JPWO2019009143A1 - 赤外線受光素子の製造方法、光センサの製造方法、積層体、レジスト組成物およびキット - Google Patents

赤外線受光素子の製造方法、光センサの製造方法、積層体、レジスト組成物およびキット Download PDF

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Abstract

赤外線のS/N比を高めて検出できる赤外線受光素子の製造方法および光センサの製造方法を提供する。また、積層体、レジスト組成物およびキットを提供する。本発明の赤外線受光素子の製造方法は、レジスト組成物を用いて支持体上に厚さ5μm以上のレジスト膜のパターンを形成したのち、レジスト膜のパターンをマスクとして支持体に対してイオン注入を行う。また、本発明の光センサの製造方法は、本発明の赤外線受光素子の製造方法により赤外線受光素子を製造し、次いで、赤外線受光素子のイオン注入が行われた領域上の少なくとも一部に、可視光を遮光し赤外線の少なくとも一部を透過させる赤外線透過フィルタ層を形成する。

Description

本発明は、赤外線受光素子の製造方法および光センサの製造方法に関する。また、本発明は、赤外線受光素子の製造方法に用いられる積層体およびレジスト組成物に関する。また、本発明は、光センサの製造方法に用いられるキットに関する。
ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話などには、カラー画像の固体撮像素子である、CCD(電荷結合素子)や、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)が用いられている。これら固体撮像素子の製造工程においては、支持体上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして支持体に対してイオン注入することが行なわれている(例えば、特許文献1、2参照)。
また、特許文献3には、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分(A)および露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)が有機溶剤(S)に溶解してなり、有機溶剤(S)が、プロピレングリコールモノメチルエーテル10〜95質量%と、その他の溶剤(S2)5〜90質量%との混合溶剤であるポジ型レジスト組成物を用いて膜厚1〜15μmの厚膜レジスト膜を形成する工程、厚膜レジスト膜を選択的に露光する工程、および厚膜レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法に関する発明が記載されている。
一方、近年において、赤外線に感知する光センサについての検討がなされている。赤外線は可視光線に比べて波長が長いので散乱しにくく、距離計測や、3次元計測などにも活用可能である。また、赤外線は人間、動物などの目に見えないので、夜間に被写体を赤外線で照らしても被写体に気付かれることなく、夜行性の野生動物を撮影する用途、防犯用途として相手を刺激せずに撮影することにも使用可能である。このように、赤外線に感知する光センサは、様々な用途に展開が可能である。
特開2011−205109号公報 特開2015−213156号公報 特開2007−248727号公報
光センサにおいて、センシング精度や画質などを高めるにあたり、目的の光の信号/雑音比(S/N比)を高めて検出することが望ましい。
一方、従来の可視光の受光に用いられる素子の製造においては、支持体上に厚さ4μm以下のレジスト膜のパターンを形成したのち、このレジスト膜のパターンをマスクとして支持体に対してイオン注入を行っていた。本発明者の検討によれば、このような素子を用いて赤外線に感知する光センサを製造したところ、ノイズを含みやすく、赤外線に対するS/N比が十分ではないことが分かった。
よって、本発明の目的は、赤外線のS/N比を高めて検出できる赤外線受光素子の製造方法および光センサの製造方法を提供することにある。また、本発明の目的は、この赤外線受光素子の製造方法に用いられる積層体およびレジスト組成物を提供することにある。また、本発明の目的は、この光センサの製造方法に用いられるキットを提供することにある。
本発明者の検討によれば、支持体上に厚さ5μm以上のレジスト膜のパターンを形成したのち、このレジスト膜のパターンをマスクとして支持体に対してイオン注入を行うことにより、赤外線に対するS/N比の高い赤外線受光素子を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。よって、本発明は以下を提供する。
<1> レジスト組成物を用いて支持体上に厚さ5μm以上のレジスト膜のパターンを形成したのち、レジスト膜のパターンをマスクとして支持体に対してイオン注入を行う、赤外線受光素子の製造方法。
<2> レジスト組成物の1回の塗布で厚さ5μm以上のレジスト膜を形成する、<1>に記載の赤外線受光素子の製造方法。
<3> レジスト組成物の固形分濃度が25質量%以上である、<1>または<2>に記載の赤外線受光素子の製造方法。
<4> レジスト組成物の25℃における粘度が100〜1000mPa・sである、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の赤外線受光素子の製造方法。
<5> レジスト組成物は樹脂を含み、レジスト組成物の固形分中における樹脂の含有量が95.0〜99.9質量%である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の赤外線受光素子の製造方法。
<6> 樹脂の大西パラメータが3.0以下である、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の赤外線受光素子の製造方法。
<7> 樹脂の大西パラメータが2.8以下である、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の赤外線受光素子の製造方法。
<8> レジスト組成物は、ポジ型感光性組成物である、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の赤外線受光素子の製造方法。
<9> レジスト組成物は、酸の作用により分解し極性基を生じる基を有する繰り返し単位を有する樹脂と、光酸発生剤とを含有する、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の赤外線受光素子の製造方法。
<10> <1>〜<9>のいずれか1つに記載の赤外線受光素子の製造方法により赤外線受光素子を製造し、次いで、赤外線受光素子のイオン注入が行われた領域上の少なくとも一部に、可視光を遮光し赤外線の少なくとも一部を透過させる赤外線透過フィルタ層を形成する、光センサの製造方法。
<11> レジスト組成物を用いて支持体上に厚さ5μm以上のレジスト膜のパターンを形成したのち、レジスト膜のパターンをマスクとして支持体に対してイオン注入を行う、赤外線受光素子の製造方法に用いられる積層体であって、
支持体上に、厚さ5μm以上のレジスト膜のパターンを有する、積層体。
<12> レジスト膜は樹脂を含み、樹脂の大西パラメータが3.0以下である、<11>に記載の積層体。
<13> レジスト組成物を用いて支持体上に厚さ5μm以上のレジスト膜のパターンを形成したのち、レジスト膜のパターンをマスクとして支持体に対してイオン注入を行う赤外線受光素子の製造方法の、レジスト膜のパターンの形成に用いられるレジスト組成物であって、
酸の作用により分解し極性基を生じる基を有する繰り返し単位を有する樹脂と、光酸発生剤とを含有し、固形分濃度が25質量%以上であるレジスト組成物。
<14> レジスト組成物を用いて支持体上に厚さ5μm以上のレジスト膜のパターンを形成し、
次いで、レジスト膜のパターンをマスクとして支持体に対してイオン注入を行って赤外線受光素子を製造し、
次いで、赤外線受光素子のイオン注入が行われた領域上の少なくとも一部に、可視光を遮光し赤外線の少なくとも一部を透過させる赤外線透過フィルタ層を形成する、
光センサの製造方法に用いられるキットであって、
酸の作用により分解し極性基を生じる基を有する繰り返し単位を有する樹脂と、光酸発生剤とを含有し、固形分濃度が25質量%以上である、レジスト膜のパターンの形成に用いられるレジスト組成物と、
色材を含む赤外線透過フィルタ用組成物と、を含むキット。
本発明によれば、赤外線のS/N比を高めて検出できる赤外線受光素子の製造方法および光センサの製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、この赤外線受光素子の製造方法に用いられる積層体およびレジスト組成物を提供することができる。また、この光センサの製造方法に用いられるキットを提供することができる。
赤外線受光素子の製造方法の説明図であって、レジストパターンを形成する工程を示す図である。 赤外線受光素子の製造方法の説明図であって、イオン注入を行う工程を示す図である。 光センサの一実施形態を示す図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
本明細書において、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた描画も露光に含める。また、露光に用いられる光としては、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線または放射線が挙げられる。
本明細書において、(メタ)アリル基は、アリルおよびメタリルの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルの双方、または、いずれかを表す。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法により測定したポリスチレン換算値である。GPCは、HLC−8120(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSK gel Multipore HXL−M (東ソー(株)製、7.8mmID×30.0cm)を、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた方法に準ずる事ができる。
本明細書において、赤外線とは、波長700〜2500nmの光をいう。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全成分から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
<赤外線受光素子の製造方法、光センサの製造方法>
本発明の赤外線受光素子の製造方法は、レジスト組成物を用いて支持体上に厚さ5μm以上のレジスト膜のパターンを形成したのち、レジスト膜のパターンをマスクとして支持体に対してイオン注入を行う工程を含むことを特徴とする。
また、本発明の光センサの製造方法は、本発明の赤外線受光素子の製造方法により赤外線受光素子を製造し、
次いで、赤外線受光素子のイオン注入が行われた領域上の少なくとも一部に、可視光を遮光し赤外線の少なくとも一部を透過させる赤外線透過フィルタ層を形成する工程を含むことを特徴とする。
本発明によれば、支持体上に厚さ5μm以上のレジスト膜のパターンを形成して、支持体に対してイオン注入を行うことにより、支持体におけるレジスト膜で覆われた部位では、レジスト膜によってイオン注入時に打ち込まれたイオンを効果的に遮蔽でき、支持体にイオンが注入されることを効果的に抑制できると考えられる。このため、支持体のレジスト膜から露出した部位に対して選択的にイオンを注入できると考えられる。支持体に対してこのようにイオン注入を行うことにより、詳細な理由は不明であるが、赤外線に対する感度を高めつつ、ノイズに対する感度を低下させることができ、その結果、後述する実施例に示されるように、赤外線に対するS/N比の高い赤外線受光素子や光センサを製造することができる。
なお、本明細書において、「赤外線受光素子」とは、赤外線の受光に用いられる素子のことを意味する。本発明における「赤外線受光素子」は、赤外線のみの受光に用いられるものに限定されず、赤外線の他に、更に、赤外線以外の光(例えば可視光など)を受光するものであってもよい。例えば、素子の一部の領域で赤外線を受光させ、他の領域で赤外線以外の光(例えば可視光など)を受光させるものであってもよい。赤外線以外の光を受光させるかどうかは、光センサの用途や目的に応じて適宜選択することができる。
以下、本発明の赤外線受光素子の製造方法および光センサの製造方法について詳細に説明する。
(赤外線受光素子の製造方法)
[レジストパターンを形成する工程]
本発明の赤外線受光素子の製造方法においては、レジスト組成物を用いて支持体1上に厚さ5μm以上のレジスト膜のパターン2を形成する(図1)。本発明では、支持体1上にレジスト組成物を塗布してレジスト膜を形成し、このレジスト膜に対してパターン形成を行ってレジスト膜のパターン2を形成することが好ましい。以下、レジスト膜のパターンをレジストパターンともいう。
支持体の種類としては、特に限定は無い。例えば、シリコン基板、ZnO基板等の公知の半導体基板を用いることができる。また、支持体としてInGaAs基板を用いることも好ましい。InGaAs基板は、波長1000nmを超える光に対する感度が良好であるため、InGaAs基板を用いることで、波長1000nmを超える光に対する感度に優れた赤外線受光素子を製造することができる。これらの基板は、ホウ素、アルミニウム、リン、ヒ素などの不純物がドーピングされていてもよい。
レジストパターン2の厚さは、5μm以上であり、6μm以上であることが好ましく、7μm以上であることがより好ましく、8μm以上であることが更に好ましい。上限は特に限定はないが、レジストのパターン形状の観点から15μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。レジストパターン2の厚さが5μm以上であれば、イオン注入時において、打ち込まれたイオンを効果的に遮蔽できる。レジストパターン2の厚さが15μm以下(好ましくは10μm以下)であれば、良好なパターン形状を維持でき、その結果、イオン注入時において狙った範囲に効率よくイオンを注入することができ、赤外線に対するS/N比をより高めることができる。
上記厚さのレジストパターン2は、レジスト組成物を2回以上塗り重ねて形成してもよいが、製造コストの観点から1回の塗布で形成することが好ましい。すなわち、レジスト組成物の1回の塗布で厚さ5μm以上のレジスト膜を形成し、このレジスト膜に対してパターン形成を行って、厚さ5μm以上のレジストパターン2を形成することが好ましい。
レジスト組成物としては、ポジ型感光性組成物、ネガ型感光性組成物のいずれでもよいが、微細なパターンを形成し易いという理由からポジ型感光性組成物であることが好ましい。
レジスト組成物の固形分濃度は、25質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、31質量%以上であることが更に好ましく、32質量%以上であることが特に好ましい。レジスト組成物の固形分濃度が25質量%以上であれば、1回の塗布で厚さ5μm以上のレジスト膜を形成し易い。特に、レジスト組成物の固形分濃度が30質量%以上の場合においては、パターン形状の良いレジストパターンを形成し易い。レジスト組成物の固形分濃度の上限は、45質量%以下であることが好ましく、42.5質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。
レジスト組成物の25℃における粘度は、塗布性の観点から30〜1000mPa・sであることが好ましく、100〜1000mPa・sであることがより好ましい。上限は、800mPa・s以下であることが好ましく、700mPa・s以下であることがより好ましく、600mPa・s以下であることが更に好ましい。下限は、150mPa・s以上であることが好ましく、200mPa・s以上であることがより好ましく、300mPa・s以上であることが更に好ましい。
本発明で用いられるレジスト組成物は樹脂を含み、レジスト組成物の固形分中における樹脂の含有量が95〜99.9質量%であることが好ましく、96〜99.9質量%であることがより好ましく、97〜99.9質量%であることが更に好ましい。
また、レジスト組成物に含まれる樹脂の大西パラメータは、3.0以下であることが好ましく、2.9以下であることがより好ましく、2.8以下であることが更に好ましく、2.7以下であることが特に好ましい。下限は、例えば2.5以上であることが好ましい。レジスト組成物に含まれる樹脂の大西パラメータが3.0以下であれば、赤外線に対するS/N比の高い赤外線受光素子を製造し易い。このような効果が得られる理由としては、イオン注入時に打ち込まれたイオンをより効果的に遮蔽し易いレジスト膜を形成できたためであると推測される。なお、大西パラメータとは、下記式で定義される値である。
大西パラメータ=C、HおよびOの原子数の和/(C原子数−O原子数)
本発明において、レジスト組成物に含まれる樹脂の大西パラメータが3.0以下である場合とは、つぎのことを意味する。すなわち、レジスト組成物に含まれる樹脂が1種類のみである場合は、その樹脂自体の大西パラメータが3.0以下であることを意味する。また、レジスト組成物に含まれる樹脂が2種類以上である場合は、各樹脂の含有量と大西パラメータの積の和から算出される値を意味する。また、各樹脂の大西パラメータは、前述の計算式により算出した値を用いる。
本発明で用いられるレジスト組成物が樹脂を2種類以上含む場合、樹脂全量中における大西パラメータが3.0以下の樹脂(好ましくは大西パラメータが2.8以下の樹脂、より好ましくは大西パラメータが2.7以下の樹脂)の含有量は50〜100質量%であることが好ましく、60〜100質量%であることがより好ましく、75〜100質量%であることが更に好ましい。
レジスト組成物の詳細については後述する。
レジスト組成物の塗布方法としては、特に限定はなく、公知の塗布方法を用いることができる。例えば、滴下法(ドロップキャスト);スリットコート法;スプレー法;ロールコート法;スピンコート法;流延塗布法;スリットアンドスピン法;プリウェット法(たとえば、特開2009−145395号公報に記載されている方法);インクジェット(例えばオンデマンド方式、ピエゾ方式、サーマル方式)、ノズルジェット等の吐出系印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、反転オフセット印刷、メタルマスク印刷法などの各種印刷法;金型等を用いた転写法などが挙げられ、スピンコート法が好ましい。また、スピンコート法での塗布は、1000〜2000rpmの回転数で行うことが好ましい。また、スピンコート法での塗布は、特開平10−142603号公報、特開平11−302413号公報、特開2000−157922号公報に記載されているように、薄膜として広げるためや、振り切り乾燥を行うために、回転速度を塗布中に高めても良い。また「最先端カラーフィルターのプロセス技術とケミカルス」2006年1月31日、シーエムシー出版記載のスピンコートプロセスも好適に使用することができる。
支持体上にレジスト組成物を塗布した後、乾燥処理を行ってもよい。乾燥条件は、レジスト組成物の種類に応じて適宜調整することができる。例えば、乾燥温度は80〜150℃が好ましく、80〜140℃がより好ましく、80〜130℃が更に好ましい。加熱時間は30〜1000秒が好ましく、60〜800秒がより好ましく、60〜600秒が更に好ましい。
次に、パターン形成方法について説明する。パターン形成方法としては、特に限定はなく、従来公知のフォトリソグラフィ法を用いて行うことが好ましい。フォトリソグラフィ法を用いたパターン形成方法としては、支持体上に形成したレジスト膜を活性光線又は放射線で露光する工程(露光工程)、及び、現像液を用いて露光されたレジスト膜を現像する工程(現像工程)を含むことが好ましい。
露光工程は、レジスト膜を露光する工程であり、例えば次の方法により行うことができる。
上記のようにして形成したレジスト膜に対し、所定のマスクを通して活性光線又は放射線を照射する。なお、電子ビームの照射では、マスクを介さない描画(直描)が一般的である。活性光線又は放射線としては特に限定されないが、例えばKrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ、極紫外線(EUV、Extreme Ultra Violet)、電子線(EB、Electron Beam)等であり、極紫外線又は電子線が特に好ましい。露光は液浸露光であってもよい。
ポジ型感光性組成物を用いてレジスト膜を形成した場合においては、露光後、現像を行う前にベーク(加熱)を行うことが好ましい。ベークにより露光部の反応が促進され、感度やパターン形状がより良好となる。加熱温度は80〜150℃が好ましく、80〜140℃がより好ましく、80〜130℃が更に好ましい。加熱時間は30〜1000秒が好ましく、60〜800秒がより好ましく、60〜600秒が更に好ましい。
現像工程は、露光されたレジスト膜を現像液によって現像する工程である。なお、ポジ型感光性組成物を用いてレジスト膜を形成した場合においては、レジスト膜の露光部が現像されて除去される。一方、ネガ型感光性組成物を用いてレジスト膜を形成した場合においては、レジスト膜の未露光部が現像されて除去される。
現像液としては、有機溶剤を含有する現像液(有機系現像液)、アルカリ剤を含む水溶液(アルカリ現像液)などが挙げられる。レジスト膜の種類に応じて適宜選択することができる。
有機系現像液に用いられる有機溶剤としては、種々の有機溶剤が広く使用されるが、たとえば、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、炭化水素系溶剤等の溶剤を用いることができる。有機溶剤としては、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤、フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を含有する有機溶剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶剤であることが好ましく、炭化水素系溶剤、エステル系またはケトン系溶剤が好ましく、エステル系またはケトン系溶剤が更に好ましく、レジスト膜への浸透抑制の観点から、炭素数5以上の炭化水素系溶剤又は炭素数5以上のケトン系溶剤がより好ましく、炭素数7以上の炭化水素系溶剤又は炭素数7以上のケトン系溶剤が特に好ましい。なお、本発明において、エステル系溶剤とは分子内にエステル結合を有する溶剤のことであり、ケトン系溶剤とは分子内にケトン基を有する溶剤のことであり、アルコール系溶剤とは分子内にアルコール性水酸基を有する溶剤のことであり、アミド系溶剤とは分子内にアミド基を有する溶剤のことであり、エーテル系溶剤とは分子内にエーテル結合を有する溶剤のことである。これらの中には、1分子内に上記官能基を複数種有する溶剤も存在するが、その場合は、その溶剤の有する官能基を含むいずれの溶剤種にも相当するものとする。例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテルは、上記分類中の、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤いずれにも相当するものとする。また、炭化水素系溶剤とは置換基を有さない炭化水素溶剤のことである。エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、炭化水素系溶剤の具体例としては、国際公開WO2016/104565号公報の段落番号0021〜0026の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
上記の有機溶剤は、複数混合してもよいし、上記以外の溶剤や水と混合し使用してもよい。但し、本発明の効果を十分に奏するためには、現像液全体としての含水率が10質量%未満であることが好ましく、実質的に水分を含有しないことがより好ましい。現像液における有機溶剤(複数混合の場合は合計)の濃度は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは50〜100質量%、さらに好ましくは85〜100質量%、さらにより好ましくは90〜100質量%、特に好ましくは95〜100質量%である。最も好ましくは、実質的に有機溶剤のみからなる場合である。なお、実質的に有機溶剤のみからなる場合とは、微量の界面活性剤、酸化防止剤、安定剤、消泡剤などを含有する場合を含むものとする。
有機系現像液は、酸化防止剤、塩基性化合物、界面活性剤を含有することも好ましい。酸化防止剤、塩基性化合物としては、国際公開WO2016/104565号公報の段落番号0047〜0078の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。界面活性剤としては、後述のレジスト組成物が含有し得る界面活性剤と同様のものを用いることができる。
アルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラペンチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリアミルアンモニウムヒドロキシド、ジブチルジペンチルアンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類等のアルカリ剤を含む水溶液(アルカリ性水溶液)を使用することができる。アルカリ現像液は、更に、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。アルカリ現像液のアルカリ剤濃度は、0.1〜20質量%であることが好ましい。アルカリ現像液のpHは、10.0〜15.0であることが好ましい。アルカリ現像液としては、特開2014−048500号公報の段落番号0460に記載されたアルカリ現像液を用いることもでき、この内容は本明細書に組み込まれる。
現像方法としては、たとえば、現像液が満たされた槽中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、支持体表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している支持体上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)などを適用することができる。また、現像を行う工程の後に、他の溶媒に置換しながら、現像を停止する工程を実施してもよい。現像時間は特に制限はなく、通常は10〜300秒であり、好ましくは20〜120秒である。現像液の温度は0〜50℃が好ましく、15〜35℃がより好ましい。
現像工程では、有機系現像液を用いた現像と、アルカリ現像液を用いた現像を両方行ってもよい(いわゆる二重現像を行ってもよい)。これにより、より微細なパターンを形成することができる。
現像液を用いて現像を行った場合、リンス処理を行うことも好ましい。アルカリ現像液を用いて現像を行った場合は、リンス処理におけるリンス液としては、純水を使用し、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。有機系現像液を用いて現像を行った場合は、リンス処理におけるリンス液としては、有機溶剤を含むリンス液を用いることが好ましい。リンス液に用いられる有機溶剤としては、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶剤が好ましい。リンス液に用いられる有機溶剤の詳細については、国際公開WO2016/104565号公報の段落番号0081〜0084の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
リンス処理の方法は特に限定されないが、たとえば、一定速度で回転している支持体上にリンス液を吐出しつづける方法(回転吐出法)、リンス液が満たされた槽中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)などを適用することができる。リンス時間には特に制限はないが、好ましくは10秒〜300秒であり、より好ましくは10秒〜180秒であり、最も好ましくは20秒〜120秒である。リンス液の温度は0〜50℃が好ましく、15〜35℃が更に好ましい。
また、現像処理又はリンス処理の後に、パターン上に付着している現像液又はリンス液を超臨界流体により除去する処理を行うことができる。さらに、現像処理又はリンス処理又は超臨界流体による処理の後、パターン中に残存する溶剤を除去するために加熱処理を行うことができる。加熱温度は、良好なレジストパターンが得られる限り特に限定されるものではなく、通常40〜160℃である。加熱温度は50〜150℃が好ましく、50〜110℃が最も好ましい。加熱時間に関しては良好なレジストパターンが得られる限り特に限定されないが、通常15〜300秒であり、好ましくは、15〜180秒である。
[支持体に対してイオン注入を行う工程]
本発明の赤外線受光素子の製造方法では、上述のようにして形成したレジストパターン2をマスクとして支持体1に対してイオン注入を行う(図2)。このようにすることで、支持体表面のレジストパターンからの露出部に不純物が導入されて、支持体1にフォトダイオード部3が形成される。
ここで、イオン注入とは、ドナーやアクセプターとなる不純物をイオン化し、加速して支持体に打ち込んで不純物を導入する方法である。前述の不純物としては、ホウ素、アルミニウムなどのp型不純物、リン、ヒ素などのn型不純物などが挙げられ、目的に応じて適宜選択することが好ましい。例えば、n型半導体基板や、n型ウエルが形成された基板を支持体として用い、この支持体に対してイオン注入を行う場合には、ホウ素、アルミニウムなどのp型不純物を選択することが好ましく、ホウ素がより好ましい。また、p型半導体基板やp型ウエルが形成された基板を支持体として用い、この支持体に対してイオン注入を行う場合には、リン、ヒ素などのn型不純物を選択することが好ましい。
イオン注入条件としては、特に限定はない。例えば、エネルギー量としては、100〜5000KeVが好ましい。上限は、4000KeV以下であることが好ましく、3000KeV以下であることがより好ましく、2000KeV以下であることが更に好ましい。下限は、150KeV以上であることが好ましく、200KeV以上であることがより好ましく、300KeV以上であることが更に好ましい。ドーズ量としては、1×1012〜1×1014cm−2が好ましい。上限は、8×1013cm−2以下であることが好ましく、5×1013cm−2以下であることがより好ましく、3×1013cm−2以下であることが更に好ましい。下限は、2×1012cm−2以上であることが好ましく、3×1012cm−2以上であることがより好ましく、5×1012cm−2以上であることが更に好ましい。
また、イオン注入は、段階的にエネルギー量を低下させて行ってもよく、段階的にエネルギー量を増加させて行ってもよい。段階的にエネルギー量を低下させて行う場合は、レジストパターンがダメージを受けることに由来するノイズを低減できるという効果が期待できる。段階的にエネルギー量を増加させて行う場合は、より深くまでイオンを注入できるので取りだすシグナル強度を大きくできるという効果が期待できる。
このような工程を経て、赤外線受光素子が製造される。本発明においては、イオン注入を行ったのち、支持体からレジストパターンを剥離することが好ましい。レジストパターンの剥離方法としては特に限定は無く、公知の方法を用いることができる。例えば、レジスト除去液を用いて剥離することが好ましい。レジスト除去液としては、特開2014−142635号公報の段落番号0011〜0043を参照でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、支持体からレジストパターンを剥離する前、または、剥離した後に、支持体表面に絶縁膜を形成することも好ましい。絶縁膜の材質としては、SiO、ZrOなどが挙げられる。また、支持体からレジストパターンを剥離した後、絶縁膜、制御電極、金属配線層、ソース電極、ドレイン電極などを形成する工程をさらに有していてもよい。
(光センサの製造方法)
次に、本発明の光センサの製造方法について説明する。本発明の光センサの製造方法は、本発明の赤外線受光素子の製造方法により赤外線受光素子を製造し、
次いで、赤外線受光素子のイオン注入が行われた領域上の少なくとも一部に、可視光を遮光し赤外線の少なくとも一部を透過させる赤外線透過フィルタ層を形成する。
赤外線透過フィルタ層の厚さとしては、特に限定はない。例えば、100μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましく、1μm以下が特に好ましい。下限値は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上が更に好ましい。
赤外線透過フィルタ層の好ましい例として、例えば、以下の(1)〜(4)のいずれかの分光特性を有するフィルタ層が挙げられる。
(1):厚み方向における光の透過率の、波長400〜640nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、厚み方向における光の透過率の、波長800〜1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ層。このフィルタ層によれば、波長400〜640nmの範囲の光を遮光して、波長720nmの赤外線を透過させることができる。
(2):厚み方向における光の透過率の、波長400〜750nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、厚み方向における光の透過率の、波長900〜1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ層。このフィルタ層によれば、波長400〜750nmの範囲の光を遮光して、波長850nmの赤外線を透過させることができる。
(3):厚み方向における光の透過率の、波長400〜850nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、厚み方向における光の透過率の、波長1000〜1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ層。このフィルタ層によれば、波長400〜850nmの範囲の光を遮光して、波長940nmの赤外線を透過させることができる。
(4):厚み方向における光の透過率の、波長400〜950nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、厚み方向における光の透過率の、波長1100〜1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ層。このフィルタ層によれば、波長400〜950nmの範囲の光を遮光して、波長1040nmの赤外線を透過させることができる。
赤外線透過フィルタ層は、色材を含む赤外線透過フィルタ用組成物を、赤外線受光素子に塗布して形成することができる。赤外線透過フィルタ用組成物の詳細については後述する。
赤外線透過フィルタ用組成物の塗布方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、滴下法(ドロップキャスト);スリットコート法;スプレー法;ロールコート法;回転塗布法(スピンコーティング);流延塗布法;スリットアンドスピン法;プリウェット法(たとえば、特開2009−145395号公報に記載されている方法);インクジェット(例えばオンデマンド方式、ピエゾ方式、サーマル方式)、ノズルジェット等の吐出系印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、反転オフセット印刷、メタルマスク印刷法などの各種印刷法;金型等を用いた転写法;ナノインプリント法などが挙げられる。インクジェットでの適用方法としては、特に限定されず、例えば「広がる・使えるインクジェット−特許に見る無限の可能性−、2005年2月発行、住ベテクノリサーチ」に示された方法(特に115ページ〜133ページ)や、特開2003−262716号公報、特開2003−185831号公報、特開2003−261827号公報、特開2012−126830号公報、特開2006−169325号公報などに記載の方法が挙げられる。また、スピンコート法での塗布は、特開平10−142603号公報、特開平11−302413号公報、特開2000−157922号公報に記載されているように、薄膜として広げるためや、振り切り乾燥を行うために、回転速度を塗布中に高めても良い。また「最先端カラーフィルターのプロセス技術とケミカルス」2006年1月31日、シーエムシー出版記載のスピンコートプロセスも好適に使用することができる。
赤外線透過フィルタ用組成物を塗布して形成した組成物層は、乾燥(プリベーク)してもよい。プリベークを行う場合、プリベーク温度は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、110℃以下が更に好ましい。下限は、例えば、50℃以上とすることができ、80℃以上とすることもできる。プリベーク時間は、10秒〜3000秒が好ましく、40〜2500秒がより好ましく、80〜220秒がさらに好ましい。プリベークは、ホットプレート、オーブン等を用いて行うことができる。
赤外線透過フィルタ層を形成するに際して、更にパターンを形成する工程を含んでいてもよい。パターン形成方法としては、フォトリソグラフィ法を用いたパターン形成方法や、ドライエッチング法を用いたパターン形成方法が挙げられる。以下、パターンを形成する工程について詳細に説明する。
(フォトリソグラフィ法でパターン形成する場合)
フォトリソグラフィ法でのパターン形成方法は、組成物層に対しパターン状に露光する工程(露光工程)と、未露光部の組成物層を現像除去してパターンを形成する工程(現像工程)と、を含むことが好ましい。必要に応じて、現像されたパターンをベークする工程(ポストベーク工程)を設けてもよい。以下、各工程について説明する。
<<露光工程>>
露光工程では組成物層をパターン状に露光する。例えば、組成物層に対し、ステッパー等の露光装置を用いて、所定のマスクパターンを有するマスクを介して露光することで、組成物層をパターン露光することができる。これにより、露光部分を硬化することができる。露光に際して用いることができる放射線(光)としては、g線、i線等の紫外線が好ましく、i線がより好ましい。照射量(露光量)は、例えば、0.03〜2.5J/cmが好ましく、0.05〜1.0J/cmがより好ましく、0.08〜0.5J/cmが最も好ましい。露光時における酸素濃度については適宜選択することができ、大気下で行う他に、例えば酸素濃度が19体積%以下の低酸素雰囲気下(例えば、15体積%、5体積%、実質的に無酸素)で露光してもよく、酸素濃度が21体積%を超える高酸素雰囲気下(例えば、22体積%、30体積%、50体積%)で露光してもよい。また、露光照度は適宜設定することが可能であり、通常1000W/m〜100000W/m(例えば、5000W/m、15000W/m、35000W/m)の範囲から選択することができる。酸素濃度と露光照度は適宜条件を組み合わせてよく、例えば、酸素濃度10体積%で照度10000W/m、酸素濃度35体積%で照度20000W/mなどとすることができる。
<<現像工程>>
次に、露光後の組成物層における未露光部の組成物層を現像除去してパターンを形成する。未露光部の組成物層の現像除去は、現像液を用いて行うことができる。これにより、露光工程における未露光部の組成物層が現像液に溶出し、光硬化した部分だけが支持体上に残る。現像液としては、下地の固体撮像素子や回路などにダメージを与えない、アルカリ現像液が望ましい。現像液の温度は、例えば、20〜30℃が好ましい。現像時間は、20〜180秒が好ましい。また、残渣除去性を向上するため、現像液を60秒ごとに振り切り、更に新たに現像液を供給する工程を数回繰り返してもよい。
現像液に用いるアルカリ剤としては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジグリコールアミン、ジエタノールアミン、ヒドロキシアミン、エチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどの無機アルカリ性化合物が挙げられる。アルカリ剤は、分子量が大きい化合物の方が環境面および安全面で好ましい。現像液は、これらのアルカリ剤を純水で希釈したアルカリ性水溶液が好ましく使用される。アルカリ性水溶液のアルカリ剤の濃度は、0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。また、現像液には、界面活性剤を添加して用いてもよい。現像液は、移送や保管の便宜などの観点より、一旦濃縮液として製造し、使用時に必要な濃度に希釈してもよい。希釈倍率は特に限定されないが、例えば1.5〜100倍の範囲に設定することができる。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、現像後純水で洗浄(リンス)することが好ましい。
現像後、乾燥を施した後に加熱処理(ポストベーク)を行うこともできる。ポストベークは、膜の硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理である。ポストベークを行う場合、ポストベーク温度は、例えば50〜240℃が好ましい。膜硬化の観点から、200〜230℃がより好ましい。
(ドライエッチング法でパターン形成する場合)
ドライエッチング法でのパターン形成は、組成物層を硬化して硬化物層を形成し、次いで、この硬化物層上にパターニングされたフォトレジスト層を形成し、次いで、パターニングされたフォトレジスト層をマスクとして硬化物層に対してエッチングガスを用いてドライエッチングするなどの方法で行うことができる。フォトレジスト層の形成においては、更にプリベーク処理を施すことが好ましい。特に、フォトレジストの形成プロセスとしては、露光後の加熱処理、現像後の加熱処理(ポストベーク処理)を実施する形態が望ましい。ドライエッチング法でのパターン形成については、特開2013−064993号公報の段落番号0010〜0067の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
本発明の光センサの製造方法は、更に、カラーフィルタ層や、赤外線カットフィルタ層などの赤外線透過フィルタ層以外の他の層を形成する工程を含んでいてもよい。これらの他の層は、赤外線透過フィルタ層を形成する前に形成してもよく、赤外線透過フィルタ層を形成した後に形成してもよい。
固体撮像素子等の光センサを作製するための材料 (カバーガラスなども含めた各種材料) は、α線を発生しない材料であることが好ましい。材料からのα線発生を抑制するために、材料が含むウランやトリウムなどの放射性元素を低減した高純度材料を使用することが好ましい。ウラン、トリウムの含有量は5質量ppb以下であることが好ましく、1質量ppb以下であることが好ましい。ウラン、トリウムは実質含まれないことが好ましいが、高純度化とコストのバランスから、ソフトエラーが起きない範囲で含んでいても良い。また、α線を発生する材料を、α線を遮蔽する材料で被覆して用いることも好ましい。
光センサの一実施形態について、図3を用いて説明する。この光センサは、赤外線受光素子110の撮像領域に、赤外線カットフィルタ層111と、赤外線透過フィルタ層114が形成されている。また、赤外線カットフィルタ層111上には、カラーフィルタ層112が積層している。カラーフィルタ層112および赤外線透過フィルタ層114の入射光hν側には、マイクロレンズ115が配置されている。そして、マイクロレンズ115を覆うように平坦化層116が形成されている。
なお、図3に示す光センサは、赤外線透過フィルタ層114の他に、カラーフィルタ層112と赤外線カットフィルタ層111とを有しているが、カラーフィルタ層112と赤外線カットフィルタ層111を設けない態様とすることもできる。
<積層体>
次に、本発明の積層体について説明する。
本発明の積層体は、上述した本発明の赤外線受光素子の製造方法に用いられる積層体であって、
支持体上に、厚さ5μm以上のレジスト膜のパターンを有する、積層体である。
支持体としては、上述した支持体が挙げられる。レジストの厚さは、5μm以上であり、6μm以上であることが好ましく、7μm以上であることがより好ましく、8μm以上であることが更に好ましい。
レジスト膜は、樹脂を含み、この樹脂の大西パラメータが3.0以下であることが好ましく、2.9以下であることがより好ましく、2.8以下であることが更に好ましく、2.7以下であることが特に好ましい。樹脂の大西パラメータが3.0以下であれば、赤外線に対するS/N比の高い赤外線受光素子を製造し易い。また、レジスト膜における樹脂の含有量は95.0〜99.9質量%であることが好ましく、96.0〜99.9質量%であることがより好ましく、97.0〜99.9質量%であることが更に好ましい。樹脂の含有量が上記範囲であれば、赤外線に対するS/N比の高い赤外線受光素子を製造し易い。
<レジスト組成物>
次に、本発明の赤外線受光素子の製造方法に用いられるレジスト組成物について説明する。本発明の赤外線受光素子の製造方法に用いられるレジスト組成物は、ポジ型感光性組成物、ネガ型感光性組成物のいずれでもよいが、微細なパターンを形成し易いという理由からポジ型感光性組成物であることが好ましい。また、レジスト組成物としては、酸の作用によって分解し、現像液に対する溶解性が変化する樹脂と、光酸発生剤とを含む組成物であることが好ましい。このようなレジスト組成物は、ポジ型感光性組成物として好ましく用いることができる。
レジスト組成物の固形分濃度は、25質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、31質量%以上であることが更に好ましく、32質量%以上であることが特に好ましい。レジスト組成物の固形分濃度が25質量%以上であれば、1回の塗布で厚さ5μm以上のレジスト膜を形成し易い。特に、レジスト組成物の固形分濃度が30質量%以上の場合においては、パターン形状の良いレジストパターンを形成し易い。レジスト組成物の固形分濃度の上限は、45質量%以下であることが好ましく、42.5質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。
レジスト組成物の25℃における粘度は、塗布性の観点から30〜1000mPa・sであることが好ましく、100〜1000mPa・sであることがより好ましい。上限は、800mPa・s以下であることが好ましく、700mPa・s以下であることがより好ましく、600mPa・s以下であることが更に好ましい。下限は、150mPa・s以上であることが好ましく、200mPa・s以上であることがより好ましく、300mPa・s以上であることが更に好ましい。
本発明のレジスト組成物は、酸の作用により分解し極性基を生じる基を有する繰り返し単位を有する樹脂と、光酸発生剤とを含有し、固形分濃度が25質量%以上であることが好ましい。以下、レジスト組成物に用いられる各成分について説明する。
<<樹脂>>
レジスト組成物は、樹脂を含有することが好ましい。レジスト組成物の固形分中における樹脂の含有量は、レジスト組成物の全固形分に対して95.0〜99.9質量%であることが好ましく、96.0〜99.9質量%であることがより好ましく、97.0〜99.9質量%であることが更に好ましい。
レジスト組成物に含まれる樹脂の大西パラメータは、3.0以下であることが好ましく、2.9以下であることがより好ましく、2.8以下であることが更に好ましく、2.7以下であることが特に好ましい。レジスト組成物に含まれる樹脂の大西パラメータが3.0以下であれば、赤外線に対するS/N比の高い赤外線受光素子を製造し易い。このような効果が得られる理由としては、イオン注入時に打ち込まれたイオンをより効果的に遮蔽し易いレジスト膜を形成できたためであると推測される。
レジスト組成物が樹脂を2種類以上含む場合、樹脂全量中における大西パラメータが3.0以下の樹脂(好ましくは大西パラメータが2.8以下の樹脂、より好ましくは大西パラメータが2.7以下の樹脂)の含有量は50〜100質量%であることが好ましく、60〜100質量%であることがより好ましく、75〜100質量%であることが更に好ましい。
レジスト組成物に含まれる樹脂は、酸の作用により分解し極性基を生じる基(以下、「酸分解性基」ともいう)を有する繰り返し単位を有する樹脂(以下、酸分解性樹脂ともいう)を含むことが好ましい。
酸分解性樹脂が有する酸分解性基としては、極性基が酸の作用により脱離する基(以下、脱離基ともいう)で保護された構造を有する基が挙げられる。極性基としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等の酸性基(従来レジストの現像液として用いられている、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液中で解離する基)、又はアルコール性水酸基等が挙げられる。好ましい極性基としては、カルボキシル基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、スルホン酸基が挙げられる。
脱離基としては、例えば下記式(Y11)〜(Y14)のいずれかで表される基を挙げることができる。
式(Y11):−C(Rx11)(Rx12)(Rx13
式(Y12):−C(=O)OC(Rx11)(Rx12)(Rx13
式(Y13):−C(R36)(R37)(OR38
式(Y14):−C(Rn)(H)(Ar)
式(Y11)、(Y12)中、Rx11〜Rx13は、各々独立に、アルキル基(直鎖若しくは分岐)又はシクロアルキル基(単環若しくは多環)を表す。アルキル基の炭素数は1〜12であることが好ましく、1〜6であることがより好ましく、1〜4であることがさらに好ましい。Rx11〜Rx13の全てがアルキル基(直鎖若しくは分岐)である場合、Rx11〜Rx13のうち少なくとも2つはメチル基であることが好ましい。より好ましくは、Rx11〜Rx13が各々独立に、直鎖又は分岐のアルキル基であり、さらに好ましくは、Rx11〜Rx13が各々独立に、直鎖のアルキル基である。Rx11〜Rx13の2つが結合して、環を形成してもよい。Rx11〜Rx13の2つが結合して形成される環としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。炭素数5〜6の単環のシクロアルキル基が特に好ましい。また、上記のシクロアルキル基は、例えば、環を構成するメチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、又は、ヘテロ原子を有する基(例えばカルボニル基等)で置き換わっていてもよい。
式(Y11)、(Y12)で表される基は、例えば、Rx11がメチル基又はエチル基であり、Rx12とRx13とが結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様が好ましい。
式(Y13)中、R36〜R38は、各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。R37とR38とは、互いに結合して環を形成してもよい。1価の有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び、アルケニル基等が挙げられる。R36は水素原子であることも好ましい。
式(Y13)としては下記式(Y3−1)で表される構造がより好ましい。
Figure 2019009143
及びLは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアルキレン基とアリール基とを組み合わせた基を表す。
Mは、単結合又は2価の連結基を表す。
Qは、アルキル基、ヘテロ原子を含んでいてもよいシクロアルキル基、ヘテロ原子を含んでいてもよいアリール基、アミノ基、アンモニウム基、メルカプト基、シアノ基又はアルデヒド基を表す。
及びLのうち少なくとも1つは水素原子であり、少なくとも1つはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアルキレン基とアリール基とを組み合わせた基であることが好ましい。
Q、M、Lの少なくとも2つが結合して環(好ましくは、5員若しくは6員環)を形成してもよい。
パターン形状の安定性の観点からは、Lが2級又は3級アルキル基であることが好ましく、3級アルキル基がより好ましい。2級アルキル基は、イソプロピル基、シクロヘキシル基やノルボルニル基、3級アルキル基は、tert−ブチル基やアダマンタンを挙げることができる。
式(Y14)中、Arは、芳香環基を表す。Rnは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。RnとArとは互いに結合して非芳香族環を形成してもよい。Arはより好ましくはアリール基である。
酸分解性基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AIa)又は(AII)で表される繰り返し単位が好ましい。
Figure 2019009143
式(AIa)において、Xaは、水素原子、又はアルキル基を表す。Tは、単結合又は2価の連結基を表す。Yaは酸の作用により脱離する基を表す。Yaは前述の式(Y11)〜(Y14)のいずれかで表される基であることが好ましい。ただし、Yaが式(Y11)で表される基であって、Rx11、Rx12及びRx13のうちの2つが結合して環を形成する場合、Rx11、Rx12及びRx13の炭素数の合計は11以上である。
Xaが表すアルキル基としては、例えば、メチル基又は−CH−R11で表される基が挙げられる。R11は、ハロゲン原子(フッ素原子など)、ヒドロキシ基又は1価の有機基を表し、例えば、炭素数5以下のアルキル基、炭素数5以下のアシル基が挙げられ、好ましくは炭素数3以下のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基である。Xaは、一態様において、好ましくは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基等である。
Tが表す2価の連結基としては、アルキレン基、−COO−Rt−、−O−Rt−等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。Tは、単結合又は−COO−Rt−が好ましい。Rtは、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、−CH−、−(CH−、−(CH−がより好ましい。
式(AII)中、R61、R62及びR63は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、又はアルコキシカルボニル基を表す。R62はArと結合して環を形成していてもよく、その場合のR62は単結合又はアルキレン基を表す。
は、単結合、−COO−、又は−CONR64−を表す。R64は、水素原子又はアルキル基を表す。
は、単結合又はアルキレン基を表し、単結合が好ましい。
Arは、(n+1)価の芳香環基を表し、R62と結合して環を形成する場合には(n+2)価の芳香環基を表す。Arが表す芳香環基は、ベンゼン環基又はナフタレン環基であることが好ましく、ベンゼン環基であることがより好ましい。
は、n≧2の場合には各々独立に、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。但し、Yの少なくとも1つは、酸の作用により脱離する基を表す。Yとしての酸の作用により脱離する基は、前述の式(Y11)〜(Y14)のいずれかで表される基であることが好ましい。ただし、Yが式(Y12)で表される基であって、Rx11、Rx12及びRx13のうちの2つが結合して環を形成する場合、Rx11、Rx12及びRx13の炭素数の合計は11以上である。
nは1〜4の整数を表す。
式(AIa)、式(AII)における上記の各基は置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1〜4)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(炭素数1〜4)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(炭素数2〜6)などが挙げられる。
式(AIa)で表される繰り返し単位としては、好ましくは、酸分解性(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル系繰り返し単位(Xaが水素原子又はメチル基を表し、かつ、Tが単結合を表す繰り返し単位)である。
酸分解性基を有する繰り返し単位については、国際公開WO2016/104565号公報の段落番号0150〜0159、0210〜0224、特開2014−232309号公報の段落番号0227〜0233、0270〜0272、特開2012−208447号公報の段落番号0123〜0131の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
酸分解性樹脂は、酸分解性基を有する繰り返し単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。酸分解性樹脂における酸分解性基を有する繰り返し単位の含有量は、酸分解性樹脂中の全繰り返し単位に対し、5〜90モル%であることが好ましい。下限は、10モル%以上であることが好ましく、15モル%以上であることがより好ましく、20モル%以上であることが更に好ましい。上限は、85モル%以下であることがより好ましく、80モル%以下であることが更に好ましい。
酸分解性樹脂は、酸分解性基を有する繰り返し単位以外の繰り返し単位として、酸基を有する繰り返し単位を含んでいてもよい。酸基としては、カルボキシル基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、ビススルホニルイミド基、フェノール性水酸基などが挙げられる。フェノール性水酸基とは、芳香環基の水素原子を水酸基で置換してなる基である。芳香環は単環又は多環の芳香環であり、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、フェナントレン環などの炭素数6〜18の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、又は、例えば、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾピロール環、トリアジン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、トリアゾール環、チアジアゾール環、チアゾール環等のヘテロ環を含む芳香環ヘテロ環を挙げることができる。なかでも、ベンゼン環、ナフタレン環が解像性の観点で好ましく、ベンゼン環が最も好ましい。
酸基を有する繰り返し単位としては、フェノール性水酸基を有する繰り返し単位であることが好ましい。フェノール性水酸基を有する繰り返し単位としては、下記式(30)で表される繰り返し単位が好ましい。
式(30)
Figure 2019009143
式(30)中、R31、R32及びR33は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。R33はArと結合して環を形成していてもよく、その場合のR33はアルキレン基を表す。Xは、単結合又は2価の連結基を表す。Arは、(n3+1)価の芳香環基を表し、R33と結合して環を形成する場合には(n3+2)価の芳香環基を表す。n3は、1〜4の整数を表す。
Arが表す(n3+1)価の芳香環基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環基、アントラセン環基などの炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、チオフェン環基、フラン環基、ピロール環基、ベンゾチオフェン環基、ベンゾフラン環基、ベンゾピロール環基、トリアジン環基、イミダゾール環基、ベンゾイミダゾール環基、トリアゾール環基、チアジアゾール環基、チアゾール環基等のヘテロ環を含む芳香環基が挙げられる。Arは、ベンゼン環基であることが好ましい。Arが表す(n3+1)価の芳香環基は、更に置換基を有していても良い。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。
が表す2価の連結基としては、−COO−又は−CONR64−が挙げられる。R64は、水素原子またはアルキル基を表す。Xとしては、単結合、−COO−、−CONH−が好ましく、単結合、−COO−がより好ましい。
n3は1〜4の整数を表し、1又は2を表すことが好ましく、1を表すことがより好ましい。
フェノール性水酸基を有する繰り返し単位については、国際公開WO2016/104565号公報の段落番号0131〜0147、特開2014−232309号公報の段落番号0177〜0178の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
酸分解性樹脂は、酸基を有する繰り返し単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。酸分解性樹脂における酸基を有する繰り返し単位の含有量は、酸分解性樹脂中の全繰り返し単位に対し、5〜90モル%であることが好ましい。下限は、10モル%以上であることが好ましく、15モル%以上であることがより好ましく、20モル%以上であることが更に好ましい。上限は、85モル%以下であることがより好ましく、80モル%以下であることが更に好ましい。
酸分解性樹脂は、酸分解性基を有する繰り返し単位以外の繰り返し単位として、更に、ラクトン構造又はスルトン(環状スルホン酸エステル)構造を有する繰り返し単位を含んでいてもよい。ラクトン構造又はスルトン(環状スルホン酸エステル)構造を有する繰り返し単位については、国際公開WO2016/104565号公報の段落番号0161〜0170の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
酸分解性樹脂は、酸分解性基を有する繰り返し単位以外の繰り返し単位として、極性基を有する有機基を含有する繰り返し単位、特に、極性基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位を含むことができる。酸分解性樹脂がこのような繰り返し単位を含むことにより、支持体との密着性、現像液親和性が向上する。極性基としては水酸基、シアノ基が好ましい。脂環炭化水素構造としては、アダマンチル基、ジアマンチル基、ノルボルナン基が好ましい。極性基を有する有機基を含有する繰り返し単位については、国際公開WO2016/104565号公報の段落番号0172の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
酸分解性樹脂は、酸分解性基を有する繰り返し単位以外の繰り返し単位として、極性基を持たない環状炭化水素構造を有し、かつ、酸分解性を示さない繰り返し単位を有することができる。このような繰り返し単位としては、式(IV)で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2019009143
上記式(IV)中、Rは、少なくとも一つの環状構造を有し極性基を有さない炭化水素基を表す。Raは水素原子、アルキル基又は−CH−O−Ra基を表す。Raは、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Raは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
が有する環状構造には、単環式炭化水素基及び多環式炭化水素基が含まれる。単環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基などの炭素数3〜12のシクロアルキル基、シクロへキセニル基などの炭素数3〜12のシクロアルケニル基、フェニル基などが挙げられる。多環式炭化水素基としては、環集合炭化水素基、架橋環式炭化水素基が挙げられる。環集合炭化水素基の例としては、ビシクロヘキシル基、パーヒドロナフタレニル基、ビフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基などが挙げられる。架橋環式炭化水素基として、例えば、ピナン環基、ボルナン環基、ノルピナン環基、ノルボルナン環基、ビシクロオクタン環基などの2環式炭化水素環基、ホモブレダン環基、アダマンタン環基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環基、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環基などの3環式炭化水素環基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン環基、パーヒドロ−1,4−メタノ−5,8−メタノナフタレン環基などの4環式炭化水素環基などが挙げられる。また、架橋環式炭化水素基の例としては、5〜8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環基などが挙げられる。
これらの環状炭化水素構造は置換基を有していてもよい。置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基などが挙げられる。
酸分解性樹脂は、極性基を持たない環状炭化水素構造を有し、かつ、酸分解性を示さない繰り返し単位を含有する場合、その含有量としては、酸分解性樹脂中の全繰り返し単位に対し、1〜40モル%が好ましく、より好ましくは2〜20モル%である。
酸分解性樹脂の具体例としては、例えば下記構造の樹脂などが挙げられる。各繰り返し単位に付記した数値はモル比である。
Figure 2019009143
酸分解性樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜200,000であり、より好ましくは2,000〜20,000、更により好ましくは3,000〜15,000、特に好ましくは3,000〜11,000である。重量平均分子量が1,000〜200,000であれば、製膜性や現像性に優れる。
酸分解性樹脂の分散度(分子量分布)は、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.6であることがより好ましく、1.0〜2.0であることが更に好ましい。分子量分布の小さいものほど、解像度、レジスト形状が優れ、且つレジストパターンの側壁がスムーズである。
酸分解性樹脂の大西パラメータは、3.0以下であることが好ましく、2.9以下であることがより好ましく、2.8以下であることが更に好ましく、2.7以下であることが特に好ましい。下限は、例えば2.5以上であることが好ましい。
酸分解性樹脂の含有量は、レジスト組成物の全固形分に対して30〜99.9質量%が好ましい。下限は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、95質量%以上がより一層好ましく、96質量%以上であることが更に一層好ましく、97質量%以上であることが特に好ましい。酸分解性樹脂は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、レジスト組成物に含まれる樹脂の全量中における酸分解性樹脂の含有量は、50〜100質量%であることが好ましく、60〜100質量%であることがより好ましく、70〜100質量%であることが更に好ましく、80〜100質量%であることが特に好ましい。
レジスト組成物は、樹脂として疎水性樹脂を含有してもよい。疎水性樹脂は界面に偏在するように設計されることが好ましいが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性/非極性物質を均一に混合することに寄与しなくてもよい。疎水性樹脂を添加することの効果として、アウトガスの抑制などを挙げることができる。疎水性樹脂としては、国際公開WO2016/104565号公報の段落番号0336〜0374の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
<<光酸発生剤>>
レジスト組成物は、光酸発生剤を含有することが好ましい。光酸発生剤は、低分子化合物の形態であっても良く、重合体の一部に組み込まれた形態であっても良いが、低分子化合物の形態であることが好ましい。光酸発生剤が、低分子化合物の形態である場合、分子量が3000以下であることが好ましく、2000以下であることがより好ましく、1000以下であることが更に好ましい。
光酸発生剤としては、特に限定されないが、活性光線又は放射線、好ましくは電子線又は極紫外線の照射により、有機酸、例えば、スルホン酸、ビス(アルキルスルホニル)イミド、又はトリス(アルキルスルホニル)メチドの少なくともいずれかを発生する化合物が好ましい。より好ましくは下記式(ZI)、(ZII)、(ZIII)で表される化合物を挙げることができ、式(ZI)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2019009143
上記式(ZI)において、R201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。R201、R202及びR203が表す有機基としては、アリール基、アルキル基、シクロアルキル基などが挙げられる。アリール基としては、炭素数6〜14のアリール基を挙げることができる。アルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基を挙げることができる。上述したアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、更に置換基を有していてもよい。置換基としては、ニトロ基、フッ素原子などのハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
式(ZI)において、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、形成される環構造は、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
式(ZI)において、カチオン部(S(R201)(R202)(R203))に含まれる芳香環の数は、光透過性向上によるパターン形状の良化の観点から2個以下であることが好ましく、1個以下であることがより好ましく、芳香環を含まないことが更に好ましい。
式(ZI)において、Zは、非求核性アニオン(求核反応を起こす能力が著しく低いアニオン)を表す。非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン(脂肪族スルホン酸アニオン、芳香族スルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンなど)、カルボン酸アニオン(脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン、アラルキルカルボン酸アニオンなど)、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン等を挙げられる。
脂肪族スルホン酸アニオン及び脂肪族カルボン酸アニオンにおける脂肪族部位は、アルキル基であってもシクロアルキル基であってもよく、好ましくは炭素数1〜30の直鎖又は分岐のアルキル基及び炭素数3〜30のシクロアルキル基が挙げられる。
芳香族スルホン酸アニオン及び芳香族カルボン酸アニオンにおける芳香族基としては、好ましくは炭素数6〜14のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
上記で挙げたアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。この具体例としては、ニトロ基、フッ素原子などのハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルイミノスルホニル基(好ましくは炭素数1〜15)、アリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数6〜20)、アルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数7〜20)、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数10〜20)、アルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数5〜20)、シクロアルキルアルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数8〜20)等を挙げることができる。各基が有するアリール基及び環構造については、置換基として更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)を挙げることができる。
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基としては、好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルブチル基等を挙げることができる。
スルホニルイミドアニオンとしては、例えば、サッカリンアニオンを挙げることができる。
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。これらのアルキル基の置換基としてはハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基等を挙げることができ、フッ素原子又はフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。また、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオンにおけるアルキル基は、互いに結合して環構造を形成してもよい。これにより、酸強度が増加する。
その他の非求核性アニオンとしては、例えば、弗素化燐(例えば、PF )、弗素化硼素(例えば、BF )、弗素化アンチモン(例えば、SbF )等を挙げることができる。
非求核性アニオンとしては、スルホン酸の少なくともα位がフッ素原子で置換された脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子又はフッ素原子を有する基で置換された芳香族スルホン酸アニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが好ましい。非求核性アニオンとして、より好ましくはパーフロロ脂肪族スルホン酸アニオン(更に好ましくは炭素数4〜8)、フッ素原子を有するベンゼンスルホン酸アニオン、更により好ましくはノナフロロブタンスルホン酸アニオン、パーフロロオクタンスルホン酸アニオン、ペンタフロロベンゼンスルホン酸アニオン、3,5−ビス(トリフロロメチル)ベンゼンスルホン酸アニオンである。
酸強度の観点からは、発生酸のpKaが−1以下であることが、感度向上のために好ましい。
また、非求核性アニオンとしては、以下の式(AN1)で表されるアニオンも好ましい態様として挙げられる。
Figure 2019009143
式中、Xfは、それぞれ独立に、フッ素原子、又は少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、又は、アルキル基を表し、複数存在する場合のR、Rは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。Lは、二価の連結基を表し、複数存在する場合のLは同一でも異なっていてもよい。Aは、環状の有機基を表す。xは1〜20の整数を表し、yは0〜10の整数を表し、zは0〜10の整数を表す。
Xfのフッ素原子で置換されたアルキル基におけるアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜10であり、より好ましくは炭素数1〜4である。Xfとして好ましくは、フッ素原子又は炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。Xfの具体例としては、フッ素原子、CF、C、C、C、CHCF、CHCHCF、CH、CHCH、CH、CHCH、CH、CHCHが挙げられ、中でもフッ素原子、CFが好ましい。特に、双方のXfがフッ素原子であることが好ましい。
、Rのアルキル基は、置換基(好ましくはフッ素原子)を有していてもよく、炭素数1〜4のものが好ましい。更に好ましくは炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。R、Rとしては、好ましくはフッ素原子又はCFである。
xは1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。yは0〜4が好ましく、0がより好ましい。zは0〜5が好ましく、0〜3がより好ましい。
Lの2価の連結基としては特に限定されず、―COO−、−OCO−、−CO−、−O−、−S―、−SO―、―SO−、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基又はこれらの複数が連結した連結基などを挙げることができ、総炭素数12以下の連結基が好ましい。このなかでも―COO−、−OCO−、−CO−、−O−が好ましく、―COO−、−OCO−がより好ましい。
Aの環状の有機基としては、環状構造を有する基であれば特に限定されず、脂肪族環、芳香族炭化水素環、複素環(芳香族性を有するものだけでなく、芳香族性を有さない環も含む)等を含む基が挙げられる。脂肪族環としては、単環でも多環でもよく、シクロペンチル環、シクロヘキシル環、シクロオクチル環などの単環のシクロアルキル環、ノルボルニル環、トリシクロデカニル環、テトラシクロデカニル環、テトラシクロドデカニル環、アダマンチル環などの多環のシクロアルキル環が好ましい。芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナンスレン環、アントラセン環等が挙げられる。複素環としては、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ピリジン環、ピペリジン環、デカヒドロイソキノリン環、ラクトン環などが挙げられる。
上記環状の有機基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基(直鎖、分岐、環状のいずれであっても良く、炭素数1〜12が好ましい)、シクロアルキル基(単環、多環、スピロ環のいずれであっても良く、炭素数3〜20が好ましい)、アリール基(炭素数6〜14が好ましい)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、チオエーテル基、スルホンアミド基、スルホン酸エステル基等が挙げられる。なお、環状の有機基を構成する炭素(環形成に寄与する炭素)はカルボニル炭素であっても良い。
式(AN1)の詳細については国際公開WO2016/104565号公報の段落番号0259の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
式(ZII)、(ZIII)中、
204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基としては、前述の化合物(ZI)におけるR201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基として説明したアリール基と同様である。
204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。この置換基としても、前述の化合物(ZI)におけるR201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基が有していてもよいものが挙げられる。
式(ZII)、(ZIII)においてZは、非求核性アニオンを表し、式(ZI)におけるZの非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
光酸発生剤は、露光で発生した酸の非露光部への拡散を抑制し解像性を良好にする観点から、電子線又は極紫外線の照射により、体積130Å以上の大きさの酸(より好ましくはスルホン酸)を発生する化合物であることが好ましく、体積190Å以上の大きさの酸(より好ましくはスルホン酸)を発生する化合物であることがより好ましく、体積270Å以上の大きさの酸(より好ましくはスルホン酸)を発生する化合物であることが更に好ましく、体積400Å以上の大きさの酸(より好ましくはスルホン酸)を発生する化合物であることが特に好ましい。ただし、感度や塗布溶剤溶解性の観点から、上記体積は、2000Å以下であることが好ましく、1500Å以下であることが更に好ましい。上記体積の値は、富士通株式会社製の「WinMOPAC」を用いて求めた。すなわち、まず、各例に係る酸の化学構造を入力し、次に、この構造を初期構造としてMM3法を用いた分子力場計算により、各酸の最安定立体配座を決定し、その後、これら最安定立体配座についてPM3法を用いた分子軌道計算を行うことにより、各酸の「accessible volume」を計算することができる。1Åは1×10−10mである。
光酸発生剤としては、特開2014−41328号公報の段落番号0368〜0377、特開2013−228681号公報の段落番号0240〜0262(対応する米国特許出願公開第2015/004533号明細書の段落番号0339)が援用でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、好ましい具体例として以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2019009143
光酸発生剤は、1種類単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。光酸発生剤の含有量は、レジスト組成物の全固形分に対して、0.1〜30質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜25質量%であり、更に好ましくは3〜20質量%であり、特に好ましくは3〜15質量%である。
<<溶剤>>
レジスト組成物は、溶剤を含むことが好ましい。溶剤としては、下記の条件(a)〜(c)を満たす溶剤(「溶剤(S)」とも言う)を含むことが好ましい。
(a) A>−0.026*B+5
(b) 0.9<A<2.5
(c) 120<B<160
上記Aは上記溶剤(S)の粘度(mPa・s)を表し、上記Bは上記溶剤(S)の沸点(℃)を表す。
上記溶剤(S)が1種の溶剤のみからなる場合、上記Aは上記溶剤の粘度(mPa・s)を表し、上記Bは上記溶剤の沸点(℃)を表す。
上記溶剤(S)が2種の溶剤からなる混合溶剤である場合は、上記Aは下記式(a1)で算出され、上記Bは下記式(b1)で算出される。
A=μ1^X1*μ2^X2 (a1)
B=T1*X1+T2*X2 (b1)
μ1は1種目の溶剤の粘度(mPa・s)を表し、T1は1種目の溶剤の沸点(℃)を表し、X1は混合溶剤の全質量に対する1種目の溶剤の質量比率を表す。
μ2は2種目の溶剤の粘度(mPa・s)を表し、T2は2種目の溶剤の沸点(℃)を表し、X2は混合溶剤の全質量に対する2種目の溶剤の質量比率を表す。
上記溶剤(S)がn種の溶剤からなる混合溶剤である場合は、上記Aは下記式(a2)で算出され、上記Bは下記式(b2)で算出される。
A=μ1^X1*μ2^X2*・・・μn^Xn (a2)
B=T1*X1+T2*X2+・・・Tn*Xn (b2)
μ1は1種目の溶剤の粘度(mPa・s)を表し、T1は1種目の溶剤の沸点(℃)を表し、X1は混合溶剤の全質量に対する1種目の溶剤の質量比率を表す。
μ2は2種目の溶剤の粘度(mPa・s)を表し、T2は2種目の溶剤の沸点(℃)を表し、X2は混合溶剤の全質量に対する2種目の溶剤の質量比率を表す。
μnはn種目の溶剤の粘度(mPa・s)を表し、Tnはn種目の溶剤の沸点(℃)を表し、Xnは混合溶剤の全質量に対するn種目の溶剤の質量比率を表す。
nは3以上の整数を表す。
上記粘度A(mPa・s)は常温常圧(25℃/1atm)時の値である。1atmは、1.013×10Paである。また、上記沸点B(℃)は常圧(1atm)時の値であり、2種以上の混合溶剤を用いる場合、共沸による沸点変動の影響は考慮せず、上記式(b1)又は(b2)のみに沿うものとする。
なお、式(a1)及び(b1)において、X1+X2=1である。
式(a2)及び(b2)において、X1+X2+・・・Xn=1である。
溶剤(S)の粘度A(mPa・s)は、下記条件(b’)を満たすことが好ましく、下記条件(b’’)を満たすことがより好ましい。
(b’) 1.0<A<2.0
(b’’) 1.0<A<1.5
溶剤(S)の沸点B(℃)は、下記条件(c’)を満たすことが好ましく、下記条件(c’’)を満たすことがより好ましい。
(c’) 136<B<160
(c’’) 140<B<150
溶剤(S)は、上記条件(a)〜(c)を満たすものであれば、特に制限はないが、例えば、ラクトン系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、及び芳香族系有機溶剤が挙げられる。溶剤(S)は、1種のみの溶剤でもよく、2種以上の溶剤の混合溶剤であってもよい。
ラクトン系溶剤としては、γ−ブチロラクトン(GBL)等が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン(CyHx)、メチル−n−アミルケトン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノン(MAK)などが挙げられる。
エステル系溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル(nBA)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル(MMP)、エトキシプロピオン酸エチル(EEP)などが挙げられる。さらに、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテル{例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等}、またはモノフェニルエーテルが挙げられる。
アルコール系溶剤としては、4−メチル−2−ペンタノール(MIBC)、ベンジルアルコール、3−メトキシブタノール等の1価のアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコールが挙げられる。さらに、上記多価アルコールのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテル{例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)等}、またはモノフェニルエーテルが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、ジオキサンのような環式エーテル類、上記エステル系溶剤及びアルコール系溶剤に記載の溶剤のうち、エーテル結合を含む溶剤が挙げられる。
芳香族系有機溶剤としては、アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、アミルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレンなどが挙げられる。
溶剤(S)は、上記溶剤の中でも、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、及びケトン系溶剤の少なくとも1種を含むことが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン及びメトキシプロピオン酸メチルの少なくとも1種を含むことがより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルの少なくとも1種を含むことが更に好ましい。
溶剤を2種以上使用する場合の各溶剤の混合比率は、上記式(a1)及び式(a2)によって算出されるA、並びに上記式(b1)及び(b2)によって算出されるBが、上記条件(a)〜(c)を満たすように調整することが好ましい。
レジスト組成物中の溶剤の含有量は、レジスト組成物の全質量に対して40〜70質量%であることが好ましく、45〜70質量%であることがより好ましく、55〜70質量%であることが更に好ましい。
<<酸拡散制御剤>>
レジスト組成物は、酸拡散制御剤を含有することが好ましい。酸拡散制御剤は、露光時に酸発生剤等から発生する酸をトラップし、余分な発生酸による、未露光部における酸分解性樹脂の反応を抑制するクエンチャーとして作用するものである。酸拡散制御剤としては、塩基性化合物、窒素原子を有し酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下又は消失する塩基性化合物、又は、酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩を使用することができる。
塩基性化合物としては、好ましくは、下記式(A)〜(E)で示される構造を有する化合物を挙げることができる。
Figure 2019009143
式(A)及び(E)中、R200、R201及びR202は、同一でも異なってもよく、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(炭素数6〜20)を表し、ここで、R201とR202は、互いに結合して環を形成してもよい。R203、R204、R205及びR206は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜20個のアルキル基を表す。
上記アルキル基について、置換基を有するアルキル基としては、炭素数1〜20のアミノアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1〜20のシアノアルキル基が好ましい。
これら一般式(A)及び(E)中のアルキル基は、無置換であることがより好ましい。
好ましい化合物として、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン、ピペリジン等を挙げることができ、更に好ましい化合物として、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造又はピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体等を挙げることができる。好ましい化合物の具体例としては、US2012/0219913号公報の段落番号0379に例示された化合物を挙げることができる。
また、塩基性化合物は、フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物及びスルホン酸エステル基を有するアンモニウム塩化合物を好ましく用いることができる。これらの詳細については、国際公開WO2016/104565号公報の段落番号0307〜0311を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
レジスト組成物が塩基性化合物を含有する場合、塩基性化合物の含有量は、レジスト組成物の全固形分に対して0.001〜10質量%であることが好ましく、0.01〜5質量%であることがより好ましい。また、光酸発生剤(複数種類有する場合はその合計)と塩基性化合物のレジスト組成物中の割合は、モル比で、光酸発生剤/塩基性化合物=2.5〜300であることが好ましい。感度、解像度の点から前述のモル比は2.5以上が好ましく、露光後加熱処理までの経時によるレジストパターンの太りによる解像度の低下抑制の点から300以下が好ましい。前述のモル比は、より好ましくは5.0〜200であり、更に好ましくは7.0〜150である。
窒素原子を有し酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(以下、「化合物(D−1)」ともいう。)は、酸の作用により脱離する基を窒素原子上に有するアミン誘導体であることが好ましい。酸の作用により脱離する基として、アセタール基、カルボネート基、カルバメート基、3級エステル基、3級水酸基、ヘミアミナールエーテル基が好ましく、カルバメート基、ヘミアミナールエーテル基であることが特に好ましい。化合物(D−1)の分子量は、100〜1000が好ましく、100〜700がより好ましく、100〜500が特に好ましい。
化合物(D−1)は、窒素原子上に保護基を有するカルバメート基を有してもよい。カルバメート基を構成する保護基としては、下記式(d−1)で表すことができる。
Figure 2019009143
式(d−1)において、Rbは、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜30)、アリール基(好ましくは炭素数3〜30)、アラルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、又はアルコキシアルキル基(好ましくは炭素数1〜10)を表す。Rbは相互に連結して環を形成していてもよい。
Rbが示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基は、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基、アルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。Rbが示すアルコキシアルキル基についても同様である。Rbとして好ましくは、直鎖状、又は分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基である。より好ましくは、直鎖状、又は分岐状のアルキル基、シクロアルキル基である。2つのRbが相互に連結して形成する環としては、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環式炭化水素基若しくはその誘導体等が挙げられる。式(d−1)で表される基の具体的な構造としては、US2012/0135348号公報の段落番号0466に開示された構造を挙げることができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
化合物(D−1)は、下記式(6)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。
Figure 2019009143
式(6)において、Raは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。lが2のとき、2つのRaは同じでも異なっていてもよく、2つのRaは相互に連結して式中の窒素原子と共に複素環を形成していてもよい。複素環には式中の窒素原子以外のヘテロ原子を含んでいてもよい。
Rbは、上記式(d−1)におけるRbと同義であり、好ましい例も同様である。
lは0〜2の整数を表し、mは1〜3の整数を表し、l+m=3を満たす。
式(6)において、Raとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基は、Rbとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基が置換されていてもよい基として前述した基と同様な基で置換されていてもよい。
化合物(D−1)の具体例としては、US2012/0135348号公報の段落番号0475に記載された化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
式(6)で表される化合物は、特開2007−298569号公報、特開2009−199021号公報などに基づき合成することができる。
レジスト組成物が化合物(D−1)を含有する場合、化合物(D−1)の含有量は、レジスト組成物の全固形分に対して0.001〜20質量%であることが好ましく、0.001〜10質量%であることがより好ましく、0.01〜5質量%であることが更に好ましい。
活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下又は消失する塩基性化合物(以下、「化合物(PA)」ともいう。)としては、プロトンアクセプター性官能基を有し、且つ、活性光線又は放射線の照射により分解して、プロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化する化合物が挙げられる。
プロトンアクセプター性官能基とは、プロトンと静電的に相互作用し得る基或いは電子を有する官能基であって、例えば、環状ポリエーテル等のマクロサイクリック構造を有する官能基や、π共役に寄与しない非共有電子対をもった窒素原子を有する官能基を意味する。π共役に寄与しない非共有電子対を有する窒素原子とは、例えば、下記式に示す部分構造を有する窒素原子である。
Figure 2019009143
プロトンアクセプター性官能基の好ましい部分構造として、例えば、クラウンエーテル、アザクラウンエーテル、1〜3級アミン、ピリジン、イミダゾール、ピラジン構造などを挙げることができる。
化合物(PA)は、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下、消失するか、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する。ここでプロトンアクセプター性の低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性への変化とは、プロトンアクセプター性官能基にプロトンが付加することに起因するプロトンアクセプター性の変化であり、具体的には、プロトンアクセプター性官能基を有する化合物(PA)とプロトンからプロトン付加体が生成する時、その化学平衡に於ける平衡定数が減少することを意味する。プロトンアクセプター性は、pH測定を行うことによって確認することができる。化合物(PA)については、国際公開WO2016/104565号公報の段落番号0312〜0320の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
レジスト組成物が化合物(PA)を含有する場合、化合物(PA)の含有量は、レジスト組成物の全固形分に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、1〜8質量%であることがより好ましい。化合物(PA)は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
レジスト組成物では、光酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩を酸拡散制御剤として使用することができる。光酸発生剤と、光酸発生剤から生じた酸に対して相対的に弱酸(好ましくはpKaが−1超の弱酸)である酸を発生するオニウム塩を混合して用いた場合、活性光線又は放射線の照射により光酸発生剤から生じた酸が未反応の弱酸アニオンを有するオニウム塩と衝突すると、塩交換により弱酸を放出して強酸アニオンを有するオニウム塩を生じる。この過程で強酸がより触媒能の低い弱酸に交換されるため、見かけ上、酸が失活して酸拡散の制御を行うことができる。これらの化合物については、特開2012−242799号公報の段落番号0191〜0210、特開2013−6827号公報の段落番号0037〜0039、特開2013−8020号公報の段落番号0027〜0029、特開2012−189977号公報の段落番号0012〜0013、特開2012−252124号公報の段落番号0029〜0031の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
レジスト組成物が、光酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩を含有する場合、その含有量は、レジスト組成物の全固形分に対して0.5〜10.0質量%であることが好ましく、0.5〜8.0質量%であることがより好ましく、1.0〜8.0質量%であることがさらに好ましい。
<<界面活性剤>>
レジスト組成物は、更に界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することがより好ましい。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の[0276]に記載の界面活性剤が挙げられ、例えばエフトップEF301、EF303(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431、4430(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、F113、F110、F177、F120、R08(DIC(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106、KH−20(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)、GF−300、GF−150(東亞合成(株)製)、サーフロンS−393(セイミケミカル(株)製)、エフトップEF121、EF122A、EF122B、RF122C、EF125M、EF135M、EF351、EF352、EF801、EF802、EF601((株)ジェムコ製)、PF636、PF656、PF6320、PF6520(OMNOVA社製)、FTX−204G、208G、218G、230G、204D、208D、212D、218D、222D((株)ネオス製)等が挙げられる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)若しくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
上記に当てはまる界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(DIC(株)製)、C13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体等を挙げることができる。
また、本発明では、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の段落番号0280に記載の、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を使用することもできる。
これらの界面活性剤は単独で使用してもよいし、また、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
レジスト組成物が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量は、レジスト組成物の固形分に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.0005〜1質量%である。
<<その他の添加剤>>
レジスト組成物は、必要に応じて更に、カルボン酸オニウム塩、酸増殖剤、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、アルカリ可溶性樹脂、溶解阻止剤及び現像液に対する溶解性を促進させる化合物(例えば、分子量1000以下のフェノール化合物、カルボキシル基を有する脂環族、又は脂肪族化合物)等を含有させることができる。
<赤外線透過フィルタ用組成物>
次に、赤外線透過フィルタ用組成物について説明する。この組成物は、光センサにおける赤外線透過フィルタ層形成用の組成物である。赤外線透過フィルタ用組成物は、波長400〜640nmの範囲における吸光度の最小値Aminと、波長1100〜1300nmの範囲における吸光度の最大値Bmaxとの比であるAmin/Bmaxが5以上であることが好ましく、7.5以上であることがより好ましく、15以上であることが更に好ましく、30以上であることが特に好ましい。
ある波長λにおける吸光度Aλは、以下の式(1)により定義される。
Aλ=−log(Tλ/100) ・・・(1)
Aλは、波長λにおける吸光度であり、Tλは、波長λにおける透過率(%)である。
本発明において、吸光度の値は、溶液の状態で測定した値であってもよく、赤外線透過フィルタ用組成物を用いて製膜した膜での値であってもよい。膜の状態で吸光度を測定する場合は、ガラス基板上にスピンコート等の方法により、乾燥後の膜の厚さが所定の厚さとなるように赤外線透過フィルタ用組成物を塗布し、ホットプレートを用いて100℃、120秒間乾燥して調製した膜を用いて測定することが好ましい。膜の厚さは、膜を有する基板について、触針式表面形状測定器(ULVAC社製 DEKTAK150)を用いて測定することができる。
また、吸光度は、従来公知の分光光度計を用いて測定できる。吸光度の測定条件は特に限定はないが、波長400〜640nmの範囲における吸光度の最小値Aが、0.1〜3.0になるように調整した条件で、波長1100〜1300nmの範囲における吸光度の最大値Bを測定することが好ましい。このような条件で吸光度を測定することで、測定誤差をより小さくできる。波長400〜640nmの範囲における吸光度の最小値Aが、0.1〜3.0になるように調整する方法としては、特に限定はない。例えば、溶液の状態で吸光度を測定する場合は、試料セルの光路長を調整する方法が挙げられる。また、膜の状態で吸光度を測定する場合は、膜厚を調整する方法などが挙げられる。
赤外線透過フィルタ用組成物は、以下の(1)〜(4)のいずれかの分光特性を満たしていることがより好ましい。
(1):波長400〜640nmの範囲における吸光度の最小値Amin1と、波長800〜1300nmの範囲における吸光度の最大値Bmax1との比であるAmin1/Bmax1が5以上であり、7.5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましい。この態様によれば、波長400〜640nmの範囲の光を遮光して、波長720nmの赤外線を透過可能な膜を形成することができる。
(2):波長400〜750nmの範囲における吸光度の最小値Amin2と、波長900〜1300nmの範囲における吸光度の最大値Bmax2との比であるAmin2/Bmax2が5以上であり、7.5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましい。この態様によれば、波長400〜750nmの範囲の光を遮光して、波長850nmの赤外線を透過可能な膜を形成することができる。
(3):波長400〜850nmの範囲における吸光度の最小値Amin3と、波長1000〜1300nmの範囲における吸光度の最大値Bmax3との比であるAmin3/Bmax3が5以上であり、7.5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましい。この態様によれば、波長400〜830nmの範囲の光を遮光して、波長940nmの赤外線を透過可能な膜を形成することができる。
(4):波長400〜950nmの範囲における吸光度の最小値Amin4と、波長1100〜1300nmの範囲における吸光度の最大値Bmax4との比であるAmin4/Bmax4が5以上であり、7.5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましい。この態様によれば、波長400〜950nmの範囲の光を遮光して、波長1040nmの赤外線を透過可能な膜を形成することができる。
赤外線透過フィルタ用組成物を用いて厚さが1μm、2μm、3μm、4μmまたは5μmの膜を形成した際に、膜の厚み方向における光の透過率の、波長400〜640nmの範囲における最大値が20%以下であり、膜の厚み方向における光の透過率の、波長1100〜1300nmの範囲における最小値が70%以上である分光特性を満たしていることが好ましい。波長400〜640nmの範囲における最大値は、15%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。波長1100〜1300nmの範囲における最小値は、75%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
赤外線透過フィルタ用組成物は、以下の(11)〜(14)のいずれかの分光特性を満たしていることがより好ましい。
(11):赤外線透過フィルタ用組成物を用いて厚さ1μm、2μm、3μm、4μmまたは5μmの膜を形成した際に、膜の厚み方向における光の透過率の、波長400〜640nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、膜の厚み方向における光の透過率の、波長800〜1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である態様。
(12):赤外線透過フィルタ用組成物を用いて厚さ1μm、2μm、3μm、4μmまたは5μmの膜を形成した際に、膜の厚み方向における光の透過率の、波長400〜750nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、膜の厚み方向における光の透過率の、波長900〜1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である態様。
(13):赤外線透過フィルタ用組成物を用いて厚さ1μm、2μm、3μm、4μmまたは5μmの膜を形成した際に、膜の厚み方向における光の透過率の、波長400〜830nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、膜の厚み方向における光の透過率の、波長1000〜1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である態様。
(14):赤外線透過フィルタ用組成物を用いて厚さ1μm、2μm、3μm、4μmまたは5μmの膜を形成した際に、膜の厚み方向における光の透過率の、波長400〜950nmの範囲における最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、膜の厚み方向における光の透過率の、波長1100〜1300nmの範囲における最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である態様。
以下、赤外線透過フィルタ用組成物を構成し得る各成分について説明する。
<<色材>>
赤外線透過フィルタ用組成物は、色材を含む。色材の含有量は、赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対して35〜80質量%であることが好ましい。下限は、40質量%以上が好ましく、45質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましく、55質量%以上が特に好ましい。上限は、75質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましい。色材としては、後述する可視光を遮光する色材、赤外線吸収色素などが挙げられる。色材の含有量は、赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対して50〜75質量%であることが特に好ましい。
(遮光材)
赤外線透過フィルタ用組成物は、可視光を遮光し、赤外線の少なくとも一部を透過させる色材(以下、遮光材ともいう)を含有することが好ましい。本発明において、遮光材は、紫色から赤色の波長領域の光を吸収する色材であることが好ましい。また、本発明において、遮光材は、波長400〜640nmの波長領域の光を遮光する色材であることが好ましい。また、遮光材は、波長1100〜1300nmの光を透過する色材であることが好ましい。本発明において、遮光材は、以下の(1)および(2)の少なくとも一方の要件を満たすことが好ましい。
(1):2種類以上の有彩色着色剤を含み、2種以上の有彩色着色剤の組み合わせで黒色を形成している。
(2):有機系黒色着色剤を含む。(2)の態様において、更に有彩色着色剤を含有することも好ましい。
なお、本発明において、有彩色着色剤とは、白色着色剤および黒色着色剤以外の着色剤を意味する。また、本発明において、遮光材に用いられる有機系黒色着色剤は、可視光を吸収するが、赤外線の少なくとも一部は透過する材料を意味する。したがって、本発明において、遮光材に用いられる有機系黒色着色剤は、可視光線および赤外線の両方を吸収する黒色着色剤、例えば、カーボンブラックやチタンブラックは含まない。有機系黒色着色剤は、波長400nm以上700nm以下の範囲に極大吸収波長を有する着色剤が好ましい。
本発明において、遮光材は、例えば、波長400〜640nmの範囲における吸光度の最小値Aと、波長1100〜1300nmの範囲における吸光度の最小値Bとの比であるA/Bが4.5以上であることが好ましい。
上記の特性は、1種類の素材で満たしていてもよく、複数の素材の組み合わせで満たしていてもよい。例えば、上記(1)の態様の場合、複数の有彩色着色剤を組み合わせて上記分光特性を満たしていることが好ましい。また、上記(2)の態様の場合、有機系黒色着色剤が上記分光特性を満たしていてもよい。また、有機系黒色着色剤と有彩色着色剤との組み合わせで上記の分光特性を満たしていてもよい。
本発明において、有彩色着色剤は、赤色着色剤、緑色着色剤、青色着色剤、黄色着色剤、紫色着色剤およびオレンジ色着色剤から選ばれる着色剤であることが好ましい。有彩色着色剤は、顔料であってもよく、染料であってもよい。好ましくは顔料である。顔料は、平均粒径(r)が、20nm≦r≦300nmであることが好ましく、25nm≦r≦250nmであることがより好ましく、30nm≦r≦200nmであることが更に好ましい。ここでいう「平均粒径」とは、顔料の一次粒子が集合した二次粒子についての平均粒径を意味する。また、使用しうる顔料の二次粒子の粒径分布(以下、単に「粒径分布」ともいう。)は、平均粒径±100nmの範囲に含まれる二次粒子が全体の70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。なお、二次粒子の粒径分布は、散乱強度分布を用いて測定することができる。
顔料は、有機顔料であることが好ましい。有機顔料としては以下のものが挙げられる。
カラーインデックス(C.I.)Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214等(以上、黄色顔料)、
C.I.Pigment Orange 2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73等(以上、オレンジ色顔料)、
C.I.Pigment Red 1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,270,272,279等(以上、赤色顔料)、
C.I.Pigment Green 7,10,36,37,58,59等(以上、緑色顔料)、
C.I.Pigment Violet 1,19,23,27,32,37,42等(以上、紫色顔料)、
C.I.Pigment Blue 1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,60,64,66,79,80等(以上、青色顔料)、
これら有機顔料は、単独若しくは種々組合せて用いることができる。
染料としては特に制限はなく、公知の染料が使用できる。化学構造としては、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリアリールメタン系、アントラキノン系、アントラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ベンゾピラン系、インジゴ系、ピロメテン系等の染料が使用できる。また、これらの染料の多量体を用いてもよい。また、特開2015−028144号公報、特開2015−34966号公報に記載の染料を用いることもできる。
遮光材は、赤色着色剤、青色着色剤、黄色着色剤、紫色着色剤および緑色着色剤から選ばれる2種以上を含むことが好ましい。すなわち、遮光材は、赤色着色剤、青色着色剤、黄色着色剤、紫色着色剤および緑色着色剤から選ばれる2種類以上の着色剤の組み合わせで黒色を形成していることが好ましい。好ましい組み合わせとしては、例えば以下が挙げられる。
(1)赤色着色剤と青色着色剤とを含有する態様。
(2)赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤とを含有する態様。
(3)赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤と紫色着色剤とを含有する態様。
(4)赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤と紫色着色剤と緑色着色剤とを含有する態様。
(5)赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤と緑色着色剤とを含有する態様。
(6)赤色着色剤と青色着色剤と緑色着色剤とを含有する態様。
(7)黄色着色剤と紫色着色剤とを含有する態様。
上記(1)の態様において、赤色着色剤と青色着色剤との質量比は、赤色着色剤:青色着色剤=20〜80:20〜80であることが好ましく、20〜60:40〜80であることがより好ましく、20〜50:50〜80であることが更に好ましい。
上記(2)の態様において、赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤の質量比は、赤色着色剤:青色着色剤:黄色着色剤=10〜80:20〜80:10〜40であることが好ましく、10〜60:30〜80:10〜30であることがより好ましく、10〜40:40〜80:10〜20であることが更に好ましい。
上記(3)の態様において、赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤と紫色着色剤との質量比は、赤色着色剤:青色着色剤:黄色着色剤:紫色着色剤=10〜80:20〜80:5〜40:5〜40であることが好ましく、10〜60:30〜80:5〜30:5〜30であることがより好ましく、10〜40:40〜80:5〜20:5〜20であることが更に好ましい。
上記(4)の態様において、赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤と紫色着色剤と緑色着色剤の質量比は、赤色着色剤:青色着色剤:黄色着色剤:紫色着色剤:緑色着色剤=10〜80:20〜80:5〜40:5〜40:5〜40であることが好ましく、10〜60:30〜80:5〜30:5〜30:5〜30であることがより好ましく、10〜40:40〜80:5〜20:5〜20:5〜20であることが更に好ましい。
上記(5)の態様において、赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤と緑色着色剤の質量比は、赤色着色剤:青色着色剤:黄色着色剤:緑色着色剤=10〜80:20〜80:5〜40:5〜40であることが好ましく、10〜60:30〜80:5〜30:5〜30であることがより好ましく、10〜40:40〜80:5〜20:5〜20であることが更に好ましい。
上記(6)の態様において、赤色着色剤と青色着色剤と緑色着色剤の質量比は、赤色着色剤:青色着色剤:緑色着色剤=10〜80:20〜80:10〜40であることが好ましく、10〜60:30〜80:10〜30であることがより好ましく、10〜40:40〜80:10〜20であることが更に好ましい。
上記(7)の態様において、黄色着色剤と紫色着色剤の質量比は、黄色着色剤:紫色着色剤=10〜50:40〜80であることが好ましく、20〜40:50〜70であることがより好ましく、30〜40:60〜70であることが更に好ましい。
黄色着色剤としては、C.I.Pigment Yellow 139,150,185が好ましく、C.I.Pigment Yellow 139,150がより好ましく、C.I.Pigment Yellow 139が更に好ましい。青色着色剤としては、C.I.Pigment Blue 15:6が好ましい。紫色着色剤としては、C.I.Pigment Violet 23が好ましい。赤色着色剤としては、Pigment Red 122,177,224,254が好ましく、Pigment Red 122,177254がより好ましく、Pigment Red 254が更に好ましい。緑色着色剤としては、C.I.Pigment Green 7、36、58、59が好ましい。
本発明において、有機系黒色着色剤としては、例えば、ビスベンゾフラノン化合物、アゾメチン化合物、ペリレン化合物、アゾ系化合物などが挙げられ、ビスベンゾフラノン化合物、ペリレン化合物が好ましい。ビスベンゾフラノン化合物としては、特表2010−534726号公報、特表2012−515233号公報、特表2012−515234号公報などに記載の化合物が挙げられ、例えば、BASF社製の「Irgaphor Black」として入手可能である。ペリレン化合物としては、C.I.Pigment Black 31、32などが挙げられる。アゾメチン化合物としては、特開平1−170601号公報、特開平2−34664号公報などに記載のものが挙げられ、例えば、大日精化社製の「クロモファインブラックA1103」として入手できる。ビスベンゾフラノン化合物の詳細については、特表2010−534726号公報の段落番号0014〜0037の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
本発明において、遮光材として有機系黒色着色剤を用いる場合、有彩色着色剤と組み合わせて使用することが好ましい。有機系黒色着色剤と有彩色着色剤とを併用することで、優れた分光特性が得られ易い。有機系黒色着色剤と組み合わせて用いる有彩色着色剤としては、例えば、赤色着色剤、青色着色剤、紫色着色剤などが挙げられ、赤色着色剤および青色着色剤が好ましい。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、有彩色着色剤と有機系黒色着色剤との混合割合は、有機系黒色着色剤100質量部に対して、有彩色着色剤が10〜200質量部が好ましく、15〜150質量部がより好ましい。
本発明において、遮光材における顔料の含有量は、遮光材の全量に対して95質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることが更に好ましい。
赤外線透過フィルタ用組成物において、遮光材の含有量は、赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対して10〜80質量%であることが好ましい。下限は、30質量%以上が好ましく、35質量%以上がより好ましく、40質量%以上が更に好ましく、45質量%以上がより一層好ましく、50質量%以上が特に好ましい。上限は、75質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましい。
(赤外線吸収色素)
赤外線透過フィルタ用組成物は、色材として赤外線吸収色素を含有することができる。赤外線透過フィルタにおいて、赤外線吸収色素は、透過する光(赤外線)をより長波長側に限定する役割を有している。
本発明において、赤外線吸収色素としては、赤外領域(好ましくは、波長700nmを超え1300nm以下)の波長領域に極大吸収波長を有する化合物を好ましく用いることができる。赤外線吸収色素は、顔料であってもよく、染料であってもよい。赤外線吸収化合物は、波長700〜1000nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物であることが好ましい。
本発明において、赤外線吸収化合物は、ピロロピロール化合物、シアニン化合物、スクアリリウム化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、クアテリレン化合物、メロシアニン化合物、クロコニウム化合物、オキソノール化合物、ジイモニウム化合物、ジチオール化合物、トリアリールメタン化合物、ピロメテン化合物、アゾメチン化合物、アントラキノン化合物及びジベンゾフラノン化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ピロロピロール化合物、シアニン化合物、スクアリリウム化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物およびジイモニウム化合物から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、ピロロピロール化合物、シアニン化合物およびスクアリリウム化合物から選ばれる少なくとも1種が更に好ましく、ピロロピロール化合物が特に好ましい。ピロロピロール化合物、スクアリリウム化合物、シアニン化合物の詳細については、国際公開WO2016/190162号公報の段落番号0021〜0091の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。スクアリリウム化合物の具体例としては、特開2011−208101号公報の段落番号0044〜0049に記載の化合物、特許第6065169号公報の段落番号0060〜0061に記載の化合物、国際公開WO2016/181987号公報の段落番号0040に記載の化合物、特開2015−176046号公報に記載の化合物、国際公開WO2016/190162号公報の段落番号0072に記載の化合物などが挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。シアニン化合物の具体例としては、特開2009−108267号公報の段落番号0044〜0045に記載の化合物、特開2002−194040号公報の段落番号0026〜0030に記載の化合物、特開2015−172004号公報に記載の化合物、特開2015−172102号公報に記載の化合物、特開2008−88426号公報に記載の化合物、国際公開WO2016/190162号公報の段落番号0090に記載の化合物などが挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。ジイモニウム化合物の具体例としては、例えば、特表2008−528706号公報に記載の化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。フタロシアニン化合物の具体例としては、例えば、特開2012−77153号公報の段落番号0093に記載の化合物、特開2006−343631号公報に記載のオキシチタニウムフタロシアニン、特開2013−195480号公報の段落番号0013〜0029に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。ナフタロシアニン化合物の具体例としては、例えば、特開2012−77153号公報の段落番号0093に記載の化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。また、赤外線吸収化合物としては、特開2016−146619号公報に記載された化合物を用いることもでき、この内容は本明細書に組み込まれる。
ピロロピロール化合物としては、式(PP)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2019009143
式中、R1aおよびR1bは、各々独立にアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、RおよびRは、各々独立に水素原子または置換基を表し、RおよびRは、互いに結合して環を形成してもよく、Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、−BR4A4B、または金属原子を表し、Rは、R1a、R1bおよびRから選ばれる少なくとも一つと共有結合もしくは配位結合していてもよく、R4AおよびR4Bは、各々独立に置換基を表す。式(PP)の詳細については、特開2009−263614号公報の段落番号0017〜0047、特開2011−68731号公報の段落番号0011〜0036、国際公開WO2015/166873号公報の段落番号0010〜0024の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
1aおよびR1bは、各々独立に、アリール基またはヘテロアリール基が好ましく、アリール基がより好ましい。また、R1aおよびR1bが表すアルキル基、アリール基およびヘテロアリール基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、−OCOR11、−SOR12、−SO13などが挙げられる。R11〜R13は、それぞれ独立に、炭化水素基またはヘテロアリール基を表す。また、置換基としては、特開2009−263614号公報の段落番号0020〜0022に記載された置換基が挙げられる。なかでも、置換基としては、アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、−OCOR11、−SOR12、−SO13が好ましい。R1a、R1bで表される基としては、分岐アルキル基を有するアルコキシ基を置換基として有するアリール基、ヒドロキシ基を置換基として有するアリール基、または、−OCOR11で表される基を置換基として有するアリール基であることが好ましい。分岐アルキル基の炭素数は、3〜30が好ましく、3〜20がより好ましい。
およびRの少なくとも一方は電子求引性基が好ましく、Rは電子求引性基(好ましくはシアノ基)を表し、Rはヘテロアリール基を表すことがより好ましい。ヘテロアリール基は、5員環または6員環が好ましい。また、ヘテロアリール基は、単環または縮合環が好ましく、単環または縮合数が2〜8の縮合環が好ましく、単環または縮合数が2〜4の縮合環がより好ましい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子の数は、1〜3が好ましく、1〜2がより好ましい。ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が例示される。ヘテロアリール基は、窒素原子を1個以上有することが好ましい。式(PP)における2個のR同士は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、式(PP)における2個のR同士は同一であってもよく、異なっていてもよい。
は、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基または−BR4A4Bで表される基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基または−BR4A4Bで表される基であることがより好ましく、−BR4A4Bで表される基であることが更に好ましい。R4AおよびR4Bが表す置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、または、ヘテロアリール基が好ましく、アルキル基、アリール基、または、ヘテロアリール基がより好ましく、アリール基が特に好ましい。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。式(PP)における2個のR同士は同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(PP)で表される化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられる。以下の構造式中、Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表す。また、ピロロピロール化合物としては、特開2009−263614号公報の段落番号0016〜0058に記載の化合物、特開2011−68731号公報の段落番号0037〜0052に記載の化合物、国際公開WO2015/166873号公報の段落番号0010〜0033に記載の化合物などが挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
Figure 2019009143
本発明において、赤外線吸収化合物としては、市販品を用いることもできる。例えば、SDO−C33(有本化学工業(株)製)、イーエクスカラーIR−14、イーエクスカラーIR−10A、イーエクスカラーTX−EX−801B、イーエクスカラーTX−EX−805K((株)日本触媒製)、ShigenoxNIA−8041、ShigenoxNIA−8042、ShigenoxNIA−814、ShigenoxNIA−820、ShigenoxNIA−839(ハッコーケミカル社製)、EpoliteV−63、Epolight3801、Epolight3036(EPOLIN社製)、PRO−JET825LDI(富士フイルム(株)製)、NK−3027、NK−5060((株)林原製)、YKR−3070(三井化学(株)製)などが挙げられる。
赤外線透過フィルタ用組成物が赤外線吸収色素を含有する場合、赤外線吸収色素の含有量は、赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対して1〜30質量%であることが好ましい。上限は、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。下限は、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。また、赤外線吸収色素と遮光材との合計量は、赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分の35〜80質量%であることが好ましい。下限は、40質量%以上が好ましく、45質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましく、55質量%以上が特に好ましい。上限は、75質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましい。また、赤外線吸収色素と遮光材との合計量中における、赤外線吸収色素の含有量は、5〜40質量%であることが好ましい。上限は、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。下限は、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。赤外線透過フィルタ用組成物においては、赤外線吸収色素は1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。赤外線吸収色素を2種以上併用する場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<<他の赤外線吸収剤>>
赤外線透過フィルタ用組成物において、赤外線吸収色素以外の他の赤外線吸収剤を含有することができる。他の赤外線吸収剤として、無機粒子などが挙げられる。無機粒子の形状は特に制限されず、球状、非球状を問わず、シート状、ワイヤー状、チューブ状であってもよい。無機粒子としては、金属酸化物粒子または金属粒子が好ましい。金属酸化物粒子としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)粒子、酸化アンチモンスズ(ATO)粒子、酸化亜鉛(ZnO)粒子、Alドープ酸化亜鉛(AlドープZnO)粒子、フッ素ドープ二酸化スズ(FドープSnO)粒子、ニオブドープ二酸化チタン(NbドープTiO)粒子などが挙げられる。金属粒子としては、例えば、銀(Ag)粒子、金(Au)粒子、銅(Cu)粒子、ニッケル(Ni)粒子など挙げられる。また、無機粒子としては酸化タングステン系化合物を用いることもできる。酸化タングステン系化合物は、セシウム酸化タングステンであることが好ましい。酸化タングステン系化合物の詳細については、特開2016−006476号公報の段落番号0080を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
赤外線透過フィルタ用組成物が他の赤外線吸収剤を含有する場合、他の赤外線吸収剤の含有量は、赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対して1〜30質量%であることが好ましい。上限は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。下限は、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。
<<硬化性化合物>>
赤外線透過フィルタ用組成物は、硬化性化合物を含有することが好ましい。硬化性化合物としては、ラジカル、酸、熱により架橋可能な公知の化合物を用いることができる。例えば、エチレン性不飽和結合を有する基を有する化合物、環状エーテル基を有する化合物等が挙げられる。エチレン性不飽和結合を有する基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。環状エーテル基としては、エポキシ基、オキセタニル基などが挙げられる。本発明において、硬化性化合物は、ラジカル重合性化合物またはカチオン重合性化合物が好ましく、ラジカル重合性化合物がより好ましい。
硬化性化合物の含有量は、赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対し、0.1〜40質量%が好ましい。下限は、例えば0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。上限は、例えば、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。硬化性化合物は、1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
(ラジカル重合性化合物)
ラジカル重合性化合物としては、ラジカルの作用により重合可能な化合物であればよく、特に限定はない。ラジカル重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を有する基を1個以上有する化合物が好ましく、エチレン性不飽和結合を有する基を2個以上有する化合物がより好ましく、エチレン性不飽和結合を有する基を3個以上有する化合物が更に好ましい。エチレン性不飽和結合を有する基の個数の上限は、たとえば、15個以下が好ましく、6個以下がより好ましい。エチレン性不飽和結合を有する基としては、ビニル基、スチリル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。ラジカル重合性化合物は、3〜15官能の(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、3〜6官能の(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。
ラジカル重合性化合物は、モノマー、ポリマーのいずれの形態であってもよいが、モノマーが好ましい。モノマータイプのラジカル重合性化合物の分子量は、200〜3000であることが好ましい。分子量の上限は、2500以下が好ましく、2000以下が更に好ましい。分子量の下限は、250以上が好ましく、300以上が更に好ましい。
ラジカル重合性化合物の例としては、国際公開WO2016/190162号公報の段落番号0167〜0194、特開2013−253224号公報の段落番号0033〜0034の記載を参酌することができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
赤外線透過フィルタ用組成物がラジカル重合性化合物を含有する場合、ラジカル重合性化合物の含有量は、赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対して、0.1〜40質量%が好ましい。下限は、例えば0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。上限は、例えば、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。ラジカル重合性化合物は1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。ラジカル重合性化合物を2種以上併用する場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
(カチオン重合性化合物)
カチオン重合性化合物としては、カチオン重合性基を有する化合物が挙げられる。カチオン重合性基としては、エポキシ基、オキセタニル基などの環状エーテル基や、ビニルエーテル基やイソブテン基などの不飽和炭素二重結合基などが挙げる。カチオン重合性化合物は、環状エーテル基を有する化合物であることが好ましく、エポキシ基を有する化合物であることがより好ましい。
エポキシ基を有する化合物としては、1分子内にエポキシ基を1つ以上有する化合物が挙げられ、エポキシ基を2つ以上有する化合物が好ましい。エポキシ基は、1分子内に1〜100個有することが好ましい。エポキシ基の上限は、例えば、10個以下とすることもでき、5個以下とすることもできる。エポキシ基の下限は、2個以上が好ましい。
エポキシ基を有する化合物は、低分子化合物(例えば、分子量2000未満、さらには、分子量1000未満)でもよいし、高分子化合物(macromolecule)(例えば、分子量1000以上、ポリマーの場合は、重量平均分子量が1000以上)のいずれでもよい。エポキシ基を有する化合物の重量平均分子量は、200〜100000が好ましく、500〜50000がより好ましい。重量平均分子量の上限は、10000以下が好ましく、5000以下がより好ましく、3000以下が更に好ましい。
エポキシ基を有する化合物としては、エポキシ樹脂を好ましく用いることができる。エポキシ樹脂としては、例えばフェノール化合物のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、エポキシ基をもつケイ素化合物とそれ以外のケイ素化合物との縮合物、エポキシ基を持つ重合性不飽和化合物とそれ以外の他の重合性不飽和化合物との共重合体等が挙げられる。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、310〜3300g/eqであることが好ましく、310〜1700g/eqであることがより好ましく、310〜1000g/eqであることが更に好ましい。
エポキシ樹脂は、市販品を用いることもできる。例えば、EHPE3150((株)ダイセル製)、EPICLON N−695(DIC(株)製)、マープルーフG−0150M、G−0105SA、G−0130SP、G−0250SP、G−1005S、G−1005SA、G−1010S、G−2050M、G−01100、G−01758(以上、日油(株)製、エポキシ基含有ポリマー)等が挙げられる。
エポキシ基を有する化合物としては、特開2013−011869号公報の段落番号0034〜0036、特開2014−043556号公報の段落番号0147〜0156、特開2014−089408号公報の段落番号0085〜0092に記載された化合物を用いることもできる。これらの内容は、本明細書に組み込まれる。
赤外線透過フィルタ用組成物がカチオン重合性化合物を含有する場合、カチオン重合性化合物の含有量は、赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対して、0.1〜40質量%が好ましい。下限は、例えば0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。上限は、例えば、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。カチオン重合性化合物は1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。カチオン重合性化合物を2種以上併用する場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
また、赤外線透過フィルタ用組成物が、ラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物とを含む場合、両者の質量比は、ラジカル重合性化合物:カチオン重合性化合物=100:1〜100:400が好ましく、100:1〜100:100がより好ましい。
<<光開始剤>>
赤外線透過フィルタ用組成物は、光開始剤を含有することができる。光開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤などが挙げられる。硬化性化合物の種類に応じて選択して用いることが好ましい。硬化性化合物としてラジカル重合性化合物を用いた場合においては、光開始剤として光ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。また、硬化性化合物としてカチオン重合性化合物を用いた場合においては、光開始剤として光カチオン重合開始剤を用いることが好ましい。光開始剤としては、特に制限はなく、公知の光開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外領域から可視領域の光線に対して感光性を有する化合物が好ましい。
光開始剤の含有量は、赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対し0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%が更に好ましい。光開始剤の含有量が上記範囲であれば、より良好な感度とパターン形成性が得られる。赤外線透過フィルタ用組成物は、光開始剤を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。光開始剤を2種類以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
(光ラジカル重合開始剤)
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有する化合物、オキサジアゾール骨格を有する化合物など)、アシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物などが挙げられる。光重合開始剤は、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、ホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体、ハロメチルオキサジアゾール化合物および3−アリール置換クマリン化合物が好ましく、オキシム化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、および、アシルホスフィン化合物から選ばれる化合物がより好ましく、オキシム化合物が更に好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、特開2014−130173号公報の段落0065〜0111の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
α−ヒドロキシケトン化合物の市販品としては、IRGACURE−184、DAROCUR−1173、IRGACURE−500、IRGACURE−2959、IRGACURE−127(以上、BASF社製)などが挙げられる。α−アミノケトン化合物の市販品としては、IRGACURE−907、IRGACURE−369、IRGACURE−379、及び、IRGACURE−379EG(以上、BASF社製)などが挙げられる。アシルホスフィン化合物の市販品としては、IRGACURE−819、DAROCUR−TPO(以上、BASF社製)などが挙げられる。
オキシム化合物としては、国際公開WO2016/190162号公報の段落番号0212〜0236の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、オキシム化合物としては、特開2001−233842号公報に記載の化合物、特開2000−80068号公報に記載の化合物、特開2006−342166号公報に記載の化合物、特開2016−21012号公報に記載の化合物などを用いることができる。市販品としては、IRGACURE−OXE01、IRGACURE−OXE02、IRGACURE−OXE03、IRGACURE−OXE04(以上、BASF社製)、TR−PBG−304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカオプトマーN−1919((株)ADEKA製、特開2012−14052号公報に記載の光重合開始剤2)が挙げられる。また、オキシム化合物としては、着色性が無い化合物や、透明性が高く、その他の成分を変色させにくい化合物を用いることも好ましい。市販品としては、アデカアークルズNCI−730、NCI−831、NCI−930(以上、(株)ADEKA製)などが挙げられる。
また、オキシム化合物としては、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることもできる。フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010−262028号公報に記載の化合物、特表2014−500852号公報に記載の化合物24、36〜40、特開2013−164471号公報に記載の化合物(C−3)などが挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、オキシム化合物としては、ニトロ基を有するオキシム化合物を用いることができる。ニトロ基を有するオキシム化合物は、二量体とすることも好ましい。ニトロ基を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2013−114249号公報の段落番号0031〜0047、特開2014−137466号公報の段落番号0008〜0012、0070〜0079に記載されている化合物、特許4223071号公報の段落番号0007〜0025に記載されている化合物、アデカアークルズNCI−831((株)ADEKA製)が挙げられる。
また、オキシム化合物としては、ベンゾフラン骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。具体例としては、国際公開WO2015/036910号公報に記載されるOE−01〜OE−75が挙げられる。
オキシム化合物は、350nm〜500nmの波長領域に極大吸収波長を有する化合物が好ましく、360nm〜480nmの波長領域に極大吸収波長を有する化合物がより好ましい。また、オキシム化合物は、365nm及び405nmの吸光度が高い化合物が好ましい。
オキシム化合物の365nm又は405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、1,000〜300,000であることが好ましく、2,000〜300,000であることがより好ましく、5,000〜200,000であることが特に好ましい。
化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いて測定することができる。例えば、分光光度計(Varian社製Cary−5 spectrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
光ラジカル重合開始剤は、オキシム化合物とα−アミノケトン化合物とを含むことも好ましい。両者を併用することで、現像性が向上し、矩形性に優れたパターンを形成しやすい。オキシム化合物とα−アミノケトン化合物とを併用する場合、オキシム化合物100質量部に対して、α−アミノケトン化合物が50〜600質量部が好ましく、150〜400質量部がより好ましい。
光ラジカル重合開始剤の含有量は、赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対し0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%が更に好ましい。光ラジカル重合開始剤の含有量が上記範囲であれば、より良好な感度とパターン形成性が得られる。赤外線透過フィルタ用組成物は、光ラジカル重合開始剤を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。光ラジカル重合開始剤を2種類以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
(光カチオン重合開始剤)
光カチオン重合開始剤としては、光酸発生剤が挙げられる。光酸発生剤としては、光照射により分解して酸を発生する、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩などのオニウム塩化合物、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネート等のスルホネート化合物などを挙げることができる。光カチオン重合開始剤の詳細については特開2009−258603号公報の段落番号0139〜0214の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
光カチオン重合開始剤の含有量は、赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対し0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%が更に好ましい。光カチオン重合開始剤の含有量が上記範囲であれば、より良好な感度とパターン形成性が得られる。赤外線透過フィルタ用組成物は、光カチオン重合開始剤を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。光カチオン重合開始剤を2種類以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<樹脂>>
赤外線透過フィルタ用組成物は、樹脂を含有することが好ましい。樹脂は、例えば顔料などを組成物中で分散させる用途やバインダーの用途で配合される。なお、主に顔料などを分散させるために用いられる樹脂を分散剤ともいう。ただし、樹脂のこのような用途は一例であって、このような用途以外の目的で樹脂を使用することもできる。
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、2,000〜2,000,000が好ましい。上限は、1,000,000以下が好ましく、500,000以下がより好ましい。下限は、3,000以上が好ましく、5,000以上がより好ましい。
樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂から1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。環状オレフィン樹脂としては、耐熱性向上の観点からノルボルネン樹脂が好ましく用いることができる。ノルボルネン樹脂の市販品としては、例えば、JSR(株)製のARTONシリーズ(例えば、ARTON F4520)などが挙げられる。また、樹脂は、国際公開WO2016/088645号公報の実施例に記載の樹脂を用いることもできる。また、樹脂として、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する基を有する繰り返し単位を有する樹脂を用いることも好ましい。エチレン性不飽和結合を有する基としては、(メタ)アクリロイル基)などが挙げられる。また、繰り返し単位の主鎖と、エチレン性不飽和結合を有する基は、脂環構造を有する2価の連結基を介して結合していることが好ましい。
本発明において、樹脂として酸基を有する樹脂を用いることが好ましい。この態様によれば、矩形性に優れたパターンを形成しやすい。酸基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、フェノール性水酸基などが挙げられ、カルボキシル基が好ましい。酸基を有する樹脂は、例えば、アルカリ可溶性樹脂として用いることができる。
酸基を有する樹脂としては、側鎖にカルボキシル基を有するポリマーが好ましい。具体例としては、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、ノボラック樹脂などのアルカリ可溶性フェノール樹脂、側鎖にカルボキシル基を有する酸性セルロース誘導体、ヒドロキシ基を有するポリマーに酸無水物を付加させた樹脂が挙げられる。特に、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他のモノマーとの共重合体が、アルカリ可溶性樹脂として好適である。
酸基を有する樹脂は、更に重合性基を有していてもよい。重合性基としては、アリル基、メタリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。市販品としては、ダイヤナールNRシリーズ(三菱レイヨン(株)製)、Photomer6173(カルボキシル基含有ポリウレタンアクリレートオリゴマー、Diamond Shamrock Co.,Ltd.製)、ビスコートR−264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業株式会社製)、サイクロマーPシリーズ(例えば、ACA230AA)、プラクセル CF200シリーズ(いずれも(株)ダイセル製)、Ebecryl3800(ダイセルユーシービー(株)製)、アクリキュアーRD−F8((株)日本触媒製)などが挙げられる。
酸基を有する樹脂については、特開2012−208494号公報の段落番号0558〜0571(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の段落番号0685〜0700)の記載、特開2012−198408号公報の段落番号0076〜0099の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、酸基を有する樹脂は市販品を用いることもできる。例えば、アクリベースFF−426(藤倉化成(株)製)などが挙げられる。
酸基を有する樹脂の酸価は、30〜200mgKOH/gが好ましい。下限は、50mgKOH/g以上が好ましく、70mgKOH/g以上がより好ましい。上限は、150mgKOH/g以下が好ましく、120mgKOH/g以下がより好ましい。
酸基を有する樹脂としては、例えば下記構造の樹脂などが挙げられる。以下の構造式中、Meはメチル基を表す。
Figure 2019009143
赤外線透過フィルタ用組成物は、分散剤としての樹脂を含むこともできる。分散剤は、酸性分散剤(酸性樹脂)、塩基性分散剤(塩基性樹脂)が挙げられる。ここで、酸性分散剤(酸性樹脂)とは、酸基の量が塩基性基の量よりも多い樹脂を表す。酸性分散剤(酸性樹脂)は、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、酸基の量が70モル%以上を占める樹脂が好ましく、実質的に酸基のみからなる樹脂がより好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)が有する酸基は、カルボキシル基が好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)の酸価は、40〜105mgKOH/gが好ましく、50〜105mgKOH/gがより好ましく、60〜105mgKOH/gがさらに好ましい。また、塩基性分散剤(塩基性樹脂)とは、塩基性基の量が酸基の量よりも多い樹脂を表す。塩基性分散剤(塩基性樹脂)は、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、塩基性基の量が50モル%を超える樹脂が好ましい。塩基性分散剤が有する塩基性基は、アミノ基であることが好ましい。
分散剤として用いる樹脂は、酸基を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。分散剤として用いる樹脂が酸基を有する繰り返し単位を含むことにより、フォトリソグラフィ法によりパターン形成する際、画素の下地に発生する残渣をより低減することができる。
分散剤として用いる樹脂は、グラフト共重合体であることも好ましい。グラフト共重合体は、グラフト鎖によって溶剤との親和性を有するために、顔料の分散性、及び、経時後の分散安定性に優れる。グラフト共重合体の詳細は、特開2012−255128号公報の段落番号0025〜0094の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、グラフト共重合体の具体例は、下記の樹脂が挙げられる。以下の樹脂は酸基を有する樹脂(アルカリ可溶性樹脂)でもある。また、グラフト共重合体としては特開2012−255128号公報の段落番号0072〜0094に記載の樹脂が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
Figure 2019009143
また、本発明において、樹脂(分散剤)は、主鎖及び側鎖の少なくとも一方に窒素原子を含むオリゴイミン系分散剤を用いることも好ましい。オリゴイミン系分散剤としては、pKa14以下の官能基を有する部分構造Xを有する構造単位と、原子数40〜10,000の側鎖Yを含む側鎖とを有し、かつ主鎖及び側鎖の少なくとも一方に塩基性窒素原子を有する樹脂が好ましい。塩基性窒素原子とは、塩基性を呈する窒素原子であれば特に制限はない。オリゴイミン系分散剤については、特開2012−255128号公報の段落番号0102〜0166の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。オリゴイミン系分散剤としては、下記構造の樹脂や、特開2012−255128号公報の段落番号0168〜0174に記載の樹脂を用いることができる。
Figure 2019009143
分散剤は、市販品としても入手可能であり、そのような具体例としては、Disperbyk−111(BYKChemie社製)などが挙げられる。また、特開2014−130338号公報の段落番号0041〜0130に記載された顔料分散剤を用いることもでき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、上述した酸基を有する樹脂などを分散剤として用いることもできる。
赤外線透過フィルタ用組成物が樹脂を含有する場合、樹脂の含有量は、赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対し、14〜70質量%が好ましい。下限は、17質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。上限は、56質量%以下が好ましく、42質量%以下がより好ましい。
赤外線透過フィルタ用組成物が酸基を有する樹脂を含有する場合、酸基を有する樹脂の含有量は、赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対し、14〜70質量%が好ましい。下限は、17質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。上限は、56質量%以下が好ましく、42質量%以下がより好ましい。
赤外線透過フィルタ用組成物がラジカル重合性化合物と樹脂とを含む場合、ラジカル重合性化合物と、樹脂との質量比は、ラジカル重合性化合物/樹脂=0.4〜1.4であることが好ましい。上記質量比の下限は0.5以上が好ましく、0.6以上がより好ましい。上記質量比の上限は1.3以下が好ましく、1.2以下がより好ましい。上記質量比が、上記範囲であれば、より矩形性に優れたパターンを形成することができる。
また、ラジカル重合性化合物と酸基を有する樹脂との質量比は、ラジカル重合性化合物/酸基を有する樹脂=0.4〜1.4であることが好ましい。上記質量比の下限は0.5以上が好ましく、0.6以上がより好ましい。上記質量比の上限は1.3以下が好ましく、1.2以下がより好ましい。上記質量比が、上記範囲であれば、より矩形性に優れたパターンを形成することができる。
<<顔料誘導体>>
赤外線透過フィルタ用組成物は、更に顔料誘導体を含有することができる。顔料誘導体としては、顔料の一部を、酸基、塩基性基、塩構造を有する基又はフタルイミドメチル基で置換した構造を有する化合物が挙げられる。顔料誘導体としては、式(B1)で表される化合物が好ましい。
Figure 2019009143
式(B1)中、Pは色素構造を表し、Lは単結合または連結基を表し、Xは酸基、塩基性基、塩構造を有する基またはフタルイミドメチル基を表し、mは1以上の整数を表し、nは1以上の整数を表し、mが2以上の場合は複数のLおよびXは互いに異なっていてもよく、nが2以上の場合は複数のXは互いに異なっていてもよい。
式(B1)中、Pは、色素構造を表し、ピロロピロール色素構造、ジケトピロロピロール色素構造、キナクリドン色素構造、アントラキノン色素構造、ジアントラキノン色素構造、ベンゾイソインドール色素構造、チアジンインジゴ色素構造、アゾ色素構造、キノフタロン色素構造、フタロシアニン色素構造、ナフタロシアニン色素構造、ジオキサジン色素構造、ペリレン色素構造、ペリノン色素構造、ベンゾイミダゾロン色素構造、ベンゾチアゾール色素構造、ベンゾイミダゾール色素構造およびベンゾオキサゾール色素構造から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ピロロピロール色素構造、ジケトピロロピロール色素構造、キナクリドン色素構造およびベンゾイミダゾロン色素構造から選ばれる少なくとも1種が更に好ましく、ピロロピロール色素構造が特に好ましい。
式(B1)中、Lは単結合または連結基を表す。連結基としては、1〜100個の炭素原子、0〜10個の窒素原子、0〜50個の酸素原子、1〜200個の水素原子、および0〜20個の硫黄原子から成り立つ基が好ましく、無置換でもよく、置換基を更に有していてもよい。
式(B1)中、Xは、酸基、塩基性基、塩構造を有する基またはフタルイミドメチル基を表し、酸基または塩基性基が好ましい。酸基としては、カルボキシル基、スルホ基等が挙げられる。塩基性基としてはアミノ基が挙げられる。
顔料誘導体としては、下記構造の化合物が挙げられる。また、特開昭56−118462号公報、特開昭63−264674号公報、特開平1−217077号公報、特開平3−9961号公報、特開平3−26767号公報、特開平3−153780号公報、特開平3−45662号公報、特開平4−285669号公報、特開平6−145546号公報、特開平6−212088号公報、特開平6−240158号公報、特開平10−30063号公報、特開平10−195326号公報、国際公開WO2011/024896号公報の段落番号0086〜0098、国際公開WO2012/102399号公報の段落番号0063〜0094等に記載の化合物を用いることもでき、この内容は本明細書に組み込まれる。
Figure 2019009143
赤外線透過フィルタ用組成物が顔料誘導体を含有する場合、顔料誘導体の含有量は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部が好ましい。下限値は、3質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。上限値は、40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。顔料誘導体の含有量が上記範囲であれば、顔料の分散性を高めて、顔料の凝集を効率よく抑制できる。顔料誘導体は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<溶剤>>
赤外線透過フィルタ用組成物は、溶剤を含有することができる。溶剤としては、有機溶剤が挙げられる。溶剤は、各成分の溶解性や組成物の塗布性を満足すれば基本的には特に制限はない。有機溶剤の例としては、例えば、エステル類、エーテル類、ケトン類、芳香族炭化水素類などが挙げられる。これらの詳細については、国際公開WO2015/166779号公報の段落番号0223を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、環状アルキル基が置換したエステル系溶剤、環状アルキル基が置換したケトン系溶剤を好ましく用いることもできる。有機溶剤の具体例としては、ジクロロメタン、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、酢酸シクロヘキシル、シクロペンタノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。本発明において有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドも溶解性向上の観点から好ましい。ただし溶剤としての芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)は、環境面等の理由により低減したほうがよい場合がある(例えば、有機溶剤全量に対して、50質量ppm(parts per million)以下とすることもでき、10質量ppm以下とすることもでき、1質量ppm以下とすることもできる)。
本発明においては、金属含有量の少ない溶剤を用いることが好ましく、溶剤の金属含有量は、例えば10質量ppb(parts per billion)以下であることが好ましい。必要に応じて質量ppt(parts per trillion)レベルの溶剤を用いてもよく、そのような高純度溶剤は例えば東洋合成社が提供している(化学工業日報、2015年11月13日)。
溶剤から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、蒸留(分子蒸留や薄膜蒸留等)やフィルタを用いたろ過を挙げることができる。ろ過に用いるフィルタのフィルタ孔径としては、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下が更に好ましい。フィルタの材質は、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンまたはナイロンが好ましい。
溶剤は、異性体(原子数が同じであるが構造が異なる化合物)が含まれていてもよい。また、異性体は、1種のみが含まれていてもよいし、複数種含まれていてもよい。
本発明において、有機溶剤は、過酸化物の含有率が0.8mmol/L以下であることが好ましく、過酸化物を実質的に含まないことがより好ましい。
溶剤の含有量は、硬化性組成物の全量に対し、10〜90質量%であることが好ましく、20〜90質量%であることがより好ましく、30〜90質量%であることが更に好ましい。また、環境面等の理由により、硬化性組成物は、溶剤としての芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)を含有しないことが好ましい場合もある。
<<重合禁止剤>>
赤外線透過フィルタ用組成物は、重合禁止剤を含有することができる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン塩(アンモニウム塩、第一セリウム塩等)が挙げられる。中でも、p−メトキシフェノールが好ましい。重合禁止剤の含有量は、赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対して、0.001〜5質量%が好ましい。
<<シランカップリング剤>>
赤外線透過フィルタ用組成物は、シランカップリング剤を含有することができる。本発明において、シランカップリング剤は、加水分解性基とそれ以外の官能基とを有するシラン化合物を意味する。また、加水分解性基とは、ケイ素原子に直結し、加水分解反応及び縮合反応の少なくともいずれかによってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基などが挙げられ、アルコキシ基が好ましい。すなわち、シランカップリング剤は、アルコキシシリル基を有する化合物が好ましい。また、加水分解性基以外の官能基としては、例えば、ビニル基、スチリル基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、ウレイド基、スルフィド基、イソシアネート基、フェニル基などが挙げられ、(メタ)アクリロイル基およびエポキシ基が好ましい。シランカップリング剤の市販品としては、例えば、KBM−602(信越シリコーン製)などが挙げられる。また、シランカップリング剤は、特開2009−288703号公報の段落番号0018〜0036に記載の化合物、特開2009−242604号公報の段落番号0056〜0066に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
シランカップリング剤の含有量は、赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対して、0.01〜15.0質量%が好ましく、0.05〜10.0質量%がより好ましい。シランカップリング剤は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<界面活性剤>>
赤外線透過フィルタ用組成物は、界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用することができる。界面活性剤は、国際公開WO2015/166779号公報の段落番号0238〜0245、国際公開WO2016/190162号公報の段落番号0258〜0265を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本発明において、界面活性剤は、フッ素系界面活性剤であることが好ましい。赤外線透過フィルタ用組成物にフッ素系界面活性剤を含有させることで液特性(特に、流動性)がより向上し、省液性をより改善することができる。また、厚みムラの小さい膜を形成することもできる。
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3〜40質量%が好適であり、より好ましくは5〜30質量%であり、特に好ましくは7〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、組成物中における溶解性も良好である。
フッ素系界面活性剤として具体的には、特開2014−41318号公報の段落番号0060〜0064(対応する国際公開2014/17669号公報の段落番号0060〜0064)等に記載の界面活性剤、特開2011−132503号公報の段落番号0117〜0132に記載の界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を含有する官能基を持つ分子構造で、熱を加えるとフッ素原子を含有する官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好適に使用できる。このようなフッ素系界面活性剤としては、DIC(株)製のメガファックDSシリーズ(化学工業日報、2016年2月22日)(日経産業新聞、2016年2月23日)、例えばメガファックDS−21が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素化アルキル基またはフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との重合体を用いることも好ましい。このようなフッ素系界面活性剤は、特開2016−216602号公報の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
フッ素系界面活性剤は、ブロックポリマーを用いることもできる。例えば特開2011−89090号公報に記載された化合物が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく用いることができる。下記化合物も本発明で用いられるフッ素系界面活性剤として例示される。
Figure 2019009143
上記の化合物の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜50,000であり、例えば、14,000である。上記の化合物中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。
また、フッ素系界面活性剤は、エチレン性不飽和基を側鎖に有する含フッ素重合体を用いることもできる。具体例としては、特開2010−164965号公報の段落番号0050〜0090および段落番号0289〜0295に記載された化合物、例えばDIC(株)製のメガファックRS−101、RS−102、RS−718K、RS−72−K等が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、特開2015−117327号公報の段落番号0015〜0158に記載の化合物を用いることもできる。
界面活性剤の含有量は、赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対して、0.001質量%〜5.0質量%が好ましく、0.005〜3.0質量%がより好ましい。界面活性剤は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<紫外線吸収剤>>
赤外線透過フィルタ用組成物は、紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤としては、共役ジエン化合物、アミノブタジエン化合物、メチルジベンゾイル化合物、クマリン化合物、サリシレート化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、アクリロニトリル化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物などを用いることができる。これらの詳細については、特開2012−208374号公報の段落番号0052〜0072、特開2013−68814号公報の段落番号0317〜0334の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。共役ジエン化合物の市販品としては、例えば、UV−503(大東化学(株)製)などが挙げられる。また、ベンゾトリアゾール化合物としてはミヨシ油脂製のMYUAシリーズ(化学工業日報、2016年2月1日)を用いてもよい。
赤外線透過フィルタ用組成物において、紫外線吸収剤の含有量は、赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対して、0.01〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましい。本発明において、紫外線吸収剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<酸化防止剤>>
赤外線透過フィルタ用組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤としては、フェノール化合物、亜リン酸エステル化合物、チオエーテル化合物などが挙げられる。フェノール化合物としては、フェノール系酸化防止剤として知られる任意のフェノール化合物を使用することができる。好ましいフェノール化合物としては、ヒンダードフェノール化合物が挙げられる。フェノール性水酸基に隣接する部位(オルト位)に置換基を有する化合物が好ましい。前述の置換基としては炭素数1〜22の置換又は無置換のアルキル基が好ましい。また、酸化防止剤は、同一分子内にフェノール基と亜リン酸エステル基を有する化合物も好ましい。また、酸化防止剤は、リン系酸化防止剤も好適に使用することができる。リン系酸化防止剤としてはトリス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2−[(4,6,9,11−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−2−イル)オキシ]エチル]アミン、亜リン酸エチルビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)などが挙げられる。酸化防止剤の市販品としては、例えば、アデカスタブ AO−20、アデカスタブ AO−30、アデカスタブ AO−40、アデカスタブ AO−50、アデカスタブ AO−50F、アデカスタブ AO−60、アデカスタブ AO−60G、アデカスタブ AO−80、アデカスタブ AO−330(以上、(株)ADEKA)などが挙げられる。
赤外線透過フィルタ用組成物において、酸化防止剤の含有量は、赤外線透過フィルタ用組成物の全固形分に対して、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.3〜15質量%であることがより好ましい。酸化防止剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<その他成分>>
赤外線透過フィルタ用組成物は、必要に応じて、増感剤、硬化促進剤、フィラー、熱硬化促進剤、可塑剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を含有してもよい。これらの成分を適宜含有させることにより、膜物性などの性質を調整することができる。これらの成分は、例えば、特開2012−003225号公報の段落番号0183以降(対応する米国特許出願公開第2013/0034812号明細書の段落番号0237)の記載、特開2008−250074号公報の段落番号0101〜0104、0107〜0109等の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
赤外線透過フィルタ用組成物の粘度(25℃)は、例えば、塗布により膜を形成する場合、1〜100mPa・sであることが好ましい。下限は、2mPa・s以上がより好ましく、3mPa・s以上が更に好ましい。上限は、50mPa・s以下がより好ましく、30mPa・s以下が更に好ましく、15mPa・s以下が特に好ましい。
<カラーフィルタ用組成物>
次に、カラーフィルタ層の形成に好ましく用いることができる組成物(カラーフィルタ用組成物)について説明する。カラーフィルタ用組成物は、有彩色着色剤を含むことが好ましい。有彩色着色剤としては、顔料であってもよく、染料であってもよい。有彩色着色剤の詳細については、上述したものが挙げられる。有彩色着色剤の含有量は、カラーフィルタ用組成物の全固形分に対して0.1〜70質量%が好ましい。下限は、0.5質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましい。上限は、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。
カラーフィルタ用組成物は、更に、硬化性化合物、光開始剤、樹脂、溶剤、重合禁止剤、界面活性剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを含有することができる。これらの詳細については、上述した赤外線透過フィルタ用組成物に用いられる前述の材料が挙げられ、好ましい範囲も同様である。また、これらの材料の好ましい含有量についても赤外線透過フィルタ用組成物における含有量と同様である。
<赤外線カットフィルタ用組成物>
次に、赤外線カットフィルタ層の形成に好ましく用いることができる組成物(赤外線カットフィルタ用組成物)について説明する。赤外線カットフィルタ用組成物は、赤外線吸収色素を含むことが好ましい。赤外線吸収色素の詳細については、上述したものが挙げられる。赤外線吸収色素の含有量は、赤外線カットフィルタ用組成物の全固形分に対して0.1〜70質量%が好ましい。下限は、0.5質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましい。上限は、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。
赤外線カットフィルタ用組成物は、更に、硬化性化合物、光開始剤、樹脂、溶剤、重合禁止剤、界面活性剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを含有することができる。これらの詳細については、上述した赤外線透過フィルタ用組成物に用いられる前述の材料が挙げられ、好ましい範囲も同様である。また、これらの材料の好ましい含有量についても赤外線透過フィルタ用組成物における含有量と同様である。
<キット>
次に、本発明のキットについて説明する。本発明のキットは、上述した本発明の光センサの製造方法に用いられるキットであって、
上述した酸分解性基を有する繰り返し単位を有する樹脂と、光酸発生剤とを含有し、固形分濃度が25質量%以上である、レジスト膜のパターンの形成に用いられるレジスト組成物と、
色材を含む赤外線透過フィルタ用組成物と、を含む。レジスト組成物、赤外線透過フィルタ用組成物の詳細については、上述の通りである。本発明のキットは、更に、カラーフィルタ用組成物および赤外線カットフィルタ用組成物から選ばれる少なくとも1種を含むことも好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は、質量基準である。
<レジスト組成物の粘度の測定方法>
25℃の温度に調整したレジスト組成物の1.2mlをRE−85L(東機産業株式会社製)に投入し、高粘度用ローターを使用してレジスト組成物の粘度を測定した。
[試験例1]
<レジスト組成物の調製>
下記の原料を混合してレジスト組成物1〜8を調製した。なお、レジスト組成物の固形分濃度は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)の含有量で調整した。レジスト組成物の調製に用いた樹脂、レジスト組成物の固形分濃度、レジスト組成物の25℃の粘度について、下記表に合わせて記す。
下記表に記載の樹脂A〜E:29.581質量部
光酸発生剤(下記構造の化合物):0.358質量部
Figure 2019009143
酸拡散制御剤(下記構造の化合物):0.016質量部
Figure 2019009143
界面活性剤(メガファックR−41、DIC(株)製):0.045質量部
PGMEA:残部
プロピレングリコールモノメチルエーテル:15.000質量部
Figure 2019009143
樹脂A:下記構造の樹脂。繰り返し単位に付記した数値はモル比である。Mw=22,000、大西パラメータ=2.87)
樹脂B:下記構造の樹脂。繰り返し単位に付記した数値はモル比である。Mw=21,000、大西パラメータ=2.84)
樹脂C:下記構造の樹脂。繰り返し単位に付記した数値はモル比である。Mw=18,000、大西パラメータ=2.74)
樹脂D:下記構造の樹脂。繰り返し単位に付記した数値はモル比である。Mw=20,000、大西パラメータ=2.73)
樹脂E:下記構造の樹脂。繰り返し単位に付記した数値はモル比である。Mw=19,000、大西パラメータ=2.54)
なお、樹脂の組成比(繰り返し単位のモル比)は、H−NMR(核磁気共鳴)または13C−NMR測定により算出した。樹脂の重量平均分子量(Mw:ポリスチレン換算)はGPC(溶媒:THF)測定により算出した。樹脂の大西パラメータは、下記式より算出した。
大西パラメータ=C、HおよびOの原子数の和/(C原子数−O原子数)
Figure 2019009143
<赤外線透過フィルタ層形成用組成物(IR透過組成物)の調製>
(顔料分散液R−1、R−2、B−1、B−2、Y−1、Y−2、V−1、IR−1、Bk−2の調製)
下記の表に記載の原料を混合し、更に直径0.3mmのジルコニアビーズ230質量部を加えて、ペイントシェーカーを用いて5時間分散処理を行い、ビーズをろ過で分離して各顔料分散液を製造した。
Figure 2019009143
(IR透過組成物の調製)
下記の表に記載の原料を混合して、IR透過組成物1〜4を調製した。
Figure 2019009143
上記表に記載の原料は以下の通りである。
(色材)
PR254 : C.I.Pigment Red 254
PB15:6 : C.I.Pigment Blue 15:6
PY139 : C.I.Pigment Yellow 139
PV23 : C.I.Pigment Violet 23
Pigment Black 32 : C.I.Pigment Black 32
A1:下記構造の化合物(赤外線吸収色素)。以下の式中、Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表す。
Figure 2019009143
(誘導体)
B1、B2:下記構造の化合物。以下の構造式中、Phはフェニル基を表す。
Figure 2019009143
(分散剤)
C1:下記構造の樹脂。(主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=21000)
C2:下記構造の樹脂。(主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=26000)
C3:下記構造の樹脂。(主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=21000)
C4:Disperbyk−111(BYKChemie社製)
Figure 2019009143
(樹脂)
P1:下記構造の樹脂。(主鎖に付記した数値はモル比である。Mw=10,000、酸価=70mgKOH/g)
P2:下記構造の樹脂。(主鎖に付記した数値はモル比である。Mw=10,000、酸価=70mgKOH/g)
Figure 2019009143
(硬化性化合物)
D1:KAYARAD RP−1040(日本化薬(株)製、ラジカル重合性化合物)
D2:アロニックス TO−2349(東亞合成(株)製、ラジカル重合性化合物)
D3:アロニックス M−305(東亞合成(株)製、ラジカル重合性化合物)
D4:NKエステル A−TMMT(新中村化学工業(株)製、ラジカル重合性化合物)
(光開始剤)
I1:IRGACURE OXE02(BASF製、光ラジカル重合開始剤)
I2:IRGACURE OXE03(BASF製、光ラジカル重合開始剤)
I3:下記構造の化合物
Figure 2019009143
(紫外線吸収剤)
UV1:UV−503(大東化学(株)製)
(界面活性剤)
F1:下記混合物(Mw=14000)。下記の式中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。
Figure 2019009143
(重合禁止剤)
G1:p−メトキシフェノール
(溶剤)
J1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
<光センサの製造>
支持体としてp型シリコン基板を用いた。p型シリコン基板に対し、イオン注入にてボロンを導入し、熱処理を行い、表面濃度が約2×1016cm−3のn型ウエルを形成した。p型シリコン基板のn型ウエルを形成した側の表面に、下記表に記載のレジスト組成物を塗布し、パターン形成を行い、下記表に記載の膜厚のレジストパターンを形成した。なお、レジストパターンは、イオン注入によって形成されるフォトダイオード部の1辺が1.75μmとなるように形成した。
次に、レジストパターンをマスクとし、支持体に対してイオン注入法により、リンを、ドーズ量2×1013cm−2、エネルギー80KeVの条件で注入してp層のフォトダイオード部を形成した。次いで、ゲート酸化膜としてSiO膜を、支持体およびレジストパターン上に形成した後、レジストパターンを剥離除去した。この操作により、フォトダイオード部上のみにゲート酸化膜が形成される。
次に、レジストパターンを剥離した支持体に対し、イオン注入法により、ボロンをドーズ量2×1012cm−2、エネルギー35KeVの条件で注入し、p型の第1のチャネルドープ領域を形成した。次いで、支持体上に、フォトダイオード部および第1のチャネルドープ領域を覆うレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとしてイオン注入法により、リンをドーズ量6×1012cm−2、エネルギー50KeVの条件で注入して、n型の第2のチャネルドープ領域を形成した。
次に、レジストパターンを剥離した後に、支持体上に、リンがドープされたポリシリコン制御電極を形成しパターニングを行い制御電極を形成した。次いで、公知の方法に従い、MOS(metal−oxide−semiconductor)トランジスタを形成した。次いで、公知の方法に従い、第1の層間絶縁膜、コンタクト、第1金属配線、第2の層間絶縁膜、第1金属配線と第2金属配線を接続するビア、第2金属配線、パッシベーション膜を順次形成した。このようにして赤外線受光素子を製造した。
このようにして製造した赤外線受光素子上に、CT−4000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を塗布して膜厚0.1μmの下地膜を形成し、この下地膜上に下記表に記載のIR透過組成物を塗布し、膜厚1μmの赤外線透過フィルタ層を形成して光センサを製造した。
<S/N比の評価>
赤外線透過フィルタ層を形成した赤外線受光素子をガラス基板にのせ、暗室にて、赤外線受光素子に対して赤外線を照射して、赤外線の照射および非照射時のシグナル強度比を比較してS/N比を評価した。
なお、実施例1〜8、10、11、比較例1、2は、赤外線の光源として、赤外線パワーLED(850nm) OSI3XNE3E1E(OPTOSUPPLY社製)を用いた。また、実施例9は、赤外線の光源として、赤外線パワーLED(940nm) OSI5XNE3E1E(OPTOSUPPLY社製)を用いた。
Figure 2019009143
上記表に示されるように、実施例の光センサは、比較例の光センサよりも赤外線に対するS/N比が高いものであった。
実施例1において、リンのイオン注入時において、ドーズ量を8×1013cm−2、エネルギー120KeVの条件に変更してp層のフォトダイオード部を形成した以外は実施例1と同様にして光センサを製造した。この光センサのS/N比は57であり、良好な結果であった。
各実施例において、IR透過組成物に用いる光開始剤を同量のIRGACURE OXE01(BASF製、光ラジカル重合開始剤)に変更しても同様の効果が得られる。
[試験例2]
試験例1で製造した実施例1〜11の赤外線受光素子に対し、赤外線カットフィルタ用組成物を、製膜後の膜厚が1.0μmになるように、スピンコート法で塗布した。次いで、ホットプレートを用いて、100℃で2分間加熱した。次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を用い、1000mJ/cmの露光量にて、2μm四方のベイヤーパターンを有するマスクを介して露光した。
次いで、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにてリンスを行い、さらに純水にて水洗した。次いで、ホットプレートを用いて、200℃で5分間加熱することで2μm四方のベイヤーパターン(赤外線カットフィルタ層)を形成した。
次に、赤外線カットフィルタ層のベイヤーパターン上に、Red組成物を製膜後の膜厚が1.0μmになるようにスピンコート法で塗布した。次いで、ホットプレートを用い、100℃で2分間加熱した。次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を用い、1000mJ/cmの露光量にて、2μm四方のベイヤーパターンを有するマスクを介して露光した。次いで、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにてリンスを行い、さらに純水にて水洗した。次いで、ホットプレートを用い、200℃で5分間加熱することで、赤外線カットフィルタ層のベイヤーパターン上にRed組成物をパターニングした。同様にGreen組成物、Blue組成物を順次パターニングし、赤、緑および青の着色パターンを形成してカラーフィルタ層を形成した。
次に、上記パターン形成した膜上に、上述したIR透過組成物1を、製膜後の膜厚が2.0μmになるようにスピンコート法で塗布した。次いで、ホットプレートを用いて100℃で2分間加熱した。次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を用い、1000mJ/cmの露光量にて、2μm四方のベイヤーパターンを有するマスクを介して露光した。次いで、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにてリンスを行い、さらに純水にて水洗した。次いで、ホットプレートを用いて、200℃で5分間加熱することで、赤外線カットフィルタ層のベイヤーパターンの抜け部分に、赤外線透過フィルタ層のパターニングを行った。これを公知の方法に従い光センサに組み込んだ。
得られた光センサについて、低照度の環境下(0.001Lux)で赤外発光ダイオード(赤外LED)光源から光を照射し、画像の取り込みを行い、画像性能を評価した。赤外線に対するS/N比が高く、画像上で被写体をはっきりと認識できた。また、入射角依存性が良好であった。
試験例2で得られた光センサについて、カバーガラスを上述した樹脂Cで被覆して不要なα線を遮蔽しても、試験例2で得られた光センサと同様の効果が得られる。
試験例2で使用した赤外線カットフィルタ用組成物、Red組成物、Green組成物、Blue組成物は以下の通りである。
(赤外線カットフィルタ用組成物)
赤外線吸収剤分散液 ・・・43.8質量部
樹脂103 ・・・5.5質量部
重合性化合物(アロニックス TO−2349、東亞合成(株)製) ・・・3.2質量部
重合性化合物(NKエステル A−TMMT、新中村化学工業(株)製) ・・・3.2質量部
光重合開始剤(IRGACURE−OXE01、BASF社製) ・・・1質量部
紫外線吸収剤(UV−503、大東化学(株)製) ・・・1.6質量部
界面活性剤101 ・・・0.025質量部
重合禁止剤(p−メトキシフェノール) ・・・0.003質量部
着色防止剤(アデカスタブ AO−80、(株)ADEKA製) ・・・0.2質量部
PGMEA ・・・41.47質量部
(Red組成物)
Red顔料分散液 ・・51.7質量部
樹脂104(40質量%PGMEA溶液) ・・・0.6質量部
重合性化合物104 ・・・0.6質量部
光重合開始剤(IRGACURE−OXE01、BASF社製) ・・・0.3質量部
界面活性剤101 ・・・4.2質量部
PGMEA ・・・42.6質量部
(Green組成物)
Green顔料分散液 ・・・73.7質量部
樹脂104(40質量%PGMEA溶液) ・・・0.3質量部
重合性化合物101 ・・・1.2質量部
光重合開始剤(IRGACURE−OXE01、BASF社製) ・・・0.6質量部
界面活性剤101 ・・・4.2質量部
紫外線吸収剤(UV−503、大東化学(株)製) ・・・0.5質量部
PGMEA ・・・19.5質量部
(Blue組成物)
Blue顔料分散液 44.9質量部
樹脂104(40質量%PGMEA溶液) ・・・2.1質量部
重合性化合物101 ・・・1.5質量部
重合性化合物104 ・・・0.7質量部
光重合開始剤(IRGACURE−OXE01、BASF社製) ・・・0.8質量部
界面活性剤101 ・・・4.2質量部
PGMEA ・・・45.8質量部
赤外線カットフィルタ用組成物、Red組成物、Green組成物、Blue組成物に使用した原料は以下の通りである。
・赤外線吸収剤分散液
赤外線吸収剤A1の2.5質量部と、顔料誘導体B1の0.5質量部と、分散剤C1の1.8質量部と、PGMEAの79.3質量部とを混合した混合液に、直径0.3mmのジルコニアビーズ230質量部を加えて、ペイントシェーカーを用いて5時間分散処理を行い、ビーズをろ過で分離して赤外線吸収剤分散液を製造した。
赤外線吸収剤A1::下記構造の化合物(A1)。
顔料誘導体B1:下記構造の化合物(B1)。
分散剤C1:下記構造の樹脂(C1)(Mw=20,000、酸価=105mgKOH/g)。主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。
Figure 2019009143
・Red顔料分散液
C.I.Pigment Red 254の9.6質量部、C.I.Pigment Yellow 139の4.3質量部、分散剤(Disperbyk−161、BYKChemie社製)の6.8質量部、および、PGMEAの79.3質量部とを混合した混合液に、直径0.3mmのジルコニアビーズ230質量部を加えて、ペイントシェーカーを用いて3時間分散処理を行い、ビーズをろ過で分離してRed顔料分散液を製造した。
・Green顔料分散液
C.I.Pigment Green 36の6.4質量部、C.I.Pigment Yellow 150の5.3質量部、分散剤(Disperbyk−161、BYKChemie社製)の5.2質量部、および、PGMEAの83.1質量部とを混合した混合液に、直径0.3mmのジルコニアビーズ230質量部を加えて、ペイントシェーカーを用いて3時間分散処理を行い、ビーズをろ過で分離してGreen顔料分散液を製造した。
・Blue顔料分散液
C.I.Pigment Blue 15:6の9.7質量部、C.I.Pigment Violet 23の2.4質量部、分散剤(Disperbyk−161、BYKChemie社製)の5.5質量部、および、PGMEAの82.4質量部とを混合した混合液に、直径0.3mmのジルコニアビーズ230質量部を加えて、ペイントシェーカーを用いて3時間分散処理を行い、ビーズをろ過で分離してBlue顔料分散液を製造した。
・重合性化合物101:KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製)
・重合性化合物104:下記構造
Figure 2019009143
・樹脂103:下記構造の樹脂。(主鎖に付記した数値はモル比である。Mw=40,000、酸価=100mgKOH/g)
Figure 2019009143
・樹脂104:下記構造(Mw=11000、主鎖に付記した数値はモル比である)
Figure 2019009143
・界面活性剤101:下記混合物(Mw=14000)の1質量%PGMEA溶液。下記の式中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。
Figure 2019009143
1:支持体、2:レジスト膜のパターン(レジストパターン)、3:フォトダイオード部、110:赤外線受光素子、111:赤外線カットフィルタ層、112:カラーフィルタ層、114:赤外線透過フィルタ層、115:マイクロレンズ、116:平坦化層

Claims (14)

  1. レジスト組成物を用いて支持体上に厚さ5μm以上のレジスト膜のパターンを形成したのち、前記レジスト膜のパターンをマスクとして前記支持体に対してイオン注入を行う、赤外線受光素子の製造方法。
  2. 前記レジスト組成物の1回の塗布で厚さ5μm以上のレジスト膜を形成する、請求項1に記載の赤外線受光素子の製造方法。
  3. 前記レジスト組成物の固形分濃度が25質量%以上である、請求項1または2に記載の赤外線受光素子の製造方法。
  4. 前記レジスト組成物の25℃における粘度が100〜1000mPa・sである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の赤外線受光素子の製造方法。
  5. 前記レジスト組成物は樹脂を含み、前記レジスト組成物の固形分中における樹脂の含有量が95.0〜99.9質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の赤外線受光素子の製造方法。
  6. 前記樹脂の大西パラメータが3.0以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の赤外線受光素子の製造方法。
  7. 前記樹脂の大西パラメータが2.8以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の赤外線受光素子の製造方法。
  8. 前記レジスト組成物は、ポジ型感光性組成物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の赤外線受光素子の製造方法。
  9. 前記レジスト組成物は、酸の作用により分解し極性基を生じる基を有する繰り返し単位を有する樹脂と、光酸発生剤とを含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の赤外線受光素子の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の赤外線受光素子の製造方法により赤外線受光素子を製造し、次いで、前記赤外線受光素子の前記イオン注入が行われた領域上の少なくとも一部に、可視光を遮光し赤外線の少なくとも一部を透過させる赤外線透過フィルタ層を形成する、光センサの製造方法。
  11. レジスト組成物を用いて支持体上に厚さ5μm以上のレジスト膜のパターンを形成したのち、前記レジスト膜のパターンをマスクとして前記支持体に対してイオン注入を行う、赤外線受光素子の製造方法に用いられる積層体であって、
    支持体上に、厚さ5μm以上のレジスト膜のパターンを有する、積層体。
  12. 前記レジスト膜は樹脂を含み、前記樹脂の大西パラメータが3.0以下である、請求項11に記載の積層体。
  13. レジスト組成物を用いて支持体上に厚さ5μm以上のレジスト膜のパターンを形成したのち、前記レジスト膜のパターンをマスクとして前記支持体に対してイオン注入を行う赤外線受光素子の製造方法の、前記レジスト膜のパターンの形成に用いられるレジスト組成物であって、
    酸の作用により分解し極性基を生じる基を有する繰り返し単位を有する樹脂と、光酸発生剤とを含有し、固形分濃度が25質量%以上であるレジスト組成物。
  14. レジスト組成物を用いて支持体上に厚さ5μm以上のレジスト膜のパターンを形成し、
    次いで、前記レジスト膜のパターンをマスクとして前記支持体に対してイオン注入を行って赤外線受光素子を製造し、
    次いで、前記赤外線受光素子の前記イオン注入が行われた領域上の少なくとも一部に、可視光を遮光し赤外線の少なくとも一部を透過させる赤外線透過フィルタ層を形成する、
    光センサの製造方法に用いられるキットであって、
    酸の作用により分解し極性基を生じる基を有する繰り返し単位を有する樹脂と、光酸発生剤とを含有し、固形分濃度が25質量%以上である、前記レジスト膜のパターンの形成に用いられるレジスト組成物と、
    色材を含む赤外線透過フィルタ用組成物と、を含むキット。
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