JPWO2018167847A1 - モノクローナル抗体の同時定量方法 - Google Patents

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Abstract

複数の抗体医薬を同時に分析できる、バリデーション可能な技術を提供する。測定対象のモノクローナル抗体を細孔内に固定化した多孔質体と、プロテアーゼを固定化したナノ粒子とを液体中で接触させてモノクローナル抗体の選択的プロテアーゼ消化を行い、前記モノクローナル抗体のFab領域由来のアミノ酸配列を有するペプチド断片を液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS)によって検出する方法であって、同一の生物学的試料中の2種以上のモノクローナル抗体のペプチド断片を同時に定量するものである、上記方法を提供する。

Description

本発明は、モノクローナル抗体の定量方法に関し、より具体的には、サンプル中に混在し得る複数の抗体を分離することなく質量分析によって同時に検出及び定量する方法に関する。
従来、生体内のタンパク質成分の検出・定量は、主としてリガンド結合アッセイ法(Ligand binding assay: LBA)により実施されてきた(非特許文献1及び2)。この方法は、目的のタンパク質を抗原としてこれに特異的に結合する抗体を作製した後、この抗体を認識する検出用二次抗体を用い、蛍光、化学発光、ランタニド、スピンラベル、もしくはラジオアイソトープなどの標識を用いることで、抗原を検出するものである。特定の抗原結合性を有する抗体作製のための技術は非常に進歩しており、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を使い分けることで、LBA法は多くの研究開発に応用されてきた。
LBA法は、非常に適用範囲が広く、またマイクロタイタープレート等を使用した分析が自動化にも適しているため、技術開発からすでに50年以上が経過しているにもかかわらず、現在でも広く利用されている。
一方、近年、がんや自己免疫疾患等の治療のための分子標的薬として、病原タンパク質に対して結合するモノクローナル抗体が数多く開発され、臨床的に使用されるようになっている。モノクローナル抗体は極めて高い分子特異性を有するため、疾患の種類によって、また目的のタンパク質抗原の認識部位によって、使用すべきモノクローナル抗体は異なるものとなる。モノクローナル抗体による最適化医療を行うために、患者への投与後のその生体内濃度を定量することが必要となりつつある。
本発明者等のグループは、質量分析によるモノクローナル抗体の特異的な検出及び定量を目的として、個々のモノクローナル抗体特有のペプチドを取得するために検討した結果、モノクローナル抗体と、これを基質として消化し得るプロテアーゼの両方を固相に固定化することで、モノクローナル抗体の位置選択的な固相-固相反応によるプロテアーゼ消化を実現することに成功している(特許文献1及び非特許文献3)。この方法は、測定対象のモノクローナル抗体を細孔内に固定化した多孔質体と、プロテアーゼを固定化したナノ粒子とを液体中で接触させてモノクローナル抗体の選択的プロテアーゼ消化を行うものであり、得られたペプチド断片を液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS)によって効果的に検出することができる技術である。
国際公開WO2015/033479号
J. Clin. Invest. 35, 170-190, 1956 J. Clin. Invest. 38, 1996-2016, 1959 Analyst. 2014 Feb 7; 139(3): 576-80. DOI: 10.1039/c3an02104a
生体試料中のモノクローナル抗体を検出及び定量する上で、上記LBA法には、以下のような技術的課題が存在する。
(i) 抗体作製のために6〜10カ月もの時間と、約500万円程度の費用がかかる。
(ii) 作製した抗体が本当に抗原を認識するかどうか、最終的なスクリーニング検証が必須である。
(iii) 共存する生物学的マトリックス(血液、細胞抽出液、ホスト動物、アレルゲン、自己抗体など)や、界面活性剤等の試薬の影響をダイレクトに受ける。
(iv) 抗原(モノクローナル抗体医薬)を直接検出していないため、実証が困難である。
(v) 参照検量線が特徴的なフィッティングを必要とするため、定量下限及び定量上限における濃度ばらつきが大きくなる。
(vi) 複数の抗原を検出するには、複数の抗体及びそれぞれ専用の二次抗体が必要となる。
近年、特にがん治療領域においては、複数の医薬の併用化学療法が進歩しており、様々な抗体医薬を同時に使うことが現実的となってきている。例えば、メラノーマ治療のために、抗PD-1抗体であるニボルマブ、抗CTLA-4抗体であるイピリムマブ、及び抗VGEF-a抗体であるベバシズマブを用いる併用療法のための臨床試験が行われている。このような状況下においては、簡便かつ確実に抗体医薬の薬物動態をモニタリングする必要が必然的に生じるため、マトリックスの影響や高コストのLBA法では対応できない可能性が高い。特に、複数の抗体医薬を同時に分析できる、バリデーション可能な技術は、将来的に大きな技術的応用が期待される。
質量分析法により、タンパク質を簡便に検出・定量するためには、測定対象のタンパク質由来の特異的なペプチド断片を効率的に取得することが求められる。
上記の課題に鑑み、本発明者等は、先に開発した固相-固相反応を用いてモノクローナル抗体の選択的なプロテアーゼ消化を行う、ナノ表面及び分子配向制限的タンパク分解(nano-surface and molecular-orientation limited proteolysis)方法(以下、本明細書においてnSMOL法と記載する)をモノクローナル抗体の質量分析のための前処理方法として用い、種々のモノクローナル抗体の定量を試みてきた。nSMOL法を用いた分析手法は、生体試料中に存在するモノクローナル抗体を、非常に高い感度及び精度で検出できることが複数のモノクローナル抗体で実証されている。
今回、本発明者等は、nSMOL法が、生体試料中に2種以上混在するモノクローナル抗体を並行して同時に検出及び定量できることを見出した。また、nSMOL法を用いた本発明の方法は、日本、米国及び欧州における生物学的分析方法のバリデーションのためのガイドラインの基準を満たすものであることが確認された。
すなわち、本発明は以下を提供するものである。
1. 測定対象のモノクローナル抗体を細孔内に固定化した多孔質体と、プロテアーゼを固定化したナノ粒子とを液体中で接触させてモノクローナル抗体の選択的プロテアーゼ消化を行い、前記モノクローナル抗体のFab領域由来のアミノ酸配列を有するペプチド断片を液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS)によって検出する方法であって、同一の生物学的試料中の2種以上のモノクローナル抗体のペプチド断片を同時に定量するものである、上記方法。
2. 生物学的試料中の2種以上のモノクローナル抗体の濃度が、それぞれ0.5〜300μg/mlの範囲である、上記1記載の方法。
3. 前記2種以上のモノクローナル抗体を同時に定量したそれぞれの結果が、該モノクローナル抗体をそれぞれ単独で定量した場合と比較していずれも±15%の真度(Accuracy)を有するものである、上記1又は2記載の方法。
4. 3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種又はそれ以上のモノクローナル抗体を同時に定量する、上記1〜3のいずれか記載の方法。
5. モノクローナル抗体が、抗体-薬物複合体を含む、上記1〜4のいずれか記載の方法。
6. モノクローナル抗体が、パニツムマブ、オファツムマブ、ゴリムマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、ラムシルマブ、アダリムマブ等のヒト抗体;トシリズマブ、トラスツズマブ、トラスツズマブ-DM1、ベバシズマブ、オマリズマブ、メポリズマブ、ゲムツズマブ、パリビズマブ、ラニビズマブ、セルトリズマブ、オクレリズマブ、モガムリズマブ、エクリズマブ等のヒト化抗体、リツキシマブ、セツキシマブ、インフリキシマブ、バシリキシマブ、ブレンツキシマブベドチン、ゲムツズマブ・オゾガマイシン等のキメラ抗体、トラスツズマブ-エムタンシンなどの抗体-薬物複合体から選択される2種以上を含む、上記1〜5のいずれか記載の方法。
7. モノクローナル抗体が、セツキシマブ、リツキシマブ、及びブレンツキシマブベドチンから選択される2種又は3種である、上記6記載の方法。
8. プロテアーゼによる選択的消化によって得られるモノクローナル抗体のFab領域由来のアミノ酸配列を有する2種以上のペプチド断片を含む、液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS)による生物学的試料中のモノクローナル抗体の混合定量のための組成物。
9. プロテアーゼによる選択的消化後に5℃で48時間安定な定量結果をもたらす、上記8記載の組成物。
10. モノクローナル抗体がセツキシマブを含み、分析対象のペプチド断片が配列番号3に示すアミノ酸配列を有するものである、上記8又は9記載の組成物。
11. モノクローナル抗体がリツキシマブを含み、分析対象のペプチド断片が配列番号6に示すアミノ酸配列を有するものである、上記8又は9記載の組成物。
12. モノクローナル抗体がブレンツキシマブベドチンを含み、分析対象のペプチド断片が配列番号9に示すアミノ酸配列を有するものである、上記8又は9記載の組成物。
nSMOL法を用いた本発明の分析手法は、生体試料中に単独で、又は混合状態で存在するモノクローナル抗体を、非常に高い感度及び精度で検出できることが実証された。本発明の方法は、複数の抗体医薬を同時に測定することができる。
本発明の方法により、各抗体医薬に特異的な結合用及び検出用抗体を作製することなく、複数の抗体を同時に分析することが可能となり、各抗体の生体内濃度のモニタリングに利用することができる。このことは、実臨床における分析手法開発における大幅なコスト及び時間短縮を可能とし、複雑な抗体医薬の薬物動態情報を簡便に提供できることを意味する。
nSMOL法を模式的に示す。 セツキシマブ、リツキシマブ、及びブレンツキシマブベドチンを含む標準試料の混合定量に基づいて作成した検量線を示す。 トラスツズマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、リツキシマブ、ニボルマブ、イピリムマブ、ラムシルマブ、ブレンツキシマブベドチン、インフリキシマブ、及びアダリムマブをそれぞれ10μg/mlで混合してすべてを含む血漿サンプル、及びそれぞれのモノクローナル抗体を単独で10μg/ml含む試料をnSMOL法による前処理後に各シグネチャーペプチドをMRM測定した結果を示す。単独定量のイオン収率結果を100とした場合の混合定量の結果を相対イオン収率として示す。
本発明は、一実施形態において、測定対象のモノクローナル抗体を細孔内に固定化した多孔質体と、プロテアーゼを固定化したナノ粒子とを液体中で接触させてモノクローナル抗体の選択的プロテアーゼ消化を行い、前記モノクローナル抗体のFab領域由来のアミノ酸配列を有するペプチド断片を液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS)によって検出する方法であって、同一の生物学的試料中の2種以上のモノクローナル抗体のペプチド断片を同時に定量するものである。同時に定量できるモノクローナル抗体の種類は、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種又はそれ以上であり得る。本発明者等は、驚くべきことに、本発明の方法において、10種のモノクローナル抗体由来のペプチド12種を同時に定量して、それぞれの定量値に影響がないことを確認した。
本明細書において、生物学的試料とは、臨床的には、モノクローナル抗体を抗体医薬として投与された患者の血液又は組織由来の試料であり、好ましくは血漿または血清、もしくは組織ホモジネート抽出液である。生物学的試料は、患者又は被験者から取得した後、直ちに本発明の方法に供することができるが、室温又は低温下で保存した後に本発明の方法に供することもできる。
本発明の方法において、生物学的試料中の2種以上のモノクローナル抗体の濃度は、それぞれ0.5〜300μg/mlの範囲内であれば良く、感度及び精度が非常に高いことを特徴とする。
本発明の方法はまた、種々の条件下において、非常に安定した定量結果をもたらし得る。例えば、2種以上のモノクローナル抗体を同時に定量したそれぞれの結果が、該モノクローナル抗体をそれぞれ単独で定量した場合と比較していずれも±15%の真度(Accuracy)を有する。本発明者等は、本発明の方法が、室温で4時間の短期保存、及び-20℃若しくは-80℃で20〜30日間の凍結保存後においても再現性良く高精度の検出結果が得られることを確認した。更に、生物学的試料を-20℃若しくは-80℃の凍結と融解とを繰り返した場合にも検出結果への影響は見られなかった。
本発明はまた、別の実施形態において、プロテアーゼによる選択的消化によって得られるモノクローナル抗体のFab領域由来のアミノ酸配列を有する2種以上のペプチド断片を含む、液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS)による生物学的試料中のモノクローナル抗体の混合定量のための組成物を提供する。本組成物は、2種以上のモノクローナル抗体の同時定量の際に使用する標準物質としても使用し得る。
本組成物は非常に安定であることが実証され、例えばプロテアーゼによる選択的消化後に5℃で48時間安定な定量結果をもたらすことができる。すなわち、モノクローナル抗体の選択的プロテアーゼ消化を行った後に得られるペプチド断片は、緩衝液等の溶液中で安定であり、例えば5℃で24時間又は48時間保存後の検出結果も下記のガイドラインの基準を満たし、感度の高い検出結果をもたらすことができる。
質量分析によりモノクローナル抗体を検出・定量するためには、まず血液や組織などの生体試料より測定対象物質以外をできる限り排除し、適切な溶媒に溶解することが必要である。また、抗体はそのまま分析するには分子量が大きいため、プロテアーゼによりペプチドに分解し、その後液体クロマトグラフで分離した後に質量分析を行う。分析に適したペプチドの分子量は約1000〜3000 Da程度である。
しかしながら、一般的なタンパク質分子をプロテアーゼ分解すると、ペプチド断片が約100本程度、抗体の場合には200本を遙かに超えるペプチド断片が生成する。従って、単一のタンパク質だけでも測定対象数は膨大になり、複雑な生体試料を対象にした場合には、巨大なサンプルセットとなる。
解析対象ペプチドの本数が増えると、カラム分離で完全に分離することは困難である。よって、マトリックス効果によるイオン化効率の低下、結果的には感度や定量再現性の低下を引き起こす要因となる。これを改善するために質量分析側で、高速チャンネル切り替え機能などを作り、改善を図っているが、根本的には母集団の低減をしない限りは、このマトリックス効果を克服することは出来ない。
本発明者等が開発したnSMOL法は、モノクローナル抗体の検出のために有効なFab領域選択的なペプチド断片を生成する質量分析の前処理方法として利用することができる。
生体試料中の薬物濃度の分析方法のバリデーションについては、日本、米国及び欧州において、同様のガイドラインがそれぞれ公表されている(厚生労働省「医薬品開発における生体試料中薬物濃度分析法のバリデーションに関するガイドライン」(薬食審査発0711第1号)、2013年;米国食品医薬品局(FDA)「産業上のガイダンス、生物学的分析法バリデーション(Guidance for Industry, Bioanalytical Method Validation)」、2013年;欧州医薬品庁(European Medicines Agency, EMA)「生物学的分析法バリデーションに関するガイドライン(Guideline on bioanalytical method validation)」、2011年)。
厚生労働省・医薬食品局審査管理課が発令している上記ガイドライン基準のうち、主な項目はおおまかには以下の通りである。
内部標準物質の選択:品質が保証された物質であり、分析対象物質の分析に影響を与えないこと;
分析選択性:6個体(男性3、女性3)から得られた個別のブランク試料からの妨害がないこと;
定量下限:信頼できる真度及び精度で定量できる最も低い濃度である定量下限における分析対象物質のレスポンスはブランク試料の5倍以上であり、平均真度は±20%以内であること;
検量線:定量下限を含む6濃度以上の試料における平均真度が定量下限のみ±20%以内、その他は±15%以内であること;
真度及び精度:4濃度のQC試料(定量下限、低濃度、中濃度、高濃度)における真度及び精度、定量下限のみ±20%以内、その他は±15%以内であること;
マトリックス効果:生体試料中での分析対象物質に対する影響を評価するマトリックスファクターの精度が個体間で15%以下であるか、6個体から得られたマトリックスを用いて調製したQC試料の定量値の精度が個体間で15%以下であること;
キャリーオーバー:最高濃度の試料分析後のブランク試料のレスポンスが、定量下限値の20%以下であること;
希釈妥当性:検量線定量範囲外からの希釈試料の平均真度が理論値の±15%以内であること;
サンプル安定性:低濃度及び高濃度の試料が、室温で4時間静置、凍結融解操作の5回繰り返し、一ヶ月程度の長期保存安定性、試料処理後1日及び2日後における安定性の評価において、各濃度における平均真度が理論値の±15%以内であること。
本発明者等は、本発明において定量できるモノクローナル抗体の例としてセツキシマブ、リツキシマブ、及びブレンツキシマブベドチンを選択し、それぞれの抗体を血漿中に含む試料をnSMOL法を含む本発明の方法で単独に定量し、血漿中での検量線を作製し、それぞれ個別で厚生労働省・医薬食品局審査管理課が発令している「医薬品開発における生体試料中薬物濃度分析法のバリデーションに関するガイドライン」(2013年、薬食審査発0711第1号)基準に従った分析フルバリデーションを実施した。
次いで、上記の単独定量と同一の分析条件を用いて、上記3種のモノクローナル抗体を含む血漿から、同様な検量線が得られるか否かを検証した。
その結果、本発明の方法は、上記のガイドラインの基準を満たし、高精度・高感度の定量結果が得られるだけでなく、種々の条件下において安定した定量結果をもたらすものであることが新たに実証された。
<nSMOL法の概要>
本発明の方法は、本発明者等のグループが先に開発したnSMOL法を適用して実施する。nSMOL法の詳細は、例えばWO 2015/033479号;及びIwamoto N et.al., Selective detection of complementarity-determining regions of monoclonal antibody by limiting protease access to the substrate: nano-surface and molecular-orientation limited proteolysis, Analyst. 2014 Feb 7; 139(3): 576-80. DOI: 10.1039/c3an02104aに記載されている。また、nSMOL法の改良技術等に関して、例えばWO 2016/143223号;WO 2016/143224号;WO 2016/143226号;WO 2016/143227号;Iwamoto N et.al., Bioanalysis, doi: 10.4155/bio-2016-0018;及びIwamoto N et. al., Biological & Pharmaceutical Bulletin, 2016, doi:10.1248/bpb.b16-00230等に開示されている。これらの文献の開示内容は、参照により本明細書に組み入れるものとする。
より具体的には、nSMOL法は、測定対象のモノクローナル抗体を細孔内に固定化した多孔質体と、プロテアーゼを固定化したナノ粒子とを液体中で接触させてモノクローナル抗体の選択的プロテアーゼ消化を行う方法である。nSMOL法によって得られるペプチドは、抗体のFab領域由来、例えば重鎖又は軽鎖のCDR2領域由来のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するものであることが好ましい。
<抗体>
本発明の方法における測定対象であるモノクローナル抗体は、FabドメインとFcドメインがヒンジを介してつながった免疫グロブリンIgGであり、抗体分子を構成する2本の重鎖及び2本の軽鎖はそれぞれ定常領域と可変領域から成っている。定常領域は、同一種由来の抗体のほとんどで共通するアミノ酸配列を有し、一方、可変領域には、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる特異的な配列を持つ部位が各3つずつ存在する。このCDR(CDR1、CDR2、CDR3)領域が規定する立体構造が抗原との特異的結合に関わっており、それによって抗体−抗原複合体が形成される。
本発明の方法において測定対象となり得るモノクローナル抗体としては、限定するものではないが、例えばパニツムマブ、オファツムマブ、ゴリムマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、ラムシルマブ、アダリムマブ等のヒト抗体;トシリズマブ、トラスツズマブ、トラスツズマブ-DM1、ベバシズマブ、オマリズマブ、メポリズマブ、ゲムツズマブ、パリビズマブ、ラニビズマブ、セルトリズマブ、オクレリズマブ、モガムリズマブ、エクリズマブ等のヒト化抗体;リツキシマブ、セツキシマブ、インフリキシマブ、バシリキシマブ等のキメラ抗体等が挙げられる。尚、モノクローナル抗体の分子径は約14.5nmである。
また、モノクローナル抗体の特異性を維持しつつ更なる機能を付加した複合体、例えばFc融合タンパク質、抗体-薬物複合体(例えばブレンツキシマブベドチン、ゲムツズマブ・オゾガマイシン、トラスツズマブ-エムタンシン等)も本発明の方法における測定対象のモノクローナル抗体に含めるものとする。測定に先立って複合体の結合を解離させ、抗体部分のみを分析に供しても良いが、複合体の形態のままで分析に供することもできる。実施例に示すように、本発明者等は、血漿中のブレンツキシマブベドチンをそのままnSMOL法によってプロテアーゼ消化した後に質量分析を行うことに成功している。当業者であれば、本明細書の記載に基づいて、測定対象に応じて本発明の方法のための最適な条件を設定することができる。
nSMOL法を用いた本発明の方法は、モノクローナル抗体のFab領域を選択的にプロテアーゼ消化して得られたペプチド断片の質量分析により、抗体由来のペプチド断片を直接測定する方法である。従って、本発明の方法は、抗体の種類に関わらず適用可能であり、上記例示の抗体に限定されず、新規に開発されたモノクローナル抗体等にも適用できる。
<多孔質体>
本発明の方法に使用する多孔質体(図1においては「免疫グロブリン回収用樹脂」)は、多数の細孔を有するものであれば、その材料は特に限定されず、活性炭、多孔質膜、多孔質樹脂ビーズ、金属粒子等を用いることができる。これらの中でも、抗体を部位特異的に結合可能なものが特に好ましい。
細孔の形状は特に限定されない。また、多孔質膜のように、多孔質体を貫通する細孔が形成されたものを用いることもできる。多孔質体の細孔の大きさは特に限定されず、抗体を固定化した際に、細孔の表層付近に選択的に消化されるべき部位が位置するように、抗体の分子径等を考慮して決定することが好ましい。多孔質体の平均細孔径は、10nm〜200nm程度の範囲で、かつナノ粒子の平均粒径よりも小さい範囲で適宜に設定される。多孔質体の平均細孔径は、例えば、20nm〜200nm程度が好ましく、30nm〜150nm程度がより好ましい。抗体のFcドメインを細孔内に固定化し、Fabドメインを位置選択的にプロテアーゼ消化するためには、多孔質体の細孔径は、30nm〜150nmが好ましく、40nm〜120nmがより好ましく、50nm〜100nm、特に約100nmがさらに好ましい。
nSMOL法では、測定対象のモノクローナル抗体を多孔質体の細孔内に固定化する。この目的で、多孔質体の細孔内に、抗体と部位特異的に相互作用するリンカー分子が固定化されたものが好ましく用いられる。抗体とリンカー分子との相互作用としては、化学結合、水素結合、イオン結合、錯体形成、疎水的相互作用、ファンデルワールス相互作用、静電的相互作用、立体選択的相互作用等が挙げられる。
リンカー分子としては、抗体のFcドメインと部位特異的に結合するProtein AやProtein G等が好ましく用いられる。細孔内にこれらのリンカー分子が固定化された多孔質体を用いることにより、細孔内に抗体のFcドメインが固定化され、Fabドメインが細孔の表層付近に位置する。このように、細孔内での抗体の配向が制御されることで、プロテアーゼによるFabドメインの位置選択的消化が可能となる。
リンカー分子の大きさは、抗体の選択的切断部位が細孔の表層付近に位置するように選択される。リンカー分子と抗体とが結合した状態の分子サイズは、多孔質体の細孔径の0.5倍〜1.5倍程度が好ましく、0.6倍〜1.2倍程度がより好ましく、0.7倍〜1.1倍程度がさらに好ましく、0.8倍〜1倍程度が特に好ましい。なお、多孔質体にリンカー分子が固定されておらず、細孔内に抗体を直接結合させる場合は、抗体の分子径と多孔質体の細孔径が上記関係を満たすことが好ましい。
本発明において好適に使用可能な多孔質体として、特に限定するものではないが、例えばProtein G Ultralink樹脂(Pierce社製)、トヨパール TSKgel(TOSOH社製)、トヨパール AF-rProtein A HC-650F resin(TOSOH社製)等が挙げられる。
抗体を多孔質体の細孔内に固定化する方法は特に限定されず、抗体と多孔質体あるいはリンカー分子の特性等に応じて適宜の方法を採用できる。例えば、細孔内にProtein AやProtein Gが固定化された多孔質体に抗体を固定化する場合は、多孔質体の懸濁液と抗体を含む溶液とを混合することにより、細孔内に抗体を容易に固定化できる。
多孔質体と抗体の量比は、目的に応じて適宜に設定できる。例えば、抗体の定量分析を行う場合、試料中の抗体のほぼ全量が多孔質体に固定化されることが望まれる。そのため、試料中の抗体の推定含有量に対して、多孔質体の量が過剰となるように量比を設定することが好ましい。
<ナノ粒子>
ナノ粒子は、その表面にプロテアーゼを固定化して、多孔質体の細孔内に固定化された抗体へのプロテアーゼのアクセスを制御する目的で用いられる。そのため、ナノ粒子は、多孔質体の細孔の奥深くまで入り込まないように、その平均粒径が、多孔質体の平均細孔径よりも大きいものとする。
ナノ粒子の形状は特に限定されないが、多孔質体の細孔へのプロテアーゼのアクセスの均一化の観点から、球状のナノ粒子が好ましい。また、ナノ粒子は、分散性が高く、平均粒径が均一であることが好ましい。
ナノ粒子は、上記のプロテアーゼを表面に固定化できるものであれば、その材質は特に限定されず、金属や樹脂等が適宜に用いられる。また、金属表面を樹脂で被覆したものや、樹脂表面を金属で被覆したもの等を用いることもできる。
ナノ粒子の種類としては、水性媒体に分散又は懸濁することができ、分散液又は懸濁液から磁気分離または磁性沈殿分離により容易に回収することができる磁気ナノ粒子が好ましい。また、凝集が起こりにくいという点において、その表面が有機ポリマーで被覆された磁気ナノ粒子がより好ましい。磁気ナノ粒子の基材としては、酸化鉄(マグネタイト(Fe3O4)、マグヘマイト(γ‐Fe2O3))、フェライト(Fe/M)3O4などの強磁性合金が挙げられる。フェライト(Fe/M)3O4において、Mは、鉄イオンと共に用いて磁性金属酸化物を形成することのできる金属イオンを意味し、典型的にはCo2+、Ni2+、Mn2+、Mg2+、Cu2+、Ni2+などが用いられる。また、磁気ナノ粒子を被覆する有機ポリマーとしては、ポリグリシジルメタクリレート(ポリGMA)、GMAとスチレンのコポリマー、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリアクリル酸メチル(PMA)などを挙げることができる。有機ポリマーで被覆された磁性ナノビーズの具体例としては、FGビーズ、SGビーズ、Adembeads、nanomagなどが挙げられる。市販品としては、例えば、多摩川精機株式会社製のFG beads(フェライト粒子をポリグリシジルメタクリレート(ポリGMA)で被覆した粒径約200nmのポリマー磁性ナノ粒子)が好適に用いられる。
上記ナノ粒子は、非特異的なタンパク質の吸着抑制と、プロテアーゼの選択的な固定化のために、プロテアーゼと結合可能なスペーサ分子で修飾されていることが好ましい。スペーサ分子を介してプロテアーゼを固定化することにより、ナノ粒子表面からのプロテアーゼの脱離が抑制され、プロテアーゼ消化の位置選択性が高められる。また、スペーサの分子サイズを調整することにより、抗体の所望の位置にプロテアーゼを選択的にアクセスさせ、位置選択性を高めることもできる。
上記分子径で、プロテアーゼを固定化できるスペーサ分子は、非タンパク質が好ましく、末端にアミノ基、カルボキシル基、エステル基、エポキシ基、トシル基、ヒドロキル基、チオール基、アルデヒド基、マレイミド基、スクシンイミド基、アジド基、ビオチン、アビジン、キレート等の官能基を有する分子が好ましい。例えば、トリプシンの固定には、活性化されたエステル基を有するスペーサ分子が好ましい。また、スペーサ分子のうち、上記官能基以外のスペーサアーム部分は、ポリエチレングリコール及びその誘導体、ポリプロピレングリコール及びその誘導体、ポリアクリルアミド及びその誘導体、ポリエチレンイミン及びその誘導体、ポリ(エチレンオキシド)及びその誘導体、ポリ(エチレンテレフタル酸)及びその誘導体などの親水性分子が用いられる。
このようなスペーサ分子で表面修飾されたナノ粒子もまた市販されており、それらを利用すればよい。例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドで活性化されたエステル基(活性エステル基)を有するスペーサ分子で修飾されたナノ粒子は、商品名「FG beads NHS」(多摩川精機株式会社)として市販されている。FG beads NHSの粒子径は約200nm±20nmであり、ナノ粒子として非常に均質のものである。
<プロテアーゼ>
nSMOL方法では、プロテアーゼが、多孔質体の細孔内に固定化された抗体を特定のアミノ酸配列部位で切断して、Fab領域のアミノ酸を含むペプチド断片を生じさせることができる。ペプチド断片は、例えばCDR2領域由来のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するものであり得る。
ナノ粒子に固定化させるプロテアーゼの種類は、質量分析による定量又は同定の対象となるモノクローナル抗体の種類に応じて適宜選択すればよく、限定はされないが、例えば、トリプシン、キモトリプシン、リジルエンドペプチダーゼ、V8プロテアーゼ、AspNプロテアーゼ(Asp-N)、ArgCプロテアーゼ(Arg-C)、パパイン、ペプシン、ジペプチジルペプチダーゼなどが挙げられる。プロテアーゼは2種以上を組み合わせて用いることもできる。プロテアーゼとして、特にトリプシンが好ましく用いられる。
市販のプロテアーゼを用いる場合、質量分析グレードや配列決定(シーケンス)グレードのプロテアーゼを用いることが好ましい。例えば、質量分析グレードとして、トリプシンのリジン残基を還元メチル化して自己消化に対する抵抗性を高めたものが市販されている。あるいは、目的のモノクローナル抗体の種類によっては、粗精製のプロテアーゼ若しくは還元メチル化処理等の自己消化耐性処理を行っていないプロテアーゼ、トリプシン活性及びキモトリプシン活性を有するプロテアーゼを用いることが好ましい場合もある。
本発明の方法におけるnSMOL法によるプロテアーゼ消化において好適に使用できるプロテアーゼとして、例えばTrypsin Gold(プロメガ社製)、Trypsin TPCK-treated(シグマ社製)等が挙げられる。
<ナノ粒子へのプロテアーゼの固定化>
プロテアーゼをナノ粒子の表面に固定化する方法は特に限定されず、プロテアーゼとナノ粒子(あるいはナノ粒子表面を修飾するスペーサ分子)の特性等に応じて適宜の方法を採用でき、例えば、プロテアーゼをスペーサ修飾されたナノ粒子表面に固定化する場合は、ナノ粒子の懸濁液とプロテアーゼを含む溶液とを混合することにより、ナノ粒子表面にプロテアーゼを固定化できる。上記のスペーサ分子の官能基を介したナノ粒子とプロテアーゼのアミンカップリング法が好ましい。例えば、ナノ粒子に表面修飾したカルボキシル基をN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)でエステル化して活性化エステル基とし、これに、プロテアーゼのアミノ基を結合させることができる。このカップリング反応には、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC)、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド(DIPC)等のカルボジイミドを縮合剤の存在下に行うことができる。また、ナノ粒子に表面修飾したアミノ基に、グルタルアルデヒド、2官能性スクシンイミド、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート(BS3)、スルホニルクロリド、マレイミド、ピリジルジスルフィド等の架橋剤を用いてプロテアーゼのアミノ基を結合させてもよい。
スペーサ分子の官能基を介したナノ粒子とプロテアーゼのカップリング法は、ナノ粒子の懸濁液にプロテアーゼ溶液を添加し、一定の条件下で混合撹拌するという簡便な操作で行うことができる。
ナノ粒子表面にプロテアーゼを固定化後に、ナノ粒子表面のプロテアーゼと未結合の活性部分を不活性化させることが好ましい。例えば、ナノ粒子表面にプロテアーゼが固定化されていないスペーサ分子が存在すると、未結合のスペーサ分子が、試料中の夾雑物等と結合して、プロテアーゼ消化に悪影響を及ぼしたり、プロテアーゼ消化により産生されたペプチド断片がナノ粒子に固定化される等の不具合を生じる場合がある。プロテアーゼを固定化後に、未結合のスペーサ分子をブロックすることにより、このような不具合が抑制される。プロテアーゼと未結合の活性部分を不活性化する方法としては、化学修飾が好ましい。例えば、活性化エステル基は、一級アミンとの反応によりアミド結合を形成して不活性化させることができる。
尚、プロテアーゼとしてのトリプシンが固定化されたナノ粒子であるFG beads Trypsin DART(登録商標)が、LC/MS/MS用前処理キット「nSMOL Antibody BA Kit」(島津製作所)に含まれており、本発明の方法に好適に用いることができる。
<プロテアーゼ消化>
抗体が固定化された多孔質体と、プロテアーゼが表面に固定化されたナノ粒子とを液体中で接触させることにより、抗体がプロテアーゼ消化され、ペプチド断片が産生される。ここで、「液体」とは、基質(固相)及び酵素(固相)が液相中で接触することを意味するものであり、またプロテアーゼ消化反応に適した水性媒体を意図する。
プロテアーゼ消化の条件は特に限定されず、一般的なプロテアーゼ消化と同様の条件を適宜に採用できる。例えば、プロテアーゼの至適pH近傍に調整された緩衝溶液中で、通常37℃程度の温度で、1時間〜20時間程度インキュベートすることが好ましい。あるいはまた、飽和蒸気圧下、約50℃で3〜8時間程度インキュベートしても良い。
抗体が固定化された多孔質体と、プロテアーゼが表面に固定化されたナノ粒子との混合量比も特に制限されず、抗体の量に応じたプロテアーゼ量となるように設定すればよい。なお、一般的なプロテアーゼ消化条件は、基質:プロテアーゼ=100:1〜20:1(重量比)程度である。これに対して、本発明では、多孔質体とナノ粒子との組み合わせにより、抗体とプロテアーゼとのアクセスが物理的に制限されるため、一般的なプロテアーゼ消化に比べて、プロテアーゼ量を多くすることが好ましい。例えば、抗体:プロテアーゼ=30:1〜3:1程度が好ましく、15:1〜4:1程度がより好ましく、10:1〜5:1程度がさらに好ましい。
より具体的には、例えば細孔径100nmのProtein G樹脂上に抗体のC末端側を固定化し、抗体の可変領域は必ず溶液側に配向するようにする。次に、粒子径200nmのナノ粒子表面にプロテアーゼを固定化する。
プロテアーゼ消化は、特に限定するものではないが、多孔質体とナノ粒子とを、液体中で均一分散を保持する程度の緩やかな回転による撹拌とともに定期的なタッピングを伴うタッピングローテーション下で行うことができる。「緩やかな回転」は、例えば3〜10rpm程度の回転数を指し、また、「タッピング」は、弾くような、若しくは、ショックを与えるような瞬間動作(頻度:例えば、1分間あたり1〜5回、好ましくは2〜4回)を指す。これによって、抗体を固定化した多孔質体とプロテアーゼを固定化したナノ粒子が共に分散状態を保持しながら効果的に接触し、プロテアーゼ消化反応効率を高めることができる。
上記のように、本発明の方法によって基質であるモノクローナル抗体とプロテアーゼとの接触を制限することで、モノクローナル抗体の特異性を示すFab領域由来のペプチドを簡便かつ効率的に消化し、質量分析に供することができる。
<多孔質体及びナノ粒子の除去>
プロテアーゼ消化によって得られた目的のペプチド断片を質量分析に供するためには、多孔質体及びナノ粒子を除去することが必要である。これは、プロテアーゼ消化後のサンプルに対して濾過、遠心分離、磁気分離、透析等の操作を行うことで達成できる。
ろ過によって多孔質体及びナノ粒子を除去する場合、使用するろ過膜の孔径は、上記の多孔質体及びナノ粒子が通過できず、かつ消化されたペプチドの通過を可能とする範囲で選択される。例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)製のろ過膜(Low-binding hydrophilic PVDF、孔径0.2μm、ミリポア社製)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製のろ過膜(Low-binding hydrophilic PTFE、孔径0.2μm、ミリポア社製)等を用いてろ過することにより、多孔質体及びナノ粒子を簡便に除去することができる。ろ過は、遠心ろ過とすると迅速かつ簡便なろ過が可能である。
<液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS)>
上記で得られたペプチド断片を含む試料を、LC-MSにより分析することで、抗体の同定や定量を行い得る。
ペプチド断片の分離をより確実にして、分析精度を高める等の目的で、質量分析に供する前の試料を、液体クロマトグラフ(LC)により、分離・濃縮する。LCにより試料の分離を行う場合、LCからの溶出液を直接イオン化して質量分析に供しても良い。LCとタンデム質量分析を組み合わせたLC/MS/MSやLC/MSnにより分析を行うこともできる。また、LCからの溶出液を一度分取してから、質量分析に供してもよい。LCのカラムは特に限定されず、ペプチドの分析に一般的に用いられるC30、C18、C8、C4等の疎水カラムや、親水性アフィニティークロマトグラフィー用の担体等を適宜に選択して用いることができる。
質量分析は、アミノ酸配列を決定可能であるため、ペプチド断片が抗体等の特定のタンパク質に由来のペプチド断片であるか否かを判別可能である。また、ピーク強度に基づいて試料中のペプチド断片の濃度を決定できる。分析に際しては、必要に応じて、脱塩、可溶化、抽出、濃縮、乾燥等の処理を行った後、試料を分析に用いてもよい。
質量分析におけるイオン化法は特に限定されず、電子イオン化(EI)法、化学イオン化(CI)法、電界脱離(FD)法、高速原子衝突(FAB)法、マトリクス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法等を採用し得る。イオン化された試料の分析方法も特に限定されず、磁場偏向型、四重極(Q)型、イオントラップ(IT)型、飛行時間(TOF)型、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FT-ICR)型等を、イオン化法に応じて適宜に決定できる。また、三連四重極型質量分析装置等を用いて、MS/MS分析、あるいはMS3以上の多段階質量分析を行うこともできる。
近年では主に三連四重極と呼ばれるハイブリッド型質量分析装置が利用されている。この型の装置では、イオン化された生体分子はまず、オクトポールと呼ばれる部分を通過することで、そのイオン分子振動半径を小さくする。次に第1四重極の中で、特定の質量数を持つイオンを共振させることで選択し、他のイオンを排除する。選択されたイオンは第2四重極に運ばれ、アルゴンと衝突することで開裂が行われる。この反応は衝突誘起解離(collision-induced dissociation, CID)という。この開裂反応の結果、生成した特異的な断片を第3四重極で選択することで、非常に高感度で、かつ高選択的な定量が可能となる。この一連の分析を多重反応モニタリング(multiple reaction monitoring, MRM)と呼ぶ。
本発明の方法において特に適した装置は、特に限定するものではないが、例えばLCMS-8030、LCMS-8040、LCMS-8050、LCMS-8060、及びLCMS-8080(いずれも島津製作所)、LCMS-IT-TOF、LCMS-Q-TOF(島津製作所)を挙げることができる。
質量分析結果に基づいて、抗体を同定するために、既存のデータベースを用いることもできる。例えば、Mascot検索(Matrix Science社)を利用して、質量分析で得られたスペクトル情報から、想定される親イオンやフラグメントイオン系列の帰属を自動で行うことで、様々な情報を取得することができる。
また、多段階の質量分析等により、ペプチド断片のアミノ酸配列を特定することにより、抗体を同定することができる。抗体に特異的なFab領域、例えば重鎖及び/又は軽鎖のCDR1領域、CDR2領域、CDR3領域のアミノ酸配列を含むペプチド断片が検出できれば、目的の抗体を同定・定量することができる。
なお、検出結果に基づいて、抗体の同定や定量を行う場合、検出対象のペプチドは、アミノ酸残基数が5〜30程度のものが好ましく、7〜25程度がより好ましい。アミノ酸残基数が過度に小さいと、夾雑物や同一タンパク質の別の部位に由来するペプチド断片との区別がつき難く、誤検出等の原因となり得る。また、アミノ酸残基数が過度に大きいと、イオン化が困難となる等の理由により、検出が困難となったり、定量性が低下する場合がある。
抗体の濃度を定量する場合、検出されたペプチド断片イオン(多段階MSの場合は、親イオンの開裂により得られたフラグメントイオン)のピーク面積やピーク強度に基づいて、抗体の量を算出できる。例えば、予め求められた検量線(較正曲線)とピーク面積との関連付けや、試料中に添加された内部標準に由来するピーク面積と試料由来のピーク面積との関連付け等によって、試料中のペプチド断片の濃度が算出され、ペプチド断片濃度に基づいて、抗体の量や濃度が算出される。
また、質量分析では、1種のペプチドの検出において、数種のフラグメントイオンが生成することは周知である。内部標準ペプチドの分析結果や予め判明している分析結果と参照すれば、1種のペプチドの1種のイオンのみの検出で目的のモノクローナル抗体の同定が可能であるが、1種の親イオンより生成する複数のフラグメントイオン、例えば2種以上、3種以上、4種以上のフラグメントイオンを同時に検出・定量することで、より詳細な構造情報を得ることができる。しかしながら、フラグメント情報量が多すぎると、分析時間が長くなり、結果的に分析精度の低下にもつながるため、一般的には1種のペアレントイオンに対し、2〜5種程度のフラグメントイオンを同時モニターすることが好ましい。また、フラグメントイオンは、イオン系列としてyイオン系列を選択することが望ましいが、その優位候補が無ければ、次にbイオン系列を選択しても良い。フラグメントイオンの中で最もイオン収率が高いイオンを定量用、その他を構造確認用イオンとすることで、構造特異性を確保することができる。
複数のモノクローナル抗体の同時定量のためには、数ミリ秒〜数十ミリ秒の範囲の測定時間で各抗体の測定を行い、チャンネルを切り替えながら連続的に分析を行うことができる。これにより、試料中に存在し得る複数のモノクローナル抗体を一斉に定量することができる。質量分析による検出は迅速かつ正確であり、短時間で非常に多くの情報量が得られる。本発明の方法によって同時に定量可能なモノクローナル抗体は、特に限定するものではないが、2種以上、3種以上、4種以上、5種以上であり、10種以上、15種以上、あるいは20種以上であり得る。しかしながら、抗体医薬が非常に高価であること等を考慮すると、臨床の場において患者に投与される抗体医薬が5種以上である状況は現時点においてはほとんどないと考えられ、従って本発明の方法は、特定の患者若しくは被験者に過去に投与された抗体及び投与中の抗体をまとめて同時に定量することが可能であるということができる。
尚、nSMOL法の実施のために、LC/MS/MS用前処理キット「nSMOL Antibody BA Kit」(島津製作所)が市販されており、これをLCMS-8050/8060と共に使用することによって、簡便に高精度・低コストでモノクローナル抗体の定量を実施することができる。
<分析条件の検討>
抗体医薬として使用することが意図されるモノクローナル抗体は、そのアミノ酸配列情報等が公開されており、重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列、Fab及びFcドメイン、相補性決定領域(CDR)、ジスルフィド結合等の情報を入手することが可能である。従って、nSMOL法によるプロテアーゼ消化で複数のペプチドが得られるが、それぞれのペプチドについてのアミノ酸配列情報が得られれば、そのペプチドがモノクローナル抗体のいずれの位置に存在するものであるかを容易に理解することができる。従って、Fab領域由来の複数のペプチドのうち、特に好適なペプチドを分析対象として選択することができる。このように選択されるペプチドは「シグネチャーペプチド」と呼ばれている。
モノクローナル抗体は、特に定常領域において、ヒト患者が内在的に有する抗体と同一又は類似のアミノ酸配列も含んでおり、そのため、特異的な定量のためには、Fab領域に選択的なプロテアーゼ消化を行ってペプチドを取得する方法が好適である。しかしながら、Fab領域由来のペプチドであっても、内在する抗体又は試料中に共存し得る他の抗体医薬であるモノクローナル抗体と配列が同一又は類似であって、検出に適さないことも想定される。
従って、当分野において通常行われるように、分析目的のモノクローナル抗体のアミノ酸配列を、他の共存する可能性のあるモノクローナル抗体のアミノ酸配列とアライメントすることで、特異的な検出のために好適なシグネチャーペプチドの選択を確認することが好ましい。
配列アライメントのためには、例えば欧州バイオインフォマティクス研究所等から提供され、インターネット上で利用できるClustalW(http://www.ebi.ac.uk/Tools/msa/clustalw2/)を使用することができる。ClustalWにより、各モノクローナル抗体のCDRを推定し、CDRの配列を少なくとも一部に含み、プロテアーゼ消化によって得られることが予想されるペプチドの情報を得ることができる。
また、米国ワシントン大学のMacCoss等のグループによって開発されたSkyline(https://skyline.gs.washington.edu)を利用して、取得した配列情報から、分析用のパラメーター、例えばシグネチャーペプチド及びトランジションの最適化を行うことができる。更に、LabSolutions(島津製作所)はデータ制御・解析・管理のためのシステムであり、得られた情報をインポートすることで、最適なMRM分析条件についての情報を取得することができる。
nSMOL法によって実際にプロテアーゼ消化を行うと共に、上記のようなデータベース及びシステムを利用することで、各モノクローナル抗体について最適なシグネチャーペプチド及びそのMRM分析条件をより容易に得ることが可能となる。最適なシグネチャーペプチド及び最適なMRM分析条件が得られれば、各モノクローナル抗体の定量において利用できる検量線を予め準備することが可能であり、複数のモノクローナル抗体における混合定量で同様のバリデーションが得られることから、複数のモノクローナルを同時に定量する場合に使用できる複数の検量線を作成することもできる。
がんの治療において、その罹患部位及び状態は患者毎に異なるため、使用すべき抗体医薬は異なるものとなり得る。従って、複数の抗体医薬に対する検量線を予め同時に作成しておけば、各検体における薬物濃度をモニタリングする試験を実施することができ、臨床上非常に有効である。
例えば、消化器癌検量線セット(ベバシズマブ、ラムシルマブ、セツキシマブ、トラスツズマブ等)、血液癌検量線セット(リツキシマブ、ブレンツキシマブベドチン等)、免疫療法検量線セット(ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブ等)等の検量線セットを提供することで、効率的な動態情報を治療に利用することができる。
同様に、抗リウマチ薬、自己免疫疾患に対しても、抗リウマチ薬検量線セット(アダリムマブ、インフリキシマブ、トシリズマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブペゴル等)、抗リウマチ薬融合タンパク質検量線セット(エタネルセプト、アバタセプトなど)等を提供することができる。
更に、その分析条件情報やソフトウェア、LCMS装置一式、カラム消耗品等、包括的フィールドサービスを提供することができる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
<nSMOL法の具体的手順>
本発明で使用するnSMOL法を図1に図示すると共に、以下に本実施例で行った手順を記載する。尚、使用する試薬及び容器等は、取扱説明書と共に「nSMOL Antibody BA Kit」として島津製作所から提供されているものを使用することができる。
まず、モノクローナル抗体を含む生物学的試料を取得する。生物学的試料は、臨床的には、モノクローナル抗体を抗体医薬として投与された患者の血液又は組織由来の試料であり、好ましくは血漿である。
IgGのFcドメインと部位特異的に結合するプロテインAを細孔内に固定化した粒径100nmの多孔質体(免疫グロブリン回収用樹脂、トヨパールAF-rProtein A HC-650F resin、Tosoh社製)(50%懸濁液)及び0.1% n-オクチル-β-D-チオグルコピラノシド(Dojindo)と共にPBS中に含む懸濁液(結合液)25μLを2 mlチューブに入れる。これにモノクローナル抗体を含む血漿サンプルを5μL加え、25℃で5-10分間、穏やかにボルテックスにて攪拌する。
懸濁液をすべて、ウルトラフリーPVDF(0.2μm、メルクミリポア社)に移し、10,000×gで0.5〜1分間遠心分離し、上清を除去する。次いで0.1% n-オクチル-β-D-チオグルコピラノシドを含むPBS(洗浄液1)を150μL加え、上記と同様に2回遠心分離して洗浄する。次いでPBS(洗浄液2)を150μL加え、同様に2回遠心分離して洗浄する。
洗浄後、ウルトラフリーフィルターカップを、反応専用容器に移し、底までしっかりと押し込んだ後、反応促進溶液80μl及び内部標準(10fmol/μL P14R)を加える。
次いでFG beads Trypsin DART(登録商標、粒径200nm)を10μL(0.5mg/mL トリプシン)加え、飽和蒸気圧下50℃にて、穏やかに攪拌しながら反応(4〜6時間)を行う。
反応停止溶液(10%ギ酸水溶液)5μL加えて反応を停止させた後、10,000×gで0.5〜1分間遠心分離して上清を回収し、磁気スタンドに立てて、約1分間静置する。
上清をLCMSバイアルに移し、分析を行う。上清中にnSMOL法による選択的プロテアーゼ消化によって消化されたFab領域由来のペプチドが含まれる。
<LC-MS分析条件>
本実施例において使用したLC-MS分析条件は以下の通りである。
[LC] NexeraX2 システム(島津製作所)
カラム :Shim-pack GISS C18 (50 mm x 2.1 mm)
カラム温度 :50℃
溶媒 A :0.1%ギ酸/水
溶媒 B :0.1%ギ酸/アセトニトリル
勾配 :1%B (1.5 分) / 1-25%B (3.5 分) / 95%B (1 分) / 1%B (1 分)
流速 :0.4 mL/分
注入量 :10μL
[MS] LCMS-8050, 8060(島津製作所)
イオン化 :ESI Positive
DL温度 :250℃
ヒートブロック温度 :400℃
インターフェイス温度:300℃
ネブライザーガス :3 L/分
ドライイングガス :10 L/分
ヒーティングガス :10 L/分
[実施例1]
セツキシマブは、上皮成長因子受容体(EGFR)に対して特異的に結合し得るヒト・マウスキメラモノクローナル抗体である。セツキシマブのアミノ酸配列の情報は、例えば京都遺伝子ゲノム百科事典(Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes, KEGG)から取得することができる。セツキシマブの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列をそれぞれ配列番号1及び2として示す。
3名の男性及び3名の女性からなる6名のヒト由来血漿中での干渉性ピークの有無を検討した結果、セツキシマブの定量のためのペプチド断片として、重鎖のCDR2領域内のSQVFFK(配列番号3)を選択した。このペプチドの親イオン及びフラグメントイオン、並びにMRM分析条件を表1に示す。3つのフラグメントイオンのうちの1つを定量のために使用し、2つを構造確認のために使用した。
Figure 2018167847
以下、厚生労働省のガイドラインに従って種々の条件において本発明の方法を実施し、ガイドラインに定める基準を満たすことを確認した。
表2は、サンプル中に0.586〜300μg/mlの10種の濃度でセツキシマブを含む血漿サンプルを調製し、nSMOL法の後にMRM分析を実施した結果を示す。表2に示す通り、定量下限としての0.586μg/mlを含むいずれの濃度においても真度(精度)が理論値の±15%以内であり、検量線を作成した場合に再現性が極めて高いことが確認された。
Figure 2018167847
表3は、0.586〜240μg/mlの4種の濃度でセツキシマブを含む血漿サンプルでそれぞれ3回MRM分析を実施した結果を示す。測定は同一のサンプルについて別の日に行った。表3に示す通り、定量下限としての0.586μg/mlを含むいずれの濃度においても真度が理論値の±15%以内であり、血漿サンプルを取得直後と保存後の分析で結果にバラつきがないことが確認された。
Figure 2018167847
表4は、1.76μg/ml又は240μg/mlのセツキシマブを含む血漿サンプルについて、凍結(-20℃又は-80℃)・融解サイクル後の血漿中での安定性、室温で4時間保存後の血漿中での安定性、-20℃又は-80℃で30日間保存後の血漿中での安定性、並びにnSMOL法による血漿サンプルの前処理後の試料組成物中での24時間又は48時間後のシグネチャーペプチドの安定性を評価した結果を示す。表4に示す通り、いずれの条件下においても理論値の±15%以内の真度が得られ、血漿サンプルを種々の条件下で保存した後の検出結果が極めて安定であると共に、nSMOL法による前処理後の組成物も安定であることが確認された。
Figure 2018167847
表5は、1.76μg/ml又は240μg/mlのセツキシマブを含む血漿サンプルについて、3名の男性及び3名の女性の6名のヒト由来血漿をマトリックスとした場合のマトリックス効果を評価した結果を示す。表5に示す通り、いずれの濃度においてもマトリックスファクター(MF)の個体間の精度(CV)が15%以下であり、検出結果が血漿組成の個体差等の影響を受けないことが確認された。
Figure 2018167847
表6は、300μg/mlのセツキシマブを含む血漿サンプルを測定した後のキャリーオーバーを評価した結果を示す。表6に示す通り、3回の測定において、シグネチャーペプチドのピーク面積は、いずれも定量下限(LLOQ)における結果の20%以下、内標準物質(P14R)の5%以下であり、検出結果がキャリーオーバーによる影響を受けないことが確認された。
Figure 2018167847
表7は、500μg/mlのセツキシマブを含む血漿サンプルを希釈して分析した場合のMRM分析の結果を示す。表7に示す通り、10倍及び25倍に希釈された試料の平均真度は理論値の±15%以内、かつ精度は15%以下であり、検出結果がサンプルの希釈による影響を受けないことが確認された。
Figure 2018167847
[実施例2]
リツキシマブは、B細胞非ホジキンリンパ腫及び関節リウマチに対して治療効果を有する、CD20に対して特異的に結合し得るヒト・マウスキメラモノクローナル抗体である。リツキシマブの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列をそれぞれ配列番号4及び5として示す。
実施例1と同様にして、リツキシマブの定量のためのペプチド断片として、重鎖のCDR2領域内のGLEWIGAIYPGNGDTSYNQK(配列番号6)を選択した。このペプチドの親イオン及びフラグメントイオン、並びにMRM分析条件を表8に示す。3つのフラグメントイオンのうちの1つを定量のために使用し、2つを構造確認のために使用した。
Figure 2018167847
表9は、サンプル中に0.586〜300μg/mlの10種の濃度でリツキシマブを含む血漿サンプルを調製し、nSMOL法の後にMRM分析を実施した結果を示す。表9に示す通り、定量下限としての0.586μg/mlを含むいずれの濃度においても真度(精度)が理論値の±15%以内であった。
Figure 2018167847
表10は、0.586〜240μg/mlの4種の濃度でリツキシマブを含む血漿サンプルでそれぞれ3回MRM分析を実施した結果を示す。測定は同一のサンプルについて別の日に行った。表10に示す通り、定量下限としての0.586μg/mlを含むいずれの濃度においても真度が理論値の±15%以内であった。
Figure 2018167847
表11は、1.76μg/ml又は240μg/mlのリツキシマブを含む血漿サンプルについて、凍結(-20℃又は-80℃)・融解サイクル後の血漿中での安定性、室温で4時間保存後の血漿中での安定性、-20℃又は-80℃で20日間保存後の血漿中での安定性、並びにnSMOL法による血漿サンプルの前処理後の試料組成物中での24時間又は48時間後のシグネチャーペプチドの安定性を評価した結果を示す。表11に示す通り、いずれの条件下においても理論値の±15%以内の真度が得られた。
Figure 2018167847
表12は、1.76μg/ml又は240μg/mlのリツキシマブを含む血漿サンプルについて、3名の男性及び3名の女性の6名のヒト由来血漿をマトリックスとした場合のマトリックス効果を評価した結果を示す。表12に示す通り、いずれの濃度においてもマトリックスファクター(MF)の個体間の精度(CV)が15%以下であった。
Figure 2018167847
表13は、300μg/mlのリツキシマブを含む血漿サンプルを測定した後のキャリーオーバーを評価した結果を示す。表13に示す通り、3回の測定において、シグネチャーペプチドのピーク面積は、いずれも定量下限(LLOQ)における結果の20%以下、内標準物質(P14R)の5%以下であった。
Figure 2018167847
表14は、500μg/mlのリツキシマブを含む血漿サンプルを希釈して分析した場合のMRM分析の結果を示す。表14に示す通り、10倍及び25倍に希釈された試料の平均真度は理論値の±15%以内、かつ精度は15%以下であった。
Figure 2018167847
[実施例3]
ブレンツキシマブベドチンは、ホジキンリンパ腫の患者の細胞表面に発現するCD30に対して特異的に結合し得るキメラモノクローナル抗体に微小管阻害薬のモノメチルアウリスタチンE(MMAE)が結合した抗体-薬物複合体である。ブレンツキシマブベドチンの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列をそれぞれ配列番号7及び8として示す。
実施例1と同様にして、ブレンツキシマブベドチンの定量のためのペプチド断片として、軽鎖のCDR領域内のVLIYAASNLESGIPAR(配列番号9)を選択した。このペプチドの親イオン及びフラグメントイオン、並びにMRM分析条件を表15に示す。3つのフラグメントイオンのうちの1つを定量のために使用し、2つを構造確認のために使用した。
Figure 2018167847
表16は、サンプル中に0.586〜300μg/mlの10種の濃度でブレンツキシマブベドチンを含む血漿サンプルを調製し、nSMOL法の後にMRM分析を実施した結果を示す。表16に示す通り、定量下限としての0.586μg/mlを含むいずれの濃度においても真度(精度)が理論値の±15%以内であった。
Figure 2018167847
表17は、0.586〜240μg/mlの4種の濃度でブレンツキシマブベドチンを含む血漿サンプルでそれぞれ3回MRM分析を実施した結果を示す。測定は同一のサンプルについて別の日に行った。表17に示す通り、定量下限としての0.586μg/mlを含むいずれの濃度においても真度が理論値の±15%以内であった。
Figure 2018167847
表18は、1.76μg/ml又は240μg/mlのブレンツキシマブベドチンを含む血漿サンプルについて、凍結(-20℃又は-80℃)・融解サイクル後の血漿中での安定性、室温で4時間保存後の血漿中での安定性、-20℃又は-80℃で30日間保存後の血漿中での安定性、並びにnSMOL法による血漿サンプルの前処理後の試料組成物中での24時間又は48時間後のシグネチャーペプチドの安定性を評価した結果を示す。表18に示す通り、いずれの条件下においても理論値の±15%以内の真度が得られた。
Figure 2018167847
表19は、1.76μg/ml又は240μg/mlのブレンツキシマブベドチンを含む血漿サンプルについて、3名の男性及び3名の女性の6名のヒト由来血漿をマトリックスとした場合のマトリックス効果を評価した結果を示す。表19に示す通り、いずれの濃度においてもマトリックスファクター(MF)の個体間の精度(CV)が15%以下であった。
Figure 2018167847
表20は、300μg/mlのブレンツキシマブベドチンを含む血漿サンプルを測定した後のキャリーオーバーを評価した結果を示す。表20に示す通り、3回の測定において、シグネチャーペプチドのピーク面積は、いずれも定量下限(LLOQ)における結果の20%以下、内標準物質(P14R)の5%以下であった。
Figure 2018167847
表21は、500μg/mlのブレンツキシマブベドチンを含む血漿サンプルを希釈して分析した場合のMRM分析の結果を示す。表21に示す通り、10倍及び25倍に希釈された試料の平均真度は理論値の±15%以内、かつ精度は15%以下であった。
Figure 2018167847
[実施例4]
複数種のモノクローナル抗体の同時定量のために、セツキシマブ、リツキシマブ、及びブレンツキシマブベドチンを血漿中にそれぞれ1.76μg/mL、14.1μg/mL又は240μg/mL含有する標準サンプルを調製した。対照として、セツキシマブ、リツキシマブ、又はブレンツキシマブベドチンを単独で含有するサンプルも調製した。
各血漿サンプルをnSMOL法によって処理した後、実施例1〜3で選択したシグネチャーペプチドを単独定量又は混合定量した。分析条件は、先に記載した通りの条件で実施した。
その結果、表22に示すように、3種のペプチドを含有するサンプルにおいても、単独で含有するサンプルと比較して、真度が15%以内の結果を得ることができた。
Figure 2018167847
上記3種のモノクローナル抗体について、上記の定量結果に基づいて検量線を作成した。その結果、図2に示すように、いずれのモノクローナル抗体においても、0.586〜300μg/mlの濃度範囲においてほぼ直線状の定量結果(相関係数0.99以上、各検量点信頼性が±15%以内)がもたらされた。
セツキシマブ、リツキシマブ、ブレンツキシマブベドチンはいずれもキメラ抗体に分類され、Fab領域がマウスの構造であるため相同性が高く、これらのモノクローナル抗体は非常に構造が類似している。しかしながら、本発明の方法を用いることにより、これらが混在する生体試料に対して、いずれかのモノクローナル抗体のみを含む試料とほぼ同様の定量結果が得られることが実証され、3種のモノクローナル抗体を同時に定量することが可能であることが明らかとなった。
[実施例5]
10種のモノクローナル抗体(トラスツズマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、リツキシマブ、ニボルマブ、イピリムマブ、ラムシルマブ、ブレンツキシマブベドチン、インフリキシマブ、及びアダリムマブ)を同じヒト血漿中に10μg/mlずつ添加し、nSMOL法で消化して得られるペプチドを実施例4と同様にして混合定量した。一方、各モノクローナル抗体をヒト血漿中にそれぞれ10μg/ml添加したものを単独定量して比較のために用いた。
各モノクローナル抗体について分析に使用したペプチドの配列及び抗体上の位置について表23に示す。リツキシマブ及びインフリキシマブは2種類のペプチドを使用した。
Figure 2018167847
その結果、図3に示すように、それぞれのモノクローナル抗体由来のペプチドを単独で含有する場合のイオン収率と比較して、混合定量の場合のイオン収率はいずれも±20%以内の範囲であることが判明した。すなわち、単独定量(シングルアッセイ)と混合定量(マルチプレックスアッセイ)で同様の相対イオン収率が得られ、どちらのアッセイを使っても、同様に定量することが可能であることが実証された。
本発明の方法を用いることにより、抗体医薬の精密な薬物動態情報を得ることができるため、これまで解っていなかった低分子化合物の併用薬の薬物動態効果を解析することが可能となる。抗体医薬の薬物動態が、併用低分子化合物医薬品の動態、薬効へどのような効果をもたらすかというような臨床研究への扉を開くことができる。
本発明の方法により、分析にかかるコストの削減や検査技師の負担軽減、そして臨床における薬物濃度モニタリングの利用が促進される。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。

Claims (12)

  1. 測定対象のモノクローナル抗体を細孔内に固定化した多孔質体と、プロテアーゼを固定化したナノ粒子とを液体中で接触させてモノクローナル抗体の選択的プロテアーゼ消化を行い、前記モノクローナル抗体のFab領域由来のアミノ酸配列を有するペプチド断片を液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS)によって検出する方法であって、同一の生物学的試料中の2種以上のモノクローナル抗体のペプチド断片を同時に定量するものである、上記方法。
  2. 生物学的試料中の2種以上のモノクローナル抗体の濃度が、それぞれ0.5〜300μg/mlの範囲である、請求項1記載の方法。
  3. 前記2種以上のモノクローナル抗体を同時に定量したそれぞれの結果が、該モノクローナル抗体をそれぞれ単独で定量した場合と比較していずれも±15%の真度(Accuracy)を有するものである、請求項1又は2記載の方法。
  4. 3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種又はそれ以上のモノクローナル抗体を同時に定量する、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. モノクローナル抗体が、抗体-薬物複合体を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. モノクローナル抗体が、パニツムマブ、オファツムマブ、ゴリムマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、ラムシルマブ、アダリムマブ等のヒト抗体;トシリズマブ、トラスツズマブ、トラスツズマブ-DM1、ベバシズマブ、オマリズマブ、メポリズマブ、ゲムツズマブ、パリビズマブ、ラニビズマブ、セルトリズマブ、オクレリズマブ、モガムリズマブ、エクリズマブ等のヒト化抗体、リツキシマブ、セツキシマブ、インフリキシマブ、バシリキシマブ、ブレンツキシマブベドチン、ゲムツズマブ・オゾガマイシン等のキメラ抗体、トラスツズマブ-エムタンシンなどの抗体-薬物複合体から選択される2種以上を含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
  7. モノクローナル抗体が、セツキシマブ、リツキシマブ、及びブレンツキシマブベドチンから選択される2種又は3種である、請求項6記載の方法。
  8. プロテアーゼによる選択的消化によって得られるモノクローナル抗体のFab領域由来のアミノ酸配列を有する2種以上のペプチド断片を含む、液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS)による生物学的試料中のモノクローナル抗体の混合定量のための組成物。
  9. プロテアーゼによる選択的消化後に5℃で48時間安定な定量結果をもたらす、請求項8記載の組成物。
  10. モノクローナル抗体がセツキシマブを含み、分析対象のペプチド断片が配列番号3に示すアミノ酸配列を有するものである、請求項8又は9記載の組成物。
  11. モノクローナル抗体がリツキシマブを含み、分析対象のペプチド断片が配列番号6に示すアミノ酸配列を有するものである、請求項8又は9記載の組成物。
  12. モノクローナル抗体がブレンツキシマブベドチンを含み、分析対象のペプチド断片が配列番号9に示すアミノ酸配列を有するものである、請求項8又は9記載の組成物。
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