JPWO2019044646A1 - 放熱部材用組成物、放熱部材、電子機器、放熱部材の製造方法 - Google Patents

放熱部材用組成物、放熱部材、電子機器、放熱部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

高い耐熱性と高い熱伝導率を同時に有する放熱部材を形成可能な組成物を得ること。本発明の放熱部材用組成物は、第1のシランカップリング剤(11)の一端と結合した第1の無機フィラー(1)、第2のシランカップリング剤(12)の一端と結合した第2の無機フィラー(2)および2官能以上のカルボン酸無水物(21)を含有する、放熱部材用組成物である。

Description

本発明は、電子基板等の電子機器に用いる放熱部材を形成することが可能な組成物に関する。さらに電子機器で生じた熱を効率よく伝導、伝達することにより放熱できる放熱部材に関する。
近年、ハイブリッド自動車や電気自動車などの電力制御用の半導体素子や、高機能コンピューター用のCPUなどにおいて、ワイドギャップ半導体の利用などにより、その動作温度が上昇している。特に注目されている炭化ケイ素(SiC)半導体などでは、動作温度が200℃以上になるため、そのパッケージ材料には、250℃以上の高耐熱性が求められている。さらに、動作温度の上昇により、パッケージ内に使用されている材料間の熱膨張率の差により熱歪が発生し、配線の剥離などによる寿命の低下も問題になっている。
このような耐熱問題を解決するために、窒化アルミニウムや窒化ケイ素などの高熱伝導セラミックス基板や、熱伝導率を向上させるための無機フィラーと複合化させた高耐熱の有機樹脂やシリコーン樹脂が開発され、特にオキサジンなどの高耐熱樹脂や、高耐熱シリコーン樹脂の開発が進んでいる。特許文献1には、耐熱性に優れたポリベンゾオキサジン変性ビスマレイミド樹脂が開示されているが、充分な耐熱性を有してはおらず、さらに高耐熱な材料の開発が行われている。
このような放熱問題を解決する方法としては、発熱部位に高熱伝導性材料(放熱部材)を接触させて熱を外部に導き、放熱する方法が挙げられる。特許文献2には、有機材料と無機材料を複合化させた放熱部材であって、無機材料間をシランカップリング剤と重合性液晶化合物で繋いだ放熱部材が開示されている。シランカップリング剤と重合性液晶化合物で繋ぐことにより、無機材料間の熱伝導性を極めて高めることを可能とした。しかしながら、これらの方法によって得られる放熱部材は、液晶化合物を用いていることから、熱伝導率は高いものの耐熱性が充分ではなかった。
特開2012−97207号公報 国際公開第2015/170744号
そこで本発明の課題は、高い熱伝導率と、高い耐熱性を同時に有する放熱部材を形成することが可能な組成物および該組成物を用いて得られる放熱部材を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、樹脂に窒化ホウ素などの無機材料を添加するのではなく、無機材料同士をつなげるような態様、すなわち、無機材料とシランカップリング剤などの有機材料とを結合させて、樹脂に添加して使用すると、熱伝導率が高い放熱部材を形成でき、さらに耐熱性を向上できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の第1の態様に係る放熱部材用組成物は、第1のシランカップリング剤の一端と結合した第1の無機フィラー、第2のシランカップリング剤の一端と結合した第2の無機フィラーおよび2官能以上のカルボン酸無水物を含有する。例えば図2に示すように、第1のシランカップリング剤11の一端と結合した第1の無機フィラー1と、第2のシランカップリング剤12の一端と結合した第2の無機フィラー2とを含み、硬化処理により、前記第1のシランカップリング剤11の他端と前記第2のシランカップリング剤12の他端がそれぞれ2官能以上のカルボン酸無水物21に結合する、放熱部材用組成物である。
「一端」および「他端」とは、分子の形状の縁または端であればよく、分子の長辺の両端であってもなくてもよい。
このように構成すると、無機フィラー同士をシランカップリング剤およびカルボン酸無水物を介して結合させて放熱部材を形成することができる。そのため、直接的に、熱伝導の主な要素であるフォノンを伝播することができることから、放熱部材用組成物から得られる放熱部材は極めて高い熱伝導性と、極めて高い耐熱性を有することができる。
本発明の第2の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第1の態様に係る放熱部材用組成物において、第1のシランカップリング剤の一端と結合した第1の無機フィラーは、前記第1のシランカップリング剤の他端と2官能以上のカルボン酸無水物とが結合している。
このように構成すると、無機フィラー同士をシランカップリング剤およびカルボン酸無水物を介して結合させて放熱部材を形成することが容易にできる。
本発明の第3の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第1の態様または第2の態様に係る放熱部材用組成物において、前記2官能以上のカルボン酸無水物が、無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水酢酸、無水プロピオン酸および無水安息香酸からなる群から選ばれる少なくとも一つである。
このように構成すると、カルボン酸無水物が熱硬化性であり、フィラーの量に影響を受けずに硬化させることができ、さらに耐熱性に優れる。また分子構造は、対称性、直線性を有するため、フォノンの伝導に有利であると考えられる。
本発明の第4の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第1の態様または第2の態様に係る放熱部材用組成物において、前記2官能以上のカルボン酸無水物が、式(1)、式(2)および式(3)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
Figure 2019044646
上記式(1)、(2)および(3)中、Rは単結合、炭素数1〜20のアルキル、炭素数4〜8のシクロアルキル、アリールおよび炭素数7〜20のアリールアルキルから独立して選択される基である。
本発明の第5の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第1の態様または第2の態様に係る放熱部材用組成物において、前記2官能以上のカルボン酸無水物が、式(4)および式(5)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
Figure 2019044646
上記式(4)および(5)中、Rは単結合、炭素数1〜20のアルキル、炭素数4〜8のシクロアルキル、アリールおよび炭素数7〜20のアリールアルキルから独立して選択される基である。式(4)および式(5)のそれぞれにおいて、Rは独立して炭素または窒素である。
本発明の第6の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第1の態様または第2の態様に係る放熱部材用組成物において、前記2官能以上のカルボン酸無水物が、式(6)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
Figure 2019044646
上記式(6)中、RおよびRは、炭素数4〜8のシクロアルキル、アリールおよび炭素数7〜20のアリールアルキルから独立して選択される基である。式(6)において、nは独立して1〜4である。
本発明の第7の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第1の態様〜第6の態様のいずれか1に係る放熱部材用組成物において、前記第1の無機フィラーと前記第2の無機フィラーが、窒化物、金属酸化物、珪酸塩化合物、または炭素材料である。
このように構成すると、放熱部材は、無機フィラーとして、より好ましい化合物を含有することができる。
本発明の第8の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第1の態様〜第7の態様のいずれか1の態様に係る放熱部材用組成物において、前記第1の無機フィラーと前記第2の無機フィラーが、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ホウ素、窒化ホウ素炭素、黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ、アルミナおよびコーディエライトから選ばれる少なくとも一つである。
このように構成すると、熱伝導率が高く、熱膨張率が非常に小さいかまたは負である放熱部材が得られる。
本発明の第9の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第1の態様〜第8の態様のいずれか1の態様に係る放熱部材用組成物において、前記第1の無機フィラーおよび前記第2の無機フィラーと異なる熱膨張率を持つ第3の無機フィラーをさらに含む。
このように構成すると、前記第1の無機フィラーと前記第2の無機フィラーが2次元の板状または1次元の線状である場合、それらだけを複合化させると、複合化した放熱部材用組成物の物性も大きな異方性が生じる。第3の無機フィラーを加えることにより、第1、第2の無機フィラーの配向性が緩和し、異方性が少なくなる利点がある。さらに、第1、第2の無機フィラーの熱膨張率が非常に小さいか負であるとき、熱膨張率が正の第3の無機フィラーを加えることにより、その混合比率によって熱膨張率を負から正により精密に制御することが可能になる。第3の無機フィラーに使用する無機フィラーに制約はないが、熱伝導率が高い無機フィラーであることが好ましい。
本発明の第10の態様に係る放熱部材用組成物は、上記本発明の第1の態様〜第9の態様のいずれか1の態様に係る放熱部材用組成物において、前記第1の無機フィラーおよび前記第2の無機フィラーに結合していない、重合性化合物または高分子化合物をさらに含む。
このように構成すると、第1、第2の無機フィラーを直接接続して硬化させた放熱部材では、放熱部材の熱伝導率を向上させるためにフィラーの粒径を大きくするにつれて、それにあいまって空隙率が高くなる。その空隙を結合していない化合物で満たすことにより、放熱部材の熱伝導率や水蒸気遮断性能などを向上させることができる。
本発明の第11の態様に係る放熱部材は、上記本発明の第1の態様〜第10の態様のいずれか1の態様に係る放熱部材用組成物において、放熱部材用組成物が硬化した、放熱部材である。
このように構成すると、放熱部材は、無機フィラー間に結合を有し、この結合が通常の樹脂のように分子振動や相変化を起こさないため熱膨張の直線性が高く、さらに高い熱伝導性を有することができる。
本発明の第12の態様に係る電子機器は、上記本発明の第11の態様に係る放熱部材において、放熱部材と、発熱部を有する電子デバイスとを備え、前記放熱部材が前記発熱部に接触するように前記電子デバイスに配置された、電子機器である。
このように構成すると、放熱部材が、耐熱性がよく熱膨張率を高温まで制御できるため、電子機器に生じ得る熱歪を抑制することができる。
本発明の第13の態様に係る放熱部材用組成物の製造方法は、第1の無機フィラーを、第1のシランカップリング剤の一端と結合させる工程と、第2の無機フィラーを、第2のシランカップリング剤の一端と結合させる工程とを備え、さらに、前記第1のシランカップリング剤の他端と前記第2のシランカップリング剤の他端をそれぞれ2官能以上のカルボン酸無水物に結合させる工程を備える、放熱部材用組成物の製造方法である。
このように構成すると、無機フィラー同士がシランカップリング剤とカルボン酸無水物で結合した放熱部材が製造できる。
本発明の放熱部材用組成物から形成された放熱部材は、極めて高い熱伝導性と耐熱性とを同時に有する。さらに、熱膨張率の制御性、化学的安定性、硬度および機械的強度などの優れた特性を有する。当該放熱部材は、例えば、放熱基板、放熱板(面状ヒートシンク)、放熱シート、放熱塗膜、放熱接着剤などに適している。
本発明の放熱部材において、無機フィラー同士の結合を窒化ホウ素を例として示す概念図である。 放熱部材用組成物の硬化処理により、カルボン酸無水物21の2つの端部が、第1のシランカップリング剤11と第2のシランカップリング剤12と結合することを示す概念図である。 放熱部材用組成物の硬化処理により、第1のシランカップリング剤11に結合したカルボン酸無水物21の他端が、第2のシランカップリング剤12の他端と結合することを示す概念図である。 実施例1の熱機械分析装置による測定結果を示すグラフである。 実施例2の熱機械分析装置による測定結果を示すグラフである。 実施例4の熱機械分析装置による測定結果を示すグラフである。 比較例1の熱機械分析装置による測定結果を示すグラフである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一または相当する部分には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。また、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
本発明で用いる用語について説明する。式(1)で表わされる化合物を化合物(1)と表記することがある。他の式で表される化合物についても同様に簡略化して称することがある。「任意のAはBまたはCで置き換えられてもよい」という表現は、少なくとも1つのAがBで置き換えられる場合および少なくとも1つのAがCで置き換えられる場合に加えて、少なくとも1つのAがBで置き換えられると同時に、その他のAの少なくとも1つがCで置き換えられる場合があることを意味する。実施例においては、電子天秤の表示データを質量単位であるg(グラム)を用いて示した。重量%や重量比はこのような数値に基づくデータである。
[放熱部材用組成物]
本発明の放熱部材用組成物は、硬化させることにより、無機フィラー同士をシランカップリング剤および2官能以上のカルボン酸無水物で直接結合させて放熱部材を形成できる組成物である。図1は無機フィラーとして窒化ホウ素を用いた場合の例である。窒化ホウ素(h−BN)をシランカップリング剤で処理すると、窒化ホウ素は粒子の平面に反応基がないため、その周囲にのみ、シランカップリング剤が結合する。シランカップリング剤で処理された窒化ホウ素は、2官能以上のカルボン酸無水物との結合を形成できる。したがって、窒化ホウ素に結合したシランカップリング剤の他端と、窒化ホウ素に結合したシランカップリング剤にさらに結合したカルボン酸無水物の他端とを結合させることにより(図2参照)、窒化ホウ素同士を図1のように互いに結合する。
このように、無機フィラー同士をシランカップリング剤およびカルボン酸無水物で結合させることにより、直接的にフォノンを伝播することができるので、硬化後の放熱部材は極めて高い熱伝導を有し、無機成分の熱膨張率を直接反映させた複合材の作製が可能になる。
本発明の第1の実施の形態に係る放熱部材用組成物は、例えば図2に示すように、第1のシランカップリング剤11の一端と結合した熱伝導性の第1の無機フィラー1と、シランカップリング剤12の一端と結合した熱伝導性の第2の無機フィラー2とを含む。図2に示すように、放熱部材用組成物を硬化させると、第1のシランカップリング剤11の他端が、カルボン酸無水物21の一端と結合し、第2のシランカップリング剤12の他端が、カルボン酸無水物21の他端と結合する。
また、例えば図3に示すように、第1のシランカップリング剤11の他端には、カルボン酸無水物21の一端が結合している。しかし、第2のシランカップリング剤12の他端には、カルボン酸無水物21の他端が結合していない。図3に示すように、放熱部材用組成物を硬化させると、第2のシランカップリング剤12の他端が、カルボン酸無水物21の他端と結合する。
このようにして、無機フィラー間の結合が形成される。なお、このような無機フィラー間の結合を実現することが本発明では重要であり、シランカップリング剤を無機フィラーに結合させる前に、あらかじめシランカップリング剤と2官能以上のカルボン酸無水物とを有機合成技術を用いて反応させておいてもよい。
<2官能以上のカルボン酸無水物>
2官能以上のカルボン酸無水物は、無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水酢酸、無水プロピオン酸、または無水安息香酸を有するカルボン酸無水物の少なくとも1つである。
このような構造のカルボン酸無水物の具体例として、化合物(1)〜化合物(6)として示すことができる。
Figure 2019044646
式(1)、式(2)および式(3)において、Rは単結合または炭素数1〜20のアルキル、炭素数4〜8のシクロアルキル、アリールおよび炭素数7〜20のアリールアルキルから独立して選ばれる基である。式(1)、式(2)および式(3)のそれぞれにおいて、このアルキルの好ましい炭素数は1〜10である。さらに好ましいRは、直線的なメソゲン(例えば液晶性化合物)である。
式(4)、および式(5)において、Rは単結合または炭素数1〜20のアルキル、炭素数4〜8のシクロアルキル、アリールおよび炭素数7〜20のアリールアルキルから独立して選ばれる基である。式(4)および式(5)のそれぞれにおいて、このアルキルの好ましい炭素数は1〜10である。Rは独立して炭素または窒素である。さらに好ましいRは、直線的なメソゲン(例えば液晶性化合物)である。
式(6)において、RおよびRは炭素数4〜8のシクロアルキル、アリールおよび炭素数7〜20のアリールアルキルから選ばれる基であり独立していてもよい。式(6)のそれぞれにおいて、このアルキルの好ましい炭素数は1〜10である。nは独立して1〜4の整数である。
・無水フタル酸
好ましい式(1)の例としては、以下に示す化合物(1−1)〜(1−4)が挙げられる。mは1〜20の整数であり、好ましくは1〜10の整数、より好ましくは4〜8の整数である。nは0〜6の整数であり、好ましくは1〜6の整数である。qは0〜4の整数であり、好ましくは0〜2の整数である。Rは炭素数4〜8のシクロアルキル、アリールおよび炭素数7〜20のアリールアルキルから選ばれる基であり独立していてもよい。
Figure 2019044646
・無水コハク酸
好ましい式(2)の例としては、以下に示す化合物(2−1)〜(2−4)が挙げられる。mは1〜20の整数であり、好ましくは1〜10の整数、より好ましくは4〜8の整数である。nは0〜6の整数であり、好ましくは1〜6の整数である。qは0〜4の整数であり、好ましくは0〜2の整数である。Rは炭素数4〜8のシクロアルキル、アリールおよび炭素数7〜20のアリールアルキルから選ばれる基であり独立していてもよい。
Figure 2019044646
・無水マレイン酸
好ましい式(3)の例としては、以下に示す化合物(3−1)〜(3−4)が挙げられる。mは1〜20の整数であり、好ましくは1〜10の整数であり、より好ましくは4〜8の整数である。nは0〜6の整数であり、好ましくは1〜6の整数である。qは0〜4の整数であり、好ましくは0〜2の整数である。Rは炭素数4〜8のシクロアルキル、アリールおよび炭素数7〜20のアリールアルキルから選ばれる基であり独立していてもよい。
Figure 2019044646
・無水酢酸
好ましい式(4)の例としては、以下に示す化合物(4−1)〜(4−8)が挙げられる。mは1〜20の整数であり、好ましくは1〜10の整数であり、より好ましくは4〜8の整数である。nは0〜6の整数であり、好ましくは1〜6の整数である。qは0〜4の整数であり、好ましくは0〜2の整数である。Rは炭素数4〜8のシクロアルキル、アリールおよび炭素数7〜20のアリールアルキルから選ばれる基であり独立していてもよい。
Figure 2019044646
・無水プロピオン酸
好ましい式(5)の例としては、以下に示す化合物(5−1)〜(5−8)が挙げられる。mは1〜20の整数であり、好ましくは1〜10の整数であり、より好ましくは4〜8の整数である。nは0〜6の整数であり、好ましくは1〜6の整数である。qは0〜4の整数であり、好ましくは0〜2の整数である。Rは炭素数4〜8のシクロアルキル、アリールおよび炭素数7〜20のアリールアルキルから選ばれる基であり独立していてもよい。
Figure 2019044646
・無水安息香酸
好ましい式(6)の例としては、以下に示す化合物(6−1)〜(6−6)が挙げられる。
Figure 2019044646
・その他のカルボン酸無水物
好ましい例としては、以下に示す化合物(7−1)〜(7−9)が挙げられる。mは0〜2の整数である。nは0〜6の整数であり、好ましくは0〜4の整数であり、より好ましくは0〜2の整数である。Rは炭素数4〜8のシクロアルキル、アリールおよび炭素数7〜20のアリールアルキルから選ばれる基であり独立していてもよい。
Figure 2019044646
<無機フィラー>
第1の無機フィラー、および第2の無機フィラーとしては、窒化物、炭化物、炭素材料、金属酸化物、ケイ酸塩鉱物等を挙げることができる。第1の無機フィラーおよび第2の無機フィラーは、同一であってもよく異なったものでもよい。
第1の無機フィラー、第2の無機フィラーとしては、高熱伝導性で熱膨張率が非常に小さいか負である無機フィラーが利用でき、具体的には、窒化ホウ素、炭化ホウ素、窒化ホウ素炭素、黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブを挙げることができる。または、アルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉄、フェライト、ムライト、コーディエライト、窒化珪素、および炭化珪素を挙げることができる。
または、第1または第2の無機フィラーのどちらか一方に下記の熱伝導率が高く熱膨張率が正である無機フィラーを用いてもよい。
第3のフィラーとしては、熱伝導率が高い、熱膨張率が正、または第1、第2の無機フィラーよりもサイズが小さい等である無機フィラーが利用でき、具体的には、アルミナ、シリカ、炭化珪素、窒化アルミニウム、窒化珪素、ダイアモンド、カーボンナノチューブ、黒鉛、グラフェン、珪素、ベリリア、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化珪素、酸化銅、酸化チタン、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化錫、酸化ホルミニウム、酸化ビスマス、酸化コバルト、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、金、銀、銅、白金、鉄、錫、鉛、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム、タングステン、モリブデン、ステンレスなどの無機充填材および金属充填材を挙げることができる。
カルボン酸無水物の構造はこれら無機フィラーの間を効率よく直接結合できる形状及び長さを持っていることが好ましい。無機フィラーの種類、形状、大きさ、添加量などは、目的に応じて適宜選択できる。得られる放熱部材が絶縁性を必要とする場合、所望の絶縁性が保たれれば導電性を有する無機フィラーであっても構わない。無機フィラーの形状としては、板状、球状、無定形、繊維状、棒状、筒状などが挙げられる。
好ましくは、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化珪素、炭化珪素、黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブである。特に六方晶系の窒化ホウ素(h−BN)や黒鉛が好ましい。窒化ホウ素、黒鉛は平面方向の熱伝導率が非常に高く、窒化ホウ素は誘電率も低く、絶縁性も高いため好ましい。例えば、板状結晶の窒化ホウ素を用いると、成型および硬化時に、原料のフローや圧力によって、板状構造が金型に沿って配向され易いため好ましい。
無機フィラーの平均粒径は、0.1〜200μmであることが好ましい。より好ましくは、1〜100μmである。0.1μm以上であると熱伝導率がよく、200μm以下であると充填率を上げることができる。
なお、本明細書において平均粒径とは、レーザー回折・散乱法による粒度分布測定に基づく。すなわち、フランホーファー回折理論およびミーの散乱理論による解析を利用して、湿式法により、粉体をある粒子径から2つに分けたとき、大きい側と小さい側が等量(体積基準)となる径をメジアン径とした。
無機フィラー、シランカップリング剤およびカルボン酸無水物の割合は、使用する無機フィラーと結合させるシランカップリング剤の量に依存する。第1、第2の無機フィラーとして用いられる化合物(例えば窒化ホウ素)は、前述のように表面に反応基がなく、側面にのみ反応基が存在する。その少ない反応基にできるだけ多くのシランカップリング剤を結合させ、その反応基の数と同数か少し多い反応基の数を有するカルボン酸無水物を結合させることが好ましい。無機フィラーへのシランカップリング剤の反応量は、主に無機フィラーの大きさや使用するシランカップリング剤の反応性により変化する。例えば、無機フィラーが大きくなるほど、無機フィラーの側面の面積比が減少するので修飾量は少ない。できるだけ多くのシランカップリング剤と無機フィラーとを反応させることが好ましいが、無機フィラーの粒子を小さくすると生成物の熱伝導率が低くなるので、バランスを取ることが好ましい。
硬化物である放熱部材中のシランカップリング剤およびカルボン酸無水物と、無機フィラーとの体積比率は、5:95〜30:70の範囲になることが好ましく、さらに好ましくは10:90〜25:75である。
<シランカップリング剤>
無機フィラーに結合させるシランカップリング剤は、2官能以上のカルボン酸無水物と反応することが好ましいことから、アミン系反応基を末端に持つシランカップリング剤が好ましい。例えば、JNC(株)製では、サイラエース(登録商標)S310、S320、S330、S360、信越化学工業(株)製では、KBM903、KBE903などが挙げられる。
第1のシランカップリング剤と第2のシランカップリング剤は、同一であっても異なっていてもよい。
第1の無機フィラーは、シランカップリング剤で処理した後、さらに2官能以上のカルボン酸無水物で表面修飾した後に用いることができる。例えば、シランカップリング剤で処理された無機フィラー(シランカップリング剤と結合した無機フィラー)の、当該シランカップリング剤にさらに2官能以上のカルボン酸無水物を結合させることにより、無機フィラーをカルボン酸無水物で表面修飾する。カルボン酸無水物で表面修飾された第1の無機フィラーは、図2に示すように、カルボン酸無水物およびシランカップリング剤で第2の無機フィラーとの結合を形成でき、この結合が熱伝導に著しく寄与する。
なお、第1の無機フィラーは、あらかじめ2官能以上のカルボン酸無水物と結合させたシランカップリング剤でカップリング処理したものを用いてもよい。
2官能以上のカルボン酸無水物は、上記式(1)、(2)で示す2官能以上のカルボン酸無水物が好ましい。しかし、それ以外のカルボン酸無水物であってもよい。カルボン酸無水物が多環である場合、耐熱性が高くなり、カルボン酸無水物が直線性の高い場合、無機フィラー間の熱による伸びや揺らぎが少なく、さらに熱のフォノン伝導を効率よく伝えることができるため好ましい。なお、カルボン酸無水物等による表面修飾は、多ければ多いほど結合が増えるため好ましい。
<その他の成分>
放熱部材用組成物は、さらに第1の無機フィラーおよび第2の無機フィラーに結合していない、すなわち結合に寄与していない有機化合物(例えば重合性化合物または高分子化合物)を含んでいてもよく、重合開始剤や溶媒等を含んでいてもよい。
<結合していない重合性化合物>
放熱部材用組成物は、無機フィラーに結合していないカルボン酸無水物(この場合、必ずしも2官能以上でなくてもよい)を含有していてもよい。このようなカルボン酸無水物としては、無機フィラーに修飾している有機化合物の熱硬化を妨げず、加熱により蒸発やブリードアウトがないものが好ましい。または、無機フィラーに結合していない他の重合性化合物を含有していてもよい。この重合性化合物は、液晶性を有しない化合物と液晶性を有する化合物とに分類される。液晶性を有しない重合性化合物としては、ビニル誘導体、スチレン誘導体、(メタ)アクリル酸誘導体、ソルビン酸誘導体、フマル酸誘導体、イタコン酸誘導体、などが挙げられる。含有量は、まず結合していない化合物を含まない、放熱部材用組成物を作製し、その空隙率を測定して、その空隙率を埋められる量の化合物を添加することが好ましい。
<結合していない高分子化合物>
放熱部材用組成物は、無機フィラーに結合していない高分子化合物を構成要素としてもよい。このような高分子化合物としては、膜形成性および機械的強度を低下させない化合物が好ましい。この高分子化合物は、無機フィラー、シランカップリング剤、およびカルボン酸無水物と反応しない高分子化合物であればよく、例えばカルボン酸無水物がオキシラニル基でシランカップリング剤がアミノ基を持つ場合は、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、シリコーン樹脂、ワックスなどが挙げられる。含有量は、まず結合していない重合性化合物を含まない、放熱部材用組成物を作製し、その空隙率を測定して、その空隙率を埋められる量の高分子化合物を添加することが好ましい。
<非重合性の液晶性化合物>
放熱部材用組成物は、重合性基を有しない液晶性化合物を含有していてもよい。このような非重合性の液晶性化合物の例は、液晶性化合物のデータベースであるリクリスト(LiqCryst, LCI Publisher GmbH, Hamburg, Germany)などに記載されている。非重合性の液晶性化合物を含有する該組成物を重合させることによって、例えば、化合物(1)(2)と液晶性化合物との複合材(composite materials)を得ることができる。このような複合材では、高分子網目中に非重合性の液晶性化合物が存在している。好ましくは、使用する温度領域で流動性がないような特性を持つ液晶性化合物である。無機フィラーを硬化させた後で、等方相を示す温度領域でその空隙に注入するような手法で複合化させてもよく、無機フィラーに予め空隙を埋めるように計算した分量の液晶性化合物を混合しておき、無機フィラー同士を重合させてもよい。
<溶媒>
放熱部材用組成物は溶媒を含有してもよい。重合させる必要がある成分を該組成物中に含む場合、重合は溶媒中で行っても、無溶媒で行ってもよい。溶媒を含有する該組成物を基板上に、例えばスピンコート法などにより塗布した後、溶媒を除去してから光重合させてもよい。また、光硬化後適当な温度に加温して熱硬化により後処理を行ってもよい。
好ましい溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、PGMEAなどが挙げられる。上記溶媒は1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、重合時の溶媒の使用割合を限定することにはあまり意味がなく、重合効率、溶媒コスト、エネルギーコストなどを考慮して、個々のケースごとに決定すればよい。
<その他>
放熱部材用組成物には、取扱いを容易にするために、安定剤を添加してもよい。このような安定剤としては、公知のものを制限なく使用でき、例えば、ハイドロキノン、4−エトキシフェノールおよび3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)などが挙げられる。
さらに、放熱部材用組成物の粘度や色を調整するために添加剤(酸化物等)を添加してもよい。例えば、白色にするための酸化チタン、黒色にするためのカーボンブラック、粘度を調整するためのシリカの微粉末を挙げることができる。また、機械的強度をさらに増すために添加剤を添加してもよい。例えば、ガラスファイバー、カーボンファイバー、カーボンナノチューブなどの無機繊維やクロス、または高分子添加剤として、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミドなどの繊維または長分子を挙げることができる。
<製造方法>
以下、放熱部材用組成物を製造する方法、および該組成物から放熱部材を製造する方法について具体的に説明する。
(1)カップリング処理を施す
第2の無機フィラーにカップリング処理を施し、第2のシランカップリング剤の一端と第2の無機フィラーとを結合させることで、第2のシランカップリング剤の一端と結合した第2の無機フィラーとする。カップリング処理は、公知の方法を用いることができる。
一例として、まず無機フィラーとシランカップリング剤を溶媒に加える。スターラー等を用いて撹拌したのち、乾燥する。溶媒乾燥後に、真空乾燥機等を用いて、真空条件下で加熱処理をする。この無機フィラーに溶媒を加えて、超音波処理により粉砕する。遠心分離機を用いてこの溶液を分離精製する。上澄みを捨てたのち、溶媒を加えて同様の操作を数回行う。オーブンを用いて精製後のカップリング処理を施した無機フィラーを乾燥させる。
(2)カルボン酸無水物で修飾する
カップリング処理を施し、第1のシランカップリング剤の一端と結合した第1の無機フィラー(上記(1)で得られる第2のシランカップリング剤の一端と結合した第2の無機フィラーと同じであってもよく、異なっていてもよい)の、シランカップリング剤の他端に2官能以上のカルボン酸無水物を結合させる。このようにカルボン酸無水物で修飾し、第1のシランカップリング剤の一端と結合した第1の無機フィラーとする。
一例として、カップリング処理された無機フィラーと2官能以上のカルボン酸無水物を、メノウ乳鉢等を用いて混合したのち、2軸ロール等を用いて混練する。その後、超音波処理および遠心分離によって分離精製する。
(3)混合する
カルボン酸無水物で修飾し、第1のシランカップリング剤の一端と結合した第1の無機フィラーと第2のシランカップリング剤の一端と結合した第2の無機フィラーとを、例えば無機フィラーのみの重量が重量比で1:1になるように量り取り、メノウ乳鉢等で混合する。その後2軸ロール等を用いて混合し、放熱部材用組成物を得る。
第1の無機フィラーと第2の無機フィラーの混合割合は、第1の無機フィラーと第2の無機フィラー間の結合を形成する結合基がそれぞれアミン:エポキシの場合、無機フィラーのみの重量は例えば、1:1〜1:30であることが好ましく、より好ましくは1:3〜1:20である。混合割合は、第1の無機フィラーと第2の無機フィラー間の結合を形成する末端の結合基の数により決定し、例えば2級アミンで有れば2個のオキシラニル基と反応できるため、オキシラニル基側に比べて少量でよく、オキシラニル基側は開環してしまっている可能性もありエポキシ当量から計算される量を多めに使用することが好ましい。
(4)放熱部材を製造する
一例として、放熱部材用組成物を用いて、放熱部材としてのフィルムを製造する方法を説明する。放熱部材用組成物を、圧縮成形機を用いて加熱板中にはさみ、圧縮成形により配向・硬化成形する。さらに、オーブン等を用いて後硬化を行い、本発明の放熱部材を得る。なお、圧縮成形時の圧力は、50〜200kgf/cmが好ましく、より好ましくは70〜180kgf/cmである。硬化時の圧力は基本的には高い方が好ましい。しかし、金型内での流動性や、目的とする物性(どちら向きの熱伝導率を重視するかなど)によって適宜変更し、適切な圧力を加えることが好ましい。
以下、溶媒を含有する放熱部材用組成物を用いて、放熱部材としてのフィルムを製造する方法について具体的に説明する。
まず、基板上に該組成物を塗布し、溶媒を乾燥除去して膜厚の均一な塗膜層を形成する。塗布方法としては、例えば、スピンコート、ロールコート、カテンコート、フローコート、プリント、マイクログラビアコート、グラビアコート、ワイヤーバーコート、ディップコート、スプレーコート、メニスカスコート法などが挙げられる。
溶媒の乾燥除去は、例えば、室温での風乾、ホットプレートでの乾燥、乾燥炉での乾燥、温風や熱風の吹き付けなどにより行うことができる。溶媒除去の条件は特に限定されず、溶媒がおおむね除去され、塗膜層の流動性がなくなるまで乾燥すればよい。
上記基板としては、例えば、銅、アルミニウム、鉄、などの金属基板;シリコン、窒化ケイ素、窒化ガリウム、酸化亜鉛などの無機半導体基板;アルカリガラス、ホウ珪酸ガラス、フリントガラスなどのガラス基板、アルミナ、窒化アルミニウムなどの無機絶縁基板;ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロース、トリアセチルセルロースもしくはその部分鹸化物、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノルボルネン樹脂などのプラスティックフィルム基板などが挙げられる。
上記フィルム基板は、一軸延伸フィルムでも、二軸延伸フィルムであってもよい。上記フィルム基板は、事前に鹸化処理、コロナ処理、プラズマ処理などの表面処理を施してもよい。なお、これらのフィルム基板上には、上記放熱部材用組成物に含まれる溶媒に侵されないような保護層を形成してもよい。保護層として用いられる材料としては、例えばポリビニルアルコールが挙げられる。さらに、保護層と基板の密着性を高めるためにアンカーコート層を形成させてもよい。このようなアンカーコート層は保護層と基板の密着性を高めるものであれば、無機系および有機系のいずれの材料であってもよい。
以上、無機フィラー同士の結合を、カップリング処理された無機フィラーと、カップリング処理されさらにカルボン酸無水物で修飾された無機フィラーで構成する場合を説明した。具体的には、例えば、第2の無機フィラーを、アミノを有するシランカップリング剤でカップリング処理する。第1の無機フィラーを、アミノを有するシランカップリング剤でカップリング処理した後、アミノと、両末端にカルボン酸無水物を有する化合物の一端と結合させる。最後に第2の無機フィラー側のアミノと、第1の無機フィラー側のカルボン酸無水物が有するCOO基の他方とを結合させる。なお、無機フィラー側がエポキシを有し、カルボン酸無水物側がカルボン酸を有する組合せであってもよい。
または、他の方法として、シランカップリング剤で処理した第1、第2の無機フィラーと、シランカップリング剤の修飾量から計算した2官能以上のカルボン酸無水物を混合しプレスしてもよい。加圧したまま加温することにより、まずカルボン酸無水物が流動性を有し無機フィラーの隙間に染み込む。さらに加温することにより、カルボン酸無水物がシランカップリング剤と結合し、第1の無機フィラーと第2の無機フィラー間の結合を形成できる(すなわち硬化する)。
このように、シランカップリング剤同士の結合により、無機フィラー間の結合を形成してもよい。例えば、第1の無機フィラーを、アミノを有するシランカップリング剤でカップリング処理する。第2の無機フィラーを、カルボン酸を有するシランカップリング剤でカップリング処理する。最後に第1の無機フィラー側のアミノと第2の無機フィラー側のエポキシとを結合させる。このように、第1の無機フィラーに結合したシランカップリング剤と第2の無機フィラーに結合したシランカップリング剤は、シランカップリング剤同士を結合させる官能基をそれぞれ有する。第1の無機フィラー側の官能基と第2の無機フィラー側の官能基は、シランカップリング剤同士の結合が可能になる限り、異なるものの組合せでもよく、同一のものの組合せでもよい。
シランカップリング剤同士の結合を形成する官能基の組合せとしては、例えば、オキシラニルとアミノ、ビニル同士、メタクリロキシ同士、カルボキシまたはカルボン酸無水物残基とアミノ、イミダゾールとオキシラニル等の組合せを挙げることができるが、これらに限られない。耐熱性の高い官能基の組合せがより好ましい。
シランカップリング剤同士の結合により無機フィラー間に結合を形成する態様では、シランカップリング剤の少なくともどちらか一方がその構造中にカルボン酸無水物を含むことが好ましい。
このように、シランカップリング剤およびカルボン酸無水物を適宜選択することにより、第1の無機フィラーと第2の無機フィラーを繋ぐことができ、本発明の放熱部材用組成物から極めて高い熱伝導性と熱膨張率の制御性を有する放熱部材を得ることができる。なお、上記の官能基は例示であり、本発明の効果を得られる限り上記の官能基に限られない。
[放熱部材]
本発明の放熱部材は、放熱部材用組成物を硬化させ、用途に応じて成形した硬化物である。この硬化物は、高い熱伝導性と高い耐熱性を同時に有することから放熱部材として好適に用いることができる。さらに、硬化物は、熱膨張率が負かまたは非常に小さい正にすることができ、化学的安定性、硬度および機械的強度などに優れている。なお、前記機械的強度とは、ヤング率、引っ張り強度、引き裂き強度、曲げ強度、曲げ弾性率、衝撃強度などである。放熱部材は、放熱板、放熱シート、放熱フィルム、放熱接着材、放熱成形品などに有用である。
本発明において、熱伝導性は、垂直方向の熱伝導率により評価することができる。ここで、垂直方向とは、一般的に試料の厚み方向を示す。本発明の放熱部材の垂直方向の熱伝導率は、窒化ホウ素を用いた場合は5(W/mK)以上であることが好ましく、9(W/mK)以上であることがより好ましい。この範囲であれば、熱伝導に優れることから、放熱板などに好適に利用できる。
また、本発明において、耐熱性は、5%重量減少温度の測定により評価することができる。本発明の放熱部材の5%重量減少温度は、280℃以上であることが好ましく、290℃以上であることがより好ましく、300℃以上であることが最も好ましい。この範囲であれば、高パワー向け放熱部材への用途に好適に利用できる。
本発明において、熱膨張性は熱膨張率により評価することができる。ここで、熱膨張率とは、50〜200℃の範囲での試料の平面方向における伸び率を示す。本発明の放熱部材の熱膨張率は、−20〜50(ppm/K)であることが好ましく、−5〜20(ppm/K)であることがより好ましい。この範囲であれば、非熱膨張性に優れることから、発熱する金属基板へのダイアタッチメントなどに好適に利用できる。
熱重合により放熱部材用組成物を硬化させる前硬化の条件としては、熱硬化温度が、室温〜350℃、好ましくは室温〜300℃、より好ましくは120℃〜250℃の範囲であり、硬化時間は、5秒〜10時間、好ましくは1分〜5時間、より好ましくは5分〜1時間の範囲である。重合後は、応力ひずみなど抑制するために徐冷することが好ましい。また、再加熱処理を行い、ひずみなどを緩和させてもよい。
放熱部材は、シート、フィルム、薄膜、繊維、成形体などの形状で使用する。好ましい形状は、板、シート、フィルムおよび薄膜である。なお、本明細書におけるシートの膜厚は1mm以上であり、フィルムの膜厚は5μm以上、好ましくは10〜500μm、より好ましくは20〜300μmであり、薄膜の膜厚は5μm未満である。膜厚は、用途に応じて適宜変更すればよい。放熱部材用組成物は、そのまま接着剤や充填剤として使用することもできる。
[電子機器]
本発明の電子機器は、本発明の放熱部材と、発熱部または冷却部を有する電子デバイスとを備える。放熱部材は、前記発熱部に接触するように電子デバイスに配置される。放熱部材の形状は、放熱電子基板、放熱板、放熱シート、放熱フィルム、放熱接着材、放熱成形品などのいずれであってもよい。
例えば、電子デバイスとして、半導体モジュールを挙げることができる。本発明の放熱部材は、低熱膨張性に加え、高熱伝導性、高耐熱性、高絶縁性を有することから、半導体素子の中でも高電力のためより効率的な放熱機構を必要とする絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor、IGBT)に特に有効である。IGBTは半導体素子の一つで、MOSFETをゲート部に組み込んだバイポーラトランジスタであり、電力制御の用途で使用される。IGBTを備えた電子機器には、大電力インバータの主変換素子、無停電電源装置、交流電動機の可変電圧可変周波数制御装置、鉄道車両の制御装置、ハイブリッドカー、エレクトリックカーなどの電動輸送機器、IH調理器などを挙げることができる。
以上、本発明をカップリング処理した第2の無機フィラーと、カップリング処理後さらにカルボン酸無水物で修飾した第1の無機フィラーとを結合させて、無機フィラー間に結合を形成し、低い熱膨張性と、高い熱伝導性と高い耐熱性を有する放熱部材を得るとして説明したが、本発明はこれに限られない。カップリング処理後さらにカルボン酸無水物で修飾した第2の無機フィラーと、カップリング処理した第1の無機フィラーとを結合させて、無機フィラー間に結合を形成させてもよい。
さらには、カップリング処理後さらにカルボン酸無水物で修飾した無機フィラーのみを用いて、適切な重合開始剤等によりカルボン酸無水物同士を結合させて、無機フィラー間に結合を形成してもよい。
すなわち、本発明は、無機材料と有機材料の複合化において、無機材料間に有機化合物で結合を形成し、熱伝導性を著しく向上させ、さらに耐熱性を向上させたものである。
以下に、実施例を用いて、本発明を詳細に説明する。しかし本発明は、以下の実施例に記載された内容に限定されるものではない。
本発明の実施例に用いた、放熱部材を構成する材料は次のとおりである。
<カルボン酸無水物>
・1,3−イソベンゾフランジオン,5,5’−(1,4−ブタンジイル)ビス−5,5’−(1,4−ブタンジイル)ビス[1,3−イソベンゾフランジオン]:下記式(8−1)で示される化合物(JNC(株)製)
Figure 2019044646
・1,3−イソベンゾフランジオン,5,5’−(1,8−オクタンジイル)ビス−5,5’−(1,8−オクタンジイル)ビス[1,3−イソベンゾフランジオン]:下記式(8−2)で示される化合物(JNC(株)製)
Figure 2019044646
・テトラヒドロ−[3,3’−ビフラン]−2,2’,5,5−テトラオン:下記式(8−3)で示される化合物(新日本理化(株)製)(商品名)リカシッド BT−100
Figure 2019044646
・4,4’−(エタン−1,2−ジイル)ビス(モノフォリン−2,6−ジオン):下記式(8−4)で示される化合物(JNC(株)製)
Figure 2019044646
<重合性液晶化合物>
・液晶性エポキシ化合物:下記式(9−1)で示される化合物(JNC(株)製)。
該化合物は、特許第5084148号公報に記載の方法で合成することができる。
Figure 2019044646
<無機フィラー>
・窒化ホウ素:h−BN粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(合)製、(商品名)PolarTherm PTX−25)
<シランカップリング剤>
・シランカップリング剤1:下記式(10−1)で示されるN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(JNC(株)製、(商品名)サイラエース S320)
Figure 2019044646
・シランカップリング剤2:下記式(10−2)で示される3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製、(商品名)KBM−903)
Figure 2019044646
[実施例1]
<放熱部材の調製>
以下に、放熱部材の調製例を示す。
・シランカップリング剤処理窒化ホウ素粒子の準備
窒化ホウ素粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製PTX−25)15gとシランカップリング剤1を2.25g、トルエン100mLに加え、スターラーを用いて500rpmで1時間攪拌し、得られた混合物を40℃で4時間乾燥した。さらに、溶媒乾燥後に120℃に設定した真空乾燥機を用いて真空条件下で5時間加熱処理した。得られた粒子を、第2の無機フィラー(BN)とした。
第2の無機フィラーと式(8−1)で示される化合物を、それぞれ1.0gずつ量り取り、2本ロール((株)井元製作所製IMC−AE00型)を用いて120℃で10分混合した。この重量比は第2の無機フィラーが有するアミノ基が十分に反応する酸無水物基の個数並びに2本ロール上で双方が十分に練り合わせられる量である。得られた混合物をテトラヒドロフラン45mLに加え、十分攪拌した後、遠心分離機(日立工機(株)製高速冷却遠心機CR22形、4,000回転×10分×25℃)で不溶分を沈降させ、デカンテーションで未反応の酸無水物が溶解した分を含む溶液を取り除いた。その後、アセトン45mLを加え、前述と同様の操作を行った。さらに、テトラヒドロフラン、アセトンの順に同様の操作を繰り返した。不溶分を乾燥して得られた粒子を、第1の無機フィラーとした。
第1の無機フィラーおよび第2の無機フィラーのシランカップリング剤または酸無水物のBNに対する被覆量は、熱重量/示差熱測定装置((株)リガク製TG−8121))を用いて、その900℃における加熱減量から算出した。
・第1の無機フィラーと第2の無機フィラーとの混合および成形・硬化
作製した第2の無機フィラーを0.10gと第1の無機フィラーを0.26gとを量り取り、混合した。
得られた混合物を酸化されないように金枠を用いてステンレス製板中にはさみ、150℃に設定した圧縮成形機((株)井元製作所製IMC−19EC)を用いて30MPaまで加圧し、15分間加熱状態を続けることで、配向処理と前硬化を行った。すなわちステンレス板の間を混合物が広がる際に、BNは板状粒子であるため、粒子とステンレス板が平行になるように配向させた。試料の厚みが約500μmになるように、金枠と試料の量を調整した。さらに真空オーブンを用いて80℃で3時間、200℃で14時間硬化を行った。この操作で得られた試料を放熱部材とする。
・熱重量(TG)の測定
得られた試料の無機フィラーに対する被覆量は、熱重量・示差熱測定装置((株)リガク製TG−8121)を用いて、その900℃における加熱減量から算出した。
また、放熱部材の5%重量減少温度は、前記の測定装置を用いて、140℃から900℃への減少量を100重量%とした際の5重量%減少した時の温度から算出した。
・熱膨張率の評価
得られた試料から、4×20mmの試験片を切り出し、熱膨張率(SII(株)TMA−SS6100熱機械分析装置で測定した。)を、50〜200℃の範囲で求めた。試験片の長さや温度の範囲は、測定する試料の形状や耐熱性により適宜調整した。
・熱伝導率の評価
熱伝導率は、予め放熱部材の比熱((株)リガク DSC−8231、DSC型入力補償型示差走査熱量測定装置で測定した。)と比重(メトラー・トレド製比重計AG204密度測定キットにより測定した。)を求めておき、その値を(株)アイフェイズ製 ai−Phase Mobile 1u 熱拡散率測定装置により求めた熱拡散率を掛け合わせることにより垂直方向の熱伝導率を求めた。
[実施例2]
式(8−2)を式(8−1)の代わりに使用した以外は、 実施例1と同様に試料を作製し、測定を行った。
[実施例3]
式(8−3)を式(8−1)の代わりに使用した以外は、 実施例1と同様に試料を作製し、測定を行った。
[実施例4]
式(8−4)を式(8−1)の代わりに使用した以外は、 実施例1と同様に試料を作製し、測定を行った。
[比較例1]
式(9−1)を式(8−1)の代わりに使用した以外は、 実施例1と同様に試料を作製し、測定を行った。前硬化の後、真空オーブンを用いて150℃で5時間硬化を行った。
実施例1、2、4、比較例1の熱機械分析装置による測定結果を図4〜図7にまとめた。各測定ともに1回目と2回目の挙動がほぼ同じであった。耐熱温度や温度サイクルの繰り返し安定性が良いことがわかる。
実施例1〜4、比較例1の5重量%減少温度、熱伝導率および熱膨張率の測定結果を表1にまとめた。
Figure 2019044646
通常の高熱伝導フィラーをエポキシ樹脂と硬化剤に分散させる方法では、例えば、比較例1のように、ガラス転移温度の前後で熱膨張率が大きく変化する。比較例1では、耐熱性と熱膨張性に優れた液晶性エポキシ化合物を使用しているため、比較的、高い熱膨張率と耐熱温度を示しているが、通常のビスフェノール型エポキシ化合物とシリカとジアミン系硬化剤の複合材では、その熱膨張率は50×10−6/K程度で、耐熱温度も120℃程度といわれている。それと比べて、本発明のカルボン酸無水物基をシランカップリング剤でBNに直接結合させた場合では、明確なガラス転移点が認められず、温度に対する熱膨張率の変化が非常に小さい。また、熱膨張率自体も非常に小さい特徴を持つ。エポキシとアミンの結合に比べ、無水フタル酸とアミンとが反応してできたイミド結合のほうが、耐熱性が高いためと考えられる。したがって耐熱性が特に求められる用途では、他にもマレイミドなど耐熱性の高い結合を使用することが好ましいことがわかる。
本発明の放熱部材用組成物から形成された放熱部材は、極めて高い熱伝導性と耐熱性を同時に有することから、例えば、放熱基板、放熱板(面状ヒートシンク)、放熱シート、放熱塗膜、放熱接着剤などに利用することができる。
1 第1の無機フィラー
2 第2の無機フィラー
11 第1のシランカップリング剤
12 第2のシランカップリング剤
21 2官能以上のカルボン酸無水物
3 第1のシランカップリング剤と2官能以上のカルボン酸無水物と第2のシランカップリング剤とが結合した部位

Claims (13)

  1. 第1のシランカップリング剤の一端と結合した第1の無機フィラー、第2のシランカップリング剤の一端と結合した第2の無機フィラーおよび2官能以上のカルボン酸無水物を含有する、放熱部材用組成物。
  2. 第1のシランカップリング剤の一端と結合した第1の無機フィラーは、前記第1のシランカップリング剤の他端と2官能以上のカルボン酸無水物とが結合している請求項1に記載の放熱部材用組成物。
  3. 前記2官能以上のカルボン酸無水物が、無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水酢酸、無水プロピオン酸および無水安息香酸からなる群から選ばれる少なくとも1つであるカルボン酸無水物である、
    請求項1または2に記載の放熱部材用組成物。
  4. 前記2官能以上のカルボン酸無水物が、式(1)、式(2)および式(3)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項1または2に記載の放熱部材用組成物。
    Figure 2019044646
    [上記式(1)、(2)および(3)中、
    は単結合、炭素数1〜20のアルキル、炭素数4〜8のシクロアルキル、アリールおよび炭素数7〜20のアリールアルキルから独立して選択される基である。]
  5. 前記2官能以上のカルボン酸無水物が、式(4)および式(5)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項1または2に記載の放熱部材用組成物。

    Figure 2019044646

    [上記式(4)および(5)中、
    は単結合、炭素数1〜20のアルキル、炭素数4〜8のシクロアルキル、アリールおよび炭素数7〜20のアリールアルキルから独立して選択される基である。式(4)および式(5)のそれぞれにおいて、Rは独立して炭素または窒素である。]
  6. 前記2官能以上のカルボン酸無水物が、式(6)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項1または2に記載の放熱部材用組成物。
    Figure 2019044646
    [上記式(6)中、
    およびRは、炭素数4〜8のシクロアルキル、アリールおよび炭素数7〜20のアリールアルキルから独立して選択される基である。式(6)において、nは独立して1〜4である。]
  7. 前記第1の無機フィラーと前記第2の無機フィラーが、窒化物、金属酸化物、珪酸塩化合物、または炭素材料である、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の放熱部材用組成物。
  8. 前記第1の無機フィラーと前記第2の無機フィラーが、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ホウ素、窒化ホウ素炭素、黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ、アルミナおよびコーディエライトから選ばれる少なくとも一つである、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の放熱部材用組成物。
  9. 前記第1の無機フィラーおよび前記第2の無機フィラーと異なる熱膨張率を持つ第3の無機フィラーをさらに含む、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の放熱部材用組成物。
  10. 前記第1の無機フィラーおよび前記第2の無機フィラーに結合していない、重合性化合物または高分子化合物をさらに含む、
    請求項1〜9のいずれか1項に記載の放熱部材用組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の放熱部材用組成物が硬化した、
    放熱部材。
  12. 請求項11に記載の放熱部材と、
    発熱部を有する電子デバイスとを備え、
    前記放熱部材が前記発熱部に接触するように前記電子デバイスに配置された、
    電子機器。
  13. 第1の無機フィラーを、第1のシランカップリング剤の一端と結合させる工程と、
    第2の無機フィラーを、第2のシランカップリング剤の一端と結合させる工程とを備え、さらに、
    前記第1のシランカップリング剤の他端と前記第2のシランカップリング剤の他端をそれぞれ2官能以上のカルボン酸無水物に結合させる工程を備える、
    放熱部材用組成物の製造方法。
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