくとも有する。
工程(1)と工程(2)、工程(2)と工程(3)の間には、他の工程が挿入されていても差し支えない。例えば、工程(1)と工程(2)の間には濾過工程、温度変更工程等が挿入されていても良い。また、工程(2)と工程(3)の間には、温度変更工程、電荷付加工程等が挿入されていても良い。但し、工程(2)と工程(3)の間には、工程(2)で形成された積層構造を破壊する工程があってはならない。
工程(1)において、ポリエステル樹脂組成物を溶融して溶融流体を形成する方法は特に限定されないが、好適な方法としては、一軸押出機や二軸押出機を用いて加熱溶融する方法を挙げることができる。
工程(2)における積層流体を形成する方法は特に限定されないが、設備の簡便さや保守性の面から、スタティックミキサーおよび/または多層フィードブロックがより好ましい。また、シート幅方向の均一性の面から、矩形のメルトラインを有するものがより好ましい。矩形のメルトラインを有するスタティックミキサーまたは多層フィードブロックを用いることがさらに好ましい。なお、複数のポリエステル樹脂組成物を合流させることによって形成された複数層からなる樹脂組成物を、スタティックミキサー、多層フィードブロックおよび多層マニホールドのいずれか1種または2種以上に通過させてもよい。
工程(2)における理論積層数は60以上である必要がある。理論積層数の下限は、好ましくは200であり、より好ましくは500である。理論積層数が少なすぎると、層界面間距離が長くなって結晶サイズが大きくなりすぎ、前述の延伸時の破断や力学強度の低下、厚み精度の低下が生じてしまう。また、シート両端近傍での結晶化度が増大し、製膜が不安定となるほか、成型後の透明性が低下することがある。工程(2)における理論積層数の上限は特に限定されないが、好ましくは100000であり、より好ましくは10000であり、さらに好ましくは7000である。理論積層数を極端に大きくしてもその効果が飽和する場合がある。
工程(2)における積層をスタティックミキサーで行う場合、スタティックミキサーのエレメント数を選択することにより、理論積層数を調整することができる。スタティックミキサーは、一般的には駆動部のない静止型混合器(ラインミキサー)として知られており、ミキサー内に入った流体は、エレメントにより順次撹拌混合される。ところが、高粘度流体をスタティックミキサーに通過させると、高粘度流体の分割と積層が生じ、積層流体が形成される。スタティックミキサーの1エレメントを通過するごとに、高粘度流体は2分割され次いで合流し積層される。このため、高粘度流体をエレメント数nのスタティックミキサーに通過させると、理論積層数N=2のn乗の積層流体が形成される。
典型的なスタティックミキサーエレメントは、長方形の板を180度ねじった構造を有し、ねじれの方向により、右エレメントと左エレメントがあり、各エレメントの寸法は直径に対して1.5倍の長さを基本としている。本発明に用いることのできるスタティックミキサーはこの様なものに限定されない。
工程(2)における積層を多層フィードブロックで行う場合、多層フィードブロックの分割・積層回数を選択することによって、理論積層数を調整することができる。多層フィードブロックは複数直列に設置することが可能である。また、多層フィードブロックに供給する高粘度流体自体を積層流体とすることも可能である。例えば、多層フィードブロックに供給する高粘度流体の積層数がp、多層フィードブロックの分割・積層数がq、多層フィードブロックの設置数がrの場合、積層流体の積層数Nは、N=p×(qのr乗)となる。
なお、本願発明のように同一組成のポリエステル樹脂組成物で多層化する場合は、一台の押し出し機のみを用いて、押し出しからダイまでのメルトラインに上述の多層化装置を導入することもできる。
工程(3)において、積層流体をダイスから吐出し、冷却ロールに接触させて固化させる。
ダイス温度の下限は好ましくは255℃であり、より好ましくは260℃であり、特に好ましくは265℃であり、上記未満であると吐出が安定せず、厚みが不均一となることがある。
また、樹脂の溶融押出し工程内で滞留したPET樹脂が未溶融物となってフィルム中に混入し、フィルムの品位を損ねてしまうことがある。樹脂溶融温度の上限は好ましくは285℃であり、より好ましくは280℃であり、最も好ましくは275℃である。上記を越えると樹脂の分解が進行し、フィルムが脆くなってしまう。
ダイ温度の上限は好ましくは320℃であり、より好ましくは300℃以下であり、さらに好ましくは280℃以下である。上記を越えると厚みが不均一となるほか、樹脂の劣化が起こり、ダイリップ汚れなどで外観不良となることがある。
冷却ロール温度の上限は好ましくは40℃であり、より好ましくは20℃以下である。上記を越えると溶融したポリエステル樹脂組成物が冷却固化する際の結晶化度が高くなりすぎて延伸が困難となることがある。冷却ロール温度の下限は好ましくは0℃であり、上記未満であると溶融したポリエステル樹脂組成物が冷却固化する際の結晶化抑制の効果が飽和することがある。また冷却ロールの温度を上記の範囲とする場合、結露防止のため冷却ロール付近の環境の湿度を下げておくことが好ましい。
冷却ロール表面に溶融ポリエステル樹脂組成物をキャストした時、表面に高温の樹脂が接触するため冷却ロール表面の温度が上昇する。通常、チルロールは内部に配管を通して冷却水を流して冷却するが、充分な冷却水量を確保する、配管の配置を工夫する、配管にスラッジが付着しないようメンテナンスを行う、などして、チルロール表面の幅方向の温度差を少なくする必要がある。特に、多層化などの方法を用いずに低温で冷却する場合には注意が必要である。
このとき、未延伸シートの厚みは15〜2500μmの範囲が好適である。より好ましくは500μm以下であり、さらに好ましくは300μm以下である。
上述における多層構造でのキャストは、少なくとも60層以上、好ましくは250層以上、更に好ましくは1000層以上で行う。層数が少ないと、未延伸シートの球晶サイズが大きくなり、延伸性の改善効果が小さいのみならず得られた二軸延伸フィルムの力学強度の低下や厚み精度の低下が生じる。
次に工程(4)の延伸方法について説明する。延伸方法は、同時二軸延伸でも逐次二軸延伸でも可能であるが、耐ピンホール性と耐破袋性の観点から面配向係数を高めやすいこと、フィルム厚みの幅方向の均一性を高めやすい点、製膜速度が速く生産性が高いという点から、は逐次二軸延伸が最も好ましい。
長手方向(以下、MD)の延伸温度の下限は好ましくは55℃であり、より好ましくは60℃である。55℃未満であると破断が起こりやすくなることがあるばかりか、低温での延伸により縦方向の配向が強くなるため、熱固定処理の際の収縮応力が大きくなることによって、幅方向の分子配向の歪みが大きくなり、結果として長手方向の直進引裂き性が低下することがある。MD延伸温度の上限は好ましくは100℃であり、より好ましくは95℃である。100℃を越えると配向がかからないため力学特性が低下することがある。
MD延伸倍率の下限は好ましくは2.5倍であり、特に好ましくは2.7倍である。上記未満であると、配向がかかりにくいため力学特性が低下することがある。
MD延伸倍率の上限は好ましくは3.8倍であり、より好ましくは3.4倍であり、特に好ましくは3.0倍である。上記を越えると力学強度や厚みムラ改善の効果が飽和することがある。
幅方向(以下、TD)の延伸温度の下限は好ましくは60℃であり、上記未満であると破断が起こりやすくなることがある。TD延伸温度の上限は好ましくは100℃であり、上記を越えると配向がかからないため力学特性が低下することがある。
TD延伸倍率の下限は好ましくは3.5倍であり、より好ましくは3.6倍であり、特に好ましくは3.7倍である。上記未満であると幅方向の配向度が小さくなるため力学強度や厚みムラが悪くなることがある。TD延伸倍率の上限は好ましくは5倍であり、より好ましくは4.6倍であり、特に好ましくは4.2倍である。上記を越えると力学強度や厚みムラ改善の効果が飽和することがある。
TD熱固定温度の下限は好ましくは185℃であり、より好ましくは190℃である。上記未満であると熱収縮率が大きくなり、保護層形成工程でフィルムが収縮してしまい、積層したガスバリア層が割れ、結果的にガスバリア性低下につながることがある。TD熱固定温度の上限は好ましくは210℃であり、上記を越えるとフィルムが融けてしまうほか、融けない場合でも著しく脆くなることがあるばかりか、MD方向の熱収縮率が小さくなり、保護層形成工程でフィルムが伸びてしまい、積層したガスバリア層が割れ、結果的にガスバリア性低下につながることがある。
TDリラックス率の下限は好ましくは0.5%であり、上記未満であると熱固定時に破断が起こりやすくなることがある。TDリラックス率の上限は好ましくは10%であり、上記を越えるとたるみなどが生じて厚みムラが発生することがあるばかりか、熱固定時の長手方向への収縮が大きくなる結果、端部の分子配向の歪みが大きくなり、幅方向で寸法安定性などが不均一となることがある。
[二軸配向ポリエステルフィルムの特性]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムでは、フィルム厚みの下限は好ましくは3μmであり、より好ましくは5μmであり、さらに好ましくは8μmである。3μm未満であるとフィルムとしての強度が不足することがある。
フィルム厚みの上限は好ましくは100μmであり、より好ましくは75μmであり、さらに好ましくは50μmである。100μmを越えると厚くなりすぎて本発明の目的における加工が困難となることがある。
本発明の二軸配向PBTフィルムの固有粘度の下限は好ましくは0.80dl/gであり、より好ましくは0.85dl/gであり、さら好ましくは0.90dl/gであり、特に好ましくは0.95dl/gである。上記以上であるとインパクト強度や耐突き刺し性などが改善される。
二軸配向PBTフィルムの固有粘度の上限は好ましくは1.2dl/gであり、さらに好ましくは1.1dl/gである。上記を超えると延伸時の応力が高くなりすぎ、製膜性が悪化する。
本発明の二軸配向PBTフィルムは、フィルム全域に亘って同一組成の樹脂があることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの面配向度(ΔP)の下限は好ましくは0.145であり、より好ましくは0.148であり、さらに好ましくは0.151である。上記未満であると面配向が弱く、突き刺し強度が低下し、耐破袋性が低下することがある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのΔPの上限は好ましくは0.200である。上記を超えると改善の効果が飽和することがある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのMD方向における150℃で15分間加熱後の熱収縮率の上限は5.0%であり、好ましくは4.0%であり、さらに好ましくは3.3%である。上記範囲内であると、張力のかかる保護層形成工程においてフィルムの伸縮が抑えられ、ガスバリア層の割れによるガスバリア性の低下を抑制することができる。上記を超えると、保護層形成工程でフィルムが収縮し、ガスバリア層の割れを引き起こし結果ガスバリア性が低下してしまうことがある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのMD方向における150℃で15分間加熱後の熱収縮率の下限は1.0%であり、2.0%が特に好ましい。上記範囲内であると、張力のかかる保護層形成工程においてフィルムの伸縮が抑えられ、ガスバリア層の割れによるガスバリア性の低下を抑制することができる。上記未満であると保護層形成工程でフィルムが伸び、ガスバリア層の割れを引き起こし結果ガスバリア性が低下してしまうことがある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのTMAを用いて測定した保護層形成工程を想定したMD方向における120℃での寸法変化率の上限は4.0%であり、好ましくは3.0%である。上記範囲内であると、張力のかかる保護層形成工程においてフィルムの伸びが抑えられ、ガスバリア層の割れによるガスバリア性の低下を抑制することができる。上記を超えると、保護層形成工程でフィルムが伸び、ガスバリア層の割れを引き起こし結果ガスバリア性が低下してしまうことがある。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのMD方向における120℃での寸法変化率の下限は−2.0%であり、好ましくは0%である。上記範囲内であると、張力のかかる保護層形成工程においてフィルムの収縮が抑えられ、ガスバリア層の割れによるガスバリア性の低下を抑制することができる。上記未満であると保護層形成工程でフィルムが収縮し、ガスバリア層の割れを引き起こし結果ガスバリア性が低下してしまうことがある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの突き刺し強度の下限は好ましくは、8Nである。上記未満であると袋として用いる際に強度が不足することがある。突き刺し強度の上限は好ましくは20Nである。上記を越えると改善の効果が飽和することがある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの加工性を向上させるための手段として、フィルムの少なくとも片面の滑り性を調整することが有効である。フィルムの少なくとも片面の動摩擦係数の上限としては、0.4以下が好ましく、0.39以下が好ましく、0.38以下が最も好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの厚みあたりのヘイズの上限は好ましくは0.66%/μmであり、より好ましくは0.60%/μmであり、更に好ましくは0.53%/μmである。 上記を超えるとフィルムに印刷を施した際に、印刷された文字や画像の品位を損ねる可能性がある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムには、印刷層を積層していてもよい。
印刷層を形成する印刷インクとしては、水性および溶媒系の樹脂含有印刷インクが好ましく使用できる。ここで印刷インクに使用される樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル共重合樹脂およびこれらの混合物が例示される。印刷インクには、帯電防止剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、フィラー、着色剤、安定剤、潤滑剤、消泡剤、架橋剤、耐ブロッキング剤、酸化防止剤等の公知の添加剤を含有させてもよい。
印刷層を設けるための印刷方法としては、特に限定されず、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の公知の印刷方法が使用できる。印刷後の溶媒の乾燥には、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線乾燥等公知の乾燥方法が使用できる。
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムには、本発明の目的を損なわない限りにおいて、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、表面粗面化処理が施されてもよく、また、公知のアンカーコート処理、印刷、装飾などが施されてもよい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に無機薄膜層やアルミ箔のような金属箔などのガスバリア層を設けることができる。
ガスバリア層として無機薄膜層を用いる場合の無機薄膜層としては、金属または無機酸化物からなる薄膜である。無機薄膜層を形成する材料は、薄膜にできるものなら特に制限はないが、ガスバリア性の観点から、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの混合物等の無機酸化物が好ましく挙げられる。特に、薄膜層の柔軟性と緻密性を両立できる点からは、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの複合酸化物が好ましい。
この複合酸化物において、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの混合比は、金属分の重量比でAlが20〜70%の範囲であることが好ましい。Al濃度が20%未満であると、水蒸気ガスバリア性が低くなる場合がある。一方、70%を超えると、無機薄膜層が硬くなる傾向があり、印刷やラミネートといった二次加工の際に膜が破壊されてガスバリア性が低下する虞がある。なお、ここでいう酸化ケイ素とはSiOやSiO等の各種珪素酸化物又はそれらの混合物であり、酸化アルミニウムとは、AlOやAl等の各種アルミニウム酸化物又はそれらの混合物である。
無機薄膜層の膜厚は、通常1〜100nm、好ましくは5〜50nmである。無機薄膜層の膜厚が1nm未満であると、満足のいくガスバリア性が得られ難くなる場合があり、一方、100nmを超えて過度に厚くしても、それに相当するガスバリア性の向上効果は得られず、耐屈曲性や製造コストの点でかえって不利となる。
無機薄膜層を形成する方法としては、特に制限はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法(PVD法)、あるいは化学蒸着法(CVD法)等、公知の蒸着法を適宜採用すればよい。以下、無機薄膜層を形成する典型的な方法を、酸化ケイ素・酸化アルミニウム系薄膜を例に説明する。例えば、真空蒸着法を採用する場合は、蒸着原料としてSiOとAlの混合物、あるいはSiOとAlの混合物等が好ましく用いられる。これら蒸着原料としては通常粒子が用いられるが、その際、各粒子の大きさは蒸着時の圧力が変化しない程度の大きさであることが望ましく、好ましい粒子径は1mm〜5mmである。加熱には、抵抗加熱、高周波誘導加熱、電子ビーム加熱、レーザー加熱などの方式を採用することができる。また、反応ガスとして酸素、窒素、水素、アルゴン、炭酸ガス、水蒸気等を導入したり、オゾン添加、イオンアシスト等の手段を用いた反応性蒸着を採用することも可能である。さらに、被蒸着体(蒸着に供する積層フィルム)にバイアスを印加したり、被蒸着体を加熱もしくは冷却するなど、成膜条件も任意に変更することができる。このような蒸着材料、反応ガス、被蒸着体のバイアス、加熱・冷却等は、スパッタリング法やCVD法を採用する場合にも同様に変更可能である。さらに、上記無機薄膜層上に印刷層を積層していてもよい。
本発明においては、前記ガスバリア層の上に保護層を設けることが好ましい。金属酸化物からなるガスバリア層は完全に密な膜ではなく、微小な欠損部分が点在している。金属酸化物層上に後述する特定の保護層用樹脂組成物を塗工して保護層を形成することにより、金属酸化物層の欠損部分に保護層用樹脂組成物中の樹脂が浸透し、結果としてガスバリア性が安定するという効果が得られる。加えて、保護層そのものにもガスバリア性を持つ材料を使用することで、積層フィルムのガスバリア性能も大きく向上することになる。
前記保護層としては、ウレタン系、ポリエステル系、アクリル系、チタン系、イソシアネート系、イミン系、ポリブタジエン系等の樹脂に、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系等の硬化剤を添加したものが挙げられる。保護層を形成させる際に使用する溶媒(溶剤)としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤;メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコール誘導体等が挙げられる。
前記のウレタン樹脂は、ウレタン結合の極性基が無機薄膜層と相互作用するとともに、非晶部分の存在により柔軟性をも有するため、屈曲負荷がかかった際にも無機薄膜層へのダメージを抑えることができるため好ましい。
ウレタン樹脂の酸価は10〜60mgKOH/gの範囲内であるのが好ましい。より好ましくは15〜55mgKOH/gの範囲内、さらに好ましくは20〜50mgKOH/gの範囲内である。ウレタン樹脂の酸価が前記範囲であると、水分散液とした際に液安定性が向上し、また保護層は高極性の無機薄膜上に均一に堆積することができるため、コート外観が良好となる。
前記のウレタン樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が80℃以上であることが好ましく、より好ましくは90℃以上である。Tgを80℃以上にすることで、湿熱処理過程(昇温〜保温〜降温)における分子運動による保護層の膨潤を低減できる。
前記のウレタン樹脂は、ガスバリア性向上の面から、芳香族または芳香脂肪族ジイソシアネート成分を主な構成成分として含有するウレタン樹脂を用いることがより好ましい。
その中でも、メタキシリレンジイソシアネート成分を含有することが特に好ましい。上記樹脂を用いることで、芳香環同士のスタッキング効果によりウレタン結合の凝集力を一層高めることができ、結果として良好なガスバリア性が得られる。
本発明においては、ウレタン樹脂中の芳香族または芳香脂肪族ジイソシアネートの割合を、ポリイソシアネート成分(F)100モル%中、50モル%以上(50〜100モル%)の範囲とすることが好ましい。芳香族または芳香脂肪族ジイソシアネートの合計量の割合は、60〜100モル%が好ましく、より好ましくは70〜100モル%、さらに好ましくは80〜100モル%である。このような樹脂として、三井化学社から市販されている「タケラック(登録商標)WPB」シリーズは好適に用いることが出来る。芳香族または芳香脂肪族ジイソシアネートの合計量の割合が50モル%未満であると、良好なガスバリア性が得られない可能性がある。
前記ウレタン樹脂は、無機薄膜層との親和性向上の観点から、カルボン酸基(カルボキシル基)を有することが好ましい。ウレタン樹脂にカルボン酸(塩)基を導入するためには、例えば、ポリオール成分として、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボン酸基を有するポリオール化合物を共重合成分として導入すればよい。また、カルボン酸基含有ウレタン樹脂を合成後、塩形成剤により中和すれば、水分散体のウレタン樹脂を得ることができる。塩形成剤の具体例としては、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン等のトリアルキルアミン類、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等のN−アルキルモルホリン類、N−ジメチルエタノールアミン、N−ジエチルエタノールアミン等のN−ジアルキルアルカノールアミン類等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムには他素材の層を積層しても良く、その方法として、二軸配向ポリエステルフィルムを作製後に貼り合わせるか、製膜中に貼り合わせることができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、例えば、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに無機蒸着層を設け、更にシーラントと呼ばれるヒートシール性樹脂層を形成し、包装材料として使用することができる。ヒートシール性樹脂層の形成は、通常押出しラミネート法あるいはドライラミネート法によりなされる。ヒートシール性樹脂層を形成する熱可塑性重合体としては、シーラント接着性が充分に発現できるものであればよく、HDPE、LDPE、LLDPEなどのポリエチレン樹脂類、ポリプロピレン樹脂。エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、アイオノマー樹脂等を使用できる。
シーラント層は、単層フィルムであってもよく、多層フィルムであってもよく、必要とされる機能に応じて選択すればよい。例えば、防湿性を付与する点では、エチレン−環状オレフィン共重合体やポリメチルペンテン等の樹脂を介在させた多層フィルムが使用できる。 また、シーラント層は、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤等の各種添加剤が配合されてもよい。
シーラント層の厚さは、10〜100μmが好ましく、20〜60μmがより好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、包装材料用の積層体の基材フィルムとして使用することができる。積層体の層構成としては、例えば、基材層/ガスバリア層/保護層、基材層/ガスバリア層/保護層/シーラント層、基材層/ガスバリア層・BR>^保護層/樹脂層/シーラント層、基材層/樹脂層/ガスバリア層/保護層/シーラント層、基材層/ガスバリア層/保護層/印刷層/シーラント層、基材層/印刷層/ガスバリア層/保護層/シーラント層、基材層/ガスバリア層/保護層/樹脂層/印刷層/シーラント層、基材層/樹脂層/印刷層/ガスバリア層/保護層/シーラント層、基材層/印刷層/ガスバリア層/保護層/樹脂層/シーラント層、基材層/印刷層/樹脂層/ガスバリア層/保護層/シーラント層、基材層/樹脂層/ガスバリア層/保護層/印刷層/シーラント層、等が挙げられる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを用いた積層体は、包装製品、各種ラベル材料、蓋材、シート成型品、ラミネートチューブ等の用途に好適に使用することができる。特に、包装用袋(例えば、ピロー袋、スタンディングパウチや4方パウチ等のパウチ)に用いられる。積層体の厚さは、その用途に応じて、適宜決定することができる。例えば、5〜500μm、好ましくは10〜300μm程度の厚みのフィルムないしシート状の形態で用いられる。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。なお、フィルムの評価は次の測定法によって行った。
[120℃での寸法変化率]
島津製作所社製のTMA(サーマルメカニカルアナライザー)を用いて室温から200℃まで昇温して測定した。ただし、昇温速度は10℃/分、測定サンプルの幅は4mm、測定サンプルの長さは10mm、初期張力は400mNとした。
得られた温度変化曲線の120℃における寸法変化率(%)を読み取った。
[フィルムの厚み]
JIS K7130−1999 A法に準拠し、ダイアルゲージを用いて測定した。
[厚み精度]
得られたフィルムロールの幅方向にフィルム片を切り出し、5cmピッチでダイアルゲージを用いて測定したときの最大厚みをTmax、最少厚みをTmin、平均厚みをTaveとし、下記の式(1)より厚み精度を求めた。
厚み精度(%)={(Tmax−Tmin)/Tave}×100% (1)
[フィルムの面配向度ΔP]
サンプルについてJIS K 7142−1996 A法により、ナトリウムD線を光源としてアッベ屈折計によりフィルム長手方向の屈折率(Nx)、幅方向の屈折率(Ny)、厚み方向の屈折率(Nz)を測定し、式(2)の計算式によりΔPを算出した。
配向係数(ΔP)=(Nx+Ny)/2 −Nz (2)
[熱収縮率]
ポリエステルフィルムの熱収縮率は試験温度150℃、加熱時間15分間とした以外は、JIS−C−2151−2006.21に記載の寸法変化試験法で測定した。試験片は21.1(a)に記載に従い使用した。
[突き刺し強度]
ポリエステルフィルムの突き刺し強度はJIS−Z1707に記載の試験法で測定した。
[ガスバリア層の作製]
後述する実施例および比較例に示した基材層に酸化アルミニウムの蒸着を行った。フィルムを連続式真空蒸着機の巻出し側にセットし、冷却金属ドラムを介して走行させフィルムを巻き取る。この時、連続式真空蒸着機を10−4Torr以下に減圧し、冷却ドラムの下部よりアルミナ製るつぼに純度99.99%の金属アルミニウムを装填し、金属アルミニウムを加熱蒸着させ、その蒸気中に酸素を供給し酸化反応させながらフィルム上に付着堆積させ、厚さ30nmの酸化アルミニウム膜を形成した。
[保護層の作製]
ワイヤーバーコート法によって、前述で蒸着され形成されたガスバリア層の無機蒸着薄膜層上に水60重量%、イソプロパノール30重量%、ウレタン樹脂10重量%を混合した溶液を塗布し、150℃で30秒乾燥させ、保護層を得た。乾燥後の塗布量は0.190g/m(固形分として)であった。
ウレタン樹脂:ウレタン樹脂として、市販のメタキシリレン基含有ウレタン樹脂のディスパージョン(三井化学社製「タケラック(登録商標)WPB341」;固形分30%)を用意した。このウレタン樹脂の酸化25mgKOH/gであり、DSCで測定したガラス転移温度は130℃であった。また、H−NMRにより測定したポリイソシアネート成分全体に対する芳香族または芳香脂肪族ジイソシアネートの割合は、85モル%であった。
[評価用ラミネート積層体の作製]
前述の基材フィルム上にガスバリア層/保護層を備えた積層フィルムの保護層上に、ウレタン系2液硬化型接着剤(三井化学社製「タケラック(登録商標)A525S」と「タケネート(登録商標)A50」を13.5:1(重量比)の割合で配合)を用いてドライラミネート法により、ヒートシール性樹脂層として厚さ70μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡株式会社製「P1147」)を貼り合わせ、40℃にて4日間エージングを施すことにより、評価用のラミネートガスバリア性積層体を得た。なお、ウレタン系2液硬化型接着剤で形成される接着剤層の乾燥後の厚みはいずれも約4μmであった。
[レトルト処理後の耐破袋性]
前述のラミネート積層体を15cm四方の大きさにカットし、シーラントが内側になるように2枚を重ね合わせ、3方を160℃のシール温度、シール幅1.0cmにてヒートシールすることで内寸13cmの3方シール袋を得た。
得られた3方シール袋に水250mLを充填した後、ヒートシールにて4方目の口を閉じ、水の充填された4方シール袋を作製した。
得られた4方シール袋に対して、130℃の熱水中に30分間保持する湿熱処理を行った後、室温5℃、湿度35%R.H.の環境下、高さ100cmの位置からコンクリート板の上に落下させ、破れやピンホールが発生するまでの落下回数を数えた。
[積層体のガスバリア性:酸素透過度(OTR)]
前述のラミネート積層体に対して、JIS−K7126−2の電解センサー法(付属書A)に準じて、酸素透過度測定装置(MOCON社製「OX−TRAN 2/20」)を用い、温度23℃、相対湿度65%の雰囲気下で、常態での酸素透過度を測定した。なお、酸素透過度の測定は、基材フィルム側からシーラント側に酸素が透過する方向で行った。
[積層体のガスバリア性:水蒸気透過度(WVTR)]
前述のラミネート積層体に対して、JIS−K7129−1992 B法に準じて、水蒸気透過度測定装置(MOCON社製「PERMATRAN−WIA」)を用い、温度40度、相対湿度90%の雰囲気下で、常態での水蒸気透過度を測定した。なお、水蒸気透過度の測定は、基材層フィルム側からシーラント側に水蒸気が透過する方向で行った。
[実施例1]
一軸押出機を用い、PBT樹脂(1100−211XG(CHANG CHUN PLASTICS CO.,LTD.、固有粘度1.28dl/g)とテレフタル酸//エチレングリコール=100//100(モル%)からなる固有粘度0.62dl/gのPET樹脂、不活性粒子として平均粒径2.4μmのシリカ粒子をシリカ濃度として0.16重量%なるように配合したものを290℃で溶融させた後、メルトラインを12エレメントのスタティックミキサーに導入した。これにより、溶融体の分割・積層を行い、同一の原料からなる多層溶融体を得た。270℃のT−ダイスからキャストし、15℃の冷却ロールに静電密着法により密着させて未延伸シートを得た。
次いで、60℃で長手方向(MD)に2.9倍ロール延伸し、次いで、テンターに通して85℃で幅方向(TD)に4.3倍延伸し、200℃で3秒間の緊張熱処理と1秒間9%の緩和処理を実施した後、両端の把持部を10%ずつ切断除去して厚みが15μmのフィルムのミルロールを得た。得られたフィルムの製膜条件、物性および評価結果を表1に示した。
[実施例2〜6]
実施例1において、原料組成、製膜条件を表1に記載した二軸延伸フィルムに変えた以外は実施例1と同様に行った。
[比較例1〜8]
一軸押出機を用い、表2記載の条件によりフィルムを得た。得られたフィルムの製膜条件、物性および評価結果を表2に示した。
(比較例1)
熱固定温度を表2に記載の値に変更した以外は実施例1と同様の方法で実施した。得られたフィルムの耐ピンホール性は良好であったが、突き刺し強度が6.5Nであり、耐破袋性が60%と不良であった。また、寸法変化率が4.10%と大きいため、ガスバリア性が不良であった。結果を表2に示す。
(比較例2)
熱固定温度を表2に記載の値に変更した以外は実施例1と同様の方法で実施した。得られたフィルムの耐ピンホール性および耐破袋性は良好であったが、熱収縮率が5.5%と大きく寸法変化率が−2.20%であるため、ガスバリア性が不良であった。
(比較例3)
ポリエステル樹脂組成を表2に記載の値に変更した以外は実施例1と同様の方法で実施した。得られたフィルムのガスバリア性は良好であったが、PBTの含有量が少ないため、得られたフィルムの突き刺し強度は7.2Nであり、耐破袋性および耐ピンホール性が不良であった。
(比較例4)
表2に記載の方法で実施した。得られたフィルムの突き刺し強度が8.9Nであり、耐ピンホール性および耐破袋性は良好であったが、寸法変化率が4.30%と大きいため、ガスバリア性が不良であった。
(比較例5)
表2に記載の方法で実施した。得られたフィルムの耐ピンホール性および耐破袋性は良好であったが、寸法変化率が4.10%と大きいため、ガスバリア性が不良であった。
(比較例6)
表2に記載の方法で実施した。得られたフィルムの突き刺し強度が7.3Nであり耐破袋性および耐ピンホール性が不良であった。また、寸法変化率が4.40%と大きいため、ガスバリア性が不良であった。
(比較例7)
表2に記載の方法で実施した。得られたフィルムの突き刺し強度が7.5Nであり耐破袋性および耐ピンホール性が不良であった。また、寸法変化率が4.10%と大きいため、ガスバリア性が不良であった。
(比較例8)
表2に記載の方法で実施した。得られたフィルムの突き刺し強度は7.3Nであり耐破袋性および耐ピンホール性が不良であった。また、熱収縮率が0.8%で小さく寸法変化率が4.10%と大きいため、ガスバリア性が不良であった。
(参考例1)
実施例1において、メルトラインにスタティックミキサーに導入せずに、他は同様に製膜した。製膜中、フィルムの破断が頻発し50m以上の長さでフィルムが得られなかった。得られたフィルムの厚み精度は、30%以上であった。
(参考例2)
市販のインフレーション方式で製膜されたPBTを主成分とする二軸配向フィルム(全厚み15μm、幅840mm)について、厚み精度を測定した。厚み精度は、28%であり、本発明のフィルムより劣っていた。
本発明によれば、耐ピンホール性、ボイル処理やレトルト処理された後での耐破袋性に優れ、かつ保護層形成工程でのガスバリア層の割れが少なくガスバリア性に優れる積層ポリエステルフィルムを得ることができ、食品包装や医薬品包装材料として広く適用でき得ることから、産業界に大きく寄与することが期待される。

Claims (3)

  1. ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)を60〜100重量%、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)以外のポリエステル樹脂(B)を0〜40重量%含有するポリエステル樹脂組成物からなり、(a)及び(b)を同時に満足する二軸配向ポリエステルフィルム。
    (a)TMA(サーマルメカニカルアナライザー)を用いて測定した温度寸法変化曲線のフィルム原長に対する120℃での寸法変化率がフィルムの長手方向において−2.0%〜4.0%である。
    (b)フィルムの長手方向の150℃における熱収縮率が1.0%〜5.0%である。
  2. JIS−Z1707に準じた突き刺し強さ試験で測定した突き刺し強度の値が8.0N以上である請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. フィルムの全幅での厚み精度が1〜20%である請求項1又は2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
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