JPWO2016158676A1 - ゴム組成物、ゴム架橋物およびタイヤ - Google Patents

ゴム組成物、ゴム架橋物およびタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】シクロオレフィン開環共重合体を用いたゴム組成物において、コストおよび生産性に優れ、さらに、加工性および低発熱性の向上を図ることができるゴム組成物を提供すること。【解決手段】本発明に係るゴム組成物は、シクロペンテン由来の構造単位、及び、シクロオクタジエン由来の構造単位を含有するシクロオレフィン開環共重合体と、スチレン−ブタジエン共重合体とを含み、前記シクロオレフィン開環共重合体における、全繰り返し単位中の、シクロペンテン由来の構造単位の含有量が50〜99モル%、シクロオクタジエン由来の構造単位の含有量が50〜1モル%であり、前記シクロオレフィン開環共重合体と前記スチレン−ブタジエン共重合体との重量比(シクロオレフィン開環共重合体/スチレン−ブタジエン共重合体)が、5/95〜95/5である。【選択図】 なし

Description

本発明はゴム組成物に関し、さらに詳しくは、特定の構造単位を含有するシクロオレフィン開環共重合体と、スチレンーブタジエン共重合体とを含み、加工性が改善され、また燃費向上の可能なタイヤの製造原料となりうるゴム組成物に関する。また、本発明は、上記ゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物、特にタイヤに関する。
自動車タイヤの製造に用いるゴム組成物としては、ブタジエンゴム(BR)やスチレンブタジエンゴム(SBR)などの共役ジエン系ゴムと、カーボンブラックやシリカなどの充填剤を含有するゴム組成物が広く用いられている。
しかし、BRやSBRの原料となるブタジエンに関しては、近年生産量の減少が予測されている。ブタジエンはナフサのクラッキングによりエチレンを製造する際の副生物として生産されるものであるが、近年、エチレンの製造法として、エタンなどの天然ガスを原料とする方法が拡大している。このため、ブタジエンの生産量の減少が予測されている。したがって、ブタジエンを原料としない合成ゴムを、ブタジエンゴムやスチレンブタジエンゴムの代替材料として用いることについて、種々の検討が進められている。
BRやSBRの代替材料として検討されている合成ゴムの一種として、シクロペンテンの開環重合により得られるシクロペンテン開環重合体等のシクロオレフィン開環重合体の使用が検討されている。たとえば、特許文献1には、シクロペンテンと1,5,9−シクロドデカトリエンとを開環共重合してなるシクロオレフィン開環共重合体が記載されている。
しかし、1,5,9−シクロドデカトリエンは、その他の環状オレフィン化合物と比較して、コストが高いという問題があった。また、1,5,9−シクロドデカトリエンは、その化学構造に起因して、環ひずみが大きい。そのため、シクロペンテンとの共重合に際し、シクロペンテンの重合速度と1,5,9−シクロドデカトリエンの重合速度との差が大きく、重合時の共重合比の制御が困難であった。その結果、シクロオレフィン開環共重合体の生産性に劣るという問題があった。
国際公開第2012/043802号
本発明は、上述した従来技術に鑑みてなされたものであり、シクロオレフィン開環共重合体を用いたゴム組成物において、コストおよび生産性に優れ、さらに、加工性および低発熱性の向上を図ることができるゴム組成物を提供することを目的としている。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ゴム組成物に、シクロペンテン由来の構造単位およびシクロオクタジエン由来の構造単位を含有するシクロオレフィン開環共重合体と、スチレン−ブタジエン共重合体とを配合することで、コストおよび生産性に優れ、さらに、ゴム組成物の加工性が改善されることを見出した。さらに、該ゴム組成物を架橋することで低発熱性の優れたゴム架橋物(タイヤ)が得られることを見出した。本発明は、この知見に基づいて完成するに至ったものである。
上記課題を解決する本発明の要旨は以下の通りである。
〔1〕シクロペンテン由来の構造単位、及び、シクロオクタジエン由来の構造単位を含有するシクロオレフィン開環共重合体と、スチレン−ブタジエン共重合体とを含み、
前記シクロオレフィン開環共重合体における、全繰り返し単位中の、シクロペンテン由来の構造単位の含有量が50〜99モル%、シクロオクタジエン由来の構造単位の含有量が50〜1モル%であり、
前記シクロオレフィン開環共重合体と前記スチレン−ブタジエン共重合体との重量比(シクロオレフィン開環共重合体/スチレン−ブタジエン共重合体)が、5/95〜95/5である、ゴム組成物。
〔2〕前記シクロオレフィン開環共重合体が、重合体鎖末端に、窒素原子、酸素原子、リン原子、イオウ原子、およびケイ素原子からなる群から選ばれる少なくとも1種の原子を含有する官能基を有するシクロオレフィン開環共重合体を含む〔1〕に記載のゴム組成物。
〔3〕前記シクロオレフィン開環共重合体が、重合体鎖末端にオキシシリル基を有するシクロオレフィン開環共重合体を含む〔2〕に記載のゴム組成物。
〔4〕前記スチレン−ブタジエン共重合体が、重合体鎖末端に変性基を有するスチレンーブタジエン共重合体を含む〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のゴム組成物。
〔5〕シリカおよび/またはカーボンブラックを配合してなる〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のゴム組成物。
〔6〕架橋剤を含有してなる、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のゴム組成物。
〔7〕上記〔6〕に記載のゴム組成物を架橋してなる、ゴム架橋物。
〔8〕上記〔7〕に記載のゴム架橋物を用いてなる、タイヤ。
〔9〕上記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のゴム組成物を製造する方法であって、
周期表第6族遷移金属化合物(A)と、下記一般式(3)で示される有機アルミニウム化合物(B)との存在下で、シクロペンテンとシクロオクタジエンとを開環共重合してシクロオレフィン開環共重合体を得る工程と、
前記シクロオレフィン開環共重合体と、スチレン−ブタジエン共重合体とを混練する工程とを有するゴム組成物の製造方法。
(R13-abAl(OR2ab (3)
(上記一般式(3)中、R1は、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、R2は、ハロゲン原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Xはハロゲン原子を表す。aは1または2、bは0または1、かつa+b<3を満たす。)
〔10〕前記シクロオレフィン開環共重合体を得る工程において、さらに、オキシシリル基含有オレフィン性不飽和炭化水素(C)の存在下で、シクロペンテンとシクロオクタジエンとを開環共重合する〔9〕に記載のゴム組成物の製造方法。
〔11〕さらに、溶液重合法によりスチレン−ブタジエン共重合体を得る工程を有する〔9〕または〔10〕に記載のゴム組成物の製造方法。
本発明によれば、ゴム組成物として、シクロペンテン由来の構造単位およびシクロオクタジエン由来の構造単位を含有するシクロオレフィン開環共重合体と、スチレン−ブタジエン共重合体とを配合することで、コストおよび生産性に優れ、さらに、ゴム組成物の加工性が改善する。また、該ゴム組成物を架橋することで得られるゴム架橋物は、低発熱性に優れるため、そのゴム架橋物を用いてなるタイヤは燃費に優れる。
(1)ゴム組成物
本発明に係るゴム組成物は、シクロペンテン由来の構造単位、及び、シクロオクタジエン由来の構造単位を含有するシクロオレフィン開環共重合体と、スチレン−ブタジエン共重合体とを含み、前記シクロオレフィン開環共重合体における、全繰り返し単位中の、シクロペンテン由来の構造単位の含有量が50〜99モル%、シクロオクタジエン由来の構造単位の含有量が50〜1モル%であり、前記シクロオレフィン開環共重合体と前記スチレン−ブタジエン共重合体との重量比(シクロオレフィン開環共重合体/スチレン−ブタジエン共重合体)が、5/95〜95/5である。
本発明に係るゴム組成物は、特定の構造単位を所定量有するシクロオレフィン開環共重合体と、スチレン−ブタジエン共重合体とを特定の重量比で含有するため、加工性に優れる。また、該ゴム組成物を架橋することで得られるゴム架橋物は、低発熱性に優れる。
(シクロオレフィン開環共重合体)
シクロオレフィン開環共重合体は、シクロペンテン由来の構造単位、及び、シクロオクタジエン由来の構造単位を含有する。シクロペンテン由来の構造単位とは、シクロペンテンを重合して形成される構造単位のことをいう。また、シクロオクタジエン由来の構造単位とは、シクロオクタジエンを重合して形成される構造単位のことをいう。上記構造単位を含有するシクロオレフィン開環共重合体は直鎖状の重合体であり、ゴム特性および加工性に優れる。
ゴム組成物のゴム特性および加工性を向上させるという観点、並びに、低発熱性に優れたゴム架橋物となるゴム組成物を得るという観点から、シクロオレフィン開環共重合体における、全繰り返し単位中の、シクロペンテン由来の構造単位の含有量は、好ましくは60〜95モル%、より好ましくは70〜95モル%であり、シクロオクタジエン由来の構造単体の含有量は、好ましくは40〜5モル%、より好ましくは30〜5モル%である。
シクロオクタジエンとしては、1,3−シクロオクタジエンおよび1,5−シクロオクタジエンが挙げられ、コストおよび生産性の観点から、1,5−シクロオクタジエンが好ましい。
また、本発明におけるシクロオレフィン開環共重合体は、所期の目的を損なわない範囲において、所望により、シクロペンテン由来の構造単位、及び、シクロオクタジエン由来の構造単位の他に、メタセシス反応性のあるその他の環状オレフィン化合物由来の構造単位を含有していてもよい。このような環状オレフィン化合物(以下、「共重合可能なその他の環状オレフィン化合物」と記載することがある。)としては、2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどのノルボルネン化合物が挙げられる。メタセシス反応性のあるその他の環状オレフィン化合物由来の構造単位の含有量は、49モル%以下とすることが好ましく、より好ましくは35モル%以下、さらに好ましくは25モル%以下とする。
シクロオレフィン開環共重合体の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、好ましくは200,000〜1,000,000、より好ましくは200,000〜900,000である。シクロオレフィン開環共重合体の重量平均分子量を上記範囲とすることで、優れた機械物性を有するゴム架橋物(例えば、タイヤ)を与えることが可能となる。重量平均分子量が低すぎると、ゴム特性に劣ることがある。一方、重量平均分子量が高すぎると、製造および取扱いが困難となることがある。
シクロオレフィン開環共重合体の重量平均分子量は、上述の範囲内で使用目的に応じて適宜調整すればよい。本発明における重量平均分子量は、テトラヒドロフランを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の値である(以下、同様)。
シクロオレフィン開環共重合体の、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定される、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、特に限定されないが、通常4.0以下であり、好ましくは3.5以下であり、より好ましくは3.0以下であり、通常1.5以上である。このようなMw/Mnを有することにより、優れた機械物性を有するゴム架橋物を与えることが可能となる。
シクロオレフィン開環共重合体を構成する構造単位中に存在する二重結合において、そのシス/トランス比は、特に限定されないが、通常10/90〜90/10の範囲で設定され、低温でのゴム特性を良好なものとする観点から、好ましくは30/70〜90/10、より好ましくは40/60〜90/10の範囲である。
シクロオレフィン開環共重合体のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、低温でのゴム特性を良好なものとする観点から、好ましくは−98℃以下であり、より好ましくは−99℃以下、さらに好ましくは−100℃以下であり、好ましくはー120℃以上である。シクロオレフィン開環共重合体のガラス転移温度(Tg)は、繰返し単位中に存在する二重結合におけるシス/トランス比などによって、制御することができる。
シクロオレフィン開環共重合体は、融点(Tm)を有するものであってもよい。シクロオレフィン開環共重合体が融点を有するものである場合、その温度は、低温でのゴム特性を良好なものとする観点から、0℃以下であることが好ましく、−5℃以下であることがより好ましい。シクロオレフィン開環共重合体の融点の有無や、融点を有する場合のその温度は、繰返し単位中に存在する二重結合におけるシス/トランス比や共重合体の共重合比率などによって、制御することができる。
シクロオレフィン開環共重合体のムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、特に限定されないが、好ましくは20〜150であり、より好ましくは22〜120、さらに好ましくは25〜100である。シクロオレフィン開環共重合体のムーニー粘度が上記範囲に制御されると、ゴム組成物の加工性に特に優れる。
変性シクロオレフィン開環共重合体
本発明におけるシクロオレフィン開環共重合体は、重合体鎖末端に、窒素原子、酸素原子、リン原子、イオウ原子、およびケイ素原子からなる群から選ばれる少なくとも1種の原子を含有する官能基(以下、「末端官能基」と総称する。)を有するシクロオレフィン開環共重合体を含むことが好ましい。なお、以下において、末端官能基を有するシクロオレフィン開環共重合体を「変性シクロオレフィン開環共重合体」と記載することがある。シクロオレフィン開環共重合体の重合体鎖末端に末端官能基を導入することにより、本発明に係るゴム組成物に、シリカやカーボンブラック等の充填剤が配合された場合に、該充填剤との親和性がより向上し、充填剤の分散性に優れる。その結果、低発熱性に優れるゴム架橋物となるゴム組成物を得ることができる。このような観点から、上記末端官能基の中でも、窒素原子、酸素原子、およびケイ素原子からなる群から選ばれる原子を含有する官能基がより好ましい。
窒素原子を含有する官能基としては、アミノ基、ピリジル基、イミノ基、アミド基、ニトロ基、ウレタン結合基、またはこれらの基を含む炭化水素基が例示される。
酸素原子を含有する官能基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エーテル基、エステル基、カルボニル基、アルデヒド基、エポキシ基、またはこれらの基を含む炭化水素基が例示される。
リン原子を含有する官能基としては、リン酸基、ホスフィノ基、またはこれらの基を含む炭化水素基が例示される。
イオウ原子を含有する官能基としては、スルホニル基、チオール基、チオエーテル基、またはこれらの基を含む炭化水素基が例示される。
ケイ素原子を含有する官能基としては、アルキルシリル基、オキシシリル基、またはこれらの基を含む炭化水素基が例示される。
また、末端官能基としては、上記した基を複数含有する官能基であってもよい。これらのなかでも、ゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物の低発熱性をより向上させることができるという観点から特に好適な官能基の具体例としては、アミノ基、ピリジル基、イミノ基、アミド基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルデヒド基、エポキシ基、オキシシリル基、またはこれらの基を含む炭化水素基が挙げられ、オキシシリル基が特に好ましい。
オキシシリル基はケイ素−酸素結合を有する基である。シクロオレフィン開環共重合体の重合体鎖末端にオキシシリル基を導入することにより、該共重合体を用いて得られるゴム組成物に配合されるシリカやカーボンブラック等の充填剤との親和性が向上し、充填剤の分散性に優れる。その結果、低発熱性に優れたゴム架橋物となるゴム組成物を得ることができる。
オキシシリル基のなかでも、たとえば、タイヤ用のゴム材料とする際に用いられる充填剤としてのシリカやカーボンブラックとの親和性が高く、低発熱性の向上効果が高いという点より、アルコキシシリル基、アリーロキシシリル基、アシロキシシリル基、アルキルシロキシシリル基、アリールシロキシシリル基が好ましく、アルコキシシリル基がより好ましい。また、アルコキシシリル基、アリーロキシシリル基、またはアシロキシシリル基を加水分解してなるヒドロキシシリル基も好ましい。
アルコキシシリル基は、1つ以上のアルコキシ基がケイ素原子と結合してなる基であり、その具体例としては、トリメトキシシリル基、(ジメトキシ)(メチル)シリル基、(メトキシ)(ジメチル)シリル基、(メトキシ)(ジクロロ)シリル基、トリエトキシシリル基、(ジエトキシ)(メチル)シリル基、(エトキシ)(ジメチル)シリル基、(ジメトキシ)(エトキシ)シリル基、(メトキシ)(ジエトキシ)シリル基、トリプロポキシシリル基などが挙げられる。
アリーロキシシリル基は、1つ以上のアリーロキシ基がケイ素原子と結合してなる基であり、その具体例としては、トリフェノキシシリル基、(ジフェノキシ)(メチル)シリル基、(フェノキシ)(ジメチル)シリル基、(フェノキシ)(ジクロロ)シリル基、(ジフェノキシ)(エトキシ)シリル基、(フェノキシ)(ジエトキシ)シリル基などが挙げられる。なお、これらのうち、(ジフェノキシ)(エトキシ)シリル基、(フェノキシ)(ジエトキシ)シリル基は、アリーロキシ基に加え、アルコキシ基をも有するため、アルコキシシリル基にも分類されることとなる。
アシロキシシリル基は、1つ以上のアシロキシ基がケイ素原子と結合してなる基であり、その具体例としては、トリアシロキシシリル基、(ジアシロキシ)(メチル)シリル基、(アシロキシ)(ジメチル)シリル基、(アシロキシ)(ジクロロ)シリル基などが挙げられる。
アルキルシロキシシリル基は、1つ以上のアルキルシロキシ基がケイ素原子と結合してなる基であり、その具体例としては、トリス(トリメチルシロキシ)シリル基、トリメチルシロキシ(ジメチル)シリル基、トリエチルシロキシ(ジエチル)シリル基、トリス(ジメチルシロキシ)シリル基などが挙げられる。
アリールシロキシシリル基は、1つ以上のアリールシロキシ基がケイ素原子と結合してなる基であり、その具体例としては、トリス(トリフェニルシロキシ)シリル基、トリフェニルシロキシ(ジメチル)シリル基、トリス(ジフェニルシロキシ)シリル基などが挙げられる。
ヒドロキシシリル基は、1つ以上のヒドロキシ基がケイ素原子と結合してなる基であり、具体例としては、トリヒドロキシシリル基、(ジヒドロキシ)(メチル)シリル基、(ヒドロキシ)(ジメチル)シリル基、(ヒドロキシ)(ジクロロ)シリル基、(ジヒドロキシ)(エトキシ)シリル基、(ヒドロキシ)(ジエトキシ)シリル基などが挙げられる。なお、これらのうち、(ジヒドロキシ)(エトキシ)シリル基、(ヒドロキシ)(ジエトキシ)シリル基は、ヒドロキシ基に加え、アルコキシ基をも有するため、アルコキシシリル基にも分類されることとなる。
また、オキシシリル基としては、上記以外にも、下記一般式(1)で示される直鎖状のポリシロキサン基や、下記一般式(2)で示される環状のポリシロキサン基も好適である。
Figure 2016158676
(上記一般式(1)中、R9〜R13は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシロキシ基、アルキルシロキシ基、アリールシロキシ基から選択される基である。また、pは、1〜10の整数である。)
Figure 2016158676
(上記一般式(2)中、R14〜R18は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシロキシ基、アルキルシロキシ基、アリールシロキシ基から選択される基である。また、qは、1〜10の整数である。)
なお、上記一般式(1)、(2)中において、シクロオレフィン開環共重合体を得る際における重合活性がより高くなるという点より、R9〜R13、R14〜R18は、水素原子、またはメチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基などの炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。
末端官能基は、一方の重合体鎖末端(片末端)のみに導入されても、両方の重合体鎖末端(両末端)に導入されてもよく、また、これらが混在したものであってもよい。
変性シクロオレフィン開環共重合体の重量平均分子量(Mw)、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)、シス/トランス比、ガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)およびムーニー粘度(ML1+4,100℃)は特に限定されないが、好ましい範囲としては、上記のシクロオレフィン開環共重合体と同様である。
シクロオレフィン開環共重合体において、重合体鎖末端に対する末端官能基の導入率は、特に限定されないが、シクロオレフィン開環共重合体と充填剤との親和性を良好にする観点からは、(末端官能基が導入された変性シクロオレフィン開環共重合体鎖末端数/シクロオレフィン開環共重合体鎖末端全数)の百分率の値として、10%以上であることが好ましく、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上、特に好ましくは40%以上である。なお、シクロオレフィン開環共重合体において、重合体鎖末端に対する末端官能基の導入率は、1H−NMRスペクトルにより測定することができる。具体的には、シクロオレフィン開環共重合体主鎖中に存在する炭素−炭素二重結合のプロトンに由来するピークの積分値、および末端官能基に由来するピークの積分値、ならびに数平均分子量(Mn)を比較することにより求めることができる。
変性シクロオレフィン開環共重合体の合成方法は、目的とする変性シクロオレフィン開環共重合体が得られる限りにおいて、特に限定されず、常法に従って合成すればよい。低発熱性に優れた特性を示すゴム架橋物を与えることができるゴム組成物を得る観点から、好適に用いることができる変性シクロオレフィン開環共重合体の合成方法の例を以下に述べる。なお、末端官能基を有しないシクロオレフィン開環共重合体の合成方法は、末端官能基含有化合物(C)を用いないか、または末端官能基含有化合物(C)の代わりに、分子量調整剤として、後述するオレフィン化合物やジオレフィン化合物を用いることを除き、変性シクロオレフィン開環共重合体の合成方法と同様である。
変性シクロオレフィン開環共重合体は、周期表第6族遷移金属化合物(A)、下記一般式(3)で示される有機アルミニウム化合物(B)とを含む重合触媒、及び、末端官能基を有し、かつメタセシス反応性を有するオレフィン性炭素−炭素二重結合を1つ有する化合物(C)(以下、単に「末端官能基含有化合物(C)」と記載することがある。)の存在下で、シクロペンテンとシクロオクタジエンとを開環共重合することにより、製造される。
(R13-abAl(OR2ab (3)
(上記一般式(3)中、R1は、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、R2は、ハロゲン原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Xはハロゲン原子を表す。aは1または2、bは0または1、かつa+b<3を満たす。)
なお、末端官能基含有化合物(C)を用いなければ、末端官能基を有しないシクロオレフィン開環共重合体を得ることができる。
周期表第6族遷移金属化合物(A)
周期表第6族遷移金属化合物(A)は、周期表(長周期型周期表、以下同じ)第6族遷移金属原子を有する化合物、具体的には、クロム原子、モリブデン原子、またはタングステン原子を有する化合物であり、重合活性が高いという観点から、モリブデン原子を有する化合物、またはタングステン原子を有する化合物が好ましい。周期表第6族遷移金属化合物(A)は、後述する有機アルミニウム化合物(B)とともに重合触媒として作用する。周期表第6族遷移金属化合物(A)としては、周期表第6族遷移金属原子を有する化合物であればよく、特に限定されないが、周期表第6族遷移金属原子のハロゲン化物、アルコラート、アリレート、オキシ化物、イミド化物などが挙げられ、これらのなかでも、重合活性が高いという観点より、ハロゲン化物、オキシ化物、イミド化物が好ましい。
このような周期表第6族遷移金属化合物(A)の具体例としては、モリブデンペンタクロリド、モリブデンオキソテトラクロリド、モリブデン(フェニルイミド)テトラクロリド、トリドデシルアンモニウムモリブデート、メチルトリオクチルアンモニウムモリブデート、トリデシルアンモニウムモリブデート、トリオクチルアンモニウムモリブデート、テトラフェニルアンモニウムモリブデートなどのモリブデン化合物;タングステンヘキサクロリド、タングステンオキソテトラクロリド、タングステン(フェニルイミド)テトラクロリド、モノカテコラートタングステンテトラクロリド、ビス(3,5−ジターシャリブチル)カテコラートタングステンジクロリド、ビス(2−クロロエテレート)テトラクロリド、タングステンオキソテトラフェノレートなどのタングステン化合物;などが挙げられる。
周期表第6族遷移金属化合物(A)の使用量は、「重合触媒中の第6族遷移金属原子:(シクロペンテン+シクロオクタジエン)」のモル比で、通常1:100〜1:200,000、好ましくは1:200〜1:150,000、より好ましくは1:500〜1:100,000の範囲である。周期表第6族遷移金属化合物(A)の使用量が少なすぎると、重合反応が十分に進行しない場合がある。一方、多すぎると、得られる変性シクロオレフィン開環共重合体からの触媒残渣の除去が困難となる場合がある。
有機アルミニウム化合物(B)
有機アルミニウム化合物(B)は、下記一般式(3)で表される化合物である。有機アルミニウム化合物(B)は、上述した周期表第6族遷移金属化合物(A)とともに重合触媒として作用する。
(R13-abAl(OR2ab (3)
上記一般式(3)において、R1は、炭素数1〜20の炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜10の炭化水素基である。R1の具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、イソブチル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などのアルキル基;フェニル基、4−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、ナフチル基などのアリール基;などが挙げられる。
上記一般式(3)において、R2は、ハロゲン原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、触媒活性の観点から、ハロゲン原子を含有していてもよい炭素数1〜10の炭化水素基が好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、炭素数1〜20の炭化水素基としては、前記R1で例示したのと同様のものが挙げられる。
ハロゲン原子を含有する炭素数1〜10のアルキル基としては、1,3−ジクロロ−2−プロピル基、1,3−ジブロモ−2−プロピル基、1−クロロ−2−ブチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2,2,2−トリブロモエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2−トリクロロメチル−2−プロピル基、トリブロモメチル−1−エチル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル基等が挙げられる。
また、Xはハロゲン原子であり、前記R2で例示したものと同様のものが挙げられる。
上記一般式(3)において、aは1または2であり、好ましくは1である。bは0または1、かつa+b<3を満たすものである。なお、a、bの値が異なる化合物の混合物である場合に、その混合物を化学式で示そうとすれば、a及びbは整数ではなく、小数となる場合がある。
有機アルミニウム化合物(B)の具体的な例として以下の化合物が挙げられる。
a=1又は2、b=0の例としては、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムイソプロポキシド、ジイソブチルアルミニウムブトキシド、ジイソブチルアルミニウムモノ(n−ヘキソキシド)、ジエチルアルミニウム(2−トリクロロエトキシド)、ジエチルアルミニウム(2−トリブロモエトキシド)、ジエチルアルミニウム(1,3−ジクロロ−2−プロポキシド)、ジエチルアルミニウム(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロポキシド)、ジエチルアルミニウム(1,1,1−トリクロロ−2−メチル−2−プロポキシド)、ジエチルアルミニウム(2,6−ジイソプロピルフェノキシド)、エチルアルミニウムジ(2−トリクロロエトキシド)、エチルアルミニウムジ(2−トリブロモエトキシド)、エチルアルミニウムジ(1,3−ジクロロ−2−プロポキシド)、エチルアルミニウムジ(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロポキシド)、エチルアルミニウムジ(1,1,1−トリクロロ−2−メチル−2−プロポキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6−ジイソプロピルフェノキシド)などが挙げられる。
a=1、b=1の例としては、エチル(クロロ)アルミニウムエトキシド、エチル(クロロ)アルミニウムイソプロポキシド、エチル(クロロ)アルミニウムブトキシド、エチル(クロロ)アルミニウム(2−トリクロロエトキシド)、エチル(クロロ)アルミニウム(2−トリブロモエトキシド)、エチル(ブロモ)アルミニウム(1,3−ジクロロ−2−プロポキシド)、エチル(クロロ)アルミニウム(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロポキシド)、エチル(クロロ)アルミニウム(1,1,1−トリクロロ−2−メチル−2−プロポキシド)、エチル(クロロ)アルミニウム(2,6−ジイソプロピルフェノキシド)などが挙げられる。
このような上記一般式(3)で表される有機アルミニウム化合物(B)は、たとえば、下記一般式(4)に示すように、トリアルキルアルミニウムまたはアルキルアルミニウムハライドと、アルコールとの反応によって合成することができる。
(R13bAlXb + aR2OH
→ (R13-abAl(OR2ab + aR1H (4)
なお、上記一般式(3)中、aとbは、上記一般式(4)に示すように、対応するトリアルキルアルミニウムまたはアルキルアルミニウムハライドとアルコールの反応比を規定することによって、任意に制御することが可能である。
有機アルミニウム化合物(B)の使用量は、用いる有機アルミニウム化合物(B)の種類によっても異なるが、周期表第6族遷移金属化合物(A)を構成する周期表第6族遷移金属原子に対して、好ましくは0.1〜100倍モル、より好ましくは0.2〜50倍モル、さらに好ましくは0.5〜20倍モルの割合である。有機アルミニウム化合物(B)の使用量が少なすぎると、重合活性が不十分となる場合があり、多すぎると、開環重合時において、副反応が起こりやすくなる傾向にある。
末端官能基含有化合物(C)
開環重合反応の重合反応系に、末端官能基を有し、かつ、メタセシス反応性を有するオレフィン性炭素−炭素二重結合を1つ有する化合物(末端官能基含有化合物(C))を存在させると、シクロオレフィン開環共重合体の重合体鎖末端に末端官能基を導入することができる。
例えば、シクロオレフィン開環共重合体の重合体鎖末端にオキシシリル基を導入することを望む場合には、オキシシリル基含有オレフィン性不飽和炭化水素を重合反応系に存在させればよい。
オキシシリル基含有オレフィン性不飽和炭化水素は、オキシシリル基を有し、かつ、メタセシス反応性を有するオレフィン性炭素−炭素二重結合を1つ有する化合物である。オキシシリル基含有オレフィン性不飽和炭化水素を用いることにより、シクロオレフィン開環共重合体の重合体鎖末端にオキシシリル基を導入することができる。
このようなオキシシリル基含有オレフィン性不飽和炭化水素としては、たとえば、下記一般式(5)〜(8)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2016158676

(上記一般式(5)中、R19〜R21は、水素原子、または炭素数1〜10の炭化水素基であり、R22〜R26は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシロキシ基、アルキルシロキシ基、アリールシロキシ基から選択される基である。また、L1は、単結合またはオキシシリル基とオレフィン性炭素−炭素二重結合を形成している炭素原子とを結ぶ基であり、rは、0〜10の整数である。但し、r=0のとき、R24〜R26のうち、少なくとも1つは、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシロキシ基、アルキルシロキシ基、およびアリールシロキシ基から選択される基である。)
Figure 2016158676
(上記一般式(6)中、R27〜R29は、水素原子、または炭素数1〜10の炭化水素基であり、R30〜R34は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシロキシ基、アルキルシロキシ基、アリールシロキシ基から選択される基である。また、L2は、単結合またはオキシシリル基とオレフィン性炭素−炭素二重結合を形成している炭素原子とを結ぶ基であり、sは、1〜10の整数である。)
Figure 2016158676
(上記一般式(7)中、R40、R41は、水素原子、または炭素数1〜10の炭化水素基であり、R35〜R39、R42〜R46は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシロキシ基、アルキルシロキシ基、アリールシロキシ基から選択される基である。また、L3、L4は、単結合またはオキシシリル基とオレフィン性炭素−炭素二重結合を形成している炭素原子とを結ぶ基であり、t、uは、0〜10の整数である。但し、t=0のとき、R35〜R37のうち、少なくとも1つは、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシロキシ基、アルキルシロキシ基、およびアリールシロキシ基から選択される基であり、u=0のとき、R44〜R46のうち、少なくとも1つは、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシロキシ基、アルキルシロキシ基、およびアリールシロキシ基から選択される基である。)
Figure 2016158676
(上記一般式(8)中、R52、R53は、水素原子、または炭素数1〜10の炭化水素基であり、R47〜R51、R54〜R58は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシロキシ基、アルキルシロキシ基、アリールシロキシ基から選択される基である。また、L5、L6は、単結合またはオキシシリル基とオレフィン性炭素−炭素二重結合を形成している炭素原子とを結ぶ基であり、v、wは、1〜10の整数である。)
一般式(5)〜(8)において、R19〜R21、R27〜R29、R40、R41、R52、R53は水素原子であることが好ましく、これらを水素原子とすることにより、オキシシリル基含有オレフィン性不飽和炭化水素をメタセシス反応性により優れたものとすることができる。
また、一般式(5)〜(8)において、L1〜L6は、オキシシリル基とオレフィン性炭素−炭素二重結合を形成している炭素原子とを結合可能な基であればよく特に限定されないが、オキシシリル基含有オレフィン性不飽和炭化水素をメタセシス反応性により優れたものとすることができるという点より、炭化水素基、エーテル基、または三級アミノ基が好ましく、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基がより好ましい。また、オキシシリル基とオレフィン性炭素−炭素二重結合を形成している炭素原子とは、これらの基を介さずに、直接結合するような構成であってもよい。
なお、上記一般式(5)〜(8)で示される化合物のうち、一般式(5)、(6)で示される化合物を用いた場合には、これらがメタセシス反応することにより、シクロオレフィン開環共重合体の少なくとも片末端にオキシシリル基を導入することができ、また、一般式(7)、(8)で示される化合物を用いた場合には、これらがメタセシス反応することにより、シクロオレフィン開環共重合体の両末端にオキシシリル基を導入することができる。
一般式(5)、(6)で示される化合物の好ましい具体例としては、ビニル(トリメトキシ)シラン、ビニル(トリエトキシ)シラン、アリル(トリメトキシ)シラン、アリル(メトキシ)(ジメチル)シラン、アリル(トリエトキシ)シラン、アリル(エトキシ)(ジメチル)シラン、スチリル(トリメトキシ)シラン、スチリル(トリエトキシ)シラン、スチリルエチル(トリエトキシ)シラン、アリル(トリエトキシシリルメチル)エーテル、アリル(トリエトキシシリルメチル)(エチル)アミンなどのアルコキシシラン化合物;ビニル(トリフェノキシ)シラン、アリル(トリフェノキシ)シラン、アリル(フェノキシ)(ジメチル)シランなどのアリーロキシシラン化合物;ビニル(トリアセトキシ)シラン、アリル(トリアセトキシ)シラン、アリル(ジアセトキシ)メチルシラン、アリル(アセトキシ)(ジメチル)シランなどのアシロキシシラン化合物;アリルトリス(トリメチルシロキシ)シランなどのアルキルシロキシシラン化合物;アリルトリス(トリフェニルシロキシ)シランなどのアリールシロキシシラン化合物;1−アリルヘプタメチルトリシロキサン、1−アリルノナメチルテトラシロキサン、1−アリルノナメチルシクロペンタシロキサン、1−アリルウンデカメチルシクロヘキサシロキサンなどのポリシロキサン化合物;などが挙げられる。
一般式(7)、(8)で示される化合物の好ましい具体例としては、1,4−ビス(トリメトキシシリル)−2−ブテン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)−2−ブテン、1,4−ビス(トリメトキシシリルメトキシ)−2−ブテンなどのアルコキシシラン化合物;1,4−ビス(トリフェノキシシリル)−2−ブテンなどのアリーロキシシラン化合物;1,4−ビス(トリアセトキシシリル)−2−ブテンなどのアシロキシシラン化合物;1,4−ビス[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]−2−ブテンなどのアルキルシロキシシラン化合物;1,4−ビス[トリス(トリフェニルシロキシ)シリル]−2−ブテンなどのアリールシロキシシラン化合物;1,4−ビス(ヘプタメチルトリシロキシ)−2−ブテン、1,4−ビス(ウンデカメチルシクロヘキサシロキシ)−2−ブテンなどのポリシロキサン化合物;などが挙げられる。
オキシシリル基含有オレフィン性不飽和炭化水素などの末端官能基含有化合物(C)の使用量は、製造する変性シクロオレフィン開環共重合体の分子量に応じて適宜選択すればよい。末端官能基含有化合物(C)の使用量は、シクロペンテンとシクロオクタジエンの合計量に対して、モル比で、通常1/100〜1/100,000、好ましくは1/200〜1/50,000、より好ましくは1/500〜1/10,000の範囲である。なお、末端官能基含有化合物(C)は、シクロオレフィン開環共重合体の重合体鎖末端への官能基の導入作用に加え、分子量調整剤としても作用する。末端官能基含有化合物(C)の使用量が少なすぎると、変性シクロオレフィン開環共重合体の生成率が低くなることがあり、多すぎると得られる変性シクロオレフィン開環共重合体の分子量が低くなってしまうことがある。
また、末端官能基を有しないシクロオレフィン開環共重合体の分子量を調整するために、分子量調整剤として、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのオレフィン化合物や1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエンなどのジオレフィン化合物を用い、これを重合反応系に添加してもよい。分子量調整剤の使用量は、末端官能基含有化合物(C)の使用量と同様の範囲から適宜選択できる。
また、本発明においては、重合触媒として、酸素原子含有炭化水素化合物をさらに使用してもよい。酸素原子含有炭化水素化合物をさらに使用することにより、重合活性を向上させることができるとともに、得られるシクロオレフィン開環共重合体の重量平均分子量を向上させることができる。酸素原子含有炭化水素化合物としては、酸素原子を有する炭化水素化合物であればよく、特に限定されないが、ハロゲン原子を置換基として有してもよい炭素数2〜30のエステル化合物、ケトン化合物またはエーテル化合物が好ましく、室温以上における重合活性の向上効果、および高分子量化の効果が高いという点より、炭素数4〜10のエステル化合物、ケトン化合物またはエーテル化合物が好ましい。なお、このようなエステル化合物、ケトン化合物またはエーテル化合物としては、環状のエステル化合物、ケトン化合物やエーテル化合物であってもよいし、さらには、1分子中に複数個のエステル結合、ケトン結合やエーテル結合を含有する化合物であってもよい。
エステル化合物の具体例としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸オクチル、酢酸2−クロロエチル、アセチルアクリル酸メチル、ε−カプロラクトン、グルタル酸ジメチル、σ−ヘキサノラクトン、ジアセトキシエタンなどが挙げられる。
ケトン化合物の具体例としては、アセトン、エチルメチルケトン、アセチルアセトン、アセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、1’−アセトナフトン、2−アセチル安息香酸メチル、4’−クロロアセトフェノン、クロロアセトン、1,3−ジクロロ−2−プロパノンなどが挙げられる。
エーテル化合物の具体例としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、エチレングリコールジエチルエーテル、1,4−ジオキサンなどが挙げられる。
酸素原子含有炭化水素化合物を使用する場合における、その使用量は、用いる酸素原子含有炭化水素化合物の種類によっても異なるが、周期表第6族遷移金属化合物(A)を構成する周期表第6族遷移金属原子に対して、好ましくは0.1〜10倍モル、より好ましくは0.2〜8倍モル、さらに好ましくは0.5〜5倍モルの割合である。酸素原子含有炭化水素化合物の使用量が少なすぎると、酸素原子含有炭化水素化合物の添加効果が得難くなる傾向にあり、多すぎると、重合活性が不十分となるおそれがある。
開環共重合
変性シクロオレフィン開環共重合体の製造方法においては、上述した周期表第6族遷移金属化合物(A)および有機アルミニウム化合物(B)、ならびに必要に応じて添加される酸素原子含有炭化水素化合物を含む重合触媒を用い、末端官能基含有化合物(C)の存在下、これらと、シクロペンテンおよびシクロオクタジエンとを接触させることにより、シクロペンテン/シクロオクタジエンの開環共重合を行う。
これらを接触させ、開環重合を開始させる方法としては特に限定されない。
たとえば、シクロペンテン、シクロオクタジエン、末端官能基含有化合物(C)、有機アルミニウム化合物(B)および必要に応じて用いられる酸素原子含有炭化水素化合物の存在下に、周期表第6族遷移金属化合物(A)を添加することにより、シクロペンテン/シクロオクタジエンの開環共重合を開始させる方法が挙げられる。あるいは、周期表第6族遷移金属化合物(A)、有機アルミニウム化合物(B)および必要に応じて酸素原子含有炭化水素化合物を予め混合しておき、これにシクロペンテン、シクロオクタジエンおよび末端官能基含有化合物(C)を添加することにより、シクロペンテン/シクロオクタジエンの開環重合を行なってもよい。
また、末端官能基含有化合物(C)は、シクロペンテンおよびシクロオクタジエンと予め混合しておいてもよいし、あるいは、開環共重合を行なう際に、シクロペンテン/シクロオクタジエンと混合してもよい。また、シクロペンテン/シクロオクタジエンの開環共重合を行なった後に、得られた開環共重合体に、末端官能基含有化合物(C)を添加して、得られた開環共重合体とメタセシス反応させてもよい。
変性シクロオレフィン開環共重合体の製造方法において、開環共重合反応は、無溶媒で行ってもよいし、溶媒中で行なってもよい。開環共重合反応を溶媒中で行う際に用いる溶媒としては、重合反応において不活性であり、開環共重合に用いるシクロペンテン、シクロオクタジエン、共重合可能なその他の環状オレフィン化合物、周期表第6族遷移金属化合物(A)、有機アルミニウム化合物(B)、および末端官能基含有化合物(C)を溶解可能な溶媒であればよい。このような溶媒は、特に限定されないが、例えば、炭化水素系溶媒が好ましく用いられる。炭化水素系溶媒の具体例としては、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素;などが挙げられる。
重合温度は、特に限定されないが、好ましくは−100℃以上であり、より好ましくは−50℃以上、さらに好ましくは−20℃以上、特に好ましくは0℃以上である。また、重合温度の上限は特に限定されないが、好ましくは100℃未満であり、より好ましくは90℃未満、さらに好ましくは80℃未満、特に好ましくは70℃未満である。重合温度が高すぎると、得られる変性シクロオレフィン開環共重合体の分子量が低くなりすぎるおそれがあり、重合温度が低すぎると、重合速度が遅くなり、結果として、生産性に劣る場合がある。
また、重合反応時間は、特に限定されないが、好ましくは1分間〜72時間、より好ましくは10分間〜20時間である。
変性シクロオレフィン開環共重合体の製造方法においては、周期表第6族遷移金属化合物(A)、有機アルミニウム化合物(B)および末端官能基含有化合物(C)、並びに、シクロペンテン及びシクロオクタジエンを接触させて開環重合を開始し、重合転化率が所定の値に達した後、公知の重合停止剤を重合系に加えて停止させることにより、変性シクロオレフィン開環共重合体を製造することができる。
また、本発明においては、所望により、得られた開環共重合体に、フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤などの老化防止剤を添加してもよい。老化防止剤の添加量は、その種類などに応じて適宜決定すればよい。さらに、本発明においては、所望により、伸展油を配合してもよい。
さらに、重合反応を行う際に、溶媒を用い、重合反応を溶媒中で行なった場合において、重合体溶液から共重合体を取得する方法としては、公知の方法を採用すればよく、特に限定されないが、例えば、スチームストリッピングなどで溶媒を分離した後、固体をろ別し、さらにそれを乾燥して固形状ゴムを取得する方法などが採用できる。
ゴム組成物のゴム特性および加工性を向上させるという観点、並びに、低発熱性に優れたゴム架橋物となるゴム組成物を得るという観点から、シクロオレフィン開環共重合体は、変性シクロオレフィン開環共重合体を10〜100重量%含むことが好ましく、20〜100重量%含むことがより好ましい。
(スチレン−ブタジエン共重合体)
スチレンーブタジエン共重合体は、スチレン由来の構造単位、及び、ブタジエン由来の構造単位を含有する。スチレン由来の構造単位とは、スチレンを重合して形成される構造単位のことをいう。また、ブタジエン由来の構造単位とは、ブタジエンを重合して形成される構造単位のことをいう。
得られるゴム架橋物の低発熱性を向上させ、ウェットグリップ性を確保するという観点から、スチレンーブタジエン共重合体における、スチレン由来の構造単位の含有量は、全単量体単位中、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜45重量%であり、ブタジエン由来の構造単位の含有量は、好ましくは50〜95重量%、より好ましくは55〜90重量%である。
ブタジエンとしては、1,2−ブタジエンおよび1,3−ブタジエンが挙げられ、1,3−ブタジエンが好ましい。
また、本発明におけるスチレン−ブタジエン共重合体は、スチレン由来の構造単位、及び、ブタジエン由来の構造単位の他に、共重合可能な他の単量体由来の構造単位を含有していてもよい。このような共重合可能な他の単量体としては、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、および2,4−ヘキサジエンなどのブタジエンを除く共役ジエン;1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデンー2−ノルボルネンなどの非共役ジエン;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリルなどのα,β−不飽和ニトリル化合物;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸類;クロロスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルナフタレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレンを除く芳香族ビニル単量体;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン原子含有単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、ブチルビニルケトン、ヘキシルビニルケトン、イソプロペニルビニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の複素環含有ビニル化合物;(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル化合物;β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル基含有化合物;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのアミド系単量体などが挙げられる。なお、上記の共重合可能な他の単量体は、それぞれ、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。また、本明細書では、(メタ)アクリルはアクリルおよびメタクリルの両者を包含する。本発明におけるスチレン−ブタジエン共重合体において、共重合可能な他の単量体由来の構造単位の含有量は、好ましくは45重量%以下、より好ましくは35重量%以下である。
スチレンーブタジエン共重合体の重量平均分子量(Mw)、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)およびムーニー粘度(ML1+4,100℃)は特に限定されないが、好ましい範囲としては、後述する変性スチレン−ブタジエン共重合体と同様である。
スチレンーブタジエン共重合体の製造方法としては、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法、乳化重合法などを用いることができる。重合反応としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、配位アニオン重合、配位カチオン重合、リビング重合等のいずれを用いてもよい。リビング重合としては、リビングアニオン重合、リビングカチオン重合、リビングラジカル重合等が挙げられる。これらの中でも、以下に説明する変性スチレンーブタジエン共重合体を得る観点から、溶液重合法によりスチレン−ブタジエン共重合体を得ることが好ましい。溶液重合法により得られたスチレン−ブタジエン共重合体はその重合体鎖末端に変性基を導入させることができるため、ゴム組成物中にシリカやカーボンブラック等の充填剤が配合された場合に、変性基と充填剤との親和性により優れる。その結果、ゴム組成物中における充填剤の分散性が向上する。一方、乳化重合法によりスチレン−ブタジエン重合体を製造すると、その重合体鎖末端に変性基を導入することができない。
変性スチレン−ブタジエン共重合体
本発明におけるスチレンーブタジエン共重合体は、重合体鎖末端に変性基を有するスチレンーブタジエン共重合体(以下において、「変性スチレン−ブタジエン共重合体」と記載することがある。)を含むことが好ましい。変性スチレン−ブタジエン共重合体は、活性末端を有するスチレンーブタジエン共重合体鎖と、当該活性末端と反応可能な反応基を有する変性剤とを反応させることにより得られる。スチレン−ブタジエン共重合体の重合体鎖末端に変性基を導入することにより、本発明に係るゴム組成物に、シリカやカーボンブラック等の充填剤が配合された場合に、該充填剤との親和性がより向上し、充填剤の分散性に優れる。その結果、低発熱性およびウェットグリップ性に優れたゴム架橋物となるゴム組成物を得ることができる。
変性スチレン−ブタジエン共重合体の合成方法は、目的とする変性スチレン−ブタジエン共重合体が得られる限りにおいて、特に限定されず、常法に従って合成すればよい。低発熱性およびウェットグリップ性に優れたゴム架橋物を与えることができるゴム組成物を得る観点から、好適に用いることができる変性スチレン−ブタジエン共重合体の合成方法の例を以下に述べる。なお、末端変性基を有しないスチレン−ブタジエン共重合体の合成方法は、変性剤を用いないことを除き、変性スチレン−ブタジエン共重合体の合成方法と同様である。
変性スチレン−ブタジエン共重合体の合成方法において、変性剤と反応する活性末端を有するスチレンーブタジエン共重合体鎖は、不活性溶媒中、スチレン、ブタジエンおよび必要に応じて共重合可能な他の単量体を、重合開始剤により重合することにより得られる。
重合に用いられる不活性溶媒としては、溶液重合において通常使用されるものであって、重合反応を阻害しないものであれば、特に限定されない。その具体例としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、2−ブテンなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロへキサン、シクロヘキセンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;などが挙げられる。不活性溶媒の使用量は、単量体濃度が、通常、1〜50重量%であり、好ましくは10〜40重量%である。
重合に用いられる重合開始剤としては、上記の各単量体を重合させて、活性末端を有するスチレンーブタジエン共重合体鎖を与えることができるものであれば、特に限定されない。その具体例としては、有機アルカリ金属化合物、有機アルカリ土類金属化合物、およびランタン系列金属化合物などを主触媒とする重合開始剤が好ましく使用される。有機アルカリ金属化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウムなどの有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン、1,3,5−トリス(リチオメチル)ベンゼンなどの有機多価リチウム化合物;ナトリウムナフタレンなどの有機ナトリウム化合物;カリウムナフタレンなどの有機カリウム化合物;などが挙げられる。また、有機アルカリ土類金属化合物としては、例えば、ジ−n−ブチルマグネシウム、ジ−n−ヘキシルマグネシウム、ジエトキシカルシウム、ジステアリン酸カルシウム、ジ−t−ブトキシストロンチウム、ジエトキシバリウム、ジイソプロポキシバリウム、ジエチルメルカプトバリウム、ジ−t−ブトキシバリウム、ジフェノキシバリウム、ジエチルアミノバリウム、ジステアリン酸バリウム、ジケチルバリウムなどが挙げられる。ランタン系列金属化合物を主触媒とする重合開始剤としては、例えば、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウムなどのランタン系列金属と、カルボン酸、およびリン含有有機酸などとからなるランタン系列金属の塩を主触媒とし、これと、アルキルアルミニウム化合物、有機アルミニウムハイドライド化合物、有機アルミニウムハライド化合物などの助触媒とからなる重合開始剤などが挙げられる。これらの重合開始剤の中でも、有機モノリチウム化合物、および有機多価リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましく、n−ブチルリチウムが特に好ましい。なお、有機アルカリ金属化合物は、予め、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン、ピロリジン、ヘキサメチレンイミン、およびヘプタメチレンイミンなどの第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミド化合物として使用してもよい。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合開始剤の使用量は、目的とする分子量に応じて決定すればよいが、単量体1000g当り、通常、1〜50mmol、好ましくは2〜20mmol、より好ましくは4〜15mmolの範囲である。
重合温度は、通常、−80〜+150℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは30〜90℃の範囲である。重合様式としては、回分式、連続式などのいずれの様式をも採用できるが、スチレン由来の構造単位とブタジエン由来の構造単位との結合のランダム性を制御しやすい点で、回分式が好ましい。
活性末端を有するスチレンーブタジエン共重合体鎖を構成する各構造単位の結合様式は、例えば、ブロック状、テーパー状、ランダム状など種々の結合様式とすることができるが、ランダム状の結合様式であることが好ましい。ランダム状にすることにより、得られるゴム架橋物は低発熱性に優れたものとなる。
活性末端を有するスチレンーブタジエン共重合体鎖におけるブタジエン由来の構造単位中のビニル結合含有量を調節するために、重合に際し、不活性溶媒に極性化合物を添加することが好ましい。極性化合物としては、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミンなどの第三級アミン;アルカリ金属アルコキシド;ホスフィン化合物;などが挙げられる。これらの中でも、エーテル化合物、および第三級アミンが好ましく、第三級アミンがより好ましく、テトラメチルエチレンジアミンが特に好ましい。これらの極性化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。極性化合物の使用量は、目的とするビニル結合含有量に応じて決定すればよく、重合開始剤1molに対して、通常、0.001〜10mol、好ましくは0.005〜8mol、より好ましくは0.01〜5molの範囲である。極性化合物の使用量が上記範囲にあると、ブタジエン由来の構造単位中のビニル結合含有量の調節が容易であり、かつ重合開始剤の失活による不具合も発生し難い。
活性末端を有するスチレンーブタジエン共重合体鎖におけるブタジエン由来の構造単位中のビニル結合の含有量は、好ましくは0〜80重量%であり、より好ましくは5〜70重量%であり、特に好ましくは10〜65重量%である。ビニル結合の含有量が上記範囲にあると、得られるゴム架橋物は低発熱性に優れたものとなる。
活性末端を有するスチレンーブタジエン共重合体鎖の、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により検出されるピークトップ分子量は、ポリスチレン換算の値として、100,000〜1,000,000であることが好ましく、150,000〜850,000であることがより好ましく、200,000〜700,000であることが特に好ましい。なお、スチレンーブタジエン共重合体鎖のピークが複数認められる場合は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより検出されるスチレンーブタジエン共重合体鎖に由来する、分子量の最も小さいピークのピークトップ分子量を、活性末端を有するスチレンーブタジエン共重合体鎖のピークトップ分子量とする。活性末端を有するスチレンーブタジエン共重合体鎖のピークトップ分子量が上記範囲にあると、得られるゴム架橋物は低発熱性に優れたものとなる。
活性末端を有するスチレンーブタジエン共重合体鎖の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布は、好ましくは1.0〜1.5、より好ましくは1.0〜1.4、特に好ましくは1.0〜1.3である。この分子量分布の値(Mw/Mn)が上記範囲にあると、得られるゴム架橋物の低発熱性が優れたものとなる。
変性剤は、1分子中に、スチレンーブタジエン共重合体鎖の活性末端と反応可能な反応基と、反応後に、スチレンーブタジエン共重合体の重合体鎖末端に含まれる変性基とを有していることを特徴とする。
スチレンーブタジエン共重合体鎖の活性末端と反応可能な反応基としては、該活性末端と反応することができるものであれば特に限定されないが、活性末端に対する反応性の観点より、ハロゲン原子、2−ピロリドニル基、ビニル基、アルコキシ基、アミノ基またはエポキシ基が好ましく、2−ピロリドニル基、エポキシ基またはアルコキシ基がより好ましく、エポキシ基が特に好ましい。
スチレンーブタジエン共重合体鎖の活性末端との反応後に、スチレンーブタジエン共重合体の重合体鎖末端に含まれる変性基としては、アミノ基、水酸基、ケイ素原子を含有する基などが挙げられる。ケイ素原子を含有する基としては、変性シクロオレフィン開環共重合体の「ケイ素原子を含有する官能基」で例示したものが挙げられる。
本発明で用いられる変性剤としては、スチレンーブタジエン共重合体鎖の活性末端と反応可能な反応基と、反応後に、スチレンーブタジエン共重合体の重合体鎖末端に含まれる変性基とを有していれば、特に限定はされないが、シリカやカーボンブラック等の充填剤との親和性の観点より、ポリオルガノシロキサンおよびヒドロカルビルオキシシラン化合物などのケイ素化合物が好ましい。ポリオルガノシロキサンとしては、スチレンーブタジエン共重合体鎖の活性末端と反応可能な反応基を有していれば特に限定されないが、その具体例としては、下記一般式(9)で示されるポリオルガノシロキサンなどを挙げることができる。また、ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、スチレンーブタジエン共重合体鎖の活性末端と反応可能な反応基を有していれば特に限定されないが、その具体例としては、下記一般式(10)で示されるヒドロカルビルオキシシラン化合物;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどのテトラアルコキシシラン化合物;ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンなどのヘキサアルコキシシラン化合物;メチルトリエトキシシランなどのアルキルアルコキシシラン化合物;ビニルトリメトキシシランなどのビニルアルコキシシラン化合物;フェニルトリメトキシシランなどのアリールアルコキシシラン化合物;トリエトキシクロロシランなどのハロゲノアルコキシシラン化合物;3−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシブチルプロピルトリメトキシシラン、ビス(3−グリシドキシプロピル)ジメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物;ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィドなどの硫黄含有アルコキシシラン化合物;ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)メチルアミンなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物;トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどのイソシアネート基含有アルコキシシラン化合物;などを挙げることができる。その他、本発明で用いられるケイ素化合物としては、テトラクロロシランなどのテトラハロゲン化シラン化合物;などを挙げることができる。これらの中でも、下記一般式(9)で示されるポリオルガノシロキサン、および下記一般式(10)で示されるヒドロカルビルオキシシラン化合物がより好ましい。特に、下記一般式(9)で示されるポリオルガノシロキサンを用いることにより、得られるゴム架橋物は、低発熱性により優れる。
Figure 2016158676
(上記一般式(9)中、R1〜R8は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基である。X1およびX4は、それぞれ独立して、スチレンーブタジエン共重合体鎖の活性末端と反応可能な反応基、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基である。X2は、スチレンーブタジエン共重合体鎖の活性末端と反応可能な反応基であり、複数あるX2は互いに同一であっても相違していてもよい。X3は、2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基であり、X3が複数あるときは、それらは互いに同一であっても相違していてもよい。mは3〜200の整数、nは0〜200の整数、kは0〜200の整数である。)
Figure 2016158676
(上記一般式(10)中、R9は、炭素数1〜12のアルキレン基であり、R9が複数あるときは、それらは互いに同一であっても相違していてもよい。R10〜R18は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基である。rは1〜10の整数である。)
一般式(9)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、R1〜R8、X1、およびX4を構成する炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、およびシクロヘキシル基などが挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としては、例えば、フェニル基、およびメチルフェニル基などが挙げられる。これらの中でも、ポリオルガノシロキサン自体の製造容易性の観点から、メチル基およびエチル基が好ましい。
一般式(9)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X1、X2、およびX4を構成するスチレンーブタジエン共重合体鎖の活性末端と反応可能な反応基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基、2−ピロリドニル基を含有する炭化水素基、およびエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基が好ましく、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基がより好ましい。
炭素数1〜5のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、およびブトキシ基などが挙げられる。これらの中でも、スチレンーブタジエン共重合体鎖の活性末端との反応性の観点から、メトキシ基およびエトキシ基が好ましい。
2−ピロリドニル基を含有する炭化水素基としては、例えば、下記一般式(11)で表されるものが挙げられる。
Figure 2016158676
(上記一般式(11)中、jは2〜10の整数であり、2であることが好ましい。)
エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基としては、例えば、下記一般式(12)で表されるものが挙げられる。
−Z1−Z2−E (12)
(上記一般式(12)中、Z1は、炭素数1〜10のアルキレン基またはアルキルアリーレン基であり、Z2はメチレン基、硫黄原子、または酸素原子であり、Eはエポキシ基を有する炭素数2〜10の炭化水素基である。これらの中でも、Z2が酸素原子であるものが好ましく、Z2が酸素原子であり、かつ、Eがグリシジル基であるものがより好ましく、Z1が炭素数3のアルキレン基であり、Z2が酸素原子であり、かつ、Eがグリシジル基であるものが特に好ましい。)
一般式(9)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、R1〜R8としては、上記の中でも、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、X1およびX4としては、上記の中でも、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、X2としては、上記の中でも、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基であることが好ましい。
一般式(9)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X3、すなわち2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基としては、例えば、下記一般式(13)で表されるものが挙げられる。
Figure 2016158676
(上記一般式(13)中、tは2〜20の整数であり、Tは炭素数2〜10のアルキレン基またはアルキルアリーレン基であり、Rは、水素原子またはメチル基であり、複数あるRは互いに同一であっても相違していてもよい。Qは炭素数1〜10のアルコキシ基またはアリーロキシ基である。これらの中でも、tが2〜8の整数であり、Tが炭素数3のアルキレン基であり、Rが水素原子であり、かつQがメトキシ基であるものが好ましい。)
一般式(9)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、mは3〜200、好ましくは3〜150、より好ましくは3〜120の整数である。mの数が上記範囲内にあると、得られるゴム架橋物は低発熱性に優れる。
一般式(9)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、nは0〜200、好ましくは0〜150、より好ましくは0〜120の整数である。kは0〜200、好ましくは0〜150、より好ましくは0〜120の整数である。m、n、およびkの合計数は、3〜400であることが好ましく、3〜300であることがより好ましく、3〜250であることが特に好ましい。m、n、およびkの合計数が多すぎると、反応中の重合溶液の粘度が高くなりすぎ、変性スチレンーブタジエン共重合体の製造が困難となるおそれがある。
なお、一般式(9)で示されるポリオルガノシロキサンにおいて、ポリオルガノシロキサン中のエポキシ基がスチレンーブタジエン共重合体鎖の活性末端と反応する場合、ポリオルガノシロキサン中の少なくとも一部のエポキシ基が開環することにより、エポキシ基が開環した部分の炭素原子とスチレンーブタジエン共重合体鎖との結合が形成されると考えられる。また、ポリオルガノシロキサン中のアルコキシ基がスチレンーブタジエン共重合体の活性末端と反応する場合、ポリオルガノシロキサン中の少なくとも一部のアルコキシ基が脱離することにより、ポリオルガノシロキサンが含有するケイ素原子とスチレンーブタジエン共重合体鎖との結合が形成されると考えられる。また、ポリオルガノシロキサン中の2−ピロリドニル基がスチレンーブタジエン共重合体の活性末端と反応する場合、ポリオルガノシロキサン中の少なくとも一部の2−ピロリドニル基を構成するカルボニル基の炭素―酸素結合が開裂して、その炭素原子とスチレンーブタジエン共重合体鎖との結合が形成されると考えられる。
一般式(10)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物において、炭素数1〜6のアルキル基、および炭素数6〜12のアリール基は、上記一般式(9)のポリオルガノシロキサンについて説明したものと同様である。
一般式(10)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物において、炭素数1〜12のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、およびプロピレン基などが挙げられる。これらの中でも、プロピレン基が好ましい。
一般式(10)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物の具体例としては、N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、およびN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシランなどが挙げられる。
ケイ素化合物などの変性剤の使用量は、重合反応に使用した重合開始剤1molに対し、スチレンーブタジエン共重合体鎖の活性末端と反応可能な反応基のモル量が、0.01〜10molとなる量であることが好ましく、0.05〜8molとなる量であることがより好ましく、0.1〜4molとなる量であることが特に好ましい。変性剤の使用量が上記範囲にあると、得られるゴム架橋物は、低発熱性に優れたものとなる。これらの変性剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
スチレンーブタジエン共重合体は、変性スチレンーブタジエン共重合体を1〜100重量%含むことが好ましく、10〜100重量%含むことがより好ましく、50〜100重量%含むことが特に好ましい。スチレンーブタジエン共重合体中の変性スチレンーブタジエン共重合体の含有量が上記範囲にあると、ゴム組成物は加工性に優れ、また、得られるゴム架橋物は、低発熱性に優れたものとなる。
スチレンーブタジエン共重合体は、変性スチレンーブタジエン共重合体の他に、上記スチレンーブタジエン共重合体鎖の活性末端の一部を、本発明の効果を阻害しない範囲で、カップリング剤を重合系内に添加することによりカップリングさせたカップリングスチレンーブタジエン共重合体を含んでいてもよい。
この時に用いられるカップリング剤としては、例えば、四塩化錫;ヘキサクロロジシラン、ビス(トリクロロシリル)メタン、1,2−ビス(トリクロロシリル)エタン、1,3−ビス(トリクロロシリル)プロパン、1,4−ビス(トリクロロシリル)ブタン、1,5−ビス(トリクロロシリル)ペンタン、および1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサンなどのハロゲン化ケイ素化合物;などが挙げられる。カップリング剤を併用することにより、高分子量のカップリングスチレンーブタジエン共重合体を生成させることができる。これらのカップリング剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
活性末端を有するスチレンーブタジエン共重合体鎖と、変性剤やカップリング剤とを反応させる方法としては、活性末端を有するスチレンーブタジエン共重合体鎖を含有する溶液と、変性剤やカップリング剤とを混合することができれば、特に限定されない。変性反応やカップリング反応を良好に制御する観点より、活性末端を有するスチレンーブタジエン共重合体鎖を含有する溶液に、変性剤やカップリング剤を添加する方法が好ましい。その際、変性剤やカップリング剤は、不活性溶媒に溶解して重合系内に添加することがより好ましい。その溶液濃度は、1〜50重量%の範囲とすることが好ましい。
活性末端を有するスチレンーブタジエン共重合体鎖を含有する溶液に、変性剤などを添加する時期は特に限定されないが、重合反応が完結しておらず、活性末端を有するスチレンーブタジエン共重合体鎖を含有する溶液が単量体をも含有している状態、より具体的には、活性末端を有するスチレンーブタジエン共重合体鎖を含有する溶液が、100ppm以上、より好ましくは300〜50,000ppmの単量体を含有している状態で、この溶液に変性剤などを添加することが望ましい。変性剤などの添加をこのように行なうことにより、活性末端を有するスチレンーブタジエン共重合体鎖と重合系中に含まれる不純物等との副反応を抑制して、反応を良好に制御することが可能となる。
活性末端を有するスチレンーブタジエン共重合体鎖に、変性剤などを反応させるときの条件としては、反応温度が、通常、0〜100℃、好ましくは30〜90℃の範囲であり、それぞれの反応時間が、通常、1分〜120分、好ましくは2分〜60分の範囲である。
活性末端を有するスチレンーブタジエン共重合体鎖を含有する溶液に、変性剤とカップリング剤との両方を添加する場合の添加順序は特に限定されない。どちらか一方を先に添加しても良いし、または両方を同時に添加しても良いが、カップリング剤を変性剤よりも先に添加することが好ましい。このような順序で行なうことにより、カップリングスチレンーブタジエン共重合体を確実に生成させることが可能となる。
スチレンーブタジエン共重合体鎖の活性末端に、上述した変性剤、および所望により添加するカップリング剤を反応させた後は、メタノール、イソプロパノールなどのアルコールまたは水などの、重合停止剤を添加して未反応の活性末端を失活させることが好ましい。
スチレンーブタジエン共重合体鎖の活性末端を失活させた後、所望により、フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤などの老化防止剤、クラム化剤、およびスケール防止剤などを重合溶液に添加する。その後、直接乾燥またはスチームストリッピングなどにより重合溶液から重合溶媒を分離して、変性スチレンーブタジエン共重合体を回収する。なお、重合溶液から重合溶媒を分離する前に、重合溶液に伸展油を混合し、変性スチレンーブタジエン共重合体を油展ゴムとして回収してもよい。
変性スチレンーブタジエン共重合体を油展ゴムとして回収する場合に用いる伸展油としては、例えば、パラフィン系、芳香族系およびナフテン系の石油系軟化剤、植物系軟化剤、ならびに脂肪酸などが挙げられる。石油系軟化剤を用いる場合には、IP346の方法(英国のTHE INSTITUTE PETROLEUMの検査方法)により抽出される多環芳香族の含有量が3%未満であることが好ましい。伸展油を使用する場合、その使用量は、変性スチレンーブタジエン共重合体100重量部に対して、通常、5〜100重量部、好ましくは10〜60重量部、より好ましくは20〜50重量部である。
変性スチレンーブタジエン共重合体の重量平均分子量は、ポリスチレン換算のゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定される値として、100,000〜3,000,000が好ましく、150,000〜2,500,000がより好ましく、200,000〜2,000,000が特に好ましい。変性スチレンーブタジエン共重合体の重量平均分子量が上記範囲内にあると、変性スチレンーブタジエン共重合体へのシリカの配合が容易となり、ゴム組成物の加工性に優れる。その結果、得られるゴム架橋物は低発熱性に優れたものとなる。
変性スチレンーブタジエン共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布は、1.1〜3.0であることが好ましく、1.2〜2.5であることがより好ましく、1.2〜2.2であることが特に好ましい。変性スチレンーブタジエン共重合体の分子量分布の値(Mw/Mn)が上記範囲内にあると、得られるゴム架橋物は低発熱性に優れたものとなる。
変性スチレンーブタジエン共重合体のムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、20〜100であることが好ましく、30〜90であることがより好ましく、35〜80であることが特に好ましい。なお、変性スチレンーブタジエン共重合体を油展ゴムとする場合は、その油展ゴムのムーニー粘度を上記の範囲とすることが好ましい。
本発明に係るゴム組成物における、シクロオレフィン開環共重合体およびスチレン−ブタジエン共重合体の重量比は、「シクロオレフィン開環共重合体/スチレン−ブタジエン共重合体」で、5/95〜95/5である。ゴム組成物の加工性を向上させるという観点、および、低発熱性に優れたゴム架橋物となるゴム組成物を得るという観点から、シクロオレフィン開環共重合体およびスチレン−ブタジエン共重合体の重量比は、好ましくは5/95〜85/15、より好ましくは15/85〜55/45である。
本発明に係るゴム組成物を製造する方法における、シクロオレフィン開環共重合体と、スチレン−ブタジエン共重合体とを混練する方法は、特に限定されず、常法に従って各成分を混練すればよい。シクロオレフィン開環共重合体と、スチレンーブタジエン共重合体との混練温度は、好ましくは80〜200℃、より好ましくは120℃〜180℃である。また、混練時間は、好ましくは30秒〜30分である。
以上説明したように、本発明に係るゴム組成物は、上記シクロオレフィン開環共重合体と上記スチレン−ブタジエン共重合体とを所定の重量比で含有するゴム成分を含む。
本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分として、シクロオレフィン開環共重合体やスチレン−ブタジエン共重合体以外のゴム(以下において、「他のゴム」と記載することがある。)を含んでいてもよい。他のゴムとしては、例えば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム(高シスーBR、低シスーBRであってもよい。また、1,2−ポリブタジエン重合体からなる結晶繊維を含むポリブタジエンゴムであってもよい。)、スチレン−イソプレン共重合ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムなどが挙げられる。これらのなかでも、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、およびポリブタジエンゴムが好ましい。上記その他のゴムは、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明に係るゴム組成物において、シクロオレフィン開環共重合体とスチレン−ブタジエン共重合体の総量は、ゴム成分中、50〜100重量%を占めることが好ましく、60〜100重量%を占めることがより好ましく、70〜100重量%を占めることが特に好ましい。ゴム成分中における、シクロオレフィン開環共重合体とスチレン−ブタジエン共重合体の総量の割合を上記範囲とすることで、ゴム組成物の加工性が向上する。また、該ゴム組成物により低発熱性に優れたゴム架橋物を得ることができる。
本発明に係るゴム組成物は、シリカおよび/またはカーボンブラックをさらに配合してなることが好ましい。
(シリカ)
本発明に係るゴム組成物は、充填剤としてシリカを含有することが好ましい。シリカは、上述した変性シクロオレフィン開環共重合体が有する末端官能基や、変性スチレンーブタジエン共重合体の変性基と相互作用し、その結果、ゴム組成物中におけるシリカの分散性がより向上する。
シリカの具体例としては、乾式法ホワイトカーボン、湿式法ホワイトカーボン、コロイダルシリカ、沈降シリカなどが挙げられる。また、カーボンブラック表面にシリカを担持させたカーボン−シリカ デュアル・フェイズ・フィラーを用いてもよい。これらのなかでも、含水ケイ酸を主成分とする湿式法ホワイトカーボンが好ましい。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、好ましくは50〜300m2/gであり、より好ましくは80〜250m2/g、さらに好ましくは100〜220m2/gである。窒素吸着比表面積が上記範囲のシリカは、ゴム組成物中において凝集することがあるが、本発明においては変性シクロオレフィン開環共重合体や変性スチレン−ブタジエン共重合体を用いることで、シリカとの親和性がより向上し、シリカの凝集が抑制され、低発熱性に優れたゴム架橋物となるゴム組成物を得ることができる。発熱性が低いため、得られるタイヤには、燃費の向上が期待される。シリカの窒素吸着比表面積が50m2/g未満であると、ゴム架橋物の機械物性が低下するおそれがある。シリカの窒素吸着比表面積が300m2/gを超えると、シリカの凝集力が大きくなり、凝集を抑制することが困難となるおそれがある。また、シリカのpHは、7未満であることが好ましく、より好ましくは5〜6.9である。なお、窒素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準拠して、BET法にて測定することができる。
シリカの含有量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して好ましくは1〜150重量部、より好ましくは10〜120重量部、さらに好ましくは15〜100重量部、特に好ましくは20〜80重量部である。シリカの含有量を上記範囲とすることにより、低発熱性に優れるゴム架橋物となるゴム組成物を得ることができる。
(カーボンブラック)
また、本発明に係るゴム組成物は、充填剤としてカーボンブラックを含有してもよい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどが挙げられる。これらのなかでも、ファーネスブラックを用いることが好ましく、その具体例としては、SAF、ISAF、ISAF−HS、ISAF−LS、IISAF−HS、HAF、HAF−HS、HAF−LS、T−HS、T−NS、MAF、FEFなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、好ましくは5〜200m2/g、より好ましくは20〜130m2/g、さらに好ましくは40〜80m2/gである。また、充填剤としてのカーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸着量は、好ましくは5〜200ml/100g、より好ましくは50〜160ml/100g、さらに好ましくは70〜130ml/100gである。カーボンブラックの比表面積およびジブチルフタレート吸着量が上記範囲にあると、成形性が良好で、低発熱性に優れるゴム架橋物となるゴム組成物を得ることができる。
充填剤として、カーボンブラックを用いる場合における配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは1〜150重量部、より好ましくは2〜120重量部、さらに好ましくは3〜100重量部、特に好ましくは5〜80重量部である。カーボンブラックの配合量を上記範囲とすることにより、低発熱性に優れるゴム架橋物となるゴム組成物を得ることができる。
また、本発明に係るゴム組成物に、シリカとカーボンブラックとの両方を配合する場合には、シリカとカーボンブラックとの合計量は、ゴム組成物中のゴム成分の総量100重量部に対して、好ましくは25〜200重量部であり、より好ましくは30〜150重量部である。
(シランカップリング剤)
充填剤として、シリカを配合する際には、低発熱性がより改善されたゴム架橋物となるゴム組成物を得るという観点から、シランカップリング剤をさらに配合することが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピル−トリエトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドなどが挙げられる。これらのなかでも、混練時のスコーチを避ける観点より、1分子中に含有される硫黄が4個以下のものが好ましい。これらのシランカップリング剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。シランカップリング剤の配合量は、シリカ100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは1〜15重量部である。
ゴム成分に、シリカやカーボンブラックなどの充填剤を配合する方法は特に限定されず、固形ゴムに添加して混練する方法(乾式混練法)、およびゴムの溶液に添加して凝固・乾燥させる方法(湿式混練法)などを適用することができる。
また、本発明に係るゴム組成物は、上記成分以外に、常法に従って、架橋剤、架橋促進剤、架橋活性化剤、プロセス油、活性剤、充填剤(シリカおよびカーボンブラックを除く)、粘着付与剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、可塑剤、滑剤、水酸化アルミニウム、ワックスなどの配合剤をそれぞれ必要量配合できる。
架橋剤としては、例えば、硫黄、ハロゲン化硫黄などの含硫黄化合物、有機過酸化物、キノンジオキシム類、有機多価アミン化合物、およびメチロール基を有するアルキルフェノール樹脂などが挙げられる。これらのなかでも、硫黄が好ましく使用される。架橋剤の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.5〜5重量部、特に好ましくは1〜4重量部である。架橋剤の配合量が上記範囲にあると、架橋が十分に行われ、得られるゴム架橋物の機械物性に優れる。
架橋剤として、硫黄、または含硫黄化合物を用いる場合には、架橋促進剤および架橋活性化剤を併用することが好ましい。
架橋促進剤としては、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系化合物;1,3−ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジンなどのグアニジン系化合物;チオウレア系化合物;チアゾール系化合物;チウラム系化合物;ジチオカルバミン酸系化合物;キサントゲン酸系化合物;などが挙げられる。これらのなかでも、スルフェンアミド系化合物を含むものが好ましい。これらの架橋促進剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。架橋促進剤の配合量は、特に限定されないが、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.05〜15重量部、より好ましくは0.5〜10重量部、特に好ましくは1〜5重量部である。
架橋活性化剤としては、例えば、酸化亜鉛;ステアリン酸などの高級脂肪酸;などが挙げられる。これらの架橋活性化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。架橋活性化剤の配合量は、特に限定されないが、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.05〜20重量部、より好ましくは0.5〜15重量部である。架橋促進剤および架橋活性化剤の配合量が上記範囲にあると、架橋が十分に行われ、得られるゴム架橋物の機械物性に優れる。
プロセス油としては、例えば、パラフィン系、芳香族系、ナフテン系の石油系軟化剤;植物系軟化剤;脂肪酸;などが挙げられる。
本発明に係るゴム組成物を得るためには、常法に従って各成分を混練すればよい。例えば、架橋剤および架橋促進剤を除く配合剤と、ゴム成分とを混練後、その混練物に架橋剤および架橋促進剤を混合して目的のゴム組成物を得ることができる。架橋剤および架橋促進剤を除く配合剤とゴム成分の混練温度は、好ましくは80〜200℃、より好ましくは120〜180℃である。また、混練時間は、好ましくは30秒〜30分である。混練物と架橋剤および架橋促進剤との混合は、通常100℃以下、好ましくは80℃以下まで冷却後に行われる。
このようにして得られたゴム組成物は、例えば、架橋することによりタイヤに用いることができる。
(2)ゴム架橋物
本発明に係るゴム架橋物は、架橋剤を含有した本発明に係るゴム組成物を架橋してなる。本発明に係るゴム組成物を架橋および成形する方法は、特に限定されず、ゴム架橋物の形状、大きさなどに応じて選択すればよい。金型中に、架橋剤を配合したゴム組成物を充填して加熱することにより成形と同時に架橋してもよく、架橋剤を配合したゴム組成物を予め成形した後、それを加熱して架橋してもよい。成形時の温度は、好ましくは20〜140℃、より好ましくは40〜130℃である。架橋温度は、好ましくは120〜200℃、より好ましくは140〜180℃であり、架橋時間は、通常、1〜120分である。
本発明に係るゴム架橋物は、例えば、タイヤ、ホース、窓枠、ベルト、靴底、防振ゴム、自動車部品、および免震ゴムなどのゴム製品に用いられる。これらの中でも、本発明に係るゴム架橋物は、特に低発熱性に優れるので、タイヤ用途に好適に用いられる。本発明に係るゴム架橋物は、例えば、オールシーズンタイヤ、高性能タイヤ、およびスタッドレスタイヤなどの各種タイヤにおいて、トレッド、カーカス、サイドウォール、およびビード部などのタイヤ各部位への利用が可能であるが、特に低発熱性に優れるので、低燃費タイヤのトレッド用として、特に好適に用いられる。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、以下において、「部」は、特に断りのない限り重量基準である。また、試験、評価は下記によった。
〔分子量〕
テトラヒドロフランを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、重合体の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を、ポリスチレン換算値として測定した。
〔重合体のオキシシリル基の導入率〕
1H−NMRスペクトル測定により、オキシシリル基に由来するピーク積分値と重合体主鎖中の炭素−炭素二重結合に由来するピーク積分値との比率を求め、このピーク積分値の比率とGPCによる数平均分子量(Mn)の測定値に基づいて、オキシシリル基の導入率〔(オキシシリル基が導入された重合体鎖末端数/重合体鎖末端全数)の百分率〕を計算した。
〔シス/トランス比〕
重合体のシス/トランス比を、13C−NMRスペクトル測定から求めた。
〔共重合比率〕
キャピラリーカラムとしてInert Cap1(ジーエルサイエンス社製)を使用したガスクロマトグラフィーを用いて重合系中の残留量モノマー量を測定し、その残留量より、シクロオレフィン開環共重合体の共重合比率を算出した。
〔重合体の融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)および転移エンタルピー(ΔH)〕
重合体の融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)および転移エンタルピー(ΔH)を、示差走査熱量計(DSC)を用いて、10℃/分の昇温で測定した。なお、製造例1および2のシクロオレフィン開環共重合体においては融点(Tm)および転移エンタルピー(ΔH)を測定することができなかった。
融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)および転移エンタルピー(ΔH)は、
それぞれ結晶化度の目安となる値である。シクロオレフィン開環共重合体の結晶化度が低い場合(非晶性の場合)、融点(Tm)を測定することができない。また、融点(Tm)が測定できる場合であっても、転移エンタルピー(ΔH)が0に近い程、結晶化度が低いことを示す。シクロオレフィン開環共重合体の結晶化度が低いほど、該シクロオレフィン開環共重合体を用いて得られるゴム組成物は加工性に優れ、該ゴム組成物を架橋して得られるゴム架橋物は低発熱性に優れるといえる。
〔ゴム組成物の加工性〕
ゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4,100℃)をJIS K6300に従い、ムーニー粘度計(島津製作所社製)を用いて測定した。この値は、比較例1の試料の測定値を100とする指数とした。その指数が小さいものほど、加工性に優れるといえる。
〔ゴム組成物の低発熱性評価〕
試料となるゴム組成物を、160℃、20分間プレス架橋して架橋された試験片を作製した。この試験片について、粘弾性測定装置(商品名「ARES−G2」、ティー・エー・インスツルメント社製)を用い、せん断歪み2%、周波数10Hzの条件で、60℃におけるtanδを測定した。この値は、比較例1の試料の測定値を100とする指数とした。この指数が小さいものほど、低発熱性に優れる。
〔参考例1〕
ジイソブチルアルミニウムモノ(n−へキソキシド)/トルエン溶液(2.5重量%)の調製
窒素雰囲気下、攪拌子の入ったガラス容器に、トルエン88部、および25.4重量%のトリイソブチルアルミニウム/n−ヘキサン溶液(東ソー・ファインケム社製)7.8部を加えた。次いで、容器を−45℃に冷却し、激しく攪拌しながら、n−ヘキサノール1.02部(トリイソブチルアルミニウムに対して当モル量)をゆっくりと滴下した。その後、攪拌しながら室温になるまで放置し、ジイソブチルアルミニウムモノ(n−へキソキシド)/トルエン溶液(2.5重量%)を調製した。
〔製造例1:シクロオレフィン開環共重合体の製造〕
窒素雰囲気下、攪拌子の入ったガラス容器に、1.0重量%のWCl6/トルエン溶液87部、および参考例1で調製した2.5重量%のジイソブチルアルミニウムモノ(n−ヘキソキシド)/トルエン溶液43部を加え、15分間攪拌することにより、触媒溶液を得た。そして、窒素雰囲気下、攪拌機付き耐圧ガラス反応容器に、シクロペンテン270部、1,5−シクロオクタジエン48部、トルエン300部および1,4−ビス(トリエトキシシリル)−2−ブテン1.09部を加え、ここに、上記にて調製した触媒溶液130部を加えて、25℃で4時間重合反応を行った。4時間の重合反応後、耐圧ガラス反応容器に、過剰のエチルアルコールを加えて重合を停止した後、耐圧ガラス反応容器内の溶液を、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)を含む大過剰のエチルアルコールに注いだ。次いで、沈殿したポリマーを回収し、エチルアルコールで洗浄後、40℃で3日間、真空乾燥することにより、61部の重合体鎖の両側の末端にトリエトキシシリル基を有する両末端変性シクロオレフィン開環共重合体1を得た。
そして、得られた両末端変性シクロオレフィン開環共重合体1について、上記方法に従い、分子量、シス/トランス比、オキシシリル基導入率、共重合比率、融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)、および転移エンタルピー(ΔH)の各測定を行った。結果を表1に示す。
〔製造例2:シクロオレフィン開環共重合体の製造〕
シクロペンテン、1,5−シクロオクタジエンおよび1,4−ビス(トリエトキシシリル)−2−ブテンの配合量を変更した。具体的には、シクロペンテン210部、1,5−シクロオクタジエン143部および1,4−ビス(トリエトキシシリル)−2−ブテン0.93部に変更した以外は、実施例1と同様にして重合を行い、76部の重合体鎖の両側の末端にトリエトキシシリル基を有する両末端変性シクロオレフィン開環共重合体2を得た。そして、得られた両末端変性シクロオレフィン開環共重合体2について、製造例1と同様に各測定を行った。結果を表1に示す。
〔製造例3:シクロペンテン開環重合体の製造〕
窒素雰囲気下、攪拌子の入ったガラス容器に、1.0重量%のWCl6/トルエン溶液87部、および参考例1で調製した2.5重量%のジイソブチルアルミニウムモノ(n−ヘキソキシド)/トルエン溶液43部を加え、15分間攪拌することにより、触媒溶液を得た。そして、窒素雰囲気下、攪拌機付き耐圧ガラス反応容器に、シクロペンテン300部、トルエン300部および1,4−ビス(トリエトキシシリル)−2−ブテン1.24部を加え、ここに、上記にて調製した触媒溶液130部を加えて、25℃で4時間重合反応を行った。4時間の重合反応後、耐圧ガラス反応容器に、過剰のエチルアルコールを加えて重合を停止した後、耐圧ガラス反応容器内の溶液を、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)を含む大過剰のエチルアルコールに注いだ。次いで、沈殿したポリマーを回収し、エチルアルコールで洗浄後、40℃で3日間、真空乾燥することにより、63部の重合体鎖の両側の末端にトリエトキシシリル基を有する両末端変性シクロペンテン開環重合体3を得た。
そして、得られた両末端変性シクロペンテン開環重合体3について、製造例1と同様に各測定を行った。結果を表1に示す。
〔製造例4:シクロペンテン開環重合体の製造〕
窒素雰囲気下、攪拌子の入ったガラス容器に、1.0重量%のWCl6/トルエン溶液87部、および参考例1で調製した2.5重量%のジイソブチルアルミニウムモノ(n−ヘキソキシド)/トルエン溶液43部を加え、15分間攪拌することにより、触媒溶液を得た。そして、窒素雰囲気下、攪拌機付き耐圧ガラス反応容器に、シクロペンテン300部、トルエン300部および1,4−ビス(トリエトキシシリル)−2−ブテン1.55部を加え、ここに、上記にて調製した触媒溶液130部を加えて、40℃で4時間重合反応を行った。4時間の重合反応後、耐圧ガラス反応容器に、過剰のエチルアルコールを加えて重合を停止した後、耐圧ガラス反応容器内の溶液を、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)を含む大過剰のエチルアルコールに注いだ。次いで、沈殿したポリマーを回収し、エチルアルコールで洗浄後、40℃で3日間、真空乾燥することにより、63部の重合体鎖の両側の末端にトリエトキシシリル基を有する両末端変性シクロペンテン開環重合体4を得た。
そして、得られた両末端変性シクロペンテン開環重合体4について、製造例1と同様に各測定を行った。結果を表1に示す。
〔製造例5:変性スチレンーブタジエン共重合体の製造〕
攪拌機付きオートクレーブに、窒素雰囲気下、シクロヘキサン800g、テトラメチルエチレンジアミン0.85mmol、1,3−ブタジエン94.8g、およびスチレン25.2gを仕込んだ後、n−ブチルリチウム0.71mmolを加え、60℃で重合を開始した。続いて、重合転化率が95%から100%の範囲になったことを確認してから、四塩化錫を0.08mmol添加し、30分間反応させた。次いで、下記式(14)で表されるポリオルガノシロキサンAを、使用したn−ブチルリチウムの0.33倍モルに相当するエポキシ基の含有量となるように、20重量パーセント濃度のキシレン溶液の状態で添加し、30分間反応させた。その後、重合停止剤として、使用したn−ブチルリチウムの2倍モルに相当する量のメタノールを添加して、変性スチレンーブタジエン共重合体を含有する溶液を得た。この溶液に、老化防止剤として、イルガノックス1520L(チバスペシャリティーケミカルズ社製)を、変性スチレンーブタジエン共重合体100部に対して0.15部添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、60℃で24時間真空乾燥して、固形状の変性スチレンーブタジエン共重合体を得た。
Figure 2016158676
得られた変性スチレンーブタジエン共重合体は、GPC測定において、全体としてMnが336,000、Mwが481,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.43のものであった。また、1H−NMR測定により求めた、この変性スチレンーブタジエン共重合体のスチレン由来の構造単位の含有量は21.2重量%、ブタジエン由来の構造単位中のビニル結合含有量は62.6重量%であった。
〔実施例1〕
容量250mlのブラベンダータイプミキサー中で、製造例1で得られた両末端変性シクロオレフィン開環共重合体1 30部および製造例5で得られた変性スチレンーブタジエン共重合体70部を30秒素練りした。次いでシリカ(ローディア社製、商品名「Zeosil1115MP」、窒素吸着比表面積(BET法):112m2/g)50部、プロセスオイル(新日本石油社製、商品名「アロマックス T−DAE」)25部、およびシランカップリング剤:ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド(デグッサ社製、商品名「Si69」)6.0部を添加して、110℃を開始温度として1.5分間混練した。その後、シリカ(ローディア社製、商品名「Zeosil1115MP」)25部、酸化亜鉛3部、ステアリン酸2部および老化防止剤:N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(大内新興社製、商品名「ノクラック6C」)2部を添加し、更に2.5分間混練し、ミキサーから混練物を排出させた。混練終了時の混練物の温度は150℃であった。混練物を、室温まで冷却した後、再度ブラベンダータイプミキサー中で、110℃を開始温度として3分間混練した後、ミキサーから混練物を排出させた。次いで、50℃のオープンロールで、得られた混練物と、硫黄1.4部および架橋促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(商品名「ノクセラーNS−P」(大内新興化学工業社製))1.2部と1,3−ジフェニルグアニジン(商品名「ノクセラーD」(大内新興化学工業社製))1.2部との混合物)2.4部とを混練した後、シート状のゴム組成物を得た。得られたゴム組成物について、上記方法に従い、加工性と低発熱性の評価を行なった。結果を表2に示す。
〔実施例2〕
製造例1で得られた両末端変性シクロオレフィン開環共重合体1 30部に代えて、製造例2で得られた両末端変性シクロオレフィン開環共重合体2 30部を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で、シート状のゴム組成物を得た。得られたゴム組成物について、上記方法に従い、加工性と低発熱性の評価を行なった。結果を表2に示す。
〔比較例1〕
製造例1で得られた両末端変性シクロオレフィン開環共重合体1 30部に代えて、製造例3で得られた両末端変性シクロペンテン開環重合体3 30部を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で、シート状のゴム組成物を得た。得られたゴム組成物について、上記方法に従い、加工性と低発熱性の評価を行なった。結果を表2に示す。
〔比較例2〕
製造例1で得られた両末端変性シクロオレフィン開環共重合体1 30部に代えて、製造例4で得られた両末端変性シクロペンテン開環重合体4 30部を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で、シート状のゴム組成物を得た。得られたゴム組成物について、上記方法に従い、加工性と低発熱性の評価を行なった。結果を表2に示す。
Figure 2016158676
Figure 2016158676
表2に示す結果から明らかなように、本発明に係るゴム組成物は、加工性に優れ、さらに、低発熱性に優れたゴム架橋物を与えるものであった(実施例1,2)。
一方、シクロオレフィン開環共重合体に代えて、シクロペンテンの単独重合体であるシクロペンテン開環重合体を用いたゴム組成物は、本発明に係るゴム組成物に比して、加工性に劣り、また、低発熱性に劣るゴム架橋物を与えるものであった(比較例1,2)。

Claims (11)

  1. シクロペンテン由来の構造単位、及び、シクロオクタジエン由来の構造単位を含有するシクロオレフィン開環共重合体と、スチレン−ブタジエン共重合体とを含み、
    前記シクロオレフィン開環共重合体における、全繰り返し単位中の、シクロペンテン由来の構造単位の含有量が50〜99モル%、シクロオクタジエン由来の構造単位の含有量が50〜1モル%であり、
    前記シクロオレフィン開環共重合体と前記スチレン−ブタジエン共重合体との重量比(シクロオレフィン開環共重合体/スチレン−ブタジエン共重合体)が、5/95〜95/5である、ゴム組成物。
  2. 前記シクロオレフィン開環共重合体が、重合体鎖末端に、窒素原子、酸素原子、リン原子、イオウ原子、およびケイ素原子からなる群から選ばれる少なくとも1種の原子を含有する官能基を有するシクロオレフィン開環共重合体を含む請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記シクロオレフィン開環共重合体が、重合体鎖末端にオキシシリル基を有するシクロオレフィン開環共重合体を含む請求項2に記載のゴム組成物。
  4. 前記スチレン−ブタジエン共重合体が、重合体鎖末端に変性基を有するスチレンーブタジエン共重合体を含む請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
  5. シリカおよび/またはカーボンブラックを配合してなる請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
  6. 架橋剤を含有してなる、請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物。
  7. 請求項6に記載のゴム組成物を架橋してなる、ゴム架橋物。
  8. 請求項7に記載のゴム架橋物を用いてなる、タイヤ。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物を製造する方法であって、
    周期表第6族遷移金属化合物(A)と、下記一般式(3)で示される有機アルミニウム化合物(B)との存在下で、シクロペンテンとシクロオクタジエンとを開環共重合してシクロオレフィン開環共重合体を得る工程と、
    前記シクロオレフィン開環共重合体と、スチレン−ブタジエン共重合体とを混練する工程とを有するゴム組成物の製造方法。
    (R13-abAl(OR2ab (3)
    (上記一般式(3)中、R1は、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、R2は、ハロゲン原子を含有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Xはハロゲン原子を表す。aは1または2、bは0または1、かつa+b<3を満たす。)
  10. 前記シクロオレフィン開環共重合体を得る工程において、さらに、オキシシリル基含有オレフィン性不飽和炭化水素(C)の存在下で、シクロペンテンとシクロオクタジエンとを開環共重合する請求項9に記載のゴム組成物の製造方法。
  11. さらに、溶液重合法によりスチレン−ブタジエン共重合体を得る工程を有する請求項9または10に記載のゴム組成物の製造方法。
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