JPWO2018147315A1 - 導電性ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

導電性に優れるのみならず、耐燃料性、特にアルコール含有燃料に対して優れた耐燃料性を併せもち、さらには流動性が高く成形性に優れ、耐衝撃性に優れた成形品の成形が可能な導電性ポリアミド樹脂組成物であり、ポリアミド樹脂(A)84〜40質量%、導電性カーボンブラック(B)5〜30質量%、ポリアミド樹脂の末端基および/又は主鎖のアミド基と反応しうる反応性官能基を有するエチレン−αオレフィン共重合体(C)3〜30質量%、および繊維状カーボン(D)1〜20質量%を含有してなる導電性ポリアミド樹脂組成物である。

Description

本発明は、ポリアミド樹脂と導電性カーボンブラックおよびオレフィン系の樹脂を含有してなる導電性ポリアミド樹脂組成物に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、導電性に優れるのみならず、耐燃料性、特にアルコール含有燃料に対して優れた耐燃料性を併せもち、燃料タンク用キャップなどに好適な導電性ポリアミド樹脂組成物に関するものである。
ポリアミド樹脂は、ガソリン等の有機溶剤やアルカリ液に対して優れた耐薬品性を示すと共に、流動性が高く、耐熱性、耐クリープ性に優れるため、自動車の外装材やエンジンルーム内部品として用いられている。また、さらにカーボンブラック等を配合して導電性を付与し、静電気の発生・帯電を抑制し、比較的短時間で放電可能な機能を持たせて、自動車部品の給油系統部品として用いられている。
ポリアミド樹脂に導電性を付与するために、ポリアミド樹脂にカーボンブラックを配合することは良く知られているが、導電性を向上させるためにカーボンブラックの配合量を増やすと組成物の成形性、流動性、物性などにおいて様々な解決すべき欠点が認められ、それぞれ対策が提案されている。例えば、流動性や成形性を改良するため、ポリアミド樹脂にカーボンブラックと変性されたエチレン共重合体を配合することが提案され(特許文献1参照)、導電性と耐衝撃性を両立させる方法として、カーボンブラックの分散剤を配合する方法が提案され(特許文献2参照)、さらには、組成物のモルフォロジー構造を特定化することにより導電性、耐衝撃性および優れた摺動特性を発現させる提案(特許文献3参照)などがある。
特開昭58−93756号公報 特開平11−180171号公報 特開2006−257429号公報
提案された方法によれば、それぞれに改善効果が認められるが、耐衝撃性に優れる樹脂組成物の場合、アルコール含有燃料に接触する環境下では、導電性が低下してくる欠点があることが判明した。
本発明は、上述の従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的は、ポリアミド樹脂にカーボンブラックを配合した導電性ポリアミド樹脂組成物において、導電性に優れるのみならず、耐燃料性、特にアルコール含有燃料に対して優れた耐燃料性を併せもち、さらには流動性が高く成形性に優れ、耐衝撃性に優れた成形品の成形が可能で、燃料タンク用キャップなどの成形品の提供を可能とする導電性ポリアミド樹脂組成物を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、耐衝撃性付与や導電性カーボンブラックの分散のために配合したエチレン−αオレフィン共重合体が、アルコールを含有する燃料によって膨潤し、導電性カーボンブラックのカーボン粒子間の距離が、導電性消失が発生するほどまでに広がってしまうこと、及び導電性カーボンブラックの吸油性が主要な原因であることを突き止めた。そこで、繊維状カーボンを配合し、モルフォロジー構造を制御することで、上記課題を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の通りである。
[1] ポリアミド樹脂(A)84〜40質量%、導電性カーボンブラック(B)5〜30質量%、ポリアミド樹脂の末端基および/又は主鎖のアミド基と反応しうる反応性官能基を有するエチレン−αオレフィン共重合体(C)3〜30質量%、および繊維状カーボン(D)1〜20質量%を含有してなり、下記の特性(イ)、(ロ)を満足することを特徴とする導電性ポリアミド樹脂組成物。
(イ)導電性ポリアミド樹脂組成物を射出成形することによって得た平板(100mm×100mm×2mm(厚み))の初期の体積固有抵抗が1×10Ω・cm以下で、該平板をCM15燃料に168時間暴露した後の体積固有抵抗が1×10Ω・cm以下
(ロ)導電性ポリアミド樹脂組成物を射出成形することによって得た試験片の−40℃におけるシャルピー衝撃強度が2.0KJ/m以上
[2] 前記導電性ポリアミド樹脂組成物が、下記の特性(ハ)を満足する[1]に記載の導電性ポリアミド樹脂組成物。
(ハ)温度250℃、荷重10kgfで測定したメルトインデックスが0.5g/10min以上
[3] 前記繊維状カーボン(D)が、カーボンナノチューブ及び/または繊維長が200μm以下のミルドカーボンファイバーである[1]または[2]に記載の導電性ポリアミド樹脂組成物。
本発明の導電性ポリアミド樹脂組成物は、メタノールやエタノールなどのアルコールを含有する燃料に接触する環境下でも、導電性の低下が小さく、自動車の燃料系部品、例えば燃料タンクのキャップやストレーナー、フィルター、バルブ等の部品に使用することができる。
以下に本発明を具体的に説明する。
本発明の導電性ポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)84〜40質量%、導電性カーボンブラック(B)5〜30質量%、ポリアミド樹脂の末端基および/又は主鎖のアミド基と反応しうる反応性官能基を有するエチレン−αオレフィン共重合体(C)3〜30質量%、および繊維状カーボン(D)1〜20質量%を含有してなり、下記の特性(イ)、(ロ)を満足することを特徴とする。
(イ)導電性ポリアミド樹脂組成物を射出成形することによって得た平板(100mm×100mm×2mm(厚み))の初期の体積固有抵抗が1×10Ω・cm以下で、該平板をCM15燃料に168時間暴露した後の体積固有抵抗が1×107Ω・cm以下
(ロ)導電性ポリアミド樹脂組成物を射出成形することによって得た試験片の−40℃におけるシャルピー衝撃強度が2.0KJ/m以上
各成分の含有量は、導電性ポリアミド樹脂組成物中の割合(質量%)である。
特性(イ)は、後記する導電性ポリアミド樹脂組成物のモルフォロジー構造の制御により達成される。
CM15燃料とは、Fuel−C(イソオクタン/トルエン=1/1(容量))にメタノールが15質量%含まれたものである。
本発明の導電性ポリアミド樹脂組成物の導電性は、射出成形することによって得た平板(100mm×100mm×2mm(厚み))の初期の体積固有抵抗が1×10Ω・cm以下である。初期の体積固有抵抗は、5×10Ω・cm以下であることが好ましい。初期の体積固有抵抗の下限は、特に限定されないが、用いる原材料等から5×10Ω・cm程度である。
本発明の導電性ポリアミド樹脂組成物の導電性は、アルコール含有燃料に接触する環境下であっても、導電性の低下を抑制でき、CM15燃料に168時間暴露した後の体積固有抵抗が1×10Ω・cm以下を達成できる。CM15燃料に168時間暴露した後の体積固有抵抗は、1×10Ω・cm以下が好ましく、5×10Ω・cm以下がより好ましい。暴露後の体積固有抵抗の下限は、特に限定されないが、用いる原材料等から5×10Ω・cm程度である。体積固有抵抗は、後記の実施例の項に記載の方法で測定できる。
また、低温耐衝撃性に優れ、−40℃におけるシャルピー衝撃強度が2.0KJ/m以上であり、導電性ポリアミド樹脂組成物が、後記する構成を取ることで達成できる。シャルピー衝撃強度は、好ましくは、2.5KJ/m以上である。シャルピー衝撃強度の上限は、特に限定されないが、用いる原材料等から20KJ/m程度である。シャルピー衝撃強度は、後記の実施例の項に記載の方法で測定できる。
さらに、本発明の導電性ポリアミド樹脂組成物は、流動性に優れることが好ましく、メルトインデックス(ISO1133法、250℃、荷重10kg)が0.5g/10分以上が好ましく、より好ましくは1g/10分以上、さらに好ましくは2g/10分以上、特に好ましくは3g/10分以上である。メルトインデックスは、後記する各成分の量を調整することで、最適な範囲とすることができる。メルトインデックスの上限は、特に限定されないが、用いる原材料等から20g/10分程度である。メルトインデックスは、後記の実施例の項に記載の方法で測定できる。
本発明で用いるポリアミド樹脂(A)とは、分子中に酸アミド結合(−CONH−)を有するものである。具体的には、ε−カプロラクタム、6−アミノカプロン酸、ω−エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、α−ピロリドン、α−ピペリジンなどから得られる重合体または共重合体もしくはこれらのブレンド物、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミンなどのジアミンと、テレフタール酸、イソフタール酸、アジピン酸、セバシン酸などのジカルボン酸とを重縮合して得られる重合体または共重合体もしくはこれらのブレンド物等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。入手のし易さから、ポリアミド6、ポリアミド66が好ましい。
これらのポリアミド樹脂の数平均分子量は7000〜30000のものが好ましく用いられる。数平均分子量が7000未満ではタフネスが低下する傾向があり、また30000を越えると流動性が低下する傾向がある。相対粘度(98%硫酸溶液中で測定)で表すと、1.5〜4.0が好ましい。ポリアミド樹脂(A)の含有量は、84〜40質量%、より好ましくは70〜50質量%である。ポリアミド樹脂が40質量%未満になると、導電性ポリアミド樹脂組成物からなる成形品の微細構造において、ポリアミド樹脂が連続相となるべきモルフォロジー構造が不安定になり好ましくない。
本発明で用いる導電性カーボンブラック(B)としては特に制限されるものではなく、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラックおよびチャンネルブラック等を使用することができる。これらの中ではケッチェンブラックが、少ない含有量で優れた導電性を発揮するため特に好ましい。導電性カーボンブラック(B)の含有量は、目的とする導電性の度合いにもよるが、5〜30質量%が好適である。導電性カーボンブラック(B)の含有量は、15〜30質量%が好ましく、20〜30質量%がより好ましい。
これらの導電性カーボンブラックは、導電性ポリアミド樹脂組成物の連続相を形成するポリアミド樹脂中に、含有量の80質量%以上分散することが好ましい。そのためには混練工程が極めて重要であると共に、カーボンブラックの粒子表面に存在するカルボキシル基や水酸基等の官能基も重要である。混錬工程で十分練ることによりカーボンブラックの表面の官能基が作用してポリアミド樹脂との親和性が増大し、ポリアミド樹脂の連続相に分散しやすくなる。本発明では、混錬条件やカーボンブラックの表面にある官能基濃度等は特に限定するものではなく、導電性ポリアミド樹脂組成物の成形品においてカーボンブラックの含有量の80質量%以上が連続相であるポリアミド樹脂中に分散していることが重要である。このようなカーボンブラックの分散によって、体積固有抵抗が1×10Ω・cm以下の優れた導電性を持つ組成物が得られる。また他の物性値も良好となる。
本発明で用いるポリアミド樹脂の末端基および/または主鎖のアミド基と反応しうる官能基を有するエチレン−αオレフィン共重合体(C)(以下、変性エチレン−αオレフィン共重合体、または変性オレフィン共重合体と称することもある)の基本骨格となる重合体としては、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/プロピレン/ジエン共重合体、エチレン/ブテン−1共重合体、エチレン/オクテン−1共重合体、エチレン/ヘキセン−1共重合体、エチレン/4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン/環状オレフィン共重合体等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。変性エチレン−αオレフィン共重合体(C)の含有量は3〜30質量%である。変性エチレン−αオレフィン共重合体(C)の含有量は、3〜25質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましく、3〜15質量%がさらに好ましい。
本発明で用いる変性エチレン−αオレフィン共重合体(C)におけるポリアミド樹脂の末端基および/または主鎖のアミド基と反応しうる官能基とは、ポリアミド樹脂の末端基であるアミノ基、カルボキシル基および主鎖のアミド基と反応しうる基であり、具体的にはカルボン酸基、酸無水物基、エポキシ基、オキサドリン基、アミノ基、イソシアネート基等が例示されるが、これらの中では酸無水物基が最も反応性に優れているので好ましい。また官能基の量は当然のことであるが、多い方がポリアミド樹脂との反応が進み、エチレン−αオレフィン共重合体はポリアミド樹脂の連続相の中でより微細な粒径で分散し、組成物の耐衝撃性も向上する。これらの官能基を有するエチレン−αオレフィン共重合体の製造法は共重合体を製造する工程で上記の官能基を持つ化合物を反応させる方法や共重合体のペレットと官能基を持つ化合物等を混合し、押出機等で混錬して反応させる方法等があるが、これらに限定されるものではない。
本発明で用いる変性エチレン−αオレフィン共重合体(C)は、平均粒径2μm以下の粒子状で、連続相であるポリアミド樹脂中に分散するモルフォロジー構造を持つことが好ましい。上記のモルフォロジー構造は、組成物の製造工程でポリアミド樹脂と変性エチレン−αオレフィン共重合体が反応することにより得られる。ポリアミド樹脂中に変性エチレン−αオレフィン共重合体が2μm以下の平均粒径で微分散することにより、高い衝撃特性が得られる。
本発明で用いる繊維状カーボン(D)とは、カーボンナノチューブ及び/または繊維長200μm以下のミルドカーボンファイバーであることが好ましい。カーボンナノチューブは、これらに限定されるものでは無いが、数平均繊維径が30nm以下であり、好ましくは1〜30nm、より好ましくは5〜20nmである。長さとしては、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.2〜8μm、さらに好ましくは0.2〜5μmである。このようなカーボンナノチューブの市販品としては、昭和電工株式会社製のVGCF(登録商標)−X(数平均繊維径15nm、非直線的形状)、ナノシル社製のNC2100、NC2101、NC1100、株式会社名城ナノカーボン製のMWNT MTC(繊維径10〜40nm)等が挙げられる。ミルドカーボンファイバーとしては、これらに限定されるものではないが、その数平均繊維長は200μm以下が好ましい。数平均繊維長が200μm超では、分散性が不十分となるため、耐燃料性の改善効果が小さくなってしまう。このようなミルドカーボンファイバーの市販品としては、ZOLTEK社製のPANEX35等が上げられる。
これらの繊維状カーボンは、導電性ポリアミド樹脂組成物の連続相を形成するポリアミド樹脂中に、含有量の80質量%以上分散することが好ましい。そのためには混練工程が極めて重要である。
繊維状カーボン(D)の含有量は1〜20質量%であり、1〜15質量%が好ましく、より好ましくは1.3〜13質量%である。繊維状カーボン(D)が1質量%未満では耐燃料性の改善効果が小さく、20質量%を超えると耐衝撃性が低下してしまうため好ましくない。
本発明の導電性ポリアミド樹脂組成物は、そのモルフォロジー構造が極めて重要である。ポリアミド樹脂(A)がマトリックスとなる連続相を構成し、そのポリアミド樹脂と反応することにより、微分散している変性エチレン−αオレフィン共重合体(C)の分散平均粒径は2μm以下となり得る。さらに導電性カーボンブラック(B)は、粒子表面に存在する官能基と混練条件により連続相であるポリアミド樹脂(A)中に、含有量の80質量%以上が分散している。また繊維状カーボン(D)は、マトリックスであるポリアミド樹脂との親和性により、ポリアミド樹脂中に均一に分散することが可能であり、ポリアミド樹脂中の導電性カーボンブラック(B)に近接でき、組成物の導電性発現に寄与できる。繊維状カーボン(D)と導電性カーボンブラック(B)が近接していることで、燃料やアルコール含有燃料による導電性の低下が抑制可能となる。
前記したモルフォロジー構造に制御するためには、各成分の配合方法が重要となる。ポリアミド樹脂(A)に、予め導電性カーボンブラック(B)と繊維状カーボン(D)を分散させた後、ポリアミド樹脂と反応しうる反応性官能基を有するエチレン−αオレフィン共重合体(C)を配合して、導電性ポリアミド樹脂組成物とすることが有効である。
本発明の導電性ポリアミド樹脂組成物には上述した(A)、(B)、(C)および(D)の成分の他に、通常のポリアミド樹脂組成物に用いられる耐候性改良材である銅酸化物、および/又はハロゲン化アルカリ金属、光または熱安定剤としてフェノール系酸化防止剤やリン系酸化防止剤、離型剤、結晶核剤、滑剤、顔料、染料等を含有しても良い。
本発明の導電性ポリアミド樹脂組成物は、(A)、(B)、(C)および(D)の各成分の合計で、80質量%以上を占めることが好ましく、90質量%以上を占めることがより好ましく、95質量%以上を占めることがさらに好ましい。
本発明の導電性ポリアミド樹脂組成物は各成分を混合して、単に押出機で混錬するだけでは安定したモルフォロジー構造を形成することができず、特別の方法により混錬することが推奨される。例えば、溶融混錬機(例えば二軸押出機や溶融反応釜等々)にポリアミド樹脂(A)と導電性カーボンブラック(B)及び繊維状カーボン(D)とを溶融混錬し、ポリアミド樹脂中にカーボンブラック、繊維状カーボンを均一に分散させた後、変性エチレン−αオレフィン共重合体(C)、および必要に応じて他の添加物を加えて更に溶融混錬する。このような二段階の溶融混錬をすることにより、本発明のモルフォロジー構造を持つポリアミド導電性樹脂組成物が安定して製造することができる。しかし、本発明のポリアミド導電性樹脂組成物の製造では、かかる特定のブレンド、溶融混錬方法に限られるものではなく、前記の組成およびモルフォロジー構造が得られる限り他のブレンド、溶融方法を用いて本発明の組成物を製造することができる。
以下に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。
また以下の実施例、比較例において示した各特性、物性値は下記の試験方法で測定した。試験片は射出成形機(東芝機械(株)製、IS80)により下記条件にて成形した。
樹脂温度:275℃
金型温度:40℃
射出圧力:50kg/cm
射出時間:1秒
保圧力:60kg/cm
保持時間:6秒
1.体積固有抵抗
射出成形で得た100mm×100mm×2mm(厚み)のプレートのゲート位置に対し直角方向の両端に端子を接続し、デジタルマルチメーター(アドバンテスト(株)製、TR−6843)で測定した。なお測定試験片は70℃で12時間、真空乾燥した後、20℃、50%RHの雰囲気で24時間シーズニングしてから測定した。
2.体積固有抵抗(燃料暴露後)
テストピース浸漬用のCM15燃料は、Fuel−C(イソオクタン/トルエン=1/1(容量))にメタノール(ナカライテスク社製 純度99.5%)を15質量%になるよう混合して作製した。そこに、1.で使用したテストピースを浸漬し、60℃オーブン中に静置して試験を実施した。
テストピースは168時間浸漬後にCM15燃料から取り出した後、表面に付着した溶液をふき取った後、1分以内に1.と同様の方法で体積固有抵抗を測定した。
3.ノッチ入りシャルピー衝撃強度
低温シャルピー衝撃強度:ISO−179−1eAに準じて、射出成形でダンベル片を作製して−40℃で測定した。
4.メルトインデックス
ISO1133に準拠して測定した。温度250℃、荷重10kgfで測定した。
5.モルフォロジー構造の観察
射出成形で得た100mm×100mm×2mm(厚み)のプレートの中央部より凍結切片を作製した。
変性エチレン−αオレフィン共重合体(C)の平均粒子径の測定には、試料の樹脂流れの方向と垂直な断面の凍結切片を作製し、5%リンタングステン酸水溶液で30分間染色し、さらにカーボン蒸着を施した後、日本電子製JEM2010透過型電子顕微鏡で加速電圧200KV、直接倍率5000倍で観察して、写真撮影をした。次いで、得られた写真を画像解析装置に供することによって、平均粒子径を求めた。当該装置では、ドメイン(分散相)の観察像が楕円形状である場合は、球に換算した直径を粒子径とした。換算は、楕円の長径と短径の平均を球の直径とした。
導電性カーボンブラック(B)の存在場所は、得られた写真に存在する全てのカーボンブラックの粒子数と連続相に存在するカーボンブラックの粒子数を画像解析装置でカウントして、連続相に存在する導電性カーボンブラック(B)の粒子数の百分率%を質量%とした。なお、繊維状カーボン(D)は、観察時、形状の違い(繊維状カーボン(D)は繊維状、導電性カーボンブラック(B)は粒子状)で導電性カーボンブラックと区別した。導電性カーボンブラック(B)と同様に、繊維状カーボン(D)の存在場所についても、繊維状物の数をカウントすることで求めた。
実施例および比較例に用いた組成物の原材料は、下記のような材料を使用した。
ポリアミド樹脂(A)
A−1:東洋紡ナイロンT−840(東洋紡(株)製、ポリアミド6、相対粘度2.2)
導電性カーボンブラック(B)
B−1:ファーネスカーボン 100(ライオン(株)製)
B−2:ケッチェンカーボンEC(ライオン(株)製)
変性エチレン−αオレフィン共重合体(C)
C−1:変性オレフィン共重合体 タフマー(登録商標)MH7020(三井化学(株)製 無水マレイン酸変性エチレン−αオレフィン共重合体)
繊維状カーボン(D)
D−1:カーボンナノチューブ Nanocyl社製 NC−7000 直径10〜15nm、長さ1.5μm
D−2:ミルドカーボンファイバー ZOLTEK社製 PANEX35 MF MF200 平均繊維長 150μm
D’:カーボンファイバー ZOTEK社製 PANEX35 平均繊維長 6mm
(実施例および比較例)
全体のコンパウンディングの前に、まず、ポリアミド樹脂と導電性カーボンブラック、繊維状カーボンとを、表1に記載の質量比率になるように二軸押出機(池貝鉄工(株)製、PCM30)で溶融混練してマスターバッチペレットとした。次いで、得られたマスターバッチペレットを用い、表1の組成割合で各原料を計量ブレンドし、シリンダー温度260℃に設定した二軸押出機(池貝鉄工(株)製、PCM30)で溶融混練して導電性ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。得られた導電性ポリアミド樹脂組成物を用いて、各評価を行った。結果を表1に記す。
比較例1〜4の導電性ポリアミド樹脂組成物は、CM15燃料に168時間暴露した後の体積固有抵抗が1×10Ω・cmを超えることが確認できた。
本発明によれば、バイオエタノールを使用する自動車の部材、電気・電子製品の部品用として利用が可能である。

Claims (3)

  1. ポリアミド樹脂(A)84〜40質量%、導電性カーボンブラック(B)5〜30質量%、ポリアミド樹脂の末端基および/又は主鎖のアミド基と反応しうる反応性官能基を有するエチレン−αオレフィン共重合体(C)3〜30質量%、および繊維状カーボン(D)1〜20質量%を含有してなり、下記の特性(イ)、(ロ)を満足することを特徴とする導電性ポリアミド樹脂組成物。
    (イ)導電性ポリアミド樹脂組成物を射出成形することによって得た平板(100mm×100mm×2mm(厚み))の初期の体積固有抵抗が1×10Ω・cm以下で、該平板をCM15燃料に168時間暴露した後の体積固有抵抗が1×10Ω・cm以下
    (ロ)導電性ポリアミド樹脂組成物を射出成形することによって得た試験片の−40℃におけるシャルピー衝撃強度が2.0KJ/m以上
  2. 前記導電性ポリアミド樹脂組成物が、下記の特性(ハ)を満足する請求項1に記載の導電性ポリアミド樹脂組成物。
    (ハ)温度250℃、荷重10kgfで測定したメルトインデックスが0.5g/10min以上
  3. 前記繊維状カーボン(D)が、カーボンナノチューブ及び/または繊維長が200μm以下のミルドカーボンファイバーである請求項1または2に記載の導電性ポリアミド樹脂組成物。
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