JPWO2018168783A1 - ポリマー光導波路 - Google Patents
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Abstract
Description
ポリマー光導波路は、大容量の信号を通すことができ、ノイズレス、省スペース化、アッセンブリ容易性を実現できる。
前記ポリマー光導波路はシート形状をなしており、コアの光伝搬方向と垂直方向のコア断面形状において、シート形状の厚さ方向をコア高さ、厚さ方向と垂直の方向をコア幅とするとき、コア高さは1.0〜10μm、コア幅は1.0〜15μmであり、
前記コア断面形状におけるコア上面、および/またはコア側面に存在する凹みの深さが0.33μm以下であることを特徴とするポリマー光導波路を提供する。
図1は、本発明のポリマー光導波路の一構成例を示した斜視図である。
図1に示すポリマー光導波路10は、コア20と、該コア20よりも屈折率が低いクラッド30とを有している。クラッド30は、コア20の下方に配されるアンダークラッド31と、コア20の上方に配されるオーバークラッド32とで構成されている。
ポリマー光導波路10の一端側には、オーバークラッド32が存在せずコア20が露出したコア露出部40が設けられている。
図2、3において、ポリマー光導波路10は、一端側に設けられたコア露出部により、シリコン光導波路100とアディアバティック結合している。ポリマー光導波路10の他端側は、シングルモード光ファイバ200とバット結合(正対結合)している。
図1に示すポリマー光導波路10では、クラッド30に対しコア20の数が一つであるのに対し、図4に示すポリマー光導波路12では、一方向に沿って複数のコア22がアレイ状に設けられており、コア22同士の間隔を広げるため、曲げ領域を有している。
図4、5において、ポリマー光導波路12の他端側は、シングルモード光ファイバ等とのバット結合(正対結合)用のコネクタ300に収容されている。
図4、5に示す形態のように、ポリマー光導波路12と、ポリマー光導波路12の光導波部を収容するコネクタ300と、を有する構造を、本明細書において、複合光導波路とする。
図6において、コア20の断面形状は矩形の上面に凹みがある形状をなしている。但し、本発明のポリマー光導波路において、コアの断面形状はこれに限定されない。たとえば、台形、円形、楕円形、五角形以上の多角形の一部に凹みがある形状であってもよい。コアの断面形状が多角形である場合、その角が丸みを帯びていてもよい。
上記のコア幅、コア高さは、白色光干渉計、光学顕微鏡、レーザ顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて特定することができる。コア露出部の場合はコアの断面形状を直接観察することにより特定することができ、コア露出部が設けられていないポリマー光導波路の場合は、ポリマー光導波路を切断してコアの断面形状を観察することにより特定することができる。
コア断面形状における上面および/または側面に存在する1μm前後の凹みはポリマー光導波路において伝播損失を生じることはないと従来考えられていた。
しかしながら、本願発明者らが鋭意検討した結果、コア断面形状における上面および/または側面に存在する凹みが、シングルモードでの波長帯域として代表的な1310nm、および1550nmにおいて伝播損失を生じさせうること、および、特定の深さ以上の凹みが存在すると、シングルモードでの波長帯域として代表的な1310nm、および1550nmにおいて有意な伝播損失を生じることを見出した。
コア上面および/またはコア側面に存在する凹みの深さが0.33μm以下であれば、シングルモードでの波長帯域として代表的な1310nm、および1550nmにおいて伝播損失が低減される。
なお、本明細書において、コア上面に凹みが存在する場合とは、コア上面に少なくとも2つの凸部が存在し、該凸部間に凹部が存在する場合を指す。
コア上面に凹み60が存在する別の一構成例を図7に示す。
コア上面に存在する凹みの深さは以下の手順で求めることができる。
コア上面に存在する2つの隣接する凸部間に接線を引いた際に、該接線と、2つの凸部間に位置する凹部との、コア厚み方向における高低差の最大値をコア上面に存在する凹みの深さとする。
コア側面に凹みが存在する一構成例を図8に示す。
コア側面に存在する凹みの深さは以下の手順で求めることができる。
上記で定義した接線プロファイルと、コア側面、との距離の最大値をコア側面に存在する凹みの深さとする。
なお、後述する実施例では、ポリマー光導波路の光伝播方向における一個所でのみコアの断面形状を観察しているが、コア上面および/またはコア側面に凹みが生じるのはポリマー光導波路の製造時の条件に起因するため、ポリマー光導波路の光伝播方向における一個所において、コア上面および/またはコア側面に凹みが存在する場合、ポリマー光導波路の他の部位においても、コア上面および/またはコア側面に実質的に同程度の深さの凹みが存在する可能性が高い。
本発明のポリマー光導波路は、波長1550nmの伝搬損失値X[dB/cm]を、波長1310nmの伝搬損失値Y[dB/cm]で除した伝搬損失比X/Yが0.2〜2であることが好ましい。伝達損失値X/Yが上記範囲を満たしていれば、ポリマー光導波路の設計自由度が高くなる。また、ポリマー光導波路の生産性が高くなる。すなわち、同じデザインのポリマー光導波路を1310nm、および1550nmの両方の波長帯域の信号の伝播に使用できる。また、1つのポリマー光導波路において、1310nm、および1550nm波長帯の信号を伝搬できる。
これらの材料のうち、フッ素系樹脂は、吸水率又は吸湿率が低く、高温高湿に対する耐性に優れ、化学的な安定性が高いため、コアやクラッドの材料として好適である。フッ素系樹脂を用いたポリマー光導波路は、外的環境の変化、特に湿度の変化による屈折率の変動が小さくて特性が安定しており、また、光通信波長帯域における透明性が高い。
耐熱性、および、コアとクラッドとの密着性の観点からは、本発明のポリマー光導波路におけるコアは、含フッ素ポリアリーレンプレポリマー(A)(以下、単にプレポリマー(A)ということもある。)を硬化させて形成されることが好ましい。
一方、本発明のポリマー光導波路におけるクラッドは、プレポリマー(A)より屈折率が低い架橋性官能基を有する化合物を含む組成物(B)を硬化させて形成されることが好ましい。
プレポリマー(A)は、複数の芳香族環が単結合または連結基を介して結合しているポリアリーレン構造を有するとともに、フッ素原子を有し、かつ架橋性官能基を有する。
ポリアリーレン構造における連結基は、例えばエーテル結合(−O−)、スルフィド結合(−S−)、カルボニル基(−CO−)、スルホン酸基から水酸基を除いた二価基(−SO2−)等が挙げられる。プレポリマー(A)のうち、特に芳香族環どうしがエーテル結合(−O−)を含む連結基で結合されている構造を有するものを含フッ素ポリアリーレンエーテルプレポリマー(A1)という。本発明におけるプレポリマー(A)は含フッ素ポリアリーレンエーテルプレポリマー(A1)を含む概念である。
該エーテル結合を含む連結基の具体例としては、エーテル性酸素原子のみからなるエーテル結合(−O−)、炭素鎖中にエーテル性酸素原子を含むアルキレン基等が例示される。
外部エネルギーとしては、熱、光、電子線等が挙げられる。これらを併用してもよい。 外部エネルギーとして熱を用いる場合、40℃〜500℃の反応温度で反応する反応性官能基が好ましい。反応温度が低すぎると、プレポリマー又は該プレポリマーを含む組成物の保存時における安定性が確保できず、高すぎると反応時にプレポリマー自体の熱分解が発生してしまうので、前記範囲にあることが好ましい。該反応温度は60℃〜300℃がより好ましく、70℃〜200℃がさらに好ましく、120℃〜250℃が特に好ましい。
また、外部エネルギーとして光(化学線)を用いる場合は、プレポリマー(A)と感光剤を共存させた状態で露光することが好ましい。具体的にはプレポリマー(A)を含む塗布液(硬化性組成物)を調製し、これに感光剤を含有させることが好ましい。露光工程において所望の部分にのみ化学線を選択的に照射すれば、露光部のみを高分子量化させ、未露光部分を現像液に溶解させて除去することができる。また必要に応じて、露光、現像の後にも、化学線または熱等の外部エネルギーを与えてさらに高分子量化させることができる。
なおメタクリロイル(オキシ)基とは、メタクリロイル基またはメタクリロイルオキシ基を意味する。アクリロイル(オキシ)基も同様である。
プレポリマー(A)のうちでも、特に、含フッ素ポリアリーレンエーテルプレポリマー(A1)は、エーテル性酸素原子を有するため、分子構造が柔軟性を有し、硬化物の可とう性が良好である点で好ましい。
プレポリマー(A)はフッ素原子を有する。すなわちプレポリマー(A)はC−H結合の水素原子がフッ素原子に置換されたC−F結合を有するため、C−H結合の存在割合が少なくなっている。C−H結合は光通信波長帯域(1250〜1650nm)において吸収を有するため、C−H結合が少ないプレポリマー(A)は、光通信波長帯域における光の吸収が抑えられる。またプレポリマー(A)はフッ素原子を有するため、吸水性または吸湿性が低く、高温高湿に対する耐性に優れるとともに、化学的にも安定性が高い。したがって、プレポリマー(A)を用いた光導波路は、外的環境の変化、特に湿度変化、による屈折率変動が小さく特性が安定しており、また光通信波長帯域における透明性が高い。
またプレポリマー(A)の硬化物は、波長1310nm付近における透明性が高いため、既存の光学素子との適合性が良い光導波路が得られる。すなわち、一般に石英系光ファイバを用いた光伝送装置においては、1310nmを使用波長とする場合が多いため、この使用波長に適合する受光素子等の光学素子が多く製造されており、信頼性も高い。
詳しくは後述するが、ポリマー光導波路の作製時において、ポリマー光導波路のコアを形成する際にフォトリソグラフィプロセスを用いる場合がある。このフォトリソグラフィプロセスでの露光には波長365nmのi線が通常使用される。波長365nmにおける吸光度が高いと、フォトリソグラフィプロセスの露光時にプレポリマー(A)がi線を吸収して、形成されるコアに凹みが生じるおそれがある。プレポリマー(A)は、ポリマー厚み10mm、ポリマー濃度100wt%での波長365nmにおける吸光度が7.5以下であれば、形成されるコアに凹みが生じるおそれが少ない。
これにより、シングルモードでの波長帯域として代表的な1310nm、および1550nmにおいて伝播損失が低減される。
プレポリマー(A)は、ポリマー厚み10mm、ポリマー濃度100wt%での波長365nmにおける吸光度が7.5以下であることが好ましく、6.5以下であることがより好ましく、6.0以下であることがさらに好ましく、5.5以下であることが特に好ましい。
プレポリマー(A)が水分を含有すると、該プレポリマー(A)を用いて形成されるコアにおいて、シングルモードでの波長帯域として代表的な1310nm、および1550nmで伝播損失が生じるおそれがある。
プレポリマー(A)が水分を含有すると、波長1400nm〜1460nmにおける吸収が大きくなる。ポリマー厚み10mm、ポリマー濃度100wt%での波長1400nm〜1460nmにおける吸光度のピーク値が0.045以下であれば、プレポリマー(A)が含有する水分がきわめて少なく、該プレポリマー(A)を用いて形成されるコアにおいて、シングルモードでの波長帯域として代表的な1310nm、および1550nmにおいて伝播損失が低減される。
組成物(B)は、プレポリマー(A)と、架橋性官能基を有する分子量が140〜5000のフッ素原子を有さない化合物(C)とを含むことが好ましい。
組成物(B)に含まれるプレポリマー(A)は、コアの形成に用いるプレポリマー(A)は、同じであってもよく、異なっていてもよい。接着性、密着性、クラック抑制、または膨張率差の低減の点からは同じであることが好ましい。
化合物(C)は分子量が140〜5000であり、架橋性官能基を有し、フッ素原子を有していない。フッ素原子を有していないため、良好な埋め込み平坦性が得られやすい。埋め込み平坦性が良いと、クラッドの表面が平坦になりやすい。また含フッ素化合物に比べて低コストになりやすい。
化合物(C)の分子量が140以上であると、良好な耐熱性が得られ、加熱による分解、揮発が生じ難い。化合物(C)の分子量の範囲は250〜3000が好ましく、250〜2500が特に好ましい。
化合物(C)の架橋性官能基は、少なくとも化合物(C)と反応して架橋又は鎖延長を引き起こす。化合物(C)の架橋性官能基が、プレポリマー(A)および化合物(C)の両方と反応して架橋又は鎖延長を引き起こすことが好ましい。
化合物(C)の架橋性官能基としては、炭素原子−炭素原子における二重結合または三重結合が好ましい。ただし芳香族性の二重結合、三重結合は含まない。
架橋性官能基としての二重結合、三重結合は、分子鎖の内部に存在してもよく、末端に存在してもよいが、反応性が高いことから末端に存在することが好ましい。二重結合の場合には、内部オレフィンであっても、末端オレフィンであってもよいが、末端オレフィンが好ましい。分子鎖の内部にあるとは、シクロオレフィン類のように脂肪族環の一部に存在することも含む。
具体的には、ビニル基、アリル基、エチニル基、ビニルオキシ基、アリルオキシ基、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイル基、メタクリロイルオキシ基からなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。これらのうちで、感光剤の存在下でなくても光照射により反応を生じる点でアクリロイル基、アクリロイルオキシ基が好ましい。
上記に挙げた中でも、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレートが硬化膜の成形性が良好であるので好ましい。
硬化物の屈折率がプレポリマー(A)を単独で硬化させた硬化物の屈折率より高い化合物(C)を用いる場合は、硬化物の屈折率がプレポリマー(A)を単独で硬化させた硬化物の屈折率より低い別の化合物(C)と組み合わせて使用することによって、クラッドの屈折率を、コアの屈折率よりも低くできる。
まず、スピンコート法により、基板の上に組成物(B)を含有する塗布液を塗布する。続いて、組成物(B)を硬化させてアンダークラッド31を形成する。
次に、スピンコート法により、アンダークラッド31の上にプレポリマー(A)を含有する塗布液を塗布する。続いて、フォトリソグラフィプロセスにより、プレポリマー(A)をパターニングし、アンダークラッド31の上にコア20を形成する。このとき、コア20の幅が光の伝搬方向に沿って異なる形状を形成する場合、コア20の幅が光の伝搬方向に沿って異なる形状のフォトマスクを用いて露光を行った後、現像することによってコア20を形成することができる。また、コア20を形成した後、必要に応じてポストベークを行ってもよい。
次に、スピンコート法により、アンダークラッド31及びコア20の上に組成物(B)を含有する塗布液を塗布する。続いて、組成物(B)を硬化させてオーバークラッド32を形成する。オーバークラッド32を形成する際、フォトリソグラフィプロセスにより、オーバークラッド32が存在せずコア20が露出したコア露出部40を形成することができる。
以上の方法により、ポリマー光導波路10を製造することができる。なお、組成物(B)を含有する塗布液、若しくは、プレポリマー(A)を含有する塗布液を塗布する際、これらの塗布液を十分に静置して脱泡した後、塗布することが好ましい。これにより、コア20の内部やコア20とクラッド30との界面近傍に泡欠陥が存在しないポリマー光導波路10を製造することができる。また、塗布液を十分に静置して脱泡することに加えて又は代えて、脱泡装置を利用して脱泡を行うことが好ましい。また、塗布液を塗布する前に、塗布液のろ過を行うことが好ましい。これにより、塗布液内の異物を取り除くことができる。また、塗布液を塗布する前に、基板の洗浄を行うことが好ましい。これにより、基板の表面の異物を取り除くことができる。また、空気中の異物の付着を防ぐため、これらの作業をクリーンルーム内で行うことが好ましく、静電気による異物の付着を防ぐため、静電気除去器(イオナイザー)を使用することが更に好ましい。
コアの形成に用いるプレポリマー(A)を以下の手順で調製した。
N,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcという)溶媒中で、ペルフルオロビフェニル(67質量%)と、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン(12質量%)とを炭酸カリウムの存在下に、35〜42℃で5時間反応させた後、続けて4−アセトキシスチレン(21質量%)を水酸化カリウム水溶液の存在下に反応させてプレポリマーを合成した。得られたプレポリマーのDMAc溶液を塩酸水溶液に投入することで再沈精製し、真空乾燥して粉末状のプレポリマー(A)を得た。
分光光度計(島津製作所社製、製品型式:SolidSpec3700DUV)で測定した。光路長10mmの石英セルを使用し、プレポリマー(A)濃度を10wt%〜40wt%で段階的に変えた溶液3つ以上の吸光度を測定し、100%外挿時の値を最小二乗法にて近似して算出した。測定波長範囲は300〜2500nm、スキャンスピードは中速、サンプリングピッチは5nmで測定を行った。検出器ユニットは直接受光で測定を行った。溶媒には重クロロホルムを使用した。なお、プレポリマー(A)の吸光度は、溶剤の吸収をベースラインとして差し引いて求める。上記の手順で得られたプレポリマー(A)の波長400nm付近の吸光度を図9に示す。波長365nmにおける吸光度(ポリマー厚み10mm、濃度100%換算)は3.98であった。
なお、上記の手順により、波長1400nm〜1460nmにおける吸光度のピーク値(ポリマー厚み10mm、濃度100%換算)を求めた。波長1400nm〜1460nmにおける吸光度のピーク値(ポリマー厚み10mm、濃度100%換算)は0.06であった。
上記手順で得られたプレポリマー(A)を50質量部と、化合物(C)として1,10−デカンジオールジアクリレート(分子量:282)を25質量部と、ポリプロピレングリコールジメタクリレートを25質量部とを容器に入れ、室温で55時間混合して、組成物(B)を得た。
基材としてはシリコン製のウエハを用いた。基材上に、組成物(B)をスピンコートにより塗布し、190℃、1時間の加熱を行って、アンダークラッドを形成した。
次いで、その上にプレポリマー(A)を塗布し、該塗膜のコアとなる部分以外を金属箔で遮光した状態で、該塗膜に対し、超高圧水銀灯で照射エネルギー2000mJ/cm2で露光した。その後、現像液として、PGMEAと乳酸エチルの混合液を用いて現像を行い、塗膜の未露光部分を除去した後、乾燥させた。190℃、1時間のポストベークを行って、コアを形成した。
続いて、コアおよびアンダークラッド上に、組成物(B)をスピンコート法により塗布して塗膜を形成した。該塗膜のうち、オーバークラッドとなる部分以外を金属箔で遮光した状態で、該塗膜に対し、超高圧水銀灯で照射エネルギー2000mJ/cm2で露光した。その後、現像液として、PGMEAを用いて現像を行い、塗膜の未露光部分を除去した後、乾燥させた。さらに190℃、2時間のポストベークを行って、オーバークラッドと、オーバークラッドが存在せずコアが露出したコア露出部を形成した。
(例1)において、符号aで示すコア露出部(input側)は、コア高さが2.5μmであり、コア幅が7.5μmである。符号bで示す光学測定用のコア(input側)は、コア高さが2.5μmであり、コア幅が2.5μmである。符号cで示す光学測定用のコア(output側)は、コア高さが2.5μmであり、コア幅が2.5μmである。アンダークラッドの厚みは25μm、オーバークラッドの厚みは25μmである。
コア高さは白色干渉計でコア形状のプロットデータをとり、アンダークラッド部分を水平に補正したデータを作成し、コア中心から両側に25μmの距離にあるアンダークラッド部分の高さでベースラインを引き、そのベースラインを原点として、コア凸部のうち最も高い値をコア高さとした。断面形状におけるコア幅は、コア高さが半値となる位置での幅をコア幅とした。
図11は、コア露出部におけるコア断面形状を示した図である。図示するように、コア上面には凹みが存在している。
コア上面に存在する2つの隣接する凸部間に接線を引いた際に、該接線と、2つの凸部間に位置する凹部との、コア厚み方向における高低差の最大値をコア上面に存在する凹みの深さとした。
コア上面に存在する凹みの深さは0.07μmであった。
光学測定系で用いた発光側の光源としては、LD光源(安藤電気社製、製品名:AQ4213)を有するユニット(安藤電気社製、製品名:AQ2140)を使用した。受光側には、パワーメーター(アドバンテスト社製、製品名:Q8221ユニット)とセンサーユニット(アドバンテスト社製、製品名:Q82208)を使用した。
波長1550nmの伝搬損失値Xは0.32[dB/cm]、波長1310nmの伝搬損失値Yは0.61[dB/cm]、伝搬損失比X/Yは0.52であった。
コア形成時の露光条件を変えて、図10に示すポリマー光導波路において、符号aで示すコア露出部(input側)がコア高さ2.5μm、コア幅9.3μm、符号bで示す光学測定用のコア(input側)がコア高さ2.5μm、コア幅2.5μm、符号cで示す光学測定用のコア(output側)がコア高さ2.5μm、コア幅2.5μm、アンダークラッドの厚みが25μm、オーバークラッドの厚みが25μmとした以外は例1と同様の手順を実施した。
符号aで示すコア露出部(input側)について、input側端部から約1300μmの地点でコアの断面形状を実施例1と同様の手順で測定した。
図12は、コア露出部におけるコア断面形状を示した図である。図示するように、コア上面には凹みが存在している。コア上面に存在する凹みの深さは0.15μmであった。 符号bで示す光学測定用のコア(input側)、および符号cで示す光学測定用のコア(output側)を用いて実施例1と同様の手順で伝搬損失測定を行った。
1550nmの伝搬損失値Xは0.29[dB/cm]、1310nmの伝搬損失値Yは0.61[dB/cm]、伝搬損失比X/Yは0.47であった。
JPCA規格(2008年)、6.2.5に記載されている温度サイクル試験を行った。本試験では、室温(25℃)から55分かけて−50℃に温度降下させ、30分間保持した後、30分かけて25℃に温度上昇させ、20分間保持した後に30分かけて125℃に温度上昇させ、30分間保持した後に45分かけて25℃に温度降下させ20分間保持する、という温度サイクルを1サイクルとして、35サイクル繰り返した。試験前と試験後とで挿入損失の差を測定した。
挿入損失の測定は、JPCA規格、4.6.1に記載されている挿入損失の測定方法により行った。測定装置、測定手順、測定条件等は上述した伝播損失測定と同様の条件で行った。
挿入損失の測定結果は、温度サイクル試験前後で測定誤差の範囲内であり、温度サイクル試験前後の挿入損失の変化は0.1dB以下であった。
JPCA規格(2008年)、6.2.1に記載されている高温放置試験を行い、耐熱性を評価した。光導波路が半田付けされることを想定すると、200℃以上の加熱に対して安定であることが好ましい。
本試験では、オーブンに投入して室温から5分かけて260℃まで昇温し、260℃に30秒間保持した後、自然に温度が室温になるまで放置した。評価はオーブンに投入する前後で挿入損失の差を測定した。挿入損失の差は0.1dB以下と小さく耐熱性は良好であった。
JPCA規格(2008年)、6.2.3に記載されている高温高湿放置試験を行い、耐熱性を評価した。試験条件は「試験条件3」とした。すなわち、本試験では85℃、85%RHの高温高湿条件下に140時間投入した後、自然に温度が室温になるまで放置した。高温高湿条件下に投入する前後の挿入損失の差を測定した。その結果、高温高湿条件下に保持されたことによる挿入損失の変化は0.2dB以下であった。
コアの形成に用いるプレポリマーAを以下の手順で調製した。
N,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcという)溶媒中で、ペルフルオロビフェニル(67質量%)と、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン(12質量%)とを炭酸カリウムの存在下に、40〜43℃で5時間反応させた後、続けて4−アセトキシスチレン(21質量%)を水酸化カリウム水溶液の存在下に反応させてプレポリマーを合成した。得られたプレポリマーのDMAc溶液を塩酸水溶液に投入することで再沈精製し、真空乾燥して粉末状のプレポリマーAを得た。
プレポリマーAとして、波長365nmにおける吸光度(ポリマー厚み10mm、濃度100%換算)が4.86、波長1400nm〜1460nmにおける吸光度のピーク値(ポリマー厚み10mm、濃度100%換算)が0.12のものを使用した以外は実施例1と同様の手順を実施した。図10に示すポリマー光導波路において、符号aで示すコア露出部(input側)がコア高さ2.5μm、コア幅7.4μm、符号bで示す光学測定用のコア(input側)がコア高さ2.5μm、コア幅が2.5μmである。符号cで示す光学測定用のコア(output側)がコア高さ2.5μm、コア幅2.5μm、アンダークラッドの厚みが25μm、オーバークラッドの厚みが25μmとした。
符号aで示すコア露出部(input側)について、input側端部から約1300μmの地点でコアの断面形状を実施例1と同様の手順で測定した。
図13は、コア露出部におけるコア断面形状を示した図である。図示するように、コア上面には凹みが存在している。コア上面に存在する凹みの深さは0.13μmであった。 符号bで示す光学測定用のコア(input側)、および符号cで示す光学測定用のコア(output側)を用いて実施例1と同様の手順で伝搬損失測定を行った。
1550nmの伝搬損失値Xは0.40[dB/cm]、1310nmの伝搬損失値Yは0.61[dB/cm]、伝搬損失比X/Yは0.66であった。
コアの形成に用いるプレポリマーAを以下の手順で調製した。
N,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcという)溶媒中で、ペルフルオロビフェニル(67質量%)と、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン(12質量%)とを炭酸カリウムの存在下に、40〜46℃で5時間反応させた後、続けて4−アセトキシスチレン(21質量%)を水酸化カリウム水溶液の存在下に反応させてプレポリマーを合成した。得られたプレポリマーのDMAc溶液を塩酸水溶液に投入することで再沈精製し、真空乾燥して粉末状のプレポリマーAを得た。
プレポリマーAとして、波長365nmにおける吸光度(ポリマー厚み10mm、濃度100%換算)が7.9、波長1400nm〜1460nmにおける吸光度のピーク値(ポリマー厚み10mm、濃度100%換算)が0.26のものを使用し、かつコア形成時の露光条件を変えて、図10に示すポリマー光導波路において、符号aで示すコア露出部(input側)をコア高さ2.5μm、コア幅9.4μm、符号bで示す光学測定用のコア(input側)をコア高さ2.5μm、コア幅2.5μm、符号cで示す光学測定用のコア(output側)をコア高さ2.5μm、コア幅2.5μmとした以外は実施例1と同様の手順を実施した。
例4で使用したプレポリマー(A)の波長400nm付近の吸光度を図9に示す。
符号aで示すコア露出部(input側)について、input側端部から約1300μmの地点でコアの断面形状を実施例1と同様の手順で測定した。
図14は、コア露出部におけるコア断面形状を示した図である。図示するように、コア上面には凹みが存在している。コア上面に存在する凹みの深さは0.36μmであった。
符号bで示す光学測定用のコア(input側)、および符号cで示す光学測定用のコア(output側)を用いて実施例1と同様の手順で伝搬損失測定を行った。
1550nmの伝搬損失値Xは0.69[dB/cm]、1310nmの伝搬損失値Yは0.82[dB/cm]、伝搬損失比X/Yは0.83であった。
例1〜3は、コア形成に使用するプレポリマーAとして、波長365nmにおける吸光度(濃度100%換算)が7.5以下であるものを使用したため、シングルモードでの波長帯域として代表的な1310nm、および1550nmにおける伝播損失X、Yが低減されている。また、コア上面に存在する凹みの深さが0.33μm以下であることに影響していると推測する。
例4は、コア形成に使用するプレポリマーAとして、波長365nmにおける吸光度(ポリマー厚み10mm、濃度100%換算)が7.5超であるものを使用したことが、シングルモードでの波長帯域として代表的な1310nm、および1550nmにおける伝播損失X、Yを高くしている。また、コア上面に存在する凹みの深さが0.33μm超であることに影響していると推測する。
20:コア
30:クラッド
31:アンダークラッド
32:オーバークラッド
40:コア露出部
60:凹み
100:シリコン光導波路
200:シングルモード光ファイバ
Claims (8)
- コアと前記コアよりも屈折率が低いクラッドとを有するポリマー光導波路であって、
前記ポリマー光導波路はシート形状をなしており、前記コアの光伝搬方向と垂直方向のコア断面形状において、前記シート形状の厚さ方向をコア高さ、前記厚さ方向と垂直の方向をコア幅とするとき、前記コア高さは1.0〜10μm、前記コア幅は1.0〜15μmであり、
前記コア断面形状におけるコア上面、および/またはコア側面に存在する凹みの深さが0.33μm以下であることを特徴とするポリマー光導波路。 - 波長1550nmの伝搬損失値X[dB/cm]を、波長1310nmの伝搬損失値Y[dB/cm]で除した伝搬損失比X/Yが0.2〜2である、請求項1に記載のポリマー光導波路。
- 前記コアは、架橋性官能基を有する含フッ素ポリアリーレンプレポリマー(A)を含む組成物を硬化させたものであり、前記クラッドは、前記含フッ素ポリアリーレンプレポリマー(A)より屈折率が低い架橋性官能基を有する化合物を含む組成物(B)を硬化させたものである、請求項1または2に記載のポリマー光導波路。
- 前記組成物(B)は、前記含フッ素ポリアリーレンプレポリマー(A)と、架橋性官能基を有する分子量が140〜5000のフッ素原子を有さない化合物(C)とを含む、請求項3に記載のポリマー光導波路。
- 前記含フッ素ポリアリーレンプレポリマー(A)は、ポリマー厚み10mm、ポリマー濃度100wt%での波長365nmにおける吸光度が7.5以下である、請求項3または4に記載のポリマー光導波路。
- シングルモード用のポリマー光導波路である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリマー光導波路。
- 一端側に前記コアの少なくとも一部が露出した結合部を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリマー光導波路。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリマー光導波路と、前記ポリマー光導波路の光導波部を収容するコネクタと、を有する、複合光導波路。
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