JPWO2016129273A1 - 酵素電極の製造方法及び酵素電極 - Google Patents

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Abstract

炭素材料を、酸化還元酵素が存在する条件下で、基材に付与することによって、炭素材料及び酸化還元酵素を含む酵素電極を得ることを特徴とする、酵素電極の製造方法、並びに、炭素材料と、酸化還元酵素と、炭素材料どうしを結合する結合分子A、及び炭素材料と酸化還元酵素とを結合する結合分子Bからなる群から選択される少なくとも1つの結合分子と、を含むことを特徴とする、酵素電極。

Description

本発明は、酵素電極の製造方法及び酵素電極に関する。
バイオセンサやバイオ電池の電気化学性能を決定するコア部品として、酵素を電極素材に固定化した電極(酵素電極)が知られている。
バイオセンサは、既に、医療、食品、環境分野における計測に必須のツールとして用いられており、また、バイオ電池(バイオ燃料電池)は、同分野において、生体、環境に優しく、極めて安全な電源として今後の早急な実用化が期待されている。
酵素電極の酵素には、通常、電子の授受を伴う酸化還元反応を触媒する酵素が用いられる。これらの酵素は、バイオセンサにおけるセンシング対象やバイオ電池における燃料である有機物分子を酸化還元して、上記装置に電流を発生させることによって、有機物分子の存在及び/又はその量から電気的な情報やエネルギーを得るトランスデューサーとして機能する。
一方、酵素電極の電極素材には、近年、カーボンナノチューブ(CNT)を代表とするナノカーボンや、微粒子状炭素等の微細な炭素材料が用いられている(特許文献1、2、非特許文献1参照)。
特開2007−035437号公報 国際公開第2012/002290号
A. Zebda, C. Gondran, A. L. Goff, M. Holzinger, P. Cinquin and S. Cosnier, Nature communication, 2011, 2, 1−6.
しかしながら、上記従来の酵素電極の製造方法では、複数段階の工程を必然的に含むこととなるため、全体的な工程が煩雑となり、余分な製造コストが発生するという問題があった(特許文献1、2参照)。
また、上記従来の酵素電極の製造方法により製造される酵素電極では、炭素材料への酵素吸着の均一性が得られにくく、酵素電極の性能の再現性が得られにくいという点(特許文献1、2参照)や、CNT等の炭素材料の崩壊や酵素の漏出の虞が高く、酵素電極の構造の安定性が低いという点(非特許文献1参照)で、改善の余地があった。
そこで、本発明は、簡便に且つ低コストで酵素電極を製造することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、酸化還元酵素と炭素材料との混合物の電極基材上における塗布・乾燥を、一段階のプロセスで行えば、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
本発明の要旨は以下の通りである。
本発明の酵素電極の製造方法は、炭素材料を、酸化還元酵素が存在する条件下で、基材に付与することによって、炭素材料及び酸化還元酵素を含む酵素電極を得ることを特徴とする。
なお、本願明細書において「酸化還元酵素」とは、酸化反応を触媒する酵素及び/又は還元反応を触媒する酵素を指すものとする。
本発明の酵素電極の製造方法では、前記酵素電極を成形する、電極成形工程を含むことが可能であり、ここで、前記電極成形工程において、印刷技術を用いることが好ましい。
本発明の酵素電極の製造方法では、前記炭素材料と前記酸化還元酵素とを含む懸濁液を調整する、懸濁液調整工程と、前記懸濁液を前記基材に塗布する、懸濁液塗布工程とを含むことが好ましい。
ここで、本発明の酵素電極の製造方法では、前記酸化還元酵素に加えて、前記炭素材料どうしを結合する結合分子A、及び前記炭素材料と前記酸化還元酵素とを結合する結合分子Bからなる群から選択される少なくとも1つの結合分子が更に存在する条件とすることが好ましい。
このとき、前記結合分子は、前記結合分子Aであることが好ましく、前記結合分子A及び前記結合分子Bであることが更に好ましい。
またここで、本発明の酵素電極の製造方法では、前記酸化還元酵素に加えて、トレハロースが更に存在する条件とし、酵素電極を凍結乾燥させる、凍結乾燥工程を含むことが好ましい。
本発明の酵素電極は、前記炭素材料と、前記酸化還元酵素と、前記炭素材料どうしを結合する結合分子A、及び前記炭素材料と前記酸化還元酵素とを結合する結合分子Bからなる群から選択される少なくとも1つの結合分子と、を含むことを特徴とする。
このとき、前記結合分子は、前記結合分子Aであることが好ましく、前記結合分子A及び前記結合分子Bであることが更に好ましい。
ここで、本発明の酵素電極は、トレハロースを更に含むことが好ましい。また、本発明の酵素電極は、凍結乾燥されていることが好ましい。
本発明の酵素電極の製造方法及び本発明の酵素電極において、前記結合分子Aは、芳香族基を有する小分子又は高分子、フッ素置換された炭化水素からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましく、ポリビニルイミダゾール(PVI)、ポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)、ナフィオン(登録商標)からなる群から選択される少なくとも1つであることが更に好ましい。前記結合分子Bは、芳香族基を有しつつ、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル基、アルデヒド基、エポキシ基、マレイミド基、カルボジイミド基、ヒドラジド基からなる群から選択される少なくとも1つを有する小分子又は高分子であることが好ましく、1−ピレン酪酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(PBSE)、N−ベンゾイルオキシスクシンイミドからなる群から選択される少なくとも1つであることが更に好ましい。
本発明によれば、簡便に且つ低コストで酵素電極を製造することができる。
本発明の実施形態の酵素電極の製造方法の概要について示す図である。 実施例1の酵素電極のサイクリックボルタンメトリーによる出力性能測定の結果を示す図である。 実施例1の酵素電極のクロノアンペロメトリーによる出力性能測定の結果を示す図である。 実施例2、3の酵素電極のクロノアンペロメトリーによる出力性能測定の結果を(実施例1の結果と共に)示す図である。 (a)は、実施例4の酵素電極のサイクリックボルタンメトリーによる出力性能測定の結果を示す図であり、(b)は、実施例4の酵素電極のクロノアンペロメトリーによる出力性能測定の結果を示す図である。 (a)は、実施例5の酵素電極のサイクリックボルタンメトリーによる出力性能測定の結果を示す図であり、(b)は、実施例5の酵素電極のクロノアンペロメトリーによる出力性能測定の結果を示す図である。 (a)は、実施例6の酵素電極のサイクリックボルタンメトリーによる出力性能測定の結果を示す図であり、(b)は、実施例6の酵素電極のクロノアンペロメトリーによる出力性能測定の結果を示す図である。 (a)は、実施例7の酵素電極のサイクリックボルタンメトリーによる出力性能測定の結果を示す図であり、(b)は、実施例7の酵素電極のクロノアンペロメトリーによる出力性能測定の結果を示す図である。 (a)は、実施例8の酵素電極のサイクリックボルタンメトリーによる出力性能測定の結果を示す図であり、(b)は、実施例8の酵素電極のクロノアンペロメトリーによる出力性能測定の結果を示す図である。 (a)は、実施例9の酵素電極のサイクリックボルタンメトリーによる出力性能測定の結果を示す図であり、(b)は、実施例9の酵素電極のクロノアンペロメトリーによる出力性能測定の結果を示す図である。 (a)は、実施例10の酵素電極のサイクリックボルタンメトリーによる出力性能測定の結果を示す図であり、(b)は、実施例10の酵素電極のクロノアンペロメトリーによる出力性能測定の結果を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の酵素電極の製造方法及び本発明の酵素電極の実施形態について詳細に例示説明する。
(酵素電極の製造方法)
本発明の実施形態に係る酵素電極の製造方法(以下、「本実施形態の製造方法」ともいう。)は、炭素材料を、酸化還元酵素が存在する条件下で、基材に付与することによって、炭素材料及び酸化還元酵素を含む酵素電極を得ることを特徴とする。
図1に、本実施形態の製造方法の概要について示す。
本実施形態の製造方法では、例えば、炭素材料と酸化還元酵素とを含む懸濁液を調製し、この懸濁液を塗布すること(後述)、炭素材料と酸化還元酵素とを含む粉末を調整し、これら粉末を基材に付与すること、炭素材料と酸化還元酵素とを含むペースト状のゾルを調整し、このゾルを基材に付与すること等によって行うことができる。
以下、本発明により得られる効果について記載する。
従来の酵素電極の製造方法としては、ナノカーボンや微粒子状炭素等の炭素材料を多孔質の構造体に成形し、その後、この多孔質の構造体に酵素溶液を与えることによって炭素材料に酵素を吸着させる製造方法や、カーボンナノチューブに脱気処理や界面活性剤による処理等の前処理工程を行い、その後、前処理後のカーボンナノチューブを酵素溶液に浸漬する酵素包含工程を行う製造方法等が挙げられる。
しかしながら、これらの従来の製造方法は、複数段階の工程を必然的に含むこととなるため、全体的な工程が煩雑となり、余分な製造コストが発生する。
本実施形態の製造方法によれば、前述の通り、酸化還元酵素と炭素材料との混合物の電極基材上における塗布・乾燥を、一段階の工程で行うことができるため、簡便に且つ低コストで酵素電極を製造することができる。
また、上記従来の酵素電極の製造方法では、電極の骨格をなす炭素材料の形状に従って電極の形状も自ずと定まってしまう。一方、本実施形態の製造方法によれば、酵素電極を成形する工程(後述)を含めることが可能になる。この点、従来の酵素電極の製造方法とは一線を画している。
本実施形態の製造方法では、図1に示すように、酵素電極を成形する、電極成形工程を含むことが可能である。なお、本発明の酵素電極の製造方法では、これに限定されることなく、電極成形工程を含んでいなくてもよい。
[[電極成形工程]]
この工程では、例えば、基材上に所望の形状を下書きしておき、その後、この下書きに従って炭素材料を酵素存在下で基材に付与することによって、酵素電極を成形することができる。また、例えば、基材上に所望の形状の溝を形成しておき、その後、この溝に炭素材料を酵素存在下で付与することによって、酵素電極を成形することができる。
更に、この工程は、印刷技術を用いて行うこともでき、例えば、コンピュータを用いて、炭素材料を酵素存在下で所望の形状をなすように基材に付与することによって、酵素電極を成形することができる。
以下、図1に示す本実施形態の製造方法について更に詳細に例示説明する。
ここで、本実施形態の製造方法では、図1に示すように、酸化還元酵素に加えて、炭素材料どうしを結合する結合分子A、及び炭素材料と酸化還元酵素とを結合する結合分子Bが存在する条件としている。
上記結合分子A及び上記結合分子Bは共に、溶液中における電極の構造を安定化させる効果(後述)を示す。
また、本実施形態の製造方法において、特に、炭素材料と酸化還元酵素とを結合する結合分子Bが存在する条件とすれば、下記の効果を得ることができる。
前述の通り、酸化還元酵素と炭素材料との混合物の電極基材上における塗布・乾燥を、一段階の工程で行う手法は、酵素電極の製造において大きな意義を有するが、これまで殆ど検討されてこなかった。
上記手法としては、微細な炭素材料と酵素とを含む溶液を調製することが考えられる。
ここで、単にこれらを混合した溶液を基材に塗布・乾燥させる場合、そもそも、カーボンナノチューブ等の微細な炭素材料の表面は疎水性であるため、炭素材料と酵素とは、吸着することなく、酵素電極を形成しない。また、これを踏まえて、炭素材料と酵素とを水中にて互いに吸着させた状態で含む溶液を調製することが考えられるが、炭素材料と酵素とを互いに吸着させるためには、炭素材料を界面活性剤溶液に超音波を与えながら浸漬する処理等を要することがあり、この場合、酵素は超音波処理により変性・失活してしまう。
本実施形態の製造方法において上記結合分子Bを用いれば、製造中における酸化還元酵素の失活の虞を低減することができ、簡便に且つ低コストで酵素電極を製造するという本発明の効果が得られやすい。
なお、図1に示す本実施形態の製造方法では、結合分子A及び結合分子Bの両方が存在する条件としているが、本発明の製造方法では、これに限定されることなく、結合分子A及び結合分子Bからなる群から選択される少なくとも1つの結合分子が存在する条件が、好ましい条件となり、また、結合分子Bよりも結合分子Aが存在することが好ましい(後述)。
具体的には、本実施形態の製造方法では、炭素材料と酸化還元酵素とを含む懸濁液を用いることが好ましい。懸濁液を用いることによって、本発明の酵素電極の製造方法が実施しやすくなる。
特に、この実施形態の製造方法では、図1に示すように、炭素材料と酸化還元酵素とを含む懸濁液を調整する懸濁液調整工程と、懸濁液を基材に塗布する懸濁液塗布工程とを含む。
[[懸濁液調整工程]]
この工程では、例えば、水中に、炭素材料と、酸化還元酵素と、任意選択的に結合分子とを加えて、懸濁液を調製する。
懸濁させる手法としては、攪拌機を用いた撹拌、ピペットやシリンジによるピペッティング、ミキサー等の懸濁液を含む容器を揺らす(振盪させる)ことによる撹拌、棒状の機器等を用いて懸濁液をかき混ぜることによる撹拌等が挙げられる。このとき、懸濁液に超音波処理を実質的に行うことなく、炭素材料と酸化還元酵素とを酵素電極が活性を発揮するのに適した環境にすることができる。
[[懸濁液塗布工程]]
この工程では、塗布は、例えば、ヘラ等を用いて手で行う手法、印刷技術を用いて機械で行う手法等が挙げられる。
印刷技術としては、例えば、印刷機を用いて、版に直接又は間接的に用紙を当てて、ここに圧力をかけて印字するタイプのプレス、版を用いないタイプのプリント(インクジェットプリント等)が挙げられ、懸濁液はある程度の粘度を有するため、プレスが好ましい。なお、プレスにて用いられる版としては、凸版、平版、凹版、(スクリーン印刷等に用いる)孔版等が挙げられる。
懸濁液における炭素材料の含有量としては、0.01〜5mg/mLとしてよく、0.1〜1mg/mLとすることが好ましい。
懸濁液における酸化還元酵素の含有量としては、0.05〜50mg/mLとしてよく、0.5〜10mg/mLとすることが好ましい。
懸濁液における結合分子Aの含有量としては、0.005〜5重量%としてよく、0.01〜1重量%とすることが好ましい。
懸濁液における結合分子Bの含有量としては、1〜100mMとしてよく、2〜200mMとすることが好ましい。
懸濁液の粘度としては、基材への塗布を容易にする観点、及び印刷技術を用いた塗布を容易にする観点から、1Pa・s以上であることが好ましく、20Pa・s以上であることが更に好ましく、また、1000Pa・s以下であることが好ましく、100Pa・s以下であることが更に好ましい。
なお、上記懸濁液調整工程及び上記懸濁液塗布工程を含む本実施形態の製造方法では、図1に示す通り、前述の電極成形工程は、懸濁液塗布工程に含まれる。
[凍結乾燥工程]
本実施形態の製造方法では、任意選択的に、例えば、前述の電極成形工程に次いで、酵素電極を凍結乾燥させてもよい(凍結乾燥工程)。
この工程では、例えば、酵素電極を液体窒素に含浸した後、これを凍結乾燥機に入れて減圧条件下で乾燥させることによって行うことができる。
ここで、本実施形態の製造方法では、図1に示すように、前述の懸濁液塗布工程において、酸化還元酵素に加えて、トレハロースが存在する条件としている。
トレハロース存在下で酵素電極を凍結乾燥させれば、酸化還元酵素の凍結時及び融解時に触媒活性を失うことを防ぐ効果を得ることができる(後述)。
前述の懸濁液におけるトレハロースの含有量としては、1〜30重量%としてよく、5〜20重量%とすることが好ましく、例えば、10重量%とすることができる。
以下、本発明の実施形態に係る酵素電極の製造方法に用いられる各要素について詳細に記載する。
−炭素材料−
本実施形態の製造方法において用いられる炭素材料としては、カーボンナノチューブ(以下、CNTともいう。)、グラフェン、フラーレン等のナノカーボン;ケッチェンブラック(活性炭粒子)、カーボンファイバ等の微粒子状炭素;及びこれらの混合物等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
ナノカーボンとしては、CNTが好ましい。
CNTは、単層CNT(SWCNT)及び多層CNT(MWCNT)のいずれであってもよく、SWCNTの具体例としては、CoMoCAT(登録商標)(South West Nano Technologies社製)が挙げられ、MWCNTの具体例としては、Baytubes(登録商標)(Bayer Material Science社製)が挙げられる。
CNTは、酵素電極の導電率を向上させる観点、及び電極基材の比表面積を高くする観点から、SWCNTであることが好ましい。
CNTの平均長さは、酵素電極に高い導電率を与える観点、及び電極構造に高い機械的強度を与える観点から、50nm以上としてよく、1μm以上とすることが好ましく、また、2mm以下としてよく、5μm以下とすることが好ましい。
CNTの平均直径は、電極基材の比表面積を高めて、酵素電極に固定できる酵素量を増やす観点から、0.5nm以上としてよく、1nm以上とするのが好ましく、また、1μm以下としてよく、200nm以下とすることが好ましい。
CNTの比表面積は、酵素電極に固定できる酵素量を増やす観点から、10m/g以上とすることが好ましく、600m/g以上とすることが更に好ましく、また、2000m/g以下としてよく、1000m/g以下とすることが好ましい。
SWCNTの製造方法としては、特に限定されることなく、化学気相合成法(CVD法)、アーク放電法、レーザーアブレーション法等が挙げられ、特に、平均長さを比較的大きくする観点から、スーパーグロース法が好ましい。
スーパーグロース法とは、表面にCNT製造用触媒層を有する基材上に、原料化合物及びキャリアガスを供給して、化学的気相成長法(CVD法)によりCNTを合成する際に、系内に微量の酸化剤を存在させることで、CNT製造用触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法である(国際公開第2006/011655号参照)。この方法では、基材表面への触媒層の形成をウェットプロセスにより行い、原料ガスとしてアセチレンを主成分とするガスを用い、フォーメーション工程、成長工程及び冷却工程のそれぞれ行う各ユニットを連結してなる連続式のCNT製造装置を用いることによって、SWCNTを効率的に製造することができる。
本願明細書では、スーパーグロース法により製造されたSWCNTを、特に、SGCNTともいう。
微粒子状炭素としては、ケッチェンブラックが好ましい。
微粒子状炭素の平均粒径としては、10nm以上としてよく、1μm以下としてよい。
−酸化還元酵素−
本実施形態の製造方法において用いられる酸化反応を触媒する酵素としては、例えば、フルクトースデヒドロゲナーゼ(D−Fructose Dehydrogenase,FDH)、グルコースオキシダーゼ(Glucose Oxydase,GOD)、グルコースデヒドロゲナーゼ(Glucose Dehydrogenase,GDH)、アルコールオキシダーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、乳酸オキシダーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ等の酸化還元酵素が挙げられる、特に、pHに対する耐性を有し、メディエータを必要としないという理由により、フルクトースデヒドロゲナーゼ(FDH)が好ましい。これらの酵素は、酵素電極を含むバイオ電池において陰極(アノード)に担持される。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
本実施形態の製造方法において用いられる還元反応を触媒する酵素としては、例えば、ビルリビンオキシダーゼ(Bilirubin Oxidase、BOD)、ラッカーゼ、Cu efflux oxidase(Cueo)、アスコルビン酸オキシダーゼ等が挙げられ、特に、pHや塩化物イオン等に対する耐性の観点から、ビリルビンオキシダーゼ(BOD)が好ましい。これらの酵素は、酵素電極を含むバイオ電池において陽極(カソード)に担持される。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
−基材−
本実施形態の製造方法において用いられる基材としては、特に限定されることなく、プラスチック、金属、炭素、セラミック、ガラス、紙、木材、これらの材料を用いてなる成形体(例えば、板、布、棒、紐、繊維、フィルム、その他固形物等)等が挙げられる。また、上記基材の表面に酵素電極以外の電極が予め配置されているものも基材としてよい。
−結合分子−
本実施形態の製造方法において用いられる結合分子としては、炭素材料どうしを結合する結合分子A、及び炭素材料と酸化還元酵素とを結合する結合分子Bからなる群から選択される少なくとも1つの結合分子である。
結合分子A及び結合分子Bは共に電極の構造を安定化させる効果を示し、例えば、湿潤環境下でも電極の構造を維持することが可能となる。結合分子としては、本発明の効果を効率的に得る観点から、結合分子Bよりも結合分子Aを用いることが好ましく、本発明の効果を更に効率的に得る観点から、結合分子A及び結合分子Bの両方を用いることが更に好ましい。
炭素材料どうしを結合する結合分子Aとしては、置換又は非置換の飽和又は不飽和の脂肪族又は芳香族の炭化水素としてよく、炭素材料の表面との間でπ−π相互作用(π−πスタッキング)による結合力を示す分子であることが好ましい。
炭素材料の表面との間でπ−π相互作用による結合力を示す分子としては、具体的には、π−π相互作用を生じやすい芳香族基(フェニル基、ナフチル基、ピレニル基、フェナントレニル基、アントラセニル基等の芳香族炭化水素基;イミダゾール基、ピラゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、ピラジン基、キノリン、イソキノリン等の複素芳香族基)を有する小分子又は高分子であることが好ましい。ここで、高分子としては、ポリオレフィン、ポリエーテル等が挙げられる。高分子の重量平均分子量は、500〜500000としてよく、5000〜50000であることが好ましい。
脂肪族の炭化水素としては、フッ素置換された炭化水素が好ましく、かかる例としては、ナフィオン(登録商標)が挙げられる。
より具体的には、結合分子Aとしては、水溶性や入手容易性の観点から、ポリビニルイミダゾール(PVI)、ポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)、ナフィオン(登録商標)が好ましく、高い出力を得る観点から、PVI、ポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)が特に好ましい。
結合分子Aは、電極の構造を安定化させる効果を有する。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
特に、PVIは、水溶液中においてCNTとの間でのπ−π相互作用を可能にする。より詳細には、PVIは、水溶性が高く、イミダゾール基と炭素材料との間の物理吸着により水への分散性を高める効果を示すのに加えて、凍結乾燥後の酵素電極において炭素材料どうしの接着性を高めて、電極の構造を安定化させる効果も示す。また、ポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)も、同様に、フェニル基と炭素材料との間の物理吸着を生じさせると共に、炭素材料どうしの接着性を高める効果を示す。
炭素材料と酸化還元酵素とを結合する結合分子Bとしては、炭素材料の表面との間でπ−π相互作用による結合力を示しつつ、酵素を構成するアミノ酸側鎖に存在する官能基(アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等)と反応することによって酵素との間で共有結合し得る分子であることが好ましく、具体的には、前述の芳香族基を有しつつ、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル基、アルデヒド基、エポキシ基、マレイミド基、カルボジイミド基、ヒドラジド基等を有する小分子又は高分子であることが好ましく、より具体的には、1−Pyrenebutyric acid N−hydroxysuccinimide ester(1−ピレン酪酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)(PBSE)、N−ベンゾイルオキシスクシンイミド、4,4’−[(8,16−Dihydro−8,16−dioxodibenzo[a,j]perylene−2,10−diyl)dioxy] dibutyric acid di(N−succinimidyl esterが好ましく、酵素活性への影響の観点から、PBSE、N−ベンゾイルオキシスクシンイミドが特に好ましい。結合分子Bも、電極の構造を安定化させる効果を有する。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
特に、PBSEは、ピレニル基が炭素材料との間の物理吸着を生じさせつつ、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル基が酵素のアミノ基と反応することによって酵素を炭素材料表面に固定化する。また、N−ベンゾイルオキシスクシンイミドは、フェニル基が炭素材料と物理吸着しつつ、スクシンイミドエステル基が酵素を炭素材料表面に固定化する。
本実施形態の製造方法では、結合分子Aとして、前述のPVIの代わりに、下記式で表される、オスミウム錯体(Os(bpy)Cl)(式中、bpyは、ビピリジンを表す。)で修飾したPVI(PVIの側鎖の一部でオスミウムがイミダゾール部の3位において結合しているPVI)(以下、「PVI−Os」ともいう。)を用いることもできる。なお、式中のm及びnについて、特に限定されることなく、例えば、m:n=100:1〜1:100としてよい。
Figure 2016129273
上記式で表されるオスミウム錯体は、前述の酸化反応を触媒する酵素のうちメディエーター(補酵素)を必要とする酵素(例えば、GOD等)に対して、メディエーターとして機能することができる。このとき、例えば、GODがグルコースを酸化することによって生じた電子が、オスミウム錯体部分に伝達され、その電子が炭素材料に伝達される。
そのため、結合分子AとしてPVI−Osを用いれば、本実施形態の製造方法において用いることができる酸化反応を触媒する酵素の範囲を拡大することが可能となる。
−水−
水としては、例えば、超純水等が挙げられる。
−トレハロース−
本実施形態の製造方法において用いられるトレハロースは、グルコース2分子がα,α−1,1結合した非還元性の二糖の一種であり、極めて高い親水性を備える。
トレハロースは、自然界に広く存在しており、藻類、細菌類、真菌類、酵母、昆虫、無脊椎動物等の生物において、エネルギー源として利用されているだけではなく、外界からのストレス(乾燥、凍結、高浸透圧、熱等)に対して働いている分子である。
例えば、高濃度(1M)のトレハロース溶液に酸化還元酵素を含む酵素電極を含浸させ、その後、酵素電極を凍結乾燥させることによって、酸化還元酵素の凍結時及び融解時に、高次構造が破壊されてしまい、触媒活性を失うことを防ぐことができる。トレハロースのヒドロキシル基が水の昇華の際に水分子の代わりに酵素と水素結合を担い、酵素の高次構造の破壊が防がれるため、また、水の昇華の過程で濃縮されたトレハロース分子により酵素が保護されたためであると考えられる。
(酵素電極)
本発明の実施形態に係る酵素電極(以下、「本実施形態の酵素電極」ともいう。)は、炭素材料と、酸化還元酵素と、炭素材料どうしを結合する結合分子A、及び炭素材料と酸化還元酵素とを結合する結合分子Bからなる群から選択される少なくとも1つの結合分子とを含む、ことを特徴とする。
本実施形態の酵素電極は、本発明の実施形態に係る酵素電極の製造方法により製造されるものとしてよい。
本実施形態の酵素電極は、前述の本実施形態の製造方法において用いられる基材も含んでいるが、本発明の酵素電極は、これに限定されることなく、基材を含んでいなくてもよい。
従来の酵素電極の製造方法により製造される酵素電極としては、ナノカーボンや微粒子状炭素等の炭素材料を多孔質の構造体に成型し、その後、この多孔質の構造体に酵素溶液を与えることによって炭素材料に酵素を吸着させる製造方法により製造される酵素電極が挙げられる。
しかしながら、この酵素電極は、炭素材料への酵素吸着の均一性が得られにくく、酵素電極の性能の再現性が得られにくい傾向がある。
本実施形態の製造方法により製造される酵素電極によれば、製造中に炭素材料どうしの隙間に酵素溶液を十分に行き渡らせることが可能であるため、炭素材料に酵素を均一に吸着させることができ、再現よく酵素電極の性能を得ることができる。
また、従来の酵素電極の製造方法により製造される酵素電極としては、酵素粉末とCNT粉末とを混合してなる混合物を加圧条件下で押し固める(プレスする)製造方法により製造されるペレット形状の酵素電極も挙げられる。
しかしながら、この酵素電極は、CNT等の炭素材料の崩壊や酵素の漏出の虞が高く、酵素電極の構造の安定性が低い傾向がある。
本実施形態の製造方法により製造される酵素電極によれば、炭素材料どうしの間、及び/又は炭素材料と酸化還元酵素との間に存在する結合分子の働きにより、酵素電極の構造の安定性を高めることができる。
本実施形態の酵素電極を構成する、炭素材料、酸化還元酵素、結合分子A、結合分子Bの詳細については、本実施形態の酵素電極の製造方法において記載した通りとしてよい。
乾燥状態における本実施形態の酵素電極における各要素の含有量としては、炭素材料の含有量は、酵素電極全体を100重量%として、0.1〜10重量%としてよく、0.5〜5重量%であることが好ましい。
酸化還元酵素の含有量としては、酵素電極全体を100重量%として、0.1〜20重量%としてよく、1〜10重量%であることが好ましい。
結合分子Aの含有量としては、酵素電極全体を100重量%として、0.1〜10重量%としてよく、0.5〜5重量%であることが好ましい。
結合分子Bの含有量としては、酵素電極全体を100重量%として、0.1〜20重量%としてよく、1〜10重量%であることが好ましい。
本実施形態の酵素電極は凍結乾燥されていることが好ましく、凍結乾燥状態における個本実施形態の酵素電極の含水量としては、酵素電極全体を100重量%として、10重量%以下としてよく、4重量%以下であることが好ましく、1重量%以下であることが好ましい。
前述の通り、本実施形態の酵素電極は、トレハロースを更に含むことが好ましい。
この場合、乾燥状態における本実施形態の酵素電極におけるトレハロースの含有量としては、酵素電極全体を100重量%として、10〜98重量%としてよく、70〜95重量%であることが好ましい。
バイオセンサやバイオ電池(バイオ燃料電池)に用いられる酵素電極は、通常、使い捨てであるため、少ない工程で安価に生産する必要がある。本実施形態の酵素電極の製造方法により得られる生産の効率及びコストの面でのメリットは大きい。また、特に、本実施形態の酵素電極の製造方法は、印刷技術に適用することが可能であるため、現在急速に進んでいるプリンタブルエレクトロニクスの製造プロセスとの融合が可能となり、バイオセンサやバイオ電池の使途拡大に大きな貢献をもたらす。
本実施形態の酵素電極は、医療、食品、環境分野において、例えば、バイオセンサやバイオ電池のコア部品として、好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
A.酵素電極の作製
A−1.電極の素材
炭素材料として、SGCNT(平均長さ:200μm、産業技術総合研究所ナノチューブ応用研究センターから提供されたもの)を用いた。
酸化還元酵素として、酸化反応を触媒する酵素である、フルクトース脱水素酵素(D−フルクトースデヒドロゲナーゼ(FDH)、Gluconobacter由来、EC番号:1.1.99.11、20U/mg、東洋紡社製)を用いた。
基材として、セラミック製の板状部材を用いた。
結合分子Aとして、合成したポリビニルイミダゾール(PVI)(分子量:約60000)を用いた。
結合分子Bとして、1−ピレン酪酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(PBSE)(品番:457078、Sigma Aldrich社製)を用いた。
水としては、超純水を用いた。
トレハロースとしては、1トレハロース二水和物(品番:204−18451、和光純薬工業株式会社製)を用いた。
本実施例で使用した緩衝溶液は以下の手順で調製した。
50mM クエン酸−リン酸緩衝液(McIlVaine buffer solution、MAC buffer、pH 5.0):0.1M クエン酸溶液、及び0.2M NaHPO溶液を、脱イオン水を用いて調製し、0.1 Mクエン酸溶液242.5mLと、0.2M NaHPO溶液257.5mLとを混合することによって、50mM MAC bufferを得た。
50mM リン酸緩衝液(Phosphate buffer solution、PBS buffer、pH 7.0):0.1M KHPO溶液を、脱イオン水を用いて調製し、この溶液500mLに2M NaOH溶液14.5mLを加え、その後、溶液を、蒸留水を用いて1000mLまで希釈することによって、50mM PBS bufferを得た。
以下では、これらの緩衝液を適宜希釈して用いた。
A−2.酵素電極の調製及び凍結乾燥
25mM MAC buffer(pH 5.0)に、PVI(終濃度(なお、終濃度とは、基材への塗布時の分散溶液中での濃度を指す。以下同じ。):0.1重量%)、1トレハロース二水和物(終濃度:10.0重量%)、SGCNT(終濃度:1mg/mL)を、この順番で加え、この溶液に超音波処理を10分間行うことによって、SGCNTを溶液中に分散させた。
次いで、上記分散溶液に、1M PBSE DMSO溶液を、PBSEの終濃度が20mMとなるように加え、この溶液を50回のタッピングにより混合した。その後、混合後の溶液をそのまま1時間静置させて、PBSEのピレニル基とSGCNTとの間で物理吸着を生じさせ、SGCNTをPBSEで修飾した。
その後、50mM MAC bufferを用いて、100mg/mLのFDH溶液を調製した。上記分散溶液に、このFDH溶液をFDHの終濃度が5mg/mLとなるように加え、この溶液を50回のタッピングにより混合した。その後、混合後の溶液をそのまま1時間静置させて、PBSEのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル基を酵素のアミノ基と反応させ、SGCNT表面に酵素を固定化した。
基材上に、上記分散溶液5μL(約5.5mg)を、所望の形状をなすように、塗布した。
その後、このSGCNT及びFDHを含むプラスチック板を、常温で10分間静置させて余分な水分を除去することによって、半乾き状態にした。
こうして、SGCNT及び酸化反応を触媒する酵素(FDH)を含む負極(アノード)用酵素電極を作製した。
そして、上記プラスチック板を、液体窒素に5分間程度浸漬することによって、瞬間凍結させ、その後、凍結乾燥機(品番:ALPHA 2−4 LSC、CHRiST社製(久保田商事))を用いて5時間以上乾燥させた。
こうして、凍結乾燥した酵素電極を得た。酵素電極の重量は約0.56mgであった。
B.出力性能測定
作製した電極に対して、3極式電気化学測定システム(品番:730C electrochemical analyzer、BAS社製)を用いて、出力性能の評価を行った。
具体的には、掃引電位:−0.2〜0.6V、掃引速度:10mV/sの条件でのサイクリックボルタンメトリー(Cyclic voltammetry、CV)、及び0.5Vに電位を固定した条件でのクロノアンペロメトリー(電極活性の安定性評価)を行った。
参照電極にAg/AgCl(飽和KCl)を、対極に白金電極を用いた。また、100mM MAC bufferを用いて調製した、0.2M フルクトース溶液を測定溶液として用いた。コントロールとして、フルクトースを含まない100mM MAC bufferを用いた。
なお、上記測定の全ては溶液を撹拌しながら行った。また、上記測定は、実施例1及びコントロールについてそれぞれ2回行った。
上記両測定において電流密度を求めるための面積(cm)には、酵素電極の基材である板状の部材の面積(片面のみ)(直径4mmの円の面積として計算)を用いた。
実施例1のCVの結果を図2に示す(実施例1については実線で示し、コントロールについては破線で示す)。横軸に掃引電位(V)を示し、縦軸に電流密度(mA/cm)を示す。
図2に示す通り、実施例1の場合、最大で1.5mA/cm(掃引電位:0.6Vにおいて)の電流密度が観測された。この値は、従来の報告に記載される値と遜色のない値であった。一方、コントロールの場合、電流密度はほぼ0mA/cmであった。
実施例1のクロノアンペロメトリーの結果を図3に示す。横軸に経過時間(時間)を示し、縦軸に電流密度(mA/cm)を示す。
酵素電極を測定溶液に浸した直後の数分間、電流密度の増加が観測された。これは、乾燥状態の酵素電極がフルクトース溶液で湿潤するに従って、反応に関わる酵素が増大していったことを示すと思われる。その後、電流密度は、徐々に低下するものの、10時間後であっても1mA/cm以上(初期電流の80%以上)を保持していた。結合分子の働きにより電極からの酵素の漏出が防がれ、酵素電極の構造が安定していたためと考えられる。
(実施例2、実施例3)
結合分子であるPVI及びPBSEの有無の酵素電極の出力性能に対する影響について調べた。
(実施例2)
結合分子としてPVI及びPBSEの両方を用いる代わりに、PVIのみを用いたこと以外は、実施例1の場合と同様に、酵素電極を作製し、クロノアンペロメトリーにより出力性能を測定した。
(実施例3)
結合分子としてPVI及びPBSEの両方を用いる代わりに、PVI及びPBSEの両方とも用いなかったこと以外は、実施例1の場合と同様に、酵素電極を作製し、クロノアンペロメトリーにより出力性能を測定した。
実施例2、3の結果を図4に示す。横軸に経過時間(時間)を示し、縦軸に電流密度(mA/cm)を示す。なお、図4には、実施例1の結果も再掲する。実施例1についは実線で示し、実施例2については一点鎖線で示し、実施例3については交差点で示す。
実施例2の場合、酵素電極の構造の崩れは、目視観察では認められず、CNTどうしの結合は保持されているものと考えられる。しかしながら、図4に示す通り、酵素電極の活性は、実施例1の場合と比較して小さく、また、時間経過による活性の低下の程度も大きい。これは、実施例2の場合、CNTとFDHの炭素材料表面への固定化を行っていないため、多量の酵素が漏出してしまったためと考えられる。
実施例3の場合、酵素電極を測定溶液に浸した直後には、乾燥状態の酵素電極がフルクトース溶液で湿潤する様子が観察され、また、図4に示す通り、電流密度の増加が観測された。しかしながら、図4に示す通り、その後1分程度で、電流が観測されなくなった。そして、実施例3の場合、目視観察により、酵素電極の構造がフルクトース溶液の湿潤が進むに従って崩れ、CNT等が溶液中に散逸することがわかった。
(実施例4〜実施例6)
炭素材料としてSGCNT以外のものを用いた場合の酵素電極の出力性能について調べた。
なお、測定は、実施例4〜6及びそれぞれのコントロールについてそれぞれ2回行った。
(実施例4)
炭素材料としてSGCNTを用いる代わりに、単層カーボンナノチューブ(平均長さ:1μm、Single−Walled Carbon Nanotube(SWCNT)、品番:704121、South West Nano Technologies社製)を用いたこと以外は、実施例1の場合と同様に、酵素電極を作製し、サイクリックボルタンメトリー及びクロノアンペロメトリーにより出力性能を測定した。
(実施例5)
炭素材料としてSGCNTを用いる代わりに、多層カーボンナノチューブ(平均長さ:5μm、Multi−Walled Carbon Nanotube(MWCNT)、品番:C70P、Bayer Material Science社製)を用いたこと以外は、実施例1の場合と同様に、酵素電極を作製し、サイクリックボルタンメトリー及びクロノアンペロメトリーにより出力性能を測定した。
(実施例6)
炭素材料としてSGCNTを用いる代わりに、ケッチェンブラック(Ketjenblack(KB)、品番:EC−600JD、Ketjen Black International社製)を用いたこと以外は、実施例1の場合と同様に、酵素電極を作製し、サイクリックボルタンメトリー及びクロノアンペロメトリーにより出力性能を測定した。
実施例4〜実施例6におけるサイクリックボルタンメトリーの結果及びクロノアンペロメトリーの結果を、それぞれ図5(a)及び図5(b)〜図7(a)及び図7(b)に示す(実施例4〜6についてはそれぞれ実線で示す。なお、実施例5のCVの結果についてのみコントロールについて破線で示す)。いずれの図においても、(a)では、横軸に掃引電位(V)を示し、縦軸に電流密度(mA/cm)を示し、(b)では、横軸に経過時間(時間)を示し、縦軸に電流密度(mA/cm)を示す。
まず、実施例4(SWCNT)及び実施例5(MWCNT)の場合、最大で1mA/cm前後の電流密度(掃引電位:0.6Vにおいて)が観測された(図5(a)及び図6(a)参照)。また、電流密度は、酵素電極を測定溶液に浸してから10時間後においても0.6mA/cm以上を保持しており、明らかに結合分子の効果が見受けられた(図5(b)及び図6(b)参照)。
また、実施例6(KB)の場合、酵素電極の構造の崩れは、目視観察では認められず、結合分子の効果がうかがえた。しかしながら、実施例6の場合、電流密度の値、及びその時間経過の様子から、酵素電極の活性は、酵素電極を測定溶液に浸してから10時間後においてもある程度保持されるものの、酵素電極の構造の安定性の点において、実施例4及び実施例5のCNTの場合と比較して、劣っていることがわかった(図7(a)及び図7(b)参照)。
但し、実施例4〜実施例6のいずれの場合でも、結合分子を用いないコントロールの場合には、酵素電極を測定溶液に浸すと同時に酵素電極の構造が崩れる様子が観察された(図示せず)。この点、実施例4〜実施例6のいずれの場合でも、10時間後にも活性を有していたことから、結合分子の効果が確認されたと言える。
炭素材料の種類が酵素電極の性能に与える影響は、炭素材料の形状と結晶性から議論可能である。
最も優れた性能が得られた実施例4(SGCNT)では、平均長さが200μmと極端に長いことからアスペクト比が高い形状であるため、炭素材料どうしが互いに絡み合う構造が形成され、結合分子が有効に効果を発揮できると考えられる。一方、平均長さが比較的短いCNTを用いた実施例5や、微粒子状炭素を用いた実施例6では、炭素材料間の結合が比較的生じにくいと考えられる。
更に、結合分子(PVI及びPBSE)は、炭素材料の表面の特にグラファイト構造に対してπ−π相互作用により結合するため、結晶性の低い炭素材料であるKBでは、結合分子の効果が表れにくいと考えられる。
(実施例7)
結合分子AとしてPVIを用いる代わりに、ポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)(品番: 243051、Sigma Aldrich社製)を用いたこと以外は、実施例1の場合と同様に、酵素電極を作製し、サイクリックボルタンメトリー及びクロノアンペロメトリーにより出力性能を測定した。
実施例7のサイクリックボルタンメトリーの結果及びクロノアンペロメトリーの結果を、それぞれ図8(a)及び図8(b)に示す(実施例7については実線で示す。なお、CVの結果についてのみコントロールについて破線で示す)。(a)では、横軸に掃引電位(V)を示し、縦軸に電流密度(mA/cm)を示し、(b)では、横軸に経過時間(時間)を示し、縦軸に電流密度(mA/cm)を示す。
実施例7の場合、最大の電流密度が0.12mA/cmであり、酵素電極の活性は実施例1の場合と比較して低いものの、電極として機能することが示された。また、10時間後においても電流密度が0.07mA/cm以上を保持しており、酵素電極の耐久性も維持できることが示された。
(実施例8)
結合分子AとしてPVIを用いる代わりに、ナフィオン(登録商標)(品番:527122、Nafion perfluorinate resin solution 20wt%)を用いたこと以外は、実施例1の場合と同様に、酵素電極を作製し、酵素電極を作製し、サイクリックボルタンメトリー及びクロノアンペロメトリーにより出力性能を測定した。
実施例8のサイクリックボルタンメトリーの結果及びクロノアンペロメトリーの結果を、それぞれ図9(a)及び図9(b)に示す(実施例8については実線で示す。なお、CVの結果についてのみコントロールについて破線で示す)。(a)では、横軸に掃引電位(V)を示し、縦軸に電流密度(mA/cm)を示し、(b)では、横軸に経過時間(時間)を示し、縦軸に電流密度(mA/cm)を示す。
実施例8の場合、最大の電流密度が0.18mA/cmであり、酵素電極の活性は実施例1の場合と比較して低いものの、電極として機能することが示された。また、10時間後においても電流密度が0.15mA/cm以上を保持しており、酵素電極の耐久性も維持できることが示された。
(実施例9)
結合分子BとしてPBSEを用いる代わりに、N−ベンゾイルオキシスクシンイミド(品番: 774324、Sigma Aldrich社製)を用いたこと以外は、実施例1の場合と同様に、酵素電極を作製し、酵素電極を作製し、サイクリックボルタンメトリー及びクロノアンペロメトリーにより出力性能を測定した。
実施例9のサイクリックボルタンメトリーの結果及びクロノアンペロメトリーの結果を、それぞれ図10(a)及び図10(b)に示す(実施例9については実線で示す。なお、CVの結果についてのみコントロールについて破線で示す)。(a)では、横軸に掃引電位(V)を示し、縦軸に電流密度(mA/cm)を示し、(b)では、横軸に経過時間(時間)を示し、縦軸に電流密度(mA/cm)を示す。
実施例9の場合、最大の電流密度が1.5mA/cmであり、酵素電極の活性は実施例1の場合と同等程度に高いことが示された。
また、10時間後においても電流密度が0.7mA/cm以上を保持しており、酵素電極の耐久性も維持できることが示された。
(実施例10)
結合分子としてメディエーター部を有するものを用いた場合について調べた。
なお、測定は、実施例10及びコントロールについてそれぞれ2回行った。
結合分子としてPVIの代わりに、合成したPVI−Os(分子量:約120000、m:n=5:1)を用いたこと、FDHの代わりに、グルコースオキシダーゼ(GOD、EC番号:1.1.3.4、240U/mg、東洋紡社製)を用いたこと以外は、実施例1の場合と同様に、酵素電極を作製し、サイクリックボルタンメトリー及びクロノアンペロメトリーにより出力性能を測定した。
実施例10では、50mM PBSを用いて調製した0.2M グルコースを測定溶液として用いた。コントロールとして、グルコースを含まない100mM MAC bufferを用いた。
実施例10におけるサイクリックボルタンメトリーの結果及びクロノアンペロメトリーの結果を、図11(a)及び(b)に示す(実施例10については実線で示す。なお、CVの結果についてのみコントロールについて破線で示す)。図11(a)では、横軸に掃引電位(V)を示し、縦軸に電流密度(mA/cm)を示し、図11(b)では、横軸に経過時間(時間)を示し、縦軸に電流密度(mA/cm)を示す。
図11(a)に示す通り、実施例10の場合、最大で0.25mA/cm(掃引電位:0.6Vにおいて)の電流密度が観測された。
また、図11(b)に示す通り、実施例10においても、実施例1の場合と同様に、酵素電極を測定溶液に浸した直後の数分間、電流密度の増加が観測され、その後、電流密度は、徐々に低下するものの、10時間後であっても初期電流密度の80%程度を保持していた。
この結果から、PVI−Osが、結合分子Aとしての機能に加えて、GODのメディエーターの機能をも発揮できることが示された。
本発明によれば、簡便に且つ低コストで酵素電極を製造することができる。
本発明の製造方法により製造される本発明の酵素電極は、医療、食品、環境分野において、例えば、バイオセンサやバイオ電池(バイオ燃料電池)のコア部品として、好適に用いることができる。

Claims (21)

  1. 炭素材料を、酸化還元酵素が存在する条件下で、基材に付与することによって、炭素材料及び酸化還元酵素を含む酵素電極を得ることを特徴とする、酵素電極の製造方法。
  2. 前記酵素電極を成形する、電極成形工程を含む、請求項1に記載の酵素電極の製造方法。
  3. 前記電極成形工程において、印刷技術を用いる、請求項2に記載の酵素電極の製造方法。
  4. 前記炭素材料と前記酸化還元酵素とを含む懸濁液を調整する、懸濁液調整工程と、
    前記懸濁液を前記基材に塗布する、懸濁液塗布工程と
    を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の酵素電極の製造方法。
  5. 前記酸化還元酵素に加えて、前記炭素材料どうしを結合する結合分子A、及び前記炭素材料と前記酸化還元酵素とを結合する結合分子Bからなる群から選択される少なくとも1つの結合分子が更に存在する条件とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の酵素電極の製造方法。
  6. 前記結合分子は、前記結合分子Aである、請求項5に記載の酵素電極の製造方法。
  7. 前記結合分子は、前記結合分子A及び前記結合分子Bである、請求項5に記載の酵素電極の製造方法。
  8. 前記結合分子Aは、芳香族基を有する小分子又は高分子、フッ素置換された炭化水素からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項5〜7のいずれか一項に記載の酵素電極の製造方法。
  9. 前記結合分子Aは、ポリビニルイミダゾール(PVI)、ポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)、ナフィオン(登録商標)からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項8に記載の酵素電極の製造方法。
  10. 前記結合分子Bは、芳香族基を有しつつ、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル基、アルデヒド基、エポキシ基、マレイミド基、カルボジイミド基、ヒドラジド基からなる群から選択される少なくとも1つを有する小分子又は高分子である、請求項5又は7に記載の酵素電極の製造方法。
  11. 前記結合分子Bは、1−ピレン酪酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(PBSE)、N−ベンゾイルオキシスクシンイミドからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項10に記載の酵素電極の製造方法。
  12. 前記酸化還元酵素に加えて、トレハロースが更に存在する条件とし、
    前記酵素電極を凍結乾燥させる、凍結乾燥工程を含む、
    請求項1〜11のいずれか一項に記載の酵素電極の製造方法。
  13. 前記炭素材料と、前記酸化還元酵素と、前記炭素材料どうしを結合する結合分子A、及び前記炭素材料と前記酸化還元酵素とを結合する結合分子Bからなる群から選択される少なくとも1つの結合分子と、を含む
    ことを特徴とする、酵素電極。
  14. 前記結合分子は、前記結合分子Aである、請求項13に記載の酵素電極。
  15. 前記結合分子は、前記結合分子A及び前記結合分子Bである、請求項13に記載の酵素電極。
  16. 前記結合分子Aは、芳香族基を有する小分子又は高分子、フッ素置換された炭化水素からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項13〜16のいずれか一項に記載の酵素電極。
  17. 前記結合分子Aは、ポリビニルイミダゾール(PVI)、ポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)、ナフィオン(登録商標)からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項16に記載の酵素電極。
  18. 前記結合分子Bは、芳香族基を有しつつ、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル基、アルデヒド基、エポキシ基、マレイミド基、カルボジイミド基、ヒドラジド基からなる群から選択される少なくとも1つを有する小分子又は高分子である、請求項13又は15に記載の酵素電極。
  19. 前記結合分子Bは、1−ピレン酪酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(PBSE)、N−ベンゾイルオキシスクシンイミドからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項18に記載の酵素電極。
  20. トレハロースを更に含む、請求項13〜19のいずれか一項に記載の酵素電極。
  21. 凍結乾燥されている請求項20に記載の酵素電極。
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