JPWO2018038227A1 - 歯科用セメント - Google Patents

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Abstract

より簡便に使用でき、さらに歯面への密着性の高い歯科用セメントを提供する。歯科用セメントを、(メタ)アクリレートを含む第1ペーストと、水及び/又は(メタ)アクリレートを含む第2ペーストとから構成させ、酸化剤又は還元剤の一方を第1ペーストに、他方を第2ペーストにそれぞれ含有させるとともに、ポルトランドセメント粉末、リン酸化多糖を、それぞれ第1ペースト又は第2ペーストに含有させる。またより好ましくは、歯科用セメントを、(メタ)アクリレート及びポルトランドセメント粉末を含む第1ペーストと、リン酸化多糖及び水を含む第2ペーストとから構成させ、酸化剤又は還元剤の一方を第1ペーストに、他方を第2ペーストにそれぞれ含有させたり、リン酸化多糖としてリン酸化プルランを使用する。

Description

本発明は、歯科分野において用いられる歯科用セメントに関する。
歯科分野において、根管の充填や覆髄等の治療に用いられる材料、又はシーラーとして、ケイ酸カルシウムを主成分とするセメント(例えば、特許文献1、2参照。)やポルトランドセメント(例えば、特許文献3参照。)が用いられている。これらのセメントは、通常粉末成分と液体成分とから構成され、両成分を混合練和することにより硬化しセメント硬化体となる。しかしながら、このような粉末成分と液体成分とからなる歯科用セメントでは、練和がし難く使用時に両成分の混合練和操作が使用者の熟練度に左右されるという問題があった。またこのような歯科用セメントでは、歯面にしっかりと接着させ、さらに歯面との間にすきまができないように歯面に十分に密着(密着性)させることができない場合があり、細菌等の侵入を確実に防止できない場合もあった。
特表2005−538145号公報 特表2010−518093号公報 米国特許第7892342号公報
本発明は前記の問題に鑑み、より簡便に使用でき、さらに歯面への密着性の高い歯科用セメントを提供することを課題とする。
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、歯科用セメントを(メタ)アクリレートを含む第1ペーストと、水及び/又は(メタ)アクリレートを含む第2ペーストとから構成させ、ポルトランドセメント粉末、リン酸化多糖が、それぞれ第1ペースト又は第2ペーストに含まれるようにすれば、粉末成分と液体成分とからなる歯科用セメントに比べて、2種類のペーストを混合させるようにすることで、練和が容易で非常に扱いやすくなり、また重合開始用の酸化剤又は還元剤の一方が第1ペーストに、他方が第2ペーストにそれぞれ含まれるようにすれば、2つのペーストを混合するまで重合は進まないので扱いやすく、そしてリン酸化多糖を配合させることで、歯質に対してリン酸化多糖のリン酸基がキレート結合することで歯面に対して高い密着性が得られることを究明して本発明を完成させたのである。
即ち本発明は、(メタ)アクリレートを含む第1ペーストと、水及び/又は(メタ)アクリレートを含む第2ペーストとからなり、酸化剤又は還元剤の一方が第1ペーストに、他方が第2ペーストにそれぞれ含まれているとともに、ポルトランドセメント粉末、リン酸化多糖が、それぞれ第1ペースト及び/又は第2ペーストに含まれていることを特徴とする歯科用セメントである。
また、(メタ)アクリレート及びポルトランドセメント粉末を含む第1ペーストと、リン酸化多糖及び水を含む第2ペーストとから構成させ、酸化剤又は還元剤の一方が第1ペーストに、他方が第2ペーストにそれぞれ含まるようにして、一方のペーストをリン酸化多糖と水とで構成させれば、リン酸化多糖には粘性を生じさせる効果があることから、水を含むペーストに対しても適度な粘性を生じさせて垂れ難くすることができて好ましく、またリン酸化多糖として、リン酸化プルランを使用すれば、人体に無害で高い安全性を確保でき、また口腔内でのアミラーゼ等による代謝を受けにくく細菌の栄養となり難くて好ましいことも究明したのである。
本発明に係る歯科用セメントは、(メタ)アクリレートを含む第1ペーストと、水及び/又は(メタ)アクリレートを含む第2ペーストとからなり、ポルトランドセメント粉末、リン酸化多糖が、それぞれ第1ペースト及び/又は第2ペーストに含まれているから、粉末成分と液体成分とからなる歯科用セメントに比べて、2種類のペーストを混合させるようにすることで、練和が容易で非常に扱いやすく、また重合開始用の酸化剤又は還元剤の一方が第1ペーストに、他方が第2ペーストにそれぞれ含まれているから、2種類のペーストを混合するまで重合は進まないので扱いやすく、そしてリン酸化多糖を配合させることで、歯質に対してリン酸化多糖のリン酸基がキレート結合することで歯面に対して高い密着性を得ることができる。
さらに、(メタ)アクリレート及びポルトランドセメント粉末を含む第1ペーストと、リン酸化多糖及び水を含む第2ペーストとからなり、酸化剤又は還元剤の一方が第1ペーストに、他方が第2ペーストにそれぞれ含まれる態様では、一方のペーストがリン酸化多糖と水とで構成されていて、リン酸化多糖には粘性を生じさせる効果があることから、水を含むペーストに対しても適度な粘性を生じさせて垂れ難くすることができて好ましく、またリン酸化多糖として、リン酸化プルランを使用する態様では、人体に無害で高い安全性を確保でき、また口腔内でのアミラーゼ等による代謝を受けにくく細菌の栄養となり難くて好ましいのである。
以下、本発明に係る歯科用セメントについて詳細に説明する。
<ポルトランドセメント粉末>
本発明において使用するポルトランドセメント粉末は、主としてケイ酸三カルシウム(エーライト、3CaO・SiO)、ケイ酸二カルシウム(ビーライト、2CaO・SiO)、カルシウムアルミネート(アルミネート、3CaO・Al)、カルシウムアルミノフェライト(フェライト、4CaO・Al・Fe)から構成されている。そしてこれらの主要成分は、酸化カルシウム(CaO)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化鉄(Fe)であり、これらの各々の成分の割合により、2つのペーストを混合した際の硬化速度や硬化体強度が異なる。
本発明において使用するポルトランドセメント粉末は、従来からあるポルトランドセメント粉末を特に限定することなく使用できるが、特に以下のような組成であれば、練和物を硬化させる際に、根管の充填、覆髄等の水分の多い条件下の使用において、安定した状態で硬化させ且つ適度な強度を得ることができてより好ましいのである。なお酸化マグネシウムや炭酸ナトリウム等の他の成分が含まれていてもよい。
酸化カルシウム(CaO):55質量%以上85質量%以下
二酸化ケイ素(SiO):10質量%以上40質量%以下
酸化アルミニウム(Al):0質量%以上15質量%以下
酸化鉄(Fe):0質量%以上10質量%以下
石膏:0質量%以上20質量%以下
歯科用セメント中のポルトランドセメント粉末の含有量は、5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上40質量%以下であることがさらに好ましい。歯科用セメントのポルトランドセメント粉末の含有量が5質量%以上であることにより、セメント硬化体の強度を高くすることができ、50質量%以下であることにより、ペースト化が容易となる。
<リン酸化多糖>
本発明において使用するリン酸化多糖は、生体組織に対して低刺激であり親和性が高い。また、リン酸化多糖は歯質に対してそのリン酸基がキレート結合することで歯面に対して高い密着性を示す。
本発明において使用するリン酸化多糖としては、多糖類の一部もしくは全部の水酸基がリン酸化されたものが使用でき、例えば、リン酸化ラクトース、リン酸化スクロース、リン酸化スクラロース、リン酸化セロビオース、リン酸化トレハロース、リン酸化マルトース、リン酸化パラチノース(登録商標)、リン酸化マルトトリオース、リン酸化マルトデキストリン、リン酸化シクロデキストリン、リン酸化グリコシルスクロース、リン酸化アミロース、リン酸化アミロペクチン、リン酸化シクロアミロース、リン酸化グリコーゲン、リン酸化セルロース、リン酸化アガロース、リン酸化クラスターデキストリン、リン酸化マンナン、リン酸化プルラン等が好ましく使用でき、またこれらは、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのリン酸化多糖のうち、リン酸化マルトデキストリン、リン酸化シクロデキストリン、リン酸化グリコシルスクロース、リン酸化アミロース、リン酸化アミロペクチン、リン酸化シクロアミロース、リン酸化グリコーゲン、リン酸化セルロース、リン酸化アガロース、リン酸化クラスターデキストリン、リン酸化マンナン、及びリン酸化プルランからなる群より選択される1種以上が生体硬組織との密着性、硬化物強度及び製造コスト等の点から好ましく使用できる。
特に、リン酸化プルランは、人体に無害で高い安全性を確保でき、また口腔内でのアミラーゼ等による代謝を受けにくく細菌の栄養になり難くて好ましいのである。
このようなリン酸化多糖は、前記多糖類の水酸基をリン酸化する公知の方法により製造することができる。例えば、メタリン酸ナトリウムと反応させる方法や、リン酸ナトリウムと反応させる方法等が挙げられる。また五酸化リンとプルランを反応させてリン酸化プルランを得る方法も用いられる。得られたリン酸化多糖は、公知の分析方法により、その構造を確認することができる。なお、リン酸化多糖のリン酸化の程度は、原料使用量や反応条件を変えることで調整することができる。
また、前記リン酸化多糖は、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等のように、その一部又は全部が塩になっていてもよく、これらのリン酸化多糖の塩は、公知の方法に従って調製することができる。
リン酸化多糖は、1分子に含まれる全水酸基のうち、数(個数%)以上十数(個数%)以下の水酸基がリン酸化されたものが望ましい。なお、リン酸化多糖におけるリン酸化された水酸基の個数割合は、リン酸化多糖の元素分析を行ってリンの含有量から算出することができる。
歯科用セメント中のリン酸化多糖の含有量は、0.1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、1質量%以上30質量%以下であることがさらに好ましい。歯科用セメントのリン酸化多糖の含有量が0.1質量%以上であることにより、配合の効果が得られ、40質量%以下であることにより、ペーストの粘性が高くなりすぎることを防止できる。
<(メタ)アクリレート>
本発明に係る歯科用セメントにおいて、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの各種モノマー、オリゴマーあるいはプレポリマーを意味し、(メタ)アクリロイルオキシ基を1個以上有する。また、(メタ)アクリロイルオキシ基とは、メタクリロイルオキシ基及び/又はアクリロイルオキシ基を意味する。
(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジ−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート、1,3,5−トリス[1,3−ビス{(メタ)アクリロイルオキシ}−2−プロポキシカルボニルアミノヘキサン]−1,3,5−(1H,3H,5H)トリアジン−2,4,6−トリオン、2,2−ビス−4−(3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−フェニルプロパン、N,N’−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレート、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンと2−オキシパノンとヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとからなるウレタンオリゴマーの(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールとヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとからなるウレタンオリゴマーの(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、二種以上併用してもよい。
歯科用セメント中の(メタ)アクリレートの含有量は、1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上25質量%以下であることがさらに好ましい。歯科用セメントの(メタ)アクリレートの含有量が1質量%以上であることにより、歯科用セメントの接着力が向上し、50質量%以下であることにより、歯科用セメントの歯面密着性が向上するためである。
<重合開始剤>
重合開始剤としては化学重合開始剤(酸化剤、還元剤)が使用できる。
化学重合開始剤としては、酸化剤と還元剤との組み合わせを用いることができる。酸化剤を含む一方のペーストと、還元剤を含む他方のペーストを混合することにより、(メタ)アクリレートの重合が開始し、硬化する特性を有する2ペースト(混合)型の歯科用セメントとすることができる。
なお、2ペースト型の歯科用セメントにおける一方のペーストと他方のペーストの質量比は、1:1〜1:15の範囲内であることが好ましい。
化学重合開始剤における酸化剤としては、特に限定されないが、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ化合物、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
歯科用セメント中の化学重合開始剤における酸化剤の含有量は、0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。歯科用セメント中の化学重合開始剤における酸化剤の含有量が0.01質量%以上であることにより、歯科用セメントの接着性が向上し、20質量%以下であることにより、歯科用セメントの保存安定性が向上する。
化学重合開始剤における還元剤としては、特に限定されないが、チオ尿素誘導体、バナジウム化合物、銅化合物、4-アミノ安息香酸、N,N−ジメチル−p−トルイジン、トリエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等の3級アミン、N−フェニルグリシン、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム等のスルフィン酸塩が挙げられる。
チオ尿素誘導体としては、エチレンチオ尿素,ジエチルチオ尿素,テトラメチルチオ尿素,N−アセチルチオ尿素,N−ベンゾイルチオ尿素,ジフェニルチオ尿素,ジシクロヘキシルチオ尿素等が挙げられる。
バナジウム化合物としては、バナジウムアセチルアセトネート,バナジルアセチルアセトネート,バナジルステアレート,バナジウムナフテネート,バナジウムベンゾイルアセトネートが挙げられる。
銅化合物としては、特に限定されないが、アセチルアセトン銅(II)、4−シクロヘキシル酪酸銅(II)、酢酸銅(II)、オレイン酸銅(II)、硫酸銅(II)、塩化銅(II)、グルコン酸銅(II)、オレイン酸銅(II)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム銅(II)、塩化銅(II)、硝酸銅(II)、酢酸銅(II)、アクリル酸銅(II)、メタクリル酸銅(II)等が挙げられる。
これらの化学重合開始剤における還元剤は、二種以上併用してもよい。
歯科用セメント中の化学重合開始剤における還元剤の含有量は、0.5質量%以上20質量%以下であることが好ましく、1質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。歯科用セメント中の化学重合開始剤における還元剤の含有量が0.5質量%以上であることにより、歯科用セメントの接着性が向上し、20質量%以下であることにより、歯科用セメントの保存安定性が向上する。
また、重合開始剤としては、化学重合開始剤に代えて、又は、化学重合開始剤と共に、光重合開始剤を用いることもできる。歯科用重合性組成物が光重合開始剤を含むことにより、光を照射することにより硬化する特性を歯科用重合性組成物に与えることができる。
光重合開始剤としては、特に限定されないが、ケトン系化合物、α−ジケトン系化合物、ケタール系化合物、アントラキノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンゾインアルキルエーテル系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物等が挙げられる。
ケトン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
α−ジケトン系化合物としては、例えば、カンファーキノン、ベンジル、ジアセチル、アセナフテンキノン、9,10−フェナントラキノン等が挙げられる。
ケタール系化合物としては、例えば、ベンジルケタール、ジアセチルケタール、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジルビス(β−フェニルエチル)ケタール、ベンジルビス(2−メトキシエチル)ケタール、4,4’−ジメチル(ベンジルジメチルケタール)等が挙げられる。
アントラキノン系化合物としては、例えば、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、1−ヒドロキシアントラキノン、1−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1−ブロモアントラキノン等が挙げられる。
チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−ニトロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロ−7−トリフルオロメチルチオキサントン、チオキサントン−10,10−ジオキシド、チオキサントン−10−オキシド、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライド等が挙げられる。
ベンゾインアルキルエーテル系化合物としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。
アシルホスフィンオキシド系化合物としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等が挙げられる。
重合開始剤として、光重合開始剤を用いる場合、光重合促進剤を併用してもよい。
光重合促進剤としては、特に限定されないが、4-アミノ安息香酸、N,N−ジメチル−p−トルイジン、トリエタノールアミン、トリルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等の3級アミン、バルビツール酸、1,3−ジメチルバルビツール酸、1,3,5−トリメチルバルビツール酸、1,3,5−トリエチルバルビツール酸、5−ブチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸等のバルビツール酸誘導体等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
本発明に係る歯科用セメントにはペースト化のために水を含有してもよい。
歯科用セメント中の水の含有量は、0.1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、3質量%以上35質量%以下であることがさらに好ましい。歯科用セメントの水の含有量が0.1質量%以上であることにより、セメントの硬化性を向上させることができ、35質量%以下であることにより、セメント硬化体の強度の低下が抑えられる。
<その他の成分>
本発明に係る歯科用セメントは、さらに重合禁止剤を含有してもよい。重合禁止剤としては、特に限定されないが、ジブチルヒドロキシトルエン、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、2,6−t−ブチル−2,4−キシレノール等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
本発明に係る歯科用セメントには、X線造影性を付与するためにさらにX線造影材が含まれていてもよい。X線造影材としては、特に限定されないが、公知の酸化ビスマス、硫酸バリウム、酸化タンタル、酸化セリウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化イッテルビウム、フッ化イッテルビウムの各粉末や、バリウム、タンタル、ランタン、ストロンチウムを含むX線不透過性ガラス粉末等が使用でき、これらは、単独又は混合して使用することが可能である。
X線造影材の含有量は、ポルトランドセメント粉末の含有量以下であることが好ましい。
本発明に係る歯科用セメントには、さらにフィラーが含まれていてもよい。フィラーは、有機フィラー及び無機フィラーのいずれであってもよいが、無機フィラーであることが好ましい。無機フィラーとしては、特に限定されないが、シリカ粉末、ヒュームドシリカ、アルミナ粉末、ガラス粉末(例えば、バリウムガラス粉末、フルオロアルミノシリケートガラス粉末)等が挙げられ、二種以上併用してもよい。無機フィラーは、必要に応じて、シランカップリング剤等の表面処理剤で処理されていてもよい。
本発明に係る歯科用セメントには、性状等に影響を及ぼさない範囲でその他、着色剤、安定剤、抗菌剤、防腐剤、増粘材等を適宜配合することもできる。
以下、実施例を用いて本発明に係る歯科用セメントを具体的に説明するが、本発明に係る歯科用セメントは以下の実施例に限定されるものではない。
『ポルトランドセメント粉末の調製』
ポルトランドセメント粉末A及びBの配合を表1に示す。
Figure 2018038227
『歯科用セメントの調製』
各実施例及び各比較例に用いた歯科用セメントの配合割合を表2に示す。
なお、表2における略称の意味は、以下の通りである。
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
GDMA:2−ヒドロキシ−1,3−ジメタアクリロイルオキシプロパン
Bis−EMA:エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(BPE−1300N 新中村化学工業社製)
BHT:ジブチルヒドロキシトルエン
EDTA・2Na:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
ヒュームドシリカ:アエロジル(登録商標)(日本アエロジル社製)
CMC−Na:カルボキシメチルセルロースナトリウム
<歯面密着性の評価>
牛歯歯冠部象牙質面を耐水研磨紙で#4000まで研磨した後に、歯科用セメントの練和物を塗布する面積及び厚みを規定する為に、直径3mmの円形の貫通穴を有する厚さ100μmのポリテトラフルオロエチレン製シールを当該象牙質面上に貼った。
次いで、表2に記載の配合割合で実施例及び比較例の第1ペースト及び第2ペーストを作製し、1:1の比率で、練和紙上でヘラを用いて練和した。得られた各歯科用セメントの練和物を前記シールの貫通穴に塗布して薄くのばし、光照射を行い硬化させた。
さらにこの硬化した各歯科用セメント上にコンポジットレジンを盛り光照射を行い硬化させた。
コンポジットレジンを硬化させてから1時間後に水中浸漬し、24時間後に水中から取り出して、オートグラフを用いて、牛歯歯冠部と硬化したコンポジットレジンとを相対的に変位させてクロスヘッドスピード1mm/分にてせん断試験を行った。
そしてコンポジットレジンが歯科用セメントからはがれた際の象牙質面と歯科用セメントとの接着界面の性状を確認し、歯科用セメントが象牙質面に残存しているほど、歯科用セメントの歯面密着性が高いとして、各歯科用セメントを評価した。評価指標は以下のとおりであり、結果を表2に示す。
○:歯科用セメントが象牙質面に60%以上残存
△:歯科用セメントが象牙質面に20%以上60%未満残存
×:歯科用セメントが象牙質面に20%未満残存
Figure 2018038227
各実施例及び各比較例を比較すると、実施例1ないし4の歯科用セメントは、せん断試験後に象牙質面に60%以上残存し、歯面に対する密着性の高い歯科用セメントであることが確認された。
これに対して比較例1及び2の歯科用セメントは、せん断試験後に象牙質面に20%未満しか残存せず、歯面に対する密着性が低い歯科用セメントであることが確認された。
このように、本発明に係る歯科用セメントは歯面に対する密着性が高いので、歯科用セメントと歯面との隙間への細菌等の侵入を防止できる等の有益な効果が得られるのである。

Claims (3)

  1. (メタ)アクリレートを含む第1ペーストと、水及び/又は(メタ)アクリレートを含む第2ペーストとからなり、
    酸化剤又は還元剤の一方が該第1ペーストに、他方が該第2ペーストにそれぞれ含まれているとともに、
    ポルトランドセメント粉末、リン酸化多糖が、それぞれ該第1ペースト又は該第2ペーストに含まれていることを特徴とする歯科用セメント。
  2. (メタ)アクリレート及びポルトランドセメント粉末を含む第1ペーストと、リン酸化多糖及び水を含む第2ペーストとからなり、酸化剤又は還元剤の一方が該第1ペーストに、他方が該第2ペーストにそれぞれ含まれている請求項1に記載の歯科用セメント。
  3. リン酸化多糖がリン酸化プルランである請求項1又は2に記載の歯科用セメント。
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